以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.現金自動預払機の全体構成]
図1に外観を示すように現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関や各種商業施設等に設置され、使用者(すなわち金融機関や商業施設の顧客等)との間で、入金処理や出金処理等の現金に関する取引を行う。
筐体2は、その前側に使用者が対峙した状態で紙幣又は硬貨の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に応対部3が設けられている。応対部3は、カード入出口4、硬貨入出金口5、操作表示部6、テンキー7及びレシート発行口8が設けられており、使用者との間で例えば現金やカード等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行う。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。硬貨入出金口5は、使用者によって入金される硬貨が投入されると共に、使用者へ出金する硬貨が排出される部分である。また硬貨入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞する。因みに応対部3には、使用者により入金される紙幣が投入されると共に該使用者へ出金する紙幣が排出される紙幣入出金口(図示せず)等も設けられている。
操作表示部6は、取引に際して操作画面や取引内容等を表示する液晶表示パネルと、使用者の入力操作を検知するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルである。テンキー7は、「0」~「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。
以下では、現金自動預払機1のうち使用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、該前側に対峙した使用者から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
筐体2の内部には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、取引対象である硬貨に関する種々の処理を行う硬貨処理装置10や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣処理装置(図示せず)等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等の種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
[2.硬貨処理装置の全体構成]
硬貨処理装置10は、図2に模式的な右側面図を示すように、硬貨処理装置筐体11の内部に、硬貨に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。この硬貨は、例えば銅及びニッケルの合金やアルミニウム等、十分な強度を有する種々の材料でなり、薄い円板状に形成されている。
硬貨処理装置筐体11の内部には、比較的上側ないし中央付近に、入出金部13、シュート部14、上分離部15、認識搬送部16、受渡部17、ピンベルト搬送部18、6個のスタッカ部21、出金搬送部22及び一時保留部23が設けられている。また硬貨処理装置筐体11の内部には、比較的下側に、硬貨制御部12、補充回収庫24、第1補充リジェクト庫25、第2補充リジェクト庫26、リジェクト庫27、取忘取込庫28及び下分離部29が設けられている。
硬貨制御部12は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金取引や出金取引等に関する種々の処理を行い、硬貨処理装置10を統括制御する。また硬貨制御部12は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
[2-1.入出金部、シュート部及び上分離部の構成]
入出金部13は、使用者との間で硬貨を受け渡すことにより、該使用者に硬貨を入金させ、又は該使用者に硬貨を出金する。また入出金部13は、使用者により硬貨が投入されると、投入された硬貨をシュート部14に引き渡して該シュート部14内を下降させ、該シュート部14の下側に設けられた上分離部15内に到達させる。また入出金部13は、ピンベルト搬送部18から硬貨が搬送されてくると、該硬貨を集積した後、使用者に受け取らせる。
シュート部14は、硬貨の直径よりも十分に大きい内径を有する筒状に形成されており、重力を利用して硬貨を入出金部13から上分離部15へ進行させる。すなわちシュート部14は、硬貨を1枚ずつに分離することなく、複数の硬貨が連なった状態やある程度まとまった状態のまま、複数の硬貨を短時間で移動させることができる。
上分離部15は、大きく分けて、下側の比較的大きい容積を占める部分である集積分離部15Aと、該集積分離部15Aから上方向に突出するように形成された分離搬送部15Bとにより構成されている。集積分離部15Aは、シュート部14から硬貨が落下してくると、この硬貨を集積空間内に集積する。また集積分離部15Aは、傾斜円盤15Cを図2の時計回りに回転させることにより、集積された硬貨を適宜撹拌しながら、突起に硬貨を1枚ずつ引っ掛け、該硬貨の盤面を該傾斜円盤15Cに対向(すなわち当接)させた姿勢で持ち上げていき、分離搬送部15Bに引き渡す。
分離搬送部15Bは、硬貨を案内する搬送ガイドと、該搬送ガイドに沿って走行するピンベルトとを有している。搬送ガイドは、上方向へ進行してから後ろ斜め下方向へ屈曲するような搬送経路に沿って形成されている。また搬送ガイドには、搬送経路の左側において硬貨の盤面と対向するガイド面を貫通するようにして、該搬送経路に沿った溝が形成されている。
ピンベルトは、搬送ガイドの左側に配置されており、図示しないプーリ等によって搬送経路に沿って走行するように張架されている。このピンベルトは、走行方向に沿って所定間隔毎に搬送ピンが設けられており、搬送ピンの先端が搬送ガイドの溝に入り込むように、ガイド面よりも右側に突出している。分離搬送部15Bは、傾斜円盤15Cの回転と同期するようにピンベルトを走行させることにより、集積分離部15Aから引き渡された硬貨を搬送ガイドに沿って上方向へ搬送してから後ろ斜め下方向へ搬送し、認識搬送部16に引き渡す。
[2-2.認識搬送部及び受渡部の構成]
認識搬送部16は、シュート部14の右側(図2における紙面の手前側)に位置しており、上分離部15の分離搬送部15Bにより硬貨が搬送されてくると、これを圧接搬送ベルト(図示せず)と搬送ガイド(図示せず)の搬送面との間に挟み込み、圧接搬送ベルトの走行に伴ってこの硬貨を摺動させながら搬送面に沿って後方向へ搬送する。やがて認識搬送部16は、この硬貨が撮像部(図示せず)の右側に到達すると、該撮像部により該硬貨を撮像して画像信号を生成し、これを硬貨制御部12へ供給すると共に、引き続き該圧接搬送ベルトの走行によりこの硬貨を後方向へ搬送して、後側の受渡部17に引き渡す。
受渡部17は、前側の認識搬送部16と後側のピンベルト搬送部18との間に位置しており、搬送ガイドにより硬貨を後ろ斜め下方向へ進行させる。これにより受渡部17は、認識搬送部16から受け取った硬貨を、ピンベルト搬送部18による硬貨の搬送経路上に位置させて該ピンベルト搬送部18に引き渡す。このとき受渡部17は、硬貨を1枚ずつ受け渡す。すなわち受渡部17は、認識搬送部16において1枚ずつ認識された硬貨を、1枚ずつに分離された状態を維持したまま、且つ受け取った順序も維持したまま、ピンベルト搬送部18に順次引き渡す。
[2-3.ピンベルト搬送部の構成]
ピンベルト搬送部18は、図2の一部を拡大して図3に示すように、スタッカ部21の前側下部、下側、後側及び上側を取り囲むように配置されている。説明の都合上、以下ではピンベルト搬送部18の前側下部、下側、後側及び上側をそれぞれ前ピンベルト搬送部18F、下ピンベルト搬送部18D、後ピンベルト搬送部18B及び上ピンベルト搬送部18Uと呼ぶ。このうち下ピンベルト搬送部18Dの大部分は、図2に示したように、出金搬送部22及び一時保留部23の左側、すなわち図2における紙面の奥側に位置している。また上ピンベルト搬送部18Uは、前端近傍において、前斜め下方向へ屈曲し、上述したように入出金部13(図2)と接続されている。
ピンベルト搬送部18は、大きく分けて搬送ガイド40及びピンベルト50により構成されている。このうち搬送ガイド40は、図4に示すように、主ガイド板41、副ガイド板42及び溝部43により構成されている。ここでは、図3に示したように、上ピンベルト搬送部18Uを例に説明する。
主ガイド板41は、上ピンベルト搬送部18Uにおいて、前後方向に長く上下方向に短く左右方向に薄い板状に形成されており、その右側面である搬送面41Sが、上側をやや左方向へ傾けたような傾斜面となっている。この主ガイド板41は、搬送面41Sにより硬貨CNの盤面と当接することが想定されている。
主ガイド板41の上側及び下側には、副ガイド板42が設けられている。副ガイド板42は、搬送面41Sよりも右方向へ突出しており、その内側面(搬送面41S側の面)により硬貨CNの上下方向への移動範囲を規制することが想定されている。これにより搬送ガイド40は、上ピンベルト搬送部18Uにおいて、前後方向に沿って硬貨CNを案内することができる。また副ガイド板42の下端部には、右方向へ突出する硬貨周側面当接面42Sが形成されている。ピンベルト搬送部18は、硬貨CNの周側面を硬貨周側面当接面42Sに当接させつつ硬貨を転がすように搬送する。
ピンベルト搬送部18(図3)のうち下ピンベルト搬送部18Dは、上ピンベルト搬送部18Uと同様、前後方向に沿って硬貨を案内する。一方、ピンベルト搬送部18のうち前ピンベルト搬送部18F及び後ピンベルト搬送部18Bは、概ね上下方向に沿って硬貨を案内する。因みに前ピンベルト搬送部18F、後ピンベルト搬送部18B及び下ピンベルト搬送部18Dでは、それぞれにおける主ガイド板41の搬送面41Sが、上ピンベルト搬送部18Uにおける搬送面41S(図4)と同一の平面上に位置しており、何れも上側部分を左方向へ傾けたような傾斜面となっている。
ピンベルト50(図4)は、搬送ベルト51及び搬送ピン52により構成されている。搬送ベルト51は、可撓性を有する材料によって円環状に形成されている。一方、硬貨処理装置筐体11(図2)には、主に搬送ガイド40が屈曲する箇所の近傍に、複数のプーリ55がそれぞれ回転可能に設けられている。搬送ベルト51は、各プーリ55を順次結ぶように張架されることにより、搬送面41S(図4)における上下方向のほぼ中央に対し、右側にやや離れた箇所に位置する。
搬送ベルト51は、横断面が長方形状であり、且つその短辺が主ガイド板41の搬送面41Sとほぼ平行となっている。この搬送ベルト51には、図3に示したように、複数の搬送ピン52が離散的に設けられている。搬送ピン52(図4)は、搬送ベルト51の周囲を概ね取り囲むベルト取付部52Aと、該ベルト取付部52Aの左側面から左方向へ突出した突出ピン部52Bとにより構成されている。このうち突出ピン部52Bは、概ね搬送面41Sの法線に沿った細長い円柱状に形成されており、その先端である左端が搬送面41Sよりも左側に到達している。
これに応じて主ガイド板41には、上下方向のほぼ中央に、搬送面41Sの一部が左側へ凹んでなる溝部43が形成されている。この溝部43は、ピンベルト50の走行経路に沿って形成されている。また溝部43は、突出ピン部52Bとの間に十分な隙間を形成するよう、溝幅(すなわち上下方向の長さ)及び深さ(搬送面41Sから底面である溝部右側面43Sまでの長さ)が適切に設定されている。また主ガイド板41における溝部43には、突出ピン部52Bと左右方向に対向するように右方向を向く平面である溝部右側面43Sが形成されている。因みにピンベルト搬送部18では、搬送ガイド40に設けられた溝部43の右側にピンベルト50が張架されるよう、各プーリ55(図3)の位置や形状が定められている。
このような構成により、ピンベルト搬送部18(図3)は、図示しないモータから一部のプーリ55に駆動力が伝達されると、該プーリ55を右側面視で反時計回りに回転させ、これに伴ってピンベルト50を図3中反時計回りとなるように、すなわち矢印Eにより示す方向へ走行させる。これに伴いピンベルト搬送部18は、搬送ガイド40の搬送面41Sに硬貨の盤面(すなわち左側面)を寄りかからせた状態で、搬送ピン52により該硬貨に対し搬送方向へ力を加え、該搬送ガイド40に沿って進行させること、すなわち搬送することができる。以下では、ピンベルト搬送部18における硬貨の搬送方法をピン搬送とも呼ぶ。
このピンベルト搬送部18(図3)は、受渡部17から硬貨を受け取ると、この硬貨を前ピンベルト搬送部18Fに沿って下方向へ進行させ、さらに下ピンベルト搬送部18Dに沿って後方向へ進行させる。続いてピンベルト搬送部18は、この硬貨を後ピンベルト搬送部18Bに沿って上方向へ進行させ、さらに上ピンベルト搬送部18Uに沿って前方向へ進行させた後、入出金部13へ進行させる。
すなわちピンベルト搬送部18は、認識搬送部16(図2)から受渡部17を介して受け渡された硬貨を、スタッカ部21の周囲を周回するようにして、概ね環状に形成された搬送経路Wに沿って入出金部13へ搬送する。
かかる構成に加えてピンベルト搬送部18(図3)には、6箇所の分岐部19が設けられている。具体的に前ピンベルト搬送部18Fには、前補回分岐部19Aが設けられている。下ピンベルト搬送部18Dには、前側から順に、前リジェクト分岐部19B、一時保留分岐部19C、後第1リジェクト分岐部19D、後第2リジェクト分岐部19E及び後補回分岐部19Fが設けられている。説明の都合上、以下では前補回分岐部19A、前リジェクト分岐部19B、一時保留分岐部19C、後第1リジェクト分岐部19D、後第2リジェクト分岐部19E及び後補回分岐部19Fをまとめて分岐部19とも呼ぶ。
前補回分岐部19Aは、搬送経路Wの方向に合わせて、後述するスタッカ分岐部20を右側面視で反時計回りに90度回転させたように構成されている。前補回分岐部19Aは、硬貨制御部12(図2)の制御に基づいて分岐板45を回動させることにより、硬貨を引き続きピンベルト搬送部18に沿って進行させるか、或いは該硬貨をピンベルト搬送部18から分岐させて前補回案内部61に沿って進行させるかを、切り替える。
また前リジェクト分岐部19B、一時保留分岐部19C、後第1リジェクト分岐部19D、後第2リジェクト分岐部19E及び後補回分岐部19Fは、何れも搬送経路Wの方向に合わせて前補回分岐部19Aを右側面視で時計回りに90度回転させたように構成されている。
前リジェクト分岐部19Bの左側には、硬貨を第1補充リジェクト庫25の上面近傍へ進行させる前リジェクト案内部62が設けられている。因みに前リジェクト案内部62には、さらに前第2リジェクト分岐部19G(図3)が設けられている。前第2リジェクト分岐部19Gは、前補回分岐部19A等と同様に構成されており、その左側には、硬貨を第2補充リジェクト庫26の上面近傍へ進行させる前第2リジェクト案内部67が設けられている。
また一時保留分岐部19Cの左側には、硬貨を一時保留部23へ進行させる一時保留案内部63が設けられている。後第1リジェクト分岐部19Dの左側には、硬貨をリジェクト庫27の上面近傍へ進行させる後第1リジェクト案内部64が設けられている。後第2リジェクト分岐部19Eの左側には、硬貨を取忘取込庫28の上面近傍へ進行させる後第2リジェクト案内部65が設けられている。後補回分岐部19Fの左側には、補充回収庫24が硬貨処理装置筐体11(図2)の後側に取り付けられた場合に、該補充回収庫24の上面近傍へ硬貨を進行させる後補回案内部66が設けられている。
このように各分岐部19は、分岐板45を回動させることにより、硬貨を引き続きピンベルト搬送部18に沿って進行させるか、或いは該硬貨をピンベルト搬送部18から分岐させて各搬送先へ進行させるかを、切り替える。
さらにピンベルト搬送部18(図3)には、6個のスタッカ部21のそれぞれ上側となる6箇所に、スタッカ分岐部20(20A、20B、20C、20D、20E及び20F)が設けられている。スタッカ分岐部20の左側には、硬貨をスタッカ部21へ案内する案内部31が設けられている。
図5に示すようにスタッカ分岐部20Fは、搬送ガイド40における主ガイド板41(図5)に、右方向から見て長方形状の角孔でなる分岐孔41H(図3)が穿設されており、この分岐孔41Hを閉塞するように分岐板45が設けられている。因みに分岐孔41Hにおける前後方向の長さは、硬貨の直径よりも大きくなっている。以下ではスタッカ分岐部20Fを例に説明するものの、スタッカ分岐部20A、20B、20C、20D及び20Eは、何れもスタッカ分岐部20Fと同様に構成されている。但し案内部31は、それぞれ搬送先のスタッカ部21(21A、21B、21C、21D、21E及び21F)に集積すべき硬貨の金種に合わせた寸法で形成されている。
分岐板45は、硬貨CNの搬送方向に関して下流側である前端近傍において、上下方向に沿った回動軸46により回動可能に支持されている。また分岐板45は、硬貨制御部12(図2)の制御に基づき、所定のアクチュエータにより、搬送方向上流側である後端近傍を左側又は右側へ変位させるようにして回動する。
スタッカ分岐部20Fにおける分岐孔41Hの左側には、案内部31が設けられている。この案内部31は、傾斜面を形成する部材やその周囲を囲む部材により形成されており、図2に示したように、スタッカ分岐部20Fの左側から硬貨を落下若しくは滑降させながら、筒収納部72Yの上面近傍まで案内する。
分岐板45は、搬送方向上流側である後端近傍が左側へ回動される(図5(A))と、分岐孔41Hを閉塞し、その右側面である搬送継続面45sS1(後述する)により主ガイド板41の搬送面41Sとほぼ連続した平面を形成する。このときスタッカ分岐部20Fは、ピンベルト50により搬送されてきた硬貨CNを、引き続きピンベルト搬送部18の搬送ガイド40に沿って、さらに搬送方向下流側である前方向側へ進行させる。以下では、分岐板45の後端近傍が左側へ回動しており、硬貨CNを引き続きピンベルト搬送部18の搬送ガイド40に沿ってさらに下流側である前方向側へ進行させる状態を、搬送方向維持状態とも呼ぶ。
一方、分岐板45は、搬送方向上流側である後端近傍が右側へ回動される(図5(B))と、分岐孔41Hの上流側を開放すると共に、この後端近傍を主ガイド板41から右側へ十分に離れた位置に到達させる。このときスタッカ分岐部20Fは、ピンベルト50により搬送されてきた硬貨CNを、分岐板45の左側面である搬送切替面45sS2(後述する)によって分岐孔41Hの内部へ、すなわち主ガイド板41の搬送面41Sよりも左側へ進行させ、案内部31に沿って進行させる。因みに分岐板45には、搬送ピン52との干渉を回避するための凹みや切欠等が適宜形成されている(後述する)。以下では、分岐板45の後端近傍が右側へ回動しており、硬貨CNを分岐孔41Hの内部へ進行させるよう進行方向を切り替える状態を、搬送方向切替状態とも呼ぶ。このようにスタッカ分岐部20は、搬送方向切替状態において、図12に示すように、水平方向に沿って搬送方向上流側である後方向側から搬送方向下流側である前方向側へ第1方向D1へ向かって進行してきた硬貨CNを、第1方向D1とは異なる下方向である第2方向D2へ切り替える。
各スタッカ分岐部20(図3)は、分岐板45(図5)を回動させることにより、硬貨を引き続きピンベルト搬送部18に沿って進行させるか、或いは該硬貨をピンベルト搬送部18から分岐させて各スタッカ部21へ進行させるかを、切り替える。
このようにピンベルト搬送部18は、認識搬送部16から受渡部17を介して受け渡された硬貨を搬送経路Wに沿って搬送し、該硬貨の搬送経路を分岐部19又はスタッカ分岐部20により適宜分岐させて補充回収庫24やスタッカ部21等へ進行させ、或いは入出金部13へ進行させる。
[2-4.スタッカ部、出金搬送部及び一時保留部の構成]
硬貨処理装置10には、前後方向に沿って6個のスタッカ部21(21A、21B、21C、21D、21E及び21F)が整列配置されている。各スタッカ部21は、それぞれ所定の金種の硬貨と対応付けられている。このスタッカ部21は、案内部31の下側においてスタッカ部21の大部分を占める収納部72と、該収納部72の下側に設けられた繰出機構73とにより構成されている。
収納部72は、硬貨の盤面をほぼ水平とした姿勢で順次積み上げるようにして、上下方向に沿って集積するための集積空間が形成された円筒状の筒収納部72Yを有している。因みに収納部72では、3つの筒収納部72Yが設けられており、これらを水平面内で移動させ得るようになっている。案内部31は、スタッカ分岐部20から引き渡される硬貨を筒収納部72Yの上端近傍へ案内し、該筒収納部72Y内に既に集積されている他の硬貨の上側に載置させる。
繰出機構73は、筒収納部72Yの下端近傍において、該筒収納部72Yに集積されている硬貨のうち最も下側の1枚を繰り出す。具体的に繰出機構73は、筒収納部72Yの真下から右側にかけてベルト及びプーリの組み合わせでなる繰出搬送部を構成しており、このベルトの上面を右方向へ向けて走行させることにより、筒収納部72Y内に集積されている最も下側の硬貨を右方向へ搬送して繰り出す。
ここで、スタッカ部21は下ピンベルト搬送部18Dのほぼ真上に位置している。またスタッカ部21における繰出機構73は、ベルトの右端を出金搬送部22の真上に、すなわち下ピンベルト搬送部18Dの右側に位置させている。このためスタッカ部21から繰り出された硬貨は、下ピンベルト搬送部18Dへ落下することなく、出金搬送部22又は一時保留部23へ落下する。
出金搬送部22は、後側から4個のスタッカ部21、すなわちスタッカ部21C~21Fの右下側に位置している。この出金搬送部22は、上側及び前側が開放された中空の直方体のような形状となっており、内部に硬貨を収容し得る空間を形成している。この出金搬送部22は、硬貨制御部12の制御に基づいてプーリを回転させることにより、ベルトの上面を前方向へ進行させ、該ベルト上に載置若しくは集積されている硬貨を前方向へ搬送し、やがて一時保留部23内へ落下させる。このとき出金搬送部22は、硬貨を1枚ずつに分離することなく、複数の硬貨が連なった状態やある程度まとまった状態のまま、複数の硬貨を短時間で搬送する。
一時保留部23は、硬貨を一時的に集積させる箇所であり、出金搬送部22の前側、すなわちスタッカ部21A及び21Bの右下側に位置している。一時保留部23は、スタッカ部21A及び21Bから硬貨が繰り出されて落下してくると、これらを内部空間に収容し、ベルト上に載置させ、若しくは他の硬貨と共に集積させる。また一時保留部23は、出金搬送部22から搬送されてきた硬貨も、内部空間のベルト上に載置若しくは集積させる。このため一時保留部23は、ピンベルト搬送部18から一時保留分岐部19Cを介して硬貨が引き渡されると、この硬貨も内部空間のベルト上に載置若しくは集積させる。
この一時保留部23は、ベルトを停止させている場合、内部空間に集積している硬貨をそのまま保持する。一方、一時保留部23は、硬貨制御部12の制御に基づいてベルトの上面を前上方向に走行させた場合、集積している硬貨を前斜め上方向へ進行させていき、やがて該ベルトの前端部分から繰り出して上分離部15に受け渡すこと、すなわち認識搬送部16へ搬送させる。このとき一時保留部23は、出金搬送部22と同様に、硬貨を1枚ずつに分離することなく、複数の硬貨が連なった状態やある程度まとまった状態のまま、複数の硬貨を短時間で搬送する。
[2-5.補充回収庫、リジェクト庫等及び下分離部の構成]
補充回収庫24は、硬貨処理装置筐体11の下部前側に設けられており、直方体における後上側部分を仕切って第1補充リジェクト庫25及び第2補充リジェクト庫26とした場合の残った部分となっている。この補充回収庫24は、ピンベルト搬送部18から前補回分岐部19Aを介して硬貨が進行してくると、この硬貨を内部に進行させて集積する。また補充回収庫24は、ベルトを停止させている場合には、硬貨を集積した状態を保持する一方、硬貨制御部12の制御に基づいてベルトの上面を後方向へ進行させるように走行させた場合、この硬貨を後方向へ搬送して該ベルトの後端近傍から補充回収庫24の後方へ繰り出す。
第1補充リジェクト庫25は、補充回収庫24の後上側における右側に位置しており、該補充回収庫24と比較して十分に小さい直方体状に形成されている。また第1補充リジェクト庫25は、補充回収庫24と同様に、内部に硬貨を集積する空間が形成されている。この第1補充リジェクト庫25は、ピンベルト搬送部18から前リジェクト分岐部19Bを介して硬貨が進行してくると、この硬貨を内部に収容する。
第2補充リジェクト庫26は、第1補充リジェクト庫25の左側に位置しており、該第1補充リジェクト庫25とほぼ同様に構成されている。この第2補充リジェクト庫26は、ピンベルト搬送部18から前リジェクト分岐部19Bと、該前リジェクト分岐部19Bよりも下側に設けられた前第2リジェクト分岐部19Gとを順次介して硬貨が進行してくると、この硬貨を内部に収容する。
リジェクト庫27は、第1補充リジェクト庫25と同様に構成されており、後第1リジェクト分岐部19Dを介して硬貨が進行してくると、この硬貨を内部に収容する。取忘取込庫28は、リジェクト庫27の左側に設けられており、第2補充リジェクト庫26と同様に構成されており、後第2リジェクト分岐部19Eを介して硬貨が進行してくると、この硬貨を内部に収容する。
下分離部29は、硬貨処理装置筐体11の下部における中央付近であり、補充回収庫24の後側に隣接する位置に配置されている。この下分離部29は、上分離部15と類似した構成となっており、集積分離部15A、分離搬送部15B及び傾斜円盤15Cとそれぞれ対応する集積分離部29A、分離搬送部29B及び傾斜円盤29Cにより構成されている。集積分離部29Aは、内部の傾斜円盤29Cを回転させることにより、集積されている硬貨を1枚ずつに分離して分離搬送部29Bに引き渡す。分離搬送部29Bは、集積分離部29Aから受け取った硬貨を1枚ずつ上方向へ持ち上げるように搬送し、一時保留部23の放出口から内部の空間へ放出する。
このように下分離部29は、硬貨処理装置10内において比較的下側に位置する補充回収庫24から繰り出された硬貨を、これよりも上側に位置する一時保留部23へ搬送する。
[3.分岐板の構成]
図6、図7及び図8に示すように分岐板45は、金属板が折り曲げられることにより構成されており、全体として右側面視が英大文字の「V」を90[°]時計回りに回転させた立体形状となっている。また分岐板45は、前端近傍において上下方向に沿った回動軸46(図5)により回動可能に支持されている。さらに分岐板45は、硬貨制御部12(図2)の制御に基づき、所定のアクチュエータにより、搬送方向上流側である後端近傍を左側又は右側へ変位させるようにして回動する。この分岐板45は、転がし部45d、搬送切替部45s及び案内部45gにより構成されている。
[3-1.転がし部の構成]
転がし部45dは、分岐板45の下端部に形成され、水平方向に沿って延設しており、転がし面45dSが上面側に形成されている。この転がし部45dは、搬送方向維持状態(図5(A))において、転がし面45dSにより副ガイド板42の硬貨周側面当接面42S(図4)とほぼ連続した平面を形成する。
[3-2.搬送切替部の構成]
搬送切替部45sは、転がし部45dの左端部から上方向へ直角に屈曲しており、上下方向に沿って延設している。この搬送切替部45sは、搬送継続面45sS1が右側面側に、搬送切替面45sS2が左側面側に、それぞれ形成されている。搬送切替部45sは、搬送方向維持状態(図5(A))において、搬送継続面45sS1により主ガイド板41の搬送面41S(図4)とほぼ連続した平面を形成する。また搬送切替部45sは、搬送方向切替状態(図5(B))において、搬送切替面45sS2を主ガイド板41の搬送面41Sよりも右側へ突出させ、該搬送切替面45sS2に硬貨を当接させることにより、硬貨の搬送経路を案内部31(図5)へ切り替える。
[3-3.案内部の構成]
案内部45gは、搬送切替部45sの前端部から左方向へ直角に屈曲しており、水平方向に対し後側を上方向へ傾けて転がし部45d及び搬送切替部45sの後端部の上方まで延設している。この案内部45gは、第1案内部45g1、第2案内部45g2、第3案内部45g3、切欠部45n及び接続部45cが形成されている。
[3-3-1.第2案内部の構成]
第2案内部45g2は、案内部45gの前端部に形成されており、搬送切替部45sの前端部の左側面から、転がし部45d(硬貨周側面当接面42S)に対し、すなわち水平方向に対し右側面視で反時計回りに60[°]程度傾斜するように、後側を上方向へ傾けて後方向へ向かって延設している。第2案内部45g2は、硬貨周側面当接面42Sと対向する下面側に第2案内面45g2Sが形成されている。第2案内面45g2Sは、第1案内面45g1S(後述する)よりも、案内部31が延設されている方向である鉛直方向に向かって傾斜している。この第2案内面45g2Sは、搬送方向切替状態(図5(B))において、ピンベルト50の搬送ピン52に押されつつ第1案内面45g1Sに当接して切替途中方向D12(図12(A))に沿って搬送されてきた硬貨CNと接触することにより、該硬貨CNの進行方向を第2方向D2(図12(B))へ切り替え、案内部31へ案内する。
また第2案内部45g2は、切欠部45nに隣接する、搬送方向の上流側の端部である後端部、すなわち第1方向D1とは逆方向側の端部が、第2案内部端部45g2Eとなっている。図9に示すように第2案内部端部45g2Eは、第1案内面45g1Sから第2方向D2側(下方向側)へ向かって延びる延長線である硬貨接触ライン延長線L1よりも第1方向D1側に位置している。
[3-3-2.第1案内部の構成]
第1案内部45g1は、第2案内部45g2の後端部から、水平方向に対し右側面視で45[°]程度傾斜するように、第2案内部45g2よりも後側を下方向へ傾けて後方向へ向かって延設している。第1案内部45g1は、硬貨周側面当接面42Sと対向する下面側に第1案内面45g1Sが形成されている。第1案内面45g1Sは、搬送方向切替状態(図5(B))において、後側からピンベルト50の搬送ピン52に押されて前方向である第1方向D1に向かって搬送されてきた硬貨CNと接触することにより、該硬貨CNの進行方向を切替途中方向D12(図12(A))へ切り替え、第2案内面45g2Sへ案内する。また第1案内部45g1は、切欠部45nに隣接する、搬送方向の下流側の端部である前端部、すなわち第1方向D1側の端部が、第1案内部端部45g1Eとなっている。
[3-3-3.切欠部及び接続部の構成]
切欠部45nは、第1案内部45g1の第1案内部端部45g1Eと第2案内部45g2の第2案内部端部45g2Eとの間に形成されており、第1案内部45g1及び第2案内部45g2の右端部よりも左方向へ切り欠かれた形状となっている。この切欠部45nは、ピンベルト50が第1方向D1へ硬貨を搬送する際に、ピンベルト50の搬送ピン52(図4)が通過する箇所であり、ピンベルト50の搬送ピン52の移動経路である図9に示すピンベルト移動軌跡範囲Mtを避けるように形成されている。
接続部45cは、切欠部45nの左側に形成されており、第1案内部45g1と第2案内部45g2とを接続している。この接続部45cは、搬送方向切替状態(図5(B))において溝部右側面43S(図4)よりも左側に位置し、搬送ピン52の移動経路から退避している。
[3-3-4.第3案内部の構成]
第3案内部45g3は、第1案内部45g1の後端部から、第1案内部45g1よりも後側を下方向へ傾けて後方向へ向かって延設している。第3案内部45g3は、硬貨周側面当接面42Sと対向する下面側に第3案内面45g3Sが形成されている。第3案内面45g3Sは、搬送方向切替状態(図5(B))において、後側からピンベルト50の搬送ピン52に押されて第1方向D1に向かって搬送されてきた硬貨CNと接触することにより、該硬貨CNの進行方向を切り替え、第1案内面45g1Sへ案内する。なお、通常では硬貨は第1案内面45g1S及び第2案内面45g2Sにのみ当接し、第3案内面45g3Sには当接しないが、第3案内面45g3Sと当接した場合には第1案内面45g1Sへ案内するようになっている。以下では、第1案内面45g1S、第2案内面45g2S及び第3案内面45g3Sをまとめて案内面45gSとも呼ぶ。
このように分岐板45には、ピンベルト50の搬送ピン52を通過させるようにピンベルト移動軌跡範囲Mt(図9)を避けるための切欠部45nが形成されているため、案内面45gSは前端から後端までに亘ってつながった連続面にはなっていない。このため分岐板45には、案内部45gにおける切欠部45nを挟んで、第1案内部45g1において第2案内部45g2と対向する箇所に第1案内部端部45g1Eが、第2案内部45g2において第1案内部45g1と対向する箇所に第2案内部端部45g2Eがそれぞれ形成されている。
[3-4.硬貨の進行方向の切り替え]
かかる構成において、図12(A)に示すように、硬貨CNが第1方向D1へ向かってピンベルト50の搬送ピン52に押されて搬送方向切替状態のスタッカ分岐部20に到達すると、該硬貨CNは、まず第1案内面45g1Sに当接する。このとき硬貨CNは、第1方向D1から切替途中方向D12へ進行方向が変化することにより、第2案内面45g2Sへ向かって進行する。
硬貨CNが引き続きピンベルト50の搬送ピン52に押されて切替途中方向D12に沿って搬送されると、図12(B)に示すように第2案内面45g2Sに当接する。このとき硬貨CNは、切替途中方向D12から第2方向D2へ進行方向が変化することにより、切替途中方向D12よりもさらに下方向へ向かって案内部31へ進行する。硬貨CNは、第2案内面45g2Sに当接した時点で、上端部が搬送ピン52の移動経路よりも下方向へ移動することにより、以降は搬送ピン52に押されない状態となり、案内部31を下方向である案内部搬送方向Dgへ向かって落下する。
[3-5.スタッカ分岐部の配置関係]
図9に示すように、スタッカ分岐部20においては、第1案内部端部45g1Eに硬貨CNが当接した際に、硬貨当接点Cpにおいて第2案内面45g2Sに硬貨CNが当接する。また硬貨CNの直径は2.0[mm]となっている。このとき、硬貨CNの盤面の中心である硬貨中心Ccと第1案内部端部45g1Eとを通る直線と、硬貨中心Ccと硬貨当接点Cpとを通る直線とが成す角度である第1角度Θ1は60[°]未満となるように設定されている。すなわち、第1案内部端部45g1E、硬貨中心Cc及び硬貨当接点Cpの成す第1角度Θ1は60[°]未満となるように設定されている。また、硬貨当接点Cpと第2案内部端部45g2Eとを通る直線と、硬貨当接点Cpと硬貨中心Ccとを通る直線とが成す角度である第2角度Θ2は90[°]未満となるように設定されている。すなわち、第2案内部端部45g2E、硬貨当接点Cp及び硬貨中心Ccが成す第2角度Θ2は90[°]未満となるように設定されている。さらに、第2案内部端部45g2Eと硬貨当接点Cpとの間の距離であるエッジ当接部間距離Detは、0.5[mm]よりも大きくなっている。但し、第1角度Θ1及び第2角度Θ2は、第2案内部端部45g2Eと硬貨当接点Cpとの位置関係を示すものであり、第2案内部端部45g2Eと硬貨当接点Cpとの間は直線形状でなくても良い。
硬貨処理装置10は、スタッカ分岐部20をこのように設定することにより、硬貨CNが第2案内部端部45g2Eに最も衝突しやすい条件である、第1案内部端部45g1Eに当接した場合であっても、第2案内部端部45g2Eではなく、面形状の部分である第2案内面45g2Sの硬貨当接点Cpに硬貨CNを当接させることができる。
[4.案内部の構成]
図6及び図10に示すように案内部31は、案内部前側板31F、案内部後側板31B、案内部左側板31L及び案内部右側板31Rが形成されており、下方向へ向かうに連れて右側へ湾曲した形状となっている。
案内部前側板31Fは、案内部31の前側面を形成し、上下方向に延設しており、硬貨の周側面の前側と対向する案内部前側ガイド面31FSが後側面に形成されている。案内部後側板31Bは、案内部31の後側面を形成し、上下方向に延設しており、硬貨の周側面の後側と対向する案内部後側ガイド面31BSが前側面に形成されている。また案内部後側板31Bは、上端部が上方向に向かうに連れて後方向へ直線状に傾斜しており、この箇所に、硬貨周側面当接面42Sと案内部後側ガイド面31BSとを接続する案内部後側傾斜ガイド面31BSiが形成されている。案内部左側板31Lは、案内部31の左側面を形成し、下方向に向かうに連れて右側へ湾曲するように延設しており、硬貨の左側の盤面と対向する案内部左側ガイド面31LSが右側面に形成されている。案内部右側板31Rは、案内部31の右側面を形成し、下方向に向かうに連れて右側へ湾曲するように案内部左側板31Lと平行に延設しており、硬貨の右側の盤面と対向する案内部右側ガイド面31RSが左側面に形成されている。
それぞれ案内部前側板31F、案内部後側板31B、案内部左側板31L及び案内部右側板31Rの上端部によって囲まれた箇所には、案内部31の内部とピンベルト搬送部18とを連通させるように開口する案内部開口31aが形成されている。また案内部前側ガイド面31FS、案内部後側ガイド面31BS、案内部左側ガイド面31LS及び案内部右側ガイド面31RSによって囲まれた空間には、下方向に向かうに連れて右側へ湾曲するように延設され硬貨をピンベルト搬送部18のスタッカ分岐部20から筒収納部72Y(図2)へ案内する空間である案内部搬送空間31tsが形成されている。
図11に示すように、案内部左側ガイド面31LSと案内部右側ガイド面31RSとの間における硬貨の厚さ方向に沿う方向である搬送路厚方向に沿った間隔、すなわち案内部搬送空間31tsにおける厚さ方向の長さは、案内部厚さ方向間隔Gtとなっている。案内部厚さ方向間隔Gtは、案内部31の上端から下端までに亘ってほぼ一定となっている。
また案内部厚さ方向間隔Gtは、硬貨の厚さである1.5[mm]の2倍である3.0[mm]よりも短く、例えば2.4[mm]に設定されており、案内部搬送空間31tsにおいて硬貨が互いの盤面を当接させるように2枚以上重ならなくなっている。このように案内部31は、案内部搬送空間31tsを硬貨が1枚しか通らないような狭さとした。このため案内部31は、後続の硬貨である後続硬貨CNsが、先行する硬貨である先行硬貨CNpに追いついて衝突したとしても、後続硬貨CNsで先行硬貨CNpを押し出すものの、先行硬貨CNpの上端部である搬送方向上流側端部よりも下側である搬送方向下流側へ後続硬貨CNsの下端部が入り込んでしまう状態、いわゆるくさびジャムが発生してしまうことを防止できる。
さらに図11に示すように案内部31は、先行硬貨CNpの搬送方向上流側端部が案内部搬送空間31tsにおいて厚さ方向に可動可能な範囲である先行硬貨可動範囲Rmpと、後続硬貨CNsの搬送方向下流側端部が案内部搬送空間31tsにおいて厚さ方向に可動可能な範囲である後続硬貨可動範囲Rmsとが、硬貨の厚さ方向に関し重なるように、案内部前側板31F及び案内部後側板31Bの湾曲形状と案内部厚さ方向間隔Gtとを設定している。このため案内部31は、先行硬貨CNpの搬送方向上流側が、可動可能な範囲内において最も上側に位置した状態においても、後続硬貨CNsの搬送方向下流側が先行硬貨CNpの下側の盤面側に入り込まないようにできる。また案内部31は、先行硬貨CNpの搬送方向上流側が、可動可能な範囲内において最も下側に位置した状態においても、後続硬貨CNsの搬送方向下流側が先行硬貨CNpの上側の盤面側に入り込まないようにできる。これにより案内部31は、くさびジャムを防止できる。
ところで、図9に示すように、案内部31の案内部後側傾斜ガイド面31BSiと分岐板45の第1案内面45g1Sとの間隔と、案内部後側傾斜ガイド面31BSiと第2案内面45g2Sとの間隔、すなわち硬貨CNの径方向に沿う方向である搬送路幅方向に沿った間隔は、共に搬送部幅方向間隔Gdとなっている。搬送部幅方向間隔Gdは、硬貨CNの直径(硬貨径)とほぼ同等であり、硬貨径よりも僅かに0.5~1.0[mm]程度大きく設定されている。具体的に搬送部幅方向間隔Gdは、変形硬貨による硬貨径のばらつきと、分岐板45及び案内部31の製造及び組立てによる公差が見込まれた上で、硬貨CNがぎりぎり通過できる幅である。このため、ピンベルト50により硬貨CNが搬送されている状態である、分岐板45の第1案内面45g1Sに硬貨CNが当接する際の硬貨CNの搬送路の幅と、ピンベルト50による硬貨CNの搬送が終わる状態である、分岐板45の第2案内面45g2Sに硬貨CNが当接する際の硬貨CNの搬送路の幅とは、硬貨CNの直径とほぼ同等となっている。
このように硬貨処理装置10は、硬貨CNが分岐板45の第1案内面45g1Sに当接する際の硬貨CNの搬送路の幅を硬貨径まで狭めるようにした。このため硬貨処理装置10は、分岐板45の第1案内面45g1Sに確実に硬貨CNを当接させると共に第1案内面45g1Sに当接した硬貨CNが切替途中方向D12以外の方向へバウンドしてしまうことを防止できる。これにより硬貨処理装置10は、第1案内面45g1Sに当接した硬貨CNが切替途中方向D12以外の方向へバウンドして、第1案内面45g1Sと案内部後側傾斜ガイド面31BSiとの間で何回も衝突して暴れが発生し減速してしまうことを防止できる。
またこのように硬貨処理装置10は、硬貨CNが分岐板45の第2案内面45g2Sに当接する際の硬貨CNの搬送路の幅を硬貨径まで狭めるようにした。このため硬貨処理装置10は、分岐板45の第2案内面45g2Sに確実に硬貨CNを当接させると共に第2案内面45g2Sに当接した硬貨CNが第2方向D2以外の方向へバウンドしてしまうことを防止できる。これにより硬貨処理装置10は、第2案内面45g2Sに当接した硬貨CNが第2方向D2以外の方向へバウンドして、第2案内面45g2Sと案内部後側傾斜ガイド面31BSiとの間で何回も衝突して暴れが発生し減速してしまうことを防止できる。
このように硬貨処理装置10は、硬貨CNが分岐板45の第1案内面45g1S及び第2案内面45g2Sに当接する際の硬貨CNの搬送路の幅を硬貨径まで狭めるようにした。このため硬貨処理装置10は、第1案内面45g1S及び第2案内面45g2Sに当接した際の硬貨CNの移動方向を規制し、硬貨CNを減速させることなく切替途中方向D12及び第2方向D2へ向けて搬送できる。
[5.入金取引における硬貨の搬送]
次に、現金自動預払機1(図1)において顧客との間で入金取引が行われる場合について説明する。この場合、硬貨処理装置10は、前段の入金計数処理により、顧客に入金された硬貨の金種等を認識しながら枚数を計数し、これに続く後段の入金収納処理により、各硬貨を適切な収納箇所へ搬送して収納する。
具体的に硬貨処理装置10の硬貨制御部12は、現金自動預払機1の主制御部9(図1)と連携することにより、操作表示部6(図1)を介して顧客から入金取引を開始する旨の操作入力を受け付けると、入金計数処理を開始する。
このとき硬貨制御部12は、まず主制御部9と連携して硬貨入出金口5(図1)のシャッタ及び入出金部13の上シャッタを開いて顧客に入出金部13内へ硬貨を投入させる。次に硬貨制御部12は、顧客から操作表示部6(図1)を介して硬貨の取り込みを開始する操作入力を受け付けると、硬貨入出金口5のシャッタ及び入出金部13の上シャッタを閉塞した上で、入出金部13からシュート部14を介して上分離部15に硬貨を引き渡す。
上分離部15は、硬貨を1枚ずつに分離して繰り出し、認識搬送部16へ引き渡す。認識搬送部16は、硬貨を1枚ずつ搬送しながら認識し、受渡部17に引き渡すと共に、得られた認識結果を硬貨制御部12へ通知する。
これに応じて硬貨制御部12は、通知された認識結果を基に、該硬貨を受け入れ得るか否かを判定すると共にその搬送先を決定し、さらに記憶する。このとき硬貨制御部12は、該硬貨が取扱可能な金種であり、且つ正当である(すなわち偽造されていない)と判定した場合にこれを受入可能とし、それ以外の場合を受入不可能とする。また硬貨制御部12は、受入可能と判定した硬貨の金額を逐次加算することにより合計金額を集計する。
受渡部17は、認識搬送部16から受け取った硬貨をピンベルト搬送部18に引き渡す。ピンベルト搬送部18は、該硬貨が受入可能であれば、一時保留分岐部19Cまで搬送して分岐させて一時保留部23へ進行させ、該一時保留部23に集積させる。またピンベルト搬送部18は、該硬貨が受入不可能であれば、入出金部13まで搬送して収容させる。
やがて硬貨制御部12は、上分離部15から全ての硬貨を繰り出し終えると、入出金部13に受入不可能な硬貨を収容していれば、主制御部9(図1)と協働し上シャッタ等を開放させ、該硬貨を顧客に返却して確認させると共に、必要に応じて再投入させる。一方、硬貨制御部12は、入出金部13に受入不可能な硬貨を収容していなければ、入金計数処理を完了し、入金計数処理を完了したこと及び集計した合計金額(以下これを入金額と呼ぶ)を主制御部9に通知する。これに応じて現金自動預払機1の主制御部9は、所定の操作指示画面を操作表示部6(図1)に表示させ、顧客にこの入金額を提示すると共に入金取引を継続するか、又は中止するかを選択させる。
ここで入金取引の中止が選択されると、主制御部9はこのことを硬貨制御部12に通知する。これに応じて硬貨制御部12は、入金返却処理を行うことにより、一時保留部23に集積している硬貨を入出金部13へ搬送して顧客に返却する。
一方、顧客から入金取引の継続が選択されると、主制御部9はこのことを硬貨制御部12に通知する。これに応じて硬貨制御部12は、入金収納処理を行うことにより、一時保留部23に集積している硬貨をスタッカ部21へ搬送して金種毎に集積させる。
具体的に硬貨制御部12は、一時保留部23のベルトを走行させることにより、一時保留部23内に集積している硬貨を前方向へ搬送して繰り出し、上分離部15に順次引き渡す。上分離部15及び認識搬送部16は、硬貨を1枚ずつに分離してから認識すると共に、受渡部17へ引き渡す。
これに応じて硬貨制御部12は、得られた認識結果を基に、該硬貨が再利用可能であるか否か、すなわち以降の出金処理において出金可能な硬貨であるか否かを判定し、該硬貨の搬送先を決定する。このとき硬貨制御部12は、該硬貨が再利用可能であれば、その金種に応じたスタッカ部21(21A~21F)を搬送先とし、再利用不可能であれば、リジェクト庫27を搬送先とする。因みに以下では、再利用不可能と判定された硬貨をリジェクト硬貨とも呼ぶ。
受渡部17は、認識搬送部16から受け取った硬貨をピンベルト搬送部18に引き渡す。ピンベルト搬送部18は、該硬貨が再利用可能であれば、前ピンベルト搬送部18F、下ピンベルト搬送部18D及び後ピンベルト搬送部18Bにより該硬貨を順次搬送する。やがてピンベルト搬送部18は、該硬貨が上ピンベルト搬送部18Uに到達すると、金種に応じたスタッカ分岐部20の分岐板45を回動させて該硬貨を分岐させ、ピンベルト搬送部18から案内部31内に硬貨を案内する。硬貨は案内部31内を滑落し、筒収納部72Y内に放出され収納部72に集積される。
ところでスタッカ部21では、収納部72の筒収納部72Yに集積可能な硬貨の最大枚数が規定されており、既に最大枚数の硬貨が集積されている場合、新たな硬貨を集積することができない。このような場合、硬貨制御部12は、該硬貨を入出金部13まで搬送して繰り出し、さらにシュート部14を介して上分離部15へ進行させる。これにより該硬貨は、やがて搬送経路に沿って再びスタッカ部21まで搬送される。
一方、スタッカ部21は、複数の筒収納部72Yを水平面内で移動させるための移動機構を有しており、1個の筒収納部72Yに最大枚数の硬貨が集積された場合、該筒収納部72Yを案内部31の下側から他の箇所へ移動させると共に、他の筒収納部72Yを案内部31の下側に移動させる。すなわちスタッカ部21は、その内部において、案内部31の下側に位置する筒収納部72Yを交換する。これによりスタッカ部21は、次に硬貨が搬送されてきたときに、該硬貨を集積できる。
一方、ピンベルト搬送部18は、該硬貨が再利用不可能であれば、後第1リジェクト分岐部19Dまで搬送して分岐させてリジェクト庫27へ進行させ、収容させる。やがて硬貨制御部12は、一時保留部23に集積していた全ての硬貨をそれぞれの搬送先に搬送し終えると、入金収納処理を終了する。
[6.動作及び効果等]
ここで、比較例としてのスタッカ分岐部120を、図12と対応する部材に同一符号を付した図13に示す。スタッカ分岐部120は、スタッカ分岐部20(図12)と比較して、第2案内部45g2に代わる第2案内部145g2を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。第2案内部145g2は、第2案内部端部145g2Eが、第1案内面45g1Sにおける硬貨接触ライン延長線L1上に位置している。
かかる構成において硬貨CNが図13(A)に示すように第1案内面45g1Sに当接し、切替途中方向D12へ進行すると、図13(B)に示すように、第2案内面45g2Sではなく、第2案内部端部145g2Eにまず当接する。このため図13(B)に示すバウンド方向Dbのように、硬貨CNは本来搬送されるべき方向である第2方向D2以外の方向へバウンドしてしまい、第2案内面45g2Sと案内部後側傾斜ガイド面31BSiとの間で何回も衝突して暴れが発生し硬貨が減速してしまう。以下では、硬貨が減速してしまうことを、硬貨がもたつくとも呼ぶ。硬貨がもたついてしまうと、複数の硬貨の移動速度のばらつきが大きくなる。先行硬貨がもたついた場合、後続硬貨が該先行硬貨に追いついて衝突してしまい、硬貨が詰まってしまうジャムが発生する可能性がある。
これに対し本実施の形態によるスタッカ分岐部20(図9)は、第2案内部45g2(図12)の第2案内部端部45g2Eを、第1案内面45g1Sにおける硬貨接触ライン延長線L1よりも第1方向D1側に位置させるようにした。
このためスタッカ分岐部20は、硬貨CNが図12(A)に示したように第1案内面45g1Sに当接し、切替途中方向D12へ進行すると、図12(B)に示したように、第2案内部端部45g2Eに当接させることなく、面形状である第2案内面45g2Sに当接させることができ、本来搬送されるべき方向である第2方向D2へ搬送できる。
これにより硬貨処理装置10は、ピンベルト50を避けるための切欠部45nを設けることで、案内部45gが第1案内部45g1と第2案内部45g2とに分割されて、第2案内部端部45g2Eとが形成される場合であっても、搬送速度のばらつきを小さくして硬貨がもたついてしまうことを防止し、複数の硬貨の移動速度を一定に保ち、硬貨同士の衝突を抑止し、ジャムの発生を防止できる。
さらに硬貨処理装置10は、案内部31の案内部後側傾斜ガイド面31BSiと分岐板45の第1案内面45g1Sとの間隔と、案内部31の案内部後側傾斜ガイド面31BSiと分岐板45の第2案内面45g2Sとの間隔とを、硬貨径とほぼ同等の狭さである搬送部幅方向間隔Gd(図9)とした。このため硬貨処理装置10は、分岐板45の第1案内面45g1S及び第2案内面45g2Sに確実に硬貨を当接させると共に、硬貨の移動方向を規制して、切替途中方向D12及び第2方向D2以外の予期しない方向へ硬貨がバウンドして暴れが発生し硬貨がもたついて減速してしまうことを防止できる。
さらに硬貨処理装置10は、案内部31の案内部厚さ方向間隔Gt(図11)を硬貨CNの厚さの2倍よりも短くした。これにより硬貨処理装置10は、案内部31においてくさびジャムが発生してしまうことを防止し、硬貨がもたついてしてしまうことを防止できる。
以上の構成によれば現金自動預払機1は、使用者の操作を受け付ける操作表示部6と、硬貨が搬送されるピンベルト搬送部18と、ピンベルト搬送部18上で硬貨を搬送するピンベルト50と、ピンベルト50の進行方向に沿う第1方向D1と、第1方向D1と異なる方向である第2方向D2との何れかの方向に硬貨の搬送先を切り替える分岐板45とを設け、分岐板45は、硬貨と接触して該硬貨を第2方向D2側へ案内する第1案内面45g1Sを有し、第1案内面45g1Sにおける第1方向D1側の端部である第1案内部端部45g1Eを第2方向D2側に向けて延在するよう形成された第1案内部45g1と、第1案内部45g1よりも第1方向D1側において硬貨と接触して該硬貨を第2方向D2へ案内する第2案内面45g2Sを有し、第2案内面45g2Sにおける第1方向D1とは逆方向側である後側の端部である第2案内部端部45g2Eを、第1案内面45g1Sに沿って第2方向D2側へ延びる延長線である硬貨接触ライン延長線L1上よりも第1方向D1側に形成すると共に、第2方向D2側に向けて延在するよう形成された第2案内部45g2と、第1案内部端部45g1Eと第2案内部端部45g2Eとの間に形成され、第1方向D1へ硬貨を搬送する際にピンベルト50が通過する切欠部45nとを設けるようにした。
これにより現金自動預払機1は、第1案内面45g1Sに当接した硬貨を第2案内部端部45g2Eではなく第2案内面45g2Sに当接させることができ、硬貨の減速を抑えて、第2案内面45g2Sが本来搬送すべき方向へ硬貨を搬送できる。
[7.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、第1案内面45g1S及び第2案内面45g2Sを右側面視で直線形状、すなわち平面形状とする場合について述べた。本発明はこれに限らず、第1案内面45g1S及び第2案内面45g2Sは、湾曲形状等、種々の形状であっても良い。
また上述した実施の形態においては、第1角度Θ1を60[°]未満とし、第2角度Θ2を90[°]未満とし、エッジ当接部間距離Detを0.5[mm]よりも大きくする場合について述べた。本発明はこれに限らず、第1角度Θ1、第2角度Θ2及びエッジ当接部間距離Detは、他の種々の値としても良い。
さらに上述した実施の形態においては、水平方向に沿う第1方向D1に向かって搬送された硬貨の進行方向を、下方向に向かう第2方向D2へ切り替えるスタッカ分岐部20に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、他の種々の方向に沿う第1方向D1に向かって搬送された硬貨の進行方向を、該第1方向D1とは異なる他の種々の方向に向かう第2方向D2へ切り替える分岐部に本発明を適用しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、案内部厚さ方向間隔Gtを硬貨CNの厚さの2倍よりも短くする場合について述べた。本発明はこれに限らず、案内部31の搬送路の曲率が大きい場合、案内部厚さ方向間隔Gtを硬貨CNの厚さの2倍よりも長くしても良い。要は案内部厚さ方向間隔Gtは、互いの盤面が当接した状態で硬貨CNが2枚以上重ならない厚さであれば良い。
さらに上述した実施の形態においては、本発明をスタッカ分岐部20に適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、本発明を分岐部19に適用しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、現金自動預払機1に組み込まれる硬貨処理装置10に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば自動券売機等のように顧客との間で硬貨に関する取引を行う種々の装置や、金融機関の職員や小売店の店員等が現金を管理するために使用する現金管理装置等に本発明を適用しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、操作部としての操作表示部6と、搬送路としてのピンベルト搬送部18と、ピンベルトとしてのピンベルト50と、ブレードとしての分岐板45とによって、自動取引装置としての現金自動預払機1を構成する場合について述べた。このうちブレードは、第1案内部としての第1案内部45g1と、第2案内部としての第2案内部45g2と、切欠部としての切欠部45nとによって構成した。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる操作部と、ピンベルトと、ブレードとによって、自動取引装置を構成しても良い。この場合、ブレードは、その他種々の構成でなる第1案内部と、第2案内部と、切欠部とによって構成しても良い。