以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1-1.現金自動預払機の全体構成]
図1に外観を示すように現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関や各種商業施設等に設置され、使用者(すなわち金融機関や商業施設の顧客等)との間で、入金処理や出金処理等の現金に関する取引を行う。
筐体2は、その前側に使用者が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に応対部3が設けられている。応対部3は、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7及びレシート発行口8が設けられており、使用者との間で例えば現金やカード等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行う。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、使用者によって入金される紙幣が投入されると共に、使用者へ出金する紙幣が排出される部分である。また入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞する。
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。テンキー7は、「0」~「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
筐体2は、該筐体2により囲まれた内部空間と外部とを連通させる筐体開口部2Aが後面側に形成され、筐体開口部2Aを開閉可能な後面扉2Dが開口側である後面側に設けられている。筐体2は、顧客との間で取引処理が行われる取引動作時の場合には後面扉2Dを閉鎖することにより、現金自動預払機1の内部を保護する。一方、筐体2は、保守員や金融機関の行員等の作業者により保守作業が行われる保守作業時の場合には、必要に応じて後面扉2Dを開放することにより、内部の各部に対する作業を容易に行わせ得る。
現金自動預払機1は、保守作業が行われる保守面が左面側となっており、保守作業時には、後面扉2Dが開放され、後述する下部ユニット10L又は上部ユニット10U(図2)が筐体2から引き出され、下部ユニット10L又は上部ユニット10U(図2)に対し左面側から保守作業が行われる。
以下では、現金自動預払機1のうち使用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、該前側に対峙した使用者から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
筐体2の内部には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等の種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
[1-2.紙幣入出金機の構成]
図2に示すように媒体処理装置としての紙幣入出金機10は、内部に紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。この紙幣は、例えば紙や樹脂等の材料により、薄い長方形の紙葉状に形成されている。
紙幣入出金機10は、大きく分けて、全体の外側部分を構成する紙幣入出金機フレーム10Fと、該紙幣入出金機フレーム10Fにおける上下方向のほぼ中央よりも上側部分を占める上部ユニット10Uと、その下側部分を占める下部ユニット10Lとにより構成されている。
紙幣入出金機フレーム10Fは、筐体2(図1)の内部に取り付けられている。上部ユニット10U及び下部ユニット10Lは、この紙幣入出金機フレーム10Fに対し、それぞれ前後方向に沿ったスライドレール(図示せず)を介して取り付けられている。このため紙幣入出金機10では、筐体2の後面扉2Dが開放された状態において、紙幣入出金機フレーム10Fに対し上部ユニット10U及び下部ユニット10Lをそれぞれ後方へ引き出すことができる。また紙幣入出金機10では、上部ユニット10U及び下部ユニット10Lを前方へ押し込むことにより、図2に示したように、紙幣入出金機フレーム10F内にそれぞれ格納することができる。
[1-3.上部ユニットの構成]
図2に示すように上部ユニット10Uには、全体を統括制御する紙幣制御部11、接客部12、上前搬送部13、鑑別部14、上後搬送部15、一時保留部16及びリジェクト庫17が設けられている。
上部ユニット10Uにおける後側部分には、図3乃至図5に示す上後側フレーム30が設けられている。なお図3乃至図5においては後述するストッパ当接部40sは図示せず省略する。上後側フレーム30は、上端部が一時保留部16の左側及び下側に位置しており、一時保留部16を移動可能に保持すると共に、リジェクト庫17を着脱可能に保持する。上後側フレーム30の後寄りの上端部には、左右方向に貫通するスライド溝32が設けられている。スライド溝32は、全体的に前後方向に沿って細長く形成されている。このスライド溝32は、上下方向の長さ、すなわち上下方向の溝幅が前端から後端までに亘ってほぼ一定であり、前側及び前後中央部分が水平方向に沿い、後端が下方へ向かって僅かに湾曲している。スライド溝32の下端面は、図7及び図8に示す溝回動軸側端面32dSとなっている。
また上後側フレーム30(図7及び図8)の左側面には、レバーロックポジションにおけるハーフロックレバー40のストッパ当接部40sと当接し、それ以上のハーフロックレバー40のロック方向r2への回動を規制するストッパ34が設けられている。
紙幣制御部11は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の搬送先を決定する処理や各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部11は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
接客部12は、使用者との間で紙幣を受け渡すことにより、該使用者に紙幣を入金させ、又は該使用者に紙幣を出金する。接客部12は、紙幣を収容する収容器や、開口部を開閉するシャッタ、紙幣を1枚ずつに分離して繰り出す分離部、及び搬送されてきた紙幣を集積する集積部等を有している。この接客部12は、使用者により紙幣が収容器に投入されると、シャッタを閉塞し、分離部により紙幣を1枚ずつに分離して、下側に位置する上前搬送部13に順次引き渡す。また接客部12は、後側の上後搬送部15から紙幣が搬送されてくると、これを集積部により収容器内に順次放出して集積してから、シャッタを開放して使用者に受け取らせる。
上前搬送部13は、上側の接客部12、後側の鑑別部14及び下側の下搬送部21とそれぞれ接続される3本の搬送路を有しており、これらの接続部分に切替器が設けられている。この上前搬送部13は、紙幣制御部11の制御に基づき、接客部12及び鑑別部14を接続する搬送経路と、鑑別部14及び下搬送部21を接続する搬送経路とに搬送路を切り替える。
鑑別部14は、接客部12の下側且つ上前搬送部13の後側に位置している。鑑別部14は、その内部において、前後方向に沿った搬送路が形成され、この搬送路に沿って磁気センサ、イメージセンサ及び厚みセンサ等の複数のセンサが配置されている。この鑑別部14は、搬送路に沿って搬送される紙幣から各センサにより得られる種々の検知結果を鑑別結果として紙幣制御部11へ送出する。これに応じて紙幣制御部11は、この鑑別結果を基に紙幣の金種、真偽、正損(損傷しているか否か)等を判断すると共に搬送状態を認識し、得られた結果を基に該紙幣の搬送経路や搬送先を決定する。
上後搬送部15は、接客部12及び鑑別部14の後側に位置している。この上後搬送部15は、接客部12、鑑別部14、一時保留部16、リジェクト庫17及び下搬送部21とそれぞれ接続される複数本の搬送路が形成されており、各搬送路の接続箇所に切替器がそれぞれ設けられている。
この上後搬送部15は、紙幣制御部11の制御に基づき、鑑別部14及び接客部12を接続する搬送経路と、鑑別部14及び一時保留部16を接続する搬送経路と、鑑別部14及び下搬送部21を接続する搬送経路とに搬送路を切り替える。これに加えて上後搬送部15は、一時保留部16及び接客部12を接続する搬送経路と、下搬送部21及びリジェクト庫17を接続する搬送経路とに搬送路を切り替える。
一時保留部16は、いわゆるテープエスクロ方式を採用しており、円筒状に形成され回転するドラムや、このドラムの周側面に一端が固定されたテープ、このテープを他端側から巻き取るリール、及びテープを所定の走行路に沿って走行させるプーリ等が、一時保留部フレーム16f(図3乃至図5)に取り付けられている。この一時保留部16は、上後搬送部15から紙幣を受け取ると、ドラムを所定の巻取方向に回転させ、この紙幣をテープと共に周側面に巻き付けて収納する。また一時保留部16は、ドラムを巻取方向と反対の巻戻方向に回転させると、該ドラムの周側面からテープと共に紙幣を引き剥がし、これを繰り出して上後搬送部15に順次引き渡す。
図3乃至図8に示すように、一時保留部フレーム16fにおける下端部の前端部からは、円柱状でなるポスト16pが上後側フレーム30、すなわち左方向へ向けて立設されている。ポスト16pは、直径がスライド溝32の溝幅よりも僅かに短くなっており、スライド溝32の内部に挿通されている。ポスト16pは、スライド溝32の内部をほぼ水平方向に沿って前後方向に移動するように摺動可能となっている。このため一時保留部16は、スライド溝32に沿ってほぼ前後方向へ往復移動可能となっており、図3に示すクローズポジションと、図4に示す第1開放ポジションとしてのハーフポジションと、図5に示す第2開放ポジションとしてのオープンポジションとを遷移可能となっている。
リジェクト庫17は、内部に紙幣を収納する収納空間を有すると共に、この収納空間内へ紙幣を放出する放出機構を有している。このリジェクト庫17は、例えば損傷の程度が大きく出金すべきで無いと判断された紙幣(以下これをリジェクト紙幣と呼ぶ)を上後搬送部15から受け取ると、この紙幣を放出機構により収納空間内へ放出し、集積した状態で収納する。
紙幣入出金機10は、取引動作時の場合には、図3に示すようにリジェクト庫17が上後側フレーム30に取り付けられると共に、一時保留部16がリジェクト庫17の上方に位置するクローズポジションとなる。
一方、紙幣入出金機10は、リジェクト庫17が紙幣入出金機10に対し着脱される保守作業時の場合には、一時保留部16がクローズポジションから、最も後側である図5に示すオープンポジションへと保守員により移動されることにより、リジェクト庫17の着脱経路から退避し、リジェクト庫17を紙幣入出金機10に対し着脱可能にする。オープンポジションにおいてポスト16pは、スライド溝32の後端部に位置している。
また一方、紙幣入出金機10は、一時保留部16内で詰まった紙幣を巻き戻して外部へ繰り出す保守作業時の場合には、一時保留部16がクローズポジションから、クローズポジションとオープンポジションとの間の、図4に示すハーフポジションへと保守員により移動される。このため紙幣入出金機10は、一時保留部16の前方の外部の空間に、紙幣の短手方向よりもやや広い程度のスペースを形成することにより、一時保留部16から前方へ紙幣を繰り出した際に、紙幣が移動可能な空間を狭め、紙幣が暴れてしまうことを防止できる。
[1-4.下部ユニットの構成]
図2に示すように下部ユニット10Lには、下搬送部21及び紙幣収納庫22(22A、22B、22C及び22D)が設けられている。
下搬送部21は、上前搬送部13、鑑別部14、上後搬送部15及びリジェクト庫17の下側に位置しており、ローラやベルト、或いはこれらを駆動するモータ等により、上前搬送部13、上後搬送部15及び4個の紙幣収納庫22とそれぞれ接続された搬送路が形成されると共に、各搬送路の接続箇所に切替器がそれぞれ設けられている。この下搬送部21は、紙幣制御部11の制御に基づき、上前搬送部13及び各紙幣収納庫22を接続する搬送経路と、上後搬送部15及び各紙幣収納庫22を接続する搬送経路とに搬送路を切り替える。
紙幣収納庫22は、前側から後側へ向けて、再利用(リサイクル)が可能な紙幣を収納する4個の紙幣収納庫22(22A、22B、22C及び22D)が前後方向に沿って配置されている。各紙幣収納庫22は、上下方向に長い直方体状に形成されており、紙幣を集積して収納する収納空間、該収納空間の上側に配置され紙幣の分離処理及び放出処理を行う分離放出部等がその内部に設けられている。また各紙幣収納庫22は、それぞれ収納すべき紙幣の金種が予め設定されている。紙幣収納庫22は、紙幣を収納する収納処理を行う場合、上側の下搬送部21から紙幣を受け取ると、この紙幣を収納庫搬送部により分離放出部へ搬送して収納空間内へ放出し、該収納空間内に集積した状態で収納する。また紙幣収納庫22は、紙幣を繰り出す繰出処理を行う場合、収納空間内に集積された紙幣を分離放出部により1枚ずつに分離し、これを収納庫搬送部により上方へ搬送して上側の下搬送部21に引き渡すことにより繰り出す。
[1-5.ハーフロックレバーの構成]
上後側フレーム30におけるスライド溝32の左側には、ハーフロックレバー40が設けられている。なお図6においては、後述するレバーロックポジションから僅かに退避方向r1へ回動し本体部40mの下端面が水平方向に沿った状態のハーフロックレバー40を示している。ハーフロックレバー40は、金属板により形成されており、上下前後方向に延びる板状部である本体部40mを中心に構成されている。
ハーフロックレバー40の下端部の後側寄りには、回動支点孔部40paが穿設されている。回動支点孔部40paには、上後側フレーム30におけるスライド溝32に対する一方向側である下方向側に設けられたシャフト36(図7及び図8)が回動可能に挿入されている。このためハーフロックレバー40は、シャフト36の中心軸である回動支点Pp(図7及び図8)を軸として左側面視で時計回りである退避方向r1と反時計回りであるロック方向r2とに回動可能に構成されている。
本体部40mにおける下端部の前側寄りには、肉抜き孔40aが穿設されている。ハーフロックレバー40は、回動支点孔部40paよりも前側に肉抜き孔40aを設けることより、回動支点孔部40paよりも前側の重量を軽量化している。
本体部40mにおける肉抜き孔40aの上方には、前後方向の中央部が上方へ突出する***部40pが形成されている。***部40pは、第2傾斜面としての開放時傾斜面40pf、閉鎖時傾斜面40pb及び突出部40ppが形成されている。開放時傾斜面40pfは、***部40pの前半分程度の範囲を占めており、ハーフロックレバー40がレバーロックポジション(図7(B))にいる際に、前方から後方へ向かうに連れて上方へ向かうように、スライド溝32が延びる前後方向に対し傾斜する面である。閉鎖時傾斜面40pbは、***部40pの後半分程度の範囲を占めており、ハーフロックレバー40がレバーロックポジション(図7(B))にいる際に、後方から前方へ向かうに連れて上方へ向かうように、スライド溝32が延びる前後方向に対し傾斜する面である。突出部40ppは、開放時傾斜面40pfと閉鎖時傾斜面40pbとの間に形成され、***部40pのうち最も上方へ突出する箇所である。
本体部40mにおける上端部からは、側面視で略三角形状の回動軸逆側突出部40gpが、前端部が***部40pにおける突出部40ppのほぼ真上程度まで、退避方向に含まれる一方向である前方へ突出している。突起部ガイド部としての回動軸逆側突出部40gpは、下端面が、係止溝40gの上端面となっており、前方から後方へ向かうに連れて閉鎖時傾斜面40pbとほぼ平行に下方へ向かうように、スライド溝32が延びる前後方向に対し傾斜している。
本体部40mにおける閉鎖時傾斜面40pbと回動軸逆側突出部40gpとの間には、係止溝40gが穿設されている。係止溝40gは、前端部が開放されており、ポスト16p(図7及び図8)の外形よりも僅かに大きい幅を有し、前方から後方へ向かうに連れて下方へ向かうように、本体部40mの前後方向の中央部近辺まで直線状に延びている。また係止溝40gは、後端部において、係止溝端部40geが形成されている。
本体部40mにおける回動支点孔部40paの上方には、回動取手40hが形成されている。回動取手40hは本体部40mから左方へ向かって突出しており、保守員によりハーフロックレバー40がレバー退避ポジション(図7(A))からレバーロックポジション(図7(B))へ遷移される際に操作される。
本体部40mにおける後端部には、ストッパ当接部40sが形成されている。ストッパ当接部40sは、レバーロックポジションにおいてストッパ34(図7及び図8)に当接することにより、それ以上のハーフロックレバー40のロック方向r2への回動を規制する。
以下では、一時保留部16を前後方向に移動させると共にハーフポジションで保持する、スライド溝32、ポスト16p、ハーフロックレバー40及びストッパ34をまとめて、ハーフロック機構50とも呼ぶ。
[1-6.一時保留部の移動動作]
次に、一時保留部16が移動する動作について説明する。
[1-6-1.ハーフオープン動作]
まず、クローズポジションからハーフポジションへ一時保留部16が移動する動作であるハーフオープン動作について説明する。
一時保留部16がクローズポジションにいる場合、図7(A)に示すように、ポスト16pはスライド溝32の前端部に位置している。またこのとき、ハーフロックレバー40は、スライド溝32の溝回動軸側端面32dSよりも下方へ退避してレバー退避ポジションとなっており、所定の係止部が上後側フレーム30における所定のストッパに当接することにより、レバー退避ポジションにおいてそれ以上の退避方向r1への回動が規制されている。
この状態から保守員がハーフロックレバー40の回動取手40hに触れることにより、図7(B)に示すように、ストッパ当接部40sがストッパ34に当接するまで、回動支点Ppを軸としてハーフロックレバー40をロック方向r2へ回動させる。これによりハーフロックレバー40は、レバーロックポジションとなる。レバーロックポジションにおいてハーフロックレバー40は、***部40pの開放時傾斜面40pfがスライド溝32の溝回動軸側端面32dSよりも上側に位置する。またハーフロックレバー40は、重心GCが回動支点Ppよりも後側に位置することにより自重でロック方向r2へ回動しようとし、ストッパ当接部40sがストッパ34に当接することにより、レバーロックポジションにおいてそれ以上のロック方向r2への回動が規制されている。
続いて保守員が一時保留部16を後方である開放方向へ移動させる。これに応じてポスト16pはスライド溝32内を水平方向に沿って開放方向へ向かって移動し、図7(C)に示すようにハーフロックレバー40の開放時傾斜面40pfに当接する。このとき、開放時傾斜面40pfが開放方向へ向かうに連れて上方へ、すなわち上下方向に対しシャフト36から離隔する方向へ向かうように傾斜している、換言すれば、開放時傾斜面40pfが、開放方向へ向かうに連れてスライド溝32内の溝幅を徐々に狭めるように傾斜しているため、ポスト16pから開放時傾斜面40pfへ、後向きの力と共に下向きの力が加わる。このとき、開放時傾斜面40pfは回動支点Ppよりも上方且つ閉鎖方向側に位置しているため、ハーフロックレバー40は、ポスト16pによって***部40pが押し下げられ、図7(D)に示すように回動支点Ppを軸として退避方向r1へ回動する。さらに保守員が一時保留部16を開放方向へ移動させると、ポスト16pがハーフロックレバー40を回動支点Ppを軸として退避方向r1へ回動させ、***部40pの突出部40ppをスライド溝32の溝回動軸側端面32dSと同じ上下位置まで押し下げ、ポスト16pの移動経路から***部40pを退避させつつ、開放方向へ移動する。
やがてポスト16pが突出部40ppの上端部へ到達すると、図7(E)に示すように、ポスト16pはハーフロックレバー40の係止溝40gへ入り込み開放方向へ移動する。このときハーフロックレバー40は、回動軸逆側突出部40gpがポスト16pの上側面に当接することにより、それ以上ハーフロックレバー40が退避方向r1へ回動しないように規制される。
さらに保守員が一時保留部16を開放方向へ移動させると、図7(F)に示すように、ポスト16pがハーフロックレバー40の係止溝40gの係止溝端部40geに到達し、ストッパ当接部40sがストッパ34に当接するまで、回動支点Ppを軸としてハーフロックレバー40をロック方向r2へ回動させる。これによりハーフロックレバー40は、レバーロックポジションとなる。レバーロックポジションにおいてハーフロックレバー40は、重心GCが回動支点Ppよりも後側に位置することにより自重でロック方向r2へ回動しようとし、ストッパ当接部40sがストッパ34に当接することにより、レバーロックポジションにおいてそれ以上のロック方向r2への回動が規制されている。このためハーフロックレバー40は、ポスト16pを係止溝40gの係止溝端部40geに当接させた状態で、ポスト16pのそれ以上の開放方向への移動を規制する。このとき一時保留部16は、ハーフポジションとなる。これによりハーフロックレバー40は、ハーフポジションにおいて一時保留部16のそれ以上の開放方向への移動を規制する。
[1-6-2.クローズ動作]
次に、上述したハーフポジションにおいて一時保留部16から紙幣が外部へ巻き戻されて排出され保守作業が完了した後に行われる、ハーフポジションからクローズポジションへ一時保留部16が移動する動作であるクローズ動作について説明する。
一時保留部16がハーフポジションにいる場合、図8(A)に示すように、ポスト16pはハーフロックレバー40のスライド溝32の係止溝端部40geに位置している。またレバーロックポジションにおいて、ハーフロックレバー40は、***部40pの閉鎖時傾斜面40pbがスライド溝32の溝回動軸側端面32dSよりも上側に位置する。またハーフロックレバー40は、重心GCが回動支点Ppよりも後側に位置することにより自重でロック方向r2へ回動しようとし、ストッパ当接部40sがストッパ34に当接することにより、レバーロックポジションにおいてそれ以上のロック方向r2への回動が規制されている。
この状態から保守員が一時保留部16を押して前方である閉鎖方向へ移動させる。これに応じてポスト16pはスライド溝32内を水平方向に沿って閉鎖方向へ向かって移動し、図8(B)に示すようにハーフロックレバー40の閉鎖時傾斜面40pbに当接する。このとき、閉鎖時傾斜面40pbが閉鎖方向へ向かうに連れて上方へ、すなわち上下方向に対しシャフト36から離隔する方向へ向かうように傾斜している。換言すれば、閉鎖時傾斜面40pbが、閉鎖方向へ向かうに連れてスライド溝32内の溝幅を徐々に狭めるように傾斜しているため、ポスト16pから閉鎖時傾斜面40pbへ、前向きの力と共に下向きの力が加わる。このとき、閉鎖時傾斜面40pbは回動支点Ppよりも上方且つ閉鎖方向側に位置しているため、ハーフロックレバー40は、ポスト16pによって***部40pが押し下げられ、回動支点Ppを軸として退避方向r1へ回動する。またこのときハーフロックレバー40は、重心GCが回動支点Ppよりも後側から前側へ移動することにより自重で退避方向r1へ回動しようとする。さらに保守員が一時保留部16を閉鎖方向へ移動させると、ポスト16pがハーフロックレバー40を回動支点Ppを軸として退避方向r1へ回動させ、***部40pの突出部40ppをスライド溝32の溝回動軸側端面32dSと同じ上下位置まで押し下げ、ポスト16pの移動経路から***部40pを退避させつつ、閉鎖方向へ移動する。
やがて図8(C)に示すようにポスト16pが突出部40ppの上端部へ到達し、さらに保守員が一時保留部16を閉鎖方向へ移動させると、図8(D)に示すようにポスト16pはハーフロックレバー40の係止溝40gから抜け出る。
このときハーフロックレバー40は、重心GCが回動支点Ppよりも前側に位置することにより自重で退避方向r1へ回動し、スライド溝32の溝回動軸側端面32dSよりも下方へ退避してレバー退避ポジションとなり、所定の係止部が上後側フレーム30における所定のストッパに当接することにより、それ以上の退避方向r1への回動が規制される。
さらに保守員が一時保留部16を閉鎖方向へ移動させると、図8(E)に示すように、ポスト16pがスライド溝32の前端部まで到達し、一時保留部16は、クローズポジションとなる。
このようにハーフロックレバー40は、クローズ動作が行われる際に、保守員によりハーフロックレバー40自体を操作されることなく、一時保留部16を閉鎖方向へ押されるだけで、一時保留部16のポスト16pによって押されることにより、重心GCが回動支点Ppの上側における開放方向側から閉鎖方向側へ移動し、ポスト16pが係止溝40gから抜け出した際に、自重によりレバー退避ポジションへ回動する。
[1-7.効果等]
以上の構成において現金自動預払機1は、レバーロックポジションにおけるハーフロックレバー40において、係止溝40gの前方側に、閉鎖方向へ向かって上下方向に対しシャフト36から離隔する上方向へ傾斜する閉鎖時傾斜面40pbを形成し、ハーフポジションから閉鎖方向へ向かって一時保留部16が移動した際に、ポスト16pが閉鎖時傾斜面40pbに当接することにより、ハーフロックレバー40を退避方向r1へ回動させてレバー退避ポジションとし、閉鎖方向へのポスト16pの移動経路から退避させるようにした。
このため現金自動預払機1は、一時保留部16内に詰まった紙幣を巻き戻して排出させてから、ハーフロックレバー40を操作することなく、一時保留部16を閉鎖方向へ移動させるだけで、一時保留部16の移動に応じてハーフロックレバー40を退避方向r1へ回動させてレバー退避ポジションとし、ハーフポジションからクローズポジションへ一時保留部16を遷移させることができる。これにより現金自動預払機1は、保守員の手間を削減できる。
ここで、図9に比較例としてのハーフロック機構250を示す。ハーフロック機構250は、スライド溝232が前後方向に沿って延設されており、該スライド溝232の内部を、一時保留部16におけるポスト16pが前後方向に摺動する。またスライド溝232において、ハーフオープン状態の一時保留部16におけるポスト16pが位置する箇所には、英大文字の”V”が上下反転したような形状であり上方へ突出するV字部232vが形成されている。またV字部232vの上側には、スライド溝232の溝幅を狭めるように前後方向に延設された板ばね62が固定されている。係る構成においてハーフロック機構250は、ポスト16pがスライド溝232のV字部232vを通過する際に板ばね62の弾性力によりポスト16pを溝回動軸側端面232dSに押し付けように抵抗を与えることにより、一時保留部16をハーフポジションで保持する。
しかしながらこのようなハーフロック機構250の場合、一時保留部16のハーフポジションは、一時保留部16から紙幣を外部へ巻き戻す際にのみ必要であるにも関わらず、通常運用においてリジェクト庫17を脱着する際に、一時保留部16をクローズポジションとオープンポジションとの間で移動させるときにも、板ばね62の抵抗を保守員が毎回感じてしまうため、使い勝手が悪かった。特に現金自動預払機においては、通常、一時保留部16内部でジャムが発生し一時保留部16をハーフポジションにする機会よりも、一時保留部16をオープンポジションにしリジェクト庫17を着脱する機会の方が多い。このため比較例のハーフロック機構250では、一時保留部16をハーフポジションにするという、ほとんど発生しない機会のために、リジェクト庫17を着脱する際に一時保留部16を移動させにくくなっていた。
これに対し現金自動預払機1は、クローズポジションからオープンポジションへ一時保留部16が移動する動作であるフルオープン動作が行われる際は、ハーフロックレバー40をレバー退避ポジションのままとし、外部からの抵抗を感じることなく、保守員が一時保留部16を移動させることができる。一方現金自動預払機1は、ハーフオープン動作が行われる際は、保守員がハーフロックレバー40をレバー退避ポジションからレバーロックポジションへ回動させるだけで、一時保留部16をハーフポジションで容易に停止させることができる。
またハーフロック機構250は、直線形状である板ばね62の付勢力を利用するために、スライド溝232にV字部232vを形成している。しかしながらハーフロック機構250は、一時保留部16をハーフポジションで停止させない通常運用においてはポスト16pにV字部232vを通過させると共に、一時保留部16をハーフポジションで停止させる際には板ばね62の付勢力でポスト16pがV字部232vで停止するようにする必要があるため、板ばね62の付勢力の加減を設定することが困難であり、ハーフポジションにおいてポスト16pがV字部232vで停止しない可能性がある。
これに対し現金自動預払機1は、フルオープン動作が行われる際は、ハーフロックレバー40をレバー退避ポジションのままとし、外部からの抵抗を感じることなく、保守員が一時保留部16を移動させることができる。一方現金自動預払機1は、ハーフオープン動作が行われる際は、ポスト16pをレバーロックポジションにおけるハーフロックレバー40の係止溝端部40geに当接させて確実に停止させることができる。
また、一時保留部16内に詰まった紙幣を巻き戻して排出させる際に、クローズポジションからハーフポジションへ一時保留部16を遷移させるときは、まずハーフロックレバー40をレバー退避ポジションからレバーロックポジションへ保守員が回動させることを忘れる可能性は低いものの、一時保留部16内から紙幣を巻き戻すという作業が終了してハーフポジションからクローズポジションへ一時保留部16を遷移させるときは、ハーフロックレバー40等を操作することを保守員が忘れてしまう可能性があると考えられる。
これに対し現金自動預払機1は、ハーフポジションからクローズポジションへ一時保留部16を遷移させるときは、ハーフロックレバー40を操作することなく、一時保留部16を閉鎖方向側へ押すだけでハーフロックレバー40を退避方向へ回動させるようにした。これにより現金自動預払機1は、外部から保守員が一目で認識可能な、通常の位置よりも後方へ移動している一時保留部16を閉鎖方向側へ押すという作業を保守員に行わせるだけで、ハーフポジションからクローズポジションへ一時保留部16を遷移させることができる。
さらに現金自動預払機1は、ハーフポジションからクローズ動作が行われる際に、ハーフロックレバー40が、重心GCが回動支点Ppよりも開放方向側から閉鎖方向側へ移動することにより自重で退避方向r1へ回動するようにした。このため現金自動預払機1は、スプリング等の付勢部材を別途設けることなく、簡易な構成で、ハーフロックレバー40の重心GCの位置の移動を利用して、ハーフロックレバー40をレバーロックポジションからレバー退避ポジションへ回動させることができる。
以上の構成によれば現金自動預払機1は、紙葉状の媒体としての紙幣に関する取引を受け付ける応対部3と、内部に紙幣を収納し、移動方向としての前後方向に沿って開放方向と該開放方向とは逆方向の閉鎖方向とに移動可能な一時保留部16と、一時保留部16の移動方向に沿って上後側フレーム30に形成され、一時保留部16と共に移動する突起部としてのポスト16pを移動方向に沿って内部に移動可能に保持するスライド溝32と、スライド溝32に対し、スライド溝32が延びる方向に直交する溝直交方向である上下方向の一方向側としての下側に設けられた所定の回動軸としてのシャフト36を軸として回動可能に構成され、レバーロックポジションにおいてポスト16pに当接することにより、開放方向へ移動した一時保留部16を第1開放ポジションとしてのハーフポジションで保持するハーフロックレバー40と、レバーロックポジションにおけるハーフロックレバー40に当接し、ポスト16pの移動経路に露出する回動方向であるロック方向r2へのハーフロックレバー40の回動を規制するストッパ34とを設け、ハーフロックレバー40は、レバーロックポジションにおいて閉鎖方向側が開放され内部にポスト16pを移動可能に保持する係止溝40gと、レバーロックポジションにおいて係止溝40gの閉鎖方向側に形成されており、閉鎖方向へ向かって溝直交方向の他方向側へ傾斜する閉鎖時傾斜面40pbとを具え、ハーフポジションから閉鎖方向へ向かって一時保留部16が移動した際に、ポスト16pが閉鎖時傾斜面40pbに当接することにより、退避方向r1へ回動してレバー退避ポジションとなり、閉鎖方向へのポスト16pの移動経路から退避するようにした。
これにより現金自動預払機1は、開放方向へ移動する一時保留部16のポスト16pをレバーロックポジションにされたハーフロックレバー40に係止させることによりハーフポジションよりも開放方向側へ一時保留部16が移動しないように保持すると共に、ハーフロックレバー40が操作されることなく一時保留部16が閉鎖方向へ移動されるだけで、一時保留部16によりハーフロックレバー40を退避方向へ回動させてレバー退避ポジションとし、一時保留部16をクローズポジションへ移動させることができる。
[2.第2の実施の形態]
[2-1.現金自動預払機及び紙幣入出金機の構成]
図1に示すように、第2の実施の形態による現金自動預払機101は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機110を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。第2の実施の形態による紙幣入出金機110は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、ハーフロック機構50(図7及び図8)に代わるハーフロック機構150(図10及び図11)を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[2-2.ハーフロック機構の構成]
それぞれ図6及び図7と対応する部材に同一符号を付した図10及び図11に示すように、第2の実施の形態によるハーフロック機構150は、第1の実施の形態によるハーフロック機構50と比較して、ハーフロック機構50を左側面視で反時計回りに90[°]回転させたような構成となっていると共に、引っ張りばねであるスプリング60が追加されている。
スプリング60は、後端が、ハーフロックレバー40の本体部40mにおける、係止溝40gの係止溝端部40geの下方近傍、すなわち重心GCに相当する箇所に係止している。またスプリング60は、前端が、上後側フレーム30におけるシャフト36のほぼ真前に係止している。
[2-3.一時保留部の移動動作]
次に、一時保留部16が移動する動作について説明する。
[2-3-1.ハーフオープン動作]
一時保留部16がクローズポジションにいる場合、図10(A)に示すように、ポスト16pはスライド溝32の上端部に位置している。またこのとき、ハーフロックレバー40は、スプリング60の付勢力により退避方向r1へ付勢され、スライド溝32の溝回動軸側端面32dSよりも前方へ退避してレバー退避ポジションとなっており、所定の係止部が上後側フレーム30における所定のストッパに当接することにより、レバー退避ポジションにおいてそれ以上の退避方向r1への回動が規制されている。
この状態から保守員がハーフロックレバー40の回動取手40hに触れることにより、図10(B)に示すように、ストッパ当接部40sがストッパ34に当接するまで、スプリング60の付勢力に逆らって回動支点Ppを軸としてハーフロックレバー40をロック方向r2へ回動させる。これによりハーフロックレバー40は、レバーロックポジションとなる。レバーロックポジションにおいてハーフロックレバー40は、***部40pの開放時傾斜面40pfがスライド溝32の溝回動軸側端面32dSよりも後側に位置する。またハーフロックレバー40は、回動支点Ppよりも下方向である開放方向側を前方へ向けてスプリング60により引っ張られるためロック方向r2へ回動しようとし、ストッパ当接部40sがストッパ34に当接することにより、レバーロックポジションにおいてそれ以上のロック方向r2への回動が規制されている。
続いて保守員が一時保留部16を開放方向へ移動させる。これに応じてポスト16pはスライド溝32内を鉛直方向に沿って開放方向へ向かって移動し、図10(C)に示すようにハーフロックレバー40の開放時傾斜面40pfに当接する。このとき、開放時傾斜面40pfが開放方向へ向かうに連れて後方へ、すなわち鉛直方向に対しシャフト36から離隔する方向へ向かうように傾斜している、換言すれば、開放時傾斜面40pfが、開放方向へ向かうに連れてスライド溝32内の溝幅を徐々に狭めるように傾斜しているため、ポスト16pから開放時傾斜面40pfへ、下向きの力と共に前向きの力が加わる。このとき、開放時傾斜面40pfは回動支点Ppよりも後方且つ閉鎖方向側に位置しているため、ハーフロックレバー40は、ポスト16pによって***部40pが前方へ押され、図10(D)に示すように回動支点Ppを軸として退避方向r1へ回動する。さらに保守員が一時保留部16を開放方向へ移動させると、ポスト16pがハーフロックレバー40を回動支点Ppを軸として退避方向r1へ回動させ、***部40pの突出部40ppをスライド溝32の溝回動軸側端面32dSと同じ前後位置まで前方へ押し、ポスト16pの移動経路から***部40pを退避させつつ、開放方向へ移動する。
やがてポスト16pが突出部40ppの後端部へ到達すると、図10(E)に示すように、ポスト16pはハーフロックレバー40の係止溝40gへ入り込み開放方向へ移動する。このときハーフロックレバー40は、回動軸逆側突出部40gpがポスト16pの後側面に当接することにより、それ以上ハーフロックレバー40が退避方向r1へ回動しないように規制される。
さらに保守員が一時保留部16を開放方向へ移動させると、図10(F)に示すように、ポスト16pがハーフロックレバー40の係止溝40gの係止溝端部40geに到達し、ストッパ当接部40sがストッパ34に当接するまで、回動支点Ppを軸としてハーフロックレバー40をロック方向r2へ回動させる。これによりハーフロックレバー40は、レバーロックポジションとなる。レバーロックポジションにおいてハーフロックレバー40は、回動支点Ppよりも開放方向側を前方へ向けてスプリング60により引っ張られるためロック方向r2へ回動しようとし、ストッパ当接部40sがストッパ34に当接することにより、レバーロックポジションにおいてそれ以上のロック方向r2への回動が規制されている。このためハーフロックレバー40は、ポスト16pを係止溝40gの係止溝端部40geの縁に当接させた状態で、ポスト16pのそれ以上の開放方向への移動を規制する。このとき一時保留部16は、ハーフポジションとなる。これによりハーフロックレバー40は、ハーフポジションにおいて一時保留部16のそれ以上の開放方向への移動を規制する。
[2-3-2.クローズ動作]
次に、ハーフポジションからクローズポジションへ一時保留部16が移動する動作であるクローズ動作について説明する。
一時保留部16がハーフポジションにいる場合、図11(A)に示すように、ポスト16pはハーフロックレバー40の係止溝40gの係止溝端部40geに位置している。またレバーロックポジションにおいて、ハーフロックレバー40は、***部40pの閉鎖時傾斜面40pbがスライド溝32の溝回動軸側端面32dSよりも後側に位置する。またハーフロックレバー40は、回動支点Ppよりも開放方向側を前方へ向けてスプリング60により引っ張られるためロック方向r2へ回動しようとし、ストッパ当接部40sがストッパ34に当接することにより、レバーロックポジションにおいてそれ以上のロック方向r2への回動が規制されている。
この状態から保守員が一時保留部16を押して上方である閉鎖方向へ移動させる。これに応じてポスト16pはスライド溝32内を鉛直方向に沿って閉鎖方向へ向かって移動し、図11(B)に示すようにハーフロックレバー40の閉鎖時傾斜面40pbに当接する。このとき、閉鎖時傾斜面40pbが閉鎖方向へ向かうに連れて後方へ、すなわち鉛直方向に対しシャフト36から離隔する方向へ向かうように傾斜している。換言すれば、閉鎖時傾斜面40pbが、閉鎖方向へ向かうに連れてスライド溝32内の溝幅を徐々に狭めるように傾斜しているため、ポスト16pから閉鎖時傾斜面40pbへ、上向きの力と共に前向きの力が加わる。このとき、閉鎖時傾斜面40pbは回動支点Ppよりも後方且つ閉鎖方向側に位置しているため、ハーフロックレバー40は、ポスト16pによって***部40pが前方へ押され、回動支点Ppを軸として退避方向r1へ回動する。またこのときハーフロックレバー40は、回動支点Ppよりも閉鎖方向側を前方へ向けてスプリング60により引っ張られるため退避方向r1へ回動しようとする。さらに保守員が一時保留部16を閉鎖方向へ移動させると、ポスト16pがハーフロックレバー40を回動支点Ppを軸として退避方向r1へ回動させ、***部40pの突出部40ppをスライド溝32の溝回動軸側端面32dSと同じ前後位置まで前方へ押し、ポスト16pの移動経路から***部40pを退避させつつ、閉鎖方向へ移動する。
やがて図11(C)に示すようにポスト16pが突出部40ppの後端部へ到達し、さらに保守員が一時保留部16を閉鎖方向へ移動させると、図11(D)に示すようにポスト16pはハーフロックレバー40の係止溝40gから抜け出る。
このときハーフロックレバー40は、回動支点Ppよりも閉鎖方向側を前方へ向けてスプリング60により引っ張られるため退避方向r1へ回動し、スライド32の溝回動軸側端面32dSよりも前方へ退避してレバー退避ポジションとなり、所定の係止部が上後側フレーム30における所定のストッパに当接することにより、それ以上の退避方向r1への回動が規制される。
さらに保守員が一時保留部16を閉鎖方向へ移動させると、図11(E)に示すように、ポスト16pがスライド溝32の上端部まで到達し、一時保留部16は、クローズポジションとなる。
このように第2の実施の形態によるハーフロック機構150のハーフロックレバー40は、クローズ動作が行われる際に、保守員によりハーフロックレバー40自体を操作されることなく、一時保留部16を閉鎖方向へ押されるだけで、一時保留部16のポスト16pによって押されることにより、スプリング60により前方へ引っ張られる箇所が回動支点Ppよりも開放方向側から閉鎖方向側へ移動し、ポスト16pが係止溝40gから抜け出した際に、スプリング60の付勢力によりレバー退避ポジションへ回動するようにした。
このため現金自動預払機101は、一時保留部16内に詰まった紙幣を巻き戻して排出させてから、ハーフロックレバー40を操作することなく、一時保留部16を閉鎖方向へ移動させるだけで、一時保留部16の移動に応じてハーフロックレバー40を退避方向r1へ回動させてレバー退避ポジションとし、ハーフポジションからクローズポジションへ一時保留部16を遷移させることができる。これにより現金自動預払機101は、現金自動預払機1と同様に保守員の手間を削減できる。その他の点においても、第2の実施の形態による現金自動預払機101は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と同様の作用効果を奏し得る。
[3.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、一時保留部フレーム16fから突出しスライド溝32内を摺動するポスト16pにハーフロックレバー40を係止させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、ポスト16pとは別体で一時保留部16と連動する種々の部材にハーフロックレバー40を係止させても良い。
また上述した実施の形態においては、ハーフロックレバー40が回動支点Ppを軸として退避方向r1とロック方向r2とに回動する場合について述べた。本発明はこれに限らず、ハーフロックレバーがスライド移動等、種々の移動方法で移動することにより、ポスト16pの移動経路から退避する状態とポスト16pの移動経路に露出する状態とに切り替わっても良い。
さらに上述した実施の形態においては、一時保留部16の左方にのみハーフロックレバー40を設ける場合について述べた。本発明はこれに限らず、一時保留部16の左方と右方との両方にハーフロックレバーを設けても良い。その場合、現金自動預払機1は、保守面が左面側であり右面側にはアクセスし難いため、左側のハーフロックレバーと右側のハーフロックレバーとをシャフト等で連結し、左側のハーフロックレバーが操作されると、連動して右側のハーフロックレバーも回動するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態において、第2の実施の形態におけるスプリング60を追加しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、顧客との間で紙幣に関する取引処理を行う現金自動預払機1又は101の紙幣入出金機10又は110に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば各種金券や証券等、或いは入場券や乗車券のような種々の紙葉状の媒体を取り扱う種々の装置に本発明を適用しても良い。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した第1の実施の形態においては、利用者応対部としての応対部3と、収納部としての一時保留部16と、スライド溝部としてのスライド溝32と、レバーとしてのハーフロックレバー40と、ストッパとしてのストッパ34とによって媒体取引装置としての現金自動預払機1を構成し、レバーは、溝部としての係止溝40gと、第1傾斜面としての閉鎖時傾斜面40pbとを有する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる利用者応対部と、収納部と、スライド溝部と、レバーと、ストッパとによって媒体取引装置を構成し、レバーは、その他種々の構成でなる溝部と、第1傾斜面とによって構成されても良い。