JP7140658B2 - 放射線計測装置、及び放射線計測方法 - Google Patents

放射線計測装置、及び放射線計測方法 Download PDF

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Description

本発明は、放射線計測装置及び放射線計測方法に関する。特に測定対象物に含まれるα放出核種由来のα線エネルギーを簡易的に測定し、天然放射性核種と人工放射性核種を弁別可能な放射線計測装置及び放射線計測方法に関する。
自然界には多くのα線放出核種が存在する。トリウムが核***を起こすトリウム系列(Th-232)には、Th-228、Ra-224、Rn-220、Po-216、Bi212、Po-212といった放射性核種が存在する。また、ウラン系列(U-238)には、Ra-226、Rn-222、Po-218、Po-214、Po-210といった放射性核種が存在する。更には、過去に実施された核実験等によるフォールアウト(放射性降下物)の影響で、自然界には極僅かにプルトニウム(Pu-239、Pu-240、Pu-242等)やアメリシウム(Am-241、Am-243等)が存在する。
α線計測技術は、ウラン鉱床探査や温泉探査、地震予知、断層解析、原子力発電プラントや放射性廃棄物処理施設、加速器施設などの放射線管理区域における排気モニタや排水モニタ、ダストモニタ、サーベイメータに適用されている。
これらのフィールドや施設においては、α線全量を測定し、各種評価や監視を実施している。この方法ではα線エネルギーを測定することが困難であるため、α線放出核種を把握することは困難である。
α線エネルギーを測定することでα線放出核種を把握するためには、真空チェンバや真空ポンプを使用することで、α線と空気との相互作用によるエネルギーロスを低減し、放射線検出器でα線エネルギーを測定する必要がある。
しかしながら、これらのフィールドや施設においては、真空チェンバや真空ポンプを持ち運びして都度測定することは実用上困難である。このため、より高精度なα線測定を実施し、高度な分析や監視を実現するには、大気環境でα線エネルギーを測定可能な放射線計測装置およびその方法が必要となる。
例えば、特許文献1の[要約]には、「[課題]測定対象物における線量集積箇所の深さを検知することができる放射線測定装置を提供する。[解決手段]コリメータ4を介して入射した放射線を検出する放射線検出素子5、及び放射線検出素子5からの出力信号の波高値を計測する放射線計測回路6を有する放射線検出器1と、放射線計測回路6の計測結果より、放射線のエネルギースペクトルを演算するエネルギースペクトル演算部13と、エネルギースペクトルから、全エネルギー吸収ピーク領域における計数率と散乱線領域における計数率との比である計数率比を演算する計数率比演算部14と、予め取得された、計数率比と線量集積箇所の深さとの関係を記憶するデータベース15と、データベース15で記憶された関係に基づき、計数率比演算部14で演算された計数率比から、測定対象物7における線量集積箇所の深さを演算する深さ演算部16とを備える。」と記載され、放射線測定装置の技術が開示されている。
また、特許文献2の[要約]には、「[課題]α線等の荷電粒子を放出する放射性核種を同定したり、放射能強度を測定したりする荷電粒子測定装置における反跳粒子による荷電粒子検出器の汚染を抑制できる荷電粒子測定装置を提供することにある。[解決手段]α線測定装置100は、測定試料2と半導体検出器1の荷電粒子入射面との間の距離を調節可能な昇降機5、位置センサ5a、制御ユニット13、α線放出核種分析装置40を備える。α線放出核種分析装置は、最高エネルギ値のα線を放出する核種を特定し、その核種と最高エネルギ値と測定チェンバ7内の真空度モニタ9で測定したN2ガス圧とに基づいて前記距離の測定条件距離値dを決定し、制御ユニットにおいて昇降機を制御して距離を調節させることを特徴とする。」と記載され、荷電粒子測定装置の技術が開示されている。
特開2014-122793号公報 特開2007-298285号公報
フィールドや施設において、より高精度なα線測定を実施し、高度な分析や監視を実現するには、大気環境でα線エネルギーを測定可能な放射線計測装置およびその方法が必要となる。
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、測定対象がα線ではなくγ線となっている。また、線量集積箇所の違いによってエネルギースペクトルにおける全エネルギー吸収ピーク領域の計数率と散乱線領域の計数率との比を利用することで、線量集積箇所の深さと比との評価関数が示されているが、α線放出核種を適用した場合におけるエネルギースペクトルの挙動に関する記述が一切なく、測定対象がα線の場合には、適用できないという課題(問題)がある。
また、特許文献2に開示された技術では、最高エネルギーのα線放出核種を特定し、その核種と最高エネルギー値と測定チェンバ内の真空度モニタで測定したN2ガス圧に基づいて、距離値を調整する。そのため、この最高エネルギーを把握するために、真空チェンバに該当する測定チェンバや真空ポンプを備える真空排気装置やガス置換装置を必要とする。しかしながら、これらの装置構成においては、大気環境でα線エネルギーを測定することに関する技術は一切ない。したがって、大気環境でα線エネルギーを測定する場合には、適用できないという課題(問題)がある。
本発明は、前記した課題に鑑みて創案されたものであって、大気環境においても高精度なα線測定を簡易的に実施することができる放射線計測装置、及び放射線計測方法を提供することを課題(目的)とする。
前記の課題を解決するために、本発明を以下のように構成した。
すなわち、本発明の放射線計測装置は、測定対象物に付随したα線放出核種由来のα線を検知する放射線計測装置であって、前記測定対象物の放射するα線を検知するα線検出器を有するα線検出部と、前記α線検出部の出力信号を処理してα線起因の波高値スペクトルとピーク波高値を算出する信号処理装置と、前記α線検出器と前記測定対象物との距離を検知する距離計と、前記距離計の出力信号を処理して前記α線検出器と前記測定対象物との間のα線検出距離を算出する距離算出装置と、前記信号処理装置で得られた前記波高値スペクトルと前記距離算出装置のα線検出距離とを基にα線エネルギーを算出するα線エネルギー算出装置と、前記信号処理装置と前記距離算出装置と前記α線エネルギー算出装置の出力を表示する表示装置と、を備え、前記α線エネルギー算出装置は、前記α線検出距離に対する前記波高値スペクトルの前記ピーク波高値を複数取得し、前記ピーク波高値の推移を評価関数で近似し、前記評価関数から前記α線検出器と前記測定対象物との距離が0mmにおけるピーク波高値を算出し、事前に取得したピーク波高値-α線エネルギー変換係数を用いて、前記0mmにおけるピーク波高値をα線エネルギーに換算して出力する、ことを特徴とする。
また、本発明の放射線計測方法は、測定対象物に付随したα線放出核種由来のα線を検知する放射線計測方法であって、前記測定対象物の放射するα線を検知するα線検出手段を有するα線検出部と、前記α線検出部の出力信号を処理してα線起因の波高値スペクトルとピーク波高値を算出する信号処理手段と、前記α線検出手段と前記測定対象物との距離を検知する距離計測手段と、前記距離計測手段の出力信号を処理して前記α線検出手段と前記測定対象物との間のα線検出距離を算出する距離算出手段と、前記信号処理手段で得られた前記波高値スペクトルと前記距離算出手段のα線検出距離とを基にα線エネルギーを算出するα線エネルギー算出手段と、前記信号処理手段と前記距離算出手段と前記α線エネルギー算出手段の出力を表示する表示手段と、を備え、前記α線エネルギー算出手段は、前記α線検出距離に対する前記波高値スペクトルの前記ピーク波高値を複数取得し、前記ピーク波高値の推移を評価関数で近似し、前記評価関数から前記α線検出手段と前記測定対象物との距離が0mmにおけるピーク波高値を算出し、事前に取得したピーク波高値-α線エネルギー変換係数を用いて、前記0mmにおけるピーク波高値をα線エネルギーに換算して出力する、ことを特徴とする。
また、その他の手段は、発明を実施するための形態のなかで説明する。
本発明によれば、大気環境においても高精度なα線測定を簡易的に実施することができる放射線計測装置、及び放射線計測方法を提供できる。
本発明の第1実施形態に係る放射線計測装置の構成例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るα線検出器の電気パルスの出力波形例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る信号処理装置の構成例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る波高値スペクトル演算器におけるα線検知による波高値スペクトルの一例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るα線エネルギー算出装置におけるα線検出距離とピーク波高値との関係の一例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るα線エネルギー算出装置における異なるα線エネルギーによるα線検出距離とピーク波高値との関係の一例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る放射線計測装置を用いたα線測定フローをフローチャート例として示す図である。 本発明の第2実施形態に係る放射線計測装置の構成例を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る放射線計測装置の構成例を示す図である。 本発明の第4実施形態に係る放射線計測装置の構成例を示す図である。 本発明の第4実施形態に係る信号処理装置で信号処理するα線検知による波高値スペクトルの一例を示す図である。 本発明の第4実施形態に係る信号処理装置で信号処理する測定対象物が配管である場合の配管表面におけるα線相対強度分布の画像の一例を示す図である。 本発明の第5実施形態に係る放射線計測装置の構成例を示す図である。 本発明の第5実施形態に係る放射線計測装置におけるα線検出部とα線検出部対応信号処理装置の詳細な構成と、α線エネルギー算出装置との接続関係について示す図である。 本発明の第6実施形態に係る放射線計測装置の構成例を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下においては「実施形態」と表記する)を、適宜、図面を参照して説明する。
≪第1実施形態・放射線計測装置、放射線計測方法≫
本発明の第1実施形態に係る放射線計測装置の構成と機能を、適宜、図1~図7を参照して説明する。なお、以下の説明は、主として「放射線計測装置」として説明するが、「放射線計測方法」の説明を兼ねる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る放射線計測装置100の構成例を示す図である。
図1において、放射線計測装置100は、α線検出器(α線検出手段、α線検出部)101と、信号処理装置(信号処理手段)102と、距離計(距離計測手段)103と、距離算出装置(距離算出手段)104と、α線エネルギー算出装置(α線エネルギー算出手段)105と、表示装置(表示手段)106を備えて構成される。なお、図1においては、放射線計測装置100によって計測される測定対象物108と、そこから放出されるα線107も図示されている。
<放射線計測装置100の構成・機能・動作の概要>
α線検出器(α線検出部)101は、測定対象物108に付着したα線放出核種(不図示)から放出されるα線107を検知し、検知に伴う電気信号を発生させる。
α線検出器101で検知された電気信号は、信号処理装置102に入力する。
信号処理装置102では、入力した電気信号を処理して有意な電気パルスを認識し、その信号をα線エネルギー算出装置105に送る。
距離計103及び距離算出装置104では、α線検出器101と測定対象物108との距離(α線検出距離)を計測、算出して、その距離情報の信号をα線エネルギー算出装置105に送る。
α線エネルギー算出装置105では、信号処理装置102からの信号と、距離算出装置104の信号とに基づいて、α線検出距離におけるピーク波高値(図4、図5、図6参照)を算出し、その結果からα線エネルギーを算出する。そして、その情報に関する信号を表示装置106に送る。
表示装置106は、α線エネルギーに関わる情報を表示する。
<放射線計測装置100を構成する各部の構成・機能・動作の詳細>
次に、放射線計測装置100を構成するα線検出器101、信号処理装置102、距離計103及び距離算出装置104、α線エネルギー算出装置105の構成・機能・動作の詳細を順に説明する。
《α線検出器101》
α線検出器(α線検出部)101は、前記したように、測定対象物108に付着したα線放出核種(不図示)から放出されるα線107を検知し、検知に伴う電気信号を発生させる。
α線検出器101で使用される検出方式としては、半導体方式やシンチレーション方式、ガス方式がある。半導体方式では、半導体としてシリコンやシリコンカーバイド、ダイヤモンド、CdTe、CdZnTe、GaNなどの材料が使用される。
これらの半導体に電極を設けて、半導体内部に一定の電界を印加することで、半導体とα線との相互作用で生じる電子正孔対を収集することが可能となる。
収集された電子正孔対は、半導体に隣接して配置される前置増幅器(不図示)を用いて増倍され、一つのα線検知に対して1つの電気パルスを生成する。なお、この電気パルスを後段の信号処理装置102に伝送する。
α線検出器101で使用される検出方式がシンチレーション方式では、ZnS(Ag)、Bi2Ge312、Gd2Si27:Ce、Gd3Al2Ga312:Ce、プラスティックシンチレータなどの材料が使用される。
シンチレータとα線との相互作用で生じるシンチレーション光を光検出器で検知する。ここで、シンチレータを光検出器に取り付ける方式には、シンチレータを直接光検出器に接着する方式や、ライドガイドや光ファイバを介することで光学的に光検出器に接続する方式が挙げられる。
光検出器では光信号を電気信号に変換し、1つのα線検知に対して1つの電気パルスを生成する。この電気パルスを後段の信号処理装置102に伝送する。
α線検出器101で使用される検出方式がガス方式(ガス増幅方式)では、電界強度によって電離領域、比例領域、GM領域などのガス増倍領域が異なり、検出方式としては、GM計数管や電離箱などが使用される。
なお2次元検出器としてのガス増幅方式としては、マルチワイヤ比例計数管やマイクロパターンガス検出器などがある。ガスチェンバ内に有感ガスと電極を設け、ガスチェンバ内部に一定の電界を印加することで、ガスとα線との相互作用で生じる電子正孔対を収集することが可能となる。収集された電子正孔対はガスチェンバに隣接して配置される前置増幅器を用いて増倍され、1つのα線検知に対して1つの電気パルスを生成する。この電気パルスを後段の信号処理装置102に伝送する。
以降の実施形態の説明では、一例として半導体方式のα線検出器101を使用した場合を想定して説明する。
図2は、本発明の第1実施形態に係るα線検出器101の電気パルスの出力波形例を示す図である。
図2において、横軸は時刻(時間の推移)であり、縦軸は電圧(電気パルスの電圧)を示している。
図2においては、バイアス(動作基点の電位)に相当するベースライン1109に、電気パルス1111が重畳される。また、電気パルスの検知に用いられる「しきい値1112」が設定されている。
例えば、α線検出器101にα線107が入射し検知される検知タイミング1110aにおいて、電気パルス1111aが発生する。なお、図2に示すように、検知タイミング1110aと電気パルス1111aの発生には、若干のタイムラグがある。
また、α線放出核種がα線107を放出するタイミングはランダムであり、任意のタイミング、例えば検知タイミング1110bや検知タイミング1110cにおいて、電気パルス1111bや電気パルス1111cが発生する。
また、電気パルス1111a,1111b,1111cは、しきい値1112を超している。
電気パルスの検知には、後述する信号処理装置102に搭載されるコンパレータ114で形成された「しきい値1112」を使用する。
《信号処理装置102》
図3は、本発明の第1実施形態に係る信号処理装置102の構成例を示す図である。
図3において、信号処理装置102は、アナログ-デジタル変換器(A/D変換器)113、コンパレータ114、波高値スペクトル演算器115を備えて構成されている。なお、これらに付随する各種メモリやIC(Integrated Circuit)は記載しないが、一般的な電子機器に使用される部品を使用するものとする。
図3においては、アナログ-デジタル変換器(A/D変換器)113に、α線検出器101の出力信号である電気パルス1111が入力し、デジタル信号に変換される。
このデジタル信号を、しきい値1112を有するコンパレータ114を用いて電気パルスを検知する。
波高値スペクトル演算器115では、しきい値1112を超えた電気パルス1111(1111a,1111b,1111c:図2)を計数して、波高値を演算、記録する。
なお電気パルスの認識方法として、リーディングエッジ方式やコンスタントフラクションタイミング方式などが存在する。ここでは一例として、リーディングエッジ方式を用いて、しきい値1112を設定することで実施する。しきい値1112を超える電気パルスが出力された場合に、信号処理装置102が有意な電気パルスとして認識する。
図4は、本発明の第1実施形態に係る波高値スペクトル演算器115(図3)におけるα線検知による波高値スペクトル1116の一例を示す図である。
図4において、横軸は電気パルスの波高値であり、縦軸は電気パルスの計数値を示している。また、波高値スペクトル1116において、ピーク1117におけるピーク波高値1118が示されている。
前記したように、波高値スペクトル演算器115(図3)では、しきい値1112(図2)を超えた電気パルス1111(図3)を1カウントとして計数し、その波高値を記録する。
図4に示す波高値スペクトル1116は、複数の電気パルスの波高値を加算した結果である。一般的に、この電気パルス計数は、任意の測定時間において連続して実施され、各電気パルスにおける波高値を加算していく。
α線107(図1)の飛程は非常に短いことから、α線検出器101(図1)にα線107が入射した場合は、ほぼ検知できる。
α線107のエネルギーは、α線検出器101に付与され、その付与エネルギーによってピーク1117(図4)が形成される。波高値スペクトル演算器115では波高値スペクトル1116(図4)と、ピーク1117におけるピーク波高値1118(図4)とが記録される。
《距離計103、及び距離算出装置104》
次に、距離計103(図1)、及び距離算出装置104(図1)について説明する。
距離計103は、α線検出器101(図1)と測定対象物108(図1)との距離(α線検出距離)に関する情報を計測し、距離算出装置104が、その情報に基づきα線検出器101と測定対象物108との距離(α線検出距離)を算出する。そして、α線検出距離を記録する。
距離計測方式として、接触方式、反射タイプ光学式、透過タイプ光学式、渦電流方式、超音波方式などがある。本発明における距離計103及び距離算出装置104では、いずれの方式も利用することが可能である。
《α線エネルギー算出装置105》
α線エネルギー算出装置105(図1)では、信号処理装置102(図1)で得られたピーク波高値1118(図4)と、距離算出装置104(図1)で得られたα線検出距離を入力値として使用する。
なお、後述するα線測定フロー(図7)に示すように、同じ測定ポイントにおいて、複数のα線検出距離におけるピーク波高値を測定し、それらのデータを利用する。
図5は、本発明の第1実施形態に係るα線エネルギー算出装置105におけるα線検出距離とピーク波高値との関係の一例を示す図である。
図5において、横軸はα線検出距離であり、縦軸はピーク波高値を示している。なお、縦軸は、対数(log)表示をしている。また、複数のα線検出距離の測定箇所における複数のピーク波高値1119が示され、評価関数1120となる特性線(1120)上に記録されている。なお、特性点(算出点)1121は、α線検出距離0mmにおけるピーク波高値を示している。
α線107(図1)は、空気との相互作用によってエネルギーを損失するため、測定対象物108(図1)から離れると、α線107が有するエネルギー(α線エネルギー)が低下する。エネルギーが低下したα線107を検知すると、それはα線検出器101への付与エネルギーの低下として計測される。
α線検出器101への付与エネルギーは、ピーク波高値(1118(図4)、1119(図5))と相関があり、一般的には比例関係で表現できるものである。このことから、ピーク波高値1119にはα線検出距離による依存性が示される(図5)。
複数のα線検出距離における複数のピーク波高値1119に対して、その関係を評価関数としてある任意の関数を近似することができる。例えば、任意の関数には2次以上の多項式もしくは指数関数を用いる。図5においては、2次以上の多項式で近似した評価関数1120を一例として図示している。
図5において、評価関数1120の切片としては、α線検出距離0mmにおけるピーク波高値1121となる。なお、α線検出距離0mmにおけるピーク波高値1121は、α線の発生源がα線を発生した直後のピーク波高値を意味している。
α線エネルギー算出装置105(図1)では、α線検出距離0mmにおけるピーク波高値1121(図5)を記録する。また、α線エネルギー算出装置105は、ピーク波高値1121を次に示す式(1)を利用して付与エネルギーに変換する。
E=C×PH ・・・(1)
式(1)において、Eをピーク波高値1121に対応した付与エネルギー、Cを波高値-付与エネルギー変換係数、PHをピーク波高値1121とする。
なお、式(1)は、校正計数でもある。
本(第1)実施形態では、式(1)で得られたピーク波高値1121に対応した付与エネルギー(E)をα線放出核種より放出されたα線エネルギーとみなす。
α線エネルギーとα線放出核種の関連性は、一般的な文献で知られていることから、データベース化が可能である。
このデータベースを基に、算出されたα線エネルギー(E)から測定対象物108に付着したα線放出核種を評価することができる。
また、この評価によって測定されたα線が、天然もしくは人工α線放出核種かを把握することが可能となる。
次に、異なるα線エネルギーによるα線検出距離とピーク波高値との関係について説明する。
図6は、本発明の第1実施形態に係るα線エネルギー算出装置105における異なるα線エネルギーによるα線検出距離とピーク波高値との関係の一例を示す図である。
図6において、横軸はα線検出距離であり、縦軸はピーク波高値を示している。なお、縦軸は、対数(log)表示をしている。また、複数のα線検出距離の測定箇所における複数のピーク波高値1119,1122,1123が示され、評価関数1120a,1120b,1120cとなる特性線(1120a,1120b,1120c)上に記録されている。なお、特性点(算出点)1121,1124,1125は、それぞれのα線検出距離0mmにおけるピーク波高値を示している。
また、図5で示した評価関数1120(ピーク波高値1119)は、図6においては評価関数1120a(ピーク波高値1119)に対応している。
図6に示すように、評価関数1120aに対応するピーク波高値(α線検出距離0mmにおけるピーク波高値)1121に対応するα線エネルギーより高いエネルギーのα線が入射する場合、各α線検出距離におけるピーク波高値1122における評価関数1120bを用いることで、ピーク波高値(α線検出距離0mmにおけるピーク波高値)1124が得られる。
また、評価関数1120aに対応するピーク波高値(α線検出距離0mmにおけるピーク波高値)1121に対応するα線エネルギーより低いエネルギーのα線が入射する場合、各α線検出距離におけるピーク波高値1123における評価関数1120cを用いることで、ピーク波高値(α線検出距離0mmにおけるピーク波高値)1125が得られる。
なお、α線エネルギーが低い場合には、空気中の飛程が短くなることから、測定対象物108(図1)に、より接近して測定することになる。
<α線測定フロー>
次に、図1に示した放射線計測装置100を用いたα線測定フローを説明する。
図7は、本発明の第1実施形態に係る放射線計測装置100(図1)を用いたα線測定フローをフローチャート例として示す図である。
図7において、ステップS1001~ステップS1010について説明する。
〈ステップS1001〉
計測を「開始」すると、初めにステップS1001において、測定対象物108の近傍の測定ポイントにα線検出器101と距離計103を配置する。
そして、ステップS1002に進む。
〈ステップS1002〉
ステップS1002においては、測定対象物108との距離(α線検出距離)を距離計103で測定し、距離算出装置104でα線検出距離を算出する。
そして、ステップS1003に進む。
〈ステップS1003〉
ステップS1003においては、α線検出器101でα線107を検知(測定)し、信号処理装置102でピーク波高値1118(図4)を算出する。
そして、ステップS1004に進む。
〈ステップS1004〉
ステップS1004においては、α線エネルギー算出装置105で、α線検出距離とピーク波高値1119(図5)との関係を記録する。
そして、ステップS1005に進む。
〈ステップS1005〉
ステップS1005においては、所定の複数の位置(α線検出距離)でのデータを記録したか判定する)。
記録している場合(Yes)には、ステップS1006に進む。
記録していない場合(No)には、ステップS1010に進む。ステップS1010については後記する。
〈ステップS1006〉
ステップS1006においては、複数の位置(α線検出距離)でのピーク波高値1119(図5)を評価関数1120(図5)で近似する。
そして、ステップS1007に進む。
〈ステップS1007〉
ステップS1007においては、評価関数の切片(α線検出距離0mm)のピーク波高値1121(図5)を数値として記録する。
そして、ステップS1008に進む。
〈ステップS1008〉
ステップS1008においては、ピーク波高値1121を校正計数である式(1)を用いてα線エネルギーに変換する。
そして、ステップS1009に進む。
〈ステップS1009〉
ステップS1009においては、表示装置106で換算結果を表示する。
そして、「終了」する。
〈ステップS1010〉
前記したステップS1005において、記録していない場合(No)には、ステップS1010に進む。
このとき、ステップS1010において、既存データと異なる位置(α線検出距離)にα線検出器101と距離計103を配置する。
そしてステップS1002に戻り、ステップS1002における前記した測定と算出を継続する。
<第1実施形態の総括>
第1実施形態の放射線計測装置、及び放射線計測方法によれば、α線検出器101と信号処理装置102とを備えることで、波高値スペクトルにおけるα線起因のピークにおけるピーク波高値を算出することが可能となる。
また、距離計103と距離算出装置104とを備えることで、ピーク波高値の測定結果に対応する測定対象物-検出器間距離を把握することが可能となる。
また、α線エネルギー算出装置105を備えることで、評価関数からα線検出器101と測定対象物108との距離が0mmにおけるピーク波高値を算出し、事前に取得したピーク波高値-α線エネルギー変換係数を用いて、0mmにおけるピーク波高値をα線エネルギーに換算することが可能となる。
また、表示装置106を備えることで、信号処理装置102と距離算出装置104とα線エネルギー算出装置105の出力を表示することが可能となる。
また、α線エネルギー算出装置105における評価関数として、2次以上の多項式もしくは指数関数を使用することで、0mmにおけるピーク波高値を算出することが可能となる。この機能を備えることで、簡易的に距離0mmにおけるピーク波高値を算出でき、α線エネルギーへの換算を実現することが可能となる。
また、以上の機能を備えることで、大気環境でα線エネルギーを簡易的に実現し、各々のフィールドや施設において、より高精度なα線測定を実施することが可能となる。
<第1実施形態の効果>
以上の第1実施形態で説明した放射線計測装置、及びその放射線計測方法を用いることで、真空チェンバや真空ポンプなどの装置を使用せずに、大気環境でα線エネルギーを簡易的に測定できる効果がある。
また、天然もしくは人工α線放出核種を把握することで、高精度なα線測定を簡易的に実施することを可能とする効果がある。
また、測定結果に基づく高度な分析や監視を実現することが可能となる効果がある。
すなわち、本発明の第1実施形態によれば、大気環境においても高精度なα線測定を簡易的に実施することができる放射線計測装置及び放射線計測方法を提供できる。
≪第2実施形態・放射線計測装置、放射線計測方法≫
本発明の第2実施形態に係る放射線計測装置の構成と機能を、図8を参照して説明する。第2実施形態は、α線検出器と測定対象物間における固体物質によるα線エネルギーロスを考慮した放射線計測装置に関するものである。なお、以下の説明は、主として「放射線計測装置」として説明するが、「放射線計測方法」の説明を兼ねる。
図8は、本発明の第2実施形態に係る放射線計測装置200の構成例を示す図である。
図8において、放射線計測装置200は、図1で示したα線検出器101、信号処理装置102、距離計103、距離算出装置104、表示装置106を備えている。さらに、図8において、放射線計測装置200は、固体物質(物質)126、固体物質観察装置151、α線エネルギー損失値データベース127と、α線エネルギー損失値算出装置(α線エネルギー損失値算出手段)128とを備える。
また、図1に示したα線エネルギー算出装置105が、図8においては、α線エネルギーの損失値を補正することに対応できるα線エネルギー算出装置である補正対応α線エネルギー算出装置(補正対応α線エネルギー算出手段)129となっている。
なお、前記したα線検出器101、信号処理装置102、距離計103、距離算出装置104、表示装置106については、図1で示した第1実施形態における構成要素と同一であるので、重複する説明は省略する。
以上の図8の構成において、固体物質(物質)126が、α線検出器101とα線107を放出するα線放出核種が付着する測定対象物108との間に配置されている。なお、固体物質126は、α線を遮蔽せずに透過可能な厚さを有するものとする。また、固体物質126は、α線検出器101の保護などの役割を持つものである。所定の固体物質126においては、その組成や寸法情報は既知であるとする。
なお、固体物質126は、特性の安定化のために固体の物質で形成され、ガス(空気)状のものは対象外である。
ただし、固体物質126が所定のものでない場合、あるいは複数個を交換して用いられる場合においては、固体物質126を認識する必要がある。その場合に、固体物質観察装置151が用いられる。
固体物質観察装置151は、固体物質126の形状(断面)や素材(固有情報)位置などに関する情報を把握する機能を有する装置である。固体物質観察装置151がα線エネルギー損失値算出装置128に入力する情報として、特に重要なのは、固体物質126の材質と、α線の透過方向の厚さである。
また、固体物質観察装置151として、光学カメラや超音波装置やレーザ装置が用いることが可能である。
図8において、α線107がα線検出器101に到達する前に、固体物質126でエネルギーを損失する。
そのため、α線エネルギー損失値データベース127では、固体物質126によるエネルギー損失を事前に解析したα線エネルギー損失値をデータベースとして保管する。
α線エネルギー損失値算出装置128では、固体物質観察装置151の情報による固体物質126の材質とその厚さなどを入力値とし、またα線エネルギー損失値データベース127にアクセスして、両方の情報によりα線エネルギー損失値を算出する。
補正対応α線エネルギー算出装置129では、α線エネルギー損失値と、α線検出距離0mmにおけるピーク波高値と、波高値-付与エネルギー変換係数とを用いて、α線エネルギーの損失値の補正に対応したα線エネルギーを算出する。
この算出は、次の式(2)を用いて付与されたα線エネルギー(付与エネルギー)に変換して実施される。
E=C×PH+ER ・・・(2)
式(2)において、Eは図5に示したピーク波高値1121に対応した付与エネルギー、Cは波高値-付与エネルギー変換係数、PHはピーク波高値1121、ERは固体物質126におけるα線エネルギー損失値とする。
以上、式(2)によって、測定したα線エネルギーの値を補正する。
また、補正対応α線エネルギー算出装置129で補正されたα線エネルギーの値を、表示装置106が表示する。
<第2実施形態の効果>
以上のα線エネルギー損失値データベース127とα線エネルギー損失値算出装置128を備えた第2実施形態の放射線計測装置、及び放射線計測方法を用いることで、ガス状(空気)以外の物質と厚さによるα線エネルギー損失値を算出し、測定したα線エネルギーの値を補正することが可能となる効果がある。
また、固体物質126を測定対象物108とα線検出器101との間に配置することによって、α線検出器101を保護する効果がある。
≪第3実施形態・放射線計測装置、放射線計測方法≫
本発明の第3実施形態に係る放射線計測装置の構成と機能を、図9を参照して説明する。なお、以下の説明は、主として「放射線計測装置」として説明するが、「放射線計測方法」の説明を兼ねる。
図9は、本発明の第3実施形態に係る放射線計測装置300の構成例を示す図である。
図9において、第3実施形態における放射線計測装置300は、図1で示した第1実施形態におけるα線検出器101、信号処理装置102、距離計103、距離算出装置104、α線エネルギー算出装置105が共通の構成である。図9においては、さらに光学カメラ130が備えられている。また、図9における表示装置131は、図1おける表示装置106がα線エネルギー算出装置105の出力情報を表示するのに加え、図9の光学カメラ130の画像情報を表示するようにしたものである。
以上のように、図9の第3実施形態の放射線計測装置300が、図1の第1実施形態の放射線計測装置100と異なるのは、光学カメラ130であるので、光学カメラ130について主として説明する。なお、その他の重複する説明は、適宜、省略する。
図9において、光学カメラ130ではα線検出器101における測定対象物108を俯瞰的に観察して、その得られた画像情報を表示装置131で表示する。
また、光学カメラ130をα線検出器101に隣接して設置するときには、α線検出器101の測定エリアを拡大して観察する。
このように、光学カメラ130による画像を表示装置131で観察できるので、測定対象物近傍を把握できて、計測の確実性と効率化が図れる。
<第3実施形態の効果>
以上の第3実施形態の放射線計測装置、及びその放射線計測方法を用いることで、α線検出器101の測定対象およびエリアを目視で観測することが可能となり、計測の確実性と効率化が図れる効果がある。
≪第4実施形態・放射線計測装置、放射線計測方法≫
本発明の第4実施形態に係る放射線計測装置の構成と機能を、図10を参照して説明する。第4実施形態は測定結果のマッピングに関するものである。なお、以下の説明は、主として「放射線計測装置」として説明するが、「放射線計測方法」の説明を兼ねる。
図10は、本発明の第4実施形態に係る放射線計測装置400の構成の一例を示す図である。
図10において、第4実施形態における放射線計測装置400は、図1で示した第1実施形態のα線検出器101、距離計103、距離算出装置104が共通の構成である。
図10においては、さらに光学カメラ130、位置センサ132、α線マッピング装置(α線マッピング手段)133が備えられている。
また、図10において、信号処理装置135、α線エネルギー算出装置136、表示装置134は、図1における信号処理装置102、α線エネルギー算出装置105、表示装置106のそれぞれの機能を、光学カメラ130、位置センサ132を追加したこと等による新たな情報に対応させたものである。
光学カメラ130では第3実施形態で記載したように、α線検出器101における測定対象物108を俯瞰的に観察する。
位置センサ132では、α線検出器101の位置を2次元のマップとして算出する。
《α線検知による波高値スペクトル》
次に、図11を参照して、α線検知による波高値スペクトルについて説明する。
図11は、本発明の第4実施形態に係る信号処理装置135で信号処理するα線検知による波高値スペクトルの一例を示す図である。
図11において、横軸は波高値であり、縦軸は計数値を示している。また、波高値スペクトル1116のピーク1117と計数値範囲1137が示されている。
《信号処理装置135、α線エネルギー算出装置136、α線マッピング装置133》
信号処理装置135(図10)では、信号処理装置102(図1)における機能に加えて、波高値スペクトル1116(図11)のピーク1117(図11)における計数値の総和を計数値範囲1137(図11)から算出する計数値算出機能を追加している。
α線エネルギー算出装置136(図10)では、α線エネルギー算出装置105(図1)における出力に加えて、計数値範囲1137(図11)における計数値の総和も出力する。
図10に示すα線マッピング装置133における入力値は、位置センサ132で得られた位置情報と、光学カメラ130で得られた画像情報、α線エネルギー算出装置136で得られた計数値範囲1137(図11)における計数値の総和とα線エネルギー情報である。
図10における放射線計測装置400のα線測定は、測定対象物108に対して2次元的に1つの位置ではなく、2次元的に複数の位置を測定するものとする。
α線マッピング装置133では、位置と計数値総和、α線エネルギーを画像に重畳する機能を有する。
《α線相対強度分布》
次に、図12を参照して、α線相対強度分布について説明する。
図12は、本発明の第4実施形態に係る信号処理装置135で信号処理する測定対象物108(図10)が配管138(図12)である場合の配管138の表面におけるα線相対強度分布1139の画像1140の一例を示す図である。
図12において、配管138の表面を格子状に分割された各領域におけるα線相対強度分布1139を相対強度で示している。なお、左右にハッチングされた分割領域が最も強度が高く、次に右に細かくハッチングされた分割領域が次に強度が高く、さらに次に左に粗くハッチングされた分割領域が弱く、ハッチング等が何もされていない空白の分割領域がさらに弱い領域として、表記されている。
このように、α線相対強度分布1139は、分割領域の強度の表記が変化するに従って計数値総和による相対強度を示し、位置情報と画像情報を組み合わせることで分布情報を形成したものである。
《表示装置134》
図10において、表示装置134は、α線マッピング装置133からのα線エネルギー情報を画像140(図12)として表示する。
また、表示装置134は、複数のα線エネルギーが観測された場合には、複数のα線エネルギー算出結果を表示する。
<第4実施形態の総括>
第1実施形態の放射線計測装置、及び放射線計測方法によれば、α線検出器101の近傍に位置センサ132と、位置センサ132の位置算出結果とα線エネルギー算出装置136における出力を組み合わせて測定位置におけるα線測定結果を算出するα線マッピング装置133とを備え、複数の位置におけるα線測定結果を表示装置134においてマップとして表示する。
<第4実施形態の効果>
以上の第4実施形態の放射線計測装置、及び放射線計測方法を用いることで、複数の位置におけるα線測定結果をマップとして表示することが可能となる。この機能を有することで、α線測定結果をより明確に可視化することが容易となる。
≪第5実施形態・放射線計測装置、放射線計測方法≫
本発明の第1実施形態に係る放射線計測装置の構成と機能を、適宜、図13、図14を参照して説明する。なお、以下の説明は、主として「放射線計測装置」として説明するが、「放射線計測方法」の説明を兼ねる。
図13は、本発明の第5実施形態に係る放射線計測装置500の構成の一例を示す図である。
図13において、放射線計測装置500は、α線検出部141と、α線検出部対応信号処理装置142と、距離計103と、α線検出部対応距離算出装置144と、α線エネルギー算出装置143と、表示装置106を備えて構成される。
以上において、第5実施形態の放射線計測装置500が第1実施形態の放射線計測装置100と異なるのは、α線検出部141と、α線検出部対応信号処理装置142と、α線検出部対応距離算出装置144と、α線エネルギー算出装置143である。なお、第5実施形態の放射線計測装置500における距離計103、表示装置106は、第1実施形態の放射線計測装置100における距離計103、表示装置106と概ね同一であるので、重複する説明は省略する。
《α線検出部141、α線検出部対応信号処理装置142、α線エネルギー算出装置143について》
放射線計測装置500におけるα線検出部141、α線検出部対応信号処理装置142、α線エネルギー算出装置143について、図14を参照して、次に説明する。
図14は、本発明の第5実施形態に係る放射線計測装置500におけるα線検出部141とα線検出部対応信号処理装置142の詳細な構成と、α線エネルギー算出装置143との接続関係について示す図である。
図14において、α線検出部141は、3台(複数台)のα線検出器101を備えて構成されている。また、α線検出部対応信号処理装置142は、3台(複数台)の信号処理装置(信号処理部)102を備えて構成されている。
3台(複数台)のα線検出器101は、それぞれα線検出距離が異なっている。このα線検出距離がそれぞれ異なるα線検出器101は、段違いに設置されている。
3台(複数台)の段違いになったそれぞれのα線検出器101は、3台(複数台)のそれぞれの信号処理装置102に接続する。
3台(複数台)の信号処理装置102を備えてなるα線検出部対応信号処理装置142は、3台(複数台)の信号処理装置102が取得した情報(出力)を、α線エネルギー算出装置143に出力を伝送する。
また、距離計103及びα線検出部対応距離算出装置144では、3台(複数台)のα線検出器101と測定対象物108との距離(α線検出距離)を算出して、その距離情報の信号をα線エネルギー算出装置143に送る。
α線エネルギー算出装置143では、α線検出部対応距離算出装置144から得られる段違いに設置されたα線検出器101の位置関係をα線検出距離に組み込む。
そして、α線検出部対応信号処理装置142の信号とα線検出部対応距離算出装置144の信号を基に、図5で示したα線検知距離とピーク波高値の関係を算出し、評価関数を用いてα線検知距離0mmにおけるピーク波高値を算出し、α線エネルギーを算出する。
このように、α線検出部141を測定対象物108に対して2次元的に走査することで、1つの測定対象部に対して3つ(複数)の距離(α線検出距離)におけるα線測定結果を取得することが可能となる。
また、α線エネルギー算出装置143は、算出した結果の情報に関する信号を表示装置106に送る。表示装置106は、取得したα線エネルギーに関わる情報を表示する。
<第5実施形態の総括>
第1実施形態の放射線計測装置(放射線計測方法)は、測定対象物108に対して複数の異なる距離に段違いに設置された2台以上(複数)の前記α線検出器101を有するα線検出部141と、α線検出器101の出力を処理するα線検出部対応信号処理装置142と備える。また、α線検出部141に備えられた複数のα線検出器101のうち、1台のα線検出器101と測定対象物108との距離を検知する距離計103と、1台のα線検出器101と測定対象物108との距離を算出し、α線検出部141のそれぞれのα線検出器101と測定対象物108との距離を算出するα線検出部対応距離算出装置144とを備える。そして、一つの測定対象物108に対して、α線検出部141を用いて2次元的に測定を実施することで、一つの測定対象物108に対する複数の距離におけるα線測定を簡略化する。
<第5実施形態の効果>
一つの測定対象物に対して、α線検出部を用いて2次元的に測定を実施することで、一つの測定対象物に対する複数のα線検出距離におけるα線測定を高速かつ正確に実施でき、測定時間を短縮化することが可能となる。
またα線検出部に搭載する段違いのα線検出器を増やすことで、一つの測定対象部に対するデータを検出器台数分、取得することが可能となる。
また、前記の機能を組み合わせることによって、測定対象物の2次元的な走査や一つの測定対象部に対して2つ以上(複数)の距離におけるα線測定結果を取得することが容易になるという効果がある。
≪第6実施形態・放射線計測装置、放射線計測方法≫
本発明の第6実施形態に係る放射線計測装置の構成と機能を、適宜、図15を参照して説明する。第6実施形態は、α線検出器の移動方法に関するものである。なお、以下の説明は、主として「放射線計測装置」として説明するが、「放射線計測方法」の説明を兼ねる。
図15は、本発明の第6実施形態に係る放射線計測装置600の構成の一例を示す図である。
図15において、放射線計測装置600は、α線検出器101、信号処理装置102、距離計103、距離算出装置104、α線エネルギー算出装置105、移動機構(移動手段)145、移動機構制御装置(移動機構制御手段)146、表示装置147を備えて構成される。
また、図15において、第6実施形態の放射線計測装置600におけるα線検出器101、信号処理装置102、距離計103、距離算出装置104、α線エネルギー算出装置105は、図1に示した第1実施形態の放射線計測装置100におけるα線検出器101、信号処理装置102、距離計103、距離算出装置104、α線エネルギー算出装置105と、概ね同一の機能、構成であるので重複する説明は省略する。
図15において、移動機構145は、α線検出器101と距離計103を搭載して、それらを移動する。移動機構制御装置146は、移動機構145を制御する。
また、表示装置147は、α線エネルギー算出装置105のα線エネルギーに関する情報と、移動機構145の制御情報とを表示する。
なお、前記した移動機構145としては、遠隔操作型ロボットやテレスコピック方式などがある。
また、前記した移動機構制御装置146では、α線検出器101によるα線測定において、移動機構145が適切に動作するように制御するものである。
また、前記した表示装置147では、移動機構145や移動機構制御装置146が正常に動作しているかコンディションを監視するための情報を表示するものである。
この移動機構145と移動機構制御装置146により、測定者が立ち入れない遠隔地や狭隘部においてもα線計測が実施できる。
<第6実施形態の効果>
第6実施形態で説明した放射線計測装置、及び放射線計測方法を用いることで、測定者が立ち入れない遠隔地や狭隘部においてもα線計測が可能となる。
≪その他の実施形態≫
なお、本発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものでなく、さらに様々な変形例が含まれる。例えば、前記の実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために、詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成の一部で置き換えることが可能であり、さらに、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成の一部または全部を追加・削除・置換をすることも可能である。
以下に、その他の実施形態や変形例について、さらに説明する。
《距離計、距離算出装置》
図1に示した第1実施形態において、距離計103と距離算出装置104とによって、α線検出器101と測定対象物108との距離(α線検出距離)を計測、算出することを説明した。
ただし、距離計103と距離算出装置104とを別々の装置として配置することに限定されない。
距離計103と距離算出装置104を一体化した装置であってもよい。
《固体物質観察装置》
図8に示した第2実施形態の放射線計測装置200において、固体物質126の組成や形状(寸法)や位置などの情報を把握するために、固体物質観察装置151を備えた構成例を示した。
しかしながら、固体物質126の組成や形状(寸法)や位置情報が既知であり明確であるならば、固体物質観察装置151を削除することは可能である。
その場合には、既知の固体物質126の組成(材質)や形状(厚み寸法)の情報をα線エネルギー損失値算出装置128に直接、入力する。
《固体物質》
図8に示した第2実施形態の放射線計測装置200において、α線検出器の保護などの役割を有する固体物質126は、ガス状以外の固体物質であることを説明した。
しかし、固体と液体の境界は不明確であり、固体が物理的に結晶構造を有するものであって、非結晶構造(アモォルファス)の例えばガラスが液体に分類されることもあることを考慮すれば、固体物質126は、結晶構造を有する固体に限定されない。
例えば、前記した非結晶構造のガラスやプラスチック(結晶性、非結晶性)を用いてもよい。また、形状が確保される構造、例えば容器を用いれば、液体や粉末状の固体や混合物を固体物質126として、用いることも可能である。
《α線検出器、信号処理装置の台数》
図13、図14に示した第5実施形態の放射線計測装置500において、α線検出器101と信号処理装置は、それぞれ3台の場合で説明したが、3台に限定されない。2台でも4台以上の複数台であってもよい。
また、3台のα線検出器101は、2次元状に配置すると説明したが、測定対象物108の形状や放射源の状況によっては、複数のα線検出器101を3次元状に配置してもよい。
《評価関数》
第1実施形態の説明において、図5、図6を参照して、複数のピーク波高値(1119,1122,1123)を評価関数(1120,1120a,1120b,1120c)となる特性線上に記録する方法について説明した。そして、評価関数として、2次以上の多項式、もしくは指数関数を用いることを説明した。
しかし、評価関数は前記の関数に限定されない。多項式と指数関数を含む組み合わせでも良いし、また、他の関数を用いる方法もある。
《放射線》
第1実施形態~第6実施形態においては、α線検出器101を用いることによって、α線を検出することに主眼をおいて説明した。しかし、α線の検出に限定されない。例えば、α線検出器101の代わりに、β線(ベータ線)や中性子線の検出器を備えることによって、第1実施形態~第6実施形態で説明した放射線計測装置を前記の他の放射線計測に応用することも可能である。
《第1実施形態~第6実施形態の組み合わせ》
第1実施形態~第6実施形態においては、各種の機能を有する構成要素と、それを組み合わせた構成を有する放射線計測装置、及び放射線計測方法について説明した。しかし、第1実施形態~第6実施形態に限定されない。第1実施形態~第6実施形態がそれぞれ有する構成要素と構成を組み合わせることも可能である。
例えば、第2実施形態で説明した図8における固体物質126と固体物質観察装置151を、第3実施形態で説明した図9における光学カメラ130を併せて用いる方法もある。この組み合わせにより、第2実施形態とて第3実施形態の特徴が併せて出現する。
また、図8における固体物質観察装置151を図9に示した光学カメラとしての機能に兼用する方法もある。
また、第2実施形態で説明した図8における固体物質126を用いる方法を、第4実施形態に組み込み、図10で説明したα線マッピング装置133によるマッピング画像を表示する方法に、α線検出器101の保護の機能を含めることも可能である。
また、図10の第4実施形態で説明したα線マッピング装置133によるマッピング画像を作成する方法と、図14で示した第5実施形態で説明した複数台のα線検出器101を備える方法とを組み合わせる方法もある。
この組み合わせによる方法によれば、短時間でマップ画像が得られるという効果がある。
100、200、300、400、500、600 放射線計測装置
101 α線検出器(α線検出部)、α線検出手段
102、135 信号処理装置、信号処理手段
103 距離計、距離計測手段
104 距離算出装置、距離算出手段
105、136、143 α線エネルギー算出装置、α線エネルギー算出手段
106、131、134、147 表示装置、表示手段
107 α線
108 測定対象物
113 アナログ-デジタル変換器(A/D変換器)
114 コンパレータ
115 波高値スペクトル演算器
126 固体物質(物質、ガス状以外の物質)
127 α線エネルギー損失値データベース
128 α線エネルギー損失値算出装置、α線エネルギー損失値算出手段
129 補正対応α線エネルギー算出装置(α線エネルギー算出装置)、補正対応α線エネルギー算出手段
130 光学カメラ
132 位置センサ
133 α線マッピング装置、α線マッピング手段
138 配管(測定対象物)
141 α線検出部(α線検出器)
142 α線検出部対応信号処理装置(信号処理装置)
144 α線検出部対応距離算出装置(距離算出装置)
145 移動機構、移動手段
146 移動機構制御装置、移動機構制御手段
151 固体物質観察装置

Claims (15)

  1. 測定対象物に付随したα線放出核種由来のα線を検知する放射線計測装置であって、
    前記測定対象物の放射するα線を検知するα線検出器を有するα線検出部と、
    前記α線検出部の出力信号を処理してα線起因の波高値スペクトルとピーク波高値を算出する信号処理装置と、
    前記α線検出器と前記測定対象物との距離を検知する距離計と、
    前記距離計の出力信号を処理して前記α線検出器と前記測定対象物との間のα線検出距離を算出する距離算出装置と、
    前記信号処理装置で得られた前記波高値スペクトルと前記距離算出装置のα線検出距離とを基にα線エネルギーを算出するα線エネルギー算出装置と、
    前記信号処理装置と前記距離算出装置と前記α線エネルギー算出装置の出力を表示する表示装置と、
    を備え、
    前記α線エネルギー算出装置は、
    前記α線検出距離に対する前記波高値スペクトルの前記ピーク波高値を複数取得し、
    前記ピーク波高値の推移を評価関数で近似し、
    前記評価関数から前記α線検出器と前記測定対象物との距離が0mmにおけるピーク波高値を算出し、
    事前に取得したピーク波高値-α線エネルギー変換係数を用いて、前記0mmにおけるピーク波高値をα線エネルギーに換算して出力する、
    ことを特徴とする放射線計測装置。
  2. 請求項1において、
    前記α線エネルギー算出装置における前記評価関数として、2次以上の多項式もしくは指数関数を使用する、
    ことを特徴とする放射線計測装置。
  3. 請求項1において、
    事前に解析された固体物質の材質と厚さによるα線エネルギー損失値を保管するα線エネルギー損失値データベースと、
    前記α線検出器と前記測定対象物との間に存在する固体物質の材質と厚さを入力値として、前記α線エネルギー損失値データベースを用いてα線エネルギー損失値を算出するα線エネルギー損失値算出装置と、
    前記0mmにおけるピーク波高値と前記ピーク波高値-α線エネルギー変換係数と前記α線エネルギー損失値からα線エネルギーを算出する補正対応α線エネルギー算出装置と、
    を備え、
    前記α線検出器と前記測定対象物との間に存在する固体物質によるα線エネルギー損失値と前記0mmにおけるピーク波高値から得られたα線エネルギーの値を加算することで、測定したα線エネルギーの値を補正する、
    ことを特徴とする放射線計測装置。
  4. 請求項3において、
    前記α線検出器と前記測定対象物との間に存在する固体物質を観察する固体物質観察装置を備え、
    前記α線エネルギー損失値算出装置は、前記固体物質観察装置で得られた固体物質の材質と厚さを入力値として、入力する、
    ことを特徴とする放射線計測装置。
  5. 請求項1において、
    前記α線検出器の近傍に設置されて測定対象物を映す光学カメラを備え、
    前記表示装置は、前記光学カメラの画像を表示する、
    ことを特徴とする放射線計測装置。
  6. 請求項1において、
    前記α線検出器の位置を2次元のマップとして算出する位置センサと、
    前記位置センサが算出した2次元のマップとしての位置算出結果と前記α線エネルギー算出装置における出力とを組み合わせて測定位置におけるα線測定結果を算出するα線マッピング装置と、
    前記α線検出器の近傍に設置されて前記測定対象物を映す光学カメラと、
    を備え、
    前記α線マッピング装置から出力される複数の位置におけるα線測定結果をマップとして前記表示装置に表示する、
    ことを特徴とする放射線計測装置。
  7. 請求項1において、
    前記α線検出部は、前記測定対象物に対して異なる複数の距離に段違いに設置された複数の前記α線検出器を有して構成され、
    複数台からなる前記信号処理装置は、複数の前記α線検出器の出力信号にそれぞれ対応して信号処理をし、
    前記距離計は、前記α線検出部に備えられた複数の前記α線検出器のうち、1台の前記α線検出器と前記測定対象物との距離を検知し、
    前記距離算出装置は、前記距離計の出力信号を処理して、前記α線検出部のそれぞれの前記α線検出器と前記測定対象物との距離を算出し、
    一つの前記測定対象物に対して、前記α線検出部が2次元的に測定を実施する、
    ことを特徴とする放射線計測装置。
  8. 請求項1において、
    前記α線検出器と前記距離計を搭載してそれぞれを移動する移動機構と、
    前記移動機構を制御する移動機構制御装置と、
    を備え、
    前記表示装置は、前記移動機構の制御情報を表示する、
    ことを特徴とする放射線計測装置。
  9. 測定対象物に付随したα線放出核種由来のα線を検知する放射線計測方法であって、
    前記測定対象物の放射するα線を検知するα線検出手段を有するα線検出部と、
    前記α線検出部の出力信号を処理してα線起因の波高値スペクトルとピーク波高値を算出する信号処理手段と、
    前記α線検出手段と前記測定対象物との距離を検知する距離計測手段と、
    前記距離計測手段の出力信号を処理して前記α線検出手段と前記測定対象物との間のα線検出距離を算出する距離算出手段と、
    前記信号処理手段で得られた前記波高値スペクトルと前記距離算出手段のα線検出距離とを基にα線エネルギーを算出するα線エネルギー算出手段と、
    前記信号処理手段と前記距離算出手段と前記α線エネルギー算出手段の出力を表示する表示手段と、
    を備え、
    前記α線エネルギー算出手段は、
    前記α線検出距離に対する前記波高値スペクトルの前記ピーク波高値を複数取得し、
    前記ピーク波高値の推移を評価関数で近似し、
    前記評価関数から前記α線検出手段と前記測定対象物との距離が0mmにおけるピーク波高値を算出し、
    事前に取得したピーク波高値-α線エネルギー変換係数を用いて、前記0mmにおけるピーク波高値をα線エネルギーに換算して出力する、
    ことを特徴とする放射線計測方法。
  10. 請求項9において、
    前記α線エネルギー算出手段における前記評価関数として、2次以上の多項式もしくは指数関数を使用する、
    ことを特徴とする放射線計測方法。
  11. 請求項9において、
    事前に解析された固体物質の材質と厚さによるα線エネルギー損失値を保管するα線エネルギー損失値データベースと、
    前記α線検出手段と前記測定対象物との間に存在する固体物質の材質と厚さを入力値として、前記α線エネルギー損失値データベースを用いてα線エネルギー損失値を算出するα線エネルギー損失値算出手段と、
    前記0mmにおけるピーク波高値と前記ピーク波高値-α線エネルギー変換係数と前記α線エネルギー損失値からα線エネルギーを算出する補正対応α線エネルギー算出手段と、
    を備え、
    前記α線検出手段と前記測定対象物との間に存在する固体物質によるα線エネルギー損失値と前記0mmにおけるピーク波高値から得られたα線エネルギーの値を加算することで、測定したα線エネルギーの値を補正する、
    ことを特徴とする放射線計測方法。
  12. 請求項9において、
    前記α線検出手段の近傍に設置されて測定対象物を映す光学カメラを備え、
    前記表示手段は、前記光学カメラの画像を表示する、
    ことを特徴とする放射線計測方法。
  13. 請求項9において、
    前記α線検出手段の位置を2次元のマップとして算出する位置センサと、
    前記位置センサが算出した2次元のマップとしての位置算出結果と前記α線エネルギー算出手段における出力とを組み合わせて測定位置におけるα線測定結果を算出するα線マッピング手段と、
    前記α線検出手段の近傍に設置されて前記測定対象物を映す光学カメラと、
    を備え、
    前記α線マッピング手段から出力される複数の位置におけるα線測定結果をマップとして前記表示手段に表示する、
    ことを特徴とする放射線計測方法。
  14. 請求項9において、
    前記α線検出部は、前記測定対象物に対して異なる複数の距離に段違いに設置された複数の前記α線検出手段を有して構成され、
    複数台からなる前記信号処理手段は、複数の前記α線検出手段の出力にそれぞれ対応して信号処理をし、
    前記距離計測手段は、前記α線検出部に備えられた複数の前記α線検出手段のうち、1台の前記α線検出手段と前記測定対象物との距離を検知し、
    前記距離算出手段は、前記距離計測手段の出力信号を処理して、前記α線検出部のそれぞれの前記α線検出手段と前記測定対象物との距離を算出し、
    一つの前記測定対象物に対して、前記α線検出部が2次元的に測定を実施する、
    ことを特徴とする放射線計測方法。
  15. 請求項9において、
    前記α線検出手段と前記距離計測手段を搭載してそれぞれを移動する移動手段と、
    前記移動手段を制御する移動機構制御手段と、
    を備え、
    前記表示手段は、前記移動手段の制御情報を表示する、
    ことを特徴とする放射線計測方法。
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