JP7169906B2 - 放射線計測装置、放射線計測システムおよび放射線計測方法 - Google Patents

放射線計測装置、放射線計測システムおよび放射線計測方法 Download PDF

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Description

本発明は、放射線計測装置、放射線計測システムおよび放射線計測方法に関する。
自然界には多くのα放出核種が存在する。トリウム系列(Th-232)にはTh-228、Ra-224、Rn-220、Po-216、Bi-212、Po-212のような放射性核種が存在する。また、ウラン系列(U-238)にはRa-226、Rn-222、Po-218、Po-214、Po-210のような放射性核種が存在する。さらには、過去に実行された核実験等によるフォールアウトの影響で、自然界にはごく僅かにプルトニウム(Pu-239、Pu-240、Pu-242等)やアメリシウム(Am-241、Am-243等)が存在する。α線計測技術は、ウラン鉱床探査や温泉探査、地震予知、断層解析等に適用され、また、原子力発電プラント、放射性廃棄物処理施設、加速器施設等の放射線管理区域における排気モニタ、排水モニタ、ダストモニタ、サーベイメータ等に適用されている。
これらのフィールドや施設においては、α線検出器を用いてα線量を測定し、各種評価や監視を行っている。これらのフィールドや施設でα線を計測する場合、環境中や測定対象物に付随する放射性核種が放出するβ線やγ線も検出してしまう可能性がある。β線やγ線によるバックグラウンド影響を低減するには、放射線エネルギーを測定し、測定データからα線エネルギーによる信号を抽出するとよい。α線エネルギーを測定することでα線放出核種を把握するためには、一般的に真空チェンバや真空ポンプが使用されている。これにより、α線と空気との相互作用によるエネルギーロスを低減し、放射線検出器でα線エネルギーを測定している。しかし、一般的に各種フィールドや施設においては、測定する毎に真空チェンバや真空ポンプを持ち運ぶことは実用上困難であることが多い。このため、β線やγ線によるバックグラウンド影響を低減して、より高精度なα線測定を実現し、高度な分析や監視を実現するには、大気環境であってもβ線やγ線による信号を弁別可能な放射線計測装置およびその方法が望まれている。
例えば、下記特許文献1の要約書には、「α線測定装置100は、測定試料2と半導体検出器1の荷電粒子入射面との間の距離を調節可能な昇降機5、位置センサ5a、制御ユニット13、α線放出核種分析装置40を備える。α線放出核種分析装置は、最高エネルギ値のα線を放出する核種を特定し、その核種と最高エネルギ値と測定チェンバ7内の真空度モニタ9で測定したN2ガス圧とに基づいて前記距離の測定条件距離値dを決定し、制御ユニットにおいて昇降機を制御して距離を調節させることを特徴とする。」と記載されている。また、下記特許文献2の要約書には、「放射線検出器として小型軽量であり非常に強い放射線環境下でも安定した動作が可能な半導体検出器101を使用し、信号処理回路104を用いることで前置増幅器102の信号の立ち上がり時間と波高値を同時に収集することができる。解析回路105にて、半導体検出器101からの信号の立ち上がり時間と波高値とにより設定される弁別領域を用いてγ線と中性子とを弁別する。表示装置106で解析結果を表示することで解析結果における使用者の理解を容易にすることが可能となる。」と記載されている。
特開2007-298285号公報 特開2018-17613号公報
ところで、特許文献1の技術によれば、真空チェンバに該当する測定チェンバや真空ポンプを備える真空排気装置が必要であり、ガス置換装置を必要とする。このため、装置が複雑化、大型化し高価になるという問題がある。また、特許文献2の技術によれば、γ線と中性子とを弁別することは可能であるが、α線と、バックグラウンドであるβ線やγ線とを弁別する点については記載されていない。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成でα線を検知できる放射線計測装置、放射線計測システムおよび放射線計測方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の放射線計測装置は、放射線を検知するとともにα線の入射時間に応じてα線の検知感度が変化する放射線センサと、前記放射線センサからの出力信号の経時的な変化に基づいて前記放射線に含まれるα線を検知するα線検知部と、前記放射線センサに電圧を供給する電圧源と、を備え、前記α線検知部は、前記出力信号の発生タイミングおよび計数値を解析する信号処理装置と、前記発生タイミングおよび前記計数値を記憶する信号メモリと、前記計数値の時定数である計測時定数を求める時定数解析装置と、前記計測時定数が所定の下限値から所定の上限値までの範囲であるときにα線を検知したものと判定するα線検知判定装置と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、簡易な構成でα線を検知できる。
本発明の第1実施形態による放射線計測装置のブロック図である。 電圧源が出力する測定用電圧の波形図の一例である。 オン期間において放射線センサから出力されるパルス電圧の波形図の例である。 放射線がα線であった場合における計数値の時刻変化の一例を示す図である。 放射線がγ線であった場合における計数値の時刻変化の一例を示す図である。 第1実施形態において実行される線種弁別処理のフローチャートである。 第2実施形態による放射線計測装置のブロック図である。 α線およびBG放射線が混在する放射線に対する計数値の時刻変化の一例を示す図である。 第2実施形態において実行される線種弁別処理のフローチャートである。 第3実施形態による放射線計測装置のブロック図である。 α線およびバックグラウンド放射線が混在する放射線に対する計数値の時刻変化の一例を示す図である。 第3実施形態において実行される線種弁別処理のフローチャートである。 第4実施形態による放射線計測装置のブロック図である。 両極性対応電圧源が出力する測定用電圧の波形図の一例である。 第4実施形態において放射線センサから出力されるパルス電圧の波形図の例である。 第5実施形態による放射線計測装置のブロック図である。 交流電圧源が出力する測定用電圧の波形図の一例である。 第5実施形態において放射線センサから出力されるパルス電圧の波形図の例である。 第6実施形態による放射線計測装置のブロック図である。 α線検知領域の具体例を示す図である。 第7実施形態による放射線計測システムのブロック図である。 第8実施形態による放射線計測システムのブロック図である。
[第1実施形態]
〈第1実施形態の構成〉
(全体構成)
図1は、本発明の第1実施形態による放射線計測装置100のブロック図である。図示のように、放射線計測装置100は、放射線センサ101と、電圧源102と、印加電圧制御装置121と、α線検知部171と、を備えている。そして、α線検知部171は、信号処理装置103と、信号メモリ104と、時定数解析装置105と、時定数データベース106と、α線検知判定装置107と、を備えている。
電圧源102は、放射線センサ101に対して測定用電圧Vb(電圧)を印加する。印加電圧制御装置121は、電圧源102に対して測定用電圧Vbの指令値を出力する。放射線センサ101は、測定用電圧Vbが印加されると、測定対象物108に付着した放射性核種109から放出される放射線110を検知し、検知に伴う電気パルスを発生させる。なお放射線110の線種は、α線、β線、γ線等の電離放射線である。ここで、放射線センサ101は、測定用電圧Vbが印加された後にα線が入射すると、α線の入射時間が長くなるほど、検知感度が低くなる特徴を有している。α線検知判定装置107は、電気パルスの経時的な変化に基づいて放射線110に含まれるα線を検知する。
α線検知部171における信号処理装置103は、電気パルスの発生タイミングを検知し、所定時間(例えば10ミリ秒)毎の計数値をカウントする。信号メモリ104は、電気パルスの発生タイミングと計数値とを記憶する。上述のように、放射線センサ101は、α線の入射時間が長くなるほど、検知感度が低くなる。すなわち、計数値が指数関数状に減少する。時定数解析装置105は、この指数関数における時定数(以下、計測時定数τと呼ぶ)を解析する。
時定数データベース106は、n種類の放射性核種について時定数(以下、既知時定数τs1~τsnと呼ぶ)を記憶している。さらに、時定数データベース106は、事前に取得した試験データや解析結果、試験データと解析結果を組合せて得られた評価値等も記憶している。α線検知判定装置107は、時定数解析装置105によって得られた計測時定数τと、時定数データベース106に記憶されている既知時定数τs1~τsnとを比較することによって、放射性核種109の組成を推定する。
(放射線センサ101の詳細)
放射線センサ101に適用される検知方式としては、例えば半導体方式やガス方式が考えられる。本実施形態においては、半導体方式の放射線センサ101が適用される。半導体方式を採用する場合には、放射線センサ101を構成する半導体素子として、シリコン、シリコンカーバイド、ダイヤモンド、CdTe、CdZnTe、GaN等の材料を適用することができる。放射線センサ101は、適用する半導体素子に対して電極を設け、電圧源102によって測定用電圧を印加すると、半導体素子に空乏層が発生する。空乏層に放射線110が入射して相互作用が起こると、相互作用エネルギーに比例した数の正孔-電子対が生成される。正孔-電子対が空乏層の中に生成されると、印加されている測定用電圧によって正孔と電子とが逆方向に移動し、これによって電荷が誘起されて放射線センサ101から電気パルスが出力される。
相互作用を起こす放射線110は、α線、β線、γ線の何れかである。但し、本実施形態において、放射線センサ101は、β線およびγ線を透過するように薄い層で形成されている。一方、α線の飛程は非常に短いため、相互作用を起こす放射線は、ほとんどがα線になる。放射線センサ101から出力される電気パルスは、1回のα線の入射に対して、1回のピークが現れる、略三角形状のパルス信号である。
放射線センサ101に適用される半導体素子は、通常の放射線計測用の半導体素子よりも不純物または欠陥を多く含有させ、不純物または欠陥において分極が生じるように構成する。すると、上述したように半導体素子内に空乏層を形成し、相互作用によって正孔-電子対が発生すると、正孔および電子が半導体素子内の分極箇所に捕捉され、その周囲の電界に歪みが生じる。半導体素子内の電界に歪みが生じると、正孔や電子が流通しにくくなる。これにより、時間の経過とともに、放射線センサ101の感度が下がる。但し、放射線センサ101に印加する測定用電圧Vbを零にし、または極性を切り替えると、分極箇所に捕捉されていた正孔および電子が解放されるため、元々の感度が復活する。
(電圧源102および印加電圧制御装置121)
図2は、電圧源102が出力する測定用電圧Vbの波形図の一例である。図示の例において、測定用電圧Vbのデューティ比は一定であり、測定用電圧Vbは、オン期間Tonと、オフ期間Toffとを交互に繰り返す。測定用電圧Vbは矩形波状に変化する電圧である。時刻t10,t30,t50等がオンタイミングであり、ここで測定用電圧Vbは所定レベルVb1(所定状態)に立ち上がる。また、時刻t20,t40等がオフタイミングであり、ここで測定用電圧Vbは「0」に立ち下がる。印加電圧制御装置121(図1参照)は、このような測定用電圧Vbの指令値を電圧源102に出力する。ここで、オン期間Tonが、放射線センサ101における測定期間になる。
(電気パルスの波形)
図3は、オン期間Tonにおいて放射線センサ101から出力されるパルス電圧Vpの波形図の例である。図3において縦軸はパルス電圧Vpの電圧瞬時値であり、横軸は時刻である。
パルス電圧Vpは、直流レベルであるベース電圧Vp0に電気パルス群111が重畳した波形を有している。図1において放射線センサ101に放射線110が入射し相互作用を起こすと、ベース電圧Vp0に電気パルス群111が重畳する。
図3において、電気パルス群111は、複数の略三角形状の電気パルス115a,115b,115c,115d,115e(以下、これらを総称して「電気パルス115(出力信号)」と称することがある)を含んでいる。また、これら電気パルスは、ベース電圧Vp0を基準として、各々波高値113a,113b,113c,113d,113e(以下、これらを総称して「波高値113」と称することがある)を有している。
各電気パルス115の発生タイミング112a,112b,112c,112d,112e(以下、これらを総称して「発生タイミング112」と称することがある)は、放射線センサ101(図1参照)に放射線110が入射して放射線110が検知され始めるタイミングである。放射性核種109が放射線110を放出するタイミングはランダムであるため、各電気パルス115の発生タイミング112もランダムになる。
上述したように、放射線センサ101に生じたパルス電圧Vpは、信号処理装置103に供給される。信号処理装置103は、各々の電気パルス115の発生タイミングを検知し、所定時間(例えば10ミリ秒)毎の計数値をカウントする。信号処理装置103における電気パルス115の検知方法としては、例えばパルス電圧Vpと所定の閾値とを比較し、パルス電圧Vpが閾値を超えた場合に電気パルス115が発生したと判断することが考えられる。また、コンスタント・フラクション・ディスクリミネータを適用して電気パルス115を検知してもよい。このように、信号処理装置103における電気パルス115の検知方法には、様々なものが考えられ、何れの検知方法を適用してもよい。
(α線照射時の計数値の時刻変化)
図4は、放射線110がα線であった場合における計数値の時刻変化の一例を示す図である。
図4に示した計数値の時刻変化は、信号処理装置103によって検知され信号メモリ104に記憶されたものである。図示の例は、Am-241由来α線照射によって得られた実験結果であり、横軸を時刻、縦軸を単位時間あたりの計数値としている。また、この例において、計数値は、信号処理装置103で10ミリ秒毎にカウントされた値であり、測定用電圧Vb(図2参照)の周期は60秒である。図4における0秒~10秒の期間は、図2に示したオフ期間Toffであり、この期間内の計数値は0である。そして、10秒~60秒の期間はオン期間Tonである。このオン期間Tonにおいて、計数値は指数関数状に減少していることが解る。
上述したように、放射線センサ101は、不純物または欠陥を通常よりも多く含有するものであり、α線照射によって放射線センサ101に分極が多発する。すると、相互作用によって生じた正孔および電子が分極箇所に捕捉され、その周囲の電界に歪みが生じる。電界に歪みが生じると、正孔や電子が流通しにくくなるため、放射線センサ101の感度が下がる。この感度の低下は、「ある時定数でその計数値が低下する」という形で現れる。そこで、時定数解析装置105において評価関数を求めることによって、計数値が低下する際の時定数を算出できる。この評価関数は、計数値の変化に対して、一または複数の指数関数を、フィッティングすることで求めることができる。フィッティングの手法は、最小二乗法などのの一般的な手法を用いるとよい。
1つの指数関数をフィッティングする場合における計数値の評価関数Ctは、例えば「Ct=A・exp(-τ・t)」のように表現することができる。なお、expは、e(ネイピア数)のべき乗である。Aは定数であり、τは時定数であり、tはオンタイミングからの経過時間である。また、複数の指数関数をフィッティングする場合における計数値の評価関数Ctは、例えば、「Ct=A1・exp(-τ1・t)++A2・exp(-τ2・t)+A3・exp(-τ3・t)+…」のように表現することができる。A1,A2,A3等は定数であり、τ1,τ2,τ3等は時定数である。
(γ線照射時の計数値の時刻変化)
図5は、放射線110がγ線であった場合における計数値の時刻変化の一例を示す図である。
図示のデータは、Co-60由来のγ線照射によって得られた実験結果である。ここでは横軸を時刻、縦軸を単位時間あたりの計数値としてγ線照射時の計数値を示した。これらのデータも図4と同様に、信号処理装置103で処理された検知時間と計数値から構成され、信号メモリ104で記録されたものである。上述のように、α線の飛程は非常に短いため、α線を検知する放射線センサ101は一般的に薄い層で形成される。そのため、β線およびγ線は放射線センサ101を透過しやすい構造となる。この構造の影響によって、α線照射と比較してβ線およびγ線照射時には放射線センサ101の半導体内部の電界の変化が小さくなる。なお、γ線を照射した場合においても、ある時定数で計数値は低下するが、α線(図4参照)の場合と比較して、時定数が非常に小さくなる。
〈第1実施形態の動作〉
図6は、本実施形態において実行される線種弁別処理のフローチャートである。
まず、ステップS1001においては、作業者によって、測定ポイントに放射線センサ101が配置される。次に、ステップS1002においては、作業者が所定の操作を行うと、印加電圧制御装置121の制御の下、電圧源102によって放射線センサ101に測定用電圧Vb(図2参照)が印加される。次に、ステップS1003においては、信号処理装置103は、電気パルス115(図3参照)の発生タイミング112を検知し、所定時間毎の計数値をカウントする。次に、処理がステップS1004に進むと、信号メモリ104は、電気パルス115の発生タイミング112と、所定時間毎の計数値と、を記憶する。
次に、処理がステップS1005に進むと、α線検知判定装置107は、測定が完了したか否かを判定する。例えば、測定を開始した後、所定の測定期間(例えば30分)が経過した際に測定が完了させるとよい。測定が完了していない場合は、処理はステップS1003に戻り、信号処理装置103は、電気パルス115(図3参照)の発生タイミング112の検知と計数値のカウントとを実行する。
一方、測定が完了した場合、処理はステップS1006に進み、時定数解析装置105は、測定用電圧Vbを印加した直後の計測時定数τを算出する。ここでは、一例として、計数値の時刻変化(図4)に対して、1つの指数関数をフィッティングするとよい。但し、計数値の変化状態によっては、複数の指数関数をフィッティングしてもよい。
次に、処理がステップS1007に進むと、α線検知判定装置107は、先に時定数解析装置105によって取得した計測時定数τと、時定数データベース106に記憶されている各種放射性核種の既知時定数τs1~τsnとを比較し、比較結果に基づいて放射性核種を推定する。さらに、時定数データベース106は、α線を有意に検知した場合の計測時定数τの下限値aと、上限値bとを記憶している。下限値aおよび上限値bは、事前に取得した試験データや解析結果、試験データと解析結果を組合せて得られた評価値等に基づいて得られたものである。次に、処理がステップS1008に進むと、α線検知判定装置107は、計測時定数τが「a<τ<b」の範囲内であるか否かを判定する。
ステップS1008において「Yes」と判定されると、処理はステップS1009に進み、α線検知判定装置107は、α線を検知した旨、および推定される放射性核種をディスプレイ等に出力する。一方、ステップS1008において「No」と判定されると、処理はステップS1010に進み、α線検知判定装置107は、α線以外の他線種を検知した旨をディスプレイ等に出力する。以上により、本ルーチンの処理が終了する。
〈第1実施形態の効果〉
以上のように本実施形態の放射線計測装置(100)は、放射線(110)を検知するとともにα線の入射時間に応じてα線の検知感度が変化する放射線センサ(101)と、放射線センサ(101)からの出力信号(115)の経時的な変化に基づいて放射線(110)に含まれるα線を検知するα線検知部(171)と、を備える。
これにより、α線とバックグラウンドであるβ線やγ線を弁別することができ、高精度なα線測定を簡易な構成で実現することができる。さらに、その測定結果に基づく高度な分析や監視を実現することができる。
また、放射線計測装置(100)は、放射線センサ(101)に電圧(Vb)を供給する電圧源(102)をさらに有し、α線検知部(171)は、出力信号(115)の発生タイミング(112)および計数値を解析する信号処理装置(103)と、発生タイミング(112)および計数値を記憶する信号メモリ(104)と、計数値の時定数である計測時定数(τ)を求める時定数解析装置(105)と、計測時定数(τ)が所定の下限値(a)から所定の上限値(b)までの範囲であるときにα線を検知したものと判定するα線検知判定装置(107)と、を備える。
このように、計数値の計測時定数(τ)と、下限値(a)および上限値(b)との比較によって、α線を検知したか否かを簡単に判定することができる。
また、α線検知部(171)は、複数の放射性核種の各々についての時定数である既知時定数(τs1~τsn)を記憶する時定数データベース(106)をさらに備え、α線検知判定装置(107)は、計測時定数(τ)と既知時定数(τs1~τsn)との比較結果に基づいて、放射性核種(109)を推定する。
これにより、放射性核種(109)の種類を簡易に推定できる。
また、放射線計測装置(100)は、電圧(Vb)が断続的に所定状態(Vb1)になるように電圧源(102)を制御する印加電圧制御装置(121)をさらに備え、時定数解析装置(105)は、電圧源(102)が所定状態(Vb1)になった期間内の出力信号(115)に基づいて、計測時定数(τ)を求める。
これにより、電圧(Vb)が所定状態(Vb1)になる状態を断続的に作り出すことができ、計測時定数(τ)を繰り返し測定でき、測定結果の信頼性を向上させることができる。
[第2実施形態]
〈第2実施形態の構成〉
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上述した他の実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
図7は、第2実施形態による放射線計測装置200のブロック図である。放射線計測装置200は、放射線センサ101と、電圧源102と、印加電圧制御装置121と、α線検知部172と、を備えている。
そして、α線検知部172は、信号処理装置103と、信号メモリ104と、時定数解析装置105と、時定数データベース106と、計数値差分処理装置122と、α線検知判定装置123と、を備えている。本実施形態は、放射線110にα線とそれ以外のバックグラウンド放射線(以下、BG放射線と呼ぶ)とが混在する場合に、BG放射線の影響を考慮してα線を検知しようとするものである。α線検知部172に含まれる計数値差分処理装置122およびα線検知判定装置123は、BG放射線の影響を把握するものであるが、その詳細については後述する。
図8は、α線およびBG放射線が混在する放射線110に対する計数値の時刻変化の一例を示す図である。
図示の計数値は、Am-241由来のα線と、Co-60由来のγ線とが混在する放射線110が放射線センサ101に照射された際に、信号処理装置103において得られたものである。計数値差分処理装置122(図7参照)は、図8における時間範囲に、関心領域127a(第1の関心領域)および関心領域127b(第2の関心領域)を設定する。ここで、関心領域127aは、α線による計数値が主となる領域であり、関心領域127bは、BG放射線による計数値が主となる領域である。
ここで、関心領域127a,127bの時間幅は同一である。次に、計数値差分処理装置122は、関心領域127a,127bにおける計数値(10ミリ秒毎の計数値の集計値)を算出する。関心領域127aにおける計数値をNaとし、関心領域127bにおける計数値をNbとする。次に、計数値差分処理装置122は、「N=Na-Nb」によって差分値Nを計算する。α線検知判定装置123は、時定数解析装置105によって得られた計測時定数τと、時定数データベース106に記憶されている既知時定数τs1~τsnと、差分値Nとに基づいて、放射性核種109の組成等を判定する。
〈第2実施形態の動作〉
図9は、本実施形態において実行される線種弁別処理のフローチャートである。
図9においてステップS1101~S1106においては、第1実施形態(図6参照)におけるステップS1001~S1006と同様の処理が実行される。すなわち、ステップS1106において、時定数解析装置105(図7参照)は、測定用電圧Vbを印加した直後の計測時定数τを算出する。
次に、処理がステップS1107に進むと、計数値差分処理装置122は、関心領域127a,127b(図8参照)の計数値Na,Nbに基づいて、差分値N(=Na-Nb)を算出する。次に、処理がステップS1108に進むと、α線検知判定装置123は、時定数解析装置105が算出した計測時定数τと、時定数データベース106に記憶されている各種放射性核種の既知時定数τs1~τsnとを比較する。ここで、α線検知判定装置123は、第1実施形態におけるα線検知判定装置107(図1参照)と同様に、計測時定数τの下限値aと上限値bとを記憶している。さらに、α線検知判定装置123は、差分値Nについてα線を有意に検知できる差分値閾値cを記憶している。この差分値閾値cも、事前に取得した試験データや解析結果、試験データと解析結果を組合せて得られた評価値等に基づいて得られたものである。
次に、処理がステップS1109に進むと、α線検知判定装置123は、計測時定数τが「a<τ<b」の範囲内であるか否かを判定する。ここで「No」と判定されると、処理はステップS1110に進み、α線検知判定装置123は、α線以外の他線種を検知した旨をディスプレイ等に出力する。一方、ステップS1109において「Yes」と判定されると、処理はステップS1111に進む。
ステップS1111においては、差分値Nが差分値閾値cを超えるか否かが判定される。ここで「Yes」と判定されると、処理はステップS1112に進み、α線検知判定装置123は、α線を検知した旨、および予想される放射性核種をディスプレイ等に出力する。一方、ステップS1111において「No」と判定されると、処理はステップS1113に進み、α線検知判定装置123は、「差分値Nが検知下限以下である」旨をディスプレイ等に出力する。以上により、本ルーチンの処理が終了する。
〈第2実施形態の効果〉
以上のように本実施形態によれば、α線検知部(172)は、電圧(Vb)が所定状態(Vb1)になった期間内のうち第1の関心領域(127a)における計数値(Na)と第2の関心領域(127b)における計数値(Nb)との差分値(N)を求める計数値差分処理装置(122)をさらに備え、α線検知判定装置(123)は、差分値(N)と所定の差分値閾値(c)との比較によってα線が検知できたか否かを判定する。
このように、差分値(N)と差分値閾値(c)とを比較することにより、α線が検知できたか否かを一層適切に判定することができ、測定精度を向上することができる。
[第3実施形態]
〈第3実施形態の構成〉
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上述した他の実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
図10は、第3実施形態による放射線計測装置300のブロック図である。放射線計測装置300は、放射線センサ101と、電圧源102と、印加電圧制御装置121と、α線検知部173と、を備えている。そして、α線検知部173は、信号処理装置103と、信号メモリ104と、時定数解析装置105と、時定数データベース106と、BG補正曲線算出装置128(補正曲線算出装置)と、計数値差分処理装置129と、α線検知判定装置130と、を備えている。
図11は、α線およびBG放射線が混在する放射線110に対する計数値の時刻変化の一例を示す図である。なお、図11における計数値の時刻変化自体は、先に図8に示したものと同様である。
BG補正曲線算出装置128(図10参照)は、図11における時間範囲に、BG補正曲線用関心領域134(第1の関心領域)を設定する。ここで、BG補正曲線用関心領域134は、BG放射線による計数値が主となる領域である。
また、BG補正曲線算出装置128は、BG補正曲線用関心領域134における計数値の変化傾向に基づいて、変化傾向を近似した曲線であるBG補正曲線135(補正曲線)を算出する。ここで、BG補正曲線135の導出方法としては、例えばBG補正曲線用関心領域134の複数の計数値を一次関数や二次関数、指数関数等にフィッティングして導出することが考えられる。フィッティング手法は一般的な手法で良く、例えば最小二乗法等を利用することができる。
計数値差分処理装置129(図10参照)は、α線照射による計数値が主となる領域に関心領域136(第2の関心領域)を設定し、関心領域136における計数値Na(10ミリ秒毎の計数値の集計値)を算出する。次に、計数値差分処理装置129は、関心領域136におけるBG補正曲線135による計数値Ngを算出する。次に、計数値差分処理装置129は、「N=Na-Ng」によって差分値Nを計算する。
〈第3実施形態の動作〉
図12は、本実施形態において実行される線種弁別処理のフローチャートである。
図12においてステップS1201~S1206においては、第1実施形態(図6参照)におけるステップS1001~S1006と同様の処理が実行される。すなわち、ステップS1206において、時定数解析装置105(図10参照)は、測定用電圧Vbを印加した直後の計測時定数τを算出する。
次に、処理がステップS1207に進むと、BG補正曲線算出装置128は、BG補正曲線用関心領域134(図11参照)の計数値を利用して、BG補正曲線135を算出する。次に、処理がステップS1208に進むと、計数値差分処理装置129(図10参照)は、関心領域136における差分値Nを算出する。すなわち、関心領域136における計数値Naを算出し、関心領域136におけるBG補正曲線135による計数値Ngを算出し、「N=Na-Ng」によって差分値Nを計算する。
以後、ステップS1209~S1214の処理は、第2実施形態におけるS1108~S1113の処理(図9参照)と同様である。すなわち、計測時定数τが「a<τ<b」の範囲外であれば、α線検知判定装置130は、α線以外の他線種を検知した旨をディスプレイ等に出力する(S1211)。また、計測時定数τが「a<τ<b」の範囲内であって差分値Nが差分値閾値c以下であれば、α線検知判定装置130は、「差分値Nが検知下限以下である」旨をディスプレイ等に出力する。一方、差分値Nが差分値閾値cを超えていると、α線検知判定装置130は、α線を検知した旨、および予想される放射性核種をディスプレイ等に出力する。以上により、本ルーチンの処理が終了する。
〈第3実施形態の効果〉
以上のように本実施形態によれば、α線検知部(173)は、電圧(Vb)が所定状態(Vb1)になった期間内のうち第1の関心領域(134)における計数値に基づいて補正曲線(135)を求める補正曲線算出装置(128)と、電圧(Vb)が所定状態(Vb1)になった期間内のうち第2の関心領域(136)における計数値(Na)と、補正曲線(135)に基づく計数値(Ng)との差分値(N)を求める計数値差分処理装置(129)と、をさらに備え、α線検知判定装置(130)は、差分値(N)と所定の差分値閾値(c)との比較によってα線が検知できたか否かを判定する。
このように、差分値(N)と差分値閾値(c)とを比較することにより、α線が検知できたか否かを一層適切に判定することができ、測定精度を向上することができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上述した他の実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
図13は、第4実施形態による放射線計測装置400のブロック図である。放射線計測装置400は、放射線センサ101と、両極性対応電圧源137(電圧源)と、印加電圧制御装置138と、α線検知部174と、を備えている。また、α線検知部174は、両極性対応信号処理装置139(信号処理装置)と、信号メモリ104と、時定数解析装置105と、時定数データベース106と、α線検知判定装置107と、を備えている。
図14は、印加電圧制御装置138の制御の下、両極性対応電圧源137が放射線センサ101に印加する測定用電圧Vbの波形図の一例である。
図示の例において、測定用電圧Vbのデューティ比は一定であり、測定用電圧Vbが+Vb2になるプラス期間TPと、測定用電圧Vbが-Vb2になるマイナス期間TMとを交互に繰り返す。図示の例では、プラス期間TPおよびマイナス期間TMの長さは同一である。
図13における印加電圧制御装置138は、測定用電圧Vbの指令値を両極性対応電圧源137に供給する。測定用電圧Vbの極性の切替周期や1つの極性の保持時間に関しては特に制限は無いが、極性の切替周期は0.05Hz以下にするとよい。換言すれば、プラス期間TPおよびマイナス期間TMは、共に10秒以上にすると好ましい。
図15は、本実施形態において放射線センサ101から出力されるパルス電圧Vpの波形図の例である。
パルス電圧Vpは、複数の電気パルス143(出力信号)を含んでいる。図14に示したように、測定用電圧Vbの極性が周期的に切り替わることにより、電気パルス143の極性も測定用電圧Vbに応じて切り替わる。すなわち、プラス期間TPにおける電気パルス143の極性はプラスであり、マイナス期間TMにおける電気パルス143の極性はマイナスである。
両極性対応信号処理装置139は、このように極性が切り替わる電気パルス143に対応して各々の電気パルス143の発生タイミングを検知し、所定時間(例えば10ミリ秒)毎の計数値をカウントする。より詳細には、両極性対応信号処理装置139は、印加電圧制御装置138における極性変換のトリガー信号に基づいて、検知する電気パルス143の極性を判定する。
以上のように、本実施形態によれば、電圧源(137)は、放射線センサ(101)に対してプラス極性およびマイナス極性の電圧(Vb)を交互に印加する両極性電圧源であり、信号処理装置(139)は、電圧(Vb)がプラス極性またはマイナス極性である期間内に出力信号(143)の発生タイミングおよび計数値を解析する。
このように、電圧(Vb)の極性を切り替えながらα線計測を実行できるため、α線測定時間を短縮することができる。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上述した他の実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
図16は、第5実施形態による放射線計測装置500のブロック図である。放射線計測装置500は、放射線センサ101と、交流電圧源144(電圧源)と、交流電圧制御装置145と、α線検知部175と、を備えている。また、α線検知部175は、交流電源対応信号処理装置146と、信号メモリ104と、時定数解析装置105と、時定数データベース106と、α線検知判定装置107と、を備えている。
図17は、交流電圧制御装置145の制御の下、交流電圧源144が放射線センサ101に印加する測定用電圧Vbの波形図の一例である。
図示の例において、測定用電圧Vbは振幅値がVb3である正弦波状に変化する。測定用電圧Vbの周波数に関して特に制限はないが、実験結果を考慮すると0.05Hz以下とすることが好ましい。交流電圧源144は、この測定用電圧Vbを放射線センサ101に印加する。
交流電圧制御装置145は、測定用電圧Vbの指令値を交流電圧源144に出力する。
図18は、本実施形態において放射線センサ101から出力されるパルス電圧Vpの波形図の例である。
パルス電圧Vpは、複数の電気パルス149を含んでいる。図17に示したように、測定用電圧Vbのレベルが正弦波状に変化することにより、電気パルス149の極性も測定用電圧Vbの極性に応じて切り替わる。すなわち、プラス期間TPにおける電気パルス149の極性はプラスであり、マイナス期間TMにおける電気パルス149の極性はマイナスである。交流電源対応信号処理装置146は、このように極性が切り替わる電気パルス149に対応して各々の電気パルス149の発生タイミングを検知し、所定時間(例えば10ミリ秒)毎の計数値をカウントする。より詳細には、交流電源対応信号処理装置146は、交流電圧制御装置145における測定用電圧Vbの指令値の極性に基づいて、検知する電気パルス149の極性を判定する。
以上のように、本実施形態によれば、電圧源(144)は、放射線センサ(101)に対して交流電圧である電圧(Vb)を印加する交流電源であるため、第4実施形態と同様に、α線測定時間を短縮することができる。
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上述した他の実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
図19は、第6実施形態による放射線計測装置600のブロック図である。放射線計測装置600は、放射線センサ101と、電圧源102と、印加電圧制御装置121と、α線検知部176と、を備えている。また、α線検知部176は、時定数解析装置105と、時定数データベース106と、信号処理装置151と、信号メモリ152と、α線検知判定装置153と、を備えている。
本実施形態において、放射線センサ101から出力されるパルス電圧Vpの波形は、第1実施形態のもの(図3参照)と同様である。第1実施形態においては、各電気パルス115の波高値113は特に検知していなかったが、本実施形態の信号処理装置151は、ベース電圧Vp0を基準とする波高値113も検知する。図19における信号処理装置151は、電気パルス115を信号処理し、電気パルス115の発生タイミングと、波高値とを求め、所定時間(例えば10ミリ秒)毎の計数値をカウントする。
図19において、信号メモリ152は、信号処理装置151から出力された電気パルス115の発生タイミング、波高値および計数値を記憶する。α線検知判定装置153は、時定数解析装置105が出力した計測時定数τと、波高値とによる2次元分布を算出する。そして、α線検知判定装置153は、2次元分布の状態に基づいて、α線を検知したか否か、および検知した場合には放射性核種109を推定する。例えば、2次元分布が、ある2次元領域に含まれていれば、α線に起因する、と判定することができる。
図20は、2次元領域であるα線検知領域159(α線検知条件)の具体例を示す図である。図示の例では、時定数が大きく、波高値が高い電気パルス115をα線起因の電気パルス115と判定するように、α線検知領域159を設定している。
以上のように、本実施形態におけるα線検知部(176)は、出力信号(115)の発生タイミング(112)、計数値および波高値(113)を解析する信号処理装置(151)と、発生タイミング(112)、計数値および波高値(113)を記憶する信号メモリ(152)と、計数値の時定数である計測時定数(τ)を求める時定数解析装置(105)と、計測時定数(τ)および波高値(113)が所定のα線検知条件(159)を満たす場合にα線を検知したものと判定するα線検知判定装置(153)と、を備える。このように、時定数のみならず波高値の情報も活用することによって、α線測定精度を一層向上させることができる。
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上述した他の実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
図21は、第7実施形態による放射線計測システム700のブロック図である。放射線計測システム700は、第1実施形態による放射線計測装置100(図1参照)を複数備えている。さらに、放射線計測システム700は、統合制御装置160と統合表示装置161とを備えている。
複数の放射線計測装置100はアレイ状やライン状に配置され、測定対象物のα線の放射分布を1次元または2次元のデータとして測定する。統合制御装置160は、複数の放射線計測装置100におけるα線検知を同時に制御するものである。統合表示装置161では複数の放射線計測装置100におけるα線検知結果や制御状況を表示するものであり、複数の放射線計測装置100の配置や位置情報と連動して、α線検知分布を表示する。
以上のように本実施形態によれば、複数の放射線計測装置(100)を制御してα線検知を実行させる統合制御装置(160)と、統合制御装置(160)による制御状態と、複数の放射線計測装置(100)における出力信号(115)に基づいてα線の分布状態を表示する統合表示装置(161)と、を備えるため、測定対象物のα線の放射分布を1次元または2次元のデータとして検知できる。
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上述した他の実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
図22は、第8実施形態による放射線計測システム800のブロック図である。放射線計測システム800は、第1実施形態のもの(図1参照)と同様の放射線計測装置100と、移動機構162と、移動機構制御装置163と、移動機構連動型統合制御装置164(表示装置)と、を備えている。
移動機構162は、放射線センサ101を搭載して、地上、空中、水上、水中等を移動するものであり、遠隔操作型ロボットやテレスコピック方式等を適用するとよい。移動機構制御装置163は、移動機構162の移動経路等を制御する。すなわち、α線測定において移動機構162が適切に動作するように制御する。移動機構連動型統合制御装置164は、移動機構制御装置163と、放射線計測装置100における計測、制御を連動して制御し、測定結果や各種機器の制御状況を表示するものである。
以上のように本実施形態によれば、放射線センサ(101)を搭載する移動機構(162)と、移動機構(162)を制御する移動機構制御装置(163)と、移動機構(162)に対する制御情報を表示する表示装置(164)と、を備えるため、測定者が立ち入れない遠隔地や狭隘部においてもα線計測を行うことが可能になる。
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について削除し、もしくは他の構成の追加・置換をすることが可能である。また、図中に示した制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上で必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。上記実施形態に対して可能な変形は、例えば以下のようなものである。
(1)上記各実施形態においては、放射線センサ101として半導体方式のセンサを適用したが、これに代えてガス方式のセンサを適用してもよい。この場合、放射線センサ101内の電界強度に応じて電離領域、比例領域、GM領域等のガス増倍領域が異なる。そこで、放射線センサ101の検知方式としては、電界強度に応じて、GM計数管や電離箱等を適用するとよい。また、放射線センサ101として2次元検知器を適用する場合には、そのガス増幅方式として、マルチワイヤ比例計数管やマイクロパターンガス検知器等を適用するとよい。
ガス方式の放射線センサ101においては、ガスチェンバ内に有感ガスと電極とを設け、電圧源102によって測定用電圧を印加すると、電界が発生する。そして、有感ガスにα線等の放射線110が入射して相互作用が起こると、相互作用エネルギーに比例した数の正孔-電子対が生成される。正孔-電子対が有感ガス内に生成されると、印加されている測定用電圧によって正孔と電子とが逆方向に移動し、これによって電荷が誘起されて放射線センサ101から電気パルスが出力される。
100 放射線計測装置
101 放射線センサ
102 電圧源
103 信号処理装置
104 信号メモリ
105 時定数解析装置
106 時定数データベース
107 α線検知判定装置
109 放射性核種
110 放射線
112 発生タイミング
113 波高値
115 電気パルス(出力信号)
121 印加電圧制御装置
122 計数値差分処理装置
123 α線検知判定装置
127a 関心領域(第1の関心領域)
127b 関心領域(第2の関心領域)
128 BG補正曲線算出装置(補正曲線算出装置)
129 計数値差分処理装置
130 α線検知判定装置
134 BG補正曲線用関心領域(第1の関心領域)
135 BG補正曲線(補正曲線)
136 関心領域(第2の関心領域)
137 両極性対応電圧源(電圧源)
138 印加電圧制御装置
139 両極性対応信号処理装置(信号処理装置)
143 電気パルス(出力信号)
144 交流電圧源(電圧源)
151 信号処理装置
152 信号メモリ
153 α線検知判定装置
159 α線検知領域(α線検知条件)
160 統合制御装置
161 統合表示装置
162 移動機構
163 移動機構制御装置
164 移動機構連動型統合制御装置(表示装置)
171~176 α線検知部
200~600 放射線計測装置
700,800 放射線計測システム
τ 計測時定数
τs1~τsn 既知時定数
N 差分値
Na,Nb,Ng 計数値
Vb 測定用電圧(電圧)
Vb1 所定レベル(所定状態)
a 下限値
b 上限値
c 差分値閾値

Claims (11)

  1. 放射線を検知するとともにα線の入射時間に応じてα線の検知感度が変化する放射線センサと、
    前記放射線センサからの出力信号の経時的な変化に基づいて前記放射線に含まれるα線を検知するα線検知部と、
    前記放射線センサに電圧を供給する電圧源と、を備え、
    前記α線検知部は、
    前記出力信号の発生タイミングおよび計数値を解析する信号処理装置と、
    前記発生タイミングおよび前記計数値を記憶する信号メモリと、
    前記計数値の時定数である計測時定数を求める時定数解析装置と、
    前記計測時定数が所定の下限値から所定の上限値までの範囲であるときにα線を検知したものと判定するα線検知判定装置と、を備える
    ことを特徴とする放射線計測装置。
  2. 前記α線検知部は、複数の放射性核種の各々についての時定数である既知時定数を記憶する時定数データベースをさらに備え、
    前記α線検知判定装置は、前記計測時定数と前記既知時定数との比較結果に基づいて、放射性核種を推定する
    ことを特徴とする請求項に記載の放射線計測装置。
  3. 前記電圧が断続的に所定状態になるように前記電圧源を制御する印加電圧制御装置をさらに備え、
    前記時定数解析装置は、前記電圧源が前記所定状態になった期間内の前記出力信号に基づいて、前記計測時定数を求める
    ことを特徴とする請求項に記載の放射線計測装置。
  4. 前記α線検知部は、前記電圧が前記所定状態になった期間内のうち第1の関心領域における計数値と第2の関心領域における計数値との差分値を求める計数値差分処理装置をさらに備え、
    前記α線検知判定装置は、前記差分値と所定の差分値閾値との比較によってα線が検知できたか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項に記載の放射線計測装置。
  5. 前記α線検知部は、
    前記電圧が前記所定状態になった期間内のうち第1の関心領域における計数値に基づいて補正曲線を求める補正曲線算出装置と、
    前記電圧が前記所定状態になった期間内のうち第2の関心領域における計数値と、前記補正曲線に基づく計数値との差分値を求める計数値差分処理装置と、
    をさらに備え、
    前記α線検知判定装置は、前記差分値と所定の差分値閾値との比較によってα線が検知できたか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項に記載の放射線計測装置。
  6. 前記電圧源は、前記放射線センサに対してプラス極性およびマイナス極性の前記電圧を交互に印加する両極性電圧源であり、
    前記信号処理装置は、前記電圧がプラス極性またはマイナス極性である期間内に前記出力信号の発生タイミングおよび計数値を解析するものである
    ことを特徴とする請求項に記載の放射線計測装置。
  7. 前記電圧源は、前記放射線センサに対して交流電圧である前記電圧を印加する交流電源である
    ことを特徴とする請求項に記載の放射線計測装置。
  8. 放射線を検知するとともにα線の入射時間に応じてα線の検知感度が変化する放射線センサと、
    前記放射線センサからの出力信号の経時的な変化に基づいて前記放射線に含まれるα線を検知するα線検知部と、
    前記放射線センサに電圧を供給する電圧源と、を備え、
    前記α線検知部は、
    前記出力信号の発生タイミング、計数値および波高値を解析する信号処理装置と、
    前記発生タイミング、前記計数値および前記波高値を記憶する信号メモリと、
    前記計数値の時定数である計測時定数を求める時定数解析装置と、
    前記計測時定数および前記波高値が所定のα線検知条件を満たす場合にα線を検知したものと判定するα線検知判定装置と、を備える
    ことを特徴とする放射線計測装置。
  9. 複数の請求項1または8に記載の放射線計測装置と、
    複数の前記放射線計測装置を制御してα線検知を実行させる統合制御装置と、
    前記統合制御装置による制御状態と、複数の前記放射線計測装置における前記出力信号に基づいてα線の分布状態を表示する統合表示装置と、を備える
    ことを特徴とする放射線計測システム。
  10. 請求項1または8に記載の放射線計測装置と、
    前記放射線センサを搭載する移動機構と、
    前記移動機構を制御する移動機構制御装置と、
    前記移動機構に対する制御情報を表示する表示装置と、を備える
    ことを特徴とする放射線計測システム。
  11. 放射線を検知するとともにα線の入射時間に応じてα線の検知感度が変化する放射線センサに対して、放射線を照射する過程と、
    前記放射線センサからの出力信号の経時的な変化に基づいて前記放射線に含まれるα線を検知する過程と、
    前記放射線センサに電圧を供給する過程と、を有し、
    前記α線を検知する過程は、
    前記出力信号の発生タイミングおよび計数値を解析するステップと、
    前記発生タイミングおよび前記計数値を記憶するステップと、
    前記計数値の時定数である計測時定数を求めるステップと、
    前記計測時定数が所定の下限値から所定の上限値までの範囲であるときにα線を検知したものと判定するステップと、を有する
    ことを特徴とする放射線計測方法。
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