JP7394039B2 - X線測定装置、x線測定システム及びx線測定方法 - Google Patents

X線測定装置、x線測定システム及びx線測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、X線測定装置、X線測定システム及びX線測定方法の技術に関する。
放射能を計測する方法として、特許文献1や、特許文献2に記載の方法がある。
特許文献1には、「外部基準線源からの放射線を変調し、変調した放射線を非測定体を通過させ、通過した放射線の強度を連続的又は断続的に位置を変えて走査測定し、その最大値と最小値との差から非測定体の放射線吸収係数分布を求め、かつ最小値から非測定体自体の放射線計数率分布とを求める」放射能分布測定方法及び装置が開示されている(要約参照)。
特許文献2には、「放射性廃棄物容器を挟んで1個または複数個の放射線検出器と外部線源とを配置し、上記容器を上記放射線検出器及び外部線源に対して相対的に回転および上下方向に運動させながら上記容器内から放出された放射線および外部線源から放出された上記容器を透過した放射線を上記放射線検出器で測定し、その結果に基づいて上記容器内の放射能量を求める放射性廃棄物容器内放射能量測定方法において、外部線源からの放射線の放出をパルス的に行ない、上記容器内から放出された放射線は1個1個パルスモードで測定し、外部線源から放出され上記容器を透過した放射線は電流モードでグロスの積分量として測定する」放射性廃棄物容器内放射能量測定方法が開示されている(要約参照)。
特開昭61-204582号公報 特開平1-65478号公報
ここで、特許文献1及び特許文献2に記載の技術は、X線光子のパイルアップについて考慮されていない。ここで、パイルアップとは複数のX線光子が同時に検出され、検出パルスが重複する現象である。
特許文献1に記載の技術は、X線の非照射時を設けることで、差分を取りγ線を除去している。しかし、特許文献1に記載の技術では、X線の非照射時を設けない場合よりも測定時間が2倍以上長くなる。さらに、γ線入射数の方がX線入射数より少ないが、統計的なばらつき影響を受けるため、特許文献1に記載の技術では誤差を完全に除去できない。
特許文献2では、X線光子を1個ずつ測定することを想定しているが、これは積分型読み出しでは積分してデータを読み出す際の時間がデッドタイムとなるが生じるのを防ぐためである。γ線及びX線の除去は、非照射時と照射時の線量計測値の差分により求めることを目的にして、X線及びγ線は光子数のみを数えるためエネルギ情報が失われる構造をとっているため、エネルギ弁別によりX線及びγ線を分けることができない。従って、X線照射時に同時にX線及びγ線を分けることはできない。
特許文献1に記載の技術は、前記したように測定時間が単純に伸びるという課題を有する。特許文献2に記載の技術は、X非線照射時を実質のγ線測定に充てることで測定時間の短縮を図っているが、特にγ線影響が大きく透過してくるX線光子数が少ないときには、測定時間の延長は免れない。
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、放射線測定の精度を向上させることを課題とする。
前記した課題を解決するため、本発明は、少なくともX線の入射軸方向に延設されている検出部と、前記検出部において、パイルアップしている領域である第1の領域と、それ以外の領域である第2の領域とを区別し、前記第2の領域におけるX線光子数を計数するX線光子数計数部と、前記第2の領域において検出されたX線光子数を基に、前記第1の領域におけるX線光子数を推定しX線光子数推定部と、前記第2の領域において検出されたX線光子数と、推定された前記第1の領域におけるX線光子数とを合計する合計X線光子数算出部と、を備えることを特徴とする。
その他の解決手段は実施形態中において適宜記載する。
本発明によれば、放射線測定の精度を向上させることができる。
第1実施形態に係るX線測定システムの構成を示す図である。 データ処理装置の詳細な構成を示す図である。 データ処理装置のハードウェア構成を示す図である。 第1実施形態における放射線検出器のチャンネル構成を示す図である。 第1実施形態の放射線検出器の全体構成を示す図である。 第1実施形態で用いられるアナログ信号処理器の構成を示す図である。 コンパレータ器に入力される信号の波形(入力波形)の例を示す図である。 それぞれのコンパレータ器の出力波形を示す図である。 X線測定システムが行うX線測定処理の手順を示すフローチャートである。 表示モニタに表示されるX線光子検出数の推定処理結果である。 放射線吸収係数の算出に用いられる放射線測定装置の具体例を示す図である。 第2実施形態におけるX線測定システムの構成を示す図である。 第2実施形態におけるデータ処理装置の構成を示す図である。 第2実施形態におけるX線測定処理の手順を示すフローチャートである。 第3実施形態における放射線検出器1の構成を示す図である。 第3実施形態の放射線検出器におけるチャンネル構成を示す図である。 第4実施形態における放射線検出器の構成を示す図である。
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。また、本実施形態では、X線R1(図1参照)、γ線R2(図1参照)を含むものを放射線と称する。
[第1実施形態]
<システム構成>
図1は、第1実施形態に係るX線測定システムZの構成を示す図である。
X線測定システムZは、X線測定装置1と、放射線測定装置2とを備えている。
そして、X線測定装置1は、X線発生装置110、X線照射制御装置120、放射線検出装置130、放射線信号処理装置140、データ処理装置150、制御管理装置160を有している。また、測定対象である放射性廃棄物173は廃棄物容器172に収納されている。この廃棄物容器172は、試料台171に載置されている。また、X線測定装置1とは別に放射線測定装置2が設けられている。なお、廃棄物容器172に収納されている放射性廃棄物173を適宜X線源と称する。また、データ処理装置150の詳細な構成は後記する。
X線発生装置110はX線R1を発生し、廃棄物容器172に向けて発生させたX線R1を照射する。また、X線発生装置110は、電子線加速器111及びX線発生用ターゲット112を有している。
電子線加速器111は、測定に必要なX線R1のエネルギに応じた電子線を発生させるエネルギ可変型電子線加速器である。そして、X線発生用ターゲット112に発生させた電子線が照射されることによってX線R1が発生する。発生したX線R1は、廃棄物容器172に照射される。
なお、X線発生装置110は、必要に応じて、スライス撮影用コリメータや中性子遮蔽体を有する。
X線照射制御装置120は、X線R1の照射を制御する。電子線加速器111は、X線照射制御装置120によって、電流状あるいはパルス状の電子線が発射されるように制御されている。
放射線検出装置130は、X線発生装置110から照射され、廃棄物容器172を透過したX線R1や、廃棄物容器172内から放出されるγ線R2を検出する。また、放射線検出装置130は、検出したX線R1や、γ線R2による電気信号を、増幅・波形整形した後、デジタル信号に変換する。
放射線検出装置130は、放射線検出器131と、アナログ信号処理器132を有している。
放射線検出器131は、図3及び図4に示すように、放射線を検出してシンチレータ光に変換するシンチレータ素子301、シンチレータ光を増幅して電気信号に変換する光センサ302によって構成されている。放射線検出器131の詳細な構成は後記する。
アナログ信号処理器132は、放射線検出器131から出力された電気信号を増幅して波高値情報を抽出した上で、デジタル信号に変換して出力する。アナログ信号処理器132の詳細な構成及び動作については後記する。
放射線検出器131には、廃棄物容器172を透過したX線R1の他に、廃棄物容器172に収納されている放射性廃棄物173から放射されたγ線R2も入射する。このX線R1、γ線R2は、放射線検出器131のシンチレータ素子301(図3及び図4参照)で光に変換され、光センサ302で増幅され電気信号に変換される。この電気信号は、パルスモードでアナログ信号処理器132に送られる。アナログ信号処理器132は、光センサ302から出力された電気信号を増幅、波形整形した後、デジタル信号に変換する。
放射線信号処理装置140は、放射線検出装置130から出力されるデジタル信号を、X線を検出した位置と、エネルギとに対応させた計測データに変換する。ここでのエネルギとは、放射線検出装置130で検出されたX線光子のエネルギである。以降、特に断りがない場合、エネルギとは放射線検出装置130で検出されたX線光子のエネルギを指すものとする。
前記したように、データ処理装置150の詳細な構成は後記する。
制御管理装置160は、一連の処理を制御する。また、制御管理装置160は、X線照射制御装置120、データ処理装置150、と試料台171に接続している。さらに、制御管理装置160は、表示モニタ161、マウス162、キーボード163に接続している。
マウス162とキーボード163を介して操作者が計測や制御に関する情報を入力する。また、表示モニタ161には、操作者が入力した情報や、データ処理装置150で算出された情報を可視化する。また、制御管理装置160は、試料台171あるいはX線発生装置110と放射線検出装置130を回転あるいは並進運動をさせる走査制御を行う。なお、制御管理装置160が試料台171に接続している場合、制御管理装置160は、試料台171の回転と並進走査を制御することで走査制御を行う。制御管理装置160が試料台171に接続してない場合、制御管理装置160はX線発生装置110や、放射線検出装置130を試料台171に対して回転並進させることで走査制御する。また、マウス162や、キーボード163を介して、回転走査ピッチ、上下走査ピッチ、走査範囲、X線照射時間、廃棄物容器172(放射性廃棄物173)に照射されるX線エネルギの選択、X線照射開始・終了等を、操作者が制御管理装置160に指示することができる。
放射線測定装置2は、X線測定装置1とは別に設けられる装置であり、放射線吸収係数から放射性廃棄物173から放射される放射線(γ線R2)を測定する。
<データ処理装置150>
図2Aは、データ処理装置150の詳細な構成を示す図である。
データ処理装置150は、放射線信号処理装置140から入力された計測データについて種々の処理を行う。データ処理装置150は、放射線識別部151、パイルアップ検出部152、X線光子数分布取得部153、X線光子数推定部154、画像再構成部155、放射線吸収係数算出部156を有する。
放射線識別部151は、X線R1とγ線R2を識別し、γ線R2、ノイズのみのイベントを除去する。イベントについては後記する。
パイルアップ検出部152は、放射線信号処理装置140から入力された計測データを基にパイルアップ位置を判定する。
X線光子数分布取得部153は、パイルアップしてないX線光子数を取得し、放射線検出器131における各チャンネルにおいて奥行き方向の検出位置におけるX線光子数分布を取得する。チャンネルについては後記する。
X線光子数推定部154は、チャンネルにおいて検出位置ごとのX線光子数から、パイルアップしたX線光子数を推定する。
画像再構成部155は、推定されたX線光子数からエネルギ別の線減弱係数の画像を再構成する。
放射線吸収係数算出部156は、X線測定装置1とは別に設けられている放射線測定装置2の測定結果に基づいて放射線吸収係数を求める。
<ハードウェア構成>
図2Bは、データ処理装置150のハードウェア構成を示す図である。
データ処理装置150は、CPU(Central Processing Unit)701と、メモリ702と、HD(Hard Disk)等の記憶装置703とを備えている。
記憶装置703に格納されているプログラムがメモリ702にロードされる。そして、ロードされたプログラムがCPU701によって実行される。これにより、図2Aに示す各部151~156が具現化する。
なお、本実施形態では、データ処理装置150としてPC(Personal Computer)が用いられているものとしているが、クラウド等の形式でデータ処理装置150が設けられていてもよい。また、記憶装置150がクラウドに存在するものでもよい。
<放射線検出器131>
図3は、第1実施形態における放射線検出器131のチャンネル構成を示す図である。
図3に示すように、X線R1は紙面左方向から放射線検出器131に入射するものとする(放射線入射方向D)。
放射線検出器131は、1対のシンチレータ素子301と、光センサ302とで構成される放射線検出素子304が放射線入射方向Dに対して、xy平面上に複数配列されている。このうち、放射線入射方向Dの軸方向(x軸方向)に配列されている放射線検出素子304の1列をチャンネルと称す。図3に示すチェンネルがy軸方向に複数配置された構成を有している。放射線入射方向Dからは、X線R1とともに、放射性廃棄物173から放射されているγ線R2も入射する。
なお、図3に示す放射線検出器131は、xy平面上に放射線検出素子304が配置されているが、さらに、z軸方向に放射線検出素子304が配置されてもよい。あるいは、図3に示す放射線検出器131がz軸方向に移動することで、z軸方向のX線R1が走査されるようにしてもよい。図3における符号341及び符号342については後記する。
(チャンネル構成)
図4は、放射線検出器131の全体構成を示す図である。
なお、図4では、図3とは上下方向(z軸方向)が逆方向となっている。前記したように、1つのチャンネルは放射線入射方向Dの軸方向(x軸方向)に対して、複数の放射線検出素子304が1列に配置されている。つまり、1つのチャンネルでは、放射線検出素子(検出部)304が少なくともX線の入射軸方向に延設されている。
このように、1つのチャンネルは、放射線入射方向Dと平行な向きに、同じ大きさの放射線検出素子304が複数配列される多段式となっている。なお、放射線検出素子304の数は問わない。また、シンチレータ素子301は、NaI、CsI,CeBr3等、材料を問わない。さらに、シンチレータ素子301として、NaI、CsI,CeBr3と同等の位置分解能を有するものであれば、CZT、CdTe、Ge等の半導体も使用可能である。さらに、試料から中性子が発生し得る場合、中性子検出用シンチレータ等を併用するフォスウィッチ検出法を採用することができる。このような構成とすることで、中性子と、その他の放射線を分離することが可能となる。光センサ302は、光電子増倍管や、シリコンフォトダイオード、アバランシェフォトダイオード等を用いることを想定している。図4に示されるように、シンチレータ素子301の周りには、反射材や遮光材であるカバー303が設けられている。ただし、カバー303は省略可能である。また、光センサ302における飽和を防ぐため、シンチレータ素子301と光センサ302の間に、図示しないライトガイドが設けられてもよい。このようにすることにより、シンチレータ素子301において発生した光が分散され、光センサ302の検出精度を向上させることができる。
(アナログ信号処理器132)
図5は、第1実施形態で用いられるアナログ信号処理器132の構成を示す図である。
図5に示すアナログ信号処理器132は、図3及び図4に示す放射線検出素子304それぞれに接続される。
光センサ302から送られてきた信号は、端部411を介してアナログ信号処理器132の前置増幅器401に入力されることで増幅される。増幅された信号は波形整形器402に送られる。波形整形器402では、設定されている時定数に合わせて信号の波形が整形される。波形整形された信号は、端部412を介して複数(図5の例では5つ)のコンパレータ器403a~403e(403)それぞれに送られる。コンパレータ器403a~403eのそれぞれには、異なる閾値が設定されている。それぞれのコンパレータ器403は、波形整形器402から入力した信号の電圧値が閾値より高いとデジタル信号の「1」を出力する。また、それぞれのコンパレータ器403は、波形整形器402から入力した信号の電圧値が閾値より低い場合はデジタル信号の「0」を出力する。出力信号は、端部413a~413eから出力される。なお、シンチレータ素子301や、光センサ302のゲイン、放射線検出装置130で計測されたノイズレベルに応じて、アナログ信号処理器132の一部を省略することが可能である。また、図5の例では、5つのコンパレータ器403が設けられているが、コンパレータ器403の数は5つに限らない。
(入力波形と出力波形)
図6Aは、図5の端部412に入力される信号の波形(入力波形)の例を示す図である。
図6Aでは、破線502,503で示す2つのX線R1がシンチレータ素子301で検出された例を示している。このような場合、図5の端部412に入力される信号の波形(入力波形)は、破線502,503が重畳された実線501で示される波形となる。また、実線501で示される入力波形には、γ線R2等に由来するノイズ(符号504)が重畳している。
図6Aにおいて、点線511a~511eは、図5のコンパレータ器403a~403eに設定されている閾値である。つまり、点線511aは、図5のコンパレータ器403aに設置されている閾値である。また、点線511bは、図5のコンパレータ器403bに設置されている閾値であり、点線511cは、図5のコンパレータ器403cに設置されている閾値である。さらに、点線511dは、図5のコンパレータ器403dに設置されている閾値であり、点線511eは、図5のコンパレータ器403eに設置されている閾値である。
図6Bは、それぞれのコンパレータ器403の出力波形を示す図である。つまり、図6Bで示される波形512a~512eのそれぞれは、図5に示す端部413a~413eのそれぞれから出力される信号の波形を示している。
図6Bは、図5に示すコンパレータ器403a~403eのそれぞれに対し、図6Aに示す閾値511a~511eを設定し、さらにコンパレータ器403a~403eそれぞれに図5に示す入力波形501が入力された例を示している。
図6Bにおいて、波形512aはコンパレータ器403aの出力波形である。すなわち、図6Aにおける入力波形501において、閾値511aより下の電圧が「0」として出力され、閾値511a以上の電圧が「1」として出力されている。
同様に、波形512bはコンパレータ器403bの出力波形であり、波形512cはコンパレータ器403cの出力波形である。そして、波形512dはコンパレータ器403dの出力波形であり、波形512eはコンパレータ器403eの出力波形である。Δtrise、Δtgap、Δtについては後記する。
放射線信号処理装置140は、それぞれの放射線検出素子304に接続されているコンパレータ器403から入力された信号に対して、エネルギ情報が付与された計測データをデータ処理装置150へ出力する。エネルギ情報は、チャンネル番号、放射線検出素子番号、コンパレータ番号、デジタル信号の「0」から「1」に立ち上がった時刻t、デジタル信号の「1」が出力されている時間Δtを有している。また、放射線検出素子番号とは、チャンネル内において放射線検出素子304に対して一意に付与されている番号である。また、コンパレータ番号は、アナログ信号処理器132におけるコンパレータ器403に対して一意に付与されている番号である。
(フローチャート)
図7は、X線測定システムZが行うX線測定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、制御管理装置160がX線照射位置の設定を行う(S1)。X線照射位置の設定は、制御管理装置160が試料台171を回転させたり、X線発生装置110を回転させたり、X線発生装置110を上下方向に動かすことで行われる。
次に、放射線信号処理装置140は、それぞれのアナログ信号処理器132から閾値別の出力信号を取得する(S2)。ここでは、放射線信号処理装置140は図6Bに示す波形512a~512eに示す出力信号を、それぞれのアナログ信号処理器132から取得する。前記したように、放射線信号処理装置140は、アナログ信号処理器132から取得した信号に対して、エネルギ情報が付与された計測データをデータ処理装置150へ出力する。
そして、放射線識別部151は、入力された計測データのうち、γ線R2や、ノイズレベルのイベントを除去する(S3)。ここで、イベントとは、アナログ信号処理器132から出力された信号のうち、いずれかのコンパレータ器403の出力信号が「1」となっている計測データである。すなわち、図6Aの入力波形501の1つに相当するものをイベントと称する。
次に、パイルアップ検出部152は、それぞれのチャンネルでのX線R1のパイルアップ検出位置を検出する(S4)。
ここで、ステップS3,S4の処理について、図5~図6Bを参照して詳細な説明を行う。
まず、放射線識別部151は、計測データを基に、一番低い閾値511aを有するコンパレータ器403aからの出力信号が立ち上がっている時間Δtが一定時間内(Δtmin<Δt<Δtmax)であるか否かを判定する。なお、Δtminは、デジタル信号処理におけるクロック周波数の逆数、あるいは、ノイズ状況に合わせて、適切な値が設定される。また、Δtmaxは、それぞれのチャンネルにおいて検出しうる最大エネルギが検出された場合の時間幅に合わせるか、ノイズ状況に合わせて、適切な値が設定される。
一番低い閾値511aが設定されているコンパレータ器403aからの出力信号が立ち上がっている時間Δtが一定時間内(Δtmin<Δt<Δtmax)を満たさない場合、その出力波形はノイズによる立ち上がりか、あるいはγ線R2による立ち上がりか、あるいは複数の放射線検出による信号がパイルアップしていると想定されるため、放射線識別部151は、そのイベントを排除する。この処理は、図7のステップS3に相当する。
すなわち、放射線識別部151は、図6Bの波形512aに示すΔtが所定時間以下であれば、そのイベントはγ線R2や、その他のノイズによるものと判定し、当該イベントを除去する。
なお、一番低い閾値511aをγ線R2や、ノイズより大きいレベルに設定していれば、ステップS3の処理を省略することができる。
Δt(図6B参照)が一定時間内(Δtmin<Δt<Δtmax)を満たしている場合、パイルアップ検出部152は、一番低い閾値511aが設定されているコンパレータ器403aからの出力信号が立ち上がった時刻tから一定時間内(Δtrise<Δtrise,max)に立ち上がる、最大の閾値を有するコンパレータ器403を検出する。図5~図6Bの例では、閾値511eを有するコンパレータ器403eが相当する。なお、Δtrise,maxは波形整形器402の時定数を考慮して設定される値である。
また、信号の立ち上がりを検出したコンパレータ器403のうち、最大の閾値に該当するエネルギと、最小の閾値における立ち上がり時間tとの関係から、エネルギに変換する時間幅処理法(Time over Threshold法)により、X線光子のエネルギを求めることも可能である。これにより、X線構成のエネルギを、さらに高精度に求めることができる。
続いて、パイルアップ検出部152は、Δt内において、同一のコンパレータ器403aからの信号が、「0」から「1」に1度以上変化しているイベントを検出する。図6Bの例では、波形512c及び波形512dが相当する。つまり、波形512c及び波形512dのような波形が検出されている場合、パイルアップ検出部152は、図6Aに示すようにパイルアップが生じているものと判定し、そのようなイベントをパイルアップイベントとして検出する。
また、パイルアップ検出部152は、Δt内において、同一のコンパレータ器403aからの信号が「0」から「1」に2度以上変化しているイベントでも、同一のコンパレータ器403からの信号が「1」から「0」に立ち下がり、「0」から「1」に立ち上がった時の時間差が一定以上(Δtgap>Δtgap,min)のイベントを検出する。つまり、図6BのΔtgapが長い場合、パイルアップ検出部152は、それぞれのイベントが独立しているとみなし、非パイルアップイベントとして検出する。
パイルアップ検出部152は、Δt内において、同一のコンパレータ器403aからの信号が、「0」から「1」に1度以上変化していないイベントを非パイルアップイベントとして検出する。
パイルアップ検出部152は、放射線検出素子304毎にパイルアップイベントが生じているか、非パイルアップイベントが生じているかを判定する。
パイルアップ検出部152は、1つのチェンネルについて、パイルアップイベントが生じている放射線検出素子304と、非パイルアップイベントが生じている放射線検出素子304とを検出する。これによって、パイルアップ検出部152は、チャンネルにおいて、パイルアップしている放射線検出素子304の位置を求める(図7のステップS4)。
ここで、チャンネルにおいて、パイルアップイベントが生じている放射線検出素子304のうち、X線R1の入射側から最も離れている放射線検出素子304の位置をX線R1パイルアップ検出位置とする。また、パイルアップしてない放射線検出素子304のうち、X線R1の入射側に最も近い放射線検出素子304の位置を非パイルアップ検出位置とする。このようにして、図7のステップS4のパイルアップ位置検出が行われる。パイルアップが生じている放射線検出素子304の範囲をパイルアップ領域341(図3参照)とする。また、パイルアップが生じていない放射線検出素子304の範囲を非パイルアップ領域342(図3参照)とする。
一般的に、X線R1の入射側に近い放射線検出素子304ほどX線R1が多く入射する。これにより、X線R1の入射側に近い放射線検出素子304ほどパイルアップする確率が高い。また、X線R1の入射側から離れた放射線検出素子304ほどパイルアップする確率が低くなる。パイルアップ検出位置は、X線R1の照射強度、X線源(放射性廃棄物)と放射線検出器131との距離、放射線検出器131における放射線の感度、測定対象物の大きさや物性等により変化する。
図7の処理へ戻る。
ステップS4の後、X線光子数分布取得部153は、非パイルアップ領域342におけるエネルギ別のX線光子検出数分布を取得する(S11)。つまり、X線光子数分布取得部153は、信号が検出された最大の閾値(エネルギ)毎にX線光子数を、非パイルアップ領域342の放射線検出素子304毎に取得する。このとき、X線光子数分布取得部153は、当該光子数を単位時間当たりの光子数として取得する。
そして、X線光子数分布取得部153は、X線光子の検出位置を横軸、パイルアップしていないX線光子数を縦軸にしたX線光子数分布を算出する。X線光子の検出位置とは、X線光子が検出された放射線検出素子304の位置である。X線光子数分布については後記する。
次に、X線光子数推定部154は、パイルアップ領域341おけるエネルギ別のX線光子検出数を推定する(S12)。ここで、X線光子数推定部154は、ステップS11とは異なる複数の条件において事前に取得している放射線検出器131におけるX線光子数分布データを取得する。そして、X線光子数推定部154は、X線光子数分布データに、ステップS11で取得したX線光子数分布をフィッティングさせる。
そして、X線光子数推定部154は、予め取得しているX線光子分布データのうち、ステップS11で取得したX線光子数分布に最も近い条件を求める。さらに、X線光子数推定部154は、パイルアップ領域341におけるエネルギ別のX線光子数を推定する。放射線検出器131の構造は既知であるため、エネルギ別のX線光子数を簡易な解析で求める場合、例えば以下の式(1)が使用される。
I1(Ek)=ΣI2(n,Ek)+ΣI1(n,Ek)
=ΣI2(0,Ek)(1-exp(-μ1(Ek)Δt))*(exp(-μ1(Ek)t)+ΣI1(n,Ek)
(1)
ここで、I2はパイルアップ領域の推定X線光子数、I1は非パイルアップ領域のX線光子数である。なお、式(1)の1~2行目において、第1項はパイルアップ領域341(0<n<npile)におけるX線光子数の和、第2項は非パイルアップ領域342(npile<n<nmax)におけるX線光子数の和を示している。ここで、npileはパイルアップ位置における放射線検出素子番号である。
さらに、nは、放射線検出素子番号である。放射線検出器131を構成するシンチレータ素子301や、光センサ302の材料は既知であるため、放射線検出器131における線減弱係数μ(Ek)は既知である。従って、X線光子数推定部154は、非パイルアップ領域342(npile<n<nmax)の各検出位置におけるX線光子数I1(n,Ek)の実測値から、ΣI1(0,Ek)(1-exp(-μ1(Ek)Δt))*(exp(-μ1(Ek)n)に従うフィッティング式を算出する。そして、X線光子数推定部154は、このフィッティング式から、パイルアップ領域341(0<n<npile)のX線光子数ΣI2(n,Ek)を算出する。実際には、放射線検出器131の内部で複数散乱するような、より複雑なX線の挙動もありうるため、機械学習や深層学習により詳細なフィッティングを行うこともできる。機械学習や、深層学習を行う際に、事前に取得しておくべきデータは、計測データでもよいし、シミュレーションによるデータでも構わない。
そして、X線光子数推定部154は、処理対象となっているチャンネルにおけるエネルギ別の合計X線光子数を算出する(S13)。つまり、X線光子数推定部154は、非パイルアップ領域342におけるエネルギ別のX線光子数と、推定されたパイルアップ領域341におけるエネルギ別のX線光子数との合計値を算出する。
ここで、ステップS11~S13の処理の詳細について、図8を参照して説明する。
図8は、表示モニタ161に表示されるステップS11~S13の処理結果である。
ここで、図8に示す処理画面600には、チャンネル指定窓601、エネルギ指定窓602、光子数表示領域610を有している。エネルギ指定窓602では、X線光子数の算出対象となるエネルギ(検出最大閾値)が指定される。例えば、図8の例では、エネルギ「100」に相当する検出最大閾値を有するイベントが処理対象として指定されている。
光子数表示領域610には、横軸をX線光子検出位置縦軸にX線光子の計数率(cps)を有するグラフが表示されている。X線光子位置は、X線を検出した放射線検出素子304の番号(素子No.)に相当する。そして、このグラフには、ステップS11で取得されたエネルギ別のX線光子検出数の分布がプロットされている(符号611)。つまり、ステップS11で取得されるエネルギ別のX線光子検出数分布は、符号611で示すプロットに相当する。
その上で、X線光子数推定部154は、プロットされているX線光子検出数の分布に対するフィッティング曲線を適用する(実線612、破線613)。実線612、破線613で示されるフィッティング曲線は、ステップS11とは異なる複数の条件において事前に取得している放射線検出器131におけるX線光子数分布データを基に算出されるものである。
ここで、実線612は非パイルアップ領域342におけるフィッティング曲線を示している。また、破線613は、パイルアップ領域341におけるフィッティング曲線を示している。これにより、パイルアップ領域341におけるX線光子検出数(図8の例では計数率)を推定することができる。実線612及び破線613で示されるフィッティング曲線の算出が、ステップS12(X線光子検出数の推定)に相当する。
そして、X線光子数推定部154は、非パイルアップ領域342で検出されたX線光子検出数(符号611)と、フィッティング曲線の破線613の部分から推定されるパイルアップ領域341での検出X線光子数を合算する。これにより、1つのチャンネルにおいて検出されるエネルギ別のX線光子数が推定される(ステップS13(エネルギ別の合計X線光子数の算出)に相当)。
図8の例では、縦軸を計数率としたが、1計測ごとの計数[Counts]としてもよよい。
図7の説明に戻る。
ステップS13の後、制御管理装置160は、すべてのチャンネルについてステップS2~S13の処理を完了したか否かを判定する(S21)。
すべてのチャンネルについてステップS2~S13の処理を完了していない場合(S21→No)、制御管理装置160はステップS2へ処理を戻す。
すべてのチャンネルについてステップS2~S13の処理を完了している場合(S21→Yes)、制御管理装置160は、試料台171が1回転したか否かを判定する(S22)。ここで、1回転とは、廃棄物容器172(放射性廃棄物173)の全周をX線撮像したことを意味している。
試料台171が1回転していない場合(S22→No)、制御管理装置160はステップS2へ処理を戻す。
試料台171が1回転している場合(S22→Yes)、画像再構成部155は、ステップS13で推定されたX線光子数からエネルギ別の線減弱係数の画像を再構成する(S23)。
(画像再構成処理)
ここで、画像再構成処理について説明する。
画像再構成を実施するにあたり、画像再構成部155は、放射性廃棄物173を設置しない場合において、各チャンネルに対して入射するX線光子数I(E)と各チャンネルにおいて検出される合計X線光子数I(E)の比の対数値をエネルギ別に求める。これにより、チェンネルにおけるエネルギ別の線減弱係数μ(Ek)が、式(1)を変換した式(4)を使って求められる。
μ(Ek) = ln(I(Ek)/ I(Ek))・・・(4)
このとき、再構成画像における各画素は、物質が不明であるため、線減弱係数が未知数となる。なお、再構成画像には適切な画像フィルタがかけられるものとする。これにより、測定対象に対してエネルギ別の線減弱係数が得られる。
線減弱係数は、照射したX線R1のエネルギと物質の密度と原子番号に依存している。そのため、これまでのX線CTでは照射したX線R1の最大エネルギまで積算された線減弱係数が得られるが、本実施形態では、エネルギごとの線減弱係数が得られる。
図7の説明に戻る。
その後、放射線吸収係数算出部156は、X線測定装置1とは別に設けられている放射線測定装置2の測定結果に基づいて放射線吸収係数を換算する(S24)。
(放射線吸収係数算出部156の処理)
図9は、放射線吸収係数の算出に用いられる放射線測定装置2の具体例を示す図である。
図9の例では、X線測定装置1とは別に設けられる放射線測定装置2を用いて測定することを想定している。しかし、X線測定装置1における放射線検出装置130で放射線測定装置2を代用することも可能である。
図9では、放射線測定装置2として高エネルギ分解能放射線検出器を用いている例を示している。このような放射線測定装置2はコリメータ21を有している。このようなコリメータ21により、放射線測定装置2は特定方向からのγ線R2の入射のみを許容するものである。放射線測定装置2が、コリメータ21の位置iにおける放射能Aiを求めるには、試料台171を回転させながら放射線の測定を実施し、コリメータ21における放射線の検出位置jにおける放射線計数率Cjを求める。その上で、以下の式(11)により、γ線R2が検出されるまでに通るパスにおける放射線吸収係数Rijの合計ΣRijが求められることでコリメータ21の位置iにおける放射能Aiが算出される。なお、Rijのijは放射性廃棄物173における座標である。
Ai=Cj/ΣRij ・・・ (11)
ここで、放射線吸収係数Rijは、以下の式(12)によって算出される。
Rij=1-exp(-ΣΣμ(Ek)xL) ・・・ (12)
ここで、ΣΣはエネルギEkとγ線R2が通る経路長xLに関する和である。本実施形態において、この放射線吸収係数Rijの合計ΣRijを短時間でエネルギごとに求めることが可能である。これにより、高精度で放射能を求めることができる。本実施形態は、発生させるX線R1のエネルギによらず適用できるが、例えば廃棄物容器172の中に入る放射性廃棄物173には、Co-60やCs-137等の各種が入る可能性がある。そのため、X線源としては2MeV以上の放射性廃棄物173より高エネルギを用いる等がある。
第1実施形態によれば、データ処理装置150は、放射線検出器131における非パイルアップ領域342において検出されたX線光子数を基に、パイルアップ領域341において検出されるX線光子数を推定する。このようにすることで、X線光子のパイルアップが生じても、チャンネルにおける検出されたX線光子数の係数精度を向上させることができる。つまり、第1実施形態によれば、パイルアップによって生じる検出した光子数誤差に起因する分別能の低下やアーチファクトの発生等を抑制することができる。
また、1つのチャンネルは少なくともX線の入射軸方向に延設されている構造を有している。このような構成を有することで非パイルアップ領域342と、パイルアップ領域341とを容易に区別することができる。
また、第1実施形態では、それぞれ異なる閾値を有するコンパレータ器403を有する。そして、所定の閾値を上まわる信号を基にγ線R2等に由来する信号を除去している。これにより、測定時間を長期化させることなく、γ線R2等に由来する信号を除去することができる。
放射線検出器131の構成を図3及び図4に示すような構成とすることで、パイルアップ領域341及び非パイルアップ領域342を容易に検出することできる。また、放射線検出器131にシンチレータ素子301を用いることにより、コストを低減することができる。
アナログ信号処理器132を放射線検出素子304それぞれに対して設けられる。これによって、シンチレータ素子301、光センサ302におけるパイルアップや、信号の飽和を回避することができる。
また、アナログ信号処理器132を、図5に示すようなマルチコンパレータ回路とすることで、アナログ信号処理器132の回路規模を小さくすることができる。また、アナログ信号処理器132を、図5に示すようなマルチコンパレータ回路とすることで、省電力を実現することができる。また、アナログ信号処理器132を、図5に示すようなマルチコンパレータ回路とすることで、γ線R2の識別や、X線R1のパイルアップ有無を容易に判定することができる。
[第2実施形態]
次に、図10~図12を参照して、本実施形態の第2実施形態を示す。
第2実施形態では、X線測定装置1を非破壊検査装置として、測定対象を構成する物質の識別及び定量化に用いるものとする。すなわち、第2実施形態では、X線測定装置1を非破壊検査に適用したものでる。
<システム構成>
図10は、第2実施形態におけるX線測定システムZaの構成を示す図である。また、図11は、第2実施形態におけるデータ処理装置115aの構成を示す図である。
図10及び図11において、図1及び図2Aと同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。また、データ処理装置150aのハードウェア構成は図3と同様であるので、ここでの図示及び説明を省略する。
図10及び図11において、図1及び図2Aと異なる点は以下の点である。
(A1)図10に示すように、図1における放射性廃棄物173が収納された廃棄物容器172の代わりに、γ線R2を放出しない非破壊検査対象物が試料台171に載置される。なお、測定対象は廃棄物容器172に収納されている放射性廃棄物173ではなくなるため、放射性廃棄物173からのγ線R2の混入はなくなる。従って、図10に示すX線測定システムZaでは図1に示す放射線測定装置2が省略されている。
(A2)放射線検出装置130はX線発生装置110から照射されるX線R1のみを検出する。ただし、放射線検出装置130の構成そのものは、図1に示す放射線検出装置130と同様の構成を有している。
(A3)図11に示すように、データ処理装置150aには、図1のデータ処理装置150における放射線吸収係数算出部156の代わりに、物質を識別するための物質識別部158が設けられている。
<フローチャート>
図12は、第2実施形態におけるX線測定処理の手順を示すフローチャートである。
図12において、図7と同様の処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
図12に示すフローチャートが、図7に示すフローチャートと異なっている点は以下の点である。
(B1)図7のγ線R2と、ノイズレベルのイベントを除去するステップS3が省略されている。
(B2)放射線吸収係数を換算するステップS24と、放射線吸収係数から放射能を換算するステップS25とが、非破壊検査測定対象物の物質を識別する物質識別処理(S31)となっている。
それ以外の処理は、図7と同様である。
ステップS31における物質識別処理において、式(1)で求めたエネルギごとの線減弱係数μ(Ek)は、エネルギ合計における線減弱係数よりも物質ごとに値の差が出る。従って、第2実施形態は、これまでに技術より単純に物質識別性が向上するだけでなく、X線R1の相互作用別の線減弱係数を逆解析により求めることで、これまでのX線R1CTよりも精度を向上することができる。
[第3実施形態]
次に、図13及び図14を参照して、放射線検出器131aの構成を示す。
図13及び図14では、図3及び図4と同様、紙面左側からX線R1が入射するものとする。
まず、図3及び図4と同様、図13と図14では上下方向(z軸方向)が互いに逆方向となっている。
図13及び図14に示す放射線検出器131aは、シンチレータ素子301aが放射線入射方向Dに対して1続きの直方体状となっている点である。つまり、図13及び図14では、1つのチェンネルにつき1つのシンチレータ素子301aが設けられている。そして、シンチレータ素子301aには、図3及び図4と同様の構成を有する光センサ302が設けられている。放射線入射方向Dからシンチレータ素子301aに入射したX線R1は、シンチレータ素子301aと反応しつつ図面のx軸方法へ進む。光センサ302は、X線R1とシンチレータ素子301aとが反応した際に生じる発光を検出する。
第3実施形態によれば、シンチレータ素子301の間のエネルギ損失を軽減することができる。
[第4実施形態]
図15は、第4実施形態における放射線検出器131bの構成を示す図である。
図15に示す放射線検出器131bでは、半導体検出器321が放射線入射方向Dに対して、紙面横方向(xy平面)に広がっている構成となっている。そして、半導体検出器321の紙面上下に板状の電極322a,322bが設けられている。ここでは、半導体検出器321に対して、紙面上に設けられている電極322aは放射線入射方向Dに対して平行方向となるよう設けられている。また、半導体検出器321に対して、紙面下方向に設けられている電極322bは放射線入射方向Dに対して直交方向(y軸方向)となるよう設けられている。つまり、電極322a及び電極322bは互いに直交するよう設けられている。図15に示すように、半導体検出器321が用いられる場合、図3及び図4に示すカバー303は設置不要である。
放射線入射方向Dから入射したX線R1は半導体検出器321と反応する。X線R1と反応した半導体検出器321は電子を放出し、電極322a、電極322bが放出された電子を受け取ることで電極322a及び電極322bに電流を生じる。ここで、ある電極322aと、ある電極322bとで電流が検出されれば、電流が検出された電極322aと、電極322bとが交差している箇所でX線R1と半導体検出器321とが反応していると特定することができる。
図15に示すような放射線検出器131bによれば、X線R1の検出精度を向上させることができる。
図3、図4、図13~図15に示すように、1つのチャンネル内にてX線光子を検出した位置(座標)が特定できるような構造であれば、図3、図4、図13~図15に示す構造以外の構造であってもよい。
また、図3、図4、図13~図15に示す放射線検出器131,131a,131bを拡張して上下方向に積層すれば、放射線入射方向Dに対して垂直な面の撮像も可能である。つまり、図3、図4、図13~図15に示すyz平面のX線R1画像を取得することができる。また、この構造は、放射線入射方向Dに対して平行な方向に設置して用いることも可能である。
また、この構造は、X線照射方向に対して90度回転させて用いたり、90度回転させてX線照射方向に対して平行な方向に複数枚並べて用いたりすることも可能である。
また、アナログ信号処理器132におけるアナログデジタル変換器は、図5に示すように複数のコンパレータ器403を用いなくても、フラッシュ型やウィルキンソン型ADCを用いてもよい。その場合、放射線信号処理装置140、データ処理装置150での処理は、第1実施形態で説明した処理を適用できる。このような構成とすることで、γ線R2がパイルアップした信号からもγ線R2を除去することできる。
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を有するものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した各構成、機能、各部151~156,158、記憶装置703等は、それらの一部又はすべてを、例えば集積回路で設計すること等によりハードウェアで実現してもよい。また、図2Bに示すように、前記した各構成、機能等は、CPU701等のプロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、HD(Hard Disk)に格納すること以外に、メモリや、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、IC(Integrated Circuit)カードや、SD(Secure Digital)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に格納することができる。
また、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。
1,1a X線測定装置
2 放射線測定装置
130 放射線検出装置(検出部)
131 放射線検出器(検出部)
132 アナログ信号処理器(信号処理部)
151 放射線識別部(ノイズ除去部)
153 X線光子数分布取得部(X線光子数計数部)
154 X線光子数推定部(合計X線光子数算出部)
301 シンチレータ素子
302 光センサ
321 半導体検出器
322a 電極(第1の電極)
322b 電極(第2の電極)
341 パイルアップ領域(第1の領域)
342 非パイルアップ領域(第2の領域)
403 コンパレータ器
S11 X線光子検出数分布の取得(X線光子数計数ステップ)
S12 X線光子検出数の推定(X線光子数推定ステップ)
S13 エネルギ別の合計X線光子数の算出(合計X線光子数算出ステップ)
R1 X線
R2 γ線(X線以外の放射線)
Z,Za X線測定システム

Claims (12)

  1. 少なくともX線の入射軸方向に延設されている検出部と、
    前記検出部において、パイルアップしている領域である第1の領域と、それ以外の領域である第2の領域とを区別し、前記第2の領域におけるX線光子数を計数するX線光子数計数部と、
    前記第2の領域において検出されたX線光子数を基に、前記第1の領域におけるX線光子数を推定しX線光子数推定部と、
    前記第2の領域において検出されたX線光子数と、推定された前記第1の領域におけるX線光子数とを合計する合計X線光子数算出部と、
    を備えることを特徴とするX線測定装置。
  2. 複数の閾値が設定され、前記検出部から出力された信号に対して、それぞれの前記閾値を超えたか否かを信号として出力する信号処理部と、
    前記信号処理部から出力された前記信号を基に、X線以外の要因によるノイズを除去するノイズ除去部と、
    を有する請求項1に記載のX線測定装置。
  3. 前記検出部は、シンチレータ素子と、光センサとで構成され、
    前記X線の入射軸方向に、複数の前記光センサが前記シンチレータ素子に設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載のX線測定装置。
  4. 前記検出部は、
    1つの前記光センサに対し、1つの前記シンチレータ素子が対応している検出素子が、前記X線の入射軸方向に複数配設されている
    ことを特徴とする請求項3に記載のX線測定装置。
  5. 複数の閾値が設定され、前記検出部から出力された信号に対して、それぞれの前記閾値を超えたか否かを信号として出力する信号処理部と、
    前記信号処理部から出力された前記信号を基に、X線以外の要因によるノイズを除去するノイズ除去部と、
    を有し、
    前記信号処理部は、
    前記検出素子のそれぞれに対して設けられている
    ことを特徴とする請求項4に記載のX線測定装置。
  6. 前記信号処理部は、
    それぞれ異なる閾値を有するコンパレータ器によって構成されている
    ことを特徴とする請求項5に記載のX線測定装置。
  7. 前記検出部は、
    1つの前記シンチレータ素子に、複数の前記光センサが設けられている
    ことを特徴とする請求項3に記載のX線測定装置。
  8. 前記検出部は、半導体検出器と、複数の電極とで構成され、
    複数の電極のそれぞれは長さを有し、
    前記半導体検出器の一方の面を複数の電極のうち、複数の第1の電極が、それぞれ平行となるよう設けられ、
    前記半導体検出器が有する面のうち、前記第1の電極が設けられている面と対向する面に、前記第1の電極とは異なる電極である第2の電極が、前記第1の電極とは異なる方向に複数設けられ、前記第2の電極のそれぞれは、互いに平行となるよう設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載のX線測定装置。
  9. 合計X線光子数算出部によって合計されたX線光子数を基に、前記X線の照射対象物の物質を識別する物質識別部
    を有することを特徴とする請求項1に記載のX線測定装置。
  10. 少なくともX線の入射軸方向に延設されている検出部と、
    前記検出部において、パイルアップしている領域である第1の領域と、それ以外の領域である第2の領域とを区別し、前記第2の領域におけるX線光子数を計数するX線光子数計数部と、
    前記第2の領域において検出されたX線光子数を基に、前記第1の領域におけるX線光子数を推定しX線光子数推定部と、
    前記第2の領域において検出されたX線光子数と、推定された前記第1の領域におけるX線光子数とを合計する合計X線光子数算出部と、
    を備えるX線測定装置
    を有することを特徴とするX線測定システム。
  11. 前記X線測定装置とは別に、放射性物質から放射される放射線を測定する放射線測定装置を備え、
    前記放射線測定装置で測定された前記放射線を基に放射線吸収係数を算出する放射線吸収係数算出部
    を有することを特徴とする請求項10に記載のX線測定システム。
  12. 少なくともX線の入射軸方向に延設されている検出部を有するX線測定装置が、
    前記検出部において、パイルアップしている領域である第1の領域と、それ以外の領域である第2の領域とを区別し、前記第2の領域におけるX線光子数を計数するX線光子数計数ステップと、
    前記第2の領域において検出されたX線光子数を基に、前記第1の領域におけるX線光子数を推定しX線光子数推定ステップと、
    前記第2の領域において検出されたX線光子数と、推定された前記第1の領域におけるX線光子数とを合計する合計X線光子数算出ステップと、
    を実行することを特徴とするX線測定方法。
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