現在の免疫療法アプローチが少数の患者にしか有効でなく、重大かつしばしば予測不可能な毒性を有することがあるという事実を特に鑑み、がん細胞に対して安全かつ有効に免疫系を展開することができる、新しい免疫強化アプローチが依然として必要とされている。一態様において、本明細書で開示される操作された親和性減衰型インターロイキン-21ムテインに融合された、PD-1/PD-L1相互作用を遮断することができるPD-1標的抗体を含む、新しい種類の二機能性融合分子は、この必要性に対処するものである。本明細書に記載される抗体/サイトカイン融合体は、サイトカイン療法に付随する大きな障壁を克服するものであり、とりわけ、PD-1を標的にしたIL-21サイトカインの抗体と同様の投与及び選択的送達を可能にする。IL-21ムテインは、抗PD-1抗体に融合された場合、PD-1発現T細胞をin vivoで選択的に活性化させ、増殖させることができる。したがって、本明細書に記載される抗体/サイトカイン融合体は、現在臨床で試験が行われている抗PD-1療法を改善し、その有用性を広げることができる。
サイトカインと共阻害性受容体アゴニストまたはアンタゴニストとの組み合わせは、毒性が増大するリスクがあり、複雑な臨床試験設計を要することから、依然として困難である(例えば、Ott et al.,J Immunother Cancer 5,16(2017)、及びHermel et al.,Cancer Metastasis Rev 36,43-50(2017)参照)。サイトカインに関しては、免疫抑制につながり得る阻害性フィードバック経路の活性化の可能性もある(例えば、Portielje et al,Clin Cancer Res 9,76-83(2003);Wan et al.,Immunity 38,514-527(2013);及びMooradian et al.,Oncoimmunology 7,e1423172(2018)参照)。インターロイキン-21(IL-21)は、I型サイトカインであり、共通サイトカイン受容体γ鎖(cg鎖)サイトカインファミリーのメンバーであり、がん治療に対する有望な免疫療法として浮上してきている。IL-21は、活性化CD4 T細胞及びナチュラルキラーT(NKT)細胞によって産生され、共通γ鎖と会合する別個のIL-21受容体(IL-21R)サブユニットからなるヘテロ二量体受容体複合体を介してシグナルを伝達する(例えば、Spolski et al.,Nat Rev Drug Discov 13,379-395(2014)参照)。IL-21R複合体の活性化は、JAK/STATシグナル伝達経路の活性化につながる。IL-21Rは、Tリンパ球及びBリンパ球を含む造血細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞ならびに骨髄細胞で広く発現している。IL-21は、必須の成長因子または分化因子ではないが、NK細胞及び活性化T細胞にとって、強力なマイトジェンであり、生存因子である。IL-21は、CD4(+)Tヘルパー17(Th17)及び濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)の分化を支援することができ、制御性T細胞(Treg)の分化に拮抗することができる。更に、IL-21は、CD8 T細胞の生存を増強し、活性化の程度は低いがより持続的なT細胞表現型を維持することができ、これにより、高度な腫瘍制御及びウイルス制御が可能となる。
サイトカイン免疫療法の難しい側面は、免疫応答を強化するために免疫細胞を活性化するだけでなく、同じサイトカインが逆の抑制性経路も同様に活性化し得ることである。例えば、IL-2及びIFNγは、防御免疫応答ならびに制御性T細胞応答及び抑制性経路(PD-L1経路)をそれぞれ活性化することができる。樹状細胞(DC)において、IL-21は、DCの成熟と活性化の両方を阻害することができ、通常型DCのアポトーシスを誘導することができ、混合培養物中のT細胞のプライミングを強力に阻害することができ、耐性の誘導に役割を果たす可能性がある。ヒトにおいて、IL-21は、いくつかのがんの適応症で標的化されていないフリーのサイトカインとして試験されているが、このアプローチの開発は、有望な前臨床データ及び初期第I相臨床データにもかかわらず、第II相試験以降進んでいない。(例えば、Thompson et al.,J Clin Oncol 26,2034-2039(2008);及びDavis et al.,Clin Cancer Res 15,2123-2129(2009)参照)。より最近の前臨床モデルでは、組み換えIL-21サイトカインと共抑制性受容体アンタゴニスト(例えば、抗CTLA-4及び抗PD-1)とを組み合わせると、IL-21により、これらの治療の有効性が拡大し得ることが示された。かかる組み合わせは、現在、臨床試験中であるが、臨床的有効性は未だ示されていない(Lewis et al.,Oncoimmunology 7,e1377873(2017))。
理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載される抗体/サイトカイン融合体は、IL-21の免疫強化活性を利用して有効性を最大にし(毒性及びオフターゲット免疫抑制に対応するために必要不可欠であり得る)、診療所での投与の実行可能性を改善するように設計される。
IL-21及びIL-21ムテイン
インターロイキン-21(IL-21)は、T細胞、B細胞、NK細胞及び骨髄細胞によって発現されるサイトカインであり、自然免疫細胞及び適応免疫細胞の両方の活性を制御し、T細胞の生存及びエフェクター機能を改善する。いくつかの第I相及び第II相臨床試験は、黒色腫、腎細胞癌、急性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、大腸癌、全身性エリテマトーデス、クローン病及び関節リウマチを含む、がん、炎症性疾患及び自己免疫疾患の治療に対する治験薬として、IL-21を含んでいる。
IL-21は、4ヘリックスバンドル構造を有し、単量体として存在する。ヒトにおいて、IL-21には、2つのアイソフォームが知られており、そのそれぞれは、1つの前駆体分子に由来する。第1のIL-21アイソフォームは、162アミノ酸(aa)を含み、そのうちの最初の29アミノ酸がシグナルペプチドを構成し、第2のIL-21アイソフォームは、153アミノ酸を含み、第1のアイソフォームと同様に、そのうちの最初の29アミノ酸がシグナルペプチドを構成する。第1及び第2のIL-21アイソフォームのアミノ酸配列(シグナルペプチドを含む)は、それぞれ、配列番号258及び配列番号259として本明細書に記載される。
IL-21は、T細胞、B細胞及びNK細胞の表面上に発現されるヘテロ二量体IL-21受容体(IL-21R)に結合する。IL-21Rは、IL-2受容体及びIL-15受容体と類似の構造であり、これは、これらのサイトカイン受容体のそれぞれが共通γ鎖(γc)を含むという点で類似している。γcに加えて、IL-21Rは、IL-21への結合に重要なα鎖を含む。ヒトIL-21受容体α鎖には、アイソフォーム1とアイソフォーム2の2つのアイソフォームがある。アイソフォーム1及びアイソフォーム2のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号256及び261として本明細書に記載される。ヒト共通γ鎖のアミノ酸配列は、配列番号257として本明細書に記載される。
IL-21がIL-21Rに結合すると、Jak/STATシグナル伝達経路が活性化されて、標的遺伝子を活性化する。IL-21により誘導されるシグナル伝達は、治療上望ましいものであり得るが、IL-21が広範な発現プロファイルを有し、IL-21がCD8 T細胞応答を強化する能力と、抗原提示及びT細胞プライミングを抑制する能力とを有するという事実から、シグナル伝達のタイミングと場所に対する熟慮が必要である。本明細書で初めて記載されるデータは、適切な時間と場所でIL-21シグナル伝達を達成するように慎重に設計されたIL-21ムテインの使用を支持するものである。
本開示は、配列番号1として本明細書に記載される野生型IL-21アミノ酸配列と比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含む、IL-21ムテインを提供する。例えば、IL-21ムテインは、少なくとも1つ、かつ34を超えないアミノ酸置換を含む。例示的な態様において、IL-21ムテインは、少なくとも1つ、かつXを超えないアミノ酸置換を含み、ここで、Xは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33または34である。例示的な実施形態において、IL-21ムテインは、ヒトIL-21のアミノ酸配列(配列番号1)と10アミノ酸を超えない、15アミノ酸を超えない、20アミノ酸を超えないまたは25アミノ酸を超えない異なるアミノ酸配列を含む。例示的な実施形態において、IL-21ムテインは、ヒトIL-21のアミノ酸配列(配列番号1)と7アミノ酸を超えないまたは5アミノ酸を超えない異なるアミノ酸配列を含む。例示的な実施形態において、IL-21ムテインは、ヒトIL-21のアミノ酸配列(配列番号1)と3、4、5または6アミノ酸異なるアミノ酸配列を含む。例示的な実施形態において、IL-21ムテインは、ヒトIL-21のアミノ酸配列(配列番号1)と3~6アミノ酸または1~5アミノ酸異なるアミノ酸配列を含む。例示的な実施形態において、IL-21ムテインは、ヒトIL-21のアミノ酸配列(配列番号1)と1または2アミノ酸異なるアミノ酸配列を含む。
例示的な態様において、IL-21ムテインは、配列番号2のアミノ酸配列を含み、ここで、配列番号2は、
QGQDX HMXXM XXXXX XVDXL KNXVN DLVPE FLPAP EDVET NCEWS AFSCF QKAQL KSANT GNNEX XIXXX XXXLX XXXXX TNAGR RQKHR LTCPS CDSYE KKPPK EFLXX FXXLL XXMXX QHXSS RTHGS EDS(配列番号2)であり、配列中、Xは、任意のアミノ酸を表し、IL-21ムテインアミノ酸配列は、ヒトIL-21のアミノ酸配列(配列番号1)と少なくとも1アミノ酸異なる。
したがって、例示的な態様において、IL-21ムテインは、配列番号2の配列を含み、ここで、配列番号2は、配列番号2中Xで指定される位置の少なくとも1つのアミノ酸が配列番号1と異なる。例示的な態様において、配列番号2を含むIL-21ムテインは、配列番号1に対して、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有する。例示的な態様において、IL-21ムテインは、配列番号1に対して、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
例示的な実施形態において、IL-21ムテインは、野生型IL-21アミノ酸配列と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、アミノ酸置換(複数可)は、アミノ酸配列のN末端の半分以内に存在する。例えば、アミノ酸置換(複数可)は、配列番号1のアミノ酸位置ナンバリングに従って、位置5~25または8~23(両端点を含む)以内の位置に存在する。
例示的な実施形態において、IL-21ムテインは、野生型IL-21アミノ酸配列と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、アミノ酸置換(複数可)は、アミノ酸配列のC末端の半分以内に存在する。例えば、アミノ酸置換(複数可)は、配列番号1のアミノ酸位置ナンバリングに従って、位置100~133または109~123(両端点を含む)以内の位置に存在する。
例示的な実施形態において、IL-21ムテインは、野生型IL-21アミノ酸配列と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、アミノ酸置換(複数可)は、アミノ酸配列の中央の1/3に存在する。例えば、アミノ酸置換(複数可)は、配列番号1のアミノ酸位置ナンバリングに従って、位置55~85または65~80(両端点を含む)以内の位置に存在する。
本開示はまた、配列番号1として本明細書に記載される野生型IL-21アミノ酸配列と比較して、アミノ酸置換を1つのみ含む、IL-21ムテインを提供する。例示的な態様において、アミノ酸置換は、配列番号1のアミノ酸位置ナンバリングに従って、5、8、9、11、12、13、14、15、16、19、23、65、66、68、69、70、71、72、73、75、76、77、78、79、80、109、110、112、113、116、117、119、120または123からなる群から選択される1つのアミノ酸位置に位置する。他の例示的な態様において、アミノ酸置換は、配列番号1のアミノ酸位置ナンバリングに従って、5、8、9、11、12、13、14、15、16、19、23、65、66、68、69、70、72、73、75、76、77、78、79、80、109、110、112、113、116、117、119、120または123からなる群から選択される1つのアミノ酸位置に位置する。更に他の例示的な態様において、IL-21ムテインは、配列番号3~21及び23~37のアミノ酸配列のいずれか1つを含む。
本開示は、更に、配列番号1と比較してアミノ酸置換を2つのみ含む、IL-21ムテインを提供する。例示的な態様において、アミノ酸置換は、配列番号1のアミノ酸位置ナンバリングに従って、5、8、9、11、12、13、14、15、16、19、23、65、66、68、69、70、71、72、73、75、76、77、78、79、80、109、110、112、113、116、117、119、120または123からなる群から選択される2つのアミノ酸位置に位置する。他の例示的な態様において、アミノ酸置換は、配列番号1のアミノ酸位置ナンバリングに従って、5、9、15、70、71、72、73及び76からなる群から選択される2つのアミノ酸位置に位置する。更に他の例示的な態様において、アミノ酸置換は、配列番号1のアミノ酸位置ナンバリングに従って、5、9、73及び76からなる群から選択される2つのアミノ酸位置に位置する。例示的な態様において、2つのアミノ酸置換のうちの少なくとも1つは、配列番号1のアミノ酸位置ナンバリングに従って、位置76に位置する。例示的な態様において、IL-21ムテインは、配列番号199~208及び210~212のアミノ酸配列のいずれか1つを含む。
例示的な実施形態において、IL-21ムテインは、野生型IL-21アミノ酸配列と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、アミノ酸置換(複数可)は、保存的アミノ酸置換(複数可)である。本明細書で使用されるとき、「保存的アミノ酸置換」という用語は、あるアミノ酸を、類似した性質(例えば、大きさ、電荷、疎水性、親水性及び/または芳香族性)を有する、別のアミノ酸で置換することを指し、次の5つの群のうちの1つのなかでの入れ替えを含む。
I.非極性またはわずかに極性の小さな脂肪族残基:Ala、Ser、Thr、Pro、Gly;
II.負の電荷を持つ極性残基ならびにそれらのアミド及びエステル:Asp、Asn、Glu、Gln、システイン酸及びホモシステイン酸;
III.正の電荷を持つ極性残基:His、Arg、Lys;オルニチン(Orn)
IV.非極性の大きな脂肪族残基:Met、Leu、Ile、Val、Cys、ノルロイシン(Nle)、ホモシステイン
V.大きな芳香族残基:Phe、Tyr、Trp、アセチルフェニルアラニン。
例示的な実施形態において、IL-21ムテインは、野生型IL-21アミノ酸配列と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、アミノ酸置換(複数可)は、非保存的アミノ酸置換(複数可)である。本明細書で使用されるとき、「非保存的アミノ酸置換」という用語は、本明細書中、あるアミノ酸を、異なる性質(例えば、大きさ、電荷、疎水性、親水性及び/または芳香族性)を有する、別のアミノ酸で置換することと定義され、上の5つの群から外れる入れ替えを含む。
例示的な態様において、IL-21ムテインは、野生型IL-21アミノ酸配列と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、置換アミノ酸は、天然アミノ酸である。「天然アミノ酸」または「標準アミノ酸」または「カノニカルアミノ酸」とは、真核生物で認められる、普遍的遺伝暗号のコドンによって直接コードされる20個のαアミノ酸(Ala、Val、Ile、Leu、Met、Phe、Tyr、Trp、Ser、Thr、Asn、Gln、Cys、Gly、Pro、Arg、His、Lys、Asp、Glu)のうちの1つを意味する。例示的な態様において、IL-21ムテインは、野生型IL-21アミノ酸配列と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、置換アミノ酸は、非標準アミノ酸であるか、翻訳中にタンパク質に組み込まれないアミノ酸である。非標準アミノ酸には、セレノシステイン、ピロリシン、オルニチン、ノルロイシン、β-アミノ酸(例えば、β-アラニン、β-アミノイソ酪酸、β-フェニルアラニン、β-ホモフェニルアラニン、β-グルタミン酸、β-グルタミン、β-ホモトリプトファン、β-ロイシン、β-リシン)、ホモアミノ酸(例えば、ホモフェニルアラニン、ホモセリン、ホモアルギニン、モノシステイン、ホモシスチン)、N-メチルアミノ酸(例えば、L-アブリン、N-メチル-アラニン、N-メチル-イソロイシン、N-メチル-ロイシン)、2-アミノカプリル酸、7-アミノセファロスポラン酸、4-アミノケイ皮酸、α-アミノシクロヘキサンプロピオン酸、アミノ-(4-ヒドロキシフェニル)酢酸、4-アミノ-ニコチン酸、3-アミノフェニル酢酸などが挙げられるが、これらに限定されない。
例示的な態様において、本開示のIL-21ムテインは、ヒトIL-21のアミノ酸配列(配列番号1)と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、アミノ酸置換は、配列番号1の位置5、8、9、12、14、15、65、66、69、70、72、73、75、76、77、80、116及び119のうちの1つ以上にあり、置換アミノ酸(複数可)は、脂肪族アミノ酸である。例示的な態様において、本開示のIL-21ムテインは、配列番号1と比較してアミノ酸置換を1つのみ含むアミノ酸配列を含み、アミノ酸置換は、配列番号1の位置5、8、9、12、14、15、65、66、69、70、72、73、75、76、77、80、116または119にあり、置換アミノ酸は、脂肪族アミノ酸である。
例示的な態様において、本開示のIL-21ムテインは、ヒトIL-21のアミノ酸配列(配列番号1)と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、アミノ酸置換は、配列番号1の位置5、8、9、11、12、13、14、15、16、19、23、65、66、69、70、72、73、75、76、77、78、79、110、112、116、117、119、120または123のうちの1つ以上にあり、置換アミノ酸(複数可)は、酸性アミノ酸である。例示的な態様において、本開示のIL-21ムテインは、配列番号1と比較してアミノ酸置換を1つのみ含むアミノ酸配列を含み、アミノ酸置換は、配列番号1の位置5、8、9、11、12、13、14、15、16、19、23、65、66、69、70、72、73、75、76、77、78、79、110、112、116、117、119、120または123にあり、置換アミノ酸は、酸性アミノ酸である。
例示的な態様において、本開示のIL-21ムテインは、ヒトIL-21のアミノ酸配列(配列番号1)と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、アミノ酸置換は、配列番号1の位置5、9、73、76、109、113または116のうちの1つ以上にあり、置換アミノ酸(複数可)は、塩基性アミノ酸である。例示的な態様において、本開示のIL-21ムテインは、配列番号1と比較してアミノ酸置換を1つのみ含むアミノ酸配列を含み、配列番号1の位置5、9、73、76、109、113または116のアミノ酸は、塩基性アミノ酸である。
例示的な態様において、本開示のIL-21ムテインは、ヒトIL-21のアミノ酸配列(配列番号1)と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、アミノ酸置換は、配列番号1の位置5、8、9、70または76のうちの1つ以上にあり、置換アミノ酸(複数可)は、芳香族アミノ酸である。例示的な態様において、本開示のIL-21ムテインは、配列番号1と比較してアミノ酸置換を1つのみ含むアミノ酸配列を含み、アミノ酸置換は、配列番号1の位置5、8、9、70または76にあり、置換アミノ酸は、芳香族アミノ酸である。
例示的な態様において、本開示のIL-21ムテインは、ヒトIL-21のアミノ酸配列(配列番号1)と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、アミノ酸置換は、配列番号1の位置5、8、9、12、15、73、76、116または119のうちの1つ以上にあり、置換アミノ酸(複数可)は、側鎖アミドを含むアミノ酸である。例示的な態様において、本開示のIL-21ムテインは、配列番号1と比較してアミノ酸置換を1つのみ含むアミノ酸配列を含み、アミノ酸置換は、配列番号1の位置5、8、9、12、15、73、76、116または119にあり、置換アミノ酸は、側鎖アミドを含むアミノ酸である。
例示的な態様において、本開示のIL-21ムテインは、ヒトIL-21のアミノ酸配列(配列番号1)と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、アミノ酸置換は、配列番号1の位置5、8、9、11、12、14、15、73、76、116または119のうちの1つ以上にあり、置換アミノ酸(複数可)は、側鎖ヒドロキシルを含むアミノ酸である。例示的な態様において、本開示のIL-21ムテインは、配列番号1と比較してアミノ酸置換を1つのみ含むアミノ酸配列を含み、アミノ酸置換は、配列番号1の位置5、8、9、11、12、14、15、73、76、116または119にあり、置換アミノ酸は、側鎖ヒドロキシルを含むアミノ酸である。
例示的な態様において、本開示のIL-21ムテインは、ヒトIL-21のアミノ酸配列(配列番号1)と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、アミノ酸置換は、配列番号1の位置65、66、69、70、72、73、75、76、77または80のうちの1つ以上にあり、置換アミノ酸(複数可)は、イミノ酸である。例示的な態様において、本開示のIL-21ムテインは、配列番号1と比較してアミノ酸置換を1つのみ含むアミノ酸配列を含み、アミノ酸置換は、配列番号1の位置65、66、69、70、72、73、75、76、77または80にあり、置換アミノ酸は、イミノ酸を含むアミノ酸である。
例示的な態様において、本開示のIL-21ムテインは、ヒトIL-21のアミノ酸配列(配列番号1)と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、アミノ酸置換は、配列番号1の位置5、9、15、76、116または119のうちの1つ以上にあり、置換アミノ酸(複数可)は、イオウ含有側鎖を含むアミノ酸である。例示的な態様において、本開示のIL-21ムテインは、配列番号1と比較してアミノ酸置換を1つのみ含むアミノ酸配列を含み、アミノ酸置換は、配列番号1の位置5、9、15、76、116または119にあり、置換アミノ酸は、イオウ含有側鎖を含むアミノ酸を含むアミノ酸である。
例示的な態様において、本開示のIL-21ムテインは、ヒトIL-21のアミノ酸配列(配列番号1)と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、少なくとも1つのアミノ酸置換は、表Aに示されるものである。
例示的な態様において、本開示のIL-21ムテインは、配列番号1と比較してアミノ酸置換を1つのみ含むアミノ酸配列を含み、アミノ酸置換は、表Aに示されるものである。他の実施形態において、本開示のIL-21ムテインは、配列番号1と比較して2つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、アミノ酸置換は、表Aに示されるもののうちの2つである。
例示的な態様において、本開示のIL-21ムテインは、表Bに示されるアミノ酸配列を含む。
例示的な実施形態において、本開示のIL-21ムテインは、配列番号47、48、51、61、62、64~67、69、71~112、114~198、249~254または283のうちのいずれかのアミノ酸配列を含む。例示的な態様において、IL-21ムテインは、配列番号47、48、51、61、62、64~67、69、71~112、114~198、249~254または283のうちの1つに対して、少なくとも少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性であるか、90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
本開示は、配列番号1と比較してアミノ酸置換を2つのみ含むIL-21ムテインを更に提供し、2つのアミノ酸置換は、配列番号1の位置5、9、15、70、71、72、73及び76のうちの2つに存在する。例示的な態様において、IL-21ムテインは、配列番号1と比較してアミノ酸置換を2つのみ含み、2つの置換は、5と76;9と76;15と70;15と71;15と72;15と73;70と73;70と76;71と73;71と76;72と73;72と76;及び73と76からなる群から選択されるアミノ酸位置の対に存在する。例示的な態様において、IL-21は、配列番号199~208及び210~212のアミノ酸配列のいずれか1つを含む。他の態様において、本開示は、配列番号1と比較してアミノ酸置換を2つのみ含むIL-21ムテインを更に提供し、2つのアミノ酸置換は、位置5、9、73及び76または配列番号1のうちの2つに存在する。例示的な態様において,置換のうちの1つは、配列番号1の位置76に存在する。例示的な態様において、配列番号1の位置76の置換アミノ酸は、脂肪族アミノ酸または酸性アミノ酸である。例示的な態様において、脂肪族アミノ酸は、アラニンである。例示的な態様において、酸性アミノ酸は、アスパラギン酸またはグルタミン酸である。例示的な態様において、酸性アミノ酸は、グルタミン酸である。例示的な態様において、IL-21ムテインは、配列番号1の位置76にある置換アミノ酸と、位置5、9または73にある脂肪族アミノ酸または酸性アミノ酸とを含む。例示的な態様において、位置5、9または73にある置換アミノ酸は、脂肪族アミノ酸、酸性アミノ酸、または側鎖アミドを含むアミノ酸である。例示的な態様において、脂肪族アミノ酸は、アラニンであり、酸性アミノ酸は、グルタミン酸であり、側鎖アミドを含むアミノ酸は、グルタミンである。例示的な態様において、IL-21ムテインは、配列番号1の位置76にある置換アミノ酸(任意選択により脂肪族アミノ酸または酸性アミノ酸)と、位置5または9にある置換アミノ酸とを含む(配列番号1のナンバリングに従う)。
例示的な態様において、本開示のIL-21ムテインは、表Cに示される配列番号のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
例示的な態様において、IL-21ムテインは、配列番号213~219及び227~248からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。例示的な態様において、IL-21は、配列番号213~219及び227~248のうちの1つに対して、少なくとも少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性であるか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
ペプチド長
本明細書に記載されるIL-21ムテインは、任意数のアミノ酸ペプチド骨格を含むことができ、すなわち、任意のペプチド長であってよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるペプチドは、配列番号1とほぼ同じ長さであり、すなわち、133(±約1~約20、±約1~約15、±約1~約10または±約1~約5)アミノ酸長である。いくつかの実施形態において、本開示のペプチドは、本明細書に更に記載されるように、別のポリペプチド鎖、例えば、約400~約600アミノ酸を含む抗体重鎖、約150~約300アミノ酸を含む抗体軽鎖に融合されることにより、133アミノ酸長よりも長い。
追加のペプチド修飾
本開示の代替的または追加的実施形態において、IL-21ムテインは、本明細書に更に記載されるように、脂質化(例えば、ミリトイル化、パルミトイル化)、グリコシル化、アミド化、カルボキシル化、リン酸化、エステル化、アシル化、アセチル化、環化もしくは酸付加塩への変換、かつ/または任意選択により二量体化もしくは重合体化もしくはコンジュゲート化される。
薬学的に許容される塩
例示的な態様において、IL-21ムテインは、塩、例えば、薬学的に許容される塩の形態である。そのような塩は、IL-21ムテインの最終的な単離及び精製中にin situで調製することもできるし、遊離塩基官能基を適切な酸と反応させることによって別々に調製することもできる。薬学的に許容される酸付加塩を形成するために利用することができる酸の例には、例えば、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸及びリン酸)及び有機酸(例えば、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸及びクエン酸)が挙げられる。
代表的な酸付加塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イソチオン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸、リン酸塩、グルタミン酸塩、炭酸水素塩、p-トルエンスルホン酸塩及びウンデカン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
塩基性付加塩もまた、IL-21ムテインの最終的な単離及び精製中にin situで調製することもできるし、カルボン酸含有部分を、薬学的に許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩もしくは炭酸水素塩などの好適な塩基と、またはアンモニアもしくは有機一級、二級もしくは三級アミンと反応させることによって調製することもできる。薬学的に許容される塩には、とりわけ、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びアルミニウム塩などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属、ならびにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム及びエチルアンモニウムを含む、非毒性四級アンモニア及びアミンカチオンに基づくカチオンが挙げられるが、これらに限定されない。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的な有機アミンには、例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジンなどが挙げられる。
更に、塩基性窒素含有基は、塩化、臭化及びヨウ化メチル、エチル、プロピル及びブチルなどのハロゲン化低級アルキル;塩化、臭化及びヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチル及びステアリルなどの長鎖ハロゲン化物;臭化ベンジル及び臭化フェネチルなどのハロゲン化アリールアルキルなどの活性化剤で四級化することができる。これにより、水溶性または油溶性または分散性の生成物が得られる。
精製
本開示のIL-21ムテインは、精製することができる。本明細書で使用される「精製された」という用語は、純度が高められたことを意味し、「純度」は、相対的な用語であり、必ずしも完全に純粋であると解釈されるものではない。例示的な態様において、化合物の純度(例えば、組成物内)は、少なくとも50%もしくは約50%、少なくとも60%もしくは約60%、少なくとも70%もしくは約70%、少なくとも80%もしくは約80%、少なくとも90%もしくは約90%、少なくとも95%もしくは約95%、または少なくとも98%もしくは約98%であるか、約100%である。
ペプチド模倣物
いくつかの態様において、IL-21ムテインは、ペプチド模倣物であるか、ムテインの少なくとも一部は、ペプチド模倣物である。ペプチド模倣物及びその作製方法は、当該技術分野において知られている。例えば、Advances in Amino Acid Mimetics and Peptidomimetics,Volumes 1 and 2,ed.,Abell,A.,JAI Press Inc.,Greenwich,CT,2006を参照されたい。いくつかの態様において、ペプチド模倣物は、D-異性体アミノ酸を含むD-ペプチドのペプチド模倣物である。いくつかの態様において、ペプチド模倣物は、アミノ酸の側鎖がペプチド骨格のα窒素原子に接続している、ペプトイドである。ペプトイドの作製方法は、当該技術分野において知られている。例えば、Zuckermann et al.,JACS 114(26):10646-10647(1992)及びDesign,Synthesis,and Evaluation of Novel Peptoids,Fowler,Sarah,University of Wisconsin-Madison,2008を参照されたい。いくつかの態様において、ペプチド模倣物は、α炭素ではなくβ炭素に結合したアミノ基を有するβアミノ酸を含む、β-ペプチドである。β-ペプチドの作製方法は、当該技術分野において知られている。例えば、Seebach et al.,Helvetica Chimica Acta 79(4):913-941(1996)を参照されたい。
結合特性
例示的な実施形態において、IL-21ムテインは、IL-21受容体(IL-21R)に対する野生型IL-21の親和性と比較して低い親和性でIL-21Rに結合する。例示的な実施形態において、IL-21ムテインは、ヒトIL-21Rに対する野生型ヒトIL-21の親和性と比較して低い親和性でヒトIL-21Rに結合する。例示的な実施形態において、IL-21ムテインは、ヒトIL-21Rのα鎖に対する野生型ヒトIL-21の親和性と比較して低い親和性でヒトIL-21Rのα鎖に結合する。具体的な実施形態において、ヒトIL-21Rのα鎖に対する野生型ヒトIL-21の親和性と比較して低い親和性でヒトIL-21Rのα鎖に結合するIL-21ムテインは、配列番号1のアミノ酸位置ナンバリングに従って、5、8、9、12、13、16、19、23、65、66、69、70、72、73、75、76、77、78、79及び80からなる群から選択されるアミノ酸位置に位置する1つ、2つまたはそれ以上の置換を含有する。当該位置に行うことができる具体的なアミノ酸置換は、本明細書で記載されている(例えば、表A、B及びC参照)。
例示的な実施形態において、IL-21ムテインは、ヒトIL-21Rのγ鎖に対する野生型ヒトIL-21の親和性と比較して低い親和性でヒトIL-21Rのγ鎖に結合する。具体的な実施形態において、ヒトIL-21Rのγ鎖に対する野生型ヒトIL-21の親和性と比較して低い親和性でヒトIL-21Rのγ鎖に結合するIL-21ムテインは、配列番号1のアミノ酸位置ナンバリングに従って、11、14、15、109、110、112、113、116、117、119、120及び123からなる群から選択されるアミノ酸位置に位置する1つ、2つまたはそれ以上の置換を含有する。当該位置に行うことができる具体的なアミノ酸置換は、本明細書で記載されている(例えば、表A、B及びC参照)。
例示的な実施形態において、IL-21ムテインは、ヒトIL-21Rのα鎖に対する野生型ヒトIL-21の親和性と比較して低い親和性でヒトIL-21Rのγ鎖に結合する。例示的な実施形態において、IL-21ムテインは、カニクイザルIL-21Rに対する野生型カニクイザルIL-21の親和性と比較して低い親和性でカニクイザルIL-21Rに結合する。例示的な実施形態において、IL-21ムテインは、カニクイザルIL-21Rのα鎖に対する野生型カニクイザルIL-21の親和性と比較して低い親和性でカニクイザルIL-21Rのα鎖に結合する。例示的な実施形態において、IL-21ムテインは、カニクイザルIL-21Rのγ鎖に対する野生型カニクイザルIL-21の親和性と比較して低い親和性でカニクイザルIL-21Rのγ鎖に結合する。例示的な実施形態において、IL-21ムテインは、カニクイザルIL-21Rのα鎖に対する野生型カニクイザルIL-21の親和性と比較して低い親和性でカニクイザルIL-21Rのγ鎖に結合する。
本明細書で提供されるIL-21ムテインは、非共有結合的かつ可逆的にIL-21Rに結合する。例示的な実施形態において、IL-21Rに対するムテインの結合の強さは、その親和性、すなわち、ムテインの結合部位とIL-21Rとの間の相互作用の強さの尺度で表すことができる。例示的な態様において、本明細書で提供されるIL-21ムテインは、IL-21Rに対して高親和性を有し、したがって、低親和性のIL-21ムテインよりも短い時間でより多量のIL-21Rに結合する。例示的な態様において、本明細書で提供されるIL-21ムテインは、IL-21Rに対して低親和性を有し、したがって、高親和性IL-21ムテインよりも長い時間でより少量のIL-21Rに結合する。例示的な態様において、IL-21ムテインは、少なくとも105M-1、少なくとも106M-1、少なくとも107M-1、少なくとも108M-1、少なくとも109M-1、または少なくとも1010M-1である平衡結合定数KAを有する。当業者によって理解されるように、KAは、pH、温度及び緩衝液の組成などの因子による影響を受け得る。
例示的な実施形態において、IL-21Rに対するIL-21ムテインの結合の強さは、感度で表すことができる。KDは、IL-21ムテイン及びIL-21Rとの間のkoff/konの比である平衡解離定数である。KD及びKAは、逆の関係にある。KD値は、ムテインの濃度(特定の実験に必要とされるムテインの量)に関係することから、KD値が小さいほど(必要とされる濃度が低いほど)ムテインの親和性は高くなる。例示的な態様において、IL-21Rに対するIL-21ムテインの結合の強さは、KDで記述することができる。例示的な態様において、本明細書で提供されるIL-21ムテインのKDは、約10-1M、約10-2M、約10-3M、約10-4M、約10-5M、約10-6Mまたはそれ以下である。例示的な態様において、本明細書で提供されるIL-21ムテインのKDは、マイクロモル、ナノモル、ピコモルまたはフェムトモルである。例示的な態様において、本明細書で提供されるIL-21ムテインのKDは、約10-4~10-6M、または10-7~10-9M、または10-10~10-12M、または10-13~10-15Mの範囲内である。例示的な態様において、IL-21ムテインは、0.04nMよりも高いKD、または約0.04nMのKDで、ヒトIL-21Rに結合する。例示的な態様において、IL-21ムテインは、約0.01nM~約20nM、0.02nM~20nM、0.05nM~20nM、0.05nM~15nM、0.1nM~15nM、0.1nM~10nM、1nM~10nM、または5nM~10nMのKDでヒトIL-21Rに結合する。例示的な態様において、IL-21ムテインは、0.055nMよりも高いKD、または約0.055nMのKDで、カニクイザルIL-21Rに結合する。例示的な態様において、IL-21ムテインは、約0.01nM~約20nM、0.02nM~20nM、0.05nM~20nM、0.05nM~15nM、0.1nM~15nM、0.1nM~10nM、1nM~10nM、または5nM~10nMのKDでカニクイザルIL-21Rに結合する。
例示的な実施形態において、IL-21ムテインは、IL-21Rα鎖に対する結合親和性の低下を示す。例示的な態様において、IL-21ムテインは、IL-21Rα鎖に対する結合親和性が約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975倍、1000倍またはそれ以上の低下を示すムテイン(例えば、シングルまたはダブル)である。例示的な態様において、IL-21ムテインは、IL-21Rα鎖に対する結合親和性の低下を示す、ダブルムテインである。
例示的な態様において、上記のIL-21ムテイン(例えば、シングルまたはダブルムテイン)の結合親和性の低下は、IL-21Rα鎖に対する野生型ヒトIL-21の約0.025nMの親和性と比較して、IL-21Rα鎖に対する親和性の低下をもたらす。したがって、上に記載した2倍の親和性の低下は、IL-21Rα鎖に対するIL-21ムテインの親和性が約0.05nMになることとなる。そのため、例示的な実施形態において、IL-21ムテイン(例えば、シングルまたはダブル)は、IL-21Rα鎖に対して、約0.05、0.125、0.25、0.375、0.5、0.625、0.75、0.875、1.0、1.125、1.25、1.375、1.5、1.625、1.75、1.875、2.0、2.125、2.25、2.375、2.5、2.625、2.75、2.875、3.0、3.125、3.25、3.375、3.5、3.625、3.75、4.375、5、5.625、6.25、6.875、7.5、8.125、8.75、9.375、10.0、10.625、11.25、11.875、12.5、13.125、13.75、14.375、15.0、15.625、16.25、16.875、17.5、18.125、18.75、19.375、20.0、20.625、21.25、21.875、22.5、23.125、23.75、24.375、25nM、またはそれ以上の親和性を有する。例示的な態様において、IL-21ムテインは、IL-21Rα鎖に対する結合親和性の低下を示す、ダブルムテインである。
例示的な実施形態において、IL-21ムテインは、in vitro STAT3リン酸化アッセイによって測定したとき、活性の低下を示す。例示的な態様において、IL-21ムテインは、STAT3リン酸化アッセイによって測定したとき、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975倍、1000倍またはそれ以上の活性の低下を示すムテイン(例えば、シングルまたはダブル)である。例示的な態様において、IL-21ムテインは、STAT3リン酸化アッセイによって測定したとき、活性の低下を示す、ダブルムテインである。
IL-21ムテインコンジュゲート
本開示はまた、異種部分に連結された本開示のIL-21ムテインのうちの1つ以上を含む、コンジュゲートを提供する。本明細書で使用されるとき、「異種部分」という用語は、「コンジュゲート部分」という用語と同義であり、本明細書に記載されるIL-21ムテインとは異なる任意の分子(化学的もしくは生化学的、天然または非コード分子)を指す。本明細書に記載されるIL-21ムテインのいずれかに連結することができる例示的なコンジュゲート部分には、異種ペプチドもしくはポリペプチド(例えば、免疫グロブリンまたはその一部(例えば、可変領域、CDRまたはFc領域)を含む)、標的化因子、診断標識(放射性同位体、フルオロフォアまたは酵素標識など)、水溶性ポリマーを含むポリマー、または他の治療薬もしくは診断薬が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本開示のIL-21ムテインと、免疫グロブリンとを含むコンジュゲートが提供される。コンジュゲートは、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるIL-21ムテインのうちの1つ以上と、ペプチド(本明細書に記載されるIL-21ムテインとは別のもの)、ポリペプチド、核酸分子、抗体またはその断片、ポリマー、量子ドット、小分子、毒素、診断薬、炭水化物、アミノ酸のうちの1つ以上とを含む。
例示的な実施形態において、本開示のコンジュゲートは、本明細書に記載されるIL-21ムテインと、ポリペプチド(例えば、本明細書に記載されるIL-21ムテインのいずれとも異なるポリペプチド)である異種部分とを含み、コンジュゲートは、融合ポリペプチドもしくは融合タンパク質またはキメラタンパク質もしくはキメラポリペプチドである。このようなコンジュゲートについての更なる記載は、「融合タンパク質」以下に本明細書で提供される。
いくつかの実施形態において、異種部分は、非共有結合または共有結合を介して、本開示のIL-21ムテインに結合される。例示的な態様において、IL-21ムテインと異種部分との間の連結は、共有化学結合、例えば、ペプチド結合、ジスルフィド結合などを介して、または物理的な力、静電気、水素、イオン、ファンデルワールスもしくは疎水性もしくは親水性相互作用を介して、達成される。例えば、ビオチン-アビジン、リガンド/受容体、酵素/基質、核酸/核酸結合タンパク質、脂質/脂質結合タンパク質、細胞接着分子パートナー;または互いに親和性を有する任意の結合パートナーもしくはその断片を含む、様々な非共有結合型の結合系を使用することができる。
IL-21ムテインは、例示的な実施形態において、IL-21ムテインの標的アミノ酸残基を、これらの標的アミノ酸のうちの選択された側鎖またはN末端もしくはC末端残基と反応することができる有機誘導体化剤と反応させることによる、直接的な共有結合を介して、コンジュゲート部分に連結される。IL-21ムテインまたはコンジュゲート部分上の反応性基には、例えば、アルデヒド基、アミノ基、エステル基、チオール基、α-ハロアセチル基、マレイミド基またはヒドラジノ基が挙げられる。誘導体化剤には、例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介するコンジュゲート)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リシン残基を介する)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸または当該技術分野において知られている他の剤が挙げられる。あるいは、コンジュゲート部分は、多糖担体またはポリペプチド担体などの中間担体を介して間接的にIL-21ムテインに連結することができる。多糖担体の例には、アミノデキストランが挙げられる。好適なポリペプチド担体の例には、ポリリシン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、これらのコポリマー、及びこれらのアミノ酸と他のアミノ酸(例えば、セリン)との混合ポリマーが挙げられ、得られる担持担体に望ましい溶解特性を与える。
システイニル残基は、クロロ酢酸、クロロアセトアミドなどのα-ハロアセテート(及び対応するアミン)と最も一般的に反応して、カルボキシメチル誘導体またはカルボキシアミドメチル誘導体を与える。システイニル残基はまた、ブロモトリフルオロアセトン、α-ブロモ-β-(5-イミドゾイル)プロピオン酸、クロロアセチルホスフェート、N-アルキルマレイミド、3-ニトロ-2-ピリジルジスルフィド、メチル2-ピリジルジスルフィド、p-クロロ安息香酸水銀、2-クロロ水銀-4-ニトロフェノール、またはクロロ-7-ニトロベンゾ-2-オキサ-1,3-ジアゾールとの反応により誘導体化される。
ヒスチジル残基は、pH5.5~7.0でジエチルピロカーボネートとの反応により誘導体化される。これは、この剤がヒスチジル側鎖に対して比較的に特異的であるためである。パラ-ブロモフェナシルブロミドもまた有用であり、この反応は、好ましくは、0.1Mカコジル酸ナトリウム中pH6.0で実施される。
リシニル残基及びアミノ端末残基は、コハク酸または他のカルボン酸無水物と反応する。これらの剤による誘導体化は、リシニル残基の電荷を逆転させる効果がある。α-アミノ含有残基を誘導体化するのに好適な他の試薬には、ピコリンイミド酸メチルなどのイミドエステル、ピリドキサールリン酸、ピリドキサール、クロロボロヒドリド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O-メチルイソ尿素、2,4-ペンタンジオン、及びグリオキシル酸とのアミノ基転移酵素触媒反応が挙げられる。
アルギニル残基は、1つまたは複数の従来の試薬、とりわけ、フェニルグリオキサール、2,3-ブタンジオン、1,2-シクロヘキサンジオン及びニンヒドリンとの反応によって修飾される。アルギニン残基の誘導体化は、グアニジン官能基のpKaが高いので、反応をアルカリ条件で実施する必要がある。更に、これらの試薬は、リシンの各基及びアルギニンのε-アミノ基と反応し得る。
チロシル残基に対して特定の修飾を行ってもよく、特に興味深いものは、芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンとの反応によって、チロシル残基にスペクトル標識を導入することである。最も一般的には、O-アセチルチロシル種及び3-ニトロ誘導体を形成するために、N-アセチルイミダゾール及びテトラニトロメタンがそれぞれ使用される。
カルボキシル側基(アスパルチルまたはグルタミル)は、カルボジイミド(R-N=C=N-R’)(式中、R及びR’は、異なるアルキル基、例えば、1-シクロヘキシル-3-(2-モルホリニル-4-エチル)カルボジイミドまたは1-エチル-3-(4-アゾニア-4,4-ジメチルペンチル)カルボジイミドなど)との反応によって、選択的に修飾される。更に、アスパルチル残基及びグルタミル残基は、アンモニウムイオンとの反応によって、アスパラギニル残基及びグルタミニル残基に変換される。
他の修飾には、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル残基もしくはスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リシン、アルギニン及びヒスチジン側鎖のα-アミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties,W.H.Freeman & Co.,San Francisco,pp.79-86(1983))、アスパラギンもしくはグルタミンの脱アミド化、N末端アミンのアセチル化、ならびに/またはC末端カルボン酸基のアミド化もしくはエステル化が挙げられる。
共有結合修飾の別の種類は、グリコシドをIL-21ムテインに化学的または酵素的にカップリングすることを伴う。糖(複数可)は、(a)アルギニン及びヒスチジン、(b)遊離カルボキシル基、(c)遊離スルフヒドリル基、例えば、システインのものなど、(d)遊離ヒドロキシル基、例えば、セリン、トレオニンもしくはヒドロキシプロリンのものなど、(e)芳香族残基、例えば、チロシンもしくはトリプトファンのものなど、または(f)グルタミンのアミド基に結合され得る。これらの方法は、1987年9月11日に公開されたWO87/05330及びAplin and Wriston,CRC Crit.Rev.Biochem.,pp.259-306(1981)に記載されている。
例示的な態様において、異種部分は、本開示のIL-21ムテインにリンカーを介して結合される。いくつかの態様において、リンカーは、1~約60個、または1~30個より長い原子、2~5個の原子、2~10個の原子、5~10個の原子、または10~20個の長さの原子の原子鎖を含む。いくつかの実施形態において、鎖原子は、全て炭素原子である。いくつかの実施形態において、リンカー主鎖中の鎖原子は、C、O、N及びSからなる群から選択される。鎖原子及びリンカーは、溶解性のより高いコンジュゲートをもたらすように、予想される溶解性(親水性)に従って選択することができる。いくつかの実施形態において、リンカーは、標的の組織または器官または細胞で認められる、酵素または他の触媒または加水分解条件による切断を受ける官能基を提供する。いくつかの実施形態において、リンカーの長さは、立体障害となる可能性を低減するのに十分な長さである。リンカーが共有結合またはペプチジル結合であり、コンジュゲートがポリペプチドである場合、そのコンジュゲート全体は、融合タンパク質であり得る。そのようなペプチジルリンカーは、任意の長さであってよい。例示的なペプチジルリンカーは、約1~50アミノ酸長、5~50、3~5、5~10、5~15、または10~30アミノ酸長であり、柔軟性または剛直性である。例示的な態様において、リンカーは、約2~約20アミノ酸を含むペプチドである。例示的な態様において、リンカーは、約2~約15アミノ酸、約2~約10アミノ酸、または約2~約5アミノ酸を含むペプチドである。好適なペプチドリンカーは、当該技術分野において知られている。例えば、Chen et al.,Adv Drug Delivery Reviews 65(10):1357-1369(2013);Arai et al.,Protein Eng Des Sel 14(8):529-532(2001);及びWriggers et al.,Curr Trends in Peptide Science 80(6):736-746(2005)を参照されたい。例示的な態様において、リンカーは、アミノ酸配列GGGGS(配列番号262)を含むペプチドである。
融合タンパク質
例示的な実施形態において、IL-21ムテインは、本明細書に記載されるIL-21ムテインのいずれとも異なるポリペプチドに連結され、コンジュゲートは、融合ポリペプチドもしくは融合タンパク質またはキメラタンパク質もしくはキメラポリペプチドである。したがって、本開示は、本開示のIL-21ムテインと、異種ポリペプチドまたはペプチドとを含む、融合ポリペプチドまたは融合タンパク質を提供する。例示的な態様において、本開示の融合タンパク質は、抗原結合タンパク質に連結された本開示のIL-21ムテインを含む。例示的な態様において、抗原結合タンパク質は、抗体もしくは免疫グロブリン、またはその抗原結合抗体断片、または抗体タンパク質生成物である。
集合的に、抗体は、免疫グロブリンとして知られる血漿タンパク質ファミリーを形成し、免疫グロブリンドメインから構成される(Janeway et al.,Immunobiology:The Immune System in Health and Disease,4th ed.,Elsevier Science Ltd./Garland Publishing,1999。本明細書で使用されるとき、「抗体」という用語は、重鎖及び軽鎖を含み、かつ可変領域及び定常領域を含む、従来の免疫グロブリン型を有するタンパク質を指す。例えば、抗体は、2つの同一のポリペプチド鎖の対である「Y型」構造であり、各対が1つの「軽鎖」(典型的に約25kDaの分子量を有する)と、1つの「重鎖」(典型的に約50~70kDaaの分子量を有する)とを有する、IgGであってよい。抗体は、可変領域及び定常領域を有する。IgG型において、可変領域は、一般に、約100~110またはそれ以上のアミノ酸であり、3つの相補性決定領域(CDR)を含み、抗原認識を主に担い、異なる抗原に結合する他の抗体とは実質的に異なっている。定常領域は、抗体が免疫系の細胞及び分子を動員するのを可能にする。可変領域は、軽鎖及び重鎖のそれぞれのN末端領域からなり、定常領域は、重鎖及び軽鎖のそれぞれのC末端部分からなる(Janeway et al.,“Structure of the Antibody Molecule and the Immunoglobulin Genes”,Immunobiology:The Immune System in Health and Disease,4th ed.Elsevier Science Ltd./Garland Publishing,(1999))。
抗体のCDRの一般構造及び性質は、当該技術分野において記載されている。簡潔に述べれば、抗体足場中、CDRは、重鎖及び軽鎖可変領域のフレームワーク内に埋め込まれ、抗原結合及び抗原認識を主に担う領域を構成する。可変領域は、典型的に、フレームワーク領域内に少なくとも3つの重鎖または軽鎖CDRを含む(Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Public Health Service N.I.H.,Bethesda,Md.、また、Chothia and Lesk,1987,J.Mol.Biol.196:901-917;Chothia et al.,1989,Nature 342:877-883も参照のこと)(フレームワーク領域は、Kabat et al.,1991によりフレームワーク領域1~4、FR1、FR2、FR及びFR4と命名されている;上掲のChothia and Lesk,1987も参照のこと)。
抗体は、当該技術分野において知られる任意の定常領域を含み得る。ヒト軽鎖は、κ軽鎖及びλ軽鎖に分類される。重鎖は、μ、δ、γ、αまたはεに分類され、それぞれ、IgM、IgD、IgG、IgA及びIgEという抗体アイソタイプを定義する。IgGは、限定するものではないが、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を含む複数のサブクラスを有する。IgMは、限定するものではないが、IgM1及びIgM2を含むサブクラスを有する。本開示の実施形態は、抗体のそのようなクラスまたはアイソタイプを全て含む。軽鎖定常領域は、例えば、κ型またはλ型の軽鎖定常領域、例えば、ヒトκ型またはλ型の軽鎖定常領域であり得る。重鎖定常領域は、例えば、α型、δ型、ε型、γ型またはμ型の重鎖定常領域、例えば、ヒトα型、δ型、ε型、γ型またはμ型の重鎖定常領域であり得る。したがって、例示的な実施形態において、抗体は、アイソタイプIgA、IgD、IgE、IgGまたはIgMの抗体であり、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4のいずれか1つを含む。
抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であり得る。いくつかの実施形態において、抗体は、哺乳動物、例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマ、ニワトリ、ハムスター、ヒトなどによって産生される天然抗体に実質的に類似する配列を含む。この点に関して、抗体は、哺乳動物抗体、例えば、マウス抗体、ウサギ抗体、ヤギ抗体、ウマ抗体、ニワトリ抗体、ハムスター抗体、ヒト抗体などとみなすことができる。ある特定の態様において、抗体は、ヒト抗体である。ある特定の態様において、抗体は、キメラ抗体またはヒト化抗体である。「キメラ抗体」という用語は、2つ以上の異なる抗体に由来するドメインを含有する抗体を指す。キメラ抗体は、例えば、1つの種に由来する定常ドメインと、第2の種に由来する可変ドメインとを含有することができ、あるいは、より一般的には、少なくとも2つの種に由来するアミノ酸配列のストレッチを含有することができる。キメラ抗体はまた、同じ種内の2つ以上の異なる抗体のドメインを含有することができる。「ヒト化」という用語は、抗体に関して使用される場合、元の供給源の抗体よりも本物のヒト抗体に類似した構造及び免疫機能を有するように操作された、非ヒト供給源に由来するCDR領域を少なくとも有する抗体を指す。例えば、ヒト化は、マウス抗体などの非ヒト抗体に由来するCDRをヒト抗体にグラフト化することを伴い得る。ヒト化はまた、非ヒト配列がヒト配列により類似するようにアミノ酸置換を選択することを伴い得る。
抗体は、例えば、パパイン及びペプシンなどの酵素によって断片に切断することができる。パパインは、2つのFab断片及び1つのFc断片を与えるように抗体を切断する。ペプシンは、F(ab’)2断片及びpFc’断片を与えるように抗体を切断する。本開示の例示的な態様において、本開示の融合タンパク質は、抗原結合抗体断片を含む。本明細書で使用されるとき、「抗原結合抗体断片」という用語は、抗体の抗原に結合することができる抗体分子の一部を指し、「抗原結合断片」または「抗原結合部分」としても知られる。例示的な場合において、抗原結合抗体断片は、Fab断片またはF(ab’)2断片である。
抗体の構造は、少なくとも約12~150kDaの分子量範囲に及び、単量体(n=1)から二量体(n=2)、三量体(n=3)、四量体(n=4)まで、また場合によっては更に高次の価数(n)範囲を有する、広範な代替形態を創出するために利用されており、このような代替形態は、本明細書中、「抗体タンパク質生成物」と呼ばれる。抗体タンパク質生成物には、完全な抗体構造をベースにするもの、及び完全な抗原結合能力を保持する抗体断片を模倣するもの、例えば、scFv、Fab及びVHH/VH(後述)が挙げられる。完全な抗原結合部位を保持する最小の抗原結合抗体断片は、可変(V)領域から完全になるFv断片である。分子を安定化させるには、柔軟性のある可溶性アミノ酸ペプチドリンカーを使用して各V領域を接続してscFv(一本鎖可変部)にするか、定常(C)ドメインをV領域に付加してFab断片[抗原結合断片]を生成する。scFv断片とFab断片はいずれも、宿主細胞、例えば、原核生物の宿主細胞で容易に産生することができる。他の抗体タンパク質生成物には、ジスルフィド結合により安定化されたscFv(ds-scFv)、一本鎖Fab(scFab)、ならびにダイアボディ、トリアボディ及びテトラボディのような二量体及び多量体抗体の形態、またはオリゴマー形成ドメインに連結されたscFvからなる異なる形態を含むミニボディ(miniAb)が挙げられる。最小断片は、ラクダ化重鎖AbのVHH/VH及び単一ドメインAb(sdAb)である。新規抗体フォーマットを創出するために最も頻繁に使用される構成単位は、一本鎖可変(V)ドメイン抗体断片(scFv)であり、この断片は、約15アミノ酸残基のペプチドリンカーによって連結された、重鎖及び軽鎖に由来するVドメイン(VH及びVLドメイン)を含む。ペプチボディまたはペプチドFc融合体は、更に、別の抗体タンパク質生成物である。ペプチボディの構造は、Fcドメインにグラフト化された生物学的に活性なペプチドから構成される。ペプチボディは、当該技術分野において十分に記載されている。例えば、Shimamoto et al.,mAbs 4(5):586-591(2012)を参照されたい。
他の抗体タンパク質生成物には、一本鎖抗体(SCA)、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、二重特異性抗体または三重特異性抗体などが含まれる。二重特異性抗体は、5つの主要なクラス、すなわちBsIgG、付加IgG、BsAb断片、二重特異性融合タンパク質及びBsAbコンジュゲートに分けることができる。例えば、Spiess et al.,Molecular Immunology 67(2)Part A:97-106(2015)を参照されたい。
例示的な態様において、本開示の融合タンパク質は、これらの抗体タンパク質生成物のいずれか1つを含む。例示的な態様において、本開示の融合タンパク質は、scFv、Fab VHH/VH、Fv断片、ds-scFv、scFab、二量体抗体、多量体抗体(例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、miniAb、ペプチボディ ラクダ化重鎖抗体のVHH/VH、sdAb、ダイアボディ;トリアボディ;テトラボディ;二重特異性抗体または三重特異性抗体、BsIgG、付加IgG、BsAb断片、二重特異性融合タンパク質及びBsAbコンジュゲートのいずれか1つを含む。
例示的な場合において、本開示の融合タンパク質は、単量体、または高分子体、オリゴマー体もしくは多量体である抗体タンパク質生成物を含む。抗体が2つ以上の異なる抗原結合領域断片を含むある特定の実施形態において、抗体は、抗体によって認識され、結合される別個のエピトープの数に応じて、二重特異性、三重特異性もしくは多重特異性、または二価、三価もしくは多価とみなされる。
例示的な実施形態において、抗体、抗原結合抗体断片または抗体タンパク質生成物は、腫瘍抗原に結合する。例示的な態様において、腫瘍抗原は、ウイルスタンパク質に由来する抗原、点変異に由来する抗原、またはがん生殖細胞遺伝子によってコードされる抗原である。例示的な態様において、腫瘍抗原は、p53、KRAS、NRAS、MAGEA、MAGEB、MAGEC、BAGE、GAGE、LAGE/NY-ESO1、SSX、チロシナーゼ、gp100/pmel17、Melan-A/MART-1、gp75/TRP1、TRP2、CEA、RAGE-1、HER2/NEU、WT1である。例示的な態様において、本開示の融合タンパク質の抗体、抗原結合抗体断片または抗体タンパク質生成物は、本明細書に記載される免疫療法薬に結合するか、免疫療法薬である。例示的な態様において、本開示の融合タンパク質の抗体、抗原結合抗体断片または抗体タンパク質生成物は、本明細書に記載されるサイトカイン、リンフォカイン、成長因子または造血因子に結合する。
例示的な実施形態において、本開示の融合タンパク質は、サイトカイン(例えば、本明細書に記載されるIL-21ムテイン)と、免疫チェックポイント経路のタンパク質、腫瘍抗原、サイトカイン、リンフォカイン、成長因子または他の造血因子(限定するものではないが、本明細書に記載されるもののいずれかが挙げられる)に結合する抗体、その抗原結合抗体断片または抗体タンパク質生成物とを含む。例示的な実施形態において、本開示の融合タンパク質は、サイトカイン(例えば、本明細書に記載されるIL-21ムテイン)と、CTLA-4、PD-1、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、CEACAM-1、TIGIT、LAG3、CD112、CD112R、CD96、TIM3、BTLAまたは共刺激受容体:ICOS、OX40、41BB、CD27、GITRからなる群から選択される免疫チェックポイント経路のタンパク質に結合する抗体、その抗原結合抗体断片または抗体タンパク質生成物とを含む。
他の実施形態において、本開示の融合タンパク質は、サイトカインと、免疫チェックポイント経路のタンパク質に結合する抗体(または抗原結合抗体その断片)とを含む。好適なサイトカインには、例えば、TH-1型応答を高めるサイトカイン;及びSTAT1、3、4または5を活性化するサイトカインが挙げられる。いくつかの実施形態において、サイトカインは、インターロイキンである。他の実施形態において、サイトカインは、例えば、IL-2、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15またはIL-21などのT細胞の活性を高めるインターロイキンである。そのようなサイトカインは、修飾され(例えば、変異により)、対応する受容体に対する親和性を弱めることができる。そのようなムテインは、オフターゲット及び不要な相互作用を低減させることによって、安全性プロファイルの改善を示し得る。したがって、サイトカインを修飾することで、IL-2、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15またはIL-21ムテインを生成することができる。特定の実施形態において、サイトカインは、本明細書に記載されるIL-21ムテインである。免疫チェックポイント経路のタンパク質に結合する好適な抗体(またはその抗原結合抗体断片)には、例えば、CTLA-4、PD-1、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、TIGIT、LAG3、CD112、TIM3、BTLAまたは共刺激受容体:ICOS、OX40、41BBもしくはGITRに結合するものが挙げられる。特定の実施形態において、抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、PD-1(例えば、ヒトPD-1)に結合する。
他の実施形態において、本開示の融合タンパク質は、サイトカインと、抗体(またはその抗原結合抗体断片)と、少なくとも1つの追加の標的化部分とを含む、多重特異性融合タンパク質である。例えば、本開示の融合タンパク質は、サイトカインと、抗体(またはその抗原結合抗体断片)と、1つの追加の標的化部分とを含む、三重特異性融合タンパク質であり得る。
例示的な実施形態において、本開示の融合タンパク質は、本明細書に記載されるIL-21ムテインと、PD-1結合アンタゴニストとを含む。「PD-1結合アンタゴニスト」という用語は、PD-1と、その結合パートナー(PD-L1、PD-L2など)のうちの1つ以上との相互作用から生じるシグナル伝達を減少、遮断、阻害、無効または妨害する分子を指す。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1のその結合パートナーのうちの1つ以上への結合を阻害する分子である。具体的な態様において、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1がPD-L1及び/またはPD-L2に結合するのを阻害する。例えば、PD-1結合アンタゴニストには、PD-1と、PD-L1及び/またはPD-L2との相互作用から生じるシグナル伝達を減少、遮断、阻害、無効または妨害する、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド及び他の分子が挙げられる。一実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1を介したシグナル伝達により媒介される、Tリンパ球上に発現された細胞表面タンパク質によって、または当該タンパク質を介して媒介される、負の共刺激シグナルを低減させるものであり、これにより、正常に機能していないT細胞の機能障害を小さくする(例えば、抗原認識に対するエフェクター反応を高める)。いくつかの実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体である。抗PD-1抗体の例には、ニボルマブ(BMS-936558)、ペンブロリズマブ(MK-3475)、BMS936558、BMS-936559、TSR-042(Tesaro)、ePDR001(Novartis)及びピジリズマブ(CT-011)が挙げられる。PD-1結合アンタゴニストの更なる具体例は、以下に記載される。
例示的な実施形態において、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1に結合する抗原結合タンパク質を含むか、当該タンパク質から実質的になるか、当該タンパク質からなる。例示的な態様において、抗原結合タンパク質は、PD-1に結合する、抗体、その抗原結合抗体断片または抗体タンパク質生成物である。
例示的な態様において、本開示の融合タンパク質は、本明細書に記載されるIL-21ムテインと、抗PD-1抗体(本明細書に記載されるもの)、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、モノクローナルIgGである。例示的な場合において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、一価または二価である。例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、配列番号263のアミノ酸配列を有するヒトPD-1に結合する。例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、配列番号264のアミノ酸配列を有するカニクイザルPD-1に結合する。例示的な場合において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、ヒトPD-1とカニクイザルPD-1の両方に結合する。例示的な場合において、本開示の融合タンパク質は、IL-21ムテイン(本明細書に記載されるもの)と、抗PD-1抗体(本明細書に記載されるもの)とを含む。
例示的な実施形態において、PD-1に対する抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物の結合の強さは、KDで記述することができる。例示的な態様において、本明細書で提供される抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物のKDは、約10-1M、約10-2M、約10-3M、約10-4M、約10-5M、約10-6M、約10-7M、約10-8M、約10-9Mまたはそれ以下である。例示的な態様において、本明細書で提供される抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物のKDは、マイクロモル、ナノモル、ピコモルまたはフェムトモルである。例示的な態様において、本明細書で提供される抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物のKDは、約10-4~10-6M、または10-7~10-9M、または10-10~10-12M、または10-13~10-15Mの範囲内である。例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、ヒトPD-1、カニクイザルPD-1またはその両方に対して、高い親和性を有する。例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、ヒトPD-1に対して、100pM未満、任意選択により約1pM~約50pMのKDを有する。例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、ヒトPD-1に対して、約1pM~約20pM以内、または約10pM未満のKDを有する。例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、カニクイザルPD-1に対して、100pM未満、任意選択により約1pM~約75pMのKDを有する。例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、カニクイザルPD-1に対して、約1pM~約20pM以内、または10pM未満のKDを有する。
例示的な場合において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、PD-1と、その結合パートナー(PD-L1、PD-L2など)のうちの1つ以上との相互作用から生じるシグナル伝達を減少、遮断、阻害、無効または妨害するPD-1結合アンタゴニストである。例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、PD-1がそのリガンドPD-L1またはPD-L2に結合するのを遮断する。例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、PD-1とPD-L1またはPD-L2との間の結合相互作用の少なくとも50%を阻害する。例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、PD-1とPD-L1またはPD-L2との間の結合相互作用の少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%の阻害を示す。
例示的な場合において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、混合リンパ球反応(MLR)において、T細胞によるPD-1を介したIL-2産生を阻害する。例示的な態様において、MLRにおける抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物のIC50は、約0.1nM~約5nM以内である。例示的な態様において、MLRにおける抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物のIC50は、2nM未満または1nM未満である。例示的な態様において、MLRにおける抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物のIC50は、約0.5nM~約2nMである。
例示的な場合において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、(a)配列番号312、322、332、342、352、362、372及び382からなる群から選択される重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)1アミノ酸配列(表D参照)、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(b)配列番号313、323、333、343、353、363、373及び383からなる群から選択されるHC CDR2アミノ酸配列(表D参照)、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(c)配列番号314、324、334、344、3545、364、374及び384からなる群から選択されるHC CDR3アミノ酸配列(表D参照)、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(d)315、325、335、345、355、365、375及び385からなる群から選択される軽鎖(LC)CDR1アミノ酸配列(表D参照)、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(e)316、326、336、346、356、366、376及び386からなる群から選択されるLC CDR2アミノ酸配列(表D参照)、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(f)317、327、337、347、357、367、377及び387からなる群から選択されるLC CDR3アミノ酸配列(表D参照)、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(g)(a)~(f)のいずれか2つ、3つ、4つ、5つまたは6つの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、抗PD-1抗体タンパク質生成物は、そのようなCDRを含む。
番号は、関係する配列番号を表す。
例示的な態様において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、表Dに記載されるLC CDR1アミノ酸配列、LC CDR2アミノ酸配列及びLC CDR3アミノ酸配列と、表Dに記載されるHC CDRアミノ酸配列のうちの少なくとも1つまたは2つとを含む。例示的な態様において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、表Dに記載されるHC CDR1アミノ酸配列、HC CDR2アミノ酸配列及びHC CDR3アミノ酸配列と、表Dに記載されるLC CDRアミノ酸配列のうちの少なくとも1つまたは2つとを含む。いくつかの実施形態において、抗PD-1抗体タンパク質生成物は、そのようなCDRを含む。
例示的な実施形態において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、表Dの1つの縦列中に配列番号で指定されるアミノ酸配列のうちの3つ、4つ、5つまたは6つ全てを含む。例示的な実施形態において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、表Dの1つの縦列中に配列番号で指定されるLC CDRアミノ酸配列のそれぞれと、表Dの同じ1つの縦列中または別の縦列中に配列番号で指定されるHC CDRアミノ酸配列のうちの少なくとも1つまたは2つとを含む。例示的な実施形態において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、表Dの1つの縦列中に配列番号で指定されるHC CDRアミノ酸配列のそれぞれと、表Dの同じ1つの縦列中または別の縦列中に配列番号で指定されるLC CDRアミノ酸配列のうちの少なくとも1つまたは2つとを含む。例示的な実施形態において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、(a)配列番号312~317、(b)配列番号322~327、(c)配列番号332~337、(d)配列番号342~347、(e)配列番号352~357、(f)配列番号362~367、(g)配列番号372~377、及び(h)配列番号382~387からなる群から選択される6つのCDRアミノ酸配列を含む。具体的な実施形態において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、表D中の20A2、20C1、22D4、20C1.006、20C1.009、20A2.003、22D4.006または22D4.017抗体のいずれか1つのCDRアミノ酸配列のうちの6つ全てを含む。いくつかの実施形態において、抗PD-1抗体タンパク質生成物は、そのようなCDRを含む。
例示的な場合において、表Dのアミノ酸配列は、少なくとも1つまたはそれ以上(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)の介在アミノ酸(複数可)によって隔てられる。例示的な場合において、LC CDR1とLC CDR2の配列間に約10~約20アミノ酸があり、LC CDR2とLC CDR3の配列間に約25~約40アミノ酸がある。例示的な場合において、LC CDR1とLC CDR2の配列間に約14~約16アミノ酸があり、LC CDR2とLC CDR3の配列間に約30~約35アミノ酸がある。例示的な場合において、HC CDR1とHC CDR2の配列間に約10~約20アミノ酸があり、HC CDR2とHC CDR3の配列間に約25~約40アミノ酸がある。例示的な場合において、HC CDR1とHC CDR2の配列間に約14~約16アミノ酸があり、HC CDR2とHC CDR3の配列間に約30~約35アミノ酸がある。
例示的な実施形態において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、(a)318、328、338、348、358、368、378及び388からなる群から選択される重鎖可変領域アミノ酸配列(表E参照)、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(b)319、329、339、349、359、369、379及び389からなる群から選択される軽鎖可変領域アミノ酸配列(表E参照)、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(c)(a)と(b)の両方を含む。いくつかの実施形態において、抗PD-1抗体タンパク質生成物は、そのような可変領域を含む。
番号は、関係する配列番号を表す。
例示的な実施形態において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、(a)配列番号318と319、(b)配列番号328と329、(c)配列番号338と339、(d)配列番号348と349、(e)配列番号358と359、(f)配列番号368と369、(g)配列番号378と379、及び(h)配列番号388と389からなる群から選択されるアミノ酸配列対を含む。
例示的な実施形態において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、(a)320、330、340、350、360、370、380、及び390からなる群から選択される重鎖アミノ酸配列(表E参照)、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(b)321、331、341、351、361、371、381及び391からなる群から選択される軽鎖アミノ酸配列(表E参照)、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(c)(a)と(b)の両方を含む。いくつかの実施形態において、抗PD-1抗体タンパク質生成物は、そのような可変領域を含む。
例示的な実施形態において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、(a)配列番号320と321、(b)配列番号330と331、(c)配列番号340と341、(d)配列番号350と351、(e)配列番号360と361、(f)配列番号370と371、(g)配列番号380と381、及び(h)配列番号390と391からなる群から選択されるアミノ酸配列対を含む。いくつかの実施形態において、抗PD-1抗体タンパク質生成物は、そのような領域を含む。
例示的な態様において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)重鎖アミノ酸配列は、本明細書に記載される電荷対変異セットを含む。特定の態様において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)重鎖アミノ酸配列は、V1、V103及びV131の電荷対変異から選択される電荷対変異を含む。
例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、上述のアミノ酸配列に類似するアミノ酸配列を含むが、その抗原結合タンパク質は、その生物学的機能、例えば、PD-1(例えば、ヒトPD-1、カニクイザルPD-1)に結合する能力、またはPD-1と、その結合パートナー(PD-L1またはPD-L2など)のうちの1つ以上との相互作用から生じるシグナル伝達を減少、遮断、阻害、無効もしくは妨害する能力を実質的に保持している。
例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、上記のアミノ酸配列(複数可)と比較して、1、2、3、4、5、6アミノ酸のみまたはそれ以上異なるアミノ酸配列を含む。例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、参照配列のバリアント配列を含み、バリアント配列は、参照配列と比較して、1または2アミノ酸のみ異なる。例示的な態様において、抗原結合タンパク質は、CDR以外に存在する1つ以上のアミノ酸置換を含み、例えば、1つ以上のアミノ酸置換は、重鎖または軽鎖のフレームワーク領域(複数可)内に存在する。例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、1つ以上のアミノ酸置換を含むが、その抗原結合タンパク質は、6つのCDRのアミノ酸配列を保持している。例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、上述のアミノ酸配列(複数可)と比較して、1、2、3、4、5、6つのみまたはそれ以上の保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含む。
例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、上述のアミノ酸配列(複数可)に対して、30%超もしくは約30%、50%超もしくは約50%、または70%超もしくは約70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例示的な態様において、抗原結合タンパク質は、上述のアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%の配列同一性を有するか、90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例示的な態様において、抗原結合タンパク質は、上述のアミノ酸配列の完全長に沿って、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%の配列同一性を有するか、90%を超える配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例示的な態様において、抗原結合タンパク質は、上述のアミノ酸配列の完全長に沿って、少なくとも95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、参照配列のバリアント配列を含み、バリアント配列は、上述の配列と比較して、少なくとも70%または約70%の配列同一性を有する。例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、参照配列のバリアント配列を含み、バリアント配列は、上述の配列と比較して、少なくとも80%または約80%の配列同一性を有する。例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、参照配列のバリアント配列を含み、バリアント配列は、上述の配列と比較して、少なくとも90%または約90%の配列同一性を有する。例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、参照配列のバリアント配列を含み、バリアント配列は、上述の配列と比較して、少なくとも95%または約95%の配列同一性を有する。
例示的な実施形態において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、表Dの1つの縦列中の配列番号のうちの1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの配列と、配列番号312~387のいずれに対して、少なくとも70%または約70%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%)の配列同一性を有する少なくとも1つのバリアント配列とを含む。例示的な実施形態において、抗PD~1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、(a)配列番号312~317、(b)配列番号322~327、(c)配列番号332~337、(d)配列番号342~347、(e)配列番号352~357、(f)配列番号362~367、(g)配列番号372~377、及び(h)配列番号382~387から選択される一連の配列のうちの1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの配列を含み、抗体またはその断片は、一連の配列のうちの少なくとも1つに対して、少なくとも70%または約70%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%)の配列同一性を有する、少なくとも1つのバリアント配列を更に含む。例えば、例示的な態様において、抗PD~1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、配列番号312~317のうちの4つの配列、すなわち、配列番号312~315を含み、抗体またはその断片は、2つのバリアント配列、すなわち配列番号316に対して、少なくとも70%または約70%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約90%)の配列同一性を有する1つのバリアント配列と、配列番号317に対して、少なくとも70%または約70%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%)の配列同一性を有するもう1つのバリアント配列とを含む。いくつかの実施形態において、抗PD-1抗体タンパク質生成物は、そのような領域を含む。
例示的な実施形態において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)生成物は、配列番号318、319、328、329、338、339、348、349、358、359、368、369、378、379、388及び389のいずれかに対して、少なくとも70%または約70%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%)の配列同一性を有するバリアント配列対を含む。例示的な場合において、抗体またはその断片は、(a)配列番号318と319、(b)配列番号328と329、(c)配列番号338と339、(d)配列番号348と349、(e)配列番号358と359、(f)配列番号368と369、(g)配列番号378と379、及び(h)配列番号388と389に対して、少なくとも70%または約70%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%)の配列同一性を有するバリアント配列対を含む。例示的な実施形態において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、表Eのうちの1つの配列と、配列番号318、319、328、329、338、339、348、349、358、359、368、369、378、379、388及び389のいずれかに対して、少なくとも70%または約70%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%)の配列同一性を有するバリアント配列であるもう1つの配列との配列対を含む。例示的な実施形態において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、(a)配列番号318と319、(b)配列番号328と329、(c)配列番号338と339、(d)配列番号348と349、(e)配列番号358と359、(f)配列番号368と369、(g)配列番号378と379、及び(h)配列番号388と389から選択される1つの配列と、(a)~(u)の1つの配列に対して、少なくとも70%または約70%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%)の配列同一性を有するバリアント配列であるもう1つの配列との配列対を含む。例えば、例示的な態様において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、配列番号318の配列を含み、更に、配列番号319に対して、少なくとも70%または約70%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%)の配列同一性を有するバリアント配列を含む。いくつかの実施形態において、抗PD-1抗体タンパク質生成物は、そのような領域を含む。
例示的な実施形態において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、配列番号320、321、330、331、340、341、350、351、360、361、370、371、380、381、390及び391のいずれかに対して、少なくとも70%または約70%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%)の配列同一性を有するバリアント配列対を含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、(a)配列番号320と321、(b)配列番号330と331、(c)配列番号340と341、(d)配列番号350と351、(e)配列番号360と361、(f)配列番号370と371、(g)配列番号380と381、及び(h)配列番号390と391に対して、少なくとも70%または約70%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%)の配列同一性を有するバリアント配列対を含む。例示的な実施形態において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、表Eのうちの1つの配列と、配列番号320、321、330、331、340、341、350、351、360、361、370、371、380、381、390及び391のいずれかに対して、少なくとも70%または約70%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%)の配列同一性を有するバリアント配列であるもう1つの配列との配列対を含む。例示的な実施形態において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、(a)配列番号320と321、(b)配列番号330と331、(c)配列番号340と341、(d)配列番号350と351、(e)配列番号360と361、(f)配列番号370と371、(g)配列番号380と381、及び(h)配列番号390と391から選択される1つの配列と、(a)~(u)の1つの配列に対して、少なくとも70%または約70%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%)の配列同一性を有するバリアント配列であるもう1つの配列との配列対を含む。例えば、例示的な態様において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、配列番号320の配列を含み、更に、配列番号321に対して、少なくとも70%または約70%(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%)の配列同一性を有するバリアント配列を含む。いくつかの実施形態において、抗PD-1抗体タンパク質生成物は、そのような領域を含む。
追加の例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、天然の同等物と比較して、半減期/安定性を向上させるか、抗体の発現/製造性をより適切なものにするため(例えば、IL-21ムテインを含む融合タンパク質として)の、1つ以上のアミノ酸修飾を含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、抗PD-1抗体とFc受容体との間の相互作用を妨害または低減させるように設計される。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、定常領域を含むが、Fcγ受容体と相互作用する能力に欠く、エフェクター機能不含安定(SEFL)抗体である。SEFL抗体は、当該技術分野において知られている。例えば、Liu et al.,J Biol Chem 292:1876-1883(2016);及びJacobsen et al.,J.Biol.Chem.292:1865-1875(2017)を参照されたい。例示的な態様において、SEFL抗体は、次の変異のうちの1つ以上を含む(EUシステムに従ったナンバリング):L242C、A287C、R292C、N297G、V302C、L306C及び/またはK334C。例示的な態様において、SEFL抗体は、N297Gを含む。例示的な態様において、SEFL抗体は、A287C、N297G及びL306Cを含む。他の例示的な態様において、SEFL抗体は、R292C、N297G及びV302C(すなわち、SEFL2-2)を含む。
抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、他の半減期延長(HLE)修飾を含み得る。例示的な場合において、HLE修飾は、重鎖定常領域内に存在し、次の変異のうちの1つ以上を含む(EUシステムに従ったナンバリング):M252Y、S254T及びT256E。例示的な場合において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、M252Y、S254T及びT256Eのうちの1つまたは2つを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、M252Y、S254T及びT256Eのうちの3つ全てを含む。例示的な態様において、重鎖定常領域は、配列番号545もしくは配列番号547もしくは配列番号549のアミノ酸配列、または配列番号545もしくは配列番号547もしくは配列番号549に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例示的な場合において、HLE修飾は、重鎖定常領域内に存在し、次の変異のうちの1つ以上を含む(EUシステムに従ったナンバリング):L309D、Q311H及びN434S。例示的な場合において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、L309D、Q311H及びN434Sのうちの1つ、2つまたは3つ全てを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、L309D、Q311H及びN434Sのうちの3つ全てを含む。例示的な態様において、重鎖定常領域は、配列番号544もしくは配列番号546もしくは配列番号548のアミノ酸配列、または配列番号544もしくは配列番号546もしくは配列番号548に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、SEFL2-2修飾及びHLE修飾を含む。いくつかの場合において、HLE修飾は、M252Y、S254T及びT256Eのうちの1つまたは2つまたは3つ全てを含む。例示的な態様において、重鎖定常領域は、配列番号551もしくは配列番号553もしくは配列番号555のアミノ酸配列、または配列番号551もしくは配列番号553もしくは配列番号555に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの場合において、HLE修飾は、L309D、Q311H及びN434Sのうちの1つまたは2つまたは3つ全てを含む。例示的な態様において、重鎖定常領域は、配列番号550もしくは配列番号552もしくは配列番号554のアミノ酸配列、または配列番号550もしくは配列番号552もしくは配列番号554に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例示的な態様において、重鎖は、以下に記載される電荷対変異を追加で含む。
真核細胞では、(1)グリカンが認識配列Asn-X-Thr/Ser(配列中、「X」は、プロリンを除く任意のアミノ酸)のアスパラギンに結合する、N-結合グリコシル化と、(2)グリカンがセリンまたはトレオニンに結合する、O-結合グリコシル化の2つの種類のグリコシル化反応が生じる。N-結合グリコシル化は、小胞体(ER)で開始し、ERにおける一連の複雑な反応により、2つのGlcNAc残基及び3つのMan残基から本質的になるコアグリカン構造が結合される。ERで形成されるグリカン複合体は、ゴルジ体において、酵素作用によって修飾される。糖が酵素に比較的接近できない場合、その糖は、典型的に、元のHM型のままである。酵素が糖に接近できる場合には、Man残基の多くが切断され、糖が更に修飾されて、複合型N-グリカン構造が生じる。例えば、シスゴルジ体に位置するマンノシダーゼ-1は、HMグリカンを切断または加水分解できるのに対し、中間ゴルジ体に位置するフコシルトランスフェラーゼFUT-8は、グリカンをフコシル化する(Hanrue Imai- Nishiya(2007),BMC Biotechnology,7:84)。例示的な態様において、抗PD-1抗体は、N-グリコシル化され、例えば、重鎖の特定のアミノ酸に共有結合された1つ以上の糖部分(例えば、グリカン、糖)を含む。代替的態様において、抗PD-1抗体は、グリコシル化されないか、重鎖の特定のアミノ酸に共有結合された任意の糖部分(例えば、グリカン、糖)を含まない。
例示的な態様において、抗PD-1抗体は、配列番号284のアミノ酸配列、または配列番号284に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、重鎖定常領域を含む。例示的な態様において、抗PD-1抗体は、配列番号284のアミノ酸配列、または配列番号284に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、重鎖定常領域を含み、更にリンカーを含む。例示的な場合において、リンカーは、配列番号262のアミノ酸配列を含む。したがって、いくつかの例示的な態様において、抗PD-1抗体は、配列番号287の重鎖定常領域アミノ酸配列、または配列番号287に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例示的な態様において、抗PD-1抗体は、配列番号284のアミノ酸配列、または配列番号284に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、重鎖定常領域を含み、C末端Lysは、クリッピングまたは除去される。この点に関して、いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、C末端Lysを欠く重鎖定常領域を含み、配列番号285のアミノ酸配列、または配列番号285に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。一般に、抗体のC末端リシンは、発現中、カルボキシペプチダーゼによる切断を受ける。C末端Lysを欠く重鎖定常領域は、有利には、抗PD-1抗体の重鎖にカルボキシペプチダーゼが作用するのを防ぐ。例示的な態様において、抗PD-1抗体は、C末端Lysを欠く重鎖定常領域を含み、更にリンカーを含む。例示的な場合において、リンカーは、配列番号262のアミノ酸配列を含む。したがって、いくつかの例示的な態様において、抗PD-1抗体は、配列番号286の重鎖定常領域アミノ酸配列、または配列番号286に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例示的な態様において、抗PD-1抗体は、配列番号284のアミノ酸配列、または配列番号284に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、重鎖定常領域を含み、抗PD-1抗体とFc受容体と間の相互作用を妨害または低減させる1つ以上のSEFL変異を含み、この変異には、L242C、A287C、R292C、N297G、V302C、L306C及び/またはK334Cが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な態様において、SEFL変異は、SEFL2-2変異:R292C、N297G及びV302Cであり、したがって、抗PD-1抗体は、配列番号265の重鎖定常領域アミノ酸配列、または配列番号265に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例示的な態様において、抗PD-1抗体は、SEFL2-2変異を有し、C末端Lysがクリッピングまたは除去された重鎖定常領域を含む。そのような重鎖定常領域は、配列番号266の配列を含み得る。例示的な態様において、抗PD-1抗体は、SEFL2-2変異を有し、C末端Lysがクリッピングまたは除去され、リンカーを含む重鎖定常領域を含む。そのような重鎖定常領域は、配列番号267の配列を含み得る。例示的な態様において、抗PD-1抗体は、SEFL2-2変異及びリンカーを有し、C末端Lysがクリッピングされていない重鎖定常領域を含む。そのような重鎖定常領域は、配列番号282の配列を含み得る。
例示的な態様において、IL-21ムテインは、抗PD-1抗体のFcに結合される。例示的な態様において、IL-21ムテインは、抗体の2つの重鎖のうちの一方に結合される。例示的な態様において、IL-21ムテインは、抗体の2つの重鎖のうちの一方のC末端に結合される。
例示的な態様において、融合タンパク質は、IL-21ムテインを1つしか含まない(すなわち、融合タンパク質は、IL-21ムテイン単量体を含む)。例示的な態様において、IL-21ムテインは、抗体の2つの重鎖のうちの一方のC末端に結合される。例示的な態様において、融合タンパク質がIL-21ムテインを1つのみ含む場合、抗体のFcは、2つの重鎖(IL-21ムテインに融合された1つの重鎖と、IL-21ムテインを欠く1つの重鎖)のヘテロ二量体化をもたらすように設計された修飾を含む。そのような修飾には、ノブ・イントゥ・ホール、DuoBody、Azymetric、電荷対、HA-TF、SEEDbody、及び異なるプロテインA親和性を有する修飾などのFc変異が挙げられる。例えば、Spiess et al.,Molecular Immunology,67(2,Part A),2015,pp.95-106を参照されたい。ノブ・イントゥ・ホール変異は、第1の重鎖中のT366Wと、第2の重鎖中のT366S、L368A及び/またはY407Vとを含む。例えば、Ridgway et al.,Protein Eng.,9(1996),pp.617-621;及びAtwell et al.,J.Mol.Biol.,270(1997),pp.26-35を参照されたい。DuoBody変異は、第1の重鎖中のF405Lと、第2の重鎖中のK409Rとを含む。例えば、Labrijn et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,110(2013),pp.5145-5150を参照されたい。Azymetric変異は、第1の重鎖中のT350V、L351Y、F405A及び/またはY407Vと、第2の重鎖中のT350V、T366L、K392L及び/またはT394Wとを含む。例えば、Von Kreudenstein et al.,mAbs,5(2013),pp.646-654を参照されたい。HA-TF変異は、第1の重鎖中のS364H及び/またはF405Aと、第2の重鎖中のY349T及び/またはT394Fとを含む。例えば、Moore et al.,mAbs,3(2011),pp.546-557を参照されたい。SEEDbody変異は、第1の重鎖中のIgG/Aキメラ変異と、第2の重鎖中のIgG/Aキメラ変異とを含む。例えば、Davis et al.,Protein Eng.Des.Sel.,23(2010),pp.195-202を参照されたい。プロテインA親和性が異なる変異は、一方の重鎖中にH435Rを含み、他方の重鎖には変異がない。例えば、米国特許第8,586,713号を参照されたい。
特定の例において、変異は、電荷対変異である。このような電荷対変異の例は、次のとおりである(EUシステムのナンバリングに従う)。電荷対変異は、第1の重鎖中のK409Dと第2の重鎖中のD399K、第1の重鎖中のK392Dと第2の重鎖中のE356K、または第1の重鎖中のK409D及びK392Dの両方と第2の重鎖中のD399K及びE356Kの両方を含む(後者は、本明細書中、「V1」と称される)。例えば、Gunasekaran et al.,J Biol Chem 285:19637-19646(2010)を参照されたい。別の特定の例において、電荷対変異は、第1の重鎖中のK439D、K392D及びK409Dと、第2の重鎖中のE356K及びD399Kとを含む(本明細書中、「V103」と称される)。更に別の特定の例において、電荷対変異は、第1の重鎖中のK360E、K370E、K392E及びK409Dと、第2の重鎖中のE357K及びD399Kとを含む(本明細書中、「V131」と称される)。電荷対変異は、第1の重鎖中のK370Dと第2の重鎖中のE357K、または第1の重鎖中のK409D、K392D及びK370Dの3つ全てと第2の重鎖中のD399K、E357K及びE356Kの3つ全てを含んでもよい(後者は、本明細書中、「V4」と称される)。更なる電荷対変異は、第1の重鎖中のD221E、P228E及び/またはL368Eと、第2の重鎖中のD221R、P228R及び/またはK409Rとをも含む。例えば、Strop et al.,J.Mol.Biol.,420(2012),pp.204-219を参照されたい。
融合タンパク質がIL-21ムテインを1つのみ含み(すなわち、融合タンパク質は、IL-21ムテイン単量体を含む)、重鎖がV1電荷対変異を含有する、実施形態において、IL-21ムテインは、K409D及びK392D変異を含有する重鎖に結合され得る(例えば、IL-21ムテインは、配列番号294、296または298を含む重鎖に結合される)か、D399K及びE356K変異を含有する重鎖に結合され得る(例えば、IL-21ムテインは、配列番号295、297または299を含む重鎖に結合される)。具体的な実施形態において、IL-21ムテインは、D399K及びE356K変異を含有する重鎖に結合される。
融合タンパク質がIL-21ムテインを1つのみ含み(すなわち、融合タンパク質は、IL-21ムテイン単量体を含む)、重鎖がV4電荷対変異を含有する、実施形態において、IL-21ムテインは、K409D、K392D及びK370D変異を含有する重鎖に結合され得る(例えば、IL-21ムテインは、配列番号288、290または292を含む重鎖に結合される)か、D399K、E357K及びE356K変異を含有する重鎖に結合され得る(例えば、IL-21ムテインは、配列番号289、291または293を含む重鎖に結合される)。具体的な実施形態において、IL-21ムテインは、D399K、E357K及びE356K変異を含有する重鎖に結合される。
融合タンパク質がIL-21ムテインを1つのみ含み(すなわち、融合タンパク質は、IL-21ムテイン単量体を含む)、重鎖がV103電荷対変異を含有する、実施形態において、IL-21ムテインは、K439D、K392D及びK409D変異を含有する重鎖に結合され得る(例えば、IL-21ムテインは、配列番号472、474または476を含む重鎖に結合される)か、E356K及びD399K変異を含有する重鎖に結合され得る(例えば、IL-21ムテインは、配列番号473、475または477を含む重鎖に結合される)。具体的な実施形態において、IL-21ムテインは、E356K及びD399K変異を含有する重鎖に結合される。
融合タンパク質がIL-21ムテインを1つのみ含み(すなわち、融合タンパク質は、IL-21ムテイン単量体を含む)、重鎖がV131電荷対変異を含有する、実施形態において、IL-21ムテインは、K360E、K370E、K392E及びK409D変異を含有する重鎖に結合され得る(例えば、IL-21ムテインは、配列番号478、480または482を含む重鎖に結合される)か、E357K及びD399K変異を含有する重鎖に結合され得る(例えば、IL-21ムテインは、配列番号479、481または483を含む重鎖に結合される)。具体的な実施形態において、IL-21ムテインは、E357K及びD399K変異を含有する重鎖に結合される。
したがって、例示的な態様において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、本明細書に記載される電荷対変異セットを含む。特定の態様において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、V1、V103及びV131の電荷対変異から選択される電荷対変異を含む。
例示的な態様において、抗PD-1抗体は、配列番号284のアミノ酸配列、または配列番号284に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、1つ以上の電荷対変異、例えば、V1、V4、V103またはV131の電荷対変異を含む、重鎖定常領域を含む。例示的な態様において、抗PD-1抗体は、配列番号284のアミノ酸配列、または配列番号284に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、V1電荷対変異を含む、重鎖定常領域を含み、第1の重鎖定常領域は、K409及びK392D変異を含み、第2の重鎖定常領域は、D399K及びE356K変異を含む。そのような第1の重鎖定常領域は、配列番号294の配列を含み得、そのような第2の重鎖定常領域は、配列番号295の配列を含み得る。そのような第1及び第2の重鎖定常領域は、C末端Lysがクリッピングまたは除去されてもよく、これにより、第1及び第2の重鎖定常領域は、それぞれ配列番号296及び297を含み得る。そのような第1及び第2の重鎖定常領域は、C末端Lysがクリッピングまたは除去され、かつリンカーを有してもよく、これにより、第1及び第2の重鎖定常領域は、それぞれ配列番号298及び299を含み得る。例示的な態様において、抗PD-1抗体は、V1電荷対変異及びSEFL2-2変異を含む、重鎖定常領域を含む。V1電荷対変異及びSEFL2-2変異を含むそのような第1の重鎖定常領域は、配列番号306の配列を含み得、V1電荷対変異及びSEFL2-2変異を含むそのような第2の重鎖定常領域は、配列番号307の配列を含み得る。そのような第1及び第2の重鎖の更なる変形形態、例えば、C末端Lysがクリッピングまたは除去された重鎖(配列番号308及び309)及びC末端Lysがクリッピングまたは除去され、かつリンカーを含む重鎖(配列番号310及び311)も企図される。
例示的な態様において、抗PD-1抗体は、配列番号284のアミノ酸配列、または配列番号284に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、V4電荷対変異を含む、重鎖定常領域を含み、第1の重鎖定常領域は、K409、K392D及びK370D変異を含み、第2の重鎖定常領域は、D399K、E356K及びE357K変異を含む。そのような第1の重鎖定常領域は、配列番号288の配列を含み得、そのような第2の重鎖定常領域は、配列番号289の配列を含み得る。そのような第1及び第2の重鎖定常領域は、C末端Lysがクリッピングまたは除去されてもよく、これにより、第1及び第2の重鎖定常領域は、それぞれ配列番号290及び291を含み得る。そのような第1及び第2の重鎖定常領域は、C末端Lysがクリッピングまたは除去され、かつリンカーを有してもよく、これにより、第1及び第2の重鎖定常領域は、それぞれ配列番号292及び293を含み得る。例示的な態様において、抗PD-1抗体は、V4電荷対変異及びSEFL2-2変異を含む、重鎖定常領域を含む。V4電荷対変異及びSEFL2-2変異を含むそのような第1の重鎖定常領域は、配列番号300の配列を含み得、V4電荷対変異及びSEFL2-2変異を含むそのような第2の重鎖定常領域は、配列番号301の配列を含み得る。そのような第1及び第2の重鎖の更なる変形形態、例えば、C末端Lysがクリッピングされた重鎖(配列番号302及び303)及びC末端Lysがクリッピングまたは除去され、かつリンカーを含む重鎖(配列番号304及び305)も企図される。
例示的な態様において、抗PD-1抗体は、配列番号284のアミノ酸配列、または配列番号284に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、V103電荷対変異を含む、重鎖定常領域を含み、第1の重鎖定常領域は、配列番号484の配列を含み、第2の重鎖定常領域は、配列番号485の配列を含む。そのような第1及び第2の重鎖定常領域は、C末端Lysがクリッピングまたは除去されてもよく、これにより、第1及び第2の重鎖定常領域は、それぞれ配列番号486及び487を含み得る。そのような第1及び第2の重鎖定常領域は、C末端Lysがクリッピングまたは除去され、かつリンカーを有してもよく、これにより、第1及び第2の重鎖定常領域は、それぞれ配列番号488及び489を含み得る。例示的な態様において、抗PD-1抗体は、V103電荷対変異及びSEFL2-2変異を含む、重鎖定常領域を含む。V103電荷対変異及びSEFL2-2変異を含むそのような第1の重鎖定常領域は、配列番号484の配列を含み得、V103電荷対変異及びSEFL2-2変異を含むそのような第2の重鎖定常領域は、配列番号485の配列を含み得る。そのような第1及び第2の重鎖の更なる変形形態、例えば、C末端Lysがクリッピングされた重鎖(配列番号486及び487)及びC末端Lysがクリッピングまたは除去され、かつリンカーを含む重鎖(配列番号488及び489)も企図される。
例示的な態様において、抗PD-1抗体は、配列番号284のアミノ酸配列、または配列番号284に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、V131電荷対変異を含む、重鎖定常領域を含み、第1の重鎖定常領域は、配列番号478の配列を含み、第2の重鎖定常領域は、配列番号479の配列を含む。そのような第1及び第2の重鎖定常領域は、C末端Lysがクリッピングまたは除去されてもよく、これにより、第1及び第2の重鎖定常領域は、それぞれ配列番号480及び481を含み得る。そのような第1及び第2の重鎖定常領域は、C末端Lysがクリッピングまたは除去され、かつリンカーを有してもよく、これにより、第1及び第2の重鎖定常領域は、それぞれ配列番号482及び483を含み得る。例示的な態様において、抗PD-1抗体は、V131電荷対変異及びSEFL2-2変異を含む、重鎖定常領域を含む。V131電荷対変異及びSEFL2-2変異を含むそのような第1の重鎖定常領域は、配列番号490の配列を含み得、V131電荷対変異及びSEFL2-2変異を含むそのような第2の重鎖定常領域は、配列番号491の配列を含み得る。そのような第1及び第2の重鎖の更なる変形形態、例えば、C末端Lysがクリッピングされた重鎖(配列番号492及び493)及びC末端Lysがクリッピングまたは除去され、かつリンカーを含む重鎖(配列番号494及び495)も企図される。
代替的態様において、融合タンパク質は、2つ以上のIL-21ムテインを含む(すなわち、融合タンパク質は、IL-21ムテイン二量体またはIL-21ムテイン多量体を含む)。例示的な代替的態様において、融合タンパク質は、2、3または4つ(またはそれ以上)のIL-21ムテインを含む。例示的な態様において、融合タンパク質が2つ以上のIL-21ムテインを含む場合、各IL-21ムテインは、同じ構造、例えば、同じアミノ酸配列を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、IL-21ホモ二量体またはIL-21ホモ多量体を含む。代替的態様において、融合タンパク質の各IL-21ムテインは、異なる構造、例えば、異なるアミノ酸配列を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、IL-21ヘテロ二量体またはIL-21ヘテロ多量体を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、2つのIL-21ムテインを含み、第1のIL-21ムテインは、第1の抗体重鎖のC末端に連結され、第2のIL-21ムテインは、第2の抗体重鎖のC末端に連結される。例示的な態様において、各IL-21ムテインは、同じアミノ酸配列を有する(例えば、IL-21ムテインホモ二量体である)。例示的な態様において、第1のIL-21ムテインは、第2のIL-21ムテインと比較して異なるアミノ酸配列を有する(例えば、IL-21ムテインヘテロ二量体である)。
1つ以上のIL-21ムテインを含む融合タンパク質に関して、各IL-21ムテインは、リンカーありまたはリンカーなしで、抗体の重鎖のうちの1つに結合され得る。例示的な態様において、IL-21ムテインは、抗体重鎖のうちの1つのC末端にリンカーを介して結合され、リンカーは、ペプチドである。例示的な場合において、ペプチドは、GGGGSのアミノ酸配列(配列番号262)を含む。代替的態様において、IL-21ムテインは、リンカーなしで、抗体の重鎖のうちの1つのC末端に直接結合される。
例示的な態様において、融合タンパク質は、抗PD-1抗体の重鎖のうちの1つのC末端に直接結合されたIL-21ムテインを1つのみ含む。例示的な態様において、IL-21ムテインは、表4に列挙されるアミノ酸置換または表4に列挙される配列番号の配列を含む。例示的な態様において、IL-21ムテインは、表5に列挙されるアミノ酸置換または表5に列挙される配列番号の配列を含む。例示的な態様において、IL-21ムテインは、表7に列挙されるアミノ酸置換または表7に列挙される配列番号の配列を含む。例示的な態様において、IL-21ムテインは、表6及び8~14のいずれか1つに列挙されるアミノ酸置換またはこれらの表に列挙される配列番号の配列を含む。例示的な態様において、IL-21ムテインは、配列番号159、161、238、241、242または244のいずれかのアミノ酸配列を含む。例示的な態様において、IL-21ムテインは、抗PD-1抗体に直接結合され、ペプチドリンカーを含まない。
例示的な態様において、融合タンパク質は、2つのIL-21ムテインを含み、そのそれぞれは、抗PD-1抗体の重鎖のC末端に直接結合され、そのそれぞれは、同じアミノ酸配列を有する。例示的な態様において、IL-21ムテインは、表4に列挙されるアミノ酸置換または表4に列挙される配列番号の配列を含む。例示的な態様において、IL-21ムテインは、表5に列挙されるアミノ酸置換または表5に列挙される配列番号の配列を含む。例示的な態様において、IL-21ムテインは、表7に列挙されるアミノ酸置換または表7に列挙される配列番号の配列を含む。例示的な態様において、IL-21ムテインは、表6及び8~14のいずれか1つに列挙されるアミノ酸置換またはこれらの表に列挙される配列番号の配列を含む。例示的な態様において、IL-21ムテインは、配列番号159、161、237、238、241及び244のいずれかのアミノ酸配列を含む。例示的な態様において、IL-21ムテインは、抗PD-1抗体に直接結合され、ペプチドリンカーを含まない。
例示的な態様において、融合タンパク質は、本明細書に記載される任意のIL-21ムテインのアミノ酸配列に融合された、本明細書に記載される抗体定常領域のアミノ酸配列を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、本明細書に記載される任意のIL-21ムテインのアミノ酸配列に融合された、グリコシル化されていない、本明細書に記載される抗体定常領域のアミノ酸配列を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号3~21、23~56、58~112、114~208、210~222、224~255及び283のいずれか1つ、または配列番号3~21、23~56、58~112、114~208、210~222、224~255及び283に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、IL-21ムテインに融合された、配列番号265~267、282、284~311、472~495及び544~555のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号265~267、282、284~311、472~495及び544~555のいずれか1つに対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、定常領域を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、配列番号268~281のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号268~281に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
例示的な実施形態において、融合タンパク質は、図4A、4Bまたは4Cに記載される構築物を含む。例示的な実施形態において、融合タンパク質は、(i)本明細書に記載される抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)と、(ii)本明細書に記載されるIL-21ムテインとを含む。追加の例示的な実施形態において、融合タンパク質は、(i)本明細書に記載される抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)と、(ii)本明細書に記載される電荷対変異と、(iii)本明細書に記載されるIL-21ムテインとを含む(例えば、図4C参照)。他の例示的な実施形態において、融合タンパク質は、(i)本明細書に記載される抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)であって、当該抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)の重鎖配列は、C末端リシンを含まない抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)と、(ii)本明細書に記載される電荷対変異と、(iii)本明細書に記載されるIL-21ムテインとを含む。
例示的な場合において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、(a)表Dに記載される重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)1アミノ酸配列、すなわち、配列番号312、322、332、342、352、362、372及び382からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(b)表Dに記載されるHC CDR2アミノ酸配列、すなわち、配列番号313、323、333、343、353、363、373及び383からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(c)表Dに記載されるHC CDR3アミノ酸配列、すなわち、配列番号314、324、334、344、3545、364、374及び384からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(d)表Dに記載される軽鎖(LC)CDR1アミノ酸配列、すなわち、315、325、335、345、355、365、375及び385からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(e)表Dに記載されるLC CDR2アミノ酸配列、すなわち、316、326、336、346、356、366、376及び386からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(f)表Dに記載されるLC CDR3アミノ酸配列、すなわち、317、327、337、347、357、367、377及び387からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(g)(a)~(f)のうちの任意の2つまたはそれ以上の組み合わせを含む。例示的な態様において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、表Dに記載されるLC CDR1アミノ酸配列、LC CDR2アミノ酸配列及びLC CDR3アミノ酸配列と、表Dに記載されるHC CDRアミノ酸配列のうちの少なくとも1つまたは2つとを含む。例示的な実施形態において、抗原結合タンパク質は、表Dの1つの縦列中に配列番号で指定されるアミノ酸配列のうちの3つ、4つ、5つまたは6つを含む。例示的な実施形態において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、(a)配列番号312~317、(b)配列番号322~327、(c)配列番号332~337、(d)配列番号342~347、(e)配列番号352~357、(f)配列番号362~367、(g)配列番号372~377、及び(h)配列番号382~387からなる群から選択される6つのCDRアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、抗PD-1抗体タンパク質生成物は、そのような領域を含む。
例示的な実施形態において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、(a)表Eに記載される重鎖可変領域アミノ酸配列、すなわち、318、328、338、348、358、368、378及び388からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(b)表Eに記載される軽鎖可変領域アミノ酸配列、すなわち、319、329、339、349、359、369、379及び389からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(c)(a)と(b)の両方を含む。例示的な実施形態において、抗PD-1抗体(またはその抗原結合抗体断片)は、(a)配列番号318と319、(b)配列番号328と329、(c)配列番号338と339、(d)配列番号348と349、(e)配列番号358と359、(f)配列番号368と369、(g)配列番号378と379、及び(h)配列番号388と389からなる群から選択されるアミノ酸配列対を含む。例示的な場合において、抗体定常領域は、配列番号3~21、23~56、58~112、114~208、210~222、224~255及び283のいずれか1つ、または配列番号3~21、23~56、58~112、114~208、210~222、224~255及び283に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、IL-21ムテインに融合された、配列番号265~267、282及び284~311のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号265~267、282及び284~311のいずれか1つに対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。例示的な実施形態において、抗原結合タンパク質は、(a)配列番号320と321、(b)配列番号330と331、(c)配列番号340と341、(d)配列番号350と351、(e)配列番号360と361、(f)配列番号370と371、(g)配列番号380と381、及び(h)配列番号390と391からなる群から選択されるアミノ酸配列対を含む。例示的な実施形態において、融合タンパク質は、(I)(a)配列番号320と321、(b)配列番号330と331、(c)配列番号340と341、(d)配列番号350と351、(e)配列番号360と361、(f)配列番号370と371、(g)配列番号380と381、及び(h)配列番号390と391からなる群から選択されるアミノ酸配列対と、(II)配列番号3~21、23~56、58~112、114~208、210~222、224~255及び283のいずれか1つ、または配列番号3~21、23~56、58~112、114~208、210~222、224~255及び283に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、IL-21ムテインとを含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Aに示されるホモ二量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20C1.009の3つの軽鎖CDR(配列番号355~357)、抗体20C1.009の3つの重鎖CDR(配列番号352~354)を含み、各重鎖は、SEFL2-2変異を含む定常領域配列(例えば、配列番号265または266)を含み、2つのIL-21ムテインのそれぞれは、アミノ酸置換R9E及びR76Aを含む(すなわち、どちらも配列番号244の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号358の重鎖可変領域と、配列番号359の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号360の重鎖または配列番号361の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号361及び562または配列番号361及び563のアミノ酸配列を含む、ホモ二量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号361のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号562のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号361のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号563のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Aに示されるホモ二量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20C1.009の3つの軽鎖CDR(配列番号355~357)、抗体20C1.009の3つの重鎖CDR(配列番号352~354)を含み、各重鎖は、SEFL2-2変異を含む定常領域配列(例えば、配列番号265または266)を含み、2つのIL-21ムテインのそれぞれは、アミノ酸置換R9E及びR76Eを含む(すなわち、どちらも配列番号245の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号358の重鎖可変領域と、配列番号359の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号360の重鎖または配列番号361の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号361及び564または配列番号361及び565のアミノ酸配列を含む、ホモ二量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号361のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号564のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号361のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号565のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Bに示されるホモ二量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20C1.009の3つの軽鎖CDR(配列番号355~357)、抗体20C1.009の3つの重鎖CDR(配列番号352~354)を含み、各重鎖は、SEFL2-2変異及びリンカーを含む定常領域配列(例えば、配列番号267)を含み、2つのIL-21ムテインのそれぞれは、アミノ酸置換R9E及びR76Aを含む(すなわち、どちらも配列番号244の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号358の重鎖可変領域と、配列番号359の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号360の重鎖または配列番号361の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号361及び566のアミノ酸配列を含む、ホモ二量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号361のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号566のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Bに示されるホモ二量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20C1.009の3つの軽鎖CDR(配列番号355~357)、抗体20C1.009の3つの重鎖CDR(配列番号352~354)を含み、各重鎖は、SEFL2-2変異及びリンカーを含む定常領域配列(例えば、配列番号267)を含み、2つのIL-21ムテインのそれぞれは、アミノ酸置換R9E及びR76Eを含む(すなわち、どちらも配列番号245の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号358の重鎖可変領域と、配列番号359の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号360の重鎖または配列番号361の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号361及び567のアミノ酸配列を含む、ホモ二量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号361のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号567のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20C1.009の3つの軽鎖CDR(配列番号355~357)と、抗体20C1.009の3つの重鎖CDR(配列番号352~354)と、SEFL2-2変異及びV1電荷対変異を含む定常領域配列を含む重鎖対(例えば、配列番号306と307または配列番号308と309)とを含み、IL-21ムテイン単量体は、E356K及びD399K V1電荷対変異を含有する重鎖に結合され(例えば、IL-21ムテイン単量体は、配列番号309のいずれか1つを含む重鎖に結合される)、IL-21ムテインは、アミノ酸置換R9E及びR76Aを含む(すなわち、配列番号244の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号358の重鎖可変領域と、配列番号359の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号360の重鎖または配列番号361の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号361及び568のアミノ酸配列を含む、単量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号361のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号568のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号574のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20C1.009の3つの軽鎖CDR(配列番号355~357)と、抗体20C1.009の3つの重鎖CDR(配列番号352~354)と、SEFL2-2変異及びV103電荷対変異を含む定常領域配列を含む重鎖対(例えば、配列番号484と485または配列番号486と487)とを含み、IL-21ムテイン単量体は、E356K及びD399K V103電荷対変異を含有する重鎖に結合され(例えば、すなわち、IL-21ムテイン単量体は、配列番号487を含む重鎖に結合される)、IL-21ムテインは、アミノ酸置換R9E及びR76Aを含む(すなわち、配列番号244の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号358の重鎖可変領域と、配列番号359の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号360の重鎖または配列番号361の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号361及び569のアミノ酸配列を含む、単量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号361のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号569のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号575のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20C1.009の3つの軽鎖CDR(配列番号355~357)と、抗体20C1.009の3つの重鎖CDR(配列番号352~354)と、SEFL2-2変異及びV131電荷対変異を含む定常領域配列を含む重鎖対(例えば、配列番号490と491または配列番号492と493)とを含み、IL-21ムテイン単量体は、E357K及びD399K V131電荷対変異を含有する重鎖に結合され(例えば、IL-21ムテイン単量体は、配列番号493を含む重鎖に結合される)、IL-21ムテインは、アミノ酸置換R9E及びR76Aを含む(すなわち、配列番号244の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号358の重鎖可変領域と、配列番号359の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号360の重鎖または配列番号361の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号361及び570のアミノ酸配列を含む、単量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号361のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号570のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号576のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20C1.009の3つの軽鎖CDR(配列番号355~357)と、抗体20C1.009の3つの重鎖CDR(配列番号352~354)と、SEFL2-2変異及びV1電荷対変異を含む定常領域配列を含む重鎖対(例えば、配列番号306と307または配列番号308と309)とを含み、IL-21ムテイン単量体は、E356K及びD399K V1電荷対変異を含有する重鎖に結合され(例えば、IL-21ムテイン単量体は、配列番号309を含む重鎖に結合される)、IL-21ムテインは、アミノ酸置換R9E及びR76Eを含む(すなわち、配列番号245の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号358の重鎖可変領域と、配列番号359の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号360の重鎖または配列番号361の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号361及び571のアミノ酸配列を含む、単量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号361のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号571のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号574のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20C1.009の3つの軽鎖CDR(配列番号355~357)と、抗体20C1.009の3つの重鎖CDR(配列番号352~354)と、SEFL2-2変異及びV103電荷対変異を含む定常領域配列を含む重鎖対(例えば、配列番号484と485または配列番号486と487)とを含み、IL-21ムテイン単量体は、E356K及びD399K V103電荷対変異を含有する重鎖に結合され(例えば、IL-21ムテイン単量体は、配列番号487を含む重鎖に結合される)、IL-21ムテインは、アミノ酸置換R9E及びR76Eを含む(すなわち、配列番号245の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号358の重鎖可変領域と、配列番号359の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号360の重鎖または配列番号361の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号361及び572のアミノ酸配列を含む、単量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号361のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号572のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号575のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20C1.009の3つの軽鎖CDR(配列番号355~357)と、抗体20C1.009の3つの重鎖CDR(配列番号352~354)と、SEFL2-2変異及びV131電荷対変異を含む定常領域配列を含む重鎖対(例えば、配列番号490と491または配列番号492と493)とを含み、IL-21ムテイン単量体は、E357K及びD399K V1電荷対変異を含有する重鎖に結合され(例えば、IL-21ムテイン単量体は、配列番号493を含む重鎖に結合される)、IL-21ムテインは、アミノ酸置換R9E及びR76Eを含む(すなわち、配列番号245の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号358の重鎖可変領域と、配列番号359の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号360の重鎖または配列番号361の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号361及び573のアミノ酸配列を含む、単量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号573のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号576のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Aに示されるホモ二量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体22D4.017の3つの軽鎖CDR(配列番号385~387)、抗体22D4.017の3つの重鎖CDR(配列番号382~384)を含み、各重鎖は、SEFL2-2変異を含む定常領域配列(例えば、配列番号265または266)を含み、2つのIL-21ムテインのそれぞれは、アミノ酸置換R9E及びR76Aを含む(すなわち、どちらも配列番号244の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号388の重鎖可変領域と、配列番号389の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号390の重鎖または配列番号391の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号389及び496または配列番号389及び519のアミノ酸配列を含む、ホモ二量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号496のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号519のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Aに示されるホモ二量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体22D4.017の3つの軽鎖CDR(配列番号385~387)、抗体22D4.017の3つの重鎖CDR(配列番号382~384)を含み、各重鎖は、SEFL2-2変異を含む定常領域配列(例えば、配列番号265または266)を含み、2つのIL-21ムテインのそれぞれは、アミノ酸置換R9E及びR76Eを含む(すなわち、どちらも配列番号245の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号388の重鎖可変領域と、配列番号389の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号390の重鎖または配列番号391の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号389及び497または配列番号389及び498のアミノ酸配列を含む、ホモ二量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、融合された重鎖-IL-21ムテインは、配列番号497のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号498のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Bに示されるホモ二量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体22D4.017の3つの軽鎖CDR(配列番号385~387)、抗体22D4.017の3つの重鎖CDR(配列番号382~384)を含み、各重鎖は、SEFL2-2変異及びリンカーを含む定常領域配列(例えば、配列番号267)を含み、2つのIL-21ムテインのそれぞれは、アミノ酸置換R9E及びR76Aを含む(すなわち、どちらも配列番号244の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号388の重鎖可変領域と、配列番号389の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号390の重鎖または配列番号391の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号389及び499のアミノ酸配列を含む、ホモ二量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号499のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Bに示されるホモ二量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体22D4.017の3つの軽鎖CDR(配列番号385~387)、抗体22D4.017の3つの重鎖CDR(配列番号382~384)を含み、各重鎖は、SEFL2-2変異及びリンカーを含む定常領域配列(例えば、配列番号267)を含み、2つのIL-21ムテインのそれぞれは、アミノ酸置換R9E及びR76Eを含む(すなわち、どちらも配列番号245の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号388の重鎖可変領域と、配列番号389の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号390の重鎖または配列番号391の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号389及び500のアミノ酸配列を含む、ホモ二量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号500のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体22D4.017の3つの軽鎖CDR(配列番号385~387)と、抗体22D4.017の3つの重鎖CDR(配列番号382~384)と、SEFL2-2変異及びV1電荷対変異を含む定常領域配列を含む重鎖対(例えば、配列番号306と307または配列番号308と309)とを含み、IL-21ムテイン単量体は、E356K及びD399K V1電荷対変異を含有する重鎖に結合され(例えば、IL-21ムテイン単量体は、配列番号309を含む重鎖に結合される)、IL-21ムテインは、アミノ酸置換R9E及びR76Aを含む(すなわち、配列番号244の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号388の重鎖可変領域と、配列番号389の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号390の重鎖または配列番号391の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号389及び501のアミノ酸配列を含む、単量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号501のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号556のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体22D4.017の3つの軽鎖CDR(配列番号385~387)と、抗体22D4.017の3つの重鎖CDR(配列番号382~384)と、SEFL2-2変異及びV103電荷対変異を含む定常領域配列を含む重鎖対(例えば、配列番号484と485または配列番号486と487)とを含み、IL-21ムテイン単量体は、E356K及びD399K V103電荷対変異を含有する重鎖に結合され(例えば、IL-21ムテイン単量体は、配列番号487を含む重鎖に結合される)、IL-21ムテインは、アミノ酸置換R9E及びR76Aを含む(すなわち、配列番号244の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号388の重鎖可変領域と、配列番号389の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号390の重鎖または配列番号391の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号389及び502のアミノ酸配列を含む、単量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号502のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号557のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体22D4.017の3つの軽鎖CDR(配列番号385~387)と、抗体22D4.017の3つの重鎖CDR(配列番号382~384)と、SEFL2-2変異及びV131電荷対変異を含む定常領域配列を含む重鎖対(例えば、配列番号490と491または配列番号492と493)とを含み、IL-21ムテイン単量体は、E357K及びD399K V131電荷対変異を含有する重鎖に結合され(例えば、IL-21ムテイン単量体は、配列番号493を含む重鎖に結合される)、IL-21ムテインは、アミノ酸置換R9E及びR76Aを含む(すなわち、配列番号244の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号388の重鎖可変領域と、配列番号389の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号390の重鎖または配列番号391の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号389及び503のアミノ酸配列を含む、単量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号503のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号558のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体22D4.017の3つの軽鎖CDR(配列番号385~387)と、抗体22D4.017の3つの重鎖CDR(配列番号382~384)と、SEFL2-2変異及びV1電荷対変異を含む定常領域配列を含む重鎖対(例えば、配列番号306と307または配列番号308と309)とを含み、IL-21ムテイン単量体は、E356K及びD399K V1電荷対変異を含有する重鎖に結合され(例えば、IL-21ムテイン単量体は、配列番号309を含む重鎖に結合される)、IL-21ムテインは、アミノ酸置換R9E及びR76Eを含む(すなわち、配列番号245の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号388の重鎖可変領域と、配列番号389の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号390の重鎖または配列番号391の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号389及び504のアミノ酸配列を含む、単量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号504のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号556のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体22D4.017の3つの軽鎖CDR(配列番号385~387)と、抗体22D4.017の3つの重鎖CDR(配列番号382~384)と、SEFL2-2変異及びV103電荷対変異を含む定常領域配列を含む重鎖対(例えば、配列番号484と485または配列番号486と487)とを含み、IL-21ムテイン単量体は、E356K及びD399K V103電荷対変異を含有する重鎖に結合され(例えば、IL-21ムテイン単量体は、配列番号487を含む重鎖に結合される)、IL-21ムテインは、アミノ酸置換R9E及びR76Eを含む(すなわち、配列番号245の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号388の重鎖可変領域と、配列番号389の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号390の重鎖または配列番号391の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号389及び505のアミノ酸配列を含む、単量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号505のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号557のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体22D4.017の3つの軽鎖CDR(配列番号385~387)と、抗体22D4.017の3つの重鎖CDR(配列番号382~384)と、SEFL2-2変異及びV131電荷対変異を含む定常領域配列を含む重鎖対(例えば、配列番号490と491または配列番号492と493)とを含み、IL-21ムテイン単量体は、E357K及びD399K V131電荷対変異を含有する重鎖に結合され(例えば、IL-21ムテイン単量体は、配列番号493のいずれか1つを含む重鎖に結合される)、IL-21ムテインは、アミノ酸置換R9E及びR76Eを含む(すなわち、配列番号245の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号388の重鎖可変領域と、配列番号389の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号390の重鎖または配列番号391の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号389及び506のアミノ酸配列を含む、単量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号506のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号558のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Aに示されるホモ二量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20A2.003の3つの軽鎖CDR(配列番号365~367)、抗体20A2.003の3つの重鎖CDR(配列番号362~364)を含み、各重鎖は、SEFL2-2変異を含む定常領域配列(例えば、配列番号265または266)を含み、2つのIL-21ムテインのそれぞれは、アミノ酸置換R9E及びR76Aを含む(すなわち、どちらも配列番号244の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号368の重鎖可変領域と、配列番号369の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号370の重鎖または配列番号371の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号369及び507または配列番号369及び508のアミノ酸配列を含む、ホモ二量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号507のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号508のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Aに示されるホモ二量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20A2.003の3つの軽鎖CDR(配列番号365~367)、抗体20A2.003の3つの重鎖CDR(配列番号362~364)を含み、各重鎖は、SEFL2-2変異を含む定常領域配列(例えば、配列番号265または266)を含み、2つのIL-21ムテインのそれぞれは、アミノ酸置換R9E及びR76Eを含む(すなわち、どちらも配列番号245の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号368の重鎖可変領域と、配列番号369の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号370の重鎖または配列番号371の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号369及び509または配列番号369及び510のアミノ酸配列を含む、ホモ二量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号509のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号510のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Bに示されるホモ二量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20A2.003の3つの軽鎖CDR(配列番号365~367)、抗体20A2.003の3つの重鎖CDR(配列番号362~364)を含み、各重鎖は、SEFL2-2変異及びリンカーを含む定常領域配列(例えば、配列番号267)を含み、2つのIL-21ムテインのそれぞれは、アミノ酸置換R9E及びR76Aを含む(すなわち、どちらも配列番号244の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号368の重鎖可変領域と、配列番号369の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号370の重鎖または配列番号371の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号369及び511のアミノ酸配列を含む、ホモ二量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号511のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Bに示されるホモ二量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20A2.003の3つの軽鎖CDR(配列番号365~367)、抗体20A2.003の3つの重鎖CDR(配列番号362~364)を含み、各重鎖は、SEFL2-2変異及びリンカーを含む定常領域配列(例えば、配列番号267)を含み、2つのIL-21ムテインのそれぞれは、アミノ酸置換R9E及びR76Eを含む(すなわち、どちらも配列番号245の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号368の重鎖可変領域と、配列番号369の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号370の重鎖または配列番号371の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号369及び512のアミノ酸配列を含む、ホモ二量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号512のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20A2.003の3つの軽鎖CDR(配列番号365~367)と、抗体20A2.003の3つの重鎖CDR(配列番号362~364)と、SEFL2-2変異及びV1電荷対変異を含む定常領域配列を含む重鎖対(例えば、配列番号306と307または配列番号308と309)とを含み、IL-21ムテイン単量体は、E356K及びD399K V1電荷対変異を含有する重鎖に結合され(例えば、IL-21ムテイン単量体は、配列番号309のいずれか1つを含む重鎖に結合される)、IL-21ムテインは、アミノ酸置換R9E及びR76Aを含む(すなわち、配列番号244の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号368の重鎖可変領域と、配列番号369の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号370の重鎖または配列番号371の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号369及び513のアミノ酸配列を含む、単量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号513のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号559のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20A2.003の3つの軽鎖CDR(配列番号365~367)と、抗体20A2.003の3つの重鎖CDR(配列番号362~364)と、SEFL2-2変異及びV103電荷対変異を含む定常領域配列を含む重鎖対(例えば、配列番号484と485または配列番号486と487)とを含み、IL-21ムテイン単量体は、E356K及びD399K V103電荷対変異を含有する重鎖に結合され(例えば、IL-21ムテイン単量体は、配列番号487を含む重鎖に結合される)、IL-21ムテインは、アミノ酸置換R9E及びR76Aを含む(すなわち、配列番号244の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号368の重鎖可変領域と、配列番号369の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号370の重鎖または配列番号371の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号369及び514のアミノ酸配列を含む、単量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号514のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号560のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20A2.003の3つの軽鎖CDR(配列番号365~367)と、抗体20A2.003の3つの重鎖CDR(配列番号362~364)と、SEFL2-2変異及びV131電荷対変異を含む定常領域配列を含む重鎖対(例えば、配列番号490と491または配列番号492と493)とを含み、IL-21ムテイン単量体は、E357K及びD399K V131電荷対変異を含有する重鎖に結合され(例えば、IL-21ムテイン単量体は、配列番号493を含む重鎖に結合される)、IL-21ムテインは、アミノ酸置換R9E及びR76Aを含む(すなわち、配列番号244の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号368の重鎖可変領域と、配列番号369の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号370の重鎖または配列番号371の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号369及び515のアミノ酸配列を含む、単量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号515のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号561のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20A2.003の3つの軽鎖CDR(配列番号365~367)と、抗体20A2.003の3つの重鎖CDR(配列番号362~364)と、SEFL2-2変異及びV1電荷対変異を含む定常領域配列を含む重鎖対(例えば、配列番号306と307または配列番号308と309)とを含み、IL-21ムテイン単量体は、E356K及びD399K V1電荷対変異を含有する重鎖に結合され(例えば、IL-21ムテイン単量体は、配列番号309を含む重鎖に結合される)、IL-21ムテインは、アミノ酸置換R9E及びR76Eを含む(すなわち、配列番号245の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号368の重鎖可変領域と、配列番号369の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号370の重鎖または配列番号371の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号369及び516のアミノ酸配列を含む、単量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号516のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号559のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20A2.003の3つの軽鎖CDR(配列番号365~367)と、抗体20A2.003の3つの重鎖CDR(配列番号362~364)と、SEFL2-2変異及びV103電荷対変異を含む定常領域配列を含む重鎖対(例えば、配列番号484と485または配列番号486と487)とを含み、IL-21ムテイン単量体は、E356K及びD399K V103電荷対変異を含有する重鎖に結合され(例えば、IL-21ムテイン単量体は、配列番号487を含む重鎖に結合される)、IL-21ムテインは、アミノ酸置換R9E及びR76Eを含む(すなわち、配列番号245の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号368の重鎖可変領域と、配列番号369の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号370の重鎖または配列番号371の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号369及び517のアミノ酸配列を含む、単量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号517のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号560のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20A2.003の3つの軽鎖CDR(配列番号365~367)と、抗体20A2.003の3つの重鎖CDR(配列番号362~364)と、SEFL2-2変異及びV131電荷対変異を含む定常領域配列を含む重鎖対(例えば、配列番号490と491または配列番号492と493)とを含み、IL-21ムテイン単量体は、E357K及びD399K V1電荷対変異を含有する重鎖に結合され(例えば、IL-21ムテイン単量体は、配列番号493を含む重鎖に結合される)、IL-21ムテインは、アミノ酸置換R9E及びR76Eを含む(すなわち、配列番号245の配列を含む)。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号368の重鎖可変領域と、配列番号369の軽鎖可変領域とを含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、配列番号370の重鎖または配列番号371の軽鎖を含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、配列番号369及び518のアミノ酸配列を含む、単量体を含む。例示的な態様において、融合タンパク質は、2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号518のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号561のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体を含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Aもしくは4Bに示されるIL-21ムテインホモ二量体または図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体と、抗体20A2.003の3つの軽鎖CDR(配列番号365~367)、抗体20A2.003の3つの重鎖CDR(配列番号362~364)、及び配列番号544~555のいずれか1つを含む重鎖定常領域配列を含む抗PD-1抗体とを含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Aもしくは4Bに示されるIL-21ムテインホモ二量体または図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20A2.003の3つの軽鎖CDR(配列番号365~367)と、抗体20A2.003の3つの重鎖CDR(配列番号362~364)と、配列番号525または527の重鎖定常領域配列とを含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Aもしくは4Bに示されるIL-21ムテインホモ二量体または図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体22D4.017の3つの軽鎖CDR(配列番号385~387)と、抗体22D4.017の3つの重鎖CDR(配列番号382~384)と、配列番号544~555のいずれか1つを含む重鎖定常領域配列とを含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Aもしくは4Bに示されるIL-21ムテインホモ二量体または図4に示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体22D4.017の3つの軽鎖CDR(配列番号385~387)と、抗体22D4.017の3つの重鎖CDR(配列番号382~384)と、配列番号529または531の重鎖定常領域配列とを含む。
例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Aもしくは4Bに示されるIL-21ムテインホモ二量体または図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20C1.009の3つの軽鎖CDR(配列番号355~357)と、抗体20C1.009の3つの重鎖CDR(配列番号352~354)と、配列番号544~555のいずれか1つを含む重鎖定常領域配列とを含む。例示的な場合において、融合タンパク質は、図4Aもしくは4Bに示されるIL-21ムテインホモ二量体または図4Cに示されるIL-21ムテイン単量体を含み、抗PD-1抗体は、抗体20C1.009の3つの軽鎖CDR(配列番号355~357)と、抗体20C1.009の3つの重鎖CDR(配列番号352~354)と、配列番号521または523の重鎖定常領域配列とを含む。
抗原結合タンパク質
本開示は、PD-1抗原結合タンパク質を提供する。例示的な態様において、PD-1抗原結合タンパク質は、本明細書に記載される抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物である。例示的な場合において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、(a)表Dに記載される重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)1アミノ酸配列、すなわち、配列番号312、322、332、342、352、362、372及び382からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(b)表Dに記載されるHC CDR2アミノ酸配列、すなわち、配列番号313、323、333、343、353、363、373及び383からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(c)表Dに記載されるHC CDR3アミノ酸配列、すなわち、配列番号314、324、334、344、3545、364、374及び384からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(d)表Dに記載される軽鎖(LC)CDR1アミノ酸配列、すなわち、315、325、335、345、355、365、375及び385からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(e)表Dに記載されるLC CDR2アミノ酸配列、すなわち、316、326、336、346、356、366、376及び386からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(f)表Dに記載されるLC CDR3アミノ酸配列、すなわち、317、327、337、347、357、367、377及び387からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(g)(a)~(f)のうちの任意の2つまたはそれ以上の組み合わせを含む。例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、表Dに記載されるLC CDR1アミノ酸配列、LC CDR2アミノ酸配列及びLC CDR3アミノ酸配列と、表Dに記載されるHC CDRアミノ酸配列のうちの少なくとも1つまたは2つとを含む。例示的な実施形態において、抗原結合タンパク質は、表Dの1つの縦列中に配列番号で指定されるアミノ酸配列のうちの少なくとも3つ、4つまたは5つを含む。
例示的な実施形態において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、(a)配列番号312~317、(b)配列番号322~327、(c)配列番号332~337、(d)配列番号342~347、(e)配列番号352~357、(f)配列番号362~367、(g)配列番号372~377、及び(h)配列番号382~387からなる群から選択される6つのCDRアミノ酸配列を含む。例示的な場合において、表Dのアミノ酸配列は、少なくとも1つまたはそれ以上(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)の介在アミノ酸(複数可)によって隔てられる。例示的な実施形態において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、(a)表Eに記載される重鎖可変領域アミノ酸配列、すなわち、318、328、338、348、358、368、378及び388からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(b)表Eに記載される軽鎖可変領域アミノ酸配列、すなわち、319、329、339、349、359、369、379及び389からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(c)(a)と(b)の両方を含む。例示的な実施形態において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、(a)配列番号318と319、(b)配列番号328と329、(c)配列番号338と339、(d)配列番号348と349、(e)配列番号358と359、(f)配列番号368と369、(g)配列番号378と379、及び(h)配列番号388と389からなる群から選択されるアミノ酸配列対を含む。例示的な態様において、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物は、(I)(a)配列番号318と319、(b)配列番号328と329、(c)配列番号338と339、(d)配列番号348と349、(e)配列番号358と359、(f)配列番号368と369、(g)配列番号378と379、及び(h)配列番号388と389からなる群から選択されるアミノ酸配列対と、(II)配列番号265~267、282、284~311、472~495及び544~555のいずれか1つを含む定常領域とを含む。例示的な実施形態において、抗原結合タンパク質は、(a)配列番号320と321、(b)配列番号330と331、(c)配列番号340と341、(d)配列番号350と351、(e)配列番号360と361、(f)配列番号370と371、(g)配列番号380と381、及び(h)配列番号390と391からなる群から選択されるアミノ酸配列対を含む。例示的な実施形態において、抗原結合タンパク質は、上の配列番号のうちの1つ以上に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、上記の抗原結合タンパク質は、抗PD-1抗体またはその抗原結合抗体断片である。
本開示は、更に、本明細書に記載されるPD-1抗原結合タンパク質と、異種部分とを含む、コンジュゲートを提供する。異種部分は、本明細書に記載されるPD-1抗原結合タンパク質とは異なる任意の分子であり得る。異種部分は、例示的な態様において、異種ペプチドもしくはポリペプチド、標的化因子、診断標識、ポリマー、核酸、量子ドット、小分子、毒素、炭水化物、アミノ酸または他の治療薬もしくは診断薬である。例示的な態様において、異種部分は、本明細書に記載されるIL-21ムテインである。
本開示は、更に、本明細書に記載されるPD-1抗原結合タンパク質と、異種ポリペプチドまたはペプチドとを含む、融合タンパク質を提供する。例示的な態様において、異種ポリペプチドは、本明細書に記載されるIL-21ムテインである。
抗体の作製方法
抗体、抗原結合抗体断片及び抗体タンパク質生成物の好適な作製方法は、当該技術分野において知られている。例えば、抗体を産生するための標準的なハイブリドーマ法は、例えば、Harlow and Lane(eds.),Antibodies:A Laboratory Manual,CSH Press(1988)及びCA.Janeway et al.(eds.),Immunobiology,5th Ed.,Garland Publishing,New York,NY(2001))に記載されている。抗PD-1モノクローナル抗体または本開示の例示的な調製方法は、本明細書の実施例に記載される。
宿主種に応じて、種々のアジュバントを使用して、免疫応答を増大させ、宿主による抗体産生をより大きくすることができる。そのようなアジュバントには、フロイント、水酸化アルミニウムなどの鉱物ゲル、ならびに界面活性物質、例えば、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油型乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン及びジニトロフェノールが挙げられるが、これらに限定されない。BCG(カルメット・ゲラン桿菌)及びコリネバクテリウム・パルヴムは、有用である可能性があるヒトアジュバントである。
PD-1に対する結合能力について抗体を試験する方法は、抗体の産生方法にかかわらず、当該技術分野において知られており、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、ELISA、ウェスタンブロット、免疫沈降、SPR及び競合阻害アッセイなどの任意の抗体-抗原結合アッセイが挙げられる(例えば、Janeway et al.(後述)、及び米国特許出願公開第2002/0197266号、及び競合アッセイに関する上のセクション参照)。抗原またはそのエピトープへの結合に関して第2の抗体と競合する抗体の能力を試験する、他の結合アッセイ、例えば、競合結合アッセイまたは競合アッセイは、当該技術分野において知られており、抗体のPD-1結合能力を試験するために使用することができる。例えば、米国特許出願公開第US20140178905号,Chand et al.,Biologicals 46:168-171(2017);Liu et al.,Anal Biochem 525:89-91(2017);及びGoolia et al.,J Vet Diagn Invest 29(2):250-253(2017)を参照されたい。また、2つの抗体を比較する他の方法は、当該技術分野において知られており、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)が挙げられる。SPRは、抗体と第2の抗体の結合定数を求めるために使用することができ、2つの結合定数を比較することができる。
異種部分:ポリマー、炭水化物、脂質及び治療薬
例示的な実施形態において、本開示のコンジュゲートは、ポリマーに連結されたIL-21ムテインを含む。いくつかの実施形態において、ポリマーは、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン及びその誘導体、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのポリマー、例えば、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)及びポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリビニルポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハライド、ポリ(ビニルアセテート)及びポリビニルピロリドン、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタン及びこれらのコポリマー、セルロース、例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシルエチルセルロース、三酢酸セルロース及びセルロース硫酸ナトリウム塩、ポリプロピレン、ポリエチレン、例えば、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)及びポリ(エチレンテレフタレート)、ならびにポリスチレンからなる群から選択される。具体的な実施形態において、ポリマーは、ポリアルキレングリコールであり、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。
例示的な実施形態において、本開示のコンジュゲートは、炭水化物に連結されたIL-21ムテインを含む。いくつかの実施形態において、炭水化物は、単糖(例えば、グルコース、ガラクトース、フルクトース)、二糖(例えば、スクロース、ラクトース、マルトース)、オリゴ糖(例えば、ラフィノース、スタキオース)、またはポリ糖(例えば、デンプン、アミラーゼ、アミロペクチン、セルロース、キチン、カロース、ラミナリン、キシラン、マンナン、フコイダンまたはガラクトマンナン)である。
いくつかの実施形態において、異種部分は、脂質である。脂質は、いくつかの実施形態において、脂肪酸、エイコサノイド、プロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサン、N-アシルエタノールアミン)、グリセロ脂質(例えば、一置換、二置換、三置換グリセロール)、グリセロリン脂質(例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン)、スフィンゴ脂質(例えば、スフィンゴシン、セラミド)、ステロール脂質(例えば、ステロイド、コレステロール)、プレノール脂質、サッカロ脂質、またはポリケチド、油、ワックス、コレステロール、ステロール、脂溶性ビタミン、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質である。
例示的な実施形態において、本開示のコンジュゲートは、治療薬に連結されたIL-21ムテインを含む。治療薬は、当該技術分野において知られている治療薬のいずれかであり得る。例示的な態様において、治療薬は、その薬剤が免疫応答を刺激する限り、免疫療法薬である。例示的な態様において、免疫療法薬は、がんワクチンである。例示的な態様において、免疫療法薬は、モノクローナル抗体である。例示的な態様において、免疫療法薬は、免疫チェックポイント阻害薬、例えば、CTLA4、PD-1、PD-L1の阻害薬である。例示的な場合において、モノクローナル抗体は、免疫チェックポイント経路中のタンパク質に対して特異的である。免疫チェックポイント経路のタンパク質は、例えば、CTLA4、PD-1、PD-L1、B7-H3、B7H4またはTIM3であり得る。例えば、本開示の抗原結合タンパク質は、アテゾリズマブ、アベルマブ、イピリムマブ、トレメリムマブ、BMS-936558、MK3475、CT-011、AM-224、MDX-1105、IMP321、MGA271にコンジュゲートされ得る。
例示的な態様において、治療薬は、腫瘍転移の阻害に有効であり、かつ/または少なくとも1つの細胞集団に対して抗増殖作用を有する、サイトカイン、リンフォカイン、成長因子または造血因子である。そのようなサイトカイン、リンフォカイン、成長因子または他の造血因子には、M-CSF、GM-CSF、TNF、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IFN、TNFα、TNF1、TNF2、G-CSF、Meg-CSF、GM-CSF、トロンボポエチン、幹細胞因子及びエリスロポエチンが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される更なる成長因子には、アンジオジェニン、骨形成タンパク質1、骨形成タンパク質2、骨形成タンパク質3、骨形成タンパク質4、骨形成タンパク質5、骨形成タンパク質6、骨形成タンパク質7、骨形成タンパク質8、骨形成タンパク質9、骨形成タンパク質10、骨形成タンパク質11、骨形成タンパク質12、骨形成タンパク質13、骨形成タンパク質14、骨形成タンパク質15、骨形成タンパク質受容体IA、骨形成タンパク質受容体IB、脳由来神経栄養因子、毛様体神経栄養因子、毛様体神経栄養因子受容体α、サイトカイン誘導性好中球遊走因子1、サイトカイン誘導性好中球遊走因子2α、サイトカイン誘導性好中球遊走因子2β、β内皮細胞成長因子、エンドセリン1、上皮由来好中球誘引物質、グリア細胞株由来神経栄養因子受容体α1、グリア細胞株由来神経栄養因子受容体α2、成長関連タンパク質、成長関連タンパク質α、成長関連タンパク質β、成長関連タンパク質γ、ヘパリン結合上皮成長因子、肝細胞成長因子、肝細胞成長因子受容体、インスリン様成長因子I、インスリン様成長因子受容体、インスリン様成長因子II、インスリン様成長因子結合タンパク質、ケラチノサイト成長因子、白血病抑制因子、白血病抑制因子受容体α、神経成長因子 神経成長因子受容体、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4、B細胞前駆体成長刺激因子、幹細胞因子、幹細胞因子受容体、トランスフォーミング増殖因子α、トランスフォーミング増殖因子β、トランスフォーミング増殖因子β1、トランスフォーミング増殖因子β1.2、トランスフォーミング増殖因子β2、トランスフォーミング増殖因子β3、トランスフォーミング増殖因子β5、潜在型トランスフォーミング増殖因子β1、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質I、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質II、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質III、I型腫瘍壊死因子受容体、II型腫瘍壊死因子受容体、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体、ならびにこれらのキメラタンパク質及び生物学的または免疫学的に活性な断片が挙げられる。例示的な実施形態において、治療薬は、上述したサイトカイン、リンフォカイン、成長因子または他の造血因子のいずれか1つに対して特異的な抗体を含む。
核酸
本開示は、更に、本開示のIL-21ムテイン、IL-21ムテインを含むコンジュゲート、またはIL-21ムテインを含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、核酸を提供する。例えば、核酸は、抗PD-1抗体の重鎖をコードするヌクレオチド配列と、それに続く、本開示のIL-21ムテインをコードするヌクレオチド配列を含み得る。重鎖をコードするヌクレオチド配列とIL-21ムテインをコードするヌクレオチド配列は、GGGGSのアミノ酸配列(配列番号262)を含むペプチドリンカーをコードするヌクレオチド配列と隣接してもよい。代替的態様において、核酸は、ペプチドリンカーをコードするヌクレオチド配列を含まず、抗PD-1抗体の重鎖をコードするヌクレオチド配列は、本開示のIL-21ムテインをコードするヌクレオチド配列にタンデムに並んでいる。
例示的な態様において、核酸は、配列番号3~21、23~56、58~112、114~208、210~222、224~255及び283のアミノ酸配列、または配列番号3~21、23~56、58~112、114~208、210~222、224~255及び283のアミノ酸配列に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含むIL-21ムテインをコードする、ヌクレオチド配列を含む。
例示的な態様において、核酸は、配列番号262のペプチドリンカー、または配列番号262に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする、ヌクレオチド配列を含む。
例示的な態様において、核酸は、本明細書に記載される任意のIL-21ムテインのアミノ酸配列に融合された、本明細書に記載される抗体定常領域のアミノ酸配列を含む融合タンパク質をコードする、ヌクレオチド配列を含む。例示的な場合において、核酸は、配列番号3~21、23~56、58~112、114~208、210~222、224~255及び283のいずれか1つ、または配列番号3~21、23~56、58~112、114~208、210~222、224~255及び283に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)の配列同一性を有するアミノ酸配列に融合された、配列番号265~267及び282のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号265~267及び282のいずれか1つに対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む融合タンパク質をコードする、ヌクレオチド配列を含む。例示的な態様において、核酸は、配列番号268~281のいずれか1つのアミノ酸配列、または配列番号268~281に対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む融合タンパク質をコードする、ヌクレオチド配列を含む。
例示的な態様において、核酸は、配列番号265~267、282、284~311、472~495及び544~555のいずれか1つの重鎖定常領域アミノ酸配列、または配列番号265~267、282、284~311、472~495及び544~555のいずれか1つに対して、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%の配列同一性を有するか、約90%を超える(例えば、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%を超える)配列同一性を有するアミノ酸配列を含む抗PD-1抗体をコードする、ヌクレオチド配列を含む。
本開示は、更に、本開示のPD-1抗原結合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、核酸を提供する。例示的な態様において、ヌクレオチド配列は、重鎖CDRもしくは軽鎖CDR、重鎖可変領域もしくは軽鎖可変領域、または重鎖配列もしくは軽鎖配列をコードする配列を含む。以下の表Gを参照されたい。例示的な場合において、ヌクレオチド配列は、配列番号392~471のいずれか1つを含む。本開示は、更に、(a)配列番号398と399、(b)配列番号408と409、(c)配列番号418と419、(d)配列番号428と429、(e)配列番号438と439、(f)配列番号448と449、(g)配列番号458と459、または(h)配列番号468と469を含む、ヌクレオチド配列対を提供する。本開示は、更に、(a)配列番号400と401、(b)配列番号410と411、(c)配列番号420と421、(d)配列番号430と431、(e)配列番号440と441、(f)配列番号450と451、(g)配列番号460と461、または(h)配列番号470と471を含む、ヌクレオチド配列対を提供する。
例示的な態様において、核酸分子は、本開示のコンジュゲートまたは融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む。本明細書で使用される「核酸」には、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」及び「核酸分子」が含まれ、概して、DNAもしくはRNAの重合体またはそれらの修飾型を意味する。これらは、一本鎖であっても二本鎖であってもよく、合成されたものであっても天然源から得られたもの(例えば、単離及び/または精製)であってもよく、天然、非天然または改変ヌクレオチドを含有し得、天然、非天然または改変ヌクレオチド間結合(非修飾オリゴヌクレオチドのヌクレオチド間にみられるホスホジエステルではなく、ホスホロアミデート結合またはホスホロチオエート結合など)を含有し得る。核酸は、本開示の抗原結合タンパク質またはポリペプチドのいずれかをコードする任意のヌクレオチド配列を含み得る。いくつかの実施形態において、核酸は、いかなる挿入、欠失、逆位及び/または置換も含まない。他の実施形態において、核酸は、1つ以上の挿入、欠失、逆位及び/または置換を含む。
いくつかの態様において、本開示の核酸は、組み換えである。本明細書で使用されるとき、「組み換え」という用語は、(i)生細胞内で複製できる核酸分子に天然もしくは合成の核酸セグメントを接続することによって、生細胞の外で構築される分子、または(ii)先の(i)に記載される分子の複製から生じる分子を指す。本明細書の目的では、複製は、in vitro複製またはin vivo複製であり得る。
核酸は、いくつかの態様において、化学合成及び/または酵素的ライゲーション反応に基づいて、当技術分野において知られている手順を使用して、構築することができる。例えば、Sambrook et al.(上掲)、及びAusubel et al.(上掲)を参照されたい。例えば、核酸は、天然ヌクレオチド、または分子の生物学的安定性を高めるか、ハイブリダイゼーション時に形成される二本鎖の物理的安定性を高めるように設計された種々の修飾ヌクレオチド(例えば、ホスホロチオエート誘導体及びアクリジン置換ヌクレオチド)を使用して、化学的に合成することができる。核酸の作製に使用することができる修飾ヌクレオチドの例には、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリドメ、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β-D-ガラクトシルクエオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N-置換アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアンモメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノシルクエオシン、5’-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、プソイドウラチル、クエオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル及び2,6-ジアミノプリンが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、本開示の核酸のうちの1つ以上は、Macromolecular Resources(Fort Collins,CO)及びSynthegen(Houston,TX)などの企業から購入することができる。
ベクター
本開示の核酸は、いくつかの態様において、ベクターに組み込まれる。この点に関して、本開示は、本開示の核酸のいずれかを含むベクターを提供する。例示的な態様において、ベクターは、組み換え発現ベクターである。本明細書の目的では、「組み換え発現ベクター」という用語は、宿主細胞によるmRNA、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドの発現を可能にする、遺伝子修飾されたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド構築物であって、当該構築物がmRNA、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、当該mRNA、タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドが細胞内で発現されるのに十分な条件下でベクターが細胞と接触しているとき、その発現が可能になる、構築物を意味する。本開示のベクターは、全体として、天然ではない。しかしながら、ベクターの一部は、天然であり得る。本開示のベクターは、限定するものではないが、DNA及びRNAを含む、任意の種類のヌクレオチドを含み得、これらは、一本鎖であっても二本鎖であってもよく、合成されたものであっても部分的に天然源から得られたものであってもよく、天然、非天然または改変ヌクレオチドを含有し得る。ベクターは、天然もしくは非天然のヌクレオチド間結合、または両方の種類の結合を含み得る。いくつかの態様において、改変ヌクレオチドまたは非天然ヌクレオチド間結合は、ベクターの転写または複製を妨げない。
本開示のベクターは、任意の好適なベクターであってよく、任意の好適な宿主に形質転換またはトランスフェクトするために使用することができる。好適なベクターには、プラスミド及びウイルスなどの、伝播及び増大もしくは発現、またはその両方を行うために設計されたものが含まれる。ベクターは、pUC系(Fermentas Life Sciences)、pBluescript系(Stratagene(LaJoIIa,CA))、pET系(Novagen(Madison,WI))、pGEX系(Pharmacia Biotech(Uppsala,Sweden))、及びpEX系(Clontech(Palo Alto,CA))からなる群から選択することができる。λGTIO、λGTl1、λZapII(Stratagene)、λEMBL4及びλNMl149などのバクテリオファージベクターも使用することができる。植物発現ベクターの例には、pBIOl、pBI101.2、pBI101.3、pBI121及びpBIN19(Clontech)が挙げられる。動物発現ベクターの例には、pEUK-Cl、pMAM及びpMAMneo(Clontech)が挙げられる。いくつかの態様において、ベクターは、ウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクターである。
本開示のベクターは、例えば、Sambrook et al.(上掲)及びAusubel et al.(上掲)に記載されている標準的な組み換えDNA技術を使用して調製することができる。発現ベクター構築物は、環状または線状であり、原核生物または真核生物の宿主細胞内で機能する複製系を含有するように調製され得る。複製系は、例えば、CoIEl、2μプラスミド、λ、SV40、ウシパピローマウイルスなどに由来し得る。
いくつかの態様において、ベクターは、適切に、またベクターがDNAベースであるか、RNAベースであるかを考慮して、ベクターが導入される宿主の種類(例えば、細菌、真菌、植物または動物)に特異的である、転写及び翻訳の開始コドン及び終止コドンなどの制御配列を含む。
ベクターは、形質転換された宿主またはトランスフェクトされた宿主の選択を可能にする、1つ以上のマーカー遺伝子を含み得る。マーカー遺伝子には、殺生物薬耐性、例えば、抗生物質、重金属などに対する耐性、栄養要求性宿主に原栄養性などを与えるための相補物が含まれる。本開示の発現ベクターに好適なマーカー遺伝子には、例えば、ネオマイシン/G418耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ヒスチジノール耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子及びアンピシリン耐性遺伝子が挙げられる。
ベクターは、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(その機能的部分及び機能性バリアントを含む)、またはIL-21、コンジュゲートもしくは融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列に対して相補的であるか、ハイブリダイズする、ヌクレオチド配列に作動可能に連結された、天然または標準プロモーターを含み得る。プロモーターの選択、例えば、強い、弱い、誘導性、組織特異的及び発生特異的の選択は、当業者の技術範囲内である。同様に、ヌクレオチド配列とプロモーターの組み合わせも当業者の技術範囲内である。プロモーターは、非ウイルスプロモーターまたはウイルスプロモーター、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター及びマウス幹細胞ウイルスの長い末端反復中にみられるプロモーターであってよい。
宿主細胞
本開示の核酸またはベクターを含む宿主細胞が本明細書で提供される。本明細書で使用されるとき、「宿主細胞」という用語は、本開示のベクターを含有することができ、核酸(例えば、mRNA、タンパク質)によってコードされる発現産物を産生することができる任意の種類の細胞を指す。宿主細胞は、いくつかの態様において、付着細胞または浮遊細胞(すなわち、浮遊状態で成長する細胞)である。宿主細胞は、例示的な態様において、培養細胞または初代細胞であり、すなわち、生物(例えば、ヒト)から直接単離される。宿主細胞は、任意の細胞種のものであってよく、任意の種類の組織に由来するものであってよく、任意の発生段階であってよい。
例示的な態様において、細胞は、酵母細胞、糸状菌細胞、原生動物細胞、藻類細胞、昆虫細胞または哺乳動物細胞を含むがこれらに限定されない、真核細胞である。このような宿主細胞は、当該技術分野において記載されている。例えば、Frenzel,et al.,Front Immunol 4:217(2013)を参照されたい。例示的な態様において、真核細胞は、哺乳動物細胞である。例示的な態様において、哺乳動物細胞は、非ヒト哺乳動物細胞である。いくつかの態様において、細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞及びその誘導体(例えば、CHO-K1、CHO pro-3、CS9)、マウス骨髄腫細胞(例えば、NS0、GS-NS0、Sp2/0)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)活性を欠失するように操作された細胞(例えば、DUKX-X11、DG44)、ヒト胎児由来腎臓293(HEK293)細胞またはその誘導体(例えば、HEK293T、HEK293-EBNA)、アフリカミドリザル腎細胞(例えば、COS細胞、VERO細胞)、ヒト子宮頸癌細胞(例えば、HeLa)、ヒト骨肉腫上皮細胞U2-OS、ヒト肺胞基底上皮腺癌細胞A549、ヒト線維肉腫細胞HT1080、マウス脳腫瘍細胞CAD、胚性癌腫細胞P19、マウス胎児線維芽細胞NIH 3T3、マウス線維芽細胞L929、マウス神経芽細胞腫細胞N2a、ヒト乳癌細胞MCF-7、網膜芽細胞腫細胞Y79、ヒト網膜芽細胞腫細胞SO-Rb50、ヒト肝癌細胞HepG2、マウスB骨髄腫細胞J558L、またはベビーハムスター腎臓(BHK)細胞(Gaillet et al.2007;Khan,Adv Pharm Bull 3(2):257-263(2013))である。特定の実施形態において、宿主細胞は、CS9(CHO細胞株)である。
ベクターを増幅または複製する上で、宿主細胞は、いくつかの態様において、原核細胞、例えば、細菌細胞である。
本明細書に記載される少なくとも1つの宿主細胞を含む細胞集団もまた本開示によって提供される。細胞集団は、いくつかの態様において、いずれのベクターも含まない少なくとも1つの他の細胞に加えて、記載のベクターを含む宿主細胞を含む、不均質な集団である。あるいは、いくつかの態様において、細胞集団は、実質的に均質な集団であり、集団は、主に、ベクターを含む宿主細胞を含む(例えば、本質的になる)。集団は、いくつかの態様において、クローン細胞集団であり、集団の全ての細胞は、ベクターを含む単一の宿主細胞のクローンであり、そのため、集団の全ての細胞は、ベクターを含む。本開示の例示的な実施形態において、細胞集団は、本明細書に記載されるベクターを含む宿主細胞を含む、クローン集団である。
医薬組成物
本開示のIL-21ムテイン、IL-21ムテインを含むコンジュゲート、IL-21ムテイン及びポリペプチドを含む融合タンパク質、PD-1抗原結合タンパク質(例えば、抗PD-1抗体)、PD-1抗原結合タンパク質(例えば、抗PD-1抗体)を含むコンジュゲート、PD-1抗原結合タンパク質(例えば、抗PD-1抗体)を含む融合タンパク質、核酸、ベクターもしくは宿主細胞、またはこれらの組み合わせを含む、組成物が本明細書で提供される。組成物は、いくつかの態様において、単離及び/または精製された状態の本開示のIL-21ムテイン、PD-1抗原結合タンパク質(例えば、抗PD-1抗体)、コンジュゲート、融合タンパク質、核酸、ベクターもしくは宿主細胞、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、組成物は、本開示の単一の種類(例えば、構造)のIL-21ムテイン、PD-1抗原結合タンパク質(例えば、抗PD-1抗体)、コンジュゲート、融合タンパク質、核酸、ベクターまたは宿主細胞を含むか、本開示の2つ以上の異なる種類(例えば、異なる構造)の組み合わせのIL-21ムテイン、PD-1抗原結合タンパク質、コンジュゲート、融合タンパク質、核酸、ベクターまたは宿主細胞を含む。
例示的な態様において、組成物は、例えば、ある特定の温度(例えば、室温)において、例えば、IL-21ムテインまたは融合タンパク質を安定化させること、貯蔵寿命を延ばすこと、分解(例えば、酸化プロテアーゼによる分解)を減らすこと、例えば、IL-21ムテインまたは融合タンパク質などの半減期を延ばすことにより、IL-21ムテイン、PD-1抗原結合タンパク質(例えば、抗PD-1抗体)、コンジュゲート、融合タンパク質、核酸、ベクターまたは宿主細胞の化学物理的特徴を向上させる、作用物質を含む。いくつかの態様において、組成物は、本明細書で開示される作用物質のいずれかを、異種部分またはコンジュゲート部分として、任意選択により、本開示のIL-21ムテイン、コンジュゲート、融合タンパク質、核酸、ベクターまたは宿主細胞との混合で含む。
本開示の例示的な態様において、組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を追加で含む。いくつかの実施形態において、本開示のIL-21ムテイン、PD-1抗原結合タンパク質(例えば、抗PD-1抗体)、コンジュゲート、融合タンパク質、核酸、ベクターまたは宿主細胞(以後、「活性剤」と称される)は、当該活性剤を薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤とともに含む、医薬組成物に製剤化される。この点に関して、本開示は、更に、活性剤(すなわち、本開示のIL-21ムテイン、PD-1抗原結合タンパク質(例えば、抗PD-1抗体)、コンジュゲート、融合タンパク質、核酸、ベクターまたは宿主細胞のいずれか)を含む、医薬組成物であって、対象、例えば、哺乳動物への投与が意図される、医薬組成物を提供する。
いくつかの実施形態において、活性剤は、患者への投与に適した純度レベルで医薬組成物中に存在する。いくつかの実施形態において、活性剤は、少なくとも約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%または約99%の純度レベルと、薬学的に許容される希釈剤、担体または賦形剤とを有する。いくつかの実施形態において、組成物は、約0.001~約30.0mg/mlの濃度で、活性剤を含有する。
例示的な態様において、医薬組成物は、薬学的に許容される担体を含む。本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される担体」という用語には、リン酸緩衝生理食塩水、水、水中油型または油中水型乳剤などの乳剤、及び様々な種類の湿潤剤などの標準的な薬学的担体のいずれかが含まれる。本用語はまた、ヒトを含む動物における使用に対して、米国連邦政府の規制機関によって認可されているか、米国薬局方に記載されているあらゆる作用物質を包含する。
医薬組成物は、任意の薬学的に許容される成分、例えば、酸性化剤、添加剤、吸着剤、エアゾール噴射剤、空気置換剤、アルカリ化剤、固化防止剤、抗凝固剤、抗菌性保存剤、抗酸化剤、防腐剤、基剤、結合剤、緩衝剤、キレート剤、コーティング剤、着色剤、乾燥剤、洗剤、希釈剤、消毒剤、崩壊剤、分散剤、溶解向上剤、色素、皮膚軟化剤、乳化剤、乳化安定剤、充填剤、フィルム形成剤、風味向上剤、矯味剤、流動促進剤、ゲル化剤、造粒剤、保湿剤、滑沢剤、粘膜付着剤、軟膏基剤、軟膏剤、油性ビヒクル、有機基剤、錠剤基剤、顔料、可塑剤、研磨剤、保存剤、金属イオン封鎖剤、皮膚浸透剤、可溶化剤、溶媒、安定化剤、坐剤基剤、表面活性剤、界面活性剤、懸濁化剤、甘味剤、治療薬、粘稠化剤、等張化剤、毒剤、増粘剤、吸水剤、水混和性共溶媒、硬水軟化剤または湿潤剤を含み得る。例えば、Handbook of Pharmaceutical Excipients,Third Edition,A.H.Kibbe(Pharmaceutical Press,London,UK,2000)を参照されたい(その全体を参照により援用する)。Remington’s Pharmaceutical Sciences,Sixteenth Edition,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)(その全体を参照により援用する)。
例示的な態様において、医薬組成物は、採用される用量及び濃度でレシピエントに対して無毒である、製剤化材料を含む。具体的な実施形態において、活性剤及び1つ以上の薬学的に許容される塩、ポリオール、界面活性剤、浸透圧調整剤、等張化剤、抗酸化剤、抗生物質、抗真菌剤、増量剤、凍結乾燥保護剤、消泡剤、キレート剤、保存剤、着色剤、鎮痛薬または追加の医薬品を含む、医薬組成物。例示的な態様において、医薬組成物は、薬学的に許容される塩、浸透圧調整剤(等張化剤)、抗酸化剤、抗生物質、抗真菌剤、増量剤、凍結乾燥保護剤、消泡剤、キレート剤、保存剤、着色剤及び鎮痛薬を含むがこれらに限定されない1つ以上の賦形剤に加えて、任意選択により、1つ以上のポリオール及び/または1つ以上の界面活性剤を含む。
ある特定の実施形態において、医薬組成物は、例えば、組成物のpH、浸透圧モル濃度、粘性、透明度、色、等張性、匂い、無菌性、安定性、溶解もしくは放出速度、吸着、または浸透を改変、維持または保持するための製剤化材料を含んでもよい。そのような実施形態において、好適な製剤化材料には、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリシンなど)、抗菌剤、抗酸化剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウムなど)、緩衝剤(ホウ酸、重炭酸、Tris-HCl、クエン酸、リン酸または他の有機酸など)、増量剤(マンニトールまたはグリシンなど)、キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など)、錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、β-シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなど)、充填剤、単糖、二糖及び他の炭水化物(グルコース、マンノースまたはデキストリンなど)、タンパク質(血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンなど)、着色剤、矯味剤及び希釈剤、乳化剤、親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど)、低分子量ポリペプチド、塩生成対イオン(ナトリウムなど)、保存剤(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸または過酸化水素など)、溶媒(グリセリン、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなど)、糖アルコール(マンニトールまたはソルビトールなど)、懸濁剤、界面活性剤または湿潤剤(プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20などのポリソルベート、ポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパルなど)、安定性向上剤(スクロースまたはソルビトールなど)、張性向上剤(アルカリ金属ハロゲン化物、好ましくは塩化ナトリウムまたは塩化カリウム、マンニトールソルビトールなど)、送達ビヒクル、希釈剤、賦形剤及び/または医薬品アジュバントが挙げられるが、これらに限定されない。REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,18″ Edition,(A.R.Genrmo,ed.),1990,Mack Publishing Companyを参照されたい。
医薬組成物は、生理学的に適合するpHを達成するように製剤化することができる。いくつかの実施形態において、医薬組成物のpHは、例えば、約4または約5~約8.0または約4.5~約7.5または約5.0~約7.5であり得る。例示的な実施形態において、医薬組成物のpHは、5.5~7.5である。
投与経路
本開示に関して、活性剤、または活性剤を含む医薬組成物は、任意の好適な投与経路を介して対象に投与することができる。例えば、活性剤は、非経口、経鼻、経口、経肺、局所、経膣または経直腸の投与を介して対象に投与することができる。投与経路に関する以下の記述は、例示的な実施形態を単に例示するために提供されるものであり、如何様にも、本範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
非経口投与に好適な製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤及び製剤を対象のレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る、水性及び非水性の等張性無菌注射剤と、懸濁化剤、可溶化剤、粘稠化剤、安定剤及び保存剤を含み得る、水性及び非水性の無菌懸濁剤とが含まれる。「非経口」という用語は、消化管を介するものではなく、皮下、筋肉内、脊髄内または静脈内などの他のいくつかの経路によることを意味する。本開示の活性剤は、薬学的担体中、生理学的に許容される希釈剤(無菌液体または液体混合物など)とともに投与することができ、希釈剤には、水、生理食塩水、デキストロース水溶液及び関連糖溶液、エタノールまたはヘキサデシルアルコールなどのアルコール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどのグリコール、ジメチルスルホキシド、グリセロール、2,2-ジメチル-l53-ジオキソラン-4-メタノールなどのケタール、エーテル、ポリ(エチレングリコール)400、油、脂肪酸、脂肪酸エステルもしくは脂肪酸グリセリド、またはアセチル化脂肪酸グリセリドが挙げられ、また、希釈剤は、石鹸もしくは洗浄剤などの薬学的に許容される界面活性剤、ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくはカルボキシメチルセルロースなどの懸濁化剤、または乳化剤及び他の医薬品アジュバントを含んでも、含まなくてもよい。
非経口製剤に使用することができる油には、鉱油、動物油、植物油または合成油が挙げられる。油の具体例には、ピーナッツ油、大豆油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、鉱油及び鉱物が挙げられる。非経口製剤での使用に好適な脂肪酸には、オレイン酸、ステアリン酸及びイソステアリン酸が挙げられる。オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルは、好適な脂肪酸エステルの例である。
非経口製剤での使用に好適な石けんには、脂肪酸のアルカリ金属、アンモニウム及びトリエタノールアミン塩が挙げられ、好適な洗剤には、(a)カチオン性洗剤、例えば、ハロゲン化ジメチルジアルキルアンモニウム及びハロゲン化アルキルピリジニウムなど、(b)アニオン性洗剤、例えば、アルキル、アリール及びオレフィンのスルホン酸塩、アルキル、オレフィン、エーテル及びモノグリセリドの硫酸塩、ならびにスルホコハク酸塩など、(c)非イオン性洗剤、例えば、脂肪族アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド及びポリオキシエチレンポリプロピレンコポリマーなど、(d)両性洗剤、例えば、アルキル-β-アミノプロピオン酸塩及び2-アルキル-イミダゾリン第四級アンモニウム塩、ならびに(e)これらの混合物が挙げられる。
非経口製剤は、いくつかの実施形態において、溶液中に、約0.5重量%~約25重量%の本開示の活性剤を含有する。保存剤及び緩衝剤を使用することができる。注射部位の刺激を最小限に抑えるか、排除するために、かかる組成物は、約12~約17の親水性親油性比(HLB)を有する1つ以上の非イオン性界面活性剤を含有し得る。かかる製剤中の界面活性剤の量は、典型的に、約5重量%~約15重量%の範囲である。好適な界面活性剤には、モノオレイン酸ソルビタンなどのポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、プロピレンオキシドとプロピレングリコールの縮合によって形成される、エチレンオキシドと疎水性塩基との高分子量付加物が挙げられる。非経口製剤は、いくつかの態様において、アンプル及びバイアルなどの単位用量または複数回用量の密封容器で提供することができ、使用直前に注射剤用の無菌液状賦形剤(例えば、水)を添加するだけでよいフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存することができる。即時注射用液剤及び懸濁剤は、いくつかの態様において、前述の種類の滅菌した散剤、顆粒剤及び錠剤から調製することができる。
注射用製剤は、本開示に従う。注射用組成物に有効な薬学的担体の要件は、当業者によく知られている。(例えば、Pharmaceutics and Pharmacy Practice,J.B.Lippincott Company,Philadelphia,PA,Banker and Chalmers,eds.,pages 238-250(1982)及びASHP Handbook on Injectable Drugs,Toissel,4th ed.,pages 622-630(1986)参照)。
用量
本開示の活性剤は、本明細書に記載されるように、PD-1シグナル伝達を阻害すると同時にIL-21シグナル伝達をもたらす方法に有用であると考えられ、したがって、1つ以上の疾患(例えば、がん)を治療または予防する方法に有用であると考えられる。本開示の目的では、投与される活性剤の量または用量は、対象または動物において、妥当な時間枠にわたり、例えば、治療応答または予防応答を生じさせるのに十分なものであるべきである。例えば、本開示の活性剤の用量は、投与時から約1~4分、1~4時間または1~4週間以上、例えば、5~20週間以上の期間における、本明細書に記載されるがんの治療に十分なものであるべきである。ある特定の実施形態において、期間は、更に長くてもよい。用量は、特定の活性剤の有効性、ならびに治療がなされる動物(例えば、ヒト)の状態及び動物(例えば、ヒト)の体重によって決定される。
投与量を決定するための多くのアッセイが当該技術分野において知られている。本明細書の目的では、本開示の活性剤の所定用量を哺乳動物に投与した際にどの程度がんが治療されるかを、異なる用量の活性剤を各哺乳動物群に投与して、哺乳動物群間で比較することを含むアッセイを使用して、哺乳動物に投与される出発用量を決定することができる。ある特定の用量を投与した際にどの程度がんが治療されるかは、例えば、活性剤を用いてマウス異種移植モデルで達成される、活性剤の細胞毒性または腫瘍退縮の程度によって表すことができる。融合タンパク質の細胞毒性を測定する方法、及び腫瘍退縮を評価する方法は、当該技術分野において知られている。
本開示の活性剤の用量はまた、本開示の特定の活性剤の投与に伴い得る、あらゆる有害な副作用の存在、その性質及び程度によって決定される。典型的に、主治医は、年齢、体重、全般的な健康、食生活、性別、投与される本開示の活性剤、投与経路、治療がなされる病態の重症度などの様々な要因を考慮に入れて、個々の患者を治療するための本開示の活性剤の用量を決定する。例として、本開示を限定するものではないが、本開示の活性剤の用量は、治療がなされる対象の体重1kgに対して、1日当たり約0.0001~約1g(g/kg体重/日)、約0.0001~約0.001g/kg体重/日、または約0.01mg~約1g/kg体重/日であり得る。
制御放出製剤
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される活性剤は、デポー製剤に変更することができ、これにより、本開示の活性剤が投与先の体内で放出される様式を、時間及び体内の位置に関して制御することができる(例えば、米国特許第4,450,150号参照)。本開示の活性剤のデポー製剤は、例えば、活性剤と、多孔質材料またはポリマーなどの非多孔質材料とを含む、埋め込み可能な組成物であり得、活性剤は、当該材料によってカプセル化されるか、当該材料全体に分散されるか、かつ/または非多孔質材料の分解物である。次いで、デポーは、対象の体内の所望の位置に埋め込むことができ、活性剤は、その埋め込み物から所定の速度で放出される。
活性剤を含む医薬組成物は、ある特定の態様において、任意のタイプのin vivo放出プロファイルを有するように変更される。いくつかの態様において、医薬組成物は、即時放出製剤、制御放出製剤、持続放出製剤、長期放出製剤、遅延放出製剤または二相放出製剤である。制御放出用ペプチドの製剤化方法は、当該技術分野において知られている。例えば、Qian et al.,J Pharm 374:46-52(2009)ならびに国際特許出願公開第WO2008/130158号、同第WO2004/033036号、同第WO2000/032218号及び同第WO1999/040942号を参照されたい。
本発明の組成物は、更に、例えば、ミセルもしくはリポソーム、または他の何らかのカプセル化形態を備えてもよいし、長期保存及び/または長期送達効果をもたらすために、長期放出型で投与することができる。
併用
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される融合タンパク質または抗原結合タンパク質(例えば、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物)は、単独で投与され、また、代替的実施形態において、別の治療薬、例えば、本発明の異なる種類(例えば、構造)の別の活性剤と組み合わせて投与される。いくつかの態様において、他の治療薬は、がんの治療または予防を目的にする。いくつかの実施形態において、他の治療薬は、化学療法薬である。いくつかの実施形態において、他の治療薬は、がん治療のための放射線療法に使用される薬剤である。したがって、いくつかの態様において、本明細書に記載される融合タンパク質または抗原結合タンパク質(例えば、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物)は、白金錯体化合物、トポイソメラーゼ阻害薬、抗生物質、抗有糸***性アルカロイド及びジフルオロヌクレオシドのうちの1つ以上と組み合わせて投与される。例示的な態様において、本明細書に記載されるIL-21融合タンパク質(例えば、IL-21ムテインに融合された抗PD-1抗体)は、抗原結合タンパク質(例えば、抗PD-1抗体、その抗原結合抗体断片または抗PD-1抗体タンパク質生成物)と組み合わせられる。
具体的な実施形態において、抗体20A2、20C1、22D4、20C1.006、20C1.009、20A2.003、22D4.006、22D4.017のいずれかが、本明細書に記載されるIL-21融合タンパク質と組み合わせて投与され、融合タンパク質は、例えば、以下から選択されるホモ二量体または単量体を含む融合タンパク質を含む。
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号496のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体;
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、融合された重鎖-IL-21ムテインは、配列番号497のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体;
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号498のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体;
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号499のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体;
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号500のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体;
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号501のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号555のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体;
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号502のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号556のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体;
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号503のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号557のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体;
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号504のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号555のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体;
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号505のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号556のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体;
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号391のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号506のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号557のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体;
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号507のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体;
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号508のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体;
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号509のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体;
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号510のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体;
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号511のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体;
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの抗体重鎖(いずれもIL-21ムテインに融合され、各重鎖-IL-21ムテイン融合体は、配列番号512のアミノ酸配列を含む)とを含む、ホモ二量体;
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号513のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号558のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体;
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号514のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号559のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体;
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号515のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号560のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体;
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号516のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号558のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体;
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号517のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号559のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体;または
2つの抗体軽鎖(いずれも配列番号371のアミノ酸配列を含む)と、2つの異なる抗体重鎖(一方は、IL-21ムテインに融合され、配列番号518のアミノ酸配列を含み、他方は、IL-21ムテインに融合しておらず、配列番号560のアミノ酸配列を含む)とを含む、単量体。
キット
本開示は、本開示のIL-21ムテイン、PD-1抗原結合タンパク質(例えば、抗PD-1抗体)、コンジュゲート、融合タンパク質、核酸、ベクターもしくは宿主細胞、またはこれらの組み合わせを含むキットを更に提供する。キットは、例示的な態様において、1つの容器内に、本開示の少なくとも1つのIL-21ムテイン、PD-1抗原結合タンパク質(例えば、抗PD-1抗体)、コンジュゲート、融合タンパク質、核酸、ベクターもしくは宿主細胞、またはこれらの組み合わせを含む。例示的な態様において、本開示の少なくとも1つのIL-21ムテイン、PD-1抗原結合タンパク質(例えば、抗PD-1抗体)、コンジュゲート、融合タンパク質、核酸、ベクターまたは宿主細胞は、キット中、単位用量で提供される。本明細書の目的では、「単位用量」は、好適な担体中に分散された別個の量を指す。例示的な態様において、単位用量は、所望の効果、例えば、がん治療を対象にもたらすのに十分な量である。例示的な態様において、キットは、複数の単位用量、例えば、1週間分または1ヶ月分の単位用量を含み、任意選択により、各単位用量は、個別に包装されるか、他の単位用量とは別々になっている。いくつかの実施形態において、キット/単位用量の構成要素は、患者への投与に関する説明書とともに包装される。いくつかの実施形態において、キットは、患者への投与のための1つ以上のデバイス、例えば、針及び注射器などを含む。いくつかの態様において、本開示の少なくとも1つのIL-21ムテイン、PD-1抗原結合タンパク質(例えば、抗PD-1抗体)、コンジュゲート、融合タンパク質、核酸、ベクターもしくは宿主細胞、またはこれらの組み合わせは、即時使用形態、例えば、注射器、静注バッグなどに予め包装されている。例示的な態様において、即時使用形態は、単回用である。例示的な態様において、キットは、本開示の少なくとも1つのIL-21ムテイン、PD-1抗原結合タンパク質(例えば、抗PD-1抗体)、コンジュゲート、融合タンパク質、核酸、ベクターまたは宿主細胞の複数の単回用の即時使用形態を含む。いくつかの態様において、キットは、本明細書に記載されるもののいずれかを含む、他の治療薬もしくは診断薬または薬学的に許容される担体(例えば、溶媒、緩衝剤、希釈剤など)を更に含む。
製造方法
本開示のIL-21ムテインは、当該技術分野において知られている方法によって得ることができる。ポリペプチドのde novo合成に好適な方法は、例えば、Chan et al.,Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis,Oxford University Press,Oxford,United Kingdom,2005;Peptide and Protein Drug Analysis,ed.Reid,R.,Marcel Dekker,Inc.,2000;Epitope Mapping,ed.Westwood et al.,Oxford University Press,Oxford,United Kingdom,2000;及び米国特許第5,449,752号に記載されている。本発明のペプチドの更なる例示的な作製方法は、本明細書に記載される。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるIL-21ムテインは、Synpep(Dublin,CA)、Peptide Technologies Corp.(Gaithersburg,MD)、Multiple Peptide Systems(San Diego,CA)、Peptide 2.0 Inc.(Chantilly,VA)、及びAmerican Peptide Co.(Sunnyvale,CA)などの企業によって、商業的に合成される。この点において、IL-21ムテインは、合成、組み換え、単離及び/または精製され得る。
また、いくつかの態様において、IL-21ムテインは、当該ペプチドのアミノ酸配列をコードする核酸を用いて、標準的な組み換え法を使用して、組み換え的に産生される。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual.3rd ed.,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY 2001;及びAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates and John Wiley&Sons,NY,1994を参照されたい。
IL-21ムテインの作製方法が本明細書で提供される。当該方法は、例示的な実施形態において、本開示の宿主細胞を培養してIL-21ムテインを発現させることと、発現されたIL-21ムテインを回収することとを含む。
IL-21ムテインを含む融合タンパク質の作製方法もまた本明細書で提供される。当該方法は、例示的な実施形態において、本開示の宿主細胞を培養して融合タンパク質を発現させることと、発現された融合タンパク質を回収することとを含む。
例示的な実施形態において、方法は、本明細書に記載されるIL-21ムテインまたは融合タンパク質をコードする核酸を含む宿主細胞を、IL-21ムテインまたは融合タンパク質を発現するように培養することを含む。宿主細胞は、本明細書に記載される宿主細胞のいずれかであり得る。例示的な態様において、宿主細胞は、CHO細胞、NS0細胞、COS細胞、VERO細胞及びBHK細胞からなる群から選択される。例示的な態様において、宿主細胞を培養するステップは、宿主細胞の成長及び増殖を支持する成長培地中で、宿主細胞を培養することを含む。例示的な態様において、成長培地は、細胞密度、培養物の生存率及び生産性を適時に高める。例示的な態様において、成長培地は、アミノ酸、ビタミン、無機塩、グルコース、ならびに成長因子、ホルモン及び接着因子の供給源としての血清を含む。例示的な態様において、成長培地は、アミノ酸、ビタミン、微量元素、無機塩、脂質及びインスリンまたはインスリン様成長因子からなる、完全に化学的に成分が明らかな培地である。栄養素に加えて、成長培地はまた、pH及び浸透圧を維持するのを助ける。一部の成長培地は、市販されており、当該技術分野において記載されている。例えば、Arora,“Cell Culture Media:A Review” MATER METHODS 3:175(2013)を参照されたい。
例示的な態様において、本開示のIL-21ムテインまたは融合タンパク質の作製方法は、フィード培地中で宿主細胞を培養することを含む。例示的な態様において、方法は、流加方式でフィード培地中で培養することを含む。組み換えタンパク質の産生方法は、当該技術分野において知られている。例えば、Li et al.,“Cell culture processes for monoclonal antibody production” MAbs 2(5):466-477(2010)を参照されたい。
IL-21ムテインまたは融合タンパク質の作製方法は、細胞培養またはその上清からムテインまたはタンパク質を精製し、好ましくは、精製されたタンパク質を回収するための1つ以上のステップを含み得る。例示的な態様において、方法は、1つ以上のクロマトグラフィーステップ、例えば、親和性クロマトグラフィー(例えば、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー)、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィーを含む。例示的な態様において、方法は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィー樹脂を使用して、タンパク質を精製することを含む。
例示的な実施形態において、方法は、精製されたタンパク質を製剤化するステップなどを更に含み、これにより、精製されたタンパク質を含む製剤が得られる。このようなステップは、Formulation and Process Development Strategies for Manufacturing,eds.Jameel and Hershenson,John Wiley&Sons,Inc.(Hoboken,NJ),2010に記載されている。
使用方法
治療方法が本開示によって更に提供される。例示的な実施形態において、当該方法は、治療を必要とする対象を治療する方法であって、治療を必要とする対象に、本開示の医薬組成物を、当該対象を治療するのに有効な量で投与することを含む、方法である。
本開示の医薬組成物は、PD-1シグナル伝達の阻害及び/またはIL-21シグナル伝達の活性化に有用である。特定の理論に拘束されるものではないが、[1]本明細書で提供される組成物のPD-1阻害活性により、当該実体は、T細胞活性を増強し、免疫応答(特に、腫瘍またはがんに対する免疫応答)を増強する方法に有用となり得、かつ/または[2]本明細書で提供される組成物のIL-21活性化活性により、当該実体は、T細胞の生存及びエフェクター機能を増強し、最終分化及び複製能の喪失を制限し、活性化エフェクター細胞をナイーブT細胞に近い表現型にシフトすることによって(例えば、CCR7発現を増強することによって)T細胞の長寿化を促進し、標的細胞(例えば、がん細胞)に対する細胞毒性を(例えば、IFNγ及びグランザイムBの産生を増大させることによって)増強することができる。
したがって、対象のT細胞活性を増強し、T細胞の生存及びエフェクター機能を増強し、最終分化及び複製能の喪失を制限し、T細胞の長寿化を促進し、標的細胞(例えば、がん細胞)に対する細胞毒性を増強する方法が本明細書で提供される。例示的な実施形態において、方法は、本開示の医薬組成物を有効な量で対象に投与することを含む。例示的な態様において、T細胞活性または免疫応答は、がん細胞もしくはがん組織または腫瘍細胞もしくは腫瘍に対するものである。例示的な態様において、免疫応答は、体液性免疫応答である。例示的な態様において、免疫応答は、自然免疫応答である。例示的な態様において、増強される免疫応答は、T細胞媒介性免疫応答である。
本明細書で使用されるとき、「増強する」という用語及びそれに派生する語は、100%または完全な増強または増大でなくてもよい。むしろ、増強には、当業者が潜在的な利益または治療効果があると認識する、様々な程度がある。この点において、本開示の医薬組成物は、任意の量またはレベルまで、例えば、T細胞活性を増強し得るか、免疫応答を増強し得る。例示的な実施形態において、本開示の方法によってもたらされる増強は、少なくとも10%または約10%の増強(例えば、少なくとも20%または約20%の増強、少なくとも30%または約30%の増強、少なくとも40%または約40%の増強、少なくとも50%または約50%の増強、少なくとも60%または約60%の増強、少なくとも70%または約70%の増強、少なくとも80%または約80%の増強、少なくとも90%または約90%の増強、少なくとも95%または約95%の増強、少なくとも98%または約98%の増強)である。
T細胞活性及び免疫応答の測定方法は、当該技術分野において知られている。T細胞活性は、例えば、Fu et al.,PLoS ONE 5(7):e11867(2010)に記載されているものなどの細胞毒性アッセイによって測定することができる。他のT細胞活性アッセイは、Bercovici et al.,Clin Diagn Lab Immunol.7(6):859-864(2000)に記載されている。免疫応答の測定方法は、例えば、Macatangay et al.,Clin Vaccine Immunol 17(9):1452-1459(2010)及びClay et al.,Clin Cancer Res.7(5):1127-35(2001)に記載されている。
更に、がんを有する対象を治療する方法、及び固形腫瘍を有する対象を治療する方法も本明細書で提供される。例示的な実施形態において、方法は、本開示の医薬組成物を、対象のがんまたは固形腫瘍を治療するのに有効な量で、対象に投与することを含む。本明細書で開示される方法によって治療できるがんは、任意のがんであり得、例えば、リンパ系または血流を介して身体の他の部分に伝播する可能性のある、制御不能な異常な細胞***によって引き起こされる任意の悪性増殖または悪性腫瘍であり得る。がんは、いくつかの態様において、急性リンパ性がん、急性骨髄性白血病、胞巣型横紋筋肉腫、骨癌、脳癌、乳癌、肛門、肛門管または肛門直腸の癌、眼癌、肝内胆管腺癌、関節癌、頸部、胆嚢または胸膜の癌、鼻、鼻腔または中耳の癌、口腔癌、外陰癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄癌、結腸癌、食道癌、子宮頸癌、消化管カルチノイド腫瘍、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、腎癌、喉頭癌、肝癌、肺癌、悪性中皮腫、黒色腫、多発性骨髄腫、鼻咽頭癌、非ホジキンリンパ腫、卵巣癌、膵癌、腹膜、網及び腸間膜の癌、咽頭癌、前立腺癌、直腸癌、腎癌(例えば、腎細胞癌(RCC))、小腸癌、軟組織癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、尿管癌、ならびに膀胱癌からなる群から選択されるものである。特定の態様において、がんは、頭頸部癌、卵巣癌、子宮頸癌、膀胱癌、食道癌、膵癌、消化管癌、胃癌、乳癌、子宮内膜癌、大腸癌、肝細胞癌、膠芽腫、膀胱癌、肺癌、例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、細気管支肺胞上皮癌からなる群から選択される。特定の実施形態において、腫瘍は、非小細胞肺癌(NSCLC)、頭頸部癌、腎癌、トリプルネガティブ乳癌及び胃癌である。例示的な態様において、対象は、腫瘍(例えば、固形腫瘍、血液悪性腫瘍またはリンパ系悪性腫瘍)を有し、医薬組成物は、対象の腫瘍を治療するのに有効な量で、対象に投与される。他の例示的な態様において、腫瘍は、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌(SCLC)、頭頸部癌、腎癌、乳癌、黒色腫、卵巣癌、肝癌、膵癌、大腸癌、前立腺癌、胃癌、リンパ腫または白血病であり、医薬組成物は、対象の腫瘍を治療するのに有効な量で、対象に投与される。
本明細書で使用されるとき、「治療する」という用語及びそれに関連する語は、必ずしも100%または完全な治療を意味するものではない。むしろ、治療には、当業者が潜在的な利益または治療効果があると認識する、様々な程度がある。この点において、本開示のがんの治療方法は、任意の治療量または任意の治療レベルを提供することができる。更に、本開示の方法によって提供される治療は、治療がなされるがんの1つ以上の状態または症状または徴候の治療を含み得る。また、本開示の方法によって提供される治療は、がんの進行を遅らせることを包含し得る。例えば、方法は、がんに対するT細胞活性または免疫応答を増強すること、腫瘍またはがんの成長を低減させること、腫瘍細胞の転移を減少させること、腫瘍細胞またはがん細胞の細胞死を増加させることなどによって、がんを治療することができる。例示的な態様において、方法は、がんの発生または再発を1日、2日、4日、6日、8日、10日、15日、30日、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、1年、2年、4年またはそれ以上遅らせることによって、治療する。例示的な態様において、方法は、対象の生存率を増加させることによって、治療する。
対象
本開示いくつかの実施形態において、対象は、哺乳動物であり、マウス及びハムスターなどのネズミ目の哺乳動物、ならびにウサギなどのウサギ目の哺乳動物、ネコ科(ネコ)を含むネコ目及びイヌ科(イヌ)に由来する哺乳動物、ウシ科(ウシ)及びイノシシ科(ブタ)を含むウシ目、またはウマ科(ウマ)を含むウマ目に由来する哺乳動物が挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの態様において、哺乳動物は、霊長目、セボイド目(Ceboids)またはシモイド目(Simoids)(サル)由来であるか、真猿亜目(ヒト及び類人猿)由来である。いくつかの態様において、哺乳動物は、ヒトである。
例示的な実施形態
例示的な実施形態において、本開示は、配列番号2のアミノ酸配列:
QGQDX HMXXM XXXXX XVDXL KNXVN DLVPE FLPAP EDVET NCEWS AFSCF QKAQL KSANT GNNEX XIXXX XXXLX XXXXX TNAGR RQKHR LTCPS CDSYE KKPPK EFLXX FXXLL XXMXX QHXSS RTHGS EDS(配列番号2)
を含むIL-21ムテインを提供し、
配列中、「X」は、任意のアミノ酸を表し、IL-21ムテインアミノ酸配列は、ヒトIL-21のアミノ酸配列(配列番号1)と少なくとも1アミノ酸異なる。
例示的な態様において、IL-21ムテインは、ヒトIL-21のアミノ酸配列(配列番号1)と7アミノ酸を超えない異なるアミノ酸配列を含む。例示的な態様において、IL-21ムテインは、ヒトIL-21のアミノ酸配列(配列番号1)と3、4、5または6アミノ酸異なるアミノ酸配列を含む。例示的な場合において、IL-21ムテインは、ヒトIL-21のアミノ酸配列(配列番号1)と1または2アミノ酸異なるアミノ酸配列を含む。例示的な態様において、IL-21ムテインのアミノ酸配列と配列番号1のアミノ酸配列との間の相違(複数可)は、配列番号2のアミノ酸10~15(両端を含む)またはアミノ酸105~123(両端を含む)内にあり、任意選択により、この相違(複数可)は、配列番号2のアミノ酸11、14、15、109、110、112、113、116、119、120及び/または123に存在する。例示的な態様において、IL-21ムテインのアミノ酸配列と配列番号1のアミノ酸配列との間の相違(複数可)は、配列番号2のアミノ酸5~25(両端を含む)またはアミノ酸65~80(両端を含む)内にあり、任意選択により、この相違(複数可)は、配列番号2のアミノ酸5、8、9、12、13、16、19、23、65、66、69、70、72、73、75、76、77、78、79及び/または80に存在する。
いくつかの態様において、IL-21ムテインは、ヒトIL-21のアミノ酸配列(配列番号1)と比較して、1つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含む。いくつかの場合において、アミノ酸置換は、配列番号1の位置5、8、9、11、12、13、14、15、16、19、23、65、66、68、69、70、71、72、73、75、76、77、78、79、80、109、110、112、113、116、117、119、120または123に存在する。例示的な態様において、アミノ酸置換は、配列番号1の位置5、8、9、11、12、13、14、15、16、19、23、65、66、68、69、70、72、73、75、76、77、78、79、80、109、110、112、113、116、117、119、120または123に存在する。例示的な場合において、IL-21ムテインは、
a.配列番号1の位置5、8、9、12、14、15、65、66、69、70、72、73、75、76、77、80、116もしくは119にアミノ酸置換を含み、当該置換アミノ酸は、脂肪族アミノ酸であるか、
b.配列番号1の位置5、8、9、11、12、13、14、15、16、19、23、65、66、69、70、72、73、75、76、77、78、79、110、112、116、117、119、120もしくは123にアミノ酸置換を含み、当該置換アミノ酸は、酸性アミノ酸であるか、
c.配列番号1の位置5、9、73、76、109、113もしくは116にアミノ酸置換を含み、当該置換アミノ酸は、塩基性アミノ酸であるか、
d.配列番号1の位置5、8、9、70もしくは76にアミノ酸置換を含み、当該置換アミノ酸は、芳香族アミノ酸であるか、
e.配列番号1の位置5、8、9、12、15、73、76、116もしくは119にアミノ酸置換を含み、当該置換アミノ酸は、側鎖アミドを含有するアミノ酸であるか、
f.配列番号1の位置5、8、9、11、12、14、15、73、76、116もしくは119にアミノ酸置換を含み、当該置換アミノ酸は、側鎖ヒドロキシルを含む非芳香族アミノ酸であるか、
g.配列番号1の位置65、66、69、70、72、73、75、76、77もしくは80にアミノ酸置換を含み、当該置換アミノ酸は、イミノ酸であるか、
h.配列番号1の位置5、9、15、76、116もしくは119にアミノ酸置換を含み、当該置換アミノ酸は、イオウ含有側鎖を含むアミノ酸であるか、
i。またはこれらの組み合わせのアミノ酸置換を含む。
例示的な態様において、置換アミノ酸は、天然アミノ酸である。いくつかの場合において、IL-21ムテインは、表Aに従った位置にアミノ酸によるアミノ酸置換を含む。表Aを以下に示す。
例示的な実施形態において、本開示は、配列番号3~21、23~56、58~112、114~208、210~222、224~255及び283のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、IL-21ムテインを提供する。
例示的な態様において、IL-21ムテインは、ヒトIL-21のアミノ酸配列(配列番号1)と比較して、2つのアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含む。例示的な態様において、アミノ酸置換は、配列番号1の位置5、8、9、11、12、13、14、15、16、19、23、65、66、68、69、70、71、72、73、75、76、77、78、79、80、109、110、112、113、116、117、119、120または123のうちの2つに存在する。例示的な場合において、アミノ酸置換は、配列番号1の位置5、9、15、70、71、72、73及び76のうちの2つに存在する。任意選択により、アミノ酸置換は、位置5、9、73及び76または配列番号1のうちの2つに存在する。いくつかの態様において、置換のうちの1つは、配列番号1の位置76に存在する。例示的な場合において、配列番号1の位置76の置換アミノ酸は、脂肪族アミノ酸または酸性アミノ酸である。例示的な態様において、IL-21ムテインは、配列番号1の位置5、9または73にアミノ酸置換を含み、置換アミノ酸は、脂肪族アミノ酸または酸性アミノ酸である。いくつかの態様において、IL-21ムテインは、配列番号1の位置5にアミノ酸置換を含み、置換アミノ酸は、側鎖アミドを含むアミノ酸である。いくつかの場合において、脂肪族アミノ酸はアラニンであるか、酸性アミノ酸はグルタミン酸であるか、側鎖アミドを含むアミノ酸はグルタミンである。本開示は、例示的な実施形態において、配列番号208、210~222、224~248及び255からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むIL-21ムテインを提供する。
上の態様のいずれにおいても、IL-21ムテインは、IL-21受容体に対する野生型IL-21の親和性と比較して低い親和性でIL-21受容体に結合することができる。いくつかの態様において、IL-21受容体は、配列番号256または261のアミノ酸配列を有する。いくつかの場合において、IL-21ムテインは、配列番号257のアミノ酸配列を有するIL-21受容体γ鎖に結合する。例示的な場合において、本開示のIL-21ムテインは、0.04nMよりも高いKd、または約0.04nMのKdで、ヒトIL-21受容体に結合する。
更に、コンジュゲートが提供される。例示的な態様において、コンジュゲートは、前述の段落のいずれか1つのIL-21ムテインと、異種部分とを含む。例示的な場合において、IL-21は、異種部分に直接結合される。代替的な場合において、IL-21は、異種部分にリンカーを介して結合される。いくつかの態様において、リンカーは、例えば、Gly-Gly-Gly-Gly-Serのアミノ酸配列(配列番号262)を含む、ペプチドを含む。例示的な態様において、異種部分は、ポリペプチドであり、任意選択により、ポリペプチドは、抗原結合タンパク質である。いくつかの場合において、異種ポリペプチドは、抗体またはその抗原結合抗体断片である。例示的な実施形態において、抗体は、抗PD-1抗体である。いくつかの態様において、IL-21ムテインは、抗体のFcに直接結合される。例示的な態様において、IL-21ムテインは、抗体のFcにリンカーを介して結合される。コンジュゲートは、いくつかの態様において、単一のIL-21ムテインを含み、当該単一のIL-21ムテインは、2つの抗体重鎖のうちの一方のC末端に連結される。例示的な場合において、コンジュゲートは、2つのIL-21ムテインを含み、第1のIL-21ムテインは、第1の抗体重鎖のC末端に連結され、第2のIL-21ムテインは、第2の抗体重鎖のC末端に連結される。任意選択により、第1のIL-21は、第2のIL-21ムテインと同じアミノ酸配列を有する。あるいは、第1のIL-21は、第2のIL-21ムテインと異なるアミノ酸配列を有する。例示的な態様において、抗体重鎖は、電荷対変異(例えば、V1、V4、V103またはV131変異)を含む。前述の段落のいずれか1つのコンジュゲートに関する例示的な態様において、IL-21ムテインは、配列番号1の位置5、9、73及び76のうちの2つにアミノ酸置換を含む。例示的な態様において、コンジュゲートは、配列番号1のアミノ酸配列を含むIL-21ムテインと、抗PD-1抗体とを含み、ただし、当該IL-21ムテインは、配列番号1の位置5、9、73及び76のうちの任意の2つにアミノ酸置換を含み、IL-21ムテインは、抗PD-1抗体のC末端に連結される。例示的な態様において、コンジュゲートは、(a)表Dに記載される重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)1アミノ酸配列、すなわち、配列番号312、322、332、342、352、362、372及び382からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(b)表Dに記載されるHC CDR2アミノ酸配列、すなわち、配列番号313、323、333、343、353、363、373及び383からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(c)表Dに記載されるHC CDR3アミノ酸配列、すなわち、配列番号314、324、334、344、3545、364、374及び384からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(d)表Dに記載される軽鎖(LC)CDR1アミノ酸配列、すなわち、315、325、335、345、355、365、375及び385からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(e)表Dに記載されるLC CDR2アミノ酸配列、すなわち、316、326、336、346、356、366、376及び386からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(f)表Dに記載されるLC CDR3アミノ酸配列、すなわち、317、327、337、347、357、367、377及び387からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(g)(a)~(f)のうちの任意の2つまたはそれ以上の組み合わせを含む、抗PD-1抗体を含む。例示的な場合において、抗PD-1抗体は、(a)配列番号312~317、(b)配列番号322~327、(c)配列番号332~337、(d)配列番号342~347、(e)配列番号352~357、(f)配列番号362~367、(g)配列番号372~377、及び(h)配列番号382~387からなる群から選択される6つのCDRアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗PD-1抗体は、(a)配列番号318と319、(b)配列番号328と329、(c)配列番号338と339、(d)配列番号348と349、(e)配列番号358と359、(f)配列番号368と369、(g)配列番号378と379、及び(h)配列番号388と389からなる群から選択されるアミノ酸配列対を含む。例示的な態様において、抗PD-1抗体は、配列番号265~267、282、284~311のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、定常領域を含む。ある特定の場合において、抗PD-1抗体は、(a)配列番号320と321、(b)配列番号330と331、(c)配列番号340と341、(d)配列番号350と351、(e)配列番号360と361、(f)配列番号370と371、(g)配列番号380と381、及び(h)配列番号390と391からなる群から選択されるアミノ酸配列対を含む。
例示的な実施形態において、本開示は、本明細書に記載されるIL-21ムテインと、異種ポリペプチドまたはペプチドとを含む、融合ポリペプチドまたは融合タンパク質を提供する。いくつかの態様において、融合ポリペプチドまたは融合タンパク質は、免疫グロブリンまたはその抗原結合抗体断片を含む。例示的な実施形態において、本開示は、本明細書に記載されるIL-21ムテインをコードするヌクレオチド配列を含む、核酸を提供する。例示的な実施形態において、本開示は、本明細書に記載される核酸を含む、ベクターを提供する。例示的な実施形態において、本開示は、本明細書に記載される核酸またはベクターを含む、宿主細胞を提供する。例示的な実施形態において、本開示は、本明細書に記載されるIL-21ムテイン、核酸、ベクター、宿主細胞、コンジュゲート、融合タンパク質またはこれらの組み合わせと、容器とを含むキットを提供する。
更に、本開示のIL-21ムテイン、核酸、ベクター、宿主細胞、コンジュゲート、融合タンパク質またはこれらの組み合わせと、薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤とを含む、医薬組成物が提供される。
本開示の宿主細胞をIL-21ムテインを発現するように培養することと、発現されたIL-21ムテインを回収することとを含む、IL-21ムテインの作製方法もまた提供される。更に、治療を必要とする対象を治療する方法が提供される。方法は、治療を必要とする対象に、本開示の医薬組成物を、当該対象を治療するのに有効な量で投与することを含む。例示的な態様において、対象は、固形腫瘍を有し、医薬組成物は、対象の固形腫瘍を治療するのに有効な量で、対象に投与される。任意選択により、固形腫瘍は、頭頸部癌、卵巣癌、子宮頸癌、膀胱癌、食道癌、膵癌、消化管癌、胃癌、乳癌、子宮内膜癌、大腸癌、肝細胞癌、膠芽腫、膀胱癌、肺癌、例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、細気管支肺胞上皮癌からなる群から選択される。
例示的な実施形態において、本開示は、(a)表Dに記載される重鎖(HC)相補性決定領域(CDR)1アミノ酸配列、すなわち、配列番号312、322、332、342、352、362、372及び382からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(b)表Dに記載されるHC CDR2アミノ酸配列、すなわち、配列番号313、323、333、343、353、363、373及び383からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(c)表Dに記載されるHC CDR3アミノ酸配列、すなわち、配列番号314、324、334、344、3545、364、374及び384からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(d)表Dに記載される軽鎖(LC)CDR1アミノ酸配列、すなわち、315、325、335、345、355、365、375及び385からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(e)表Dに記載されるLC CDR2アミノ酸配列、すなわち、316、326、336、346、356、366、376及び386からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(f)表Dに記載されるLC CDR3アミノ酸配列、すなわち、317、327、337、347、357、367、377及び387からなる群から選択される配列、または1アミノ酸もしくは2アミノ酸のみ異なるか、少なくとも70%もしくは約70%の配列同一性を有する、そのバリアント配列を含むか、(g)(a)~(f)のうちの任意の2つまたはそれ以上の組み合わせを含む、PD-1抗原結合タンパク質を提供する。例示的な場合において、PD-1抗原結合タンパク質は、(a)配列番号312~317、(b)配列番号322~327、(c)配列番号332~337、(d)配列番号342~347、(e)配列番号352~357、(f)配列番号362~367、(g)配列番号372~377、及び(h)配列番号382~387からなる群から選択される6つのCDRアミノ酸配列を含む。ある特定の態様において、PD-1抗原結合タンパク質は、(a)配列番号318と319、(b)配列番号328と329、(c)配列番号338と339、(d)配列番号348と349、(e)配列番号358と359、(f)配列番号368と369、(g)配列番号378と379、及び(h)配列番号388と389からなる群から選択されるアミノ酸配列対を含む。例示的な場合において、PD-1抗原結合タンパク質は、配列番号265~267、282、284~311のいずれか1つのアミノ酸配列を含む定常領域を含む。いくつかの態様において、PD-1抗原結合タンパク質は、(a)配列番号320と321、(b)配列番号330と331、(c)配列番号340と341、(d)配列番号350と351、(e)配列番号360と361、(f)配列番号370と371、(g)配列番号380と381、及び(h)配列番号390と391からなる群から選択されるアミノ酸配列対を含む。
例示的な実施形態において、本開示は、前述の段落に記載されるPD-1抗原結合タンパク質と、異種部分とを含む、コンジュゲートを提供する。例示的な実施形態において、本開示は、前述の段落に記載されるPD-1抗原結合タンパク質と、異種ポリペプチドまたはペプチドとを含む、融合ポリペプチドまたは融合タンパク質を提供する。例示的な実施形態において、本開示は、前述の段落に記載されるPD-1抗原結合タンパク質、コンジュゲートまたは融合ポリペプチドもしくは融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、核酸を提供する。例示的な場合において、核酸は、配列番号392~471のいずれか1つの配列を含む。本開示は、例示的な実施形態において、上述の核酸を含むベクター、及び上述の核酸または上述のベクターを含む宿主細胞を提供する。前述の段落に記載されるPD-1抗原結合タンパク質もしくはコンジュゲート、融合ポリペプチド、融合タンパク質、核酸、ベクターもしくは宿主細胞、またはこれらの組み合わせと、容器とを含む、キットも提供される。本開示は、例示的な実施形態において、前述の段落に記載されるPD-1抗原結合タンパク質もしくはコンジュゲート、融合ポリペプチド、融合タンパク質、核酸、ベクターもしくは宿主細胞、またはこれらの組み合わせと、薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤とを含む、医薬組成物を提供する。本開示は、更に、PD-1抗原結合タンパク質の作製方法を提供し、例示的な実施形態において、当該方法は、本段落に記載される宿主細胞をPD-1抗原結合タンパク質を発現するように培養することと、発現されたPD-1抗原結合タンパク質を回収することとを含む。本開示は、更に、治療を必要とする対象を治療する方法を提供し、例示的な実施形態において、当該方法は、治療を必要とする対象に、本段落に記載される医薬組成物を、当該対象を治療するのに有効な量で投与することを含む。例示的な態様において、対象は、固形腫瘍を有し、医薬組成物は、対象の固形腫瘍を治療するのに有効な量で、対象に投与される。任意選択により、固形腫瘍は、頭頸部癌、卵巣癌、子宮頸癌、膀胱癌、食道癌、膵癌、消化管癌、胃癌、乳癌、子宮内膜癌、大腸癌、肝細胞癌、膠芽腫、膀胱癌、肺癌、例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)、細気管支肺胞上皮癌からなる群から選択される。
以下の実施例は、本開示を例示するためだけに提供されるものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
実施例1
本実施例は、PD-1阻害抗体及び組み換えIL-21を含む併用療法が、対応する単剤療法よりも優れていることを示す。
前臨床研究において、モノクローナルPD-1阻害抗体と組み換えマウスIL-21(rmIL-21)の併用治療の効果を、PD-1阻害抗体またはrmIL-21のいずれかの単剤療法による治療効果と比較した。
1日目に、CT26/3E5結腸癌細胞をBALB/cマウスに移植して、腫瘍成長を開始した。12日目に、腫瘍を測定し、マウスを4群(マウス10匹/群)に無作為割り当てした。群1は、アイソタイプ対照抗体(mIgG1)300μgの腹腔内(IP)注射を受け、群2は、PD-1阻害抗体300μgのIP注射を受け、群3は、50μgのrmIL-21を受け、及び群4は,PD-1阻害抗体(300μg)とrmIL-21(50μg)の両方を受けた。群1、2及び4は、抗体の投与を3日ごとに1回受け、群3及び4は、rmIL-21の投与を週3回で3週間受けた。33日目に投薬を終了した。
試験中、腫瘍体積を観察した。図1A~1Dに示されるように、腫瘍サイズの増加は、群1で最も大きく、群4で最も小さかった。
カプランマイヤー・ログランク・マンテルコックス解析によって評価した生存率を本試験の主要評価項目にした。図2及び表1に示されるように、生存率(%)及び生存期間中央値は、群4で最も大きかった。注目すべきことに、群4の2匹の対象が無腫瘍であった(表1)。
これらの結果は、モノクローナルPD-1阻害抗体と組み換えmIL-21の併用が、単剤療法として単独で投与されたいずれの成分よりも、より優れた生存上の利点を提供することを実証している。
実施例2
本実施例は、PD-1阻害及びIL-21シグナル伝達の組み合わせを提供することを目的にした、複数のプラットフォームの設計及び構築を示す。
実施例1で得られた結果は、腫瘍を有する対象の治療に対する、IL-21シグナル伝達とPD-1阻害の組み合わせアプローチの利点を示している。しかしながら、IL-21は、CD8T細胞応答を増強する能力と、抗原提示及びT細胞プライミングを抑制する能力の両方を有するので、IL-21をどのように送達するかを慎重に考慮する必要があった。加えて、IL-21Rは、ヒト組織において(例えば、抗原提示細胞(APC)、NK細胞、B細胞及びT細胞によって)広く発現されることから、種々の組織の受容体と結合するので、IL-21のオフターゲット作用(例えば、腫瘍環境外のIL-21活性)及びクリアランスを回避するために慎重な考慮が必要であった。
上の検討事項に対処するために、2方面のアプローチが考案された。第1に、活性を減衰させたIL-21ムテインを(IL-21Rに対するIL-21ムテインの結合を低減させることにより)作製した。そのようなIL-21ムテインは、体全体に拡散すると活性が低下するが、標的(例えば、がん)T細胞にIL-21ムテインが高濃度で存在する場合には、かかる活性は、「救済される」と想定された。すなわち、IL-21ムテインは、標的細胞中に存在し、高濃度になった場合、凝集して、治療的IL-21活性を示し得る。第2に、IL-21ムテインを関連細胞(例えば、がん細胞)に対して標的化するために、モノクローナル抗体などの標的アームにIL-21ムテインを融合させた。IL-21ムテインを標的がん細胞に送達するために、IL-21ムテインを抗PD-1 mAbに融合させた。抗PD-1 mAbの使用は、PD-1/PD-L1を介したシグナル伝達を妨害する更なる利点があった(したがって、チェックポイント阻害薬として作用する)。
いかなる特定の理論に束縛されるものではないが、IL-21ムテインに融合された抗PD-1抗体を含む融合タンパク質は、破壊標的の細胞に対して、より耐久性のある応答を提供することが仮定された。例えば、[1]PD-1を発現するCD8+T細胞は、融合タンパク質の抗PD-1 mAbによって結合され、[2]CD8+T細胞によって発現されたIL-21受容体には、融合タンパク質のIL-21ムテインが同時に結合し、T細胞の増殖の増加、ならびにT細胞によるIFNγの産生及び分泌の増加をもたらし、標的細胞に対する全体的な細胞毒性が改善し得る。更に、IL-21によって活性化される細胞内シグナル伝達経路が、エフェクター機能及びアポトーシスの関連喪失を防ぐことが仮定された。図3を参照されたい。
更なる設計検討事項には、mAbの価数(例えば、一価または二価のmAb)、Fcエフェクター機能の必要性、サイトカインの融合部位(mAbのC末端またはN末端)、リンカーの包含、及び予測される二次修飾またはクリッピング部位の改善が含まれた。
いくつかの融合タンパク質形態を検討し、概念実証実験のために、4つの融合構築物をクローニングし、発現させた。野生型(WT)IL-21を、(1)いかなるリンカーも含まないIL-21ホモ二量体、(2)GGGGS(配列番号262)リンカーを含むIL-21ホモ二量体、(3)いかなるリンカーも含まないが、IgG Fc中にヘテロ二量体化をもたらす電荷対変異を含むIL-21単量体、(4)GGGGS(配列番号262)リンカーと電荷対変異の両方を含むIL-21単量体として、二価のPD-1 mAbのIgGのC末端に融合させた。4つ全ての融合タンパク質構築物は、mAb Fc領域中に次の修飾を含んだ:N297G、R292C、V302C(EUシステムに従ったナンバリング)(SEFL2-2変異)。使用した電荷対変異は、V1変異(すなわち、一方の重鎖中にK409D&K392D及び他方の重鎖中にD399K&E356K)であった。4つ全ての融合タンパク質構築物は、クリッピングを防ぐために、C末端リシンが除去されるように設計した。
IL-21R陽性(IL-21R+)Hut78 T細胞株の2つのバリアント(PD-1
陽性及びPD-1
陰性)を使用する細胞アッセイで、融合構築物をIL-21活性についてスクリーニングした。各細胞株において、IL-21活性の代替的測定値として、STAT3リン酸化を測定した。両方のHut78細胞バリアントを、(i)組み換えヒトIL-21(rhIL-21)単独、(ii)抗PD-1 mAb単独、(iii)リンカーを含む、IL-21ホモ二量体に融合された抗PD-1 mAb、(iv)リンカーを含まない、IL-21ホモ二量体に融合された抗PD-1 mAb、(v)リンカーを含む、IL-21単量体に融合された抗PD-1 mAb、または(vi)リンカーを含まない、IL-21単量体に融合された抗PD-1 mAbに曝露させた。STATシグナル伝達に関する各分子のSTAT3リン酸化アッセイの結果及びEC50を図5A及び5Bならびに表2にそれぞれ示す。
図5A及び表2(中央の列)に示されるように、PD-1陰性細胞において、IL-21ホモ二量体を有する抗PD-1 mAbを含む融合タンパク質は、rhIL-21と比較して1/10の効力を示した。rhIL-21はまた、IL-21単量体を含む融合タンパク質と比較しても、より強力であった。単量体の融合タンパク質は、IL-21部分を1つのみ有するが、IL-21部分を2つ有するホモ二量体と比較して、より大きい効力を示した。これらの結果は、PD-1陰性細胞において、単量体が、より高いIL-21活性を示すことを示唆し、かつ/またはホモ二量体融合タンパク質形態が、IL-21活性の部分的減衰を付与することができることを示唆している(例えば、おそらくIL-21部分間の立体的相互作用による)。
本試験はまた、IL-21部分とIgG C末端との間のリンカーの評価も可能にした。表2(中央の縦列)ならびに図5A及び5B(実線=リンカーなし;点線=リンカー)に示されるように、リンカーの存在は、IL-21活性に影響を与えないようである。したがって、以後の構築物は全て、融合タンパク質中の非天然配列の量を減らすために、リンカーなしで作製した。
STAT3リン酸化アッセイの結果をPD-1陰性細胞とPD-1陽性細胞との間で比較することによって、IL-21活性に対するPD-1発現の効果を評価した。図5Bに示されるように、PD-1陽性細胞におけるIL-21ホモ二量体及び単量体融合タンパク質のそれぞれのIL-21活性は、実質的に同じであった。
まとめると、これらの結果は、標的細胞にPD-1発現がない場合、抗PD-1 mAbにIL-21を融合することによって、IL-21シグナル伝達を減衰させることができることを実証している。加えて、抗PD-1 mAbに融合されたIL-21のIL-21シグナル伝達は、PD-1を発現する細胞で救済される。
実施例3
本実施例は、複数のIL-21ムテインの設計、構築及び特徴付けを示す。
融合タンパク質の薬物動態/薬力学(PK/PD)プロファイルを理解するために、WT IL-21のホモ二量体に融合されたIgGを含む融合タンパク質を、カニクイザルでin vivoで試験した。
抗PD-1 mAbに融合されたWT IL-21を含むホモ二量体融合タンパク質を低用量(250μg/kg)または高用量(1000μg/kg)のいずれかで6匹の動物に静脈内投与した。対照として、IgG抗体ドメイン(150μg/kg)を使用した。血清中濃度を経時的に測定し、C
max、AUC
最終、半減期(t
1/2)、Vss及びClを求めた。結果を図6及び表3に示す。
IgG対照(データ図示せず)と比較して、抗PD-1 mAb及びWT IL-21を含むホモ二量体融合タンパク質は、クリアランスの増加及び曝露の低下を示した。そのため、融合タンパク質の曝露を増強し、オフターゲットIL-21作用を最小限に抑えるために(すなわち、PD-1受容体を発現していない免疫細胞におけるIL-21シグナル伝達を最小限に抑えるために)、IL-21Rを介するシグナル伝達を減衰させる変異をIL-21に導入することが必要であると判断した。したがって、変異IL-21を含む融合タンパク質を、PD-1を発現していない細胞上のIL-21Rに強く結合しないように設計した。融合タンパク質は、最初に、高い親和性でPD-1標的に結合し(抗PD-1抗体結合の結合による)、これにより、IL-21ムテインとIL-21R(α鎖)との間の第2の低い親和性相互作用がもたらされるだろうと仮定された。PD-1受容体がない場合、融合タンパク質は、IL-21Rの発現に関係なく、PD-1受容体を発現していない細胞に結合しないだろうと仮定された。
構造誘導性工学を使用して、WT IL-21アミノ酸配列と比較して1つのアミノ酸置換をそれぞれ有する、141個のIL-21ムテインのパネルを作製した。各ムテインは、IL-21Rのαサブユニット(101個のムテイン)またはIL-21Rのγサブユニット(40個のムテイン)のいずれかに対して、低い親和性を有するように設計した。パネルの各ムテインは、PD-1 mAbを含む融合タンパク質(PD-1×IL-21ムテイン)として発現させた後、ForteBio Octet(登録商標)システム(Pall ForteBio(Fremont,CA))を使用して、IL-21Rへの結合能力について評価し、IL-21R+T細胞株(Hut78)を用いて、STAT3リン酸化をIL-21活性の代替として使用して、活性についてスクリーニングした。オフターゲット活性の可能性が最も小さいムテインを選択するために、選択基準を、IL-21シグナル伝達がPD-1陰性細胞上のrhIL-21(3.7nM)に対して20倍を超えて減衰することに定めた。
IL-21ムテインを使用したSTAT3リン酸化アッセイの例示的な結果を図7(IL-21Rαにする親和性が低いムテイン)及び図8(IL-21Rγにする親和性が低いムテイン)に示す。これらの図に示されるように、いくつかのムテインは、PD-1陰性細胞でのIL-21活性が20倍を超えて減衰されるが、PD-1
陽性細胞での活性は維持することを示した。図9A~9Bに示されるように、変異体51(R65P)(青丸)は、PD
陰性細胞でのIL-21活性が20倍を超える減少を示すが、PD-1発現細胞でrhIL-21によって達成されるものと同等のIL-21活性レベルを示した変異体の1つであった。PD-1低/陰性細胞におけるSTAT3シグナルが20倍を超えて減衰するという点で選択した例示的なムテインの一覧を表5に記載する。
実施例4
本実施例は、融合タンパク質の構築に使用するためのIL-21ムテイン候補の選択及びそのin vivo試験を示す。
最も性能の高い22個のIL-21ムテインを更なる試験のためにスケールアップした。この更なる試験(本明細書に記載されるHut78 pSTAT3アッセイ)に基づいて、4つの融合タンパク質候補を、4つを有する集まりが、様々な減衰(Hut78 pSTAT3アッセイにおけるrhIL-21と比較した効力シフト)を示すように、選択した。変異体C10(D15N)は、低減衰のムテインであり、変異体77(R76A)は、中程度の減衰のムテインであり、変異体79及び78(それぞれR76E及びR76D)は、高減衰のムテインであった。4つのうち3つをカニクイザルでのin vivo試験のためにスケールアップして、ムテイン融合タンパク質構築物の薬物動態特性を評価した。変異体79(R76E)、変異体77(R76A)または変異体C10(D15N)の単回投与(10mg/kg)をナイーブカニクイザルに静脈内(ボーラス)投与し、10日の期間にわたって血清中濃度を収集した。比較のために、抗PD-1 mAbと、抗PD-1 mAb及びWT IL-21を含む融合タンパク質を、静脈内ボーラス投与によってカニクイザルに投与した(個別に)。試験は、2つの対照,
すなわち抗PD-1 mAb単独と、抗PD-1 mAb及びWT IL-21を含む融合タンパク質構築物とを用いて実施した。図10に示されるように、抗PD-1 mAb-IL-21ムテイン融合タンパク質のそれぞれは、親の抗PD-1 mAb(黒三角)と比較して、薬物動態プロファイルの変化を示した。表6は、ノンコンパートメント解析により適合した薬物動態特性を示す。
実施例5
本実施例は、IL-21二重変異体パネルの作製、ならびにIL-21二重変異体ホモ二量体(特に明記しない限り)を含む融合タンパク質の発現及び特徴付けを示す。
更なる工学操作のために、細胞活性データ(例えば、PD-1
陰性Hut78 T細胞における活性の最大減衰)及び製造性に基づいて、変異体番号77(R76A)及び変異体番号79(R76E)を含む1つのアミノ酸置換を有する3つのムテインを選択した。IL-21R(IL-21Rα)のα鎖に対するサイトカイン結合を更に減衰させるために、構造誘導性工学を使用して、IL-21単一変異体配列内に更なる変異をもたらした(すなわち、二重変異体を作製した)。二重変異体の配列を抗PD-1 mAbの配列に融合し、融合タンパク質を発現させ、細胞アッセイで試験した。作製及び試験した二重変異体融合タンパク質の一覧を表7に記載する。
減衰特性の高い二重変異体融合タンパク質が望まれたので、選択基準を、IL-21R陽性・PD-1陰性(PD-1
陰性)Hut78T細胞に対する効力(EC
50)が、rhIL-21の効力に対して、1000nMを超えるものとした。加えて、アミノ酸置換を1つ含有するムテインと同様に、二重変異体融合タンパク質のIL-21R結合を特徴付けた(ForteBio Octet)。最後に、Jurkat PD-1レポーター遺伝子アッセイを使用して、二重変異体融合タンパク質のPD-1活性を特徴付けた。これらのアッセイの結果を表8に示す。
表8に示されるように、二重変異体融合タンパク質は、PD-1の発現レベルが低いT細胞に対して非常に低いIL-21活性(例えば、PD-1の検出可能レベル未満)を示したが、PD-1発現細胞に対しては顕著なIL-21活性を維持した。二重変異体融合タンパク質は、IL-21Rに対して弱い結合(300nMを超えるKd)を示したが、PD-1に結合し、PD-1シグナル伝達を阻害する能力を維持した。
実施例6
本実施例は、抗PD-1 mAb、及びIL-21二重変異体ホモ二量体またはIL-21単一変異体ホモ二量体のいずれかを含む融合タンパク質を比較する、in vitro初代細胞アッセイを示す。
抗PD-1 mAb及びR5QとR76Eのアミノ酸置換を含むIL-21を含む融合タンパク質を、in vitro初代細胞アッセイ(混合リンパ球反応(MLR))で試験した。MLRは、IL-21Rを発現しているが、PD-1を発現していない樹状細胞(DC)、PD-1を発現しているT細胞、及びPD-1を発現していないT細胞を含む、IL-21R+細胞の混合集団を含んだ。MLRを、(i)R5Q及びR76Eアミノ酸置換を含む融合タンパク質、(ii)R76Eアミノ酸置換のみを含む融合タンパク質、(iii)組み換えヒトIL-21(rHu IL-21)、(iv)抗PD-1 mAb、(v)rHu IL-21と抗PD-1 mAbの組み合わせ、または(vi)対照IgGに曝露した。
図11に示されるように、rhIL-21は、DC機能を抑制し、共投与した場合、PD-1応答よりも優性である。活性を減衰させたIL-21ダブルムテインを含む融合タンパク質は、オフターゲット活性の低下を示した。また、rhIL-21及びR76Eアミノ酸置換のみを含む融合タンパク質のそれぞれは、DCに対する著しいオフターゲット活性を示し、サイトカイン産生を抑制した。対照的に、PD-1 mAb及びR5QとR76Eのアミノ酸置換のみを含む融合タンパク質は、標的PD-1陽性T細胞(PD-1陰性樹状細胞ではない)にIL-21シグナルを送達し、サイトカイン産生を増大させる能力(PD-1アームを介する)を維持した。したがって、これらの結果は、IL-21二重変異体を含む融合タンパク質が、免疫抑制及びDCプライミングに対する有害な影響を減少させ、新しいT細胞クローンの動員及びより耐久性のある抗腫瘍免疫応答を可能にし得ることを示唆している。
実施例7
本実施例は、初代細胞傷害性Tリンパ球(CTL)に対する、IL-21ダブルムテイン(ホモ二量体)及び抗PD-1 mAbを含む種々の融合タンパク質の活性を示す。初代CTL(ヒトドナー由来CMV反応性CTL株)における内因性STAT3リン酸化をFACsによって測定し、IL-21シグナル伝達の尺度として使用した。CTLを48時間休ませた後(PD-1の発現を低下させるため)、細胞を(i)IL-21 R5E/R76Aダブルムテインを含む融合タンパク質(左のグラフ中赤色の線)、(ii)IL-21 R5Q/R76Eダブルムテインを含む融合タンパク質(中央のグラフ中赤色の線)、(iii)IL-21 R9E/R76Aダブルムテインを含む融合タンパク質(右のグラフ中赤色の線)、(iv)IgG1対照(各グラフ中灰色の線)、(v)rhIL-21(各グラフ中青色の線)、(vi)抗PD-1 mAb(各グラフ中緑色の実線)、(vii)rhIL-21と抗PD-1 mAbの組み合わせ(各グラフ中緑色の点線)、または(viii)IL-21 R76Eシングルムテインを含む融合タンパク質(各グラフ中紫色の線)に曝露した(10分間)。FACsの結果を図12A~12Cに示す。IL-21ダブルムテインを含む各融合タンパク質のIL-21活性を、(iv)IgG1対照、(v)rhIL-21、(vi)抗PD-1 mAb、(vii)rhIL-21と抗PD-1 mAbの組み合わせ、及び(viii)IL-21 R76Eシングルムテインを含む融合タンパク質により達成された活性に対してプロットした。この初代細胞アッセイは、二重変異体融合体が、休止CTL(PD-1を低レベルで発現する)において、IL-21誘導性STAT3シグナル伝達を弱く刺激することを示している。IL-21活性は、ダブルムテイン融合体で最も減衰され(抗PD-1 mAb及びIgG1対照で見られるものと同様である)、単一変異体融合体は、中程度のIL-21活性減衰を示し、rhIL-21と抗PD-1 mAbの組み合わせは、rhIL-21と同様の活性を有する。
長期的に刺激を受けた場合のCTL媒介性細胞毒性機能に対する抗PD-1 mAb及びIL-21ダブルムテインホモ二量体を含む融合タンパク質の作用についても調べた。CTLをCD3/CD28で活性化し、(i)IL-21 R5E/R76Aダブルムテインを含む融合タンパク質、(ii)IL-21 R5Q/R76Eダブルムテインを含む融合タンパク質、(iii)IL-21 R9E/R76Aダブルムテインを含む融合タンパク質、(iv)IgG4対照、(v)rhIL-21、(vi)抗PD-1 mAb、または(vii)rhIL-21と抗PD-1 mAbの組み合わせに曝露した。刺激から7日後に、細胞をCMVペプチド添加黒色腫がん細胞株と共培養し、細胞毒性を測定した。本アッセイの結果を図13A~13Cに示す。
図13A~13Cに示されるように、融合タンパク質は、抗PD-1 mAb単剤療法と比較して、CTL機能を良好に維持することができる。IL-21ムテイン融合タンパク質は、長期的に刺激を受けた場合、CTL媒介性細胞毒性機能を維持することができる。これらの結果は、がんで観察されるような長期活性化の条件下で、IL-21がCTL機能を維持できるという考えを支持するものである。PD-1+抗原特異的T細胞へのIL-21の送達により、治療上の有効性をもたらすT細胞集団の機能を選択的に維持することができる。
実施例8
本実施例は、ダブルムテイン構築物によるin vivo薬物動態を示す。
抗PD-1 mAb、及びIL-21ダブルムテインまたはIL-21シングルムテインのいずれかを含む融合タンパク質を、静脈内ボーラス投与によってナイーブカニクイザルに投与して、薬物曝露を特徴付けた。表9は、動物に投与した各構築物の用量を示す。曝露を更にどのように改善できるかをよりよく理解するために、シングルムテインバリアント(IL-21 R76E)をホモ二量体と単量体でin vivoで試験した。
ナイーブカニクイザルに静脈内ボーラスを投与した後のPD-1 mAb及びPD-1:IL-21融合体の血清中濃度-時間プロファイルを、表9に列挙する投与後1週間の薬物曝露を観察して、図14に示す。
表9に示されるように、単量体R76E融合タンパク質は、静脈内投与した場合、ホモ二量体R76E融合タンパク質と比較して、優れた曝露を示した。IL-21ダブルムテインを含む融合タンパク質(R5Q/R76E及びR5E/R76A)は、親のシングルムテインホモ二量体融合タンパク質構築物(それぞれR76E及びR76A)よりも大きな曝露が観察された(図14;表9)。
薬力学(PD)パラメーターについてもカニクイザルにおいてin vivoで試験した。PD-1に対する非競合抗体を使用してPD-1発現を決定した。このPD-1サンプリングは、-5日目、7日目及び21日目に行った。動物に対し、(i)抗PD-1 mAbとIL-21 R76Eシングルムテインのホモ二量体とを含む融合タンパク質、(ii)抗PD-1 mAbとIL-21 R76Eシングルムテインの単量体とを含む融合タンパク質、または(iii)抗PD-1 mAbとIL-21 R5Q/R76Eダブルムテインとを含む融合タンパク質の初回投与を1日目に投与し、2回目の投与を8日目に投与した。図15Aを参照されたい。
図15B~15Dは、7日目に測定したときのPD-1陽性/CD4陽性細胞における倍数変化(-5日目と比較)(図15B)、7日目に測定したときのPD-1陽性/CD8陽性細胞における倍数変化(-5日目と比較)(図15C)、及び21日目に測定したときのPD-1陽性/CD8陽性細胞における倍数変化(-5日目と比較)(図15D)を示す。
図15B~15Dに示されるように、抗PD-1 mAb及びIL-21二重変異体を含む融合タンパク質の単回投与でも、末梢PD-1+/CD8+T細胞が増大した。本試験は、二重変異体融合タンパク質が、親のシングルムテインバリアントよりも良好に、PD-1+CD8T細胞を顕著に増大できることを実証した。
PDバイオマーカーの差異についても調べたところ、単量体構築物は、単回投与時には、より小さい標的範囲及びPD応答を有するが、複数回投与時には、PD及び標的範囲が同等の変化を有することがデータにより示唆されている。これらのデータは、融合タンパク質のPK特性が単量体の形態により更に改善され得ることを示唆している。
図16に示されるように、CD8+細胞の受容体占有率(RO)は、二重変異体(動物803、805、806)におけるPD-1+CD8T細胞の増大と概ね相関していた。単一変異体ホモ二量体構築物(動物801、802)は、おそらくその薬物動態特性が相対的に良くないことに起因して、PD-1+CD8T細胞を増大しなかった。注目すべきことに、ダブルムテイン構築物は、より望ましい薬物動態特性を有し、PD-1+CD8T細胞を増大させ、PD応答は標的範囲と相関した。データは、二重変異体融合タンパク質が、抗腫瘍防御免疫に関与することが知られている関連T細胞集団を増大できることを示唆している。
図17は、反復投与した場合のCD8+T細胞におけるPD-1の標的範囲が、抗PD-1 mAbに関して観察されるものと同様であることを示す(抗PD-1 mAbのデータは図示せず)。まとめると、二重変異体に関して、図16及び17は、標的集団(PD-1+CD8T細胞)の調節には十分な標的範囲が必要であり、改善された標的範囲と改善された薬力学とが相関するという考えを支持している。
実施例9
本実施例は、様々なホモ二量体IL-21ダブルムテインに融合された種々の抗PD-1 mAbを含む融合タンパク質のパネル作製を示す。
実施例12に記載されるように抗PD-1 mAbのパネルを作製及び試験し、リードmAbを特定のIL-21ダブルムテインに融合させた。ホモ二量体IL-21ダブルムテイン及び抗PD-1 mAbを含む12個の融合タンパク質を、STAT3リン酸化アッセイを使用してPD-1陰性及びPD-1陽性の両方のHut78T細胞におけるIL-21活性について試験し、ForteBio Octetアッセイを使用してIL-21R結合及びPD-1結合について試験し、PD-1 Jurkatレポーターアッセイを使用してPD-1活性について試験し、MLR(混合リンパ球反応)アッセイを使用してin vitro活性について試験した。これらの実験は、先の実施例で本質的に記載されるとおりに実施した。
抗PD-1 mAb及びIL-21ダブルムテインを含む12個の融合タンパク質の一覧と、これらのアッセイで測定された活性を表10~12に記載する。
全てではないが候補の大部分が、2つの抗PD-1 mAbより優れるものではないとしても、同様に機能した。いくつかは、PD-1活性及びMLRアッセイにおいて、抗PD-1 mAbの効力以上の効力を示した。
12の候補のうち、2つを更なる試験のために選択した。2つのうち1つ目は、R5Q/R76E変異を含むIL-21ダブルムテインを有し、2つ目は、R9E/R76A変異を含むIL-21ダブルムテインを有した。PD-1 mAbパネルに由来する異なる抗PD-1 mAbを使用して、2つのIL-21ムテインのうちの1つを含む融合タンパク質を作製した。20A2.003(オレンジの菱形)、20C1.006(赤い四角)、20C1.009(緑の三角)及び22D4.006(濃い紫の丸)抗PD-1 mAbを含む、10個の抗PD-1 mAbをR5Q/R76E融合タンパク質に使用した。20A2.003(紫の三角)、20C1.006(赤い四角)、20C1.009(緑の三角)及び22D4.006(黒丸)抗PD-1 mAbを含む、7つの抗PD-1 mAbをR9E/R76A融合タンパク質に使用した。本明細書に本質的に記載されるとおりに、STAT3リン酸化アッセイを使用して融合タンパク質のIL-21活性について試験した。図18A~18B及び19A~19Bは、rhIL-21シグナル(ショッキングピンクの線)と比較した、PD-1陰性及びPD-1陽性HUT78T細胞における活性を示す。これらの図に示されるように、融合タンパク質は、PD-1陰性HUT78T細胞において1000倍を超える減衰を示したが、PD-1陽性HUT78T細胞では効力を維持した。
実施例10
本実施例は、様々な単量体及びホモ二量体IL-21ダブルムテインに融合された種々の抗PD-1 mAbを含む融合タンパク質のパネル作製を示す。
抗PD-1 mAbと、単量体またはホモ二量体のいずれかのIL-21ダブルムテインとを含む融合タンパク質のパネルを作製した。抗PD-1 mAb及びIL-21ダブルムテインを含む融合タンパク質の一覧を表13に記載する。
融合タンパク質を、STAT3リン酸化アッセイを使用してPD-1陰性及びPD-1陽性の両方のHut78T細胞におけるIL-21活性について試験し、ForteBio Octetアッセイを使用してIL-21R結合及びPD-1結合について試験し、PD-1 Jurkatレポーターアッセイを使用してPD-1活性について試験し、MLRアッセイを使用してin vitro活性について試験した。これらの実験は、先の実施例で本質的に記載されるとおりに実施した。これらのin vitroアッセイで測定した活性を図20~23に示す。
図20A~20Dは、いくつかの抗PD-1 mAb-IL-21単量体またはホモ二量体ダブルムテイン融合体を用いて観察されたpSTAT3シグナル伝達の量を示す。rhIL-21によって刺激されたpSTAT3シグナル伝達は、グラフ上部に赤色で示され、IgG1対照によって刺激されたpSTAT3シグナル伝達は、灰色で示され(グラフ下部)、IgG2対照によるものは、オレンジ色で示されている(グラフ下部)。抗PD-1 mAb(mAbとして存在;すなわち、融合体でない)によって刺激されたpSTAT3シグナル伝達は、緑色で示されている(グラフ下部)。対照抗PD-1 mAbによって刺激されたpSTAT3シグナル伝達は、オレンジと黄色で示され(グラフ下部)、残りの線は、抗PD-1 mAb-IL-21単量体または二量体ダブルムテイン融合体(各種電荷対変異を含む)(二重変異体は、R5E/R76A;R9E/R76A;R5A/R76EまたはR5Q/R76Eである)によって刺激したときに得られたpSTAT3シグナル伝達を示す。この一連の図に示されるように、rhIL-21は、PD-1陰性細胞とPD-1陽性細胞の両方の細胞で活性を示す。対照的に、単量体及びホモ二量体ダブルムテイン融合体は、pSTAT3活性(IL-21に基づく)をPD-1陽性細胞でのみ示すことができ、PD-1陰性細胞では示されない。そして、IL-21二重変異体を含む単量体融合体のPD-1陰性細胞におけるIL-21活性の減衰レベルは、対応する二量体融合体と同様のレベルを示し、IL-21活性は、対応する二量体融合体と同様に、PD-1陽性細胞で救済される。
図20A~20Dで評価した融合タンパク質を、PD-1レポーター遺伝子アッセイ(RGA;図21A及び21B)及びMLRアッセイ(図21C及び21D)で試験した。図21A~21Dに示される結果は、抗PD-1 mAb-IL-21単量体及び二量体ダブルムテイン融合体がPD-1活性を誘導できることを実証している。
異なる抗PD-1 mAbを用いたことを除き、図20A~20Dの構築物と同じ抗PD-1 mAb-IL-21単量体及び二量体ダブルムテイン融合体構築物を試験した、pSTAT3アッセイの結果を図22A~22Dに示す。図22A~22Dの結果は、図20A~20Dで認められた結果と同様である。
異なる抗PD-1 mAbを用いたことを除き、図21A~21Dの構築物と同じ抗PD-1 mAb-IL-21単量体及び二量体ダブルムテイン融合体構築物を試験した、PD-1レポーター遺伝子アッセイ及びMLRアッセイの結果を図23A~23Dに示す。
これらのデータは、IL-21ダブルムテインを含む融合タンパク質が、部分的な減衰のためにホモ二量体の構造を必要としない可能性があることを示している。抗PD-1 mAbに対して、以下のダブルムテイン(単量体またはホモ二量体として融合)を更なる評価のために選択した(表14)。
細胞ベースのデータは、PD-1抗体に融合された場合、これらのムテインが、PD-1受容体を発現するT細胞を選択的に標的にできることを示唆している(T細胞株を使用して示される)。これらの二機能性PD-1×IL-21分子は、融合分子の各アーム(抗PD-1 mAb及びIL-21ムテイン)から得られる独自の特性を有する。
実施例11
以下の材料及び方法を実施例で使用した。
抗PD-1Ab-IL-21ムテイン融合体の作製
組み換え抗PD-1Ab-IL-21ムテイン配列を、HEK293-6Eにおける一過性発現の場合にはpTT5にクローニングし、またはCHO-K1細胞における安定発現の場合には抗生物質選択カセットを含有するベクターにクローニングした。発現生成を36℃で5~7日間実施し、精製するために上清を回収した。全てのタンパク質ロットをプロテインAアフィニティークロマトグラフィー(Mab Select SuRe)によって精製し、続いて、カチオン交換(SP Sepharose HP)し、A5.2Su緩衝液に緩衝液交換(UF/DF)した。ロットは全て、サイズ排除クロマトグラフィーによるメインピークが95%を超え、エンドトキシンが0.2EU/mg未満(Endosafe LAL、Charles River)であった。
Jurkat PD-1レポーター遺伝子アッセイ
GloResponse Jurkat NFAT-luc2/PD-1安定エフェクター細胞(Promega、#CS187102)及びCHO PD-L1安定細胞株(Promega、#CS178103)を1.25:1の比率で、段階希釈した抗体の存在下、3連、37℃、5%CO2で6時間共培養した。Bio-Gloルシフェラーゼアッセイシステム(Promega、#G7940)を使用して、発光を測定した。
STAT3リン酸化アッセイ
pSTAT3αスクリーニング。次いで、HuT78親細胞株及びHuT78 PD-1安定細胞株を40,000細胞/ウェルで別々のプレートに、段階希釈した抗体の存在下、3連、37℃、5%CO2で40分間播種した。AlphaLisa Surefire Ultra Pstat3(Tyr705)Assay Kit(Perkin Elmer、#ALSU-PST3-A10K)を使用して、Pstat3 Tyr705レベルを測定した。
HTRF ホスホ-STAT3アッセイ。1%L-グルタミン(HyCloneカタログ番号SH30034.01)を添加したRPMI 1860培地中で、細胞を一晩、血清飢餓状態にした。次いで、細胞をカルシウムもマグネシウムも含まないフェノールレッド不含ハンクス平衡塩類溶液(HBSS;ThermoFisherカタログ番号14175095)中に2.5×106細胞/mLで再懸濁し、8μL/ウェルを384ウェル小容量白色プレート(Perkin Elmerカタログ番号6008289)で平板培養した。次いで、細胞を、HBSS中に希釈した4μL/ウェルのIL-21ムテイン分子により37℃で40分間刺激した。HTRF(登録商標)ホスホ-STAT3(Tyr705)アッセイキットを製造元の推奨(Cisbioカタログ番号64NT3PEH)に従って使用して、STAT3リン酸化を検出した。アッセイからのFRETシグナルは、EnVision Multilable Plate Reader(Perkin Elmer)を使用して検出した。データの分析は、最初にCisbioの推奨に従ってHTRF比を決定し、次いで刺激を受けていない細胞からのデータを使用してバックグラウンド値に対する倍数を算出することによって行った。各実験について、用量曲線をプロットし、所与の分子の効力を、バックグラウンド値に対して定められた倍数が観察されたときの濃度として表す。
混合リンパ球反応(MLR)
不適合ドナーペアのロイコパックをAllCells Inc.から入手した。ドナーのT細胞をPan T-cell Isolation Kit(Milteny Biotec、#130-096-535)を使用して単離し、不適合ドナーの単球をPan Monocyte Isolation Kit(Miltenyi Biotec、#130-096-537)を使用して単離した。CellXVivo Human Monocyte-Derived Dendritic Cell Differentiation Kit(R&D Systems、#CDK004)を使用して、単球を更に10日間成熟させた。Pan-T細胞と成熟した単球を、10:1の比率で、段階希釈した抗体の存在下、3連、37℃、5%CO2で72時間共培養した。上清IL-2レベルをELISA(Mesoscale Discoveries、#K151QQD-4)によって測定した。
IL-21R及びPD-1結合アッセイ
ヒト及びカニクイザルのIL-21R結合親和性:一価のIL-21R-FLAG-Hisと二価のIL-21R-Fc組み換え試薬の両方を試験したが、極めて類似した結果であった(約2~3倍以内)。可溶性組み換えIL-21R試薬は、最小限にビオチン化し、Streptavidin SAXチップ上に2.0nmの添加レベルまで捕捉した。次いで、チップを、PD-1抗体-IL-21サンプルを3倍段階希釈したウェル中でインキュベートした。野生型IL-21融合体の場合、最大サンプル濃度は、10nMであったが、IL-21ムテイン融合体の場合、最大サンプル濃度は、300nMであった。正確なカイネティクスフィッティングを得るために、20分間の結合時間と1.5時間の解離時間を使用して、結合グラフの曲率を最大にした。
ヒト及びカニクイザルのPD-1結合親和性:ヒト及びカニクイザルのPD-1結合親和性の試験は、まず、PD-1抗体-IL-21サンプルのAR2Gチップへの捕捉をEDC-NHSアミンカップリングを介して行った。サンプル添加は、典型的にpH6で2000秒間とし、続いて、少なくとも2nmレベルで固定化するために、1Mエタノールアミンでクエンチした。サンプルを固定化したら、次いで、チップを、組み換え可溶性受容体ヒトPD-1(1-170)-FLAG-HisまたはカニクイザルPD-1(1-167)-FLAG-Hisの3倍段階希釈を含有するウェル中でインキュベートした。両方の場合において、PD-1の最大濃度は、30nMであった。300秒の結合及び500秒の解離を、それらは正確なカイネティクスフィッティングを得るのに十分な曲率を生成するので、使用した。
上のヒト/カニクイザルIL-21R及びヒト/カニクイザルPD-1結合親和性を、ForteBio Octet HTX及びRED384機器を用いて定量した。全ての場合において、サンプル希釈、ならびに結合ベースライン、結合及び解離の全ステップに、標準Octetサンプル緩衝液を使用した(10mM Tris、pH7.5、150mM NaCl、1mM CaCl2、0.10mg.ml BSA、0.13%(v/v)TritonX-100)。
全てのForteBio生データは、標準機器データ解析ソフトウエア(v9及びv10)を使用して、次のように処理した。(a)標的が固定化されているが相互作用のない2つの参照チップ曲線(すなわち、緩衝液のみ)を平均し、同じカラムの残りのサンプルチップ曲線から差し引いた。(b)結合曲線及び解離曲線を分離し、Y軸に合わせた。(c)結合及び解離のステップ間を整列させた。(d)シグナルのノイズを減らすために、Savitzky-Golayフィルタリングを実施した。(e)各サンプル-標的相互作用について得られた結合曲線及び解離曲線のセットを、単一の1:1結合モデルを使用してグローバルフィッティングさせ、結合速度定数ka及び解離速度定数kdの測定値を求め、平衡解離定数KDを解離速度定数と結合速度定数の比(=kd/ka)として算出した。
実施例12
本実施例は、IL-21ムテインを含む融合タンパク質で使用される抗PD-1 mAbの作製について記載する。
抗PD-1免疫応答の生成
マウス系統
XENOマウス(登録商標)トランスジェニックマウスを免疫化することによって、ヒトPD-1に対する完全ヒト抗体を作製した(米国特許第6,114,598号、同第6,162,963号、同第6,833,268号、同第7,049,426号、同第7,064,244号(その全体を参照により本明細書に援用する);Green et al.,1994,Nature Genetics 7:13-21;Mendez et al.,1997,Nature Genetics 15:146-156;Green and Jakobovits,1998,J.Ex.Med,188:483-495;Kellerman and Green,Current Opinion in Biotechnology 13,593-597,2002)。これらの免疫化には、XMG4-K及びXMG4-KL XENOマウス(登録商標)系統に由来する動物を使用した。
免疫化
細胞による免疫化経路を使用して抗ヒトPD-1免疫応答を引き起こした。免疫原として、E3K T細胞エピトープタグにGly-Ser-Serリンカーを介して融合されたヒトPD-1またはカニクイザルPD-1のいずれかを、CHO-S細胞に一過性トランスフェクトした。これらの一過性トランスフェクトCHO細胞のいずれかをCpG-ODN含有Alumと混合し、TIP(尾根部及び腹腔内)注射を使用して、8週間にわたって13回、動物を免疫化した。初回の追加免疫は、ヒトPD-1を発現する400万個の細胞からなり、それ以後の追加免疫は、ヒトまたはカニクイザルPD-1を発現する200万個の細胞を含有した。ヒトPD-1を用いて合計9回の免疫化を実施し(1~6、8、10及び13)、残りの4回の免疫化は、カニクイザルPD-1を用いて行った。PD-1特異的力価を評価するために、10回目の追加免疫後に、動物から採血した。
Accuriフローサイトメーターでの生細胞FACS解析によって、PD-1特異的血清力価をモニタリングした。簡潔に述べれば、HEK293細胞に、ヒトまたはカニクイザルPD-1のいずれかを用いて、モックトランスフェクトまたは一過性トランスフェクトした。免疫化動物の血清を100倍に希釈し、トランスフェクト細胞と氷上で1時間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄して結合していない抗体を除去し、Cy5標識二次抗ヒトFc特異的抗体を細胞と4度で更に15分間インキュベートした。細胞を1回洗浄して、結合していない二次抗体を除去し、細胞の蛍光シグナルをFACSによって定量した。ヒト及びカニクイザルPD-1に対する抗原特異的血清天然力価が最も高い動物をハイブリドーマ生成に使用した(Kohler and Milstein,1975)。
モノクローナル抗体の調製
ハイブリドーマ生成
好適な血清力価を示す動物を特定し、脾臓及び/または流入領域リンパ節からリンパ球を得た。プールしたリンパ球(各回収物より)を好適な培地(例えば、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM);Invitrogen(Carlsbad,CA))中で粉砕することによって、リンパ組織から分離した。標準法を使用してB細胞を選択し、かつ/または増大させ、当該技術分野において知られている技術を使用して、好適な融合パートナーと融合させた。
膜調製物作製:
293fectin(商標)Transfection Reagent(Thermo Fisher、Cat:12347019)を使用して、2000万個の293T細胞にpTT5-mini4:huPD-1::GSS:E3Kをトランスフェクトした。トランスフェクションから24時間後、293T細胞を、EZ-Link(商標)NHS-LC-LC-ビオチン(Thermo Fisher Cat:21343)含有PBS(pH8.6)中、400μg/mLで30分間インキュベーションすることによって、ビオチン化した。次いで、細胞をPBS(中性pH)で洗浄した後、これを、EDTA不含プロテアーゼ阻害薬及び10%トリトンX100を含有する低張緩衝液中に再懸濁した。26ゲージの針を備える注射器により、繰り返しポンピングすることによって、細胞を破壊した。細胞断片を12000Gで20分間の遠心分離にかけることによって、ペレット化した。次いで、膜粒子を含有する上清を回収し、Amicon Ultracel 100k遠心分離カラム(Millipore、カタログ番号UFC810024)中でPBSにより3回洗浄し、洗剤を除去した。次いで、膜調製物のトラッキング該当数(PD-1に対する特異性を有する陽性対照ハイブリドーマ細胞)について試験して、IgGに相関する膜調製物結合を調べた。次いで、膜調製物を等分し、使用まで、摂氏-20度で凍結した。
ハイブリドーマ細胞の抗原特異的染色:
ハイブリドーマ細胞をフラスコから取り出し、滅菌FACS緩衝液(2%FBS PBS)中で洗浄した。次いで、細胞をPD-1膜調製物(FACS緩衝液中1:10に希釈、反応体積1mL、例えば、900μLのFACS緩衝液中に100μLの膜調製物)と混合し、摂氏4度で1時間インキュベートした。細胞をFACS緩衝液で再度洗浄し、5μg/mLのAlexa Fluor 488結合F(ab’)2断片ヤギ抗ヒトIgG Fc(Jackson、Cat:109-546-098)及びAlexa Fluor647結合ストレプトアビジン(Jackson、Cat:016-600-084)を含有する検出カクテル1mLを用いて染色した後、暗所で、摂氏4度で30分間インキュベートした。FACS緩衝液で細胞を再度洗浄し、培地に再懸濁し、次いで、40μのセルストレーナに通して凝集細胞を取り除いた。BD FACSAria 3を使用して、Alexa Fluor 488とAlexa Fluor 647蛍光の両方を呈する集団でゲーティングすることによって、抗原特異的細胞をソーティングした(IgG+及び抗原結合細胞)。
ソーティングした細胞をハイブリドーマ培地中で数日培養した。増大した細胞のサンプルを少量取り出し、上述と同じ染色条件を使用して、PD-1膜調製物に対する結合について試験した。PD-1特異的細胞の増大がうまくいったことを確認した後、BD FACSAria 3を使用して、ハイブリドーマを384ウェルマイクロタイタープレート中に単一細胞にソーティングした。2週間の培養後、マイクロタイタープレートから上清を回収し、PD-1結合についてスクリーニングした。
PD-1特異的結合抗体の初期選別
HEK293細胞上に一過性に発現されたヒトPD-1への結合について、疲弊したハイブリドーマの上清をCell Insightによって試験した。簡潔に述べれば、293Fectinを使用して、PD-1をコードする哺乳動物の発現構築物をHEK293細胞に一過性トランスフェクトした。翌日、15μLの疲弊ハイブリドーマ培地を384ウェルFMATプレートの各ウェルに加えた。次いで、トランスフェクトしたHEK293細胞(27万個/mL)、核染色Hoechst33342(7.5μg/mL)及び二次検出抗体(0.75μg/mL、ヤギ抗ヒトIgG(H+L)Alexa 488(Jackson ImmunoResearch))を混合し、この混合物30μLを384ウェルFMATプレートの各ウェルに加えた。約3時間後、AquaMaxプレートリーダーを使用して上清を吸引し、マルチドロップ機器を使用して30μLのFACS緩衝液を各ウェルに加えた。プレートをBig Bear Plateシェーカー上に置いてウェル内の細胞を均一に分散させ、次いで、Cell Health Bio-Appを使用して、Cell Insightプラットフォームで読み取った。この解析により、この回収物から383個の抗原特異的抗体が特定された。
JurkatヒトPD-1/NFAT-ルシフェラーゼレポーターアッセイ
ヒトPD-1及びNFAT-ルシフェラーゼレポーター(Promega)を安定的に発現するJurkat細胞を、10%ウシ胎児血清(Sigma)、2mM L-グルタミン(Sigma)、10mM HEPES(Hyclone、GE Healthcare Life Sciences)、500μg/mLのジェネティシン(Gibco Life Technologies)、100μg/mLのハイグロマイシンB(Invitrogen)を添加したRPMI 1640培地(Sigma)中、37℃/5%CO
2で培養した。カニクイザルPD-1及びNFAT-ルシフェラーゼレポーター(Promega)を安定的に発現するJurkat細胞を、10%ウシ胎児血清(Sigma)、2mM L-グルタミン(Sigma)、10mM HEPES(Hyclone、GE Healthcare Life Sciences)、200μg/mLのハイグロマイシンB(Invitrogen)、300μg/mLのゼオシン(Invitrogen)を添加したRPMI 1640培地(Sigma)中、37℃/5%CO
2で培養した。ヒトPD-L1(Promega)を安定的に発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)クローン細胞株99を、Nutrient Mixture F12 HAM(Sigma)、10%ウシ胎児血清、10mM HEPES、250μg/mLのジェネティシン、200μg/mLのハイグロマイシンB中、37℃/5%CO
2で培養した。実験日に、Jurkat NFAT-ルシフェラーゼ/PD-1細胞及びCHOクローン99 PD-L1細胞(トリプシンで剥離)を200×gで5分間遠心分離にかけ、アッセイ培地(RPMI 1640培地、2%ウシ胎児血清、15mM HEPES)中に再懸濁した。試験分子を希釈し、384ウェルの黒色/透明底アッセイプレート(Corning)中でアッセイ緩衝液を使用して滴定した。最初に調製した細胞を1:1の比率で混合し、次いで、細胞混合物をアッセイプレートに添加することによって、調製した細胞を合計40,000細胞/ウェルで播種した。プレートを37℃/5%CO
2で18~24時間インキュベートした。生成されたルシフェラーゼの量をBio-Glo Luciferase Assay System試薬(Promega)によって測定し、その後、プレートを室温で20分間インキュベーションし、発光をEnVisionプレートリーダー(PerkinElmer)で検出した。シングルポイントアッセイでは、ESNサンプルを最初に定量し、正規化し、0.5μg/mLで試験した。効力の測定では、ESNサンプルまたは精製抗体をアッセイ培地中3倍で連続滴定し、これを使用してヒトまたはカニクイザルPD-1レポーター細胞を処理した。単一濃度スクリーニング中に所望の活性を示した抗体の数及び効力順位を表15に示す。
ヒト及びカニクイザルPD-1レポーターアッセイにおける、精製された抗PD-1抗体(示されるヒトPD-1アッセイについて、n=1)の活性を図24に示し、精製された抗PD-1抗体の抗力を表16に示す。
PD-1アンタゴニスト抗体の分子レスキュー及び配列決定
PD-1アンタゴニスト抗体産生ハイブリドーマ細胞を含有するウェルから、Qiagen RNeasy miniまたはInvitrogen mRNAキャッチャープラスキットを使用して、RNA(totalまたはmRNA)を精製した。精製されたRNAを用いて、逆転写によるcDNA合成と、それに続くポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を使用して、抗体の重鎖及び軽鎖可変領域(V)の遺伝子を増幅した。Qiagen One Step Reverse Transcriptase PCRキット(Qiagen)を使用して、完全なヒト抗体γ重鎖を得た。この方法を使用して、RNA鋳型から第1のcDNA鎖を生成し、次いで、多重PCRを使用して、γ重鎖の可変領域を増幅した。5’γ鎖特異的プライマーを抗体重鎖のシグナル配列にアニーリングし、3’プライマーをγ定常ドメイン領域にアニーリングした。Qiagen One Step Reverse Transcriptase PCRキット(Qiagen)を使用して、完全なヒトκ軽鎖を得た。この方法を使用して、RNA鋳型から第1のcDNA鎖を生成し、次いで、多重PCRを使用して、κ軽鎖の可変領域を増幅した。5’κ軽鎖特異的プライマーを抗体軽鎖のシグナル配列にアニーリングし、3’プライマーをκ定常ドメイン領域にアニーリングした。Qiagen One Step Reverse Transcriptase PCRキット(Qiagen)を使用して、完全なヒトλ軽鎖を得た。この方法を使用して、RNA鋳型から第1のcDNA鎖を生成し、次いで、多重PCRを使用して、λ軽鎖の可変領域を増幅した。5’λ軽鎖特異的プライマーを軽鎖のシグナル配列にアニーリングし、3’プライマーをλ定常ドメイン領域にアニーリングした。
増幅したcDNAをエキソヌクレアーゼI及びアルカリホスファターゼを使用して酵素的に精製し、精製したPCR産物を直接配列決定した。バイオインフォマティクスにより、対応する核酸配列からアミノ酸配列を推定した。観察された任意の変異がPCRによる結果ではないことを確認するために、各ハイブリドーマサンプルに対して、2つの更なる独立したRT-PCR増幅及び配列決定サイクルを実施した。次いで、誘導されたアミノ酸配列を解析して抗体の生殖配列起源を決定し、生殖配列からの差を特定した。元の生殖配列に対する重鎖配列及び軽鎖配列のそれぞれの比較が示される。配列決定された抗体の相補性決定領域(CDR)に相当するアミノ酸配列を整列させ、これらのアライメントを使用して、クローンを類似性ごとにグループ化した。
初代細胞結合アッセイ
初代ヒト及びカニクイザル細胞によって発現されたPD-1に対するハイブリドーマ上清の結合を、フローサイトメトリーによって試験した。ヒト初代細胞結合アッセイでは、精製されたヒトT細胞(Biological Specialty Corp.)を解凍し、2.5×10
6細胞/mLの濃度で懸濁した。抗マウスIgG Fc(Pierce)5μg/mLをプレコーティングしたプレート中で、5μg/mLの抗ヒトCD3クローンOKT3(eBioscience)及び1μg/mLの抗ヒトCD28(BDPharmingen)を用いて、37℃/5%CO
2で72時間、T細胞を刺激した。72時間後、細胞を取り出し、洗浄し、0.5×10
6細胞/mLの濃度で、10ng/mLのIL-2(Pepro Tech)とともに懸濁した。次いで、細胞を37℃/5%CO
2で更に48時間インキュベートした。カニクイザル初代細胞結合アッセイでは、カニクイザルPBMC(SNBL)を解凍し、4×10
6~5×10
6細胞/mLの濃度で懸濁した。抗マウスIgG Fc(Pierce)5μg/mLをプレコーティングしたプレート中で、1μg/mLの抗ヒトCD3クローンSP34(BD Pharmingen)及び1μg/mLの抗ヒトCD28(BD Pharmingen)を用いて、37℃/5%CO
2で72時間、PBMCを刺激した。72時間後、細胞を取り出し、洗浄し、0.5×10
6細胞/mLの濃度で、20ng/mLのIL-2(Pepro Tech)とともに懸濁した。次いで、細胞を37℃/5%CO
2で更に48時間インキュベートした。最終インキュベーション後、細胞を、最終濃度1μg/mLで、正規化したハイブリドーマ上清、陽性対照抗体及びアイソタイプ対照抗体とともにインキュベーションすることによって、フローサイトメトリー用に調製した。二次検出にはAlexa Fluor 647 AffiniPureF(ab’)
2断片ヤギ抗ヒトIgG(H+L)(Jackson ImmunoReserach)を5μg/mLで使用し、生死細胞染色には8.25nM YoPro1(Invitrogen)を使用した。次いで、細胞をBD FACSCanto IIフローサイトメーターにかけて、抗PD-1抗体結合を検出した。PD-1発現細胞のFACS幾何平均として結果を示し、データを表17に示す。
受容体リガンド競合アッセイ
次いで、PD-1のリガンド結合を阻害する能力について、PD-1結合ハイブリドーマ上清を試験した。以下のように、ヒトPD-1を一過性に発現するHEK293細胞に対するFACSを使用して、抗原特異的ハイブリドーマ上清サンプルで競合結合アッセイを実施した。ヒトPD-1を発現するHEK293細胞を抗体サンプル(PD-1に特異的なハイブリドーマ上清)と混合し、4℃で1時間インキュベートし、次いで、2回洗浄した。次いで、結合したサンプルを含む細胞をhuPD-L1-Fc-Alexa647またはhuPD-L2-Fc-Alexa 647(R&D systems(Minneapolis,MN))とともに、4℃で45分間、インキュベートした。次いで、7-AAD細胞生死判別染色を加え、細胞を4℃で更に15分間インキュベートし、2回洗浄し、FACS緩衝液中に再懸濁した。BD Accuri(商標)Flow Cytometer及びIntellicyt HyperCyt autoSamplerを使用してサンプルを解析した。表18中のデータは、1μg/mLでのヒトPD-1に対するヒトPD-L1のPD-L2結合の阻害パーセントを反映するものである。
親和性ギャップ解析
KinExA(登録商標)法を使用して、いくつかの抗体の動態測定値を評価した。この方法は、平衡状態における正式な親和性測定の溶液ベース測定法によって行われる。
ポリ(メタクリル酸メチル)(すなわち、PMMA)ビーズのビオチン化ヒトPD-1によるコーティングは、PMMAビーズを、最初にビオチン化したBSA、ニュートロアビジン、次いでビオチン化したPD-1で吸着コーティングすることによって行った。
自動フローイムノアッセイアッセイシステムKinExA 3200を使用して、PD-1結合ビーズを固定相としたKinExA実験を実施した。簡潔に述べれば、一定量の抗hPD-1 mAb(3nMまたは1nMまたは100pM)を、サンプル緩衝液(非特異的結合を減少させるために0.1%BSAを含有するPBS)中100nMから開始する滴定濃度のh-PD-1またはcy-PD-1とともにインキュベートした。抗原/抗体複合体を室温で48時間~72時間インキュベートして、平衡に達するようにした。混合物をPD-1結合ビーズに通して、未結合抗体を蓄積させた。混合物の体積及び流量は、各実験で得られる特定のシグナルに応じて変動した。
捕捉されたmAbを、サンプル緩衝液中に二次Abヤギ抗Hu IgG(H+L)-Alexa647抗体を含有する溶液を使用して検出した。結合シグナルを、hu-PD-1またはcy-PD-1の不在下における対照の比率として、相対値に変換した。全ての平衡実験は、各サンプル2連で測定した。KinExA n-曲線解析ソフトウエアに含まれる一部位均一結合モデルを使用して、平衡解離定数(Kd)をデータの非線形回帰分析から得た。ソフトウェアでKdを算出し、データ点を理論上のKd曲線にフィッティングすることによって、95%信頼区間を求めた。95%信頼区間は、低Kd~高Kdとして与える。
Kdは、PD-1濃度を既知濃度とし、ソフトウェアにKd及びmAb濃度を算出させて計算した。
MLRアッセイでの精製抗体の活性確認
ヒト未成熟単球由来樹状細胞(Astarte)を解凍し、CellXVivo Human Monocyte-Derived Dendritic Cell Differentiation Kit(R&D Systems #CDK004)を使用して、IL-4、GM-CSF及びTNF-a中で72時間培養することにより、成熟樹状細胞に分化させた。付着していない細胞及び付着のゆるい細胞を取り除き、混合し、遠心分離にかけて、細胞をペレット化した。培地を除去したら、細胞をX-Vivo-15培地に400×10
3細胞/mLで再懸濁し、樹状細胞を96ウェルプレートの各細胞に加えた(50μL中20k細胞)。ヒトT細胞(Astarte)を素早く解凍し、X-Vivo-15培地で洗浄した。細胞を2×10
6細胞/mLで再懸濁し、100μLを各ウェルに加えた(200k細胞/100μL)。抗体を希釈し、合計量50μLで各ウェルに加えた。混合物を37℃で3日間インキュベートした。この時点で、細胞を遠心し、細胞175μLを使用したT細胞増殖の尺度としてのIL2産生の測定を、IL-2V-Plexキット(MSD)を製造元の推奨に従って使用して行った。
実施例13
可能であれば、A-1(20A2)、A-3(20C1)及びA-2(22D4)抗PD-1可変ドメイン配列を操作して、側鎖分解のリスクのあるモチーフを除去した。そのようなアミノ酸モチーフには、(1)アスパラギンが脱アミド化を受けやすいCDRの「NG」及び「NT」配列、(2)アスパラギン酸が異性化を起こしやすいCDRの「DG」、「DH」、「DS」及び「DT」配列、ならびに(3)酸化を受けやすいCDR3トリプトファンがある。典型的に、置換識別は、生殖配列に由来するか、配列関連PD-1結合mAbに由来した。バイオインフォマティクスまたは構造解析が明確な置換識別を与えない場合、親残基と化学的に類似する残基タイプを選択した。
複数の配列アライメントに基づくペアワイズ残基共分散傾向に違反する可変ドメイン配列モチーフも除去された。生殖系列または生殖系列に関連する残基タイプでの置換によるペアワイズ共分散違反の修正は、mAb発現レベル及び生物物理学的安定性が向上することから、製造性が改善し得る。Kannan,G.Method of Correlated Mutational Analysis to Improve Therapeutic Antibodies(2012年3月9日に出願された米国特許出願第PCT/US2012/028596号)を参照されたい。共分散違反の置換識別は、上記した分解部位を修正するために使用されるアプローチと類似のものを使用して選択した。
20A2を操作して、20A2.003とし、20C1を操作して、20C1.006及び20C1.009とし、22D4を操作して、22D4.006及び22D4.017とした。
実施例14
R9E及びR76A変異を含む単量体IL-21ダブルムテインに融合された抗PD-1抗体22D4.017を含む融合タンパク質(「[22D4.017]-[R9E:R76A](単量体)」)のin vivo活性を、ナイーブ非ヒトカニクイザルで評価した。第1の群のサルには、抗PD-1抗体22D4.017のみ(IL-21ムテインへの融合なし)を投与し、第2の群のサルには、融合タンパク質[22D4.017]-[R9E:R76A](単量体)を投与した。末梢血における薬力学(PD)パラメーターをFACSの使用によりモニタリングした。パラメーターには、免疫細胞動態及びリンパ球のSTAT3転写因子リン酸化(pSTAT3)が含まれた。血清中サイトカイン及びパーフォリンについても、Millipore Milliplex(登録商標)マルチアナライトプロファイリング(MAP)マルチプレックスアッセイによって試験した。末梢血パラメーターの投与前解析を実施して、データセットのベースラインへの正規化を可能とした。投薬を1日目に開始した。血液及び血清を予め定めた時点で採取した。
T細胞におけるKi67[図25A及び25B]及びSTAT3[図25C及び25D]の活性化にもかかわらず、バルクT細胞集団での有意な増加は、22D4.017抗体または[22D4.017]-[R9E:R76A](単量体)融合タンパク質のいずれを投与した群でも観察されなかった[図25A及び25B]。これは、これらの処置の両方がそれ自体ではバルクT細胞集団の増大を誘導するのには十分ではないかったことを示唆している[図25E及び25F]。これらのデータは、PD-1シグナル伝達の全身遮断が、STAT3シグナル伝達及びKi67の活性化を含め、バルクT細胞集団に対してより全般的な影響を与え得るが、これらの変化は、それ自体では有意な機能的産生をもたらすには(抗PD-1単剤療法または融合タンパク質治療が全般的なT細胞増大を誘導しないことによっても証明されたように)不十分であり得るという考えを支持するものである。
近位シグナル伝達の変化がどのようにPD-1発現T細胞に特異的に影響を与え得るかをより理解するために、また、PD-1(+)T細胞が末梢血中のバルクT細胞集団の一部を反映しているだけであるので、非競合PD-1検出mAbを使用して、PD-1(+)CD4及びCD8T細胞でゲーティングすることによって、これらの細胞をより直接的に調べた[図16及び17]。この集団は、[22D4.017]抗体群において、循環PD-1(+)細胞の絶対数が初めに若干減少した後、安定した状態を維持した。対照的に、[22D4.017]-[R9E:R76A](単量体)融合タンパク質処置群集団では、末梢血PD-1(+)CD4及びCD8T細胞の数が初めに減少したが、その後、投与から336時間後に観察されたPD-1(+)細胞の数は、大幅に回復した(ベースラインを超える)[図25G]。したがって、これらのデータは、バルク集団の大きな増大がないにもかかわらず、[22D4.017]-[R9E:R76A](単量体)融合タンパク質を投与すると、PD-1(+)T細胞数が選択的に増加することを示唆している[図]。
PD-1(+)T細胞の増大に関して起こりえる機能上の影響を明確にするために、PD-1(+)CD4/8T細胞の増大と血清パーフォリンとの間の関係を調べた。事実、データは、これらの2つのパラメーターの間には正の関係があることを示唆しており、血清パーフォリンは、末梢血PD-1(+)T細胞が大きく増加した、[22D4.017]-[R9E:R76A](単量体)融合タンパク質を投与した動物で最も高い[図25I]。
総合的に、これらのデータは、[22D4.017]-[R9E:R76A](単量体)融合タンパク質の全身曝露ではバルクT細胞集団全体の増加を示さなかったが、同じ細胞(PD-1発現細胞)上のPD-1の遮断及びIL-21シグナルの同時送達が集団増大を誘導するのに十分であることを示唆している。これは、血清パーフォリンの増加とも相関している[図25I]。
実施例15
以下の実施例は、種々の抗PD-1抗体の結合親和性を示す。
抗PD-1抗体::PD-1 Octet結合親和性を以下のとおりに特徴付けた。抗PD-1抗体と組み換え可溶性ヒト及びカニクイザルPD-1との間のKD結合親和性(平衡解離定数)を定量するために、結合速度定数及び解離速度定数を、Pall(登録商標)ForteBio(登録商標)Octet(登録商標)RED384機器を16チップモードで使用するか、Pall(登録商標)Octet(登録商標)HTX機器を96チップモードで使用するかのいずれかで、測定した。全ての場合において、第2世代のアミン反応性光ファイバーバイオセンサーチップ(AR2G)を使用して、2.5~4nmの最終添加レベルまで、抗体を共有結合的に捕捉した。結合アッセイ法は、以下の固定化ステップを用いた。(1)水中での平衡:60秒、(2)N-ヒドロキシスルホスクシンイミド(スルホ-NHS)10mMと混合した新しい1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDC)20mMによる活性化:600秒、(3)pH6.0の酢酸緩衝液10mM中に希釈した抗体20nMの固定化:2000秒、(4)1Mエタノールアミンによるクエンチ;300秒、そして最後に、(5)Octet泳動緩衝液(10mM TRIS pH7.5、150mM NaCl、1mM CaCl2、0.13%(v/v)TritonX-100及び0.10mg/ml ウシ血清アルブミン(BSA))中でのベースラインインキュベーション:60秒。全ての実験は、製造元推奨の384ウェル黒色サンプルプレート(100μl体積/ウェル)を用いて、27℃及び1000RPMで実施した。
各Ab::PD-1相互作用を得るために、上記のように、同じ抗体を用いて8つのチップのカラムを均等に固定化した。3つのチップを使用して3点希釈系列の可溶性ヒトPD-1(1-170)-FLAG-Hisに結合させ、更に3つのチップを使用して3点希釈系列の可溶性カニクイザルPD-1(1-167)-FLAG-Hisに結合させ、次いで、参照チップとなるように、残りの2つのチップ(カラムのチップの残りと同様にAbを固定)をOctet(登録商標)緩衝液に曝露した。全ての光ファイバーチップは1回使用したら廃棄した。すなわち、再生はしなかった。可溶性PD-1受容体をOctet泳動緩衝液中に1:3倍の連続希釈系列で作製することによって、ヒト及びカニクイザルPD-1結合曲線を生成した。PD-1の最終濃度は、30、10及び3.3nMであった(IgG4抗PD-1 mAbは除く(PD-1濃度:33、11、3.7nM))。抗体を固定化した光ファイバーバイオセンサーを、PD-1連続希釈系列を含有するウェル中で300秒間インキュベートし(結合ステップ)、次いで、泳動緩衝液のみを含むウェルに500秒間移した(解離ステップ)。
生データを機器用データ解析ソフトウエア(v10)により処理した。センサーの各カラムについて、2つの参照センサーの結合シグナルを平均し、残りの6つサンプルセンサーから差し引いた。次いで、参照を差し引いたデータを、初期値のソフトウェアオプションにより処理した。Y軸をベースラインに合わせ、解離に対してステップ間補正を行い、最後にSavitzky-Golayフィルターを用いて処理した。次いで、3つのヒトPD-1濃度または3つのカニクイザルPD-1濃度のいずれかに対する各抗体結合についての最終処理データを1:1結合モデルにグローバルフィッティングさせ、グラフ化した。全てのグラフは、両方の処理データ及び1:1結合モデルに対するフィッティングを示す。1:1結合モデルフィッティングを使用して、結合速度定数(ka;単位M-1秒-1)及び解離速度定数(kd;単位秒-1)を求めた。次いで、平衡解離定数(KD;単位ナノモル(nM)=1×10-9Mol/L)をkd/kaの比として算出した。
図26は、2つの抗PD-1 mAb(IgG1抗PD-1 mAb及びIgG4抗PD-1 mAb)を用いて試験した抗PD-1抗体22D4.017、20C1.009及び20A2.003の結合プロファイルを並べて示す。ForteBio Octet(登録商標)システムを使用して、結合プロファイルを決定した。結合をヒト及びカニクイザルPD-1受容体に対して示す。
図26A~26Eに示されるように、22D4.017、20C1.009及び20A2.003PD-1抗体は、ヒトPD-1タンパク質に対して試験したとき、市販の抗体よりも2~14倍大きいKD値を示した。加えて、カニクイザルPD-1タンパク質と22D4.017、20C1.009及び20A2.003抗体との交差反応性の解析は、全体的に同様の親和性を示したが、市販の抗体は、親和性に約2倍の差を示した(図26F~26J)。
実施例16
以下の実施例は、種々の抗PD-1抗体の安定性を示す。
抗PD-1抗体の立体構造の熱安定性を以下のように特徴付けた。抗体20C1.009及び22D4.017の熱安定性を示差走査熱量測定(DSC)によって評価した。DSCは、熱容量を温度の関数として測定する技術である。サンプル細胞からのシグナルを、タンパク質を含まない参照細胞と比較する。細胞温度の上昇に伴い、各アンフォールディング遷移のエンタルピー及び融解温度、ピーク幅を測定する。これは、タンパク質ドメインの熱安定性を含む、タンパク質の熱安定性及び高次構造に関する情報を提供する。図27は、A52SuT中1mg/mLの各抗PD-1抗体のDSCサーモグラムを表し、表21は、各試験抗体のTmを示す。
更に、コーン及びプレート(TA Instruments(New Castle,DE))を使用して、分子間の摩擦力による流れ抵抗を測定することによって、粘度を決定した。20mm 1.988°のコーンプレート及びPeltierプレートSteel-990918を使用して、100~1000s
-1のフロースイープ手順を適用した。粘度をPa・s(1m Pa・s=1cP 1000s
-1)で測定した。0.01%界面活性剤を製剤緩衝液(A52Su)に添加して、各抗体の粘度を70及び150mg/mLで測定した。全試料を室温で測定した。粘度データ(1000の剪断速度)を図28に示し、表22に記載する。
抗体の安定性特性は、治療薬候補の開発中に考慮される重要な要因である。例えば、抗体の凝集特性(沈殿をもたらす可能性のある溶液中での大きな複合体の形成)は、貯蔵寿命、投与様式(例えば、i.v.対皮下)、及び分子活性に影響を与え得る。典型的に、抗体の熱安定性及び粘度特性は、高温及び高濃度で構造的完全性を維持する抗体の能力の良い指標である。上のデータが示すように、20C1.009は、i.v.及び皮下(及び高濃度)の両方の投与に適用できる治療薬として特に好適な安定性特性を示す。
実施例17
本実施例は、種々の融合タンパク質によって誘発されるIL-21活性を示す。
IL-21ムテインを含む種々の融合タンパク質を作製し、pSTAT3 αLISA(登録商標)アッセイを使用してIL-21活性について試験した。1つ目は、抗TIGITモノクローナル抗体(mAb)を含み、2つ目は、抗LAG3mAbを含んだ。これらの実験で使用するために、4つの細胞株を作製した。(A)PD-1陽性であるバリアントHut78 T細胞株、(B)TIGIT陽性であるバリアントHut78 T細胞株、(C)LAG3陽性であるバリアントHut78 T細胞株、及び(D)PD-1、TIGITまたはLAG3を内因的に発現しない親のHut78 T細胞株。4つ全ての細胞株を、(i)rhIL-21単独、(ii)抗PD-1 mAb単独、(iii)抗TIGIT mAb単独、(iv)抗LAG3 mAb単独、(v)IL-21(R5Q:R76E)ムテイン(単量体)に融合された抗PD-1 mAb、(vi)IL-21(R5Q:R76E)ムテイン(二量体)に融合された抗TIGIT mAb、及び(vii)IL-21(R5Q:R76E)ムテイン(二量体)に融合された抗LAG3 mAbに曝露した。
STATシグナル伝達に関する各分子のSTAT3リン酸化アッセイの結果及びEC50を図29A~29D及び表23にそれぞれ示す。
図29A~29D及び表23に示されるように、抗TIGIT及び抗LAG3融合タンパク質は、rhIL-21と比較して、大幅に低下した効力(抗TIGIT)を示すか、測定可能な効力(抗LAG3)を示さなかった。
本明細書に引用される公開物、特許出願及び特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が参照により個別かつ具体的に援用されることが示され、その全体が本明細書に記載される場合と同様に、参照により本明細書に援用される。
本開示の記載の文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)、「a」及び「an」及び「the」という用語、ならびに類似の指示対象の使用は、本明細書において特に指定のない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を含むように解釈されるものとする。「comprising(含む)」、「having(有する)」、「including(含む)」及び「containing(含有する)」という用語は、特に指定のない限り、非限定的な用語として解釈されるものとする(すなわち、「~を含むがこれらに限定されない」を意味する)。
本明細書における値の範囲の記述は、特に指定のない限り、その範囲及び端点内に該当する個々の各値を個別に指定するための簡便な方法として使用することを単に意図するものであり、個々の各値及び端点は、それが本明細書において個別に列挙されているかのように、本明細書に援用される。
本明細書に記載される全ての方法は、本明細書において特に指定のない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書に記載されるあらゆる例、または例を示す文言(例えば、「など(such as)」)の使用は、本開示を十分に明らかにすることのみを意図しており、特に主張のない限り、本開示の範囲に限定を課すものではない。本明細書中のいかなる文言も、特許請求されていない任意の要素が本開示の実施に不可欠であることを示すものと解釈されるべきではない。
本発明者らが認識している本開示を実施するための最良の形態を含め、本出願の好ましい実施形態が本明細書に記載されている。これらの好ましい実施形態の変形形態は、前述の説明を読めば、当業者には明らかとなろう。本発明者らは、当業者がこうした変形形態を適宜採用することを予想し、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されるものとは別の方法で本開示が実施されることを企図している。したがって、本開示は、適用法で認められるように、本明細書に添付される特許請求の範囲において列挙される主題の全ての変更及び均等物を包含する。更に、その可能な限りの全ての変更形態における上述の要素のあらゆる組み合わせについても、本明細書中に特に指定のない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、本出願に包含される。