JP7076263B2 - 硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、および、電子部品 - Google Patents
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Description
また、層間絶縁材料等の樹脂絶縁層の表面は、通常、導体層の形成工程(銅箔の粗面転写や銅めっき前の化学処理)によって粗面化されており、ソルダーレジスト材料との密着性を向上させている。
このような層間絶縁材料として用いられる従来の樹脂組成物からなる硬化物では、高周波領域で通信する場合に、電気信号の遅延や損失が避けられないという問題があった。
近年、このような伝送損失の問題から、層間絶縁材料表面は粗化フリーもしくは低粗化面となる傾向にあり(いわゆるロープロファイル基板)、材料としては、活性エステルを含む低極性の絶縁材料などの低誘電損失材が用いられるようになってきた。
このようなソルダーレジスト材料等に対し、高い信頼性を付与する方法として、例えば組成物中に無機フィラーを高充填することにより、熱物性を向上させることが一般的に行われている。この無機フィラーの中でも特にシリカは、充填性に優れ、熱膨張係数(CTE)が低いこと、また、容易に硬化性反応基を導入することが可能でありソルダーレジストの特性向上に広く用いられてきた(特許文献1参照)。しかしながら、このようなシリカを多量に含有するソルダーレジスト材料では、上述した伝送損失の問題を解決したロープロファイル基板の材料と同様に、低極性組成物となるため密着性が悪くなり、特にHAST処理後に密着性が低下しやすいという新たな問題が生じることが分かった。
しかしながら、本発明においては、前記被覆されたシリカ粒子が表面に硬化性反応基を有していても、シリカ粒子と硬化性反応基との間に、アルミニウムの水和酸化物、ジルコニウムの水和酸化物、亜鉛の水和酸化物およびチタンの水和酸化物のうちの少なくともいずれか1種が介在していているので、HAST環境下でも加水分解による密着性の低下がないことも確認されている。
即ちHAST処理後においても硬化性樹脂との濡れ性が維持できているため、導体層およびソルダーレジストとの密着性が低下しにくいという優れた効果を得ることができる。さらに、硬化性反応基による硬化物の物性の改善、例えば低CTE化も可能である。
また、本発明においては、シリカ粒子の表面に水和酸化物に基づく水酸基を多くし、そこに効果的に硬化性反応基を付与できることで溶融粘度をより低下できるため、表面に硬化性反応基を有することが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、アルミニウムの水和酸化物、ジルコニウムの水和酸化物、亜鉛の水和酸化物およびチタンの水和酸化物のうちの少なくともいずれか1種により被覆されたシリカ粒子を含む。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化剤として、活性エステル基を有する化合物、シアネートエステル基を有する化合物、および、マレイミド基を有する化合物の少なくともいずれか1種を含有する。このような硬化剤を含有することによって、低誘電の硬化物を得ることができる。これらの硬化剤は1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記活性エステル基を有する化合物は、一分子中に2個以上の活性エステル基を有する化合物であることが好ましい。活性エステル基を有する化合物は、一般に、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物との縮合反応によって得ることができる。中でも、ヒドロキシ化合物としてフェノール化合物またはナフトール化合物を用いて得られる活性エステル基を有する化合物が好ましい。フェノール化合物またはナフトール化合物としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエニルジフェノール、フェノールノボラック等が挙げられる。また、活性エステル基を有する化合物としては、ナフタレンジオールアルキル/安息香酸型でもよい。
前記シアネートエステル基を有する化合物は、一分子中に2個以上のシアネートエステル基(-OCN)を有する化合物であることが好ましい。シアネートエステル基を有する化合物は、従来公知のものをいずれも使用することができる。シアネートエステル基を有する化合物としては、例えば、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂、アルキルフェノールノボラック型シアネートエステル樹脂、ジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールF型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールS型シアネートエステル樹脂が挙げられる。また、一部がトリアジン化したプレポリマーであってもよい。
前記マレイミド基を有する化合物は、マレイミド骨格を有する化合物であり、従来公知のものをいずれも使用できる。マレイミド基を有する化合物は、2以上のマレイミド骨格を有することが好ましく、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N,N’-4,4-ジフェニルメタンビスマレイミド、1,2-ビス(マレイミド)エタン、1,6-ビスマレイミドヘキサン、1,6-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、2,2’-ビス-[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミド、およびこれらのオリゴマー、ならびにマレイミド骨格を有するジアミン縮合物のうちの少なくとも何れか1種であることがより好ましい。前記オリゴマーは、上述のマレイミド基を有する化合物のうちのモノマーであるマレイミド基を有する化合物を縮合させることにより得られたオリゴマーである。
本発明の硬化性樹脂組成物は、エポキシ化合物を含む。エポキシ化合物は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の硬化促進剤は、硬化促進剤を含有することができる。硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール、イミダゾールとエポキシのアダクト体等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-ジメチルアミノピリジン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物等が挙げられる。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS-トリアジン誘導体を用いることもできる。また、金属系硬化促進剤を用いてもよく、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体または有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体などが挙げられる。有機金属塩としては、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛などが挙げられる。これらの中でも、硬化性、溶剤溶解性の観点から、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート、亜鉛(II)アセチルアセトナート、ナフテン酸亜鉛、鉄(III)アセチルアセトナートが好ましく、コバルト(II)アセチルアセトナート、ナフテン酸亜鉛がより好ましい。硬化促進剤としては、好ましくは密着性付与剤としても機能する化合物を硬化促進剤と併用する。硬化促進剤は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、得られる硬化膜の機械的強度を向上させるために、さらに熱可塑性樹脂を含有することができる。熱可塑性樹脂は、溶剤に可溶であることが好ましい。溶剤に可溶である場合、ドライフィルム化した場合に柔軟性が向上し、クラックの発生や粉落ちを抑制できる。熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリヒドロキシポリエーテル樹脂や、エピクロルヒドリンと各種2官能フェノール化合物の縮合物であるフェノキシ樹脂或いはその骨格に存在するヒドロキシエーテル部の水酸基を各種酸無水物や酸クロリドを使用してエステル化したフェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ブロック共重合体、ゴム粒子等が挙げられる。熱可塑性樹脂は1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物には、着色剤が含まれていてもよい。難燃剤としては、公知慣用の難燃剤を用いることができる。公知慣用の難燃剤としてはリン酸エステル及び縮合リン酸エステル、リン元素含有(メタ)アクリレート、フェノール性水酸基を有するリン含有化合物、環状フォスファゼン化合物、ホスファゼンオリゴマー、ホスフィン酸金属塩等のリン含有化合物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン化合物、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル等のハロゲン化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物、ハイドロタルサイトおよびハイドロタルサイト様化合物などの層状複水酸化物が挙げられる。難燃剤は1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物には、着色剤が含まれていてもよい。着色剤としては、赤、青、緑、黄、黒、白等の公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。但し、環境負荷低減並びに人体への影響の観点からハロゲンを含有しないことが好ましい。着色剤は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物には、組成物の調製や、基板やキャリアフィルムに塗布する際の粘度調整等の目的で、有機溶剤を含有させることができる。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリ
コールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤など、公知慣用の有機溶剤が使用できる。これらの有機溶剤は、単独で、または二種類以上組み合わせて用いることができる。
さらに、本発明の硬化性樹脂組成物には、電子材料の分野において公知慣用の他の添加剤を配合してもよい。他の添加剤としては、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、可塑剤、帯電防止剤、老化防止剤、酸化防止剤、抗菌・防黴剤、消泡剤、レベリング剤、増粘剤、密着性付与剤、チキソ性付与剤、光開始助剤、増感剤、有機フィラー、エラストマー、離型剤、表面処理剤、分散剤、分散助剤、表面改質剤、安定剤、蛍光体等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、光硬化性樹脂を含有してもよい。光硬化性樹脂としては、活性エネルギー線照射により硬化して電気絶縁性を示す樹脂であればよく、分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物が好ましく用いられる。エチレン性不飽和基を有する化合物としては、公知慣用の感光性モノマーである光重合性オリゴマー、光重合性ビニルモノマー等を用いることができ、ラジカル重合性のモノマーやカチオン重合性のモノマーでもよい。また、光硬化性樹脂として、後述するようなエチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂等のポリマーを用いることができる。光硬化性樹脂は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂を含有してもよい。特に、現像性に優れるため、アルカリ可溶性樹脂はカルボキシル基含有樹脂であることがより好ましい。カルボキシル基含有樹脂は、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有感光性樹脂でも、エチレン性不飽和基を有さないカルボキシル基含有樹脂でもよい。アルカリ可溶性樹脂は、1種を単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、光反応開始剤を含有することができる。光反応開始剤は、光照射により組成物を硬化できるものであればよく、光照射によりラジカルを発生する光重合開始剤および光照射により塩基を発生する光塩基発生剤のうちのいずれか1種が好ましい。なお、光反応開始剤は、光照射によりラジカルと塩基の両方を発生する化合物でももちろんよい。光照射とは、波長350~450nmの範囲の紫外線を照射することをいう。
樹脂組成物を塗布するフィルムとしては、キャリアフィルムおよび保護フィルムのいずれを用いてもよい。
次いで、導体層および絶縁層の表面を粗化処理する。粗化処理液としては、例えば、アミノ基および芳香環を有する芳香族化合物と、2以上のカルボキシ基を有する多塩基酸と、ハロゲン化物イオンを含む組成物を用いることができる。商品名としては、例えば、メック社製01CZなどが挙げられる。
上記のようにして絶縁層と導体層を交互に形成し、最外層の回路上にソルダーレジストを形成すればよい。例えば、特許5941180の段落70~76に記載の方法に従ってソルダーレジストを形成すればよい。
電子部品としては、プリント配線板以外の用途、例えば、インダクタなど受動部品でもよい。
(アルミニウムの水和酸化物で被覆されたシリカ粒子)
球状シリカ粒子(デンカ社製SFP-20M、平均粒径:0.4μm)50gの水スラリーを70℃に昇温後、20%アルミン酸ナトリウム(NaAlO2)水溶液をシリカ粒子に対してアルミナ(Al2O3)換算で2~3%添加した。この後、20%水酸化ナトリウム水浴液を加え、pHを7に調整し、30分間熟成した。この後、スラリーをフィルタープレスにてろ過水洗し、真空乾燥し、アルミニウムの水和酸化物で被覆されたシリカ粒子の固形物を得た。
球状シリカ粒子(デンカ社製SFP-20M、平均粒径:0.4μm)50gの水スラリーを70℃に昇温後、100g/lオキシ塩化ジルコニウム等の水溶性ジルコニウム化合物の水溶液をシリカ粒子に対してジルコニア(ZrO2)換算で2~3%添加した。この後、20%水酸化ナトリウム水浴液を加え、pHを7に調整し、30分間熟成した。この後、スラリーをフィルタープレスにてろ過水洗し、真空乾燥し、ジルコニアの水和酸化物で被覆されたシリカ粒子の固形物を得た。
球状シリカ粒子(デンカ社製SFP-20M、平均粒径:0.4μm)50gの水スラリーを70℃に昇温後、硫酸亜鉛の水溶液をシリカ粒子に対してZnO換算で2~3%添加した。この後、20%水酸化ナトリウム水浴液を加え、pHを7に調整し、30分間熟成した。この後、スラリーをフィルタープレスにてろ過水洗し、真空乾燥し、亜鉛の水和酸化物で被覆されたシリカ粒子の固形物を得た。
球状シリカ粒子(デンカ社製SFP-20M、平均粒径:0.4μm)50gの水スラリーを70℃に昇温後、100g/lチタニル硫酸水溶液をシリカ粒子に対してTiO2換算で2~3%添加した。この後、20%水酸化ナトリウム水浴液を加え、pHを7に調整し、30分間熟成した。この後、スラリーをフィルタープレスにてろ過水洗し、真空乾燥し、チタンの水和酸化物で被覆されたシリカ粒子の固形物を得た。
上記で得られたアルミニウムの水和酸化物で被覆されたシリカ粒子50gと、溶剤としてPMA48gと、メタクリル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製KBM-503)1gとを均一分散させて、濾過、水洗、真空乾燥によりメタクリルシランで表面処理されたシリカ粒子の固形物を得た。
上記で得られたアルミニウムの水和酸化物で被覆されたシリカ粒子50gと、溶剤としてPMA48gと、エポキシ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製KBM-403)1gとを均一分散させて、濾過、水洗、真空乾燥によりエポキシシランで表面処理されたシリカ粒子の固形物を得た。
上記で得られたアルミニウムの水和酸化物で被覆されたシリカ粒子50gと、溶剤としてPMA48gと、フェニルアミノ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製KBM-573)1gとを均一分散させて、濾過、水洗、真空乾燥によりフェニルアミノシランで表面処理されたシリカ粒子の固形物を得た。
球状シリカ粒子(デンカ社製SFP-20M、平均粒径:0.4μm)50gと、溶剤としてPMA48gと、フェニルアミノ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製KBM-573)1gとを均一分散させて、濾過、水洗、真空乾燥によりフェニルアミノシランで表面処理されたシリカ粒子の固形物を得た。
球状シリカ粒子(デンカ社製SFP-20M、平均粒径:0.4μm)50gと、溶剤としてPMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)48gと、メタクリル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製KBM-503)1gとを均一分散させて、濾過、水洗、真空乾燥により、メタクリルシランで表面処理されたシリカ粒子の固形物を得た。
タルク(日本タルク社製SG2000、平均粒径:1.0μm)50gの水スラリーを70℃に昇温後、塩酸によりpHを7±1に維持しながら、20%アルミン酸ナトリウム(NaAlO2)水溶液をタルクに対してアルミナ(Al2O3)換算で20%添加した。この後、20%水酸化ナトリウム水浴液を加え、pHを7に調整し、30分間熟成した。この後、スラリーをフィルタープレスにてろ過水洗し、真空乾燥し、アルミニウムの水和酸化物で被覆されたタルクの固形物を得た。
上記で得られたアルミニウムの水和酸化物で被覆されたタルク50gと、溶剤としてPMA48gと、フェニルアミノ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製KBM-573)1gとを均一分散させて、濾過、水洗、真空乾燥によりフェニルアミノシランで表面処理されたタルクの固形物を得た。
温度計、窒素導入装置兼アルキレンオキシド導入装置および撹拌装置を備えたオートクレーブに、ノボラック型クレゾール樹脂(商品名「ショーノールCRG951」、昭和高分子社製、OH当量:119.4)119.4部、水酸化カリウム1.19部およびトルエン119.4部を導入し、撹拌しつつ系内を窒素置換し、加熱昇温した。次に、プロピレンオキシド63.8部を徐々に滴下し、125~132℃、0~4.8kg/cm2で16時間反応させた。その後、室温まで冷却し、この反応溶液に89%リン酸1.56部を添加混合して水酸化カリウムを中和し、不揮発分62.1%、水酸基価が182.2mgKOH/g(307.9g/eq.)であるノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキシド反応溶液を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りプロピレンオキシドが平均1.08モル付加したものであった。
得られたノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキシド反応溶液293.0部、アクリル酸43.2部、メタンスルホン酸11.53部、メチルハイドロキノン0.18部およびトルエン252.9部を、撹拌機、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に導入し、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、110℃で12時間反応させた。反応により生成した水は、トルエンとの共沸混合物として、12.6部の水が留出した。その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液を15%水酸化ナトリウム水溶液35.35部で中和し、次いで水洗した。その後、エバポレーターにてトルエンをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118.1部で置換しつつ留去し、ノボラック型アクリレート樹脂溶液を得た。次に、得られたノボラック型アクリレート樹脂溶液332.5部およびトリフェニルホスフィン1.22部を、撹拌器、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に導入し、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物60.8部を徐々に加え、95~101℃で6時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして、不揮発分65%、固形物の酸価80mgKOH/gのカルボキシル基含有感光性樹脂A-1の溶液を得た。
下記表1~3に示す種々の成分を表1~3に示す割合(質量部)にて配合し、有機溶剤にて粘度調整後、攪拌機にて予備混合した後、ビーズミルで混練し、硬化性樹脂組成物を調製した。同様に、下記表3示す種々の成分を表4に示す割合(質量部)にて配合し、有機溶剤にて粘度調整後、攪拌機にて予備混合した後、ビーズミルで混練し、後述する<ソルダーレジスト(SR)との密着性>の評価に用いるソルダーレジスト形成用の硬化性樹脂組成物(以下、「ソルダーレジスト組成物」ともいう)を調製した。これら硬化性樹脂組成物は、目開き15μmの濾過フィルターに通し、粗粒を取り除いた後、下記ドライフィルムを作製した。
上記のようにして得られた硬化性樹脂組成物にメチルエチルケトン300gを加えて希釈し、攪拌機で15分間撹拌して塗工液を得た。塗工液を、算術表面粗さRa150nmである厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、ユニチカ社製エンブレットPTH-25)上に塗布し、実施例1~13、比較例1~5は、100℃の温度で、ソルダーレジスト組成物は、80℃で10分間乾燥し、厚み20μmの樹脂層を形成した。次いで、樹脂層上に、厚み18μmのポリプロピレンフィルム(保護フィルム、フタムラ社製OPP-FOA)を貼り合わせて、樹脂層の厚みが20μmのドライフィルムを作製した。
また、上記と同様にして、樹脂層の厚みが30μmのドライフィルムを作製した。
ドライフィルムの保護フィルムを剥離した後、真空ラミネーター(CVP-300:ニッコーマテリアル社製)を用いて実施例1~13、比較例1~5は第1チャンバーにて真空3hPa、100℃、ソルダーレジスト組成物は90℃にて、バキューム時間30秒の条件下で貼り付け対象物にラミネートし、プレス圧0.5MPa、80℃、プレス時間30秒の条件にてプレスを行なう。
実施例および比較例の各組成物をJIS K5101およびJIS K5600に準拠して幅90mm、長さ240mm、最大深さ25μmのグラインドゲージを用いることにより分散度を確認した。
分散度の見方としては、5粒以上確認された区間を確認した。
◎:粒が確認されない、または、5μm以下
○:5μm超12.5μm以下
△:12.5μm超20μm以下
×:20μm超
実施例および比較例で作製した樹脂層厚み30μmのドライフィルムを電解銅箔GTS-MP-18μm(古河サーキットフォイル社製)の光沢面上に、上記条件でラミネートを行い、次いで平坦化し樹脂上のPETフィルムを剥離後樹脂層を完全硬化(190℃、60分)させた。その後、銅箔から硬化膜を剥離し、厚み30μmの硬化膜を得た。
その硬化膜を長さ80mm、幅2mmに切り出し、ネットワークアナライザー キーサイト社製 8510C、KEAD社製複素比誘電率計算ソフトCAMA-Sを用いた摂動法空洞共振器により、測定温度22℃、5GHzの誘電正接を測定した。
◎:誘電正接値 0.006未満
〇:誘電正接値 0.006以上0.009未満
△:誘電正接値 0.009以上0.012未満
×:誘電正接値 0.012以上
誘電正接と同様の方法で得られた30μmの硬化膜を銅箔より剥離した後、測定サイズ(3mm×16mm)のサイズに切り出し、TMA-Q400(TA Instruments社製)を使用して引張荷重測定でCTEを測定した。試験荷重5g、サンプルを10℃/分の昇温速度で室温より昇温、連続して2回測定した。2回目におけるTg以下の領域での平均熱線膨張係数(α1)を算出した。
◎:30ppm以下
〇:30ppm超40ppm以下
△:40ppm超45ppm以下
×:45ppm超
各実施例および比較例の組成物を、極薄銅箔(三井金属社製、MT18SD-EX、18μmの銅製支持体を有する)上に全面塗布し、100℃、10分で乾燥させて乾燥塗膜を有する積層体を得た。次いで支持体としてのFR-4(ガラスエポキシ)基板に本積層体の乾燥塗膜を貼り合せるように、0.5Mpa、120℃、1分、1Torrの条件にてラミネートした。その後、190℃で60分間加熱することにより未反応の熱硬化成分を完全に硬化させた。
その後、18μmの銅製支持体を剥離し、エッチング液(メック社製、メックブライトQE-7300)にて極薄銅箔をフルエッチングし、硬化膜を有する基板を得た。
その後、ソルダーレジスト層を形成するための前処理として、硬化膜を有する基板に、酸処理を行い、Rz=2μm以下のロープロファイルの硬化膜を得た。
その硬化膜上に、上記条件にて、上記で調製したソルダーレジスト組成物からなる樹脂層を有する20μmのドライフィルムをラミネートした。
その後、高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用いて、ドライフィルム上から全面露光(露光量:400~600mJ/cm2)した後、ドライフィルムからポリエチレンテレフタレートフィルムを剥離し、樹脂層を露出させた。その後、1重量%Na2CO3水溶液を用いて、30℃、スプレー圧2kg/cm2の条件で60秒間現像を行った。続いて、高圧水銀灯を備えたUVコンベア炉にて1J/cm2の露光量で樹脂層に照射した後、160℃で60分加熱して樹脂層を完全硬化させてソルダーレジスト硬化膜を有する評価基板を作製した。この硬化膜上からクロスセクションピーリング試験を行ない、実施例および比較例の組成物からなる硬化膜とソルダーレジスト硬化膜との密着性を確認した。具体的には、JIS K5400に基づき、クロスカッターにより切込みが実施例および比較例の硬化膜に達する1mm角の碁盤目100個(10×10)を作り、その上にセロハンテープを完全に密着させ、引き離し、100個中何個密着しているか確認した。
同じく、HAST条件130℃85% 100時間後も密着性試験を実施した。
◎:96以上/100
〇:61/100~95/100
△:11/100~60/100
×:10/100以下
電解銅箔GTS-MP-18μm(古河サーキットフォイル社製)の光沢面に前処理として、メック社製01CZをスプレーして粗化処理を行い表面粗度Raが0.04μmのロープロファイルの銅箔を得た。
この処理面に各実施例および比較例で作製した樹脂層厚み20μmのドライフィルムをラミネートし、190℃で60分間加熱硬化して絶縁層を形成したサンプルを得た。
このサンプルの絶縁層とFR-4(ガラスエポキシ)基板を接着剤(ニチバン社製AR-S 30)で接着した。この接着体を130℃、湿度85%の雰囲気下の高温高湿槽に100時間処理した。その後、引張試験機AG-Xを用いて銅箔を引きはがし、その際の強度を評価した。
このサンプルの初期値および130℃85%RH 100時間のHAST試験後、両方のサンプルを、島津製作所製オートグラフAG-XによりJIS C6481に基づきピール強度を測定した。
ピール強度が高いほど密着性が良く、HAST試験前後での密着強度低下率が低い方が優れている。
(HAST前-HAST後)/HAST前 ×100 (%)
HAST 130℃ 85% 100hrs 低下率40%以内が望ましい。
*2:日本化薬社製NC-3000L、ビフェニル型(エポキシ当量=272g/eq)
*3:昭和電工社製PETG(エポキシ当量=92g/eq)
*4:三菱ケミカル社製YX7200B35、エポキシ化合物
*5:DIC社製EXB-8500-65T、活性エステル基を有する化合物(活性エステル当量=223g/eq)
*6:DIC社製HPC-9500、フェノール性水酸基を有する化合物(水酸基当量=150g/eq)
*7:ロンザジャパン社製BA230、シアネートエステル基を有する化合物(シアネート当量=232g/eq)
*8:ロンザジャパン社製PT30、シアネートエステル基を有する化合物(シアネート当量=124g/eq)
*9:日本化薬社製MIR-3000、マレイミド基を有する化合物
*10:三菱ケミカル社製P200、イミダゾールとエポキシのアダクト体
*11:和光純薬工業社製ナフテン酸亜鉛(II)ミネラルスピリット
*12:ジメチルアミノピリジン
*13:クラリアントケミカルズ社製OP-935
*14:上記で調製した、アルミニウムの水和酸化物で被覆されたシリカ粒子
*15:上記で調製した、ジルコニウムの水和酸化物で被覆されたシリカ粒子
*16:上記で調製した、亜鉛の水和酸化物で被覆されたシリカ粒子
*17:上記で調整した、チタンの水和酸化物で被覆されたシリカ粒子
*18:上記で調製した、アルミニウムの水和酸化物で被覆され、かつ、メタクリルシランで表面処理されたシリカ粒子
*19:上記で調製した、アルミニウムの水和酸化物で被覆され、かつ、エポキシシランで表面処理されたシリカ粒子
*20:上記で調製した、アルミニウムの水和酸化物で被覆され、かつ、フェニルアミノシランで表面処理されたシリカ粒子
*21:上記で調製した、フェニルアミノシランで表面処理されたシリカ粒子
*22:上記で調製した、メタクリルシランで表面処理されたシリカ粒子
*23:デンカ社製SFP-20M、平均粒径:0.4μm(シリカ)
*24:上記で調製した、アルミニウムの水和酸化物で被覆され、かつ、フェニルアミノシランで表面処理されたタルク
*26:ジシアンジアミド
*27:メラミン
*28:BASFジャパン社製イルガキュアTPO(2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド)
*29:BASFジャパン社製イルガキュアOXE02(エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(o-アセチルオキシム)
*30:日本化薬社製DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
Claims (5)
- アルミニウムの水和酸化物、ジルコニウムの水和酸化物、亜鉛の水和酸化物およびチタンの水和酸化物のうちの少なくともいずれか1種により被覆されたシリカ粒子と、
エポキシ化合物と、
硬化剤として、活性エステル基を有する化合物、シアネートエステル基を有する化合物、および、マレイミド基を有する化合物の少なくともいずれか1種と、
を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物。 - 前記被覆されたシリカ粒子が、さらに、表面に硬化性反応基を有することを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項1または2記載の硬化性樹脂組成物をフィルムに塗布、乾燥して得られる樹脂層を有することを特徴とするドライフィルム。
- 請求項1または2記載の硬化性樹脂組成物、または、請求項3記載のドライフィルムの樹脂層を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
- 請求項4記載の硬化物を有することを特徴とする電子部品。
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