JP7010643B2 - フェノール樹脂発泡体積層板 - Google Patents

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Description

本発明は、フェノール樹脂発泡体積層板に関する。
フェノール樹脂発泡体積層板の施工性の向上において、製品密度を下げることは極めて有効であるが、製品密度の低下に従い厚み方向の圧縮強さも低下してしまうことは広く知られており、同密度でより高強度な製品を作製する技術の確立は以前より強く望まれてきた。
フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法は、フェノール樹脂と発泡剤、硬化触媒等からなる発泡性フェノール樹脂組成物(以下、単に「発泡性樹脂組成物」ということがある)を、回転翼などを有する動的ミキサーで混練し、一定速度で走行する面材上に混合物を吐出させた後、硬化炉内のコンベア間で板状に成形する方法が一般的である。例えば、複数の吐出ノズルを利用した方法としては、トーナメント式分配ノズルを利用する方法が用いられている(特許文献1)。
しかしながら、複数の吐出ノズルから吐出する方法では、発泡・硬化工程において発泡性樹脂組成物が吐出間隔同士の空間を埋めて一体化するよう幅方向に膨らむ結果、樹脂の配向性が幅方向に逃げてしまい、厚み方向の圧縮強さを高めにくかった。
このような発泡性樹脂組成物の幅方向への膨張を抑制する方法として、複数の分配流路の各先端にダイを取り付け、間隔を開けずに各ダイを直線状に配列して吐出する方法(特許文献2)や、一体化ダイを利用して1つの流路で発泡性樹脂組成物を初めから幅方向に広げて吐出する方法(特許文献3)が知られている。これらの手法を用いれば、発泡・硬化工程における発泡性樹脂組成物の幅方向への横流れが抑制され、樹脂の配向性は厚み方向に集中し、厚み方向の圧縮強さを高めることが可能である。
しかしながら、これらの手法では、発泡性樹脂組成物の吐出時の厚みが薄くなり、発泡性樹脂組成物が膨らんで上面材に接触するまでに時間が長くかかる。その結果、発泡性樹脂組成物が上面材と接触するまでに樹脂の硬化反応が進行しまい、上面材と樹脂との接着不足が起きやすかった。
また、発泡性樹脂組成物を連続的に薄く吐出する場合でも、吐出量に斑が生じた際に面材上の全く樹脂が吐出されない箇所が発生しにくく、欠損のないフェノール樹脂発泡体積層板の収率により優れる技術が望まれていた。
特開平5-154932号公報 特開2009-263468号公報 国際公開第2009/066621号
本発明は、厚み方向の圧縮強さを改善したフェノール樹脂発泡体積層板を提供することを目的とする。
本発明では、上記課題を解決すべく鋭意検討を行い、フェノール樹脂発泡体積層板の諸物性を損なうことなく、面材とフェノール樹脂発泡体との接着性に優れ、厚み方向の圧縮強さを改善できることを見出した。
すなわち、本発明は以下の[1]~[4]を提供する。
[1]
フェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に可撓性面材が配されたフェノール樹脂発泡体積層板であり、前記フェノール樹脂発泡体積層板の面材剥離強度が0.5N/25mm以上で、前記フェノール樹脂発泡体の密度が10kg/m3以上100kg/m3以下、厚みが40mm以上300mm以下、熱伝導率が0.023W/m・K以下、ボイド率が5%以下、ボイドアスペクト比が1.55以上、であるフェノール樹脂発泡体積層板。
[2]
上記面材が、合成繊維不織布、ガラス繊維紙、ガラス繊維不織布、及び紙類からなる群から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする、[1]に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
[3]
上記フェノール樹脂発泡体が、炭化水素と塩素化炭化水素の少なくとも一方を含むことを特徴とする、[1]または[2]に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
[4]
上記フェノール樹脂発泡体が、塩素化ハイドロフルオロオレフィンと非塩素化ハイドロフルオロオレフィンの少なくとも一方を含むことを特徴とする、[1]~[3]のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
[5]
上記フェノール樹脂発泡体の独立気泡率が80%以上、平均気泡径が5μm以上200μm以下であることを特徴とする、[1]~[4]のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
本発明によれば、面材とフェノール樹脂発泡体との接着性に優れ、厚み方向の圧縮強さを改善したフェノール樹脂発泡体積層板を提供することができる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
<フェノール樹脂発泡体積層板>
本実施形態におけるフェノール樹脂発泡体積層板(以下、「発泡体積層板」という場合がある。)は、硬化反応によって形成されたフェノール樹脂中に、多数の気泡が分散した状態で存在するフェノール樹脂発泡体と、当該フェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に設けられた可撓性面材とを備える積層体である。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板は、同密度でより厚み方向の圧縮強さを強くすることができる。また、本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板は、優れた断熱性能を有し、機械的強度にも優れ、断熱用の用途に好適に使用することができる。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板の面材剥離強度は、0.5N/25mm以上であり、好ましくは1N/25mm以上、より好ましくは2N/25mm以上、更にこのましくは3N/25mm以上である。面材剥離強度が0.5N/25mm以上だと、わずかな外力によって面材が剥がれることはない。
なお、フェノール樹脂発泡体積層板の面材剥離強度は、例えば、フェノール樹脂発泡体の厚みに対する吐出後の発泡性樹脂組成物の厚みを変更することによって、制御することができる。
一般に、フェノール樹脂発泡体積層板は、上面材側のフェノール樹脂発泡体と下面材側のフェノール樹脂発泡体との密度が異なると、発泡体積層板が反ることがある。本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板の反りは、6mm以下であることが好ましく、より好ましくは5mm以下、更に好ましくは4mm以下である。
なお、発泡体積層板の反りは、例えば、下面材面積のうち吐出直後の発泡性樹脂組成物が接触していない部分の面積率を下げることによって、低減することができる。
<フェノール樹脂発泡体>
本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体の密度は、10kg/m3以上100kg/m3以下であり、好ましくは15kg/m3以上70kg/m3以下、より好ましくは20kg/m3以上50kg/m3以下である。密度が10kg/m3以上であると、厚み方向の圧縮強さなどの機械的強度の低下が抑制され、発泡体の取扱い時に破損しにくくなり、表面脆性も減少する。また、密度が100kg/m3以下であると、樹脂部の伝熱が増大して断熱性能が低下する恐れがなくなる。なお、フェノール樹脂発泡体の密度は、主に発泡剤の割合、硬化条件の変更により所望の値に調整できる。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体の厚みは、40mm以上300mm以下である。厚みが40mm以上であると、厚み方向への樹脂の配向代が充分に確保され、厚み方向の圧縮強さが高い製品を作ることができる。一方、厚みが300mm以下であると、発泡・硬化工程における内部発熱を充分に樹脂外部に逃がすことができ、独立気泡率の高い製品を作ることができる。厚みは、好ましくは60mm以上200mm以下であり、より好ましくは75mm以上200mm以下、さらに好ましくは90mm以上200mm以下である。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体の熱伝導率は、0.023W/m・K以下であり、0.021W/m・K以下が好ましく、0.019W/m・K以下がより好ましい。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体の独立気泡率は、80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。独立気泡率が80%以上であると、フェノール樹脂発泡体中の発泡剤の、空気との置換が抑制されて、断熱性能の低下が抑制できる。
なお、フェノール樹脂発泡体の独立気泡率は、例えば、発泡核剤の添加量、面材と発泡性樹脂組成物が接する際の発泡性樹脂組成物の温度および面材表面の平均温度、硬化条件などの変更により所望の値に調整できる。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体の平均気泡径は、5μm以上200μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上150μm以下である。平均気泡径が5μm以上であると、気泡壁の厚さの限界による密度上昇は生じず、その結果、樹脂部の伝熱が増大して断熱性能が低下することを防止できる。また、平均気泡径が200μm以下であると、輻射による熱伝導を増加させることがなく、断熱性能の低下を防止できる。
なお、フェノール樹脂発泡体の平均気泡径は、例えば、発泡核剤の添加量、面材上に発泡性フェノール樹脂組成物が接する際の発泡性フェノール樹脂組成物の温度および面材表面の平均温度、硬化条件などの変更により所望の値に調整できる。
一般にフェノール樹脂発泡体は、その内部に比較的大きな(通常、直径約1mm以上)球状または不定形の空隙を有する。通常、これらの空隙は気泡の合一や発泡剤の不均一な気化、あるいは発泡過程で空気などを巻き込むこと等によって形成されると考えられる。
本発明では、ボイド率を次のように定義する。即ち、フェノール樹脂発泡体積層板の表裏面に垂直な横断面を切り出し、その断面に存在する空隙部を後述する方法で測定し、各空隙につきその面積が2mm2以上のものをボイドとし、該横断面上の全ボイドの総面積を横断面積で割った値をボイド率とする。また、後述する方法で測定した、ボイドの幅方向への長さに対する厚み方向への長さの比をボイドアスペクト比とする。ボイドアスペクト比は、樹脂発泡体の配向方向の指標となる。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体のボイド率は、5%以下であり、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下である。ボイド率が5%を超えると、厚み方向の圧縮強さの低下を引き起こすとともに、外観上も好ましくない。なお、複数の吐出ノズルを用いてフェノール樹脂発泡体積層板を製造する場合、ボイド率は単位吐出幅あたりの吐出ノズル本数を増やすことで低減可能だが、実質的に性能上の差異が無くなる上、吐出斑が発生しやすくなり均一な製品の収率が低下することや取扱上の煩雑さが増すことなどの製造上の問題が発生する為、ボイド率は0.02%以上であればよい。
フェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体のボイドアスペクト比は、1.55以上であり、好ましくは1.95以上、より好ましくは2.35以上、さらに好ましくは2.75以上、とりわけ好ましくは3.15以上である。
そして、フェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体は、例えば、フェノール樹脂、界面活性剤、発泡剤、発泡核剤、及び酸性硬化剤を含む発泡性フェノール樹脂組成物から製造される。なお、発泡性フェノール樹脂組成物は、任意に、上記以外の成分を含有していてもよい。
フェノール樹脂としては、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物によって合成するレゾール型フェノール樹脂等を用いることができる。レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを原料としてアルカリ触媒により40~100℃の温度範囲で加熱して合成する。また、必要に応じてレゾール型フェノール樹脂の合成時、もしくは合成後に尿素等の添加剤を添加してもよい。尿素を添加する場合は予めアルカリ触媒でメチロール化した尿素をレゾール型フェノール樹脂に混合することがより好ましい。合成後のレゾール型フェノール樹脂は、通常過剰な水分を含んでいるので、発泡に際し、発泡に適した水分量に調整する。また、フェノール樹脂には、脂肪族炭化水素または高沸点の脂環式炭化水素、或いは、それらの混合物や、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の粘度調整用の希釈剤、その他必要に応じてマテリアルリサイクル粉体や添加剤を添加することもできる。
フェノール樹脂の合成時のフェノール類対アルデヒド類の出発モル比は1:1から1:4.5の範囲内が好ましく、より好ましくは1:1.5から1:2.5の範囲内である。
ここで、本実施形態においてフェノール樹脂合成の際に好ましく使用されるフェノール類は、フェノール自体、及び他のフェノール類であり、他のフェノール類の例としては、レゾルシノール、カテコール、o-、m-及びp-クレゾール、キシレノール類、エチルフェノール類、p-tertブチルフェノール等が挙げられる。また、2核フェノール類も使用できる。
また、アルデヒド類は、アルデヒド源となり得る化合物であればよく、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド自体、及び他のアルデヒド類やその誘導体を用いることが好ましい。他のアルデヒド類の例としては、グリオキサール、アセトアルデヒド、クロラール、フルフラール、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
なお、フェノール樹脂には、添加剤として尿素、ジシアンジアミドやメラミン等を加えてもよい。本明細書において、これらの添加剤を加える場合、「フェノール樹脂」とは添加剤を加えた後のものを指す。
フェノール樹脂の40℃における粘度は、4,000mPa・s以上であり、好ましくは6,000mPa・s以上である。フェノール樹脂の40℃における粘度が4,000mPa・s以上とすると、発泡体積層板製造工程の発泡性樹脂組成物の吐出時に、樹脂の横流れを抑制でき、吐出形態の適正化が可能となる。
発泡性フェノール樹脂組成物に含まれる界面活性剤、発泡剤及び発泡核剤は、フェノール樹脂に予め添加しておいてもよいし、酸性硬化剤と同時に添加してもよい。
界面活性剤としては、フェノール樹脂発泡体の製造に一般に使用されるものを使用できるが、中でもノニオン系の界面活性剤が効果的であり、例えば、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体であるアルキレンオキサイドや、アルキレンオキサイドとヒマシ油との縮合物、アルキレンオキサイドと、ノニルフェノール、ドデシルフェノールのようなアルキルフェノールとの縮合生成物、アルキルエーテル部分の炭素数が14~22のポリオキシエチレンアルキルエーテル、更にはポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン系化合物、ポリアルコール類等が好ましい。これらの界面活性剤は単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量については特に制限はないが、フェノール樹脂100質量部に対して0.3質量部以上10質量部以下の範囲で好ましく使用される。
発泡剤の構成成分としては、特に限定されないが、オゾン層を破壊することのない炭化水素(HC類)、ハイドロフルオロカーボン(HFC類)、を用いることが好ましい。とりわけ、地球温暖化係数が小さいことから、炭化水素を使用することがより好ましい。
また、発泡剤としては、製造コストを抑えつつ、フェノール樹脂発泡体積層板の断熱性能を向上させるという観点から、炭化水素と塩素化炭化水素の少なくとも一方を用いることが好ましい。また、フェノール樹脂発泡体積層板の断熱性能をより向上させる観点からは、塩素化ハイドロフルオロオレフィンと非塩素化ハイドロフルオロオレフィンの少なくとも一方を含むことが好ましい。
炭化水素としては、炭素数が3~7の環状または鎖状のアルカン、アルケン、アルキンが好ましく、具体的には、ノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、2,2-ジメチルブタン、2,3-ジメチルブタン、シクロヘキサン、等を挙げることができる。その中でも、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタンのペンタン類及びノルマルブタン、イソブタン、シクロブタンのブタン類が好適に用いられる。これら炭化水素は単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
ハイドロフルオロカーボンとしては、ハイドロフルオロプロペン、ハイドロクロロフルオロプロペン、ハイドロブロモフルオロプロペン、ハイドロフルオロブテン、ハイドロクロロフルオロブテン、ハイドロブロモフルオロブテン、ハイドロフルオロエタン、ハイドロクロロフルオロエタン、ハイドロブロモフルオロエタン等を挙げることができる。これらハイドロフルオロカーボンは単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
ここで、発泡剤に占める炭化水素の含有割合は10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。フェノール樹脂に対する発泡剤の量は、発泡剤の種類、フェノール樹脂との相性や、発泡・硬化過程でのロスによりばらつきがあるが、フェノール樹脂100質量部に対して3.0質量部以上11.5質量部以下であることが好ましく、4.0質量部以上9.5質量部以下であることがより好ましい。フェノール樹脂に対する発泡剤の量が3.0質量部以上であると密度が高くなりすぎず、好ましい。また、フェノール樹脂に対する発泡剤の量が11.5質量部以下であると、密度が低くなりすぎず、好ましい。
なお、ハイドロフルオロカーボンや炭化水素以外の発泡剤成分としては、塩素化脂肪族炭化水素などの塩素化炭化水素を使用することもできる。塩素化脂肪族炭化水素としては、炭素数が2~5の直鎖状または分岐状のものが用いられる。結合している塩素原子の数は限定されるものではないが、1~4が好ましく、例えばジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリドなどが挙げられる。これらのうち、クロロプロパンであるプロピルクロリド、イソプロピルクロリドがより好ましく用いられる。これら塩素化脂肪族炭化水素は単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
また、発泡剤として、塩素化ハイドロフルオロオレフィン及び/又は非塩素化ハイドロフルオロオレフィンを使用することもできる。塩素化ハイドロフルオロオレフィンとしては、具体的には、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンなどが挙げられる。
更に、非塩素化ハイドロフルオロオレフィンとしては、具体的には、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンなどが挙げられる。
ここで、発泡剤に占める塩素化又は非塩素化ハイドロフルオロオレフィンの含有割合は、難燃性の観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、とりわけ好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上100質量%以下である。
なお、これら発泡剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよく、任意に選択できる。
また、発泡核剤として、窒素、ヘリウム、アルゴン、空気などの、発泡剤よりも沸点が50℃以上低い、低沸点物質を発泡剤に添加して使用してもよい。また、固体発泡核剤として、水酸化アルミニウム粉、酸化アルミニウム粉、炭酸カルシウム粉、タルク、はくとう土(カオリン)、珪石粉、珪砂、マイカ、珪酸カルシウム粉、ワラストナイト、ガラス粉、ガラスビーズ、フライアッシュ、シリカフューム、石膏粉、ホウ砂、スラグ粉、アルミナセメント、ポルトランドセメント等の無機粉、及び、フェノール樹脂発泡体粉のような有機粉を発泡剤に添加して使用してもよい。これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
酸性硬化剤は、フェノール樹脂を硬化できる酸性の硬化剤であればよく、リン酸やアリールスルホン酸、或いは、これらの無水物が好ましい。アリールスルホン酸およびその無水物としては、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、置換フェノールスルホン酸、キシレノールスルホン酸、置換キシレノールスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等、および、それらの無水物が挙げられ、これらを一種類で用いても、二種類以上組み合わせてもよい。なお、本実施形態では、硬化助剤として、レゾルシノール、クレゾール、サリゲニン(o-メチロールフェノール)、p-メチロールフェノール等を添加してもよい。また、これらの硬化剤を、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の溶媒で希釈してもよい。
酸性硬化剤の使用量は、その種類により異なり、無水リン酸を用いた場合、好ましくはフェノール樹脂100質量部に対して、5質量部以上30質量部以下、より好ましくは8質量部以上25質量部以下で使用される。キシレンスルホン酸80質量%とジエチレングリコール20質量%の混合物を使用する場合には、フェノール樹脂100質量部に対して、好ましくは3質量部以上30質量部以下、より好ましくは5質量部以上20質量部以下で使用される。
<面材>
フェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に配される面材としては、可撓性でかつガス透過性の高い面材が好ましい。このような面材としては、合成繊維不織布、ガラス繊維紙、ガラス繊維不織布、紙類が挙げられる。このような面材のうち、ガス透過性として、ASTM D3985-95に準拠して測定される酸素透過率が4.5cm3/24h・m2以上である面材が特に好ましい。発泡時の熱硬化性樹脂の面材への染み出しや、熱硬化性樹脂と面材との接着性の観点から、面材に合成繊維不織布を用いる場合には、目付量は15~80g/m2が好ましく、面材にガラス繊維不織布を用いる場合には、目付量は30~200g/m2が好ましい。
また、フェノール樹脂発泡体積層板は、これを単体で使用する他、外部部材と接合させて様々な用途に用いられている。外部部材の例としては、ボード状材料およびシート状・フィルム状材料の1およびその組み合わせがある。ボード状材料としては、普通合板、構造用合板、パーティクルボード、OSB、などの木質系ボード、および、木毛セメント板、木片セメント板、石膏ボード、フレキシブルボード、ミディアムデンシティファイバーボード、ケイ酸カルシウム板、ケイ酸マグネシウム板、火山性ガラス質複層板などが好適である。また、シート状・フィルム状材料としては、ポリエステル不織布、ポリプロピレン不織布、無機質充填ガラス繊維不織布、ガラス繊維不織布、紙、炭酸カルシウム紙、ポリエチレン加工紙、ポリエチレンフィルム、プラスチック系防湿フィルム、アスファルト防水紙、アルミニウム箔(孔あり・孔なし)などが好適である。
<フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法>
次に、上述したフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法について説明する。
本実施形態に係るフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法は、上述した発泡性フェノール樹脂組成物を混合機にて混合する混合工程と、混合した発泡性フェノール樹脂組成物を複数の吐出ノズルにより分配及び拡幅して走行する下面材上に吐出する吐出工程と、下面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物を上面材と接着するまで膨らませてフェノール樹脂発泡体積層板を製造する発泡体積層板製造工程とを備える連続製造方式である。なお、ここで言う拡幅とは、面材の走行方向と直交する方向(面材の幅方向)に対して吐出口を広げることを指す。
本実施形態に係るフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法の中でとくに重要な点は、吐出工程において、発泡性樹脂組成物の下面材との接触面積率および吐出後の発泡性樹脂組成物の厚みを、吐出ノズル先端の形状や吐出ノズル本数を調整することで、適切に制御することである。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板は、発泡性樹脂組成物吐出後における厚みと面材のすき間率を適正化することにより、樹脂の厚み方向への配向およびフェノール樹脂発泡体と上面材との接着性の両立が可能であり、フェノール樹脂発泡体積層板の諸物性を損なうことなく厚み方向の圧縮強さを改善できる。
下面材面積のうち吐出直後の発泡性樹脂組成物が接触していない部分の面積率(本明細書において、すき間率とよぶ)は、20%以上60%未満であり、好ましくは30%以上50%未満である。すき間率は小さければ小さいほど発泡性樹脂組成物の横流れが抑制され好ましいが、20%未満になると、吐出時の発泡性樹脂組成物の厚みが薄くなり過ぎて、下面材上に吐出された発泡性樹脂組成物が膨らんで上面材に接触するまでに時間が長くかかる。その結果、発泡性樹脂組成物が上面材と接触する際には樹脂の硬化反応が進行しており、上面材と樹脂との接着性が悪くなり上面材側の面材剥離強度が低下するという問題が生じる。また、発泡性樹脂組成物を連続的に薄く吐出する場合、吐出量に斑が生じた際に面材上に全く樹脂が吐出されない箇所が発生し、欠損の無いフェノール樹脂発泡体積層板の収率が低下する、という問題が生じる。一方で、すき間率が60%以上になると、発泡性樹脂組成物が幅方向へ横流れしてしまい、厚み方向への配向性が低下して厚み方向の圧縮強さが低下する。また、隣り合って吐出された発泡性樹脂組成物同士の接合部の厚みが薄くなって、フェノール樹脂発泡体積層板の上面材側の平滑性が悪くなり、フェノール樹脂発泡体の上面材側と下面材側で密度差が生じて、反りが発生する。
なお、「すき間率」は、面材の幅方向に水平な向きとなるように定規を下面材上に載せて、各ノズルから吐出された発泡性樹脂組成物が定規の位置に吐出後約1分後に到達するように調整し、発泡性樹脂組成物が定規上で接触していない箇所の長さを読み取ってその合計長さを算出し、その値をノズルから吐出された発泡性樹脂組成物の面材の幅方向に関する両端間の長さで割った後、100を掛けて求めた。
フェノール樹脂発泡体の厚みに対する吐出後の発泡性樹脂組成物の厚み(以下、厚み率と呼ぶ)は、18%以上45%以下であり、好ましくは25%以上40%以下である。厚み率が18%未満であると、発泡性樹脂組成物が上面材に接触するまでの時間が長く、上面材と樹脂の接着性が悪くなり上面材側の面材剥離強度が低下する。フェノール樹脂発泡体の配向方向は主に硬化反応工程での発泡性樹脂組成物の延伸方向で決定され、厚み率が45%を超えると、発泡性樹脂組成物の厚み方向へ伸び代が足りず、厚み方向への配向性が不十分となり厚み方向の圧縮強さが低下してしまう。
なお「厚み率」は、以下のようにして算出する。面材に対して垂直な向きとなるように定規を下面材上に立て、ある1本のノズルから吐出された発泡性樹脂組成物がその定規の立ててある位置まで吐出後約1分後に到達するように調整し、発泡性樹脂組成物が下面材から厚み方向へ最も離れている位置までの距離を測定し、その値をフェノール樹脂発泡体の厚みで割った後100を掛けて得られる値を厚み率とする。
上述の「すき間率」と「厚み率」は、以下の方法で制御可能である。
吐出ノズルの先端形状を厚み方向へより長くすると、吐出される発泡性樹脂組成物の形状も厚み方向へ長くなり、すき間率が増加し、厚み率も増加する。逆に、吐出ノズルの先端形状を厚み方向へより短くすると、吐出される樹脂の形状も厚み方向へ短くなり、すき間率が低下し、厚み率も低下する。
なお、吐出ノズル先端のアスペクト比は、以下のようにして定義した。吐出ノズルの先端開口面の外周と接する長方形を描いた際の、生産する製品の厚み方向に垂直な方向の最大長さをAおよび厚み方向に水平な方向の最大長さをBとして、B/Aの値を吐出ノズル先端のアスペクト比とした。なお、吐出ノズルの先端開口面の形状は、長方形であってもよい。
吐出ノズル先端のアスペクト比は、0.225以上0.600以下であり、好ましくは0.280以上0.450以下であり、より好ましくは0.300以上0.400以下である。吐出ノズルが複数ある場合、核ノズルの吐出ノズル先端のアスペクト比は同じであってもよいし異なっていてもよい。
吐出量が一定である場合、単位吐出幅あたりの吐出ノズル本数を変化させても、各ノズルから吐出される発泡性樹脂組成物の面材の幅方向への長さに対する厚み方向への長さの比は、ほぼ変わらない。そのため、単位吐出幅あたりの吐出ノズル本数を増やすと、厚み率およびすき間率は低下する。また、隣り合って吐出された発泡性樹脂組成物同士の、膨張による合一が生じるまでの時間が短くなるため、空気の巻き込み量が抑制されてボイド率が低下して好ましいが、吐出斑が発生しやすくなり均一な製品の収率が低下する上、取扱上の煩雑さが増すなどの製造上の問題が発生する。
なお、単位吐出幅あたりの吐出ノズル本数とは、吐出ノズル総数を、ノズルから吐出された発泡性樹脂組成物の面材の幅方向に関する両端間の長さで割って得られる値をいう。
単位吐出幅あたりの吐出ノズル本数は、14本/m以上55本/m以下であり、好ましくは20本/m以上45本/m以下である。
吐出ノズル間の吐出斑は、以下のようにして定義した。
発泡性フェノール樹脂組成物の吐出開始2時間経過時点で、上下面材の吐出速度を一時的に早めて、走行する下面材上に吐出されたn本の帯状の発泡性樹脂組成物(以下、「ビード」という)が、互いに接触しないようにし、各ビード重量Wnを測定した。ここで、Wnの平均値をWaveとし、下記式(1)より、各ビードにおける吐出量の割合Qnを算出し、Qnのうちの最大値Qmaxと最小値Qminの差Qを、吐出斑とした(式(2))。
Qn=(Wn-Wave)/Wave ・・・(1)
Q=Qmax-Qmin ・・・(2)
吐出斑は、均一な製品の収率の観点から1.00以下が好ましく、より好ましくは0.60以下、さらに好ましくは0.20以下である。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板は、例えば、建築物の断熱材などに好適に用いることができる。
以下に、実施例および比較例によって本説明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<フェノール樹脂の合成>
反応器に52質量%ホルムアルデヒド水溶液(52質量%ホルマリン)3500kgと99質量%フェノール(不純物として水を含む)2510kgを仕込み、プロペラ回転式の攪拌機により攪拌し、温調機により反応器内部液温度を40℃に調整した。次いで50質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えながら昇温して、反応を行わせた。オストワルド粘度が60センチストークス(60×10-62/s、25℃における測定値)に到達した段階で、反応液を冷却し、尿素を570kg(ホルムアルデヒド仕込み量の15モル%に相当)添加した。その後、反応液を30℃まで冷却し、パラトルエンスルホン酸一水和物の50質量%水溶液でpHを6.3に中和した。
この反応液を、60℃で脱水処理して粘度及び水分量を以下の方法で測定したところ、40℃における粘度は6,100mPa・sであった。これをフェノール樹脂A-Uとする。
<水分量>
フェノール樹脂中の水分量は、カールフィッシャー水分計MKA-510(京都電子工業(株)製)を用いて測定した。
<粘度>
回転粘度計(東機産業(株)製、R-100型、ローター部は3°×R-14)を用い、40℃で3分間安定させた後の測定値をフェノール樹脂の粘度とした。
(実施例1)
フェノール樹脂A-U:100質量部に対して、界面活性剤としてエチレンオキサイド-プロピレンオキサイドのブロック共重合体(BASF製、プルロニックF-127)を2.0質量部の割合で混合した。これをフェノール樹脂A-U1とする。
このフェノール樹脂A-U1:100質量部に対して、発泡剤としてイソペンタン20質量%とイソプロピルクロリド80質量%の混合物5.6質量部、発泡核剤として窒素を発泡剤に対して0.3質量%添加し、酸性硬化剤としてキシレンスルホン酸80質量%とジエチレングリコール20質量%との混合物13質量部を添加してなる発泡性フェノール樹脂組成物を、混合機のミキシングヘッドに供給し、マルチポート分配管を通して、移動する下面材上に、発泡性樹脂吐出部全幅が1000mmとなるように40kg/hrの流量で吐出した。なお、混合機(ミキサー)は、特開平10-225993号に開示されたものを使用した。即ち、混合機の上部側面に、フェノール樹脂A-U1、並びに、発泡核剤を含む発泡剤の導入口があり、回転子が攪拌する攪拌部の中央付近の側面に酸性硬化剤の導入口を備えている混合機を使用した。攪拌部以降は発泡体を吐出するためのノズルに繋がっている。即ち、混合機は、酸性硬化剤導入口までを混合部(前段)、酸性硬化剤導入口~攪拌終了部を混合部(後段)、攪拌終了部~ノズルを分配部とし、これらにより構成されている。分配部は先端に32か所のノズルを有し、混合された発泡性フェノール樹脂組成物が均一に分配されるように設計されている。各吐出ノズル先端のアスペクト比は0.333とした。
面材としては、ポリエステル不織布(旭化成せんい(株)製「スパンボンドE05030」、目付量30g/m2、厚み0.15mm)を使用した。ミキサーから出てきた発泡性樹脂組成物を発泡させながら面材で挟み込むように78℃の雰囲気でスラット型ダブルコンベアへ送り、20分の滞留時間で発泡体の厚みが100mmとなるように硬化させた後、110℃のオーブンで3時間キュアしてフェノール樹脂発泡体積層板を得た。なお、スラット型ダブルコンベアでは、上下方向から面材を介して適度に圧力を加えることで板状に成形した。
そして、得られたフェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体の厚み、密度、独立気泡率、平均気泡径、厚み方向の圧縮強さ、熱伝導率、ボイド率、ボイドアスペクト比、及びフェノール樹脂発泡体積層板の反り、面材剥離強度を以下の方法によって測定した。
<厚み>
50mm角のフェノール樹脂発泡体積層板から面材を取り除いたものを10個準備し、それぞれの表裏面の中心にマークをした後、ノギスで厚みを計測し、10個の厚みの平均値をフェノール樹脂発泡体の厚みとした。
<密度>
20cm角のフェノール樹脂発泡体積層板を試料とし、この試料から面材を取り除いた後、JIS K7222に従い、フェノール樹脂発泡体の質量と見かけ容積を測定して求めた。
<独立気泡率>
ASTM-D-2856に従い測定した。具体的には、フェノール樹脂発泡体積層板より面材を取り除いた後、直径35mm~36mmの円柱形試料をコルクボーラーで刳り貫き、高さ30mm~40mmに切り揃えた後、空気比較式比重計(東京サイエンス社製、1,000型)の標準使用方法により試料容積を測定した。その試料容積から、試料質量とフェノール樹脂の密度から計算した壁(気泡やボイド以外の部分)の容積を差し引いた値を、試料の外寸から計算した見かけの容積で割った値を、フェノール樹脂発泡体の独立気泡率とした。ここで、フェノール樹脂の密度は1.3kg/Lとした。
<平均気泡径>
平均気泡径は、JIS K6402に記載の方法を参考に、以下の方法で測定した。
フェノール樹脂発泡体積層板の厚み方向のほぼ中央を表裏面に平行に切削して得た試験片の切断面を50倍に拡大した写真を撮影し、得られた写真上にボイドを避けて9cmの長さ(実際の発泡体断面における1,800μmに相当する)の直線を4本引き、各直線が横切った気泡の数に準じて測定したセル数を各直線で求め、それらの平均値で1800μmを割った値を平均気泡径とした。
<厚み方向の圧縮強さ>
得られたフェノール樹脂発泡体積層板から面材を取り除いた後、フェノール樹脂発泡体の厚み方向の圧縮強さを、JIS K7220(硬質発泡プラスチックの圧縮強さ及び圧縮強さに対応する変形率;5%変形時の圧縮応力)に従い、測定した。
<熱伝導率>
200mm角の発泡体積層板のうち、その主面の一方に沿って、厚み方向にスライス切断し、厚み中央部における50mmの厚み分を試料として抽出し、低温板13℃、高温板33℃でJIS A1412の平板熱流計法に従い測定した。なお、フェノール樹脂発泡体の厚みが50mm未満のものについては、厚み方向のスライスを行わず、面材を剥がしてそのまま測定に供した。
<反り>
1000mm×1000mmの大きさに切り出したフェノール樹脂発泡体積層板の上下面材を丁寧に剥離しフェノール樹脂発泡体とした後、一つの対角頂点間に糸を張り、糸からフェノール樹脂発泡体の主面に垂線を下した時の最大距離を読み取り、記録する。更にもう一方の対角頂点間にも糸を張り同様に測定し記録する。上下反転させ同様の測定を行い、これら4つの測定値のうち、最も大きな値を、反りと定義した。なお、対角頂点間に糸を張った際、糸が直線とならなかった場合には、反りは算出しない(フェノール樹脂発泡体積層板が上に凸の状態で測定された場合には対角線間の糸は直線とはならない)。
<ボイド率およびボイドアスペクト比>
150mm角の発泡体積層板を5つ準備し、各発泡体積層板の主面以外の4面(厚み×150mmの側面)について、「ボイド率」および「ボイドアスペクト比」を以下の方法で評価した。
各評価面のカラーコピーを取り、2mm2以上の空隙を黒ボールペンなどで塗りつぶした後、スキャンした画像を解析ソフト(WinRooF2015、三谷商事(株)製)を用いて、各面における全ボイドの総面積を各面の全面積で割った値を算出し、「ボイド率」とした。また、各面における全てのボイドのアスペクト比を算出し、その平均値を「ボイドアスペクト比」とした。なお、ボイドのアスペクト比は、各ボイドの外周と接するように、厚み方向に垂直な長さAの辺および厚み方向に水平な長さBの辺からなる長方形を書いた際の、B/Aの値として定義した。
同様の操作を計20評価面について実施し、それらの平均値をボイド率およびボイドアスペクト比として定義した。
なお2mm2以上の空隙が確認しにくい場合は、適宜拡大コピーを行い、倍率換算をして評価を実施した。
また、上記操作を実施しても評価したボイドの総数が10未満の場合は、150mm角の発泡体積層板の表裏面に垂直な横断面をさらに切り出して主面以外の横断面を評価し、評価したボイドの総数が10以上となるまで実施した。
<面材剥離強度>
得られた発泡体積層板を幅25mm、長さ150mmとなるように厚み方向に平行に切り出し、200mm/分の速度で面材の90度剥離試験を85mm剥離長さで実施し、その最大値を測定した。この操作を表、裏面材側の両方で行い、値の小さい方を面材剥離強度とした。
(実施例2)
発泡性樹脂組成物の流量を16kg/hrとし、110℃のオーブンで1時間キュアした以外は、実施例1と同様にして、発泡体の厚みが40mmであるフェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例3)
発泡性樹脂組成物の流量を30kg/hrとし、110℃のオーブンで2時間キュアした以外は、実施例1と同様にして、発泡体の厚みが75mmであるフェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例4)
発泡性樹脂組成物の流量を64kg/hrとし、110℃のオーブンで5時間キュアした以外は、実施例1と同様にして、発泡体の厚みが160mmであるフェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例5)
発泡性樹脂組成物の流量を80kg/hrとし、110℃のオーブンで6時間キュアした以外は、実施例1と同様にして、発泡体の厚みが200mmであるフェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例6)
発泡性樹脂組成物の分配部の先端ノズル数を16とした以外は、実施例1と同様にして、発泡体の厚みが100mmであるフェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例7)
発泡性樹脂組成物の分配部の先端ノズル数を48とした以外は、実施例1と同様にして、発泡体の厚みが100mmであるフェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例8)
発泡性樹脂組成物の分配部の各吐出口の先端アスペクト比を0.250とした以外は、実施例1と同様にして、発泡体の厚みが100mmであるフェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例9)
発泡性樹脂組成物の分配部の各吐出口の先端アスペクト比を0.500とした以外は、実施例1と同様にして、発泡体の厚みが100mmであるフェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例10)
面材にガラス繊維不織布(商品名「Dura Glass Type DH70(目付量70g/m2、厚み0.67mm)」、ジョーンズマンビル社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして、発泡体の厚みが100mmであるフェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例11)
フェノール樹脂A-U1:100質量部に対して、発泡剤としてシクロペンタン25質量%と1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン75質量%の混合物6.6質量部を添加した以外は、実施例1と同様にして、発泡体の厚みが100mmであるフェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例12)
フェノール樹脂A-U1:100質量部に対して、発泡剤としてイソプロピルクロリド40質量%と1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン60質量%の混合物6.8質量部を添加した以外は、実施例1と同様にして、発泡体の厚みが100mmであるフェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例13)
フェノール樹脂A-U1:100質量部に対して、発泡剤としてシクロペンタン70質量%とイソブタン30質量%の混合物5.4質量部を添加した以外は、実施例1と同様にして、発泡体の厚みが100mmであるフェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(比較例1)
発泡性フェノール樹脂組成物を、国際公開2009-066621号の実施例1に開示されたものと構造的に同型のダイに、マルチポート分配管を通して流入させ吐出した以外は、実施例1と同様にして、発泡体の厚みが100mmであるフェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(比較例2)
発泡性樹脂組成物の分配部の流路数を32とし、各先端に特開2009-263468号の実施例1に開示されたものの形状を一部変更(ダイ先端の開口間隔を3.5mm、ダイ幅を28mmとした)して作製したダイを取り付けて吐出した以外は、実施例1と同様にして、発泡体の厚みが100mmであるフェノール樹脂発泡体積層板を得た。
この場合、32の流路から吐出された発泡性樹脂組成物は、吐出直後に隣り合う樹脂同士で一体化した。
(比較例3)
発泡性樹脂組成物の分配部の先端ノズル数を12とした以外は、実施例1と同様にして、発泡体の厚みが100mmであるフェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(比較例4)
発泡性樹脂組成物の分配部の先端ノズル数を60とした以外は、実施例1と同様にして、発泡体の厚みが100mmであるフェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(比較例5)
発泡性樹脂組成物の分配部の各吐出口の先端アスペクト比を0.200とした以外は、実施例1と同様にして、発泡体の厚みが100mmであるフェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(比較例6)
発泡性樹脂組成物の分配部の各吐出口の先端アスペクト比を0.667とした以外は、実施例1と同様にして、発泡体の厚みが100mmであるフェノール樹脂発泡体積層板を得た。
上記実施例、比較例における製造条件、および得られた発泡体積層板の物性を、表1、表2に示す。
Figure 0007010643000001
Figure 0007010643000002
本発明のフェノール樹脂発泡体積層板は、建築用断熱材として好適に利用することができる。

Claims (5)

  1. フェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に可撓性面材が配されたフェノール樹脂発泡体積層板であり、前記フェノール樹脂発泡体積層板の面材剥離強度が0.5N/25mm以上で、前記フェノール樹脂発泡体の密度が10kg/m以上100kg/m以下、厚みが40mm以上300mm以下、熱伝導率が0.023W/m・K以下、ボイド率が5%以下、ボイドアスペクト比が1.55以上、であるフェノール樹脂発泡体積層板。
  2. 前記面材が、合成繊維不織布、ガラス繊維紙、ガラス繊維不織布、及び紙類からなる群から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  3. 前記フェノール樹脂発泡体が、炭化水素と塩素化炭化水素の少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  4. 前記フェノール樹脂発泡体が、塩素化ハイドロフルオロオレフィンと非塩素化ハイドロフルオロオレフィンの少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  5. 前記フェノール樹脂発泡体の独立気泡率が80%以上、平均気泡径が5μm以上200μm以下であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
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