JP5795450B1 - フェノール樹脂発泡体積層板及びその製造方法 - Google Patents

フェノール樹脂発泡体積層板及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】可塑剤と可撓性面材とを用いたフェノール樹脂発泡体積層板であって、良好な母材表面平滑性を有するフェノール樹脂発泡体積層板を得る。【解決手段】密度が15kg/m3以上50kg/m3以下、独立気泡率が70%以上の範囲にあり、フタル酸系化合物以外の可塑剤を含有するフェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に面材が配されたフェノール樹脂発泡体積層板であって、面材が可撓性面材であり、面材を剥離した母材の平滑性評価レベルが1.5mm以下であることを特徴とする、フェノール樹脂発泡体積層板。【選択図】なし

Description

本発明は、フェノール樹脂発泡体積層板及びその製造方法に関し、更に詳しくは、フェノール樹脂発泡体の上下面に配された面材を剥離し易く、かつ、面材を剥離した後の母材表面の平滑性に優れるフェノール樹脂発泡体積層板及びその製造方法に関する。
レゾール型フェノール樹脂を原料とした酸硬化型フェノール樹脂発泡体は、燃え難く、煙の発生が少なく、しかも断熱性も良好なところから、従前より、例えば金属サイディング等の外壁材、間仕切りパネル等の内壁材の他、天井材、防火扉、雨戸等の建材に使用されている。また、酸硬化型フェノール樹脂発泡体は、建材用や工業プラント用の保冷・保温材としても広く使用されている。
ここで、フェノール樹脂発泡体の製造時に使用する発泡剤としては、環境問題の観点から、近年、炭化水素系発泡剤が採用されてきている。また、近年では、上下に配置した面材間に発泡性フェノール樹脂組成物を充填し、発泡・硬化させてフェノール樹脂発泡体の上下面に面材を設けてなるフェノール樹脂発泡体積層板を製造するに当たり、フェノール樹脂、界面活性剤、炭化水素系発泡剤、酸性硬化剤を含む発泡性フェノール樹脂組成物に対し、可塑剤を添加してフェノール樹脂発泡体の特性を改善することが提案されている。
具体的には、例えば特許文献1では、発泡性フェノール樹脂組成物に対し、ポリエステルポリオールやポリエチレングリコールなどの可塑剤を添加することにより、フェノール樹脂発泡体の気泡壁に柔軟性を付与して気泡壁の経時劣化を抑制する技術が提案されている。
また、例えば特許文献2では、発泡性フェノール樹脂組成物に対し、特定のポリエーテルポリオールを添加することにより、フェノール樹脂発泡体に直径8〜10cm程度の大きな凹みが形成されるのを抑制する技術が提案されている。
特許第5485600号公報 特許第2873167号公報
しかしここで、本発明者らが可塑剤を含有する発泡性フェノール樹脂組成物を用いたフェノール樹脂発泡体積層板の製造について研究を重ねたところ、発泡性フェノール樹脂組成物を面材間に充填し、発泡・硬化させてフェノール樹脂発泡体の上下面に面材を設けてなるフェノール樹脂発泡体積層板を製造する際に、剛性に劣る可撓性面材を利用すると、発泡性を十分に制御しきれず、面材を剥離した後の母材表面が実用上十分な平滑性を有するフェノール樹脂発泡体積層板を得ることが困難であることが明らかとなった。
従って、可塑剤を使用し、且つ、面材として可撓性面材を使用したフェノール樹脂発泡体積層板には、特に面材を剥離して母材のみを使用する場合において、母材表面の平滑性の改善が求められていた。
そこで本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、可塑剤を添加し、かつ、可撓性面材を使用した系であっても、発泡及び成形条件を適正化することにより、良好な母材表面平滑性を有するフェノール樹脂発泡体積層板を得ることができることを見出した。この方法で得られるフェノール樹脂発泡体積層板では、可塑剤を添加しつつ、面材の物性(剛性等)の制約を殆ど受けずに、あらゆる面材を使用することが可能となる。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[15]を提供する。
[1]密度が15kg/m3以上50kg/m3以下、独立気泡率が70%以上の範囲にあり、フタル酸系化合物以外の可塑剤を含有するフェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に面材が配されたフェノール樹脂発泡体積層板であって、前記面材が可撓性面材であり、前記面材を剥離した母材の平滑性評価レベルが1.0mm以下であることを特徴とする、フェノール樹脂発泡体積層板。
[2]発泡剤として、塩素化ハイドロフルオロオレフィン及び/又は非塩素化ハイドロフルオロオレフィンを含むことを特徴とする、[1]に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
[3]発泡剤として、炭化水素を含むことを特徴とする、[1]又は[2]に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
[4]発泡剤として、塩素化炭化水素を含むことを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
[5]前記面材が紙を含有することを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
[6]前記面材がガラス繊維を含むことを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
[7]前記可塑剤が、複数のヒドロキシル基を有することを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
[8]前記可塑剤が、ポリエーテルポリオールを含有することを特徴とする、[7]に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
[9]前記ポリエーテルポリオールが、1分子中にヒドロキシル基及び/又はアミノ基を2個以上有する有機化合物にエチレンオキサイドを必須成分とするアルキレンオキサイドを付加重合させて得られるポリエーテルポリオールであることを特徴とする、[8]に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
[10]前記可塑剤が、ポリエステルポリオールを含有することを特徴とする、[7]に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
[11]前記ポリエステルポリオールが、多価カルボン酸と多価アルコールとの反応生成物であることを特徴とする、[10]に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
[12]前記可塑剤が、リン酸、トリメリット酸、アジピン酸、及びクエン酸よりなる群から選択される少なくとも一種と、アルコールとの反応生成物を含有することを特徴とする、[1]〜[7]のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
[13]フェノール樹脂、界面活性剤、発泡剤、フタル酸系化合物以外の可塑剤、及び酸性硬化剤を含む発泡性フェノール樹脂組成物を、混合機を用いて混合する工程と、混合した発泡性フェノール樹脂組成物を面材上に吐出する工程と、前記面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させてフェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に面材が配されたフェノール樹脂発泡体積層板を得る工程と、を含み、前記発泡性フェノール樹脂組成物は、発泡核剤を前記発泡剤に対して0.1質量%以上1.0質量%以下の割合で含み、前記面材として可撓性面材を使用し、前記面材上に前記発泡性フェノール樹脂組成物を吐出する際の発泡性フェノール樹脂組成物の温度を25℃以上47℃以下とすることを特徴とする、フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
[14]前記発泡剤が、塩素化ハイドロフルオロオレフィン及び/又は非塩素化ハイドロフルオロオレフィンを含むことを特徴とする、[13]に記載のフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
[15]前記発泡剤が、塩素化炭化水素を含むことを特徴とする、[13]又は[14]に記載のフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
本発明によれば、可塑剤と可撓性面材とを用いたフェノール樹脂発泡体積層板であって、母材表面の平滑性が良好なフェノール樹脂発泡体積層板を得ることができる。
以下、本発明をその好適な実施形態に則して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
(フェノール樹脂発泡体積層板)
本実施形態におけるフェノール樹脂発泡体積層板(以下、「発泡体積層板」という場合がある。)は、硬化反応によって形成されたフェノール樹脂中に、多数の気泡が分散した状態で存在するフェノール樹脂発泡体と、当該フェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に設けられた面材とを備える積層体である。
そして、本実施形態の発泡体積層板は、上下面材を剥離して得られる母材の表面平滑性が優れており、特に限定されることなく、例えば面材を剥離してなる母材の状態で、難燃性および断熱性に優れる建材などとして使用することができる。なお、発泡体積層板は、面材を剥離することなくそのまま使用してもよい。
<フェノール樹脂発泡体>
本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体の密度は、15kg/m3以上50kg/m3以下であり、好ましくは20kg/m3以上40kg/m3以下である。密度が15kg/m3以上であると圧縮強度等の機械的強度が確保でき、発泡体の取り扱い時に破損が起こることを回避することができる。一方、密度が50kg/m3以下であると、樹脂部の伝熱が増大しにくいため、断熱性能を保つことができる。なお、フェノール樹脂発泡体の密度は、主に、発泡剤の割合、硬化条件の変更により所望の値に調整できる。
フェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体の独立気泡率は、70%以上であり、好ましくは80%以上である。独立気泡率が70%未満であると、フェノール樹脂発泡体中の発泡剤が空気と置換して断熱性能が低下する傾向が生じるという懸念がある。なお、フェノール樹脂発泡体の独立気泡率は、例えば、可塑剤の分子量及び配合量、発泡核剤の添加量、混合機から吐出された発泡性フェノール樹脂組成物の温度、硬化条件などの変更により所望の値に調整できる。
フェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体の平均気泡径は、好ましくは20μm以上200μm以下であり、より好ましくは40μm以上150μm以下である。平均気泡径が20μm以上であると、発泡体の密度が高くなることを抑制できる。この結果、発泡体における樹脂部の伝熱割合を低減できるため、フェノール樹脂発泡体の断熱性能を確保することができる。また、逆に平均気泡径が200μmを超えると、輻射による熱伝導率が増加するようになり、発泡体の断熱性能が低下するおそれがある。なお、フェノール樹脂発泡体の平均気泡径は、例えば、可塑剤の分子量及び配合量、発泡核剤の添加量、混合機から吐出された発泡性フェノール樹脂組成物の温度、硬化条件などの変更により所望の値に調整できる。
そして、フェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体は、可塑剤を含有し、例えば、フェノール樹脂、界面活性剤、発泡剤、発泡核剤、可塑剤、及び酸性硬化剤を含む発泡性フェノール樹脂組成物から製造される。なお、発泡性フェノール樹脂組成物は、任意に、上記以外の成分を含有していてもよい。
フェノール樹脂としては、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物によって合成するレゾール型フェノール樹脂を用いる。レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを原料としてアルカリ触媒により40〜100℃の温度範囲で加熱して合成する。また、必要に応じてレゾール型フェノール樹脂の合成時、もしくは合成後に尿素等の添加剤を添加してもよい。尿素を添加する場合は予めアルカリ触媒でメチロール化した尿素をレゾール型フェノール樹脂に混合することがより好ましい。合成後のレゾール型フェノール樹脂は、通常過剰な水分を含んでいるので、発泡に際し、発泡に適した水分量に調整する。また、フェノール樹脂には、脂肪族炭化水素または高沸点の脂環式炭化水素、或いは、それらの混合物や、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の粘度調整用の希釈剤、その他必要に応じてマテリアルリサイクル粉体や添加剤を添加することもできる。
フェノール樹脂の合成時のフェノール類対アルデヒド類の出発モル比は1:1から1:4.5の範囲内が好ましく、より好ましくは1:1.5から1:2.5の範囲内である。
ここで、本実施形態においてフェノール樹脂合成の際に好ましく使用されるフェノール類は、フェノール自体、及び他のフェノール類であり、他のフェノール類の例としては、レゾルシノール、カテコール、o−、m−及びp−クレゾール、キシレノール類、エチルフェノール類、p−tertブチルフェノール等が挙げられる。また、2核フェノール類も使用できる。
また、アルデヒド類は、アルデヒド源となり得る化合物であればよく、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド自体、及び他のアルデヒド類やその誘導体を用いることが好ましい。他のアルデヒド類の例としては、グリオキサール、アセトアルデヒド、クロラール、フルフラール、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
なお、フェノール樹脂には、添加剤として尿素、ジシアンジアミドやメラミン等を加えてもよい。本明細書において、これらの添加剤を加える場合、「フェノール樹脂」とは添加剤を加えた後のものを指す。
フェノール樹脂の40℃における粘度は、好ましくは5,000mPa・s以上100,000mPa・s以下であり、より好ましくは7,000mPa・s以上50,000mPa・s以下であり、さらに好ましくは9,000mPa・s以上40,000mPa・s以下である。
また、フェノール樹脂の水分量は1.5質量%以上30質量%以下が好ましい。
発泡性フェノール樹脂組成物に含まれる界面活性剤、発泡剤及び発泡核剤は、フェノール樹脂に予め添加しておいてもよいし、酸性硬化剤と同時に添加してもよい。
界面活性剤としては、フェノール樹脂発泡体の製造に一般に使用されるものを使用できるが、中でもノニオン系の界面活性剤が効果的であり、例えば、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体であるアルキレンオキサイドや、アルキレンオキサイドとヒマシ油との付加物、アルキレンオキサイドと、ノニルフェノール、ドデシルフェノールのようなアルキルフェノールとの付加生成物、アルキルエーテル部分の炭素数が14〜22のポリオキシエチレンアルキルエーテル、更にはポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン系化合物、ポリアルコール類等が好ましい。これらの界面活性剤は単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量については特に制限はないが、フェノール樹脂100質量部に対して0.3質量部以上10質量部以下の範囲で好ましく使用される。
発泡剤としては、フェノール樹脂発泡体の製造に一般に使用されるものを使用できる。そして、フェノール樹脂に対する発泡剤の量は、発泡剤の種類、フェノール樹脂との相性や、発泡・硬化過程でのロスによりばらつきがあるが、フェノール樹脂100質量部に対して3.0質量部以上11.5質量部以下であることが好ましく、4.0質量部以上9.5質量部以下であることがより好ましい。フェノール樹脂100質量部に対する発泡剤の量が3.0質量部未満であると密度が高くなりすぎ、好ましくない。また、フェノール樹脂に対する発泡剤の量が11.5質量部超であると、密度が低くなりすぎるため好ましくない。
ここで、フェノール樹脂発泡体を成形する際に十分な発泡性を得る観点からは、発泡剤は、構成成分として炭化水素を含んでいることが好ましい。炭化水素としては、炭素数が3〜7の環状または鎖状のアルカン、アルケン、アルキンが好ましく、具体的には、ノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、シクロヘキサン等を挙げることができる。その中でも、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン等のペンタン類及びノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン等のブタン類が好適に用いられる。これら炭化水素は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、発泡剤として炭化水素を含む場合、発泡剤中の炭化水素の含有割合は10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが更に好ましい。
また、フェノール樹脂発泡体の断熱性及び難燃性を向上させる観点からは、発泡剤は、熱伝導性が低い、塩素化ハイドロフルオロオレフィン及び/又は非塩素化ハイドロフルオロオレフィンを構成成分として含むことも好ましい。
なお、塩素化ハイドロフルオロオレフィンとしては、具体的には、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(例えば、製品名:Solstice(登録商標)LBA)などが挙げられ、非塩素化ハイドロフルオロオレフィンとしては、具体的には、1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(例えば、製品名:Solstice(登録商標)1234ze)、2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンなどが挙げられる。
なお、上記以外の発泡剤成分としては、塩素化脂肪族炭化水素などの塩素化炭化水素を使用することもできる。塩素化脂肪族炭化水素としては、炭素数が2〜5の直鎖状または分岐状のものが用いられる。結合している塩素原子の数は限定されるものではないが、1〜4が好ましく、例えばジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリドなどが挙げられる。これらのうち、クロロプロパンであるプロピルクロリド、イソプロピルクロリドがより好ましく用いられる。これら塩素化脂肪族炭化水素は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態においては、フェノール樹脂発泡体の製造に発泡核剤を使用することが重要である。発泡核剤としては、窒素、ヘリウム、アルゴン、空気などの、発泡剤よりも沸点が50℃以上低い低沸点物質を添加することができる。また、固体発泡核剤として、水酸化アルミニウム粉、酸化アルミニウム粉、炭酸カルシウム粉、タルク、はくとう土(カオリン)、珪石粉、珪砂、マイカ、珪酸カルシウム粉、ワラストナイト、ガラス粉、ガラスビーズ、フライアッシュ、シリカフューム、石膏粉、ホウ砂、スラグ粉、アルミナセメント、ポルトランドセメント等の無機粉、及び、フェノール樹脂発泡体粉のような有機粉を添加することもできる。これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
発泡核剤の発泡剤に対する添加量は、発泡剤の量を100質量%として、0.1質量%以上1.0質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上0.6質量%以下であることがより好ましい。発泡核剤の添加量が0.1質量%未満であると、不均一な発泡が起こりやすく、発泡体積層板としたときの母材表面の平滑性が不良となる。また、発泡核剤の添加量を1.0質量%超とすると、発泡性フェノール樹脂組成物の発泡が促進され、面材間の空間への発泡性フェノール樹脂組成物の充填性が高くなりすぎるため、剛性に劣る可撓性面材を利用する場合においては、発泡性を制御しきれずに平滑な母材表面を有する発泡体積層板を得ることが困難となる。
酸性硬化剤は、フェノール樹脂を硬化できる酸性の硬化剤であればよく、リン酸やアリールスルホン酸、或いは、これらの無水物が好ましい。アリールスルホン酸およびその無水物としては、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、置換フェノールスルホン酸、キシレノールスルホン酸、置換キシレノールスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等、および、それらの無水物が挙げられ、これらを一種類で用いても、二種類以上組み合わせてもよい。なお、本実施形態では、硬化助剤として、レゾルシノール、クレゾール、サリゲニン(o−メチロールフェノール)、p−メチロールフェノール等を添加してもよい。また、これらの硬化剤を、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の溶媒で希釈してもよい。
酸性硬化剤の使用量は、その種類により異なり、無水リン酸を用いた場合には、フェノール樹脂100質量部に対して、好ましくは5質量部以上30質量部以下、より好ましくは8質量部以上25質量部以下で使用される。パラトルエンスルホン酸一水和物60質量%とジエチレングリコール40質量%との混合物を使用する場合には、フェノール樹脂100質量部に対して、好ましくは3質量部以上30質量部以下、より好ましくは5質量部以上20質量部以下で使用される。
可塑剤は、発泡性フェノール樹脂組成物に添加されることで発泡性フェノール樹脂組成物の粘度を低下させる効果(以下、「可塑化効果」という場合がある。)を発揮する。そして、本実施形態で使用する可塑剤は、前記フェノール樹脂100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.3質量部以上5質量部以下の割合で配合される。添加する可塑剤の量が少なくすぎると、可塑化効果が発現せず、平均気泡径も大きくなる。一方、可塑剤の添加量が多すぎると、コスト高となり好ましくない。なお、フェノール樹脂発泡体中の可塑剤は、後述するガスクロマトグラフィー/質量分析測定、液体クロマトグラフィー/質量分析測定、及び1H−NMR測定の何れかにおいて同定し、含量を測定することができる。
可塑剤としては、フタル酸系化合物以外の可塑剤であれば特に制限されることなく、従来から公知のものが適宜に選択されて使用され得る。具体的には、複数のヒドロキシル基を有するポリオール系化合物、エステル基とヒドロキシル基をそれぞれ一つ以上有する化合物、エステル基を複数有する化合物などを使用することができ、これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
中でも、本発明のフェノール樹脂発泡体のための可塑剤は、複数のヒドロキシル基を有するポリオール系化合物が含まれていることが好ましい。前述のポリオール系化合物は、フェノール樹脂と同様に親水的性質を有するので、前記フェノール樹脂とは互いに相溶性があり、均一な樹脂溶液を形成することができる。更に、ポリオール系化合物は、フェノール樹脂発泡体の気泡壁に柔軟性を付与し、長時間経過後でも、気泡壁の亀裂の発生のような劣化現象を抑制してフェノール樹脂発泡体の熱伝導度の長期安定性をもたらすことができる。
ここで、ポリオール系化合物としては、ポリエーテルポリオールを好ましく用いることができ、特に、1分子中にヒドロキシル基及び/又はアミノ基を2個以上有する有機化合物にエチレンオキサイドを必須成分とするアルキレンオキサイドを付加重合させて得られるポリエーテルポリオールを好ましく用いることができる。前記ポリエーテルポリオールの重量平均分子量は、200以上20000以下の範囲が好ましく、より好ましくは200以上10000以下、最も好ましくは300以上5000以下である。また、ポリエーテルポリオールは、エチレンオキサイド付加量が好ましくは15質量%以上、より好ましくは30質量%以上に調整されたものである。重量平均分子量が20000を超えると液状のフェノール樹脂との均質混合が困難となる虞がある。一方、重量平均分子量が200未満であると発泡成形時や成形後に発泡剤ガスが脱離しやすくなり、寸法収縮が大きくなるなどの虞がある。また、エチレンオキサイド付加量が15質量%未満であると、発泡成形時に気泡膜の破壊現象を生じる虞がある。
このようなポリエーテルポリオールの代表的な市販品としては、竹本油脂株式会社製の、商品名、パイオニンP−4330−T(有機化合物としてトリメチロールプロパンを用いて得られた重量平均分子量が4300でエチレンオキサイド付加量が30質量%のもの)、パイオニンP−5050−T(有機化合物としてトリメチロールプロパンを用いて得られた重量平均分子量が5000でエチレンオキサイド付加量が50質量%のもの)、パイオニンP−5070−T(有機化合物としてトリメチロールプロパンを用いて得られた重量平均分子量が5000でエチレンオキサイド付加量が70質量%のもの)などを例示することができる。
なお、ここでいうポリエーテルポリオールの重量平均分子量及びエチレンオキサイド付加量は、次の方法で求めることができる。
重量平均分子量は、例えば、1分子中にヒドロキシル基(官能基数1として計算)及び/又はアミノ基(官能基数2として計算)を2個以上有する多官能性有機化合物を開始剤としてエチレンオキサイド(EO)及びプロピレンオキサイド(PO)を付加重合させて得られるポリエーテルポリオールの水酸基価(JIS K1557)を測定して下記の計算式により算出する。
Figure 0005795450
また、エチレンオキサイド付加量(質量百分率)は、1H−NMR(溶媒:重クロロホルム、濃度:5質量%)で得たNMRチャートの3.7ppm付近のピークの積分値(a)と1.1ppm付近のピークの積分値(b)を用いて下記の計算式により算出する。
Figure 0005795450
ここで、1分子中にヒドロキシル基及び/又はアミノ基を2個以上有する上記有機化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、メチルグルコシド、ジエチレントリアミン、ソルビトール、スクロース等が例示されるが、中でもグリセリン、トリメチロールプロパン及びこれらの混合物が好ましく用いられる。
また、エチレンオキサイド以外のアルキレンオキサイドとしては、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等が例示されるが、中でもプロピレンオキサイドが一般的に用いられる。
更に、付加重合の触媒としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどが好ましく用いられる。
上記ポリエーテルポリオールは、必要に応じ2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その配合量は、フェノール樹脂100質量部に対して0.3質量部以上10質量部以下の範囲とすると、発泡成形中の発泡剤ガスの脱離抑制効果及び発泡成形後の発泡体の収縮抑制効果が良好であるため、好ましい。
また、ポリオール系化合物としては、ポリエステルポリオールを好ましく用いることもできる。ポリエステルポリオールの重量平均分子量は、フェノール樹脂発泡体の気泡壁に対して柔軟性を付与する観点からは、200以上10000以下であることが好ましく、より好ましくは、200以上5000以下である。
ポリエステルポリオールとしては、多価カルボン酸と多価アルコールとの反応生成物、例えば二〜四価カルボン酸類から選択された多塩基カルボン酸と、二〜五価アルコール類から選択された多価アルコールとの反応生成物、中でも一般式:
Figure 0005795450
(式中、Aは二価カルボン酸残基であり、Rは二価アルコール残基であり、nは1以上の整数である。)
で表されるものが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記一般式中、残基Aを形成する好ましい二価カルボン酸としては、例えば芳香族二価カルボン酸、脂肪族二価カルボン酸又は脂環族二価カルボン酸等が挙げられ、好ましくは、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸等である。
また、上記骨格Rを形成する二価アルコールは、芳香族グリコール、脂肪族グリコール又は脂環族グリコールであり、中でも、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロペンタン−1,2−ジメタノール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロペンタン−1,4−ジメタノール、2,5−ノルボルナンジオール等の脂肪族グリコールまたは脂環族グリコールが特に好ましい。
好ましいポリエステルポリオールは、一個のエステル骨格と一個のヒドロキシル基との両方を含む分子構造を有しており、前記フェノール樹脂と同様に親水的性質を有するので、前記フェノール樹脂との相溶性が良好であり、均一な樹脂溶液を形成することができる。
また、これらポリエステルポリオールは、必要に応じ2種以上を組み合わせて用いてもよい。その配合量は、フェノール樹脂100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.3質量部以上5質量部以下の範囲とすると、均質な混合状態を維持しつつ、フェノール樹脂発泡体の気泡壁への柔軟性付与によるフェノール樹脂発泡体の熱伝導度の長期安定性をもたらす効果が高くなるため、好ましい。
また、可塑剤は、リン酸、トリメリット酸、アジピン酸、及びクエン酸よりなる群から選択される少なくとも一種と、アルコールとの反応生成物を含有することが好ましい。これらの可塑剤としては、具体的には、リン酸トリアミル、リン酸トリブチル、リン酸トリエチル、リン酸トリメチル、リン酸トリフェニル、リン酸−2−エチルヘキシルジフェニルなどのリン酸エステル;トリメリット酸トリス(2−エチルヘキシル);アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシルなどのアジピン酸エステル;アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリメチル、クエン酸トリプロピルなどのクエン酸エステル;等のエステル系化合物を挙げることができる。これらのエステル系化合物は、必要に応じて2種以上組み合わせて用いてもよく、目的に応じて各種選択することができる。
<面材>
フェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に配される面材としては、可撓性を有する面材(可撓性面材)が用いられる。使用される可撓性面材としては、主成分がポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン等からなる不織布及び織布や、クラフト紙、ガラス繊維混抄紙、水酸化カルシウム紙、水酸化アルミニウム紙、珪酸マグネシウム紙等の紙類や、ガラス繊維不織布のような無機繊維の不織布等が好ましく、これらは混合(または積層)して用いてもよい。中でも、得られるフェノール樹脂発泡体積層板から面材を剥離し母材のみを利用する場合には、剥離後に廃棄可能な安価な紙類が好ましい。これら面材は、通常ロール状の形態で提供されている。更に、可撓性面材としては、難燃剤等の添加剤を混練したものを用いても構わない。なお、面材とフェノール樹脂発泡体との接着方法は特に限定されるものではなく、フェノール樹脂発泡体が面材表面で熱硬化する際の固着力によるものや、エポキシ樹脂等の接着剤を使用したものでも構わない。
<フェノール樹脂発泡体積層板の性状>
そして、本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板は、上下面材を剥離してなる母材(フェノール樹脂発泡体)の平滑性評価レベルが、1.5mm以下であり、より好ましくは1.0mm以下であり、更に好ましくは、0.5mm以下である。また、母材の平滑性評価レベルは、通常0.1mm以上である。なお、母材の平滑性評価レベルは、主に、可塑剤の分子量及び配合量、発泡核剤の添加量、混合機から吐出された発泡性フェノール樹脂組成物の温度などの変更により所望の値に調整できる。
ここで、母材の平滑性評価レベルは、得られたフェノール樹脂発泡体積層板の母材について、厚み方向の寸法を以下のように測定して求める。
なお、本実施形態における「厚み方向の寸法」とは、発泡体積層板の三辺のうち最も短い辺の寸法を指し、通常、発泡体積層板の製造時に面材上の発泡性フェノール樹脂組成物が発泡して成長する方向の寸法である。
母材の平滑性評価レベルの測定に際しては、三辺のうち最も寸法が小さな辺(厚み方向)を除く二辺からなる面積が、10,000mm2以上の大きさのフェノール樹脂発泡体積層板を測定対象とする。
測定箇所と測定点数は、測定対象のフェノール樹脂発泡体積層板から面材を剥離して得られた母材に関して、少なくとも10mm以上の間隔をあけて20点とする。そして、各位置において母材の厚み方向の寸法(厚み)を測定し、以下の式(a)により、平滑性評価レベルとして評価する。
平滑性評価レベル(mm)=(最大厚み−最小厚み) ・・・(a)
なお、フェノール樹脂発泡体積層板は、面材を手で剥離できることを前提としており、また、面材剥離時に面材側に樹脂の一部が滲みこむことも考えられるが、実用性を考えるとこの樹脂分は特に考慮せず、剥離後の母材表面の厚みを評価するものとする。
(フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法)
次に、上述したフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法について説明する。
フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法は、上述した発泡性フェノール樹脂組成物を混合機にて混合する混合工程と、混合した発泡性フェノール樹脂組成物を面材上に吐出する吐出工程と、面材上に吐出したフェノール樹脂組成物からフェノール樹脂発泡体積層板を製造する発泡体積層板製造工程とを備える連続製造方式が一般的であるが、型枠の中で面材を上下に用いたバッチ発泡成形方式を採用することも可能である。
連続製造方式においては、下面材上に吐出したフェノール樹脂組成物を上面材で被覆した後、発泡及び硬化させながら上下方向から均すように予成形し、その後、発泡及び硬化を進めつつ板状に成形していく。
連続製造方式において、予成形や成形を行う方法としては、スラット型ダブルコンベアを利用する方法や、金属ロールもしくは鋼板を利用する方法、さらには、これらを複数組み合わせて利用する方法等、製造目的に応じた種々の方法が挙げられる。このうち、例えば、スラット型ダブルコンベアを利用して成形する場合には、上下の面材で被覆された発泡性フェノール樹脂組成物をスラット型ダブルコンベア中へ連続的に案内した後、加熱しながら上下方向から圧力を加えて、所定の厚みに調整しつつ、発泡及び硬化させ、板状に成形することができる。
ここで、本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板の製造では、可塑剤を添加し、かつ、可撓性面材を使用した系であっても所望の平滑性評価レベルを得るために、発泡性フェノール樹脂組成物の初期の発泡を制御することが重要である。そのためには、発泡性フェノール樹脂組成物中の発泡核剤量の適正化とともに、面材上に吐出(塗布)する発泡性フェノール樹脂組成物の温度を制御することが重要である。具体的には、発泡性フェノール樹脂組成物の温度は、25℃以上50℃以下とすることが好ましく、30℃以上45℃以下とすることがより好ましい。温度が50℃を超えると、発泡が促進されすぎるため母材の平滑性が悪化する。一方、温度が25℃未満であると、発泡性フェノール樹脂組成物の硬化が遅くなり、発泡及び硬化ともに不十分となるため好ましくない。
なお、発泡性フェノール樹脂組成物が塩素化ハイドロフルオロオレフィン及び/又は非塩素化ハイドロフルオロオレフィンを発泡剤として含む場合には、前述の発泡核剤量の適正化と、吐出時の発泡性フェノール樹脂組成物の温度制御とが、フェノール樹脂発泡体積層板の平滑性レベル向上のために特に好ましい手法として適用できる。
所望の平滑性評価レベルを達成するためには、発泡状態を制御しつつ硬化を実現させることが重要である。以下、その詳細について説明する。
可塑剤を含む発泡剤混合物(発泡性フェノール樹脂組成物)を面材上に吐出し、発泡及び硬化させる際に剛性に劣る可撓性面材を利用した場合、発泡性を制御しきれずに平滑な母材表面を有する発泡体積層板が得られ難いという問題があった。
この問題を解決するため鋭意検討を行った結果、上下面材間の発泡空間に、発泡性フェノール樹脂組成物が満たされるとほぼ同時に、フェノール樹脂発泡体の表面が滞りなく硬化することが重要であることを見出した。
具体的には、発泡状態を均一に保持しながらも、発泡状態を制御することが重要である。そのためには、発泡核剤を添加しつつも、発泡剤に対する発泡核剤の添加量を、0.1質量%以上1.0質量%以下に調整することが好ましく、0.2質量%以上0.6質量%以下とすることがより好ましいことが分かった。また、面材上に吐出(塗布)する発泡性フェノール樹脂組成物の温度を、25℃以上50℃以下とすることが好ましく、30℃以上45℃以下とすることがより好ましいことも分かった。そして、本実施形態では、上記知見に基づき、可塑剤を添加し、かつ、可撓性面材を使用した系であっても、母材の平滑性評価レベルが1.5mm以下という優れた平滑性を有するフェノール樹脂発泡体積層板及びフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法の提供が可能になった。
以下に、実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<フェノール樹脂の合成>
反応器に52質量%ホルムアルデヒド水溶液(52質量%ホルマリン)3500kgと99質量%フェノール(不純物として水を含む)2510kgを仕込み、プロペラ回転式の攪拌機により攪拌し、温調機により反応器内部液温度を40℃に調整した。次いで50質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えながら昇温して、反応を行わせた。オストワルド粘度が60センチストークス(=60×10-62/s、25℃における測定値)に到達した段階で、反応液を冷却し、尿素を570kg(ホルムアルデヒド仕込み量の15モル%に相当)添加した。その後、反応液を30℃まで冷却し、パラトルエンスルホン酸一水和物の50質量%水溶液でpHを6.3に中和した。
この反応液を、60℃で脱水処理して粘度及び水分量を以下の方法で測定したところ、40℃における粘度は6,100mPa・s、水分量は5.1質量%であった。これをフェノール樹脂A−Uとする。
<水分量>
フェノール樹脂中の水分量は、カールフィッシャー水分計MKA−510(京都電子工業(株)製)を用いて測定した。
<粘度>
回転粘度計(東機産業(株)製、R−100型、ローター部は3°×R−14)を用い、40℃で3分間安定させた後の測定値をフェノール樹脂の粘度とした。
(実施例1)
フェノール樹脂A−U:100質量部に対して、界面活性剤としてエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドのブロック共重合体(BASF製、プルロニックF−127)を2.0質量部の割合で混合した。また、可塑剤として、アジピン酸系のポリエステルポリオール(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「ポリサイザーW−230−S」)をフェノール樹脂A−U:100質量部に対して0.3質量部添加した。これをフェノール樹脂A−U1とする。
このフェノール樹脂A−U1:100質量部に対して、発泡剤としてイソペンタン50質量%とイソブタン50質量%の混合物5.6質量部、発泡核剤として窒素を発泡剤に対して0.3質量%添加し、更に酸性硬化剤としてキシレンスルホン酸80質量%とジエチレングリコール20質量%の混合物13質量部を添加してなる発泡性フェノール樹脂組成物を、混合機のミキシングヘッドに供給し、マルチポート分配管を通して、移動する下面材上に供給した。なお、混合機(ミキサー)は、特開平10−225993号に開示されたものを使用した。即ち、混合機の上部側面に、フェノール樹脂A−U1、並びに、発泡核剤を含む発泡剤の導入口があり、回転子が攪拌する攪拌部の中央付近の側面に酸性硬化剤の導入口を備えている混合機を使用した。攪拌部以降は発泡体を吐出するためのノズルに繋がっている。即ち、混合機は、酸性硬化剤導入口までを混合部(前段)、酸性硬化剤導入口〜攪拌終了部を混合部(後段)、攪拌終了部〜ノズルを分配部とし、これらにより構成されている。分配部は先端に複数のノズルを有し、混合された発泡性フェノール樹脂組成物が均一に分配されるように設計されている。
下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物の温度は、発泡性フェノール樹脂組成物が面材上に吐出される位置において、吐出された発泡性フェノール樹脂組成物の中心部に近い内部位置に温度計を差し込んで測定した。測定された発泡性フェノール樹脂組成物の温度は38℃であり、該発泡性フェノール樹脂組成物は、上面材で被覆されると同時に、上下面材で挟み込むようにして、40℃のオーブン(第1温調区間;滞留時間4分)へ導かれ、複数のロールを利用して均すように予成形された後、83℃のスラット型ダブルコンベアを有するオーブン(第2温調区間)へ送られた。そして、予成形した発泡性フェノール樹脂組成物を、スラット型ダブルコンベアにおいて15分の滞留時間で硬化させた後、110℃のオーブンで2時間キュアして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。なお、スラット型ダブルコンベアでは、上下方向から面材を介して適度に圧力を加えることで板状に成形した。また、面材としては、可撓性面材であるクラフト紙面材を使用した。
そして、得られたフェノール樹脂発泡体積層板の特性(フェノール樹脂発泡体の密度、独立気泡率及び平均気泡径、可塑剤の有無、炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン及び塩素化炭化水素の有無、並びに、母材の平滑性評価レベル)を以下の方法によって評価した。
<フェノール樹脂発泡体の密度>
20cm角のフェノール樹脂発泡体積層板を試料とし、この試料から面材を取り除いた後、JIS K7222に従い質量と見かけ容積を測定して求めた。
<フェノール樹脂発泡体の独立気泡率>
ASTM−D−2856に従い測定した。具体的には、フェノール樹脂発泡体積層板より面材を取り除いた後、直径35mm〜36mmの円柱形試料をコルクボーラーで刳り貫き、高さ30mm〜40mmに切り揃えた後、空気比較式比重計(東京サイエンス社製、1,000型)の標準使用方法により試料容積を測定した。その試料容積から、試料質量とフェノール樹脂の密度から計算した壁(気泡やボイド以外の部分)の容積を差し引いた値を、試料の外寸から計算した見かけの容積で割った値を独立気泡率とした。ここで、フェノール樹脂の密度は1.3kg/Lとした。
<フェノール樹脂発泡体の平均気泡径>
平均気泡径は、JIS K6402に記載の方法を参考に、以下の方法で測定した。
フェノール樹脂発泡体積層板の厚み方向のほぼ中央を表裏面に平行に切削して得た試験片の切断面を50倍に拡大した写真を撮影し、得られた写真上にボイドを避けて9cmの長さ(実際の発泡体断面における1,800μmに相当する)の直線を4本引き、各直線が横切った気泡の数に準じて測定したセル数を各直線で求め、それらの平均値で1,800μmを割った値を平均気泡径とした。
<フェノール樹脂発泡体中の可塑剤の解析>
フェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体中に可塑剤が含まれているか否かは以下の方法により確認することができる。
フェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体部分から採取した試料1gを粉砕し、メタノール(150mL)にてソックスレー抽出を行う(7時間)。エバポレーターにて40℃で濃縮乾固させた後、真空乾燥(常温、30分間)を行う。乾燥質量を測定した後、メタノール5mLに溶解し、得られたメタノール溶液を用いて以下の(1)〜(3)の何れかの方法で分析測定を行う。
(1)ガスクロマトグラフィー/質量(GC/MS)分析測定
GC/MS分析条件として、以下の装置及び条件を選択することができる。
GC装置:Agilent Technologies 7890A
注入口温度:320℃
カラム:DB−1MS(30m×0.25mmφ)、液相厚0.25μm
カラム温度:40℃(5分保持)、20℃/分昇温、320℃(11分保持)
MS装置:Agilent Technologies 5975C MSD
イオン源温度:230℃
インターフェイス温度:300℃
イオン化方法:電子イオン化法
(2)液体クロマトグラフィー/質量(LC/MS)分析測定
LC/MS分析条件として、以下の装置及び条件を選択することができる。
LC装置:Waters, UPLC
カラム:Shiseido,CAPCELL PAK C18 IF2 2um(2.1mmI.D.×50mm)
カラム温度:40℃
検出PDA:210〜400nm
流速:0.3mL/分
移動相:A=10mM Ammonium acetate
B=10nM Ammonium acetate/AcCN/IPA(1/4/5)
MS装置:Waters、Synapt G2
イオン化方法:ESI+
スキャンレンジ:m/z150〜3000
(3)1H−NMR測定
メタノール溶液を1.0mL採取し、採取した溶液を風乾後、真空乾燥したもの(メタノール抽出乾固物)に重水素化クロロホルムを添加し、1H−NMR測定を実施する。例えば、以下の装置及び測定条件を選択することができる。
装置:JEOL RESONANCE JNM−ECS400
共鳴周波数:400MHz
パルス幅:45°
溶媒:重水素化クロロホルム
化学シフト基準:テトラメチルシラン(TMS)0ppm
<フェノール樹脂発泡体中の炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン及び塩素化炭化水素の解析>
フェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体中に炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン及び塩素化炭化水素が含まれているか否かは以下の方法により確認することができる。
フェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体部分から採取した試料を、密閉した容器に入れたピリジン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等から選んだ適当な溶媒中で粉砕し、炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン及び塩素化炭化水素を抽出し、ガスクロマトグラフィーにかけ、同定できる。一例を以下に示す。
予め面材を取り除いた発泡体積層板の厚み方向中央付近から、カッターナイフで切り出した約0.1gのフェノール樹脂発泡体の塊を一辺が1〜2mm程度のサイコロ状に細分化し、それらを容積が20mLある瓶に入れ、テトラヒドロフランを10mL入れて密栓する。室温にてシェーカーで5時間浸とうしながら粉砕及び抽出を行い、その溶液を対象に、下記の条件でガスクロマトグラフィー/質量(GC/MS)分析測定を行う。GC/MS分析条件は、以下の通りとした。
GC装置:Agilent 7890A
注入口温度:300℃
カラム:Supelco Equity−1(30m×0.25mmφ)、液相厚1μm
カラム温度:40℃(5分保持)、10℃/分昇温、320℃(7分保持)
MS装置:JEOL Q1000GC
イオン源温度:250℃
インターフェイス温度:300℃
イオン化方法:電子イオン化法
<母材の平滑性評価レベル>
上面および下面の面積が10,000mm2のフェノール樹脂発泡体積層板を試料とし、当該試料から面材を手で丁寧に剥離した。なお、面材は、手で容易に剥離することができ、面材側への樹脂の滲みは目視では確認できなかった。
そして、試料から面材を剥離して得られた母材に関して、厚みを、10mmの間隔をあけて20点測定し、以下の式(a)により、平滑性評価レベルを求めた。
平滑性評価レベル(mm)=(最大厚み−最小厚み) ・・・(a)
(実施例2)
発泡核剤である窒素を発泡剤に対して0.6質量%添加し、下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物の温度を47℃とした以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例3)
面材をガラス繊維混抄紙とし、フェノール樹脂A−U:100質量部に対する、アジピン酸系のポリエステルポリオール(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「ポリサイザーW−230−S」)の添加量を4.8質量部とし、下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物の温度を40℃とした以外は実施例2と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例4)
フェノール樹脂A−U:100質量部に対する、アジピン酸系のポリエステルポリオール(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「ポリサイザーW−230−S」)の添加量を0.4質量部とし、発泡剤として1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン5.4質量部を使用し、発泡核剤として窒素を発泡剤に対して0.6質量%添加し、下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物の温度を45℃とした以外は実施例3と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例5)
発泡剤として1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン5.4質量部を使用し、下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物の温度を43℃とした以外は実施例4と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例6)
可塑剤として、トリメチロールプロパン(有機化合物)にエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを付加重合させて得られた重量平均分子量が4300でエチレンオキサイド付加量が30質量%のポリエーテルポリオール〔商品名パイオニンP−4330−T、竹本油脂株式会社製〕を、フェノール樹脂A−U:100質量部に対して0.5質量部添加し、発泡核剤である窒素を発泡剤に対して0.4質量%添加し、下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物の温度を46℃とした以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例7)
ポリエーテルポリオール〔商品名パイオニンP−4330−T、竹本油脂株式会社製〕を、フェノール樹脂A−U:100質量部に対して4.5質量部添加し、下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物の温度を40℃とした以外は、実施例6と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例8)
ポリエーテルポリオール〔商品名パイオニンP−4330−T、竹本油脂株式会社製〕を、フェノール樹脂A−U:100質量部に対して0.3質量部添加し、発泡剤としてイソペンタン50質量%と1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン50質量%との混合物5.4質量部を使用し、発泡核剤である窒素を発泡剤に対して0.3質量%添加し、下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物の温度を44℃とした以外は、実施例6と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例9)
発泡剤としてイソペンタン50質量%と1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン50質量%との混合物5.4質量部を使用し、下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物の温度を42℃とした以外は、実施例8と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例10)
発泡剤としてイソペンタン50質量%とイソプロピルクロリド50質量%との混合物5.6質量部を使用し、下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物の温度を43℃とした以外は実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例11)
フェノール樹脂A−U:100質量部に対する、アジピン酸系のポリエステルポリオール(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「ポリサイザーW−230−S」)の添加量を0.4質量部とし、発泡剤としてイソプロピルクロリド5.6質量部を使用し、下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物の温度を45℃とした以外は実施例2と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例12)
発泡剤として1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン50質量%とイソプロピルクロリド50質量%との混合物5.4質量部を使用し、下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物の温度を44℃とした以外は実施例4と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例13)
発泡剤として1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン50質量%とイソプロピルクロリド50質量%との混合物5.4質量部を使用し、下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物の温度を42℃とした以外は実施例12と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(比較例1)
発泡核剤である窒素を添加せず、下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物の温度を46℃とした以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(比較例2)
発泡核剤である窒素を発泡剤に対して1.1質量%添加し、下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物の温度を35℃とした以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(比較例3)
発泡剤としてイソペンタン15質量%と2−クロロプロパン85質量%との混合物を使用し、発泡核剤である窒素を発泡剤に対して1.1質量%添加し、下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物の温度を51℃とした以外は実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(比較例4)
ミキサー混合時の温度を上げることで、下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物の温度を53℃とした以外は実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(比較例5)
発泡核剤である窒素を発泡剤に対して1.1質量%添加し、下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物の温度を35℃とした以外は、実施例6と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(比較例6)
ミキサー混合時の温度を上げることで、下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物の温度を54℃とした以外は実施例6と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
実施例1〜13及び比較例1〜6で得られたフェノール樹脂発泡体積層板の特性の評価結果を、表1にまとめた。
Figure 0005795450
表1より、実施例1〜13で得られたフェノール樹脂発泡体積層板の母材は、比較例1〜6で得られたフェノール樹脂発泡体積層板の母材よりも優れた平滑性を有していることが分かる。

Claims (15)

  1. 密度が15kg/m3以上50kg/m3以下、独立気泡率が70%以上の範囲にあり、フタル酸系化合物以外の可塑剤を含有するフェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に面材が配されたフェノール樹脂発泡体積層板であって、
    前記面材が可撓性面材であり、
    前記面材を剥離した母材の平滑性評価レベルが1.0mm以下であることを特徴とする、フェノール樹脂発泡体積層板。
  2. 発泡剤として、塩素化ハイドロフルオロオレフィン及び/又は非塩素化ハイドロフルオロオレフィンを含むことを特徴とする、請求項1に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  3. 発泡剤として、炭化水素を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  4. 発泡剤として、塩素化炭化水素を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  5. 前記面材が紙を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  6. 前記面材がガラス繊維を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  7. 前記可塑剤が、複数のヒドロキシル基を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  8. 前記可塑剤が、ポリエーテルポリオールを含有することを特徴とする、請求項7に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  9. 前記ポリエーテルポリオールが、1分子中にヒドロキシル基及び/又はアミノ基を2個以上有する有機化合物にエチレンオキサイドを必須成分とするアルキレンオキサイドを付加重合させて得られるポリエーテルポリオールであることを特徴とする、請求項8に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  10. 前記可塑剤が、ポリエステルポリオールを含有することを特徴とする、請求項7に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  11. 前記ポリエステルポリオールが、多価カルボン酸と多価アルコールとの反応生成物であることを特徴とする、請求項10に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  12. 前記可塑剤が、リン酸、トリメリット酸、アジピン酸、及びクエン酸よりなる群から選択される少なくとも一種と、アルコールとの反応生成物を含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  13. フェノール樹脂、界面活性剤、発泡剤、フタル酸系化合物以外の可塑剤、及び酸性硬化剤を含む発泡性フェノール樹脂組成物を、混合機を用いて混合する工程と、
    混合した発泡性フェノール樹脂組成物を面材上に吐出する工程と、
    前記面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させてフェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に面材が配されたフェノール樹脂発泡体積層板を得る工程と、
    を含み、
    前記発泡性フェノール樹脂組成物は、発泡核剤を前記発泡剤に対して0.1質量%以上1.0質量%以下の割合で含み、
    前記面材として可撓性面材を使用し、
    前記面材上に前記発泡性フェノール樹脂組成物を吐出する際の発泡性フェノール樹脂組成物の温度を25℃以上47℃以下とすることを特徴とする、フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
  14. 前記発泡剤が、塩素化ハイドロフルオロオレフィン及び/又は非塩素化ハイドロフルオロオレフィンを含むことを特徴とする、請求項13に記載のフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
  15. 前記発泡剤が、塩素化炭化水素を含むことを特徴とする、請求項13又は14に記載のフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
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