以下、本発明の実施の形態に係る建設機械として、クローラ式の油圧ショベルを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。なお、本実施の形態では、後述する油圧ショベル1の走行方向を前,後方向とし、油圧ショベル1の走行方向と直交する方向を左,右方向として説明する。
図1において、油圧ショベル1の車体は、前,後方向に走行可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とにより構成されている。上部旋回体3の前側には作業装置4が俯仰動可能に設けられ、この作業装置4によって土砂の掘削作業等を行うことができる。
上部旋回体3は、下部走行体2上に旋回可能に取付けられた旋回フレーム5を有し、旋回フレーム5の後端側には、作業装置4との重量バランスをとるカウンタウエイト6が設けられている。旋回フレーム5の前部左側には、オペレータが搭乗するキャブ7が設けられている。また、旋回フレーム5には、カウンタウエイト6の前側に位置して建屋カバー8が設けられ、建屋カバー8の内部には、後述のエンジン9、排気ガス後処理装置14、後処理装置架台25等が収容されている。
図2および図4に示すように、旋回フレーム5は、左,右方向の中央部に配置され前,後方向に延びるセンタフレーム5Aと、センタフレーム5Aの左側に配置され前,後方向に延びる左サイドフレーム5Bと、センタフレーム5Aの右側に配置され前,後方向に延びる右サイドフレーム5Cとにより大略構成されている。センタフレーム5Aは、厚肉な鋼板等からなる底板5A1と、該底板5A1上に立設され、左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びる左縦板5A2および右縦板5A3とを含んで構成されている。
センタフレーム5Aと左サイドフレーム5Bとの間には、左,右方向に延びる複数の左張出しビーム5Dが前,後方向に間隔をもって設けられている。これら複数の左張出しビーム5Dを介して、センタフレーム5Aに左サイドフレーム5Bが取付けられている。一方、センタフレーム5Aと右サイドフレーム5Cとの間には、左,右方向に延びる複数の右張出しビーム5Eが前,後方向に間隔をもって設けられている。これら複数の右張出しビーム5Eを介して、センタフレーム5Aに右サイドフレーム5Cが取付けられている。
ここで、図4に示すように、複数の右張出しビーム5Eのうち最も後側に配置された右後張出しビーム5E1には、上,下方向に貫通する3個のボルト挿通孔5Fが穿設されている。右後張出しビーム5E1には、後述する後処理装置架台25の後支持脚28が載置される。また、右後張出しビーム5E1の前側に配置された右前張出しビーム5E2には、上,下方向に貫通する3個のボルト挿通孔5Gが穿設されている。右前張出しビーム5E2には、後述する後処理装置架台25の前支持脚26が載置される。
センタフレーム5Aの後部側には、左縦板5A2と右縦板5A3との間に位置して左前エンジン支持ブラケット5H、左後エンジン支持ブラケット5J、右前エンジン支持ブラケット5K、右後エンジン支持ブラケット5Lが設けられている(図4参照)。左前エンジン支持ブラケット5Hと左後エンジン支持ブラケット5Jとは、前,後方向に離間した状態で左縦板5A2寄りに配置されている。右前エンジン支持ブラケット5Kと右後エンジン支持ブラケット5Lとは、前,後方向に離間した状態で右縦板5A3寄りに配置されている。これら4個のエンジン支持ブラケット5H,5J,5K,5Lは、エンジン9を支持する。
エンジン9は、カウンタウエイト6の前側に位置して旋回フレーム5に設けられている。エンジン9は、旋回フレーム5に設けられた左前エンジン支持ブラケット5H、左後エンジン支持ブラケット5J、右前エンジン支持ブラケット5K、右後エンジン支持ブラケット5Lに対し、それぞれ防振部材を介して弾性的に支持されている。エンジン9は、ディーゼルエンジンにより構成され、クランク軸(図示せず)が左,右方向に延びる横置き状態で旋回フレーム5に搭載されている。エンジン9の左,右方向の一側(左側)には、エンジン9によって回転駆動される冷却ファン9Aが設けられている。冷却ファン9Aは、ラジエータ、オイルクーラ等の熱交換器10と対面し、冷却ファン9Aの回転によって建屋カバー8内に吸込まれた外気(冷却風)により、熱交換器10が冷却される構成となっている。
油圧ポンプ11は、エンジン9の右側に取付けられている。油圧ポンプ11は、例えば1個のポンプケーシング11A内に並列に設けられた複数のポンプ(図示せず)を有し、これら複数のポンプの駆動軸はギヤを介して同時に回転する構成となっている。油圧ポンプ11を構成する各ポンプは、エンジン9によって駆動されることにより、油圧ショベル1に搭載された各種の油圧機器に向けて作動用の圧油を吐出する。図5ないし図7に示すように、油圧ポンプ11のポンプケーシング11Aは円板状の取付フランジ11Bを有し、この取付フランジ11Bは、複数のボルト12を用いてエンジン9に取付けられている。ポンプケーシング11Aの上側部位には給油口11Cが設けられ、この給油口11Cを通じてポンプケーシング11A内に潤滑油が供給されることにより、各ポンプの駆動軸に取付けられたギヤが潤滑される構成となっている。
ここで、エンジン9から排出される排気ガスは、エンジン9の排気側に接続された排気管13を通じて排気ガス後処理装置14に導入された後、外部に排出される。即ち、排気管13の基端側はエンジン9に接続され、排気管13の先端側は、排気ガス後処理装置14に接続されている。これにより、エンジン9の排気ガスに含まれた窒素酸化物(NOx)等の有害物質は、排気ガス後処理装置14によって除去される。
排気ガス後処理装置14は、後述する後処理装置架台25に取付けられた状態で油圧ポンプ11の上側に設けられている。排気ガス後処理装置14は、排気管13を介してエンジン9に接続され、エンジン9からの排気ガスに含まれる有害物質を処理する。図10に示すように、排気ガス後処理装置14は、後述する第1の排気ガス後処理装置15と第2の排気ガス後処理装置20とを含んで構成されている。
第1の排気ガス後処理装置15は、第2の排気ガス後処理装置20と共に排気ガス後処理装置14を構成し、油圧ポンプ11の上側に配置されている。第1の排気ガス後処理装置15は、前,後方向に延びる円筒状の筒体16を備えている。筒体16は、両端が閉塞された密閉容器として形成されている。筒体16の上流側には流入口16Aが設けられ、この流入口16Aには排気管13の先端が接続されている。
筒体16内には、酸化触媒17が配設されている。酸化触媒17は、例えばセラミックス製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数個の貫通孔が形成され、内面に貴金属等がコーティングされている。そして、酸化触媒17は、所定の温度下で各貫通孔に排気ガスを流通させることにより、この排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去するものである。また、必要に応じて粒子状物質(PM)も燃焼除去するものである。
接続管18は、第1の排気ガス後処理装置15と第2の排気ガス後処理装置20との間を接続している。接続管18の入口側は、第1の排気ガス後処理装置15の筒体16に接続され、接続管18は、筒体16と平行して前,後方向に延びている。接続管18の後端側には尿素水噴射ノズル19が取付けられている。尿素水噴射ノズル19は、尿素水溶液を貯える尿素水タンクにポンプ(いずれも図示せず)を介して接続されている。尿素水噴射ノズル19は、接続管18内を流通する排気ガスに向けて尿素水溶液を噴射する。
第2の排気ガス後処理装置20は、第1の排気ガス後処理装置15の右斜め上側に配置されている。第2の排気ガス後処理装置20は、接続管18の出口側に接続されている。第2の排気ガス後処理装置20は、第1の排気ガス後処理装置15の筒体16と平行して前,後方向に延びる円筒状の筒体21を備えている。筒体21は、その両端が閉塞された密閉容器として形成されている。
筒体21内には、選択還元触媒22と酸化触媒23とが配設されている。選択還元触媒22は、例えばセラミックス製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数の貫通孔が形成され、内面に貴金属がコーティングされている。選択還元触媒22は、エンジン9から排出される排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を、尿素水噴射ノズル19から噴射された尿素水溶液中のアンモニアによって選択的に還元反応させ、窒素と水に分解する。一方、酸化触媒23は、前述した酸化触媒17とほぼ同様に、セラミックス製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数の貫通孔が形成され、内面に貴金属がコーティングされている。これにより、酸化触媒23は、選択還元触媒22で窒素酸化物を還元した後に残った残留アンモニアを酸化し、窒素と水に分離するものである。
尾管24は、筒体21の下流側となる後側部位に位置し、長さ方向の一端(下端)が筒体21内に挿入され、他端が筒体21から径方向上向きに突出している。従って、エンジン9から排出された排気ガスは、排気管13により排気ガス後処理装置14に導入され、排気ガス後処理装置14によって浄化処理された後に、尾管24を介して外部に排出される。
次に、排気ガス後処理装置14を旋回フレーム5上に搭載するために用いられる後処理装置架台25について説明する。
後処理装置架台25は、油圧ポンプの上側を跨いで旋回フレーム5に設けられ、排気ガス後処理装置14を油圧ポンプ11の上側で支持している。図3ないし図7に示すように、後処理装置架台25は、前支持脚26と、後支持脚28と、支持部材30とにより大略構成されている。
前支持脚26は、油圧ポンプ11の前側に配置され、旋回フレーム5の右前張出しビーム5E2に取付けられている。前支持脚26は、右前張出しビーム5E2の上面に当接する下板26Aと、下板26Aから上方に向けて延びる縦板26Bと、縦板26Bの上端に固着された上板26Cとにより構成されている。
下板26Aは、右前張出しビーム5E2に沿って左,右方向に延びる長方形の板体として形成されている。下板26Aには、右前張出しビーム5E2に設けられた3個のボルト挿通孔5Gに対応する位置に、溶接ナット等からなる3個のめねじ26A1が設けられている。3本のボルト27は、右前張出しビーム5E2の下側から各ボルト挿通孔5Gに挿通され、下板26Aのめねじ26A1に螺着される。これにより、前支持脚26は、ボルト27を用いて右前張出しビーム5E2に取付けられている。
縦板26Bは、下板26Aに沿って左,右方向に延びる中板26B1と、中板26B1の左端側から後側(後支持脚28側)に折曲げられた左曲げ板26B2と、中板26B1の右端側から後側に折曲げられた右曲げ板26B3とにより、U字状の断面形状を有する板体として形成されている。縦板26Bは、下板26Aに溶接等の手段を用いて固着され、下板26Aから上方に延び、縦板26Bの上端には上板26Cが取付けられている。ここで、左曲げ板26B2の上端側には、左曲げ板26B2から後方に張出す前張出し板26Dが設けられている。前張出し板26Dには、溶接ナット等からなる2個のめねじ26D1(図3中に1個のみ図示)が前,後方向に間隔をもって設けられ、後述する補強部材32が取付けられる構成となっている。
上板26Cは、溶接等の手段を用いて縦板26Bの上端に固着されている。上板26Cは、左,右方向に延びる長方形の板体として形成され、下板26Aと上,下方向で対面している。上板26Cの上面側には、支持部材30の前側部位が取付けられている。
後支持脚28は、油圧ポンプ11の後側に配置され、旋回フレーム5の右後張出しビーム5E1に取付けられている。後支持脚28は前支持脚26と前,後方向で対をなし、後支持脚28と前支持脚26とは、油圧ポンプ11を挟んで前,後方向で対向している。後支持脚28は、右後張出しビーム5E1の上面に当接する下板28Aと、下板28Aから上方に向けて延びる縦板28Bと、縦板28Bの上端に固着された上板28Cとにより構成されている。
下板28Aは、右後張出しビーム5E1に沿って左,右方向に延びる長方形の板体として形成されている。下板28Aには、右後張出しビーム5E1に設けられた3個のボルト挿通孔5Fに対応する位置に、溶接ナット等からなる3個のめねじ28A1が設けられている。3本のボルト29は、右後張出しビーム5E1の下側から各ボルト挿通孔5Fに挿通され、下板28Aのめねじ28A1に螺着される。これにより、後支持脚28は、ボルト29を用いて右後張出しビーム5E1に取付けられている。
縦板28Bは、下板28Aに沿って左,右方向に延びる中板28B1と、中板28B1の左端側から前側(前支持脚26側)に折曲げられた左曲げ板28B2と、中板28B1の右端側から前側に折曲げられた右曲げ板28B3とにより、U字状の断面形状を有する板体として形成されている。縦板28Bは、下板28Aに溶接等の手段を用いて固着され、下板28Aから上方に延び、縦板28Bの上端には上板28Cが取付けられている。ここで、左曲げ板28B2の上端側には、左曲げ板28B2から前方に張出す後張出し板28Dが設けられている。後張出し板28Dには、溶接ナット等からなる2個のめねじ28D1が前,後方向に間隔をもって設けられ、補強部材32が取付けられる構成となっている。
上板28Cは、溶接等の手段を用いて縦板28Bの上端に固着されている。上板28Cは、左,右方向に延びる長方形の板体として形成され、下板28Aと上,下方向で対面している。上板28Cの上面側には、支持部材30の後側部位が取付けられている。ここで、前支持脚26の上板26Cは、油圧ポンプ11(ポンプケーシング11A)に設けられた取付フランジ11Bの上端部11B1よりも高い位置に配置されている(図7参照)。これと同様に、後支持脚28の上板28Cは、油圧ポンプ11の取付フランジ11Bの上端部11B1よりも高い位置に配置されている。
支持部材30は、前支持脚26の上板26Cと後支持脚28の上板28Cとの上側に設けられている。支持部材30は、油圧ポンプ11の上側を跨いで前支持脚26と後支持脚28との間を前,後方向に延在し、排気ガス後処理装置14を油圧ポンプ11の上側で支持している。支持部材30は、前支持脚26および後支持脚28の上側に配置された下面板30Aと、下面板30A上に前,後方向に間隔をもって設けられた前面板30Bおよび後面板30Cと、前面板30Bと後面板30Cとの間に位置して下面板30A上に設けられた取付台座30Dとにより大略構成されている。
下面板30Aは、平板状の板体によって形成され、前支持脚26と後支持脚28との間を前,後方向に延在している。下面板30Aの前端は、前支持脚26の上板26Cの上面に固定され、下面板30Aの後端は、後支持脚28の上板28Cの上面に固定されている。下面板30Aの上面側には、第1の排気ガス後処理装置15が搭載されている。ここで、下面板30Aの左端側で、かつ前,後方向(長さ方向)の中間部には、溶接ナット等からなる2個のめねじ30Eが、前,後方向に間隔をもって設けられている(図3参照)。これら2個のめねじ30Eには、後述する補強部材32の横板32Bが取付けられる構成となっている。
ここで、図7に示すように、前支持脚26の上板26Cおよび後支持脚28の上板28Cは、油圧ポンプ11(ポンプケーシング11A)に設けられた取付フランジ11Bの上端部11B1よりも高い位置に配置されている。これにより、支持部材30の下面を構成する下面板30Aは、油圧ポンプ11(ポンプケーシング11A)の取付フランジ11Bをエンジン9に取付ける複数のボルト12よりも高い位置に配置されている。
前面板30Bは、下面板30Aの前端側から上方に延びている。前面板30Bは、下面板30A上を左,右方向に延びる中板30B1と、中板30B1の左端側から前側(前支持脚26側)に折曲げられた左曲げ板30B2と、中板30B1の右端側から前側に折曲げられた右曲げ板30B3とにより、U字状の断面形状を有する板体として形成されている。
後面板30Cは、前面板30Bと前,後方向で対面した状態で下面板30Aの後端側に配置され、下面板30Aから上方に延びている。後面板30Cは、下面板30A上を左,右方向に延びる基板30C1と、基板30C1の右端側から後側(後支持脚28側)に折曲げられた右曲げ板30C2とにより、L字状の断面形状を有する板体として形成されている。
取付台座30Dは、前面板30Bと後面板30Cとの間に位置して下面板30A上に設けられている。取付台座30Dは、クランク状に屈曲した板体により形成され、下面板30Aから鉛直上方に立上る下縦板30D1と、下縦板30D1の上端側から右側へと折曲げられた横板30D2と、横板30D2の右端側から鉛直上方に立上がる上縦板30D3とを備えている。これら下縦板30D1、横板30D2、上縦板30D3の前端は、前面板30Bに溶接等の手段を用いて固着され、下縦板30D1、横板30D2、上縦板30D3の後端は、後面板30Cに溶接等の手段を用いて固着されている。そして、取付台座30Dを構成する横板30D2の上面側には、第2の排気ガス後処理装置20が搭載されている。
ポンプ収容室31は、前支持脚26および後支持脚28と支持部材30の下面板30Aとの間に形成されている。ポンプ収容室31内には、油圧ポンプ11が収容されている。ここで、支持部材30の下面を構成する下面板30Aは、油圧ポンプ11の取付フランジ11Bをエンジン9に取付ける複数のボルト12よりも高い位置に配置されている。このため、ポンプ収容室31内のスペースは上方に拡張されている。従って、ポンプ収容室31内に収容された油圧ポンプ11の給油口11Cと、支持部材30の下面板30Aとの間に大きな作業スペースが確保される。これにより、給油口11Cを通じてポンプケーシング11A内に潤滑油を供給する作業を、拡張されたポンプ収容室31内で円滑に行うことができる構成となっている。
次に、後処理装置架台25に取付けられた補強部材32について説明する。
補強部材32は、後処理装置架台25を構成する前,後の支持脚26,28と支持部材30との間に取付けられ、前,後の支持脚26,28に対する支持部材30の取付強度を高めている。補強部材32は、鋼板材等を用いて前支持脚26と後支持脚28との間を前,後方向に延びる一枚の板体により形成されている。補強部材32は、前支持脚26の前張出し板26Dと後支持脚28の後張出し板28Dとに取付けられる鉛直面を有する縦板32Aと、縦板32Aの前,後方向の中間部に配置され、支持部材30の下面板30Aに取付けられる水平面を有する横板32Bとにより構成されている。
補強部材32の縦板32Aは、前,後方向に延びる平板状に形成され、縦板32Aの前側部位32A1は前支持脚26の前張出し板26Dに対面し、縦板32Aの後側部位32A2は後支持脚28の後張出し板28Dに対面している。縦板32Aの前側部位32A1の上側には、前張出し板26Dのめねじ26D1に対応する位置に2個のボルト挿通孔32A3が穿設され、縦板32Aの後側部位32A2の上側には、後張出し板28Dのめねじ28D1に対応する位置に2個のボルト挿通孔32A4が穿設されている。
一方、縦板32Aの前,後方向の中間部(前側部位32A1と後側部位32A2との間)には、縦板32Aの下端縁から上方に向けて凹湾曲状に切欠かれた切欠部32A5が形成されている。図6に示すように、切欠部32A5は、補強部材32が後処理装置架台25に取付けられた状態で、油圧ポンプ11のポンプケーシング11Aの上側部位を収容する形状を有している。これにより、後処理装置架台25の前支持脚26と油圧ポンプ11の上側部位との間の隙間が、縦板32Aの前側部位32A1によって閉塞され、後支持脚28と油圧ポンプ11の上側部位との間の隙間が、縦板32Aの後側部位32A2によって閉塞される。
さらに、切欠部32A5の上縁部には、上方に向けて溝状に切欠かれた2個の切欠溝32A6が形成されている。これら2個の切欠溝32A6は、補強部材32が後処理装置架台25に取付けられた状態で、油圧ポンプ11の取付フランジ11Bの上端部11B1をエンジン9に取付けるためのボルト12を収容する。また、縦板32Aの下縁部には、溶接ナット等からなる複数(例えば7個)のめねじ32A7が、前,後方向に間隔をもって設けられている。これら複数のめねじ32A7は、後述する油飛散防止板35を補強部材32に取付けるためのボルト36が螺着されるものである。
横板32Bは、縦板32Aの上端に設けられている。横板32Bは、縦板32Aの前,後方向の中間部位の上端側を縦板32Aから右側に折曲げることにより、縦板32Aに対して直交し前,後方向に延びる長方形の平板状に形成されている。このように、一枚の鋼板材に曲げ加工を施して縦板32Aと横板32Bとを一体形成することにより、補強部材32の強度を高めることができる構成となっている。横板32Bは、支持部材30の下面板30Aと対面し、横板32Bの前,後方向の両側には、下面板30Aに設けられた2個のめねじ30Eに対応する位置に、2個のボルト挿通孔32B1が穿設されている。
図3に示すように、縦板32Aの後側部位32A2に形成された2個のボルト挿通孔32A4には、それぞれボルト33(1本のみ図示)が挿通される。ボルト33は、後支持脚28の後張出し板28Dに設けられためねじ28D1に螺着される。これと同様に、縦板32Aの前側部位32A1に形成された2個のボルト挿通孔32A3にもボルト33が挿通され、このボルト33は、前支持脚26の前張出し板26Dに設けられためねじ26D1に螺着される。一方、横板32Bに形成された2個のボルト挿通孔32B1には、それぞれボルト34(1本のみ図示)が下側から挿通される。ボルト34は、支持部材30の下面板30Aに設けられためねじ30Eに螺着される。
これにより、補強部材32を構成する縦板32Aの前側部位32A1は、ボルト33を用いて前支持脚26の前張出し板26Dに固定され、縦板32Aの後側部位32A2は、ボルト33を用いて後支持脚28の後張出し板28Dに固定される。補強部材32を構成する横板32Bは、ボルト34を用いて支持部材30の下面板30Aに固定される。従って、後処理装置架台25を構成する一対の前支持脚26および後支持脚28と支持部材30とが、補強部材32を介して一体化され、前支持脚26および後支持脚28に対する支持部材30の取付強度を高め、後処理装置架台25全体の強度を高めることができる構成となっている。このとき、補強部材32の縦板32Aに形成された切欠部32A5は、油圧ポンプ11のポンプケーシング11Aの上側部位を収容し、切欠溝32A6は、ポンプケーシング11A(取付フランジ11B)の上端部11B1をエンジン9に取付けるためのボルト12を収容する。
ここで、本実施の形態では、ポンプ収容室31内のスペースを上方に拡張するため、支持部材30の下面を構成する下面板30Aが、油圧ポンプ11の取付フランジ11Bをエンジン9に取付ける複数のボルト12よりも高い位置に配置されている。このように、後処理装置架台25の支持部材30の高さ位置を上方に移動させた場合には、支持部材30によって支持される排気ガス後処理装置14の重心位置が高くなる。これに対し、本実施の形態では、後処理装置架台25を構成する一対の前支持脚26および後支持脚28と支持部材30とを、補強部材32を介して一体化させることができる。この結果、後処理装置架台25の支持部材30の高さ位置を上方に移動させ、ポンプ収容室31内のスペースを上方に拡張した場合でも、後処理装置架台25全体の強度を高めることができ、排気ガス後処理装置14を安定して支持することができる。
一方、補強部材32の縦板32Aには切欠部32A5が設けられ、切欠部32A5は、補強部材32が後処理装置架台25に取付けられた状態で、油圧ポンプ11の上側部位を収容する形状を有している(図6参照)。これにより、後処理装置架台25の前支持脚26と油圧ポンプ11の上側部位との間の隙間が、縦板32Aの前側部位32A1によって閉塞され、後支持脚28と油圧ポンプ11の上側部位との間の隙間が、縦板32Aの後側部位32A2によって閉塞される構成となっている。
油飛散防止部材としての油飛散防止板35は、補強部材32に取付けられている。油飛散防止板35は、例えばゴムシート等の可撓性を有する板体により形成されている。ここで、図3および図5に示すように、油飛散防止板35は、補強部材32を構成する縦板32Aの前側部位32A1に取付けられる前側板35Aと、縦板32Aの後側部位32A2に取付けられる後側板35Bとの二枚の板体により構成されている。前側板35Aには、補強部材32の縦板32Aに設けられた7個のめねじ32A7のうち4個に対応する4個のボルト挿通孔35A1が穿設されている。後側板35Bには、縦板32Aに設けられた7個のめねじ32A7のうち残余の3個に対応する3個のボルト挿通孔35B1が穿設されている。
油飛散防止板35の後側板35Bに形成された3個のボルト挿通孔35B1には、それぞれボルト36(1本のみ図示)が挿通される。ボルト36は、補強部材32の縦板32Aに設けられためねじ32A7に螺着される。これと同様に、前側板35Aに形成された4個のボルト挿通孔35A1にもボルト36が挿通され、このボルト36は、縦板32Aに設けられためねじ32A7に螺着される。これにより、図5および図7に示すように、油飛散防止板35は、補強部材32の縦板32Aから下方に延びる。従って、後処理装置架台25の前支持脚26と油圧ポンプ11との間に形成される隙間のうち、油圧ポンプ11の高さ方向における上側部位から中間部位までの範囲は、油飛散防止板35の前側板35Aによって閉塞される。一方、後支持脚28と油圧ポンプ11との間に形成される隙間のうち、油圧ポンプ11の高さ方向における上側部位から中間部位までの範囲は、油飛散防止板35の後側板35Bによって閉塞される。これにより、油圧ポンプ11からエンジン9に向けて飛散した油を、油飛散防止板35によって遮蔽することができる構成となっている。
この場合、油飛散防止板35は、可撓性を有するゴムシート等を用いて形成されている。このため、油圧ポンプ11が車体稼働中の振動によって油飛散防止板35に接触した場合に、油飛散防止板35は容易に変形することができる。このため、油圧ポンプ11の破損を回避することができ、車体稼働中においてもエンジン室とポンプ収容室31との遮蔽状態を維持することができる。
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
まず、オペレータはキャブ7に搭乗してエンジン9を作動させる。そして、オペレータが、キャブ7内に配置された走行用の操作レバー(図示せず)を操作することにより、油圧ショベル1を走行させることができ、作業用の操作レバー(図示せず)を操作することにより、作業装置4を用いて土砂の掘削作業を行うことができる。
油圧ショベル1の作動時にエンジン9から排出される排気ガスは、排気管13を介して排気ガス後処理装置14の第1の排気ガス後処理装置15内に導入される。そして、排気ガスは、第1の排気ガス後処理装置15から接続管18、第2の排気ガス後処理装置20を通過する間に浄化処理され、尾管24を通じて大気中に排出される。
ここで、排気ガス後処理装置14を支持する後処理装置架台25は、油圧ポンプ11を上側から跨いだ状態で旋回フレーム5上に搭載されている。油圧ポンプ11のポンプケーシング11Aには給油口11Cが設けられ、ポンプケーシング11A内には、給油口11Cを通じて定期的に潤滑油を供給する必要がある。このため、本実施の形態では、図7に示すように、後処理装置架台25を構成する支持部材30の下面板30Aが、油圧ポンプ11の取付フランジ11Bをエンジン9に取付ける複数のボルト12よりも高い位置に配置されている。
このため、前支持脚26および後支持脚28と支持部材30の下面板30Aとの間に形成されたポンプ収容室31内のスペースを、上方に拡張することができる。従って、ポンプ収容室31内に収容された油圧ポンプ11の給油口11Cと、支持部材30の下面板30Aとの間に大きな作業スペースが確保される。これにより、給油口11Cを通じてポンプケーシング11A内に潤滑油を供給する作業を、拡張されたポンプ収容室31内で円滑に行うことができ、その作業性を向上させることができる。
一方、ポンプ収容室31内のスペースを上方に拡張するため、後処理装置架台25を構成する下面板30Aを、ポンプケーシング11Aをエンジン9に取付ける複数のボルト12よりも高い位置に配置した場合には、支持部材30によって支持される排気ガス後処理装置14の重心位置が高くなる。
これに対し、本実施の形態では、後処理装置架台25を構成する一対の前支持脚26および後支持脚28と支持部材30との間に、補強部材32が取付けられている。これにより、前支持脚26および後支持脚28と支持部材30とを、補強部材32を介して一体化させることができる。この結果、後処理装置架台25の支持部材30の高さ位置を上方に移動させた場合でも、後処理装置架台25全体の強度を高めることができ、排気ガス後処理装置14を安定して支持することができる。
しかも、補強部材32の縦板32Aには切欠部32A5が設けられ、この切欠部32A5は、補強部材32が後処理装置架台25に取付けられた状態で、油圧ポンプ11の上側部位を収容している(図6参照)。これにより、後処理装置架台25の前支持脚26と油圧ポンプ11の上側部位との間の隙間を、縦板32Aの前側部位32A1によって閉塞し、後支持脚28と油圧ポンプ11の上側部位との間の隙間を、縦板32Aの後側部位32A2によって閉塞することができる。この結果、油圧ポンプ11から油が飛散した場合でも、この油を補強部材32の縦板32Aによって遮蔽することにより、油圧ポンプ11からの油がポンプ収容室31を通じてエンジン9へと飛散するのを抑えることができる。
一方、補強部材32には、可撓性を有するゴムシート等により形成された油飛散防止板35が取付けられている。これにより、後処理装置架台25の前支持脚26と油圧ポンプ11との間に形成される隙間のうち、油圧ポンプ11の高さ方向における上側部位から中間部位までの範囲と、後支持脚28と油圧ポンプ11との間に形成される隙間のうち、油圧ポンプ11の高さ方向における上側部位から中間部位までの範囲は、油飛散防止板35によって閉塞することができる。この結果、油圧ポンプ11からエンジン9に向けて油が飛散した場合でも、この油を油飛散防止板35によって確実に遮蔽することができる。
この場合、油飛散防止板35は、可撓性を有するゴムシート等を用いて形成されている。このため、油圧ポンプ11が車体稼働中の振動によって油飛散防止板35に接触した場合に、油飛散防止板35は容易に変形することができる。このため、油圧ポンプ11の破損を回避することができ、車体稼働中においてもエンジン室とポンプ収容室31との遮蔽状態を維持することができる。
かくして、実施の形態による油圧ショベル1は、排気ガス後処理装置14を支持する後処理装置架台25は、油圧ポンプ11を挟んで前,後方向で対向した状態で旋回フレーム5に立設された前支持脚26および後支持脚28と、前支持脚26および後支持脚28の上端に設けられ排気ガス後処理装置14が取付けられる支持部材30とを備え、前支持脚26および後支持脚28と支持部材30との間には、油圧ポンプ11を収容するポンプ収容室31が形成されている。そして、支持部材30の下面板30Aは、油圧ポンプ11をエンジン9に取付ける複数のボルト12よりも上方位置に配置され、支持部材30と前支持脚26および後支持脚28との間には補強部材32が着脱可能に設けられている。
この構成によれば、前支持脚26および後支持脚28と支持部材30とを、補強部材32を介して一体化させることができる。この結果、前支持脚26および後支持脚28に対する支持部材30の取付強度を高めることができる。しかも、後処理装置架台25を構成する前支持脚26と油圧ポンプ11の上側部位との間の隙間と、後支持脚28と油圧ポンプ11の上側部位との間の隙間とを、補強部材32によって閉塞することができる。この結果、この結果、油圧ポンプ11から油が飛散した場合でも、この油を補強部材32の縦板32Aによって遮蔽することにより、油圧ポンプ11からの油がポンプ収容室31を通じてエンジン9へと飛散するのを抑えることができる。
実施の形態では、補強部材32は、前支持脚26と後支持脚28との間を前,後方向に延びた状態で、これら前支持脚26および後支持脚28と支持部材30とに取付けられる一枚の板体により形成されている。この構成によれば、前支持脚26および後支持脚28と支持部材30とを、一枚の板体からなる補強部材32を介して一体化させることができ、後処理装置架台25全体の強度を高めることができる。しかも、補強部材32の部品点数を削減し、後処理装置架台25に補強部材32を取付けるときの作業性を向上させることができる。
実施の形態では、補強部材32には、可撓性を有する板体からなり油圧ポンプ11からエンジン9に向けて油が飛散するのを防止する油飛散防止板35が取付けられている。この構成によれば、後処理装置架台25の前支持脚26と油圧ポンプ11との間に形成される隙間のうち、油圧ポンプ11の高さ方向における上側部位から中間部位までの範囲と、後支持脚28と油圧ポンプ11との間に形成される隙間のうち、油圧ポンプ11の高さ方向における上側部位から中間部位までの範囲を、油飛散防止板35によって閉塞することができる。この結果、油圧ポンプ11からエンジン9に向けて油が飛散した場合でも、この油を油飛散防止板35によって遮蔽することにより、油がエンジン9に付着するのを防止することができる。
なお、上述した実施の形態では、補強部材32を、前支持脚26と後支持脚28との間を前,後方向に延びる一枚の板体により形成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば二枚以上の板体を用いて補強部材を構成してもよい。
また、実施の形態では、油飛散防止板35を、前側板35Aと後側板35Bとの二枚の板体により構成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば一枚の板体によって油飛散防止板を構成してもよく、三枚以上の板体によって油飛散防止板を構成してもよい。
さらに、上述した実施の形態では、建設機械として、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよく、ホイールローダ、ダンプトラック、油圧クレーン等の他の建設機械にも広く適用することができる。