以下、本発明の実施の形態に係る建設機械の代表例として、エンジンを搭載した油圧ショベルを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
まず、図1ないし図12は本発明の第1の実施の形態を示している。図1において、1は建設機械としてのクローラ式の油圧ショベルを示している。この油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載され、該下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体3と、該上部旋回体3の前,後方向の前側に俯仰動可能に設けられ土砂の掘削作業等を行う作業装置4とにより構成されている。
5は上部旋回体3の支持構造体を形成する旋回フレームである。この旋回フレーム5は、図2、図3に示すように、前,後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板5Aと、該底板5A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左縦板5B,右縦板5Cと、該各縦板5B,5Cの左,右方向に間隔をもって配置され、前,後方向に延びた左サイドフレーム5D,右サイドフレーム5Eと、前記底板5A、各縦板5B,5Cから左,右方向に張出し、その先端部に左,右のサイドフレーム5D,5Eを支持する複数本の張出しビーム5Fとを含んで構成されている。
旋回フレーム5の前側には、左,右の縦板5B,5C間に位置して作業装置4が俯仰動可能に取付けられている。旋回フレーム5の後側には、後述のカウンタウエイト7、エンジン8等が設けられている。
6は旋回フレーム5の左前側に搭載されたキャブ(図1参照)で、該キャブ6は、オペレータが搭乗するもので、その内部には、オペレータが着座する運転席、走行用の操作レバー、作業用の操作レバー等(いずれも図示せず)が配設されている。一方、7は旋回フレーム5の後端部に取付けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト7は、作業装置4との重量バランスをとるものである。
8は旋回フレーム5の後側に設けられたエンジンで、該エンジン8は、左,右方向に延在する横置き状態で搭載されている。エンジン8の左側には、図4に示すように、熱交換器(図示せず)に冷却風を供給するための冷却ファン8Aが設けられている。一方、エンジン8の右側は、円環状の端面に複数個のめねじ穴(図示せず)が設けられたポンプ取付部8Bとなり、このポンプ取付部8Bには、後述する油圧ポンプ9の取付フランジ9Aと取付ベース16の取付部材17がボルト止めされる。さらに、エンジン8の前側の上部には、排気ガスを排出するための排気口(図示せず)が設けられ、この排気口には、後述する排気管14の入口側が連通状態で取付けられている。
9はエンジン8のポンプ取付部8Bに取付けられた油圧ポンプである。この油圧ポンプ9は、エンジン8によって駆動されることにより、後述の作動油タンク11から供給される作動油を、圧油として制御弁装置(図示せず)に向け吐出するものである。油圧ポンプ9には、エンジン8側の端部を円形状に拡開することにより取付フランジ9Aが設けられている。この取付フランジ9Aの外周側には、複数個のボルト挿通孔(図示せず)が設けられている。
そして、油圧ポンプ9は、取付フランジ9Aをエンジン8のポンプ取付部8Bに対面させ、各ボルト挿通孔にボルト10を挿入し、該各ボルト10をポンプ取付部8Bの各めねじ穴に螺着することにより、該ポンプ取付部8Bに取付けられている。一方、油圧ポンプ9をエンジン8に取付ける各ボルト10のうち、上側に位置する複数本のボルト10は、後述の後処理ユニット15を構成する取付ベース16の取付部材17をエンジン8に対して取付ける場合にも用いられている。
ここで、エンジン8の周囲の環境について述べる。エンジン8は、カウンタウエイト7と作動油タンク11等との間に挟まれ、該エンジン8の周囲には、熱交換器、油圧ポンプ9等が配置され、これらには、多くのホースが接続されている。従って、エンジン8の周囲には、例えば従来の特許文献1のように、2つの排気ガス後処理装置を水平方向に並べることができる広い設置スペースを確保することは困難であり、2つの排気ガス後処理装置のうち、一方の排気ガス後処理装置を配置するための小さなスペースを確保できる程度である。
11は油圧ポンプ9の前側に位置して旋回フレーム5の右側に設けられた作動油タンク(図2参照)で、該作動油タンク11は、下部走行体2、作業装置4等に設けられたアクチュエータを駆動するための作動油を貯えるものである。一方、12は作動油タンク11の前側に位置して旋回フレーム5に設けられた燃料タンクを示している。
13はエンジン8、熱交換器、後述の後処理ユニット15を含む機器を側方および上方から覆う建屋カバーである。この建屋カバー13は、キャブ6とカウンタウエイト7との間に位置して旋回フレーム5上に設けられている。建屋カバー13は、図2、図3に示すように、熱交換器等の左側を覆う左面カバー部13Aと、油圧ポンプ9等の右側を覆う右面カバー部13Bと、各カバー部13A,13Bの上側に位置してエンジン8、後処理ユニット15等の上側を覆う上面カバー部13Cとを含んで構成されている。
上面カバー部13Cには、左,右方向の右側寄り、具体的には後処理ユニット15の上側に位置して後処理用カバー部13Dが設けられている。この後処理用カバー部13Dは、後処理ユニット15の一部をなす後述する第2の排気ガス後処理装置26を覆うもので、上面カバー部13Cから突出した第2の排気ガス後処理装置26を囲むように、下向きに開口した箱状体として形成されている。この後処理用カバー部13Dには、後述の尾管30を上側に突出させるための開口13D1が設けられている。なお、後処理用カバー部に尾管を一体的に取付け、この尾管に第2の排気ガス後処理装置から延びる排出管を接続する構成としてもよい。
14はエンジン8と後述する第1の排気ガス後処理装置21との間に設けられた排気管(図3、図5参照)である。この排気管14は、入口側となる一端がエンジン8の排気口に接続され、出口側となる他端が第1の排気ガス後処理装置21を構成する筒状ケース22の給気口22Aに接続されている。
次に、エンジン8から排出される排気ガスを処理するために、該エンジン8の排気側に接続して設けられた後処理ユニット15の構成について、図4ないし図12を参照しつつ述べる。
15はエンジン8の右側に位置して油圧ポンプ9の上側に設けられた第1の実施の形態による後処理ユニットを示している。この後処理ユニット15は、エンジン8から排出される排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去し、排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を浄化し、さらに、排気ガスの騒音を低減するものである。後処理ユニット15は、後述の取付ベース16、第1の排気ガス後処理装置21、接続管24、第2の排気ガス後処理装置26により構成されている。後処理ユニット15は、図4、図5に示すように、取付ベース16に第1の排気ガス後処理装置21、接続管24、第2の排気ガス後処理装置26を組付けた状態で、この取付ベース16をエンジン8に取付ける構成となっている。
16は後処理ユニット15の取付台をなす取付ベースである。この取付ベース16は、油圧ポンプ9の上側に位置してエンジン8のポンプ取付部8Bに取付けられている。取付ベース16は、第1の排気ガス後処理装置21と第2の排気ガス後処理装置26とをエンジン8側に固定的に取付けるものである。取付ベース16は、図11に示すように、油圧ポンプ9の取付フランジ9Aを挟んでエンジン8のポンプ取付部8Bと対面する取付部材17と、該取付部材17上に設けられた台部材18と、該台部材18に設けられた第1,第2のブラケット19,20とにより構成されている。
取付部材17は、油圧ポンプ9の取付フランジ9Aと当接するもので、上部旋回体3の前,後方向に延びる長方形状の板体として形成されている。取付部材17の下側部位には、油圧ポンプ9を避けるための円弧状の切欠17Aが形成され、該切欠17Aの周囲に位置して複数個、例えば6個のボルト挿通孔17Bが形成されている。これらのボルト挿通孔17Bは、エンジン8のポンプ取付部8Bに設けられためねじ穴、油圧ポンプ9の取付フランジ9Aに設けられたボルト挿通孔に対応するもので、5個以下、または7個以上設ける構成としてもよい。
台部材18は、例えば長方形状の板体をL字状に折り曲げることにより、水平方向に延びる下板18Aと、該下板18Aの左側(エンジン8側)の端縁から上側に延びる背板18Bとを有している。台部材18は、背板18Bが上部旋回体3の前,後方向に延びるように下板18Aの下面を取付部材17の上端縁に溶接手段等を用いて固着している。さらに、下板18Aの下面側には、取付部材17との間に複数枚の補強板18Cが設けられている。
第1のブラケット19は、台部材18の下板18Aの上面に前,後方向に間隔をもって2枚立設されている。この2枚の第1のブラケット19の上端縁は、第1の排気ガス後処理装置21の筒状ケース22を安定的に取付けることができるように、凹円弧の取付凹部19Aとなっている。
さらに、第2のブラケット20は、台部材18の背板18Bの上側に位置して、その表面(エンジン8と反対側の面)に前,後方向に間隔をもって2枚立設されている。この2枚の第2のブラケット20の先端縁は、第2の排気ガス後処理装置26の筒状ケース27を安定的に取付けることができるように、凹円弧の取付凹部20Aとなっている。
ここで、第1のブラケット19は、第1の排気ガス後処理装置21の筒状ケース22を前,後方向に延設するように配置し、第2のブラケット20は、第2の排気ガス後処理装置26の筒状ケース27を前,後方向に延設するように配置するものである。従って、図7に示すように、各ブラケット19,20は、各排気ガス後処理装置21,26の筒状ケース22,27を、中心軸線O1−O1,O3−O3を前,後方向として、上,下位置に平行に配置することができる。
このように形成された取付ベース16は、図5に示すように、例えばエンジン8に油圧ポンプ9を取付けるときに、取付部材17を油圧ポンプ9の取付フランジ9Aにあてがい、この状態で各ボルト挿通孔17Bに挿通した各ボルト10をエンジン8のポンプ取付部8Bに設けた各めねじ穴に螺着することにより、取付フランジ9Aと一緒に(共締め状態で)ポンプ取付部8Bに取付けることができる。
21は後処理ユニット15の一部を構成する第1の排気ガス後処理装置である。この第1の排気ガス後処理装置21は、排気管14の出口側に設けられている。第1の排気ガス後処理装置21は、図12に示すように、上部旋回体3の前,後方向に延設された円筒状の筒状ケース22と、該筒状ケース22内に配置された酸化触媒23とにより構成されている。酸化触媒23は、排気ガスを浄化する処理部材の1つを構成するもので、例えばセラミックス製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数個の貫通孔が形成され、内面に貴金属等がコーティングされている。そして、酸化触媒23は、所定の温度下で各貫通孔に排気ガスを流通させることにより、この排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去するものである。
筒状ケース22は、軸線O1−O1をもった円筒体の両端を閉塞することにより密閉容器として形成されている。筒状ケース22の上流側となる前側部位には、筒状ケース22の径方向に延びる管体からなる給気口22Aが設けられている。この給気口22Aは、長さ方向の一端が筒状ケース22内に挿入され、他端が径方向外向きに突出している。さらに、給気口22Aには、後述する第2の排気ガス後処理装置26の尾管30とほぼ同様に、筒状ケース22内に位置して多数個の貫通孔(図示せず)が設けられ、この各貫通孔を排気ガスが通過することにより、排気音が低減(消音)される。一方、給気口22Aの突出端側には、排気管14の出口側が接続されるようになっている。
さらに、筒状ケース22の下流側となる後側部位には、径方向に開口して排気口22Bが設けられ、この排気口22Bには、接続管24の入口側が接続されている。排気口22Bは、給気口22Aをエンジン8側に向けて配置したときに、筒状ケース22の真上位置からエンジン8側に所望の角度(例えば約10〜60度の範囲)だけ回動した位置に開口している。
第1の排気ガス後処理装置21は、筒状ケース22が取付ベース16の各第1のブラケット19上に載置され、この状態で締結バンド、ボルト等(いずれも図示せず)を用いて取付ベース16に固定されている。これにより、筒状ケース22の軸線O1−O1は、上部旋回体3の前,後方向となっている。
24は第1の排気ガス後処理装置21をなす筒状ケース22の排気口22Bに接続された接続管である。この接続管24は、第1の排気ガス後処理装置21と後述する第2の排気ガス後処理装置26との間に配置されている。接続管24は、軸線O2−O2をもった円筒体からなる筒部24Aと、該筒部24Aの上流側となる入口側の端縁を閉塞する上流蓋板24Bと、前記筒部24Aの下流側となる出口側の端縁を閉塞する下流蓋板24Cとにより構成されている。
接続管24は、入口側(後側)が第1の排気ガス後処理装置21をなす筒状ケース22の排気口22Bに接続され、出口側(前側)が後述する第2の排気ガス後処理装置26をなす筒状ケース27の給気口27Aに接続されている。これにより、接続管24は、第1の排気ガス後処理装置21から排出される排気ガスを第2の排気ガス後処理装置26に導くことができる。
ここで、接続管24は、その軸線O2−O2が第1の排気ガス後処理装置21の軸線O1−O1、第2の排気ガス後処理装置26の軸線O3−O3と平行となるように前,後方向に延びて配置されている。さらに、接続管24は、図6に示すように、第1の排気ガス後処理装置21の軸中心O1と第2の排気ガス後処理装置26の軸中心O3とを結ぶ直線O1−O3に対し、この直線O1−O3から外れた位置を軸中心O2として配置されている。
即ち、接続管24は、直線O1−O3からエンジン8側に長さ寸法L1だけ離間した位置に配置されている。これにより、第1の排気ガス後処理装置21と第2の排気ガス後処理装置26との間に接続管24を設けた場合でも、第1の排気ガス後処理装置21と第2の排気ガス後処理装置26とを接近して配置することができ、第2の排気ガス後処理装置26の高さ寸法を低く抑えることができる。
25は接続管24に設けられた尿素水噴射ノズルを示し、該尿素水噴射ノズル25は、NOx浄化装置の一部を構成するものである。尿素水噴射ノズル25は、接続管24の上流蓋板24Bに取付けられ、尿素水溶液を貯える尿素水タンクにポンプ(いずれも図示せず)を介して接続されている。尿素水噴射ノズル25は、筒部24A内を流通する排気ガスに向けて尿素水溶液を噴射するものである。
26は後処理ユニット15の一部を構成する第2の排気ガス後処理装置である。この第2の排気ガス後処理装置26は、接続管24の出口側に設けられると共に、第1の排気ガス後処理装置21の上側に重なる位置に配置されている。第2の排気ガス後処理装置26は、前述した第1の排気ガス後処理装置21とほぼ同様に、上部旋回体3の前,後方向に延びる円筒状の筒状ケース27と、該筒状ケース27内に配置され、窒素酸化物(NOx)をアンモニアによって選択的に還元反応させて水と窒素に分解する選択還元触媒28と、該選択還元触媒28の下流側に配置され、該選択還元触媒28で窒素酸化物を還元した後に残った残留アンモニアを酸化し、窒素と水に分離する酸化触媒29と、該酸化触媒29の下流側に位置して筒状ケース27から上側に向けて突出した尾管30とにより構成されている。
第2の排気ガス後処理装置26の筒状ケース27は、図7に示すように、第1の排気ガス後処理装置21の筒状ケース22とほぼ同様に、軸線O3−O3をもった円筒体の両端を閉塞することにより密閉容器として形成されている。筒状ケース27の上流側となる前側部位には、径方向に開口して給気口27Aが設けられ、この給気口27Aには、接続管24の出口側が接続されている。
なお、筒状ケース27の給気口27Aは、筒状ケース27の真下位置からエンジン8側に所望の角度(例えば約10〜60度の範囲)だけ回動した位置に開口している。これにより、筒状ケース22の排気口22Bと筒状ケース27の給気口27Aに接続される接続管24を、第1の排気ガス後処理装置21と第2の排気ガス後処理装置26の間から避けた位置に配置することができる。
選択還元触媒28は、例えばセラミックス製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数の貫通孔が形成され、内面に貴金属がコーティングされている。この選択還元触媒28は、通常、エンジン8から排出される排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を、尿素水溶液から生成されたアンモニアによって選択的に還元反応させ、窒素と水に分解するものである。
一方、酸化触媒29は、前述した酸化触媒23とほぼ同様に、セラミックス製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数の貫通孔が形成され、内面に貴金属がコーティングされている。これにより、酸化触媒29は、選択還元触媒28で窒素酸化物を還元した後に残った残留アンモニアを酸化し、窒素と水に分離するものである。
さらに、尾管30は、筒状ケース27の下流側(酸化触媒29の下流側)となる後側部位に位置し、長さ方向の一端が筒状ケース27内に挿入され、他端が径方向の上向きに突出している。筒状ケース27内に入り込んだ尾管30の下側部分には、多数個の貫通孔30Aが設けられ、この各貫通孔30Aを排気ガスが通過することにより、排気音が低減(消音)される。一方、筒状ケース27から突出した尾管30の上側部分は、後側に屈曲して排気ガスの出口となっている。
第2の排気ガス後処理装置26は、筒状ケース27が取付ベース16の各第2のブラケット20に締結バンド、ボルト等(いずれも図示せず)を用いて固定されている。これにより、第2の排気ガス後処理装置26は、第1の排気ガス後処理装置21の上側に重なる位置に配置され、その軸線O3−O3は、第1の排気ガス後処理装置21の軸線O1−O1と平行となっている。
この場合の平行とは、完全な平行に限るものではなく、軸線O1−O1と軸線O3−O3とが僅かに傾斜して並んでいる状態を含み、目視で概ね平行に見える範囲のものを平行として述べている。一方、第1の排気ガス後処理装置21と第2の排気ガス後処理装置26とは、上,下方向で完全に重なる位置に配置されている(両者が100%重なっている)。しかし、上,下方向で重なる位置とは、両者の大部分、例えば70%以上が重なっていればよいものである。
次に、第1の実施の形態による後処理ユニット15の組立手順とエンジン8への取付手順の一例について説明する。
後処理ユニット15の組立作業では、第1の排気ガス後処理装置21の筒状ケース22と第2の排気ガス後処理装置26の筒状ケース27とを接続管24によって接続する。この状態で、取付ベース16の各第1のブラケット19上に第1の排気ガス後処理装置21の筒状ケース22を載置し、締結バンド、ボルト等を用いて筒状ケース22を台部材18の下板18Aに固定する。同様に、取付ベース16の各第2のブラケット20(台部材18の背板18B)に第2の排気ガス後処理装置26の筒状ケース27を固定する。これにより、第1の排気ガス後処理装置21と第2の排気ガス後処理装置26とを上,下方向で重なる位置に配置することができる。
取付ベース16に第1,第2の排気ガス後処理装置21,26を組付けたら、後処理ユニット15をエンジン8に取付ける。この取付作業では、図4、図5に示すように、取付部材17を油圧ポンプ9の取付フランジ9Aに当接させ、この状態で各ボルト挿通孔17Bに挿通した各ボルト10をエンジン8のポンプ取付部8Bに設けた各めねじ穴に螺着することにより、取付フランジ9Aと一緒にポンプ取付部8Bに取付ける。さらに、第1の排気ガス後処理装置21の筒状ケース22の給気口22Aを排気管14の出口側に接続する。これにより、後処理ユニット15をエンジン8に取付けることができる。
次に、第1の実施の形態が適用された油圧ショベル1の動作(操作)について説明する。
キャブ6に搭乗したオペレータは、エンジン8を始動して油圧ポンプ9を駆動する。これにより、油圧ポンプ9からの圧油は、制御弁装置を介して各種アクチュエータに供給される。これにより、オペレータが走行用の操作レバー(図示せず)を操作したときには、下部走行体2を前進または後退させることができる。一方、作業用の操作レバー(図示せず)を操作することにより、作業装置4等を動作させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
ここで、エンジン8の運転時に、該エンジン8から排出される排気ガスは、排気管14、第1の排気ガス後処理装置21、接続管24、第2の排気ガス後処理装置26を通じて大気中に排出される。このときには、第1の排気ガス後処理装置21に設けられた酸化触媒23が排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去する。一方、接続管24では、尿素水噴射ノズル25から排気ガスに向けて尿素水を噴射し、第2の排気ガス後処理装置26では、選択還元触媒28によって窒素酸化物を窒素と水に分解する。さらに、酸化触媒29が残留アンモニアを酸化し、窒素と水に分離することにより、浄化した排気ガスを大気中に排出する。
かくして、第1の実施の形態によれば、油圧ポンプ9の上側に位置してエンジン8のポンプ取付部8Bに取付けられる取付ベース16を有し、この取付ベース16には、第1の排気ガス後処理装置21と第2の排気ガス後処理装置26とを接続管24によって接続した状態で上,下方向に重ねて配置する。これらの取付ベース16、第1、第2の排気ガス後処理装置21,26および接続管24を1つの後処理ユニット15としてエンジン8のポンプ取付部8Bに取付ける構成としている。
従って、広い設置スペースを確保するのが難しいエンジン8の周囲でも、第1の排気ガス後処理装置21と第2の排気ガス後処理装置26とを上,下方向に重ねて配置したことにより、例えば第1の排気ガス後処理装置21を設置するためのスペースを確保するだけで、この小さな設置スペースに2つの排気ガス後処理装置21,26を設けることができる。
この結果、エンジン8の周囲の限られたスペースに2つの排気ガス後処理装置21,26を効率よく配置できるから、上部旋回体3の小型化を図ることができ、狭い作業現場での作業を可能にして油圧ショベル1の作業性能を高めることができる。
一方、取付ベース16に第1、第2の排気ガス後処理装置21,26および接続管24を組付けて後処理ユニット15を形成する構成としている。これにより、生産ラインでは、予め組立てられた後処理ユニット15をエンジン8のポンプ取付部8Bに取付けるだけでよいから、生産性を向上することができる。
第1の排気ガス後処理装置21と第2の排気ガス後処理装置26とを平行に配置した上で、接続管24を、第1の排気ガス後処理装置21と第2の排気ガス後処理装置26との間に、該第1、第2の排気ガス後処理装置21,26と平行に延設して配置する構成としている。これにより、第1,第2の排気ガス後処理装置21,26と接続管24とは、無駄なスペースを形成することなく、整然と並べることができるから、これらを設置するためのスペースを縮小することができる。この結果、上部旋回体3のさらなる小型化を図ることができる。
一方、取付ベース16は、エンジン8のポンプ取付部8Bに取付けられる取付部材17と、該取付部材17上に設けられ水平方向に延びる下板18Aおよび該下板18Aの端縁から上側に延びる背板18Bからなる台部材18と、前記下板18Aに設けられ第1の排気ガス後処理装置21を取付ける第1のブラケット19と、前記背板18Bに設けられ第2の排気ガス後処理装置26を取付ける第2のブラケット20とにより構成している。
従って、第1の排気ガス後処理装置21と第2の排気ガス後処理装置26とを接続管24で接続した状態で、第1のブラケット19に第1の排気ガス後処理装置21を取付け、第2のブラケット20に第2の排気ガス後処理装置26を取付けることにより、後処理ユニット15を組立てることができる。後処理ユニット15を組立てたら、取付部材17をエンジン8のポンプ取付部8Bに取付けることにより、後処理ユニット15をエンジン8側に取付けることができる。この取付状態では、第1の排気ガス後処理装置21と第2の排気ガス後処理装置26とを上,下方向に重ねて配置することができる。
さらに、第1の排気ガス後処理装置21の軸中心O1と第2の排気ガス後処理装置26の軸中心O3とを結んだ直線を直線O1−O3とし、接続管24は、この直線O1−O3から外れた位置を軸中心O2として配置する構成としている。これにより、第1の排気ガス後処理装置21と第2の排気ガス後処理装置26との間に接続管24を設けた場合でも、第1の排気ガス後処理装置21と第2の排気ガス後処理装置26とを接近して配置することができる。この結果、後処理ユニット15(第2の排気ガス後処理装置26)の高さ寸法を低く抑えることができ、後方の視界を良好にすることができる。
次に、図13は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、第1の排気ガス後処理装置の軸中心と第2の排気ガス後処理装置の軸中心とを結ぶ直線に対し、接続管の軸中心をエンジンと反対側に外れた位置に配置する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図13において、41は第2の実施の形態による後処理ユニットを示している。この後処理ユニット41は、前述した第1の実施の形態による後処理ユニット15とほぼ同様に、取付ベース42、第1の排気ガス後処理装置43、接続管44、第2の排気ガス後処理装置45により構成されている。しかし、第2の実施の形態による後処理ユニット41は、各排気ガス後処理装置43,45に対して接続管44がエンジン8と反対側に位置をずらして配置されている点で、第1の実施の形態による後処理ユニット15と相違している。
即ち、第2の実施の形態による接続管44は、第1の排気ガス後処理装置43の軸中心O4と第2の排気ガス後処理装置45の軸中心O6とを結ぶ直線O4−O6からエンジン8と反対側に長さ寸法L2だけ離間した位置を軸中心O5として配置されている。
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態では、第1の排気ガス後処理装置43と第2の排気ガス後処理装置45との間に接続管44を設けた場合でも、接続管44をずらして配置できるから、第1の排気ガス後処理装置43と第2の排気ガス後処理装置45とを接近して配置することができ、後処理ユニット41の高さ寸法を低く抑えることができる。
次に、図14は本発明の参考例を示している。本発明の参考例は、第1の排気ガス後処理装置と第2の排気ガス後処理装置とを短尺な接続管によって接続する構成としたことにある。なお、本参考例では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図14において、51は参考例による後処理ユニットを示している。52は後処理ユニット51の取付ベースで、該取付ベース52は、前述した第1の実施の形態による取付ベース16とほぼ同様に、取付部材53、台部材54、第1のブラケット55、第2のブラケット56により構成されている。しかし、参考例による取付ベース52は、台部材54の背板54Bの高さ寸法が低く形成されている点で、第1の実施の形態による取付ベース16と相違している。
57は取付ベース52の台部材54の下板54A上に設けられた第1の排気ガス後処理装置である。58は第1の排気ガス後処理装置57の下流側に上向きに突出して設けられた接続管である。さらに、59は上流側が接続管58の上側部分に接続された第2の排気ガス後処理装置である。接続管58は、第1の排気ガス後処理装置57の後部と第2の排気ガス後処理装置59の後部との間を短い距離で接続している。この接続管58には尿素水噴射ノズル25が設けられ、第2の排気ガス後処理装置59の下流側となる前側部位には、尾管30が設けられている。
かくして、このように構成された参考例では、接続管58は、第1の実施の形態による接続管24のように各排気ガス後処理装置21,26と平行に延びて形成することなく、短尺に形成しているから、第1の排気ガス後処理装置57と第2の排気ガス後処理装置59とは、互いに接近させた状態で上,下方向に重ねて配置することができる。この結果、後処理ユニット51の高さ寸法を低く抑えることができ、後方の視界を良好にすることができる。
次に、図15は本発明の第3の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、後処理ユニットを、排気管、取付ベース、第1の排気ガス後処理装置、接続管、第2の排気ガス後処理装置により構成したことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図15において、61は第3の実施の形態による後処理ユニットを示している。この後処理ユニット61は、前述した第1の実施の形態による後処理ユニット15とほぼ同様に、取付ベース16、第1の排気ガス後処理装置21、接続管24、第2の排気ガス後処理装置26により構成されている。しかし、第3の実施の形態による後処理ユニット61は、排気管14を含んで構成されている点で、第1の実施の形態による後処理ユニット15と相違している。
即ち、第3の実施の形態による後処理ユニット61では、第1の排気ガス後処理装置21を構成する筒状ケース22の給気口22Aに対し、排気管14が取付けられており、この排気管14を含めてユニット化されている。この後処理ユニット61をエンジン8側に組付ける場合には、排気管14の入口側をエンジン8の排気口に接続すればよい。
かくして、このように構成された第3の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第3の実施の形態では、後処理ユニット61に排気管14を加えているから、配管、配線が入り組んで作業がし難いエンジン8側で組付けられる部品の数を削減でき、組立作業性を向上することができる。
なお、第1の実施の形態では、後処理ユニット15は、第1の排気ガス後処理装置21の軸中心O1と第2の排気ガス後処理装置26の軸中心O3とを直線で結んだ状態で、接続管24を、この直線O1−O3からエンジン8側に外れた位置を軸中心O2として配置した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図16に示す第1の変形例のように構成してもよい。
即ち、図16に示す第1の変形例による後処理ユニット71のように構成してもよい。この後処理ユニット71は、取付ベース72に第1の排気ガス後処理装置73、接続管74、第2の排気ガス後処理装置75を上,下方向に重なるように配置する構成としている。このように構成したことにより、後処理ユニット71を設置するために必要となるスペースをより一層小さくすることができる。
一方、図17に示す第2の変形例による後処理ユニット81のように構成してもよい。この後処理ユニット81は、取付ベース82、第1の排気ガス後処理装置83、接続管84、第2の排気ガス後処理装置85により構成されている。第1の排気ガス後処理装置83と接続管84と第2の排気ガス後処理装置85とは、互いに平行に配置されているものの、第2の排気ガス後処理装置85は、第1の排気ガス後処理装置83に対してエンジン8と反対側にずれた位置に配置されている。この構成は、他の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
第1の実施の形態では、第1の排気ガス後処理装置21の筒状ケース22内に酸化触媒23だけを設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図18に示す第3の変形例のように構成してもよい。この第3の変形例では、第1の排気ガス後処理装置21の筒状ケース22内に、酸化触媒23の下流側に位置して粒子状物質除去フィルタ91(Diesel Particulate Filter、略してDPFとも呼ばれている)が設けられている。この粒子状物質除去フィルタ91は、エンジン8から排出される排気ガス中の粒子状物質(PM)を捕集し、燃焼して除去することにより、排気ガスを浄化するものである。この構成は、他の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
さらに、各実施の形態では、建設機械として、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよい。それ以外にも、ホイールローダ、ダンプトラック、油圧クレーン等の他の建設機械にも広く適用することができる。