JP6958721B2 - 鍛造クランク軸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱間鍛造によりクランク軸を製造する方法に関する。
自動車、自動二輪車、農業機械または船舶等のレシプロエンジンにおいて、ピストンの往復運動を回転運動に変換して動力を取り出すために、クランク軸が不可欠である。クランク軸は、型鍛造または鋳造によって製造できる。特に、高強度と高剛性がクランク軸に要求される場合、型鍛造によって製造されたクランク軸(以下、「鍛造クランク軸」ともいう)が多用される。
図1Aおよび図1Bは、一般的な鍛造クランク軸の形状例を示す模式図である。これらの図のうち、図1Aは全体図であり、図1BはIB−IB断面図である。図1Bに示す例では、代表的に、一つのクランクアーム部A7と、そのクランクアーム部A7と一体のカウンターウエイト部W7と、そのクランクアーム部A7につながるピン部P4およびジャーナル部J4を示す。
図1Aおよび図1Bに示す鍛造クランク軸11は、4気筒エンジンに搭載される4気筒−8枚カウンターウエイトの鍛造クランク軸である。鍛造クランク軸11は、5つのジャーナル部J1〜J5と、4つのピン部P1〜P4と、フロント部Frと、フランジ部Flと、8枚のクランクアーム部(以下、「アーム部」ともいう)A1〜A8とを備える。アーム部A1〜A8は、ジャーナル部J1〜J5とピン部P1〜P4をそれぞれつなぐ。また、8枚(全部)のアーム部A1〜A8は、カウンターウエイト部(以下、「ウエイト部」ともいう)W1〜W8を一体で備える。鍛造クランク軸11の軸方向の前端にはフロント部Frが設けられ、後端にはフランジ部Flが設けられる。フロント部Frは、先頭の第1ジャーナル部J1につながり、フランジ部Flは、最後尾の第5ジャーナル部J5につながる。
以下では、ジャーナル部J1〜J5、ピン部P1〜P4、アーム部A1〜A8およびウエイト部W1〜W8のそれぞれを総称するとき、その符号は、ジャーナル部で「J」、ピン部で「P」、アーム部で「A」、ウエイト部で「W」とも記す。また、アーム部Aおよびそのアーム部Aと一体のウエイト部Wをまとめて「ウェブ」ともいう。
図1Bに示すように、ウエイト部Wの幅Bwは、アーム部Aの幅Baより大きい。このため、ウエイト部Wは、アーム部中心面(ピン部Pの中心軸とジャーナル部Jの中心軸とを含む面)から大きく張り出している。
このような形状の鍛造クランク軸を製造する際、一般に、出発素材としてビレットが用いられる。ビレットの長手方向に垂直な断面、すなわち横断面は、丸形または角形である。その横断面の面積は、ビレットの全長にわたって一定である。本明細書において、「横断面」は、ビレット若しくは後述する各荒地の長手方向、または鍛造クランク軸の軸方向を法線とする断面を意味する。「縦断面」は、ビレット若しくは後述する各荒地の長手方向、または鍛造クランク軸の軸方向に平行、かつ、鉛直方向に平行な断面を意味する。また、横断面の面積を単に「断面積」ともいう。鍛造クランク軸は、予備成形工程、型鍛造工程およびバリ抜き工程をその順に経ることによって製造される。また、必要に応じ、バリ抜き工程の後に整形工程を経る。通常、予備成形工程は、ロール成形と曲げ打ちの各工程を含む。型鍛造工程は、荒打ちと仕上げ打ちの各工程を含む。
図2A〜図2Fは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程を説明するための模式図である。これらの図のうち、図2Aはビレットを示す。図2Bはロール荒地を示す。図2Cは曲げ荒地を示す。図2Dは荒鍛造材を示す。図2Eは仕上げ鍛造材を示す。図2Fは鍛造クランク軸を示す。なお、図2A〜図2Fは、前記図1Aおよび図1Bに示す形状の鍛造クランク軸11を製造する場合の一連の工程を示す。
図2A〜図2Fを参照し、鍛造クランク軸11の製造方法を説明する。先ず、図2Aに示すような所定の長さのビレット12を加熱炉によって加熱した後、予備成形工程でロール成形および曲げ打ちをその順に行う。ロール成形では、例えば孔型ロールを用いてビレット12を圧延して絞る。これにより、ビレット12の体積を軸方向に配分し、中間素材であるロール荒地13を得る(図2B参照)。次に、曲げ打ちでは、ロール荒地13を軸方向と垂直な方向から部分的にプレスする。これにより、ロール荒地13の体積を配分し、更なる中間素材である曲げ荒地14を得る(図2C参照)。
続いて、荒打ち工程では、曲げ荒地14を上下に一対の金型を用いて鍛造することにより、荒鍛造材15を得る(図2D参照)。その荒鍛造材15には、鍛造クランク軸(最終製品)のおおよその形状が造形される。さらに、仕上げ打ち工程では、荒鍛造材15を上下に一対の金型を用いて鍛造することにより、仕上げ鍛造材16を得る(図2E参照)。その仕上げ鍛造材16には、最終製品の鍛造クランク軸と合致する形状が造形される。これら荒打ちおよび仕上げ打ち工程のとき、互いに対向する金型の型割面の間から余材が流出し、その余材がバリBとなる。このため、荒鍛造材15および仕上げ鍛造材16は、いずれも、周囲にバリBが大きく付いている。
バリ抜き工程では、例えば、バリ付きの仕上げ鍛造材16を一対の金型によって挟んで保持した状態で、刃物型によってバリBを打ち抜く。これにより、仕上げ鍛造材16からバリBが除去され、バリ無し鍛造材が得られる。そのバリ無し鍛造材は、図2Fに示す鍛造クランク軸11とほぼ同じ形状である。
整形工程では、バリ無し鍛造材の要所を上下から金型で僅かに圧下し、バリ無し鍛造材を最終製品の寸法形状に矯正する。ここで、バリ無し鍛造材の要所は、例えば、ジャーナル部J、ピン部P、フロント部Fr、フランジ部Flなどといった軸部、さらにはアーム部Aおよびウエイト部Wである。こうして、鍛造クランク軸11が製造される。
図2A〜図2Fに示す製造工程は、前記図1Aおよび図1Bに示す4気筒−8枚カウンターウエイトの鍛造クランク軸に限らず、様々な鍛造クランク軸に適用できる。例えば、4気筒−4枚カウンターウエイトの鍛造クランク軸にも適用できる。
4気筒−4枚カウンターウエイトの鍛造クランク軸の場合、8枚のアーム部A1〜A8のうち、一部のアーム部がウエイト部Wを一体で備える。例えば先頭の第1アーム部A1、最後尾の第8アーム部A8および中央の2枚のアーム部(第4アーム部A4および第5アーム部A5)がウエイト部Wを一体で有する。また、残りのアーム部、具体的には、第2、第3、第6および第7のアーム部(A2、A3、A6およびA7)は、ウエイト部を備えず、その形状は長円状となる。
その他に、3気筒エンジン、直列6気筒エンジン、V型6気筒エンジン、8気筒エンジン等に搭載される鍛造クランク軸であっても、製造工程は同様である。なお、ピン部の配置角度の調整が必要な場合は、バリ抜き工程の後に、捩り工程が追加される。
予備成形工程の主目的は、ビレットの体積を配分することである。予備成形工程でビレットの体積を配分することにより、後工程の型鍛造工程でバリの形成を低減でき、材料歩留りを向上できる。ここで、材料歩留りとは、ビレットの体積に対する鍛造クランク軸(最終製品)の体積の割合(百分率)を意味する。
また、予備成形によって得られる荒地は、後工程の型鍛造工程で鍛造クランク軸に成形される。精密な形状の鍛造クランク軸を得るため、予備成形工程では精密な形状の荒地を成形する必要がある。
鍛造クランク軸の製造に関する技術は、例えば、特開2001−105087号公報(特許文献1)、特開平2−255240号公報(特許文献2)、特開昭62−244545号公報(特許文献3)および特開昭59−45051号公報(特許文献4)に開示される。特許文献1は、一対からなる上型と下型を用いた予備成形方法を開示する。その予備成形方法では、上型と下型とで棒状の被加工物を圧下する際に、被加工物の一部を軸方向に延ばすとともに、その一部を軸心に対してオフセットする。これにより、特許文献1では、延ばしと曲げを同時に実施できることから、設備投資を少なくできるとしている。
特許文献2の予備成形方法は、従来の2パスのロール設備に代え、4パスの高速ロール設備を用いる。その予備成形方法では、ロール荒地の断面積が、鍛造クランク軸(最終製品)のウエイト部、アーム部およびジャーナル部の断面積の分布に合わせて決められる。これにより、特許文献2では、材料歩留りを向上できるとしている。
特許文献3の予備成形方法は、転造により、ビレットの軸方向および径方向にビレットの一部の体積を配分する。体積配分されたビレットを型鍛造することによって、鍛造クランク軸が得られる。これにより、特許文献3では、材料歩留りを向上できるとしている。
特許文献4の製造方法では、一対からなる上型と下型とポンチとを用いた1回の型鍛造により、ビレットを鍛造クランク軸に成形する。型鍛造工程では、まず、ビレットのうちのジャーナル部となる領域およびピン部となる領域を別個に稼働するポンチによって圧下する。圧下によりビレットの体積が配分される。その後、上型および下型によって型鍛造が実施される。すなわち、1工程で、予備成形および型鍛造ができる。これにより、特許文献4では、複雑な形状の鍛造クランク軸を単一の設備で効率よく製造できるとしている。
特開2001−105087号公報 特開平2−255240号公報 特開昭62−244545号公報 特開昭59−45051号公報
鍛造クランク軸の製造では、前述の通り、バリの形成を低減して材料歩留りを向上させることが望まれている。前記特許文献1に記載の予備成形方法では、ビレットの体積の配分とオフセットをある程度行うことができる。
しかしながら、前記特許文献1の予備成形方法では、ウェブとなる部位において、ウエイト部となる部位の体積と、ウエイト部を一体で備えるアーム部となる部位の体積と、の配分が検討されていない。そのため、後工程の型鍛造工程において、アーム部中心面から大きく張り出すウエイト部で、材料の充満性が不十分となり、欠肉が生じ易い。ウエイト部の欠肉を防止するには、簡便には、荒地で余剰の体積を増加させればよい。しかし、この場合、材料歩留りが低下する。以下では、ウエイト部となる部位を「ウエイト相当部」ともいう。ウエイト部を一体で備えるアーム部(ウエイト部を除く)となる部位を「アーム相当部」ともいう。ウエイト相当部とアーム相当部をまとめて「ウェブ相当部」ともいう。
前記特許文献2の予備成形方法では、ウェブ相当部でウエイト相当部とアーム相当部との体積配分を行えない。ロール成形によるからである。そのため、後工程の型鍛造工程において、ウエイト部の材料の充満性が不十分となる。その結果、欠肉が生じ易い。
前記特許文献3の予備成形方法では、転造を実施するための設備が必要となる。そのため、設備費用が高くなり、また、生産効率の向上も難しい。
前記特許文献4の製造方法では、単一の設備で予備成形および型鍛造を実施するため、ビレットを大きく変形させる予備成形を実施できない。そのため、特許文献4の製造方法では、材料歩留りを向上させることは難しい。
本発明の目的は、精密な形状の鍛造クランク軸の成形ができ、かつ、材料歩留りを向上できる鍛造クランク軸の製造方法を提供することである。
本発明の一実施形態による鍛造クランク軸の製造方法は、回転中心となるジャーナル部と、ジャーナル部に対して偏心したピン部と、ジャーナル部とピン部をつなぐクランクアーム部と、を備える鍛造クランク軸の製造方法である。
鍛造クランク軸の製造方法は、ビレットから初期荒地を得る第1予備成形工程と、初期荒地から中間荒地を得る第2予備成形工程と、中間荒地から最終荒地を得る最終予備成形工程と、型鍛造によって最終荒地を鍛造クランク軸の仕上げ寸法に成形する仕上げ鍛造工程と、を含む。第1予備成形工程は、扁平部形成工程と、偏心工程とを含む。扁平部形成工程では、一対の第1金型を用い、ビレットのジャーナル部となる部位を、ビレットの軸方向と垂直な方向から圧下する。これにより、ジャーナル部となる部位の断面積を減少させて扁平部を形成する。偏心工程では、第1金型による圧下を開始後、第2金型を用い、ビレットの軸方向と垂直な方向を偏心方向にしてピン部となる部位を偏心させる。第2予備成形工程では、一対の第3金型を用い、扁平部の幅方向を圧下方向にして初期荒地のピン部となる部位、および扁平部を圧下する。これにより、クランクアーム部となる部位の一部または全部のクランクアーム部となる部位の厚みが、仕上げ寸法の厚みよりも大きくなる。最終予備成形工程では、第4金型を用い、第2予備成形工程と同じ方向から中間荒地を圧下し、さらに、クランクアーム部となる部位を、中間荒地の軸方向から圧下する。これにより、ピン部となる部位の偏心量を維持しつつ、クランクアーム部となる部位の厚みを、仕上げ寸法の厚みまで小さくする。
本発明の実施形態による鍛造クランク軸の製造方法は、第1予備成形工程および第2予備成形工程により、バリを形成することなく、軸方向の体積の配分が促進された中間荒地を得ることができる。また、中間荒地は、ジャーナル部となる部位の体積と、ピン部となる部位の体積と、アーム部となる部位の体積とが適切に配分される。そのため、最終予備成形工程においても、バリをほとんど形成せずに、鍛造クランク軸の形状に近い形状の最終荒地を得ることができる。そして、仕上げ鍛造工程により、その最終荒地から鍛造クランク軸の形状を造形できる。これらより、材料歩留りを向上させることができる。また、本発明によれば、第1予備成形工程および第2予備成形工程により精密な形状の荒地を成形できる。そのため、精密な形状の鍛造クランク軸を製造できる。
図1Aは、一般的な鍛造クランク軸の全体形状の一例を示す模式図である。 図1Bは、図1AのIB−IB断面図である。 図2Aは、従来の製造工程におけるビレットを示す模式図である。 図2Bは、従来の製造工程におけるロール荒地を示す模式図である。 図2Cは、従来の製造工程における曲げ荒地を示す模式図である。 図2Dは、従来の製造工程における荒鍛造材を示す模式図である。 図2Eは、従来の製造工程における仕上げ鍛造材を示す模式図である。 図2Fは、従来の製造工程における鍛造クランク軸を示す模式図である。 図3Aは、本実施形態の製造工程例におけるビレットを示す模式図である。 図3Bは、本実施形態の製造工程例における初期荒地を示す模式図である。 図3Cは、本実施形態の製造工程例における中間荒地を示す模式図である。 図3Dは、本実施形態の製造工程例における最終荒地を示す模式図である。 図3Eは、本実施形態の製造工程例における仕上げ鍛造材を示す模式図である。 図3Fは、本実施形態の製造工程例における鍛造クランク軸を示す模式図である。 図4は、1つの金型で第1予備成形工程を実施する場合を示す縦断面図である。 図5は、本実施形態の第1金型および第2金型を示す縦断面図である。 図6は、図5とは異なる本実施形態の第1金型および第2金型を示す縦断面図である。 図7Aは、第1予備成形工程の加工フロー例における扁平部形成工程開始時の状況を示す横断面図である。 図7Bは、第1予備成形工程の加工フロー例における扁平部形成工程終了時の状況を示す横断面図である。 図7Cは、第1予備成形工程の加工フロー例における偏心工程終了時の状況を示す横断面図である。 図8Aは、第1予備成形工程の加工フロー例における扁平部形成工程開始時のジャーナル部となる部位を示す横断面図である。 図8Bは、第1予備成形工程の加工フロー例における扁平部形成工程終了時のジャーナル部となる部位を示す横断面図である。 図9Aは、第1予備成形工程の加工フロー例における偏心工程開始時のピン部となる部位を示す横断面図である。 図9Bは、第1予備成形工程の加工フロー例における偏心工程終了時のピン部となる部位を示す横断面図である。 図10Aは、第1予備成形工程の加工フロー例における扁平部形成工程開始時のアーム部となる部位を示す横断面図である。 図10Bは、第1予備成形工程の加工フロー例における扁平部形成工程終了時のアーム部となる部位を示す横断面図である。 図11Aは、第2予備成形工程の加工フロー例における圧下前の状況を模式的に示す縦断面図である。 図11Bは、第2予備成形工程の加工フロー例における圧下終了時の状況を模式的に示す縦断面図である。 図12Aは、第2予備成形工程の加工フロー例における圧下前のジャーナル部となる部位を示す横断面図である。 図12Bは、第2予備成形工程の加工フロー例における圧下終了時のジャーナル部となる部位を示す横断面図である。 図13Aは、第2予備成形工程の加工フロー例における圧下前のピン部となる部位を示す横断面図である。 図13Bは、第2予備成形工程の加工フロー例における圧下終了時のピン部となる部位を示す横断面図である。 図14Aは、第2予備成形工程の加工フロー例における圧下前のア−ム相当部を示す横断面図である。 図14Bは、第2予備成形工程の加工フロー例における圧下終了時のアーム相当部を示す横断面図である。 図15Aは、最終予備成形工程の加工フロー例の圧下前の状況を模式的に示す縦断面図である。 図15Bは、最終予備成形工程の加工フロー例における上型の下死点到達時の状況を模式的に示す縦断面図である。 図15Cは、最終予備成形工程の加工フロー例における軸方向の移動終了時の状況を模式的に示す縦断面図である。 図16Aは、最終予備成形工程の加工フロー例の圧下前の状況を模式的に示す横断面図である。 図16Bは、最終予備成形工程の加工フロー例における上型の下死点到達時の状況を模式的に示す横断面図である。 図16Cは、最終予備成形工程の加工フロー例における軸方向の移動終了時の状況を模式的に示す横断面図である。 図17は、最終予備成形工程での中間荒地の姿勢と上下の金型による型締め方向を示す模式図であり、中間荒地を軸方向から視た図である。
本発明の一実施形態による鍛造クランク軸の製造方法は、ジャーナル部と、ピン部と、クランクアーム部と、を備える鍛造クランク軸の製造方法である。ジャーナル部は、回転中心となる。ピン部は、ジャーナル部に対して偏心する。クランクアーム部は、ジャーナル部とピン部をつなぐ。
鍛造クランク軸の製造方法は、第1予備成形工程と、第2予備成形工程と、最終予備成形工程と、仕上げ鍛造工程と、を含む。第1予備成形工程は、ビレットから初期荒地を得る。第2予備成形工程は、初期荒地から中間荒地を得る。最終予備成形工程は、中間荒地から最終荒地を得る。仕上げ鍛造工程は、型鍛造によって最終荒地を鍛造クランク軸の仕上げ寸法に成形する。
第1予備成形工程は、扁平部形成工程と、偏心工程とを含む。扁平部形成工程では、一対の第1金型を用い、ビレットのジャーナル部となる部位を、ビレットの軸方向と垂直な方向から圧下する。これにより、ジャーナル部となる部位の断面積を減少させて扁平部を形成する。偏心工程では、第1金型による圧下を開始後、第2金型を用い、ビレットの軸方向と垂直な方向を偏心方向にしてピン部となる部位を偏心させる。
第2予備成形工程では、一対の第3金型を用い、扁平部の幅方向を圧下方向にして初期荒地のピン部となる部位、および前記扁平部を圧下する。これにより、クランクアーム部となる部位の一部または全部のクランクアーム部となる部位の厚みが、仕上げ寸法の厚みよりも大きくなる。
最終予備成形工程では、第4金型を用い、第2予備成形工程と同じ方向から中間荒地を圧下し、さらに、クランクアーム部となる部位を、中間荒地の軸方向から圧下する。これにより、ピン部となる部位の偏心量を維持しつつ、クランクアーム部となる部位の厚みを、仕上げ寸法の厚みまで小さくする。
本実施形態の製造方法によれば、第1予備成形工程および第2予備成形工程により、バリを形成することなく、軸方向の体積の配分が促進された中間荒地を得ることができる。また、中間荒地は、ジャーナル部となる部位の体積と、ピン部となる部位の体積と、アーム部となる部位の体積とが適切に配分される。そのため、最終予備成形工程においても、バリをほとんど形成せずに、鍛造クランク軸の形状に近い形状の最終荒地を得ることができる。そして、仕上げ鍛造工程により、その最終荒地から鍛造クランク軸の形状を造形できる。これらより、材料歩留りを向上させることができる。また、第1予備成形工程において、ジャーナル部となる部位の圧下と、ピン部となる部位の圧下を別個の金型で行う。そのため、ピン部となる部位の偏心中にジャーナル部となる部位が第1金型により拘束されているため精密な形状の荒地を成形できる。その結果、精密な形状の鍛造クランク軸を製造できる。
好ましくは、第1予備成形工程では、一対の第1金型による圧下が完了した後、第2金型によるピン部となる部位の偏心を開始する。
第1予備成形工程では、ピン部となる部位の偏心量は、仕上げ寸法の偏心量と同じかまたはそれよりも小さくてもよい。
好ましくは、一部のクランクアーム部となる部位以外のクランクアーム部となる部位は、鍛造クランク軸のカウンターウエイト部となる部位を含む。そして、第2予備成形工程では、カウンターウエイト部となる部位を含むクランクアーム部となる部位の厚みは仕上げ寸法の厚みよりも大きくなり、一部のクランクアーム部となる部位の厚みは仕上げ寸法の厚みである。
以下に、本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
1.製造工程例
本実施形態の製造方法が対象とする鍛造クランク軸は、回転中心となるジャーナル部Jと、ジャーナル部Jに対して偏心したピン部Pと、ジャーナル部Jとピン部Pをつなぐアーム部Aと、を備える。鍛造クランク軸は、複数のジャーナル部J、複数のピン部P、複数のアーム部Aを備えていてもよい。鍛造クランク軸は、複数のウエイト部Wを備えてもよい。1つのウエイト部は、1つのアーム部に一体で設けられる。例えば、前記図1Aおよび図1Bに示す4気筒−8枚カウンターウエイトの鍛造クランク軸11が製造対象である。4気筒−8枚カウンターウエイトの鍛造クランク軸の場合、複数のアーム部Aのうちの全部がウエイト部Wを一体で備える。前述の4気筒−4枚カウンターウエイトの鍛造クランク軸等も製造対象である。4気筒−4枚カウンターウエイトの鍛造クランク軸の場合、複数のアーム部Aのうちの一部がウエイト部Wを一体で備える。ウエイト部を備えないアーム部の形状は長円状である。
本実施形態の製造方法は、第1予備成形工程と、第2予備成形工程と、最終予備成形工程と、仕上げ鍛造工程とを含む。仕上げ鍛造工程の後工程として、バリ抜き工程を追加してもよい。また、必要に応じて、バリ抜き工程の後に、整形工程を追加してもよい。ピン部の配置角度の調整が必要な場合は、バリ抜き工程の後に、捩り工程を追加してもよい。これらの一連の工程は、熱間で実施される。
図3A〜図3Fは、本実施形態の鍛造クランク軸の製造工程例を説明するための模式図である。これらの図のうち、図3Aはビレットを示す。図3Bは初期荒地を示す。図3Cは中間荒地を示す。図3Dは最終荒地を示す。図3Eは仕上げ鍛造材を示す。図3Fは鍛造クランク軸を示す。なお、図3A〜図3Fは、前記図1に示す形状の鍛造クランク軸11を製造する場合の一連の工程を示す。
第1予備成形工程は、扁平部形成工程と、偏心工程とを含む。扁平部形成工程では、一対の第1金型を用い、被加工材であるビレット22のジャーナル部となる複数の部位(以下、「ジャーナル相当部」ともいう)で断面積を減少させる。これに伴って、ビレットに複数の扁平部23aが形成される。扁平部23aは、ジャーナル相当部の位置に形成される。扁平部23aは、後述の図8Bに示すように、圧下方向の厚さtaよりも圧下方向と垂直な方向の幅Bfが大きい。偏心工程では、第1金型40とは別個に稼働する第2金型50を用い、ビレット22のピン部となる複数の部位(以下、「ピン相当部」ともいう)を偏心させる。ピン相当部の偏心方向は、ビレットの軸方向と垂直な方向、すなわち、第1金型および第2金型の圧下方向である。このようにして体積が配分された初期荒地23を得る。
第2予備成形工程では、体積をさらに配分するため、第1予備成形工程とは異なる金型を用い、初期荒地23を圧下する。その際の圧下方向は、扁平部23aの幅方向である。すなわち、第2予備成形工程では、第1予備成形工程で得られた初期荒地23を軸方向周りに90°回転させた後、圧下する。これにより、バリ無しの中間荒地24が得られる。中間荒地24において、アーム相当部の軸方向の厚さt1(図3C参照)は、仕上げ寸法の厚さt0(図3F参照)よりも大きい。仕上げ寸法の厚さt0とは、鍛造クランク軸(最終製品)のアーム部の軸方向の厚さを意味する。また、中間荒地24のピン相当部の偏心量は、仕上げ寸法の偏心量と同じかまたはそれよりも小さい。仕上げ寸法の偏心量とは、鍛造クランク軸のピン部の偏心量を意味する。第2予備成形工程の詳細については、後述する。
最終予備成形工程では、第4金型を用い、第2予備成形工程と同じ方向から中間荒地24を圧下する。さらに、中間荒地24のアーム相当部を中間荒地24の軸方向から圧下する。これにより、ピン相当部の偏心量を維持しつつ、アーム相当部の厚さを仕上げ寸法の厚みまで小さくする。その結果、鍛造クランク軸のおおよその形状が造形された最終荒地25が得られる。最終荒地25のピン相当部の偏心量は、中間荒地24のピン相当部の偏心量と変わらず、仕上げ寸法の偏心量と同じかまたはそれよりも小さい。
仕上げ鍛造工程では、前述の従来の仕上げ打ち工程と同様に、型鍛造によって最終荒地25を鍛造クランク軸の仕上げ寸法に成形する。具体的には、上下に一対の金型が用いられる。最終荒地25は、ピン相当部が水平面内で並ぶような姿勢で、下型の上に配置される。そして、上型の下降により鍛造が実施される。これにより、余材の流出に伴ってバリBが形成され、バリ付きの仕上げ鍛造材26が得られる。仕上げ鍛造材26には、最終製品の鍛造クランク軸と合致する形状が造形されている。最終荒地25に鍛造クランク軸のおおよその形状が造形されているので、仕上げ鍛造工程で最終荒地25に鍛造を施す際、バリBの形成を最小限に留めることができる。
バリ抜き工程では、例えば、バリ付きの仕上げ鍛造材26を一対の金型によって挟んで保持した状態で、刃物型によってバリBを打ち抜く。これにより、仕上げ鍛造材26からバリBが除去される。その結果、鍛造クランク軸21(最終製品)が得られる。
2.第1予備成形工程で用いられる第1金型および第2金型
本実施形態の第1予備成形工程では、ジャーナル相当部の圧下と、ピン相当部の偏心とを実施する。ジャーナル相当部の圧下と、ピン相当部の偏心とは別個の金型によって実施される。
ジャーナル相当部の圧下と、ピン相当部の偏心とを1つの金型で実施すると、以下に示す問題が生じる可能性がある。
図4は、1つの金型で第1予備成形工程を実施する場合を示す縦断面図である。図4を参照して、第1上型41と第1下型42を離間させた状態で、ビレット22は第1下型42上に配置される。上述したように、第1予備成形工程では、ピン相当部を偏心させる。ビレット22のピン相当部を加工する第1下型42の下型ピン加工部42bは、下型ジャーナル加工部42aよりも突出している。したがって、第1下型42にビレット22を配置すると、ビレット22は2つの下型ピン加工部42bによって2点で支持される。また、第1上型41の上型ピン加工部41bは、下型ピン加工部42bよりもビレット22の端部側に配置される。この状態で、第1金型40がビレット22を圧下すると、下型ピン加工部42bを支点、上型ピン加工部41bを力点として、ビレット22に曲げモーメントが作用する。ビレット22に作用する曲げモーメントが過剰に大きければ、ビレット22は湾曲する。ビレット22が湾曲した状態で第1上型41が下死点に到達すると、第1金型40が圧下するビレット22の位置が、予定の位置からずれる。すなわち、第1金型40のピン加工部がビレット22のアーム相当部を圧下する等の事態が生じ得る。そのため、圧下後の初期荒地に、欠肉等が生じることがある。これを防止するため、本実施形態の第1予備成形工程では、2つの金型を用いる。
図5は、本実施形態の第1金型および第2金型を示す縦断面図である。図5を参照して、本実施形態の製造装置は、第1金型40と第2金型50とを含む。第1金型40は、第1上型41と、第1下型42とを含む。第2金型50は、第2上型51と、第2下型52とを含む。4気筒エンジンの鍛造クランク軸の場合、第2金型50は、2つの第2上型51と、2つの第2下型52とを含む。第2上型51および第2下型52は、第1金型40とは独立して昇降できる。ビレット22の圧下前では、第2下型52は下型ジャーナル加工部42aと同じ高さもしくは下方に配置され、第2上型51は上型ジャーナル加工部41aと同じ高さもしくは上方に配置されている。すなわち、第2下型52および第2上型51は下型ジャーナル加工部42aおよび上型ジャーナル加工部41aよりも突出していない。したがって、圧下開始前に、第1下型42にビレット22を配置しても、ビレット22は第2下型52に支持されない。ビレット22は、複数の下型ジャーナル加工部42aに支持される。複数の下型ジャーナル加工部42aがビレット22を支持する面積は、第2下型52がビレットを支持する面積よりも広い。第1上型41および第2上型51についても同様である。この状態で、第1金型40がビレット22を圧下すると、ジャーナル相当部が均等に圧下される。すなわち、ビレット22に曲げモーメントが作用しにくい。
また、第1金型40の上型ジャーナル加工部41aおよび下型ジャーナル加工部42aによるビレット22のジャーナル相当部の圧下開始後に、第2金型50の第2上型51および第2下型52によるビレット22のピン相当部の偏心が開始される。したがって、ピン相当部の偏心中に、上型ジャーナル加工部41aおよび下型ジャーナル加工部42aによってビレット22のジャーナル相当部が圧下されている。すなわち、ビレット22のジャーナル相当部が上型ジャーナル加工部41aおよび下型ジャーナル加工部42aによって拘束されている。そのため、ピン相当部の偏心中にビレット22が動きにくく、安定した状態でピン相当部を偏心させることができる。
さらに、第2金型50によるピン相当部の偏心は、ビレット22に対して行われる。そのため、ピン相当部またはアーム相当部に第2金型50による疵が生じにくい。具体的に説明すると、仮に、第2金型50によるピン相当部の偏心が、予備成形された(ある程度体積配分された)荒地に対して行われるとする。予備成形された荒地ではピン部及びアーム部がある程度形成されているので、予備成形された荒地の第1下型42への配置がずれると、第2金型50がピン相当部以外の領域と接触する可能性がある。この場合、アーム相当部等に疵が残る可能性がある。しかしながら、本実施形態の製造方法によれば、第2金型50によるピン相当部の偏心は、ビレット22に対して行われる。ビレット22は予備成形されていないので、本実施形態の製造方法によれば、予備成形された荒地のピン相当部を偏心させる場合のような疵が生じることが少ない。
要するに、第2上型51および第2下型52が独立して昇降すること、およびビレット22のジャーナル相当部がピン相当部に先行して圧下されること、により、ピン相当部の偏心中にビレット22が湾曲しにくい。これにより、ビレット22が第1金型40の所定の位置で圧下されるため、圧下後の初期荒地に欠肉等が生じにくい。また、予備成形された荒地ではなく、ビレットに対してピン相当部の偏心を行うため、ピン相当部またはアーム相当部に疵が生じにくい。
第1金型40および第2金型50の構成について説明する。第2金型50は、第2上型51および第2下型52を独立して昇降させるために、制御機構を備える。制御機構は、例えばダイクッション、油圧シリンダである。
図5を参照して、制御機構がダイクッション81である場合について説明する。第1下型42はダイクッション81を介してボルスタベース82に支持される。ダイクッション81は緩衝機能を有する。第2下型52はピンベース83を介してボルスタベース82に支持される。第1下型42がビレット22を圧下し始めると、ダイクッション81の緩衝機能により、第2下型52が第1下型42から突出し始める。上型ジャーナル加工部41aおよび下型ジャーナル加工部42aがビレット22のジャーナル相当部と当接した後に、第2下型52がビレット22のピン相当部と当接するようにダイクッション81は設定される。第1上型41および第2上型51についても同様である。これにより、ビレット22のピン相当部が、ジャーナル相当部の圧下開始後に偏心される。
図6は、図5と異なる本実施形態の第1金型および第2金型を示す縦断面図である。図6を参照して、制御機構が油圧シリンダ84である場合について説明する。油圧シリンダ84は、第2下型52を昇降させることができる。第2下型52は油圧シリンダ84を介してボルスタベース82に支持される。第1下型42がビレット22を圧下し始めると、油圧シリンダ84が作動し、第2下型52が第1下型42から突出し始める。上型ジャーナル加工部41aおよび下型ジャーナル加工部42aがビレット22のジャーナル相当部と当接した後に、第2下型52がビレット22のピン相当部と当接するように油圧シリンダ84は設定される。第1上型41および第2上型51についても同様である。これにより、ビレット22のピン相当部が、ジャーナル相当部の圧下開始後に偏心される。
制御機構がダイクッションまたは油圧シリンダのいずれの場合であっても、第2下型52が第1下型42から突出するタイミングは適宜設定される。第1上型41および第2上型51についても同様である。すなわち、ピン相当部は、ジャーナル相当部の圧下開始後から圧下完了までの間に偏心されてもよい。ピン相当部は、ジャーナル相当部の圧下完了後に偏心されてもよい。
3.第1予備成形工程の加工フロー例
図7A〜図10Bは、第1予備成形工程の加工フロー例を示す模式図である。これらの図のうち、図7Aは、扁平部形成工程開始時の状況を示す縦断面図であり、図7Bは扁平部形成工程終了時の状況を示す縦断面図であり、図7Cは偏心工程終了時の状況を示す縦断面図である。
図8Aおよび図8Bは、ジャーナル相当部を示す横断面図である。これらの図のうち、図8Aは扁平部形成工程開始時の状況を示し、図8Bは扁平部形成工程終了時の状況を示す。なお、図8Aは、前記図7AのVIIIA−VIIIA断面図であり、図8Bは、前記図7CのVIIIB−VIIIB断面図である。
図9Aおよび図9Bは、ピン相当部を示す横断面図である。これらの図のうち、図9Aは偏心工程開始時の状況を示し、図9Bは偏心工程終了時の状況を示す。なお、図9Aは、前記図7AのIXA−IXA断面図であり、図9Bは、前記図7CのIXB−IXB断面図である。図9Aおよび図9Bには、ビレット22と、第2金型50とを示す。
図10Aおよび図10Bは、アーム相当部を示す横断面図である。これらの図のうち、図10Aは扁平部形成工程開始時の状況を示し、図10Bは扁平部形成工程終了時の状況を示す。なお、図10Aは、前記図7AのXA−XA断面図であり、図10Bは、前記図7CのXB−XB断面図である。
状況の理解を容易にするため、図8B、図9Bおよび図10Bには、圧下開始時の第1金型40または第2金型50およびビレット22を二点鎖線で併記するとともに、ジャーナル相当部の軸心位置Cを黒塗りの丸印で示す。
図7Aを参照して、一対の第1金型40は、ジャーナル相当部と当接する上型ジャーナル加工部41aおよび下型ジャーナル加工部42aを備える。一対の第1金型40は、ビレット22のアーム相当部と当接する上型アーム加工部41cおよび下型アーム加工部42cを備える。一つの第2上型51は第1ピン部となる部位(第1ピン相当部)と当接し、もう一つの第2上型51は第4ピン部となる部位(第4ピン相当部)と当接する。一つの第2下型52は第2ピン部となる部位(第2ピン相当部)と当接し、もう一つの第2下型52は第3ピン部となる部位(第3ピン相当部)と当接する。
なお、本実施形態では図7A〜図7Cに示すように、複数のピン相当部の全てを偏心させる場合を示すが、本実施形態のクランク軸の製造方法はこれに限定されない。本実施形態のクランク軸の製造方法では、第1予備成形工程で1つのピン相当部を偏心させてもよいし、2つ以上のピン相当部を偏心させてもよい。第1予備成形工程で偏心させなかったピン相当部は、後工程で周知の方法により偏心させればよい。
ジャーナル加工部は、図8Aに太線で示すように、上型ジャーナル加工部41a、および、下型ジャーナル加工部42aからなる。上型ジャーナル加工部41aは、第1上型41に設けられる。下型ジャーナル加工部42aは、第1下型42に設けられる。上型ジャーナル加工部41aは、凹状であり、ビレット22のジャーナル相当部の全体を収容可能である。下型ジャーナル加工部42aは、凸部の先端面に設けられる。なお、上型ジャーナル加工部41aおよび下型ジャーナル加工部42aのいずれを凹状とするかは、特に制限はない。つまり、下型ジャーナル加工部がビレットのジャーナル相当部の全体を収容可能な凹状であってもよい。
第2金型50の第2上型51は、図9Aに太線で示すように、凹状であり、ビレット22のピン相当部の全体を収容可能である。第2下型52は、第2上型51と上下が反転した構成である。
第1予備成形工程では、図7Aに示すように、第1上型41を上昇させて第1上型41と第1下型42を離間させた状態で、ビレット22を第1上型41と第1下型42の間に配置する。
この状態から第1上型41を下降させる。すると、図8Aに示すように、ビレット22のジャーナル相当部が凹状の上型ジャーナル加工部41aに収容される。図9Aに示すように、ビレット22のピン相当部が第2上型51に収容される。
第1上型41をさらに下降させると、上型ジャーナル加工部41aおよび下型ジャーナル加工部42aによって閉断面が形成される。この状態で、第1上型41をさらに下降させて下死点に到達させると、上型ジャーナル加工部41aおよび下型ジャーナル加工部42aの内部のジャーナル相当部全体が圧下される。このようにしてビレット22のジャーナル相当部が第1金型40によって圧下され、その結果、ジャーナル相当部で断面積が減少し、扁平部23aが形成される。これに伴い、ジャーナル相当部で余剰となった材料が軸方向に流動してアーム相当部に流入し、体積の配分が進行する。
図9Aおよび図9Bを参照して、第1金型40による圧下が開始した後、好ましくは圧下が終了した後、第2金型50の第2上型51および第2下型52がピン相当部を偏心させる。ピン相当部の重心は、ピン部の偏心方向(図1Bのハッチングを施した矢印参照)に移動する。そして、ピン相当部の偏心量は、仕上げ寸法の偏心量と同じになる。しかしながら、ピン相当部の偏心量は、これに限定されない。ピン相当部の偏心量は、仕上げ寸法の偏心量よりも小さくてもよい。この場合、仕上げ鍛造工程で、ピン相当部の偏心量を仕上げ寸法の偏心量とする。
アーム加工部の横断面形状は、図10Aに太線で示すように、上型アーム加工部41cおよび下型アーム加工部42cは凹状である。第1予備成形工程では、アーム部は積極的には加工しない。したがって、第1上型41が下死点に到達しても上型アーム加工部41cは、ビレット22のアーム相当部に当接しない。
第1金型40による圧下の終了後、第1上型41および第2上型51を上昇させ、加工済みのビレット22(初期荒地23)を取り出す。
第1予備成形工程によれば、ジャーナル相当部からアーム相当部に材料が流動する。これにより、軸方向に体積を適切に配分できる。その結果、後工程において、アーム部で欠肉が生じるのを抑制できる。さらに、第2金型50の第2上型51および第2下型52が独立して昇降すること、およびビレットのジャーナル相当部がピン相当部に先行して圧下されること、により、ピン相当部の偏心中にビレット22が湾曲しにくい。これにより、体積配分されたビレット22が、第1金型40の所定の位置で圧下されるため、圧下後の初期荒地に欠肉等が生じにくい。
4.第2予備成形工程の加工フロー例
図11A〜図14Bは、第2予備成形工程の加工フロー例を示す模式図である。これらの図のうち、図11Aは、圧下前の状況を示す縦断面図であり、図11Bは圧下終了時の状況を示す縦断面図である。
図12Aおよび図12Bは、ジャーナル相当部を示す横断面図である。これらの図のうち、図12Aは圧下前の状況を示し、図12Bは圧下終了時の状況を示す。なお、図12Aは、前記図11AのXIIA−XIIA断面図であり、図12Bは、前記図11BのXIIB−XIIB断面図である。
図13Aおよび図13Bは、ピン相当部を示す横断面図である。これらの図のうち、図13Aは圧下前の状況を示し、図13Bは圧下終了時の状況を示す。なお、図13Aは、前記図11AのXIIIA−XIIIA断面図であり、図13Bは、前記図11BのXIIIB−XIIIB断面図である。
図14Aおよび図14Bは、アーム相当部を示す横断面図である。これらの図のうち、図14Aは圧下前の状況を示し、図14Bは圧下終了時の状況を示す。なお、図14Aは、前記図11AのXIVA−XIVA断面図であり、図14Bは、前記図11BのXIVB−XIVB断面図である。
図11A〜図14Bには、初期荒地23と、上下で一対の第3金型30とを示す。第3金型30は、第3上型31と、第3下型32とを備える。状況の理解を容易にするため、図12B、図13Bおよび図14Bには、圧下前の第3上型31、第3下型32および初期荒地23を二点鎖線で併記するとともに、ジャーナル相当部の軸心位置Cを黒塗りの丸印で示す。一対の第3金型30は、ピン相当部と当接するピン加工部、および、ジャーナル相当部と当接するジャーナル加工部を備える。
ジャーナル加工部は、図12Aに太線で示すように、上型ジャーナル加工部31a、および、下型ジャーナル加工部32aからなる。上型ジャーナル加工部31aは、第3上型31に設けられる。下型ジャーナル加工部32aは、第3下型32に設けられる。上型ジャーナル加工部31aおよび下型ジャーナル加工部32aは、凹状であり、初期荒地のジャーナル相当部を収容可能である。
ピン加工部は、図13Aに太線で示すように、上型ピン加工部31b、および、下型ピン加工部32bからなる。上型ピン加工部31bは、第3上型31に設けられる。下型ピン加工部32bは、第3下型32に設けられる。上型ピン加工部31bおよび下型ピン加工部32bは、凹状であり、初期荒地のピン相当部を収容可能である。
鍛造クランク軸のアーム部がウエイト部を含む場合、上型アーム加工部31cおよび下型アーム加工部32cは、図14Aに示すように、ウエイト部となる部位(ウエイト相当部)と当接するウエイト加工部32eを有する。ウエイト加工部32eは凹状の下型アーム加工部32cのピン相当部の偏心方向と反対側の端部に位置する。ウエイト加工部32eの開口幅Bp(図14B参照)は、ピン相当部の偏心方向と反対方向に向かって広くなる。例えば図14Aに示すように、ウエイト加工部32eは、圧下方向の両側面がいずれも傾斜面である。
第2予備成形工程では、前述の通り、アーム相当部の厚さを仕上げ寸法の厚さよりも大きくする。このため、上型アーム加工部31cおよび下型アーム加工部32cの軸方向の長さは、アーム部の仕上げ寸法の厚さより大きい。
第2予備成形工程では、図11Aに示すように、第3上型31を上昇させて第3上型31と第3下型32を離間させた状態で、初期荒地23を第3上型31と第3下型32の間に配置する。その際、扁平部の幅方向(楕円の場合は長径方向)が圧下方向となるように、初期荒地23は、第1予備成形工程の終了時における状態から軸回りに90°回転した姿勢で配置される。
この状態から第3上型31を下降させる。すると、図13Bに示すように、上型ピン加工部31bおよび下型ピン加工部32bによって閉断面が形成される。また、図12Bに示すように、上型ジャーナル加工部31aおよび下型ジャーナル加工部32aによって閉断面が形成される。この状態で、第3上型31をさらに下降させて下死点に到達させると、上型ピン加工部31bおよび下型ピン加工部32bの内部のピン相当部が圧下される。また、上型ジャーナル加工部31aおよび下型ジャーナル加工部32aの内部の扁平部全体が圧下される。その結果、ジャーナル相当部およびピン相当部で断面積が減少する。これに伴い、余剰となった材料が軸方向に流動してアーム相当部に流入し、体積の配分が進行する。
また、図11A〜図14Bに示す加工フロー例によれば、第3上型31を下降させる過程で、凹状の上型ピン加工部31bの開口が、下型ピン加工部32bで塞がれ、上型ピン加工部31bおよび下型ピン加工部32bによって閉断面が形成される。また、凹状の上型ジャーナル加工部31aの開口が、下型ジャーナル加工部32aで塞がれ、上型ジャーナル加工部31aおよび下型ジャーナル加工部32aによって閉断面が形成される。これにより、第3上型31と第3下型32との間にバリが形成されることがない。したがって、材料歩留りを向上できるとともに、体積の軸方向の配分を促進できる。
第2予備成形工程で一対の第3金型を用いる場合、体積の軸方向の配分を促進する観点から、アーム相当部を第3金型によって圧下しなくてもよい。また、アーム相当部の形状(寸法)を整えるため、アーム相当部を部分的に第3金型によって圧下してもよい(図14Aおよび図14B参照)。
第3金型30による圧下の終了後、第3上型31を上昇させ、加工済みの初期荒地23(中間荒地24)を取り出す。このようにして得られる中間荒地において、アーム相当部の厚さは、仕上げ寸法の厚さよりも大きい。
本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法は、上述した第2予備成形工程を含む。しかしながら、第2予備成形工程を省略することは可能である。たとえば、第1予備成形工程終了後に初期荒地を、後述する最終予備成形工程で最終荒地に成形してもよい。ただし、第2予備成形工程を省略する場合、初期荒地を大きく変形させるため、成形された最終荒地に疵が生じやすい。そのため、疵を抑制する観点から、第2予備成形工程は実施される方がよい。
5.最終予備成形工程の加工フロー例
図15A〜図15Cは、最終予備成形工程の加工フロー例を模式的に示す縦断面図である。これらの図のうち、図15Aは圧下前の状況を示す。図15Bは上型の下死点到達時の状況を示す。図15Cは軸方向の移動終了時の状況を示す。また、図16A〜図16Cは、最終予備成形工程の加工フロー例を模式的に示す横断面図である。これらの図のうち、図16Aは圧下前の状況を示す。図16Bは上型の下死点到達時の状況を示す。図16Cは軸方向の移動終了時の状況を示す。図17は、最終予備成形工程での中間荒地の姿勢と上下の金型による型締め方向を示す模式図であり、中間荒地を軸方向から視た図である。図15A〜図15Cには、前述の第2予備成形工程で得られた中間荒地24と、上下で一対の第4金型90と、上側プレート92と、下側プレート93とを示す。図16A〜図16Cには、中間荒地24と、第4下型70と、下側プレート93とを示す。なお、図16Aでは、図面の理解を容易にするため中間荒地24は破線で示す。
第4金型90は、第4上型60と、第4下型70とを備える。第4上型60は、上側プレート92上に支持される。上側プレート92はプレス機のラム(図示省略)の作動に伴って上下動する。第4下型70は、下側プレート93上に支持される。下側プレート93はプレス機の土台(図示省略)に固定される。
アーム相当部を中間荒地24の軸方向から圧下するために、第4上型60および第4下型70は、複数の部材に分割されている。第4上型60および第4下型70を構成する部材は中間荒地24の軸方向に沿って並べて配置される。第4上型60および第4下型70は、それぞれ、固定ジャーナル型部材61および71と、複数の可動ジャーナル型部材62および72と、複数のピン型部材63および73とを備える。
固定ジャーナル型部材61および71は、中間荒地24のうちで中央のジャーナル相当部(第3ジャーナル部となる部位)、およびそのジャーナル相当部につながるアーム相当部を含む位置に配置される。固定ジャーナル型部材61および71は、上側プレート92および下側プレート93に対し、移動不能である。
可動ジャーナル型部材62および72は、中間荒地24のうちで中央以外のジャーナル相当部(第1、第2、第4および第5ジャーナル部となる部位)、およびそのジャーナル相当部につながるアーム相当部を含む位置にそれぞれ配置される。なお、前側の端の可動ジャーナル型部材62および72は、フロントとなる部位の位置にも存在する。後側の端の可動ジャーナル型部材62および72は、フランジとなる部位の位置にも存在する。可動ジャーナル型部材62および72は、上側プレート92および下側プレート93の上で、中間荒地24の軸方向であって固定ジャーナル型部材61および71に向く方向に移動可能である。
ピン型部材63および73は、中間荒地24のうちでピン相当部の位置にそれぞれ配置される。ピン型部材63および73は、上側プレート92および下側プレート93の上で、中間荒地24の軸方向であって固定ジャーナル型部材61および71に向く方向に移動可能である。ピン型部材63および73は、上側プレート92および下側プレート93に対し、その軸方向以外の方向に移動不能である。
このような部材からなる第4上型60および第4下型70には、それぞれ型彫刻部(図15A中の符号61a、62a、63a、71a、72aおよび73a参照)が形成されている。その型彫刻部には、鍛造クランク軸(最終製品)のおおよその形状が反映されている。
最終予備成形工程では、図15Aに示すように、第4上型60を上昇させた状態で、中間荒地24を第4上型60と第4下型70の間に配置する。その際、中間荒地24は、ピン相当部が水平面内で並ぶような姿勢で配置される(図17参照)。この状態から、第4上型60を下降させる。すると、中間荒地24が、第4上型60および第4下型70によって中間荒地24の軸方向と垂直な方向(図15A〜図15Cでは水平方向)から圧下される。これにより、中間荒地24のジャーナル相当部およびピン相当部が圧下され、ジャーナル部およびピン部のおおよその形状が造形される。
さらに、図16A〜図16Cに示すように、可動ジャーナル型部材62および72、並びにピン型部材63および73を、中間荒地24の軸方向であって固定ジャーナル型部材61および71に向く方向に移動させる。この移動は、例えば、くさび機構または油圧シリンダによって実現できる。
可動ジャーナル型部材62および72、並びにピン型部材63および73の軸方向移動に伴い、中間荒地24のアーム相当部が中間荒地24の軸方向に圧下される。これにより、アーム相当部の厚さが仕上げ寸法の厚さまで小さくなり、アーム部およびウエイト部のおおよその形状が造形される。その際、ピン相当部は偏心方向に移動しない。つまり、ピン相当部の偏心量は、仕上げ寸法の偏心量と同じに維持される。
第4金型90による圧下の終了後、第4上型60を上昇させ、加工済みの中間荒地24(最終荒地)を取り出す。
このような最終予備成形工程によれば、アーム相当部を軸方向に圧下することから、アーム部(鍛造クランク軸がウエイト部を含む場合はアーム部およびウエイト部)で、材料の充満性を向上でき、欠肉が生じるのを抑制できる。また、アーム部の材料の充満性に優れることから、バリをほとんど形成することなく、最終荒地を得ることができる。この最終荒地を用いるので、仕上げ鍛造工程でも、バリの形成を最小限に留めることができる。これらによって、材料歩留りを向上できる。仕上げ鍛造工程は、周知の型鍛造工程であるので、詳細な説明は省略する。
6.好ましい態様等
図5を参照して、クランク軸のクランクアーム部がカウンターウエイト部を有する場合、ビレット22を加工する前、第2上型51は上型ジャーナル加工部41aよりも高い位置であるのが好ましく、第2下型52は下型ジャーナル加工部42aよりも低い位置であるのが好ましい。この理由は次のとおりである。
図7Bを参照して、上述したように、第1予備成形工程ではピン相当部の偏心よりも先行して、上型ジャーナル加工部41aおよび下型ジャーナル加工部42aによってジャーナル相当部が圧下される。ジャーナル相当部が圧下されると、ビレット22の材料がアーム相当部およびピン相当部に流れ込む。この際、第2上型51が上型ジャーナル加工部41aよりも上方に位置していれば、第2上型51とビレット22との間に空間が形成されている。そのため、ジャーナル相当部からの材料が第2上型51に邪魔されずにスムーズにこの空間に流れ込むことができる。したがって、第1予備成形工程において、より体積配分がし易くなり、カウンターウエイト部の体積分の材料を確保しやすい。第2下型52についても同様である。
図5を参照して、クランク軸のクランクアーム部がカウンターウエイト部を有さない場合、ビレット22を加工する前、第2上型51は上型ジャーナル加工部41aと同じ高さであるのが好ましく、第2下型52は下型ジャーナル加工部42aと同じ高さであるのが好ましい。この理由は次のとおりである。
図7Bを参照して、カウンターウエイト部を有さないクランクアーム部は体積が小さいため、カウンターウエイト部を有するクランクアーム部の場合と比べて、予備成形工程での体積配分は小さくて済む。第2上型51が上型ジャーナル加工部41aと同じ高さに位置していれば、第2上型51とビレット22との間に空間が形成されない。そのため、ジャーナル相当部からの材料がスムーズにこの空間に流れ込みにくくなる。そのため、ジャーナル相当部から過剰に材料が流れ込むことを抑制できる。
後工程でウエイト部の材料の充満性を向上させる観点から、第2予備成形工程において、中間荒地のアーム相当部の厚みt1(mm)は、仕上げ寸法t0(mm)に対する比(t1/t0)で、1.1以上とするのが好ましく、1.5以上とするのがより好ましい。一方、比(t1/t0)が3.5を超えると、材料表面のバルジ変形領域が大きくなり、アーム部外周の寸法精度が低下するおそれがある。このため、比(t1/t0)を3.5以下とするのが好ましい。
鍛造クランク軸がウエイト部を含む場合、後工程でウエイト部の材料の充満性を確保しつつウエイト部の欠肉を防止する観点から、中間荒地のウェブ相当部の断面積Sw2(mm)は、鍛造クランク軸(最終製品)のウェブの断面積Sw0(mm)に対する比(Sw2/Sw0)で、0.3〜0.9とするのが好ましい。同様の観点から、初期荒地のウェブ相当部の断面積Sw1(mm)は、鍛造クランク軸(最終製品)のウェブの断面積Sw0(mm)に対する比(Sw1/Sw0)で、0.2〜0.8とするのが好ましい。ここで、ウェブ相当部の断面積Sw1は、アーム相当部の断面積と、ウエイト相当部の断面積との合計である。また、ウェブの断面積Sw0は、ウエイト部の断面積と、そのウエイト部が一体で備えるアーム部の断面積との合計である。
後工程で形成されるバリを低減する観点から、中間荒地のジャーナル相当部の断面積Sj2(mm)は、鍛造クランク軸(最終製品)のジャーナル部の断面積Sj0(mm)に対する比(Sj2/Sj0)で、1.0〜1.9とするのが好ましい。同様の観点から、初期荒地のジャーナル相当部の断面積Sj1(mm)は、鍛造クランク軸(最終製品)の断面積Sj0(mm)に対する比(Sj1/Sj0)で、1.2〜1.9とするのが好ましい。
後工程で形成されるバリを低減する観点から、中間荒地のピン相当部の断面積Sp2(mm)は、鍛造クランク軸(最終製品)のピン部の断面積Sp0(mm)に対する比(Sp2/Sp0)で、0.7〜1.9とするのが好ましい。同様の観点から、初期荒地のピン相当部の断面積Sp1(mm)は、鍛造クランク軸(最終製品)のピン部の断面積Sp0(mm)に対する比(Sp1/Sp0)で、0.9〜1.9とするのが好ましい。
その他、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能であることは言うまでもない。上述の説明では、全てのアーム相当部がウエイト部を含む場合を説明した。しかしながら、本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法はこの場合に限定されない。たとえば、複数のアーム相当部の一部のアーム相当部がウエイト相当部を含み、それ以外のアーム相当部はウエイト相当部を含んでいなくてもよい(例:4気筒−4枚カウンターウエイトの鍛造クランク軸)。この場合、第2予備成形工程終了後に、ウエイト相当部を含む一部のアーム相当部の厚さが仕上げ寸法の厚さよりも大きく、ウエイト相当部を含まないアーム相当部の厚さは仕上げ寸法の厚さと同じであるのが好ましい。ウエイト相当部を含むアーム相当部(すなわちウェブ相当部)は体積が大きいため、最終予備成形工程前に材料を集める必要がある。一方で、ウエイト相当部を含まないアーム相当部は体積が小さいため材料をそれほど多く集める必要はない。したがって、ウエイト相当部を含まないアーム相当部に集める材料を減らすことで、歩留りがさらに抑制される。
本発明は、レシプロエンジンに搭載される鍛造クランク軸の製造に有効に利用できる。
11 鍛造クランク軸
22 ビレット
23 初期荒地
23a 扁平部
24 中間荒地
25 最終荒地
26 仕上げ鍛造材
30 第3金型
40 第1金型
50 第2金型
90 第4金型
A、A1〜A8 クランクアーム部
J、J1〜J5 ジャーナル部
P、P1〜P4 ピン部
W、W1〜W8 カウンターウエイト部
B バリ

Claims (4)

  1. 回転中心となるジャーナル部と、前記ジャーナル部に対して偏心したピン部と、前記ジャーナル部と前記ピン部をつなぐクランクアーム部と、を備える鍛造クランク軸の製造方法であって、
    当該製造方法は、
    ビレットから初期荒地を得る第1予備成形工程と、
    前記初期荒地から中間荒地を得る第2予備成形工程と、
    前記中間荒地から最終荒地を得る最終予備成形工程と、
    型鍛造によって前記最終荒地を前記鍛造クランク軸の仕上げ寸法に成形する仕上げ鍛造工程と、を含み、
    前記第1予備成形工程では、一対の第1金型を用い、前記ビレットの前記ジャーナル部となる部位を、前記ビレットの軸方向と垂直な方向から圧下することにより、前記ジャーナル部となる部位の断面積を減少させて扁平部を形成する工程と、前記第1金型による圧下を開始後、第2金型を用い、前記ビレットの軸方向と垂直な方向を偏心方向にして前記ピン部となる部位を偏心させる工程とを含み、
    前記第2予備成形工程では、一対の第3金型を用い、前記扁平部の幅方向を圧下方向にして前記初期荒地の前記ピン部となる部位、および前記扁平部を圧下することにより、前記クランクアーム部となる部位の一部または全部のクランクアーム部となる部位の厚みが、仕上げ寸法の厚みよりも大きくなり、
    前記最終予備成形工程では、第4金型を用い、前記第2予備成形工程と同じ方向から前記中間荒地を圧下し、さらに、前記クランクアーム部となる部位を、前記中間荒地の軸方向から圧下することにより、前記ピン部となる部位の偏心量を維持しつつ、前記クランクアーム部となる部位の厚みを、仕上げ寸法の厚みまで小さくする、鍛造クランク軸の製造方法。
  2. 請求項1に記載の鍛造クランク軸の製造方法であって、
    前記第1予備成形工程では、前記一対の第1金型による圧下が完了した後、前記第2金型による前記ピン部となる部位の偏心を開始する、鍛造クランク軸の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の鍛造クランク軸の製造方法であって、
    前記第1予備成形工程では、前記ピン部となる部位の偏心量は、仕上げ寸法の偏心量と同じかまたはそれよりも小さい、鍛造クランク軸の製造方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の鍛造クランク軸の製造方法であって、
    前記一部のクランクアーム部となる部位以外のクランクアーム部となる部位は、前記鍛造クランク軸のカウンターウエイト部となる部位を含み、
    前記第2予備成形工程では、前記カウンターウエイト部となる部位を含むクランクアーム部となる部位の厚みは仕上げ寸法の厚みよりも大きくなり、前記一部のクランクアーム部となる部位の厚みは仕上げ寸法の厚みである、鍛造クランク軸の製造方法。
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