JP6669272B2 - 鍛造クランク軸の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱間鍛造によりクランク軸を製造する方法に関する。
自動車、自動二輪車、農業機械または船舶等のレシプロエンジンには、ピストンの往復運動を回転運動に変換して動力を取り出すために、クランク軸が不可欠である。クランク軸は、型鍛造または鋳造によって製造できる。特に、高強度と高剛性がクランク軸に要求される場合、型鍛造によって製造されたクランク軸(以下、「鍛造クランク軸」ともいう)が多用される。
図1A〜図1Cは、一般的な鍛造クランク軸の形状例を示す模式図である。これらの図のうち、図1Aは全体図であり、図1BはIB−IB断面図であり、図1Cはピン部の位相を示す図である。図1Bに示す例では、代表的に、一つのクランクアーム部A1と、そのクランクアーム部A1と一体のカウンターウエイト部W1と、そのクランクアーム部A1につながるピン部P1およびジャーナル部J1を示す。
図1A〜図1Cに示す鍛造クランク軸11は、3気筒エンジンに搭載される3気筒−4枚カウンターウエイトの鍛造クランク軸である。鍛造クランク軸11は、4つのジャーナル部J1〜J4と、3つのピン部P1〜P3と、フロント部Frと、フランジ部Flと、6枚のクランクアーム部(以下、「アーム部」ともいう)A1〜A6とを備える。アーム部A1〜A6は、ジャーナル部J1〜J4とピン部P1〜P3をそれぞれつなぐ。また、6枚のアーム部A1〜A6のうちの一部のアーム部は、カウンターウエイト部(以下、「ウエイト部」ともいう)W1〜W4を一体で備える。具体的には、第1アーム部A1、第2アーム部A2、第5アーム部A5および第6アーム部A6は、それぞれウエイト部W1、W2、W3およびW4を一体で備える。第3アーム部A3および第4アーム部A4は、ウエイト部を備えず、その形状は長円状となる。
鍛造クランク軸11の軸方向の前端にはフロント部Frが設けられ、後端にはフランジ部Flが設けられる。フロント部Frは、先頭の第1ジャーナル部J1につながり、フランジ部Flは、最後尾の第4ジャーナル部J4につながる。
以下では、ジャーナル部J1〜J4、ピン部P1〜P3、アーム部A1〜A6およびウエイト部W1〜W4のそれぞれを総称するとき、その符号は、ジャーナル部で「J」、ピン部で「P」、アーム部で「A」、ウエイト部で「W」とも記す。また、アーム部Aおよびそのアーム部Aと一体のウエイト部Wをまとめて「ウェブ」ともいう。ウエイト部Wを備えない長円状のアーム部Aを「ウエイト無しアーム部」ともいう。
図1Cに示すように、3つのピン部P1〜P3は、ジャーナル部Jを中心として120°ずつずれて配置される。つまり、第1、第2および第3ピン部P1、P2およびP3は、それぞれ第1位置L1、第2位置L2および第3位置L3に配置される。第1位置L1、第2位置L2および第3位置L3の互いの位相角は120°である。
図1Bに示すように、ウエイト部Wの幅Bwは、アーム部Aの幅Baより大きい。このため、ウエイト部Wは、アーム部中心面(ピン部Pの中心軸とジャーナル部の中心軸とを含む面)から大きく張り出す。
このような形状の鍛造クランク軸を製造する際、一般に、出発素材としてビレットが用いられる。ビレットの長手方向に垂直な断面、すなわち横断面は、丸形または角形である。その横断面の面積は、ビレットの全長にわたって一定である。本明細書において、「横断面」は、ビレット若しくは後述する各荒地の長手方向、または鍛造クランク軸の軸方向に垂直な断面を意味する。「縦断面」は、その長手方向またはその軸方向に平行な断面を意味する。また、横断面の面積を単に「断面積」ともいう。鍛造クランク軸は、予備成形工程、型鍛造工程およびバリ抜き工程をその順に経ることによって製造される。また、必要に応じ、バリ抜き工程の後に整形工程を経る。通常、予備成形工程は、ロール成形工程と曲げ打ち工程を含む。型鍛造工程は、荒打ち工程と仕上げ打ち工程を含む。
図2A〜図2Fは、従来の一般的な鍛造クランク軸の製造工程を説明するための模式図である。これらの図のうち、図2Aはビレットを示す。図2Bはロール荒地を示す。図2Cは曲げ荒地を示す。図2Dは荒鍛造材を示す。図2Eは仕上げ鍛造材を示す。図2Fは鍛造クランク軸を示す。なお、図2A〜図2Fは、前記図1A〜図1Cに示す鍛造クランク軸11を製造する場合の一連の工程を示す。
図2A〜図2Fを参照し、鍛造クランク軸11の製造方法を説明する。先ず、図2Aに示すような所定の長さのビレット12を加熱炉によって加熱した後、予備成形工程でロール成形および曲げ打ちをその順に行う。ロール成形では、例えば孔型ロールを用いてビレット12を圧延して絞る。これにより、ビレット12の体積を軸方向に配分し、中間素材であるロール荒地13を得る(図2B参照)。次に、曲げ打ちでは、ロール荒地13を軸方向と垂直な方向から部分的にプレス圧下する。これにより、ロール荒地13の体積を配分し、更なる中間素材である曲げ荒地14を得る(図2C参照)。
続いて、荒打ち工程では、曲げ荒地14を上下に一対の金型を用いて鍛造することにより、荒鍛造材15を得る(図2D参照)。その荒鍛造材15には、鍛造クランク軸(最終製品)のおおよその形状が造形されている。さらに、仕上げ打ち工程では、荒鍛造材15を上下に一対の金型を用いて鍛造することにより、仕上げ鍛造材16を得る(図2E参照)。その仕上げ鍛造材16には、最終製品の鍛造クランク軸と合致する形状が造形されている。これら荒打ちおよび仕上げ打ちのとき、互いに対向する金型の型割面の間から余材が流出し、その余材がバリBとなる。このため、荒鍛造材15および仕上げ鍛造材16の周囲には、いずれも、バリBが大きく付いている。
バリ抜き工程では、例えば、バリ付きの仕上げ鍛造材16を一対の金型によって挟んで保持した状態で、刃物型によってバリBを打ち抜く。これにより、仕上げ鍛造材16からバリBが除去され、バリ無し鍛造材が得られる。そのバリ無し鍛造材は、図2Fに示す鍛造クランク軸11とほぼ同じ形状である。
整形工程では、バリ無し鍛造材の要所を上下から金型で僅かに圧下し、バリ無し鍛造材を最終製品の寸法形状に矯正する。ここで、バリ無し鍛造材の要所は、例えば、ジャーナル部J、ピン部P、フロント部Fr、フランジ部Flなどといった軸部、さらにはアーム部Aおよびウエイト部Wである。こうして、鍛造クランク軸11が製造される。なお、3気筒−4枚カウンターウエイトの鍛造クランク軸を製造する場合、ピン部の配置角度(120°の位相角)を調整するため、バリ抜き工程の後に、捩り工程が追加されることがある。
図2A〜図2Fに示す製造工程は、前記図1A〜図1Cに示す3気筒−4枚カウンターウエイトの鍛造クランク軸に限らず、様々な鍛造クランク軸に適用できる。例えば、それと同様の製造工程によって、3気筒−6枚カウンターウエイトの鍛造クランク軸、4気筒エンジン、直列6気筒エンジン、V型6気筒エンジン、8気筒エンジン等に搭載される鍛造クランク軸を製造できる。
予備成形工程の主目的は、ビレットの体積を配分することである。そのため、予備成形工程によって得られる荒地には、鍛造クランク軸の形状がほとんど造形されない。このように予備成形工程でビレットの体積を配分することにより、後工程の型鍛造工程でバリの形成を低減でき、材料歩留りを向上できる。ここで、材料歩留りとは、ビレットの体積に対する鍛造クランク軸(最終製品)の体積の割合(百分率)を意味する。
鍛造クランク軸の製造に関する技術は、例えば、特開2001−105087号公報(特許文献1)、特開平2−255240号公報(特許文献2)および特開昭62−244545号公報(特許文献3)に開示される。特許文献1は、一対からなる上型と下型を用いた予備成形方法を開示する。その予備成形方法では、上型と下型とで棒状の被加工物を圧下する際に、被加工物の一部を伸ばすとともに、その一部に連続した部分を軸心に対してオフセットする。これにより、特許文献1では、延ばしと曲げを同時に実施できることから、設備投資を少なくできるとしている。
特許文献2の予備成形方法は、従来の2パスのロール成形に代え、4パスの高速ロール設備を用いる。その予備成形方法では、ロール荒地の断面積が、鍛造クランク軸(最終製品)のウエイト部、アーム部およびジャーナル部の断面積の分布に合わせて決められる。これにより、特許文献2では、材料歩留りを向上できるとしている。
特許文献3の予備成形方法は、相対移動する少なくとも2つのダイスにより、ビレットを挟んだ状態で圧下する。そのダイスの転動により軸方向および径方向に材料が配分される。これにより、鍛造クランク軸の概略形状に応じた軸非対称な荒地が成形される。特許文献3では、上述の予備成形方法だけで軸非対称な荒地が得られ、直ちに型鍛造に移行できるとしている。
特開2001−105087号公報 特開平2−255240号公報 特開昭62−244545号公報 国際公開第2014/091730号
鍛造クランク軸の製造では、前述の通り、バリの形成を低減して材料歩留りを向上させることが望まれる。前記特許文献1に記載の予備成形方法では、ビレットの体積の配分と、ピン部となる部位(以下、「ピン相当部」ともいう)の偏心をある程度行うことができる。
しかしながら、ピン相当部の偏心および体積の配分は、不十分であり、後工程の型鍛造で、ピン部の造形に伴って大きくバリが形成される。さらに、前記特許文献1の予備成形方法では、ウェブとなる部位において、ウエイト部となる部位の体積と、ウエイト部を一体で備えるアーム部となる部位の体積と、の配分が検討されていない。そのため、後工程の型鍛造工程において、アーム部中心面から大きく張り出すウエイト部で、材料の充満性が不十分となり、欠肉が生じ易い。ウエイト部の欠肉を防止するには、簡便には、荒地で余剰の体積を増加させればよい。しかし、この場合、材料歩留りが低下する。以下では、ウエイト部となる部位を「ウエイト相当部」ともいう。ウエイト部を一体で備えるアーム部(ウエイト部を除く)となる部位を「アーム相当部」ともいう。ウエイト相当部とアーム相当部をまとめて「ウェブ相当部」ともいう。
前記特許文献2の予備成形方法は、ピン相当部を偏心させることができない。ロール成形によるからである。このため、後工程の型鍛造によってピン部を造形する際に大きくバリが形成される。また、前記特許文献2の予備成形方法では、ウェブ相当部でウエイト相当部とアーム相当部との体積配分を行えない。ロール成形によるからである。そのため、後工程の型鍛造工程において、ウエイト部の材料の充満性が不十分となる。その結果、欠肉が生じ易い。
前記特許文献3の技術によれば、バリを形成することなく、ピン相当部の偏心およびビレットの体積の配分をある程度行うことができる。しかしながら、転造専用の設備が必要となり、簡便に行うことができない。また、ピン相当部の偏心および体積の配分は、不十分であり、後工程の型鍛造で、ピン部の造形に伴って大きくバリが形成される。
本発明の目的は、材料歩留りを向上できる鍛造クランク軸の製造方法を提供することにある。
本発明の一実施形態による鍛造クランク軸の製造方法は、回転中心となる4つのジャーナル部と、ジャーナル部に対して偏心し、かつ、位相角が120°の第1位置、第2位置および第3位置にそれぞれ配置される3つのピン部と、ジャーナル部とピン部をつなぐ複数のクランクアーム部と、クランクアーム部のうちの全部または一部が一体で備える複数のカウンターウエイト部と、を備える鍛造クランク軸の製造方法である。
鍛造クランク軸の製造方法は、ビレットまたは段付き素材からなる被加工材から初期荒地を得る第1予備成形工程と、初期荒地から中間荒地を得る第2予備成形工程と、中間荒地から最終荒地を得る最終予備成形工程と、型鍛造によって最終荒地を鍛造クランク軸の仕上げ寸法に成形する仕上げ鍛造工程と、を含む。第1予備成形工程では、一対の第1金型を用い、被加工材のうちのピン部となる部位、およびジャーナル部となる部位を、被加工材の軸方向と垂直な方向から圧下する。これにより、それらの部位の断面積を減少させて複数の扁平部を形成しながら、扁平部のうちで第2位置に配置される第2ピン部となる部位を偏心させ、第2ピン部となる部位の偏心量が仕上げ寸法の偏心量と同じかまたはそれよりも小さくなる。第2予備成形工程では、第2金型を用い、第2ピン部となる部位の偏心方向と垂直な方向を圧下方向にして初期荒地を圧下する。これにより、第1位置に配置される第1ピン部となる部位および第3位置に配置される第3ピン部となる部位を互いに反対方向に偏心させる。第1および第3ピン部となる部位の偏心量が仕上げ寸法の偏心量の(√3)/2と同じかまたはそれよりも小さくなり、カウンターウエイト部となる部位、およびカウンターウエイト部を一体で備えるクランクアーム部となる部位の厚みが、仕上げ寸法の厚みよりも大きくなる。最終予備成形工程では、第3金型を用い、中間荒地を中間荒地の軸方向と垂直な方向から圧下し、さらに、カウンターウエイト部となる部位、およびカウンターウエイト部を一体で備えるクランクアーム部となる部位を、中間荒地の軸方向から圧下する。これにより、第1、第2および第3ピン部となる部位の偏心量を維持しつつ、カウンターウエイト部となる部位、およびカウンターウエイト部を一体で備えるクランクアーム部となる部位の厚みを、仕上げ寸法の厚みまで小さくする。
本発明の実施形態による鍛造クランク軸の製造方法は、第1予備成形工程および第2予備成形工程により、バリを形成することなく、軸方向の体積の配分が促進された中間荒地を得ることができる。また、中間荒地は、ウェブ相当部でウエイト相当部の体積とアーム相当部の体積が適切に配分される。そのため、最終予備成形工程においても、バリをほとんど形成せずに、鍛造クランク軸の形状に近い形状の最終荒地を得ることができる。そして、仕上げ鍛造工程により、その最終荒地から鍛造クランク軸の形状を造形できる。これらより、材料歩留りを向上させることができる。
図1Aは、一般的な鍛造クランク軸の形状例を模式的に示す全体図である。 図1Bは、図1AのIB−IB断面図である。 図1Cは、図1Aの鍛造クランク軸についてピン部の位相を示す図である。 図2Aは、従来の製造工程におけるビレットを示す模式図である。 図2Bは、従来の製造工程におけるロール荒地を示す模式図である。 図2Cは、従来の製造工程における曲げ荒地を示す模式図である。 図2Dは、従来の製造工程における荒鍛造材を示す模式図である。 図2Eは、従来の製造工程における仕上げ鍛造材を示す模式図である。 図2Fは、従来の製造工程における鍛造クランク軸を示す模式図である。 図3Aは、本実施形態の製造工程例におけるビレットを示す模式図である。 図3Bは、本実施形態の製造工程例における初期荒地を示す模式図である。 図3Cは、本実施形態の製造工程例における中間荒地を示す模式図である。 図3Dは、本実施形態の製造工程例における最終荒地を示す模式図である。 図3Eは、本実施形態の製造工程例における仕上げ鍛造材を示す模式図である。 図3Fは、本実施形態の製造工程例における鍛造クランク軸を示す模式図である。 図4Aは、第1予備成形工程の加工フロー例の圧下開始時の状況を模式的に示す縦断面図である。 図4Bは、第1予備成形工程の加工フロー例の圧下終了時の状況を模式的に示す縦断面図である。 図5Aは、第1予備成形工程の加工フロー例の圧下開始時における第2位置に配置されるピン部となる部位を示す横断面図である。 図5Bは、第1予備成形工程の加工フロー例の圧下終了時における第2位置に配置されるピン部となる部位を示す横断面図である。 図6Aは、第1予備成形工程の加工フロー例の圧下開始時におけるジャーナル部となる部位を示す横断面図である。 図6Bは、第1予備成形工程の加工フロー例の圧下終了時におけるジャーナル部となる部位を示す横断面図である。 図7Aは、第1予備成形工程の加工フロー例の圧下開始時におけるウェブとなる部位を示す横断面図である。 図7Bは、第1予備成形工程の加工フロー例の圧下終了時におけるウェブとなる部位を示す横断面図である。 図8Aは、第2予備成形工程の加工フロー例の圧下開始時の状況を模式的に示す縦断面図である。 図8Bは、第2予備成形工程の加工フロー例の圧下終了時の状況を模式的に示す縦断面図である。 図9Aは、第2予備成形工程の加工フロー例の圧下開始時における第3位置に配置されるピン部となる部位を示す横断面図である。 図9Bは、第2予備成形工程の加工フロー例の圧下終了時における第3位置に配置されるピン部となる部位を示す横断面図である。 図10Aは、第2予備成形工程の加工フロー例の圧下開始時における第2位置に配置されるピン部となる部位を示す横断面図である。 図10Bは、第2予備成形工程の加工フロー例の圧下終了時における第2位置に配置されるピン部となる部位を示す横断面図である。 図11Aは、第2予備成形工程の加工フロー例の圧下開始時におけるジャーナル部となる部位を示す横断面図である。 図11Bは、第2予備成形工程の加工フロー例の圧下終了時におけるジャーナル部となる部位を示す横断面図である。 図12Aは、第2予備成形工程の加工フロー例の圧下開始時におけるウェブとなる部位を示す横断面図である。 図12Bは、第2予備成形工程の加工フロー例の圧下終了時におけるウェブとなる部位を示す横断面図である。 図13Aは、第2予備成形工程の加工フロー例の圧下開始時におけるウエイト無しアーム部となる部位を示す横断面図である。 図13Bは、第2予備成形工程の加工フロー例の圧下終了時におけるウエイト無しアーム部となる部位を示す横断面図である。 図14は、第1ピン相当部および第3ピン相当部の偏心量を示す模式図である。 図15Aは、最終予備成形工程の加工フロー例の圧下前の状況を模式的に示す縦断面図である。 図15Bは、最終予備成形工程の加工フロー例における上型の下死点到達時の状況を模式的に示す縦断面図である。 図15Cは、最終予備成形工程の加工フロー例における軸方向の移動終了時の状況を模式的に示す縦断面図である。 図16は、最終予備成形工程での中間荒地の姿勢と上下の金型による型締め方向を示す模式図であり、中間荒地を軸方向から視た図である。 図17Aは、第2予備成形工程で凹状の下型ウェブ加工部の開口側から圧下する場合の圧下前の状況を示す横断面図である。 図17Bは、第2予備成形工程で凹状の下型ウェブ加工部の開口側から圧下する場合の圧下終了時の状況を示す横断面図である。 図18Aは、第2予備成形工程でピン加工部によって閉断面を形成することなく、ピン相当部を圧下する場合の圧下開始時の状況を示す横断面図である。 図18Bは、第2予備成形工程でピン加工部によって閉断面を形成することなく、ピン相当部を圧下する場合の圧下終了時の状況を示す横断面図である。 図19Aは、第2予備成形工程でジャーナル加工部によって閉断面を形成することなく、ジャーナル相当部を圧下する場合の圧下開始時の状況を示す横断面図である。 図19Bは、第2予備成形工程でジャーナル加工部によって閉断面を形成することなく、ジャーナル相当部を圧下する場合の圧下終了時の状況を示す横断面図である。 図20Aは、第1予備成形工程でジャーナル加工部によって部分圧下する加工フロー例の圧下前の状況を示す横断面図である。 図20Bは、第1予備成形工程でジャーナル加工部によって部分圧下する加工フロー例の圧下終了時の状況を示す横断面図である。 図21は、段付き素材の形状例を示す模式図である。 図22Aは、実施形態1の最終予備成形工程における圧下前の状況を模式的に示す上面図である。 図22Bは、実施形態1の最終予備成形工程における上型の下死点到達時の状況を模式的に示す上面図である。 図22Cは、実施形態1の最終予備成形工程における軸方向の移動終了時の状況を模式的に示す上面図である。 図23は、実施形態1の最終予備成形工程での中間荒地の姿勢と上下の金型による型締め方向を示す模式図であり、中間荒地を軸方向から視た図である。 図24Aは、実施形態2の製造工程例における初期荒地を示す模式図である。 図24Bは、実施形態2の製造工程例における中間荒地を示す模式図である。 図24Cは、実施形態2の製造工程例における最終荒地を示す模式図である。 図25Aは、実施形態2の最終予備成形工程における圧下前の状況を模式的に示す縦断面図である。 図25Bは、実施形態2の最終予備成形工程における上型の下死点到達時の状況を模式的に示す縦断面図である。 図25Cは、実施形態2の最終予備成形工程における軸方向の移動終了時の状況を模式的に示す縦断面図である。 図26は、実施形態3の第2予備成形工程で用いられる第2金型を示す縦断面図である。 図27は、実施形態3の第2予備成形工程で用いられる第2金型を示す縦断面図である。
本発明の一実施形態による鍛造クランク軸の製造方法は、4つのジャーナル部と、3つのピン部と、複数のクランクアーム部と、複数のカウンターウエイト部と、を備える鍛造クランク軸の製造方法である。4つのジャーナル部は、回転中心となる。3つのピン部は、ジャーナル部に対して偏心し、かつ、位相角が120°の第1位置、第2位置および第3位置にそれぞれ配置される。複数のクランクアーム部は、ジャーナル部とピン部をつなぐ。複数のカウンターウエイト部は、クランクアーム部のうちの全部または一部が一体で備える。
鍛造クランク軸の製造方法は、第1予備成形工程と、第2予備成形工程と、最終予備成形工程と、仕上げ鍛造工程と、を含む。第1予備成形工程は、ビレットまたは段付き素材からなる被加工材から初期荒地を得る。第2予備成形工程は、初期荒地から中間荒地を得る。最終予備成形工程は、中間荒地から最終荒地を得る。仕上げ鍛造工程は、型鍛造によって最終荒地を鍛造クランク軸の仕上げ寸法に成形する。
第1予備成形工程では、一対の第1金型を用い、被加工材のうちのピン部となる部位、およびジャーナル部となる部位を、被加工材の軸方向と垂直な方向から圧下する。これにより、それらの部位の断面積を減少させて複数の扁平部を形成しながら、扁平部のうちで第2位置に配置される第2ピン部となる部位に偏心を与える。第2ピン部となる部位の偏心量は仕上げ寸法の偏心量と同じかまたはそれよりも小さい。
第2予備成形工程では、第2金型を用い、第2ピン部となる部位の偏心方向と垂直な方向を圧下方向にして初期荒地を圧下する。これにより、第1位置に配置される第1ピン部となる部位および第3位置に配置される第3ピン部となる部位を互いに反対方向に偏心させる。第1および第3ピン部となる部位の偏心量が仕上げ寸法の偏心量の(√3)/2と同じかまたはそれよりも小さくなる。カウンターウエイト部となる部位、およびカウンターウエイト部を一体で備えるクランクアーム部となる部位の厚みが、仕上げ寸法の厚みよりも大きくなる。
最終予備成形工程では、第3金型を用い、中間荒地を中間荒地の軸方向と垂直な方向から圧下し、さらに、カウンターウエイト部となる部位、およびカウンターウエイト部を一体で備えるクランクアーム部となる部位を、中間荒地の軸方向から圧下する。これにより、第1、第2および第3ピン部となる部位の偏心量を維持しつつ、カウンターウエイト部となる部位、およびカウンターウエイト部を一体で備えるクランクアーム部となる部位の厚みを、仕上げ寸法の厚みまで小さくする。
典型的な例では、被加工材が段付き素材である場合、ピン部となる部位およびジャーナル部となる部位の断面積は、カウンターウエイト部となる部位、およびカウンターウエイト部を一体で備えるクランクアーム部となる部位の合計の断面積と比べ、小さい。
第1予備成形工程で用いられる一対の第1金型は、ピン部となる部位と当接するピン加工部、および、ジャーナル部となる部位と当接するジャーナル加工部を備える。第1予備成形工程では、ピン加工部およびジャーナル加工部により、被加工材を圧下して扁平部を形成する。
第2予備成形工程で用いられる一対の第2金型は、カウンターウエイト部となる部位、およびカウンターウエイト部を一体で備えるクランクアーム部となる部位と当接するウェブ加工部を備える。ウェブ加工部は、一対の第2金型のうちの一方が、クランクアーム部となる部位と当接するアーム加工部と、カウンターウエイト部となる部位と当接するウエイト加工部とを備える。アーム加工部およびウエイト加工部は、全体として凹状であり、かつ、凹状の底面側にアーム加工部が位置するとともに、凹状の開口側にウエイト加工部が位置する。ウエイト加工部の開口幅は、凹状の底面から遠ざかるに従って広くなる。
そして、第2予備成形工程では、第1および第3ピン部となる部位を偏心させるのに伴い、カウンターウエイト部となる部位、およびカウンターウエイト部を一体で備えるクランクアーム部となる部位を、凹状のウェブ加工部の底面側に押し込んで変形させる。
本実施形態の製造方法によれば、第1予備成形工程および第2予備成形工程により、バリを形成することなく、軸方向の体積の配分が促進された中間荒地を得ることができる。また、中間荒地は、ウェブ相当部(ウエイト部となる部位、およびウエイト部を一体で備えるアーム部となる部位)でウエイト相当部(ウエイト部となる部位)の体積とアーム相当部(ウエイト部を一体で備えるアーム部(ウエイト部を除く)となる部位)の体積が適切に配分される。そのため、最終予備成形工程においても、バリをほとんど形成せずに、鍛造クランク軸の形状に近い形状の最終荒地を得ることができる。そして、仕上げ鍛造工程により、その最終荒地から鍛造クランク軸の形状を造形できる。これらより、材料歩留りを向上させることができる。
好ましくは、第2予備成形工程において、ウエイト相当部およびアーム相当部を凹状のウェブ加工部の底面側に押し込んで変形させる際に、ウエイト相当部およびアーム相当部を凹状のウェブ加工部の開口側から圧下して体積を配分する。
最終予備成形工程では、第3金型による中間荒地の軸方向と垂直な方向に沿う圧下方向が、第2ピン部となる部位の偏心方向であってもよいし、第2ピン部となる部位の偏心方向と垂直な方向であってもよい。
以下に、本実施形態の鍛造クランク軸の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
1.製造工程例
本実施形態の製造方法が対象とする鍛造クランク軸は、回転中心となる4つのジャーナル部Jと、ジャーナル部Jに対して偏心した3つのピン部Pと、ジャーナル部Jとピン部Pをつなぐ複数のアーム部Aと、アーム部Aのうちの全部または一部が一体で備える複数のウエイト部Wと、を備える。3つのピン部P1、P2およびP3は、第1位置L1、第2位置L2および第3位置L3にそれぞれ配置される。以下では、第1位置L1に配置されるピン部を第1ピン部P1ともいう。第2位置L2に配置されるピン部を第2ピン部P2ともいう。第3位置L3に配置されるピン部を第3ピン部P3ともいう。第1位置L1、第2位置L2および第3位置L3の互いの位相角は120°である。例えば、前記図1A〜図1Cに示す3気筒−4枚カウンターウエイトの鍛造クランク軸11が製造対象である。
本実施形態の製造方法は、第1予備成形工程と、第2予備成形工程と、最終予備成形工程と、仕上げ鍛造工程とを含む。仕上げ鍛造工程の後工程として、バリ抜き工程を追加してもよい。また、必要に応じて、バリ抜き工程の後に、整形工程を追加してもよい。ピン部の配置角度の調整は、仕上げ鍛造工程で行うことができる。あるいは、バリ抜き工程の後に捩り工程を追加し、この捩り工程でピン部の配置角度の調整を行ってもよい。これらの一連の工程は、熱間で実施される。
図3A〜図3Fは、本実施形態の鍛造クランク軸の製造工程例を説明するための模式図である。これらの図のうち、図3Aはビレットを示す。図3Bは初期荒地を示す。図3Cは中間荒地を示す。図3Dは最終荒地を示す。図3Eは仕上げ鍛造材を示す。図3Fは鍛造クランク軸を示す。なお、図3A〜図3Fは、前記図1A〜図1Cに示す形状の鍛造クランク軸11を製造する場合の一連の工程を示す。図3B〜図3Dの右側の図は、ジャーナル部となる部位(以下、「ジャーナル相当部」ともいう)の中心に対する第1、第2および第3ピン部となる部位(以下、「第1ピン相当部」、「第2ピン相当部」および「第3ピン相当部」ともいう)PA1、PA2およびPA3の位置を示す。図3Eおよび図3Fの右側の図は、ジャーナル部の中心に対する第1、第2および第3ピン部P1、P2およびP3の位置を示す。また、図3B〜図3Dの右側の図には、最終製品である鍛造クランク軸のピン部の第1位置L1〜第3位置L3を想像線で示す。
第1予備成形工程では、第1金型を用いて被加工材を圧下する。その際の圧下方向は、被加工材の軸方向と垂直な方向である。この例では、被加工材としてビレット22が用いられる。これにより、ビレット22のうち、3つのピン相当部および4つのジャーナル相当部が押し潰され、それらの部位で断面積を減少させる。これに伴って、ビレット22に複数の扁平部23aが形成される。扁平部23aは、ピン相当部およびジャーナル相当部の位置に形成される。
また、第1予備成形工程では、扁平部23aのうち、第2ピン相当部PA2を圧下方向に沿って偏心させる。このようにしてピン相当部およびジャーナル相当部が絞られることにより、体積が配分された初期荒地23が得られる。ここで、初期荒地23の第2ピン相当部の偏心量は、仕上げ寸法の偏心量と同じかそれよりも小さい。仕上げ寸法の偏心量とは、鍛造クランク軸のピン部の偏心量を意味する。第1予備成形工程は、例えば、後述の加工フロー例に従って実施することができる。
第2予備成形工程では、体積をさらに配分するため、一対の第2金型を用いて初期荒地23を圧下する。その際の圧下方向は、第2ピン相当部PA2の偏心方向と垂直な方向である。これにより、中間荒地24が得られる。中間荒地24において、第1ピン相当部PA1および第3ピン相当部PA3は、圧下方向に沿って偏心する。ただし、第1ピン相当部PA1の偏心方向と第3ピン相当部PA3の偏心方向は互いに反対方向である。つまり、中間荒地24において、第1ピン相当部PA1と第2ピン相当部PA2との位相角は90°である。第3ピン相当部PA3と第2ピン相当部PA2との位相角は90°である。また、第1ピン相当部PA1と第3ピン相当部PA3との位相角は180°である。
中間荒地24の第1および第3ピン相当部の偏心量は、仕上げ寸法の偏心量の(√3)/2と同じかそれよりも小さい。また、中間荒地24において、ウェブ相当部の軸方向の厚さt1(図3C参照)は、仕上げ寸法の厚さt0(図3F参照)よりも大きい。仕上げ寸法の厚さt0とは、鍛造クランク軸(最終製品)のアーム部およびウエイト部の軸方向の厚さを意味する。第2予備成形工程の詳細は、後述する。
最終予備成形工程では、第3金型を用い、中間荒地24を中間荒地24の軸方向と垂直な方向から圧下する。さらに、中間荒地24のウェブ相当部を中間荒地24の軸方向から圧下する。これにより、第1、第2および第3ピン相当部PA1、PA2およびPA3の位相角および偏心量を維持しつつ、ウェブ相当部の厚さを仕上げ寸法の厚みまで小さくする。その結果、鍛造クランク軸のおおよその形状が造形された最終荒地25が得られる。最終予備成形工程には、例えば、特許文献4に記載の成形装置を応用できる。ただし、この装置を用いる場合、ピン相当部を保持する型部材は、ピン相当部をさらに偏心させるように移動することはない。最終予備成形工程の加工フロー例については後述する。
仕上げ鍛造工程では、型鍛造によって最終荒地25を鍛造クランク軸の仕上げ寸法に成形する。具体的には、上下に一対の金型が用いられる。最終荒地25は、第1および第3ピン相当部PA1およびPA3が水平面内で並ぶような姿勢で、下型の上に配置される。そして、上型の下降により鍛造が実施される。つまり、鍛造の圧下方向は、第2ピン相当部PA2の偏心方向である。これにより、余材の流出に伴ってバリBが形成され、バリ付きの仕上げ鍛造材26が得られる。仕上げ鍛造材26には、最終製品の鍛造クランク軸と合致する形状が造形されている。最終荒地25に鍛造クランク軸のおおよその形状が造形されているので、仕上げ鍛造工程において、バリBの形成を最小限に留めることができる。
また、仕上げ鍛造工程では、第1ピン相当部PA1が第2ピン相当部PA2の偏心方向とは反対方向に押し込まれ、第1位置L1に達する。第3ピン相当部PA3も第2ピン相当部PA2の偏心方向とは反対方向に押し込まれ、第3位置L3に達する。これにより、第1、第2および第3ピン部P1、P2およびP3の互いの位相角は120°となる。
バリ抜き工程では、例えば、バリ付きの仕上げ鍛造材26を一対の金型によって挟んで保持した状態で、刃物型によってバリBを打ち抜く。これにより、仕上げ鍛造材26からバリBが除去される。その結果、鍛造クランク軸21(最終製品)が得られる。
なお、特許文献4には、鍛造クランク軸の粗形状が造形された粗素材から仕上げ打ち用素材を成形する成形装置が提案されている。その粗素材は、丸ビレットに、絞り圧延および曲げ打ち等を繰り返して施すことによって得られる。また、後工程において、仕上げ打ち用素材に、仕上げ鍛造およびバリ抜きがその順に施される。
本実施形態の製造方法では、特許文献4の製造工程における絞り圧延および曲げ打ち等に代え、第1予備成形工程および第2予備成形工程を採用する。本実施形態の最終予備成形工程は、特許文献4の成形装置による成形に相当する。ただし、この装置を用いる場合、ピン相当部を保持する型部材は、ピン相当部をさらに偏心させるように移動することはない。
2.第1予備成形工程の加工フロー例
図4A〜図7Bは、第1予備成形工程の加工フロー例を示す模式図である。これらの図のうち、図4Aは圧下開始時の状況を示す縦断面図であり、図4Bは圧下終了時の状況を示す縦断面図である。
図5Aおよび図5Bは、第2位置に配置されるピン部となる部位(第2ピン相当部)を示す横断面図である。これらの図のうち、図5Aは圧下開始時の状況を示し、図5Bは圧下終了時の状況を示す。なお、図5Aは、前記図4AのVA−VA断面図であり、図5Bは、前記図4BのVB−VB断面図である。
図6Aおよび図6Bは、ジャーナル部となる部位(ジャーナル相当部)を示す横断面図である。これらの図のうち、図6Aは圧下開始時の状況を示し、図6Bは圧下終了時の状況を示す。なお、図6Aは、前記図4AのVIA−VIA断面図であり、図6Bは、前記図4BのVIB−VIB断面図である。
図7Aおよび図7Bは、ウェブとなる部位(ウェブ相当部)を示す横断面図である。これらの図のうち、図7Aは圧下開始時の状況を示し、図7Bは圧下終了時の状況を示す。なお、図7Aは、前記図4AのVIIA−VIIA断面図であり、図7Bは、前記図4BのVIIB−VIIB断面図である。
図4A〜図7Bには、丸形の横断面を有するビレット22と、上下で一対の第1金型30とを示す。第1金型30は、第1上型31と、第1下型32とを備える。状況の理解を容易にするため、図5A〜図7Bには、ジャーナル相当部の軸心位置Cを黒塗りの丸印で示す。図5B、図6Bおよび図7Bには、圧下開始時の第1上型31、第1下型32およびビレット22を二点鎖線で併記する。一対の第1金型30は、ピン相当部と当接するピン加工部、および、ジャーナル相当部と当接するジャーナル加工部を備える。
ピン加工部は、図5Aに太線で示すように、第1上型31に設けられる上型ピン加工部31b、および、第1下型32に設けられる下型ピン加工部32bからなる。上型ピン加工部31bは、凹状であり、ビレット22を収容可能である。第1下型32の下型ピン加工部32bは、凸部の先端面に設けられる。なお、上型ピン加工部31bおよび下型ピン加工部32bのいずれを凹状とするかは、特に制限はない。つまり、下型ピン加工部32bがビレット22を収容可能な凹状であってもよい。
第1および第3ピン相当部と当接するピン加工部は、図5Aおよび図5Bに示すような第2ピン相当部と当接するピン加工部と同様である。ただし、圧下方向において、第1および第3ピン相当部と当接するピン加工部の位置は、第2ピン相当部と当接するピン加工部の位置と異なる(図4Aおよび図4B参照)。
ジャーナル加工部は、図6Aに太線で示すように、第1上型31に設けられる上型ジャーナル加工部31a、および、第1下型32に設けられる下型ジャーナル加工部32aからなる。上型ジャーナル加工部31aは、凹状であり、ビレット22を収容可能である。下型ジャーナル加工部32aは、凸部の先端面に設けられる。なお、上型ジャーナル加工部31aおよび下型ジャーナル加工部32aのいずれを凹状とするかは、特に制限はない。つまり、下型ジャーナル加工部32aがビレット22を収容可能な凹状であってもよい。
第1予備成形工程では、第1上型31を上昇させて第1上型31と第1下型32を離間させた状態で、ビレット22を第1上型31と第1下型32の間に配置する。この状態から第1上型31を下降させると、図5Aに示すように、ビレット22のうちのピン相当部が凹状の上型ピン加工部31bに収容される。また、図6Aに示すように、ジャーナル相当部は、凹状の上型ジャーナル加工部31aに収容される。第1上型31をさらに下降させると、上型ピン加工部31bおよび下型ピン加工部32b、並びに上型ジャーナル加工部31aおよび下型ジャーナル加工部32aにより、ビレット22が圧下される。このため、ピン相当部およびジャーナル相当部の断面積が減少する。その結果、図5Bおよび図6Bに示すような扁平部23aが形成される。
また、ピン加工部およびジャーナル加工部のうちで第2ピン相当部と当接するピン加工部の位置は、図4Aに示すように、第1および第3ピン相当部と当接するピン加工部の位置と異なる。このため、第2ピン相当部は、変形しながら圧下方向に沿って偏心する。そして、第2ピン相当部の偏心量は、仕上げ寸法の偏心量と同じかそれよりも小さくなる。第1金型30による圧下の終了後、第1上型31を上昇させ、加工済みのビレット22(初期荒地23)を取り出す。
このような加工フロー例を採用すれば、ピン相当部およびジャーナル相当部を圧下してピン相当部およびジャーナル相当部の断面積が減少するのに伴い、ピン相当部およびジャーナル相当部の材料が、ビレット22の軸方向に移動する。これにより、材料がピン相当部とジャーナル相当部との間のウエイト無しアーム部となる部位(以下、「ウエイト無しアーム相当部」ともいう)およびウェブ相当部に流入する。その結果、体積が軸方向に配分された初期荒地23を得ることができる。
また、第1上型31を下降させる過程で、凹状の上型ピン加工部31bの開口が、下型ピン加工部32bで塞がれ、上型ピン加工部31bおよび下型ピン加工部32bによって閉断面が形成される(図5Aおよび図5B参照)。また、凹状の上型ジャーナル加工部31aの開口が、下型ジャーナル加工部32aで塞がれ、上型ジャーナル加工部31aおよび下型ジャーナル加工部32aによって閉断面が形成される(図6Aおよび図6B参照)。これにより、第1上型31と第1下型32の間にバリが形成されることがない。したがって、材料歩留りを向上できるとともに、体積の軸方向の配分を促進できる。
第1予備成形工程では、後述するように、ジャーナル加工部によってジャーナル相当部を部分圧下することにより、バリの形成を防止してもよい。また、ピン加工部によってピン相当部を部分圧下することにより、バリの形成を防止してもよい。
第1予備成形工程では、体積の軸方向の配分を促進する観点から、ウェブ相当部を第1金型によって圧下しなくてよい。また、ウェブ相当部の形状(寸法)を整えるため、ウェブ相当部を部分的に第1金型によって圧下してもよい(図7Aおよび図7B参照)。
また、ウエイト無しアーム相当部は、その形状(寸法)を整えるため、部分的に第1金型によって圧下してもよい。
扁平部23aの横断面において、圧下方向と垂直な方向の幅Bfは圧下方向の厚さtaよりも大きければよい。例えば、扁平部23aの断面形状は楕円状または長円状である(図5Bおよび図6B参照)。扁平部23aの幅Bfおよび厚さtaの寸法は、ジャーナル相当部とピン相当部で異なってもよい。
3.第2予備成形工程の加工フロー例
図8A〜図13Bは、第2予備成形工程の加工フロー例を示す模式図である。これらの図のうち、図8Aは圧下開始時の状況を示す縦断面図であり、図8Bは圧下終了時の状況を示す縦断面図である。
図9Aおよび図9Bは、第3ピン部となる部位(第3ピン相当部)を示す横断面図である。これらの図のうち、図9Aは圧下開始時の状況を示し、図9Bは圧下終了時の状況を示す。なお、図9Aは、前記図8AのIXA−IXA断面図であり、図9Bは、前記図8BのIXB−IXB断面図である。
図10Aおよび図10Bは、第2ピン部となる部位(第2ピン相当部)を示す横断面図である。これらの図のうち、図10Aは圧下開始時の状況を示し、図10Bは圧下終了時の状況を示す。なお、図10Aは、前記図8AのXA−XA断面図であり、図10Bは、前記図8BのXB−XB断面図である。
図11Aおよび図11Bは、ジャーナル部となる部位(ジャーナル相当部)を示す横断面図である。これらの図のうち、図11Aは圧下開始時の状況を示し、図11Bは圧下終了時の状況を示す。なお、図11Aは、前記図8AのXIA−XIA断面図であり、図11Bは、前記図8BのXIB−XIB断面図である。
図12Aおよび図12Bは、ウェブとなる部位(ウェブ相当部)を示す横断面図である。これらの図のうち、図12Aは圧下開始時の状況を示し、図12Bは圧下終了時の状況を示す。なお、図12Aは、前記図8AのXIIA−XIIA断面図であり、図12Bは、前記図8BのXIIB−XIIB断面図である。
図13Aおよび図13Bは、ウエイト無しアーム部となる部位(ウエイト無しアーム相当部)を示す横断面図である。これらの図のうち、図13Aは圧下開始時の状況を示し、図13Bは圧下終了時の状況を示す。なお、図13Aは、前記図8AのXIIIA−XIIIA断面図であり、図13Bは、前記図8BのXIIIB−XIIIB断面図である。
図8A〜図13Bには、前述の第1予備成形工程で得られた初期荒地23と、上下で一対の第2金型40とを示す。第2金型40は、第2上型41と、第2下型42とを備える。状況の理解を容易にするため、図9A〜図13Bには、ジャーナル相当部の軸心位置Cを黒塗りの丸印で示す。また、図9B、図10B、図11B、図12Bおよび図13Bには、圧下開始時の第2上型41、第2下型42および初期荒地23を二点鎖線で併記する。一対の第2金型40は、初期荒地23のピン相当部と当接するピン加工部41b、42b、41fおよび42f、ジャーナル相当部と当接するジャーナル加工部41aおよび42a、並びに、ウェブ相当部と当接する上型ウェブ加工部41cおよび下型ウェブ加工部42cを備える。
ピン加工部は、第2上型41に設けられる上型ピン加工部41b、41f、および、第2下型42に設けられる下型ピン加工部42b、42fからなる(図9Aおよび図10Aの太線部参照)。上型ピン加工部41b、41fは、凹状であり、初期荒地23の扁平部を収容可能である。なお、上型ピン加工部41b、41fおよび下型ピン加工部42b、42fのいずれを凹状とするかは、特に制限はない。つまり、下型ピン加工部42b、42fがビレットを収容可能な凹状であってもよい。
第3ピン相当部では、図9Aに太線で示すように、第2上型41の上型ピン加工部41bが、初期荒地23の扁平部を収容可能な凹状である。第2下型42の下型ピン加工部42bは、凸部の先端面に設けられる。一方、第2ピン相当部では、図10Aに太線で示すように、第2下型42の下型ピン加工部42fが、凹状である。第2上型41の上型ピン加工部41fが、凸部の先端面に設けられる。
圧下方向およびその圧下方向と垂直な方向(第2ピン相当部の偏心方向)において、図10Aおよび図10Bに示す第2ピン相当部と当接するピン加工部の位置は、図9Aおよび図9Bに示す第3ピン相当部と当接するピン加工部の位置と異なる。また、圧下方向において、第1ピン相当部と当接するピン加工部の位置は、第3ピン相当部と当接するピン加工部の位置と異なる。
ジャーナル加工部は、図11Aに太線に示すように、第2上型41に設けられる上型ジャーナル加工部41a、および、第2下型42に設けられる下型ジャーナル加工部42aからなる。上型ジャーナル加工部41aは、凹状であり、初期荒地23の扁平部を収容可能である。第2下型42の下型ジャーナル加工部42aは、凸部の先端面に設けられる。なお、上型ジャーナル加工部41aおよび下型ジャーナル加工部42aのいずれを凹状とするかは、特に制限はない。つまり、下型ジャーナル加工部42aが初期荒地の扁平部を収容可能な凹状であってもよい。
ウェブ加工部は、図12Aに太線で示すように、第2上型41に設けられる上型ウェブ加工部41c、および、第2下型42に設けられる下型ウェブ加工部42cからなる。ウェブ加工部の横断面形状は、図12Aに太線で示すように、上型ウェブ加工部41cおよび下型ウェブ加工部42cのうちの一方が全体として凹状である。例えば図12Aに示すように、第2下型42の下型ウェブ加工部42cが全体として凹状であり、他方の第2上型41の上型ウェブ加工部41cは、平面状である。なお、上型ウェブ加工部41cおよび下型ウェブ加工部42cのいずれを凹状とするかは、鍛造クランク軸の形状に応じて適宜設定できる。
凹状のウェブ加工部(図12Aでは下型ウェブ加工部42c)は、アーム部となる部位(アーム相当部)と当接するアーム加工部42dと、ウエイト部となる部位(ウエイト相当部)と当接するウエイト加工部42eを有する。アーム加工部42dは、凹状の下型ウェブ加工部42cの底面側に位置し、ウエイト加工部42eは凹状の下型ウェブ加工部42cの開口側に位置する。また、ウエイト加工部42eの開口幅Bwは、凹状の下型ウェブ加工部42cの底面から遠ざかるに従って広くなる。例えば図12Aに示すように、ウエイト加工部42eは、両側面がいずれも傾斜面である。また、アーム加工部42dは、両側面が平行であり、開口幅Bwが一定である。なお、アーム加工部42dの両側面は厳密に平行でなくてもよく、僅かな傾斜を許容する。
第2予備成形工程では、ウェブ相当部の軸方向の厚さt1を仕上げ寸法の厚さt0よりも大きくする(図3Cおよび図3F参照)。このため、上型ウェブ加工部41cおよび下型ウェブ加工部42cの軸方向の長さは、ウェブ(ウエイト部およびそのウエイト部を一体で備えるアーム部)の仕上げ寸法の厚さより大きい。
第2予備成形工程では、第2上型41を上昇させて第2上型41と第2下型42を離間させた状態で、初期荒地23を第2上型41と第2下型42の間に配置する。その際、扁平部の幅方向(楕円の場合は長径方向)が圧下方向となるように、初期荒地23は、第1予備成形工程の終了時における状態から軸回りに90°回転した姿勢で配置される。このため、第2金型40による圧下方向は、第2ピン相当部の偏心方向と垂直な方向となる。
この状態から第2上型41を下降させる。すると、図9A、図10Aおよび図11Aに示すように、初期荒地23の扁平部が凹状の上型ジャーナル加工部41a並びに凹状の上型ピン加工部41bおよび下型ピン加工部42fに収容される。その際、図12Aに示すように、ウェブ相当部は、下型ウェブ加工部42cの底面と接触することなく、ウェブ相当部の大部分が下型ウェブ加工部42cのうちのウエイト加工部42e内に配置される。
第2上型41をさらに下降させると、第3ピン相当部においては、上型ピン加工部41bと下型ピン加工部42bとによって閉断面が形成される(図9A参照)。第2ピン相当部においては、下型ピン加工部42fと上型ピン加工部41fとによって閉断面が形成される(図10A参照)。また、上型ジャーナル加工部41aと下型ジャーナル加工部42aとによって閉断面が形成される(図11A参照)。この状態で、第2上型41をさらに下降させて下死点に到達させると、上型ピン加工部41bと下型ピン加工部42bとの内部の扁平部(第3ピン相当部)が圧下され、下型ピン加工部42fと上型ピン加工部41fとの内部の扁平部(第2ピン相当部)が圧下される。また、上型ジャーナル加工部41aと下型ジャーナル加工部42aとの内部の扁平部が圧下される。このようにして初期荒地23の扁平部が第2金型によって圧下され、その結果、ジャーナル相当部およびピン相当部で断面積が減少する。これに伴い、余剰となった材料が軸方向に流動してウェブ相当部に流入し、体積の配分が進行する。
また、第3ピン相当部は圧下方向に沿って偏心する。第1ピン相当部は圧下方向に沿って第3ピン相当部の反対側に偏心する。そして、第1および第3ピン相当部の偏心量は、仕上げ寸法の偏心量の(√3)/2と同じかそれよりも小さくなる。一方、第2ピン相当部は圧下方向と垂直な方向に位置しており、偏心しない。そのため、第2ピン相当部の偏心量は、仕上げ寸法の偏心量と同じかまたはそれより小さいままである。
図14は、第1ピン相当部および第3ピン相当部の偏心量を示す模式図である。図14は、鍛造クランク軸の軸方向から見た図である。図14を参照して、3気筒エンジンの鍛造クランク軸の第1ピン部が配置される第1位置L1と第2ピン部が配置される第2位置L2との位相差は120°である。しかしながら、第2予備成形工程で得られた中間荒地の第1ピン相当部の位置PA1と第2ピン相当部の位置PA2との位相差は90°である。そのため、最終予備成形工程後の型鍛造で第1ピン相当部を、ジャーナル相当部の軸心位置Cに対してさらに偏心させる。これにより、最終製品である鍛造クランク軸では、第1位置L1と第2位置L2との位相差が120°とされる。
第1ピン部の偏心量(仕上げ寸法)は、第1位置L1の中心とジャーナル部の軸心Cとの距離DLである。したがって、ジャーナル部の軸心位置C、第1ピン相当部の位置PA1の中心、および第1位置L1の中心からなる直角三角形を仮想すると、第2予備成形工程での第1ピン相当部の偏心量DL1は、第1ピン部の偏心量DLの(√3)/2と同じかまたはそれよりも小さい。第1ピン相当部の偏心量DL1が第1ピン部の偏心量DLの(√3)/2よりも大きければ、後の工程で第1ピン相当部を第1位置L1まで偏心させることは困難である。なぜなら、圧下方向(図14の左右方向)と平行ではない方向に沿って第1ピン相当部を第1位置L1まで偏心させなければならないからである。なお、第1ピン相当部の偏心量DL1が第1ピン部の偏心量DLの(√3)/2よりも小さい場合、後の型鍛造工程等で、第1ピン相当部の偏心量DL1を第1ピン部の偏心量DLの(√3)/2まで偏心させる。第3ピン相当部も同様である。第2ピン相当部についても、偏心量が仕上げ寸法の偏心量よりも小さい場合には、最終予備成形工程後の型鍛造工程で第2ピン相当部を、ジャーナル相当部の軸心位置Cに対してさらに偏心させる。
ウェブ加工部のうちで平面状のウェブ加工部(図12Aおよび図12Bでは上型ウェブ加工部41c)はウェブ相当部に押し当てられないが、ウェブ相当部は凹状の下型ウェブ加工部42cの底面側に押し込まれる。この押し込みは、ウェブ相当部の前後に位置する第1および第3ピン相当部の圧下(変形)に伴って発生する。押し込みの際に、ウェブ相当部は、前述のアーム加工部42dおよびウエイト加工部42eに沿って変形する。すなわち、ウェブ相当部の幅は、凹状の底面側(アーム相当部)で狭くなり、凹状の開口側(ウエイト相当部)で広くなる。また、ウェブ相当部の開口側の側面23bは、横断面形状が円弧状となる。
第2金型40による圧下の終了後、第2上型41を上昇させ、加工済みの初期荒地23(中間荒地24)を取り出す。このようにして得られる中間荒地24において、ウェブ相当部の厚さは、仕上げ寸法の厚さよりも大きい。
第2予備成形工程によれば、バリを形成することなく、第1および第3ピン相当部をそれぞれ偏心させることができる。また、ピン相当部からウェブ相当部に材料を流動させることにより、体積を軸方向に配分できる。必要に応じ、ジャーナル相当部からもウェブ相当部に材料を流動させれば、これによっても体積を軸方向に配分できる。
第2予備成形工程では、ウエイト無しアーム相当部の形状(寸法)を整えるため、ウエイト無しアーム相当部を部分的に第2金型40によって圧下してもよい(図13Aおよび図13B参照)。また、ウエイト無しアーム相当部へ材料を流入させたい場合は、ウエイト無しアーム相当部を第2金型40によって圧下しなくてよい。
4.最終予備成形工程の加工フロー例
図15A〜図15Cは、最終予備成形工程の加工フロー例を模式的に示す縦断面図である。これらの図のうち、図15Aは圧下前の状況を示す。図15Bは上型の下死点到達時の状況を示す。図15Cは軸方向の移動終了時の状況を示す。図16は、最終予備成形工程での中間荒地の姿勢と上下の金型による型締め方向を示す模式図であり、中間荒地を軸方向から視た図である。なお、図15A〜図15Cにおいて、実際の第2ピン相当部は第1および第3ピン相当部の手前または奥に位置するが、便宜上、第1〜第3ピン相当部を同一面上に示す。
図15A〜図15Cには、前述の第2予備成形工程で得られた中間荒地24と、上下で一対の第3金型51と、上側プレート52と、下側プレート53とを示す。第3金型51は、第3上型60と、第3下型70とを備える。第3上型60は、上側プレート52上に支持される。上側プレート52はプレス機のラム(図示省略)の作動に伴って上下動する。第3下型70は、下側プレート53上に支持される。下側プレート53はプレス機の土台(図示省略)に固定される。
ウェブ相当部を中間荒地24の軸方向から圧下するために、第3上型60および第3下型70は、複数の部材に分割されている。第3上型60および第3下型70を構成する部材は、中間荒地24の軸方向に沿って並べて配置される。第3上型60および第3下型70は、それぞれ、固定ピン型部材64および74と、複数の固定ジャーナル型部材61および71と、複数の可動ジャーナル型部材62および72と、複数の可動ピン型部材63および73とを備える。
固定ピン型部材64および74は、中間荒地24のうちで中央の第2ピン相当部の位置に配置される。固定ピン型部材64および74は、上側プレート52および下側プレート53に対し、移動不能である。
固定ジャーナル型部材61および71は、固定ピン型部材64および74の軸方向の前後に配置される。つまり、固定ジャーナル型部材61および71は、中間荒地24のうちで第2ピン相当部につながるウエイト無しアーム相当部、そのウエイト無しアーム相当部につながる第2および第3ジャーナル相当部、および、そのジャーナル相当部につながるウェブ相当部を含む位置にそれぞれ配置される。固定ジャーナル型部材61および71は、上側プレート52および下側プレート53に対し、移動不能である。
可動ピン型部材63および73は、中間荒地24のうちで第1および第3ピン相当部の位置にそれぞれ配置される。可動ピン型部材63および73は、上側プレート52および下側プレート53の上で、中間荒地24の軸方向であって固定ピン型部材64および74(固定ジャーナル型部材61および71)に向く方向に移動可能である。可動ピン型部材63および73は、上側プレート52および下側プレート53に対し、その軸方向以外の方向に移動不能である。
可動ジャーナル型部材62および72は、中間荒地24のうちで第1および第4ジャーナル相当部、および、そのジャーナル相当部につながるウェブ相当部を含む位置にそれぞれ配置される。なお、前側の可動ジャーナル型部材62および72は、フロントとなる部位の位置にも存在する。後側の可動ジャーナル型部材62および72は、フランジとなる部位の位置にも存在する。可動ジャーナル型部材62および72は、上側プレート52および下側プレート53の上で、中間荒地24の軸方向であって固定ピン型部材64および74(固定ジャーナル型部材61および71)に向く方向に移動可能である。
このような部材からなる第3上型60および第3下型70には、それぞれ型彫刻部(図15A中の符号61a、62a、63a、64a、71a、72a、73aおよび74a参照)が形成されている。その型彫刻部には、鍛造クランク軸(最終製品)のおおよその形状が反映されている。
最終予備成形工程では、図15Aに示すように、第3上型60を上昇させた状態で、第3上型60と第3下型70の間に中間荒地24を配置する。その際、図16に示すように、中間荒地24は、第1および第3ピン相当部PA1およびPA3が鉛直面内で並ぶような姿勢で配置される。つまり、中間荒地24は、第2ピン相当部PA2の偏心方向が水平方向となるような姿勢で配置される。この状態から、第3上型60を下降させる。すると、中間荒地24が、第3上型60および第3下型70によって中間荒地24の軸方向と垂直な方向(鉛直方向)から圧下される(図15B参照)。これにより、中間荒地24のジャーナル相当部、ピン相当部、およびウエイト無しアーム相当部が圧下され、ジャーナル部、ピン部およびウエイト無しアーム部のおおよその形状が造形される。
さらに、可動ジャーナル型部材62および72、並びに可動ピン型部材63および73を、中間荒地24の軸方向であって固定ピン型部材64および74に向く方向に移動させる。この移動は、例えば、くさび機構または油圧シリンダによって実現できる。
可動ジャーナル型部材62および72、並びに可動ピン型部材63および73の軸方向移動に伴い、中間荒地24のウェブ相当部が中間荒地24の軸方向に圧下される。これにより、ウェブ相当部の厚さが仕上げ寸法の厚さまで小さくなり、アーム部およびウエイト部のおおよその形状が造形される。その際、ピン相当部は偏心方向に移動しない。つまり、第1および第3ピン相当部の偏心量は、仕上げ寸法の偏心量の(√3)/2と同じに維持される。第2ピン相当部の偏心量は、仕上げ寸法の偏心量と同じに維持される。
第3金型51による圧下の終了後、上型60を上昇させ、加工済みの中間荒地24(最終荒地)を取り出す。
このような最終予備成形工程によれば、ウェブ相当部を軸方向に圧下することから、ウエイト部で、材料の充満性を向上でき、欠肉が生じるのを抑制できる。また、ウエイト部の材料の充満性に優れることから、バリをほとんど形成することなく、最終荒地を得ることができる。
本実施形態の製造方法によれば、前述の第1予備成形工程および第2予備成形工程により、バリを形成することなく、中間荒地を得ることができる。このため、材料歩留りを向上できる。
さらに、本実施形態の製造方法によれば、第1予備成形工程および第2予備成形工程により、軸方向の体積の配分を促進できる。つまり、ピン相当部およびジャーナル相当部の断面積を減少できるとともに、ウェブ相当部の断面積を増加できる。また、第2予備成形工程では、ウェブ相当部の幅を、アーム相当部で狭くし、ウエイト相当部で広くすることができる。つまり、ウェブ相当部内で体積を適切に配分できる。このため、後工程の最終予備成形工程で、バリの形成を抑制して、鍛造クランク軸のおおよその形状を造形できる。この鍛造クランク軸のおおよその形状が造形された最終荒地を用いるので、仕上げ鍛造工程でも、バリの形成を最小限に留めることができる。これらによって、材料歩留りを向上できる。
5.ウェブ相当部の厚さおよび体積配分
第2予備成形工程において、ウエイト無しアーム相当部の厚さを仕上げ寸法の厚さより厚くしてもよい。この場合、最終予備成形工程において、ウエイト無しアーム相当部を中間荒地の軸方向に圧下する。そのため、最終予備成形工程で用いられる固定ジャーナル型部材61および71は可動ジャーナル型部材に変更される。
前述の第2予備成形工程では、ウェブ加工部を備えた第2金型が用いられる。しかし、第2予備成形工程はそのような構成に限定されない。例えば、第2予備成形工程でも、第1予備成形工程と同様に、ウェブ相当部を圧下することなく、ピン相当部およびジャーナル相当部から材料を流入させてもよい。
ウェブ加工部を備えた第2金型を用いる場合、第2予備成形工程によるウェブ相当部内の体積配分は、鍛造クランク軸(最終製品)の形状に応じてアーム加工部の形状を適宜変更することにより、調整することができる。例えば、アーム加工部の開口幅を変更したり、アーム加工部を傾斜面としたりすればよい。なお、アーム加工部を傾斜面とすれば、圧下終了後に第2金型から加工済みの初期荒地(中間荒地)をスムーズに取り出すことが可能になる。
鍛造クランク軸(最終製品)のウエイト部の形状は様々である。例えば、ウエイト部が幅方向に大きく張り出し、ピン部の偏心方向の長さが小さい場合もある。このような場合には、第2予備成形工程において、ウエイト加工部の形状を変更することが有効である。ウエイト加工部の形状変更として、例えば、傾斜面の角度を調整したり、ウエイト加工部を曲面としたりすればよい。また、ウェブ相当部を凹状のウェブ加工部の開口側から圧下することにより、ウエイト相当部内で体積を配分してもよい。
図17Aおよび図17Bは、ウェブとなる部位(ウェブ相当部)を凹状の下型ウェブ加工部の開口側から圧下する場合を示す横断面図である。これらの図のうち、図17Aは圧下前の状況を示し、図17Bは圧下終了時の状況を示す。図17Aおよび図17Bでは、前記図12Aおよび図12Bと比べ、凹状の下型ウェブ加工部42cの深さが浅い。
図17Aおよび図17Bに示す加工フロー例では、前記図12Aおよび図12Bに示す加工フロー例と同様に、ウェブ相当部が凹状の下型ウェブ加工部42cの底面側に押し込まれ、凹状の下型ウェブ加工部42cに沿って変形する。加えて、凹状の下型ウェブ加工部42cの深さが浅いので、第2金型40による圧下の終盤に、ウェブ相当部の開口側の側面に平面状の上型ウェブ加工部41cが押し当てられる。これにより、ウェブ相当部は、凹状の下型ウェブ加工部42cの開口側から圧下され、幅が広くなるとともに偏心方向の長さが小さくなる。その結果、ウエイト相当部内で体積が配分される。
このようにウェブ相当部の開口側の側面を圧下する場合、ウェブ相当部への材料流入が阻害されるのを防止する観点から、軽圧下を実施するのが好ましい。軽圧下は、例えば、ウェブ相当部の開口側の側面23b(図12B参照)の一部を圧下することによって実現できる。この場合、金型と接触しない部位に材料が逃げることによって軽圧下となる。
6.第2予備成形工程の別態様
前述の第2予備成形工程では、上型ピン加工部および下型ピン加工部によって閉断面を形成した状態でピン相当部を圧下する。ただし、バリが形成されなければ、ピン加工部によって閉断面を形成することなく、ピン相当部を圧下してもよい。
図18Aおよび図18Bは、ピン加工部によって閉断面を形成することなく、ピン相当部を圧下する場合を示す横断面図である。これらの図のうち、図18Aは圧下開始時の状況を示し、図18Bは圧下終了時の状況を示す。図18Aおよび図18Bに示す上型ピン加工部41bおよび下型ピン加工部42bの形状は、前記図9Aおよび図9Bに示す上型ピン加工部41bおよび下型ピン加工部42bの形状と異なる。図18Aおよび図18Bに示す第2上型41の上型ピン加工部41bおよび第2下型42の下型ピン加工部42bは、いずれも凹状である。第2上型41の上型ピン加工部41bの深さは第2下型42の下型ピン加工部42bよりも深い。
このような上型ピン加工部41bおよび下型ピン加工部42bによれば、第2上型41の下降に伴い、初期荒地23の第3ピン相当部(扁平部)の大部分が第2上型41の上型ピン加工部41b内に収容される。その状態で、第2上型41をさらに下降させると、第3ピン相当部(扁平部)が圧下方向に沿って偏心する。その際、第2上型41の上型ピン加工部41bおよび第2下型42の下型ピン加工部42bは、いずれも、部分的にピン相当部と当接する。換言すると、上型ピン加工部41bおよび下型ピン加工部42bは、型割り面の周辺でピン相当部と当接しない。また、ピン相当部の偏心に伴って材料が軸方向に流出し、ピン相当部が絞られて断面積が減少する。このため、バリを形成することなく、ピン相当部を偏心させるとともに絞ることができる。
第2予備成形工程で体積の配分を促進したい場合は、第1および第2ピン加工部によって閉断面を形成した状態でピン相当部を圧下するのが好ましい。噛み出しを防止する観点では、ピン加工部によってピン相当部を部分的に圧下するのが好ましい。バリの形成を防止するために部分圧下を実施する場合、ピン加工部の形状として、後述の図19Aおよび図19Bに示すジャーナル加工部の形状を利用してもよい。
前述の第2予備成形工程では、ジャーナル相当部も、上型ジャーナル加工部および下型ジャーナル加工部によって閉断面を形成した状態で圧下される。ただし、バリが形成されなければ、ジャーナル加工部によって閉断面を形成することなく、ジャーナル相当部を圧下してもよい。例えば、ジャーナル加工部の形状として、前記図18Aおよび図18Bに示すピン加工部の形状を利用してもよい。
図19Aおよび図19Bは、ジャーナル加工部によって閉断面を形成することなく、ジャーナル相当部を圧下する場合を示す横断面図である。これらの図のうち、図19Aは圧下開始時の状況を示し、図19Bは圧下終了時の状況を示す。図19Aおよび図19Bに示す上型ジャーナル加工部41aおよび下型ジャーナル加工部42aの形状は、前記図11Aおよび図11Bに示す上型ジャーナル加工部41aおよび下型ジャーナル加工部42aの形状と異なる。図19Aおよび図19Bに示す上型ジャーナル加工部41aおよび下型ジャーナル加工部42aにおいて、第2上型41の上型ジャーナル加工部41aが、初期荒地23の扁平部の全体を収容可能な凹状である(図19Aの太線参照)。また、第2下型42の円弧上の下型ジャーナル加工部42aは、凸部の先端面に設けられる(図19Aの太線参照)。上型ジャーナル加工部41aおよび下型ジャーナル加工部42aは、幅方向の両端に逃げ部41gおよび42gを備え、その逃げ部41gおよび42gは幅方向に広がる。
このような上型ジャーナル加工部41aおよび下型ジャーナル加工部42aによれば、第2上型41の下降に伴い、凹状の上型ジャーナル加工部41aに初期荒地23の扁平部の全体が収容される。その状態で、第2上型41をさらに下降させると、上型ジャーナル加工部41aが扁平部と当接し、続いて下型ジャーナル加工部42aが扁平部と当接する。この当接に伴って扁平部が圧下されて断面積が減少し、材料が軸方向に流出して体積が配分される。その際、一部の材料は、逃げ部41gおよび42gに流入するが、逃げ部41gおよび42gの一部は扁平部と当接しない。このため、扁平部は部分的に圧下され、バリが形成されない。
第2予備成形工程で体積の配分を促進したい場合は、上型ジャーナル加工部および下型ジャーナル加工部によって閉断面を形成した状態でジャーナル相当部を圧下するのが好ましい。噛み出しを防止する観点では、上型ジャーナル加工部および下型ジャーナル加工部によってジャーナル相当部を部分的に圧下するのが好ましい。
7.第1予備成形工程の別態様
前述の第1予備成形工程では、第1金型30を用い、上型ジャーナル加工部31aおよび下型ジャーナル加工部32aによって閉断面を形成する。また、上型ピン加工部31bおよび下型ピン加工部32bによって閉断面を形成する。その状態で、ビレットのジャーナル相当部およびピン相当部の全周を圧下する。これにより、バリの形成を防止できる。ジャーナル加工部によってジャーナル相当部を部分的に圧下することにより、バリの形成を防止してもよい。また、ピン加工部によってピン相当部を部分的に圧下することにより、バリの形成を防止してもよい。
図20Aおよび図20Bは、第1予備成形工程でジャーナル加工部によって部分圧下する加工フロー例を示す横断面図である。これらの図のうち、図20Aは圧下前の状況を示し、図20Bは圧下終了時の状況を示す。図20Aおよび図20Bに示す上型ジャーナル加工部31aおよび下型ジャーナル加工部32aの形状は、前記図6Aおよび図6Bに示す上型ジャーナル加工部31aおよび下型ジャーナル加工部32aの形状と異なる。図20Aに太線で示すように、上型ジャーナル加工部31aおよび下型ジャーナル加工部32aのいずれも、凹状であり、同じ深さである。
このような上型ジャーナル加工部31aおよび下型ジャーナル加工部32aによれば、第1上型31の下降に伴い、上型ジャーナル加工部31aおよび下型ジャーナル加工部32aの最深部がビレット22と当接する。その状態で、第1上型31をさらに下降させると、上型ジャーナル加工部31aおよび下型ジャーナル加工部32aが、いずれも、部分的にビレット22と当接する。換言すると、上型ジャーナル加工部31aおよび下型ジャーナル加工部32aが型割り面の周辺でビレット22と当接しない。このため、バリを形成することなく、断面積を減少させて扁平部を形成できる。
体積の配分を促進したい場合は、前記図6Aおよび図6Bに示すように、ジャーナル加工部によって閉断面を形成した状態で、ビレットの全体を圧下するのが好ましい。噛み出しを防止する観点では、前記図20Aおよび図20Bに示すように、ジャーナル加工部でビレットを部分的に圧下するのが好ましい。
第1金型30のピン加工部は、図示を省略するが、前記図20Aおよび図20Bに示すジャーナル加工部と同様の構成を採用し、ビレットを部分的に圧下してもよい。体積の配分を促進する観点では、前記図5Aおよび図5Bに示すように、ピン加工部によって閉断面を形成した状態で、ビレットの全体を圧下するのが好ましい。噛み出しを防止する観点では、ピン加工部によってビレットを部分的に圧下するのが好ましい。
8.好ましい態様等
後工程で形成されるバリを低減する観点から、中間荒地のピン相当部の断面積Sp2(mm2)は、鍛造クランク軸(最終製品)のピン部の断面積Sp0(mm2)に対する比(Sp2/Sp0)で、0.7〜1.9とするのが好ましい。同様の観点から、初期荒地のピン相当部の断面積Sp1(mm2)は、鍛造クランク軸(最終製品)のピン部の断面積Sp0(mm2)に対する比(Sp1/Sp0)で、0.9〜1.9とするのが好ましい。
第1予備成形工程によって第2ピン相当部を偏心させる量(mm)、すなわち初期荒地23、中間荒地24および最終荒地25の第2ピン相当部の偏心量Ea(mm)は、仕上げ寸法の偏心量(鍛造クランク軸のピン相当部の偏心量)E0(mm)の20%以上とするのが好ましい。より好ましくは仕上げ寸法の偏心量E0の50%以上であり、最も好ましくは仕上げ寸法の偏心量E0の100%である。第2ピン相当部の偏心量Eaが仕上げ寸法の偏心量E0よりも小さいと、最終予備成形工程後の仕上げ鍛造によって第2ピン相当部をさらに偏心させる必要がある。そのため、疵が発生するかもしれない。上記の実施形態では、第2ピン相当部の偏心量Eaが仕上げ寸法の偏心量E0と同じ(100%)である場合を示す。
第2予備成形工程によって第1および第3ピン相当部を偏心させる量、すなわち、中間荒地24および最終荒地25の第1および第3ピン相当部の偏心量Eb(mm)は、仕上げ寸法の偏心量E0(mm)の(√3)/2と同じかまたはそれよりも小さくすることが好ましい。上記の実施形態では、第1および第3ピン相当部の偏心量Ebが仕上げ寸法の偏心量E0の(√3)/2と同じである場合を示す。ただし、ピン部用彫刻部への材料の充満性を確保する観点から、最終荒地25の第1および第3ピン相当部の偏心量Ebは、仕上げ寸法の偏心量E0に対する比(Eb/((√3)/2×E0))で、(1.0−Dp/2/((√3)/2×E0))以上とするのが好ましい。ここでDpは、仕上げ寸法のピン部の直径(鍛造クランク軸のピン部の直径)を意味する。同様の観点から、最終荒地25の第1および第3ピン相当部の断面積Spb(mm2)は、鍛造クランク軸のピン部の断面積Sp0(mm2)に対する比((Spb)/Sp0)で、0.7以上1.5以下とするのが好ましく、より好ましくは0.75以上1.1以下とするのが好ましい。
後工程でウエイト部の材料の充満性を向上させる観点から、第2予備成形工程において、中間荒地24のウェブ相当部の厚みt1(mm)は、仕上げ寸法t0(mm)に対する比(t1/t0)で、1.1以上とするのが好ましく、1.5以上とするのがより好ましい。一方、比(t1/t0)が3.5を超えると、材料表面のバルジ変形領域が大きくなり、アーム部外周の寸法精度が低下するおそれがある。このため、比(t1/t0)を3.5以下とするのが好ましい。
後工程でウエイト部の材料の充満性を確保しつつウエイト部の欠肉を防止する観点から、中間荒地のウェブ相当部の断面積Sw2(mm2)は、鍛造クランク軸(最終製品)のウェブの断面積Sw0(mm2)に対する比(Sw2/Sw0)で、0.3〜0.9とするのが好ましい。同様の観点から、初期荒地のウェブ相当部の断面積Sw1(mm2)は、鍛造クランク軸(最終製品)のウェブの断面積Sw0(mm2)に対する比(Sw1/Sw0)で、0.2〜0.8とするのが好ましい。ここで、ウェブ相当部の断面積Sw1は、アーム相当部の断面積と、ウエイト相当部の断面積との合計である。また、ウェブの断面積Sw0は、ウエイト部の断面積と、そのウエイト部が一体で備えるアーム部の断面積との合計である。
後工程で形成されるバリを低減する観点から、中間荒地のジャーナル相当部の断面積Sj2(mm2)は、鍛造クランク軸(最終製品)のジャーナル部の断面積Sj0(mm2)に対する比(Sj2/Sj0)で、1.0〜1.9とするのが好ましい。同様の観点から、初期荒地のジャーナル相当部の断面積Sj1(mm2)は、鍛造クランク軸(最終製品)の断面積Sj0(mm2)に対する比(Sj1/Sj0)で、1.2〜1.9とするのが好ましい。
前記図3A〜図3Fに示す製造工程例では、被加工材をビレット22としたが、被加工材を段付き素材とすることもできる。
図21は、段付き素材の形状例を示す模式図である。図21に示す段付き素材27において、前記図3Bに示す初期荒地23と同様に、ピン相当部およびジャーナル相当部は、ウェブ相当部と比べて絞られている。すなわち、ピン相当部およびジャーナル相当部の断面積は、ウェブ相当部の断面積よりも小さい。段付き素材27は、前記図3Bに示す初期荒地23と異なり、いずれのピン相当部も偏心していない。段付き素材27は、例えば、レデュースロールまたはクロスロールを用いて成形できる。
このような段付き素材を被加工材とする場合、第1予備成形工程では、上述の一対の第1金型によって段付き素材を圧下する。具体的には、ピン加工部によってピン相当部を圧下し、ピン相当部の断面積をさらに減少させて扁平部を形成する。また、ジャーナル加工部によってジャーナル相当部を圧下し、ジャーナル相当部の断面積をさらに減少させて扁平部を形成する。さらに、第2ピン相当部を偏心させる。
9.その他の実施形態
[実施形態1]
図22A〜図22Cは、実施形態1の製造方法における最終予備成形工程を模式的に示す上面図である。これらの図のうち、図22Aは圧下前の状況を示す。図22Bは上型の下死点到達時の状況を示す。図22Cは軸方向の移動終了時の状況を示す。図23は、実施形態1の最終予備成形工程での中間荒地の姿勢と上下の金型による型締め方向を示す模式図であり、中間荒地を軸方向から視た図である。実施形態1の製造方法は、上記の図3A〜図21に示す実施形態と比較して、最終予備成形工程で用いられる第3金型の形態が相違する。それ以外の構成は、上記の実施形態と同じである。なお、状況の理解を容易にするため、図22A〜図22Cには、第3金型51を構成する第3上型および第3下型70のうちの第3下型70を示す。図22Aには、中間荒地24の輪郭を破線で示す。図22Bおよび図22Cには、バリを示さない。
上記の実施形態では、図15Aおよび図16に示すように、中間荒地24は、第1および第3ピン相当部PA1およびPA3が鉛直面内で並ぶような姿勢で、第3下型70の上に配置される。そのため、図15Bに示すように、第3上型60の下降によって第3上型60と第3下型70とが型締めされると、ジャーナル相当部およびピン相当部は、第1および第3ピン相当部PA1およびPA3の偏心方向に沿って圧下される。
これに対し、実施形態1では、図22Aおよび図23に示すように、中間荒地24は、第1および第3ピン相当部PA1およびPA3が水平面内で並ぶような姿勢で、第3下型70の上に配置される。そのため、図22Bに示すように、第3上型の下降によって第3上型と第3下型70とが型締めされると、ジャーナル相当部およびピン相当部は、第1および第3ピン相当部PA1およびPA3の偏心方向と垂直な方向(第2ピン相当部PA2の偏心方向)から圧下される。
このように、実施形態1の最終予備成形工程では、中間荒地24の姿勢は、第1および第3ピン相当部PA1およびPA3が水平面内で並ぶような姿勢である。この姿勢は、後の仕上げ鍛造工程での最終荒地の姿勢と同様である。そのため、最終予備成形工程で形成されるバリの位置と、仕上げ鍛造工程で形成されるバリの位置とは、一致する。したがって、最終予備成形工程でバリが形成されたとしても、そのバリは、仕上げ鍛造工程で形成されるバリと一緒になり、次のバリ抜き工程で除去される。
[実施形態2]
図24A〜図24Cは、実施形態2の鍛造クランク軸の製造工程例を説明するための模式図である。これらの図のうち、図24Aは初期荒地を示す。図24Bは中間荒地を示す。図24Cは最終荒地を示す。図25A〜図25Cは、実施形態2の製造方法における最終予備成形工程を模式的に示す縦断面図である。これらの図のうち、図25Aは圧下前の状況を示す。図25Bは上型の下死点到達時の状況を示す。図25Cは軸方向の移動終了時の状況を示す。実施形態2の製造方法は、上記の図3A〜図21に示す実施形態と比較して、第1予備成形工程で得られる初期荒地23の形態が相違する。第2予備成形工程で得られる中間荒地24の形態が相違する。さらに、最終予備成形工程で得られる最終荒地25の形態が相違する。それ以外の構成は、上記の実施形態と同じである。最終予備成形工程での中間荒地24の姿勢は、第1および第3ピン相当部が鉛直面内で並ぶような姿勢である。
図24Bおよび図25Aに示すように、中間荒地24の第2ピン相当部PA2の偏心量は、仕上げ寸法の偏心量よりも小さい。第1および第3ピン相当部PA1およびPA3の偏心量は、仕上げ寸法の偏心量の(√3)/2よりも小さい。第1予備成形工程では、第2ピン相当部PA2の偏心量がそのような偏心量になるように、初期荒地23が成形される(図24A参照)。第2予備成形工程では、第1および第3ピン相当部PA1およびPA3の偏心量がそのような偏心量になるように、中間荒地24が成形される。そして、最終予備成形工程では、上記の実施形態と同様に、ピン相当部が偏心方向に移動しない。そのため、図24C、図25Bおよび図25Cに示すように、最終荒地25のピン相当部の偏心量は、中間荒地24のピン相当部の偏心量と変わらない。つまり、最終荒地25の第2ピン相当部の偏心量は、仕上げ寸法の偏心量よりも小さい。第1および第3ピン相当部PA1およびPA3の偏心量は、仕上げ寸法の偏心量の(√3)/2よりも小さい。
次に仕上げ鍛造工程では、最終荒地25は、第1および第3ピン相当部が水平面内で並ぶような姿勢で、下型の上に配置される。そして、上型の下降により鍛造が実施される。ここで、最終荒地25が下型の上に配置された段階では、最終荒地25の第2ピン相当部は、下型に形成されたピン部用彫刻部から浮上している。最終荒地25の第2ピン相当部の偏心量が仕上げ寸法の偏心量よりも小さいからである。このような状態であっても、下降する上型が第2ピン相当部と接触することにより、そのピン相当部が下型のピン部用彫刻部内に押し込まれる。したがって、仕上げ寸法の偏心量となった第2ピン部が得られる。
また、最終荒地25が下型の上に配置された段階では、最終荒地25の第1および第3ピン相当部は、下型に形成されたピン部用彫刻部からずれている。最終荒地25の第1および第3ピン相当部の偏心量が仕上げ寸法の偏心量の(√3)/2よりも小さいからである。このような状態であっても、下降する上型が第1および第3ピン相当部と接触することにより、それらのピン相当部が下型のピン部用彫刻部内に押し込まれる。したがって、仕上げ寸法の偏心量となった第1および第3ピン部が得られる。
実施形態2の最終予備成形工程で用いられる第2金型として、実施形態1のような形態の第2金型を適用してもよい。
[実施形態3]
図26および図27は、実施形態3の第2予備成形工程で用いられる第2金型を示す断面図である。実施形態3の第2予備成形工程は、上記の図3A〜図21に示す実施形態と比較して、第2予備成形工程で用いられる第2金型の形態が相違する。
上記の実施形態1および2では、以下に示す問題が生じる可能性がある。図8Aを参照して、第2上型41と第2下型42を離間させた状態で、初期荒地23は第2下型42上に配置される。上述したように、第2予備成形工程では、第1ピン相当部および第3ピン相当部を偏心させる。初期荒地23の第1ピン相当部を加工する下型ピン加工部42hは、下型ジャーナル加工部42aよりも突出している。したがって、第2下型42に初期荒地23を配置すると、初期荒地23は傾く。この状態で、第2金型40が初期荒地23を圧下すると、初期荒地23が傾いているため、初期荒地23が軸方向に移動しやすい。圧下中に初期荒地23が移動すると、第2金型40が圧下する初期荒地23の位置が、予定の位置からずれる。すなわち、第2金型40のピン加工部が初期荒地23のウェブ相当部を圧下する等の事態が生じ得る。そのため、圧下後の中間荒地に、欠肉等が生じることがある。
図26および図27を参照して、実施形態3の製造装置は、下型ピン加工部42hに代えて第4下型92を備える。第4下型92は、第2金型40とは独立して昇降できる。初期荒地23の圧下前では、第4下型92は下型ジャーナル加工部42aと同じ高さもしくは下方に配置されている。すなわち、第4下型92は下型ジャーナル加工部42aよりも突出していない。したがって、圧下開始前に、第2下型42に初期荒地23を配置しても、初期荒地23はほぼ水平に保たれる。
また、実施形態3では、下型ジャーナル加工部42aによる初期荒地23の圧下と同時または下型ジャーナル加工部42aによる初期荒地23の圧下開始後に、第4下型92による初期荒地23の圧下が開始される。したがって、第1ピン相当部の圧下中に、上型ジャーナル加工部41a、下型ジャーナル加工部42aによって初期荒地23のジャーナル相当部が圧下されている。すなわち、初期荒地23のジャーナル相当部が上型ジャーナル加工部41a、下型ジャーナル加工部42aによって拘束されている。
要するに、第4下型92が独立して昇降することおよび初期荒地23のジャーナル相当部がピン相当部と同時または先行して圧下されるため、ピン相当部の圧下中に初期荒地23が軸方向に移動しにくい。これにより、体積配分された初期荒地23が、第2金型40の所定の位置で圧下されるため、圧下後の中間荒地に欠肉等が生じにくい。第3ピン相当部についても同様である。すなわち、実施形態3の製造装置は、第1ピン相当部を圧下する第4下型92と、第3ピン相当部を圧下する第4上型91とからなる第4金型90を備える。
実施形態3の第2金型40および第4金型90の構成について説明する。第4金型90は、ピン加工部を独立して昇降させるために、制御機構を備える。制御機構は、例えばダイクッション、油圧シリンダである。
図26を参照して、制御機構がダイクッション81である場合について説明する。第2下型42はダイクッション81を介してボルスタベース82に支持される。ダイクッション81は緩衝機能を有する。第4下型92はピンベース83を介してボルスタベース82に支持される。第2下型42が初期荒地23を圧下し始めると、ダイクッション81の緩衝機能により、第4下型92が第2下型42から突出し始める。上型ジャーナル加工部41a、下型ジャーナル加工部42aが初期荒地23のジャーナル相当部と当接と同時または当接した後に、第4下型92が初期荒地23のピン相当部と当接するようにダイクッション81は設定される。これにより、初期荒地23のピン相当部が、ジャーナル相当部と同時にまたはジャーナル相当部の圧下開始後に圧下される。
図27を参照して、制御機構が油圧シリンダ84である場合について説明する。油圧シリンダ84は、第4下型92を昇降させることができる。第4下型92は油圧シリンダ84を介してボルスタベース82に支持される。第2下型42が初期荒地23を圧下し始めると、油圧シリンダ84が作動し、第4下型92が第2下型42から突出し始める。上型ジャーナル加工部41a、下型ジャーナル加工部42aが初期荒地23のジャーナル相当部と当接と同時または当接した後に、第4下型92が初期荒地23のピン相当部と当接するように油圧シリンダ84は設定される。これにより、初期荒地23のピン相当部が、ジャーナル相当部と同時にまたはジャーナル相当部の圧下開始後に圧下される。
制御機構がダイクッションまたは油圧シリンダのいずれの場合であっても、第4下型92が第2下型42から突出するタイミングは適宜設定される。すなわち、初期荒地23のピン相当部は、ジャーナル相当部の圧下と同時に圧下されてもよい。ピン相当部は、ジャーナル相当部の圧下開始後から圧下完了までの間に圧下されてもよい。ピン相当部は、ジャーナル相当部の圧下完了後に圧下されてもよい。
第4上型91についても同様である。したがって、第4上型91の詳細な説明は省略する。
その他、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能であることは言うまでもない。
本発明は、3気筒のレシプロエンジンに搭載される鍛造クランク軸の製造に有効に利用できる。
21 鍛造クランク軸
22 ビレット
23 初期荒地
23a 扁平部
23b ウェブ相当部の開口側の側面
24 中間荒地
25 最終荒地
26 仕上げ鍛造材
27 段付き素材
30 第1金型
31 第1上型
31a 上型ジャーナル加工部
31b 上型ピン加工部
32 第1下型
32a 下型ジャーナル加工部
32b 下型ピン加工部
40 第2金型
41 第2上型
41a 上型ジャーナル加工部
41b 上型ピン加工部(第3ピン相当部)
41c 上型ウェブ加工部
41f 上型ピン加工部(第2ピン相当部)
41g 逃げ部
42 第2下型
42a 下型ジャーナル加工部
42b 下型ピン加工部(第3ピン相当部)
42c 下型ウェブ加工部
42d アーム加工部
42e ウエイト加工部
42f 下型ピン加工部(第2ピン相当部)
42g 逃げ部
51 第3金型
52 上側プレート
53 下側プレート
60 第3上型
61 固定ジャーナル型部材
62 可動ジャーナル型部材
63 可動ピン型部材
64 固定ピン型部材
70 第3下型
71 固定ジャーナル型部材
72 可動ジャーナル型部材
73 可動ピン型部材
74 固定ピン型部材
90 第4金型
91 第4上型
92 第4下型
A、A1〜A6 クランクアーム部
J、J1〜J4 ジャーナル部
P、P1〜P3 ピン部
W、W1〜W4 カウンターウエイト部
PA、PA1〜PA3 ピン相当部
B バリ

Claims (2)

  1. 回転中心となる4つのジャーナル部と、前記ジャーナル部に対して偏心し、かつ、位相角が120°の第1位置、第2位置および第3位置にそれぞれ配置される3つのピン部と、前記ジャーナル部と前記ピン部をつなぐ複数のクランクアーム部と、前記クランクアーム部のうちの全部または一部が一体で備える複数のカウンターウエイト部と、を備える鍛造クランク軸の製造方法であって、
    当該製造方法は、
    ビレットまたは段付き素材からなる被加工材から初期荒地を得る第1予備成形工程と、
    前記初期荒地から中間荒地を得る第2予備成形工程と、
    前記中間荒地から最終荒地を得る最終予備成形工程と、
    型鍛造によって前記最終荒地を前記鍛造クランク軸の仕上げ寸法に成形する仕上げ鍛造工程と、を含み、
    前記第1予備成形工程では、一対の第1金型を用い、前記被加工材のうちの前記ピン部となる部位、および前記ジャーナル部となる部位を、前記被加工材の軸方向と垂直な方向から圧下することにより、前記各部位の断面積を減少させて複数の扁平部を形成しながら、前記扁平部のうちで前記第2位置に配置される第2ピン部となる部位を偏心させ、前記第2ピン部となる部位の偏心量が仕上げ寸法の偏心量と同じかまたはそれよりも小さくなり、
    前記第2予備成形工程では、第2金型を用い、前記第2ピン部となる部位の偏心方向と垂直な方向を圧下方向にして前記初期荒地を圧下することにより、前記第1位置に配置される第1ピン部となる部位および前記第3位置に配置される第3ピン部となる部位を互いに反対方向に偏心させ、前記第1および第3ピン部となる部位の偏心量が仕上げ寸法の偏心量の(√3)/2と同じかまたはそれよりも小さくなり、前記カウンターウエイト部となる部位、および前記カウンターウエイト部を一体で備える前記クランクアーム部となる部位の厚みが、仕上げ寸法の厚みよりも大きくなり、
    前記最終予備成形工程では、第3金型を用い、前記中間荒地を前記中間荒地の軸方向と垂直な方向から圧下し、さらに、前記カウンターウエイト部となる部位、および前記カウンターウエイト部を一体で備える前記クランクアーム部となる部位を、前記中間荒地の軸方向から圧下することにより、前記第1、第2および第3ピン部となる部位の偏心量を維持しつつ、前記カウンターウエイト部となる部位、および前記カウンターウエイト部を一体で備える前記クランクアーム部となる部位の厚みを、仕上げ寸法の厚みまで小さくする、鍛造クランク軸の製造方法。
  2. 請求項1に記載の鍛造クランク軸の製造方法であって、
    前記最終予備成形工程では、前記第3金型による前記中間荒地の軸方向と垂直な方向に沿う圧下方向が、前記第2ピン部となる部位の偏心方向である、鍛造クランク軸の製造方法。
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