以下、発明を実施するための形態(以下、実施形態という)につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る電動パワーステアリング装置を搭載した車両を模式的に示した斜視図である。図2は、実施形態1に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。図1に示すように、車両101は、電動パワーステアリング装置80を搭載している。図2に示すように、電動パワーステアリング装置80は、操作者から与えられる力が伝達する順に、ステアリングホイール81と、ステアリングシャフト82と、操舵力アシスト機構83と、ユニバーサルジョイント84と、ロアシャフト85と、ユニバーサルジョイント86と、を備え、ピニオンシャフト87に接合されている。また、電動パワーステアリング装置80は、モータ制御装置としてのECU(Electronic Control Unit)90と、トルクセンサ94と、を備える。車速センサ95は、車体に備えられ、CAN(Controller Area Network)通信により信号として車速VをECU90に出力する。
図2に示すように、ステアリングシャフト82は、入力軸82aと、出力軸82bと、を備える。入力軸82aの一方の端部がステアリングホイール81に連結され、入力軸82aの他方の端部が出力軸82bに連結される。また、出力軸82bの一方の端部が入力軸82aに連結され、出力軸82bの他方の端部がユニバーサルジョイント84に連結される。本実施形態では、入力軸82a及び出力軸82bは、機械構造用炭素鋼(SC材(Carbon Steel for Machine Structural Use))又は機械構造用炭素鋼鋼管(いわゆるSTKM材(Carbon Steel Tubes for Machine Structural Purposes))等の一般的な鋼材等から形成される。
図2に示すように、ロアシャフト85は、ユニバーサルジョイント84を介して出力軸82bに連結される部材である。ロアシャフト85の一方の端部がユニバーサルジョイント84に連結され、他方の端部がユニバーサルジョイント86に連結される。また、ピニオンシャフト87の一方の端部がユニバーサルジョイント86に連結され、ピニオンシャフト87の他方の端部がステアリングギヤ88に連結される。
図2に示すように、ステアリングギヤ88は、ピニオン88aと、ラック88bと、を備える。ピニオン88aは、ピニオンシャフト87に連結される。ラック88bは、ピニオン88aに噛み合う。ステアリングギヤ88は、ピニオン88aに伝達された回転運動をラック88bで直進運動に変換する。ラック88bは、タイロッド89に連結される。
図2に示すように、操舵力アシスト機構83は、減速装置92と、モータ93と、を備える。モータ93は、例えば3相ブラシレスモータである。減速装置92は、例えばウォーム減速装置である。モータ93で生じたトルクは、減速装置92の内部のウォームを介してウォームホイールに伝達され、ウォームホイールを回転させる。減速装置92は、ウォーム及びウォームホイール(ウォームギヤ)によって、モータ93で生じたトルクを増加させる。そして、減速装置92は、出力軸82bに補助操舵トルクを与える。電動パワーステアリング装置80は、コラムアシスト方式である。
出力軸82bを介して出力された操舵トルク(補助操舵トルクを含む)は、ユニバーサルジョイント84を介してロアシャフト85に伝達され、さらにユニバーサルジョイント86を介してピニオンシャフト87に伝達される。ピニオンシャフト87に伝達された操舵トルクは、ステアリングギヤ88を介してタイロッド89に伝達され、車輪を変位させる。
ECU90は、モータ93の動作を制御する装置である。イグニッションスイッチ98がオンの状態で、電源装置99(例えば車載のバッテリ)からECU90に電力が供給される。ECU90は、トルクセンサ94、車速センサ95から信号を取得する。具体的には、ECU90は、トルクセンサ94から操舵トルクTを取得する。ECU90は、車速センサ95から車体の車速Vを取得する。ECU90は、操舵トルクTと車速Vと動作情報Yとに基づいて補助操舵指令値を算出する。そして、ECU90は、その算出された補助操舵指令値に基づいてモータ93へ供給する電力値Xを調節する。
なお、モータ93は、例えば、4相以上のブラシレスモータとした構成であっても良いし、ブラシモータとした構成であっても良い。
また、電動パワーステアリング装置80は、例えば、ラックアシスト方式又はピニオンアシスト方式の電動パワーステアリング装置とした構成であっても良い。
<トルクセンサの構成>
図3は、実施形態1に係る相対角度検出装置を備えたトルクセンサの一例を模式的に示す斜視図である。図4は、実施形態1に係る相対角度検出装置を備えたトルクセンサの一例を模式的に示す側面図である。図5は、図4におけるA−A断面図である。図6は、図4におけるB−B断面図である。図7は、実施形態1に係るトルクセンサの一例を示す図である。
トルクセンサ94Aは、ステアリングホイール81に付与されて入力軸82aに伝達された操舵トルクTを検出する。具体的に、トルクセンサ94Aは、図7に示すように、相対角度検出装置3Aと、トルク演算部19とを備えている。相対角度検出装置3Aは、センサ部100Aと、相対角度演算部18とを備える。
センサ部100Aは、図3に示すように、回転軸を軸心として回転する第1多極リング磁石10A及び第2多極リング磁石11Aと、ばね鋼等の弾性部材から構成されたトーションバー82cと、を備えている。入力軸82aと出力軸82bとは、トーションバー82cを介して同軸上に配置されている。
また、センサ部100Aは、第1多極リング磁石10Aの径方向外側に設けられた、第1多極リング磁石10Aの回転角度を検出する第1回転角度センサ12Aと、第2多極リング磁石11Aの径方向外側に設けられた、第2多極リング磁石11Aの回転角度を検出する第2回転角度センサ13Aとを備えている。
実施形態1において、第1多極リング磁石10Aは、入力軸82aの出力軸82b側端部(理想的にはトーションバー82cの連結位置)に、入力軸82aと同期回転可能に取付けられている。また、第2多極リング磁石11Aは、出力軸82bの入力軸82a側端部(理想的にはトーションバー82cの連結位置)に、出力軸82bと同期回転可能に取付けられている。実施形態1の第1多極リング磁石10A及び第2多極リング磁石11Aは、例えば磁性体リングの外周面の部位を等間隔にS極及びN極の一方の磁極に着磁することで得られる。
具体的に、第1多極リング磁石10A及び第2多極リング磁石11Aは、図4のA−A断面及びB−B断面である図5及び図6に示すように、例えば図に網がけしてある部分がN極、網がけのない部分がS極といったように、周方向に異なる磁極が交互に等配されている。第1多極リング磁石10A及び第2多極リング磁石11Aの周方向に隣接するS極及びN極の磁極の一組から磁極対が構成される。
また、第1多極リング磁石10A及び第2多極リング磁石11Aは、必要な磁束密度に応じて、例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石等から構成することが可能である。
第1回転角度センサ12A及び第2回転角度センサ13Aは、第1回転軸である入力軸82aとも第2回転軸である出力軸82bとも同期回転しない固定部位に設けられている。
第1回転角度センサ12Aは、第1多極リング磁石10Aの回転角度に応じてsin信号及びcos信号を出力する。また、第2回転角度センサ13Aは、第2多極リング磁石11Aの回転角度に応じてsin信号及びcos信号を出力する。
具体的に、第1回転角度センサ12Aは、図3及び図5に示すように、磁極ピッチに対して電気角で90°分だけ移相させて(90°の位相差を有する状態に)配置された第1sinセンサ14A及び第1cosセンサ15Aを備える。また、第2回転角度センサ13Aは、図3及び図6に示すように、磁極ピッチに対して電気角で90°分だけ移相させて(90°の位相差を有する状態に)配置された第2sinセンサ16A及び第2cosセンサ17Aを備える。
実施形態1において、第1回転角度センサ12Aは、第1sinセンサ14A及び第1cosセンサ15Aが第1多極リング磁石10Aの磁極面と対向するように、第1多極リング磁石10Aに対してラジアル方向に対向して配置されている。また、第2回転角度センサ13Aは、第2sinセンサ16A及び第2cosセンサ17Aが第2多極リング磁石11Aの磁極面と対向するように、第2多極リング磁石11Aに対してラジアル方向に対向して配置されている。
第1sinセンサ14A、第1cosセンサ15A、第2sinセンサ16A、及び第2cosセンサ17Aとしては、例えば、ホール素子、ホールIC、磁気抵抗効果(MR(Magneto Resistance effect))センサなどの磁気センサ素子を用いることができる。
第1sinセンサ14Aは、第1多極リング磁石10Aの回転角度(電気角度)θisに応じて第1sin信号sinθisを出力し、第1cosセンサ15Aは、第1多極リング磁石10Aの回転角度(電気角度)θisに応じて第1cos信号cosθisを出力する。
また、第2sinセンサ16Aは、第2多極リング磁石11Aの回転角度(電気角度)θosに応じて第2sin信号sinθosを出力し、第2cosセンサ17Aは、第2多極リング磁石11Aの回転角度(電気角度)θosに応じて第2cos信号cosθosを出力する。
センサ部100Aの第1sinセンサ14A、第1cosセンサ15A、第2sinセンサ16A、及び第2cosセンサ17Aから出力された、第1sin信号sinθis、第1cos信号cosθis、第2sin信号sinθos、及び第2cos信号cosθosは、図7に示すように、相対角度演算部18に入力される。
相対角度演算部18は、入力された第1sin信号sinθis、第1cos信号cosθis、第2sin信号sinθos、及び第2cos信号cosθosに基づき、第1多極リング磁石10Aと第2多極リング磁石11Aとの相対角度(すなわち、入力軸82aと出力軸82bとの相対角度)Δθioを算出する。相対角度演算部18は、算出した相対角度Δθioをトルク演算部19に出力する。
トルク演算部19は、相対角度演算部18から入力された相対角度Δθioに基づき、操舵トルクTを演算する。トーションバー82cで連結される二軸の相対角度Δθioが得られれば、トーションバー82cの断面二次極モーメント、横弾性係数、長さ、径などを用いて周知の算出方法によってトルクを算出することができる。
なお、上述した例では、第1回転角度センサ12Aを構成する第1sinセンサ14A及び第1cosセンサ15Aがそれぞれ磁気センサ素子を有し、第1sinセンサ14A及び第1cosセンサ15Aがそれぞれ第1sin信号sinθis及び第1cos信号cosθisを出力し、第2回転角度センサ13Aを構成する第2sinセンサ16A及び第2cosセンサ17Aがそれぞれ磁気センサ素子を有し、第2sinセンサ16A及び第2cosセンサ17Aがそれぞれ第2sin信号sinθos及び第2cos信号cosθosを出力する構成としたが、この構成に限らない。例えば、第1回転角度センサ12Aが第1sin信号sinθisを出力する磁気センサ素子及び第1cos信号cosθisを出力する磁気センサ素子の2つの磁気センサ素子を備え、第2回転角度センサ13Aが第2sin信号sinθosを出力する磁気センサ素子及び第2cos信号cosθosを出力する磁気センサ素子の2つの磁気センサ素子を備える構成としてもよい。
<トルクセンサの変形例1>
図8は、実施形態1に係る相対角度検出装置を備えたトルクセンサの変形例1を模式的に示す斜視図である。
図8に示す実施形態1に係るトルクセンサ94Bの変形例1では、図3に示すセンサ部100Aに代えて、構成が一部異なるセンサ部100Bを備える点で、図3から図7に示す例とは異なる。
センサ部100Bは、図8に示すように、図3に示す第1多極リング磁石10A及び第2多極リング磁石11Aに代えて、第3多極リング磁石10B及び第4多極リング磁石11Bを備える。
第3多極リング磁石10B及び第4多極リング磁石11Bは、図3に示す第1多極リング磁石10A及び第2多極リング磁石11Aと異なり、リング磁石の軸方向端面を周方向に交互に異なる磁極に着磁した構成となっている。
なお、第3多極リング磁石10B及び第4多極リング磁石11Bの取付位置は、図3に示す第1多極リング磁石10A及び第2多極リング磁石11Aと同様である。また、第3多極リング磁石10B及び第4多極リング磁石11Bは、同一構成の多極リング磁石から構成されている。
第3多極リング磁石10B及び第4多極リング磁石11Bは、図8に示すように、例えば図に網がけしてある部分がN極、網がけのない部分がS極といったように、周方向に異なる磁極が交互に等配されている。第3多極リング磁石10B及び第4多極リング磁石11Bの周方向に隣接するS極及びN極の磁極の一組から磁極対が構成される。
また、第3多極リング磁石10B及び第4多極リング磁石11Bは、必要な磁束密度に応じて、例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石等から構成することが可能である。
センサ部100Bは、図3に示すセンサ部100Aと同様の第1回転角度センサ12B及び第2回転角度センサ13Bを備えるが、これらの配置位置が図3に示す構成とは異なる。
具体的に、図8に示すように、実施形態1の変形例1において、第1回転角度センサ12Bは、第1sinセンサ14B及び第1cosセンサ15Bが第3多極リング磁石10Bの磁極面に対向するように、第3多極リング磁石10Bに対してアキシアル方向に対向して配置されている。また、第2回転角度センサ13Bは、第2sinセンサ16B及び第2cosセンサ17Bが第4多極リング磁石11Bの磁極面に対向するように、第4多極リング磁石11Bに対してアキシアル方向に対向して配置されている。
第1回転角度センサ12B及び第2回転角度センサ13Bは、入力軸82aとも出力軸82bとも同期回転しない固定部位に設けられている。
また、実施形態1の変形例1において、第1sinセンサ14B及び第1cosセンサ15Bは、図8に示すように、磁極ピッチに対して電気角で90°分だけ移相させて(90°の位相差を有する状態に)配置されている。また、実施形態1の変形例1において、第2sinセンサ16B及び第2cosセンサ17Bは、図8に示すように、磁極ピッチに対して電気角で90°分だけ移相させて(90°の位相差を有する状態に)配置されている。
図8に示すように、実施形態1の変形例1において、第1回転角度センサ12Bは、第1sinセンサ14B及び第1cosセンサ15Bが第3多極リング磁石10Bの軸方向の一方の端面に形成された磁極面に対向して配置されている。また、第2回転角度センサ13Bは、第2sinセンサ16B及び第2cosセンサ17Bが第4多極リング磁石11Bの軸方向の一方の端面に形成された磁極面に対向して配置されている。このため、例えば、リング磁石に対してラジアル方向の配置スペースが取れない場合などにおいて、アキシアル対向で回転角度センサを配置することが可能となる。
<トルクセンサの変形例2>
図9は、実施形態1に係る相対角度検出装置を備えたトルクセンサの変形例2を模式的に示す斜視図である。図10は、実施形態1の変形例2に係るトルクセンサの一例を示す図である。
図9及び図10に示す実施形態1に係るトルクセンサ94Cの変形例2では、相対角度の検出にレゾルバを用いるセンサ部100Cを備えている。
実施形態1の変形例2に係るトルクセンサ94Cは、図10に示すように、相対角度検出装置3Cと、トルク演算部19とを備えている。また、相対角度検出装置3Cは、センサ部100Cと、相対角度演算部18とを備える。
センサ部100Cは、図9に示すように、第1レゾルバ50と、第2レゾルバ51と、励磁信号供給部56とを備える。
第1レゾルバ50は、図10に示す例では、外周に12個の歯を等配に有する第1ロータ10Cと、入力軸82aとも出力軸82bとも同期回転しない固定部位に設けられ且つ内周に等配された16個のポールのそれぞれにコイルを巻き付けてなる16個の電機子巻線(磁極)を有する第1ステータ12Cとを備える。
第2レゾルバ51は、図10に示す例では、外周に12個の歯を等配に有する第2ロータ11Cと、入力軸82aとも出力軸82bとも同期回転しない固定部位に設けられ、且つ、内周に等配された16個のポールのそれぞれにコイルを巻き付けてなる16個の電機子巻線(磁極)を周方向に等配に有する第2ステータ13Cとを備える。
なお、第1レゾルバ50及び第2レゾルバ51において、歯の数は12個に限らず、11個以下又は13個以上としてもよい。また、電機子巻線の数は16個に限らず15個以下又は17個以上としてもよい。
第1ロータ10Cは、入力軸82aに該入力軸82aと同期回転可能に取り付けられ、第2ロータ11Cは、出力軸82bに該出力軸82bと同期回転可能に取付けられている。
第1ロータ10Cと第1ステータ12Cとは、第1ステータ12Cが第1ロータ10Cの外側に同心に配置され、且つ、第1ロータ10Cの各歯と第1ステータ12Cの各電機子巻線とが径方向に所定のエアギャップを空けて対向するように配置されている。
第2ロータ11Cと第2ステータ13Cとは、第2ステータ13Cが第2ロータ11Cの外側に同心に配置され、且つ、第2ロータ11Cの各歯と第2ステータ13Cの各電機子巻線とが径方向に所定のエアギャップを空けて対向するように配置されている。
実施形態1の変形例2において、第1ロータ10Cは、入力軸82aの出力軸82b側端部(理想的にはトーションバー82cの連結位置)に、入力軸82aと同期回転可能に取付けられている。また、第2ロータ11Cは、出力軸82bの入力軸82a側端部(理想的にはトーションバー82cの連結位置)に、出力軸82bと同期回転可能に取付けている。
励磁信号供給部56は、第1ステータ12C及び第2ステータ13Cの各電機子巻線のコイルに正弦波状の励磁信号を供給する。
実施形態1の変形例2において、第1レゾルバ50及び第2レゾルバ51は4相のレゾルバである。即ち、第1ステータ12C及び第2ステータ13Cの各ポールは、第1ロータ10C及び第2ロータ11Cの歯のピッチの整数倍から1/4ピッチずらされて設けられている。
これにより、第1ステータ12C及び第2ステータ13Cの16個の電機子巻線のコイルの出力を周方向に90°ずつ4分割すると、分割された周方向90°内の4個の電機子巻線のコイルの出力は、隣接する電機子巻線間において互いに90°ずつ位相がずれた正弦波(又は余弦波)信号となる。実施形態1の変形例2では、各電機子巻線のコイルのうち、同じ信号を出力するコイルを直列に接続している。
すなわち、第1ロータ10Cの回転角度をθisとすると、第1ステータ12Cのコイルの出力からは、第1sin信号sinθis及び第1cos信号cosθisが得られる。
また、第2ロータ11Cの回転角度をθosとすると、第2ステータ13Cのコイルの出力からは、第2sin信号sinθos及び第2cos信号cosθosが得られる。
センサ部100Cの各コイルから出力された、第1sin信号sinθis、第1cos信号cosθis、第2sin信号sinθos、及び第2cos信号cosθosは、図10に示すように、レゾルバケーブルを介して相対角度演算部18に入力される。
相対角度演算部18は、入力された第1sin信号sinθis、第1cos信号cosθis、第2sin信号sinθos、及び第2cos信号cosθosに基づき、第1ロータ10Cと第2ロータ11Cとの相対角度(すなわち、入力軸82aと出力軸82bとの相対角度)Δθioを算出する。相対角度演算部18は、算出した相対角度Δθioをトルク演算部19に出力する。
トルク演算部19は、相対角度演算部18から入力された相対角度Δθioに基づき、操舵トルクTを演算する。トーションバー82cで連結される二軸の相対角度Δθioが得られれば、トーションバー82cの断面二次極モーメント、横弾性係数、長さ、径などを用いて周知の算出方法によってトルクを算出することができる。
<トルクセンサの変形例3>
図11は、実施形態1に係る相対角度検出装置を備えたトルクセンサの変形例3を模式的に示す斜視図である。図12は、実施形態1の変形例3に係るトルクセンサの一例を示す図である。
図11から図12に示す実施形態1に係るトルクセンサ94Dの変形例3では、回転角度の検出に光学式エンコーダを用いるセンサ部100Dを備えている。
実施形態1の変形例3に係るトルクセンサ94Dは、図12に示すように、相対角度検出装置3Dと、トルク演算部19とを備えている。また、相対角度検出装置3Dは、センサ部100Dと、相対角度演算部18とを備える。
センサ部100Dは、図11に示すように、円環形状且つ薄板形状の第1コードホイール10D及び第2コードホイール11Dと、第1コードホイール10Dの回転角度を検出する第3回転角度センサ12Dと、第2コードホイール11Dの回転角度を検出する第4回転角度センサ13Dとを備える。
第1コードホイール10Dは、板面の外周部近傍に、平面視で矩形状の貫通孔からなる複数のスリット10Dsが周方向に沿って等間隔に形成されている。
第2コードホイール11Dは、板面の外周部近傍に、平面視で矩形状の貫通孔からなる複数のスリット11Dsが周方向に沿って等間隔に形成されている。
実施形態1の変形例3において、第1コードホイール10Dは、入力軸82aの出力軸82b側端部(理想的にはトーションバー82cの連結位置)に、入力軸82aと同期回転可能に取付けられている。また、第2コードホイール11Dは、出力軸82bの入力軸82a側端部(理想的にはトーションバー82cの連結位置)に、出力軸82bと同期回転可能に取付けられている。
第3回転角度センサ12D及び第4回転角度センサ13Dは、入力軸82aとも出力軸82bとも同期回転しない固定部位に設けられている。
第3回転角度センサ12Dは、第1コードホイール10Dの回転角度に応じて第1sin信号sinθis及び第1cos信号cosθisを出力する。
第4回転角度センサ13Dは、第2コードホイール11Dの回転角度に応じて第2sin信号sinθos及び第2cos信号cosθosを出力する。
具体的に、第3回転角度センサ12Dは、スリット10Dsのピッチに対して電気角で90°分だけ移相させて(90°の位相差を有する状態に)配置された第1sin光学センサ14D及び第1cos光学センサ15Dを備える。また、第4回転角度センサ13Dは、スリット11Dsのピッチに対して電気角で90°分だけ移相させて(90°の位相差を有する状態に)配置された第2sin光学センサ16D及び第2cos光学センサ17Dを備える。
第1sin光学センサ14Dは、第1コードホイール10Dの回転角度に応じて第1sin信号sinθisを出力し、第1cos光学センサ15Dは、第1コードホイール10Dの回転角度に応じて第1cos信号cosθisを出力する。
また、第2sin光学センサ16Dは、第2コードホイール11Dの回転角度に応じて第2sin信号sinθosを出力し、第2cos光学センサ17Dは、第2コードホイール11Dの回転角度に応じて第2cos信号cosθosを出力する。
ここで、各光学センサの概略構造例について説明する。各光学センサは、軸方向断面が略U字状の検出枠と、この検出枠の内側の上下に対向する2本の枠部のうち上側の枠部に設けられた光源と、検出枠の内側の上下に対向する2本の枠部のうち下側の枠部に設けられた受光部とを備える。光源及び受光部は、光源からの射出光を受光部が受光可能にそれぞれ対向して配置されている。
各光学センサは、検出枠の内側の光源及び受光部の間の空間内をスリット10Ds(11Ds)の全体が通るように、第1コードホイール10D(第2コードホイール11D)の外周側端部のスリットの形成位置を含む領域を検出枠の2本の枠部で挟み込むように配置されている。即ち、光源からの射出光がスリット10Ds(11Ds)を通って受光部で受光可能に配置されている。
相対角度演算部18は、入力された第1sin信号sinθis、第1cos信号cosθis、第2sin信号sinθos、及び第2cos信号cosθosに基づき、第1多極リング磁石10Aと第2多極リング磁石11Aとの相対角度(すなわち、入力軸82aと出力軸82bとの相対角度)Δθioを算出する。相対角度演算部18は、算出した相対角度Δθioをトルク演算部19に出力する。
トルク演算部19は、相対角度演算部18から入力された相対角度Δθioに基づき、操舵トルクTを演算する。トーションバー82cで連結される二軸の相対角度Δθioが得られれば、トーションバー82cの断面二次極モーメント、横弾性係数、長さ、径などを用いて周知の算出方法によってトルクを算出することができる。
なお、上述した例では、第1コードホイール10D及び第2コードホイール11Dの板面の外周部近傍に、周方向に沿って複数のスリット10Ds,11Dsを設け、スリット10Ds,11Dsを通る光源光を受光部で受光する構成としたが、この構成に限らない。例えば、非反射性部材で構成した第1コードホイール10D及び第2コードホイール11Dの板面の外周部近傍に、スリット10Ds,11Dsに代えて、周方向に沿って例えばスリット10Ds,11Dsと同形状の反射性部材を設け、この反射性部材に入射した光源光の反射光を受光部で受光する構成としてもよい。
また、上述した例では、第1sin光学センサ14D及び第1cos光学センサ15Dを、スリット10Dsのピッチに対して電気角で90°分だけ移相させて(90°の位相差を有する状態に)配置し、第2sin光学センサ16D及び第2cos光学センサ17Dを、スリット11Dsのピッチに対して電気角で90°分だけ移相させて(90°の位相差を有する状態に)配置する構成とした。この構成に限らず、同じピッチのスリット列を径方向に2列設け、一方のスリット列に対して他方を径方向に電気角で90°分だけ移相させて(90°の位相差を有する状態に)配置する構成としてもよい。この場合には、例えば、2つの光学センサを径方向に並べて同位相に固定配置し、各スリット列に対してスリットを透過した光源光を受光可能に、光学センサを配置する。但し、内径側のセンサは設置の問題からU字状にできないため、センサ形状を変更する必要がある。
<トルクセンサの変形例4>
図13は、実施形態1に係る相対角度検出装置を備えたトルクセンサの変形例4を模式的に示す斜視図である。図14は、実施形態1の変形例4に係る相対角度検出装置の第5回転角度センサを図13におけるE矢示方向に見た平面図である。図15は、実施形態1の変形例4に係る相対角度検出装置の第5回転角度センサを図13におけるF矢示方向に見た平面図である。図16は、実施形態1の変形例4に係るトルクセンサの一例を示す図である。
図13から図16に示す実施形態1に係るトルクセンサ94Eの変形例4では、回転角度の検出に渦電流を用いるセンサ部100Eを備えている。
実施形態1の変形例4に係るトルクセンサ94Eは、図16に示すように、相対角度検出装置3Eと、トルク演算部19とを備えている。また、相対角度検出装置3Eは、センサ部100Eと、相対角度演算部18とを備える。
センサ部100Eは、第1ターゲット10E及び第2ターゲット11Eと、第1ターゲット10Eの回転角度を検出する第5回転角度センサ12Eと、第2ターゲット11Eの回転角度を検出する第6回転角度センサ13Eとを備える。
第1ターゲット10Eは、環状且つ薄板形状の導体から構成された第1環状導体10Eaと、第1環状導体10Eaの外径側端部を、軸方向から平面視して周方向に沿って正弦波状に変化する形状に形成してなる第1正弦波状部10Ebとを備える。すなわち、第1正弦波状部10Ebは、径方向の幅が正弦波状に変化する形状となる。
第2ターゲット11Eは、環状且つ薄板形状の導体から構成された第2環状導体11Eaと、第2環状導体11Eaの外径側端部を、軸方向から平面視して周方向に沿って正弦波状に変化する形状に形成してなる第2正弦波状部11Ebとを備える。すなわち、第2正弦波状部11Ebは、径方向の幅が正弦波状に変化する形状となる。
第1ターゲット10E及び第2ターゲット11Eは、例えば、アルミニウム、鋼、銅等の金属、または金属を含有するプラスチック材料等の導体から構成することが可能である。
実施形態1の変形例4において、第1ターゲット10Eは、入力軸82aの出力軸82b側端部(理想的にはトーションバー82cの連結位置)に、入力軸82aと同期回転可能に取付けられている。また、第2ターゲット11Eは、出力軸82bの入力軸82a側端部(理想的にはトーションバー82cの連結位置)に、出力軸82bと同期回転可能に取付けられている。
第5回転角度センサ12E及び第6回転角度センサ13Eは、入力軸82aとも出力軸82bとも同期回転しない固定部位に設けられている。
第5回転角度センサ12Eは、第1ターゲット10Eの回転角度に応じて第1sin信号sinθis及び第1cos信号cosθisを出力する。
第6回転角度センサ13Eは、第2ターゲット11Eの回転角度に応じて第2sin信号sinθos及び第2cos信号cosθosを出力する。
ここで、各回転角度センサの構造例として、第5回転角度センサ12Eの構造例について説明する。
具体的に、第5回転角度センサ12Eは、図14に示すように、基板12Esを備える。さらに、基板12Esの表側面12Ea上に、第1ターゲット10Eの第1正弦波状部10Ebに対してインダクタンスの変化が電気角0°、電気角90°、電気角180°、電気角270°となる位置にそれぞれ実装された平面コイルL1、L2、L3、L4を備える。
さらに、第5回転角度センサ12Eは、図15に示すように、基板12Esの裏側面12Eb上に実装された、ASIC(特定用途向けIC)12Ecと、周辺回路12Edとを備える。
なお、第6回転角度センサ13Eは、基板の符号を13Esに、基板13Esの表側面の符号を13Eaに、基板13Esの裏側面の符号を13Ebに、ASICの符号を13Ecに、周辺回路の符号を13Edにそれぞれ置き換えるのみで、上記第5回転角度センサ12Eと同様の構成となるので説明を省略する。
実施形態1の変形例4において、第5回転角度センサ12Eは、平面コイルL1からL4が第1ターゲット10Eの第1正弦波状部10Ebと対向するように、第1ターゲット10Eに対してアキシアル方向に対向させて配置している。また、第6回転角度センサ13Eは、平面コイルL1からL4が第2ターゲット11Eの第2正弦波状部11Ebと対向するように、第2ターゲット11Eに対してアキシアル方向に対向させて配置している。
第5回転角度センサ12Eは、平面コイルL1からL4に電流を流してこれら平面コイルを励磁させ、この励磁による磁束によって第1ターゲット10Eに渦電流を発生させる。そして、周辺回路12Edにおいて、この発生した渦電流によって平面コイルL1からL4のインダクタンスが減少する際の電圧変化(渦電流損失)を検出する。この電圧変化は、周辺回路12Edによって、平面コイルL1、L2、L3、L4の差動信号として検出される。第5回転角度センサ12Eは、周辺回路12Edで検出した第1ターゲット10Eの回転角度に応じた差動信号を、ASIC12Ecによって、シングルエンドの信号に変換する。そして、変換後の信号である第1sin信号sinθis及び第1cos信号cosθisを出力する。
第6回転角度センサ13Eは、平面コイルL1からL4に電流を流してこれら平面コイルを励磁させ、この励磁による磁束によって第2ターゲット11Eに渦電流を発生させる。そして、周辺回路13Edにおいて、この発生した渦電流によって平面コイルL1からL4のインダクタンスが減少する際の電圧変化(渦電流損失)を検出する。この電圧変化は、周辺回路13Edによって、平面コイルL1、L2、L3、L4の差動信号として検出される。第6回転角度センサ13Eは、周辺回路13Edで検出した第2ターゲット11Eの回転角度に応じた差動信号を、ASIC13Ecにおいてシングルエンドの信号に変換する。そして、変換後の信号である第2sin信号sinθos及び第2cos信号cosθosを出力する。
相対角度演算部18は、入力された第1sin信号sinθis、第1cos信号cosθis、第2sin信号sinθos、及び第2cos信号cosθosに基づき、第1多極リング磁石10Aと第2多極リング磁石11Aとの相対角度(すなわち、入力軸82aと出力軸82bとの相対角度)Δθioを算出する。相対角度演算部18は、算出した相対角度Δθioをトルク演算部19に出力する。
トルク演算部19は、相対角度演算部18から入力された相対角度Δθioに基づき、操舵トルクTを演算する。トーションバー82cで連結される二軸の相対角度Δθioが得られれば、トーションバー82cの断面二次極モーメント、横弾性係数、長さ、径などを用いて周知の算出方法によってトルクを算出することができる。
図13に示すように、実施形態1の変形例4において、第5回転角度センサ12Eは、該第5回転角度センサ12Eの有する複数のインダクタンス素子(平面コイルL1からL4)が第1正弦波状部10Ebと対向するように第1ターゲット10Eの軸方向の一方の端面に対向して配置されている。また、第6回転角度センサ13Eは、該第6回転角度センサ13Eの有する複数のインダクタンス素子(平面コイルL1からL4)が第2正弦波状部11Ebと対向するように第2ターゲット11Eの軸方向の一方の端面に対向して配置されている。このため、例えば、ターゲットに対してラジアル方向の配置スペースが取れない場合などにおいて、アキシアル対向で回転角度センサを配置することが可能となる。
なお、上述した例では、第1正弦波状部10Eb及び第2正弦波状部11Ebを、第1環状導体10Ea及び第2環状導体11Eaの外径側端部に形成する構成としたが、この構成に限らない。例えば、入力軸82a又は出力軸82bと同期回転する円筒体(導体に限らない)の軸方向の一端面に周方向に沿って径方向の幅が正弦波状に変化する環状の導体パターンを貼り付けるなどして設けるなど他の構成としてもよい。
<トルクセンサの変形例5>
図17は、実施形態1に係る相対角度検出装置を備えたトルクセンサの変形例5を模式的に示す斜視図である。図18は、実施形態1の変形例5に係る相対角度検出装置の第7回転角度センサを図17におけるG矢示方向に見た平面図である。図19は、実施形態1の変形例5に係る相対角度検出装置の第7回転角度センサを図17におけるH矢示方向に見た平面図である。図20は、実施形態1の変形例5に係るトルクセンサの一例を示す図である。
図17から図20に示す実施形態1に係るトルクセンサ94Fの変形例5では、回転角度の検出に渦電流を用いるセンサ部100Fを備えている。
実施形態1の変形例5に係るトルクセンサ94Fは、図20に示すように、相対角度検出装置3Fと、トルク演算部19とを備えている。また、相対角度検出装置3Fは、センサ部100Fと、相対角度演算部18とを備える。
センサ部100Fは、第3ターゲット10F及び第4ターゲット11Fと、第3ターゲット10Fの回転角度を検出する第7回転角度センサ12Fと、第4ターゲット11Fの回転角度を検出する第8回転角度センサ13Fとを備える。
第3ターゲット10Fは、円筒状の第1円筒体10Faと、第1円筒体10Faの外周部に周方向に沿って環状に形成された、平面視で2つの正弦波が上下線対称に合わさった形状の第3正弦波状部10Fbとを備える。すなわち、第3正弦波状部10Fbは、軸方向の幅が正弦波状に変化する形状となる。
第4ターゲット11Fは、円筒状の第2円筒体11Faと、第2円筒体11Faの外周部に周方向に沿って環状に形成された、平面視で2つの正弦波形状が上下線対称に合わさった形状の第4正弦波状部11Fbとを備える。すなわち、第4正弦波状部11Fbは、軸方向の幅が正弦波状に変化する形状となる。
第3正弦波状部10Fb及び第4正弦波状部11Fbは、例えば、アルミニウム、鋼、銅等の金属、または金属を含有するプラスチック材料等の導体から構成することができる。
実施形態1の変形例5において、第3ターゲット10Fは、入力軸82aの出力軸82b側端部(理想的にはトーションバー82cの連結位置)に、入力軸82aと同期回転可能に取付けている。また、第4ターゲット11Fは、出力軸82bの入力軸82a側端部(理想的にはトーションバー82cの連結位置)に、出力軸82bと同期回転可能に取付けている。
第7回転角度センサ12F及び第8回転角度センサ13Fは、入力軸82aとも出力軸82bとも同期回転しない固定部位に設けられている。
第7回転角度センサ12Fは、第3ターゲット10Fの回転角度に応じて第1sin信号sinθis及び第1cos信号cosθisを出力する。
第8回転角度センサ13Fは、第4ターゲット11Fの回転角度に応じて第2sin信号sinθos及び第2cos信号cosθosを出力する。
ここで、各回転角度センサの構造例として、第7回転角度センサ12Fの構造例について説明する。
具体的に、第7回転角度センサ12Fは、図17に示すように、第3ターゲット10Fの外周面と対向する面が外周面に沿った曲面状となっている。そして、第7回転角度センサ12Fは、図18に示すように、曲面12Fa上に設けられた平面コイルL1、L2、L3、L4を備える。すなわち、実施形態1の変形例5では、図17に示すように、第7回転角度センサ12Fを、その平面コイルL1からL4が第3ターゲット10Fの第3正弦波状部10Fbに所定間隙を空けて対向するように、第3ターゲット10Fに対してラジアル方向に対向させて配置している。
ここで、曲面12Fa上に設けられた平面コイルL1からL4は、第3ターゲット10Fの第3正弦波状部10Fbに対してインダクタンスの変化が電気角0°、電気角90°、電気角180°、電気角270°となる位置関係に配置されている。
また、第7回転角度センサ12Fは、図19に示すように、曲面12Faの反対側の面12Fb側から見て、内部に基板12Fsを備え、この基板12Fsの曲面12Fa側の面上に実装された、ASIC12Fcと、周辺回路12Fdとを備える。
なお、第8回転角度センサ13Fの構成は、第7回転角度センサ12Fと同様であるので、ここでは説明を省略する。
第7回転角度センサ12Fは、平面コイルL1からL4に電流を流してこれら平面コイルを励磁させ、この励磁による磁束によって第3ターゲット10Fに渦電流を発生させる。そして、この発生した渦電流によって渦電流損失が発生し、平面コイルL1からL4のインダクタンスが減少する。その際の電圧変化を、周辺回路12Fdにおいて検出する。この電圧変化は、平面コイルL1、L2、L3、L4の差動信号として検出される。
すなわち、第7回転角度センサ12Fは、第3ターゲット10Fの回転角度に応じた差動信号を周辺回路12Fdで検出し、ASIC12Fcによって、検出した差動信号をシングルエンドの信号に変換する。そして、変換後の信号である第1sin信号sinθis及び第1cos信号cosθisを出力する。
第8回転角度センサ13Fは、平面コイルL1からL4に電流を流してこれら平面コイルを励磁させ、この励磁による磁束によって第4ターゲット11Fに渦電流を発生させる。そして、この発生した渦電流によって渦電流損失が発生し、平面コイルL1からL4のインダクタンスが減少する。その際の電圧変化を、周辺回路13Fdにおいて検出する。この電圧変化は、平面コイルL1、L2、L3、L4の差動信号として検出される。
すなわち、第8回転角度センサ13Fは、第4ターゲット11Fの回転角度に応じた差動信号を周辺回路13Fdで検出し、ASIC13Fcによって、検出した差動信号をシングルエンドの信号に変換する。そして、変換後の信号である第2sin信号sinθos及び第2cos信号cosθosを出力する。
相対角度演算部18は、入力された第1sin信号sinθis、第1cos信号cosθis、第2sin信号sinθos、及び第2cos信号cosθosに基づき、第1多極リング磁石10Aと第2多極リング磁石11Aとの相対角度(すなわち、入力軸82aと出力軸82bとの相対角度)Δθioを算出する。相対角度演算部18は、算出した相対角度Δθioをトルク演算部19に出力する。
トルク演算部19は、相対角度演算部18から入力された相対角度Δθioに基づき、操舵トルクTを演算する。トーションバー82cで連結される二軸の相対角度Δθioが得られれば、トーションバー82cの断面二次極モーメント、横弾性係数、長さ、径などを用いて周知の算出方法によってトルクを算出することができる。
図17に示すように、実施形態1の変形例5において、第7回転角度センサ12Fは、該第7回転角度センサ12Fの有する複数のインダクタンス素子(平面コイルL1からL4)が第3正弦波状部10Fbと対向するように第3ターゲット10Fの外周面に対向して配置されている。また、第8回転角度センサ13Fは、該第8回転角度センサ13Fの有する複数のインダクタンス素子(平面コイルL1からL4)が第4正弦波状部11Fbと対向するように第4ターゲット11Fの外周面に対向して配置されている。このため、例えば、ターゲットに対してアキシアル方向の配置スペースが取れない場合などにおいて、ラジアル対向で回転角度センサを配置することが可能となる。
なお、上述した例では、第3正弦波状部10Fb及び第4正弦波状部11Fbを、第1円筒体10Fa及び第2円筒体11Faの外周面に設ける構成としたが、この構成に限らない。例えば、第3正弦波状部10Fb及び第4正弦波状部11Fbを、第1円筒体10Fa及び第2円筒体11Faの内周面に設けてもよい。この場合には、第7回転角度センサ12F及び第8回転角度センサ13Fを第1第2円筒体10Fa及び第2円筒体11Faの内側に設ける。
<トルクセンサの機能ブロック>
図21は、実施形態1に係るトルクセンサの機能ブロックを示す模式図である。なお、以下の説明において、上述した各構成部は以下の通り呼称する。すなわち、各トルクセンサ94A,94B,94C,94D,94E,94Fをトルクセンサ94と称し、各センサ部100A,100B,100C,100D,100E,100Fをセンサ部100と称し、各相対角度検出装置3A,3C,3D,3E,3Fを相対角度検出装置3と称し、第1多極リング磁石10A、第3多極リング磁石10B、第1ロータ10C、第1コードホイール10D、第1ターゲット10E、及び第3ターゲット10Fを第1回転体10と称し、第2多極リング磁石11A、第4多極リング磁石11B、第2ロータ11C、第2コードホイール11D、第2ターゲット11E、及び第4ターゲット11Fを第2回転体11と称し、第1回転角度センサ12A,12B、第1ステータ12C、第3回転角度センサ12D、第5回転角度センサ12E、及び第7回転角度センサ12Fを第1回転角度検出部12と称し、第2回転角度センサ13A,13B、第2ステータ13C、第4回転角度センサ13D、第6回転角度センサ13E、及び第8回転角度センサ13Fを第2回転角度検出部13と称する。
なお、第1回転体10及び第1回転角度検出部12は、上述した各構成例に限るものではなく、第1回転体10の回転角を検出してsin信号及びcos信号を出力するような構成であれば、どのような構成であっても良い。
また、第2回転体11及び第2回転角度検出部13は、上述した各構成例に限るものではなく、第2回転体11の回転角を検出してsin信号及びcos信号を出力するような構成であれば、どのような構成であっても良い。
相対角度演算部18は、センサ部100の第1回転角度検出部12から入力される信号(第1sin信号sinθis、第1cos信号cosθis)及び第2回転角度検出部13から入力される信号(第2sin信号sinθos、第2cos信号cosθos)に基づき、入力軸82aに対する出力軸82bの相対角度(第1回転体10に対する第2回転体11の相対角度)を演算し、演算結果を相対角度Δθioとしてトルク演算部19に出力する。具体的には、相対角度演算部18は、図21に示すように、第1角度演算部181と、第2角度演算部182と、捩れ角演算部183と、を備える。
第1回転角度検出部12及び第1角度演算部181は、第1角度検出装置1を構成する。
第2回転角度検出部13及び第2角度演算部182は、第2角度検出装置2を構成する。
第1角度検出装置1、第2角度検出装置2、及び捩れ角演算部183は、本実施形態に係る相対角度検出装置3を構成する。
第1角度演算部181は、第1正規化処理部1811と、第1センサ位相補正部1812と、第1回転角演算部1814と、第1記憶部1815と、を備える。第1記憶部1815には、第1角度演算部181において用いられるパラメータや演算式が記憶されている。第1角度演算部181において用いられるパラメータや演算式には、第1回転角度検出部12の出力である第1sin信号sinθis及び第1cos信号cosθisの補正に用いる情報が含まれる。以下、第1回転角度検出部12の出力である第1sin信号sinθis及び第1cos信号cosθisの補正に用いる情報を、「第1センサ補正情報」という。この第1センサ補正情報としては、第1回転角度検出部12の出力が、予め想定した第1回転体10の回転角の理想値を基準とするsin信号の値又はcos信号の値に近づくようなパラメータや演算式が設定されているものとする。
第1角度演算部181には、第1回転角度検出部12から出力された第1sin信号sinθis及び第1cos信号cosθisが入力される。
第1正規化処理部1811は、第1回転角度検出部12から出力された第1sin信号sinθis及び第1cos信号cosθisを正規化して第1センサ位相補正部1812に出力する。
第1センサ位相補正部1812は、第1正規化処理部1811の出力の位相を補正して第1回転角演算部1814に出力する。
第1回転角演算部1814は、第1センサ位相補正部1812の出力に基づき、入力軸82aの回転角である入力軸回転角θis(rad)を演算する。
第2角度演算部182は、第2正規化処理部1821と、第2センサ位相補正部1822と、第2回転角演算部1824と、第2記憶部1825と、を備える。第2記憶部1825には、第2角度演算部182において用いられるパラメータや演算式が記憶されている。第2角度演算部182において用いられるパラメータや演算式には、第2回転角度検出部13の出力である第2sin信号sinθos及び第2cos信号cosθosの補正に用いる情報が含まれる。以下、第2回転角度検出部13の出力である第2sin信号sinθos及び第2cos信号cosθosの補正に用いる情報を、「第2センサ補正情報」という。この第2センサ補正情報としては、第2回転角度検出部13の出力が、予め想定した第2回転体11の回転角の理想値を基準とするsin信号の値又はcos信号の値に近づくようなパラメータや演算式が設定されているものとする。
第2角度演算部182には、第2回転角度検出部13から出力された第2sin信号sinθos及び第2cos信号cosθosが入力される。
第2正規化処理部1821は、第2回転角度検出部13から出力された第2sin信号sinθos及び第2cos信号cosθosを正規化して第2センサ位相補正部1822に出力する。
第2センサ位相補正部1822は、第2正規化処理部1821の出力の位相を補正して第2回転角演算部1824に出力する。
第2回転角演算部1824は、第2センサ位相補正部1822の出力に基づき、出力軸82bの回転角である出力軸回転角θos(rad)を演算する。
捩れ角演算部183は、第3記憶部1831を含む。第3記憶部1831には、捩れ角演算部183において用いられるパラメータや演算式が記憶されている。捩れ角演算部183において用いられるパラメータや演算式には、入力軸回転角θis及び出力軸回転角θosの差分の補正に用いる情報が含まれる。以下、入力軸回転角θis及び出力軸回転角θosの差分の補正に用いる情報を、「回転体間位相補正情報」という。
捩れ角演算部183には、第1角度演算部181から出力された入力軸回転角θisと、第2角度演算部182から出力された出力軸回転角θosが入力される。捩れ角演算部183は、入力軸回転角θis及び出力軸回転角θosの差分を相対角度Δθioとしてトルク演算部19に出力する。
トルク演算部19は、相対角度演算部18から入力された相対角度Δθioに基づき、操舵トルクTを演算する。例えば、トルク演算部19は、トーションバー82cの特性によって決まる、相対角度Δθioと操舵トルクTとの関係を記憶している。トルク演算部19は、相対角度演算部18から入力された相対角度Δθioと、記憶された相対角度Δθioと操舵トルクTとの関係と、に基づいて操舵トルクTを演算し、ECU90に出力する。
次に、実施形態1に係る第1角度演算部181及び第2角度演算部182の各構成部について説明する。
まず、実施形態1に係る第1正規化処理部1811及び第2正規化処理部1821について説明する。
図22は、実施形態1に係る第1正規化処理部及び第2正規化処理部の制御ブロックの一例を示す図である。図23は、図22に示す第1正規化処理部及び第2正規化処理部における正規化動作の一例を示す図である。図22に示す例において、第1正規化処理部1811は、オフセット電圧補正部1811aを備え、第2正規化処理部1821は、オフセット電圧補正部1821aを備えている。なお、以下の説明では、オフセット電圧補正部1811a,1821aの入力をsinθi,cosθi、出力をsinθo,cosθoとしている。また、図23に示す例では、オフセット電圧補正部1811a,1821aの入力sinθi(cosθi)を破線で示し、オフセット電圧補正部1811a,1821aの出力sinθo(cosθo)を実線で示している。
図22及び図23に示す例では、センサ部100に含まれる第1回転角度検出部12及び第2回転角度検出部13の出力にオフセット電圧が重畳している場合を想定している。
図22に示すオフセット電圧補正部1811a,1821aは、予めセンサ部100(第1回転角度検出部12、第2回転角度検出部13)の出力であるsin信号(cos信号)の平均値Vsinave(Vcosave)が第1センサ補正情報(第2センサ補正情報)として設定され、第1記憶部1815(第2記憶部1825)に記憶されている。なお、第1回転角度検出部12における平均値Vsinaveは、例えば、第1回転体10の電気角で所定周期分のsin信号の平均値であっても良いし、任意の1周期分のsin信号の平均値であっても良い。また、第1回転角度検出部12における平均値Vcosaveは、例えば、第1回転体10の電気角で所定周期分のcos信号の平均値であっても良いし、任意の1周期分のcos信号の平均値であっても良い。また、第2回転角度検出部13における平均値Vsinaveは、例えば、第2回転体11の電気角で所定周期分のsin信号の平均値であっても良いし、任意の1周期分のsin信号の平均値であっても良い。また、第2回転角度検出部13における平均値Vcosaveは、例えば、第2回転体11の電気角で所定周期分のcos信号の平均値であっても良いし、任意の1周期分のcos信号の平均値であっても良い。これらのsin信号(cos信号)の平均値Vsinave(Vcosave)は、例えば、第1角度検出装置1、第2角度検出装置2、相対角度検出装置3、又はトルクセンサ94の出荷検査時に測定した値であっても良い。
図22に示す例において、オフセット電圧補正部1811a,1821aは、第1回転角度検出部12の出力であるsin信号の平均値Vsinaveを用いて、入力sinθiのオフセット電圧を正規化する。具体的には、入力sinθiから、Vsinaveを減算、すなわち下記式(1)により出力sinθoを算出する。
図22に示すオフセット電圧補正部1811a,1821aは、上記式(1)が予め第1センサ補正情報及び第2センサ補正情報として第1記憶部1815及び第2記憶部1825に記憶され設定されている。オフセット電圧補正部1811a,1821aは、この上記式(1)を用いて入力sinθiのオフセット電圧を正規化することにより、図23に実線で示す出力sinθoを出力する。
また、図22に示す例において、オフセット電圧補正部1811a,1821aは、第2回転角度検出部13の出力であるcos信号の平均値Vcosaveを用いて、入力cosθiのオフセット電圧を正規化する。具体的には、入力cosθiから、Vcosaveを減算、すなわち下記式(2)により出力cosθoを算出する。
図22に示すオフセット電圧補正部1811a,1821aは、上記式(2)が予め第1センサ補正情報及び第2センサ補正情報として第1記憶部1815及び第2記憶部1825に記憶され設定されている。オフセット電圧補正部1811a,1821aは、この上記式(2)を用いて入力cosθiのオフセット電圧を正規化することにより、図23に実線で示す出力cosθoを出力する。
図24は、実施形態1に係る第1正規化処理部及び第2正規化処理部の制御ブロックの図22とは異なる一例を示す図である。図25は、図24に示す第1正規化処理部及び第2正規化処理部における正規化動作の一例を示す図である。図24に示す例において、第1正規化処理部1811は、振幅補正部1811bを備え、第2正規化処理部1821は、振幅補正部1821bを備えている。なお、以下の説明では、振幅補正部1811b,1821bの入力をsinθi,cosθi、出力をsinθo,cosθoとしている。また、図25に示す例では、振幅補正部1811b,1821bの入力sinθi(cosθi)を破線で示し、振幅補正部1811b,1821bの出力sinθo(cosθo)を実線で示している。
図24及び図25に示す例では、センサ部100に含まれる第1回転角度検出部12及び第2回転角度検出部13の出力にそれぞれ出力振幅のバラツキがある場合を想定している。
図24に示す振幅補正部1811b,1821bは、予めセンサ部100(第1回転角度検出部12、第2回転角度検出部13)の出力であるsin信号(cos信号)の最大値Vsinmax(Vcosmax)と最小値Vsinmin(Vcosmin)とが第1センサ補正情報(第2センサ補正情報)として設定され、第1記憶部1815(第2記憶部1825)に記憶されている。なお、第1回転角度検出部12におけるsin信号の最大値Vsinmaxは、例えば、第1回転体10の電気角で所定周期分の各周期におけるsin信号の最大値の平均値であっても良いし、任意の1周期のsin信号の最大値であっても良い。また、第1回転角度検出部12におけるsin信号の最小値Vsinminは、例えば、第1回転体10の電気角で所定周期分の各周期におけるsin信号の最小値の平均値であっても良いし、任意の1周期のsin信号の最小値であっても良い。また、第1回転角度検出部12におけるcos信号の最大値Vcosmaxは、例えば、第1回転体10の電気角で所定周期分の各周期におけるcos信号の最大値の平均値であっても良いし、任意の1周期のcos信号の最大値であっても良い。また、第1回転角度検出部12におけるcos信号の最小値Vsinminは、例えば、第1回転体10の電気角で所定周期分の各周期におけるcos信号の最小値の平均値であっても良いし、任意の1周期のcos信号の最小値であっても良い。また、第2回転角度検出部13におけるsin信号の最大値Vsinmaxは、例えば、第2回転体11の電気角で所定周期分の各周期におけるsin信号の最大値の平均値であっても良いし、任意の1周期のsin信号の最大値であっても良い。また、第2回転角度検出部13におけるsin信号の最小値Vsinminは、例えば、第2回転体11の電気角で所定周期分の各周期におけるsin信号の最小値の平均値であっても良いし、任意の1周期のsin信号の最小値であっても良い。また、第2回転角度検出部13におけるcos信号の最大値Vcosmaxは、例えば、第2回転体11の電気角で所定周期分の各周期におけるcos信号の最大値の平均値であっても良いし、任意の1周期のcos信号の最大値であっても良い。また、第2回転角度検出部13におけるcos信号の最小値Vsinminは、例えば、第2回転体11の電気角で所定周期分の各周期におけるcos信号の最小値の平均値であっても良いし、任意の1周期のcos信号の最小値であっても良い。これらのsin信号(cos信号)の最大値Vsinmax(Vcosmax)及び最小値Vsinmin(Vcosmin)は、例えば、第1角度検出装置1、第2角度検出装置2、相対角度検出装置3、又はトルクセンサ94の出荷検査時に測定した値であっても良い。
図24に示す例において、振幅補正部1811b,1821bは、sin信号の最大値Vsinmax及び最小値Vsinminを用いて、入力sinθiの振幅を正規化する。具体的には、入力sinθiを、VsinmaxからVsinminを減算した値の絶対値を2で除した値で除算、すなわち下記式(3)により出力sinθoを算出する。
図24に示す振幅補正部1811b,1821bは、上記式(3)が予め第1センサ補正情報及び第2センサ補正情報として第1記憶部1815及び第2記憶部1825に記憶され設定されている。振幅補正部1811b,1821bは、この上記式(3)を用いて入力sinθiの振幅を正規化することにより、図25に実線で示す振幅が正規化された出力sinθoを出力する。
また、図24に示す例において、振幅補正部1811b,1821bは、cos信号の最大値Vcosmax及び最小値Vcosminを用いて、入力cosθiの振幅を正規化する。具体的には、入力cosθiを、VcosmaxからVcosminを減算した値の絶対値を2で除した値で除算、すなわち下記式(4)により出力cosθoを算出する。
図24に示す振幅補正部1811b,1821bは、上記式(4)が予め第1センサ補正情報及び第2センサ補正情報として第1記憶部1815及び第2記憶部1825に記憶され設定されている。振幅補正部1811b,1821bは、この上記式(4)を用いて入力cosθiの振幅を正規化することにより、図25に実線で示す振幅が正規化された出力cosθoを出力する。
なお、上述した例では、説明の都合上、第1正規化処理部1811及び第2正規化処理部1821に含まれるオフセット電圧補正部1811a,1821aと振幅補正部1811b,1821bとを個別に説明したが、第1正規化処理部1811及び第2正規化処理部1821は、オフセット電圧補正部1811a,1821a及び振幅補正部1811b,1821bの双方を具備した構成であるのが好ましい。
次に、実施形態1に係る第1センサ位相補正部1812及び第2センサ位相補正部1822について説明する。なお、以下の説明では、第1センサ位相補正部1812及び第2センサ位相補正部1822の入力をsinθi,cosθi、出力をsinθo,cosθoとしている。
図26は、実施形態1に係る第1センサ位相補正部及び第2センサ位相補正部における補正対象の一例を示す図である。図26に示す例では、図3から図7を用いて説明した構成における例を示している。
上述したように、第1cosセンサ15A(第2cosセンサ17A)は、第1sinセンサ14A(第2sinセンサ16A)に対し、第1多極リング磁石10A(第2多極リング磁石11A)の電気角で90°の位相差を有し、第1sinセンサ14A(第2sinセンサ16A)及び第1cosセンサ15A(第2cosセンサ17A)の出力位相が等しくなる構成としているが、本実施形態では、第1sinセンサ14A(第2sinセンサ16A)の出力位相と第1cosセンサ15A(第2cosセンサ17A)の出力位相との間に誤差(以下、「センサ位相誤差」という)θicを含んでいる場合を想定している。図26及び以下の図27、図28に示す例では、第1sinセンサ14A(第2sinセンサ16A)を基準として、第1cosセンサ15A(第2cosセンサ17A)の出力位相を補正する例を示している。
図27は、実施形態1に係る第1センサ位相補正部及び第2センサ位相補正部の制御ブロックの一例を示す図である。図28は、図27に示す第1センサ位相補正部及び第2センサ位相補正部における位相補正動作の一例を示す図である。図28に示す例では、第1センサ位相補正部1812及び第2センサ位相補正部1822の入力cosθiを破線で示し、第1センサ位相補正部1812及び第2センサ位相補正部1822の出力sinθo(=sinθi)、cosθoを実線で示している。
図27に示す第1センサ位相補正部1812及び第2センサ位相補正部1822は、予め第1回転角度検出部12(第2回転角度検出部13)におけるセンサ位相誤差θicが第1センサ補正情報(第2センサ補正情報)として設定され、第1記憶部1815(第2記憶部1825)に記憶されている。このセンサ位相誤差θicは、例えば、第1角度検出装置1、第2角度検出装置2、相対角度検出装置3、又はトルクセンサ94の出荷検査時に測定した値であっても良い。
図27に示す例において、第1センサ位相補正部1812及び第2センサ位相補正部1822は、センサ位相誤差θicを用いて、入力sinθiを基準として入力cosθiの位相を補正する。一方、第1センサ位相補正部1812及び第2センサ位相補正部1822では、基準となる入力sinθiについては補正を行わない。すなわち、第1センサ位相補正部1812及び第2センサ位相補正部1822における出力sinθoは、下記式(5)で表せる。
一方、出力cosθ
oは、下記式(6)により表される。
第1センサ位相補正部1812及び第2センサ位相補正部1822は、上記式(6)により出力cosθoを算出する。以下、上記式(6)を「第1の位相補正演算式」ともいう。
図27に示す第1センサ位相補正部1812及び第2センサ位相補正部1822は、上記式(6)、すなわち第1の位相補正演算式が予め第1センサ補正情報及び第2センサ補正情報として第1記憶部1815及び第2記憶部1825に記憶され設定されている。第1センサ位相補正部1812及び第2センサ位相補正部1822は、この上記式(6)、すなわち第1の位相補正演算式を用いて入力cosθiの位相を補正することにより、図28に実線で示す出力cosθoを出力する。
図29は、実施形態1に係る第1センサ位相補正部及び第2センサ位相補正部における補正対象の図26とは異なる一例を示す図である。図29に示す例では、図3から図7を用いて説明した構成における例を示している。
図26から図28に示す例では、第1sinセンサ14A(第2sinセンサ16A)を基準として、第1cosセンサ15A(第2cosセンサ17A)の出力位相を補正する例を示したが、図29及び以下の図30、図31に示す例では、第1cosセンサ15A(第2cosセンサ17A)を基準として、第1sinセンサ14A(第2sinセンサ16A)の出力位相を補正する例を示している。
図30は、実施形態1に係る第1センサ位相補正部及び第2センサ位相補正部の図27とは異なる制御ブロックの一例を示す図である。図31は、図30に示す第1センサ位相補正部及び第2センサ位相補正部における位相補正動作の一例を示す図である。図31に示す例では、第1センサ位相補正部1812a及び第2センサ位相補正部1822aの入力sinθiを破線で示し、第1センサ位相補正部1812a及び第2センサ位相補正部1822aの出力cosθo(=cosθi)、sinθoを実線で示している。
図30に示す第1センサ位相補正部1812a及び第2センサ位相補正部1822aは、予め第1回転角度検出部12(第2回転角度検出部13)におけるセンサ位相誤差θicが第1センサ補正情報(第2センサ補正情報)として設定され、第1記憶部1815(第2記憶部1825)に記憶されている。このセンサ位相誤差θicは、例えば、第1角度検出装置1、第2角度検出装置2、相対角度検出装置3、又はトルクセンサ94の出荷検査時に測定した値であっても良い。
図30に示す例において、第1センサ位相補正部1812a及び第2センサ位相補正部1822aは、センサ位相誤差θicを用いて、入力cosθiを基準として入力sinθiの位相を補正する。一方、第1センサ位相補正部1812a及び第2センサ位相補正部1822aでは、基準となる入力cosθiについては補正を行わない。すなわち、第1センサ位相補正部1812a及び第2センサ位相補正部1822aにおける出力cosθoは、下記式(7)で表せる。
一方、出力sinθ
oは、下記式(8)により表される。
第1センサ位相補正部1812a及び第2センサ位相補正部1822aは、上記式(10)により出力sinθoを算出する。以下、上記式(8)を「第2の位相補正演算式」ともいう。
図30に示す第1センサ位相補正部1812a及び第2センサ位相補正部1822aは、上記式(8)、すなわち第2の位相補正演算式が予め第1センサ補正情報及び第2センサ補正情報として第1記憶部1815及び第2記憶部1825に記憶され設定されている。第1センサ位相補正部1812a及び第2センサ位相補正部1822aは、この上記式(8)、すなわち第2の位相補正演算式を用いて入力sinθiの位相を補正することにより、図31に実線で示す出力sinθoを出力する。
次に、実施形態に係る第1回転角演算部1814及び第2回転角演算部1824について説明する。なお、以下の説明では、第1回転角演算部1814及び第2回転角演算部1824の入力をsinθ,cosθ、出力を回転角θ(rad)としている。
図32は、実施形態1に係る第1回転角演算部及び第2回転角演算部の制御ブロックの一例を示す図である。
図32に示す第1回転角演算部1814及び第2回転角演算部1824は、sinθをcosθで除した値の逆正接関数、すなわち下記式(9)により回転角θ(rad)を演算する。
図32に示す第1回転角演算部1814及び第2回転角演算部1824は、上記式(9)が第1記憶部1815及び第2記憶部1825に記憶され設定されている。第1回転角演算部1814及び第2回転角演算部1824は、この上記式(9)を用いて、回転角θ(rad)演算して出力する。
次に、実施形態1に係る捩れ角演算部183について説明する。
図33は、実施形態1に係る捩れ角演算部の制御ブロックの一例を示す図である。
図33に示す捩れ角演算部183には、上述したように、第1角度演算部181から出力された入力軸回転角θisと、第2角度演算部182から出力された出力軸回転角θosが入力される。捩れ角演算部183は、入力軸回転角θis及び出力軸回転角θosの差分、すなわち下記式(10)により相対角度Δθioを演算する。
図33に示す捩れ角演算部183は、上記式(10)が第3記憶部1831に記憶され設定されている。捩れ角演算部183は、この上記式(10)を用いて、入力軸回転角θisと出力軸回転角θosとの差分である相対角度Δθioを演算して出力する。
図34は、実施形態1の変形例に係るトルクセンサの機能ブロックを示す模式図である。図34に示すトルクセンサ94aは、図21に示す相対角度検出装置3に代えて、相対角度検出装置3aを備えている。相対角度検出装置3aは、図21に示す相対角度演算部18に代えて、相対角度演算部18aを備えている。相対角度演算部18aは、図21に示す第1角度演算部181、第2角度演算部182、捩れ角演算部183に代えて、第1角度演算部181a、第2角度演算部182a、捩れ角演算部183aを備えている。
第1回転角度検出部12及び第1角度演算部181aは、第1角度検出装置1aを構成する。
第2回転角度検出部13及び第2角度演算部182aは、第2角度検出装置2aを構成する。
第1角度検出装置1a、第2角度検出装置2a、及び捩れ角演算部183aは、実施形態1の変形例に係る相対角度検出装置3aを構成する。
第1角度演算部181aは、図21に示す構成とは異なり、第1回転角演算部1814を具備していない構成である。すなわち、実施形態1の変形例に係る第1角度演算部181aは、第1正規化処理部1811及び第1センサ位相補正部1812によって補正された第1sin信号sinθis及び第1cos信号cosθisを捩れ角演算部183aに出力する。
第2角度演算部182aは、図21に示す構成とは異なり、第2回転角演算部1824を具備していない構成である。すなわち、実施形態1の変形例に係る第2角度演算部182aは、第2正規化処理部1821及び第2センサ位相補正部1822によって補正された第2sin信号sinθos及び第2cos信号cosθosを捩れ角演算部183aに出力する。
捩れ角演算部183aには、第1角度演算部181aによって補正された第1sin信号sinθis及び第1cos信号cosθisが入力される。また、捩れ角演算部183aには、第2角度演算部182aによって補正された第2sin信号sinθos及び第2cos信号cosθosが入力される。
捩れ角演算部183aは、第1sin信号sinθis、第1cos信号cosθis、第2sin信号sinθos、及び第2cos信号cosθosに基づき相対角度Δθioを求め、トルク演算部19に出力する。
次に、実施形態1の変形例に係る捩れ角演算部183aについて説明する。
図35は、実施形態1の変形例に係る捩れ角演算部の制御ブロックの一例を示す図である。
図35に示す捩れ角演算部183aには、上述したように、第1角度演算部181aによって補正された第1sin信号sinθis及び第1cos信号cosθisと、第2角度演算部182aによって補正された第2sin信号sinθos及び第2cos信号cosθosとが入力される。
ここで、第1sin信号sinθis、第1cos信号cosθis、第2sin信号sinθos、第2cos信号cosθos、第2回転体11の回転角度(電気角度)θosに対する第1回転体10の回転角度(電気角度)θisの相対角度Δθioは、下記式(11)、(12)の関係式で表される。
第1sin信号sinθisをsin(θos+Δθ)、第1cos信号cosθisをcos(θos+Δθ)として、上式(11)、(12)を三角関数の加法定理等を用いて変形すると、下記式(13)、(14)が得られる。
また、相対角度Δθは、sinΔθをcosΔθで除した値の逆正接関数、すなわち下記式(15)により求めることができる。
捩れ角演算部183aは、上式(15)に対し、上式(11)、(12)、(13)、(14)を代入して得られる下記式(16)により相対角度Δθioを演算する。
Δθio=arctan{(−sinθos+cosθis)2 −(cosθos−sinθis)2+2}/((sinθos+sinθis)2+(cosθos+cosθis)2−2)}−θmg・・・(16)
図35に示す捩れ角演算部183aは、上記式(16)が第3記憶部1831に記憶され設定されている。捩れ角演算部183aは、この上記式(16)を用いて、第2回転体11の回転角度(電気角度)θosに対する第1回転体10の回転角度(電気角度)θisの相対角度Δθioを演算して出力する。
実施形態1に係る第1角度検出装置1、及び実施形態1の変形例に係る第1角度検出装置1aは、第1センサ位相補正部1812,1812aを有することで、第1回転角度検出部12の出力位相を補正することができる。また、実施形態1に係る第2角度検出装置2、及び実施形態1の変形例に係る第2角度検出装置2aは、第2センサ位相補正部1822,1822aを有することで、第2回転角度検出部13の出力位相を補正することができる。
以上説明したように、実施形態1に係る第1角度検出装置1,1a(第2角度検出装置2,2a)は、回転軸を軸心として回転する第1回転体10(第2回転体11)と、第1回転体10(第2回転体11)の回転角を検出してsin信号及びcos信号を出力する第1回転角度検出部12(第2回転角度検出部13)と、第1回転体10(第2回転体11)の回転角に応じて第1回転角度検出部12(第2回転角度検出部13)が出力したsin信号の値が、第1回転体10(第2回転体11)の回転角の基準のsin信号の値に近づくようにし、又は第1回転体10(第2回転体11)の回転角に応じて第1回転角度検出部12(第2回転角度検出部13)が出力したcos信号の値が、第1回転体10(第2回転体11)の回転角の基準のcos信号の値に近づくようにする事前に設定されたセンサ補正情報を記憶する第1記憶部1815(第2記憶部1825)と、第1記憶部1815(第2記憶部1825)が記憶しているセンサ補正情報に基づきsin信号又はcos信号の少なくとも一方を補正する第1角度演算部181(第2角度演算部182)と、を備える。
これにより、第1角度検出装置1,1a(第2角度検出装置2,2a)は、第1回転体10(第2回転体11)の回転角である入力軸回転角θis(出力軸回転角θos)を演算する前のsin信号又はcos信号をリアルタイムに補正することができる。また、sin信号又はcos信号を予め設定された既知のセンサ補正情報に基づいて補正した値を用いて第1回転体10(第2回転体11)の入力軸回転角θis(出力軸回転角θos)が演算されるので、第1回転体10(第2回転体11)の回転角度の検出精度が向上する。したがって、本実施形態に係る第1角度検出装置1,1a(第2角度検出装置2,2a)は、第1回転体10(第2回転体11)の回転角度を高い精度で検出することができる。
また、第1角度検出装置1,1a(第2角度検出装置2,2a)では、第1回転角度検出部12(第2回転角度検出部13)の出力であるsin信号の平均値Vsinave及びcos信号の平均値Vcosaveが予め第1センサ補正情報(第2センサ補正情報)として第1記憶部1815(第2記憶部1825)に記憶され、オフセット電圧補正部1811a,1821aは、sin信号の平均値Vsinaveを用いて、sin信号を補正し、cos信号の平均値Vcosaveを用いて、cos信号を補正する。これにより、sin信号及びcos信号のオフセット電圧を補正することができる。
また、第1角度検出装置1,1a(第2角度検出装置2,2a)では、第1回転角度検出部12(第2回転角度検出部13)の出力であるsin信号の最大値Vsinmax、sin信号の最小値Vsinmin、cos信号の最大値Vcosmax、及びcos信号の最小値Vcosminが予め第1センサ補正情報(第2センサ補正情報)として第1記憶部1815(第2記憶部1825)に記憶され、振幅補正部1811b,1821bは、sin信号の最大値Vsinmaxと最小値Vsinminとを用いて、sin信号を補正し、cos信号の最大値Vcosmaxと最小値Vcosminとを用いて、cos信号を補正する。これにより、sin信号及びcos信号の振幅を正規化することができる。
また、第1角度検出装置1,1a(第2角度検出装置2,2a)では、第1回転角度検出部12(第2回転角度検出部13)におけるセンサ位相誤差θic及び第1の位相補正演算式が予め第1センサ補正情報(第2センサ補正情報)として第1記憶部1815(第2記憶部1825)に記憶され、第1センサ位相補正部1812及び第2センサ位相補正部1822は、センサ位相誤差θic及び第1の位相補正演算式を用いて、cos信号を補正する。これにより、第1sinセンサ14A(第2sinセンサ16A)を基準として、第1cosセンサ15A(第2cosセンサ17A)の出力位相を補正することができる。あるいは、第1回転角度検出部12(第2回転角度検出部13)におけるセンサ位相誤差θic及び第2の位相誤差補正演算式が予め第1センサ補正情報(第2センサ補正情報)として第1記憶部1815(第2記憶部1825)に記憶され、第1センサ位相補正部1812a及び第2センサ位相補正部1822aは、センサ位相誤差θic及び第2の位相補正演算式を用いて、sin信号を補正する。これにより、第1cosセンサ15A(第2cosセンサ17A)を基準として、第1sinセンサ14A(第2sinセンサ16A)の出力位相を補正することができる。
これにより、実施形態1に係る相対角度検出装置3,3aにおける相対角度の検出精度を向上させることができ、これに伴い、実施形態1に係る相対角度検出装置3,3aを具備したトルクセンサ94,94aのトルク演算精度を高めることが可能となり、電動パワーステアリング装置80におけるモータ制御性能の向上に貢献することができる。また、電動パワーステアリング装置80を備える車両によれば、モータ制御性能の向上によって、操舵アシスト制御性能を向上させることができ、安定した操舵力で車両を走行させることができる。
(実施形態2)
図36は、実施形態2に係るトルクセンサの機能ブロックを示す模式図である。なお、実施形態2に係る電動パワーステアリング装置、電動パワーステアリング装置を搭載した車両の構成は、上述した実施形態1と同様であるので、ここでは説明を省略する。また、上述した実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図36に示すように、実施形態2に係るトルクセンサ94bは、図21に示す実施形態1の相対角度検出装置3に代えて、相対角度検出装置3bを備えている。相対角度検出装置3bは、図21に示す実施形態1の相対角度演算部18に代えて、相対角度演算部18bを備えている。相対角度演算部18bは、図21に示す実施形態1の第1角度演算部181、第2角度演算部182に代えて、第1角度演算部181b、第2角度演算部182bを備えている。第1角度演算部181bは、図21に示す実施形態1の第1センサ位相補正部1812及び第2センサ位相補正部1822に代えて、第1振幅変動抑制部1813及び第2振幅変動抑制部1823を備えている。
第1回転角度検出部12及び第1角度演算部181bは、第1角度検出装置1bを構成する。
第2回転角度検出部13及び第2角度演算部182bは、第2角度検出装置2bを構成する。
第1角度検出装置1b、第2角度検出装置2b、及び捩れ角演算部183は、実施形態2に係る相対角度検出装置3bを構成する。
実施形態2に係る捩れ角演算部183の制御ブロックについては、図33に示す実施形態1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
図37は、実施形態2の変形例に係るトルクセンサの機能ブロックを示す模式図である。図37に示すトルクセンサ94cは、図36に示す相対角度検出装置3bに代えて、相対角度検出装置3cを備えている。相対角度検出装置3cは、図36に示す相対角度演算部18bに代えて、相対角度演算部18cを備えている。相対角度演算部18cは、図36に示す第1角度演算部181b、第2角度演算部182b、捩れ角演算部183に代えて、第1角度演算部181c、第2角度演算部182c、捩れ角演算部183aを備えている。
第1回転角度検出部12及び第1角度演算部181cは、第1角度検出装置1cを構成する。
第2回転角度検出部13及び第2角度演算部182cは、第2角度検出装置2cを構成する。
第1角度検出装置1c、第2角度検出装置2c、及び捩れ角演算部183aは、実施形態2に係る相対角度検出装置3cを構成する。
実施形態2の変形例に係る捩れ角演算部183aの制御ブロックについては、図34に示す実施形態1の変形例と同様であるので、ここでは説明を省略する。
次に、実施形態2に係る第1振幅変動抑制部1813及び第2振幅変動抑制部1823について説明する。なお、以下の説明では、第1振幅変動抑制部1813及び第2振幅変動抑制部1823の入力をsinθi,cosθi、出力をsinθo,cosθoとしている。
図38は、実施形態2に係る第1振幅変動抑制部及び第2振幅変動抑制部における補正対象の一例を示す図である。図38に示す例では、図3から図7を用いて説明した構成における例を示している。
図38に示す例では、ステアリングシャフト82の軸心Aに対して、第1多極リング磁石10A(第2多極リング磁石11A)の軸心A’が偏心している場合を想定している。この場合には、第1回転角度センサ12A(第1sinセンサ14A、第2sinセンサ16A)及び第2回転角度センサ13A(第1cosセンサ15A、第2cosセンサ17A)と、第1多極リング磁石10A(第2多極リング磁石11A)との距離が第1多極リング磁石10A(第2多極リング磁石11A)の機械角の1回転の間に変動し、これに伴い、第1回転角度センサ12A(第1sinセンサ14A、第2sinセンサ16A)及び第2回転角度センサ13A(第1cosセンサ15A、第2cosセンサ17A)から出力されるsin信号(cos信号)の振幅が変動する。図38及び以下の図39に示す例では、第1多極リング磁石10A(第2多極リング磁石11A)の機械角の1回転で周期的に変動する第1回転角度センサ12A(第1sinセンサ14A、第2sinセンサ16A)及び第2回転角度センサ13A(第1cosセンサ15A、第2cosセンサ17A)の出力振幅変動を補正する例を示している。
図39は、実施形態2に係る第1振幅変動抑制部及び第2振幅変動抑制部の制御ブロックの一例を示す図である。
図39に示す第1振幅変動抑制部1813及び第2振幅変動抑制部1823は、下記式(17)により出力sinθoを算出する。以下、下記式(17)を「第1の振幅変動補正演算式」ともいう。
図39に示す第1振幅変動抑制部1813及び第2振幅変動抑制部1823は、上記式(17)、すなわち第1の振幅変動補正演算式が予め第1センサ補正情報及び第2センサ補正情報として第1記憶部1815及び第2記憶部1825に記憶され設定されている。第1振幅変動抑制部1813及び第2振幅変動抑制部1823は、この上記式(17)、すなわち第1の振幅変動補正演算式を用いて、入力sinθiの周期的な振幅変動を抑制した出力sinθoを演算して出力する。
また、図39に示す第1振幅変動抑制部1813及び第2振幅変動抑制部1823は、下記式(18)により出力cosθoを算出する。以下、下記式(18)を「第2の振幅変動補正演算式」ともいう。
図39に示す第1振幅変動抑制部1813及び第2振幅変動抑制部1823は、上記式(18)、すなわち第2の振幅変動補正演算式が予め第1センサ補正情報及び第2センサ補正情報として第1記憶部1815及び第2記憶部1825に記憶され設定されている。第1振幅変動抑制部1813及び第2振幅変動抑制部1823は、この上記式(18)、すなわち第2の振幅変動補正演算式を用いて、入力cosθiの周期的な振幅変動を抑制した出力cosθoを演算して出力する。
図36、図37に示すように、実施形態2に係る第1角度検出装置1b,1cは、第1振幅変動抑制部1813を有することで、ステアリングシャフト82の軸心に対する第1回転体10の軸心の偏心に起因して発生する第1回転角度検出部12の出力振幅変動を補正することができる。また、実施形態2に係る第2角度検出装置2b,2cは、第2振幅変動抑制部1823を有することで、ステアリングシャフト82の軸心に対する第2回転体11の軸心の偏心に起因して発生する第2回転角度検出部13の出力振幅変動を補正することができる。
以上説明したように、実施形態2に係る第1角度検出装置1b,1cでは、第1の振幅変動補正演算式及び第2の振幅変動補正演算式が予め第1センサ補正情報として第1記憶部1815に記憶され、第1振幅変動抑制部1813は、第1の振幅変動補正演算式及び第2の振幅変動補正演算式を用いて、sin信号及びcos信号を補正する。これにより、ステアリングシャフト82の軸心に対する第1回転体10の軸心の偏心に起因して発生する第1回転角度検出部12の出力振幅変動を補正することができる。また、実施形態2に係る第2角度検出装置2b,2cでは、第1の振幅変動補正演算式及び第2の振幅変動補正演算式が予め第2センサ補正情報として第2記憶部1825に記憶され、第2振幅変動抑制部1823は、第1の振幅変動補正演算式及び第2の振幅変動補正演算式を用いて、sin信号及びcos信号を補正する。これにより、ステアリングシャフト82の軸心に対する第2回転体11の軸心の偏心に起因して発生する第2回転角度検出部13の出力振幅変動を補正することができる。これにより、実施形態2に係る相対角度検出装置3b,3cにおける相対角度の検出精度を向上させることができ、これに伴い、実施形態2に係る相対角度検出装置3b,3cを具備したトルクセンサ94b,94cのトルク演算精度を高めることが可能となり、電動パワーステアリング装置80におけるモータ制御性能の向上に貢献することができる。
(実施形態3)
図40は、実施形態3に係るトルクセンサの機能ブロックを示す模式図である。なお、実施形態3に係る電動パワーステアリング装置、電動パワーステアリング装置を搭載した車両の構成は、上述した実施形態1,2と同様であるので、ここでは説明を省略する。また、上述した実施形態1,2で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図40に示すように、実施形態3に係るトルクセンサ94dは、図21に示す実施形態1の相対角度検出装置3に代えて、相対角度検出装置3dを備えている。相対角度検出装置3dは、図21に示す実施形態1の相対角度演算部18に代えて、相対角度演算部18dを備えている。相対角度演算部18dは、図21に示す実施形態1の第1角度演算部181、第2角度演算部182に代えて、第1角度演算部181d、第2角度演算部182dを備えている。第1角度演算部181dは、図21に示す実施形態1の第1センサ位相補正部1812(又は、第1センサ位相補正部1812a)と図36に示す実施形態2の第1振幅変動抑制部1813との双方を備えている。第2角度演算部182dは、第2センサ位相補正部1822(又は、第2センサ位相補正部1822a)と図36に示す実施形態2の第2振幅変動抑制部1823との双方を備えている。
第1回転角度検出部12及び第1角度演算部181dは、第1角度検出装置1dを構成する。
第2回転角度検出部13及び第2角度演算部182dは、第2角度検出装置2dを構成する。
第1角度検出装置1d、第2角度検出装置2d、及び捩れ角演算部183は、実施形態3に係る相対角度検出装置3dを構成する。
実施形態3に係る捩れ角演算部183の制御ブロックについては、図33に示す実施形態1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
図41は、実施形態3の変形例に係るトルクセンサの機能ブロックを示す模式図である。図41に示すトルクセンサ94eは、図40に示す相対角度検出装置3dに代えて、相対角度検出装置3eを備えている。相対角度検出装置3eは、図40に示す相対角度演算部18dに代えて、相対角度演算部18eを備えている。相対角度演算部18eは、図40に示す第1角度演算部181d、第2角度演算部182d、捩れ角演算部183に代えて、第1角度演算部181e、第2角度演算部182e、捩れ角演算部183aを備えている。
第1回転角度検出部12及び第1角度演算部181eは、第1角度検出装置1eを構成する。
第2回転角度検出部13及び第2角度演算部182eは、第2角度検出装置2eを構成する。
第1角度検出装置1e、第2角度検出装置2e、及び捩れ角演算部183aは、実施形態3の変形例に係る相対角度検出装置3eを構成する。
実施形態3の変形例に係る捩れ角演算部183aの制御ブロックについては、図34に示す実施形態1の変形例と同様であるので、ここでは説明を省略する。
実施形態3に係る第1角度検出装置1d,1eが実施形態1において説明した第1センサ位相補正部1812(又は、第1センサ位相補正部1812a)と実施形態2において説明した第1振幅変動抑制部1813との双方を備え、実施形態3に係る第2角度検出装置2d,2eが実施形態1において説明した第2センサ位相補正部1822(又は、第2センサ位相補正部1822a)と実施形態2において説明した第2振幅変動抑制部1823との双方を備えることで、第1回転角度検出部12の出力位相誤差、第2回転角度検出部13の出力位相誤差、第1回転体10の機械角の1回転の間で周期的に変動する第1回転角度検出部12の出力振幅変動、及び、第2回転体11の機械角の1回転の間で周期的に変動する第2回転角度検出部13の出力振幅変動を補正することができ、実施形態1,2よりも高精度に回転角度を検出することができる。
以上説明したように、実施形態3に係る第1角度検出装置1d,1e、第2角度検出装置2d,2eにおいて、第1角度検出装置1d,1eは、第1センサ位相補正部1812(又は、第1センサ位相補正部1812a)と第1振幅変動抑制部1813との双方を備え、第2角度検出装置2d,2eは、第2センサ位相補正部1822(又は、第2センサ位相補正部1822a)と第2振幅変動抑制部1823との双方を備える。このため、第1回転角度検出部12の出力位相誤差、第2回転角度検出部13の出力位相誤差、第1回転体10の機械角の1回転の間で周期的に変動する第1回転角度検出部12の出力振幅変動、及び、第2回転体11の機械角の1回転の間で周期的に変動する第2回転角度検出部13の出力振幅変動を補正することができ、実施形態1,2よりも高精度に回転角度を検出することができる。これにより、実施形態3に係る相対角度検出装置3d,3eにおける相対角度の検出精度を実施形態1,2よりも向上させることができ、これに伴い、実施形態3に係る相対角度検出装置3d,3eを具備したトルクセンサ94d,94eのトルク演算精度を実施形態1,2よりも高めることが可能となり、電動パワーステアリング装置80におけるモータ制御性能の向上に実施形態1,2よりも貢献することができる。
(実施形態4)
図42は、実施形態4に係るトルクセンサの機能ブロックを示す模式図である。なお、実施形態4に係る電動パワーステアリング装置、電動パワーステアリング装置を搭載した車両の構成は、上述した実施形態1,2,3と同様であるので、ここでは説明を省略する。また、上述した実施形態1,2,3で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施形態4に係るトルクセンサ94fは、図40に示す実施形態3の相対角度検出装置3dに代えて、相対角度検出装置3fを備えている。相対角度検出装置3fは、図40に示す実施形態3の相対角度演算部18dに代えて、相対角度演算部18fを備えている。相対角度演算部18fは、図40に示す実施形態3の捩れ角演算部183に代えて、捩れ角演算部183bを備えている。
第1角度検出装置1d、第2角度検出装置2d、及び捩れ角演算部183bは、実施形態4に係る相対角度検出装置3fを構成する。
捩れ角演算部183bには、第1角度演算部181dによって得られた入力軸回転角θisが入力される。また、捩れ角演算部183aには、第2角度演算部182dによって得られた出力軸回転角θosが入力される。
捩れ角演算部183bは、入力軸回転角θis及び出力軸回転角θosに基づき相対角度Δθioを求め、トルク演算部19に出力する。
図42に示す例では、上述した図40に示す実施形態3の構成に加え、捩れ角演算部183bで第1回転体10の位相と第2回転体11の位相とのずれを補正する構成としている。
図43は、実施形態4に係る捩れ角演算部における補正対象の一例を示す図である。図43に示す例では、図3から図7を用いて説明した構成における例を示している。
図43に示す例では、第1多極リング磁石10Aの位相及び第2多極リング磁石11Aの位相が、所定の基準位置θrefに対してずれている場合を想定している。具体的には、図43に示す例では、第1多極リング磁石10Aの位相が所定の基準位置θrefに対して誤差θmgisを含み、第2多極リング磁石11Aの位相が所定の基準位置θrefに対して誤差θmgosを含んでいる例を示している。この場合、第1多極リング磁石10Aの位相と第2多極リング磁石11Aの位相との間の誤差、すなわち、第1回転体10の位相と第2回転体11の位相との間の誤差(以下、「回転体間位相誤差」という)θmgは、下記式(19)で示される。
すなわち、図43に示す例では、入力軸回転角θisと出力軸回転角θosとの差分Δθioに回転体間位相誤差θmgが含まれている。図43及び以下の図44に示す例では、入力軸回転角θisと出力軸回転角θosとの差分(θis−θos)を補正する例を示している。
次に、実施形態4に係る捩れ角演算部183bについて説明する。
図44は、実施形態4に係る捩れ角演算部の制御ブロックの一例を示す図である。
図44に示す捩れ角演算部183bは、予め回転体間位相誤差θmgが回転体間位相補正情報として設定され、第3記憶部1831に記憶されている。なお、回転体間位相誤差θmgは、例えば、第1回転体10又は第2回転体11の電気角で所定周期位置における誤差の平均値であっても良いし、第1回転体10及び第2回転体11の任意の所定位置における誤差であっても良い。この回転体間位相誤差θmgは、例えば、相対角度検出装置3f、又はトルクセンサ94fの出荷検査時に測定した値であっても良い。
図44に示す例において、捩れ角演算部183bは、回転体間位相誤差θmgを用いて、入力軸回転角θisと出力軸回転角θosとの差分(θis−θos)を補正する。具体的には、入力軸回転角θisと出力軸回転角θosとの差分(θis−θos)から回転体間位相誤差θmgを減算、すなわち下記式(20)により相対角度Δθioを算出する。
図44に示す捩れ角演算部183bは、上記式(20)が予め第3記憶部1831に記憶され設定されている。捩れ角演算部183bは、この上記式(20)を用いて、入力軸回転角θisと出力軸回転角θosとの差分(θis−θos)を補正することで、入力軸回転角θisと出力軸回転角θosとの差分(θis−θos)に含まれる回転体間位相誤差θmgが抑制された相対角度Δθioを出力する。
実施形態4に係る相対角度検出装置3fは、実施形態3の構成に加え、入力軸回転角θisと出力軸回転角θosとの差分(θis−θos)から回転体間位相誤差θmgを減算して相対角度Δθioを算出する構成とすることで、第1回転体10の位相と第2回転体11の位相とのずれを補正することができ、実施形態3よりも高精度に入力軸82aと出力軸82bとの相対角度を検出することができる。
図45は、実施形態4の変形例に係るトルクセンサの機能ブロックを示す模式図である。図45に示すトルクセンサ94gは、図41に示す実施形態3の変形例の相対角度検出装置3eに代えて、相対角度検出装置3gを備えている。相対角度検出装置3gは、図41に示す実施形態3の変形例の相対角度演算部18eに代えて、相対角度演算部18gを備えている。相対角度演算部18gは、図41に示す実施形態3の変形例の捩れ角演算部183aに代えて、捩れ角演算部183cを備えている。
第1角度検出装置1e、第2角度検出装置2e、及び捩れ角演算部183cは、実施形態4の変形例に係る相対角度検出装置3gを構成する。
捩れ角演算部183cには、第1角度演算部181eによって補正された第1sin信号sinθis及び第1cos信号cosθisが入力される。また、捩れ角演算部183cには、第2角度演算部182eによって補正された第2sin信号sinθos及び第2cos信号cosθosが入力される。
捩れ角演算部183cは、第1sin信号sinθis、第1cos信号cosθis、第2sin信号sinθos、及び第2cos信号cosθosに基づき相対角度Δθioを求め、トルク演算部19に出力する。
図45に示す例では、上述した図41に示す実施形態3の変形例の構成に加え、捩れ角演算部183cで第1回転体10の位相と第2回転体11の位相とのずれを補正する構成としている。
次に、実施形態4の変形例に係る捩れ角演算部183cについて説明する。
図46は、実施形態4の変形例に係る捩れ角演算部の制御ブロックの一例を示す図である。
図46に示す捩れ角演算部183cは、予め回転体間位相誤差θmgが回転体間位相補正情報として設定され、第3記憶部1831に記憶されている。なお、回転体間位相誤差θmgは、例えば、第1回転体10又は第2回転体11の電気角で所定周期位置における誤差の平均値であっても良いし、第1回転体10及び第2回転体11の任意の所定位置における誤差であっても良い。この回転体間位相誤差θmgは、例えば、相対角度検出装置3g、又はトルクセンサ94gの出荷検査時に測定した値であっても良い。
図46に示す例において、捩れ角演算部183cは、回転体間位相誤差θmgを用いて、第2回転体11の回転角度(電気角度)θosに対する第1回転体10の回転角度(電気角度)θisの相対角度Δθioを補正する。具体的には、第2回転体11の回転角度(電気角度)θosに対する第1回転体10の回転角度(電気角度)θisの相対角度Δθioから回転体間位相誤差θmgを減算、すなわち下記式(21)により相対角度Δθioを算出する。
図46に示す捩れ角演算部183cは、上記式(21)が第3記憶部1831に記憶され設定されている。捩れ角演算部183cは、この上記式(21)を用いて、第2回転体11の回転角度(電気角度)θosに対する第1回転体10の回転角度(電気角度)θisの相対角度Δθioを演算して出力する。
実施形態4の変形例に係る相対角度検出装置3gは、実施形態3の変形例の構成に加え、第2回転体11の回転角度(電気角度)θosに対する第1回転体10の回転角度(電気角度)θisの相対角度Δθioから回転体間位相誤差θmgを減算して相対角度Δθioを算出する構成とすることで、第1回転体10の位相と第2回転体11の位相とのずれを補正することができ、実施形態3よりも高精度に入力軸82aと出力軸82bとの相対角度を検出することができる。
なお、本実施形態では、実施形態3と同様に、第1角度演算部に第1センサ位相補正部1812と第1振幅変動抑制部1813との双方を備え、第2角度演算部に第2センサ位相補正部1822と第2振幅変動抑制部1823との双方を備える構成を例示したが、第1角度演算部及び第2角度演算部の構成はこれに限るものではなく、実施形態1あるいは実施形態2と同様に、第1角度演算部(第2角度演算部)に第1センサ位相補正部1812(第2センサ位相補正部1822)あるいは第1振幅変動抑制部1813(第2振幅変動抑制部1823)の一方を備える構成であってもよい。
以上説明したように、実施形態4に係る相対角度検出装置3gは、実施形態3の構成に加え、第1角度演算部181dから入力された入力軸回転角θisと第2角度演算部182dから入力された出力軸回転角θosとの差分(θis−θos)から、第1回転体10の位相と第2回転体11の位相との間の誤差である回転体間位相誤差θmgを減算して相対角度Δθioを算出する構成としている。また、実施形態4の変形例に係る相対角度検出装置3gは、実施形態3の変形例の構成に加え、第1角度演算部181eから入力された第1sin信号sinθis及び第1cos信号cosθisと、第2角度演算部182eから入力された第2sin信号sinθos及び第2cos信号cosθosとによって得られる、第2回転体11の回転角度(電気角度)θosに対する第1回転体10の回転角度(電気角度)θisの相対角度Δθioから、第1回転体10の位相と第2回転体11の位相との間の誤差である回転体間位相誤差θmgを減算して相対角度Δθioを算出する構成としている。このため、第1回転体10の位相と第2回転体11の位相とのずれを補正することができ、実施形態3よりも高精度に入力軸82aと出力軸82bとの相対角度を検出することができる。これにより、実施形態4に係る相対角度検出装置3f,3gを具備したトルクセンサ94f,94gのトルク演算精度を実施形態3よりも高めることが可能となり、電動パワーステアリング装置80におけるモータ制御性能の向上に実施形態3よりも貢献することができる。
なお、上述した実施形態では、第1角度演算部に第1記憶部を備え、第2角度演算部に第2記憶部を備え、捩れ角演算部に第3記憶部を備えた例を示したが、記憶部の構成は上記に限るものではない。例えば、第1角度演算部に1つの記憶部を有する構成であっても良いし、第2角度演算部に1つの記憶部を有する構成であっても良いし、捩れ角演算部に1つの記憶部を有する構成であっても良い。又は、第1角度演算部、第2角度演算部、あるいは捩れ角演算部には含まず、相対角度演算部に1つの記憶部を有する構成であっても良い。この記憶部が設けられる構成部によって本発明が限定されるものではない。