JP6903470B2 - 光学位相差部材及びプロジェクタ - Google Patents

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Description

本発明は、光学位相差部材及びそれを用いたプロジェクタに関する。
光学位相差板は、非常に多くの用途を有しており、プロジェクタ(投影型表示装置)、反射型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置、光ディスク用ピックアップ、PS変換素子など、種々の用途に使用されている。
光学位相差板には、方解石、雲母、水晶のような自然界に存在する複屈折結晶により形成されたものや、複屈折ポリマーにより形成されたもの、人工的に使用波長より短い周期構造を設けることにより形成されたものなどがある。
人工的に周期構造を設けて形成された光学位相差板としては、透明基板上に凹凸構造が設けられたものがある。光学位相差板に用いられる凹凸構造は使用波長より短い周期を有し、例えば図10に示すようなストライプ状のパターンを有する。このような凹凸構造は屈折率異方性を有し、図10の光学位相差板400の基板420に対して垂直に光Lが入射すると、凹凸構造内において、凹凸構造の周期方向に平行な偏光成分と、凹凸構造の周期方向に垂直な偏光成分が異なる速度で伝播するので、両偏光成分間で位相差が生じる。この位相差は凹凸構造の高さ(深さ)、凸部を構成する材料と凸部の間の材料(空気)の屈折率差等を調整することによって制御することができる。上記のプロジェクタ等のデバイスに用いる光学位相差板は、使用波長λに対してλ/4又はλ/2の位相差を生じさせる必要があるが、そのような十分な位相差を生じさせることができる光学位相差板を形成するためには、凸部を構成する材料の屈折率と凸部間の材料(空気)の屈折率の差や凹凸構造の高さ(深さ)を十分に大きくする必要がある。このような光学位相差板として、特許文献1では、凹凸構造の表面を高屈折率材料で被覆したものが提案されている。
特許文献2では、光学位相差板の透過率を向上させるために、凹凸構造上に形成した高屈折率膜上に高屈折率膜よりも低い屈折率を有する低屈折率膜を形成することが記載されている。
特公平7−99402号公報 特開2005−99099号公報
特に光学位相差部材をプロジェクタ等に用いる場合、光学位相差部材は、広い波長範囲で高い透過率を有することが望まれる。上記特許文献1に開示されている位相差板では高屈折率層が空気と接しているために当該位相差板に入射した光の多くは高屈折率層と空気の界面で反射されるため、位相差板の透過率が低い。また、特許文献2では、凹凸構造上に形成した高屈折率膜上に高屈折率膜よりも低い屈折率を有する低屈折率膜を形成することにより光学位相差板の透過率を向上させているが、光学位相差板の透過率を一層向上させることが要望されている。
また、特許文献2に記載の光学位相差板は、凹凸構造の凸部の断面形状が矩形であることから機械強度特性が十分でない。さらに、特許文献2に記載されているような、凹凸構造の凸部の上面及び凹部の底面のみに高屈折率膜及び低屈折率膜が積層されて基板の凹凸構造(格子パターン)が維持されている構造は、一般的な蒸着法、スパッタリング法等の成膜法では形成が困難である。
そこで、本発明の目的は、広い波長範囲で高透過率を示し且つ所望の位相差を生じることができるとともに、通常の成膜法で形成することが可能で機械強度の高い光学位相差部材、及びそれを用いたプロジェクタを提供することにある。
本発明の第1の態様に従えば、入射光に位相差を発生させる光学位相差部材であって、
一方向に延在するとともに延在方向に垂直な面における断面が略台形状である複数の凸部から構成された凹凸パターンを有する透明基体と、
前記透明基体の前記凸部の上面及び側面に形成され、前記凸部よりも高い屈折率を有する高屈折率層と、
前記凸部の上面の前記高屈折率層上に形成された2n+1個(nは正の整数)の層から構成される積層体とを備え、
隣り合う前記凸部の対向する前記側面に形成された前記高屈折率層の間に空気層が存在し、
前記積層体は、前記高屈折率層上に形成された第1層と、第2k−1層(kは1〜nの整数)上に形成された第2k層と、前記第2k層上に形成された第2k+1層を備え、
前記第1層の屈折率が前記高屈折率層の屈折率よりも低く、
前記第2k+1層の屈折率が前記第2k層の屈折率よりも低い光学位相差部材が提供される。
前記光学位相差部材において、前記第2k−1層(kは1〜nの整数)の屈折率が、前記第2k層の屈折率よりも低くてよい。
前記光学位相差部材において、前記第2k層と前記高屈折率層が同じ材料から構成されてよい。
前記光学位相差部材において、前記第2k+1層と前記第2k−1層が同じ材料から構成されてよい。
前記光学位相差部材において、nが1であってよい。この場合、第2層の屈折率は2.1〜2.6の範囲内であってよく、第1層及び第3層の屈折率は1.3〜1.55の範囲内であってよい。
前記光学位相差部材において、前記積層体が、前記透明基体の前記凸部の上面及び側面の前記高屈折率層上に形成されてよい。
前記光学位相差部材は、波長430nm〜680nmの範囲内における透過率の平均が97%以上であってよい。
前記光学位相差部材において、前記凸部を構成する材料がゾルゲル材料であってよい。
本発明の第2の態様に従えば、第1の態様の光学位相差部材を備えるプロジェクタが提供される。
本発明の第3の態様に従えば、直線偏光の光を生成する光生成機構と、
第1の態様の光学位相差部材から構成され、前記光生成機構から射出された前記光を円偏光に変換する入射側波長板と、
円偏光に変換された前記光を変調する画像表示素子と、
第1の態様の光学位相差部材から構成され、前記画像表示素子により変調された前記光を直線偏光に変換する出射側波長板と、
前記画像表示素子により変調された前記光を投写する投写光学系とを備えるプロジェクタが提供される。
本発明の第4の態様に従えば、直線偏光の光を生成する光生成機構と、
第1の態様の光学位相差部材から構成され、前記光生成機構から射出された前記光を円偏光に変換する波長板と、
円偏光に変換された前記光を拡散する拡散素子と、
前記拡散素子で拡散された前記光を変調する画像表示素子と、
前記画像表示素子により変調された前記光を投写する投写光学系とを備えるプロジェクタが提供される。
本発明の光学位相差部材は、断面形状が略台形状である凸部から構成された凹凸パターンを有する透明基体を用いているため、機械強度が高い。また、透明基体の凸部の側面に高屈折率層が形成され、隣り合う凸部の対向する側面に形成された高屈折率層の間に空気層が存在するため、本発明の光学位相差部材を透過した光に所望の位相差を与えることができる。さらに、本発明の光学位相差部材は、透明基体の凸部の上面に形成された高屈折率層上に3以上の奇数個の層から構成される積層体が形成され、積層体の各層の屈折率が所定の大小関係を満たすことにより、広い波長範囲で高い透過率を有することができる。それゆえ、本発明の光学位相差部材は、プロジェクタ等の各種用途に好適な特性を有する。
図1(a)〜(f)は、実施形態の光学位相差部材の断面構造の例を示す概略図である。 実施形態の光学位相差部材の製造方法を示すフローチャートである。 光学位相差部材の透明基体の製造に用いる装置の概略図である。 光学位相差部材を用いたプロジェクタの構成の一例を示す概念図である。 光学位相差部材を用いたプロジェクタの第1の画像形成系を構成する各構成要素の光学的な軸の相対関係を示す図である。 光学位相差部材を用いたプロジェクタの構成の別の例を示す概念図である。 図7(a)は、実施例1でシミュレーションにより求めた光学位相差部材の最大平均透過率を第2層の屈折率に対してプロットしたグラフを示し、図7(b)は、実施例2でシミュレーションにより求めた光学位相差部材の最大平均透過率を第1層及び第3層の屈折率に対してプロットしたグラフを示す。 図8は、実施例3〜15及び比較例1〜5の光学位相差部材の各層の厚み及び屈折率並びにシミュレーションにより求めた光学特性の評価結果を示す表である。 図9は、シミュレーションにより求めた実施例3、4及び比較例1〜4の光学位相差部材の透過スペクトルを示す。 従来技術の光学位相差部材の一例を概念的に示す図である。
以下、本発明の光学位相差部材及びその製造方法、並びにそれを用いたプロジェクタについて、図面を参照しながら説明する。
[光学位相差部材]
実施形態の光学位相差部材100は、図1(a)に示すように、断面が略台形状である凸部60から構成された凹凸パターン80を有する透明基体40と、凸部60の上面60t及び側面60sに形成された高屈折率層30と、凸部60の上面60t上の高屈折率層30上に形成された積層体20とを備える。隣り合う凸部60の対向する側面60s上に形成された高屈折率層30の間には、空気層90が存在する。
<透明基体>
図1(a)に示した実施形態の光学位相差部材100において、透明基体40は平板状の基材42と、凹凸構造層50から構成されている。
基材42としては特に制限されず、可視光を透過する公知の基材を適宜利用することができる。例えば、ガラス等の透明無機材料からなる基材;ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等)、アクリル系樹脂(ポリメチルメタクリレート等)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、スチレン系樹脂(ABS樹脂等)、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリイミド系樹脂(ポリイミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂等)、シクロオレフィンポリマー等の樹脂からなる基材などを利用することができる。光学位相差部材100をプロジェクタにおいて用いる場合、光学位相差部材100は高耐光性及び高耐熱性を有することが求められるため、基材42は耐光性及び耐熱性の高い基材であることが望ましい。この点で、無機材料からなる基材が好ましい。基材42上には密着性を向上させるために、表面処理や易接着層を設けるなどをしてもよい。また、基材42の表面の突起を埋めるために、平滑化層を設けるなどをしてもよい。基材42の厚みは、1μm〜20mmの範囲内であることが好ましい。基材42の凹凸構造層50が形成された面の反対側の面に透過率を改善するために反射防止層44(図1(f)参照)が設けられていてもよい。反射防止層44は、単一若しくは複数の層から構成されてよく、又は反射防止効果を有するサブ波長微細構造を有していてもよい。また、別の光学部材を基材40の凹凸構造層50が形成された面の反対側の面に接合(貼合)する場合、別の光学部材と基材40の界面での反射が小さくなるように、適当な屈折率を持つ接着剤、粘着剤、屈折液等で基材40と別の光学部材を接合してもよい。
凹凸構造層50は複数の凸部60及び凹部70を有し、それにより凹凸構造層50の表面が凹凸パターン80を画成する。凹凸構造層50は、波長550nmにおける屈折率(以下、適宜「屈折率」という)が1.2〜1.8の範囲内である材料から構成されることが好ましい。凹凸構造層50を構成する材料としては、例えば、シリカ、SiN、SiON等のSi系の材料、TiO等のTi系の材料、ITO(インジウム・スズ・オキサイド)系の材料、ZnO、ZnS、ZrO、Al、BaTiO、CuO、MgS、AgBr、CuBr、BaO、Nb、SrTiO等の無機材料を用いることができる。これらの無機材料は、ゾルゲル法等によって形成した材料(ゾルゲル材料)であってよい。上記無機材料のほか、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ガラス強化ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の熱硬化性樹脂;紫外線硬化型(メタ)アクリレート系樹脂、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂等の紫外線硬化型樹脂;これらを2種以上ブレンドした材料等の樹脂材料も用いることができる。さらに、上記樹脂材料に上記無機材料をコンポジット化した材料を用いてもよい。また、上記無機材料、上記樹脂材料ともに、ハードコート性等を得るために、公知の微粒子やフィラーを含んでいてもよい。さらに、上記の材料に紫外線吸収材料を含有させたものが用いられていてもよい。紫外線吸収材料は、紫外線を吸収し光エネルギーを熱のような無害な形に変換することにより、凹凸構造層50の劣化を抑制する作用がある。紫外線吸収剤としては、従来から公知のものが使用でき、例えば、ベンゾトリアゾール系吸収剤、トリアジン系吸収剤、サリチル酸誘導体系吸収剤、ベンゾフェノン系吸収剤等を使用できる。光学位相差部材100をプロジェクタにおいて用いる場合、凹凸構造層50は高い耐光性及び耐熱性を有することが望ましい。この点で、凹凸構造層50は無機材料から構成されることが好ましい。
凹凸構造層50の各凸部60は、図1(a)のY方向(奥行き方向)に延在しており、複数の凸部60は、設計波長(光学位相差部材100により位相差を生じさせる光の波長)より短い周期で配列されている。各凸部60の延在方向と直交するZX平面における断面は略台形状である。本願において「略台形状」とは、基材42の表面に略平行な一組の対辺を有し、該対辺のうち基材42の表面に近い辺(下底)が他方の辺(上底)よりも長く、下底と2つの斜辺のなす角がいずれも鋭角である略四角形を意味する。略四角形の各辺は湾曲していてよい。すなわち、各凸部60は、基材42の表面から上方(基材42の表面から離れる方向)に向かって幅(凸部60の延在方向に垂直な方向の長さ、すなわち図1(a)のx方向の長さ)が小さくなっていればよい。また、各頂点が丸みを帯びていてもよい。また、上底の長さが0であってもよい。つまり本願において「略台形状」は「略三角形状」も含む概念である。なお、上底の長さは0より大きいことが好ましい。上底が0より大きい略台形状の断面を有する凸部は、略三角形状の断面を有する凸部と比べて次のような利点がある。すなわち、凸部をインプリント法により形成するために用いるモールドの形成が容易であること、及び凸部の面押耐性などの機械強度が高いことである。
凸部60の高さ(凹凸高さ)は100〜2000nmの範囲内であることが望ましい。凸部60の高さが100nm未満であると、光学位相差部材100に可視光が入射した場合に所望の位相差を生じることが困難となる。凸部60の高さが2000nmを超える場合、凸部60のアスペクト比(凸部幅に対する凸部高さの比)が大きいため、凹凸パターンの形成が困難となる。凸部60の上面60tの幅(凸部60の延在方向と直交する面における略台形状の断面の上底の長さ)は50nm以下であることが好ましい。凸部60の上面60tの幅が50nm以下であることにより、光学位相差部材100の透過率をより高くすることが容易になる。また、凹凸パターン80の凹凸ピッチは、50〜1000nmの範囲内であることが好ましい。ピッチが50nm未満である凹凸パターンは、ナノインプリント法による形成が困難である。ピッチが1000nmを超える場合、光学位相差部材として十分な無色透明性の確保が難しくなる。
なお、図1(a)に示す光学位相差部材100においては、隣り合う凸部60が凸部60の底面(又は凸部60の裾)において互いに接しているが、図1(b)に示す光学位相差部材100aのように、隣り合う凸部60aの底面(又は隣り合う凸部60aの裾)同士が所定の距離を隔てていてもよい。この場合、凹部70aとその上に形成された後述する高屈折率層30aの界面において光学位相差部材100aを通過する光の一部が反射されるため、図1(b)に示すような光学位相差部材100aは、図1(a)のような光学位相差部材100と比べて透過率が低くなる傾向がある。ゆえに、光学位相差部材100aを高透過率にするという観点から、隣り合う凸部60aの底面同士の間隔、すなわち、凹凸構造層50aの表面において隣り合う凸部60aに挟まれた領域(凹部)70aの幅がより小さいことが好ましく、特に凹凸パターンのピッチの0〜0.2倍の範囲内であることが好ましい。言い換えると、凸部60aの底面の幅は、凹凸パターンのピッチの0.8〜1倍の範囲内であることが好ましい。凹凸パターンのピッチに対する凹部70aの幅の比が0.2以下、すなわち、凹凸パターンのピッチに対する凸部60aの底面の幅の比が0.8以上であることにより、光学位相差部材100の透過率をより高くすることが容易になる。
<高屈折率層>
高屈折率層30は、透明基体40の凹凸構造層50よりも高い屈折率を有する層である。高屈折率層30は、屈折率が2.3以上である材料から構成されることが好ましい。高屈折率層30を構成する材料としては、例えば、Ti、In、Zr、Ta、Nb、Zn等の金属、それら金属の酸化物、窒化物、硫化物、酸窒化物、ハロゲン化物等の無機材料を用いることができる。
高屈折率層30は、凸部60を被覆している。すなわち、高屈折率層30は凸部60の上面60t及び側面60sを被覆している。凸部60が高屈折率層30で被覆されることにより、凸部60と後述する空気層90の周期配列により生じる位相差が大きくなる。そのため、凸部60の高さを小さく、すなわち、凸部60のアスペクト比を小さくすることができるため、凹凸パターン80の形成が容易になる。凸部60の上面60t上に形成された高屈折率層30の厚みThtは50〜250nmの範囲内であることが好ましい。
また、凸部60の側面60s上に形成された高屈折率層30の厚みThsは、光学位相差部材100を特定の波長λの光に位相差を与える目的で用いる場合、0.03λ〜0.11λであることが好ましい。たとえば、波長470nmの光に位相差を与える目的で光学位相差部材100を用いる場合、凸部60の側面60s上の高屈折率層30の厚みThsは15〜50nmの範囲内であることが好ましい。高屈折率層30の厚みThsが上記範囲内であることにより、高い透過率を有しつつ、λ/4位相差板として必要な位相差を確保することが出来る。なお、本願において「凸部60の側面60s上の高屈折率層30の厚みThs」とは、凸部60の底面から後述する積層体20の最上部までの高さをHとすると、凸部60の底面からH/2の高さの位置における高屈折率層30の厚みを意味する。
<積層体>
積層体20は、2n+1個(nは正の整数)の層、すなわち、3以上の奇数個の層から構成される。積層体20は、凸部60の上面60t上の高屈折率層30上に形成されている。図1(a)に示す光学位相差部材100においては、積層体20は第1層22、第2層24及び第3層26の3個の層から構成される。第1層22は高屈折率層30の上に直接形成され、第2層24は第1層上に直接形成され、第3層26は第2層24上に直接形成される。
第1層22の屈折率は高屈折率層30よりも低く、第3層26の屈折率は第2層24の屈折率よりも低い。それにより、後述する実施例で示すように、光学位相差部材100は広い波長範囲において高い透過率を有することができる。
第2層24の屈折率は第1層22の屈折率よりも高くてよく、あるいは、第2層24の屈折率が第1層22の屈折率よりも低くてもよい。
第2層24の屈折率が第1層22の屈折率よりも高い場合、積層体20は相対的に高い屈折率を有する層と相対的に低い屈折率を有する層とが交互に積層された構造を有する。この場合、第1層22及び第3層26の屈折率は1.3〜1.55の範囲内であってよい。第1層22又は第3層26の屈折率が1.55を超える場合、後述の実施例で示すように、光学位相差部材100の平均透過率(波長430nm〜680nmにおける光の透過率の平均)が低い傾向がある。屈折率が1.3未満の材料は、安定性が低い傾向がある。また、第2層24の屈折率は2.1以上であってよく、好ましくは2.1〜2.6の範囲内であってよい。第2層24の屈折率が2.1未満の場合、後述の実施例で示すように、光学位相差部材100の平均透過率が低い傾向がある。屈折率が2.6を超える材料は、その材料自体の可視光領域における透明性が低い傾向がある。また、第1層22及び第3層26は同じ材料から形成されていてよく、第2層24は高屈折率層30と同じ材料から形成されていてよい。それにより、光学位相差部材100を少ない種類の材料で製造できるため、製造コストを低減できる。
第2層24の屈折率が第1層22の屈折率よりも低い場合、積層体20において、高屈折率層30から遠い層ほど低い屈折率を有する。この場合、積層体20の最表層(最上層)である第3層26の屈折率は1.3〜1.4の範囲内であってよい。
第1層22及び第3層26を構成する材料としては、例えばSiO、MgFのようなSi、Al、Li、Mg、Ca、Kの酸化物、フッ化物が挙げられる。第2層24を構成する材料としては、例えばTi、In、Zr、Ta、Nb、Zn等の金属、それら金属の酸化物、窒化物、硫化物、酸窒化物、ハロゲン化物等の無機材料が挙げられる。
凸部60の上面60t上の高屈折率層30上に形成されている第1層22の厚みTst1は20〜40nmの範囲内であってよく、その上の第2層24の厚みTst2は35〜55nmの範囲内であってよく、さらにその上の第3層26の厚みTst3は100〜140nmの範囲内であってよく、第1層22、第2層24、第3層26の厚みの合計である積層体20の厚みTstは155〜210nmの範囲内であってよい。この場合、光学位相差部材100の平均透過率が高い傾向がある。また、第1層22の厚みTst1が25〜35nmの範囲内であってよく、第2層24の厚みTst2が35〜45nmの範囲内であってよく、第3層26の厚みTst3が115〜125nmの範囲内であってよく、積層体20の厚みTstが185〜195nmの範囲内であってよい。この場合、光学位相差部材100の平均透過率がより高い傾向がある。
なお、図1(c)に示す光学位相差部材100bのように、積層体20bが凸部60bの側面60bs上の高屈折率層30b上にも形成されていてもよい。凸部60bの側面60bs上の高屈折率層30b上に形成された積層体20bの厚み(凸部60bの側面60bsにおける積層体20bの厚み)Tssは、小さいほうが好ましく、5〜40nmの範囲内であることが好ましい。積層体20bの厚みTssが上記範囲内であることにより、積層体20bが側面60bsに成膜されることによる位相差の低減を押さえながら光学位相差部材100bの透過率を高めることが出来る。また、第2層24bの屈折率を大きくすると側面に形成される第2層24bによっても構造複屈折による位相差が発生するため、積層体20bが側面に形成されることによる位相差の低下を抑えることが出来る。なお、本願において「凸部60bの側面60bsにおける積層体20bの厚みTss」とは、凸部60bの底面から積層体20bの最上部までの高さをHbとすると、凸部60の底面からHb/2の高さの位置における積層体20bの厚みを意味する。
積層体が5以上の奇数個の層からなる場合、すなわち、積層体の層数が、2n+1(nは2以上の整数)である場合、積層体は、高屈折率層の上に直接形成された第1層と、第2k−1層(kは1〜nの整数)上に直接形成された第2k層と、第2k層上に直接形成された第2k+1層を備え、積層体の最表層は第2n+1層となる。第1層の屈折率は高屈折率層よりも低く、第2k+1層の屈折率は第2k層の屈折率よりも低い。それにより、実施形態の光学位相差部材は広い波長範囲において高い透過率を有することができる。第2k層の屈折率は第2k−1層の屈折率よりも高くてよく、あるいは、第2k層の屈折率が第2k−1層の屈折率よりも低くてもよい。第2k層の屈折率が第2k−1層の屈折率よりも高い場合、積層体は、その層が接する層に対して相対的に高い屈折率を有する層と相対的に低い屈折率を有する層とが交互に積層された構造を有する。この場合において、第2k−1層及び第2k+1層は同じ材料から形成されていてよく、第2k層は高屈折率層と同じ材料から形成されていてよい。それにより、光学位相差部材を少ない種類の材料で製造できるため、製造コストを低減できる。
<空気層>
隣り合う凸部60の対向する側面60s上に形成された高屈折率層30の間の空間(隙間)に空気層90が存在する。光学位相差部材100において、空気層90と凸部60を被覆する高屈折率層30が周期的に配列されていることにより、光学位相差部材100を透過した光に位相差を生じさせることができる。空気層90の幅Wは、35〜100nmの範囲内であることが好ましい。空気層90の幅Wが上記範囲内であることにより、低い凹凸高さでも大きな位相差を確保することが出来る。このような光学位相差部材100は、1/4波長板として好適に用いることができる。なお、本願において「空気層90の幅W」とは、凸部60の底面から積層体20の最上部までの高さをHとすると、凸部60の底面からH/2の高さの位置における空気層90の厚み(隣り合う凸部60の対向する側面60s上に形成された高屈折率層30の表面の間の距離)を意味する。
なお、図1(a)に示される光学位相差部材100は基材42上に凹凸構造層50が形成された透明基体40を備えているが、それに代えて、図1(d)に示す光学位相差部材100cのように基材42c上に凸部60cをなす構造体が複数形成された透明基体40cを備えていてもよい。図1(d)に示すように隣り合う凸部60cの底面(又は凸部60cの裾)同士が接していてもよいし、あるいは、隣り合う凸部60cの底面同士が所定の距離を隔てて設けられ、基材42cの表面が露出していてもよい。基材42cとしては、図1(a)に示した光学位相差部材100の基材42と同様の基材を用いることができる。凸部60cは、図1(a)に示した光学位相差部材100の凹凸構造層50を構成する材料と同様の材料で構成されてよい。
また、図1(e)に示す光学位相差部材100dのように、基材の表面自体が凸部60dからなる凹凸パターン80dを構成するように形状化された基材によって透明基体40dが構成されていてもよい。この場合、透明基体40dは、図1(e)のような凹凸パターン80dを有するように基材を成形することにより製造され得る。
[光学位相差部材の製造方法]
上記のような光学位相差部材を製造する方法について説明する。光学位相差部材の製造方法は、図2に示すように、主に、凹凸パターンを有する透明基体を形成する工程S1と、高屈折率層を形成する工程S2と、積層体を形成する工程S3と有する。透明基体を形成する工程S1は、無機材料の前駆体溶液を調製する溶液調製工程、調製された前駆体溶液を基材に塗布する塗布工程、基材に塗布された前駆体溶液の塗膜を乾燥する乾燥工程、転写パターンが形成されたモールドを塗膜に押し付ける押圧工程、モールドが押し付けられた塗膜を仮焼成する仮焼成工程、モールドを塗膜から剥離する剥離工程、及び塗膜を硬化させる硬化工程を有する。なお、押圧工程、仮焼成工程及び剥離工程を合わせて転写工程ともいう。以下、各工程について順に説明する。
<溶液調整工程>
最初に無機材料の前駆体の溶液を調製する。ゾルゲル法を用いて無機材料からなる凹凸構造層を形成する場合、無機材料の前駆体として金属アルコキシドを調製する。例えば、シリカからなる凹凸構造層を形成する場合は、シリカの前駆体として、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシランに代表されるテトラアルコキシドモノマーや、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン(MTES)、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、トリルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシランに代表されるトリアルコキシドモノマー、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−i−ブトキシシラン、ジメチルジ−sec−ブトキシシラン、ジメチルジ−t−ブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジ−i−ブトキシシラン、ジエチルジ−sec−ブトキシシラン、ジエチルジ−t−ブトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン、ジプロピルジイソプロポキシシラン、ジプロピルジ−n−ブトキシシラン、ジプロピルジ−i−ブトキシシラン、ジプロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジプロピルジ−t−ブトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジプロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジイソプロピルジ−n−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−i−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−t−ブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジプロポキシシラン、ジフェニルジイソプロポキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシシラン、ジフェニルジ−i−ブトキシシラン、ジフェニルジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニルジ−t−ブトキシシラン等のジアルコキシシランに代表されるジアルコキシドモノマーを用いることができる。さらに、アルキル基の炭素数がC4〜C18であるアルキルトリアルコキシシランやジアルキルジアルコキシシランを用いることもできる。ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を有するモノマー、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基を有するモノマー、p−スチリルトリメトキシシラン等のスチリル基を有するモノマー、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリル基を有するモノマー、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル基を有するモノマー、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するモノマー、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド基を有するモノマー、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するモノマー、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド基を有するモノマー、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基を有するモノマー、これらモノマーを少量重合したポリマー、前記材料の一部に官能基やポリマーを導入したことを特徴とする複合材料などの金属アルコキシドを用いてもよい。また、これらの化合物のアルキル基やフェニル基の一部、あるいは全部がフッ素で置換されていてもよい。さらに、金属アセチルアセトネート、金属カルボキシレート、オキシ塩化物、塩化物や、それらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されない。金属種としては、Si以外にTi、Sn、Al、Zn、Zr、Inなどや、これらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されない。上記酸化金属の前駆体を適宜混合したものを用いることもできる。また、これらの材料中に界面活性剤を加えることで、メソポーラス化された凹凸構造層を形成してもよい。さらに、シリカの前駆体として、分子中にシリカと親和性、反応性を有する加水分解基および撥水性を有する有機官能基を有するシランカップリング剤を用いることができる。例えば、n−オクチルトリエトキシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のシランモノマー、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン等のビニルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクリルシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン等のサルファーシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン、これらモノマーを重合したポリマー等が挙げられる。
無機材料の前駆体としてTEOSとMTESの混合物を用いる場合には、それらの混合比は、例えばモル比で1:1にすることができる。この前駆体は、加水分解及び重縮合反応を行わせることによって非晶質シリカを生成する。合成条件として溶液のpHを調整するために、塩酸等の酸またはアンモニア等のアルカリを添加する。pHは4以下もしくは10以上が好ましい。また、加水分解を行うために水を加えてもよい。加える水の量は、金属アルコキシド種に対してモル比で1.5倍以上にすることができる。
前駆体溶液の溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ブタノール等のアルコール類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類、ブトキシエチルエーテル、ヘキシルオキシエチルアルコール、メトキシ−2−プロパノール、ベンジルオキシエタノール等のエーテルアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類、フェノール、クロロフェノール等のフェノール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒、二硫化炭素等の含ヘテロ元素化合物、水、およびこれらの混合溶媒が挙げられる。特に、エタノールおよびイソプロピルアルコールが好ましく、またそれらに水を混合したものも好ましい。
前駆体溶液の添加物としては、粘度調整のためのポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコールや、溶液安定剤であるトリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、アセチルアセトンなどのβジケトン、βケトエステル、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキサンなどを用いることが出来る。また、前駆体溶液の添加物として、エキシマUV光等紫外線に代表されるエネルギー線などの光を照射することによって酸やアルカリを発生する材料を用いることができる。このような材料を添加することにより、光を照射することよって前駆体溶液を硬化(ゲル化)させて無機材料を形成することができるようになる。
また、無機材料の前駆体としてポリシラザンを用いてもよい。ポリシラザンは、加熱またはエキシマなどのエネルギー線を照射することで酸化してセラミックス化(シリカ改質)し、シリカ、SiNまたはSiONを形成する。なお、「ポリシラザン」とは、珪素−窒素結合を持つポリマーで、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO、Si及び両方の中間固溶体SiO等のセラミック前駆体無機ポリマーである。特開平8−112879号公報に記載されている下記の一般式(1)で表されるような比較的低温でセラミック化してシリカ等に変性する化合物がより好ましい。
一般式(1):
−Si(R1)(R2)−N(R3)−
式中、R1、R2、R3は、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基またはアルコキシ基を表す。
上記一般式(1)で表される化合物の中で、R1、R2及びR3のすべてが水素原子であるパーヒドロポリシラザン(PHPSともいう)や、Siと結合する水素部分が一部アルキル基等で置換されたオルガノポリシラザンが特に好ましい。
低温でセラミック化するポリシラザンの別の例としては、ポリシラザンにケイ素アルコキシドを反応させて得られるケイ素アルコキシド付加ポリシラザン(例えば、特開平5−238827号公報)、グリシドールを反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(例えば、特開平6−122852号公報)、アルコールを反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(例えば、特開平6−240208号公報)、金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩付加ポリシラザン(例えば、特開平6−299118号公報)、金属を含むアセチルアセトナート錯体を反応させて得られるアセチルアセトナート錯体付加ポリシラザン(例えば、特開平6−306329号公報)、金属微粒子を添加して得られる金属微粒子添加ポリシラザン(例えば、特開平7−196986号公報)等を用いることもできる。
ポリシラザン溶液の溶媒としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用できる。酸化珪素化合物への改質を促進するために、アミンや金属の触媒を添加してもよい。
無機材料の前駆体としてポリシラザンを用いる場合、加熱又はエキシマなどのエネルギー線の照射により前駆体溶液を硬化させて無機材料を形成してよい。
<塗布工程>
上記のように調製した無機材料の前駆体溶液を基材上に塗布する。基材上には密着性を向上させるために、表面処理や易接着層を設けるなどをしてもよい。前駆体溶液の塗布方法として、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法などの任意の塗布方法を使用することができるが、比較的大面積の基材に前駆体溶液を均一に塗布可能であること、前駆体溶液が硬化する前に素早く塗布を完了させることができることからすれば、バーコート法、ダイコート法及びスピンコート法が好ましい。
<乾燥工程>
前駆体溶液の塗布後、塗膜(前駆体膜)中の溶媒を蒸発させるために基材を大気中もしくは減圧下で保持してもよい。凹凸パターン形成の安定性の観点から、パターン転写が良好にできる乾燥時間範囲が十分広いことが望ましく、これは乾燥温度(保持温度)、乾燥圧力、前駆体の材料種、前駆体の材料種の混合比、前駆体溶液調製時に使用する溶媒量(前駆体の濃度)等によって調整することができる。なお、基材をそのまま保持するだけでも塗膜中の溶媒が蒸発するので、必ずしも加熱や送風などの積極的な乾燥操作を行う必要はなく、塗膜を形成した基材をそのまま所定時間だけ放置したり、後続の工程を行うために所定時間の間に搬送したりするだけでもよい。
<押圧工程>
次いで、凹凸パターン転写用のモールドを用いて、モールドの凹凸パターンを塗膜に転写することで、凹凸構造層を形成する。モールドとして、後述するような方法で製造することができるフィルム状モールドや金属モールドを用いることができるが、柔軟性または可撓性のあるフィルム状モールドを用いることが望ましい。フィルム状モールドを用いる場合、押圧ロールを用いてモールドを前駆体膜に押し付けてもよい。押圧ロールを用いたロールプロセスでは、プレス式と比較して、モールドと塗膜とが接する時間が短いため、モールドや基材及び基材を設置するステージなどの熱膨張係数の差によるパターンくずれを防ぐことができること、前駆体膜中の溶媒の突沸によってパターン中にガスの気泡が発生したり、ガス痕が残ったりすることを防止することができること、前駆体膜と線接触するため、転写圧力及び剥離力を小さくでき、大面積化に対応し易いこと、押圧時に気泡をかみ込むことがないことなどの利点を有する。また、モールドを押し付けながら基材を加熱してもよい。押圧ロールを用いてモールドを前駆体膜に押し付ける例として、図3に示すように押圧ロール122とその直下に搬送されている基材42との間にフィルム状モールド140を送り込むことでフィルム状モールド140の凹凸パターンを基材42上の塗膜(前駆体膜)64に転写することができる。すなわち、フィルム状モールド142を押圧ロール122により塗膜64に押し付ける際に、フィルム状モールド140と基材42を同期して搬送しながら、基材42上の塗膜64の表面をフィルム状モールド140で被覆する。この際、押圧ロール122をフィルム状モールド140の裏面(凹凸パターンが形成された面と反対側の面)に押しつけながら回転させることで、フィルム状モールド140と基材42が進行しながら密着する。なお、長尺のフィルム状モールド140を押圧ロール122に向かって送り込むには、長尺のフィルム状モールド140が巻き付けられたフィルムロールからそのままフィルム状モールド140を繰り出して用いるのが便利である。
<仮焼成工程>
前駆体膜にモールドを押し付けた後、前駆体膜を仮焼成してもよい。仮焼成することにより前駆体が無機材料に転化して塗膜が硬化し、凹凸パターンが固化し、剥離の際に崩れにくくなる。仮焼成を行う場合は、大気中で室温〜300℃の温度で加熱することが好ましい。なお、仮焼成は必ずしも行う必要はない。また、前駆体溶液に紫外線などの光を照射することによって酸やアルカリを発生する材料を添加した場合には、前駆体膜を仮焼成する代わりに、例えばエキシマUV光等の紫外線に代表されるエネルギー線を照射することによって塗膜を硬化してもよい。
<剥離工程>
モールドの押圧または前駆体膜の仮焼成の後、塗膜(前駆体膜又は前駆体膜を転化することにより形成された無機材料膜)からモールドを剥離する。モールドの剥離方法として公知の剥離方法を採用することができる。モールドの凹凸パターンの凸部及び凹部は一様な方向に延在して配列されているため、離形性がよい。モールドの剥離方向は凸部及び凹部の延在方向と平行な方向にしてよい。それによりモールドの離形性をさらに向上することができる。塗膜を加熱しながらモールドを剥離してもよく、それにより塗膜から発生するガスを逃がし、塗膜内に気泡が発生することを防ぐことができる。ロールプロセスを使用する場合、プレス式で用いるプレート状モールドに比べて剥離力は小さくてよく、塗膜がモールドに残留することなく容易にモールドを塗膜から剥離することができる。特に、塗膜を加熱しながら押圧するので反応が進行し易く、押圧直後にモールドは塗膜から剥離し易くなる。さらに、モールドの剥離性の向上のために、剥離ロールを使用してもよい。図3に示すように剥離ロール123を押圧ロール122の下流側に設け、剥離ロール123によりフィルム状モールド140を塗膜64に付勢しながら回転支持することで、フィルム状モールド140が塗膜64に付着された状態を押圧ロール122と剥離ロール123の間の距離だけ(一定時間)維持することができる。そして、剥離ロール123の下流側でフィルム状モールド140を剥離ロール123の上方に引き上げるようにフィルム状モールド140の進路を変更することでフィルム状モールド140は凹凸パターン80が形成された塗膜(凹凸構造層)50から引き剥がされる。なお、フィルム状モールド140が塗膜64に付着されている期間に前述の塗膜64の仮焼成や加熱を行ってもよい。なお、剥離ロール123を使用する場合には、例えば室温〜300℃に加熱しながら剥離することによりモールド140の剥離を一層容易にすることができる。
<硬化工程>
塗膜(凹凸構造層)からモールドを剥離した後、凹凸構造層を本硬化してもよい。本焼成により凹凸構造層を本硬化させることができる。ゾルゲル法によりシリカに転化する前駆体を用いた場合、凹凸構造層を構成するシリカ(アモルファスシリカ)中に含まれている水酸基などが本焼成により脱離して凹凸構造層がより強固となる。本焼成は、200〜1200℃の温度で、5分〜6時間程度行うのが良い。この時、凹凸構造層がシリカからなる場合、焼成温度、焼成時間に応じて非晶質または結晶質、または非晶質と結晶質の混合状態となる。なお、硬化工程は必ずしも行う必要はない。また、前駆体溶液に紫外線などの光を照射することによって酸やアルカリを発生する材料を添加した場合には、凹凸構造層を焼成する代わりに、例えばエキシマUV光等の紫外線に代表されるエネルギー線を照射することによって、凹凸構造層を本硬化することができる。
以上のようにして、図1(a)、(b)、(c)に示すような基材42、42a、42b及び凹凸構造層50、50a、50bから構成される透明基体40、40a、40bを得ることができる。
なお、凹凸構造層の形成に用いる無機材料の前駆体としては、上記シリカの前駆体に代えて、TiO、ZnO、ZnS、ZrO、Al、BaTiO、SrTiO、ITO等の前駆体を用いてもよい。
またゾルゲル法のほか、無機材料の微粒子の分散液を用いる方法、液相堆積法(LPD:Liquid Phase Deposition)などを用いて凹凸構造層を形成してもよい。
また、上述の無機材料のほか、硬化性樹脂材料を用いて凹凸構造層を形成してもよい。硬化性樹脂を用いて凹凸構造層を形成する場合、例えば、硬化性樹脂を基材に塗布した後、塗布した硬化性樹脂層に凹凸パターンを有するモールドを押し付けつつ塗膜を硬化させることによって、硬化性樹脂層にモールドの凹凸パターンを転写することができる。硬化性樹脂は有機溶剤で希釈してから塗布してもよい。この場合に用いる有機溶剤としては硬化前の樹脂を溶解するものを選択して使用することができる。例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)などのアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、などのケトン系溶剤等の公知のものから選択できる。硬化性樹脂を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、滴下法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、ダイコート法、カーテンコート法、インクジェット法、スパッタ法等の各種コート方法を採用することができる。凹凸パターンを有するモールドとしては、例えばフィルム状モールド、金属モールドなど所望のモールドを用いることができる。さらに、硬化性樹脂を硬化させる条件としては、使用する樹脂の種類により異なるが、例えば、硬化温度が室温〜250℃の範囲内であり、硬化時間が0.5分〜3時間の範囲内であることが好ましい。また、紫外線や電子線のようなエネルギー線を照射することで硬化させる方法でもよく、その場合には、照射量は20mJ/cm〜10J/cmの範囲内であることが好ましい。
なお、図1(d)に示すような、基材42c上に凸部60cをなす構造体が形成されている透明基体40cは、例えば次のようにして製造することができる。上述した製造方法において基材上に無機材料の前駆体溶液を塗布する代わりに、凹凸パターン転写用モールドの凹部のみ又は凸部のみに前駆体溶液を塗布する。上記押圧工程において、モールドに塗布した前駆体溶液を基材に密着させ、前駆体溶液を基材に転写する。それによってモールドの凹部又は凸部の形状に対応する形状を有する凸部が基材上に形成される。
また、図1(e)に示すような、基材の表面自体が凸部60dからなる凹凸パターン80dを構成するように形状化された基材によって構成された透明基体40dは、例えば、次のようにして製造することができる。公知のナノインプリントやフォトリソグラフィ等の技術により、基材上に凹凸パターンを有するレジスト層を形成する。レジスト層の凹部をエッチングして基材表面を露出させた後、残存するレジスト層をマスクとして基材をエッチングする。エッチング後、残ったマスク(レジスト)を薬液で除去する。以上のような操作により、基材表面自体に凹凸パターン80dを形成することができる。
<高屈折率層形成工程>
次いで、凹凸パターンが形成された透明基体上に高屈折率層を形成する(図2の工程S2)。上述のような膜厚を有する高屈折率層を凹凸パターンの凸部の上面及び側面に形成するためには、高屈折率層を付き回り性(カバレッジ性)の高い成膜方法で形成することが好ましく、例えば、メッキ法、原子層堆積法、化学気相成長法、スパッタ法、蒸着法等により形成することができる。
<積層体形成工程>
次いで、高屈折率層上に積層体を構成する2n+1個(nは正の整数)の各層を順に形成する(図2の工程S3)。各層は、付き回り性の低い成膜方法、例えば、スパッタ法、蒸着法等により形成することが好ましい。それにより、凸部の側面の高屈折率層上に積層体を構成する材料が堆積されないようにしながら、あるいは凸部の側面の高屈折率層上に形成される積層体の膜厚を上述のような範囲内に制御しながら、凹凸パターンの凸部の上面の高屈折率層上に積層体を形成することができる。
以上のようにして図1(a)〜(e)に示すような光学位相差部材100、100a、100b、100c、100dを製造することができる。
なお、基材の裏面(凹凸構造層を形成した面の反対側の面)に反射防止層を形成してもよい。それにより、図1(f)に示すような光学位相差部材100eを製造することができる。反射防止層の形成のタイミングは特に限定されないが、例えば透明基体を形成する工程S1の前に行ってもよく、又は積層体を形成する工程S3の後に行ってもよい。特に、以下の理由により、工程S3の後に反射防止層を形成することが好ましい。
工程S1の前に反射防止層を形成する場合、その後の工程において自動的に基材を搬送しながら当該基材を処理する装置(例えば自動インプリント装置)を用いることが困難になる傾向がある。反射防止層を形成した基材は光を反射しないため、レーザー光等の光によって基材を検出することが困難だからである。この場合、反射防止層を一部除去する等の処理を行ったり、光以外の検出方法(例えば接触式センサーを用いた検出方法)を用いたりすることによって、基材の検出が可能になる。このような方法は工数及びコストの増加につながるおそれがある。また、反射防止層並びに高屈折率層及び積層体の形成が真空プロセスで行われる場合、常圧で行われる透明基体の形成工程S1の前後の2回に分けて真空プロセスを行うことになるため、工数及びコストが増加する傾向がある。
工程S1の後、工程S2の前に反射防止層を形成する場合、反射防止層形成時に透明基体を載置する支持台(サセプタ)に透明基体が擦れたりすることにより、透明基体の凸部が倒れて凹凸パターンが変形するおそれがある。
工程S3の後に反射防止層を形成する場合、反射防止層形成前に透明基体の凸部は高屈折率層により被覆されており、それにより後述の参考実験1,2で示すように凸部の機械強度がより向上する。そのため、反射防止層形成時に透明基体を載置する支持台に透明基体が擦れたりしても凸部が倒れて凹凸パターンが変形することが抑制され、歩留りが向上する。また、反射防止層並びに高屈折率層及び積層体の形成が真空プロセスで行われる場合、常圧で行われる透明基体の形成工程S1の後にまとめて真空プロセスを行うことができるので、工数及びコストが抑制される。
<凹凸パターン転写用モールド>
上記光学位相差部材の製造方法で用いられる凹凸パターン転写用のモールドとしては、例えば、以下の方法で製造される金属モールド又はフィルム状の樹脂モールド等が含まれる。樹脂モールドを構成する樹脂には、天然ゴム又は合成ゴムのようなゴムも含まれる。モールドは表面に凹凸パターンを有する。
凹凸パターン転写用のモールドの製造方法の例について説明する。最初に、フォトリソグラフィ法、切削加工法、電子線直接描画法、粒子線ビーム加工法、操作プローブ加工法等の微細加工法によってシリコン、金属、石英、樹脂等の基板に凹凸パターンを形成することにより母型を作製する。母型は、均一な方向に直線的に延在する凸部及び凹部からなる凹凸パターンを有する。
母型を形成した後、以下のようにして電鋳法などにより、母型の凹凸パターンを転写したモールドを形成することができる。最初に、電鋳処理のための導電層となるシード層を、無電解めっき、スパッタまたは蒸着等により凹凸パターンを有する母型上に形成することができる。シード層は、後続の電鋳工程における電流密度を均一にして後続の電鋳工程により堆積される金属層の厚みを一定にするために10nm以上が好ましい。シード層の材料として、例えば、ニッケル、銅、金、銀、白金、チタン、コバルト、錫、亜鉛、クロム、金・コバルト合金、金・ニッケル合金、ホウ素・ニッケル合金、はんだ、銅・ニッケル・クロム合金、錫ニッケル合金、ニッケル・パラジウム合金、ニッケル・コバルト・リン合金、またはそれらの合金などを用いることができる。次に、シード層上に電鋳(電界めっき)により金属層を堆積させる。金属層の厚みは、例えば、シード層の厚みを含めて全体で10〜30000μmの厚みにすることができる。電鋳により堆積させる金属層の材料として、シード層として用いることができる上記金属種のいずれかを用いることができる。形成した金属層は、後続のモールドの形成のための樹脂層の押し付け、剥離及び洗浄などの処理の容易性からすれば、適度な硬度及び厚みを有することが望ましい。
上記のようにして得られたシード層を含む金属層を、凹凸パターンを有する母型から剥離して金属基板を得る。剥離方法としては、物理的に剥がしても構わないし、母型の凹凸パターンを形成する材料を、それらを溶解する有機溶媒や酸、アルカリ等用いて溶解して除去することによって剥離してもよい。金属基板を母型から剥離するときに、残留している材料成分を洗浄にて除去することができる。洗浄方法としては、界面活性剤などを用いた湿式洗浄や紫外線やプラズマを使用した乾式洗浄を用いることができる。また、例えば、粘着剤や接着剤を用いて残留している材料成分を付着除去するなどしてもよい。こうして得られる、母型からパターンが転写された金属基板(金属モールド)は、実施形態の光学位相差部材の製造に用いられる凹凸パターン転写用のモールドとして用いられ得る。
さらに、得られた金属基板を用いて、金属基板の凹凸パターンをフィルム状の支持基板に転写することでフィルム状モールドのように可撓性のあるモールドを作製することができる。例えば、硬化性樹脂を支持基板に塗布した後、金属基板の凹凸パターンを樹脂層に押し付けつつ樹脂層を硬化させる。支持基板として、例えば、ガラス、石英、シリコン等の無機材料からなる基材;シリコーン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリイミド(PI)、ポリアリレート等の有機材料からなる基材、ニッケル、銅、アルミ等の金属材料が挙げられる。また、支持基板の厚みは、1〜500μmの範囲にし得る。
硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系、アクリル系、メタクリル系、ビニルエーテル系、オキセタン系、ウレタン系、メラミン系、ウレア系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、フェノール系、架橋型液晶系、フッ素系、シリコーン系、ポリアミド系等のモノマー、オリゴマー、ポリマー等の各種樹脂が挙げられる。硬化性樹脂の厚みは0.5〜500μmの範囲内であることが好ましい。厚みが前記下限未満では、硬化樹脂層の表面に形成される凹凸の高さが不十分となり易く、前記上限を超えると、硬化時に生じる樹脂の体積変化の影響が大きくなり凹凸形状が良好に形成できなくなる可能性がある。
硬化性樹脂を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、滴下法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、ダイコート法、カーテンコート法、インクジェット法、スパッタ法等の各種コート方法を採用することができる。さらに、硬化性樹脂を硬化させる条件としては、使用する樹脂の種類により異なるが、例えば、硬化温度が室温〜250℃の範囲内であり、硬化時間が0.5分〜24時間の範囲内であることが好ましい。また、紫外線や電子線のようなエネルギー線を照射することで硬化させる方法でもよく、その場合には、照射量は20mJ/cm〜10J/cmの範囲内であることが好ましい。
次いで、硬化後の硬化樹脂層から金属基板を取り外す。金属基板を取り外す方法としては、機械的な剥離法に限定されず、公知の方法を採用することができる。こうして得ることができる支持基板上に凹凸が形成された硬化樹脂層を有するフィルム状の樹脂モールドは、実施形態の光学位相差部材の製造に用いられる凹凸パターン転写用のモールドとして用いられ得る。
また、上述の方法で得られた金属基板の凹凸パターン上にゴム系の樹脂材料を塗布し、塗布した樹脂材料を硬化させ、金属基板から剥離することにより、金属基板の凹凸パターンが転写されたゴムモールドを作製することができる。得られたゴムモールドは実施形態の光学位相差部材の製造に用いられる凹凸パターン転写用のモールドとして用いられ得る。ゴム系の樹脂材料として、天然ゴム及び合成ゴムを用いることができ、特に、シリコーンゴム、またはシリコーンゴムと他の材料との混合物もしくは共重合体が好ましい。シリコーンゴムとしては、例えば、ポリオルガノシロキサン、架橋型ポリオルガノシロキサン、ポリオルガノシロキサン/ポリカーボネート共重合体、ポリオルガノシロキサン/ポリフェニレン共重合体、ポリオルガノシロキサン/ポリスチレン共重合体、ポリトリメチルシリルプロピン、ポリ4メチルペンテンなどが用いられる。シリコーンゴムは、他の樹脂材料と比べて安価で、耐熱性に優れ、熱伝導性が高く、弾性があり、高温条件下でも変形しにくいことから、凹凸パターン転写プロセスを高温条件下で行う場合には好適である。さらに、シリコーンゴム系の材料は、ガスや水蒸気透過性が高いため、被転写材の溶媒や水蒸気を容易に透過することができる。そのため、後述するような樹脂材料または無機材料の前駆体溶液の膜に凹凸パターンを転写する目的でゴムモールドを用いる場合には、シリコーンゴム系の材料が好適である。また、ゴム系材料の表面自由エネルギーは25mN/m以下が好ましい。これによりゴムモールドの凹凸パターンを基材上の塗膜に転写するときの離形性が良好となり、転写不良を防ぐことができる。ゴムモールドは、例えば、長さ50〜1000mm、幅50〜3000mm、厚み1〜50mmにし得る。また、必要に応じて、ゴムモールドの凹凸パターン面上に離型処理を施してもよい。
以上のようにして得られた金属モールド、フィルム状モールド又はゴムモールドを円柱状の基体ロールの外周面に巻き付けて固定することで、ロール状のモールドを形成してもよい。ロール状のモールドは、上記の方法のほか、例えば、金属ロールなどのロール表面に直接電子線描画法や切削加工等により凹凸パターンを形成したり、凹凸パターンを有する円筒状の基板を作製し、これをロールにはめ込んで固定したりすることによって形成することもできる。
[プロジェクタ]
上記実施形態の光学位相差部材100、100a、100b、100c、100dを用いたプロジェクタの一例を図4に基づいて説明する。図4に示すプロジェクタ301は、プロジェクタ301の外部の装置、例えばPCやDVDプレイヤー等から供給される画像データに基づいて、画像データに規定されたフルカラーの画像をスクリーン等の投写面に表示することができる。
プロジェクタ301は、出射する光の波長が互いに異なる3系統の照明系302〜304と、互いに異なる色の画像を形成する3系統の画像形成系305〜307と、複数の画像形成系305〜307により形成された複数色の画像を合成する画像合成部308と、画像合成部308により合成された画像(光)を投写する投写光学系309とを備える。
第1の照明系302は赤色の光L1(例えば中心波長が630nm)を出射可能であって、第2の照明系303は緑色の光L2(例えば中心波長が530nm)を出射可能であり、第3の照明系304は青色の光L3(例えば中心波長が440nm)を出射可能である。
3系統の画像形成系305〜307の画像形成系は、3系統の照明系302〜304の各照明系にそれぞれ対応して設けられている。
画像合成部308は、ダイクロイックプリズム等によって構成される。このダイクロイックプリズムは、赤色の光L1が反射するとともに緑色の光L2及び青色の光L3が透過する特性の波長選択膜と、青色の光L3が反射するとともに赤色の光L1及び緑色の光L2が透過する特性の波長選択膜とが、互いに直交して設けられた構造である。3系統の照明系302〜304から出射されて3系統の画像形成系305〜307を経由した光L1〜L3は、画像合成部308の2種類の波長選択面で透過あるいは反射することによって、いずれも同じ方向に進行し、投写面で互いに重なるように合成される。互いに重ね合わされた光L1〜L3は、全体としてフルカラーの画像を示す光になる。この光が投写光学系309により投写面上に結像することによって、投写面上にフルカラーの画像が表示される。
第1の照明系302は、光生成機構310と、集光レンズ311と、ロッドレンズ312とを有する。光生成機構310は、レーザーダイオード(LD)を含んでよい。このレーザーダイオードは、ドライバーから供給される電流により光を発する活性層、及び活性層から発せられた光をレーザー発振可能な共振器を有する。あるいは、光生成機構310は、非偏光光源、及び偏光ビームスプリッタ等の非偏光光から直線偏光を作り出す偏光子を有してよい。それにより、光生成機構310は、赤色の光L1として、ほぼ直線偏光の光を生成可能である。ロッドレンズ312は、その内部を通った光の光強度分布を均一化することができる。集光レンズ311は、光生成機構310から出射された光L1のスポットがロッドレンズ312の軸方向の一端面に収まるように、光L1を集光する。
第2の照明系303及び第3の照明系304は、いずれも光生成機構、集光レンズ及びロッドレンズを含んで構成されており、光生成機構から出射される光の波長が互いに異なる点を除いて、第1の照明系302と同様の構成である。なお、緑色の光L2を生成可能な光生成機構は、例えば赤外光を発する活性層及び共振器を有するレーザーダイオードと、共振器の内部又は外部に設けられたPPLNのような波長変換素子とを有してよい。
第1の照明系302から出射された光L1は、反射ミラー313で反射した後に第1の画像形成系305へ入射する。第2の照明系303から出射された光L2は、第2の画像形成系306へ入射し、第3の照明系304から出射された光L3は、反射ミラー314で反射した後に第3の画像形成系307へ入射する。
3系統の画像形成系305〜307は、それぞれ、画像表示素子としての透過型の液晶パネルと、液晶パネルの光入射側に配置された入射側波長板と、液晶パネルの光出射側に配置された出射側波長板とを有する。各画像形成系の入射側波長板は、対応する照明系から出射される光の中心波長の四分の一にリタデーションが設定されている。各画像形成系の出射側波長板は、この画像形成系の入射側波長板とリタデーションが同じ値に設定されている。リタデーションは、遅相軸に平行な方向の屈折率と進相軸に平行な方向の屈折率の差分に、波長板の厚みを乗算した値である。
詳しくは、第1の画像形成系305の入射側波長板320及び出射側波長板321は、第1の照明系302から出射される赤色の光L1の中心波長の四分の一にリタデーションが設定されている。第2の画像形成系306の入射側波長板322及び出射側波長板323は、第2の照明系303から出射される緑色の光L2の中心波長の四分の一にリタデーションが設定されている。第3の画像形成系307の入射側波長板324及び出射側波長板325は、第3の照明系304から出射される青色の光L3の中心波長の四分の一にリタデーションが設定されている。このように、入射側波長板及び出射側波長板のリタデーションは、3系統の画像形成系305〜307で互いに異なっている。
画像形成系305〜307は、それぞれ、入射側波長板及び出射側波長板の他に、入射側偏光板と、光学補償板と、液晶パネルと、出射側偏光板とを有する。3系統の画像形成系305〜307は、入射側波長板のリタデーションが3系統の画像形成系305〜307で互いに異なっている点、及び出射側波長板のリタデーションが3系統の画像形成系305〜307で互いに異なっている点を除くと、いずれも同様の構成である。ここでは、第1の画像形成系305の構成を代表的に説明する。
第1の照明系302から第1の画像形成系305へ入射した赤色の光L1は、入射側偏光板326を通って入射側波長板320へ入射し、入射側波長板320によって円偏光へ変換される。入射側波長板320から出射された円偏光は、光学補償板327を通って液晶パネル328へ入射し、液晶パネル328によって位相変調される。液晶パネル328により変調された光L1は、出射側波長板321へ入射して直線偏光へ変換された後に、出射側偏光板329へ入射する。
図5は、第1の画像形成系を構成する各構成要素の光学的な軸の相対関係を示す図である。図5中の符号AXは、第1の照明系302から合成部308までの光軸を示す。
入射側偏光板326及び出射側偏光板329は、それぞれ、透過軸に平行な直線偏光が透過する特性の偏光板である。入射側偏光板326の透過軸は、第1の照明系302から出射された光L1(ほぼ直線偏光)のほぼ全部が透過するように、透過軸が設定されている。光軸AXから見た入射側偏光板326の透過軸は、出射側偏光板329の透過軸と直交している。
入射側波長板320及び出射側波長板321は、上記実施形態の光学位相差部材100、100a、100b、100c、100dによって構成される。入射側波長板320の遅相軸は、光軸AXから見て入射側偏光板326の透過軸を反時計回りに45°回転した方向と平行である。出射側波長板323の遅相軸は、光軸AXから見て入射側偏光板326の透過軸を反時計回りに135°回転した方向と平行であり、入射側波長板320の遅相軸と直交している。
入射側波長板320及び出射側波長板321は、それぞれ、第1の照明系302から出射された光L1が入射する光入射面が空隙(空気層)に隣接しており、かつ、光L1が出射される光出射面も空隙に隣接している。すなわち、入射側波長板320は、入射側偏光板326との間に空隙を有し、かつ光学補償板327との間にも空隙を有するように、取り付けられている。また、出射側波長板321は、液晶パネル328との間に空隙を有し、かつ出射側偏光板329との間に空隙を有するように、取り付けられている。
プロジェクタ301は、複数系統の照明系のそれぞれと液晶パネルとの間の各光路に、各照明系と1対1で対応する波長板が設けられており、各波長板は対応する照明系から出射される光の中心波長の四分の一にリタデーションが設定されているので、液晶パネルに入射する光を円偏光へ高精度に変換することができる。結果として、コントラスト比を向上させることもできる。
なお、図4に示したプロジェクタ301では、照明系302〜304において赤、緑、青の異なる色の光を生成する光生成機構310を用いたが、これに代えて、単一の白色光源及び反射帯域波長の異なる2つのダイクロックミラーを用いて白色光源からの光を赤、緑、青の三色に分離してもよい。
次に、上記実施形態の光学位相差部材100、100a、100b、100c、100dを用いたプロジェクタの別の例を図6に基づいて説明する。
図6のプロジェクタ501は、出射する光の波長が互いに異なる3系統の照明系502、503、504と、液晶パネル528と、画像合成部508と、投写光学系509とを備えている。
3系統の照明系502、503、504のうち、第1の照明系502は赤色の光L1を出射可能であり、第2の照明系503は緑色の光L2を出射可能であり、第3の照明系504は青色の光L3を出射可能である。
液晶パネル528は、第1の照明系502から射出された光を画像情報に応じて光変調する2次元の赤色用液晶パネル528Rと、第2の照明系503から射出された光を画像情報に応じて光変調する2次元の緑色用液晶パネル528Gと、第3の照明系504から射出された光を画像情報に応じて光変調する2次元の青色用液晶パネル528Bとからなる。
画像合成部508は、ダイクロイックプリズム等によって構成され、各液晶パネル528R、528G、528Bにより変調された各色光を合成する。
投写光学系509は、画像合成部508で合成された光をスクリーン550上に投写するものである。
3系統の照明系502〜504は、光生成機構510から射出される光の光路に沿って見ると、光生成機構510、波長板534、拡散素子(散乱素子)532、集光レンズ511がこの順に配置された構成となっている。3系統の照明系502〜504において、各拡散素子532には、駆動装置515が取り付けられている。
各光生成機構510は、図示略のレーザーダイオード(LD)を含んでよい。このレーザーダイオードは、図示略のドライバーから供給される電流により光を発する活性層、及び活性層から発せられた光をレーザー発振可能な共振器を有する。あるいは、光生成機構510は、非偏光光源、及び偏光ビームスプリッタ等の非偏光光から直線偏光を作り出す偏光子を有してよい。それにより、各光生成機構510は、赤色の光L1、緑色の光L2、青色の光L3として、ほぼ直線偏光の光を生成可能である。
波長板534として、λ/4の位相差を生じさせるように設計した上記実施形態の位相差部材100、100a、100b、100c、100dが用いられる。波長板534は、光生成機構510から射出された直線偏光の光を円偏光の光に変換することができる。
拡散素子532は、波長板534から射出された光を所定のスポットサイズを持った光線束に広げる機能を有する。拡散素子532として例えばすりガラスやホログラム素子など任意の素子を用いることができる。拡散素子としては例えば特開平6−208089号に開示された拡散素子や特開2010−197916号に開示されたホログラム記録媒体等を使用することができる。
駆動装置515は、拡散素子532の光が照射される領域を時間的に変動させるものである。駆動装置515は、拡散素子532を所定の回転軸の周りに回転させるモーターを含む。
集光レンズ511は、拡散素子532から射出された光を液晶パネル528に集光させる。
各液晶パネル528(赤色用液晶パネル528R、緑色用液晶パネル528G、青色用液晶パネル528B)は、画像情報を含んだ画像信号を供給するPC等の信号源(図示略)と電気的に接続されており、供給された画像信号に基づき入射光を画素ごとに空間変調して、それぞれ赤色画像、緑色画像、青色画像を形成する。赤色用液晶パネル子528R、緑色用液晶パネル528G、青色用液晶パネル528Bにより変調された光(形成された画像)は、画像合成部508に入射する。
画像合成部508のダイクロイックプリズムは、4つの三角柱プリズムが互いに貼り合わされた構造になっている。三角柱プリズムにおいて貼り合わされる面は、ダイクロイックプリズムの内面になる。ダイクロイックプリズムの内面に、赤色光Rが反射し緑色光Gが透過するミラー面と、青色光Bが反射し緑色光Gが透過するミラー面とが互いに直交して形成されている。ダイクロイックプリズムに入射した緑色光Gは、ミラー面を通ってそのまま射出される。ダイクロイックプリズムに入射した赤色光R、青色光Bは、ミラー面で選択的に反射あるいは透過して、緑色光Gの射出方向と同じ方向に射出される。このようにして3つの色光(画像)が重ね合わされて合成され、合成された色光が投写光学系509によってスクリーン550に拡大投写される。
レーザー光源は、高出力であること、色再現性に優れること、瞬時点灯が容易であること、長寿命であること等の長所を有しているが、レーザー光はコヒーレントであるため、レーザー光源を光源として用いたプロジェクタは、干渉によりスクリーン上にスペックルと呼ばれる干渉パターンが生じるという問題がある。この点、図6のプロジェクタ501においては、回転駆動された拡散素子532により光生成機構510から射出された光の偏光・位相・角度・時間といったモードが多重化され、スペックルの発生を低減できる。さらに、プロジェクタ501においては、λ/4波長板534を光生成機構510と拡散素子532の間に設けることで、光生成機構510から出射した直線偏光光を波長板534により円偏光光に変換した上で拡散素子532に入射させることができる。それにより、散板532を通った後の多重度を、拡散板532を設けない場合の倍にすることができ、スペックルを1/√2倍に低減することが出来る。
以下、本発明の光学位相差部材を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
屈折率1.52の白板ガラス基板の一方の面(裏面)に白板ガラス基板側から順に酸化ニオブ(厚さ13nm)、二酸化ケイ素(厚さ34nm)、酸化ニオブ(厚さ115nm)及び二酸化ケイ素(厚さ89nm)から構成される反射防止層を形成し、さらに白板ガラス基板の前記一方の面の反対面(表面)に周期が180nm、凸部上面の幅が20nm、凸部下面の幅が180nm、凸部高さが330nm、凸部の屈折率が1.41である凹凸パターンを形成することにより、凹凸パターンを有する透明基体を作製し、この透明基体上に、屈折率が2.37である材料を60nmの厚みで堆積して高屈折率層を形成し、その上に第1層、第2層、第3層を順に形成した場合の光学位相差部材の構造をシミュレーションにより求めた。第1層及び第3層の材料は波長550nmにおける屈折率が1.46であるSiOとし、第2層の波長550nmにおける屈折率は2.0、2.1、2.2、2.3、2.4又は2.6とした。第1層、第2層、第3層の厚みは、それぞれ、15〜40nm(5nm間隔)、30〜50nm(5nm間隔)、70〜110nm(10nm間隔)とした。
上記計算により求めた構造を有する各光学位相差部材について、シミュレーションにより、照射光の波長を430〜680nmの範囲においてける透過率を10nm間隔で求め、それら透過率の値の算術平均(平均透過率)を計算した。なお、ここで求めた透過率は、透明基体裏面(白板ガラス基板裏面)における反射ロスも含めた光学位相差部材全体の透過率である。
第2層の屈折率が2.0である光学位相差部材について、平均透過率が最大になるときの第1層、第2層、第3層のそれぞれの厚み、及びこのときの平均透過率(最大平均透過率)を求めた。第2層の屈折率が2.1、2.2、2.3、2.4、2.6である光学位相差部材についても同様にして、平均透過率が最大になる第1層、第2層、第3層のそれぞれの厚み、及び最大平均透過率を求めた。すなわち、第2層の屈折率の各値に対して、光学位相差部の平均透過率を最大にする第1層、第2層、第3層のそれぞれの厚みを求め、このときの平均透過率を最大平均透過率として求めた。
図7(a)に示すグラフは、第2層の屈折率に対する最大平均透過率の値を示している。第2層の屈折率が2.1以上である場合、最大平均透過率が98%以上となり、平均透過率の高い光学位相差部材を得ることができることが分かった。
実施例2
第1層及び第3層の波長550nmにおける屈折率を1.3、1.4、1.5、1.55、1.6とし、第2層の材料を波長550nmにおける屈折率が2.37であるTiOとした以外は実施例1と同様にして、光学位相差部材の平均透過率を求めた。
第1層及び第3層の屈折率が1.3である光学位相差部材について、平均透過率が最大になるときの第1層、第2層、第3層のそれぞれの厚み、及びこのときの平均透過率(最大平均透過率)を求めた。第1層及び第3層の屈折率が1.4、1.5、1.55、1.6である光学位相差部材についても同様にして、平均透過率が最大になる第1層、第2層、第3層のそれぞれの厚み、及び最大平均透過率を求めた。すなわち、第1層及び第3層の屈折率の各値に対して、光学位相差部の平均透過率を最大にする第1層、第2層、第3層のそれぞれの厚みを求め、このときの平均透過率を最大平均透過率として求めた。
図7(b)に示すグラフは、第1層及び第3層の屈折率に対する最大平均透過率の値を示している。第1層及び第3層の屈折率が1.55以下である場合、最大平均透過率が98%以上となり、平均透過率の高い光学位相差部材を得ることができることが分かった。
実施例3、4
第1層、第2層及び第3層の屈折率及び厚みを図8の表に記載した値とした以外は実施例1と同様の構造を有する光学位相差部材について、光学位相差部材により生じる波長550nmにおける位相差と、波長400〜700nmにおける透過率と、平均透過率(波長430〜680nmの範囲における透過率の平均値)を求めた。なお、実施例3の第1層及び第3層、並びに実施例4の第3層の材料はSiOであり、実施例3及び実施例4の第2層の材料はTiOであり、実施例4の第1層の材料はNS−LR−C3J(JX金属製、屈折率1.71)である。
比較例1、2
実施例3、4と比較するために、第1層の屈折率及び厚みを図8の表に記載した値とし、第2層及び第3層を設けなかった以外は実施例3と同様にして、光学位相差部材の位相差、透過率及び平均透過率を求めた。なお、比較例2の光学位相差部材の第1層の厚みは、実施例3の光学位相差部材の第1層、第2層及び第3層の厚みの合計(すなわち、積層体の厚み)と同じとした。
比較例3
実施例3、4と比較するために、第1層及び第2層の屈折率及び厚みを図8の表に記載した値とし、第3層を設けなかった以外は実施例3と同様にして、光学位相差部材の位相差、透過率及び平均透過率を求めた。なお、比較例3の光学位相差部材の第1層及び第2層の厚みの合計は、実施例3の光学位相差部材の積層体の厚みと同じとした。
比較例4
実施例3、4と比較するために、第1層、第2層及び第3層の屈折率及び厚みを図8の表に記載した値とした以外は実施例4と同様にして、光学位相差部材の位相差、透過率及び平均透過率を求めた。なお、比較例4の光学位相差部材の積層体の厚みの合計は、実施例4の光学位相差部材の積層体の厚みと同じとした。
比較例5
実施例3と比較するために、第3層を設けなかった以外は実施例3と同様にして、光学位相差部材の平均透過率を求めた。
実施例3、4及び比較例1〜5の光学位相差部材の平均透過率の値を図8の表中に示す。また、実施例3、4及び比較例1〜4の光学位相差部材により生じる波長550nmにおける位相差を図8の表中に示し、波長400〜700nmにおける透過スペクトルを図9に示す。
高屈折率層上に第1層、第2層及び第3層の3つの層が形成され、第1層の屈折率が高屈折率層よりも低く、第3層の屈折率が第2層よりも低い実施例3、4の光学位相差部材は、図9に示されるように430〜680nmの範囲内で97%以上の透過率を有し、平均透過率は98%以上であった。なお、実施例3、4の光学位相差部材において、第1層の屈折率は第2層の屈折率よりも低くなっている。
一方、高屈折率層上に第1層のみが形成されている比較例1の光学位相差部材は、干渉の影響により、図9に示されるように透過率が波長に対して波打つように変化しており、波長430〜680nmの範囲内において実施例3、4と比べて透過率が低い領域があった。それゆえ、比較例1の光学位相差部材の平均透過率は実施例3、4と比べて低く、97%未満であった。同様に、積層体が第1層のみから構成されている比較例2の光学位相差部材も、図9に示されるように実施例3、4と比べて波長430〜680nmの範囲内における透過率が低く、平均透過率も92.1%と低かった。
高屈折率層上に第1層及び第2層の2つの層が形成されている比較例3の光学位相差部材も、図9に示されるように実施例3、4と比べて波長430〜680nmの範囲内における透過率が低く、平均透過率も84.6%と低かった。同様に、高屈折率層上に第1層及び第2層の2つの層が形成されている比較例5の光学位相差部材も、平均透過率が95.1%と低かった。
比較例4の光学位相差部材は、実施例3、4と同様に高屈折率層上に第1層、第2層及び第3層の3つの層が形成されているが、第3層の屈折率が第2層の屈折率よりも高いという点で実施例3、4と異なる。本比較例の光学位相差部材は、図9に示されるように実施例3、4と比べて波長430〜680nmの範囲内における透過率が低く、平均透過率も82.5%と低かった。
実施例5〜15
第1層、第2層及び第3層の厚みを図8の表に記載した値とした以外は実施例3と同様にして、光学位相差部材の平均透過率を求めた。各実施例の光学位相差部材の平均透過率の値を図8の表中に示す。
高屈折率層上に第1層、第2層及び第3層の3つの層が形成され、第1層の屈折率が高屈折率層よりも低く、第3層の屈折率が第2層よりも低い実施例5〜15の光学位相差部材はいずれも、97%以上の高い平均透過率を有していた。第1層の厚み、第2層の厚み、第3層の厚み及び積層体の厚みそれぞれ20〜40nm、35〜55nm、100〜140nm、155〜210nmの範囲内である実施例5〜9の光学位相差部材は、平均透過率が98%以上であり、特に高透過率であった。
参考実験1
ガラス基板の一方の面にシリカの前駆体溶液を塗布して塗膜を形成した。次いで、塗膜にインプリント用のモールドを押し付けながら塗膜を硬化させたあと、モールドを剥離した。それにより、シリカから構成された凹凸構造層を有する透明基体を得た。凹凸構造層の表面には、一方向に延在する凸部が180nmピッチで配列しており、凸部の延在方向に垂直な面における断面が、上底20nm、下底180nm、高さ330nmの略等脚台形である凹凸パターンが形成されていた。
ガラス基板に対して45度の角度に傾斜させた綿棒を凹凸構造層の表面に接触させ、3kgの荷重を印加しながら凹凸構造層の表面を3回スクラッチした。次いで、2枚の偏光板をクロスニコル状態に対向させて配置し、当該2枚の偏光板の間にスクラッチ後の透明基体を載置した。このとき、各偏光板の光軸と透明基体の凸部の延在方向が45度の角度をなすように配置した。次いで、一方の偏光板側から透明基体に向けて光を照射し、他方の偏光板から透過した光を目視により観察したところ、スクラッチした部分が暗く見えた。これは、スクラッチにより凹凸パターンが変形して位相差特性が変化したことを示している。
参考実験2
参考実験1と同様にして作製した透明基体上に、酸化チタンをスパッタ成膜して高屈折率層を形成した。成膜は透明基体の凸部の上面に形成された高屈折率層の厚みが73nmとなるまで行った。次いで、二酸化ケイ素、酸化チタン、二酸化ケイ素を順にスパッタ成膜して第1層、第2層、第3層からなる積層体を形成した。凸部の上面の高屈折率層の上に形成された第1層、第2層、第3層はそれぞれ18nm、36nm、110nmであった。それにより、光学位相差部材を得た。
参考実験1と同様にして、光学位相差部材の積層体の表面をスクラッチした後、2枚の偏光板の間に光学位相差部材を載置して目視観察した。スクラッチされた部分はそれ以外の部分と同じ輝度に見えた。これは、スクラッチした部分においても凹凸構造層の凹凸パターンの形状が維持されていたことを示している。
参考実験1、2の結果から、透明基体上に高屈折率層及び積層体を形成したことにより、凹凸パターンの機械強度が向上したと考えられる。
以上、本発明を実施形態及び実施例により説明してきたが、本発明の光学位相差部材及びプロジェクタは上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で適宜改変することができる。例えば、実施例で用いた材料は一例にすぎず、特許請求の範囲に記載した屈折率の関係を満たす材料であれば、任意の材料を使用し得る。上記プロジェクタの実施形態において、本発明の光学位相差部材を特定の位置や配置で設けた例を示したが、それに限らず、任意の位置や配置で設けることができる。また上記プロジェクタの実施形態では、画像表示素子として3つの液晶パネルを用いて液晶パネルを透過した光を投影するタイプ(3LCD)のプロジェクタを例に挙げて説明したが、液晶パネルから反射した光を投影させるタイプ(LCOS)のプロジェクタにも適用することができる。また、画像表示素子としてデジタルミラーデバイスを用いたデジタル・ライト・プロセッシング(DLP)式プロジェクタなど任意のタイプのプロジェクタにも本発明を適用可能である。
本発明の光学位相差部材は、広い波長範囲で高透過率を示し、且つ所望の位相差特性を生じることができるとともに、通常の成膜法で形成することが可能であり、また、機械強度が高い。それゆえ、本発明の光学位相差部材は、プロジェクタ(投影型表示装置)のみならず、反射型あるいは半透過型液晶表示装置、光ディスク用ピックアップ装置、偏光変換素子等の各種デバイス等に好適に用いることができる。
20 積層体、 22 第1層、 24 第2層、 26 第3層
30 高屈折率層、 40 透明基体、 42 基材
50 凹凸構造層、 60 凸部、 90 空気層、 80 凹凸パターン
100 光学位相差部材
301、501 プロジェクタ、320 入射側波長板
321 出射側波長板
328、528 液晶パネル、532 拡散素子、534 波長板

Claims (13)

  1. 入射光に位相差を発生させる光学位相差部材であって、
    一方向に延在するとともに延在方向に垂直な面における断面が略台形状である複数の凸部から構成された凹凸パターンを有する透明基体と、
    前記透明基体の前記凸部の上面及び側面に形成され、前記凸部よりも高い屈折率を有する高屈折率層と、
    前記凸部の上面の前記高屈折率層上に形成された2n+1個(nは正の整数)の層から構成される積層体とを備え、
    前記積層体が、前記透明基体の前記凸部の上面及び側面の前記高屈折率層上に形成されており、
    隣り合う前記凸部の対向する前記側面に形成された前記高屈折率層の間に空気層が存在し、
    前記積層体は、前記高屈折率層上に形成された第1層と、第2k−1層(kは1〜nの整数)上に形成された第2k層と、前記第2k層上に形成された第2k+1層を備え、
    前記第1層の屈折率が前記高屈折率層の屈折率よりも低く、
    前記第2k+1層の屈折率が前記第2k層の屈折率よりも低い光学位相差部材。
  2. 前記第2k−1層(kは1〜nの整数)の屈折率が、前記第2k層の屈折率よりも低い請求項1に記載の光学位相差部材。
  3. 前記第2k層と前記高屈折率層が同じ材料から構成される請求項1又は2に記載の光学位相差部材。
  4. 前記第2k+1層と前記第2k−1層が同じ材料から構成される請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学位相差部材。
  5. nが1である請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学位相差部材。
  6. 第2層の屈折率が2.1〜2.6の範囲内である請求項5に記載の光学位相差部材。
  7. 第1層及び第3層の屈折率が1.3〜1.55の範囲内である請求項5又は6に記載の光学位相差部材。
  8. 前記透明基体の前記凸部の側面の前記高屈折率層上に形成された前記積層体の厚みは5〜40nmの範囲内である請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学位相差部材。
  9. 波長430nm〜680nmの範囲内における透過率の平均が97%以上である請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学位相差部材。
  10. 前記凸部を構成する材料がゾルゲル材料であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学位相差部材。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の光学位相差部材を備えるプロジェクタ。
  12. 直線偏光の光を生成する光生成機構と、
    請求項1〜10のいずれか一項に記載の光学位相差部材から構成され、前記光生成機構から射出された前記光を円偏光に変換する入射側波長板と、
    円偏光に変換された前記光を変調する画像表示素子と、
    請求項1〜10のいずれか一項に記載の光学位相差部材から構成され、前記画像表示素子により変調された前記光を直線偏光に変換する出射側波長板と、
    前記画像表示素子により変調された前記光を投写する投写光学系とを備えるプロジェクタ。
  13. 直線偏光の光を生成する光生成機構と、
    請求項1〜10のいずれか一項に記載の光学位相差部材から構成され、前記光生成機構から射出された前記光を円偏光に変換する波長板と、
    円偏光に変換された前記光を拡散する拡散素子と、
    前記拡散素子で拡散された前記光を変調する画像表示素子と、
    前記画像表示素子により変調された前記光を投写する投写光学系とを備えるプロジェクタ。
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