JP2014085516A - ワイヤグリッド偏光板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐湿熱性の持続性に優れたワイヤグリッド偏光板及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】ワイヤグリッド偏光板(10)は、基材(101)と、基材(101)の表面上に一定の間隔で一定の方向に延在する基材凸部(101a)の一方側面に設けられた金属ワイヤ層(102)と、金属ワイヤ層(102)を含む基材(101)の表面を覆う、無機材料及び金属酸化物材料の少なくとも一方を含む第1被膜層(103)と、前記第1被膜層(103)の表面を覆う、フッ素含有組成からなる第2被膜層(104)と、を具備する。
【選択図】図3

Description

本発明は、耐湿熱性の持続性に優れたワイヤグリッド偏光板及びその製造方法に関する。
近年のフォトリソグラフィー技術の発達により、光の波長レベルのピッチを有する微細構造パターンを形成することができるようになってきた。この様に非常に小さいピッチのパターンを有する部材や製品は、半導体分野だけでなく、光学分野において利用範囲が広く有用である。
例えば、金属等で構成された導電体線が特定のピッチで格子状に配列してなるワイヤグリッド偏光板は、そのピッチが入射光に比べてかなり小さいピッチ(例えば、2分の1以下)であれば、導電体線に対して平行に振動する電場ベクトル成分の光をほとんど反射し、導電体線に対して垂直な電場ベクトル成分の光をほとんど透過させるため、単一偏光を作り出す偏光子として使用できる。ワイヤグリッド偏光板は、透過しない光を反射し再利用することができるので、光の有効利用の観点からも望ましいものである。
しかし、ワイヤグリッド偏光板は、その構造から、金属表面と空気中の水分との反応による酸化劣化を引き起こしやすいという問題がある。この酸化劣化による性能低下を防ぐ為に金属ワイヤグリッド面を樹脂で被覆する方法が知られている(特許文献1)。
しかし、特許文献1に開示された方法では高温での水中処理を行う為に、基板が樹脂の場合、吸水して反り返ってしまうという問題があった。これは、ワイヤグリッド偏光板の鏡面性を低下させることになり、とりわけ反射光を利用した用途に対して適応が難しい課題があった。
本願発明者らは、この課題に対し、過去に特許文献2において、高耐久性ワイヤグリッド偏光板を報告した。特許文献2では、金属ワイヤ表面をフッ素系シランカップリング剤等で被膜することで、耐湿熱性を改善し、且つ偏光子をカールさせることなく作製できることを示した。
特許第4411202号公報 特開2010−210829号公報
しかしながら、特許文献2に記載の方法では、一定の耐湿熱性の改善が得られるものの、例えば、車載用途等に搭載する用途等においては、より高い耐湿熱信頼性が求められ、耐湿熱性の持続性を改善することは重要な課題である。
本発明は、耐湿熱性の持続性に優れたワイヤグリッド偏光板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本願発明者らは、金属ワイヤ層の酸化劣化の要因について鋭意検討を行った結果、フッ素系シランカップリング剤の金属ワイヤ表面への定着性の不十分さや、フッ素系シランカップリング剤が金属ワイヤ表面の酸化層に選択的に被覆されるため、基材表面からの吸水の影響を受けている点に着目した。
本発明では、これらの課題に対し、金属ワイヤ層とフッ素系被膜層との間に、無機材料又は金属酸化物材料の少なくとも一方からなる被膜層を新たに設けることで、フッ素系シランカップリング剤の被覆面積と定着性が改善され、高温、高湿度下や熱水環境下において、耐湿熱性が劇的に向上することを見出した。本発明者らは、この知見に基づいて本発明をなすに至った。すなわち、本発明は、以下の通りである。
本発明のワイヤグリッド偏光板は、基材と、前記基材の表面上に一定の間隔で一定の方向に延在する金属ワイヤ層と、少なくとも前記金属ワイヤ層の表面を被膜する、無機材料及び金属酸化物材料の少なくとも一方を含む第1被膜層と、少なくとも前記第1被膜層の表面を被膜する、フッ素含有組成からなる第2被膜層と、を具備することを特徴とする。
この構成により、第2被膜層の剥離を軽減でき、金属ワイヤ層への直接的な水分子による酸化劣化に対する耐性を得ることができる。
また、本発明のワイヤグリッド偏光板において、前記第1被膜層の表面の面積が、前記金属ワイヤ層の表面の面積よりも大きいことが好ましい。
また、本発明のワイヤグリッド偏光板において、前記第1被膜層が、前記金属ワイヤ層と、前記金属ワイヤと前記基材との境界部と、を同時に被膜することが好ましい。
これらの構成により、第2被覆層の剥離軽減に加え、金属ワイヤ層に接する基材面からの含水による金属ワイヤ層の酸化劣化を軽減することができる。
また、本発明のワイヤグリッド偏光板において、前記第2被膜層が、フッ素系シランカップリング剤、フッ素系アルミネートカップリング剤、及びフッ素系チタネートカップリング剤からなる群から選ばれる少なくとも一種のカップリング剤を含むことが好ましい。
また、本発明のワイヤグリッド偏光板において、前記金属ワイヤ層が、前記基材の表面上に特定方向に延在する格子状凹凸形状を有する基材凸部の一方向側の側面に接し、前記基材凸部の頂部より上方に伸びるよう設けられていることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光板の製造方法は、基材と、前記基材の表面上に一定の間隔で一定の方向に延在する金属ワイヤ層と、を具備する積層体の表面に無機材料及び金属酸化物材料の少なくとも一方を含む第1被膜層をスパッタリング法により形成する工程と、前記第1被膜層表面の表面にフッ素含有組成からなる第2被膜層を湿式法により形成する工程と、を具備することを特徴とする。
この構成により、基材及び金属ワイヤ層の表面上に、スパッタリング法にて第1被膜層を薄く且つ均一に優れた密着性で形成することができると共に、第1被膜層の表面上に、湿式法にて第2被膜層を容易に且つ確実に成膜できる。また、得られた第1被膜層は、前記金属ワイヤ層と、前記金属ワイヤと前記基材との境界部と、を同時に被膜しているので、第2被覆層の剥離軽減に加えて、金属ワイヤ層に接する基材面からの含水による金属ワイヤ層の酸化劣化を軽減することができる。
本発明によれば、金属ワイヤ層を備えたワイヤグリッド偏光板に、第2被覆層により防水性及び耐湿性を付与する共に、第1被覆層により、第2被覆層の剥離を防止し、防水性及び耐湿性の耐久持続性を向上することができ、長時間、高温高湿下に曝されても偏光透過率性の変化が少ないワイヤグリッド偏光板を提供することができる。
本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板を示す上面模式図である。 本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板を示す断面模式図である。 本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板を示す拡大断面模式図である。 本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板の他の例を示す拡大断面模式図である。 本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板の他の例を示す拡大断面模式図である。
以下、本発明の一実施の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
図1は、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板を示す上面模式図である。また、図2は、図1中a−b間の断面に相当する断面模式図である。図1に示すワイヤグリッド偏光板10は、その表面上に、特定方向に延在する複数の凸部11が所定のピッチで並設された格子状凹凸形状を有している。
ワイヤグリッド偏光板10は、図2に示すように、特定方向に延在する格子状凹凸形状を有する基材101と、基材101の格子状凹凸形状を構成する基材凸部101aの一方向側の側面に接し、基材凸部101aの頂部より上方に伸びるよう設けられていた金属ワイヤ層102と、を具備する。
さらに、ワイヤグリッド偏光板10は、図2に示すように、基材101及び金属ワイヤ層102の表面を被覆する第1被膜層103と、第1被膜層10の表面を被覆する第2被膜層104と、を具備している。
図3は、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板を示す拡大断面模式図である。図3に示すように、第1被膜層103は、金属ワイヤ層102を含む基材101の表面を全て覆っている。このため、金属ワイヤ層102の表面の面積よりも大きい。また、第1被膜層103は、金属ワイヤ層102を被膜するのと同時に、金属ワイヤ層102と基材101との境界部を被膜している。
図3では、第1被膜層103を、金属ワイヤ層102を含む基材101の表面の全てを覆う場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図4に示すように、金属ワイヤ層102の表面のみを選択的に覆うように第1被膜層103を設け、第1被膜層103を含む基材101の表面の全てを第2被膜層104で覆っても良い。また、図5に示すように、第1被膜層103を設けたときに、基材101の任意の基材凸部101aの一方側面に設けられた金属ワイヤ層102と、これに隣接する基材凸部101aとの間を第1被膜層103が架橋したような状態となり、第1被膜層103と基材101との間に空隙部110が生じていても、本発明の効果を得ることができる。
以下、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板10の各部構成についてより詳細に説明する。
(1)基材101
基材101は、目的とする波長領域において実質的に透明であればよい。例えば、ガラス等の無機材料や樹脂材料を基材101に用いることが出来る。特に、樹脂材料の基材101であることで、フレキシブル性を持たすことができ、ロールプロセスが可能になる点で好ましい。基材101に用いることができる樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等の非晶性熱可塑性樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等の結晶性熱可塑性樹脂、及び、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系等の紫外線(UV)硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂が挙げられる。また、紫外線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂と、ガラス等の無機基材、上記熱可塑性樹脂又はトリアセテート樹脂とを組み合わせたり、単独で用いたり、して基材101を構成させてもよい。
(2)金属ワイヤ層102
金属ワイヤ層102に好適に用いることができる金属としては、アルミニウム、銀、銅、白金、金又はこれらの各金属を主成分とする合金等が挙げられる。中でもアルミニウム又は銀は可視域での吸収損失が小さく、特に好ましい。また、金属ワイヤ層102の表面は自然酸化されていてもよい。
(3)基材断面形状
金属ワイヤ層102の延在方向に垂直な面内における基材101の断面形状に制限はないが、透過偏光性能の観点から断面形状は格子状凹凸形状であることが好ましい。格子状凹凸形状としては、例えば、台形、矩形、方形、プリズム状、及び、半円状の正弦波状が挙げられる。ここで、正弦波状とは凹部と凸部の繰り返しからなる曲線部をもつことを意味する。なお、曲線部は湾曲した曲線であればよく、例えば、凸部にくびれがある形状も正弦波状に含める。透過率の観点から基材断面形状は矩形又は正弦波状であることが好ましい。
格子状凹凸構造を有する基材101を用いる場合、その製造方法は特に限定されない。例えば、半導体リソグラフィー法の一つである、レチクルマスクパターンを使ったステッパー装置で作製することができる。シリコンウエハ上に均一に成膜されたレジスト面に、レチクルマスク越しに露光し、ステップアンドリピート法にてレジスト面にパターン露光する。現像後、ピッチ150nm以下のラインアンドスペース状のレジストパターンができる。次に、このレジストパターンをマスクパターンとしてドライエッチング法でシリコンウエハにパターンを作製する。結果、ピッチ150nm以下の略矩形型の微細凹凸格子パターンが得られる。作製したパターン付シリコン板を樹脂で転写し、電界メッキ法等を用いて微細凹凸格子を有する金属スタンパを作製する。この金属スタンパを用いて、樹脂基材の表面にその微細凹凸格子を転写、形成することで、ピッチ150nm以下の格子状凸部を有する樹脂基材を得ることが可能となる。
他の作製例としては、出願人が別途出願した特許第4147247号公報に記載の方法を挙げることができる。特許第4147247号公報によれば、干渉露光法を用いて作製したピッチ230nmから250nmの格子状凸部が作る凹凸格子を有する金属スタンパを用いて、凹凸格子を熱可塑性樹脂に熱転写し、凹凸格子を付与した熱可塑性樹脂を格子の長手方向と平行な方向に、延伸倍率が4から6倍の自由端一軸延伸加工を施す。その結果、前記熱可塑性樹脂に転写された凹凸格子のピッチが縮小され、ピッチが120nm以下の微細凹凸格子を有する樹脂基材(延伸済み)が得られる。続いて、得られた微細凹凸格子を有する樹脂基材(延伸済み)から、電解メッキ法等を用いて微細凹凸格子を有する金属スタンパを作製する。この金属スタンパを用いて、樹脂基材の表面にその微細凹凸格子を転写、形成することで、ピッチが120nm以下の格子状凸部を有する樹脂基材を得ることが可能となる。
(4)ピッチ幅
一般にワイヤグリッド偏光板は、金属ワイヤのピッチ幅が小さくなるほど幅広い帯域で偏光特性を示すことが出来るが、近赤外〜赤外領域のみの偏光特性を考慮する場合は、ピッチは300nm程度以下であればよく、400nm近傍以下の短波長領域の偏光特性を重視しない場合は、ピッチは約150nm以下でよい。可視光領域全体に渡って十分な偏光特性を得る場合には、ピッチはおおよそ120nm以下であることが好ましく、より好ましくは80nm〜120nmである。
また、凹凸構造に追従した第1被膜層103を成膜するためには、ピッチ80nm以上であることが好ましく、第2被膜層104を積層後の撥水効果を高めるため、ピッチ間隔の小さい、150nm以下であることが好ましい。
(5)金属ワイヤ層102の作製方法
金属ワイヤ層102の作製方法においては特に制限は無い。電子線リソグラフィー法或いは干渉露光法によるマスクパターンニングとドライエッチングを用いて作製する方法や斜め蒸着法による作製等が挙げられるが、生産性の観点から斜め蒸着法が好ましい。また、光学特性の観点から、不要な金属はエッチングにより除去することが好ましい。エッチング方法は、基材101や誘電体層(不図示)に悪影響を及ぼさず、金属部分が選択的に除去できる方法であれば特に限定は無いが、生産性の観点からアルカリ性の水溶液に浸漬させる方法が好ましい。
(6)第1被膜層103
第1被膜層103は、無機材料又は金属酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことで、水分子やガス分子から金属ワイヤ層102の表面を保護するバリア機能として働く点で好ましい。また、第1被膜層103は、第2被膜層104を安定に固定し、第2被膜層104による水分子の排除効果を持続させるために必要な層としても機能する。
ここでの無機材料とは、特に組成に限定はしないが、例えば、窒化ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素及びダイヤモンドライクカーボンが挙げられる。金属酸化物についても、特に限定しないが、酸化チタンやインジウムスズ酸化物(ITO)等が挙げられる。いずれにせよ、水分子やガス分子から金属ワイヤ層103の表面を保護するバリア機能として働くことができれば、無機材料又は金属酸化物の種類は特に限定しない。
また、第1被膜層103の積層前後で、透過率の低下を防ぐため、少なくとも使用する偏光透過波長域において、実質吸収のない材料であることが好ましい。
第1被膜層103は、単一組成からなる単層構成や、複数層からなる多層構成、又は複数組成が混合された層から成っても良い。
第1被膜層103は、少なくとも金属ワイヤ層102の表面に積層されていることで前記効果が得られる。より好ましくは、金属ワイヤ層102の表面だけでなく、金属ワイヤ層102と基材101との境界部を同時に被覆することで、この境界部での基材面からの含水を防止することができる。
さらに好ましくは、ワイヤグリッド偏光板10の金属ワイヤ面側、すなわち、金属ワイヤ層102を含む基材101の表面全域を第1被膜層103で被覆することで、基材101の表面からの吸水を防止でき、基材内面からの水分子による金属ワイヤ層102の酸化劣化を防ぐことができる。既に、図5を参照して説明したように、第1被膜層103が架橋して凸部101aの間の凹部101bに、空隙部110が一部残るような被膜形態であってもよい。
最も好ましくは、図3に示すように、ワイヤグリッド偏光板10の基材101の全面を第1被膜層103で被覆することであり、この場合、外界からの吸水を最小限にとどめることができる。
第1被膜層103の厚さは、被覆前後での透過率や偏光性性能の低下を防ぐため40nm以下の厚さが好ましく、成膜後の曲げによるクラックの発生を防止するため、30nm以下であることが好ましく、25nm以下で赤外・可視波長域における偏光特性を保持でき、15nm以下であることで赤外・可視・紫外波長域における偏光性特性を保持でき、10nm以下であることで、パターン形状を追従した第1被膜層103を設けることができる。一方、厚さが2nm以上であることで、第1被膜層103の定着性が良くなる。第1被膜層103の厚さのバラつきについては、特に限定しないが、前記厚さの範囲であれば特に問題はない。
第1被膜層103の表面はナノメートルサイズの粗面化された状態であってもよい。これにより、第1被膜層103の表面積を大きくでき、第1被膜層103に積層する第2被膜層104の被覆面積が大きくなるため、より多くの成分で表面を保護することができ耐湿熱性に持続性が得られる。
(7)第2被膜層104
第2被膜層104は、水分子や有機分子の付着を防止するために必要な層であり、防水性、耐湿熱性、防汚性の観点で重要であり、特に、低表面エネルギーを示すフッ素含有組成からなることが好ましい。また、第1被膜層103に安定に固定化させるため、分子構造の末端に反応基を有することが好ましい。
フッ素含有組成の例としては、フッ素原子を含有した組成であれば特に限定しないが、パーフルオロエーテル基やパーフルオロアルキル基等を含有したフッ素系有機分子等であると、一分子中のフッ素含有密度が高く、表面エネルギーが十分小さくなり、撥水効果として有効である。
第2被膜層104は、第1被膜層103と熱力学的に安定な固定を実現できれば特に手段は問わないが、第1被膜層103の表面とは化学的に固定化させることが好ましい。例えば、加水分解性のシランカップリング基等は、第1被膜層103の最表層に水酸基が局在する場合、化学的に反応し、安定に固定化される。また、一分子中に複数の反応基を含有することで、第1被膜層103の表面だけでなく、第2被膜層104内部において三次元方向にもランダムに反応し架橋形成されることで、より強固な第2被膜層104を形成することができる。
また、第2被膜層104の積層前後で、透過率の低下を防ぐため、少なくとも使用する偏光透過波長域において、実質吸収のない材料であることが好ましい。
第2被膜層104の厚みは、薄ければ薄いほどワイヤグリッド偏光板10の光学特性に影響を与えなくなるため好ましい。単分子配向した場合は単分子膜の厚みの指標として、又は物理的吸着等も含めた第2被膜層104の厚みの指標として、50nm以下の厚さであることで、第2被膜層104の形成前後での透過率差を1%以下に抑えることができ、より好ましくは20nm以下である。さらに3nm以上であることで撥水性の効果を発揮でき、6nm以上であることで、耐湿熱性に持続性が良くなる。
ピッチ150nm以下の微細構造においても20nm以下の厚みで均一に被覆でき、且つ透過率低下が極めて少ない等の観点から、第2被膜層104は、フッ素系シランカップリング剤、フッ素系アルミネートカップリング剤、又はフッ素系チタネートカップリング剤からなる群から選ばれる少なくとも1種のカップリング剤であることが好ましい。
特に第1被覆層103との密着性を強固にする為に、第2被膜層104は前記カップリング剤の水酸基と金属ワイヤ層102の表面の水酸基とが脱水縮合することによって形成されることが好ましく、さらに、より膜厚を均一に、且つ、薄くすることが出来るとの観点から、フッ素化合物はパーフルオロポリエーテル構造を有するフッ素系シランカップリング剤、フッ素系アルミネートカップリング剤、又はフッ素系チタネートカップリング剤であることが好ましい。
特に下記式(I)で表されるパーフルオロポリエーテル構造を有するフッ素系化合物は、10nm以下の均一な膜厚と、アルミニウムとの特に強固な密着性を達成できるため好ましい。
2n+1−Z−Y−X−(OC)a−(OC)b−(OCF)c−O−X−Y−Z−M(OH)α(OR)β(P)γ(Q)m−α−β−γ (I)
(式中、a、b及びcはそれぞれ独立して、0又は1以上の整数を表し、a、b及びcの和は少なくとも1であり、a、b及びcが付けられた括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。
Xは、式:−(O)d−(CF)e−(CH)f−(ここで、d、e及びfはそれぞれ独立して、0又は1以上の整数を表し、e及びfの和は少なくとも1であり、d、e及びfが付けられた括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意であるが、Oは連続しない。)で示される基を表す。
Yは二価の極性基又は単結合を表す。
Zは式:−(CH)g−(ここで、gは、0又は1以上の整数を表す。)で示される基を表す。
Mはケイ素原子、チタン原子又はアルミニウム原子を表す。
Pは加水分解可能な極性基を表す。
Qは水素又は炭化水素基を表す。
Rは炭化水素基を表す。
mはMの価数−1の整数を表す。
αは1以上m以下の整数を表し、
β、γは0又は1以上m以下の整数を表し、
α+β+γは1以上m以下の整数を表す。
nは1以上の整数である。
−OC−は、−OCFCFCF−又はOCF(CF)CF−を、−OC−は、−OCFCF−又は−OCF(CF)−を表す。)
上記式(I)において、ケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子の中でも、Mにケイ素原子を用いた構造が、特に窒化ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素、酸化チタンの群から選ばれる少なくとも一種からなる第1被覆層103に被覆した際の透過率低下を抑え、且つ、密着性にも優れるため好ましい。
(8)第1被膜層103の作製方法
ワイヤグリッド偏光板10の表面に対して、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的蒸着法を好適に用いることができる。特に、薄く、且つ均一な成膜できる方法であって、さらに金属ワイヤ層102の表面や基材101の表面との物理的な密着性が得られる点や、ナノ凹凸形状を追従し易い成膜方法として、スパッタリング法がより好ましい。
(9)第2被膜層104の作製方法
ワイヤグリッド偏光板10の表面に積層した第1被膜層103の表面に対して、真空蒸着法、スパッタ法等の乾式法の他、蒸気拡散法や液滴下法や液浸漬法等の湿式法で、第2被膜層104を積層する方法が挙げられる。特に、第2被膜層104が有機分子からなる場合は、容易に且つ確実に成膜できる方法として液滴下法や液浸法がより好ましい。
液滴下法や液浸漬法の作製例として、フッ素系カップリング剤溶液を使った第2被膜層104の作製方法について説明する。
液滴下法の例:
第1被覆層103を積層したワイヤグリッド偏光板(基材101及び金属ワイヤ層102)の表面全体に濡れ広がる程度に量で、上述のフッ素系カップリング剤を溶剤に溶解させたフッ素系カップリング溶液を滴下する。その後、20%RH以上、98%RH以下、10℃以上、80℃以下条件にて、数秒以上から12時間程度かけて、カップリング剤同士、又は、カップリング剤と第1被膜層103の表面とを反応させる。すなわち、カップリング剤の加水分解と脱水縮合反応が促進し、第1被膜層103とフッ素系カップリング剤溶液との固液反応並びに、カップリング剤間での反応が進み、第2被膜層104の成膜安定性が得られる。必要な耐熱性の度合いに応じて、前記湿度、温度、時間を調整することが好ましい。次に、フッ素系溶剤を使って表面に付着した過剰量のフッ素系カップリング剤を除去する。これにより、第2被膜層104の積層前後での光学特性差を小さくできる。その後、ワイヤグリッド偏光板の表面をエアブローにて十分乾燥させることで、本実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板10を得ることができる。
同じく、前記フッ素系カップリング剤溶液を使った第2被膜層104の別の作製方法例について説明する。
液浸漬法の例:
第1被膜層103を積層したワイヤグリッド偏光板(基材101及び金属ワイヤ層102)を前記フッ素系カップリング剤溶液に浸漬した後、溶液から取り出し、溶媒乾燥後、過剰にワイヤグリッド偏光板上に堆積したフッ素系カップリング剤を除去する目的で、フッ素系溶媒に浸漬する。さらに、第1被膜層103の表面にある水酸基とフッ素系カップリング剤の水酸基との脱水縮合を促進させるため、乾燥を行うことが好ましい。乾燥は10℃以上、60℃以下、20%RH以上、98%RH以下、10秒以上、1200秒以下の間で行うことが好ましく、均一な膜厚を確保するとの観点から、15℃以上、40℃以下、30%RH以上、90%RH以下、乾燥時間は30秒以上、600秒以下の間で行うことがより好ましい。
上記のようにフッ素系カップリング剤の被膜が形成されたワイヤグリッド偏光板をさらに高温下に置くことで、第1被膜層103の水酸基とフッ素系カップリング剤の水酸基との脱水縮合がより促進され、第1被膜層103とフッ素系カップリング剤の結合がより強固なものとなる。以下、この工程を焼付けと呼ぶ。具体的には60℃以上、150℃以下、より好ましくは80℃以上、120℃以下で、1分以上、60分以下、より好ましくは5分以上、30分以下の条件で焼付けると好適な第2被膜層104が得られる。
第2被膜層104の形成に用いるフッ素系カップリング剤が、フッ素系シランカップリング剤、フッ素系アルミネートカップリング剤、又はフッ素系チタネートカップリング剤からなる群から選ばれる少なくとも1種のカップリング剤であれば全て上記工程と同様の工程で好適な第2被膜層104の形成が可能である。
(10)誘電体層
本実施の形態において基材101を構成する材料と金属ワイヤ層102との密着性向上の為に、両者の間に両者と密着性の高い誘電体材料を誘電体層(不図示)として設けることができる。基材101と金属ワイヤ層102との密着性が高いと、耐久性試験中の金属ワイヤ層102の剥離を防ぎ、偏光度の低下を抑えることが出来る。
好適に用いることが出来る誘電体材料としては、例えば、珪素(Si)の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体又はその複合物(誘電体単体に他の元素、単体又は化合物が混じった誘電体)や、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、イットリウム(Y)、ジルコニア(Zr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、銅(Cu)等の金属の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体又はそれらの複合物を用いることができる。誘電体材料は、透過偏光性能を得ようとする波長領域において実質的に透明であることが好ましい。
誘電体材料の積層方法には特に限定は無く、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的蒸着法を好適に用いることができる。
(11)光学性能
ワイヤグリッド偏光板10の透過性能を損なわない為に、金属ワイヤ層102の表面への第1被膜層103及び第2被膜層104の積層形成前と後での視感度補正透過率Tの差(透過率差ΔT)は1.0%以下であることが好ましい。さらに人間の視認による光学特性の識別が実質的に不可能であることから透過率差ΔTは0.5%以下が好ましく、より好ましくは0.25%以下である。
ワイヤグリッド偏光板10の偏光性能を損なわない為に、金属ワイヤ層102の表面への第1被膜層103及び第2被膜層104の積層形成前と後での視感度補正偏光度Pの差(偏光率差ΔP)は0.5%以下であることが好ましい。また、人間の視認による光学特性の識別が実質的に不可能であることから、偏光率差ΔPは0.2%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがさらに好ましい。
視感度補正透過率Tと視感度補正偏光度Pは各波長における透過率と偏光度に国際照明委員会により定められた標準比視感度によって重み付けすることによって得られる。具体的には、以下の式(II)、(III)で表される。
Figure 2014085516
Figure 2014085516
ここでλは波長、T(λ)とP(λ)は各波長λにおける透過率と偏光度をそれぞれ表し、以下の式で表される。
(λ)=[(Imax+Imin)/2]×100%
(λ)=[(Imax−Imin)/(Imax+Imin)]×100%
(Imaxは各波長λでの直線偏光に対する平行ニコル、Iminは各波長での直行ニコル状態での透過光強度)
また、Φ(λ)は各波長λにおける標準比視感度を表し、λは380nm、λは780nmとする。
以下、本発明の効果を確認するために行った実施例について説明する。
(実施例1)
<紫外線硬化樹脂を用いた格子状凹凸形状転写フィルムの作製>
格子状凹凸形状転写フィルムの作製には、Ni製金型(以下金型A)を用いた。金型Aはピッチ幅145nmの格子状凹凸形状を有し、格子の延在する方向に垂直な断面における凹凸形状が略矩形形状であった。厚み80μmのトリアセチルセルロース樹脂(以下、TACと略す)フィルム(富士写真フィルム製TD80UL−H)にアクリル系紫外線硬化樹脂(屈折率1.52)を約1μm塗布し、塗布面を下にし、金型AとTACフィルム間に空気が入らないように乗せた。TACフィルム側から紫外線ランプを用いて紫外線を1000mJ/cmで照射し、金型Aの格子状凹凸形状を転写した。TACフィルムを金型から剥離し、縦300mm、横200mmの格子状凹凸形状を転写したフィルムを作製した。以下、これを転写フィルムAという。
<ワイヤグリッド偏光板の作製>
・スパッタリング法を用いた誘電体層の形成
次に転写フィルムAの格子状凹凸形状転写表面に、スパッタリング法により誘電体層として二酸化珪素を成膜した。スパッタリング装置条件は、Arガス圧力0.2Pa、スパッタリングパワー770W/cm、被覆速度0.1nm/sとし、転写フィルムA上の誘電体厚みが平膜換算で3nmとなるように成膜した。
・真空蒸着法を用いた金属の蒸着
次に誘電体層を成膜した転写フィルムAの格子状凹凸形状転写表面に、真空蒸着によりアルミニウム(Al)を成膜し、偏光フィルムAを得た。Alの蒸着条件は、常温下、真空度2.0×10−3Pa、蒸着速度40nm/sとした。Alの厚みを測定するため表面が平滑なガラス基板を転写フィルムAと同時に装置に挿入し、平滑ガラス基板上のAl厚みをAl平均厚みとした。格子の長手方向と垂直に交わる平面内において基材面の法線と蒸着源のなす角度を蒸着角θと定義し、今回全ての転写フィルムで蒸着角θを20°、Al平均厚み120nmとして蒸着させた。
ここでいう平均厚みとは、平滑ガラス基板上にガラス面に垂直方向から物質を蒸着させたと仮定した時の蒸着物の厚みのことを指し、蒸着量の目安として使用している。
・不要Alの除去による偏光特性の調整
次に偏光フィルムAを0.1重量%水酸化ナトリウム水溶液に室温下で所定時間浸漬させた。その後すぐに水洗いし、フィルムを乾燥させた。偏光フィルムAのアルカリ水溶液浸漬時間は、処理後の偏光フィルムAの波長550nmの光に対する偏光度が99.9%以上で光線透過率が40%以上となる時間とした。このアルカリ水溶液浸漬処理後の偏光フィルムAの視感度補正透過率Tと視感度補正偏光度Pを下記表1に示す。視感度補正透過率Tと視感度補正偏光度Pの測定には、日本分光社製偏光フィルム評価装置V7000を用い、23℃、65%RHの条件で行った。以下、視感度補正透過率T、視感度補正偏光度Pは全て上記条件にて測定を行った。
・スパッタリング法を用いた第1被膜層1の作製
次に光学調整した偏光フィルムAの表面にスパッタリング法により第1被膜層1として酸化ケイ素を成膜した。スパッタリング装置は、ULVAC社製SH−450を使用した。スパッタリング装置条件は、RFスパッタ(電力770W)、Ar流量10sccm、成膜時間は36秒とし、偏光フィルムA上の第1被膜層1が平膜換算で3nmとなるように成膜した。
<フッ素系シランカップリング剤による第2被膜層2の形成>
次に、第1被膜層1を積層した偏光フィルムAのアルミ面側に株式会社ハーベス社製のフッ素系シランカップリング剤溶液(HD−1101)を、アルミ面側が全面濡れ広がるように滴下した。反応を促進させるため、60℃、90%RH条件下に3時間、その後、23℃、60%RH条件下にて6時間静置させた。次いで、偏光フィルムA上に過剰に付着したフッ素系シランカップリング剤を洗浄除去する目的で、株式会社ハーベス社製のフッ素溶媒(HD−ZV)を適度にかけ流し、その後エアブローによりフッ素溶媒を乾燥、除去した。この第1被膜層1及び第2被膜層2を積層した偏光フィルムAを、被覆後偏光フィルムAとし、実施例1とした。
(比較例1)
偏光フィルムAをエッチングし偏光特性を調整した後、第2被膜層2のみをアルミ面側に積層させたものを偏光フィルムBとした。第2被膜層2の積層処理方法は、実施例1に記載の方法と同様にて作製した。
(比較例2、3、4)
偏光フィルムAをエッチングし偏光特性を調整した後、第1被膜層1のみをアルミ面側に積層させ、第1被膜層1の平膜換算で3nmとなるように成膜したものを偏光フィルムC、平膜換算で30nmとなるように成膜したものを偏光フィルムD、平膜換算で40nmとなるように成膜したものを偏光フィルムEとした。第1被膜層1の積層方法は、実施例1に記載の方法と同様であり、成膜積算時間を調整して膜厚を調整した。
<光学特性の評価1:被膜層形成前後の光学特性評価>
実施例1及び比較例1〜4の被膜層形成前後の可視光領域(380nm〜780nm)の透過率T及び偏光度Pを日本分光社製偏光フィルム評価装置V7000にて測定した。被膜層形成前後の各偏光フィルムの視感度補正透過率T及び視感度補正偏光度Pの値を下記表1に示した。いずれも被膜前後での透過率や偏光度に大きな変動はなく、偏光フィルムとしての機能が十分に保持されていることを確認した。
Figure 2014085516
<光学特性の評価2:熱水浸漬による防水性評価>
実施例1及び比較例1〜4の被覆後偏光フィルムA及び偏光フィルムB〜Eを、80℃の純水に浸漬し、水によりアルミニウムが酸化され、アルミニウム表面の80%が透明化するまでの時間を計測した(表1)。第1被膜層1のみの被膜積層構成(比較例2〜4)、及び、第2被膜層2のみの被膜積層構成(比較例1)ではいずれも、30分以内にはアルミニウム面が透明化し、偏光性能を完全に失ってしまった。一方、実施例1は、5時間以上もの間、透明劣化することなく偏光特性が保持されることが確認された。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状等については、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。
本発明は、ワイヤグリッド偏光板の耐久性向上に適用することができ、例えば、車載用の光学用途として、ヘッドアップディスプレイやカーナビモニタ、インパネ内等の偏光板、ハーフミラー搭載型ルームミラーとして使用に好適に適用することが可能である。他には、水中や高温多湿環境下でのカメラやディスプレイ用の偏光板や、様々な温度や湿度環境下で使用が想定される偏光メガネやレンズ、ヘッドマウントディスプレイ、窓材や化粧台、浴室等のハーフミラー等、にも適用することが可能である。
10 ワイヤグリッド偏光板
11 凸部
101 基材
102 金属ワイヤ層
103 第1被膜層
104 第2被膜層

Claims (6)

  1. 基材と、
    前記基材の表面上に一定の間隔で一定の方向に延在する金属ワイヤ層と、
    少なくとも前記金属ワイヤ層の表面を被膜する、無機材料及び金属酸化物材料の少なくとも一方を含む第1被膜層と、
    少なくとも前記第1被膜層の表面を被膜する、フッ素含有組成からなる第2被膜層と、
    を具備することを特徴とするワイヤグリッド偏光板。
  2. 前記第1被膜層の表面の面積が、前記金属ワイヤ層の表面の面積よりも大きいことを特徴とする請求項1記載のワイヤグリッド偏光板。
  3. 前記第1被膜層が、前記金属ワイヤ層と、前記金属ワイヤと前記基材との境界部と、を同時に被膜することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のワイヤグリッド偏光板。
  4. 前記第2被膜層が、フッ素系シランカップリング剤、フッ素系アルミネートカップリング剤、及びフッ素系チタネートカップリング剤からなる群から選ばれる少なくとも一種のカップリング剤を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光板。
  5. 前記金属ワイヤ層が、前記基材の表面上に特定方向に延在する格子状凹凸形状を有する基材凸部の一方向側の側面に接し、前記基材凸部の頂部より上方に伸びるよう設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のワイヤグリッド偏光板。
  6. 基材と、前記基材の表面上に一定の間隔で一定の方向に延在する金属ワイヤ層と、を具備する積層体の表面に無機材料及び金属酸化物材料の少なくとも一方を含む第1被膜層をスパッタリング法により形成する工程と、
    前記第1被膜層表面の表面にフッ素含有組成からなる第2被膜層を湿式法により形成する工程と、
    を具備することを特徴とするワイヤグリッド偏光板の製造方法。
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