JP4814002B2 - 位相板の製造方法・光学素子および画像投射装置 - Google Patents

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Description

この発明は、位相板・光学素子および画像投射装置に関する。
光学素子の1種として知られる位相板は、互いに直交する偏光成分間に位相差を与える光学機能を持ち、種々の光学装置に用いられている。従来、位相板は、人造または天然の、ルチル、方解石、水晶など「複屈折性を示す一軸異方性結晶」を用いたものが知られているが、人造のものは「結晶を均一に成長させる」ことが難しく、天然の結晶は「光学的に均一で大きな形状のもの」が入手困難で高価である。また、このような「結晶材料を用いた位相板」は動作波長範囲が狭い。
近来「広帯域の波長範囲に対して機能できる位相板」として、サブ波長構造(SWS)による位相板が提案されている(特許文献1、2)。
サブ波長構造の光学作用に関しては非特許文献1等に説明がされている。また、サブ波長構造の形成方法の1例として非特許文献2記載のものが知られている。
特許文献1には、サブ波長構造を「ガラス基板の表面構造」として形成した位相板が開示されている。特許文献2には「平行平板を基板として平面状に格子構造を転写した位相板」が開示されているが、平行平板や格子構造を転写される部分の材質に関しては全く記載されていない。
非特許文献2には、サブ波長構造の形成方法として、樹脂バルク材を用いる熱式ナノインプリント方法が開示されている。この熱式ナノインプリント方法は、比較的容易にサブ波長構造を形成できるが、樹脂バルク材の1例としてPMMAを用いる場合を考えてみると、以下の如き問題がある。
即ち、サブ波長構造により「互いに直交する偏光成分に対して与えられる位相差」は、サブ波長構造のアスペクト比に比例的であるため、例えば1/2波長の位相差を実現するためにはアスペクト比が10近くなり、樹脂が型の奥まで十分に入りにくく、正確なサブ波長構造を形成することが困難である。
また、PMMAの樹脂バルクにエッチングでサブ波長構造を形成する場合にも、アスペクト比が大きいため、エッチング種が凹部の奥まで十分に入り込まず、形成される断面形状がテーパ状になり易い。即ち、サブ波長構造のピッチの微細さと高アスペクト比とは、トレードオフの関係にある。
特開2005− 44429号公報 特開2005−106901号公報 菊田久雄 構造性複屈折とその光学素子への応用 回折光学素子入門 (平成9年5月20日 第1版第1刷発行) p158−167 オプトロニクス社刊行 KONICA MINOLTA TECHNOLOGY REPORT VOL.2(2005) p97−100 「ナノインプリント技術を利用したサブ波長構造広帯域波長板の作製」
この発明は、上述したところに鑑み、製造が容易で、広い波長帯域において位相板として良好な光学特性(透過率、リタデーションが略一定している)を有する新規な位相板、新規な光学素子、これらを用いる新規な画像投射装置の提供を課題とする。
この発明の位相板は、以下の如きものである(請求項1)。
即ち、ガラス平板の少なくとも一方の面に、酸化チタンによる薄層が形成され、該薄層の表面に「ランドとスペースによる断面矩形波状の微細凹凸構造」がサブ波長構造として形成されている。即ち、サブ波長構造は1次元的であって、1方向に凹凸構造を有し、その断面形状が矩形波状である。矩形波状は勿論「近似的な矩形波形状」の意味である。「ランドとスペース」については後述するが、簡単に言えば、「ランド」は微細凹凸構造における凸部に相当する部分であり、「スペース」は微細凹凸構造の凹部に相当する部分である。
また、断面矩形波状の微細凹凸構造が「サブ波長構造として形成」されているとは、微細凹凸構造をなす矩形波形状のピッチが使用波長(位相板として用いられるときの光の波長)より小さいことを意味するが、この発明の位相板は、広い波長領域において一定した光学特性を持つものであることから、この場合の使用波長は「上記波長領域の下限値」を意味する。
酸化チタンによる薄層は「ガラス平板の少なくとも一方の面」に形成されるから、ガラス平板の片面のみに形成されてもよいし、両面に形成されてもよい。
ガラス平板は、両面が平行な「平行平板ガラス」でよいことは勿論であるが、断面が楔状の平板でもよい。
微細凹凸構造を特徴づけるパラメータとしてピッチ:Pやフリングファクタ:fがあるが、請求項1記載の位相板における「ランドの幅がスペースの幅より広い微細凹凸構造」は、微細凹凸構造のピッチ:P、フィリングファクタ:fが、条件:
(1) 0.1μm<P<0.4μm
(2) 0.5<f0.8
満足する
請求項1記載の位相板は、反射防止膜を形成されている。
この反射防止膜は、酸化チタンの屈折率よりも低い表面層を有する。
即ち、請求項1記載の位相板は「微細凹凸構造のランドの上のみに反射防止膜を形成された構成」である。「微細凹凸構造のランドの上のみに反射防止膜を形成された構成」とは、反射防止膜が「微細凹凸構造の凸部の頂部のみ」に形成された構成である。
請求項2記載の光学素子は「プリズム機能を持つ光学基体の平坦な面」に、請求項1記載の位相板を一体化してなる。
請求項3記載の画像投射装置は、光源からの光束を液晶表示素子に導光し、液晶表示素子の表示画像を投射レンズで表示面上に投射する画像投射装置であって、請求項1記載の位相板、及び/または、請求項2記載の光学素子が用いられたことを特徴とする。「表示面」は通常、スクリーンである。
請求項3記載の画像投射装置は、3原色に対応し各色の映像を個別に形成する3つの液晶表示素子と、これら各液晶表示素子から射出した各色の映像光を合成するクロスプリズムを有し、各液晶表示素子とクロスプリズムとの間の3光路の1以上に「1/2波長板相当の位相板」として、請求項1記載の位相板、または、請求項2記載の光学素子を配置した構成とすることができる(請求項4)。
請求項4記載の画像投射装置はまた、3原色に対応し各色の映像を個別に形成する3つの反射型液晶表示素子と、これら各反射型液晶表示素子から射出した各色の映像光を合成するクロスプリズムを有し、各反射型液晶表示素子とクロスプリズムとの間の3光路の1以上に「1/4波長板相当の位相板」として、請求項1記載の位相板、または、請求項2記載の光学素子を配置した構成とすることができる(請求項5)
薄膜を形成する「酸化チタン(TiO2)」は、後述のように、2以上の屈折率を有する。
酸化チタン(TiO2)は、スパッタリングや蒸着等の成膜技術で薄層を形成する。
「酸化チタン(TiO2)による薄層」は200℃以上の耐熱性があり、高温環境で使用する位相板や光学素子の薄層として適している。
なお、ランドとスペースによる微細凹凸構造は、例えば、薄層の上に「電子ビームの走査により潜像の形成されるレジスト層」を形成し、このレジストに「微細凹凸構造に対応するパターン」を電子ビームにより描画して潜像を形成し、これを現像して「微細凹凸構造に対応するレジストパターン」を得、このレジストパターンをマスクとしてRIE(反応性イオンエッチング)等のエッチングで「薄層を所望の溝深さにエッチングする」ことによって形成することができる。
上に説明したように、この発明の位相板や光学素子は、サブ波長構造として構成される薄層が「屈折率:2以上の酸化チタンで」構成されるため、透過光に与えられる位相差を大きくしても、微細凹凸構造のアスペクト比が過大にならず、製造容易である。特に、平行平板状のガラス平板の両面に「酸化チタンにより微細凹凸構造を有する薄層」を形成する場合、各面の薄層に形成する微細凹凸構造のアスペクト比は、片面にのみ形成する場合よりも更に小さくすることができる。
後述する実施例のように、この発明の位相板や光学素子における薄層は、広い波長領域にわたって、透過率やリタデーションが一定している。
この発明の光学素子は、光学基体自体がプリズム機能を有するが、これらの光学機能と位相板としての機能とを組み合わせて複合的な光学機能を実現できる。
この発明の位相板や光学素子を用いることにより、良好な画像投射機能を持った画像投射装置を実現できる。
以下、発明の実施の形態を説明する。
図1は、位相板を説明するための図である。
この位相板は、図1(a)に示すように、平行平板状のガラス平板11の両面に薄層12a、12bが形成された構成となっている。
薄層12a、12bは酸化チタンにより形成され、その表面形状として「ランドとスペースによる断面矩形波状の微細凹凸構造」がサブ波長構造として形成されている。
ここで、以下の説明のため、図1(b)を参照して用語を説明する。
図1(b)は薄層に形成された「断面矩形波状の微細凹凸構造」を説明図的に示している。微細凹凸構造の凹凸は断面形状が「矩形波形状」であり、このような矩形波状の凹凸が、図面に直交する方向へ均一な断面形状で形成されている。従って、微細凹凸構造における凸部は図面に直交する方向に長い「凸条」をなし、凹部は図面に直交する方向に長い「凹条」をなす。凸条をなす凸部を「ランド」と呼び、凹条をなす凹部を「スペース」と呼ぶのである。
断面矩形波状の微細凹凸構造のピッチ:Pは、図に示すように、1対をなすランドとスペースのランドの幅(以下、図示の如く「ランド幅」という。):aとスペースの幅(以下、図示の如く「スペース幅」という。):bの和:(a+b)である。また、スペース底部に対するランドの高さを「溝深さ:H」とする。
このとき、フィリングファクタは「a/P」、アスペクト比は「H/a」である。即ち「フィリングファクタが大きい」ことは、ピッチ:Pに占めるランド幅:aが大きい(スペース幅:bが小さい)ことを意味し、「アスペクト比が大きい」ほど、ランド幅:aに対する溝深さ:Hが大きい。アスペクト比は、微細凹凸構造形成の容易さの観点から「10よりも小さい」こと、より好ましくは、5程度以下が良い。
非特許文献1、2等により知られたように、微細凹凸構造がサブ波長構造であると、そのピッチよりも大きい波長の光は回折せず「0次光」としてそのまま透過する(このときの透過率を「0次透過率」と呼ぶ。)が、入射光に対して複屈折性を示す。
即ち、図1(c)に示すように、微細凹凸構造へ「空気領域から入射」する入射光において、微細凹凸構造の周期方向(図の左右方向)に平行に振動する偏光成分:TM、ランド長手方向(図面に直交する方向)に平行に振動する偏光成分:TEに対し、微細凹凸構造は「屈折率が異なる媒質」のように作用する。
微細凹凸構造の部分における有効屈折率を、偏光成分:TMにつきn(TM)、偏光成分:TEについてn(TE)とすると、これらの有効屈折率は、微細凹凸構造が形成された薄層の材料の屈折率:n、微細凹凸構造のフィリングファクタ:fを用いて以下のように表される。
n(TE)=√{fn+(1−f)} (1)
n(TM)=√[n/{f+(1−f)n}] (2)
このため、透過光における偏光成分:TMに対し、偏光成分:TEは、図1(c)に示すように位相が「δ」だけ遅れることになる。
即ち、溝深さ:Hを用いると、微細凹凸構造の「光学的厚さ」は、偏光成分:TMに対して「H・n(TM)」、偏光成分:TEに対して「H・n(TE)」であるので、これら光学的厚さの差:H{n(TE)−n(TM)}に応じて「位相遅れ:δ」が生ずる。この「位相遅れ:δ」が「リタデーション」である。
光学的厚さの差:H{n(TE)−n(TM)}をDとし、波長をλとすると、δ=2πD/λであるが、微細凹凸構造においては「波長:λの広い領域にわたって、略一定のリタデーション」が得られる。
n(TE)、n(TM)は、薄層の材料の屈折率:nと、フィリングファクタ:fにより決定され、リタデーション:δは、屈折率:n、フィリングファクタ:f、溝深さ:Hにより定まるから、結局、リタデーションは薄層の材料(nが定まる。)と微細凹凸構造の形態(フィリングファクタ:fと溝深さ:Hが定まる。)を調整することにより所望のものを得ることができる。
図1(a)に示す実施の形態のように、ガラス平板11の両面に微細凹凸構造が形成されている場合、微細凹凸構造12aによるリタデーションを「δ1」、微細凹凸構造12bによるリタデーション「δ2」とすれば、位相板としてのリタデーションは「δ1+δ2」となる。
従って、図1(a)に示す位相板の場合には、リタデーション:δ1+δ2を調整することにより、偏光成分:TM、TEに対する位相差を、例えば「πやπ/2」に設定でき、各種波長板を実現できる。
図2は、薄層に形成された微細凹凸構造により「所望のリタデーション(例えば「π/2」)」を実現するための「薄層材料の屈折率とアスペクト比との関係」を示している。所望のリタデーションを実現するのに「薄層材料の屈折率:nが小さいほど、アスペクト比を大きくする必要がある」ことが分かる。
微細凹凸構造形成の容易性から前述の如くアスペクト比を10以下とすると、薄層材料の屈折率は1.6以上であること必要である。即ち、薄層材料の屈折率を1.6以上とするのは、アスペクト比を10以下とし、微細凹凸構造の形成を容易にする(所望のピッチ:P、フィリングファクタ:f、溝深さ:Hをもった微細凹凸構造を確実に形成できる)ための条件である。
図2に示す場合において、アスペクト比を「より好ましい5程度以下」とするには、屈折率:2.0以上の薄層材料が必要である。
図3は、薄層材料の屈折率:nとフィリングファクタ:fとをパラメータとし、溝深さH(横軸:μm単位)とリタデーション:δ(縦軸:波長単位)との関係を示している。溝深さ:Hの増大と共にリタデーション:δが線形に増加することがわかる。
これは、微細凹凸構造の「光学的厚さ」の、偏光成分:TM、TEに対する差:H{n(TE)−n(TM)}が溝深さ:Hの1次関数であることによる。
図4は、微細凹凸構造のピッチ:Pをパラメータとしたときの、「微細凹凸構造への入射光の偏光方向(単位:度)」と「0次透過率」との関係を示している。このときの薄層材料の屈折率:n=2.25である。
微細凹凸構造を有する光学素子としての位相板を光学特性の面から見ると、0次透過率が大きく「入射光の偏光方向に対する依存性が小さい」ことが好ましい。このような、光学機能としての好ましい特性を「入射光の偏光方向の範囲:−180度〜+180度の範囲において、0次透過率:0.8以上」としてみると、図4から、ピッチは0.4以下であるべきことが分かる。
図5は、薄層材料の屈折率:n=2.29(波長:420nm)、2.23(波長:470nm)、2.20(波長:520nm)、2.17(波長:570nm)、2.16(波長:620nm)、2.14(波長:700nm)とし、微細凹凸構造における溝深さ:H=1μm、フィリングファクタ:f=0.7において、ピッチ:Pをパラメータとして変化させたとき、リタデーション:δが波長と共にどのように変化するかを示す図である。広い波長領域でリタデーションが安定した位相板であるためには、横軸の波長範囲において「リタデーションの変化が小さく略一定」であることが望まれる。
この条件を満足するのは、パラメータであるピッチ:Pが0.2〜0.4の範囲にある場合である。
従って、先に述べた、ピッチ:Pとフィリングファクタ:fに対する条件(1)を満足することにより「広い波長範囲で略一定したリタデーションを有する位相板」が得られることが分かる。
図6は、屈折率:n=2.29(波長:420nm)、2.23(波長:470nm)、2.20(波長:520nm)、2.17(波長:570nm)、2.16(波長:620nm)、2.14(波長:700nm)の薄層に、ピッチ:P=0.3μm、溝深さ:H=1μmで形成された微細凹凸構造に入射させる光の波長:λをパラメータとし、420nm、470nm、520nmに変化させたとき(図6(a))、520nm、570nm、620nmに変化させたとき、および(図6(b))と620nm、700nmに変化させたとき(図6(c))の、フィリングファクタ(横軸)とリタデーション(波長単位 縦軸)の関係を示している。
使用波長の領域を420nm〜700nmとした場合を想定し、この波長領域の入射光に対して略同一と見做し得るリタデーション(リタデーション変動:Δδ<±10%)を得るには、フィリングファクタの範囲として、0.5〜0.8の範囲(図6(a)〜図6(c)において破線で囲った範囲)が好適である。即ち、
0.5<f≦0.8
であり、これが条件(2)の意義である。
条件(1)、(2)を満足することにより、入射光の偏光方向の範囲:±180度、0次透過率:80%で、リタデーション変動:Δδ<±10%の位相板を実現できる。
この発明の位相板における薄層の材料である酸化チタン屈折率が高い。このため、微細凹凸構造に接する空気との屈折率差が大きいため、薄層表面での反射が大きくなりやすい。
従って、微細凹凸構造の上に反射防止膜を形成することにより、薄層表面での反射を抑えることが好ましい。
図7は、このように反射防止膜を形成した実施の形態を説明するための図である。
図7(a)に示す薄層70は、屈折率:n=2.25の材料で形成され、微細凹凸構造はピッチ:P=0.22μm、溝深さ:H=1.086μm、フィリングファクタ:f=0.7のものである。微細凹凸構造70の上、即ち、微細凹凸構造70のランドの上とスペースの底部に反射防止膜71が形成されている。
反射防止膜71は4層構造であり、図7(b)に示されたように、薄層側から数えて第1層が屈折率:2.35、厚さ:76nmの「高屈折率層」、第2層が屈折率:1.46、厚さ:7nmの「低屈折率層」、第3層が屈折率:2.35、厚さ:18nmの「高屈折率層」、第4層が屈折率:1.46、厚さ:78nmの「低屈折率層」である。
図16(a)は、反射防止膜を形成しない場合の偏光成分:TE(図16において「TE方向」)の0次透過率である。「R」は赤色波長領域、「G」は緑色波長領域、「B」は青色波長領域である。凡例に示すとおり、入射角を0度、5度、10度、15度としている。入射角:0度のときには、波長:480nm以下では「0次透過率が80%以下」になってしまっている。図16(b)は偏光成分:TM(図16において「TM方向」)の0次透過率である。
図16(a)、(b)の各場合につき、微細凹凸構造の上に上記図7(b)に構成を示す反射防止膜(図において「ARコート」)を形成した場合の、偏光成分:TEの0次透過率を図16(c)に、偏光成分:TMの0次透過率を16(d)に示す。
図16(c)、(d)に示すように、0次透過率は偏光成分:TE、TMとも、波長:420nmから波長:700nmの範囲(B〜Rの波長領域)で88%以上となる。
なお、図16(a)、(b)では、符号R、G、Bで示す、各色波長領域の各短波長側に、0次透過率が低下する場合が「ひげ状」に存在するが、この部分は「1次回折光」により0次透過率が低下している箇所である。0次透過率の低下する「ひげ状の部分」は、図16(c)でも、B、Gの波長領域の各短波長側に存在し、図16(d)でも、Bの波長領域の短波長側に若干存在するが、このような「1次回折光が発生してない領域」については、図16(c)、(d)において「略99%以上の高0次透過率」を確保できている。
図16(c)、(d)は、反射防止膜を、図7に示すように微細工凸構造のランドとスペースとに設けた場合であるが、反射防止膜を「ランドの上のみ」に設けることによっても上記と同様の効果を得ることができる。
即ち、図17(c)、(d)は、上に説明したのと同じ反射防止膜を、ランドの上のみに形成した場合における偏光成分:TE、TM(図17においてTE方向、TM方向)の0次透過率を示す図で、図17(a)、(b)は図16(c)、(d)と同一である。
図17の(a)と(c)、(b)と(d)とを比較すれば明らかなように、偏光成分:TE、TMの0次透過率は、反射防止膜をランドの上のみに形成した場合でも(反射防止膜をランドとスペースに形成した場合に比して、やや劣るが)88%以上の0次透過率を確保できている。
図18は「反射防止膜を形成することによる位相差への影響」を説明するための図である。図18(a)は「微細凹凸構造」を説明図的に示す図である。ピッチ:P=0.2μm、フィリングファクタ:f=0.8、溝深さ:H=0.3μm、屈折率:2.15の構造とした場合であり、波長:λ=660nmの光を入射させたときに発生するリタデーションは0.11λである。
図18(b)は反射防止膜を説明する図であり、屈折率:2.15の平行平板の表面に、図の如く、空気側から屈折率:1.4で厚さ:100nmの第1層、屈折率:2.3で厚さ:30nmの第2層、屈折率:1.4で厚さ:10nmの第3層、屈折率:2.3で厚さ:80nmの第4層からなる4層構造で、ピッチ:P=0.2μm、フィリングファクタ:f=0.8の反射防止膜を形成した状態を示す。この反射防止膜に波長:λ=660nmの光を入射させたときに発生するリタデーションは0.02λである。
図18(c)は、図18(a)に示した微細凹凸構造のランドの上のみに(b)に即して説明した4層構造の反射防止膜を形成した場合であり、このとき上記と同様に波長:λ=660nmの光を入射させた場合のリタデーションは0.19λとなる。
図18(d)は、図18(a)に示す微細凹凸構造のランドとスペースとに、18(b)に即して説明した4層構造の反射防止膜を形成した場合であり、波長:λ=660nmの光を入射させた場合のリタデーションは0.12λである。ランドとスペースとに反射防止膜を形成する図18(d)の場合に比して、ランドの上のみに反射防止膜を形成する図18(c)の場合の方が、リタデーションを大きくすることが可能である。
このように、反射防止膜はランドの上にのみ形成しても反射防止機能が発現し、高0次透過率を確保しつつ、リタデーションを大きくすることが可能である。なお、このような「ランドの上のみに反射防止機能を形成する構成」は、非特許文献1や2に掲載されている他のサブ波長構造の素子(偏光選択性の回折素子や、ある特定の波長域のみ光を透過させるフィルタなど)に関しても同様に反射防止機能を確保することが可能である。
また、ランドの上のみに反射防止機能を形成する方法としては、上記の「高屈折率の薄層」で微細凹凸構造を形成したのちに、スペースに一旦「仮の部材」を充填して反射防止膜を蒸着し、その後「充填した部材とともにスペース上の仮の部材に蒸着されている反射防止膜」を除去する方法などを用いればよい。
以下、画像投射装置の実施の形態を説明する。
図8は、画像投射装置の実施の1形態を示し、3原色に対応する各色の映像を個別に形成する3つの液晶表示素子110、111、112と、これら各液晶表示素子から射出した各色の映像光を合成するクロスプリズム113を有し、各液晶表示素子とクロスプリズム113との間の3光路に、1/2波長板相当の位相板116、117、118を有している。
白色光源101から放射された白色光はリフレクタ102により反射され、ダイクロイックミラー103に入射する。ダイクロイックミラー103は、青色波長以下の光を透過させ、青色波長より長い波長の光を反射する。従って、ダイクロイックミラー103に入射する白色光の内、青色成分はダイクロイックミラー103を透過し、緑色成分と赤色成分はダイクロイックミラー103により反射されてダイクロイックミラー104に入射する。
ダイクロイックミラー104は赤色波長以上の波長の光を透過させ、赤色波長より短い波長の光を反射する。従って、ダイクロイックミラー104に入射した光のうち、緑色成分はダイクロイックミラー104に反射され、赤色成分はダイクロイックミラー104を透過する。このようにして、ダイクロイックミラー103、104により白色光源101からの白色光が、赤、緑、青の3原色の成分光に色分解される。
ダイクロイックミラー103を透過した「青色成分光」は、ミラー105により反射され、液晶表示素子110に入射し、ダイクロイックミラー104に反射された「緑色成分光」は、液晶表示素子111に入射する。また、ダイクロイックミラー104を透過した「赤色成分光」は、リレーレンズ108、ミラー106、リレーレンズ109、ミラー107により構成される光路を辿って液晶表示素子112に入射する。リレーレンズ108と109とは、赤色成分光の光路長補正を行う。
液晶表示素子110、111、112は「液晶層を1対の偏光子で挟持」してなり、液晶層を挟持する1対の偏光子は互いに偏光方向を直交させている。
各色成分光は、対応する液晶表示素子の入射側偏光子を透過すると直線偏光となって液晶層に入射する。液晶表示素子110、111、112にはそれぞれ、青色画像、緑色画像、赤色画像を表示するように画像信号が印加され、「投射すべき映像の画素」の位置の液晶層を透過する光は偏光面が90度旋回し、射出側偏光子と同じ偏光方向になって射出側偏光子を透過する。
このようにして、液晶表示素子110からは「青色画像に応じて2次元的に強度変調された青色成分光(以下「青色映像光」という。)」が射出する。同様に、液晶表示素子111からは「緑色画像に応じて2次元的に強度変調された緑色成分光(以下「緑色映像光」という。)」が射出し、液晶表示素子112からは「赤色画像に応じて2次元的に強度変調された赤色成分光(以下「赤色映像光」という。)」が射出する。即ち、液晶表示素子110、111、112は、3原色(青、緑、青)に対応する映像を個別に形成する。
これら各液晶表示素子から射出した各色映像光は、その偏光方向が図面の面内に平行な方向となっている。
液晶表示素子110から射出した青色映像光は位相板116に入射し、液晶表示素子111、112からそれぞれ射出した緑色映像光、赤色映像光は、それぞれ位相板117、118に入射する。
位相板116、117、118は「1/2波長板相当」であって、透過する光の直交2成分に対して1/2波長分の位相差を与える。これら位相板に入射する各色映像光は、上記の如く図面に平行な面内に偏光しているから、透過光はその偏光面が入射時の方向から90度旋回し、図面に直交する方向に偏光した光束となって、クロスプリズム113に、それぞれ対応する面から入射する。
クロスプリズム113は、図面に直交する方向からみた断面形状が正方形となる光透過性素材による直方体であり、互いに直交する反射面113a,113bを有している。反射面113aは「青色波長以下の波長の光を反射し、青色波長より長い波長の光を透過するダイクロイックミラー」となっており、反射面113bは「赤色波長以上の波長の光を反射し、赤色波長より短い波長の光を透過するダイクロイックミラー」となっている。
反射面113a、113bは、その「反射光の偏光軸」について方向性を有する。反射面113aは、青色波長以下の光のうち図面に直交する偏光成分の光(青色映像光)を良好に反射させるが、図面に直交する偏光成分の緑色映像光・赤色映像光は良好に透過させる。反射面113bは、図面に直交する偏光成分の赤色映像光を良好に反射させ、図面に直交する偏光成分の青色映像光と緑色映像光は良好に透過させる。
クロスプリズム113に入射する各色映像光のうち、青色映像光は反射面113aに反射され、赤色映像光は反射面113bに反射され、緑色映像光は反射面113a、113bを透過し、いずれも同一の方向となり、色合成されてクロスプリズム113から射出する。射出した光束は投射レンズ114に入射し、投射レンズ114により「表示面」であるスクリーン115上に拡大投射されて投射映像を表示する。
図9は、図8に示した実施の形態の変形例である。繁雑を避けるため、混同の恐れが無いと思われるものについては図8におけると同一の符号を付し、これらについての説明は図8に関する説明を援用する。
図9の画像投射装置は、図8の画像投射装置に対し、白色光源101とダイクロイックミラー103との間に、均一照明手段201(オプチカルインテグレータ)と偏光変換素子202とを付加したものである。
「オプチカルインテグレータ」である均一照明手段201は、液晶表示素子への照射光の光量を略均一にする手段であり、例えばフライアイレンズ、ロッドレンズ、矩形レンズアレイ等から成る公知のものを適宜利用できる。
偏光変換素子202は、白色光源101からの光を有効に使い、スクリーン上の投射映像を明るくするために液晶表示素子へ入射する光の偏光方向を揃えるのに用いられる。
液晶表示素子110、111、112は、液晶の持つ偏光特性を利用しており、高いコントラストを実現できるが、1対の偏光子で液晶を挟持しているため、図8に示した実施の形態におけるように「各液晶表示素子に入射する照射光が自然偏光状態である」と、各液晶表示素子の「入射側偏光子」を透過する際に、照明光量の1/2が遮断されてしまうことになり、光の利用効率が悪い。
偏光変換素子202は、光源側からの照明光の偏光状態を「照明光の光強度を略保存しつつ、自然偏光状態から直線偏光状態」に変換するものである。このようにして直線偏光化された照明光の偏光方向を、液晶表示素子における入射側偏光子の偏光方向と揃えれば、光源側からの照明光の略100%を投射画像の表示に利用することができる。
図10は、光源からの白色光束が均一照明手段201により均一化され、偏光変換手段202により偏光状態を変換される状態を説明するための図である。
光源側からの白色光束は「1対の集光レンズアレイ(フライアイレンズアレイ)を対向配置して構成」した公知の均一照明手段201を透過して、偏光変換手段202に入射する。
偏光変換手段202は、請求項11記載の光学素子に対する実施の1形態をなすものであり、光学基体202Aと、位相板部分202Bとを有している。
図10(a)に示すように、光学基体202Aの部分は、照明光の光軸に対して45度傾いた偏光分離面2021と反射面2022とを交互に有する。
偏光分離面2021は、入射光を偏光面が互いに直交する反射光S(以下「S成分」という。)と透過光P(以下「P成分」という。)とに分割する。反射面2022は、S成分を反射してP成分の進行方向と略同じ方向に向ける。
偏光分離面2021と反射面2022の組み合わせを1ユニットとし、このようなユニットの複数ユニットが、照明光の透過領域に渡って設けられて所謂「偏光プリズムレンズアレイ」をなし、アレイを構成する個々の偏光プリズムごとに、透過する照明光をS成分とP成分に分ける。
位相板部分202Bは、光学基体202Aから射出するS成分の偏光面を90度旋回させ、P成分の偏光方向に揃える。このようにして、偏光方向が揃った直線偏光の照明光が得られる。この照明光の偏光方向は勿論「各液晶表示素子の入射側偏光子の偏光方向」と同じである。
図10(b)は位相板部分202Bの部分を説明する図である。位相板部分202Bは、ガラス平板202B1の片面に形成された「屈折率:1.6以上の材料」による薄層202B2の表面に、断面矩形波状の微細凹凸構造2021B、2022B、2023B等がサブ波長構造として形成され、各微細凹凸構造2021B等は「2/1波長板相当の位相板」としての機能を付与されている。ガラス平板202B1は光学基体202Aにおける「方向の揃った照明光が射出する側の面」に一体化され、微細凹凸構造2021B等は「S成分が射出する部分」に形成されている。なお、位相板部分202Bと光学基体202Aとの接合は、薄層202B2を光学基体202Aの側としてもよく、このようにすると、微細凹凸構造をガラス平板202B1により良好に保護することができる。
またガラス平板202B1を用いず、薄層202B2を光学基体202Aに直接形成してもよい。
図11は、請求項14記載の画像投射装置の実施の1形態を説明するための図である。繁雑を避けるため、混同の恐れがないと思われるものについては図8におけると同一の符号を付した。
白色光源101から放射される白色光はリフレクタ102により反射され、ダイクロイックミラー103に入射すると、青色成分光が分離されてダイクロイックミラー103を透過し、緑色成分光と赤色成分光は反射されてダイクロイックミラー104に入射する。
緑色成分光はダイクロイックミラー104により反射され、赤色成分光はダイクロイックミラー104を透過する。このようにして、白色光が青、緑、赤の3原色に色分解される。青色成分光はミラー105により反射され、偏光ビームスプリッタ301に入射し、S偏光成分が反射され、1/4波長板相当の位相板307を介して反射型液晶表示素子304に入射する。
緑色成分光は、偏光ビームスプリッタ302に入射し、S偏光成分が反射され、1/4波長板相当の位相板308を介して反射型液晶表示素子305に入射する。赤色成分光は偏光ビームスプリッタ303に入射し、S偏光成分が反射され、1/4波長板相当の位相板309を介して反射型液晶表示素子306に入射する。
各色成分光は対応する位相板を透過することにより円偏光となって、対応する反射型液晶表示素子に入射する。各反射型液晶表示素子304、305、306は、画像信号により反射光を変調し、変調された映像光を入射時と逆周りの円偏光とする。これらは、位相板307、308、309を透過することにより、往路の状態から偏光面が90度旋回し、対応する偏光ビームスプリッタ301、302、303に対してP偏光成分となり、偏光ビームスプリッタ301、302、303を透過してクロスプリズム113に入射し、図8の実施の形態と同様にして色合成されてクロスプリズム313から射出し、投射レンズ114によってスクリーン115にカラー映像として拡大投射される。このようにして、スクリーン115には画像が表示される。
勿論、図11の実施の形態においても、図9の実施の形態と同様、白色光源101とダイクロイックミラー103との間に、均一照明手段201(オプチカルインテグレータ)と偏光変換素子202とを付加することにより、光利用効率を増大させることができる。
「具体例1」
図8、図9に示した画像投射装置の実施の形態における位相板116、117、118の具体的な実施例を挙げる。
位相板116、117、118は何れも、厚さ:1.0mm、屈折率:1.45の平行平板状の石英ガラスを「ガラス平板」とし、その両面に「屈折率:1.6以上の材料」として「TiO(屈折率:2.25)」を用い、厚さ:1μmの薄層をスパッタリングで形成し、これらの薄層の表面に断面矩形波状の微細凹凸構造をサブ波長構造として形成したものである。
微細凹凸構造は、薄層の上に「電子ビームの走査により潜像の形成されるレジスト層」を形成し、このレジストに微細凹凸構造に対応するパターンを電子ビームにより描画して潜像を形成し、これを現像して「微細凹凸構造に対応するレジストパターン」を得、このレジストパターンをマスクとしてRIE(反応性イオンエッチング)で薄層を所望の溝深さにエッチングすることによって形成した。
各位相板の仕様と特性は以下のとおりである。
位相板116(青色映像光に対する1/2波長板相当の位相板)
薄層表面の微細凹凸構造
ピッチ:P=0.20μm
フィリングファクタ:f=0.6
ランドの幅:a=0.120μm
スペースの幅:b=0.080μm
溝深さ:H=0.380μm
光学特性
使用波長:420〜520nm
リタデーション:50±3%(50%は位相差:π)
0次透過率:0.88±7%(偏光成分:TE)
0.93±7%(偏光成分:TM) 。
位相板117(緑色映像光に対する1/2波長板相当の位相板)
薄層表面の微細凹凸構造
ピッチ:P=0.22μm
フィリングファクタ:f=0.7
ランドの幅:a=0.154μm
スペースの幅:b=0.066μm
溝深さ:H=0.543μm
光学特性
使用波長:520〜620nm
リタデーション:50±3%(50%は位相差:π)
0次透過率:0.88±9%(偏光成分:TE)
0.93±5%(偏光成分:TM) 。
位相板118(赤色映像光に対する1/2波長板相当の位相板)
薄層表面の微細凹凸構造
ピッチ:P=0.30μm
フィリングファクタ:f=0.5
ランドの幅:a=0.150μm
スペースの幅:b=0.150μm
溝深さ:H=0.475μm
光学特性
使用波長:620〜700nm
リタデーション:50±4%(50%は位相差:π)
0次透過率:0.88±5%(偏光成分:TE)
0.93±4%(偏光成分:TM) 。
この実施例1における各位相板116、117、118の「リタデーション特性」を図12示す。3原色(青(B):420〜520nm、緑(G):520〜620nm、赤(R):620〜700nm)の各波長領域で、安定したリタデーションを確保できている。
位相板116、117、118の「0次透過率」を図13に示す。上記3原色の範囲で80%以上の0次透過率を確保できている。図14は、上記各位相板におけるリタデーションの、入射角:0の場合と10度の場合の様子を示す。また、図15は上記各位相板について、0次透過率が入射角とともにどのように変化するかを示している。
位相板116、117、118のように、液晶表示素子の直後に配置されるような場合、入射角の変化は±10度程度を見積もればよく、その範囲においては各特性ともに安定した性能である。
なお、実施例1では、位相板における薄層をガラス平板の両面に形成しているが、薄層をガラス平板の片面のみに形成し、この薄層に形成する微細凹凸形状の溝深さ:Hを、実施例1の場合の2倍(両面の薄層の、溝深さの和)としてもよい。
また、実施例1において形成された平板ガラス両面の薄層のうち、片面側の薄層を省略すれば、位相板は「1/4波長板相当」となり、図11の実施の形態における位相板307,308、309として用いることができる。
なお、図8、図9の実施の形態では、3色いずれに対しても偏光軸の90度回転を必要とする場合を示しているが、3原色のいずれか1に対してのみ1/2波長板相当の位相板を必要とするような構成も可能である。
位相板を説明するための図である。 薄層材料の屈折率とアスペクト比の関係を説明するための図である。 溝深さとリタデーションとの関係を説明するための図である。 微細凹凸構造への入射光の偏光方向と0次透過率との関係を説明するための図である。 微細凹凸構造のピッチをパラメータとして、リタデーションが波長と共にどのように変化するかを示す図である。 フィリングファクタとリタデーションの関係を示す図である。 反射防止膜を形成した実施の形態を説明するための図である。 画像投射装置の実施の1形態を説明するための図である。 画像投射装置の実施の別形態を説明するための図である。 偏光変換素子を説明するための図である。 画像形成装置の実施の他の形態を説明するための図である。 具体例1の各位相板のリタデーションの波長依存性を示す図である。 具体例1の各位相板の0次透過率の波長依存性を示す図である。 具体例1の各位相板のリタデーション特性の入射角依存性を示す図である。 具体例1の各位相板の0次透過率の入射角依存性を示す図である。 反射防止膜による効果を説明するための図である。 反射防止膜をランドのみに形成する場合の効果を説明するための図である。 反射防止膜のリタデーションに対する作用を説明するための図である。
符号の説明
11 ガラス平板
12a 薄層
12b 薄層

Claims (5)

  1. ガラス平板の少なくとも一方の面に、酸化チタンによる薄層が形成され、上記薄層の表
    面に、ランドとスペースによる断面矩形波状の微細凹凸構造がサブ波長構造として形成さ
    れ、
    上記微細凹凸構造のピッチ:P、フィリングファクタ:fが、条件
    (1) 0.1μm<P<0.4μm
    (2) 0.5<f≦0.8
    を満足し、且つ、上記微細凹凸構造のランドの上のみに反射防止膜が形成され、
    該反射防止膜が、上記酸化チタンの屈折率よりも低い表面層を有することを特徴とする位相板。
  2. プリズム機能を持つ光学基体の平坦な面に、請求項1記載の位相板を一体化してなる光
    学素子。
  3. 光源からの光束を液晶表示素子に導光し、該液晶表示素子の表示画像を投射レンズで表
    示面上に投射する画像投射装置において、
    請求項1記載の位相板、及び/または、請求項2記載の光学素子が用いられたことを特
    徴とする画像投射装置。
  4. 請求項3記載の画像投射装置において、
    3原色に対応し各色の映像を個別に形成する3つの液晶表示素子と、
    各液晶表示素子から射出した各色の映像光を合成するクロスプリズムを有し、
    上記各液晶表示素子と上記クロスプリズムとの間の3光路の1以上に、1/2波長板相
    当の位相板として、請求項1記載の位相板または請求項2記載の光学素子を配置したこと
    を特徴とする画像投射装置。
  5. 請求項4記載の画像投射装置において、
    3原色に対応し各色の映像を個別に形成する3つの反射型液晶表示素子と、
    各反射型液晶表示素子から射出した各色の映像光を合成するクロスプリズムを有し、
    上記各反射型液晶表示素子と上記クロスプリズムとの間の3光路の1以上に、1/4波
    長板相当の位相板として、請求項1記載の位相板または請求項2記載の光学素子を配置したことを特徴とする画像投射装置。
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