JP5313725B2 - 1/4波長板 - Google Patents

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Description

この発明は1/4波長板に関する。
情報記録媒体としての光ディスクは、コンパクトディスク(以下「CD」と略記する。)、デジタル・バーサタイル・ディスク(以下「DVD」と略記する。)が広く普及し、近来、ブルーレイディスク(以下「BD」と略記する。)も普及しつつある。
光ディスクに対する情報の記録や再生を行なう光ピックアップ装置として、従来から、CDとDVDとに対して使用可能な光ピックアップ装置が知られている(特許文献1、2等)。
このようにCDやDVDに共通して使用可能な光ピックアップ装置において、対物レンズ等を共用して装置をコンパクト化することが行なわれるが、光ディスクからの戻り光の検出に必要な1/4波長板を「異なる光ディスク用に共用する」ことにより、装置のコンパクト性を一段と高めることができる。
CDとDVDとに共用できる1/4波長板は、従来から知られ、市販の機器においても使用されている。
CDに対して情報の記録や再生を行なうのには波長:785nmの光が用いられ、DVDに対しては波長:660nmの光が用いられる。これら2波長の光に対して1/4波長分の位相差を与える「2波長共用1/4波長板」は、実際には「1/4波長に近い位相差を与えるもの」であり、厳密に両波長に対して1/4波長分の位相差を与えるものではない。
上記2波長の光に対して「共に1/4波長分の位相差」を与える2波長共用1/4波長板は、その製造が不可能ではないまでもコストが嵩み、実用的とは言いがたい。従来、実際に使用されている「2波長共用1/4波長板」では、2波長に与える位相差の差(以下「位相差隔差」という。)」が大きいものであることが多い。
例えば、石英板を貼り合わせた2波長共用1/4波長板の場合で、波長:660nmに対する位相差を1(=0.25)と規格化したとき、波長:785nmの光に対しては0.8±0.1(=0.225〜0.175)であり、位相差隔差は0.025〜0.075にもなる。
位相差隔差が例えば0.075程度あったとしても、2波長共用1/4波長板としての実使用は十分に可能であるが、所望の機能を実現するためには「取り付け位置精度」等に厳しい条件が要求され、例えば、2波長共用1/4波長板の取り付け等に必要な部品の点数が多くなったりする。
また、上記785nmと660nmの2波長に加え、BDに用いられる波長:405nmの光に対しても実質的に1/4波長板として機能する「3波長共用1/4波長板」の実現はきわめて困難であるとされている。
この発明は上述したところの鑑み、波長:660nmと波長:785nmの光に対して共用でき、上記両波長に対する位相差隔差:0.01以下を実現できる1/4波長板の実現を課題とする。
この発明はまた、上記2波長とともに波長:405nmの光に対しても共用できる3波長共用可能な1/4波長板の実現を課題とする。
請求項1記載の1/4波長板は「入射面もしくは射出面に、1次元格子状のサブ波長周期構造を有し、このサブ波長周期構造が、2つの基準波長:785nmおよび660nmの入射光に対して、実施的に1/4波長分の位相差を付与する1/4波長板」であり、以下の点を特徴とする。
即ち、サブ波長周期構造のピッチ方向の断面形状における凸部の光学的断面積:Stと、凹部の光学的断面積:Soとの比:St/Soが、条件:
(2) 22.6>St/So> 5
を満足する。
「光学的断面積」の定義は後述する。
上記の条件(2)が満足され、2つの基準波長:785nmおよび660nmの入射光に対して付与される位相差の差(前記位相差隔差)が0.01以下である。
請求項1記載の1/4波長板は「基準波長の光を透過させる基板の、入射側もしくは射出側の平坦な面に、基板と異なる屈折率を有する1以上の材質による1以上の層が積層形成されてサブ波長構造形成層をなし、サブ波長周期構造が、サブ波長構造形成層に形成されている」構成とすることができる(請求項2)。
請求項1または2記載の1/4波長板は「サブ波長周期構造のピッチ方向の断面形状における凸部の断面形状が、底部から離れるに従い幅が狭くなる台形形状である」構成とすることができる(請求項3)。
また、請求項1または2記載の1/4波長板は「サブ波長周期構造のピッチ方向の断面形状における凸部の断面形状が、底部から離れるに従い幅が広くなる逆台形形状である」構成とすることができる(請求項4)。
請求項1〜4の任意の1に記載の1/4波長板は「サブ波長周期構造の凸部の最頂面部として反射防止膜が、凸部の一部として形成されている」構成であることができる(請求項5)。
請求項5記載の1/4波長板は「サブ波長周期構造が、Taの凸状部分とSiOによる反射防止膜により構成されている」ことができる(請求項6)。
なお、光学的断面積:StとSoとの比:St/Soが、条件:
(1) 41>St/So>2.9
を満足すると、位相差隔差は0.02以下となる。
請求項7記載の1/4波長板は「光を入射させる入射面と射出させる射出面とを有し、入射面もしくは射出面の一方に、請求項1〜6の任意の1に記載のサブ波長周期構造が形成され、他方には、基準波長:405nmの光に対して実質的に1/4波長分の位相差を付与するフォトニック結晶構造層が形成されている」ことを特長とする。
若干説明を補足する。
「サブ波長周期構造」は、従来からSWSとして知られたものである。この発明の「1/4波長板」におけるサブ波長周期構造は、「光学素子としての1/4波長板」の入射面もしくは射出面として形成され、その形状は「1次元格子状」即ち、微小な凸部と凹部とが、1方向に交互に繰り返して形成されたものである。
上記微小な凸部と凹部とが繰り返される方向が「サブ波長周期構造のピッチ方向」である。このサブ波長周期構造の「ピッチ方向を含み、凸部の高さ方向に平行な断面(これが上述の「ピッチ方向の断面」であり、この断面における断面形状が「ピッチ方向の断面形状である。)」を考えるとこの断面における「断面形状」は、凸部と凹部の交互の繰り返しであるが、凸部の形状・凹部の形状は、上記断面に直交する方向には実質的に一定形状である。
従って、このような凸部と凹部との配列を、配列面に直交する方向から見れば、凸部と凹部の配列は一定ピッチの1次元格子状であることになる。
このサブ波長周期構造は、その名の示すように、凸部と凹部の配列ピッチが、使用波長よりも小さい。
上記「基準波長」は、1/4波長板に対する使用波長の設計値として与えられるものであり、上記の如く785nmと660nmであって、それぞれ、CDおよびDVDに対する光波長である。
勿論、実際に使用される状態において、1/4波長板に入射する光は、785±15nmあるいは660nm±15nm程度の公差を持っており、基準波長から若干ずれることはあり得るが、1/4波長板として付与する位相差は「波長に対して急激には変化しない」から、この発明の1/4波長板は、実際の使用条件において、入射する光の波長が基準波長から少々ずれたとしても、所望の1/4波長板としての機能を果たすことができる。 また、後述するように、この発明の1/4波長板は、基準波長の光に与える位相差が、入射角:0〜35度程度の範囲では、入射角に殆ど依存しない。
1/4波長板は、全体が単一材料で形成されていることもできるし、請求項2に記載のように「基準波長の光を透過させる基板の、入射側もしくは射出側の平坦な面に、基板と異なる屈折率を有する1以上の材質による1以上の層が積層形成されてサブ波長構造形成層をなし、サブ波長周期構造が、サブ波長構造形成層に形成されている」構成であることもできる。
即ち、サブ波長周期構造は「基板とは異なるサブ波長構造形成層」に形成することもできる。即ち、基板上に「基板と異なる屈折率を持つ層」を形成した構成とすることができる。
また、サブ波長周期構造は「互いに異なる屈折率を有する材質による層が積層形成された構造」とすることができる。即ち、一般化すれば、サブ波長周期構造(の凸部)は、基板の上にN(≧1)層に構成することができる。
そこで、上記凸部が「1〜nのn層の積層構造」である場合を考える。
n層の各層の屈折率をNi(i=1〜n)とする。屈折率:Niには、同じ値が2以上含まれていても良い。また基板の屈折率をN0とすれば、屈折率:Niは「N0に等しいもの」を含んでも良い。
また、上記n層の積層構造における各層の上記断面における「断面積」をSiとする。
このとき、上記凸部の「光学的断面積」は、
ΣNi・Si(和はiについて1からnまでとる。)
で定義される量であり、屈折率と距離の積を「光学的距離」というのと類似的に光学的断面積というのである。
「最も単純な場合」として、屈折率:N0の基板の表面構造としてサブ波長周期構造が形成され、その1個の凸部の断面形状が「幅:L、高さ:Hの矩形形状」であるとすれば、サブ波長周期構造における凸部の光学的断面積は「N0・L・H」である。
また、上記凸部の断面形状が、幅:L、高さ:Hの矩形形状で、高さ方向に屈折率:Ni(i=1〜n)、厚さ:hi(i=1〜n)の層を積層したものであるとすれば、その光学的断面積は、N0・L・ΣNi・hi(和はiについて1からnまでとる。)で与えられる。凸部の断面形状が「矩形形状でない任意形状」である場合も同様である。
以上は「凸部の光学的断面積」であるが「凹部の光学的断面形状」も同様である。
凹部は一般的には「空気や、保護層をなす透明材料」で満たされており、凹部の断面形状が例えば「面積:Sの矩形形状」で、空気で満たされているならば、凹部の光学的断面積は、空気の屈折率が1であるから、断面積:Sそのものが光学的断面積になる。
また、断面積:Sの凹部が空気以外の屈折率:Ndの材質で充填されている場合であれば、その光学的断面積は「S・Nd」である。凹部を充填する物質が、複数種類で層を成す場合には、上記凸部の光学的断面積と同様にして定義される。
前述の如く、条件(1)は、請求項1の1/4波長板における基準波長:785nmと660nmの光に対して付与する位相差の差である「位相差隔差」が0.02以下となる条件である。
これに対し、請求項1における条件(2)は、上記2つの基準波長に対する位相差隔差が0.01以下となる条件である。
従来から知られている1/4波長板では基準波長:785nm、660nmの光に対し、位相差隔差は一般に0.025〜0.075であるから、この発明の1/4波長板のように「0.01以下(請求項1)の位相差隔差」は、従来品に対して「より高性能」である。
そして、光学的な機能面での高性能にとどまらず、この発明の1/4波長板を用いることにより、「取り付け位置精度」等に対する条件が緩和される。
即ち、具体的には「入射角に対する依存性(斜入射)が小さいので、取り付け角度や取り付け回転精度(入射角:θ方向における回転)」に対する許容公差が大きくなる。
従って、1/4波長板の取り付け等に必要な部品の点数を削減して光ピックアップ装置のコストを低減化させることが可能になる。
「サブ波長周期構造のピッチ方向の断面形状における凸部の断面形状」は、請求項3のように「底部から離れるに従い幅が狭くなる台形形状」であることができ、この場合「凹部の断面形状」は「底部から離れるに従い幅が広くなる逆台形形状」となる。
これとは逆に請求項4のように「サブ波長周期構造のピッチ方向の断面形状における凸部の断面形状が、底部から離れるに従い幅が広くなる逆台形形状」であることができ、この場合には凹部の断面形状は「底部から離れるに従い幅が狭くなる台形形状」」となる。
凸部・凹部のピッチ方向の断面形状は、このような形状に限らず、前述の「矩形形状」であることができることは勿論、凸部の高さ方向に「幅が変化する菱形形状」や、高さをなす部分(凸部の側面)形状が曲線形状であることも許容される。
サブ波長周期構造は微小な凹凸の周期が使用波長より小さいことが条件であるから、1/4波長板のサブ波長周期構造のピッチは660nmよりも小さいことが必要であるが、上記ピッチが660nmに対して十分に小さくないと、サブ波長周期構造による1/4波長板としての機能のほかに、サブ波長周期構造による回折が生じ、光の利用効率を低下させるので、上記ピッチの上限は、300nm程度が好適である。
上記「位相差隔差」は、サブ波長周期構造のピッチが小さくなるにつれて増大する傾向があることが認められた。従って、上記ピッチは基準波長:660nmの光に対して回折を生じない範囲でできるだけ大きいのがよく。この点を考慮すると「ピッチの下限は250nm前後の値」となる。
また、光の利用効率を高めるためには、「サブ波長周期構造の凸部の最頂面部として反射防止膜が、凸部の一部として形成されている」構成が好ましい。この場合、反射防止膜は「凸部の一部」として形成されるので、上記「光学的断面積を算出する1要素」となる。
ここで、請求項2における「基板」の形態について補足すると、基板の形態は「平行平板形状」で厚さ方向の一方の面が入射面、他方の面が射出面とされるのが最も一般的であるが、これに限らず基板の断面形状をプリズム状とし、入射面から入射した光がプリズム面で内部反射して射出面から射出するように構成することもできる。サブ波長周期構造が基板の表面形状として形成される場合も同様である。
また、サブ波長周期構造は、その微細な凹凸構造を無視して巨視的にみれば「平面」である。
サブ波長周期構造をなす部分の材質について補足すると、サブ波長周期構造を形成する材料としては、TiO,Ta,TiO2−x,Ta5−x,Nb,Nb5−x,SnO,SnO2−x,Al,Al3−x,MgO,MgO2−x,CeO,CeO2−x,ITO等をあげることができる。
また、請求項6のようにSiOは「反射防止膜の材料」として好適であるが、勿論、他の材料も可能である。
請求項7記載の1/4波長板は、上記の如く「光を入射させる入射面と射出させる射出面とを有し、入射面もしくは射出面の一方に、請求項1〜6の任意の1に記載のサブ波長周期構造が形成され、他方には、基準波長:405nmの光に対して実質的に1/4波長分の位相差を付与するフォトニック結晶構造層が形成された構成」である。
405nmの光に対して実質的に1/4波長分の位相差を付与するフォトニック結晶構造層は、従来から知られた方法で設計・形成でき、このようなフォトニック結晶層は、波長:785nm、660nmの光に対しては「位相板としても回折格子としても機能しない」ので、基準波長:405nmの光に対してのみ1/4位相板として機能する。
従って、請求項7記載の1/4波長板は、CD、DVD、BDの3種の光ディスクに共用することができる。
なお、条件(1)、(2)は発明者らが「シミュレーションを通じて新たに見出した」ものであり、シミュレーション結果を元に実作した1/4波長板の特性(位相差隔差)と極めてよく合致することを確認した。
以上に説明したように、この発明によれば新規な1/4波長板を実現できる。この波長板は、基準波長:785nm、660nmの両波長の光に対し、位相差隔差:0.01以下の良好な2波長共用1/4波長板として機能する。
サブ波長周期構造の代表例を7例説明するための図である。 サブ波長周期構造を形成する形成方法の1例を説明するための図である。 凸部と凹部の光学的断面積を説明するための図である。 請求項7記載の1/4波長板を模式的に示す図である。 条件(1)、(2)を導くシミュレーション結果を示す図である。 1/4波長板の機能の入射角に対する依存性を表すシミュレーション結果を示す図である。 図6のシミュレーション結果の数値データである。 図6のシミュレーションに相当する実際の1/4波長板の入射角に対する依存性を表す実測結果を示す図である。 図8の実測結果の数値データである。
以下、実施の形態を説明する。
図1には、1/4波長板のサブ波長周期構造の「ピッチ方向の断面形状」の例を7種類示している。混同の恐れはないと思われるので、繁雑を避けるため図1(a)〜(g)において「同じ部分には同一の符号」を付する。
図1(a)〜(g)において、符号1は「基板」を示し、符号10は「サブ波長構造形成層」、符号3は基板1とサブ波長構造層10との屈折率差による透過率低下を緩和するための「中間反射防止膜」を示す。
また、符号12はサブ波長周期構造における「凸部」、符号14はサブ波長周期構造における「凹部」を示し、符号16は「反射防止膜」を示している。反射防止膜16は「サブ波長周期構造の凸部の一部」として形成されるものであり、従って、凸部12はサブ波長周期構造形成層10に形成された「凸状部分」と反射防止膜16とにより形成される。
反射防止膜16は形成されることが好ましいが、この発明の1/4波長板に必須のものではなく、これを省くこともでき、その場合には、サブ波長周期構造形成層10に形成される凸状部分がそのまま「サブ波長周期構造の凸部」である。
基板1は、基準波長(785nm、660nm)の光を透過させる材質で形成され、その(入射側もしくは射出側)の平坦な面に、基板1と異なる屈折率を有する材質によるサブ波長構造形成層10が中間反射防止膜3を介して形成され、サブ波長構造形成層10に、凸部12と凹部14の繰り返しによる周期的構造としてサブ波長周期構造が形成され、凸部12は「頂部に反射防止膜16を、凸部の一部として形成され」ている。
図1(a)〜(g)における左右方向が「ピッチ方向」であり、凸部12、凹部14はサブ波長周期構造の「ピッチ方向の断面形状」が示されており、これら断面形状は図1の図面に直交する方向へは実質的に同一である。
凸部12および凹部14に関して、図の左右方向の大きさを凸部または凹部の「幅」と呼び、凸部12に関して図の上下方向を凸部の「高さ方向」と呼ぶ。
図1(a)に示す例は、サブ波長周期構造としては基本的な形状であり、凸部12および凹部14の上記断面形状は「矩形形状」である。
図1(b)に示す例で、凸部12は「台形形状」、凹部14は「逆台形形状」を断面形状として有し、同図の(c)に示す例では、凸部12は「逆台形形状」、凹部14は「台形形状」の断面形状を持つ。
即ち、図1(b)に示すサブ波長周期構造は「ピッチ方向の断面形状における凸部12の断面形状が、底部(基板1側の基部)から離れるに従い幅が狭くなる台形形状」であり、図1(c)に示すサブ波長周期構造は「ピッチ方向の断面形状における凸部12の断面形状が、底部から離れるに従い幅が広くなる逆台形形状」である。
図1(d)に示す例では、サブ波長周期構造の凸部12は「ピッチ方向において、高さ方向の中間部が、凹部14に向かって張り出した楕円弧形状の断面形状」を有する。
図1(e)に示す例では、サブ波長周期構造は、凹部14の断面形状において高さ方向の中間部がピッチ方向に凸部12側へ楕円弧形状に張り出し、凸部12が「ピッチ方向において、高さ方向の中間部で細くなる断面形状」を有する。
図1(f)に示す例では、サブ波長周期構造の凸部12は「ピッチ方向において、高さ方向の中間部が、凹部14に向かって、屈曲して張り出した断面形状」を有する。
図1(g)に示す例では、サブ波長周期構造は、凹部14の断面形状において高さ方向の中間部がピッチ方向に凸部12側へ、屈曲して張り出し、凸部12が「ピッチ方向において、高さ方向の中間部が細くなる断面形状」を有する。
図1(a)〜(g)に示すサブ波長周期構造の「断面形状」は、この発明の1/4波長板におけるサブ波長周期構造として適合するものであり、このような断面形状における凸部12と凹部14との光学的断面積の比が、条件(2)を満足することにより、この発明の1/4波長板のサブ波長周期構造となる。
サブ波長周期構造のピッチ方向の断面形状は、図1のものに限らず条件(2)を満足する種々の形態のものが可能である。例えば、凸部や凹部の断面形状は「ピッチ方向において対称形状である必要も無い。
上に説明したようなサブ波長周期構造の形成方法を、図2を参照して説明する。
図2(a)は、基板1の平坦な面に、中間反射防止膜3を介して薄膜状の材料層10Aを設け、材料層の上に反射防止膜となる層16Aを積層した状態を示している。
具体的な1例として説明すると、基板1は「TEMPAX(商品名:SCHOTT社製)」による板状の部材であり、中間反射防止膜3は薄膜状のTaとSiOで形成されている。
材料層10Aは薄層状のTaであり、層16AはSiOの薄膜である。
図2(b)は、層16aの上に、マスク層18Aと樹脂層20Aとを形成した状態を示す。
図2(c)は、樹脂層20Aに対して、周知の「ナノインプリント法」により1次元格子20を形成した状態である。
図2(c)の状態において、1次元格子20をマスクとしてエッチングを行い、マスク層18Aに1次元格子を転写する。マスク層18Aはクロム(Cr)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)等の薄膜である。
このエッチングにより、図2(d)に示すように「1次元格子を転写」されたマスク18が形成される。
続いて、マスク18を介して、層16Aと材料層10Aに対してエッチングを行い、1次元格子パターンを所望の深さに転写し、マスク18を除去すれば、図2(e)に示すように、凸部12と凹部14とによるサブ波長周期構造を持った1/4波長板が得られる。凸部12の頂部は反射防止膜16を「凸部の一部」として形成されている。
即ち、1/4波長板を製造するには、基板1上に中間反射防止膜3を介して材料層10Aと反射防止膜になる層16Aを形成する第1工程(図2(a))と、第1工程後の層16A上にマスク層18Aと樹脂層20Aとを積層形成する第2工程(図2(b))と、樹脂層20Aに対してナノインプリント法により「サブ波長周期構造に対応」する微小周期の1次元格子20を形成する第3工程(図2(c))と、1次元格子20をマスクとしてマスク層18Aのエッチングを行い、マスク18を形成する第4工程(図2(d))と、マスク18をマスクとして材料層10Aと層16Aとに対してエッチングを行い、マスク18の有する1次元格子を転写してサブ波長周期構造を形成し、マスク18を除去する第5工程(図2(e))とを実行すれば良い。
第5工程において行なわれる「材料層10Aと層16Aとに対するエッチング」の際にエッチングを制御する制御パラメータである「圧力」や「基板に印加するバイアス電圧」、導入ガスの「ガス種」等を調整することにより、図1(a)〜(g)に示す断面形状のみならず、所望の断面形状をもったサブ波長周期構造を形成することができる。
以下、具体的な例を説明する。
以下に説明する例は、材料層10Aの材料として上述のTa、層16Aの材料としてSiOを用いた場合の例である。サブ波長周期構造におけるピッチ方向の断面形状としては図1(a)〜(c)のものを調べた。
図3を参照して説明すると、サブ波長周期構造の凸部12は「Taによる凸状部分12A」と「SiOによる反射防止膜16」とにより構成されている。反射防止膜16は「サブ波長周期構造の凸部」の一部として形成されているのである。即ち、サブ波長周期構造の凸部12は「Taによる凸状部分12A」と「反射防止層16」との積層構造である。
サブ波長周期構造において、図3に示す如く周期構造のピッチを「A」、凸部12の底部の幅である「ボトム幅」を「B」、凸部12の頂部の幅である「ランド幅」をC、凸状部分12Aの高さを「E」、反射防止膜16の厚さを「D」とする。
すると、凸状部分12Aの面積:S0は「E×(B+C)/2」である。また、反射防止膜16の面積:S1は「C×D」である。凸状部分12Aを構成するTaの屈折率:N12(=2.147)、反射防止膜16の材料であるSiOの屈折率N16(=1.456)である。これらの屈折率は基準波長:660nmに対するものである。
従って「サブ波長周期構造の凸部12」の光学的断面積:Stは
(S0×N12)+(S1×N16)
である。凹部14は空気で満たされているものとする。
そうすると、凹部の面積は[{A×(E+D)}−(S0+S1)]であり、凹部14の屈折率は「1」であるから、この面積が凹部14の光学的断面積:Soである。
また、凸部12の断面形状は、B=Cであれば矩形(図1(a))、B>Cであれば台形形状(図1(b))、B<Cであれば逆台形形状である(図1(c))。
上記の如きサブ波長周期構造における「ピッチ:A」を300nmおよび250nm、反射防止膜16の厚さ:Dを130nmとして、ボトム幅:B、ランド幅:C、凸部の高さ:Eを種々に変化させ、基準波長:660nmおよび785nmの光を透過させたときに付与される「位相差(1/4波長である0.25であるときが理想値である。)」、上記2つの基準波長に対する「位相差隔差」および、凸部12の光学的断面積:St、凹部の光学的断面積:So、およびこれら光学的断面積の比:St/Soをシミュレーションにより調べた。
シミュレーション結果の数値を図5に示す。図5の上部はピッチ:300nmの場合、下部はピッチ:250nmの場合である。
図5において「波長間の位相差差」とあるのは「位相差隔差」であり、「比」とあるのは「St/So」である。
図5の結果から「St/So」が条件(1)を満足するとき、2つの基準波長に対する位相差隔差:0.02以下、さらに条件(2)を満足するとき位相差隔差:0.01以下を実現できることが判る。
この結果はシミュレーション結果であるが、実際にシミュレーションと同じ条件の1/4波長板を作製して実測したところ、上記シミュレーション結果との極めて高い合致を確認することができた。
即ち、「TEMPAX」による板状の基板にTaとSiOで中間反射防止膜を形成し、上記シミュレーションに用いたタイプのサブ波長周期構造を形成した1/4波長板を実作し、基準波長:660nm、785nmに対する「位相差と位相差隔差」とを実測し、シミュレーション結果と比較した。結果を3例、以下に示す。
A〜Eは図3に即して上に説明した各量で、数値の単位は「nm」である。
サブ波長周期構造 位相差(S) 位相差(R)
A B C D E 660nm 785nm 隔差 660nm 785nm 隔差
300 172 168 122 486 0.258 0.238 0.020 0.256 0.235 0.023
300 169 160 122 469 0.257 0.232 0.025 0.225 0.229 0.026
300 188 175 123 449 0.228 0.209 0.019 0.228 0.206 0.022 。
「位相差(S)」とあるのはシミュレーションによる位相差、「位相差(R)」とあるのは実測された位相差であり、「隔差」とあるのは「位相差隔差」である。
「透過率」は、いずれの場合とも各波長において97.5%以上であった。このように、実測値とシミュレーション値が略等しい結果となっている。
図6は、サブ波長周期構造(上に例示したものの1つ)に、入射光を「斜入射」させた場合の位相差をシミュレーションした結果を示している。
図7は、図6のシミュレーションの数値データである。
図6に示されているように、シミュレーション結果では、入射角:45度までは「入射角の影響を受けない」ことがわかる。入射角:50度以上では、入射角の影響が現れる。
図8は、上記シミュレーションのものと同構造の実作された1/4波長板に対して斜め入射における入射角の影響を実測した結果であり、図9はその数値データである。
実際に作製された1/4波長板における「入射角の影響」は、測定波長毎に僅かな測定バラツキはあるものの、略シミュレーション結果と一致している。
このように、この発明の1/4波長板は、先に説明したシミュレーションによる特性とよく合致する。
図4には、請求項記載の1/4波長板の形態を模式的に示す。
この1/4波長板は「光を入射させる入射面と射出させる射出面とを有する基板100の入射面もしくは射出面の一方(図の上方の面)に、上に説明した如きサブ波長周期構造110が形成され、他方(図の下方の面)に、基準波長:405nmの光に対して実質的に1/4波長分の位相差を付与するフォトニック結晶構造層120が形成された構成」である。
405nmの光に対して実質的に1/4波長の位相差を付与するフォトニック結晶構造層120は、従来から知られた方法で設計・形成され、波長785nm、660nmの光に対しては「位相板としても回折格子としても機能しない」ので、基準波長:405nmの光に対してのみ1/4位相板として機能する。
従って、図4の1/4波長板は、CD、DVD、BDの3種の光ディスクに共用することができる。
12 サブ波長周期構造の凸部
14 サブ波長周期構造の凹部
16 凸部12の頂部に凸部12の一部として形成された反射防止膜
特開2008−257771号公報 特開2008−298869号公報

Claims (7)

  1. 入射面もしくは射出面に、1次元格子状のサブ波長周期構造を有し、該サブ波長周期構造が、2つの基準波長:785nmおよび660nmの入射光に対して、実質的に1/4波長分の位相差を付与する1/4波長板であって、
    サブ波長周期構造のピッチ方向の断面形状における凸部の光学的断面積:Stと、凹部の光学的断面積:Soとの比:St/Soが、条件:
    (2) 22.6 >St/So> 5
    を満足し、
    上記2つの基準波長に対して与える位相差の差が0.01以下であることを特徴とする1/4波長板。
  2. 請求項1記載の1/4波長板において、
    基準波長の光を透過させる基板の、入射側もしくは射出側の平坦な面に、互いに異なる屈折率を有する材質による層が積層形成されてサブ波長構造形成層をなし、サブ波長周期構造が、上記サブ波長構造形成層に形成されていることを特徴とする1/4波長板。
  3. 請求項1または2記載の1/4波長板において、
    サブ波長周期構造のピッチ方向の断面形状における凸部の断面形状が、底部から離れるに従い幅が狭くなる台形形状であることを特徴とする1/4波長板。
  4. 請求項1または2記載の1/4波長板において、
    サブ波長周期構造のピッチ方向の断面形状における凸部の断面形状が、底部から離れるに従い幅が広くなる逆台形形状であることを特徴とする1/4波長板。
  5. 請求項1〜4の任意の1に記載の1/4波長板において、
    サブ波長周期構造の凸部の最頂面部として反射防止膜が、上記凸部の一部として形成されていることを特徴とする1/4波長板。
  6. 請求項5記載の1/4波長板において、
    サブ波長周期構造が、Ta の凸状部分とSiO による反射防止膜により構成されていることを特徴とする1/4波長板。
  7. 光を入射させる入射面と射出させる射出面とを有し、
    入射面もしくは射出面の一方に、請求項1〜6の任意の1に記載のサブ波長周期構造が形成され、他方には、基準波長:405nmの光に対して実質的に1/4波長分の位相差を付与するフォトニック結晶構造層が形成されていることを特長とする1/4波長板。
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