JP6870797B1 - バリア性積層体 - Google Patents

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Abstract

紙基材と、該紙基材の少なくとも一方の面上に、ガスバリア層と水蒸気バリア層とをこの順に有するバリア性積層体であって、前記ガスバリア層が、水溶性樹脂バインダーおよび水分散性樹脂バインダー1よりなる群から選ばれる1種以上を含有し、前記水蒸気バリア層が、層状無機化合物、カチオン性樹脂、および水分散性樹脂バインダー2を含有し、水分散性樹脂バインダー1と水分散性樹脂バインダー2は非同一であり、前記層状無機化合物のアスペクト比が50以上であり、前記層状無機化合物の厚さが50nm以下であり、前記水蒸気バリア層中の前記層状無機化合物の含有量が、前記水分散性樹脂バインダー2を100質量部に対して、0.1質量部以上100質量部以下である、バリア性積層体。

Description

本発明は、バリア性積層体に関する。
従来、紙基材に水蒸気バリア性およびガスバリア性を付与するために、紙基材上に、水蒸気バリア層とガスバリア層とをこの順番に備えて構成されるバリア性積層体が知られている。
特許文献1には、紙基材上に、水蒸気バリア層、ガスバリア層がこの順で設けられた紙製バリア材料において、水蒸気バリア層が水蒸気バリア性樹脂および撥水剤を含有し、かつガスバリア層が水溶性高分子および界面活性剤を含有することを特徴とする紙製バリア材料が記載されている。
特許文献2には、特定の紙基材上に、水蒸気バリア層、水溶性高分子を含有するガスバリア層を有する紙製バリア原紙の少なくとも一方の面上に、さらに保護層を有することを特徴とする紙製バリア材料が記載されている。
国際公開第2017/170462号 特開2018−58360号公報
特許文献1に記載された紙製バリア材料は、ガスバリア層がポリビニルアルコール等の水溶性高分子を主成分として含有しているため、耐水性に劣る。そのため、特許文献1に記載された紙製バリア材料は、耐水性を確保するために、水蒸気バリア層およびガスバリア層に加えて、ラミネート層が設けられており、層数が多く、製造工数が多いという課題があった。
上記課題を解決するために、特許文献2では、紙基材上に、ガスバリア層と水蒸気バリア層とをこの順に有する紙製バリア材料の開発が検討されている。しかし、特許文献2には、ガスバリア層に用いられるガスバリア性を有する樹脂は、水溶性高分子が一般的であり、紙基材上に、ガスバリア層と水蒸気バリア層とをこの順に設けた場合、紙基材中の水分、紙基材を経由して浸透する空気中の水分などにより、水溶性高分子を含有するガスバリア層が劣化しやすいと記載されており、課題が解決されていない。
本発明は、上記課題の存在に鑑みてなされたものであり、層数が少なくても、水蒸気バリア性およびガスバリア性に優れ、耐水性を有し、経済性に優れるバリア性積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、バリア性積層体が、紙基材と、該紙基材の少なくとも一方の面上に、ガスバリア層と水蒸気バリア層とをこの順に有し、ガスバリア層が、特定の樹脂バインダーを含有し、水蒸気バリア層が、特定のアスペクト比および厚さを有する層状無機化合物、カチオン性樹脂、および水分散性樹脂バインダーを含有することにより、層数が少なくても、水蒸気バリア性およびガスバリア性に優れ、耐水性を有し、経済性に優れることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の<1>〜<14>に関する。
<1> 紙基材と、該紙基材の少なくとも一方の面上に、ガスバリア層と水蒸気バリア層とをこの順に有するバリア性積層体であって、前記ガスバリア層が、水溶性樹脂バインダーおよび水分散性樹脂バインダー1よりなる群から選ばれる1種以上を含有し、前記水蒸気バリア層が、層状無機化合物、カチオン性樹脂、および水分散性樹脂バインダー2を含有し、水分散性樹脂バインダー1と水分散性樹脂バインダー2は非同一であり、前記層状無機化合物のアスペクト比が50以上であり、前記層状無機化合物の厚さが50nm以下であり、前記水蒸気バリア層中の前記層状無機化合物の含有量が、前記水分散性樹脂バインダー2を100質量部に対して、0.1質量部以上100質量部以下である、バリア性積層体。
<2> 前記水蒸気バリア層の水分散性樹脂バインダー2が、スチレン/ブタジエン系共重合体、スチレン/不飽和カルボン酸系共重合体、およびオレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体よりなる群から選ばれる1種以上である、<1>に記載のバリア性積層体。
<3> 前記カチオン性樹脂の表面電荷が0.1meq/g以上10meq/g以下である、<1>または<2>に記載のバリア性積層体。
<4> 前記水溶性樹脂バインダーが、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールよりなる群から選ばれる1種以上である、<1>〜<3>のいずれかに記載のバリア性積層体。
<5> 前記ガスバリア層が、さらに層状無機化合物を含有する、<1>〜<4>のいずれかに記載のバリア性積層体。
<6> 前記ガスバリア層の含有する層状無機化合物が、マイカおよびカオリンよりなる群から選ばれる1種以上である、<5>に記載のバリア積層体。
<7> 前記水蒸気バリア層の含有する層状無機化合物が、マイカおよびベントナイトよりなる群から選ばれる1種以上である、<1>〜<6>のいずれかに記載のバリア性積層体。
<8> 前記水蒸気バリア層において、層状無機化合物の含有量が、水分散性樹脂バインダー2を100質量部に対して、0.1質量部以上100質量部以下である、<1>〜<7>のいずれかに記載のバリア性積層体。
<9> 前記水蒸気バリア層において、カチオン性樹脂の含有量が、層状無機化合物100質量部に対して、1質量部以上300質量部以下である、<1>〜<8>のいずれかに記載のバリア性積層体。
<10> 前記水蒸気バリア層において、カチオン性樹脂の含有量、水分散性樹脂バインダー2を100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下である、<1>〜<9>のいずれかに記載のバリア性積層体。
<11> 前記ガスバリア層において、水分散性樹脂バインダー1がウレタン系樹脂および塩化ビニリデン樹脂よりなる群から選ばれる1種以上である、<1>〜<10>のいずれかに記載のバリア性積層体。
<12> 少なくとも一方の最外層上に、さらにシーラント層を有する、<1>〜<11>のいずれかに記載のバリア性積層体。
<13> 前記シーラント層が、生分解性樹脂を含有する、<12>に記載のバリア性積層体。
<14> 包装用材料である、<1>〜<13>のいずれかに記載のバリア性積層体。
[バリア性積層体]
本実施形態のバリア性積層体(以下、単に「バリア性積層体」ともいう)は、紙基材と、該紙基材の少なくとも一方の面上に、ガスバリア層と水蒸気バリア層とをこの順に有するバリア性積層体であって、前記ガスバリア層が、水溶性樹脂バインダーおよび水分散性樹脂バインダー1よりなる群から選ばれる1種以上を含有し、前記水蒸気バリア層が、層状無機化合物、カチオン性樹脂、および水分散性樹脂バインダー2を含有し、水分散性樹脂バインダー1と水分散性樹脂バインダー2は非同一であり、前記層状無機化合物のアスペクト比が50以上であり、前記層状無機化合物の厚さが50nm以下であり、前記水蒸気バリア層中の前記層状無機化合物の含有量が、前記水分散性樹脂バインダー2を100質量部に対して、0.1質量部以上100質量部以下である。本実施形態のバリア性積層体は、層数が少なくても、水蒸気バリア性およびガスバリア性に優れ、耐水性を有し、経済性に優れる。
本実施形態のバリア性積層体は、紙基材の少なくとも一方の面上に、ガスバリア層を備え、該ガスバリア層上に、特定のアスペクト比および厚さを有する層状無機化合物、カチオン性樹脂、および水分散性樹脂バインダー2を含有する水蒸気バリア層を備えることにより、層数が少なくても、水蒸気バリア性およびガスバリア性(酸素バリア性)に優れ、耐水性を有するバリア性積層体を提供できることが明らかになった。
紙基材上に、ガスバリア層と水蒸気バリア層とをこの順に有することにより、ガスバリア層の表面に存在する微細な細孔、亀裂等を水蒸気バリア層によって埋めることができるため、ガスバリア性が向上すると推定される。また、ガスバリア層と水蒸気バリア層とをこの順に有することにより、ガスバリア層が、水蒸気バリア層の下塗りとなり、均一な水蒸気バリア層を形成できると推定される。
ここで、層状無機化合物は、平板状の形態の平面部分がアニオン性、エッジ部分がカチオン性に帯電しやすいため、層状無機化合物が相互に立体的に凝集した、いわゆるカードハウス構造をとることが知られている。このカードハウス構造のために、層状無機化合物の水分散液の粘度は非常に高くなる。一方、カードハウス構造は撹拌などにより力を加えると簡単に壊れるため、層状無機化合物の水分散液はチキソトロピー性を示す。層状無機化合物の水分散液に、適切なカチオン性樹脂を添加すると、層状無機化合物のアニオン性の平面部分にカチオン性樹脂が吸着することによって、カードハウス構造が破壊されると考えられる。その結果、層状無機化合物が立体的に凝集することが抑制され、平板状の層状無機化合物が紙基材平面に対して平行に積層しやくなり、水蒸気バリア層の塗工性が改善され、水蒸気バリア性および耐水性が向上すると推定される。
また、水蒸気バリア層中のアスペクト比が50以上である層状無機化合物により、水蒸気等の移動距離が長くなる迷路効果が発揮され、水蒸気バリア性が向上すると推定される。
本実施形態のバリア性積層体は、紙基材の少なくとも一方の面上に、ガスバリア層と水蒸気バリア層とをこの順に有していればよく、紙基材の他方の面上にも、ガスバリア層と水蒸気バリア層とをこの順に有していてもよい。また、本実施形態のバリア性積層体は、ガスバリア層と水蒸気バリア層とをこの順に複数層有していてもよい。
本実施形態のバリア性積層体を、たとえば食品等の包装体に用いる場合には、紙基材の一方の面上のみに、ガスバリア層と水蒸気バリア層とをこの順に有していることが好ましい。このような構成により、本実施形態のバリア性積層体をヒートシールした場合、袋状の包装体を容易に作製できる。
<紙基材>
本実施形態のバリア性積層体に用いられる紙基材は、植物由来のパルプを主成分として一般的に用いられる紙であることが好ましく、木材パルプを主成分とする紙であることがより好ましい。また、機械的離解作用により水中で分散しやすいパルプを主成分とする紙であることが好ましい。
具体的には、晒または未晒クラフト紙、上質紙、板紙、ライナー紙、塗工紙、片艶紙、グラシン紙、グラファン紙等が挙げられ、これらの中でも、晒または未晒クラフト紙、上質紙、片艶紙が好ましい。
本実施形態のバリア性積層体は、紙基材を使用することで、環境負荷低減、リサイクル性、廃棄容易性に優れる。
(カナダ標準ろ水度(CSF))
JIS P 8121−2:2012に準拠して測定される、紙基材を構成するパルプのカナダ標準ろ水度(CSF)は、ガスバリア性および水蒸気バリア性を向上させる観点から、好ましくは800mL以下、より好ましくは600mL以下であり、そして、その下限値は、特に限定されないが、好ましくは150mL以上である。
紙基材を構成するパルプのCSFは、JIS P 8220−1:2012に準拠して離解した紙基材パルプを試料として、JIS P 8121−2:2012に準拠して測定される。
(ステキヒト法によるサイズ度)
JIS P 8122:2004に準拠して測定される、紙基材のステキヒト法によるサイズ度(以下、単に「サイズ度」ともいう)は、特に限定されないが、ガスバリア性および水蒸気バリア性を向上させる観点から、好ましくは1秒以上であり、そして、その上限値は特に限定されないが、好ましくは100秒以下である。紙基材のサイズ度は、ロジン系、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系等の内添サイズ剤の種類および含有量、パルプの種類、平滑化処理等によって制御できる。内添サイズ剤の含有量は、紙基材のパルプ100質量部に対して3質量部以下が好ましい。
紙基材には、内添サイズ剤以外に、公知のその他の内添剤を添加してもよい。内添剤としては、二酸化チタン、カオリン、タルク、炭酸カルシウム等の填料、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、歩留まり向上剤、pH調整剤、濾水性向上剤、耐水化剤、柔軟剤、帯電防止剤、消泡剤、スライムコントロール剤、染料、顔料等が挙げられる。
紙基材の抄紙においては、公知の湿式抄紙機(たとえば、長網抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の抄紙機)を適宜選択して使用することができる。抄紙機によって形成された紙層は、たとえば、フェルトにて搬送し、ドライヤーで乾燥させることが好ましい。ドライヤー乾燥前にプレドライヤーとして、多段式シリンダードライヤーを使用してもよい。
また、上述のようにして得られた紙基材に、カレンダーによる表面処理を施して厚みやプロファイルの均一化を図ってもよい。カレンダー処理としては公知のカレンダー処理機を適宜選択して使用することができる。
(坪量)
紙基材の坪量は、特に限定されないが、好ましくは20g/m以上、より好ましくは30g/m以上、さらに好ましくは40g/m以上であり、そして、好ましくは500g/m以下、より好ましくは400g/m以下、さらに好ましくは300g/m以下、よりさらに好ましくは200g/m以下、よりさらに好ましくは100g/m以下である。
紙基材の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定される。
(厚さ)
紙基材の厚さは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、そして、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは75μm以下である。
紙基材の厚さは、JIS P 8118:2014に準拠して測定される。
(密度)
紙基材の密度は、成形加工性の観点から、好ましくは0.5g/cm以上、より好ましくは0.6g/cm以上であり、そして、好ましくは1.2g/cm以下、より好ましくは1.0g/cm以下である。
紙基材の密度は、上述した測定方法により得られた、紙基材の坪量および厚さから算出される。
<ガスバリア層>
ガスバリア層は、特に酸素ガスの透過を阻止するガスバリア性を有する層であり、水溶性樹脂バインダーおよび水分散性樹脂バインダー1よりなる群から選ばれる1種以上を含有する。高湿度環境でのガスバリア性の観点から、ガスバリア層は、水分散性樹脂バインダー1を含有することが好ましい。
(水溶性樹脂バインダー)
水溶性樹脂バインダーとは、水に溶解可能な樹脂バインダーをいう。水に溶解可能な樹脂バインダーとは、骨格となるポリマーが25℃の水100gに1g以上溶解するものをいう。水溶性樹脂バインダーの骨格となるポリマーとしては、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、デンプンおよびその誘導体、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその塩、カゼイン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。これらの中でも、ガスバリア性向上の観点から、水溶性樹脂バインダーは、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、より好ましくは変性ポリビニルアルコールである。
変性ポリビニルアルコールとしては、エチレン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらの中でも、変性ポリビニルアルコールは、エチレン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、およびアセトアセチル変性ポリビニルアルコールよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、エチレン変性ポリビニルアルコール、およびカルボキシ変性ポリビニルアルコールよりなる群から選ばれる1種以上であることがより好ましく、エチレン変性ポリビニルアルコールであることがさらに好ましい。
ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールには、完全ケン化型物および部分ケン型物があるが、完全ケン化型であることが好ましい。完全ケン化とは、ケン化度が96%超であることを意味する。なお、ケン化度は、JIS K 6726:1994に準拠した方法で測定される値である。
水溶性樹脂バインダーとして市販品を用いてもよく、たとえば、変性ポリビニルアルコールとして、株式会社クラレ製の「エクセバール(商品名)」等が挙げられる。
ガスバリア層中の水溶性樹脂バインダーの含有量は、ガスバリア性向上の観点から、ガスバリア層の固形分中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、そして、その上限は、100質量%である。
(水分散性樹脂バインダー1)
水分散性樹脂バインダーとは、水溶性ではないが、ディスパーション、エマルションやサスペンションのように水中で微分散された状態となる樹脂バインダーをいう。水分散性樹脂バインダー1は、ウレタン系樹脂および塩化ビニリデン樹脂よりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、塩化ビニリデン樹脂ディスパーションまたはエマルション、およびウレタン樹脂ディスパーションまたはエマルションよりなる群から選ばれる1種以上であることがより好ましく、ウレタン樹脂ディスパーションまたはエマルションであることがさらに好ましく、ウレタン樹脂ディスパーションであることがよりさらに好ましい。ガスバリア層がウレタン系樹脂または塩化ビニリデン樹脂を含むことで、高湿度環境でのガスバリア性を高めることができる。ウレタン系樹脂または塩化ビニリデン樹脂は、25μm厚のシートにおいて、23℃、50%RHにおける酸素透過度が、100mL/(m・day・atm)以下であることが好ましく、50mL/(m・day・atm)以下であることがより好ましい。なお、酸素透過度は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN2/20)を使用して測定される。
ウレタン系樹脂は、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の少なくとも一方を含有することが好ましく、ポリイソシアネート由来の構成単位全量に対する、メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位および水添メタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の合計含有量が、50モル%以上であることが好ましい。かようなウレタン系樹脂は、水素結合およびキシリレン基同士のスタッキング効果によって高い凝集力を発現するため、優れたガスバリア性を有する。
水分散性樹脂バインダー1として市販品を用いてもよく、たとえば、ポリウレタン系樹脂として、三井化学株式会社製の「タケラックW系(商品名)」、「タケラックWPB系(商品名)」、「タケラックWS系(商品名)」等が挙げられ、塩化ビニリデン樹脂として、ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン株式会社製の「Diofan(商品名)」等が挙げられる。具体的には、三井化学株式会社製の「タケラックWPB−341(商品名)」、ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン株式会社製の「DiofanB−204(商品名)」が例示される。
ガスバリア層中の水分散性樹脂バインダー1の含有量は、ガスバリア性向上の観点から、ガスバリア層中の固形分中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、そして、その上限は、100質量%である。
(層状無機化合物)
ガスバリア層は、水蒸気バリア性およびガスバリア性向上の観点から、さらに層状無機化合物を含有することが好ましい。層状無機化合物をガスバリア層に含有させる場合、層状無機化合物の含有量は、特に限定されないが、ガスバリア層中の水溶性樹脂バインダーまたは水分散性樹脂バインダー1を100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、そして、好ましくは70質量部以下、より好ましくは65質量部以下である。
層状無機化合物としては、マイカ、カオリン、パイロフィライト、タルク、ベントナイト、モンモリロナイト、バーミキュライト、緑泥石、セプテ緑泥石、蛇紋石、スチルプノメレーン等が挙げられる。これらの中でも、マイカ、ベントナイト、カオリンおよびタルクよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、マイカおよびカオリンよりなる群から選ばれる1種以上であることがより好ましい。マイカとしては、合成マイカ、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母等が挙げられ、好ましくは合成マイカである。ガスバリア層に含有させる層状無機化合物は、水蒸気バリア層に含有させる層状無機化合物と同一の種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
ガスバリア層は、水溶性樹脂バインダー、水分散性樹脂バインダー1、および層状無機化合物以外に、必要に応じて適宜、顔料、分散剤、界面活性剤、消泡剤、濡れ剤、染料、色合い調整剤、増粘剤などを添加することが可能である。ガスバリア層は、後述する水蒸気バリア層と同様にカチオン性樹脂を含有してもよく、水蒸気バリア層のカチオン性樹脂として後述するものが好適に用いられる。
ガスバリア層が層状無機化合物およびカチオン性樹脂を含有する場合において、カチオン性樹脂の含有量は、層状無機化合物100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上、よりさらに好ましくは20質量部以上であり、そして、好ましくは100質量部以下、より好ましくは60質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下、よりさらに好ましくは30質量部以下である。
ガスバリア層の厚さは、ガスバリア性向上および層厚を少なくする観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上であり、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。ガスバリア層の塗工量は、固形分として、好ましくは0.1g/m以上、より好ましくは0.5g/m以上、さらに好ましくは1g/m以上であり、そして、好ましくは10g/m以下、より好ましくは8g/m以下、さらに好ましくは5g/m以下である。
<水蒸気バリア層>
水蒸気バリア層は、水蒸気の透過を阻止する水蒸気バリア性を有する層であり、層状無機化合物、カチオン性樹脂、および水分散性樹脂バインダー2を含有する。
(水分散性樹脂バインダー2)
水分散性樹脂バインダー2の骨格となるポリマーとしては、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、ABS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂、ポリブテン−1樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、オレフィン/不飽和カルボン酸共重合体、およびこれらの変性物等が挙げられる。これらの中でも、水蒸気バリア層の水分散性樹脂バインダー2は、スチレン/ブタジエン系共重合体、スチレン/不飽和カルボン酸系共重合体、およびオレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体よりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体であることがより好ましく、エチレン/アクリル酸共重合体およびエチレン/メタクリル酸共重合体よりなる群から選ばれる1種以上であることがさらに好ましい。
≪スチレン/ブタジエン系共重合体≫
スチレン/ブタジエン系共重合体としては、スチレン/ブタジエン系ゴム(SBR)、変性スチレン/ブタジエン系ゴム(変性SBR)等が挙げられる。
変性スチレン/ブタジエン系ゴムとしては、酸変性スチレン/ブタジエン系ゴム(酸変性SBR)等が挙げられる。
スチレン/ブタジエン系共重合体として市販品を用いてもよく、たとえば日本ゼオン株式会社製の「Nipol LX407Sシリーズ(商品名)」、「Nipol LX407BPシリーズ(商品名)」等が挙げられる。
≪スチレン/不飽和カルボン酸系共重合体≫
スチレン/不飽和カルボン酸系共重合体は、スチレン系単量体と、不飽和カルボン酸系単量体と、必要に応じてこれらと共重合可能なその他の単量体とを乳化重合することによって得られる共重合体である。スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレンなどの芳香族ビニル化合物が挙げられる。不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和カルボン酸単量体、イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸モノブチルエステルなどの少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和ポリカルボン酸アルキルエステル、アクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリル酸スルホエチルナトリウム塩、またはメタクリル酸スルホプロピルナトリウム塩などの(メタ)アクリル系スルホン酸単量体もしくはその塩が挙げられる。その他の単量体としては、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜24)エステルが挙げられる。
スチレン系単量体としてはスチレンが好適である。不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸が好適である。
スチレン/不飽和カルボン酸系共重合体として市販品を用いてもよく、たとえば、株式会社第一塗料製造所製の「ハービルシリーズC−3(商品名)」、BASF社製の「ACRONAL4160(商品名)」等が挙げられる。
≪オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体≫
オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体は、オレフィン単量体と不飽和カルボン酸系単量体とを乳化重合することにより得られる共重合体である。
オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体のオレフィン単量体としては、エチレン、およびプロピレン、ブチレン等のα−オレフィンが挙げられ、これらの中でも、好ましくはエチレンである。
オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体の不飽和カルボン酸系単量体は、不飽和カルボン酸単量体、および加水分解によりカルボン酸を形成する不飽和カルボン酸のエステル単量体を含む。オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体の不飽和カルボン酸系単量体としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和カルボン酸およびそのエステル;イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステル、マレイン酸モノブチルエステルなどの、少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和ポリカルボン酸アルキルエステルが挙げられる。
オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体を構成する不飽和カルボン酸系単量体は、単独で、または2種以上用いてもよい。オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体は、オレフィンおよび不飽和カルボン酸系単量体と共重合可能なその他の単量体が少量共重合されていてもよい。
これらの中でも、オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体は、エチレン/アクリル酸系共重合体、およびエチレン/メタクリル酸系共重合体よりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、およびエチレン/メタクリル酸ブチル共重合体よりなる群から選ばれる1種以上であることがより好ましく、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体であることがさらに好ましく、エチレン/アクリル酸共重合体であることがとくに好ましい。
オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体として市販品を用いてもよく、たとえば、エチレン/アクリル酸共重合体アンモニウム塩の水性分散液である、住友精化株式会社製の「ザイクセン(商品名)AC」等が挙げられる。
オレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体は、不飽和カルボン酸系単量体単位の含有量が、好ましくは1mol%以上、より好ましくは10mol%以上であり、そして、好ましくは50mol%以下、より好ましくは30mol%以下である。不飽和カルボン酸系単量体の含有量が上記範囲内であると、層状無機化合物の分散性に優れる。
水分散性樹脂バインダー2の重量平均分子量は、紙基材に付与する際の粘度および強度の観点から、好ましくは1万以上、より好ましくは2万以上であり、そして、好ましくは1000万以下、より好ましくは500万以下である。
水分散性樹脂バインダー2の含有量は、特に限定されないが、水蒸気バリア層の全固形分中、好ましくは20質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、よりさらに好ましくは70質量%以上であり、そして、その上限値は、特に限定されないが、好ましくは95質量%以下である。
(層状無機化合物)
水蒸気バリア層の層状無機化合物の形態は、特定のアスペクト比および厚さを有する平板状であり、層状無機化合物と、バインダーである水分散性樹脂との混合溶液を作製し、紙基材上に塗工すると、水蒸気バリア層が形成される。
本実施形態において、水蒸気バリア層内では、上述したように、カードハウス構造が破壊され、平板状の層状無機化合物の分散性に優れるため、層状無機化合物が紙基材の平面(表面)とほぼ平行に積層した状態に配列する。そうすると、紙基材の平面方向では、層状無機化合物が存在していない領域の面積が小さくなることから、水蒸気の透過が抑制される。また、紙基材の厚さ方向では、平板状の層状無機化合物が紙基材に対して平行に配列した状態で存在するため、水蒸気バリア層中の水蒸気は、層状無機化合物を迂回しながら透過することとなり、水蒸気の透過が抑制される。その結果、水蒸気バリア層は優れた水蒸気バリア性を発現することができる。
≪厚さ(平均厚さ)≫
層状無機化合物の厚さ(平均厚さ)は、50nm以下であり、好ましくは30nm以下、より好ましくは10nm以下であり、その下限値は、特に限定されないが、例えば0.5nm以上、好ましくは1nm以上である。層状無機化合物の平均厚さが小さい方が、水蒸気バリア層中における層状無機化合物の積層数が多くなるため、高い水蒸気バリア性を発揮することができる。ここで、水蒸気バリア層中に含まれている状態での層状無機化合物の厚さは、以下のようにして求められる。
まず、水蒸気バリア層の垂直方向の断面について、電子顕微鏡を用いて拡大写真を撮影する。このとき、画面内に層状無機化合物が20〜30個程度含まれる倍率とする。次に、画面内の層状無機化合物の個々の層状無機化合物の厚さを測定する。そして、n=20として、得られた厚さの平均値を算出して、層状無機化合物の厚さ(平均厚さ)とする。
≪長さ(平均長さ)≫
層状無機化合物の長さ(平均長さ)は、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1μm以上、よりさらに好ましくは5μm以上であり、そして、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下である。層状無機化合物の長さが0.3μm以上であると、層状無機化合物が紙基材に対して平行に配列しやすい。また、層状無機化合物の長さが100μm以下であると、層状無機化合物の一部が水蒸気バリア層から突出する懸念が少ない。ここで、水蒸気バリア層中に含まれている状態での層状無機化合物の長さは、以下のようにして求められる。
まず、水蒸気バリア層の垂直断面について、電子顕微鏡を用いて拡大写真を撮影する。このとき、画面内に層状無機化合物が20〜30個程度含まれる倍率とする。次に、画面内の層状無機化合物の個々の層状無機化合物の長さを測定する。そして、n=20として、得られた長さの平均値を算出して、層状無機化合物の長さとする。なお、層状無機化合物の長さは、粒子径という表現で記載されることもある。
≪アスペクト比≫
層状無機化合物のアスペクト比は、50以上であり、好ましくは100以上、より好ましくは300以上、さらに好ましくは500以上である。アスペクト比が大きいほど、水蒸気の透過が抑制され、水蒸気バリア性が向上する。また、アスペクト比が大きいほど、層状無機化合物の添加量を低減することができる。アスペクト比の上限は特に限定されないが、塗工液の粘度および入手容易性の観点から10000以下程度が好ましい。ここで、アスペクト比とは、水蒸気バリア層の断面について、電子顕微鏡を用いて拡大写真を撮影し、上記した方法で得られた層状無機化合物の平均長さをその平均厚さで除した値である。
層状無機化合物としては、マイカ、カオリン、パイロフィライト、タルク、ベントナイト、モンモリロナイト、バーミキュライト、緑泥石、セプテ緑泥石、蛇紋石、スチルプノメレーン等が挙げられる。
これらの中でも、水蒸気バリア層の含有する層状無機化合物は、水蒸気バリア性を向上させる観点から、マイカおよびベントナイトよりなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、マイカであることがより好ましい。マイカとしては、合成マイカ、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母等が挙げられ、好ましくは合成マイカである。ベントナイトとしては、モンモリロナイトが挙げられる。
層状無機化合物の含有量は、水蒸気バリア層の全固形分中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、よりさらに好ましくは20質量%以下、よりさらに好ましくは15質量%以下である。
本実施形態では、層状無機化合物のアスペクト比を大きくし、厚さを小さくすることによって、水蒸気バリア層中の層状無機化合物の含有量が少なくても、水蒸気バリア層の強度を高めて、水蒸気バリア層からの層状無機化合物の脱落を抑えることができ、水蒸気バリア性に優れるので、層状無機化合物の含有量を低減できる。
層状無機化合物の含有量は、水分散性樹脂バインダー2を100質量部に対して、0.1質量部以上であり、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは3.0質量部以上、さらに好ましくは5.0質量部以上であり、そして、100質量部以下であり、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは25質量部以下である。層状無機化合物の含有量が、上記範囲内であると、層状無機化合物が水蒸気バリア層の表面から露出しにくく、水蒸気バリア性に優れる。
(カチオン性樹脂)
本実施形態において、層状無機化合物を含有する水蒸気バリア層にカチオン性樹脂を添加することによって、水蒸気バリア性を大きく向上できる。
カチオン性樹脂を添加することによって、水蒸気バリア性が大きく向上する理由については、以下のように考えられる。層状無機化合物は、平板状の形態の平面部分がアニオン性、エッジ部分がカチオン性に帯電しやすいため、層状無機化合物が相互に立体的に凝集した、いわゆるカードハウス構造をとることが知られている。このカードハウス構造のために、層状無機化合物の水分散液の粘度は非常に高くなる。一方、カードハウス構造は撹拌などにより力を加えると簡単に壊れるため、層状無機化合物の水分散液はチキソトロピー性を示す。
層状無機化合物の水分散液に、適切なカチオン性樹脂を添加すると、層状無機化合物のアニオン性の平面部分にカチオン性樹脂が吸着することによって、カードハウス構造が破壊されると考えられる。その結果、層状無機化合物が立体的に凝集することが抑制され、平板状の層状無機化合物が紙基材平面に対して平行に積層しやすくなり、水蒸気バリア性の向上につながるものと推定している。
カチオン性樹脂としては、ポリアミン樹脂、カチオン変性ポリアミド樹脂(たとえば、アミン変性ポリアミド樹脂)、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ポリアルキレンポリアミン樹脂、ポリアミド化合物、ポリアミドアミン−エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミン−エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素−エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミンポリ尿素−エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドアミンポリ尿素−エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物およびポリアミドアミン化合物、ポリビニルピリジン、アミノ変性アクリルアミド系化合物、ポリビニルアミン樹脂、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。これらの中でも、カチオン性樹脂は、ポリアミン樹脂、カチオン変性ポリアミド樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂およびポリエチレンイミン樹脂より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、カチオン変性ポリアミド樹脂であることがより好ましい。
カチオン性樹脂として市販品を用いてもよく、たとえば、田岡化学工業株式会社製の「Sumirez Resin SPI−203(50)(商品名)」、「Sumirez Resin SPI−102A(商品名)」、「Sumirez Resin SPT−106N(商品名)」等が挙げられる。
カチオン性樹脂の表面電荷は、好ましくは0.1meq/g以上であり、そして、好ましくは10meq/g以下、より好ましくは5.0meq/g以下である。カチオン性樹脂の表面電荷が上記範囲であると、カードハウス構造を破壊することが可能であり、水分散性樹脂バインダー2とも適度に共存できる。
なお、カチオン性樹脂の表面電荷は、以下に記載する方法で測定される。まず、試料となる重合体を水に溶解して、重合体濃度1ppmの溶液を得る。その溶液に対し、チャージアナライザーMutek PCD−04型(BTG社製)を用いて、0.001Nポリエチレンスルホン酸ナトリウムを滴下して電荷量を測定する。
カチオン性樹脂の含有量は、水蒸気バリア層に使用される層状無機化合物および水分散性樹脂バインダー2の種類に応じて適宜選択すればよいが、水蒸気バリア性を向上させる観点から、層状無機化合物100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上、よりさらに好ましくは25質量部以上であり、そして、好ましくは300質量部以下、より好ましくは200質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下、よりさらに好ましくは80質量部以下である。
また、カチオン性樹脂の含有量は、水蒸気バリア層の水分散性樹脂バインダー2を100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上、よりさらに好ましくは4.8質量部以上であり、そして、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下、よりさらに好ましくは12質量部以下である。
水蒸気バリア層は、層状無機化合物、カチオン性樹脂および水分散性樹脂バインダー2以外に、必要に応じて適宜、分散剤、界面活性剤、消泡剤、濡れ剤、染料、色合い調整剤、増粘剤などを添加することが可能である。
水蒸気バリア層の厚さは、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上であり、そして、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下である。水蒸気バリア層の塗工量は、固形分として、好ましくは1g/m以上、より好ましくは3g/m以上であり、そして、好ましくは30g/m以下、より好ましくは20g/m以下、さらに好ましくは15g/m以下である。
<シーラント層>
バリア性積層体は、紙基材の少なくとも一方の面上に、ガスバリア層と水蒸気バリア層とをこの順に有しているが、該バリア性積層体の少なくとも一方の最外層に、さらにシーラント層を有していてもよい。すなわち、シーラント層は、ガスバリア層および水蒸気バリア層を有していない、紙基材上に形成してもよいし、ガスバリア層と水蒸気バリア層とをこの順で有する紙基材の水蒸気バリア層上に形成してもよい。バリア性積層体が、紙基材の両面上に、ガスバリア層と水蒸気バリア層とをこの順で有する場合、シーラント層は、一方の水蒸気バリア層上に形成してもよいし、両方の水蒸気バリア層上に形成してもよい。
シーラント層は、加熱、超音波等で溶融し、接着する層である。シーラント層は、好ましくは水分散性樹脂や生分解性樹脂を含有し、より好ましくは生分解性樹脂を含有する。水分散性樹脂としては、ガスバリア層の水分散性樹脂バインダー1として前述したものや水蒸気バリア層の水分散性樹脂バインダー2の骨格となるポリマーとして前述したものが挙げられる。
≪生分解性樹脂≫
生分解性樹脂としては、特に限定されないが、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、3−ヒドロキシブタン酸/3−ヒドロキシヘキサン酸共重合体等が挙げられる。
生分解性樹脂として市販品を用いてもよく、たとえば、ポリ乳酸として、ミヨシ油脂株式会社製の「ランディ PLシリーズ(商品名)」等が挙げられる。
シーラント層の厚さは、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上であり、そして、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下である。シーラント層の塗工量は、固形分として、好ましくは0.5g/m以上、より好ましくは1g/m以上であり、そして、好ましくは50g/m以下、より好ましくは30g/m以下、さらに好ましくは10g/m以下である。
<バリア性積層体の製造方法>
本実施形態のバリア性積層体は、紙基材の少なくとも一方の面上に、ガスバリア層と水蒸気バリア層とをこの順に形成される。各層の形成方法は特に限定されないが、塗工法により形成することが好ましい。具体的には、紙基材上に、ガスバリア層塗工液(ガスバリア層塗料)を塗工し、乾燥して、ガスバリア層を形成した後、水蒸気バリア層塗工液(水蒸気バリア層塗料)を塗工し、乾燥して、水蒸気バリア層を形成することが好ましい。
紙基材に複数の塗工層を形成する場合において、逐次的に塗工層を形成する上記の方法が好ましいが、これに限定されるものではなく、同時多層塗工法を採用してもよい。同時多層塗工法とは、複数種の塗工液をそれぞれ別個にスリット状ノズルから吐出させて、液体状の積層体を形成し、それを紙基材上に塗工することにより、多層の塗工膜を同時に形成する方法である。
塗工液を紙基材に塗工するための塗工設備には、特に限定はなく、公知の設備を用いればよい。塗工設備としては、たとえば、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ゲートロールコーター等が挙げられる。特に、水蒸気バリア層の形成には、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイコーター等の塗工表面をスクレイプするコーターが、層状無機化合物の配向を促す点で好ましい。
塗工層を乾燥するための乾燥設備には、特に限定されず、公知の設備を用いることができる。乾燥設備としては、たとえば、熱風乾燥機、赤外線乾燥機、ガスバーナー、熱板等が挙げられる。また、乾燥温度は、乾燥時間等を考慮して、適宜設定すればよい。
各層の塗工液の溶媒としては、特に限定されず、水またはエタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、トルエン等の有機溶媒を用いることができる。
これらの中でも、揮発性有機溶媒の問題を生じない観点から、各層の塗工液の分散媒としては、水が好ましい。すなわち、ガスバリア層塗工液は、ガスバリア層用水系組成物であり、水蒸気バリア層塗工液は、水蒸気バリア層用水系組成物であることが好ましい。
各層の塗工液の固形分量は、特に限定されず、塗工性および乾燥容易性の観点から適宜選択すればよいが、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、よりさらに好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
<バリア性積層体の特性等>
(水蒸気透過度)
バリア性積層体の水蒸気透過度は、低いほど水蒸気が透過されず好ましく、具体的には、好ましくは100g/(m・day)以下、より好ましくは50g/(m・day)以下、さらに好ましくは30g/(m・day)以下、よりさらに好ましくは20g/(m・day)以下である。
バリア性積層体の水蒸気透過度は、実施例に記載される方法により測定される。
(酸素透過度)
バリア性積層体の酸素透過度は、低いほど酸素が透過されず好ましく、具体的には、23℃、50%RHでの酸素透過度は、好ましくは30mL/(m・day・atm)以下、より好ましくは10mL/(m・day・atm)以下、さらに好ましくは5mL/(m・day・atm)以下、よりさらに好ましくは3mL/(m・day・atm)未満である。また、高湿度環境(23℃、85%RH)でのバリア性積層体の酸素透過度は、好ましくは50mL/(m・day・atm)以下、より好ましくは30mL/(m・day・atm)以下、さらに好ましくは20mL/(m・day・atm)以下、よりさらに好ましくは10mL/(m・day・atm)以下、特に好ましくは8mL/(m・day・atm)未満である。
バリア性積層体の酸素透過度は、実施例に記載される方法により測定される。
(接触角)
バリア性積層体の接触角は、高い方が好ましく、具体的には、好ましくは50°以上、より好ましくは60°以上、さらに好ましくは70°以上であり、そして、その上限値は特に限定されないが、好ましくは120°以下である。
バリア性積層体の接触角は、JIS R 3257:1999に準拠し、動的接触角試験機(Fibro社製、1100DAT)を使用し、バリア性積層体の最外層に蒸留水を1〜4μL滴下し、滴下後60秒後に測定される水の接触角の値である。
本実施形態のバリア性積層体は、ガスバリア層と水蒸気バリア層とをこの順に有することにより、ガスバリア層の表面に存在する微細な細孔、亀裂等を水蒸気バリア層によって埋めることができるため、ガスバリア性が向上し、さらに、ガスバリア層が、水蒸気バリア層の下塗りとなり、均一な水蒸気バリア層を形成できる。また、本実施形態のバリア性積層体は、水蒸気バリア層に層状無機化合物、カチオン性樹脂および水分散性樹脂バインダー2を含有していることから、水蒸気バリア層中の層状無機化合物がカードハウス構造を形成せず、均一に分散された状態で積層されるため、水蒸気バリア性に優れている。
本実施形態のバリア性積層体は、優れたガスバリア性および水蒸気バリア性を生かして、食品、医療品、電子部品等の包装材料として好適に用いることができる。
以下に実施例と比較例とを挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、実施例および比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を示す。また、実施例および比較例の操作は、特に断らない限り、20〜25℃、40〜50%RHの条件で行った。
[分析および評価]
実施例および比較例で用いたカチオン性樹脂について、以下の分析を行った。また、実施例および比較例のバリア性積層体について、以下の分析および評価を行った。
<カチオン性樹脂>
(表面電荷)
まず、試料となる重合体を水に溶解して、重合体濃度1ppmの溶液を得た。その溶液に対し、チャージアナライザーMutek PCD−04型(BTG社製)を用いて、0.001Nポリエチレンスルホン酸ナトリウムを滴下して電荷量を測定した。
<バリア性積層体>
(水蒸気透過度)
バリア性積層体の水蒸気透過度は、JIS Z 0208:1976(カップ法)B法(温度40±0.5℃、相対湿度90±2%)に準拠し、バリア性積層体の水蒸気バリア層を内側にして測定した(条件B:温度40±0.5℃、相対湿度90±2%)。
(酸素透過度)
バリア性積層体およびウレタン系樹脂の酸素透過度は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN2/20)を使用し、23℃かつ50%RHまたは85%RHの条件にて測定した。
(接触角)
バリア性積層体の接触角は、JIS R 3257:1999に準拠し、動的接触角試験機(Fibro社製、1100DAT)を使用し、バリア性積層体の最外層に蒸留水を1〜4μL滴下し、滴下後60秒後に、接触角を測定した。
(耐水性)
バリア性積層体の耐水性は、該バリア性積層体の最外層に、60℃の水を滴下して1分間保持した後、ふき取り、バリア性積層体の表面の状態を観察し、以下の基準で評価した。
A:べたつきがなく、溶解されていない。
B:べたつきがあり、溶解されている。
(ヒートシール性)
1組のバリア性積層体を、塗工層が向き合うように重ね、熱プレス試験機を用い、160℃、2.0kgf/cm、1秒間の条件でヒートシールして積層体を作製した。この積層体を裁断して幅15mm、長さ100mmの矩形状の測定用サンプルを作製した。得られたサンプルを以下の基準で評価した。なお、測定用サンプルは、端部に、手で把持して測定サンプルを剥離するために、ヒートシールされていない部分を形成した。
A:手で剥離したとき、基材破壊する。
B:手で剥離したとき、基材破壊せず、塗工層から剥れた。
[実施例1]
<ガスバリア層塗料の調製>
エチレン変性ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、「エクセバールAQ−4104(商品名)」、完全ケン化型)の固形分濃度15%水溶液100部に、合成マイカの水分散液(トピー工業株式会社製、「NTO−05(商品名)」、粒子径:6.3μm、アスペクト比:約1000、厚さ:約5nm、固形分:6%、カタログ値)25部を加え、さらにエンジニアードカオリン(イメリスミネラルズ社製、「バリサーフHX(商品名)」、粒子径:10μm、アスペクト比:約100、厚さ:約100nm、カタログ値)を水に分散した、固形分濃度55%の水分散液13.6部を加え、ガスバリア層塗料を調製した。
<水蒸気バリア層塗料の調製>
合成マイカの水分散液(トピー工業株式会社製、「NTO−05(商品名)」、粒子径:6.3μm、アスペクト比:約1000、厚さ:約5nm、固形分:6%、カタログ値)19.7部に、撹拌しながら、エチレン/アクリル酸共重合体アンモニウム塩の水分散液(住友精化株式会社製、「ザイクセンAC(商品名)」、固形分:29.2%、カタログ値)34.3部を加え、さらに撹拌した。これに、カチオン変性ポリアミド系樹脂(田岡化学工業株式会社製の「Sumirez Resin SPI−203(50)H(商品名)」、表面電荷:0.4meq/g、固形分53%、カタログ値)を1.7部加え、撹拌した。さらに、25%アンモニア水溶液を0.1部加え撹拌した。さらに、固形分濃度が20%になるように水を加えて撹拌し、水蒸気バリア層塗料を調製した。
<バリア性積層体の製造>
晒クラフト紙(坪量:50g/m、厚さ:60μm、パルプのCSF:500mL、サイズ度:15秒)に、得られたガスバリア層塗料を、乾燥後のガスバリア層の塗工量が3g/mとなるようにメイヤーバーを用いて塗工した後、熱風乾燥機内で120℃、1分間乾燥した。さらに、ガスバリア層上に、得られた水蒸気バリア層塗料を、乾燥後の塗工量が6g/mとなるようにメイヤーバーを用いて塗工した後、熱風乾燥機内にて120℃で1分間乾燥し、バリア性積層体を得た。評価および分析結果を表1に示す。
[実施例2]
ガスバリア層塗料に配合したエンジニアードカオリンの水分散液を配合しなかった以外は実施例1と同様にしてバリア性積層体を得た。
[実施例3]
水蒸気バリア層塗料に配合した合成マイカの水分散液を、ベントナイト(クニミネ工業株式会社製、「クニピアG4(商品名)」、粒子径:約500nm、アスペクト比:約500、厚さ:約1nm、カタログ値)を水に分散した、固形分濃度4.5%の水分散液に変更し、配合量を19.7部から40部に変更し、水蒸気バリア層塗料の固形分濃度を20%から16%に変更した以外は実施例1と同様にしてバリア性積層体を得た。
[実施例4]
実施例1で得たバリア性積層体の水蒸気バリア層上に、シーラント層塗料としてエチレン/アクリル酸共重合体アンモニウム塩の水分散液(住友精化株式会社製、「ザイクセンAC(商品名)」、固形分:29.2%)を、乾燥後のシーラント層の塗工量が2g/mとなるようにメイヤーバーを用いて塗工した後、熱風乾燥機内にて120℃で1分間乾燥し、バリア性積層体を得た。
[実施例5]
ガスバリア層塗料を、下記のように調製した以外は、実施例1と同様にしてバリア性積層体を得た。
ポリウレタン系ディスパーション(三井化学株式会社製、「タケラックWPB−341(商品名)」、固形分:30%、カタログ値;25μm厚のシートに換算した際の23℃、50%RHにおける酸素透過度:2.0mL/(m・day・atm))33.3部に、合成マイカの水分散液(トピー工業株式会社製、「NTO−05(商品名)」、粒子径:6.3μm、アスペクト比:約1000、厚さ:約5nm、固形分:6%、カタログ値)33.3部を加え、撹拌した。これに、カチオン変性ポリアミド系樹脂(田岡化学工業株式会社製の「Sumirez Resin SPI−203(50)H(商品名)」、表面電荷:0.4meq/g、固形分53%、カタログ値)を0.94部加え、撹拌した。さらに、25%アンモニア水溶液を0.2部加え撹拌した。さらに、固形分濃度が15%になるように水を加えて撹拌し、ガスバリア層塗料を調製した。なお、上記ウレタン系樹脂について、H−NMR測定を行ったところ、ポリイソシアネート由来の構成単位全量に対するメタキシリレンジイソシアネート由来の構成単位の含有量は、50モル%以上であった。
[実施例6]
水蒸気バリア層塗料に配合した合成マイカの水分散液の配合量を30.0部、エチレン/アクリル酸共重合体アンモニウム塩の水分散液の配合量を34.2部、カチオン変性ポリアミド系樹脂の配合量を0.94部、25%アンモニア水溶液の配合量を0.2部に変更して水蒸気バリア層塗料を調製し、水蒸気バリア層の塗工量を4g/mにしたこと以外は実施例5と同様にしてバリア性積層体を得た。
[比較例1]
ガスバリア層と水蒸気バリア層とを上下逆にし、水蒸気バリア層上にガスバリア層を形成した以外は実施例1と同様にしてバリア性積層体を得た。
[比較例2]
ガスバリア層塗料に配合した合成マイカの水分散液を配合せず、エンジニアードカオリンの水分散液の配合量を、13.6部から27.3部に変更し、水蒸気バリア層塗料を以下のように調製し、乾燥後の水蒸気バリア層の塗工量を、6g/mから12g/mに変更した以外は実施例1と同様にしてバリア性積層体を得た。
撹拌しながら、エチレン/アクリル酸共重合体アンモニウム塩の水分散液(住友精化株式会社製、「ザイクセンAC(商品名)」、固形分:29.2%)45部に対して、エンジニアードカオリン(イメリスミネラルズ製、「バリサーフHX(商品名)」、粒子径:10μm、アスペクト比:約100、厚さ:約100nm)を水に分散した、固形分濃度55%の水分散液47.8部を加えた。これに、カチオン変性ポリアミド系樹脂(田岡化学工業株式会社製の「Sumirez Resin SPI−203(50)H(商品名)」、固形分53%)を1部加え、撹拌した。さらに、25%アンモニア水溶液を0.16部加え撹拌した。さらに、固形分濃度が40%になるように水を加えて撹拌し、水蒸気バリア層塗料を調製した。
Figure 0006870797
表1からわかるように、本実施形態によれば、層数が少なくても、水蒸気バリア性およびガスバリア性に優れ、耐水性およびヒートシール性を有し、経済性に優れるバリア性積層体が提供される。さらに、ガスバリア層がウレタン樹脂を含む実施例5および6は、高湿度環境でのガスバリア性に優れている。

Claims (14)

  1. 紙基材と、該紙基材の少なくとも一方の面上に、ガスバリア層と水蒸気バリア層とをこの順に有するバリア性積層体であって、
    前記ガスバリア層が、水溶性樹脂バインダーおよび水分散性樹脂バインダー1よりなる群から選ばれる1種以上を含有し、
    前記水蒸気バリア層が、層状無機化合物、カチオン性樹脂、および水分散性樹脂バインダー2を含有し、
    水分散性樹脂バインダー1と水分散性樹脂バインダー2は非同一であり、
    前記層状無機化合物のアスペクト比が50以上であり、
    前記層状無機化合物の厚さが50nm以下であり、
    前記水蒸気バリア層中の前記層状無機化合物の含有量が、前記水分散性樹脂バインダー2を100質量部に対して、0.1質量部以上100質量部以下である、
    バリア性積層体。
  2. 前記水蒸気バリア層の水分散性樹脂バインダー2が、スチレン/ブタジエン系共重合体、スチレン/不飽和カルボン酸系共重合体、およびオレフィン/不飽和カルボン酸系共重合体よりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載のバリア性積層体。
  3. 前記カチオン性樹脂の表面電荷が0.1meq/g以上10meq/g以下である、請求項1または2に記載のバリア性積層体。
  4. 前記水溶性樹脂バインダーが、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールよりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  5. 前記ガスバリア層が、さらに層状無機化合物を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  6. 前記ガスバリア層の含有する層状無機化合物が、マイカおよびカオリンよりなる群から選ばれる1種以上である、請求項5に記載のバリア積層体。
  7. 前記水蒸気バリア層の含有する層状無機化合物が、マイカおよびベントナイトよりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  8. 前記水蒸気バリア層において、層状無機化合物の含有量は、水分散性樹脂バインダー2を100質量部に対して、0.1質量部以上100質量部以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  9. 前記水蒸気バリア層において、カチオン性樹脂の含有量は、層状無機化合物100質量部に対して、1質量部以上300質量部以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  10. 前記水蒸気バリア層において、カチオン性樹脂の含有量は、水分散性樹脂バインダー2を100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  11. 前記ガスバリア層において、水分散性樹脂バインダー1がウレタン系樹脂および塩化ビニリデン樹脂よりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  12. 少なくとも一方の最外層上に、さらにシーラント層を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
  13. 前記シーラント層が、生分解性樹脂を含有する、請求項12に記載のバリア性積層体。
  14. 包装用材料である、請求項1〜13のいずれか1項に記載のバリア性積層体。
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