JP2019173259A - 紙製バリア材料 - Google Patents

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Tadashi Okamoto
匡史 岡本
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悟司 津田
泰弘 山下
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泰弘 山下
健太 渡辺
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健太 渡辺
眞紀 畠田
Masanori Hatada
眞紀 畠田
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Abstract

【課題】本発明は、優れた水蒸気バリア性を有する、環境負荷が少ない紙製バリア材料を提供することを目的とする。【解決手段】紙基材上に少なくとも水蒸気バリア塗工層を有する紙製バリア材料であって、該水蒸気バリア塗工層が少なくとも、融点が110℃以上である水蒸気バリア性樹脂A及び融点が110℃未満である水蒸気バリア性樹脂Bを含有することを特徴とする紙製バリア材料。前記水蒸気バリア性樹脂A及び水蒸気バリア性樹脂Bが、水溶性または水分散性の水系樹脂であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、優れた水蒸気バリア性を有する紙製バリア材料に関する。
ガスバリア性と水蒸気バリア性は、食品、化粧品、農薬、医薬品、雑貨等の包材や容器、建築材料、産業資材等の広い分野で、内容物の保存性を左右する重要な性能である。
従来から、紙製の包装材料へのガスバリア性の付与には、紙基材(原紙)上に、ガスバリア層としてアルミニウム等の金属からなる金属箔や金属蒸着フィルム、ポリビニルアルコールやエチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル等の樹脂フィルム、あるいはこれらの樹脂をコーティングしたフィルム、更に酸化珪素や酸化アルミニウム等の無機酸化物を蒸着したセラミック蒸着フィルム等を紙基材(原紙)に押し出しラミネート、または、貼合する方法が主に用いられてきた。
上記以外のガスバリア性を付与した紙製の包装材料としては、水溶性高分子と無機層状化合物からなるガスバリア層を有する紙製のガスバリア材料(特許文献1、2)、被覆層上に特定のビニルアルコール系重合体からなるバリア層を設けた紙製のガスバリア材料(特許文献2)などが開示されている。
また、ガスバリア性に水蒸気バリア性を加えたバリア材料も開示されている(特許文献3)。
さらに、ガスバリア層に含有する樹脂の融点を規定した樹脂組成物も開示されている(特許文献4)。
特開2009−184138号公報 特開2003−094574号公報 特許第5331265号公報 特開2000−001591号公報
しかし、上記したフィルム等を紙基材(原紙)に押し出しラミネート、または、貼合する方法では、これらのフィルムがサステナブルな原料ではなく、また、焼却処理では残渣や二酸化炭素排出の問題が、埋め立てた処理では生分解性がないため海洋ごみの原因となり、環境負荷が大きいという問題があった。
そこで、本発明は、優れた水蒸気バリア性を有する、環境負荷が少ない紙製バリア材料を提供することを目的とする。
本発明は、以下の〔1〕〜〔10〕を提供するものである。
〔1〕紙基材上に少なくとも水蒸気バリア塗工層を有する紙製バリア材料であって、該水蒸気バリア塗工層が少なくとも、融点が110℃以上である水蒸気バリア性樹脂A及び融点が110℃未満である水蒸気バリア性樹脂Bを含有することを特徴とする紙製バリア材料。
〔2〕前記水蒸気バリア性樹脂A及び水蒸気バリア性樹脂Bが、水溶性または水分散性の水系樹脂であることを特徴とする〔1〕に記載の紙製バリア材料。
〔3〕前記水蒸気バリア性樹脂Aが水溶性の水系樹脂であり、前記水蒸気バリア性樹脂Bが水分散性の水系樹脂であることを特徴とする〔2〕に記載の紙製バリア材料。
〔4〕前記紙基材上に更にガスバリア塗工層を有することを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の紙製バリア材料。
〔5〕〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の紙製バリア材料の少なくとも一方の面上に、さらに保護層を有することを特徴とする紙製バリア材料。
〔6〕〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の紙製バリア材料を使用した包装材料。
〔7〕〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の紙製バリア材料を使用した袋。
〔8〕〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の紙製バリア材料を使用したトレー。
〔9〕〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の紙製バリア材料を使用したカップ。
〔10〕〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の紙製バリア材料を使用した液体紙容器。
本発明によれば、優れた水蒸気バリア性を有する紙製バリア材料を提供することができる。また、水蒸気バリア塗工層に特定の融点の2種類以上の樹脂を含有させることにより、樹脂皮膜が形成される時間を変え、より良好な水蒸気バリア性を付与することができる。更に、紙基材上に更にガスバリア塗工層を設けることにより、優れたガスバリア性と水蒸気バリア性を併せ持つ紙製バリア材料を提供することができる。
加えて、主成分がサステナブルな原料であるバイオマス素材の紙であるため、カーボンニュートラルの考えから、化石資源由来のフィルムに比べて、製造から廃棄までの二酸化炭素の排出量を削減でき、かつ生分解性を有するため廃棄時も環境汚染を引き起こす可能性が低く、環境負荷が少ない。
本発明は、紙基材(以下、「原紙」ということがある。)上に少なくとも水蒸気バリア塗工層が設けられた紙製バリア材料である。本発明の紙製バリア材料は、紙基材上に更にガスバリア塗工層を設けてもよい。その場合、各層の構成順については特に限定されないが、紙基材、水蒸気バリア塗工層、ガスバリア塗工層の順に積層されている方が好ましい。これらの塗工層は、主として水を媒体とする塗工液を各種の塗工装置で塗工し、乾燥することにより形成することができる。
水蒸気バリア塗工層、ガスバリア塗工層をこの順に有する紙製バリア材料が優れた水蒸気バリア性およびガスバリア性を併せ持つ理由は次のように推測される。
ガスバリア塗工層に用いられるガスバリア性を有する樹脂としては下記に例示するように水溶性高分子や水分散性高分子などの高分子が一般的であり、紙基材上にガスバリア塗工層、水蒸気バリア塗工層をこの順に設けた場合、紙基材中の水分や紙基材を経由して浸透する空気中の水分などにより、水溶性高分子や水分散性高分子などの高分子を含有するガスバリア塗工層が劣化しやすい。一方、紙基材上に、耐水性の良好な樹脂を含有する水蒸気バリア塗工層、ガスバリア塗工層をこの順に有することにより、水蒸気バリア塗工層が紙基材中の水分などのガスバリア塗工層への影響(劣化)を効果的に抑制することができる。このため、特に水蒸気バリア塗工層、ガスバリア塗工層をこの順に有する紙製バリア材料は、良好な水蒸気バリア性およびガスバリア性を有する。
(紙基材)
本発明において紙基材とは、主としてパルプからなるシートであり、填料、各種助剤を含んでもよい。
パルプとしては、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未漂白パルプ(NUKP)、サルファイトパルプなどの化学パルプ、ストーングラインドパルプ、サーモメカニカルパルプなどの機械パルプ、脱墨パルプ、古紙パルプなどの木材繊維、ケナフ、竹、麻などから得られた非木材繊維、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂繊維、ナイロン等のポリアミド系樹脂繊維、ポリ塩化ビニル等の含ハロゲン系樹脂繊維等の合成繊維などを用いることができ、適宜配合して用いることが可能である。
填料としては、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、ゼオライト、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することができる。また、硫酸バンドや各種のアニオン性、カチオン性、ノニオン性あるいは、両性の歩留まり向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や内添サイズ剤等の抄紙用内添助剤を必要に応じて使用することができる。さらに、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等も必要に応じて添加することができる。
紙基材の製造(抄紙)方法は特に限定されるものではなく、公知の長網フォーマーマシン、オントップハイブリッドフォーマーマシン、ギャップフォーマーマシン、ヤンキーマシン等を用いて、酸性抄紙、中性抄紙、アルカリ抄紙方式で抄紙して紙基材を製造することができる。また、紙基材は1層であってもよく、2層以上の多層で構成されていてもよい。
さらに、紙基材の表面を各種薬剤で処理することが可能である。使用される薬剤としては、酸化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酵素変性澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、表面サイズ剤、耐水化剤、保水剤、増粘剤、滑剤などを例示することができ、これらを単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。
さらに、これらの各種薬剤と顔料を併用してもよい。顔料としてはカオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、マイカ、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコア−シェル型などの有機顔料などを単独または2種類以上混合して使用することができる。
紙基材の表面処理の方法は特に限定されるものではないが、ロッドメタリングサイズプレス、ポンド式サイズプレス、ゲートロールコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、カーテンコーターなど公知の塗工装置を用いることができる。
この様にして得られる紙基材としては、上質紙、中質紙、塗工紙、片艶紙、クラフト紙、片艶クラフト紙、晒クラフト紙、グラシン紙、板紙、白板紙、ライナーなどの各種公知のものが例示可能である。
(湿潤引張強さ)
本発明の紙基材は、主として水を媒体とする塗工液を塗工するため、紙基材が水に濡れた時の強度が一定以上であることが好ましい。そのため、抄紙方向(MD)の湿潤引張強さは、300N/m以上であることが好ましい。
(坪量)
本発明の紙基材は、用途に応じて最適な坪量とすればよいが、一般的には、30g/m〜600g/m程度、30g/m〜500g/mのものが用いられることが多い。
(バリア塗工層)
本発明の紙製バリア材料は、紙基材上の少なくとも一方の面に水蒸気バリア塗工層を有する。前記したとおり、紙基材、水蒸気バリア塗工層、ガスバリア塗工層の順に積層されている方が好ましい。
(水蒸気バリア塗工層)
本発明において、水蒸気バリア塗工層に含有させる水蒸気バリア性樹脂としては、水蒸気バリア性を有している、水溶性または水分散性の水系樹脂であり、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、パラフィン(WAX)系、ポリエステル樹脂、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成接着剤、またはそれらのパラフィン(WAX)配合合成接着剤等を単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。本発明においては、2種類以上混合して使用することが好ましい。
本発明の水蒸気バリア塗工層は少なくとも、融点が110℃以上である水蒸気バリア性樹脂A及び融点が110℃未満である水蒸気バリア性樹脂Bを含有する。
粒子が水に分散しているエマルジョン系などの樹脂(水分散性樹脂)は、乾燥が進むと粒子同士がフィルム化(造膜)する。一般的に、水分散性樹脂がフィルム化する温度帯は、水に分散している樹脂の融点と考えられる。一方、水溶性樹脂は、乾燥が進むと、溶媒である水が蒸発し、水に溶解している樹脂が硬化してフィルム化(造膜)する。水溶性樹脂が硬化する温度帯は、水に溶けている樹脂固有の融点に依存する。
本発明においては、水分散性樹脂であればフィルム化する温度帯(水に分散している樹脂の融点)が、水溶性樹脂であれば硬化する温度帯(水に溶けている樹脂の融点)が、110℃以上のものと、110℃未満のものを含有する。それぞれの樹脂の融点が上記範囲を満たすと、水の沸点付近を挟んで、融点が一定以上離れているため、低融点のものから順に造膜が進み、同質の樹脂膜を層状に形成できるため、水蒸気バリア性が優れると推測される。
本発明においては、融点が110℃以上の水蒸気バリア性樹脂Aと110℃未満の水蒸気バリア性樹脂Bの組み合わせであれば、水溶性樹脂同士の組み合わせ、水分散性樹脂同士の組み合わせ、水溶性樹脂と水分散性樹脂の組み合わせのいずれでもよいが、水蒸気バリア塗工層と紙基材の接着性が良好となるため、水分散性樹脂と水溶性樹脂の組み合わせが好ましい。更に、融点が110℃以上である水蒸気バリア性樹脂Aが水溶性樹脂であり、融点が110℃未満である水蒸気バリア性樹脂Bが水分散性樹脂であることがより好ましい。
なお、水蒸気バリア性樹脂の融点は、例えば、示差走査熱量分析計(DSC)を用いて、吸熱反応のピークを検出することにより測定が可能である。
なお、水蒸気バリア性に問題がない程度であれば、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、エチレン共重合ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパクなどのタンパク質類、酸化澱粉、カチオン化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウムなどの水溶性高分子を、上記水蒸気バリア性樹脂と併用することも可能である。
本発明において、水蒸気バリア塗工層に顔料を含有させることは、水蒸気バリア塗工層とガスバリア塗工層を有する構成において、水蒸気バリア塗工層とガスバリア塗工層の密着性の点から好ましい。
顔料としてはカオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、マイカ、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコア−シェル型などの有機顔料などを単独または2種類以上混合して使用することができる。
これらの顔料の中でも、水蒸気バリア性の向上と、ガスバリア塗工層の浸透抑制の両方の観点から、形状が扁平なカオリン、タルク、クレー、マイカなどの扁平無機顔料が好ましく、カオリン、マイカがより好ましい。また、体積50%平均粒子径(D50)(以下、「平均粒子径」とも言う。)が5μm以上且つアスペクト比が10以上の扁平無機顔料を単独または2種類以上混合して使用することが好ましく、2種類以上混合して使用することがより好ましい。使用する無機顔料の平均粒子径またはアスペクト比が上記範囲より小さいと、水蒸気バリア塗工層中を水蒸気が迂回する回数が減少し、移動する距離が短くなるため、結果として水蒸気バリア性の改善効果が小さくなることがある。
本発明において、水蒸気バリア塗工層に顔料を含有させる場合、乾燥重量で顔料100重量部に対して、水蒸気バリア性樹脂と水溶性高分子の合計で30重量部以上350重量部以下の範囲で含有させることが好ましい。より好ましくは50重量部以上であり、さらに好ましくは80重量部以上である。また、より好ましくは250重量部以下であり、さらに好ましくは200重量部以下である。
本発明において、水蒸気バリア塗工層に多価金属塩などに代表される架橋剤を添加することができる。架橋剤は水蒸気バリア塗工層に含有される水蒸気バリア性樹脂や水溶性高分子と架橋反応を起こすため、水蒸気バリア塗工層内の結合の数(架橋点)が増加する。つまり、水蒸気バリア塗工層が緻密な構造となり、良好な水蒸気バリア性を発現することができる。
本発明において、架橋剤の種類としては特に限定されるものではなく、水蒸気バリア塗工層に含有される水蒸気バリア性樹脂や水溶性高分子の種類に合わせて、多価金属塩(銅、亜鉛、銀、鉄、カリウム、ナトリウム、ジルコニウム、アルミニウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、チタンなどの多価金属と、炭酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、燐酸イオン、珪酸イオン、窒素酸化物、ホウ素酸化物などのイオン性物質が結合した化合物)、アミン化合物、アミド化合物、アルデヒド化合物、ヒドロキシ酸など適宜選択して使用することが可能である。
水蒸気バリア性に優れた効果を発現するスチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系などのスチレン系の水蒸気バリア性樹脂を用いた場合、架橋効果発現の観点から、多価金属塩を使用することが好ましく、カリウムミョウバンを使用することがより好ましい。
架橋剤の配合量については、塗工可能な塗料濃度や塗料粘度の範囲内であれば特に限定されることなく配合することができるが、好ましくは顔料100重量部に対して、架橋剤が1重量部以上10重量部以下であり、より好ましくは3重量部以上5重量部以下である。1重量部未満であると架橋剤の添加効果が十分に得られないことがある。また、10重量部より多いと塗料の粘度上昇が著しくなり、塗工が困難となることがある。
本発明において、水蒸気バリア塗工層用塗料に架橋剤を添加する場合、アンモニアなどの極性溶媒に架橋剤を溶解させてから塗料へ添加することが好ましい。架橋剤を極性溶媒に溶解させると架橋剤と極性溶媒で結合を作るため、塗料へ添加しても直ちには水蒸気バリア性樹脂や水溶性高分子との架橋反応が起こらないため、塗料の増粘を抑制することができる。その場合、紙基材への塗工後に乾燥することにより極性溶媒成分が揮発し、水蒸気バリア性樹脂や水溶性高分子との架橋反応が起こり、緻密な水蒸気バリア塗工層が形成されると推測される。
本発明において、水蒸気バリア性を向上させるために、水蒸気バリア塗工層に撥水剤を含有させることもできる。撥水剤としては、アルカン化合物を主体とするパラフィン系撥水剤、カルナバやラノリンなどの動植物由来の天然油脂系撥水剤、シリコーンまたはシリコーン化合物を含有するシリコーン含有系撥水剤、フッ素化合物を含有するフッ素含有系撥水剤など例示することができる。これらの中では、水蒸気バリア性能発現の観点からパラフィン系撥水剤を使用することが好ましい。また、これらの撥水剤を単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。
本発明において、撥水剤の配合量は特に限定されるものではないが、撥水剤の配合量は、乾燥重量で水蒸気バリア性樹脂と水溶性高分子の合計100重量部に対して、撥水剤が1重量部以上100重量部以下であることが好ましい。撥水剤の配合量が1重量部未満であると、水蒸気バリア性の向上効果が十分に得られない可能性がある。一方、100重量部を超えた場合には、水蒸気バリア塗工層上にガスバリア塗工層を設ける場合にガスバリア塗工層が均一に形成し難くなるため、ガスバリア性が低下する可能性がある。
また、本発明において、水蒸気バリア性の向上、及びガスバリア塗工層との密着性から、水蒸気バリア塗工層表面の濡れ張力としては10mN/m以上60mN/m以下とすることができ、15mN/m以上50mN/m以下であれば、より効果が発揮される。
本発明において、水蒸気バリア塗工層には、上記した水蒸気バリア性樹脂、水溶性高分子、顔料、架橋剤、撥水剤の他、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、染料、蛍光染料等の通常使用される各種助剤を使用することができる。
(ガスバリア塗工層)
本発明において、ガスバリア塗工層は、ガスバリア性を有している、水溶性高分子や水分散性高分子などの高分子を含有することができる。
本発明において、ガスバリア塗工層に使用される水溶性高分子としては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、エチレン共重合ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパクなどのタンパク質類、酸化澱粉、カチオン化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウムなどを例示することができる。
これらの中では、ガスバリア性の点から、ポリビニルアルコール類、セルロース誘導体が好ましく、ポリビニルアルコール類がさらに好ましい。
また、ガスバリア塗工層に使用される水分散性高分子としては、ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂などを例示することができる。
本発明において、ガスバリア塗工層に顔料を含有させることは、ガスバリア性の向上の点から好ましい。ガスバリア塗工層に使用される顔料としては、カオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、マイカ、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコア−シェル型などの有機顔料などを単独または2種類以上混合して使用することができる。
これらの中では、ガスバリア性の点から形状が扁平なカオリン、タルク、クレー、マイカなどの扁平無機顔料を使用することが好ましく、平均粒子径が3μm以上且つアスペクト比が10以上の扁平無機顔料を使用することがより好ましく、平均粒子径が5μm以上且つアスペクト比が30以上の扁平無機顔料を使用することがさらに好ましい。
ガスバリア塗工層に顔料を含有させた場合、酸素などのガスは顔料を迂回して通過する。このため、顔料を含有していない水溶性高分子や水分散性高分子などの高分子からなるガスバリア塗工層と比較して高湿度雰囲気下における優れたガスバリア性を有する。
本発明において、平均粒子径が5μm以上且つアスペクト比が10以上の扁平無機顔料を含有するガスバリア塗工層に、さらに平均粒子径が5μm以下の顔料を含有させることができる。平均粒子径が5μm以下の顔料を併用することにより、平均粒子径が5μm以上且つアスペクト比が10以上の扁平無機顔料により形成されたガスバリア塗工層中の空隙を減少させることができるため、さらに優れたガスバリア性が発現する。つまり、ガスバリア塗工層に平均粒子径の異なる顔料を含有させた場合、ガスバリア塗工層中で大きな平均粒子径の無機顔料により形成される空隙に小さな平均粒子径の顔料が充填された状態となり、酸素などのガスは顔料を迂回して通過するため、異なる平均粒子径の顔料を含有していないガスバリア塗工層と比較して、高いガスバリア性を有するものと推測される。
本発明において、平均粒子径が5μm以上且つアスペクト比が10以上の扁平無機顔料と、平均粒子径が5μm以下の顔料を併用する場合、平均粒子径が5μm以上且つアスペクト比が10以上の扁平無機顔料と、平均粒子径が5μm以下の顔料の配合比率は、乾燥重量で、50/50〜99/1とすることができる。平均粒子径が5μm以上且つアスペクト比が10以上の扁平無機顔料の配合比率が上記範囲より少ないと、酸素などのガスがガスバリア塗工層中を迂回する回数が減少し、移動する距離が短くなるため、ガスバリア性の改善効果が小さくなることがある。一方、上記範囲より多いと、ガスバリア塗工層中の大きな平均粒子径の無機顔料が形成する空隙を平均粒子径が5μm以下の顔料で十分に埋めることができないため、ガスバリア性のさらなる向上は見られない。
本発明において、平均粒子径が5μm以上且つアスペクト比が10以上の扁平無機顔料と併用する平均粒子径が5μm以下の顔料としては、カオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコア−シェル型などの有機顔料などを単独または2種類以上混合して使用することができる。これらの顔料の中では、重質炭酸カルシウムを使用することが好ましい。
本発明において、ガスバリア塗工層に顔料を含有させる場合、顔料と水溶性高分子及び水分散性高分子の配合比率は、乾燥重量で、顔料/(水溶性高分子と水分散性高分子の合計)=1/100〜1000/100であることが好ましい。顔料の比率が上記範囲外であると、ガスバリア性の改善効果が小さくなることがある。
なお、本発明において、顔料を水溶性高分子、水分散性高分子中に配合する際に、顔料がスラリー化したものを添加し混合することが好ましい。
本発明において、ガスバリア塗工層に多価金属塩などに代表される架橋剤を添加することができる。架橋剤はガスバリア塗工層に含有される水溶性高分子や水分散性高分子などの高分子と架橋反応を起こすため、ガスバリア塗工層内の結合の数(架橋点)が増加する。つまり、ガスバリア塗工層が緻密な構造となり、良好なガスバリア性を発現することができる。
本発明において、架橋剤の種類としては特に限定されるものではなく、ガスバリア塗工層に含有される水溶性高分子や水分散性高分子などの高分子の種類に合わせて、多価金属塩(銅、亜鉛、銀、鉄、カリウム、ナトリウム、ジルコニウム、アルミニウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、チタンなどの多価金属と、炭酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、燐酸イオン、珪酸イオン、窒素酸化物、ホウ素酸化物などのイオン性物質が結合した化合物)、アミン化合物、アミド化合物、アルデヒド化合物、ヒドロキシ酸など適宜選択して使用することが可能である。なお、架橋効果発現の観点から、多価金属塩を使用することが好ましく、カリウムミョウバンを使用することがより好ましい。
架橋剤の配合量については、塗工可能な塗料濃度や塗料粘度の範囲内であれば特に限定されることなく配合することができるが、好ましくは顔料100重量部に対して、架橋剤が1重量部以上10重量部以下であり、より好ましくは3重量部以上5重量部以下である。1重量部未満であると架橋剤の添加効果が十分に得られないことがある。また、10重量部より多いと塗料の粘度上昇が著しくなり、塗工が困難となることがある。
本発明において、水蒸気バリア塗工層との密着性を向上させるため、ガスバリア塗工層中に界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤のイオン性は制限されるものはなく、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤のいずれの種類でも単独もしくは2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、具体的な種類としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アルコール系界面活性剤、アセチレン基を有するアセチレン系界面活性剤、アセチレン基と2つの水酸基を有するアセチレンジオール系界面活性剤、アルキル基とスルホン酸を有するアルキルスルホン酸系界面活性剤、エステル系界面活性剤、アミド系界面活性剤、アミン系界面活性剤、アルキルエーテル系界面活性剤、フェニルエーテル系界面活性剤、硫酸エステル系界面活性剤、フェノール系界面活性剤などを例示することができる。これらの中では塗料のレベリング性の向上効果が大きい、アセチレンジオール系界面活性剤を使用することが好ましい。なお、塗料のレベリング性が向上すると、ガスバリア塗工層の均一性が向上するため、ガスバリア性が向上する。
本発明において、水蒸気バリア塗工層との密着性の観点から、ガスバリア塗工層用塗料の表面張力を、10mN/m以上60mN/m以下に調整することができ、より効果を発揮させるには、15mN/m以上50mN/m以下に調整することが好ましい。
また、水蒸気バリア塗工層表面の濡れ張力に対して、ガスバリア塗工層用塗料の表面張力を±20mN/mとすることが、水蒸気バリア塗工層とガスバリア塗工層との密着性の観点から好ましい。
本発明において、ガスバリア塗工層には、上記した水溶性高分子、水分散性高分子、顔料、架橋剤、界面活性剤の他、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、染料、蛍光染料等の通常使用される各種助剤を使用することができる。
(水蒸気バリア塗工層、ガスバリア塗工層の塗工)
本発明において、水蒸気バリア塗工層、ガスバリア塗工層の塗工方法については特に限定されるものではなく、公知の塗工装置及び塗工系で塗工することができる。例えば、塗工装置としてはブレードコーター、バーコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、リバースロールコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、サイズプレスコーター、ゲートロールコーターなどが挙げられる。また、塗工系としては、主として水を媒体とする水系塗工が好ましい。
水蒸気バリア塗工層、ガスバリア塗工層を乾燥させる手法としては、例えば、蒸気加熱ヒーター、ガスヒーター、赤外線ヒーター、電気ヒーター、熱風加熱ヒーター、マイクロウェーブ、シリンダードライヤー等の通常の方法が用いられる。
本発明において、水蒸気バリア塗工層の塗工量は、乾燥重量で3g/m以上50g/m以下とすることが好ましく、5g/m以上40g/m以下とすることがより好ましく、7g/m以上20g/m以下とすることがさらに好ましい。水蒸気バリア塗工層の塗工量が3g/m未満であると、紙基材を塗工液が完全に被覆することが困難となり、十分な水蒸気バリア性が得られなくなることや、ガスバリア塗工層が紙基材にまで浸透して、十分なガスバリア性が得られなくなることがある。一方、50g/mより多いと、塗工時の乾燥負荷が大きくなる。
なお、本発明において、水蒸気バリア塗工層は1層であってもよく、2層以上の多層で構成してもよい。水蒸気バリア塗工層を2層以上の多層で構成する場合は、全ての水蒸気バリア塗工層を合計した塗工量を上記範囲とすることが好ましい。
本発明において、ガスバリア塗工層の塗工量は、乾燥重量で0.2g/m以上20g/m以下とすることが好ましい。ガスバリア塗工層の塗工量が0.2g/m未満であると、均一なガスバリア塗工層を形成することが困難であるため、十分なガスバリア性が得られなくなることがある。一方、20g/mより多いと、塗工時の乾燥負荷が大きくなる。
なお、本発明において、ガスバリア塗工層は1層であってもよく、2層以上の多層で構成してもよい。ガスバリア塗工層を2層以上の多層で構成する場合は、全てのガスバリア塗工層を合計した塗工量を上記範囲とすることが好ましい。
(保護層)
本発明の紙製バリア材料の少なくとも一方の面上に、さらに保護層を有してもよい。保護層は、空気中の水分や、バリア塗工層の擦過、割れなどによる紙製バリア材料の水蒸気バリア塗工層、ガスバリア塗工層への影響(劣化)を防ぐと共に、紙製バリア材料に更なる水蒸気バリア性、ガスバリア性を付与する、あるいは耐油性、耐溶剤性、耐熱性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐光性、耐水性などを付与することができる。また、保護層が樹脂層である場合は、ヒートシール性を付与することもできる。
保護層は、紙製バリア材料の両面に設けることもできるが、少なくとも水蒸気バリア塗工層を有する側の面上に有することが好ましい。さらに、紙基材上に、水蒸気バリア塗工層、ガスバリア塗工層をこの順に有する紙製バリア材料のガスバリア塗工層上に、保護層を有することが、空気中の水分などによる水蒸気バリア塗工層およびガスバリア塗工層への影響(劣化)を防ぐために好ましい。
保護層としては、樹脂層、紙層、金属箔等が挙げられ、これらの中で樹脂層が好ましい。但し、生分解性が求められる用途の場合は、保護層に用いるものは生分解性樹脂など生分解性を有しているものが好ましい。
(樹脂層)
樹脂層の樹脂としては、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、アクリロニトリル・スチレン、ポリメチルメタアクリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド(ナイロン)、ポリアセタール、ポリカーボネート等の化石資源由来樹脂、ポリ乳酸(PLA)、エステル化澱粉、酢酸セルロース、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、バイオポリエチレン、バイオポリエチレンテレフタレート、バイオポリウレタン等の生物由来樹脂を含むことができる。
なお、生物由来樹脂とは、原料として再生可能な有機資源由来の物質を含み、化学的または生物学的に合成することにより得られる、数平均分子量(Mn)1,000以上の高分子材料をいう。
また、化石資源由来樹脂、および、生物由来樹脂として、ポリ乳酸(PLA)、エステル化澱粉、酢酸セルロース、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)等の生分解性を有する樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド(ナイロン)、バイオポリエチレン等の生分解性を有さない樹脂のいずれを用いることができる。
なお、生分解性樹脂とは、微生物の働きにより、分子レベルまで分解され、最終的には二酸化炭素と水となって自然界へと循環していく性質の樹脂をいう。
本発明において、樹脂層としては樹脂ラミネート層が好ましい。樹脂ラミネート層としては、押し出しラミネート層や、バリアフィルム、蒸着フィルム等のフィルム貼合層を挙げることができる。
樹脂ラミネート層が押し出しラミネート層の場合は、紙製バリア材料の少なくとも一方の面上に、上記した各種樹脂を押し出しラミネート法により樹脂ラミネート層として積層する。また、樹脂ラミネート層がフィルム貼合層の場合は、紙製バリア材料の少なくとも一方の面上に、上記した各種樹脂製のフィルムをドライラミネート法、サンドラミネート法等により樹脂ラミネート層として貼合する。
本発明において、フィルム貼合層に使用するフィルムとしては、上記した各種樹脂製のフィルムが挙げられる。これらのフィルムの中では、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル等の樹脂を主成分としたフィルム、上記した各種樹脂製のフィルムにこれらポリビニルアルコール等の樹脂をコーティングしたフィルム、上記した各種樹脂製のフィルムにアルミニウム等の各種金属からなる金属箔を貼合したフィルム、上記した各種樹脂製のフィルムにアルミニウム等の各種金属、または酸化珪素や酸化アルミニウム等の無機酸化物を蒸着させた蒸着フィルム等のバリアフィルムが好ましく、蒸着フィルムがより好ましい。目的に応じてこれらのフィルムを1層または複数層を貼合して使用することができる。
(バリア性)
本発明の紙製バリア材料は、下記のバリア性を有することが好ましい。なお、下記バリア性の値は、上記した保護層を形成していない状態で測定した値である。本発明の紙製バリア材料は、各種フィルムや金属箔を用いずとも優良なバリア性を有している。
(1)温度40±0.5℃、相対湿度差90±2%における水蒸気透過度が200g/m・day以下
(2)温度:23℃、相対湿度0%における酸素透過度が5ml/m・day・atm以下
さらに好ましくは、下記のバリア性を有する。
(3)温度40±0.5℃、相対湿度差90±2%における水蒸気透過度が50g/m・day以下
(4)温度:23℃、相対湿度0%における酸素透過度が3ml/m・day・atm以下
本発明の紙製バリア材料は、紙製バリア材料のまま、または各種樹脂等と積層する、各種汎用フィルム、バリアフィルム、アルミ箔等と貼合するなどして、食品などの包装材、袋、紙器、段ボール箱、トレー、カップ、液体紙容器等の包装用途に用いられる包装材料、または産業用資材や建築資材などに用いられる積層体とすることが可能である。これらの中で、食品などの包装材、袋、紙器、段ボール箱、トレー、カップ、液体紙容器等の包装用途に用いられる包装材料として好適に使用することができ、食品などの軟包装材として特に好適に使用することができる。なお、軟包装材とは、構成としては、柔軟性に富む材料で構成されている包装材であり、一般には紙、フィルム、アルミ箔等の薄く柔軟性のある材料を、単体あるいは貼り合せた包装材を指す。また、形状としては、袋など、内容物を入れることにより立体形状を保つような包装材を指す。
本発明の紙製バリア材料を食品などの包装材、特に軟包装材として用いる場合は、ヒートシール性を有する樹脂と積層することにより、包装材料としての密閉性を高め、内容物を酸素による酸化や湿気などによる劣化などから守り、保存期間の延長を可能にすることができる。
また、産業用資材や建築資材などに用いられる積層体として使用する場合においても、酸素や湿気の侵入を抑えることで、腐敗、劣化を防止できるほか、溶剤の臭気が漏れ出るのを防止するフレーバーバリア性などの効果が期待される。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、もちろんこれらの例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、例中の部および%は、それぞれ重量部、重量%を示す。なお、得られた紙製バリア材料について以下に示す様な評価法に基づいて試験を行った。
(評価方法)
(1)水蒸気透過度:温度40±0.5℃、相対湿度差90±2%の条件下で、透湿度測定器(Dr.Lyssy社製、L80−4000)を用いて測定した。なお、保護層を設ける前の紙製バリア材料を用いて測定した。
(2)酸素透過度:酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN2/21)を使用し、23℃−0%RH条件および23℃−85%RH条件にて測定した。なお、保護層を設ける前の紙製バリア材料を用いて測定した。
(3)融点:示差走査熱量分析計(島津製作所社製、DSC−60Plus)を用いて、吸熱反応のピークを検出することにより測定した。
[実施例1]
(紙基材の作製)
カナダ式標準ろ水度(CSF)320mlの広葉樹クラフトパルプ(LBKP)100重量部を原料パルプとした。原料パルプを長網抄紙機で抄紙し、坪量63.0g/mの紙を得た。次いで、得られた紙に固形分濃度3%に調製した澱粉(サナス社製、ローコンス)を、両面合計で1.0g/m塗工、乾燥し、チルドカレンダーを用いて、速度300min/m、線圧50kgf/cm 1パスにて平滑処理を行い、坪量64.0g/mの紙基材を得た。
(水蒸気バリア塗工層用塗工液A1の調製)
エンジニアードカオリン(イメリス社製、バリサーフHX 粒子径9.0μm アスペクト比80〜100)に分散剤としてポリアクリル酸ソーダを添加し(対顔料0.2部)、セリエミキサーで分散して固形分濃度60%のカオリンスラリーを調製した。得られたカオリンスラリー中に、顔料100部(固形分)に対し水蒸気バリア性樹脂として水蒸気バリア性樹脂A(ポリエチレン系樹脂、三井化学社製、ケミパールW400、融点110℃)を50部(固形分)、水蒸気バリア性樹脂B(アクリル系樹脂、住友精化社製、ザイクセンN、融点90℃)を50部(固形分)、更に、パラフィン系撥水剤(丸芳化学社製、MYE−35G、ワックス含有ポリエチレンエマルジョン)を100部(固形分)となるように配合し、固形分濃度45%の水蒸気バリア塗工層用塗工液A1を得た。
(ガスバリア塗工層用塗工液B1の調製)
ポリビニルアルコール(クラレ社製、PVA117)水溶液を固形分濃度10%となるよう調製した。得られたポリビニルアルコール水溶液中に、ポリビニルアルコール100部(固形分)に対しシリコーン系界面活性剤(サンノプコ社製、SNウェット125)を1部(固形分)となるように配合し、ガスバリア塗工層用塗工液B1を得た。
(紙製バリア材料の作製)
得られた紙基材上に、水蒸気バリア塗工層用塗工液A1を乾燥重量で塗工量15g/mとなるよう塗工速度300m/minでブレードコーターを用いて片面塗工、乾燥した後、その上にガスバリア塗工層用塗工液B1を乾燥重量で塗工量5.0g/mとなるよう塗工速度300m/minでロールコーターを用いて片面塗工し、紙製バリア材料を得た。
[実施例2]
(水蒸気バリア塗工層用塗工液A2の調製)
水蒸気バリア性樹脂A(ポリエチレン系樹脂、三井化学社製、ケミパールW400、融点110℃)を60部(固形分)、水蒸気バリア性樹脂B(アクリル系樹脂、住友精化社製、ザイクセンN、融点90℃)を40部(固形分)に替えた以外は、実施例1と同様にして水蒸気バリア塗工層用塗工液A2を得た。
(紙製バリア材料の作製)
水蒸気バリア塗工層用塗工液A1に替えて水蒸気バリア塗工層用塗工液A2を使用した以外は、実施例1と同様にして紙製バリア材料を得た。
[実施例3]
(水蒸気バリア塗工層用塗工液A3の調製)
水蒸気バリア性樹脂A(ポリエチレン系樹脂、三井化学社製、ケミパールW400、融点110℃)を40部(固形分)、水蒸気バリア性樹脂B(アクリル系樹脂、住友精化社製、ザイクセンN、融点90℃)を60部(固形分)に替えた以外は、実施例1と同様にして水蒸気バリア塗工層用塗工液A3を得た。
(紙製バリア材料の作製)
水蒸気バリア塗工層用塗工液A1に替えて水蒸気バリア塗工層用塗工液A3を使用した以外は、実施例1と同様にして紙製バリア材料を得た。
[比較例1]
(水蒸気バリア塗工層用塗工液A4の調製)
水蒸気バリア性樹脂A(ポリエチレン系樹脂、三井化学社製、ケミパールW400、融点110℃)を100部(固形分)、水蒸気バリア性樹脂B(アクリル系樹脂、住友精化社製、ザイクセンN、融点90℃)を0部(固形分)に替えた以外は、実施例1と同様にして水蒸気バリア塗工層用塗工液A4を得た。
(紙製バリア材料の作製)
水蒸気バリア塗工層用塗工液A1に替えて水蒸気バリア塗工層用塗工液A4を使用した以外は、実施例1と同様にして紙製バリア材料を得た。
Figure 2019173259
表1に示すように、水蒸気バリア塗工層が少なくとも、融点が110℃以上である水蒸気バリア性樹脂A及び融点が110℃未満である水蒸気バリア性樹脂Bを含有する場合は、水蒸気バリア性、ガスバリア性共に優れている。

Claims (10)

  1. 紙基材上に少なくとも水蒸気バリア塗工層を有する紙製バリア材料であって、該水蒸気バリア塗工層が少なくとも、融点が110℃以上である水蒸気バリア性樹脂A及び融点が110℃未満である水蒸気バリア性樹脂Bを含有することを特徴とする紙製バリア材料。
  2. 前記水蒸気バリア性樹脂A及び水蒸気バリア性樹脂Bが、水溶性または水分散性の水系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の紙製バリア材料。
  3. 前記水蒸気バリア性樹脂Aが水溶性の水系樹脂であり、前記水蒸気バリア性樹脂Bが水分散性の水系樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の紙製バリア材料。
  4. 前記紙基材上に更にガスバリア塗工層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の紙製バリア材料。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の紙製バリア材料の少なくとも一方の面上に、さらに保護層を有することを特徴とする紙製バリア材料。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の紙製バリア材料を使用した包装材料。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の紙製バリア材料を使用した袋。
  8. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の紙製バリア材料を使用したトレー。
  9. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の紙製バリア材料を使用したカップ。
  10. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の紙製バリア材料を使用した液体紙容器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP6870797B1 (ja) * 2019-11-26 2021-05-12 王子ホールディングス株式会社 バリア性積層体
WO2021106891A1 (ja) * 2019-11-26 2021-06-03 王子ホールディングス株式会社 バリア性積層体

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