JP2021020398A - バリア包装材料 - Google Patents

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友史 磯▲崎▼
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正啓 鶴原
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裕太 社本
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Abstract

【課題】塗膜形成性が良好であり、かつ、優れたヒートシール性を有するヒートシール層を有する、バリア包装材料を提供すること。【解決手段】紙基材の少なくとも片面に、水蒸気バリア層、ガスバリア層、およびヒートシール層がこの順で積層されたバリア包装材料であり、前記ヒートシール層は、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体、および部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールを含み、前記ヒートシール層中の前記部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールの含有量が2質量%以上12質量%以下であり、前記部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールのケン化度が86モル%以上96モル%以下であり、ヒートシール層の塗工量が3g/m2以上7g/m2以下である、バリア包装材料。【選択図】なし

Description

本発明は、バリア包装材料に関する。
紙基材に水蒸気バリア性やガスバリア性(特に、酸素バリア性)を付与した包装材料は、食品、医療品、電子部品等の包装において、内容物の品質低下を防止するために、従来から用いられてきている。
紙基材に水蒸気バリア性やガスバリア性を付与する方法としては、紙を支持体としてガスバリア性に優れた合成樹脂フィルムや金属箔を積層する方法が一般的である。しかし、紙基材に合成樹脂フィルム等を積層した材料は、使用後に紙や合成樹脂等をリサイクルすることが困難であり、環境面において課題を有するものであった。
そこで、合成樹脂フィルム等を使用せずに、紙を基材としたガスバリア性材料の開発が進められてきている。たとえば、特許文献1および2には、紙基材上に、水蒸気バリア層、ガスバリア層がこの順で設けられた紙製バリア材料が開示されている。
特許第6234654号公報 特許第5331265号公報
特許文献1および2のような紙製バリア材料を包装体に使用する場合には、ヒートシール層を設ける必要があるが、水蒸気バリア層およびガスバリア層が塗布された材料の上にヒートシール層を塗工すると、ハジキが発生しやすく、また、形成後の塗膜にひび割れが発生する等して、均一なヒートシール層を設けることが困難であった。
本発明の目的は、塗膜形成性が良好であり、かつ、優れたヒートシール性を有するヒートシール層を有する、バリア包装材料を提供することである。
本発明者等は、鋭意検討の結果、紙基材に、水蒸気バリア層、ガスバリア層およびヒートシール層がこの順で積層されたバリア包装材料において、ヒートシール層が−アクリル酸共重合体等のオレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体と共に、特定のケン化度を有する部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールを、特定量含有することにより、上記の課題が解決されることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の<1>〜<5>に関する。
<1> 紙基材の少なくとも片面に、水蒸気バリア層、ガスバリア層、およびヒートシール層がこの順で積層されたバリア包装材料であり、前記ヒートシール層は、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体、および部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールを含み、前記ヒートシール層中の前記部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールの含有量が2質量%以上12質量%以下であり、前記部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールのケン化度が86モル%以上96モル%以下であり、ヒートシール層の塗工量が3g/m以上7g/m以下である、バリア包装材料。
<2> 前記部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールの20℃における4%水溶液のブルックフィールド型粘度計により測定した粘度が3mPa・s以上50mPa・s以下である、<1>に記載のバリア包装材料。
<3> ガスバリア層が、ポリビニルアルコールおよびエチレン変性ポリビニルアルコールの少なくとも1つを含む、<1>または<2>に記載のバリア包装材料。
<4> 前記水蒸気バリア層が、アスペクト比50以上の無機化合物と、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体とを含有する、<1>〜<3>のいずれかに記載のバリア包装材料。
<5> 紙基材の少なくとも片面に、水蒸気バリア層、ガスバリア層が設けられた積層体に、ヒートシール層用水系組成物を塗工する工程、および、塗工されたヒートシール層用水系組成物を乾燥して、紙基材、水蒸気バリア層、ガスバリア層およびヒートシール層がこの順で設けられたバリア包装材料を得る工程を有し、前記ヒートシール層用水系組成物は、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体、および部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールを含み、前記ヒートシール層中の前記部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールの含有量が2質量%以上12質量%以下であり、前記部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールのケン化度が86モル%以上96モル%以下であり、ヒートシール層用水系組成物を、乾燥後の塗工量が3g/m以上7g/m以下となるように塗工する、バリア包装材料の製造方法。
本発明によれば、塗膜形成性が良好であり、かつ、優れたヒートシール性を有するヒートシール層を有する、バリア包装材料を提供することができる。
[バリア包装材料]
本発明のバリア包装材料は、紙基材の少なくとも片面に、水蒸気バリア層、ガスバリア層、およびヒートシール層がこの順で積層されたバリア包装材料であり、前記ヒートシール層は、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体、および部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールを含み、前記ヒートシール層中の前記部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールの含有量が2質量%以上12質量%以下であり、前記部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールのケン化度が86モル%以上96モル%以下であり、ヒートシール層の塗工量が3g/m以上7g/m以下である。
本発明によれば、塗膜形成性が良好であり、かつ、優れたヒートシール性を有するヒートシール層を有するバリア包装材料が得られる。なお、本発明において、「塗膜形成性が良好である」とは、塗工時にハジキの発生が抑制されており、かつ、塗膜形成後において、塗膜におけるひび割れの発生が抑制されていることを意味する。
本発明のバリア包装材料は、エチレン−アクリル酸共重合体等のオレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体に、特定のケン化度を有する部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールを特定量添加したヒートシール層とすることにより、ヒートシール性を損なうことなく、ヒートシール層の塗工性が良好となったものである。詳細な機構は不明であるが、上述した特定のヒートシール層とすることにより、ガスバリア層との親和性が向上し、ハジキやひび割れの発生が抑制されたためと考えられる。また、部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールの添加量を特定量としたことで、ヒートシール性を損なうことなく、塗工性を改善することができたものと推定される。
本発明のバリア包装材料は、紙基材の少なくとも片面に、水蒸気バリア層、ガスバリア層およびヒートシール層をこの順に有していればよく、他の一面にさらに樹脂層等を有していてもよく、特に限定されないが、片面のみに水蒸気バリア層、ガスバリア層およびヒートシール層をこの順で有していることが好ましい。
また、片面のみに水蒸気バリア層、ガスバリア層およびヒートシール層をこの順で有することにより、本発明のバリア包装材料をヒートシールした場合、袋状物を容易に作製することができる。
以下、本発明のバリア包装材料に使用される紙基材、およびそれぞれの層について詳述する。
<紙基材>
本発明のバリア包装材料に用いられる紙基材は、植物由来のパルプを主成分として一般的に用いられている紙であることが好ましく、木材パルプを主成分とする紙であることがより好ましい。また、機械的離解作用により水中で分散しやすいパルプを主成分とする紙であることが好ましい。
具体的には、晒または未晒クラフト紙、上質紙、板紙、ライナー紙、塗工紙、片艶紙、グラシン紙、グラファン紙等が挙げられ、これらの中でも晒または未晒クラフト紙、上質紙、片艶紙が好ましい。
紙基材のJIS P 8121:2012に準じて測定した離解フリーネス(濾水度)は、バリア性を向上させる観点から、好ましくは800mL以下、より好ましくは500mL以下である。ここで、離解フリーネスとは、抄紙後の紙をJIS P 8220−1:2012に準拠して離解したパルプを、JIS P 8121:2012に準拠して測定したカナダ標準ろ水度(Canadian standard freeness)のことである。離解フリーネスを調整するためにパルプを叩解する方法については、公知の方法を使用することができる。
紙基材のサイズ度は、特に限定されないが、バリア性を向上させる観点から、JIS P 8122:2004に準ずるステキヒトサイズ度を1秒以上とすることが好ましい。紙基材のサイズ度は、ロジン系、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系等の内添サイズ剤の種類や含有量、パルプの種類、平滑化処理等によって制御することができる。内添サイズ剤の含有量は、紙基材のパルプ100質量部に対して3質量部以下が好ましい。
紙基材には、内添サイズ剤以外に、公知のその他の内添剤を添加してもよい。内添剤としては、二酸化チタン、カオリン、タルク、炭酸カルシウム等の填料、紙力増強剤、歩留り向上剤、pH調整剤、濾水性向上剤、耐水化剤、柔軟剤、帯電防止剤、消泡剤、スライムコントロール剤、染料・顔料等を挙げることができる。
紙基材の抄紙においては、公知の湿式抄紙機(たとえば長網抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の抄紙機)を適宜選択して使用することができる。抄紙機によって形成された紙層は、たとえば、フェルトにて搬送し、ドライヤーで乾燥させることが好ましい。ドライヤー乾燥前にプレドライヤーとして、多段式シリンダードライヤーを使用してもよい。
また、前記のようにして得られた紙基材に、カレンダーによる表面処理を施して厚みやプロファイルの均一化を図ってもよい。カレンダー処理としては公知のカレンダー処理機を適宜選択して使用することができる。
紙基材の坪量は、20〜500g/mであることが好ましく、20〜400g/mがより好ましく、20〜200g/mがさらに好ましく、30〜100g/mがよりさらに好ましい。
紙基材は、成形加工性の観点から、密度が0.5〜1.2g/cmであることが好ましく、0.6〜1.0g/cmがより好ましい。
<水蒸気バリア層>
水蒸気バリア層は、水蒸気の透過を阻止する機能を有する層であり、水懸濁性高分子、層状無機化合物、およびカチオン性樹脂を含有することが好ましい。
〔層状無機化合物〕
層状無機化合物の形態は、平板状であることが好ましく、層状無機化合物と、バインダーである水懸濁性高分子との混合溶液を作製し、紙基材上に塗工すると、水蒸気バリア層が形成される。
水蒸気バリア層内においては、平板状の層状無機化合物が紙基材の平面(表面)とほぼ平行に積層した状態に配列する。そうすると、紙基材の平面方向では、層状無機化合物が存在していない領域の面積が小さくなることから、水蒸気の透過が抑制される。また、紙基材の厚さ方向では、平板状の層状無機化合物が紙基材に対して平行に配列した状態で存在するため、水蒸気バリア層中の水蒸気は、層状無機化合物を迂回しながら透過することとなり、水蒸気の透過が抑制される。その結果、水蒸気バリア層は優れた水蒸気バリア性を発現することができる。
層状無機化合物の厚さ(平均厚さ)は、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは120nm以下である。層状無機化合物の平均厚さが小さい方が、水蒸気バリア層中における層状無機化合物の積層数が多くなるため、高い水蒸気バリア性を発揮することができる。ここで、水蒸気バリア層中に含まれている状態での層状無機化合物の厚さは、以下のようにして求められる。
まず、水蒸気バリア層の垂直方向の断面について、電子顕微鏡を用いて拡大写真を撮影する。このとき、画面内に層状無機化合物が20〜30個程度含まれる倍率とする。次に、画面内の層状無機化合物の個々の層状無機化合物の厚さを測定する。そして、得られた厚さの平均値を算出して、層状無機化合物の厚さ(平均厚さ)とする。
層状無機化合物の長さ(平均長さ)は、1μm〜100μmであることが好ましい。長さが1μm以上であると、層状無機化合物が紙基材に対して平行に配列し易い。また、長さが100μm以下であると層状無機化合物の一部が水蒸気バリア層から突出する懸念が少ない。ここで、水蒸気バリア層中に含まれている状態での層状無機化合物の長さは、以下のようにして求められる。
まず、水蒸気バリア層の垂直断面について、電子顕微鏡を用いて拡大写真を撮影する。このとき、画面内に層状無機化合物が20〜30個程度含まれる倍率とする。次に、画面内の層状無機化合物の個々の層状無機化合物の長さを測定する。そして、得られた長さの平均値を算出して、層状無機化合物の長さとする。なお、層状無機化合物の長さは、粒子径という表現で記載されることもある。
層状無機化合物のアスペクト比は、50以上であることが好ましい。アスペクト比が50以上であると、所定の水蒸気バリア性能を達成することが可能となる。層状無機化合物のアスペクト比は、より好ましくは100以上、さらに好ましくは300以上、特に好ましくは500以上である。アスペクト比が大きいほど、水蒸気の透過が抑制され、水蒸気バリア性が向上する。また、アスペクト比が大きいほど、層状無機化合物の添加量を低減することができる。アスペクト比の上限は特に限定されず、塗工液の粘度の観点から10000以下程度が好ましい。ここで、アスペクト比とは、水蒸気バリア層の断面について、電子顕微鏡を用いて拡大写真を撮影し、上記した方法で得られた層状無機化合物の平均長さをその平均厚さで除した値である。
層状無機化合物の具体例としては、雲母族、脆雲母族等のマイカ、合成マイカ、ベントナイト、カオリナイト(カオリン鉱物)、パイロフィライト、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、緑泥石、セプテ緑泥石、蛇紋石、スチルプノメレーン、モンモリロナイトなどが挙げられる。
層状無機化合物の中でも、バリア性を向上させる観点から、マイカ、ベントナイト、カオリンおよびタルクより選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。マイカとしては、合成マイカ、白雲母(マスコバイト)、絹雲母(セリサイト)、金雲母(フロコパイト)、黒雲母(バイオタイト)、フッ素金雲母(人造雲母)、紅マイカ、ソーダマイカ、バナジンマイカ、イライト、チンマイカ、パラゴナイト、ブリトル雲母などが挙げられる。また、ベントナイトとしては、モンモリロナイトが挙げられる。カオリンは、長石を含む岩石の風化によってできた粘土であり、カオリナイトが主成分である。タルクは、水酸化マグネシウムとケイ酸塩からなる鉱物であり、滑石とも呼ばれる。
層状無機化合物の含有量は、水蒸気バリア層の全固形分中、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。一方、層状無機化合物の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上である。層状無機化合物のアスペクト比を大きくし、厚さを小さくすることによって、層状無機化合物の含有量を低減させることができ、水蒸気バリア層からの層状無機化合物の脱落を抑えることができる。
層状無機化合物の含有量は、水蒸気バリア層の水懸濁性高分子(バインダー)100質量部に対して、好ましくは0.1〜800質量部、より好ましくは1〜400質量部、さらに好ましくは1〜250質量部である。層状無機化合物の含有量が、水蒸気バリア層の水懸濁性高分子(バインダー)100質量部に対して0.1質量部以上であると、水蒸気バリア性が発現し易い。また、層状無機化合物の含有量が、水蒸気バリア層の水懸濁性高分子(バインダー)100質量部に対して800質量部以下であると、層状無機化合物の一部が層表面から露出し難くなるので、水蒸気バリア性が低下しにくくなる。また、層状無機化合物の含有量が水蒸気バリア層の水懸濁性高分子100質量部に対して800質量部以下であると、ガスバリア層の塗工性が良好となり、均一なガスバリア層が形成されるようになるので、ガスバリア性も良好となる。
〔水懸濁性高分子〕
水懸濁性高分子は、水に懸濁することが可能な高分子のことであり、塗工膜を形成する際に、水を分散媒とした塗工液を調製することが容易である。水懸濁性高分子は、塗工膜の形成においてバインダーとして機能するため、層状無機化合物等を含有する塗膜を紙基材上に形成することができる。水懸濁性高分子の骨格となるポリマーとしては、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体、スチレン−ブタジエン系共重合体、アクリル系樹脂および生分解性樹脂の少なくとも1つを含有することが好ましい。
≪オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体≫
水懸濁性高分子として代表的なオレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体を例に挙げて、以下説明する。オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体を構成する不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和カルボン酸、イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステルおよびマレイン酸モノブチルエステルなどの、少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和ポリカルボン酸アルキルエステル、アクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリル酸スルホエチルナトリウム塩、メタクリル酸スルホプロピルナトリウム塩などの不飽和スルホン酸単量体またはその塩が挙げられる。オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体を構成する不飽和カルボン酸系単量体は、1種類であってもよいし、2種類以上を併用してもよい。
オレフィン単量体としては、エチレン、プロピレン、ブチレン等のエチレンおよびα−オレフィンが好ましく、これらの中でも、エチレンがより好ましい。
オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体は、オレフィン単量体と上記の不飽和カルボン酸系単量体とを乳化重合することによって得られる共重合体であることが好ましい。不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸などが好適である。オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体としては、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体およびエチレン−メタクリル酸ブチル共重合体のうちいずれか1種以上であることが好ましい。共重合体には、オレフィンおよび不飽和カルボン酸系単量体と共重合可能なその他の化合物からなる単量体が少量共重合されていてもよい。
これらの中でも、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体としては、エチレン−アクリル酸共重合体が好ましい。
オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体の具体例としては、たとえばエチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩の水性分散液が、ザイクセン(登録商標)AC等(アクリル酸の共重合比率20mol%、住友精化(株)製)として市販されており、容易に入手し利用することが
できる。
オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体は、不飽和カルボン酸系単量体単位の含有量が1〜50mol%であることが好ましい。アクリル系単量体単位の含有量がこの範囲にあるとき、層状無機化合物の分散性に優れる。オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体における不飽和カルボン酸系単量体単位の含有量は、10〜30mol%であることがより好ましい。
オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体の重量平均分子量は、塗工液粘度や塗工膜の強度の観点から、1万〜1000万が好ましく、10万〜500万がより好ましい。
オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体の含有割合は、特に限定されないが、水蒸気バリア層の全固形分中、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。
≪生分解性樹脂≫
生分解性樹脂の具体例としては、特に限定されず、たとえばポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、3−ヒドロキシブタン酸・3−ヒドロキシヘキサン酸共重合体(PHBH)等が挙げられる。紙基材を用いた包装材料等は、熱可塑性樹脂を用いた包装材料等と比べて環境負荷の低減という利点を有しているが、水蒸気バリア層の水懸濁性高分子として生分解性樹脂を用いることによって、より一層環境負荷を低減させることができる。
水蒸気バリア層における水懸濁性高分子(バインダー)は、アニオン性であることが好ましい。バインダーが、アニオン性であることにより、水蒸気バリア性がより向上する。後述するように、層状無機化合物の平面部分はアニオン性であるが、後述するカチオン性樹脂が吸着すると表面がカチオン性になる。そのため、アニオン性であるバインダーとの親和性が高まることとなる。
水蒸気バリア層は、層状無機化合物と、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体とを含有することが好ましく、アスペクト比が50以上の層状無機化合物と、エチレン−アクリル酸共重合体とを含有することがより好ましい。
〔カチオン性樹脂〕
本発明者において、層状無機化合物を含有する水蒸気バリア層にカチオン性樹脂を添加することが好ましい。カチオン性樹脂を添加することによって、水蒸気バリア性が大きく向上する。
カチオン性樹脂を添加することによって、水蒸気バリア性が大きく向上する理由については、以下のように考えられる。層状無機化合物は、平板状の形態の平面部分がアニオン性、エッジ部分がカチオン性に帯電し易いため、層状無機化合物が相互に立体的に凝集した、いわゆるカードハウス構造をとることが知られている。このカードハウス構造のために、層状無機化合物の水分散液の粘度は非常に高くなる。一方、カードハウス構造は撹拌などにより力を加えると簡単に壊れるため、層状無機化合物の水分散液はチキソトロピー性を示す。
層状無機化合物の水分散液に、適切なカチオン性樹脂を添加すると、層状無機化合物のアニオン性の平面部分にカチオン性樹脂が吸着することによって、カードハウス構造が破壊されると考えられる。その結果、層状無機化合物が立体的に凝集することが抑制され、平板状の層状無機化合物が紙基材平面に対して平行に積層し易くなり、水蒸気バリア性の向上につながるものと推定している。
カチオン性樹脂の具体例としては、ポリアミン樹脂、カチオン変性ポリアミド樹脂(たとえば、アミン変性ポリアミド樹脂)、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ポリアルキレンポリアミン樹脂、ポリアミド化合物、ポリアミドアミン−エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミン−エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素−エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミンポリ尿素−エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドアミンポリ尿素−エピハロヒドリンまたはホルムアルデヒド縮合反応生成物、ポリアミドポリ尿素化合物、ポリアミンポリ尿素化合物、ポリアミドアミンポリ尿素化合物およびポリアミドアミン化合物、ポリビニルピリジン、アミノ変性アクリルアミド系化合物、ポリビニルアミン樹脂、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドなどを挙げることができる。
これらの中では、ポリアミン樹脂、カチオン変性ポリアミド樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂およびポリエチレンイミン樹脂より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
カチオン性樹脂は、表面電荷が0.1〜10meq/gであることが好ましく、0.1〜5.0meq/gであることがより好ましい。カチオン性樹脂の表面電荷が前記範囲内であると、カードハウス構造を破壊することが可能であり、前述したアニオン性バインダー(アニオン性の水懸濁性高分子)とも適度に共存することができる。
なお、カチオン性樹脂の表面電荷は、以下に記載する方法で測定する。まず、試料となる重合体を水に溶解して、重合体濃度1ppmの溶液を得る。その溶液に対し、チャージアナライザーMutek PCD−04型(BTG社製)を用いて、0.001Nポリエチレンスルホン酸ナトリウムを滴下して電荷量を測定する。
水蒸気バリア層におけるカチオン性樹脂の含有量は、水蒸気バリア層に使用される層状無機化合物と水懸濁性高分子の種類に応じて適宜決定すればよいが、バリア性を向上させる観点から、層状無機化合物100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上であり、そして、好ましくは300質量部以下、より好ましくは200質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下、特に好ましくは30質量部以下である。
また、カチオン性樹脂の含有量は、水蒸気バリア層の水懸濁性高分子(バインダー)100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜15質量部であることがより好ましく、3〜10質量部がさらに好ましい。
水蒸気バリア層には、水懸濁性高分子、層状無機化合物、カチオン性樹脂以外に、必要に応じて適宜、分散剤、界面活性剤、消泡剤、濡れ剤、染料、色合い調整剤、増粘剤などを添加することが可能である。
水蒸気バリア層の厚さは、1〜30μmであることが好ましく、3〜20μmであることがより好ましい。また、水蒸気バリア層の塗工量は、固形分として、1〜30g/mであることが好ましく、3〜20g/mであることがより好ましい。
<ガスバリア層>
ガスバリア層は、主として酸素ガスの透過を阻止する機能を有する層であり、すなわち、ガスバリア層は、酸素バリア層であることが好ましい。ガスバリア層は、水溶性高分子を含有することが好ましい。
〔水溶性高分子〕
水溶性高分子としては、たとえば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、デンプンおよびその誘導体、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ウレタン系樹脂、ポリアクリル酸およびその塩、カゼイン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
これらの中でも、完全ケン化もしくは部分ケン化したポリビニルアルコール、または変性ポリビニルアルコールは、ガスバリア性がより優れていることから、好ましい。変性ポリビニルアルコールとしては、エチレン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、珪素変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
さらに、ヒートシール層との親和性の観点から、ポリビニルアルコールおよびエチレン変性ポリビニルアルコールの少なくとも1つを含むことが好ましい。なお、前記ポリビニルアルコールおよびエチレン変性ポリビニルアルコールは、完全ケン化型のポリビニルアルコールおよび完全ケン化型のエチレン変性ポリビニルアルコールであることが好ましい。
なお、ポリビニルアルコールおよびエチレン変性ポリビニルアルコールにおいて、完全ケン化とは、ケン化度が96%超であることを意味する。
水溶性高分子の含有量は、ガスバリア層の全固形分中50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることがより好ましい。
ガスバリア層は、水蒸気バリア層およびヒートシール層との接着強度をより向上させる観点、ならびにガスバリア性をより向上させる観点から、ウレタン樹脂やポリアルキレンイミン等に代表される含窒素化合物を含有してもよい。
含窒素化合物としては、たとえば、ポリエチレンイミンやポリプロピレンイミン、エチレン尿素のエチレンイミン付加物、またはこれらのアルキル変性体、アルケニル変性体、ベンジル変性体等のイミン化合物、またはポリエチレンポリアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ポリビニルアミン等の有機アミン化合物、その他、ポリアミンポリアミド化合物、アルキルまたはシクロペンチル変性ポリエチレンイミン等のポリアルキレンイミン、その他、4級窒素含有アクリルポリマー、(カチオン変性)ポリウレタン、メチロール化メラミン、カルボン酸アミン塩基を有する化合物等が挙げられる。
特に、本発明においては、前記含窒素化合物の中でも、ポリアルキレンイミンを用いることが好ましい。ポリアルキレンイミンとは、分子の主鎖骨格中、あるいは分岐鎖骨格中に窒素原子を含んだ、いわゆるカチオン性を示す含窒素化合物であるため、水蒸気バリア層中の水懸濁性高分子の有するアニオン性極性基と強固に結合する一方で、その上に設けられるヒートシール層中のエチレン−アクリル酸共重合体等のオレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体の有するアニオン性極性基とも強固に結合することから、各層の密着性が非常に優れたバリア包装材料を得ることが可能となる。
含窒素化合物の含有量は、ガスバリア層の全固形分中、ガスバリア性および密着性の向上の観点から、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜3質量%、さらに好ましくは0.3〜1質量%である。
ガスバリア層には、水蒸気バリア層と同様に、前記した層状無機化合物を含有させてもよい。層状無機化合物をガスバリア層に含有させる場合、層状無機化合物の含有量は、特に限定されないが、ガスバリア層の水溶性高分子100質量部に対して、1〜20質量部程度が好ましく、5〜15質量部がより好ましい。層状無機化合物としては、バリア性を向上させる観点から、マイカ、ベントナイト、カオリンおよびタルクより選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。ガスバリア層に含有させる層状無機化合物は、水蒸気バリア層に含有させる層状無機化合物と同一の種類であってもよいし、異なる種類であってもよい。
ガスバリア層は、水溶性高分子、含窒素化合物、および層状無機化合物以外に、必要に応じて適宜、顔料、分散剤、界面活性剤、消泡剤、濡れ剤、染料、色合い調整剤、増粘剤などを添加することが可能である。
ガスバリア層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。また、ガスバリア層の塗工量は、固形分として、0.1〜10g/mであることが好ましく、0.5〜5g/mであることがより好ましい。
<ヒートシール層>
ヒートシール層は、ガスバリア層の上に形成される層であり、加熱により溶融し、接着する層である。ヒートシール層は、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体、および部分ケン化エチレン変性ポリビニルアルコールを含有する。
なお、紙基材の水蒸気バリア層が設けられているのとは反対の面にも、ヒートシール層を有していてもよい。
≪オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体≫
ヒートシール層は、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体を含有する。オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体を構成する不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ブテントリカルボン酸などの不飽和カルボン酸、イタコン酸モノエチルエステル、フマル酸モノブチルエステルおよびマレイン酸モノブチルエステルなどの、少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和ポリカルボン酸アルキルエステル、アクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリル酸スルホエチルナトリウム塩、メタクリル酸スルホプロピルナトリウム塩などの不飽和スルホン酸単量体またはその塩が挙げられる。オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体を構成する不飽和カルボン酸系単量体は、1種類であってもよいし、2種類以上を併用してもよい。
オレフィン単量体としては、エチレン、プロピレン、ブチレン等のエチレンおよびα−オレフィンが好ましく、これらの中でも、エチレンがより好ましい。
オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体は、オレフィン単量体と上記の不飽和カルボン酸系単量体とを乳化重合することによって得られる共重合体であることが好ましい。不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸などが好適である。オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体としては、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体およびエチレン−メタクリル酸ブチル共重合体のうちいずれか1種以上であることが好ましい。共重合体には、オレフィンおよび不飽和カルボン酸系単量体と共重合可能なその他の化合物からなる単量体が少量共重合されていてもよい。
これらの中でも、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体としては、エチレン−アクリル酸共重合体が好ましい。
オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体における不飽和カルボン酸系単量体に由来する構成単位、およびエチレン−アクリル酸共重合体におけるアクリル酸に由来する構成単位の含有量は、優れたヒートシール性および下層であるガスバリア層に対して、優れた塗膜形成性を得る観点から、好ましくは1mol%以上、より好ましくは3mol%以上、さらに好ましくは10mol%以上、よりさらに好ましくは15mol%以上であり、そして、好ましくは60mol%以下、より好ましくは40mol%以下、さらに好ましくは30mol%以下、よりさらに好ましくは25mol%以下である。不飽和カルボン酸系単量体およびアクリル酸に由来する構成単位の含有量が上記の範囲内であると、溶融粘度が60〜120℃となり、優れたヒートシール性が得られる。
オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体の重量平均分子量は、塗工液粘度や塗工膜の強度の観点から、1万〜1000万が好ましく、10万〜500万がより好ましい。
オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体の具体例としては、たとえばエチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩の水性分散液が、ザイクセン(登録商標)AC等(アクリル酸の共重合比率20mol%、住友精化(株)製)として市販されており、容易に入手し利用することができる。
ヒートシール層におけるオレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体の含有割合は、塗膜形成性およびヒートシール性の観点から、ヒートシール層の固形分中、98質量%以下であり、好ましくは97質量%以下、より好ましくは96質量%以下であり、そして、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは88質量%以上、よりさらに好ましくは89質量%以上である。
≪部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコール≫
本発明において、ヒートシール層は、部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールを含有する。
部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールは、エチレンとビニルエステル系モノマーとを共重合して得られたエチレン−ビニルエステル系重合体を部分ケン化し、ビニルエステル単位の一部をビニルアルコール単位としたものである。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、たとえば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が例示され、これらの中でも酢酸ビニルが好ましい。
部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールのケン化度は、ヒートシール性および塗膜形成性の観点から、86モル%以上、好ましくは88モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは92モル%以上であり、そして、96モル%以下、好ましくは95モル%以下、より好ましくは94モル%以下である。
部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールのエチレン変性度は、水への溶解性、ヒートシール性および塗膜形成性の観点から、好ましくは1モル%以上であり、そして、好ましくは50モル%以下、より好ましくは35モル%以下、さらに好ましくは20モル%以下、よりさらに好ましくは15モル%以下、特に好ましくは10モル%以下である。
なお、エチレン変性度は、エチレンとビニルエステル系モノマーとを共重合して得られたエチレン−ビニルエステル系重合体またはこれを部分ケン化して得られた部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールにおけるエチレンに由来する構成単位の含有量(モル%)であり、その数値は、核磁気共鳴法による測定から得られる。
なお、部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールを得るために、エチレンとビニルエステル系モノマーを共重合させる際に、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、共重合可能な他のモノマーを共重合してもよい。他のモノマーの含有量は、全モノマー中、好ましくは15モル%以下、より好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下であり、含有しなくてもよい。
なお、共重合可能な他のモノマーとしては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等の炭素数3〜30のオレフィン類;(メタ)アクリル酸およびその塩;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等のN−ビニルアミド類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸およびその塩またはそのエステル;イタコン酸およびその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等のN−ビニルアミド類を挙げることができる。
部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールとしては、市販品を使用してもよく、たとえば、エクセバール(登録商標)((株)クラレ)が例示され、所望のケン化度、粘度等により、適宜選択して使用すればよい。
部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールの20℃における4%水溶液のブルックフィールド型粘度計により測定した粘度は、塗膜形成性の観点から、好ましくは3mPa・s以上、より好ましくは5mPa・s以上、さらに好ましくは10mPa・s以上であり、そして、好ましくは50mPa・s以下、より好ましくは40mPa・s以下、さらに好ましくは30mPa・s以下である。
ヒートシール層中の部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールの含有量は、固形分で、2質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上であり、そして、12質量%以下、好ましくは10質量%以下である。
ヒートシール層中の部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールの含有量が、固形分で2質量%以上であると、ガスバリア層上にヒートシール層を塗工した際のハジキに発生が抑制され、またひび割れの発生も抑制され、塗膜形成性が良好である。
また、ヒートシール層中の部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールの含有量が、固形分で12質量%以下であると、良好なヒートシール性が得られる。
ヒートシール層の塗工量は、固形分で、3g/m以上、好ましくは3.5g/m以上、より好ましくは4g/m以上、さらに好ましくは5g/m以上であり、そして、7g/m以下、好ましくは6.5g/m以下である。
ヒートシール層の塗工量が、固形分で3g/m以上であると、優れたヒートシール性が得られる。また、7g/m以下であると、塗膜形成性が良好であり、ヒートシール層のひび割れの発生が抑制される。
ヒートシール層の厚さは、十分なヒートシール性を得るために、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上であり、そして、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下である。
[バリア包装材料]
本発明のバリア包装材料は、紙基材の少なくとも片面に水蒸気バリア層、ガスバリア層およびヒートシール層をこの順で有する。紙基材の他の一面には、保護層、ヒートシール層等が設けられていてもよい。
本発明のバリア包装材料は、水蒸気バリア性とガスバリア性に優れている。
水蒸気バリア性に関し、具体的には、水蒸気透過度が20g/m・day以下であることが好ましく、10g/m・day以下であることがより好ましい。
また、ガスバリア性に関し、具体的には、酸素透過度が1mL/m・day・atm以下であることが好ましく、0.5mL/m・day・atm以下であることがより好ましい。
[バリア包装材料の製造方法]
本発明のバリア包装材料は、紙基材上に少なくとも3層を有している。
各層の形成方法は特に限定されないが、塗工法により形成することが好ましい。具体的には、紙基材上に、まず水蒸気バリア層塗工液(水蒸気バリア層塗料)を塗工し、乾燥して、水蒸気バリア層を形成した後、ガスバリア層塗工液(ガスバリア層塗料)を塗工し、乾燥して、ガスバリア層を形成し、さらに、ヒートシール層塗工液(ヒートシール層塗料)を塗工し、乾燥して、ヒートシール層を形成することが好ましい。
なお、紙基材に複数の塗工層を形成する場合において、逐次的に塗工層を形成する上記の方法が好ましいが、これに限定されるものではなく、同時多層塗工法を採用してもよい。同時多層塗工法とは、複数種の塗工液をそれぞれ別個にスリット状ノズルから吐出させて、液体状の積層体を形成し、それを紙基材上に塗工することにより、多層の塗工膜を同時に形成する方法である。
塗工液を塗工するための塗工設備には特に制限はなく、公知の設備を用いればよい。塗工設備としては、たとえば、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ゲートロールコーターなどが例示される。特に、水蒸気バリア層の形成には、ブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、スリットダイコーターなどの塗工表面をスクレイプするコーターが、層状無機化合物の配向を促す点で好ましい。
塗工層を乾燥するための乾燥設備には、特に限定はなく、公知の設備を用いることができる。乾燥設備としては、たとえば、熱風乾燥機、赤外線乾燥機、ガスバーナー、熱板などが挙げられる。また、乾燥温度は、乾燥時間等を考慮して、適宜設定すればよい。
各層の塗工液の溶媒としては、特に制限はなく、水またはエタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトンもしくはトルエンなどの有機溶媒を用いることができる。
これらの中でも、本発明において、揮発性有機溶媒の問題を生じない観点から、各層の塗工液の分散媒としては、水が好ましい。
すなわち、水蒸気バリア層塗工液は、水蒸気バリア層用水系組成物であり、ガスバリア層塗工液は、ガスバリア層用水系組成物である。
各層の塗工液の固形分量は特に限定されず、塗工性および乾燥容易性の観点から適宜選択すればよいが、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
本発明においてバリア包装材料は、以下の方法により製造することが好ましい。
紙基材の少なくとも片面に、水蒸気バリア層、ガスバリア層が設けられた積層体に、ヒートシール層用水系組成物を塗工する工程、および、塗工されたヒートシール層用水系組成物を乾燥して、紙基材、水蒸気バリア層、ガスバリア層およびヒートシール層がこの順で設けられたバリア包装材料を得る工程を有し、前記ヒートシール層用水系組成物は、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体、および部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールを含み、前記ヒートシール層中の前記部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールの含有量が2質量%以上12質量%以下であり、前記部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールのケン化度が86モル%以上96モル%以下であり、ヒートシール層用水系組成物を、乾燥後の塗工量が3g/m以上7g/m以下となるように塗工する、バリア包装材料の製造方法。
本実施形態のバリア包装材料は、上記の優れた水蒸気バリア性およびガスバリア性、ならびにヒートシール性を生かして、食品、医療品、電子部品等の包装用材料として好適に用いることができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、実施例および比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
[実施例1]
<水蒸気バリア層塗料の調製>
バリサーフHX(イメリスミネラルズ製、エンジニアードカオリン、固形分100%、粒子径9.0μm、アスペクト比 80〜100、厚さ 約100nm)55部と水45部を、カウレス分散機を用いて混合し、カオリン水分散液(濃度55質量%)を得た。ザイクセンAC(住友精化(株)製、エチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩、固形分29%、アクリル酸の共重合比率:20モル%、融点:80〜95℃)113部、カオリン水分散液120部、スミレーズレジンSPI−203(50)H(田岡化学工業(株)製、カチオン変性ポリアミド樹脂、固形分51%、表面電荷0.4meq/g)2.6部、さらに固形分濃度40%になるように水を加えて撹拌し、水蒸気バリア層塗料(濃度40%)を調製した。
<ガス(酸素)バリア層塗料の調製>
エクセバールAQ−4104((株)クラレ製、エチレン変性ポリビニルアルコール、固形分100%、完全ケン化型)99.5部を水に溶解し、エポミンP−1000((株)日本触媒製、ポリエチレンイミン、固形分濃度30%)1.7部を加え、さらに固形分濃度11%になるよう水を加えて撹拌し、ガスバリア層塗料(濃度11%)を調製した。
<ヒートシール層塗料の調製>
ザイクセンAC(住友精化(株)製、エチレン−アクリル酸共重合体アンモニウム塩、固形分29%、アクリル酸の共重合比率20モル%、融点:80〜95℃)327.6部、あらかじめ水に溶解したエクセバールRS−1713((株)クラレ製、部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコール、ケン化度92〜94モル%、粘度(20℃、4%水溶液)15.5〜21.0mPa・s、固形分100%)水分散液(濃度11%)45.5部を混合し、さらに固形分濃度20%になるよう水を加えて撹拌し、ヒートシール層塗料(濃度20%)とした。
<バリア包装材料の製造>
得られた水蒸気バリア層塗料を、水蒸気バリア層の乾燥後の塗工量が12g/mとなるように、晒クラフト紙(坪量52g/m、厚さ68μm、ステキヒトサイズ度15秒、長網抄紙機で製造、王研式平滑度60秒)の一方の面上にメイヤーバーで塗工した後、熱風乾燥機内で120℃、1分間乾燥し、水蒸気バリア層(乾燥後厚さ:約7μm)を形成した。さらに、水蒸気バリア層の上に、ガスバリア層塗料をガスバリア層の乾燥後の塗工量が2.5g/m(乾燥後厚さ:約2μm)となるように、メイヤーバーで塗工した後、熱風乾燥機内で120℃、1分間乾燥し、ガスバリア層を形成した。さらに、ガスバリア層の上に、ヒートシール層塗料を、ヒートシール層の乾燥後の塗工量が6.0g/m(乾燥後厚さ:約7μm)となるように、メイヤーバーで塗工した後、熱風乾燥機内で120℃、1分間乾燥し、ヒートシール層を形成し、バリア包装材料を得た。塗工量は、塗工液の固形分濃度とメイヤーバーの番手によって調節した。
[実施例2]
ヒートシール層塗料に配合したザイクセンACの部数を310部に変更し、エクセバールRS−1713水分散液の部数を90.9部に変更した以外は実施例1と同様にしてバリア包装材料を得た。
[実施例3]
ヒートシール層塗料に配合したエクセバールRS−1713水分散液をエクセバールRS1717((株)クラレ製、部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコール、ケン化度92〜94モル%、粘度(20℃、4%水溶液)23.0〜30.0mPa・s、固形分100%)水分散液(濃度11%)に変更した以外は実施例1と同様にしてバリア包装材料を得た。
[実施例4]
ヒートシール層の乾燥後の塗工量を4.0g/mに変更した以外は実施例1と同様にしてバリア包装材料を得た。
[実施例5]
ガスバリア層塗料に配合したエクセバールAQ−4104をクラレポバールPVA−28−98((株)クラレ製、完全ケン化型ポリビニルアルコール、ケン化度98〜99モル%、粘度(20℃、4%水溶液)25.0〜31.0mPa・s、固形分100%)に変更した以外は実施例1と同様にしてバリア包装材料を得た。
[比較例1]
ヒートシール層塗料の配合を、ザイクセンAC 345部のみに変更した以外は実施例1と同様にしてバリア包装材料を得た。
[比較例2]
ヒートシール層塗料に配合したザイクセンACの部数を341部に変更し、エクセバールRS−1713水分散液の部数を9.1部に変更した以外は実施例1と同様にしてバリア包装材料を得た。
[比較例3]
ヒートシール層塗料に配合したザイクセンACの部数を293部に変更し、エクセバールRS−1713水分散液の部数を136部に変更した以外は実施例1と同様にしてバリア包装材料を得た。
[比較例4]
ヒートシール層塗料に配合したエクセバールRS−1713水分散液をエクセバールRS−2117((株)クラレ製、完全ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコール、ケン化度97.5〜99モル%、粘度(20℃、4%水溶液)25.0〜30.0mPa・s、固形分100%)水分散液に変更した以外は実施例1と同様にしてバリア包装材料を得た。
[比較例5]
ヒートシール層塗料に配合したエクセバールRS−1713水分散液をエクセバールRS−4104((株)クラレ製、完全ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコール、ケン化度98〜99モル%、粘度(20℃、4%水溶液)3.5〜4.5mPa・s、固形分100%)水分散液に変更した以外は実施例1と同様にしてバリア包装材料を得た。
[比較例6]
ヒートシール層の乾燥後の塗工量を2.0g/mに変更した以外は実施例1と同様にしてバリア包装材料を得た。
[比較例7]
ヒートシール層の乾燥後の塗工量を8.0g/mに変更した以外は実施例1と同様にしてバリア包装材料を得た。
[評価]
<透湿度(水蒸気透過度)>
JIS−Z−0208(カップ法)B法(40℃±0.5℃,90%±2%RH)で水蒸気バリア層を内側にして測定した。なお、透湿度の基準としては、50g/m・24h以下であれば、水蒸気バリア層として実用性がある。
<酸素透過度>
酸素透過率測定装置(MOCON社製、OX−TRAN2/20)を使用し、23℃,50%RH条件にて測定した。なお、酸素透過度の基準として、10cc/m・24h以下であれば、ガスバリア層として実用性がある。
<ハジキの評価>
ヒートシール層をメイヤーバーで塗工した後、2秒後に目視で塗工面を観察し、下記の基準で評価した。性能の評価としてAのときを合格と判定した。
A:ハジキがなく、均一な表面状態を保っている。
B:微小なハジキが発生している。
C:表面全体に大きなハジキが発生している。
<ひび割れの評価>
得られたバリア包装材料の塗工面を目視で観察し、下記の基準で評価した。性能の評価としてAのときを合格と判定した。
A:塗工面にひび割れがない
B:塗工面の一部に微小なひび割れがある
C:塗工面の全面にひび割れがある
<ヒートシール性の評価>
1組のバリア包装材料を、ヒートシール層が向き合うように重ね、ヒートシールテスター(テスター産業製、TP−701−B)を用いて、140℃、2.0MPa、1秒の条件でヒートシールし、下記の基準で評価した。性能の評価としてAまたはBのときを合格と判定した。
A:手で剥離したとき、基材破壊する
B:手で剥離したとき、ほとんどの場合で基材破壊するが、稀に基材破壊しない場合がある
C:手で剥離したとき、基材破壊は起きないが、容易には剥離しない
D:容易に剥離する
実施例のバリア包装材料では、比較例のバリア包装材料に比べ、塗膜形成性が良好であり、ヒートシール層におけるハジキやひび割れの発生が抑制された。さらに、実施例のバリア包装材料は、良好なヒートシール性を示した。
一方、ヒートシール層が部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールを含有しない比較例1、部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールを含有するものの含有量が少ない比較例2では、塗膜形成性が不良となり、ハジキが発生したり、ひび割れが発生した。また、部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールを多量に含む比較例3では、ヒートシール性が不良となった。さらに、完全ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールを使用した比較例4および5では、十分なヒートシール性が得られなかった。また、粘度の低い完全ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールを使用した比較例5では、酸素バリア層との親和性の低下に伴うと考えられるハジキが発生した。
また、ヒートシール層の塗工量が少ない比較例6では、十分なヒートシール性が得られなかった。さらに、ヒートシール層の塗工量が多い比較例7では、ヒートシール層にひび割れが発生し、塗膜形成性が十分ではなかった。

Claims (5)

  1. 紙基材の少なくとも片面に、水蒸気バリア層、ガスバリア層、およびヒートシール層がこの順で積層されたバリア包装材料であり、
    前記ヒートシール層は、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体、および部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールを含み、
    前記ヒートシール層中の前記部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールの含有量が2質量%以上12質量%以下であり、
    前記部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールのケン化度が86モル%以上96モル%以下であり、
    ヒートシール層の塗工量が3g/m以上7g/m以下である、
    バリア包装材料。
  2. 前記部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールの20℃における4%水溶液のブルックフィールド型粘度計により測定した粘度が3mPa・s以上50mPa・s以下である、請求項1に記載のバリア包装材料。
  3. ガスバリア層が、ポリビニルアルコールおよびエチレン変性ポリビニルアルコールの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載のバリア包装材料。
  4. 前記水蒸気バリア層が、アスペクト比50以上の層状無機化合物と、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体とを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載のバリア包装材料。
  5. 紙基材の少なくとも片面に、水蒸気バリア層、ガスバリア層が設けられた積層体に、ヒートシール層用水系組成物を塗工する工程、および、
    塗工されたヒートシール層用水系組成物を乾燥して、紙基材、水蒸気バリア層、ガスバリア層およびヒートシール層がこの順で設けられたバリア包装材料を得る工程を有し、
    前記ヒートシール層用水系組成物は、オレフィン−不飽和カルボン酸系共重合体、および部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールを含み、
    前記ヒートシール層中の前記部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールの含有量が2質量%以上12質量%以下であり、
    前記部分ケン化型エチレン変性ポリビニルアルコールのケン化度が86モル%以上96モル%以下であり、
    ヒートシール層用水系組成物を、乾燥後の塗工量が3g/m以上7g/m以下となるように塗工する、
    バリア包装材料の製造方法。
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