JP6805513B2 - 多層構造体 - Google Patents
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Description
包装材料としてのシート、フィルム、容器は、EVOH単独で作製することは可能であるが、通常、耐水性や強度アップ、他の機能の付与などのために、接着樹脂層を介して、EVOH以外の熱可塑性樹脂(他の熱可塑性樹脂)を積層した多層構造体として用いられる。
しかしながら、特許文献1に開示の2種類のEVOHと特定のホウ素濃度を含有する樹脂組成物は、例えば、フィードブロック・ダイ形状の多様化、成形装置の高機能化などといった、近年の技術の高度化に伴って、多層共押出成形した際に、成形性が不充分である為に、得られる多層構造体の外観、特に、多層構造体の透明性が不充分であるなどの問題点も生じてきた。
これは、EVOHと隣接する接着樹脂の組み合わせによっては、EVOH層と接着樹脂層の積層界面での界面層の厚みが異なり、それらの多層共押出流動挙動が複雑化してしまい、成形条件によっては多層構造体の透明性が悪化した為と考えられる。
そのため、本発明においては、より実用性に適した透明性の評価として、像鮮明度、すなわち、フィルムを隔てて得られる光学像が明瞭であるかどうかを指標に用いた。
そして、本発明においては、該EVOH層と該接着樹脂層の積層界面における界面層の厚み(X)が界面の一面あたり50〜400nmであり、無水マレイン酸変性ポリオレフィンの吸光度比(α/β)が0.005〜0.1であることを最大の特徴とするものである。かかる界面層の厚み(X)の好ましい範囲は界面の一面あたり100〜380nm、特には200〜350nmである。かかるEVOH層と接着樹脂層の積層界面での界面層の厚み(X)が大きくなると、かかる多層構造体を多層共押出成形した場合に、EVOH層/接着樹脂層界面で発生する界面荒れに起因する外観不良が発生し易い。一方で、EVOH層と接着樹脂層の積層界面での界面層の厚み(X)が小さすぎると、かかる多層構造体の機械的強度(接着強度)が実用的なレベルで維持できない。
なお、EVOH層と接着樹脂層の積層界面が複数ある場合は、少なくとも1つの積層界面での界面層の厚みが、上記範囲を満たせばよく、好ましくは、全部の積層界面での界面層の厚みが上記範囲を満たすものである。従って、上記「EVOH層と該接着樹脂層の積層界面における界面層の厚み(X)が界面の一面あたり50〜400nmである」とは、EVOH層と該接着樹脂層の積層界面が単数(一つ)の場合は、その積層界面での界面層の厚みが50〜400nmであるという趣旨であり、EVOH層と該接着樹脂層の積層界面が複数の場合は、その複数の積層界面のうち少なくとも一つの積層界面の厚みが50〜400nmであるという趣旨である。
また、EVOH層と接着樹脂層の積層界面での界面層の厚み(X)は下記の通り測定される。
本発明におけるEVOH層と接着樹脂層の積層界面での界面層の厚み(X)は、多層構造体の断面を走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」と称することがある。)を用いて観察し、測定されたものである。
例えば、走査型電子顕微鏡(日本電子社製、『JSM−6510LA』)を用い、下記手順にて測定することができる。
EVOHを含む多層構造体を5mm×5mm程切り出し、クロスセクションポリッシャー(日本電子社製、『IB−09020CP』)を用いて、かかるEVOHを含む多層構造体を厚み方向にアルゴンイオンビームによって切削し、多層構造体断面をSEMにて撮影するための試料を作製する。作製した撮影用試料はSEM(日本電子社製、『JSM−6510LA』)にて5000倍の倍率にて撮影し、EVOH層と接着樹脂層の積層界面付近の画像を得る。
上記手順で得られた画像から、EVOH層と接着樹脂層の積層界面での界面層の厚み(X)を求める。具体的には、上記手順で得られた画像から、多層構造体中のEVOH(明)と接着樹脂(暗)の積層界面(接線)に対して垂線を引き、その垂線上の輝度分布(縦軸:輝度、横軸:距離)を、画像解析ソフト(『Image−J』など)によって出力する。
本発明においては、この輝度分布から得られた2つの変曲点間における横軸上の距離をEVOH層と接着樹脂層の積層界面での界面層の厚み(X)とする。
本発明で用いるEVOHは、通常、エチレンとビニルエステル系モノマーとの共重合体(エチレン−ビニルエステル系共重合体)をケン化することにより得られる樹脂であり、非水溶性の熱可塑性樹脂である。重合法も公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合を用いて行うことができるが、一般的にはメタノール等の低級アルコールを溶媒とする溶液重合が用いられる。得られたエチレン−ビニルエステル系共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。このようにして製造されるEVOHは、エチレン由来の構造単位とビニルアルコール構造単位を主とし、ケン化されずに残存した若干量のビニルエステル構造単位を含むものである。
なお、以下に、2種類のEVOHを用いた場合について説明するが、3種以上の場合には、最もエチレン構造単位のエチレン含有率が高いものと、最も低いもの以外は、エチレン含有率のその範囲内で適宜用いることができる。
以下、例えば、2種類のEVOHを用いた場合について説明する。
本発明で用いられる接着樹脂について説明する。
接着樹脂としては、無水マレイン酸変性ポリオレフィンを使用し、基材樹脂としてポリオレフィン、特に直鎖状低密度ポリエチレンやポリプロピレンとの組み合わせが好ましい。
なお、かかる吸光度比(α/β)は、赤外分光分析(IR)における、C=O伸縮振動に由来する1710cm-1付近の吸光度(α)とC−H変角振動に由来する1450cm-1付近の吸光度(β)の吸光度比(α/β)から評価することができ、無水マレイン酸変性ポリオレフィンにおける無水マレイン酸含有量の指標となる。かかる吸光度比が大きいほど無水マレイン酸含有量が多いことを示している。
100℃で3時間加熱乾燥した無水マレイン酸変性ポリオレフィンを、ミクロトームでスライスして薄片(膜厚90μm)を作製する。ついで、得られた薄片を透過でフーリエ変換型赤外分光分析装置(FT−IR)で測定することによって、1710cm-1付近の吸光度(α)と1450cm-1付近の吸光度(β)から、吸光度比(α/β)を評価することができる。
本発明で用いられる他の熱可塑性樹脂について説明する。本発明において、上記他の熱可塑性樹脂としては、EVOH以外の熱可塑性樹脂であればよい。
なお、本発明において、超低密度ポリエチレンとは、平均密度が0.870〜0.909g/cm3のポリエチレンをいい、低密度ポリエチレンとは、平均密度が0.910〜0.925g/cm3のポリエチレンをいい、中密度ポリエチレンとは、平均密度が0.926〜0.940g/cm3のポリエチレンをいい、高密度ポリエチレンとは、平均密度が0.941g/cm3以上のポリエチレンをいう。
多層構造体の層構成は、前記のEVOH層をa(a1、a2、・・・)、接着樹脂層をb(b1、b2、・・・)、熱可塑性樹脂層をc(c1、c2、・・・)とするとき、a/b/c、a1/b/a2、c1/b/a/c2、c/a1/b2/a2、c1/b1/a/b2/c2、c1/a1/b/a2/c2、c1/b1/a1/b2/a2/b3/c2等任意の組み合わせが可能である。また、該多層構造体を製造する過程で発生する端部や不良品等を回収して再度溶融成形して得られる、EVOHと接着樹脂と熱可塑性樹脂との混合物を含むリサイクル層をR(R1、R2、・・・)とするとき、c/R/b/a、c/R/a1/b/a2、c1/R/a/b/c2、c/R1/a1/b/a2/R2、c1/R1/b1/a/b2/R2/c2、c1/R1/a1/b/a2/R2/c2等とすることも可能である。
熱可塑性樹脂層の厚みは、通常0.1〜5000μm、好ましくは1〜1000μmであり、接着樹脂層の厚みは、通常0.1〜500μm、好ましくは1〜250μmである。
また、多層構造体における熱可塑性樹脂層と接着樹脂層の厚み比(熱可塑性樹脂層/接着樹脂層)は、各層が複数ある場合は最も厚みの厚い層同士の比にて、通常99/1〜50/50、好ましくは95/5〜55/45、特に好ましくは90/10〜60/40である。
(1)EVOH層において、EVOH層/接着樹脂層の積層界面での界面層の厚み(X)を調整する方法について
例えば、EVOHの分子量、とりわけMFRや、エチレン含有率、ケン化度を変える、あるいは複数のEVOHを併用することで調整することができる。ただし、これらの方法であると成形性やガスバリア性など、他の特性も大きく変化することがあるため、かかる方法を適用する場合には他の特性面も考慮する必要がある。その場合には、EVOH層/接着樹脂層の積層界面での界面層の厚み(X)に及ぼす効果が大きい添加剤を微量用いて、他の特性に影響を与えない方法が好ましい。
かかる添加剤としては、例えば、下記のものを配合することが挙げられる。
(i)EVOHに対して反応系樹脂であるポリアミド系樹脂を配合する。
(ii)EVOHに対して反応系樹脂である接着樹脂(代表的には不飽和カルボン酸またはそれらの無水物をポリオレフィン系樹脂に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体や、変性エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)などを挙げることができる。)を配合する。具体的には、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステルなどが挙げられ、特に、無水マレイン酸が好適である。
(iii)非反応系の相溶化剤(界面張力低下目的;例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー(SBS)、水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)など)を配合する。
(iV)反応系の相溶化剤(界面張力低下目的;酸無水物基、カルボン酸基、エポキシ基、オキサゾリン基など、EVOH中の水酸基と反応する官能基を有するポリマー、またはそれらを含む共重合体)を配合する。
(V)アイオノマーを配合する。
(Vi)酢酸、ホウ酸、リン酸等の酸類やそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等の金属塩を含有させる。
(Vii)高級脂肪酸亜鉛塩等の高級脂肪酸金属塩等を配合する。
例えば、分子量の異なる接着樹脂や組成の異なる樹脂を配合する、酸変性の度合いを変更するなどが挙げられる。
この他、接着樹脂に、EVOH層/接着樹脂層の積層界面での界面層の厚み(X)に及ぼす効果が大きい添加剤を微量添加することができる。
かかる添加剤としては、例えば、下記のものを配合することが挙げられる。
(i)EVOH。
(ii)EVOHに対して反応系樹脂であるポリアミド系樹脂を配合する。
(iii)EVOHに対して反応系樹脂である接着樹脂(代表的には不飽和カルボン酸またはそれらの無水物をポリオレフィン系樹脂に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体や、変性エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)などを挙げることができる。)を配合する。具体的には、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステルなどが挙げられ、特に、無水マレイン酸が好適である。
(iV)非反応系の相溶化剤(界面張力低下目的;例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー(SBS)、水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)など)を配合する。
(V)反応系の相溶化剤(界面張力低下目的;酸無水物基、カルボン酸基、エポキシ基、オキサゾリン基など、EVOH中の水酸基と反応する官能基を有するポリマー、またはそれらを含む共重合体)を配合する。
(Vi)アイオノマーを配合する。
(Vii)酢酸、ホウ酸、リン酸等の酸類やそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等の金属塩を配合する。
(Viii)高級脂肪酸亜鉛塩等の高級脂肪酸金属塩等を配合する。
理由は明らかではないが、高級脂肪酸金属塩は、EVOH層/接着樹脂層の積層界面での界面層の厚みを適度に抑制し、他の樹脂との多層共押出成形時に発生する微小な界面荒れを低減すると考えられる。
本発明の多層構造体に用いられるEVOH層には、本発明の趣旨を阻害しない範囲(例えば1重量%以下)において、上記成分以外に可塑剤、フィラー、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、着色剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤等の公知の添加剤を適宜配合する
ことができる。
本発明の多層構造体に用いられるEVOHに高級脂肪酸金属塩を配合する方法については、例えば、EVOH、高級脂肪酸金属塩を所定割合で配合して、溶融混練等により配合してもよいし、各成分を所定割合でドライブレンドするだけでもよい。
また、ドライブレンドによる配合方法は、溶融状態のEVOHに対する高級脂肪酸金属塩による分解抑制という観点から好ましい。すなわち、EVOH組成物は、ドライブレンドによって、各EVOH表面に、高級脂肪酸金属塩が付着して存在している状態が好ましい。
また、いずれか任意のEVOHと高級脂肪酸金属塩をドライブレンドしたものに、残りのEVOHを配合してもよいし、予め作製した任意のEVOHと高級脂肪酸金属塩とのコンパウンドに、残りのEVOHを配合してもよい。
さらに、任意のEVOHと高級脂肪酸金属塩とをドライブレンドしたものに、残りのEVOHと高級脂肪酸金属塩とをドライブレンドしたものを配合してもよいし、予め作製した任意のEVOHと高級脂肪酸金属塩とのコンパウンドに、予め作製した残りのEVOHと高級脂肪酸金属塩とのコンパウンドを配合してもよい。
以上のような構成を有する多層構造体は、通常、加熱延伸処理を施して用いられる。本発明のEVOH層がガスバリア層として優れたガスバリア性を有し、しかも積層界面における界面荒れが低減されるため、公知の種々の加熱延伸処理を適用することができる。
本発明のEVOHを有する多層構造体は、隣接する層との界面における乱れが低減され、優れた加熱延伸性を有しているので、一軸延伸、逐次的に異なる方向に延伸する二軸延伸だけでなく、同時に放射方向に延伸されることになる金型密着による延伸加工成形やブロー成形にも適している。
本発明の多層構造体は、真空成型、圧空成形により二次成形品、特にカップやトレイ等の有底容器の製造の原料に適している。本発明の多層構造体は、積層界面での微小な樹脂流れの乱れが少ないことから、外観に優れた二次成形品を得ることができる。
熱可塑性樹脂層の厚みは、通常0.1〜5000μm、好ましくは1〜1000μmであり、接着樹脂層の厚みは、通常0.1〜500μm、好ましくは1〜250μmである。
尚、例中「部」とあるのは、重量基準を意味する。
以下に示す4種類のEVOHから選択し、EVOHと表1に示す高級脂肪酸亜鉛塩を表1に示す濃度で配合し、ドライブレンドすることにより、実施例1〜4、比較例1〜4および参考例1〜3に用いる11種類のEVOHを調製した。
・EVOH1:エチレン含有率29モル%、ケン化度99.6モル%、MFR4.0g/10分(210℃、荷重2160g)、ホウ素含有量90ppm
・EVOH2:エチレン含有率44モル%、ケン化度98.5モル%、MFR4.0g/10分(210℃、荷重2160g)、ホウ素含有量70ppm
・EVOH3:エチレン含有率25モル%、ケン化度99.7モル%、MFR4.2g/10分(210℃、荷重2160g)、ホウ素含有量80ppm
・EVOH4:エチレン含有率38モル%、ケン化度99.7モル%、MFR4.1g/10分(210℃、荷重2160g)、ホウ素含有量250ppm
〔参考例3に用いる接着樹脂の製造〕
接着樹脂(LyondellBasell社製「PLEXAR PX3236」、吸光度比(α/β):0.05)と表1に示す高級脂肪酸亜鉛塩を表1に示す濃度で配合し、ドライブレンドすることにより、参考例3に用いる接着樹脂を調製した。
〔多層構造体の製造〕
実施例1〜4、比較例1〜4および参考例1〜2については、3種5層多層共押出キャストフィルム製膜装置に、上記で調製したEVOH、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(日本ポリエチレン社製「UF240」)、接着樹脂(LyondellBasell社製「PLEXAR PX3236」、吸光度比(α/β):0.05)を供給して、下記条件で多層共押出成形により、LLDPE層/接着樹脂層/EVOH層/接着樹脂層/LLDPE層の3種5層構造の多層構造体(フィルム)を得た。多層構造体の各層の厚み(μm)は、37.5/5/15/5/37.5であった。成形装置のダイ温度は、全て210℃に設定した。
参考例3については、EVOHとしてEVOH4単体、接着樹脂として上記で調製した接着樹脂を用いた以外は、上記実施例1〜4、比較例1〜4および参考例1〜2と同じ方法で多層構造体を得た。
(多層共押出成形条件)
・中間層押出機(EVOH):40mmφ単軸押出機(バレル温度:210℃)
・上下層押出機(LLDPE):40mmφ単軸押出機(バレル温度:210℃)
・中上下層押出機(接着樹脂):32mmφ単軸押出機(バレル温度:210℃)
・ダイ:3種5層フィードブロック型Tダイ(ダイ温度:210℃)
・引取速度:14m/分
・ロール温度:50℃
上記で作製した多層構造体におけるEVOH層と接着樹脂層の積層界面の界面厚み(X)は、走査型電子顕微鏡(日本電子社製、『JSM−6510LA』)を用い、下記手順にて評価した。
上記で作製した多層構造体を5mm×5mm程切り出し、クロスセクションポリッシャー(日本電子社製、『IB−09020CP』)を用いて、かかるEVOHを含む多層構造体を厚み方向にアルゴンイオンビームによって切削し、多層構造体断面をSEMにて撮影するための試料を作製した。作製した撮影用試料はSEM(日本電子社製、『JSM−6510LA』)にて5000倍の倍率にて撮影し、EVOH層と接着樹脂層の積層界面付近の画像を得た。
通常、撮影用試料を、SEMを使って撮影するためには、白金蒸着などの前処理が必要であるが、EVOH層と接着樹脂層の積層界面付近を蒸着未処理でSEMを使って撮影すると、各層の組成に応じてEVOH(明部分)と接着樹脂(暗部分)のコントラストが付く。これによって、多層構造体中のEVOH層と接着樹脂層の積層界面を可視化することができる。
この特性を利用し、上記手順で得られた画像から、EVOH層と接着樹脂層の積層界面での界面層の厚み(X)を求める。具体的には、上記手順で得られた画像から、多層構造体中のEVOH(明部分)と接着樹脂(暗部分)の積層界面(接線)に対して垂線を引き、その垂線上の輝度分布(縦軸:輝度、横軸:距離)を、画像解析ソフト(『Image−J』)によって出力した。
本発明においては、この輝度分布から得られた2つの変曲点間における横軸上の距離をEVOH層と接着樹脂層の積層界面での界面層の厚み(X)とした。
JIS K 7374「プラスチック−像鮮明度の求め方」に準拠して透過法により、多層構造体の像鮮明度を測定した。フィルム試験片は、フィルム機械方向を鉛直方向として測定した。測定器にはスガ試験機社製ICM−1型写像性測定器を用いた。光学櫛は0.5mm、1.0mm、2.0mmを使用した。
上記で調整したEVOH55gをプラストグラフEC−plus(ブラベンダー社製)を用いて50rpm、250℃で混練したときのトルク変化を測定した。混練開始から5分後のトルクを測定し、トルク値がその5分後のトルクの20%になるまでの時間を測定した。この時間が長いほど、溶融粘度変化が少なく、ロングラン性に優れていることを示す。そして、下記の基準にて評価した。
A :45分以上。
B :35分以上45分未満。
C :25分以上35分未満。
D :25分未満。
Claims (1)
- エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物を含有する層の少なくとも一方の面に、接着樹脂層を介して、エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物以外の熱可塑性樹脂層が積層されてなる多層構造体であって、該エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物が、エチレン構造単位の含有率が異なる2種類以上のエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物の混合物であり、該2種類以上のエチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物の内、最もエチレン構造単位のエチレン含有率が高いものと、最も低いものの差(ΔEt)が10〜25モル%であり、該エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物の混合物を含有する層が、該エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物の混合物に対して、350〜800ppmの高級脂肪酸亜鉛塩を含有してなるものであり、該エチレン−ビニルエステル系共重合体ケン化物の混合物を含有する層と該接着樹脂層の積層界面での界面層の厚み(X)が、界面の一面あたり50〜400nmであり、該接着樹脂層の接着樹脂は無水マレイン酸変性ポリオレフィンを含み、該無水マレイン酸変性ポリオレフィンの吸光度比(α/β)が0.005〜0.1であることを特徴とする多層構造体。
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