JP2021025039A - エチレン−ビニルアルコール系共重合体組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】水素バリア性を有しながらも、低温での破断伸びを改善し、かつ成形加工しやすいEVOH樹脂組成物を提供。【解決手段】エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、未変性エチレン−ブテン共重合体(B)、酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)を含有する樹脂組成物であって、未変性エチレン−ブテン共重合体(B)と酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)の質量比[(B)/(C)]が75/25〜1/99であり、酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)のメルトフローレート(190℃、2,160g荷重下)が1.0g以上/10分である樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明はエチレン−ビニルアルコール系共重合体(以下「EVOH」と称することがある。)樹脂組成物に関する。詳細には、水素バリア性と低温での破断伸び性を有するEVOH樹脂組成物に関する。
従来、燃料タンクの材料には金属が使用されていたが、最近では軽量化等のために樹脂が使用されてきている。かかる樹脂製燃料タンクは、一般にブロー成形や射出成形、チューブ成形などにより成形加工される。また、例えば柔軟性が求められる用途ではエチレン−
酢酸ビニル共重合体ケン化物に柔軟な熱可塑性樹脂をブレンドした樹脂組成物を用いた
樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。
特許文献1の技術は、未変性エチレン−α−オレフィン共重合体、酸変性エチレン−α−オレフィン共重合体、及び特定の範囲のメルトフローレート(MFR)を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体を特定の割合で配合するのに加えて、さらにアルカリ金属塩を配合することにより、優れた酸素バリア性、高い柔軟性、耐屈曲性を有する多層構造体を提供することを目的としたものであるが、低温下での使用時には伸びが不足するという問題があった。
また、水素燃料タンクを目的として、EVOHと不飽和カルボン酸の無水物で酸変性されたエチレン−ブテン共重合体ゴムからなる樹脂組成物が提案されている(特許文献2)。
特許文献2の技術は、EVOHと特定の貯蔵弾性率を示す酸変性エチレン−ブテン共重合体を含有する樹脂組成物であって、燃料(特に水素)のバリア性と低温での耐衝撃性とを両立することができる樹脂組成物、及びそれを用いた成形体(燃料タンク)を提供することを目的としたものである。
WO15/141610号公報 特開2005−68300号公報
しかしながら、特許文献2の技術は、低温での破断伸び(%)が良好でなく、改善の余地があった。これは、エラストマー成分が酸変性エラストマーのみで構成されており、EVOH/エラストマー間の界面の相互作用が強すぎることで変形したときに界面剥離による変形が生じにくいため伸びが少なくなると考えられる。
また、特許文献2の技術は、EVOH樹脂組成物を成形体に加工するにあたって、成形加工性、例えば単層製膜の場合はメルトフラクチャーが発生しやすくなり、多層成膜の場合はせん断応力が高くなることによる界面乱れが発生しやすくなる等の問題があった。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、水素バリア性を有しながらも、低温での破断伸びを改善し、かつ成形加工しやすいEVOH樹脂組成物を提供することを解決すべき課題としている。
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、EVOHとエラストマー(未変性エチレン−ブテン共重合体と特定の酸変性エチレン−ブテン共重合体)を特定量併用することによって、低温での破断伸びを改善することを見出した。これは、EVOH/エラスト
マー間の界面に適度な相互作用を有しているため、材料の降伏変形と界面剥離による変形により伸びが大きくなると推測される。また、かかるEVOH樹脂組成物は、水素バリア性を有しながらも、かつ成形加工しやすいことをも見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、未変性エチレン−ブテン共重合体(B)、酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)を含有する樹脂組成物であって、未変性エチレン−ブテン共重合体(B)と酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)の質量比[(B)/(C)]が75/25〜1/99であり、酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)のメルトフローレート(190℃、2160g荷重下)が1.0g/10分以上である樹脂組成物である。
また、本発明は、本発明のEVOH樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有する成形体である。
本発明のEVOH樹脂組成物は、水素バリア性を有しながらも、低温での破断伸びを改善し、かつ成形加工性に優れた効果を発揮することができる。
以下、本発明の構成につき詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものであり、本発明はこれらの内容に特定されるものではない。
まず、本発明のEVOHについて説明する。
<EVOH(A)>
EVOHは、通常、エチレンとビニルエステル系モノマーとの共重合体(エチレン−ビニルエステル系共重合体)をケン化することにより得られる樹脂であり、非水溶性の熱可塑性樹脂である。重合は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合を用いて行うことができるが、一般的にはメタノール等の低級アルコールを溶媒とする溶液重合が用いられる。得られたエチレン−ビニルエステル系共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。このようにして製造されるEVOHは、エチレン構造単位とビニルアルコール構造単位を主な構造単位とし、ケン化されずに残存した若干量のビニルエステル構造単位を含むものである。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、市場からの入手のしやすさや製造時の不純物処理効率が良い点から、代表的には酢酸ビニルが用いられる。他のビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等が挙げられ、通常炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜10、特に好ましくは炭素数4〜7の脂肪族ビニルエステルを用いることができる。これらは通常単独で用いるが、必要に応じて複数種を同時に用いてもよい。
EVOHにおけるエチレン含有率は、ISO 14663に基づいて測定した値で、20〜60モル%であることが好ましく、より好ましくは25〜50モル%、特に好ましくは25〜30モル%、殊に好ましくは25〜28モル%である。かかる含有率が低すぎる場合は、高湿下の酸素バリア性、溶融成形性が低下する傾向があり、逆にかかる含有率が高すぎる場合は、低せん断側での溶融粘度が低下する傾向がある。
EVOHにおけるビニルエステル成分のケン化度は、JIS K6726(ただし、EVOHは水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液にて)に基づいて測定した値で、90〜100モル%であることが好ましく、より好ましくは95〜100モル%、特に好ましくは99〜100モル%である。かかるケン化度が低すぎる場合には酸素バリア性、熱安定性、耐湿性等が低下する傾向がある。
また、EVOHのメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2,160g)は、0.5〜100g/10分であることが好ましく、より好ましくは1〜50g/10分、特に好ましくは3〜35g/10分である。かかるMFRが大きすぎる場合には、製膜性が低下する傾向があり、かかるMFRが小さすぎる場合には、溶融粘度が高くなり過ぎて溶融押出しが困難となる傾向がある。
EVOHには、エチレン構造単位、ビニルアルコール構造単位(未ケン化のビニルエステル構造単位を含む)の他、以下に示すコモノマーに由来する構造単位が、さらに含まれていてもよい。上記コモノマーとしては、例えば、プロピレン、イソブテン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のα−オレフィン;3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、3−ブテン−1,2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物等のヒドロキシ基含有α−オレフィン誘導体;不飽和カルボン酸又はその塩、その部分アルキルエステル、その完全アルキルエステル、そのニトリル、そのアミド若しくはその無水物;不飽和スルホン酸又はその塩;ビニルシラン化合物;塩化ビニル;スチレン等が挙げられる。
さらに、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等の「後変性」されたEVOHを用いることもできる。
以上のような変性物の中でも、共重合によって一級水酸基が側鎖に導入されたEVOHは、延伸処理や真空・圧空成形等の二次成形性が良好になる点で好ましく、中でも1,2−ジオール構造を側鎖に有するEVOHが好ましい。
EVOHには、本発明の効果を阻害しない範囲において、一般的にEVOHに配合できる配合剤、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、光安定剤、界面活性剤、抗菌剤、乾燥剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、酸素吸収剤等が含有されていてもよい。
上記熱安定剤は、溶融成形時の熱安定性等の各種物性を向上させる目的で使用され、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の有機酸類又はこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)、亜鉛塩等の塩;又は、硫酸、亜硫酸、炭酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸類、又はこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム、マグネシウム等)、亜鉛塩等の塩等が挙げられる。
また、EVOHは、異なる他のEVOHとの混合物であってもよく、かかる他のEVOHとしては、エチレン含有率が異なるもの、ケン化度が異なるもの、メルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2,160g)が異なるもの、共重合成分が異なるもの、変性量が異なるもの(例えば、1,2−ジオール構造単位の含有量が異なるもの)等を挙げることができる。
また、EVOHは、EVOHの他、必要に応じて、本発明の効果を損なわない限り、他の樹脂を含有していてもよい。例えば、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6・66等のポリアミド樹脂;上記一般式(1)の構造単位を有しない未変性ビニルアルコール系樹脂;他の熱可塑性樹脂などを含有していてもよい。
EVOHの他に配合可能な樹脂の含有量は、EVOHに対して、通常、50重量%以下、好ましくは40重量%以下であり、特には他の樹脂を含有しないことが好ましい。
本発明のEVOH樹脂組成物は、未変性エチレン−ブテン共重合体(B)と特定の酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)を併用することを最大の特徴とする。以下、順に説明する。
<未変性エチレン−ブテン共重合体(B)>
本発明の未変性エチレン−ブテン共重合体は、特に限定されるものではなく、公知のエチレン−ブテン共重合体を用いることができる。
未変性エチレン−ブテン共重合体(B)の密度は、通常0.9g/cm3以下であり、
好ましくは0.89g/cm3以下であり、特に好ましくは0.88g/cm3以下である。このような低密度の未変性エチレン−ブテン共重合体(B)を用いることで、低温での破断伸び性、に優れた成形体を得ることができる。未変性エチレン−ブテン共重合体(B)の密度は通常、0.85g/cm3以上である。
未変性エチレン−ブテン共重合体(B)の190℃、2160g荷重下におけるMFRは、通常1.0g/10分以上100g/10分以下であり、好ましくは2.0g/10分以上60g/10分以下である。このような未変性エチレン−ブテン共重合体(B)を用いることで、得られる樹脂組成物の押出加工時の安定性、得られる成形体の低温での破断伸び性をより高めることができる。
また、未変性エチレン−ブテン共重合体(B)は、生産性の点から、エチレン−1−ブテン共重合体が好ましい。
なお、ここで「未変性エチレン−ブテン共重合体」とは、酸変性をしていない未変性エチレン−ブテン共重合体を表し、例えば以下に記載する[酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)]ではない未変性エチレン−ブテン共重合体を表す。本発明に用いる未変性エチレン−ブテン共重合体(B)の酸価は、0.5mgKOH/g未満であることが好ましい。
[酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)]
本発明に用いる酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)は、エチレン−ブテン共重合体を構成するモノマーの一部を、α,β−不飽和カルボン酸又はその無水物モノマーに代えて共重合することにより、またはラジカル付加などのグラフト反応等により側鎖の一部にα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物を導入すること等により得られる。
上記酸変性に用いられるα,β−不飽和カルボン酸又はその無水物としては、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。中でも無水マレイン酸が好適に用いられる。
酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)の酸価は、通常50mgKOH/g以下であり、好ましくは30mgKOH/g以下であり、特に好ましくは20mgKOH/g以下である。酸価が高すぎるとEVOH(A)中の水酸基との反応点が増し、溶融混練過程において高重合度化物が生成して、押出加工時の安定性が低下し、良好な成形体を得にくくなる傾向にある。一方、酸価が低すぎるとEVOH(A)との相容性が低下し、押出加工時のダイへの樹脂の付着量(目ヤニ)が多くなる傾向や低温での破断伸び性が低下する傾向がある。かかる酸価の下限は通常1mgKOH/g以上であり、2mgKOH/g以上であることが好ましい。
酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)の密度は、通常0.9g/cm3以下であり、好ましくは0.89g/cm3以下であり、特に好ましくは0.88g/cm3以下である。このような低密度の酸変性エチレン−ブテン共重合体体(C)を用いることで、特に低温での破断伸び性に優れた成形体及び多層構造体を得ることができる。酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)の密度は通常、0.85g/cm3以上である。
酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)の190℃、2160g荷重下におけるMFRは、1.0g以上/10分であり、好ましくは1.5g以上/10分、特に好ましくは2.0g以上/10分である。このような酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)を用いることで、低温での破断伸び性をより高めることができる。MFRの上限は通常60g/10分以下である。
また、酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)は、生産性の点から、酸変性エチレン−1−ブテン共重合体が好ましい。
<(A)、(B)、(C)の質量比>
本発明の樹脂組成物における、EVOH(A)の量と、未変性エチレン−ブテン共重合体(B)及び酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)の合計量との質量比[(A)/((B)+(C))]は、低温での破断伸び性の観点から、通常60/40〜99/1であり、好ましくは60/40〜79/21であり、特に好ましくは60/40〜75/25、殊に好ましくは60/40〜69/31である。質量比[(A)/((B)+(C))]が99/1を超える場合、又は未変性エチレン−ブテン共重合体(B)及び酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)が含まれない場合、得られる成形体の低温での破断伸び性が不十分となる。一方、質量比[(A)/((B)+(C))]が60/40未満の場合、EVOH(A)がマトリックス相とならずに成形体の水素バリア性が不十分となる。
[(B)、(C)の質量比]
未変性エチレン−ブテン共重合体(B)及び酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)の質量比[(B)/(C)]は、低温での破断伸び性の観点から、75/25〜1/99であり、好ましくは70/30〜10/90であり、特に好ましくは65/35〜15/85、殊に好ましくは60/40〜35/65である。質量比[(B)/(C))]が75/25を超える場合、得られる成形体の低温での破断伸び性が不十分となる。一方、質量比[(B)/(C)]が1/99未満の場合、目やにの発生が多くなり成形性が不十分となる。
〔その他の添加物〕
本発明で用いられるEVOH樹脂組成物には、上記EVOH(A)、未変性エチレン−ブテン共重合体(B)及び酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)の他、必要に応じて、本発明の効果を損なわない限り(例えば、樹脂組成物全体の5重量%未満にて)、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6・66等のポリアミド樹脂;上記一般式(1)の構造単位を有しない未変性ビニルアルコール系樹脂;他の熱可塑性樹脂;エチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコール等の可塑剤;飽和脂肪族アミド(例えばステアリン酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオレイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例えばエチレンビスステアリン酸アミド等)、低分子量ポリオレフィン(例えば分子量500〜10000程度の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポリプロピレン)等の滑剤;アンチブロッキング剤;酸化防止剤;着色剤;帯電防止剤;紫外線吸収剤;抗菌剤;不溶性無機塩(例えば、ハイドロタルサイト等);充填材(例えば無機フィラー等);酸素吸収剤(例えば、ポリオクテニレン等のシクロアルケン類の開環重合体や、ブタジエン等の共役ジエン重合体の環化物等);界面活性剤、ワックス;分散剤(ステアリン酸モノグリセリド等)、熱安定剤、光安定剤、乾燥剤、難燃剤、架橋剤、硬化剤、発泡剤、結晶核剤、防曇剤、生分解用添加剤、シランカップリング剤、共役ポリエン化合物などの公知の添加剤を適宜配合することができる。
〔EVOH樹脂組成物及びその調製〕
EVOH樹脂組成物は、上記EVOH(A)、未変性エチレン−ブテン共重合体(B)及び酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)、さらに必要に応じて添加される添加物を、所定比率で配合し、溶融混練することにより調製できる。
溶融混練は、押出機、バンバリーミキサー、ニーダールーダー、ミキシングロール、ブラストミル等の公知の混練機を用いることができる。例えば、押出機の場合、単軸または二軸の押出機等が挙げられる。溶融混練後、樹脂組成物をストランド状に押出し、カットしてペレット化する方法が採用され得る。
かかる溶融混練は、EVOH(A)、未変性エチレン−ブテン共重合体(B)及び酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)とを一括投入して行ってもよいし、EVOH(A)を二軸押出機で溶融混練しながら、未変性エチレン−ブテン共重合体(B)及び酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)を溶融状態、あるいは固体状態でサイドフィードして行ってもよい。
溶融混練温度は、EVOH(A)、未変性エチレン−ブテン共重合体(B)及び酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)の種類に応じて適宜選択されるが、通常215〜270℃、好ましくは215〜265℃、より好ましくは220〜260℃、特に好ましくは220〜250℃である。
このような樹脂組成物は、構成成分であるEVOH(A)に基づく優れた水素ガスバリア性を有し、且つ未変性エチレン−ブテン共重合体(B)及び酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)により、EVOHの弱点であった低温での破断伸び性が改善される。これは、EVOH/エラストマー間の界面の適度な相互作用を有しているため、材料の降伏変形
と界面剥離による変形により伸びが大きくなるためと推測される。
なお、以上のような樹脂組成物は、水素ガスに対して優れたガスバリアを有するだけでなく、ヘリウム、酸素、窒素、空気等の他のガスに対しても優れたガスバリア性を有するが、特に水素等の分子量10未満のガスに対するバリア性に優れる。
本発明の樹脂組成物の水素透過度は、通常200cc・20μm/m2・day・atm
以下であり、好ましくは180cc・20μm/m2・day・atm以下であり、特に
好ましくは160cc・20μm/m2・day・atm以下である。かかる水素透過度
が高すぎると、例えば水素ガス容器の場合に容器内部からの水素ガス透過が大きくなり、内部のガス量が経時で過度に減少する傾向がある。なお、実用上、例えば、200cc・20μm/m2・day・atm以下であれば、水素ガスバリア性を有する。
また、本発明の樹脂組成物を用いた成形体を得る方法としては、特に限定されないが、公知一般のポリオレフィン、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂に適用される成形方法が適用可能である。例えば、押出成形法、共押出成形法、射出成形法、ブロー成形法、チューブ成形法、回転成形法等の溶融成形法が挙げられる。例えば、燃料タンク等の中空成形体については、押出ブロー成形法が一般的に用いられ、チューブ(パイプ)形状の容器にはチューブ成形法が用いられ、複雑な形状の成形品や寸法精度が求められる成形品には、射出成形法が一般的である。
本発明の樹脂組成物の210℃、せん断速度18sec-1での溶融粘度は、通常10000(mPa・s)以下であり、好ましくは9000(mPa・s)以下であり、特に好ましくは8000(mPa・s)以下である。また通常1000(mPa・s)以上であり、好ましくは3000(mPa・s)以上、特に好ましくは5500(mPa・s)以上である。かかる溶融粘度が高すぎると、成形加工性が低下する傾向がある。また低すぎる場合においても成型加工性が低下する傾向がある。例えば、溶融粘度が高すぎると、単層製膜の場合はメルトフラクチャーが発生しやすくなる傾向があり、多層成膜の場合はせん断応力が高くなることによる界面乱れが発生しやすくなる傾向がある。溶融粘度が低すぎる場合、フィルムなどの成型においてドローダウンの発生により成型が困難になる傾向がある。
本発明の樹脂組成物を用いた成形体は、上記樹脂組成物からなる層(以下「ガスバリア層」と称することがある。)を少なくとも1層含むものである。諸物性を付加する目的で、他の各種熱可塑性樹脂との多層構造からなる成形体であってもよい。
多層構造からなる成形体のうち、内側層(すなわち高圧ガス、燃料と接する層)又は中間層、より好ましくは中間層として、ガスバリア層を含むものである。さらに、内側層及び/又は外側層(すなわち外気と接する層)に、耐水性、水分不透過性の熱可塑樹脂層を含むことが好ましい。なお、中間層とは、外側層と内側層の間にある層をいう。
また、外側層に、さらに補強層を設けることがある。補強層が設けられている場合、補強層が外気と接する層(最外層)となる。さらにまた、これらの層間に、接着性樹脂からなる接着層が設けられていてもよい。
従って、成形体を構成する多層構造としては、内側から順に、ガスバリア層/水分不透過性熱可塑性樹脂層、水分不透過性熱可塑性樹脂層/ガスバリア層、水分不透過性熱可塑性樹脂層/ガスバリア層/水分不透過性熱可塑性樹脂層、ガスバリア層/水分不透過性熱可塑性樹脂層/補強層、水分不透過性熱可塑性樹脂層/ガスバリア層/補強層、水分不透過性熱可塑性樹脂層/ガスバリア層/水分不透過性熱可塑性樹脂層/補強層などが挙げられる。好ましくは水分不透過性熱可塑性樹脂層/ガスバリア層/水分不透過性熱可塑性樹脂層、水分不透過性熱可塑性樹脂層/ガスバリア層/水分不透過性熱可塑性樹脂層/補強層である。これらの成形体を構成する多層構造の層間には、接着層を設けてもよい。尚、多層構造体の層数は、補強層を含むのべ数にて通常3層〜15層、好ましくは4層〜10層である。
水分不透過性熱可塑性樹脂層に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、疎水性熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。具体的には、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体などのポリプロピレン系樹脂;ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、環状ポリオレフィン、或いはこれらのオレフィンの単独又は共重合体を不飽和力ルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したもの(カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂、エステル変性ポリオレフィン系樹脂)等の広義のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミドやナイロン6・12、ナイロン6・66等の共重合ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル等のビニルエステル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素系重合体;塩素化ポリエチレン;塩素化ポリプロピレン;極性基を有するフッ素系樹脂、熱可塑性ポリウレタン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
接着層としては、公知の接着性樹脂を用いることが可能であり、通常、ポリオレフィン系樹脂をマレイン酸等の不飽和力ルボン酸(または不飽和力ルボン酸無水物)で変性したカルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂や、極性基を有するフッ素樹脂が好ましく用いられる。前記ポリオレフィン系樹脂としては、上述の水分不透過性の熱可塑性樹脂層に用いられる熱可塑性樹脂として列挙したポリオレフィン系樹脂を用いることができる。
補強層としては、繊維を用いた補強繊維層や、ゴムを用いた補強ゴム層等が挙げられる。補強繊維層としては、例えば、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール(PBO)繊維、アラミド繊維、炭素繊維等の高強度繊維、不織布、布などを用いることができる。好ましくは、補強繊維層であり、特に好ましくは高強度樹維を用いた補強繊維層であり、更に好ましくは高強度繊維を編み組したシート層又は当該シートをスパイラルに巻き付けてなる補強繊維層である。
以上のように、本発明の樹脂組成物は、水素ガスバリア性と低温での破断伸び性に優れた成形体として有用である。本発明の樹脂組成物を用いた成形体は、例えば高圧水素ガス(圧力1〜100MPa)等の燃料用タンク、及びその燃料タンク用部品として用いることができる。
また本発明の樹脂組成物を用いた成形体は、例えばチューブ状や袋状などの形態に加工され、みりん、醤油、ソース、麺つゆ、食用油等の食品、ワイン、ジュース、牛乳、ミネラルウォーター、日本酒、焼酎、コーヒー、紅茶等の飲料、医薬品、化粧品、次亜塩素酸ソーダ、現像液、バッテリー液等の工業用薬品、液体肥料等の農薬、洗剤等各種の液体の包装材料として広範囲の用途に使用することも可能である。
<多層構造体>
上記の用途として使用される本発明の樹脂組成物を用いた成形体は、上記本発明の樹脂組成物からなる層(以下、単に「樹脂組成物層」という)を少なくとも1層有する多層構造体であってもよい。
本発明の多層構造体を構成する樹脂組成物層以外の層を構成する樹脂としては、特に限定しないが、EVOH樹脂以外の熱可塑性樹脂が挙げられる。例えば具体的には、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、環状ポリオレフィン、或いはこれらのオレフィンの単独又は共重合体を不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したもの等の広義のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル、ポリアミド、共重合ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂で構成される層が挙げられる。これらの樹脂の他に、紙、金属箔、1軸又は2軸延伸プラスチックフイルム又はシート、織布、不織布、金属綿条、木質面、アルミやシリカ蒸着と組み合わせた多層構造体であってもよい。中でも機械的強度や溶融成形加工性の点で、好ましくはポリオレフィン系樹脂であり、特に好ましくはポリエチレン、ポリプロピレンである。
これらのうち、水のバリア性に優れた熱可塑性樹脂層を外表面層として、樹脂組成物層を中間層とする構成の多層構造体が、ガスバリア性を有する包装フィルム、包装容器用途として好ましく用いられる。かかる水のバリア性に優れた熱可塑性樹脂として好ましくはポリオレフィン系樹脂であり、特に好ましくはポリエチレン、ポリプロピレンである。
該多層構造体の製造方法としては、樹脂組成物を溶融した状態で成形する方法(溶融成形法)と、樹脂組成物を溶媒に溶解して成形する方法(例えば溶液コート法)等に大別される。中でも生産性の観点から、溶融成形法が好ましい。
具体的には、例えば、本発明の樹脂組成物の成形品(例えばフィルムやシート)に熱可塑性樹脂を溶融押出する方法、熱可塑性樹脂等の基材に樹脂組成物層を溶融押出する方法、樹脂組成物層と熱可塑性樹脂層とを共押出する方法が挙げられ、詳細にはT−ダイ押出、チューブラー押出、ブロー成形、異型押出等が採用される。
さらには、本発明の樹脂組成物フィルムと熱可塑性樹脂フィルム等の基材とを、有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエチレンイミン系化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン系化合物等の公知の接着剤を用いてドライラミネートする方法、接着性樹脂層を介層させてラミネートする方法等が採用される。
また、場合によっては共射出法も採用可能である。
接着性樹脂層を構成する接着性樹脂としては特に限定されず、種々のものを使用することができるが、一般的には、不飽和カルボン酸またはその無水物をオレフィン系重合体(前述の広義のポリオレフィン系樹脂)に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシル基を含有する変性オレフィン系重合体を挙げることができ、具体的には、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体等から選ばれた1種または2種以上の混合物が好適なものとして挙げられる。
以上のように、包装フィルム、包装容器用途としての本発明の多層構造体は、本発明に係る樹脂組成物層を少なくとも1層含むものであればよく、その構成は特に限定しないが、水分による樹脂組成物のガスバリア性能の低下を防ぐ目的で、樹脂組成物層が中間層であることが好ましい。
包装フィルム、包装容器用途としての多層構造体の層構成は、樹脂組成物層をa(a1、a2、・・・)、EVOH樹脂以外の熱可塑性樹脂層をb(b1、b2、・・・)とするとき、通常3〜20層、好ましくは3〜15層、特に好ましくは3〜10層である。例えば具体的には、b/a/b、a/b/a、a1/a2/b、a/b1/b2、b2/b1/a/b1/b2、b2/b1/a/b1/a/b1/b2等任意の組み合わせが可能である。
また、該多層構造体を製造する過程で発生する端部や不良品等を再溶融成形して得られる、樹脂組成物とEVOH以外の熱可塑性樹脂の混合物を含むリサイクル層をRとするとき、b/a/R、R/b/a、b/R/a/b、b/R/a/R/b、b/a/R/a/b、b/R/a/R/a/R/b等とすることも可能である。
さらに上記した多層構造体の層間には公知の接着性樹脂を用いても良い。
中でも、樹脂組成物層のガスバリア性能の低下防止のために、樹脂組成物層への水分の透過を防止できるように、樹脂組成物層が中間層となるような多層構造が最も好ましい。例えば、具体的には、熱可塑性樹脂層/接着性樹脂層/樹脂組成物層/接着性樹脂層/熱可塑性樹脂層を構成単位とする多層構造体が最も好ましい。
本発明の包装フィルム、包装容器用途としての多層構造体の厚みは、通常1〜1500μm、好ましくは1〜1000μm、より好ましくは10〜700μmである。また、多層構造体中の熱可塑性樹脂層の厚みは、特に限定しないが、通常0.1〜1000μm、1〜500μmが好ましい。樹脂組成物層の厚みは、特に限定しないが、通常0.1〜500μm、好ましくは1〜100μmである。接着性樹脂層の厚みは、特に限定しないが、通常0.1〜250μm、好ましくは0.1〜100μmである。
また、熱可塑性樹脂層/樹脂組成物層の厚み比は、各層が複数ある場合は、最も厚みの厚い層同士の比で、通常1超〜30であり、好ましくは2〜30であり、接着性樹脂層/樹脂組成物層の厚み比は、通常0.1〜2であり、好ましくは0.1〜1である。
本発明の包装フィルム、包装容器用途としての多層構造体は、上記のように、他の熱可塑性樹脂や基材と積層しただけの多層構造体であるが、延伸処理されていてもよい。
なお、延伸については、公知の延伸方法を用いることができる。例えば、一軸延伸、二軸延伸等が挙げられる。二軸延伸の場合は同時二軸延伸方式、逐次二軸延伸方式のいずれの方式も採用できる。延伸温度は、多層構造体の温度(多層構造体近傍温度)で、通常40〜170℃、好ましくは60〜160℃程度の範囲から選ばれる。延伸倍率は、面積比にて、通常2〜50倍、好ましくは2〜20倍である。また、得られた延伸フィルムに寸法安定性を付与することを目的として、延伸が終了した後、次いで熱固定を行ってもよい。熱固定は周知の手段で実施可能であり、上記延伸フィルムの緊張状態を保ちながら80〜180℃、好ましくは100〜165℃で2〜600秒間程度熱処理を行う。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中「%」および「部」とあるのは重量基準を意味する。
[使用材料]
樹脂組成物の材料として、以下の材料を用いた。
(EVOH)
・A−1:EVOH(エチレン含有量:25モル%、ケン化度:99.7モル%、MFR:4.0g/10分(210℃、2,160g荷重))
・A−2:EVOH(エチレン含有量:29モル%、ケン化度:99.7モル%、MFR:8.0g/10分(210℃、2,160g荷重))
(未変性ポリオレフィン)
・B−1:三井化学株式会社製「A4085S」 エチレン−ブテン共重合体(MFR:3.6g/10分(190℃、2,160g荷重)、密度:0.885g/cm3
・B−2:三井化学株式会社製 「P0180」エチレン−プロピレン共重合体(MFR:4.4g/10分(190℃、2,160g荷重)、密度:0.869g/cm3
(酸変性ポリオレフィン)
・C−1:三井化学株式会社製「MA8510」 酸変性エチレン−ブテン共重合体(MFR:2.4g/10分(190℃、2,160g荷重)、密度:0.885g/cm3

・C−2:三井化学株式会社製「MH7010」 酸変性エチレン−ブテン共重合体(MFR:0.9g/10分(190℃、2,160g荷重)、密度:0.870g/cm3

・C−3:三井化学株式会社製「MP0610」 酸変性エチレン−プロピレン共重合体(MFR:0.4g/10分(190℃、2,160g荷重)、密度:0.870g/cm3
<実施例1>
〔樹脂組成物ペレット作製〕
各成分を表1に記載の割合でドライブレンドした後、二軸押出機にて下記条件で溶融混練し、ストランド状に押出してペレタイザーでカットし、樹脂組成物の円柱形ペレットを得た。
(溶融混練条件)
直径(D)30mm
L/D=56
スクリュ回転数 :400rpm
設定温度:C2/C3/C4/C5/C6/C7/C8/C9/C10/C11/C12/C13/C14/C15/C16/D=80/120/190/210/210/210/210/220/220/220/230/230/230/230/230/230℃
吐出量:25kg/hr
次に、作製した樹脂組成物ペレットを用いて、以下の測定評価を行った。
(1)破断伸び(%)
得られたペレットを、射出成型機を用いてISO1Aダンベルを作成し、引張試験機を用いて−40℃で引張試験を行った。なお、試験片作成および評価はISO14663に従って実施し、引張速度50mm/minで測定を行った。結果を表1に示す。
(2)溶融粘度(mPas)
得られたペレットを、東洋精機社製の「キャピログラフ1D」を用いて、以下の方法で210℃、せん断速度18sec-1での溶融粘度を測定した。なお、結果を表1に示す。キャピラリー径:1mm
キャピラリー長:10mm
<実施例2〜15>
各成分を表1に記載の割合に変更した以外は、実施例1と同様に樹脂組成物ペレットを作製し、同様に評価した。
<比較例1〜6>
各成分を表1に記載の割合に変更した以外は、実施例1と同様に樹脂組成物ペレットを作製し、同様に評価した。
Figure 2021025039
表1の結果より、実施例1〜15の樹脂組成物は、低温での破断伸び性に優れることが分かった。また、表1の結果から、実施例1〜15の樹脂組成物は、成形加工性にも優れることが分かった。
さらに、表2に示した組成を有する樹脂組成物について、下記方法により樹脂組成物フィルムを作製し、以下の測定評価を行った。
〔樹脂組成物フィルムの作製〕
上記で得られたペレットを、単軸押出機にて下記条件で製膜し、厚さ100μmの単層フィルムを作製した。
(製膜条件)
直径(D)40mm
L/D=28
スクリュ形状:フルフライト
スクリュ回転数 :20rpm
設定温度:C1/C2/C3/C4/H/D =200/220/220/220/22
0/220 ℃
ダイ:コートハンガータイプ
ロール温度:80℃
(3)水素透過度(cc・20μm/m2・day・atm)
厚み100μmのフィルム試験片を、[GTRテック(株)・矢那湖テクニカルサイエンス(株)制]の「GTR−30XAD2 G2700T−F」を用いて、以下の方法で
水素ガス透過度を測定した。結果を表2に示す。
試験方法:差圧法/JIS K 7126−1
検知器:GC[熱伝導度検出器]
試験気体:水素
測定温度:23℃
透過面積:φ4.4×10-2m (15.2×10-42
Figure 2021025039
表2の結果から、実施例1,6,13の樹脂組成物は、水素ガスバリア性に優れることが分かった。
本発明のEVOH樹脂組成物は、水素バリア性を有しながらも、低温での破断伸びを改善し、かつ成形加工性に優れる。そのため、上記EVOH樹脂組成物からなる層を含有する成形体は、高圧水素ガス等の燃料用タンク、及びその燃料タンク用部品の原料として有用である

Claims (4)

  1. エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)、未変性エチレン−ブテン共重合体(B)、酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)を含有する樹脂組成物であって、未変性エチレン−ブテン共重合体(B)と酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)の質量比[(B)/(C)]が75/25〜1/99であり、酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)のメルトフローレート(190℃、2160g荷重下)が1.0g以上/10分であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. エチレン−ビニルアルコール系共重合体(A)と、未変性エチレン−ブテン共重合体(B)及び酸変性エチレン−ブテン共重合体(C)の合計量との質量比[(A)/((B)+(C))]が60/40〜99/1であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 210℃、せん断速度18sec-1での溶融粘度が10000(mPas)以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 水素透過度が200cc・20μm/m2・day・atm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022158589A1 (ja) * 2021-01-25 2022-07-28 三菱ケミカル株式会社 エチレン-ビニルアルコール系共重合体組成物

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