JP2021045963A - 多層構造体 - Google Patents

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伸次 中西
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Abstract

【課題】複数のポリエチレン系樹脂層を有する多層構造体において、各層の厚みを簡便に測定でき、かつ外観(透明性)に優れる多層構造体の提供を目的とする。【解決手段】バイオマス度が異なる複数のポリエチレン系樹脂層を有する多層構造体であって、上記多層構造体の厚みが6μm以上500μm未満であり、上記ポリエチレン系樹脂層のいずれかの層に、エチレン−ビニルアルコール系共重合体をポリエチレン系樹脂100重量部に対して0.2重量部以上含む多層構造体とする。【選択図】図1

Description

本発明は、多層構造体に関するものであり、さらに詳しくは、外観(透明性)に優れ、複数のポリエチレン系樹脂層を有する多層構造体であっても、各ポリエチレン系樹脂層の厚みを簡便に測定することができる多層構造体に関するものである。
従来、ポリエチレン系樹脂を層状にしたポリエチレン系樹脂層を、他の熱可塑性樹脂層と積層したシーラントフィルム(多層構造体)が用いられている。そして、近年、環境負荷を低減するために、上記多層構造体に用いられている樹脂の一部を、石油由来の樹脂から、植物等のバイオマス資源由来の樹脂に置き換えることが検討されている。
例えば、特許文献1では、石油由来ポリエチレン系樹脂と植物由来ポリエチレン系樹脂とを積層させたバイオマス度の高い多層構造体が開示されている。
特開2017−105197号公報
しかし、上記特許文献1記載の多層構造体は、バイオマス度の高い多層構造体とすることができるものの、2層以上から構成されるバイオマス資源由来のポリエチレン系樹脂層を含む多層構造体においては、バイオマス度を算出するために各層の正確な厚みを求める必要がある。製品に表示してあるバイオマスマークの値より低い製品が出荷された場合はコンプライアンス上、大きな問題となることが考えられる。
しかしながら、石油由来のポリエチレン系樹脂層とバイオマス資源由来のポリエチレン系樹脂層を積層した場合、互いに相溶するためその界面を見ることができず、バイオマス資源由来のポリエチレン系樹脂層が多層構造体にどの程度含まれているかを製造現場において正確に把握することは難しい。また、14Cの放射性同位体の数により、石油由来のポリエチレン系樹脂か、バイオマス資源由来のポリエチレン系樹脂かを特定することができるものの、費用と時間が掛かってしまうため、製造現場においてバイオマス度の確認をすることが困難であり、品質保証の点から改善が求められている。
また、上記多層構造体は、通常、食品等の包装材として用いられることから、外観(透明性)に優れたものが求められている。
そこで、本発明は、バイオマス度の異なる複数のポリエチレン系樹脂層を有する多層構造体において、各層の厚みを簡便に測定でき、かつ外観(透明性)に優れる多層構造体の提供を目的とする。
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、ポリエチレン系樹脂を含む層にエチレン−ビニルアルコール系共重合体を少量含有させ、さらに多層構造体を特定の厚みとすることにより、上記課題が解決することを見出した。
一般的にエチレン−ビニルアルコール系共重合体は、エチレン骨格とポリビニルアルコール骨格を有する高分子であるため、ポリエチレン系樹脂と近い融点を有しており、一般的なポリエチレン系樹脂の製膜温度で製膜することができる。一方で、エチレン−ビニルアルコール系共重合体は、ポリエチレン系樹脂との相溶性を有していないため分散性が悪く、エチレン−ビニルアルコール系共重合体を添加することにより外観が低下するため、一般的にはポリエチレン系樹脂層にエチレン−ビニルアルコール系共重合体を添加しないものである。
しかし、本発明では、少量のエチレン−ビニルアルコール系樹脂の添加であれば、外観に影響することなく、各層の厚みを測定することができることを見出したものである。
すなわち、本発明は、バイオマス度の異なる複数のポリエチレン系樹脂層を有する多層構造体であって、上記多層構造体の厚みが6μm以上500μm未満であり、上記ポリエチレン系樹脂層のいずれかの層に、エチレン−ビニルアルコール系共重合体をポリエチレン系樹脂100重量部に対して0.2重量部以上含む多層構造体をその要旨とする。
本発明の多層構造体は、バイオマス度の異なるポリエチレン系樹脂層を有する多層構造体であって、上記多層構造体の厚みが6μm以上500μm未満であり、上記ポリエチレン系樹脂層のいずれかの層に、エチレン−ビニルアルコール系共重合体をポリエチレン系樹脂100重量部に対して0.2重量部以上含むものである。そのため、この多層構造体の断面を観察した際に、各層の厚みを測定することができ、製造現場において、目的とする製品が正しく製造されているかをその場で検査することができる。また、上記多層構造体の外観(透明性)を優れたものとすることができる。
実施例1の断面を光学顕微鏡で観察した際の図である。 比較例1の断面を光学顕微鏡で観察した際の図である。
以下、本発明を実施するための形態について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、本発明において、「エチレン−ビニルアルコール系共重合体」を「EVOH」と称する場合がある。
本発明の多層構造体は、バイオマス度の異なる複数のポリエチレン系樹脂層を有するものであり、上記ポリエチレン系樹脂層のいずれかの層に、EVOHを少量含むものである。以下、多層構造体が有するポリエチレン系樹脂層について説明する。
〔ポリエチレン系樹脂層〕
上記バイオマス度とは、ポリエチレン系樹脂層に含まれるバイオマス資源由来成分の含有量を示すものであり、例えば、以下の方法で測定することができる。
測定対象試料を燃焼して二酸化炭素を発生させ、真空ラインで精製した二酸化炭素を、鉄を触媒として水素で還元し、グラファイトを生成させる。そして、このグラファイトをタンデム加速器をベースとした14C−AMS専用装置(NEC社製)に装着して、14Cの計数、13Cの濃度(13C/12C)、14Cの濃度(14C/12C)の測定を行い、この測定値から標準現代炭素に対する試料炭素の14C濃度の割合を算出する。
また、上記バイオマス度は、ポリエチレン系樹脂層に含まれる成分の配合量、バイオマス度、密度から、下記の式により求めることができる。
Figure 2021045963
上記ポリエチレン系樹脂層は、ポリエチレン系樹脂またはポリエチレン系樹脂組成物を製膜して得られるものであり、上記ポリエチレン系樹脂またはポリエチレン系樹脂組成物は、バイオポリエチレン系樹脂および石油由来ポリエチレン系樹脂の少なくとも一方を含むものである。
以下、バイオポリエチレン系樹脂、石油由来ポリエチレン系樹脂について説明する。
[バイオポリエチレン系樹脂]
上記「バイオポリエチレン系樹脂」とは、再生可能なバイオマス資源を原料に、化学的または生物学的に合成することで得られるポリエチレン系樹脂を意味する。上記バイオポリエチレン系樹脂は、これを焼却処分した場合でも、バイオマスのもつカーボンニュートラル性から、大気中の二酸化炭素濃度を上昇させないという特徴がある。
上記バイオポリエチレン系樹脂は、植物原料から得られたバイオエタノールから誘導された植物由来のエチレンを用いることが好ましい。すなわち、上記バイオポリエチレン系樹脂は、植物由来ポリエチレン系樹脂であることが好ましい。
植物(バイオマス資源)由来ポリエチレン系樹脂と石油由来のポリエチレン系樹脂は、分子量や機械的性質・熱的性質のような物性に差を生じない。そこで、これらを区別するためには、一般的にバイオマス度が用いられている。石油由来のポリエチレン系樹脂の炭素には、14C(放射性炭素14、半減期5730年)が含まれていないことから、この14Cの濃度を加速器質量分析により測定することによって、植物由来ポリエチレン系樹脂の含有割合の指標とするものである。従って、植物由来ポリエチレン系樹脂を用いたフィルムであれば、そのフィルムのバイオマス度を測定すると、植物由来ポリエチレン系樹脂の含有量に応じたバイオマス度となる。すなわち、バイオポリエチレン系樹脂は、放射性炭素(14C)を含むことを特徴としている。
上記バイオポリエチレン系樹脂としては、例えば、バイオエタノールから誘導されたエチレンを重合して得られるポリエチレン単独重合体、ポリエチレン共重合体があげられる。上記ポリエチレン共重合体は、エチレンと少量のコモノマーとの共重合体であり、例えば、エチレンと重量分率50%未満の他のα−オレフィンモノマー、または、重量分率3%以下の官能基を持つ非オレフィンモノマーからなる共重合体である。
上記他のα−オレフィンモノマーとしては、炭素数3〜20のα−オレフィン、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いてもよい。
上記非オレフィンモノマーとしては、例えば、スチレン系モノマー、ジエン系モノマー、環状モノマー、酸素原子含有モノマー等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いてもよい。
上記スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、4−メチルスチレン、4−ジメチルアミノスチレン等があげられる。
上記ジエン系モノマーとしては、例えば、1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン等があげられる。
上記環状モノマーとしては、例えば、メチレンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネンおよび2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン、シクロペンテン等があげられる。
上記酸素原子含有モノマーとしては、例えば、ヘキセノール、ヘキセン酸、オクテン酸メチル等があげられる。
上記他のα−オレフィンモノマーおよび非オレフィンモノマーは、再生可能なバイオマス資源を原料としたものであってもよく、石油を原料としたものであってもよい。再生可能なバイオマス資源を原料としたものを用いる場合は、最終製品のバイオマス度をより一層高めることができる。また、石油を原料としたものを用いる場合は、多種多様なものが入手可能であるため、これらを用いて製造することにより、ポリエチレン系樹脂の物性等を容易に調整することができる。
上記バイオポリエチレン系樹脂は、エチレンの単独重合、またはエチレンとコモノマーとの共重合により得られるものであり、上記重合または共重合は、メタロセン触媒、チーグラー・ナッター触媒を用い、常法に従い行うことができる。なかでもメタロセン触媒を用いることが好ましい。
上記バイオポリエチレン系樹脂として具体的には、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE、密度0.940g/cm3以上)、中密度ポリエチレン(MDPE、密度0.925以上0.940g/cm3未満)、低密度ポリエチレン(LDPE、密度0.925g/cm3未満)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、密度0.910〜0.925g/cm3)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いてもよい。なかでも、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
上記バイオポリエチレンのメルトフローレート(MFR)(190℃、荷重2160g)は、通常0.1〜50g/10分であり、好ましくは0.2〜50g/10分、特に好ましくは0.5〜35g/10分である。
かかるMFRが大きすぎる場合には、製膜性が不安定となる傾向があり、小さすぎる場合には粘度が高くなり過ぎて溶融押出しが困難となる傾向がある。
本発明において好適に使用されるバイオポリエチレン系樹脂としては、ブラスケム(Braskem S.A.)社製のグリーンPE等があげられる。
また、上記バイオポリエチレン系樹脂は、単独でもしくは2種以上併せて用いてもよい。
[石油由来ポリエチレン系樹脂]
上記「石油由来ポリエチレン系樹脂」とは、バイオマス資源に由来する炭素を含まず、従来どおり、石油から得られるナフサを熱分解して得られるエチレンを重合して得られるポリエチレン単独重合体、ポリエチレン共重合体をいう。
上記ポリエチレン共重合体は、エチレンと少量のコモノマーとの共重合体であり、例えば、エチレンと重量分率50%未満の他のα−オレフィンモノマー、または、重量分率3%以下の官能基を持つ非オレフィンモノマーからなる共重合体である。上記他のα−オレフィンモノマー、非オレフィンモノマーは、前記バイオポリエチレン系樹脂で列挙したものを用いることができる。
上記エチレンの単独重合、またはエチレンとコモノマーとの共重合は、前記バイオポリエチレン系樹脂と同様の方法で行うことができる。
上記の方法で得られる石油由来ポリエチレン系樹脂として具体的には、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE、密度0.940g/cm3以上)、中密度ポリエチレン(MDPE、密度0.925以上0.940g/cm3未満)、低密度ポリエチレン(LDPE、密度0.925g/cm3未満)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、密度0.910〜0.925g/cm3)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いてもよい。なかでも、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
上記石油由来ポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)(190℃、荷重2160g)は、通常0.5〜50g/10分であり、好ましくは1〜50g/10分、特に好ましくは1.5〜35g/10分である。
かかるMFRが大きすぎる場合には、製膜性が不安定となる傾向があり、小さすぎる場合には粘度が高くなり過ぎて溶融押出しが困難となる傾向がある。
上記ポリエチレン系樹脂は、バイオポリエチレン系樹脂のみからなるものであってもよく、石油由来ポリエチレン系樹脂のみからなるものでもよい。また、上記ポリエチレン系樹脂は、バイオポリエチレン系樹脂と、石油由来ポリエチレン系樹脂の混合物であってもよい。
上記バイオポリエチレン系樹脂と石油由来ポリエチレン系樹脂の混合物である場合、バイオポリエチレン系樹脂と石油由来ポリエチレン系樹脂との重量比率(バイオポリエチレン系樹脂/石油由来ポリエチレン系樹脂)は、通常99/1〜1/99であり、好ましくは70/30〜30/70である。
また、前記ポリエチレン系樹脂組成物は、上記ポリエチレン系樹脂にEVOHや接着樹脂等を含むものである。上記ポリエチレン系樹脂組成物におけるポリエチレン系樹脂の含有量は、通常70重量%以上、好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。なお、ポリエチレン系樹脂の含有量の上限は、通常99.8重量%である。
以下、上記ポリエチレン系樹脂組成物に含まれる各成分について説明する。
[EVOH]
上記EVOHは、通常、エチレンとビニルエステル系モノマーとの共重合体であるエチレン−ビニルエステル系共重合体をケン化させることにより得られる樹脂であり、非水溶性の熱可塑性樹脂である。
本発明の多層構造体においては、上記多層構造体が有するポリエチレン系樹脂層のいずれかにEVOHを少量含むことにより、製造現場等において、簡便に各ポリエチレン系樹脂層の厚みを求めることができる。
エチレンとビニルエステル系モノマーとの重合法としては、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合等があげられ、一般的にはメタノールを溶媒とする溶液重合が用いられる。得られたエチレン−ビニルエステル系共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。
このようにして製造されるEVOHは、エチレン由来の構造単位とビニルアルコール構造単位を主とし、通常、ケン化されずに残存する若干量のビニルエステル構造単位を含むものである。
上記ビニルエステル系モノマーとしては、市場入手性や製造時の不純物処理効率がよい点から、代表的には酢酸ビニルが用いられる。他のビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等があげられ、通常炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜10、特に好ましくは炭素数4〜7の脂肪族ビニルエステルを用いることができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記EVOHにおけるエチレン構造単位の含有量は、ビニルエステル系モノマーとエチレンとを共重合させる際のエチレンの圧力によって制御することができ、通常20〜60mol%、好ましくは25〜50mol%、特に好ましくは25〜35mol%である。かかる含有量が低すぎる場合は、高湿下のガスバリア性、溶融成形性が低下する傾向があり、逆に高すぎる場合は、ガスバリア性が低下する傾向がある。
なお、かかるエチレン構造単位の含有量は、ISO14663に基づいて測定することができる。
また、EVOHにおけるビニルエステル成分のケン化度は、エチレン−ビニルエステル系共重合体をケン化する際のケン化触媒(通常、水酸化ナトリウム等のアルカリ性触媒が用いられる)の量、温度、時間等によって制御でき、通常90〜100mol%、好ましくは95〜100mol%、特に好ましくは99〜100mol%である。かかるケン化度が低すぎる場合にはガスバリア性、熱安定性、耐湿性等が低下する傾向がある。
かかるEVOHのケン化度は、JIS K6726(ただし、EVOHは水/メタノール溶媒に均一に溶解した溶液として用いる)に基づいて測定することができる。
また、上記EVOHのメルトフローレート(MFR)(210℃、荷重2160g)は、通常0.5〜100g/10分であり、好ましくは1〜50g/10分、特に好ましくは3〜35g/10分である。かかるMFRが大きすぎる場合には、製膜性が不安定となる傾向があり、小さすぎる場合には粘度が高くなり過ぎて溶融押出しが困難となる傾向がある。
かかるMFRは、EVOHの重合度の指標となるものであり、エチレンとビニルエステル系モノマーを共重合する際の重合開始剤の量や、溶媒の量によって調整することができる。
また、EVOHには、本発明の効果を阻害しない範囲(例えば、EVOHの10mol%以下)で、以下に示すコモノマーに由来する構造単位が、さらに含まれていてもよい。 上記コモノマーとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、3−ブテン−1−オール、3−ブテン−1,2−ジオール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1,2−ジオール等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物等の誘導体;2−メチレンプロパン−1,3−ジオール、3−メチレンペンタン−1,5−ジオール等のヒドロキシアルキルビニリデン類;1,3−ジアセトキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジプロピオニルオキシ−2−メチレンプロパン、1,3−ジブチリルオキシ−2−メチレンプロパン等のヒドロキシアルキルビニリデンジアセテート類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはアルキル基の炭素数が1〜18であるモノまたはジアルキルエステル類;アクリルアミド、アルキル基の炭素数が1〜18であるN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類;メタアクリルアミド、アルキル基の炭素数が1〜18であるN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類;アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類;アルキル基の炭素数が1〜18であるアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル化合物類;トリメトキシビニルシラン等のビニルシラン類;酢酸アリル、塩化アリル等のハロゲン化アリル化合物類;アリルアルコール、ジメトキシアリルアルコール等のアリルアルコール類;トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のコモノマーがあげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
また、本発明で用いるEVOHとしては、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等の「後変性」されたものであってもよい。
さらに、本発明で使用されるEVOHは、2種類以上の他のEVOHとの混合物であってもよく、かかる他のEVOHとしては、ケン化度が異なるもの、重合度が異なるもの、共重合成分が異なるもの等をあげることができる。
ポリエチレン系樹脂組成物におけるEVOHの含有量は、他のポリエチレン系樹脂層と識別可能となる点から、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、0.2重量部以上である。好ましくは0.5重量部以上、特に好ましくは1重量部以上である。また、EVOHの含有量の上限は、透明性の点からポリエチレン系樹脂100重量部に対して、30重量部以下であることが好ましく、20重量部以下であることがより好ましく、15重量部以下であることが特に好ましい。
[接着樹脂]
前記接着樹脂としては、公知のものを使用でき、代表的には不飽和カルボン酸またはその無水物をポリオレフィン系樹脂に付加反応やグラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシ基を含有する変性ポリオレフィン系重合体があげられる。
上記カルボキシ基を含有する変性ポリオレフィン系重合体としては、例えば、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン(ブロックおよびランダム)共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリ環状オレフィン系樹脂、無水マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いてもよい。なかでも、無水マレイン酸変性ポリエチレンが好ましい。
ポリエチレン系樹脂組成物における接着樹脂の含有量は、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、通常20重量部以下、好ましくは10重量部以下である。
[その他成分]
また、上記ポリエチレン系樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲(例えば、ポリエチレン系樹脂組成物の20重量%以下)で、その他の熱可塑性樹脂、添加剤が含まれていてもよい。
上記他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル等のハロゲン含有樹脂、ポリビニルアルコール等のビニルアルコール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、セルロースエステル系樹脂等があげられる。これらの他の熱可塑性樹脂は、単独でもしくはく2種以上併せて用いることができる。
上記添加剤としては、例えば、可塑剤(例えば、エチレングリコール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂肪族多価アルコール等)、酸素吸収剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、界面活性剤(ただし、滑剤として用いるものを除く)、抗菌剤、アンチブロッキング剤、充填材(例えば無機フィラー等)等があげられる。これらの添加剤は、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
<多層構造体>
本発明の多層構造体は、バイオマス度が異なる複数のポリエチレン系樹脂層を有し、ポリエチレン系樹脂層のいずれかの層にEVOHを含み、特定の厚みを有するものである。
上記多層構造体の層構成は、ポリエチレン系樹脂層を2層以上有していれば特に限定されず、ポリエチレン系樹脂層以外に基材フィルム層、接着樹脂層等を含んでいてもよい。また、上記多層構造体の層の数はのべ数にて通常2〜15、好ましくは3〜10である。
上記基材フィルム層は、例えば、ポリエチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂、金属類、セラミックス類、木材類、紙類等を製膜したものである。なかでも、基材フィルム層としては、ポリエチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂を製膜したものが好ましい。
上記ポリエチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル等のハロゲン含有樹脂、EVOH、ポリビニルアルコール等のビニルアルコール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、セルロースエステル系樹脂等があげられる。これらの他の熱可塑性樹脂は、単独でもしくはく2種以上併せて用いることができる。なかでも、ビニルアルコール系樹脂が好ましく、EVOHが特に好ましい。
また、これらの基材フィルムは、2種以上をラミネートした複合フィルムであってもよい。さらには、上記基材フィルムは、例えば、コロナ放電処理、アンカーコート処理、プライマー処理等の表面処理を行ってもよい。
上記基材フィルムの厚みは、特に限定されないが、通常1〜100μm、好ましくは2〜50μmである。
上記ポリエチレン系樹脂層は、例えば、前記ポリエチレン系樹脂または上記ポリエチレン系樹脂組成物を公知の方法で製膜して層状にしたものが挙げられる。
上記ポリエチレン系樹脂層の1層の厚みは、通常1μm以上であり、好ましくは1〜100μmであり、特に好ましくは5〜50μmである。
上記接着樹脂層としては、例えば、前記ポリエチレン系樹脂組成物で説明した接着樹脂を製膜したものが挙げられる。
上記接着樹脂層の厚みは、特に限定されないが、通常1〜50μm、好ましくは2〜30μmである。
上記各ポリエチレン系樹脂層は隣接していてもよく、ポリエチレン系樹脂層とポリエチレン系樹脂層との間に、他の熱可塑性樹脂層や接着樹脂層が積層されていてもよい。なかでも、本発明の効果をより発揮できる点で、各ポリエチレン系樹脂層が隣接することが好ましい。
上記各ポリエチレン系樹脂層が隣接している場合、各ポリエチレン系樹脂層の厚みを確認する方法としては、例えば、隣り合うポリエチレン系樹脂の一方にEVOHを含有させる方法、各ポリエチレン系樹脂層に含有量の異なるEVOHを配合する方法等が挙げられる。なかでも、多層構造体の透明性の点から、隣り合うポリエチレン系樹脂の一方にEVOHを含有させる方法が好ましい。
上記EVOHを含有するポリエチレン系樹脂層と上記ポリエチレン系樹脂層の比(EVOHを含有するポリエチレン系樹脂層/ポリエチレン系樹脂層)は、通常0.1〜10であり、好ましくは0.2〜5であり、特に好ましくは0.5〜2である。
上述のようにEVOHとポリエチレン系樹脂は相溶性を有していない。そのため、EVOHを含有するポリエチレン系樹脂組成物を製膜したポリエチレン系樹脂層は、光学顕微鏡で観察した場合に容易に判別することができる。特にポリエチレン系樹脂層が隣接する場合、EVOHを含むポリエチレン系樹脂層とEVOHを含まないポリエチレン系樹脂層との界面を容易に判別することができることから好ましい。このことから、製造現場において、所望のポリエチレン系樹脂層の厚みを有する多層構造体が製造できているかを、簡便な方法により確認することができる。
上記多層構造体の積層は、公知の方法にて行うことができ、例えば、押出ラミネート、ドライラミネート、共押出等があげられる。これらのなかでも、コストや環境の観点から、共押出が好ましい。
また、上記多層構造体のバイオマス度は、通常20%以上、好ましくは25%以上、特に好ましくは30%以上である。バイオマス度が高ければ高い程、環境に配慮した多層構造体とすることができる。
また、上記の多層構造体は、必要に応じて(加熱)延伸処理を施してもよい。延伸処理は、一軸延伸、二軸延伸のいずれであってもよく、二軸延伸の場合は同時延伸であっても逐次延伸であってもよい。また、延伸方法としてはロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー延伸法、延伸ブロー法、真空圧空成形等のうち延伸倍率の高いものも採用できる。延伸温度は、多層構造体の融点近傍の温度で、通常40〜170℃、好ましくは60〜160℃程度の範囲から選ばれる。延伸温度が低すぎる場合は延伸性が不良となる傾向があり、高すぎる場合は安定した延伸状態を維持することが困難となる傾向がある。
なお、延伸後に寸法安定性を付与することを目的として、その後熱固定を行ってもよい。熱固定は周知の手段で実施可能であり、例えば上記延伸フィルムを緊張状態を保ちながら通常80〜180℃、好ましくは100〜165℃で通常2〜600秒間程度熱処理を行う。また、上記延伸フィルムをシュリンク用フィルムとして用いる場合には、熱収縮性を付与するために、上記の熱固定を行わず、例えば延伸後のフィルムに冷風を当てて冷却固定する等の処理を行えばよい。
多層構造体(延伸したものを含む)の厚みは、6μm以上500μm未満であり、好ましくは10〜400μm、特に好ましくは20〜200μmである。かかる多層構造体の厚みが薄すぎる場合は、ポリエチレン系樹脂層とEVOH層との識別が難しくなり、厚みが厚すぎると外観(透明性)が低下する。
本発明の多層構造体は、蓋材や包装袋等の包装材として好適に使用することができる。また、本発明の多層構造体を用いてカップやトレイ状の多層容器を得ることも可能である。その場合は、通常絞り成形法が採用され、具体的には、真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法、プラグアシスト式真空圧空成形法等があげられる。さらに多層パリソン(ブロー前の中空管状の予備成形物)からチューブやボトル状の多層容器(積層体構造)を得る場合はブロー成形法が採用される。具体的には、押出ブロー成形法(双頭式、金型移動式、パリソンシフト式、ロータリー式、アキュムレーター式、水平パリソン式等)、コールドパリソン式ブロー成形法、射出ブロー成形法、二軸延伸ブロー成形法(押出式コールドパリソン二軸延伸ブロー成形法、射出式コールドパリソン二軸延伸ブロー成形法、射出成形インライン式二軸延伸ブロー成形法等)等があげられる。得られる積層体は必要に応じ、熱処理、冷却処理、圧延処理、印刷処理、ドライラミネート処理、溶液または溶融コート処理、製袋加工、深絞り加工、箱加工、チューブ加工、スプリット加工等を行うことができる。
本発明の多層構造体からなる袋、多層構造体からなるカップ、トレイ、チューブ、ボトル等の容器や蓋材は、一般的な食品、マヨネーズやドレッシング等の調味料、味噌等の発酵食品、サラダ油等の油脂食品、飲料、化粧品、医薬品等の各種の包装材として有用である。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、実施例の記載に限定されるものではない。
なお、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
実施例に先立って、以下の樹脂を準備した。
・バイオポリエチレン系樹脂:融点121℃、密度:0.916g/cm3、MFR1.1g/10min(190℃、荷重2160g)、植物(サトウキビ)由来直鎖状低密度ポリエチレン、バイオマス度84%〔Green PE SLH118、Braskem社製〕
・石油由来ポリエチレン系樹脂:融点123℃、密度:0.918g/cm3、MFR2.0g/10min(190℃、荷重2160g)、石油由来直鎖状低密度ポリエチレン、バイオマス度0%〔ノバテック UF240、日本ポリエチレン社製〕
・EVOH:エチレン構造単位含有量29mol%、ケン化度99.7mol%、密度:1.21g/cm3、MFR3.8g/10min(210℃、荷重2160g)、エチレン−ビニルアルコール共重合体、バイオマス度0%
・接着樹脂:融点120℃、密度:0.92g/cm3、MFR2.5g/10min(190℃、荷重2160g)、無水マレイン酸変性ポリエチレン、バイオマス度0%〔Modic M533、三菱ケミカル社製〕
・高密度ポリエチレン系樹脂:融点135℃、密度:0.952g/cm3、MFR 0.33g/10min(190℃、荷重5000g)、植物(サトウキビ)由来高密度ポリエチレン、バイオマス度96%〔Green PE SGM9450F、Braskem社製〕
・6−ナイロン樹脂:融点225℃、粘度数174(ISO307)、密度:1.16g/cm3、相対粘度3.04(JIS K6920−2)、バイオマス度0%〔1020、宇部興産社製〕
<実施例1>
上記の各樹脂を用いて、EVOH層/接着樹脂層/第1のポリエチレン系樹脂層/第2のポリエチレン系樹脂層となるように、4種4層の押出機を用いて下記条件で製膜し、多層構造体とした。上記各層の厚み、第1のポリエチレン系樹脂層および第2のポリエチレン系樹脂層の配合は、後記表1のとおりである。
[製膜条件]
・EVOH層:40mmφ単軸押出機
・接着樹脂層:32mmφ単軸押出機
・第1のポリエチレン系樹脂層:40mmφ単軸押出機
・第2のポリエチレン系樹脂層:40mmφ単軸押出機
・ダイス:Tダイ(ダイ温度220℃)
・ロール温度:50℃
上記第1のポリエチレン系樹脂層の製膜温度と、第2のポリエチレン系樹脂層の製膜温度は下記のとおりである。
C1/C2/C3/C4/H/AD/D
=180/200/220/220/220/220/220(℃)
また、2種類以上の樹脂を含む樹脂組成物を製膜する場合は、予めドライブレンドを行い混合したものを用いた。
<実施例2〜16>
実施例1において、第1のポリエチレン系樹脂層および第2のポリエチレン系樹脂層の配合を後記表1のとおりに変更した以外は同様にして、実施例2〜16の多層構造体を製膜した。
<比較例1〜7>
実施例1において、第1のポリエチレン系樹脂層および第2のポリエチレン系樹脂層の配合を後記表2のとおりに変更した以外は同様にして、比較例1〜7の多層構造体を製膜した。
上記で得られた実施例1〜16、比較例1〜7の多層構造体を用いて、光学顕微鏡観察、レーザー顕微鏡観察、外観評価(透明性)および製膜評価(ゲル)を行った。結果を後記表1に示す。
〔光学顕微鏡観察〕
上記多層構造体を製膜した流れに対し垂直方向にミクロトームを用いて、断面を切り出しサンプルとした。このサンプルを光学顕微鏡(Hirox社製、KH1300)を用いて、200倍及び1000倍で第1のポリエチレン系樹脂層と第2のポリエチレン系樹脂層のそれぞれ厚みが目視で判断できるか評価した。
[評価基準]
〇:200倍で判断できた
△:1000倍で判断できた
×:1000倍で判断できなかった
〔レーザー顕微鏡観察〕
上記多層構造体を製膜した流れに対し垂直方向にミクロトームを用いて、断面を切り出しサンプルとした。このサンプルをレーザー顕微鏡(オリンパス社製、OLS5000)を用いて、500倍で観察したときの2次元画像から得られる表面粗さにより、第1のポリエチレン系樹脂層と第2のポリエチレン系樹脂層との界面を判断した。
[評価基準]
〇:第1のポリエチレン系樹脂層と第2のポリエチレン系樹脂層との界面が判断できた ×:第1のポリエチレン系樹脂層と第2のポリエチレン系樹脂層との界面が判断できなかった
〔外観評価(透明性)〕
多層構造体のTOTALヘイズ値(%)を、ヘイズメーター(日本電色社製、NDH2000)を用い、JIS K7105に準じて測定し、下記の評価基準により1〜5の5段階評価を行った。なお、上記TOTALヘイズ値は、多層構造体の拡散光線透過率を全光線透過率で割ったものを百分率で表したものであり、TOTALヘイズ値が低い値であるほど、多層構造体の透明性が良好であることを示す。
[評価基準]
5:30%未満
4:30%以上、40%未満
3:40%以上、60%未満
2:60%以上、80%未満
1:80%以上
〔製膜評価(ゲル)〕
得られたフィルムの幅40cm×長さ1mの範囲で、残留するゲルの個数を目視で数え、その個数をフィルム1.0m2あたりの個数に換算した。換算後の個数により、フィルムの製膜を下記のように評価した。
〇:20個未満
△:20個以上〜50個未満
×:50個以上
Figure 2021045963
Figure 2021045963
実施例1〜16の多層構造体は、第1のポリエチレン系樹脂層(図1の符号3)と第2のポリエチレン系樹脂層(図1の符号4)の厚みが顕微鏡観察で確認でき、外観も透明性を有していた(図1参照)。
一方、比較例1〜5の多層構造体は、第1のポリエチレン系樹脂層(図2の符号4)と第2のポリエチレン系樹脂層(図2の符号5)とが相溶してしまい、顕微鏡観察では各ポリエチレン系樹脂層の厚みを確認することができなかった(図2参照)。また、比較例6の多層構造体は、厚みが薄すぎるため、各ポリエチレン系樹脂層の厚みを確認することができなかった。さらに、厚みが厚すぎる比較例7の多層構造体は、透明性に劣るものであった。
本発明の多層構造体は、食品、飲料、化粧品、医薬品等の各種の包装材として有用である。
1 EVOH層
2 接着樹脂層
3 EVOHを含有するバイオポリエチレン系樹脂層
4 石油由来ポリエチレン系樹脂層
5 バイオポリエチレン系樹脂層

Claims (3)

  1. バイオマス度が異なる複数のポリエチレン系樹脂層を有する多層構造体であって、上記多層構造体の厚みが6μm以上500μm未満であり、上記ポリエチレン系樹脂層のいずれかの層に、エチレン−ビニルアルコール系共重合体をポリエチレン系樹脂100重量部に対して0.2重量部以上含むことを特徴とする多層構造体。
  2. 上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体をポリエチレン系樹脂100重量部に対して30重量部以下含むことを特徴とする請求項1記載の多層構造体。
  3. 上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体を含むポリエチレン系樹脂層が、さらに接着樹脂を含むことを特徴とする請求項1または2記載の多層構造体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021206072A1 (ja) * 2020-04-10 2021-10-14 三菱ケミカル株式会社 樹脂組成物、それを用いたフィルムおよび多層構造体
WO2022045259A1 (ja) * 2020-08-31 2022-03-03 三菱ケミカル株式会社 樹脂組成物
WO2023190127A1 (ja) * 2022-03-28 2023-10-05 三井化学株式会社 樹脂組成物、成形体、積層体および積層チューブ

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