以下、図面を参照しながら、各実施形態を説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1に示す本実施形態の機器温調装置1は、車両に搭載された車載用の組電池BPを冷却することによって、その組電池BPの電池温度を調節する。要するに、機器温調装置1は、温調の対象機器としての組電池BPを冷却する電池冷却装置である。機器温調装置1を搭載する車両としては、組電池BPを電源とする図示しない走行用電動モータによって走行可能な電気自動車、または、ハイブリッド自動車などが想定される。なお、図1では組電池BPが二点鎖線で図示されており、このことは後述の図11、図16、図19、図22〜図24、および図42でも同様である。
図1〜図3に示すように、組電池BPは、直方体形状の複数の電池セルBCを有している。そして、組電池BPは、その複数の電池セルBCを積層配置した積層体で構成されている。詳細には、その複数の電池セルBCは、所定の積層方向DRsに積層されている。従って、組電池BP全体も略直方体形状を成している。本実施形態では、組電池BPは、機器温調装置1が有する蒸発器12を挟んだ両側に1つずつ合計2つ設けられている。
そして、組電池BPは、その組電池BPの表面の一部分として、下方を向いた電池底面BPaである電池下面BPaと、車両上下方向DRg(すなわち、重力方向DRg)に沿って拡がる電池側面BPbとを有している。なお、本実施形態において、電池セルBCの積層方向DRsは、車両上下方向DRgに交差する方向、厳密に言えば車両上下方向DRgに直交する方向になっている。また、電池セルBCの積層方向DRsをセル積層方向DRsと呼ぶものとする。
組電池BPを構成する複数の電池セルBCは、電気的に直列に接続されている。組電池BPを構成する各電池セルBCは、充放電可能な二次電池(例えば、リチウムイオン電池、鉛蓄電池)で構成されている。なお、電池セルBCは、直方体形状に限らず、円筒形状等の他の形状を有していてもよい。また、組電池BPは、電気的に並列に接続された電池セルBCを含んで構成されていてもよい。
組電池BPは、図示しない電力変換装置およびモータジェネレータに接続されている。電力変換装置は、例えば、組電池から供給された直流電流を交流電流に変換し、変換した交流電流を走行用電動モータ等の各種電気負荷に対して供給(すなわち、放電)する装置である。また、モータジェネレータは、車両の回生時に、車両の走行エネルギを電気エネルギに逆変換し、逆変換した電気エネルギを回生電力としてインバータ等を介して組電池BPに対して供給する装置である。
組電池BPは車両の走行中の電力供給等を行うと自己発熱するので、組電池BPが仮に冷却されないとすると、その自己発熱に起因して組電池BPが過度に高温になることが想定される。組電池BPが過度に高温になると、電池セルBCの劣化が促進されるため、組電池BPの発熱量を抑制するために組電池BPの入出力を落とさざるを得なくなる。よって、組電池BPを所定の温度以下に維持するための冷却装置が必要となる。
また、組電池BPを含む蓄電装置は、車両の床下やトランクルームの下側に配置されることが多く、車両の走行中に限らず、夏季における駐車中等にも組電池BPの電池温度が徐々に上昇して、電池温度が過度に高温となることがある。組電池BPが高温環境下で放置されると、劣化が進行することで電池寿命が大幅に低下することから、車両の駐車中等にも組電池BPの電池温度を所定の温度以下に維持することが望まれている。
更に、組電池BPは、複数の電池セルBCで構成されているが、各電池セルBCの温度にバラツキがあると、各電池セルの劣化の進行度合いに偏りが生じて、組電池BP全体の入出力特性が低下してしまう。これは、組電池BPが電池セルBCの直列接続体を含んでいることで、各電池セルBCのうち、最も劣化が進行した電池セルBCの電池特性に応じて組電池BP全体の入出力特性が決まるからである。このため、組電池BPを長期間、所望の性能を発揮させるためには、各電池セルBCの温度バラツキを低減させる均温化が重要となる。
組電池BPを冷却する冷却装置としては、送風機による空冷式の冷却機などが一般的となっている。
ところが、送風機による空冷式の冷却機は、車室内の空気等を組電池BPに送風するだけなので、組電池BPを充分に冷却するだけの冷却能力が得られないことがある。そこで、本実施形態の機器温調装置1では、作動流体の相変化を伴う自然循環によって組電池BPを冷却するサーモサイフォン方式が採用されている。
機器温調装置1は、作動流体が循環する作動流体回路10を備えている。作動流体回路10を循環する作動流体としては、蒸気圧縮式の冷凍サイクルで利用される冷媒(例えば、R134a、R1234yf)が採用される。
作動流体回路10は、作動流体の蒸発および凝縮により熱移動を行うヒートパイプであり、重力によって作動流体が自然循環するサーモサイフォン式となるように構成されている。さらに、作動流体回路10は、気相の作動流体が流れる流路と液相の作動流体が流れる流路とが分離されたループ型となるように構成されている。すなわち、作動流体回路10は、ループ型のサーモサイフォン式ヒートパイプを構成している。このような作動流体回路10が採用されているので、機器温調装置1は、作動流体の液相と気相との相変化によって組電池BPの電池温度を調整する。
図1に示すように、作動流体回路10は、蒸発器12と凝縮器15とガス通路部16と液通路部18と連通部20とを含んで構成されている。具体的に作動流体回路10は、閉じられた流体回路であり、蒸発器12、ガス通路部16、凝縮器15、液通路部18の順番でそれらが環状に接続されることにより構成されている。また、作動流体回路10の内部には所定量の作動流体が封入され、その作動流体回路10の内部はその作動流体で満たされている。
蒸発器12は、蒸発器12内を流通する作動流体と組電池BPとを熱交換させる機器用熱交換器である。すなわち、蒸発器12は、作動流体回路10での作動流体の循環に伴い、組電池BPから液相の作動流体へ吸熱させ、それにより液相の作動流体を蒸発させる。
蒸発器12は、凝縮器15よりも下方に配置されている。これにより、液相の作動流体が、重力によって、蒸発器12を含む作動流体回路10の下部に溜まるようになっている。なお、蒸発器12の詳細な構造については後述する。
凝縮器15は、蒸発器12にて蒸発した気相の作動流体を凝縮させる熱交換器である。別言すれば、凝縮器15は、蒸発器12で蒸発した作動流体から放熱させることにより作動流体を凝縮させる放熱器である。
凝縮器15は、例えば走行風などの外気と作動流体とを熱交換させることにより、その作動流体から放熱させる。
ガス通路部16は、蒸発器12にて蒸発した気相の作動流体を凝縮器15に導くものである。ガス通路部16は例えば配管部材等で構成され、ガス通路部16の内部には、作動流体が流れる流通路であるガス通路161が形成されている。そのガス通路161は、蒸発器12にて蒸発した作動流体を蒸発器12から凝縮器15へ流す。また、ガス通路部16が有する下方側の端部は蒸発器12に接続され、ガス通路部16が有する上方側の端部は凝縮器15の上部に接続されている。
液通路部18は、凝縮器15にて凝縮した液相の作動流体を蒸発器12に導くものである。液通路部18は例えば配管部材等で構成され、液通路部18の内部には、作動流体が流れる流通路である液通路181が形成されている。その液通路181は、凝縮器15にて凝縮した作動流体を凝縮器15から蒸発器12へ流す。また、液通路部18が有する下方側の端部は蒸発器12に接続され、液通路部18が有する上方側の端部は凝縮器15の下部に接続されている。
また、機器温調装置1は、感知した温度に応じて液通路181の開度を増減する開度調整装置22を備えている。その開度調整装置22は、感知した温度が高いほど液通路181の開度を大きくする感温式バルブである。その液通路181の開度は液通路181の開放度合いであり、開度調整装置22は、0%の開度である最小開度から、100%の開度である最大開度までの間で、液通路181の開度を調整する。そして、液通路181の開度が大きくなるほど、液通路181の作動流体は凝縮器15から蒸発器12へ流れやすくなる。
開度調整装置22が例えば液通路181を塞き止めれば凝縮器15で凝縮した作動流体は凝縮器15内に溜まり、凝縮器15内に溜まった液相の作動流体が増すほど凝縮器15での熱交換は行われにくくなる。すなわち、開度調整装置22は、液通路181を塞き止めることにより凝縮器15での熱交換を止めるように働く。
本実施形態では、液通路181の開度が最小開度になると液通路181が閉塞され、凝縮器15から蒸発器12への作動流体の流通が阻止される。また、液通路181の開度が最大開度になると、液通路181の作動流体は開度調整装置22にて略絞られることなく開度調整装置22を通過する。
具体的には図3および図4に示すように、開度調整装置22は、弁体221と装置本体222と感温物223と作動ピン224とを備えている。また、開度調整装置22の全体が、液通路181に配置されている。なお、図3は、液通路181の開度が最小開度となった状態、すなわち液通路181の全閉状態を示している。そして、図4は、液通路181の開度が最大開度となった状態、すなわち液通路181の全開状態を示している。
開度調整装置22の弁体221は、液通路181の開度を増減する開度増減部として機能する。弁体221は作動ピン224に対し相対移動不能に連結されている。そして、弁体221は作動ピン224と共に作動ピン224の軸方向へ移動し、それにより液通路181の開度を増減する。
装置本体222は、感温物223を収容する感温物収容部222aと、作動ピン224をその軸方向に案内するピン案内部222bとを有している。また、装置本体222は、感温物収容部222a外の熱が感温物223へ良好に伝わるように、例えばアルミニウム合金など高熱伝導性の材料で構成されている。装置本体222は液通路部18に対して固定されている。装置本体222と感温物223は、液通路181において、弁体221に対し作動流体流れ下流側に配置されている。
例えば本実施形態では、液通路181のうち開度調整装置22が配置された部位は車両上下方向DRgへ延びるように形成され、作動ピン224の軸方向は車両上下方向DRgに沿った向きになっている。そして、装置本体222と感温物223は、弁体221に対し下方に配置されている。
感温物223は、温度に応じた物理変化を示す物性を有するものである。感温物223が有する物性としては種々の物性を想定できるが、本実施形態における感温物223の物性は、その感温物223自体が高温になるほど体積を増す物性である。すなわち、本実施形態の感温物223は、その感温物223自体が高温になるほど体積を増す熱膨張体である。
例えば、感温物223は、図5に示すような物性を有している。その図5に示すように、感温物223は、或る温度を境に急激に体積変化する。そして、開度調整装置22は、感温物223の温度が所定の全開温度TP1に達すると液通路181が全開状態になるように構成されている。
また、感温物223と感温物収容部222aは、温度を感知して弁体221を作動させる感温部225を構成している。そして、その感温部225の周囲温度が高いほど、感温物223の体積は大きくなる。
詳細には、作動ピン224はピン案内部222bへ相対移動可能に挿入されており、その作動ピン224の一端は感温物223に連結され、作動ピン224の他端は弁体221に連結されている。そして、感温物223の体積変化は作動ピン224を介して弁体221に伝わるようになっている。そのため、感温物223の体積が大きくなるほど、弁体221は液通路181の開度を大きくする。別言すれば、感温部225は、感温物223を用いて、感温部225の周囲温度が高いほど液通路181の開度を大きくするように弁体221を作動させる。
例えば組電池BPの発熱が止まった場合または略止まった場合には、感温物223の温度が図5の全開温度TP1よりも僅かに低い温度閾値を下回り、それにより、図3に示すように感温物223の体積が縮小して、弁体221が液通路181を閉塞する。要するに、感温部225が上記の温度閾値を下回って冷えると、弁体221が液通路181を閉塞する。
逆に、組電池BPの発熱が或る程度大きくなった場合には、感温物223の温度が図5の全開温度TP1以上になる。これにより、図4に示すように感温物223の体積が増大し、感温物223が作動ピン224と弁体221とを押し上げるので、その弁体221は液通路181を開く。要するに、組電池BPの発熱により感温部225が全開温度TP1以上に暖まると、弁体221は液通路181を開く。
また、図1および図3に示すように、弁体221が液通路181を閉塞した場合、すなわち液通路181が弁体221により全閉状態にされた場合には、液通路181のうち、弁体221よりも作動流体流れ上流側は液相の作動流体で満たされる。その一方で、液通路181のうち、弁体221よりも作動流体流れ下流側にある感温部225周りは、気相の作動流体で満たされる。すなわち、感温部225は、作動流体回路10のうち、弁体221が液通路181を閉塞した場合に気相の作動流体に晒される箇所に配置されている。
図1に示すように、連通部20は、ガス通路161内の気相の作動流体を液通路181を介して開度調整装置22へ導くものである。連通部20は例えば配管部材等で構成され、連通部20の内部には、作動流体が流れる流通路である連通路201が形成されている。その連通路201は、液通路181のうち開度調整装置22の弁体221よりも作動流体流れ下流側と、ガス通路161とを連通させる。すなわち、連通路201の一端は、ガス通路161に接続されている。そして、連通路201の他端は、液通路181のうち開度調整装置22の弁体221よりも作動流体流れ下流側に接続されている。
このように連通路201がガス通路161と液通路181とのそれぞれに接続されているので、ガス通路部16は、ガス通路161と連通路201との合流部分である第1合流部分162を有している。そして、液通路部18は、液通路181と連通路201との合流部分である第2合流部分182を有している。連通路201が、液通路181のうち開度調整装置22の弁体221よりも作動流体流れ下流側に接続されているので、この第2合流部分182は、液通路181のうち開度調整装置22の弁体221よりも作動流体流れ下流側に位置している。また、開度調整装置22の設置向きから、その第2合流部分182は弁体221よりも下方に位置している。
また、連通部20は、連通路201が水平向きまたは水平よりも上向きに第2合流部分182から延設されるように形成されている。本実施形態では、連通路201は第2合流部分182から水平方向へ延設されている。
また、蒸発器12から第1合流部分162へ流れる気相の作動流体が、液通路181の開度が最大開度とされた場合において、連通路201へ流れるよりも、ガス通路161のうち第1合流部分162に対する作動流体流れ下流側へ流れやすくなるように、連通路201は形成されている。別言すれば、蒸発器12から第1合流部分162へ流れる気相の作動流体が、液通路181の開度が最大開度とされた場合において、連通路201へ流れるよりも、ガス通路161のうち第1合流部分162に対する作動流体流れ下流側を通って凝縮器15まで流れやすくなるように、連通路201は形成されている。
例えば本実施形態では、連通路201の通路断面積は、ガス通路161の通路断面積に比して格段に小さくなっている。これにより、第1合流部分162から、ガス通路161、凝縮器15、液通路181を順次通って第2合流部分182に至る第1経路と、第1合流部分162から連通路201を通って第2合流部分182に至る第2経路との間に圧損の差が生じている。詳しく言えば、液通路181の開度が最大開度とされた場合すなわち液通路181が全開状態とされた場合において、気相の作動流体が上記第1経路を流れるときの圧損の方が、気相の作動流体が上記第2経路を流れるときの圧損よりも小さくなっている。その結果として、上述したように、気相の作動流体は第1合流部分162から連通路201へ流れるよりも、第1合流部分162よりも作動流体流れ下流側のガス通路161を通って凝縮器15まで流れやすくなっている。
続いて、図6を用いて、本実施形態の機器温調装置1の基本作動について説明する。なお、図6では組電池BPの図示が省略されており、このことは後述の図10でも同様である。
機器温調装置1では、車両の走行時の自己発熱等によって組電池BPの電池温度が上昇すると、組電池BPの熱が蒸発器12に移動する。蒸発器12では、組電池BPから吸熱することで液相の作動流体の一部が蒸発する。組電池BPは、蒸発器12の内部に存する作動流体の蒸発潜熱によって冷却され、その組電池BPの温度が低下する。
そして、その作動流体の蒸発により開度調整装置22の感温部225の周囲温度が上昇すると、開度調整装置22が液通路181を開くので、凝縮器15内の液相の作動流体が液通路181を介して蒸発器12へ流通可能になる。
そのように液通路181が開かれると、蒸発器12にて蒸発した作動流体は、その蒸発器12内にて矢印FLeのように上昇し、蒸発器12からガス通路161へ流出する。そして、その蒸発した作動流体は、図6の矢印FL1で示すように、蒸発器12からガス通路161を介して凝縮器15へ移動する。
凝縮器15では、気相の作動流体が放熱することで、その気相の作動流体が凝縮する。凝縮した液相の作動流体は、重力によって矢印FLcのように下降する。これにより、凝縮器15で凝縮した液相の作動流体は、凝縮器15から液通路181へ流出し、図6の矢印FL2で示すように、液通路181を介して蒸発器12へ移動する。そして、蒸発器12では、流入した液相の作動流体の一部が組電池BPから吸熱することで蒸発する。
このように、機器温調装置1では、蒸発器12の作動流体が組電池BPに加熱され開度調整装置22が液通路181を開くと、蒸発器12と凝縮器15との間で作動流体の循環が開始されるので、組電池BPの冷却が開始される。そして、そのように作動流体の循環すると、作動流体がガス状態と液状態とに相変化しながら蒸発器12から凝縮器15へ熱が輸送され、これにより組電池BPは冷却される。
また、組電池BPの発熱が止まり開度調整装置22が液通路181を塞き止めると、蒸発器12と凝縮器15との間での作動流体の循環が止まるので、組電池BPに対する冷却も止まる。
機器温調装置1は、圧縮機等による作動流体の循環に要する駆動力が無くても、作動流体回路10の内部を作動流体が自然循環する構成となっている。このため、機器温調装置1は、電力消費量および騒音の双方を抑えた効率のよい組電池BPの冷却を実現することができる。
次に、蒸発器12の構造について説明する。図1および図2に示すように、蒸発器12は、熱交換部40と、その熱交換部40の下端に連結された液供給部42と、熱交換部40の上端に連結された流体流出部44とを備えている。流体流出部44は液供給部42および熱交換部40よりも上方に配置され、液供給部42は流体流出部44および熱交換部40よりも下方に配置されている。
熱交換部40は、組電池BPのうち電池側面BPbに対し熱伝導可能に連結されている。言い換えれば、熱交換部40は組電池BPに熱的に接続している。詳細には、熱交換部40は、熱交換部40と組電池BPとの間に介在する熱伝導材38に接触することにより、組電池BPに対し熱伝導可能に連結されている。例えば、熱交換部40と組電池BPとの間の熱伝導性を高めるために、熱交換部40は、組電池BPへ押し付けられた状態で保持されている。
熱伝導材38は電気絶縁性と高い熱伝導性とを備え、熱交換部40と組電池BPとの間の熱伝導性を高めるために、熱交換部40と組電池BPとに挟まれている。例えば、熱伝導材38としては、グリスまたはシート状物が採用される。なお、熱交換部40と組電池BPとの間の電気絶縁性と熱伝導性とが十分に確保されるのであれば、熱伝導材38が設けられずに、熱交換部40は組電池BPに直接接触していても差し支えない。
図2および図7に示すように、熱交換部40の内部には、車両上下方向DRgに延びる複数の蒸発流路401が形成されている。言い換えれば、その複数の蒸発流路401はそれぞれ、電池側面BPbに沿って下方から上方へと延びている。
そして、熱交換部40は、複数の蒸発流路401内を流れる作動流体を組電池BPの熱で蒸発させる。すなわち、その蒸発流路401内へ流入する液相の作動流体は、蒸発流路401を流れつつ蒸発流路401内で沸騰気化する。なお、図7では、見易い図示とするために、電池セルBCは二点鎖線で図示されており、熱伝導材38の図示と組電池BPが有する複数の電池セルBCのうち一部の図示とが省略されている。このことは、後述の図13でも同様である。
液供給部42の内部には、セル積層方向DRsに延びる供給流路421が形成されている。また、流体流出部44の内部には、セル積層方向DRsに延びる流出流路441が形成されている。
蒸発器12の構成部材に着目すれば、熱交換部40は、セル積層方向DRsに並んで配置された複数の多穴管50で構成されている。そして、液供給部42と流体流出部44はそれぞれ、セル積層方向DRsへ延びる管状部材で構成されている。液供給部42、流体流出部44、および複数の多穴管50は例えばアルミニウム合金などの金属製であり、互いにロウ付け等によって接合されている。
多穴管50は、押出し成形等によって形成された扁平多穴管である。多穴管50は、車両上下方向DRgおよびセル積層方向DRsへ面状に拡がるように形成され、下端である一端50aと上端である他端50bとを有している。そして、多穴管50の内部には、互いに隔てられつつセル積層方向DRsに並んで配置された複数の連通穴が形成されている。この複数の連通穴は複数の蒸発流路401として設けられている。
蒸発流路401としての連通穴はそれぞれ、多穴管50の一端50aから他端50bまで貫通し、且つその一端50aと他端50bとのぞれぞれで開放されている。要するに、蒸発流路401は、多穴管50の一端50aから他端50bへ延びる貫通孔として形成されている。
液供給部42を構成する管状部材の内部空間は供給流路421となっている。また、流体流出部44を構成する管状部材の内部空間は流出流路441となっている。
液供給部42には複数の多穴管50の一端50aがそれぞれ接合され、それにより、複数の蒸発流路401はそれぞれ供給流路421へ連通している。また、流体流出部44には複数の多穴管50の他端50bがそれぞれ接合され、それにより、複数の蒸発流路401はそれぞれ流出流路441へ連通している。
また、液供給部42は、液通路181が接続された下方接続部としての流体入口部422を、セル積層方向DRsの一方側の端に有している。液通路181はこの流体入口部422を介して供給流路421へ連通しており、液通路181の作動流体は、図7の矢印Fiのように流体入口部422を介して供給流路421へ流れる。また、液供給部42においてセル積層方向DRsの他方側の端は塞がれている。
また、流体流出部44は、ガス通路161が接続された上方接続部としての流体出口部442を、セル積層方向DRsの一方側の端に有している。ガス通路161はこの流体出口部442を介して流出流路441へ連通しており、流出流路441の作動流体は、図7の矢印Foのように流体出口部442を介してガス通路161へ流れる。また、流体流出部44においてセル積層方向DRsの他方側の端は塞がれている。
また、液供給部42は熱交換部40の下方に設けられ、流体流出部44は熱交換部40の上方に設けられているので、流体入口部422は、流体出口部442よりも下方に配置されている。
図1は、開度調整装置22の弁体221が液通路181を閉塞した状態、すなわち、液通路181の全閉状態を示している。この図1に示すように、作動流体回路10に封入される作動流体の封入量は、開度調整装置22の弁体221が液通路181を閉塞した場合にも液相の作動流体が組電池BPから受熱しうる所定量となっている。詳細には、開度調整装置22の弁体221が液通路181を閉塞した場合に熱交換部40内に液相の作動流体が存在するに足る封入量の作動流体が、作動流体回路10には封入されている。
例えば本実施形態では、液通路181の全閉状態において、熱交換部40が車両上下方向DRgに占める範囲の中間に作動流体の液面SFが位置するように、作動流体の封入量は設定されている。なお、液通路181の全閉状態においては、凝縮器15で凝縮した作動流体は開度調整装置22の弁体221に塞き止められるので、例えば、その弁体221の位置から凝縮器15の上端までは液相の作動流体で満たされることになる。
また、図1に示すように、連通部20の両端それぞれに設けられた第1合流部分162および第2合流部分182は、開度調整装置22の弁体221が液通路181を閉塞した場合に作動流体回路10内に生じる作動流体の液面SFよりも上方に配置されている。
上述したように、本実施形態によれば、図1および図3に示すように、開度調整装置22の感温部225は、作動流体回路10のうち、弁体221が液通路181を閉塞した場合に気相の作動流体に晒される箇所に配置されている。従って、組電池BPの熱で作動流体が蒸発すると、気相の作動流体が感温部225周りにまで伝わる。そのため、開度調整装置22を組電池BPから離して配置したとしても、開度調整装置22の感温部225に組電池BPの温度を適切に感知させることが可能である。
詳細には、組電池BPの熱を得て蒸発した気相の作動流体が感温部225により凝縮させられ、その凝縮に伴って感温部225が温度上昇するので、その感温部225に組電池BPの温度を適切に感知させることが可能である。
そして、そのように組電池BPの温度を感知する感温部225は、温度に応じた物理変化を示す物性を有する感温物223を有し、その感温物223を用いて、感温部225の周囲温度が高いほど液通路181の開度を大きくするように弁体221を作動させる。言い換えれば、その感温部225は、感温物223の温度に応じた物理変化を弁体221へ作用させることにより、感温部225の周囲温度が高いほど液通路181の開度を大きくするように弁体221を作動させる。従って、液相の作動流体が凝縮器15から蒸発器12へ流れることを、組電池BPの温度が低いほど抑制するように、その弁体221は作動する。すなわち、組電池BPの過剰な冷却を防止するように、液通路181の開度を組電池BPの温度に応じて調整することができる。
ここで、図8および図9に示すように、組電池BPが、所定の最適温度範囲よりも低温になると、その組電池BPの内部抵抗が増加し、組電池BPの出力特性と入力特性とが共に低下する。また、組電池BPが、所定の最適温度範囲よりも高温になると、組電池BPの劣化が促進されやすくなるため、組電池BPの発熱量を抑制するために組電池BPの入出力を落とさざるを得なくなる。この図8および図9から判るように、本実施形態では、開度調整装置22で組電池BPの過剰な冷却を防止することにより、組電池BPの出力特性と入力特性と適切に確保することが可能である。
また、本実施形態によれば、図3および図4に示すように、開度調整装置22において、温度に応じた物理変化を示す物性を有する感温物223が弁体221を作動させるために用いられるので、無電力で弁体221を作動させることが可能である。これにより、開度調整装置22による電力消費を避けることが可能である。また、駐車時など機器温調装置1が電力供給を受け得ない状況においても、組電池BPの温度に応じて開度調整装置22の弁体221を作動させることが可能である。加えて、弁体221を作動させるために電力が消費されないため、車両の省電力化に貢献することも可能である。
例えば、液通路181の全閉状態から開度調整装置22の弁体221が液通路181を開くように作動する状況としては、冬季に組電池BPが使用されている際に組電池BPの温度が上昇して組電池BPの冷却が必要になった場合などが想定される。
また、本実施形態によれば、図1および図3に示すように、作動流体回路10には連通部20が含まれ、その連通部20には、作動流体が流れる連通路201が形成されている。その連通路201は、液通路181のうち開度調整装置22の弁体221よりも作動流体流れ下流側と、ガス通路161とを連通させる。そして、ガス通路161と連通路201との合流部分162と、液通路181と連通路201との合流部分182は、開度調整装置22の弁体221が液通路181を閉塞した場合に作動流体回路10内に生じる作動流体の液面SFよりも上方に配置されている。
従って、組電池BPの熱により蒸発器12で蒸発した作動流体を、図10の矢印Ahで示すように連通路201を介し且つ凝縮器15を迂回して開度調整装置22の感温部225まで送ることが可能である。すなわち、その蒸発器12で蒸発した作動流体(具体的には、電池温度相当の気相の作動流体)を、凝縮器15内の液相の作動流体に妨げられることなく開度調整装置22の感温部225まで到達させることが可能である。そのため、液通路181を全閉状態から全開状態へ遷移させる場合に、電池温度に対して応答性良く液通路181を開くように開度調整装置22の弁体221を作動させることが可能である。
また、本実施形態によれば、図1に示すように、蒸発器12から第1合流部分162へ流れる気相の作動流体が、液通路181の開度が最大開度とされた場合において、連通路201へ流れるよりも、ガス通路161のうち第1合流部分162に対する作動流体流れ下流側を通って凝縮器15まで流れやすくなるように、連通路201は形成されている。
従って、液通路181が開き凝縮器15と蒸発器12との間で作動流体が循環する通常の冷却運転時において、連通路201へ流れ凝縮器15を迂回する気相の作動流体の流量を抑えることができる。その結果、その凝縮器15を迂回する作動流体の流れに起因した冷却能力の低下を抑制することが可能である。
また、本実施形態によれば、図1に示すように、連通路201が、液通路181と連通路201との合流部分182から、水平方向へ延設されている。従って、例えばその合流部分182からの連通路201の延設方向が水平方向よりも下向きである場合と比較して、液通路181を流下する液相の作動流体が、その合流部分182にて液通路181から外れて連通路201へ流れ込むことを抑制することが可能である。
また、本実施形態によれば、図1および図3に示すように、開度調整装置22の感温部225は、液通路181のうち、弁体221よりも作動流体流れ下流側に配置される。従って、開度調整装置22をシンプルな構成として、感温部225を、作動流体回路10のうち上記気相の作動流体に晒される箇所に配置することが可能である。
また、本実施形態によれば、図1および図3に示すように、蒸発器12は、組電池BPに対し熱伝導可能に連結され作動流体を組電池BPの熱で蒸発させる熱交換部40を有している。そして、開度調整装置22の弁体221が液通路181を閉塞した場合に熱交換部40内に液相の作動流体が存在するに足る封入量の作動流体が、作動流体回路10には封入されている。端的に言えば、開度調整装置22の弁体221が液通路181を閉塞した場合に、熱交換部40内には液相の作動流体が存在する。従って、液通路181が弁体221によって閉塞されている場合において、組電池BPの温度上昇に応じて弁体221が液通路181を開く作動の追従性を良好にすることが可能である。
また、本実施形態によれば、図1および図3に示すように、開度調整装置22の感温物223は、高温になるほど体積を増す物性を有する熱膨張体である。そして、感温部225の周囲温度が高いほど感温物223の体積は大きくなり、その感温物223の体積が大きくなるほど弁体221は液通路181の開度を大きくする。従って、感温物223の物理変化である体積変化を弁体221の作動につなげやすい。そのため、開度調整装置22を簡素な構造とすることが容易である。
また、本実施形態によれば、図1および図7に示すように、蒸発器12は、ガス通路161が接続される流体出口部442と、液通路181が接続される流体入口部422とを有している。そして、その流体入口部422は、流体出口部442よりも下方に配置されている。従って、液通路181が全閉状態とされている場合において、蒸発器12にて組電池BPから受熱した気相の作動流体は専ら流体出口部442から流出する。そのため、その組電池BPから受熱した気相の作動流体が連通路201を介して開度調整装置22の感温部225へ到達しやすい。このようなことから、液通路181を全閉状態から全開状態へ遷移させる場合に、電池温度に対して応答性良く液通路181を開くように開度調整装置22の弁体221を作動させることが可能である。
また、本実施形態によれば、機器温調装置1が冷却する対象機器は車載用の組電池BPである。従って、その組電池BPの冷やし過ぎに起因して組電池BPの入出力特性が損なわれることを回避することが可能である。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。また、前述の実施形態と同一または均等な部分については省略または簡略化して説明する。このことは後述の実施形態の説明においても同様である。
図11に示すように、本実施形態の作動流体回路10は、図1の連通部20を有していない。この点において、本実施形態は第1実施形態と異なっている。図11は、図1と同様に、液通路181の全閉状態を表している。
本実施形態でも第1実施形態と同様に、開度調整装置22の感温部225は、作動流体回路10のうち、弁体221が液通路181を閉塞した場合に気相の作動流体に晒される箇所に配置されている。従って、第1実施形態と比較して、連通部20が設けられていない分、電池温度の上昇に対する応答性は悪いが、本実施形態でも感温部225は電池温度の上昇を感知することが可能である。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図12および図13に示すように、本実施形態の蒸発器12は、車両上下方向DRgにおける流体入口部422と流体出口部442との位置が互いに略同じになっている横型の機器用熱交換器である。この点において、本実施形態は第1実施形態と異なっている。図12は、液通路181の全開状態を表している。
具体的に、本実施形態の蒸発器12は、車両上下方向DRgを短手方向とした扁平断面形状を成しており、熱交換部40を有するが図1の液供給部42および流体流出部44を有してはいない。そのため、流体入口部422は、セル積層方向DRsにおける熱交換部40の一方側の端に設けられ、流体出口部442は、セル積層方向DRsにおける熱交換部40の他方側の端に設けられている。
また、蒸発器12の熱交換部40は、組電池BPに対して下方に配置され、組電池BPのうち電池下面BPaに対し熱伝導可能に連結されている。例えば、熱交換部40は、熱交換部40と電池下面BPaとの間に熱伝導材38を挟んで組電池BPに連結されている。
本実施形態でも第1実施形態と同様に、開度調整装置22が液通路181を開いた場合には、作動流体は、蒸発器12内での蒸発と凝縮器15内での凝縮とを伴って、矢印FLe、FL1、FLcのように作動流体回路10を循環する。
また、本実施形態でも第1実施形態と同様に、開度調整装置22の感温部225は、作動流体回路10のうち、弁体221が液通路181を閉塞した場合に気相の作動流体に晒される箇所に配置されている。そのため、組電池BPの熱により蒸発器12で蒸発した作動流体は、図14の矢印A1hで示すように液通路181から開度調整装置22の感温部225まで到達することができる。それと共に、本実施形態では連通部20が設けられているので、その蒸発した作動流体は、図14の矢印A2hで示すようにガス通路161から連通路201を介し且つ凝縮器15を迂回して感温部225まで到達することもできる。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第3実施形態と異なる点を主として説明する。
図15に示すように、本実施形態の作動流体回路10は、図12の連通部20を有していない。この点において、本実施形態は第3実施形態と異なっている。図15は、図12と同様に、液通路181の全開状態を表している。
本実施形態でも第3実施形態と同様に、開度調整装置22の感温部225は、作動流体回路10のうち、弁体221が液通路181を閉塞した場合に気相の作動流体に晒される箇所に配置されている。従って、第3実施形態と比較して、連通部20が設けられていない分、電池温度の上昇に対する応答性は悪いが、本実施形態でも感温部225は電池温度の上昇を感知することが可能である。
以上説明したことを除き、本実施形態は第3実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第3実施形態と共通の構成から奏される効果を第3実施形態と同様に得ることができる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図16〜図18に示すように、本実施形態では開度調整装置22の配置が第1実施形態と異なっている。図16は、図1と同様に、液通路181の全閉状態を表している。
具体的に、開度調整装置22の弁体221は、第1実施形態と同様に、液通路181に設けられている。従って、図17および図18に示すように、弁体221は、液通路181内で開閉作動する。
これに対し、開度調整装置22の装置本体222は液通路181と連通路201とに跨って配置されている。これにより、感温部225は、液通路181ではなく連通路201に配置されている。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第3実施形態と組み合わせることも可能である。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図19〜図21に示すように、本実施形態では開度調整装置22の配置が第1実施形態と異なっている。図19は、図1と同様に、液通路181の全閉状態を表している。
具体的に、開度調整装置22の弁体221は、第1実施形態と同様に、液通路181に設けられている。従って、図20および図21に示すように、弁体221は、液通路181内で開閉作動する。
これに対し、開度調整装置22の装置本体222は液通路181とガス通路161とに跨って配置されている。これにより、感温部225は、液通路181ではなくガス通路161に配置されている。また、この感温部225の配置により、図1の連通部20を用いて感温部225へ気相の作動流体を導く必要がなくなったので、本実施形態では第1実施形態と異なり、連通部20が設けられていない。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第4実施形態と組み合わせることも可能である。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図22に示すように、本実施形態の機器温調装置1は伝熱部材23を備えており、この点において本実施形態は第1実施形態と異なっている。また、作動流体回路10における作動流体の封入量が第1実施形態と異なっている。なお、図22は、図1と同様に、液通路181の全閉状態を表している。
図22の伝熱部材23は、例えばアルミニウム合金など高熱伝導性の材料で構成されている。そして、伝熱部材23は、作動流体回路10のうち蒸発器12以外の箇所へ組電池BPの熱を伝える。その作動流体回路10のうち蒸発器12以外の箇所とは、例えば、液通路部18の一部である伝熱対象部183である。この伝熱対象部183は、液通路部18のうちの下部に位置し、作動流体回路10での作動流体の循環が止まっているときに液相の作動流体が溜まる液溜まり部である。
伝熱部材23は、組電池BPの熱を伝熱対象部183へ伝えるために、例えば伝熱部材23のうちの一部において組電池BPに接合され、他部において伝熱対象部183に接合されている。
また、本実施形態では、開度調整装置22の弁体221が液通路181を閉塞した場合に伝熱対象部183に液相の作動流体が存在するに足る封入量の作動流体が、作動流体回路10には封入されている。端的に言えば、開度調整装置22の弁体221が液通路181を閉塞した場合に、伝熱対象部183には液相の作動流体が存在する。このようにしても、液通路181が弁体221によって閉塞されている場合に作動流体回路10内の液相の作動流体に組電池BPから受熱させ、それにより、その液相の作動流体を蒸発させることが可能だからである。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2〜4実施形態の何れかと組み合わせることも可能である。
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図23に示すように、本実施形態の機器温調装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルで構成され冷媒が循環する冷凍サイクル装置24を備えている。また、作動流体回路10は、第1凝縮器としての凝縮器15のほかに、第2凝縮器244を備えている。これらの点において本実施形態は第1実施形態と異なっている。なお、図23は、図1と同様に、液通路181の全閉状態を表している。
図23の第2凝縮器244は、作動流体回路10と冷凍サイクル装置24との両方に含まれる。そして、第2凝縮器244は、作動流体回路10では連通路201に設けられている。また、第2凝縮器244は、第1凝縮器15と同様に、蒸発器12よりも上方に配置されている。
冷凍サイクル装置24は、第2凝縮器244のほかに、圧縮機241と冷媒放熱器242と膨張弁243とを有している。その冷凍サイクル装置24では、圧縮機241は、吸入した冷媒を圧縮してから吐出する。そして、その圧縮機241から吐出された冷媒は、冷媒放熱器242、膨張弁243、第2凝縮器244の順に流れ、第2凝縮器244から圧縮機241へ吸入される。
冷媒放熱器242は、冷媒から例えば空気へ放熱させ、それにより、その冷媒を凝縮させる。膨張弁243は、その凝縮した冷媒を減圧膨張させる。
第2凝縮器244は、蒸発器12の熱交換部40で蒸発し連通路201を流通する作動流体と膨張弁243からの冷媒とを熱交換させ、その作動流体から冷媒へ放熱させる。それにより、第2凝縮器244は、連通路201にて第2凝縮器244を通過する作動流体を凝縮させると共に、冷媒を蒸発させる。その蒸発した冷媒は、第2凝縮器244から圧縮機241へ流れる。また、第2凝縮器244で凝縮した液相の作動流体は、液通路181を経て蒸発器12の液供給部42へ流れる。
また、圧縮機241が停止しているときには、冷凍サイクル装置24で冷媒は循環せず、第2凝縮器244での熱交換は行われない。そのため、圧縮機241の停止中に、例えば気相の作動流体が連通路201を流れる場合には、気相のまま連通路201から流出し、開度調整装置22の感温部225にまで到達することができる。
なお、冷凍サイクル装置24の圧縮機241は、開度調整装置22の弁体221が液通路181を閉塞しているときには作動しないようになっている。このような圧縮機241の作動を実現するために、例えば、温度センサなどにより電池温度が検出されるようになっている。そして、圧縮機241は、その電池温度が、図5の全開温度TP1よりも高く設定された所定の温度判定値を超えた場合に作動させられ、電池温度が温度判定値以下になった場合には停止させられる。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
また、本実施形態によれば、機器温調装置1は、第1凝縮器15に加え、第2凝縮器244を備えている。そして、その第2凝縮器244は、連通路201に設けられている。従って、その連通路201を、第2凝縮器244へ気相の作動流体を導くための流路としても利用することが可能である。すなわち、本実施形態のように第2凝縮器244を設けた場合において作動流体回路10の簡素化を図ることが可能である。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第3、第5、および第7実施形態の何れかと組み合わせることも可能である。
(第9実施形態)
次に、第9実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第8実施形態と異なる点を主として説明する。
図24に示すように、本実施形態の機器温調装置1は、図23の冷凍サイクル装置24に替えて、冷却液循環装置25を備えている。この点において本実施形態は第8実施形態と異なっている。なお、図24は、図23と同様に、液通路181の全閉状態を表している。
図24の冷却液循環装置25には冷却液が循環し、液ポンプ251と冷却液放熱器252と第2凝縮器244とを有している。その冷却液循環装置25では、液ポンプ251が作動することにより、液ポンプ251から第2凝縮器244、冷却液放熱器252の順に流れ、冷却液放熱器252から液ポンプ251へ戻る。
冷却液放熱器252は、冷却液から例えば空気へ放熱させる。
本実施形態の第2凝縮器244は、蒸発器12の熱交換部40で蒸発し連通路201を流通する作動流体と液ポンプ251からの冷却液とを熱交換させ、その作動流体から冷却液へ放熱させる。それにより、第2凝縮器244は、連通路201にて第2凝縮器244を通過する作動流体を凝縮させる。
また、液ポンプ251が停止しているときには、冷却液循環装置25で冷却液は循環せず、第2凝縮器244での熱交換は行われない。そのため、液ポンプ251の停止中に、例えば気相の作動流体が連通路201を流れる場合には、気相のまま連通路201から流出し、開度調整装置22の感温部225にまで到達することができる。
なお、冷却液循環装置25の液ポンプ251は、開度調整装置22の弁体221が液通路181を閉塞しているときには作動しないようになっている。このような液ポンプ251の作動を実現するために、例えば、温度センサなどにより電池温度が検出されるようになっている。そして、液ポンプ251は、その電池温度が、図5の全開温度TP1よりも高く設定された所定の温度判定値を超えた場合に作動させられ、電池温度が温度判定値以下になった場合には停止させられる。
以上説明したことを除き、本実施形態は第8実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第8実施形態と共通の構成から奏される効果を第8実施形態と同様に得ることができる。
(第10実施形態)
次に、第10実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図25および図26に示すように、開度調整装置22は、感温部225を覆う感温部カバー226を有している。この点において本実施形態は第1実施形態と異なっている。
本実施形態の感温部カバー226は、装置本体222に対し相対移動不能に連結されている。そして、液通路181が弁体221によって開かれ、感温部225に対する作動流体流れ上流側から作動流体流れ下流側へ液相の作動流体が流れるときに、感温部カバー226は、そのように流れる液相の作動流体を感温部225が被ることを抑制する。
そのために、感温部カバー226は、傘部226aと側方覆い部226bとを有している。傘部226aは弁体221と感温部225との間に設けられ、感温部225が液通路181での作動流体流れ上流側から液相の作動流体を被ることを防止する。傘部226aには作動ピン224が挿通された貫通孔が形成されており、作動ピン224は、傘部226aに対し相対移動可能となっている。
感温部カバー226の側方覆い部226bは、傘部226aに連結されている。詳細には、その側方覆い部226bは、傘部226aの外周縁部から、液通路181での作動流体流れ下流側へ延びる筒形状を成すように形成されている。そして、その筒形状の内側に感温部225は配置されている。
また、筒形状の側方覆い部226bのうち傘部226a側とは反対側、すなわち、液通路181における作動流体流れ下流側(例えば、図25では車両上下方向DRgの下方側)は開放されている。従って、その側方覆い部226bの作動流体流れ下流側の端部は、感温部カバー226の外へ部分的に開放された開放部226cとなっている。そして、その開放部226cは、液通路181における作動流体流れ下流側を向いて開放された下流側開放部位226dを含む。
以上説明したことを除き、本実施形態は第1実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
また、本実施形態によれば、開度調整装置22は、感温部225を覆う感温部カバー226を有している。そして、その感温部カバー226は、感温部225に対する作動流体流れ上流側から作動流体流れ下流側へ流れる液相の作動流体を感温部225が被ることを抑制する。従って、凝縮器15で冷却された液相の作動流体を感温部225が直接被ることに起因してその感温部225が過剰に冷やされることを防止することが可能である。そして、その感温部225の過剰な冷却に起因して液通路181の全閉状態が不必要に発生することを防止できる。
ここで、例えば図27に示す比較例のように、開放部226cが無く感温部カバー226が感温部225を完全に覆っている構成では、連通路201から感温部225へ気相の作動流体が到達できず、組電池BPからの熱は感温部225へ殆ど伝わらない。なお、矢印A3hは、液通路181の全閉状態において組電池BPから受熱し蒸発した気相の作動流体の流れを表している。
上記の図27の比較例に対し、本実施形態によれば図25および図26に示すように、感温部カバー226は、その感温部カバー226の外へ部分的に開放された開放部226cを有している。従って、開度調整装置22の感温部225が電池温度を感知することを妨げないように、感温部カバー226を簡素な構造で設けることが可能である。
また、本実施形態によれば、感温部カバー226の開放部226cは、液通路181における作動流体流れ下流側を向いて開放された下流側開放部位226dを含む。ここで、液通路181の全閉状態において、組電池BPから受熱し蒸発した気相の作動流体は、図25の矢印A3hのように感温部225に対する作動流体流れ下流側から感温部225に到達する。従って、その下流側開放部位226dを開放部226cが含まない場合と比較して、感温部225が電池温度を感知することを一層妨げないように、感温部カバー226を構成することができる。その下流側開放部位226dを開放部226cが含まない場合とは、例えば、感温部カバー226が作動流体流れ下流側を向いて開放されていない場合である。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2〜9実施形態の何れかと組み合わせることも可能である。
(第11実施形態)
次に、第11実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第10実施形態と異なる点を主として説明する。
図28に示すように、液通路181のうち開度調整装置22が配置された部位は、水平方向へ延びるように形成され、作動ピン224の軸方向は、その水平方向に沿った向きになっている。この点を除き、本実施形態は第10実施形態と同様である。
そして、本実施形態では、前述の第10実施形態と共通の構成から奏される効果を第10実施形態と同様に得ることができる。なお、図28は、液通路181の全開状態を示しており、開度調整装置22周りにおける液相の作動流体の流れは矢印で表されている。
(第12実施形態)
次に、第12実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第11実施形態と異なる点を主として説明する。
図29に示すように、液通路181のうち開度調整装置22が配置された部位は、水平方向ではなく車両上下方向DRgに対し傾いた向きへ延びるように形成されている。但し、その液通路181の部位の向きは、凝縮器15から蒸発器12の液供給部42へ流れる液相の作動流体が斜め下向きに流れる向きになっている。そして、作動ピン224の軸方向は、その液通路181の部位が延びる向きに沿った向きになっている。この点を除き、本実施形態は第11実施形態と同様である。
そして、本実施形態では、前述の第11実施形態と共通の構成から奏される効果を第11実施形態と同様に得ることができる。なお、図29は、液通路181の全開状態を示しており、開度調整装置22周りにおける液相の作動流体の流れは矢印で表されている。
(第13実施形態)
次に、第13実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第10実施形態と異なる点を主として説明する。
図30に示すように、本実施形態の感温部カバー226は、装置本体222ではなく作動ピン224に固定されており、装置本体222に対し相対移動可能となっている。そして、開度調整装置22は、コイルバネ227を有している。これらの点で本実施形態は第10実施形態と異なっている。なお、図30の(a)は液通路181の全開状態を示し、図30の(b)は液通路181の全閉状態を示している。そして、図30のDLは、液通路181の全閉状態から全開状態へ遷移するときの弁体221の変位量を表している。
本実施形態では、弁体221と作動ピン224と感温部カバー226は一体となって、車両上下方向DRgに沿った作動ピン224の軸方向へ移動する。そして、コイルバネ227は、感温部カバー226を下方側へ付勢する付勢部材である。
従って、コイルバネ227は、弁体221が液通路181の開度を小さくする側へその弁体221を付勢している。そして、感温物223は、感温物223の温度が高くなるほど体制膨張し、それにより、弁体221が液通路181の開度を大きくする側へ、その弁体221をコイルバネ227の付勢力に対抗して移動させる。
以上説明したことを除き、本実施形態は第10実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第10実施形態と共通の構成から奏される効果を第10実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態は第10実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第11実施形態または第12実施形態と組み合わせることも可能である。
(第14実施形態)
次に、第14実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第13実施形態と異なる点を主として説明する。
図31に示すように、本実施形態において、液通路181のうち開度調整装置22が配置された部位では、車両上下方向DRgの上方側が作動流体流れ上流側となっており、下方側が作動流体流れ下流側となっている。この点は、第13実施形態と同様である。しかし、本実施形態では第13実施形態とは異なり、開度調整装置22の弁体221が上方側へ移動するほど、液通路181の開度は小さくなる。なお、図31の(a)は液通路181の全開状態を示し、図31の(b)は液通路181の全閉状態を示している。そして、図31のDLは、液通路181の全閉状態から全開状態へ遷移するときの弁体221の変位量を表している。
具体的に、本実施形態では、開度調整装置22の装置本体222は、液通路部18に固定されてはいない。開度調整装置22の弁体221と感温部カバー226はその装置本体222に固定されている。
作動ピン224は、装置本体222のピン案内部222bに軸方向へ移動可能に挿通されている。従って、装置本体222と弁体221と感温部カバー226は、一体となって作動ピン224の軸方向すなわち車両上下方向DRgへ移動可能となっている。
また、作動ピン224は、弁体221には固定されておらず、作動ピン224の上端は液通路部18に対して固定され、作動ピン224の下端は装置本体222内で感温物223に連結されている。
コイルバネ227は、感温部カバー226の側方覆い部226bに対する径方向外側に配置されている。コイルバネ227は、感温部カバー226を上方側へ付勢する付勢部材である。
従って、コイルバネ227は、弁体221が液通路181の開度を小さくする側へその弁体221を付勢している。そして、感温物223は、感温物223の温度が高くなるほど体制膨張し、それにより、弁体221が液通路181の開度を大きくする側(すなわち、下方側)へ、その弁体221をコイルバネ227の付勢力に対抗して移動させる。なお、感温部カバー226を上方側へ付勢するコイルバネ227の付勢力は、感温物223を介して上述の作動ピン224に伝わる。そして、液通路部18に対して相対移動しない作動ピン受け部220が上記付勢力を受ける。これにより、作動ピン224は、その作動ピン224の上端が液通路部18に対して固定される仕組みとなっている。
従って、本実施形態でも第13実施形態と同様に、開度調整装置22の感温部225は、感温物223を用いて、感温部225の周囲温度が高いほど液通路181の開度を大きくするように弁体221を作動させる。
以上説明したことを除き、本実施形態は第13実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第13実施形態と共通の構成から奏される効果を第13実施形態と同様に得ることができる。
(第15実施形態)
次に、第15実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第10実施形態と異なる点を主として説明する。
図32および図33に示すように、本実施形態において、液通路181のうち開度調整装置22が配置された部位では、車両上下方向DRgの上方側が作動流体流れ上流側となっており、下方側が作動流体流れ下流側となっている。この点は、第10実施形態と同様である。しかし、本実施形態では第10実施形態とは異なり、開度調整装置22の弁体221が上方側へ移動するほど、液通路181の開度は小さくなる。また、開度調整装置22は装置本体222を有しておらず、感温部225の構成が第10実施形態と異なっている。なお、図32は液通路181の全閉状態を示し、図33は液通路181の全開状態を示している。そして、図33では、開度調整装置22周りにおける液相の作動流体の流れが矢印で表されている。
具体的に、開度調整装置22は作動ピン224の径方向へ円盤状に拡がった円盤部228を有している。この円盤部228には、作動流体を車両上下方向DRgに流通させるための貫通孔228aが複数形成されている。
作動ピン224の上端は弁体221に固定され、作動ピン224の下端は円盤部228に固定されている。この弁体221と作動ピン224と円盤部228は、一体となって作動ピン224の軸方向すなわち車両上下方向DRgへ移動可能となっている。
また、本実施形態の感温部225は、温度に応じた物理変化を示す物性を有する感温物として、熱膨張体ではなく感温バネ229を有している。詳細に言えば、感温部225は感温バネ229以外のものを有しておらず、感温バネ229で構成されている。
この感温バネ229は例えば圧縮コイルバネである。そして、感温バネ229は、円盤部228を下方側へ付勢する付勢部材である。具体的には、感温バネ229は圧縮状態で取り付けられており、感温バネ229が延びるほど弁体221は下方側へ移動し液通路181の開度は大きくなる。
感温バネ229は弁体221に対する径方向外側に配置されている。これにより、感温バネ229は、第10実施形態と同様に作動流体回路10のうち、弁体221が液通路181を閉塞した場合に気相の作動流体に晒される箇所に配置されている。
また、コイルバネ227は、感温バネ229に対し円盤部228を挟んだ反対側すなわち下方側に配置されている。コイルバネ227は、感温バネ229に対抗して、円盤部228を上方側へ付勢する。
感温バネ229のバネ定数は、感温バネ229の温度上昇に伴って大きくなるものであり、その温度上昇過程で、或る温度を境に急激に大きくなる。従って、例えば弁体221が車両上下方向DRgで所定の位置にあるときの感温バネ229の推力すなわち付勢力は、感温バネ229の温度に対し図34に示すように変化する。
そのため、感温バネ229の温度が所定の全開温度TP1に達すると、感温バネ229の付勢力がコイルバネ227の付勢力に打ち勝ち、感温バネ229は弁体221を下方側に移動させて液通路181を全開状態にする。すなわち、本実施形態でも第10実施形態と同様に、感温バネ229を有する感温部225は、感温バネ229を用いて、感温部225の周囲温度が高いほど液通路181の開度を大きくするように弁体221を作動させる。
逆に、感温バネ229の温度が図34の全開温度TP1よりも僅かに低い温度閾値を下回り、感温バネ229の付勢力がコイルバネ227の付勢力を下回ると、コイルバネ227は弁体221を上方側に移動させて液通路181を全閉状態にする。
図32および図33に示すように、感温部カバー226は図25の傘部226aを有していないが、側方覆い部226bを有している。その側方覆い部226bは車両上下方向DRgへ延びる筒形状を成し、液通路部18に固定されている。側方覆い部226bは、感温バネ229の径方向内側で且つ弁体221の径方向外側に配置されている。
以上説明したことを除き、本実施形態は第10実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第10実施形態と共通の構成から奏される効果を第10実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態は第10実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第11実施形態または第12実施形態と組み合わせることも可能である。
(第16実施形態)
次に、第16実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第2実施形態と異なる点を主として説明する。
図35に示すように、本実施形態の凝縮器15は、空気と作動流体とを熱交換させることにより、作動流体から放熱させて作動流体を凝縮させる空冷コンデンサである。そして、凝縮器15は、上側ヘッダタンク52と下側ヘッダタンク53と複数のチューブ54と複数のアウターフィン55とを有している。また、開度調整装置22は、下側ヘッダタンク53のうち作動流体出口部分に内蔵されている。これらの点において、本実施形態は第2実施形態と異なっている。
具体的に、本実施形態の凝縮器15では、上側ヘッダタンク52は、下側ヘッダタンク53に対し上方に配置されている。車両上下方向DRgにおいて上側ヘッダタンク52と下側ヘッダタンク53との間には、複数のチューブ54と複数のアウターフィン55とが設けられており、この複数のチューブ54と複数のアウターフィン55は、車両上下方向DRgに直交する水平方向へ交互に並んで積層配置されている。
複数のチューブ54はそれぞれ車両上下方向DRgへ延びており、そのチューブ54の上端にて上側ヘッダタンク52に接続され、チューブ54の下端にて下側ヘッダタンク53に接続されている。この複数のチューブ54と複数のアウターフィン55は全体として、チューブ54内を流れる作動流体とチューブ54の相互間を通過する空気とを熱交換させるコア部56を構成している。なお、図35および後述の図36では、コア部56の中央部分の図示が省略されている。
上側ヘッダタンク52には、上側ジョイント164を介してガス配管部材165が接続されている。このガス配管部材165は、上側ヘッダタンク52側とは反対側の接続端にて、蒸発器12の流体流出部44(図11参照)に接続されている。
従って、ガス配管部材165はガス通路部16に含まれ、上側ヘッダタンク52は、ガス通路部16と凝縮器15との両方に重複して含まれる。
下側ヘッダタンク53には、下側ジョイント184を介して液配管部材185が接続されている。この液配管部材185は、下側ヘッダタンク53側とは反対側の接続端にて、蒸発器12の液供給部42(図11参照)に接続されている。
従って、液配管部材185は液通路部18に含まれ、下側ヘッダタンク53は、液通路部18と凝縮器15との両方に重複して含まれる。
また、本実施形態の開度調整装置22は、下側ヘッダタンク53のうち下側ジョイント184に接続している作動流体出口部分に内蔵されている。例えば、開度調整装置22は、カートリッジ式サーモバルブとして構成され、その下側ヘッダタンク53の作動流体出口部分に挿入されている。
なお、開度調整装置22がカートリッジ式サーモバルブである場合、そのサーモバルブを下側ヘッダタンク53の作動流体出口部分に挿入した後に、その作動流体出口部分に下側ジョイント184を締結することで、そのサーモバルブの位置を固定することができる。また、そのサーモバルブ周りは円筒シールまたはスラストシールによって封止される。
このように構成された凝縮器15では、蒸発器12の流体流出部44(図11参照)からの作動流体は、ガス配管部材165と上側ジョイント164とをその記載順に通って、上側ヘッダタンク52の内部空間に矢印FA1のように流入する。その流入した作動流体は、上側ヘッダタンク52の内部空間から複数のチューブ54内へと分配される。複数のチューブ54内では作動流体は、上方から下方へと流れつつ、空気との熱交換により凝縮する。
その凝縮した作動流体は、複数のチューブ54内からそれぞれ下側ヘッダタンク53の内部空間に流入する。そして、その流入した作動流体は、下側ヘッダタンク53の内部空間から、開度調整装置22と下側ジョイント184と液配管部材185とをその記載順に通って、矢印FA2のように蒸発器12の液供給部42(図11参照)へと流れる。
以上説明したことを除き、本実施形態は第2実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第2実施形態と共通の構成から奏される効果を第2実施形態と同様に得ることができる。
(第17実施形態)
次に、第17実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第16実施形態と異なる点を主として説明する。
図36に示すように、本実施形態の作動流体回路10は連通部20を有している。この点において、本実施形態は第16実施形態と異なっている。
具体的に、本実施形態の連通部20は、上側ジョイント164と下側ジョイント184とを連通させる管部材で構成されている。すなわち、連通部20は、その連通部20の一端にて上側ジョイント164に接続され、連通部20の他端にて下側ジョイント184に接続されている。これにより、連通部20は、ガス通路161の一部を構成する上側ジョイント164の内部空間と液通路181の一部を構成する下側ジョイント184の内部空間とを、連通部20の連通路201(図1参照)を介して連通させている。
以上説明したことを除き、本実施形態は第16実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第16実施形態と共通の構成から奏される効果を第16実施形態と同様に得ることができる。
また、本実施形態の作動流体回路10には連通部20が設けられているので、本実施形態の作動流体回路10の回路構成は、第1実施形態の作動流体回路10の回路構成と同様である。従って、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることもできる。
(第18実施形態)
次に、第18実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第16実施形態と異なる点を主として説明する。
図37に示すように、本実施形態の凝縮器15は、冷凍サイクル装置の冷媒と作動流体とを熱交換させることにより作動流体から放熱させてその作動流体を凝縮させる冷媒コンデンサである。すなわち、本実施形態の凝縮器15では、作動流体から熱を受ける受熱媒体は、冷凍サイクル装置の冷媒である。この点において、本実施形態は第16実施形態と異なっている。なお、本実施形態において凝縮器15で作動流体と熱交換させられる冷媒が循環する冷凍サイクル装置は、例えば図23に示された冷凍サイクル装置24と同様である。
具体的には図37に示すように、本実施形態の凝縮器15は、作動流体が流通する複数の作動流体チューブ60と、受熱媒体としての冷媒が流通する複数の受熱媒体チューブ61とを有している。これらのチューブ60、61は何れも扁平形状を成している。そして、作動流体チューブ60と受熱媒体チューブ61は、車両上下方向DRgに直交する水平方向へ交互に並んで積層配置され、互いに隣接するチューブ60、61同士は、伝熱可能に接合されている。
また、作動流体チューブ60および受熱媒体チューブ61のうちの上端部は上側ヘッダ部62を構成し、下端部は下側ヘッダ部63を構成している。そして、上側ヘッダ部62のうち作動流体チューブ60に属する部分同士は、相互に連通して上側作動流体ヘッダ部621を構成し、受熱媒体チューブ61に属する部分同士は、相互に連通して上側受熱媒体ヘッダ部622を構成している。すなわち、上側ヘッダ部62は、上側作動流体ヘッダ部621と上側受熱媒体ヘッダ部622とを有している。更に、上側作動流体ヘッダ部621と上側受熱媒体ヘッダ部622は互いに連通しない構造となっている。
下側ヘッダ部63の構造も上側ヘッダ部62の上述した構造と同様である。詳細に言うと、下側ヘッダ部63のうち作動流体チューブ60に属する部分同士は、相互に連通して下側作動流体ヘッダ部631を構成し、受熱媒体チューブ61に属する部分同士は、相互に連通して下側受熱媒体ヘッダ部632を構成している。すなわち、下側ヘッダ部63は、下側作動流体ヘッダ部631と下側受熱媒体ヘッダ部632とを有している。更に、下側作動流体ヘッダ部631と下側受熱媒体ヘッダ部632は互いに連通しない構造となっている。
上側作動流体ヘッダ部621には、上側ジョイント164を介してガス配管部材が接続されている。このガス配管部材は、上側作動流体ヘッダ部621側とは反対側の接続端にて、蒸発器12の流体流出部44(図11参照)に接続されている。
従って、そのガス配管部材はガス通路部16に含まれ、上側作動流体ヘッダ部621は、ガス通路部16と凝縮器15との両方に重複して含まれる。
また、上側受熱媒体ヘッダ部622には、受熱媒体出口管64を介して、冷凍サイクル装置に含まれる圧縮機の冷媒入口側が接続されている。従って、上側受熱媒体ヘッダ部622から流出した冷媒は、受熱媒体出口管64を通ってその圧縮機に吸い込まれる。
下側作動流体ヘッダ部631には、下側ジョイント184を介して液配管部材が接続されている。この液配管部材は、下側作動流体ヘッダ部631側とは反対側の接続端にて、蒸発器12の液供給部42(図11参照)に接続されている。
従って、その液配管部材は液通路部18に含まれ、下側作動流体ヘッダ部631は、液通路部18と凝縮器15との両方に重複して含まれる。
また、下側受熱媒体ヘッダ部632には、受熱媒体入口管65を介して、冷凍サイクル装置に含まれる膨張弁の冷媒出口側が接続されている。従って、下側受熱媒体ヘッダ部632には、その膨張弁で減圧膨張させられた冷媒が流入する。
図37および図38に示すように、本実施形態の開度調整装置22は、下側作動流体ヘッダ部631のうち下側ジョイント184に接続している作動流体出口部分に内蔵されている。本実施形態の開度調整装置22は、例えば第16実施形態と同様にカートリッジ式サーモバルブとして構成され、その下側作動流体ヘッダ部631の作動流体出口部分に挿入されている。
このように構成された凝縮器15では、蒸発器12の流体流出部44(図11参照)からの作動流体は、上側ジョイント164を通って、上側作動流体ヘッダ部621内へ矢印FB1のように流入する。その流入した作動流体は、各作動流体チューブ60へ分配され、作動流体チューブ60内を矢印FB2のように上方から下方へとそれぞれ流れる。
また、下側受熱媒体ヘッダ部632には冷凍サイクル装置の膨張弁から冷媒が矢印FC1のように流入する。その流入した冷媒は、各受熱媒体チューブ61へ分配され、受熱媒体チューブ61内を矢印FC2のように下方から上方へとそれぞれ流れる。
このとき、作動流体チューブ60内を矢印FB2のように流れる作動流体と、受熱媒体チューブ61内を矢印FC2のように流れる冷媒とが相互に熱交換する。そして、その熱交換した作動流体は凝縮して下側作動流体ヘッダ部631内へ流入し、それと共に、その熱交換した冷媒は蒸発して上側受熱媒体ヘッダ部622内へ流入する。
下側作動流体ヘッダ部631内へ流入した作動流体は、下側作動流体ヘッダ部631から、開度調整装置22と下側ジョイント184とをその記載順に通って、矢印FB3のように蒸発器12の液供給部42(図11参照)へと流れる。
そして、上側受熱媒体ヘッダ部622内へ流入した冷媒は、矢印FC3のように上側受熱媒体ヘッダ部622から、冷凍サイクル装置の圧縮機へと流れる。
以上説明したことを除き、本実施形態は第16実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第16実施形態と共通の構成から奏される効果を第16実施形態と同様に得ることができる。
(第19実施形態)
次に、第19実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第18実施形態と異なる点を主として説明する。
図39に示すように、本実施形態の凝縮器15は、冷却水と作動流体とを熱交換させることにより作動流体から放熱させてその作動流体を凝縮させる水冷コンデンサである。すなわち、本実施形態の凝縮器15では、作動流体から熱を受ける受熱媒体は、冷却水である。この点において、本実施形態は第18実施形態と異なっている。
また、本実施形態の凝縮器15では、第18実施形態と異なり、下側受熱媒体ヘッダ部632が、第1受熱媒体ヘッダ部632aと第2受熱媒体ヘッダ部632bとから構成されている。この第1受熱媒体ヘッダ部632aは、第2受熱媒体ヘッダ部632bに対し水平方向の一方側に配置されている。また、第1受熱媒体ヘッダ部632aは、第2受熱媒体ヘッダ部632bに対し、上側受熱媒体ヘッダ部622を介して連通してはいるが、第2受熱媒体ヘッダ部632bに直接には連通していない。詳細に言えば、冷却水の流通経路において、第1受熱媒体ヘッダ部632aは上側受熱媒体ヘッダ部622に対し上流側に設けられ、第2受熱媒体ヘッダ部632bは上側受熱媒体ヘッダ部622に対し下流側に設けられている。
なお、本実施形態では、第1受熱媒体ヘッダ部632aに属する下端部を有する受熱媒体チューブ61を第1受熱媒体チューブ61aと呼ぶものとする。また、第2受熱媒体ヘッダ部632bに属する下端部を有する受熱媒体チューブ61を第2受熱媒体チューブ61bと呼ぶものとする。また、第1受熱媒体チューブ61aと第2受熱媒体チューブ61bとを区別せず総称する場合は、単に、受熱媒体チューブ61または受熱媒体チューブ61a、61bと呼ぶものとする。
本実施形態では、受熱媒体入口管65は、下側受熱媒体ヘッダ部632のうち第1受熱媒体ヘッダ部632aに接続され、受熱媒体出口管64は、第2受熱媒体ヘッダ部632bに接続されている。そして、上側受熱媒体ヘッダ部622には、受熱媒体出口管64も受熱媒体入口管65も接続されていない。
また、図39および図40に示すように、本実施形態の開度調整装置22は、第18実施形態と同様に、下側作動流体ヘッダ部631のうち下側ジョイント184に接続している作動流体出口部分に内蔵されている。本実施形態の開度調整装置22は、例えば第18実施形態と同様にカートリッジ式サーモバルブとして構成され、その下側作動流体ヘッダ部631の作動流体出口部分に挿入されている。
このように構成された凝縮器15では、蒸発器12の流体流出部44(図11参照)からの作動流体は、上側ジョイント164を通って、上側作動流体ヘッダ部621内へ矢印FD1のように流入する。その流入した作動流体は、各作動流体チューブ60へ分配され、作動流体チューブ60内を矢印FD2のように上方から下方へとそれぞれ流れる。
また、第1受熱媒体ヘッダ部632aには、凝縮器15の外部から受熱媒体入口管65を介して、冷却水が矢印FE1のように流入する。その流入した冷却水は、各第1受熱媒体チューブ61aへ分配され、第1受熱媒体チューブ61a内を矢印FE2のように下方から上方へとそれぞれ流れる。更に、その冷却水は、各第1受熱媒体チューブ61aから上側受熱媒体ヘッダ部622へ流入して上側受熱媒体ヘッダ部622内を矢印FE3のように流れつつ各第2受熱媒体チューブ61bへ分配される。各第2受熱媒体チューブ61bへ分配された冷却水は、その第2受熱媒体チューブ61b内を矢印FE4のように上方から下方へとそれぞれ流れる。
このとき、作動流体チューブ60内を流れる作動流体と、受熱媒体チューブ61a、61b内を流れる冷却水とが相互に熱交換する。そして、その熱交換した作動流体は凝縮して下側作動流体ヘッダ部631内へ流入する。
下側作動流体ヘッダ部631内へ流入した作動流体は、下側作動流体ヘッダ部631から、開度調整装置22と下側ジョイント184とをその記載順に通って、矢印FD3のように蒸発器12の液供給部42(図11参照)へと流れる。
そして、第2受熱媒体ヘッダ部632b内へ流入した冷却水は、矢印FE5のように第2受熱媒体ヘッダ部632bから、凝縮器15の外部へと排出される。
以上説明したことを除き、本実施形態は第18実施形態と同様である。そして、本実施形態では、前述の第18実施形態と共通の構成から奏される効果を第18実施形態と同様に得ることができる。
(他の実施形態)
(1)上述の第3実施形態において、蒸発器12の熱交換部40は、例えば熱交換部40と組電池BPとの間に熱伝導材38を挟んで組電池BPに連結されているが、これは一例である。例えば図41に示すように、熱伝導材38は、熱交換部40と組電池BPとの間に挟まれているだけでなく、熱交換部40の全周にわたって巻回されるように設けられていてもよい。このようにすれば、開度調整装置22の弁体221が液通路181を閉塞しているときに、熱交換部40の下部に溜まった液相の作動流体へ組電池BPの熱が伝わりやすくなる。
なお、熱交換部40を構成する板材の板厚を増すことで熱交換部40の熱伝導性を高めても、上記のように、熱交換部40の下部に溜まった液相の作動流体へ組電池BPの熱が伝わりやすくなる。
(2)上述の第1実施形態では図1に示すように、開度調整装置22の弁体221が液通路181を閉塞した場合に熱交換部40内に液相の作動流体が存在するに足る封入量の作動流体が、作動流体回路10には封入されているが、これは一例である。
これに限らず、弁体221が液通路181を閉塞した場合に蒸発器12内に液相の作動流体が存在するに足る封入量の作動流体が、作動流体回路10に封入されていればよいとすることも考え得る。このようにしても、間接的にではあるが、その液相の作動流体は組電池BPから受熱可能であり、その受熱により蒸発するからである。例えばそのように封入量が定められた場合、図42に示すように、弁体221が液通路181を閉塞した場合に液相の作動流体は、蒸発器12のうち液供給部42内には存在するが熱交換部40内には存在しないということもあり得る。この場合、熱交換部40を構成する多穴管50の板厚を増すことで、蒸発器12のうち液相の作動流体が溜まっている箇所へ組電池BPからの熱を伝えやすくしてもよい。
要するに、弁体221が液通路181を閉塞した場合に、熱交換部40内に液相の作動流体が存在するのが好ましいが、そうでないとしても、組電池BPと熱交換可能な蒸発器12内の部位に液相の作動流体が存在していればよい。その組電池BPと熱交換可能な蒸発器12内の部位、別言すれば、蒸発器12のうち組電池BPと熱交換可能な部位には、例えば、蒸発器12の熱交換部40または液供給部42などが該当する。
(3)上述の第10実施形態では図25に示すように、感温部カバー226の側方覆い部226bのうち、液通路181における作動流体流れ下流側は開放されており、感温部カバー226は、感温部225に対する作動流体流れ下流側を全く覆っていない。しかしながら、これは一例であり、図43に示すように、感温部カバー226は、感温部225に対する作動流体流れ下流側を部分的に覆っていても差し支えない。
(4)上述の第10実施形態では図25に示すように、感温部カバー226は側方覆い部226bを有しているが、これは一例である。例えば図44に示すように、感温部カバー226が側方覆い部226bを有しいないことも考え得る。この場合、側方覆い部226bが無いので、傘部226aの外周縁部が開放部226cとなっている。なお、図44は、液通路181の全開状態を示しており、開度調整装置22周りにおける液相の作動流体の流れは矢印で表されている。
(5)上述の第11実施形態では図28に示すように、感温部カバー226は、感温部225に対する作動流体流れ下流側を全く覆っていないが、これは一例である。例えば図45に示すように、感温部カバー226は、感温部225に対する作動流体流れ下流側を部分的に覆う下流側覆い部226eを有していてもよい。その下流側覆い部226eは、側方覆い部226bに連結され、感温部225が車両上下方向DRgに占める範囲のうち下方側に偏って感温部225を覆っている。感温部225周りを液相の作動流体が流れる際には、その液相の作動流体は液通路181のうちの下方側に偏って矢印AL1のように流れるからである。
そして、図45に示す下流側覆い部226eは、矢印AL1が示す流れから矢印AL2のように液相の作動流体が感温部225に掛かることを防止することが可能である。
また、図45の例では、感温部カバー226の側方覆い部226bは、感温部225の全周を覆うように筒形状を成しているが、それに限らない。例えば図46に示すように、側方覆い部226bは、感温部225に対する上方側において部分的に感温部225を覆わずに開放されていてもよい。
上記の図45および図46を用いて説明したことは、図45に対応する図47と、図46に対応する図48とに示すように、第12実施形態でも同様である。
(6)上述の第1実施形態では図1に示すように、連通路201は第2合流部分182から水平方向へ延設されているが、これは一例である。例えば図49に示すように、連通路201は、第2合流部分182から水平方向よりも上向きになる方向、例えば斜め上向きの方向へ延設されていてもよい。このことは、連通部20が設けられていれば、第1実施形態以外の実施形態でも同様である。
(7)上述の各実施形態において、作動流体回路10内に充填されている作動流体は、例えばフロン系冷媒であるが、その作動流体回路10内の作動流体はフロン系冷媒に限らない。例えば、その作動流体回路10内に充填されている作動流体として、プロパンまたはCO2などの他の冷媒や、相変化する他の媒体が用いられても差し支えない。
(8)上述の各実施形態では図1等に示すように、機器温調装置1が温度調整する対象機器は組電池BPであるが、その対象機器は組電池BPでなくても差し支えない。
(9)上述の各実施形態では図3等に示すように、液通路181の開度が最小開度になると液通路181が開度調整装置22の弁体221によって閉塞されるが、これは一例である。例えば、液通路181の最小開度において弁体221は、液通路181を完全には閉塞せず、作動流体の流通を僅かに許容しても差し支えない。
(10)上述の第16実施形態では図35に示すように、開度調整装置22は、例えばカートリッジ式サーモバルブとして構成され、下側ヘッダタンク53のうち作動流体出口部分に内蔵されているが、これは一例である。例えば、開度調整装置22は、下側ヘッダタンク53に内蔵されずに、下側ヘッダタンク53と下側ジョイント184との間に配置され、その下側ヘッダタンク53と下側ジョイント184とに直列に連結固定されていても差し支えない。このことは、第17〜第19実施形態でも同様である。
(11)上述の第18および第19実施形態では、図37、図39に示すように、作動流体回路10は連通部20を有していないが、第17実施形態と同様に、上側ジョイント164と下側ジョイント184とをつなぐ連通部20を有していても差し支えない。
(12)なお、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、開度調整装置は、液通路に配置されその液通路の開度を増減する開度増減部を有する。また、開度調整装置は、開度増減部が液通路を閉塞した場合に作動流体回路のうち気相の作動流体に晒される箇所に配置された感温部を有する。その感温部は、温度に応じた物理変化を示す物性を有する感温物を有し、その感温物を用いて、感温部の周囲温度が高いほど上記開度を大きくするように開度増減部を作動させる。
また、第2の観点によれば、連通部は作動流体回路に含まれ、その連通部には、液通路のうち開度増減部よりも作動流体流れ下流側とガス通路とを連通させる連通路が形成されている。そして、ガス通路と連通路との合流部分、および、液通路と連通路との合流部分は、開度増減部が液通路を閉塞した場合に作動流体回路内に生じる作動流体の液面よりも上方に配置される。従って、対象機器の熱により機器用熱交換器で蒸発した作動流体を、連通路を介し且つ凝縮器を迂回して開度調整装置の感温部まで送ることが可能である。すなわち、その機器用熱交換器で蒸発した作動流体を、凝縮器内の液相の作動流体に妨げられることなく開度調整装置の感温部まで送ることが可能である。
また、第3の観点によれば、機器温調装置は、第1凝縮器としての上記凝縮器に加え、第2凝縮器を備える。その第2凝縮器は、作動流体回路に含まれ、機器用熱交換器よりも上方に配置され、蒸発した作動流体から放熱させることによりその作動流体を凝縮させ、連通路に設けられる。従って、上記連通路を、第2凝縮器へ気相の作動流体を導くための流路としても利用することが可能である。すなわち、第2凝縮器を設けた場合において作動流体回路の簡素化を図ることが可能である。
また、第4の観点によれば、機器用熱交換器からガス通路と連通路との合流部分へ流れる気相の作動流体が、液通路の開度が最大開度とされた場合において、連通路へ流れるよりも、ガス通路のうち上記合流部分に対する作動流体流れ下流側へ流れやすくなるように、連通路は形成されている。従って、液通路が開き凝縮器と機器用熱交換器との間で作動流体が循環する通常の冷却運転時において、連通路へ流れ凝縮器を迂回する気相の作動流体の流量を抑えることができる。その結果、その凝縮器を迂回する作動流体の流れに起因した冷却能力の低下を抑制することが可能である。
また、第5の観点によれば、連通路が、液通路と連通路との合流部分から、水平方向、または水平方向よりも上向きになる方向へ延設される。従って、重力によって液通路を流下する液相の作動流体が、その液通路と連通路との合流部分にて液通路から外れて連通路へ流れ込むことを抑制することが可能である。
また、第6の観点によれば、感温部は、液通路のうち、開度増減部よりも作動流体流れ下流側に配置される。従って、開度調整装置をシンプルな構成として、感温部を上記気相の作動流体に晒される箇所に配置することが可能である。
また、第7の観点によれば、開度調整装置は、感温部を覆う感温部カバーを有する。そして、その感温部カバーは、感温部に対する作動流体流れ上流側から作動流体流れ下流側へ流れる液相の作動流体を感温部が被ることを抑制する。従って、凝縮器で冷却された液相の作動流体を感温部が直接被ることに起因してその感温部が過剰に冷やされることを防止することが可能である。
また、第8の観点によれば、感温部カバーは、その感温部カバーの外へ部分的に開放された開放部を有している。従って、開度調整装置の感温部が対象機器の温度を感知することを妨げないように、感温部カバーを簡素な構造で設けることが可能である。
また、第9の観点によれば、開放部は、液通路における作動流体流れ下流側を向いて開放された部位を含む。従って、その部位を開放部が含まない場合と比較して、開度調整装置の感温部が対象機器の温度を感知することを一層妨げないように、感温部カバーを構成することができる。
また、第10の観点によれば、開度増減部が液通路を閉塞した場合に、対象機器と熱交換可能な機器用熱交換器内の部位には液相の作動流体が存在する。従って、液通路が開度増減部によって閉塞されている場合に作動流体回路内の液相の作動流体に対象機器から受熱させ、それにより、その液相の作動流体を蒸発させることが可能である。
また、第11の観点によれば、機器用熱交換器は、対象機器に対し熱伝導可能に連結され作動流体を対象機器の熱で蒸発させる熱交換部を有する。そして、開度増減部が液通路を閉塞した場合に、熱交換部内には液相の作動流体が存在する。従って、液通路が開度増減部によって閉塞されている場合において、対象機器の温度上昇に応じて開度増減部が液通路を開く作動の追従性を良好にすることが可能である。
また、第12の観点によれば、伝熱部材は、作動流体回路のうち機器用熱交換器以外の箇所へ対象機器の熱を伝える。そして、開度増減部が液通路を閉塞した場合に、機器用熱交換器以外の上記箇所には液相の作動流体が存在する。従って、液通路が開度増減部によって閉塞されている場合に作動流体回路内の液相の作動流体に対象機器から受熱させ、それにより、その液相の作動流体を蒸発させることが可能である。
また、第13の観点によれば、感温物は、高温になるほど体積を増す物性を有する熱膨張体である。そして、感温部の周囲温度が高いほど熱膨張体の体積は大きくなり、その熱膨張体の体積が大きくなるほど開度増減部は上記開度を大きくする。従って、感温物の物理変化である体積変化を開度増減部の作動につなげやすい。そのため、開度調整装置を簡素な構造とすることが容易である。
また、第14の観点によれば、機器用熱交換器は、ガス通路が接続される上方接続部と、液通路が接続される下方接続部とを有する。その下方接続部は、上方接続部よりも下方に配置される。
また、第15の観点によれば、対象機器は車載用の組電池である。従って、その組電池の冷やし過ぎに起因して組電池の入出力特性が損なわれることを回避することが可能である。