JP6759775B2 - 駆動装置、光偏向システム、光走査システム、画像投影装置、物体認識装置、及び駆動方法 - Google Patents

駆動装置、光偏向システム、光走査システム、画像投影装置、物体認識装置、及び駆動方法 Download PDF

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Description

本発明は、駆動装置、光偏向システム、光走査システム、画像投影装置、物体認識装置、及び駆動方法に関する。
近年、光ビームを偏向して光走査するための手段として、隣り合う圧電部に異なる波形の駆動電圧を印加して圧電部を変形させることを利用して反射面を可動、例えば、所定の軸周りに回転運動させる光偏向器がある。この光偏向器に対して、上記隣り合う圧電部に印加する駆動電圧の波形を制御する制御手段を有した駆動装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような駆動装置では、通常、隣り合う圧電部に対して、同時に圧電部への駆動電圧の印加を開始する。
しかしながら、隣り合う圧電部に対して印加される異なる波形の駆動電圧の印加開始時間が同じである場合、各圧電部の少なくとも一方は、急激に電圧値が変化する駆動電圧を印加されることとなる。例えば、各駆動電圧の極小値が印加されるタイミングが異なる場合、各駆動電圧の少なくとも一方は、電圧値がゼロから極小値よりも大きい値まで急激に変化することとなる。このとき、急激に変化する駆動電圧に含まれる高調波により光偏向器が有する機械的な共振が励起され、反射面の可動速度の均一性を安定して高めることができなかった。
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的は、反射面の可動速度の均一性を向上することにある。
本発明は、隣り合う第1圧電部と第2圧電部がそれぞれ電圧印加されて生じる変形により、反射面を所定の軸周りに可動させる光偏向器の駆動装置であって、前記第1圧電部に所定の波形の第1駆動電圧を印加する第1印加手段と、前記第2圧電部に前記第1駆動電圧とは異なる波形の第2駆動電圧を印加する第2印加手段と、前記第1印加手段と前記第2印加手段の駆動を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1印加手段が前記第1駆動電圧の印加を開始する第1開始時間と、前記第2印加手段が前記第2駆動電圧の印加を開始する第2開始時間とが異なるように制御する駆動装置である。
本発明によれば、反射面の可動速度の均一性を向上することができる。
光走査システムの一例の概略図である。 光走査システムの一例のハードウェア構成図である。 駆動装置の一例の機能ブロック図である。 光走査システムに係る処理の一例のフローチャートである。 ヘッドアップディスプレイ装置を搭載した自動車の一例の概略図である。 ヘッドアップディスプレイ装置の一例の概略図である。 光書込装置を搭載した画像形成装置の一例の概略図である。 光書込装置の一例の概略図である。 レーザレーダ装置を搭載した自動車の一例の概略図である。 レーザレーダ装置の一例の概略図である。 パッケージングされた光偏向器の一例の概略図である。 光偏向器の一例を+Z方向から見たときの平面図である。 図12に示す光偏向器のP−P’断面図である。 図12に示す光偏向器のQ−Q’断面図である。 光偏向器の第2駆動部の変形を模式的に表した模式図である。 (a)は、光偏向器の圧電駆動部群Aに印加される駆動電圧Aの波形の一例を示すグラフ図であり、(b)は、光偏向器の圧電駆動部群Bに印加される駆動電圧Bの波形の一例を示すグラフ図であり、(c)は、(a)の駆動電圧の波形と(b)の駆動電圧の波形を重ね合わせた一例を示すグラフ図である。 反射面の第2軸周りの可動速度が一定(均一)である場合の反射面の第2軸周りの振れ角の時間変化を示すグラフ図である。 反射面の第2軸周りの可動速度が一定(均一)ではない場合の反射面の第2軸周りの振れ角の時間変化を示すグラフ図である。 (a)反射面の第2軸周りの可動速度が均一である場合の投影画像の一例のイメージ図であり、(b)反射面の第2軸周りの可動速度が不均一である場合の投影画像の一例のイメージ図である。 1駆動電圧の波形および第2駆動電圧の波形の一例である。 共振周波数と周波数低減領域について説明するための図である。 制御の変形例1の第1駆動電圧の波形および第2駆動電圧の波形の一例である。 制御の変形例2の第1駆動電圧の波形および第2駆動電圧の波形の一例である。 制御の変形例3の第1駆動電圧の波形および第2駆動電圧の波形の一例である。 制御の変形例4の第1駆動電圧の波形および第2駆動電圧の波形の一例である。 光偏向器の第1の変形例を+Z方向から見たときの平面図である。 光偏向器の第2の変形例を+Z方向から見たときの平面図である。 共振周波数と高調波成分について説明するための図である。 第1駆動電圧と第2駆動電圧を同時に印加開始した波形の一例である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[光走査システム]
まず、図1〜図4を参照して、本発明の実施形態に係る駆動装置を適用した光走査システムについて詳細に説明する。
図1に、光走査システムの一例の概略図を示す。図1に示すように、光走査システム10は、駆動装置11の制御に従って光源装置12から照射された光を光偏向器13の有する反射面14により偏向して被走査面15を光走査するシステムである。
光走査システム10は、駆動装置11,光源装置12、反射面14を有する光偏向器13により構成される。
駆動装置11は、例えばCPU(Central Processing Unit)およびFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を備えた電子回路ユニットである。光偏向器13は、例えば反射面14を有し、反射面14を可動可能なMEMS(Micro Electromechanical Systems)デバイスである。光源装置12は、例えばレーザを照射するレーザ装置である。なお、被走査面15は、例えばスクリーンである。
駆動装置11は、取得した光走査情報に基づいて光源装置12および光偏向器13の制御命令を生成し、制御命令に基づいて光源装置12および光偏向器13に駆動信号を出力する。
光源装置12は、入力された駆動信号に基づいて光源の照射を行う。光偏向器13は、入力された駆動信号に基づいて反射面14を1軸方向または2軸方向の少なくともいずれかに可動させる。
これにより、例えば、光走査情報の一例である画像情報に基づいた駆動装置11の制御によって、光偏向器13の反射面14を所定の範囲で2軸方向に往復可動させ、反射面14に入射する光源装置12からの照射光を偏向して光走査することにより、被走査面15に任意の画像を投影することができる。なお、光偏向器の詳細および本実施形態の駆動装置による制御の詳細については後述する。
次に、図2を参照して、光走査システム10の一例のハードウェア構成について説明する。図2は、光走査システム10の一例のハードウェア構成図である。図2に示すように、光走査システム10は、駆動装置11、光源装置12および光偏向器13を備え、それぞれが電気的に接続されている。
[駆動装置]
このうち、駆動装置11は、CPU20、RAM21(Random Access Memory)、ROM22(Read Only Memory)、FPGA23、外部I/F24、光源装置ドライバ25、光偏向器ドライバ26を備えている。
CPU20は、ROM22等の記憶装置からプログラムやデータをRAM21上に読み出し、処理を実行して、駆動装置11の全体の制御や機能を実現する演算装置である。
RAM21は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の記憶装置である。
ROM22は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の記憶装置であり、CPU20が光走査システム10の各機能を制御するために実行する処理用プログラムやデータを記憶している。
FPGA23は、CPU20の処理に従って、光源装置ドライバ25および光偏向器ドライバ26に適した制御信号を出力する回路である。
外部I/F24は、例えば外部装置やネットワーク等とのインタフェースである。外部装置には、例えば、PC(Personal Computer)等の上位装置、USBメモリ、SDカード、CD、DVD、HDD、SSD等の記憶装置が含まれる。また、ネットワークは、例えば自動車のCAN(Controller Area Network)やLAN(Local Area Network)、インターネット等である。外部I/F24は、外部装置との接続または通信を可能にする構成であればよく、外部装置ごとに外部I/F24が用意されてもよい。
光源装置ドライバ25は、入力された制御信号に従って光源装置12に駆動電圧等の駆動信号を出力する電気回路である。
光偏向器ドライバ26は、入力された制御信号に従って光偏向器13に駆動電圧等の駆動信号を出力する電気回路である。
駆動装置11において、CPU20は、外部I/F24を介して外部装置やネットワークから光走査情報を取得する。なお、CPU20が光走査情報を取得することができる構成であればよく、駆動装置11内のROM22やFPGA23に光走査情報を格納する構成としてもよいし、駆動装置11内に新たにSSD等の記憶装置を設けて、その記憶装置に光走査情報を格納する構成としてもよい。
ここで、光走査情報とは、被走査面15にどのように光走査させるかを示した情報であり、例えば、光走査により画像を表示する場合は、光走査情報は画像データである。また、例えば、光走査により光書込みを行う場合は、光走査情報は書込み順や書込み箇所を示した書込みデータである。他にも、例えば、光走査により物体認識を行う場合は、光走査情報は物体認識用の光を照射するタイミングと照射範囲を示す照射データである。
本実施形態に係る駆動装置11は、CPU20の命令および図2に示したハードウェア構成によって、次に説明する機能構成を実現することができる。
[駆動装置の機能構成]
次に、図3を参照して、光走査システム10の駆動装置11の機能構成について説明する。図3は、光走査システムの駆動装置の一例の機能ブロック図である。図3に示すように、駆動装置11は、機能として制御部30と駆動信号出力部31とを有する。
制御部30は、例えばCPU20、FPGA23等により実現され、外部装置から光走査情報を取得し、光走査情報を制御信号に変換して駆動信号出力部31に出力する。例えば、制御部30は、制御手段を構成し、外部装置等から画像データを光走査情報として取得し、所定の処理により画像データから制御信号を生成して駆動信号出力部31に出力する。
駆動信号出力部31は、印加手段を構成し、光源装置ドライバ25、光偏向器ドライバ26等により実現され、入力された制御信号に基づいて光源装置12または光偏向器13に駆動信号を出力する。駆動信号出力部31(印加手段)は、例えば、駆動信号を出力する対象ごとに設けられてもよい。
駆動信号は、光源装置12または光偏向器13の駆動を制御するための信号である。例えば、光源装置12においては、光源の照射タイミングおよび照射強度を制御する駆動電圧である。また、例えば、光偏向器13においては、光偏向器13の有する反射面14を可動させるタイミングおよび可動範囲を制御する駆動電圧である。なお、駆動装置は、光源装置12や受光装置等の外部装置から光源の照射タイミングや受光タイミングを取得し、これらを光偏向器13の駆動に同期するようにしてもよい。
[光走査処理]
次に、図4を参照して、光走査システム10が被走査面15を光走査する処理について説明する。図4は、光走査システムに係る処理の一例のフローチャートである。
ステップS11において、制御部30は、外部装置等から光走査情報を取得する。ステップS12において、制御部30は、取得した光走査情報から制御信号を生成し、制御信号を駆動信号出力部31に出力する。ステップS13において、駆動信号出力部31は、入力された制御信号に基づいて駆動信号を光源装置12および光偏向器13に出力する。ステップS14において、光源装置12は、入力された駆動信号に基づいて光照射を行う。また、光偏向器13は、入力された駆動信号に基づいて反射面14の可動を行う。光源装置12および光偏向器13の駆動により、任意の方向に光が偏向され、光走査される。
なお、上記光走査システム10では、1つの駆動装置11が光源装置12および光偏向器13を制御する装置および機能を有しているが、光源装置用の駆動装置および光偏向器用の駆動装置と、別体に設けてもよい。
また、上記光走査システム10では、一つの駆動装置11に光源装置12および光偏向器13の制御部30の機能および駆動信号出力部31の機能を設けているが、これらの機能は別体として存在していてもよく、例えば制御部30を有した駆動装置11とは別に駆動信号出力部31を有した駆動信号出力装置を設ける構成としてもよい。なお、上記光走査システム10のうち、反射面14を有した光偏向器13と駆動装置11により、光偏向を行う光偏向システムを構成してもよい。
[画像投影装置]
次に、図5及び図6を参照して、本実施形態の駆動装置を適用した画像投影装置について詳細に説明する。
図5は、画像投影装置の一例であるヘッドアップディスプレイ装置500を搭載した自動車400の実施形態に係る概略図である。また、図6はヘッドアップディスプレイ装置500の一例の概略図である。
画像投影装置は、光走査により画像を投影する装置であり、例えばヘッドアップディスプレイ装置である。
図5に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置500は、例えば、自動車400のウインドシールド(フロントガラス401等)の付近に設置される。ヘッドアップディスプレイ装置500から発せられる投射光Lがフロントガラス401で反射され、ユーザーである観察者(運転者402)に向かう。
これにより、運転者402は、ヘッドアップディスプレイ装置500によって投影された画像等を虚像として視認することができる。なお、ウインドシールドの内壁面にコンバイナを設置し、コンバイナによって反射する投射光によってユーザーに虚像を視認させる構成にしてもよい。
図6に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置500は、赤色、緑色、青色のレーザ光源501R,501G,501Bからレーザ光が出射される。出射されたレーザ光は、各レーザ光源に対して設けられるコリメータレンズ502,503,504と、2つのダイクロイックミラー505,506と、光量調整部507と、から構成される入射光学系を経た後、反射面14を有する光偏向器13にて偏向される。
そして、偏向されたレーザ光は、自由曲面ミラー509と、中間スクリーン510と、投射ミラー511とから構成される投射光学系を経て、スクリーンに投影される。
なお、上記ヘッドアップディスプレイ装置500では、レーザ光源501R,501G,501B、コリメータレンズ502,503,504、ダイクロイックミラー505,506は、光源ユニット530として光学ハウジングによってユニット化されている。
上記ヘッドアップディスプレイ装置500は、中間スクリーン510に表示される中間像を自動車400のフロントガラス401に投射することで、その中間像を運転者402に虚像として視認させる。
レーザ光源501R,501G,501Bから発せられる各色レーザ光は、それぞれ、コリメータレンズ502,503,504で略平行光とされ、2つのダイクロイックミラー505,506により合成される。合成されたレーザ光は、光量調整部507で光量が調整された後、反射面14を有する光偏向器13によって二次元走査される。光偏向器13で二次元走査された投射光Lは、自由曲面ミラー509で反射されて歪みを補正された後、中間スクリーン510に集光され、中間像を表示する。中間スクリーン510は、マイクロレンズが二次元配置されたマイクロレンズアレイで構成されており、中間スクリーン510に入射してくる投射光Lをマイクロレンズ単位で拡大する。
光偏向器13は、反射面14を2軸方向に往復可動させ、反射面14に入射する投射光Lを二次元走査する。この光偏向器13の駆動制御は、レーザ光源501R,501G,501Bの発光タイミングに同期して行われる。
以上、画像投影装置の一例としてのヘッドアップディスプレイ装置500の説明をしたが、画像投影装置は、反射面14を有した光偏向器13により光走査を行うことで画像を投影する装置であればよい。
例えば、机等に置かれ、表示スクリーン上に画像を投影するプロジェクタや、観測者の頭部等に装着される装着部材に搭載され、装着部材が有する反射透過スクリーンに投影、または眼球をスクリーンとして画像を投影するヘッドマウントディスプレイ装置等にも、同様に適用することができる。
また、画像投影装置は、車両や装着部材だけでなく、例えば、航空機、船舶、移動式ロボット等の移動体、あるいは、その場から移動せずにマニピュレータ等の駆動対象を操作する作業ロボットなどの非移動体に搭載されてもよい。
[光書込装置]
次に、図7及び図8を参照して、本実施形態の駆動装置11を適用した光書込装置について詳細に説明する。
図7は、光書込装置600を組み込んだ画像形成装置の一例である。また、図8は、光書込装置の一例の概略図である。
図7に示すように、上記光書込装置600は、レーザ光によるプリンタ機能を有するレーザプリンタ650等に代表される画像形成装置の構成部材として使用される。画像形成装置において光書込装置600は、1本または複数本のレーザビームで被走査面15である感光体ドラムを光走査することにより、感光体ドラムに光書込を行う。
図8に示すように、光書込装置600において、レーザ素子などの光源装置12からのレーザ光は、コリメータレンズなどの結像光学系601を経た後、反射面14を有する光偏向器13により1軸方向または2軸方向に偏向される。
そして、光偏向器13で偏向されたレーザ光は、その後、第一レンズ602aと第二レンズ602b、反射ミラー部602cからなる走査光学系602を経て、被走査面15(例えば感光体ドラムや感光紙)に照射し、光書込みを行う。走査光学系602は、被走査面15にスポット状に光ビームを結像する。
また、光源装置12および反射面14を有する光偏向器13は、駆動装置11の制御に基づき駆動する。
このように上記光書込装置600は、レーザ光によるプリンタ機能を有する画像形成装置の構成部材として使用することができる。
また、走査光学系を異ならせて1軸方向だけでなく2軸方向に光走査可能にすることで、レーザ光をサーマルメディアに偏向して光走査し、加熱することで印字するレーザラベル装置等の画像形成装置の構成部材として使用することができる。
上記光書込装置に適用される反射面14を有した光偏向器13は、ポリゴンミラー等を用いた回転多面鏡に比べ駆動のための消費電力が小さいため、光書込装置の省電力化に有利である。
また、光偏向器13の振動時における風切り音は回転多面鏡に比べ小さいため、光書込装置の静粛性の改善に有利である。光書込装置は回転多面鏡に比べ設置スペースが圧倒的に少なくて済み、また光偏向器13の発熱量もわずかであるため、小型化が容易であり、よって画像形成装置の小型化に有利である
[物体認識装置]
次に、図9及び図10を参照して、上記本実施形態の駆動装置を適用した物体認識装置について詳細に説明する。
図9は、物体認識装置の一例であるレーザレーダ装置を搭載した自動車の概略図である。また、図10はレーザレーダ装置の一例の概略図である。
物体認識装置は、対象方向の物体を認識する装置であり、例えばレーザレーダ装置である。
図9に示すように、レーザレーダ装置700は、例えば自動車701に搭載され、対象方向を光走査して、対象方向に存在する被対象物702からの反射光を受光することで、被対象物702を認識する。
図10に示すように、光源装置12から出射されたレーザ光は、発散光を略平行光とする光学系であるコリメートレンズ703と、平面ミラー704とから構成される入射光学系を経て、反射面14を有する光偏向器13で1軸もしくは2軸方向に走査される。
そして、投光光学系である投光レンズ705等を経て装置前方の被対象物702に照射される。光源装置12および光偏向器13は、駆動装置11により駆動を制御される。被対象物702で反射された反射光は、光検出器709により光検出される。
すなわち、反射光は受光光学系である集光レンズ706等を経て撮像素子707により受光され、撮像素子707は検出信号を信号処理回路708に出力する。信号処理回路708は、入力された検出信号に2値化やノイズ処理等の所定の処理を行い、結果を測距回路710に出力する。
測距回路710は、光源装置12がレーザ光を発光したタイミングと、光検出器709でレーザ光を受光したタイミングとの時間差、または受光した撮像素子707の画素ごとの位相差によって、被対象物702の有無を認識し、さらに被対象物702との距離情報を算出する。
反射面14を有する光偏向器13は多面鏡に比べて破損しづらく、小型であるため、耐久性の高い小型のレーダ装置を提供することができる。このようなレーダレーダ装置は、例えば車両、航空機、船舶、ロボット等に取り付けられ、所定範囲を光走査して障害物の有無や障害物までの距離を認識することができる。
上記物体認識装置では、一例としてのレーザレーダ装置700の説明をしたが、物体認識装置は、反射面14を有した光偏向器13を駆動装置11で制御することにより光走査を行い、光検出器により反射光を受光することで被対象物702を認識する装置であればよく、上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、手や顔を光走査して得た距離情報から形状等の物体情報を算出し、記録と参照することで対象物を認識する生体認証や、対象範囲への光走査により侵入物を認識するセキュリティセンサ、光走査により得た距離情報から形状等の物体情報を算出して認識し、3次元データとして出力する3次元スキャナの構成部材などにも同様に適用することができる。
[パッケージング]
次に、図11を参照して、本実施形態の駆動装置により制御される光偏向器のパッケージングについて説明する。図11は、パッケージングされた光偏向器の一例の概略図である。
図11に示すように、光偏向器13は、パッケージ部材801の内側に配置される取付部材802に取り付けられ、パッケージ部材の一部を透過部材803で覆われて、密閉されることでパッケージングされる。さらに、パッケージ内は窒素等の不活性ガスが密封されている。これにより、光偏向器13の酸化による劣化が抑制され、さらに温度等の環境の変化に対する耐久性が向上する。
次に、以上に説明した光偏向システム、光走査システム、画像投影装置、光書込装置、物体認識装置に使用される光偏向器の詳細および本実施形態の駆動装置による制御の詳細について説明する。
[光偏向器の詳細]
まず、図12〜図14を参照して、光偏向器について詳細に説明する。
図12は、2軸方向に光偏向可能な両持ちタイプの光偏向器の平面図である。図13は、図12のP−P’断面図である。図14は図12のQ−Q’断面図である。
図12に示すように、光偏向器13は、入射した光を反射するミラー部101と、ミラー部に接続され、ミラー部をY軸に平行な第1軸周りに駆動する第1駆動部110a、110bと、ミラー部および第1駆動部を支持する第1支持部120と、第1支持部に接続され、ミラー部および第1支持部をX軸に平行な第2軸周りに駆動する第2駆動部130a、130bと、第2駆動部を支持する第2支持部140と、第1駆動部および第2駆動部および駆動装置に電気的に接続される電極接続部150と、を有する。
光偏向器13は、例えば、1枚のSOI(Silicon On Insulator)基板をエッチング処理等により成形し、成形した基板上に反射面14や第1圧電駆動部112a、112b、第2圧電駆動部131a〜131f、132a〜132f、電極接続部150等を形成することで、各構成部が一体的に形成されている。なお、上記の各構成部の形成は、SOI基板の成形後に行ってもよいし、SOI基板の成形中に行ってもよい。
SOI基板は、単結晶シリコン(Si)からなる第1のシリコン層の上に酸化シリコン層162が設けられ、その酸化シリコン層の上にさらに単結晶シリコンからなる第2のシリコン層が設けられている基板である。以降、第1のシリコン層をシリコン支持層161、第2のシリコン層をシリコン活性層163とする。
シリコン活性層163は、X軸方向またはY軸方向に対してZ軸方向への厚みが小さいため、シリコン活性層163のみで構成された部材は、弾性を有する弾性部としての機能を備える。
なお、SOI基板は、必ず平面状である必要はなく、曲率等を有していてもよい。また、エッチング処理等により一体的に成形でき、部分的に弾性を持たせることができる基板であれば光偏向器13の形成に用いられる部材はSOI基板に限られない。
ミラー部101は、例えば、円形状のミラー部基体102と、ミラー部基体の+Z側の面上に形成された反射面14とから構成される。ミラー部基体102は、例えば、シリコン活性層163から構成される。
反射面14は、例えば、アルミニウム、金、銀等を含む金属薄膜で構成される。また、ミラー部101は、ミラー部基体102の−Z側の面にミラー部補強用のリブが形成されていてもよい。リブは、例えば、シリコン支持層161および酸化シリコン層162から構成され、可動によって生じる反射面14の歪みを抑制することができる。
第1駆動部110a、110bは、ミラー部基体102に一端が接続し、第1軸方向にそれぞれ延びてミラー部101を可動可能に支持する2つのトーションバー111a、111bと、一端がトーションバーに接続され、他端が第1支持部の内周部に接続される第1圧電駆動部112a、112bと、から構成される。
図13に示すように、トーションバー111a、111bはシリコン活性層163から構成される。また、第1圧電駆動部112a、112bは、弾性部であるシリコン活性層163の+Z側の面上に下部電極201、圧電部202、上部電極203の順に形成されて構成される。
上部電極203および下部電極201は、例えば金(Au)または白金(Pt)等から構成される。圧電部202は、例えば、圧電材料であるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる。
図12に戻り、第1支持部120は、例えば、シリコン支持層161、酸化シリコン層162、シリコン活性層163から構成され、ミラー部101を囲うように形成された矩形形状の支持体である。
第2駆動部130a、130bは、例えば、折り返すように連結された複数の第2圧電駆動部131a〜131f、132a〜132fから構成されており、第2駆動部130a、130bの一端は第1支持部120の外周部に接続され、他端は第2支持部140の内周部に接続されている。
このとき、第2駆動部130aと第1支持部120の接続箇所および第2駆動部130bと第1支持部120の接続箇所、さらに第2駆動部130aと第2支持部140の接続箇所および第2駆動部130bと第2支持部140の接続箇所は、反射面14の中心に対して点対称となっている。
図14に示すように、第2駆動部130a、130bは、弾性部であるシリコン活性層163の+Z側の面上に下部電極201、圧電部202、上部電極203の順に形成されて構成される。上部電極203および下部電極201は、例えば金(Au)または白金(Pt)等から構成される。圧電部202は、例えば、圧電材料であるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる。
図12に戻り、第2支持部140は、例えば、シリコン支持層161、酸化シリコン層162、シリコン活性層163から構成され、ミラー部101、第1駆動部110a、110b、第1支持部120および第2駆動部130a、130bを囲うように形成された矩形の支持体である。
電極接続部150は、例えば、第2支持部140の+Z側の面上に形成され、第1圧電駆動部112a、112b、第2圧電駆動部131a〜131fの各上部電極203および各下部電極201,および駆動装置11にアルミニウム(Al)等の電極配線を介して電気的に接続されている。
なお、上部電極203または下部電極201は、それぞれが電極接続部と直接接続されていてもよいし、電極同士を接続する等により間接的に接続されていてもよい。
なお、本実施形態では、圧電部202が弾性部であるシリコン活性層163の一面(+Z側の面)のみに形成された場合を一例として説明したが、弾性部の他の面(例えば−Z側の面)に設けても良いし、弾性部の一面および他面の双方に設けても良い。
また、ミラー部101を第1軸周りまたは第2軸周りに駆動可能であれば、各構成部の形状は実施形態の形状に限定されない。例えば、トーションバー111a、111bや第1圧電駆動部112a、112bが曲率を有した形状を有していてもよい。
さらに、第1駆動部110a、110bの上部電極203の+Z側の面上、第1支持部の+Z側の面上、第2駆動部130a、130bの上部電極203の+Z側の面上、第2支持部の+Z側の面上の少なくともいずれかに酸化シリコン膜からなる絶縁層が形成されていてもよい。
このとき、絶縁層の上に電極配線を設け、また、上部電極203または下部電極201と電極配線とが接続される接続スポットに、開口部として部分的に絶縁層を除去または絶縁層を形成しないことにより、第1駆動部110a、110b、第2駆動部130a、130bおよび電極配線の設計自由度をあげ、さらに電極同士の接触による短絡を抑制することができる。なお、絶縁層は絶縁性を有する部材であればよく、また、反射防止材としての機能を備えさせてもよい。
[駆動装置の制御の詳細]
次に、光偏向器の第1駆動部および第2駆動部を駆動させる駆動装置の制御の詳細について説明する。
第1駆動部110a、110b、第2駆動部130a、130bが有する圧電部202は、分極方向に正または負の電圧が印加されると印加電圧の電位に比例した変形(例えば、伸縮)が生じ、いわゆる逆圧電効果を発揮する。第1駆動部110a,110b,第2駆動部130a、130bは、上記の逆圧電効果を利用してミラー部101を可動させる。
このとき、ミラー部101の反射面14に入射した光束が偏向される角度を振れ角とよぶ。圧電部に電圧を印加していないときの振れ角をゼロとし、その角度よりも偏向角度が大きい場合を正の振れ角、小さい場合を負の振れ角とする。
まず、第1駆動部を駆動させる駆動装置の制御について説明する。第1駆動部110a、110bでは、第1圧電駆動部112a、112bが有する圧電部202に、上部電極203および下部電極201を介して駆動電圧が並列に印加されると、それぞれの圧電部202が変形する。この圧電部202の変形による作用により、第1圧電駆動部112a、112bが屈曲変形する。
その結果、2つのトーションバー111a、111bのねじれを介してミラー部101に第1軸周りの駆動力が作用し、ミラー部101が第1軸周りに可動する。第1駆動部110a、110bに印加される駆動電圧は、駆動装置11によって制御される。
そこで、駆動装置11によって、第1駆動部110a、110bが有する第1圧電駆動部112a、112bに所定の正弦波形の駆動電圧を並行して印加することで、ミラー部101を、第1軸周りに所定の正弦波形の駆動電圧の周期で可動させることができる。
特に、例えば、正弦波形電圧の周波数がトーションバー111a、111bの共振周波数と同程度である約20kHzに設定された場合、トーションバー111a、111bのねじれによる機械的共振が生じるのを利用して、ミラー部101を約20kHzで共振振動させることができる。
次に、図15〜図21を参照して、第2駆動部を駆動させる駆動装置の制御について説明する。
図15は、光偏向器の第2駆動部130bの駆動を模式的に表した模式図である。斜線で表されている領域がミラー部101等である。
第2駆動部130aが有する複数の第2圧電駆動部131a〜131fのうち、最もミラー部に距離が近い第2圧電駆動部(131a)から数えて偶数番目の第2圧電駆動部、すなわち第2圧電駆動部131b、131d、131fを圧電駆動部群Aとする。
また、さらに第2駆動部130bが有する複数の第2圧電駆動部132a〜132fのうち、最もミラー部に距離が近い第2圧電駆動部(132a)から数えて奇数番目の第2圧電駆動部、すなわち第2圧電駆動部132a、132c、132eを同様に圧電駆動部群Aとする。
圧電駆動部群Aは、駆動電圧が並行に印加されると、図15(i)に示すように、圧電駆動部群Aが同一方向に屈曲変形し、正の振れ角となるようにミラー部101が第2軸周りに可動する。
また、第2駆動部130aが有する複数の第2圧電駆動部131a〜131fのうち、最もミラー部に距離が近い第2圧電駆動部(131a)から数えて奇数番目の第2圧電駆動部、すなわち第2圧電駆動部131a、131c、131eを圧電駆動部群Bとする。
また、さらに第2駆動部130bが有する複数の第2圧電駆動部132a〜132fのうち、最もミラー部に距離が近い第2圧電駆動部(132a)から数えて偶数番目の第2圧電駆動部、すなわち、132b、132d、132fを同様に圧電駆動部群Bとする。
圧電駆動部群Bは、駆動電圧が並行に印加されると、図15(iii)に示すように、圧電駆動部群Bが同一方向に屈曲変形し、負の振れ角となるようにミラー部101第2軸周りに可動する。
図15(i)、(iii)に示すように、第2駆動部130aまたは130bでは、圧電駆動部群Aが有する複数の圧電部202または圧電駆動部群Bが有する複数の圧電部202を屈曲変形させることにより、屈曲変形による可動量を累積させ、ミラー部101の第2軸周りの振れ角を大きくすることができる。
例えば、図12に示すように、第2駆動部130a、130bが、第1支持部の中心点に対して第1支持部に点対称で接続されている。そのため、圧電駆動部群Aに駆動電圧を印加すると、第2駆動部130aでは第1支持部と第2駆動部130aの接続部に+Z方向に動かす駆動力が生じ、第2駆動部130bでは第1支持部と第2駆動部130bの接続部に−Z方向に動かす駆動力が生じ、可動量が累積されてミラー部101の第2軸周りの振れ角度を大きくすることができる。
また、図15(ii)に示すように、電圧が印加されていない、または、電圧印加による圧電駆動部群Aによるミラー部101の可動量と電圧印加による圧電駆動群Bによるミラー部101の可動量が釣り合っている時は、振れ角はゼロとなる。
図15(i)〜図15(iii)を連続的に繰り返すように第2圧電駆動部に駆動電圧を印加することにより、ミラー部を第2軸周りに駆動させることができる。
[駆動電圧]
第2駆動部に印加される駆動電圧は、駆動装置によって制御される。図16を参照して、圧電駆動部群Aに印加される駆動電圧(以下、駆動電圧A)、圧電駆動部群Bに印加される駆動電圧(以下、駆動電圧B)について説明する。また、駆動電圧A(第1駆動電圧)を印加する印加手段を第1印加手段、駆動電圧B(第2駆動電圧)を印加する印加手段を第2印加手段とする。
図16(a)は、光偏向器の圧電駆動部群Aに印加される駆動電圧Aの波形の一例である。図16(b)は、光偏向器の圧電駆動部群Bに印加される駆動電圧Bの波形の一例である。図16(c)は、駆動電圧Aの波形と駆動電圧Bの波形を重ね合わせた図である。
図16(a)に示すように、圧電駆動部群Aに印加される駆動電圧Aの波形は、例えば、ノコギリ波状の波形であり、周波数は、例えば60HZである。また、駆動電圧Aの波形は、電圧値が極小値から次の極大値まで増加していく立ち上がり期間の時間幅をTrA、電圧値が極大値から次の極小値まで減少していく立ち下がり期間の時間幅をTfAとしたとき、例えば、TrA:TfA=9:1となる比率があらかじめ設定されている。このとき、一周期に対するTrAの比率を駆動電圧Aのシンメトリという。
図16(b)に示すように、圧電駆動部群Bに印加される駆動電圧Bの波形は、例えば、ノコギリ波状の波形であり、周波数は、例えば60HZである。また、駆動電圧Bの波形は、電圧値が極小値から次の極大値まで増加していく立ち上がり期間の時間幅をTrB、電圧値が極大値から次の極小値まで減少していく立ち下がり期間の時間幅をTfBとしたとき、例えば、TfB:TrB=9:1となる比率があらかじめ設定されている。このとき、一周期に対するTfBの比率を駆動電圧Bのシンメトリという。また、図16(c)に示すように、例えば、駆動電圧Aの波形の周期TAと駆動電圧Bの波形の周期TBは、同一となるように設定されている。
なお、上記の駆動電圧Aおよび駆動電圧Bのノコギリ波状の波形は、例えば、正弦波の重ね合わせによって生成される。
また、本実施形態では、駆動電圧A、Bとしてノコギリ波状の波形の駆動電圧を用いているが、これに限らず、ノコギリ波状の波形の頂点を丸くした波形の駆動電圧や、ノコギリ波状の波形の直線領域を曲線とした波形の駆動電圧など、光偏向器のデバイス特性に応じて波形を変えることも可能である。この場合、シンメトリは、一周期に対する立ち上がり時間の比率、または一周期に対する立ち下がり時間の比率となる。このとき、立ち上がり時間、立ち下がり時間のどちらを基準にするかは、任意に設定してもよい。
次に、図17〜図19を参照して、光偏向器の反射面の第2軸周りの可動速度、すなわち反射面の第2軸周りの振れ角の時間変化について説明する。
図17は、反射面の第2軸周りの可動速度が一定(均一)である場合の反射面の第2軸周りの振れ角(光走査角度)の時間変化を示す図である。図18は、反射面の第2軸周りの可動速度が一定(均一)ではない場合の反射面の第2軸周りの振れ角(光走査角度)の時間変化を示す図である。図19(a)は、第2軸周りのミラー部101の可動速度が均一であるときの投影画像のイメージ図である。図19(b)は、第2軸周りのミラー部101の可動速度が不均一であるときの投影画像のイメージ図である。
反射面14の第2軸周りの振れ角の時間変化、すなわち反射面14の第2軸周りの可動速度は、図17に示すように直線的であることが望ましい。つまり、ミラー部101の第2軸周りの可動速度に変動が生じないことが望ましい。ミラー部101の第2軸周りの可動速度に変動が生じると、直線的な光走査が妨げられ、例えば、被走査面15に形成される画像に輝度ムラ、歪みなどが発生し、画質の劣化を招くからである。
しかしながら、実際には、光偏向器13は共振周波数を有し、光偏向器13に駆動電圧を印加した際に、駆動電圧の高調波成分と共振周波数との重なりが大きいと、光偏向器13の共振が励起されてしまう。これにより、図18に示すように、反射面14の2軸周りの可動速度は揺れが生じてしまい、可動速度の均一性を保つことができない。
[高調波成分及び共振周波数]
高調波成分及び共振周波数について図28を参照して説明する。図28は、高調波成分と光偏向器13が有する共振周波数の関係を表したグラフの一例である。光偏向器13の共振周波数は複数存在し、それぞれ周波数が小さいものから0次(最低次、f0)、1次(f1)、…、n次の共振周波数(共振モード)とする。このとき、駆動電圧の高調波成分が光偏向器13の共振周波数との重なりが大きいとき、特に高調波成分の信号強度も共振モードの駆動感度も高い0次の共振周波数との重なりが大きいとき、光偏向器13の共振が励起され、光偏向器13に異常振動が発生する。この異常振動により、反射面14の可動速度に揺れが生じてしまい、可動速度の均一性を保つことができなくなる。
[投影画像]
図18に示すような不均一な可動速度で光走査する光偏向器を用いて画像投影を行った場合、本来は図19(a)のように表示される投影画像が、図19(b)のように画像全体に輝度ムラと歪みが生じてしまう。
駆動電圧の高調波成分は、駆動電圧に急激な変化が生じる場合に、波形に多く含まれることとなる。これは、駆動電圧に急激な変化を生じさせるために、短い周期の正弦波を重ね合わせることとなり、高調波が短い間隔で生じることとなるためである。
駆動電圧の急激な変化は次のような場合に生じる。例えば、圧電駆動部群Aに属するある圧電部を第1圧電部、第1圧電部の片隣の圧電駆動部群Bに属する圧電部を第2圧電部とする。このとき、第1圧電部へ印加する駆動電圧の波形と第2圧電部へ印加する駆動電圧の波形とが異なる。このような場合、圧電部へ印加する電圧値が極小値となる時刻が、第1圧電部と第2圧電部とで合わなくなる。
このとき、駆動電圧が印加されていない停止状態から、第1圧電部と第2圧電部に対して同時に駆動電圧の印加を開始すると、すなわち、第1圧電部へ駆動電圧を出力開始する第1出力開始時間と、第2圧電部へ駆動電圧を出力開始する第2出力開始時間とが同じとなる。このとき、例えば、図29に示すような駆動電圧の波形となり、第1駆動電圧、第2駆動電圧ともに、出力開始時間直後に、瞬間的に駆動電圧の急激な変化が生じる。
このように、出力開始時間直後に駆動電圧の急激な変化が生じると、駆動電圧の高調波成分により光偏向器の共振が励起されてしまい、出力開始時間直後しばらくは、反射面14の可動速度を均一とすることができないという問題があった。
そこで、本実施形態では、駆動装置11は、隣り合う圧電部に所定の波形の駆動電圧を印加する際に、第1印加手段が駆動電圧A(第1駆動電圧)の印加を開始する開始時間(第1開始時間)と、第2印加手段が駆動電圧B(第2駆動電圧)の印加を開始する開始時間(第2開始時間)とが異なるように制御する。
この結果、駆動電圧の出力開始直後の急激な変化が抑制され、反射面14の第2軸周りの可動動作における可動速度の変動を抑制し、反射面14の可動速度の均一性を向上させることができる。
以下、図20、図21を参照して、上記制御によりミラー部101の可動速度の均一性が向上する理由について詳細に説明する。
図20は、第1駆動電圧の印加開始時間と第2駆動電圧の印加開始時間を異ならせた駆動信号の波形を示す図である。このとき、第1圧電部と第2圧電部の両方に駆動電圧が印加されていない期間を停止期間、第1駆動電圧および第2駆動電圧の波形が一定となる期間を通常動作期間、停止期間から通常動作期間へ遷移する期間を遷移期間とする。図20においては、第2駆動電圧の印加開始時間までが停止期間、第2駆動電圧の印加開始時間から周期T11の終わりまでが遷移期間、周期T12の始まり以降が通常動作期間である。
図20に示すように、第1圧電部に第2駆動電圧を印加する開始時間(第1開始時間)と、第2圧電部に第2駆動電圧を印加する開始時間(第2開始時間)とが異なっている。
これにより、第1駆動電圧と第2駆動電圧を同時に印加しないために、印加第1駆動電圧、第2駆動電圧ともに瞬間的に駆動電圧が急激に変化することが抑制され、異常振動を抑制することができる。
第1開始時間と第2開始時間の時間差を開始時間差ΔTとする。このとき、例えば、ΔTを第1駆動電圧の立ち下がり時間、または、第2駆動電圧の立ち上がり時間に一致する時間に設定するのが好ましい。これにより、駆動電圧の波形を遷移期間と通常動作期間で変化させることなく、第1駆動電圧の波形の極小電圧値と第2駆動電圧の波形の極小電圧値が一致するタイミングで出力を開始するため、停止期間(0V)からの差がなくなる、または最も小さくなり、電圧の急激な変化が抑制されるため、異常振動を抑制することができる。また、遷移期間と通常動作期間で波形を変化させないことで、駆動信号(駆動電圧)に含まれる高周波成分を限定することができる。
また、このとき、第1駆動電圧の波形または第2駆動電圧の波形のシンメトリを調整することで、より異常振動を抑制することができる。以下にその理由について、図21を参照して説明する。
図21は、シンメトリ調整による異常振動の抑制を説明するための図である。図21には、本実施形態の駆動方式におけるノコギリ波状の波形の駆動電圧の周波数成分(高調波成分)と、光偏向器13がもつ共振モードの周波数特性との関係が示されている。ノコギリ波状波形の駆動電圧の周波数成分は、理想的なノコギリ波状の波形をフーリエ変換して印加信号を周波数成分に分解したものであり、直流(0Hz)から駆動周波数間隔で発生する印加電圧成分の重ね合わせで表される。
また、図21には、光偏向器13が有する最低次共振モードのスペクトル特性も示されている。なお、図21では、駆動信号の駆動周波数(繰り返し周波数)を光偏向器の最低次の共振周波数の半整数分の1に設定した場合が例示している。このように設定すると、周期的に発生する信号成分である高調波成分と光偏向器の共振周波数との重なりを低減することができる。
所定の駆動信号によって光偏向器を駆動した場合、その駆動信号の波形によっては周波数スペクトル(駆動信号をフーリエ変換して周波数成分に分解したもの)に一定間隔の「谷(理論上信号強度がゼロまで低減される点)」が存在する。また、この「谷」近傍の周波数領域は、信号強度が低減される。この「谷」をヌル周波数、「谷」周辺の周波数領域を周波数低減領域とよぶ。この「谷」近傍の周波数領域とは、例えば、ヌル周波数から周波数が±10%程度の周波数領域である。
ヌル周波数fnは、駆動電圧のシンメトリをS、駆動周波数をfsとしたとき、以下の式で与えられる。周波数低減領域は、次のように求められる。
次数Nは整数であり、ヌル周波数は周期的に現れる。すなわち、最も周波数が小さいヌル周波数を1番目のヌル周波数としたとき、周期的に2番目、3番目のヌル周波数が現れる。上記(1)式から明らかなように、ヌル周波数fn及び周波数低減領域は、駆動電圧の駆動周波数fs、あるいは駆動電圧のシンメトリSをパラメータとして所望の値に調整することができる。
したがって、光偏向器が有する共振周波数(特に0次の共振周波数)が周波数低減領域に含まれるように駆動電圧のシンメトリを調整することにより、光偏向器の共振周波数と高調波成分の重なりを低減することが可能となる。これにより、高調波によって光偏向器の共振が励起されることを抑制し、反射面14の可動速度の均一性をより向上することができる。
なお、シンメトリは、第1駆動電圧、第2駆動電圧で異なっていてもよい。例えば、共振周波数が、第1駆動電圧のヌル周波数と第2駆動電圧のヌル周波数に挟まれるように第1駆動電圧と第2駆動電圧のシンメトリを調整しても良い。これは、以下の理由による。0次の共振周波数とヌル周波数とをほぼ一致させる場合のシンメトリの近傍では、高周波成分により生じる高周波振動の位相が急激に変化する領域(以下、位相変化急激領域)が存在する。このとき、例えば、この位相変化急激領域よりも第1駆動電圧を外側(共振周波数に対してヌル周波数の周波数が大きくなるようにシンメトリ調整)、第2駆動電圧を内側(共振周波数に対してヌル周波数の周波数が小さくなるようにシンメトリ調整)とすることで、第1駆動電圧の高周波成分により生じる高周波振動の位相と、第2駆動電圧の高周波成分により生じる高周波振動の位相とを逆相とし、シンメトリの経時変化(ヌル周波数の経時変化)に対する位相差の変化を小さくし、ロバスト性を向上することができる。
以上より、本実施形態の駆動装置11では、所定の波形の第1駆動電圧の印加を開始する第1開始時間と、第1駆動電圧とは異なる波形の第2駆動電圧の印加を開始する第2開始時間とが異なるように制御することにより、反射面14の可動速度の均一性を向上することができる。
より詳しく説明すると、駆動装置11が、図20に示すように、第1開始時間と第2開始時間を異ならせることにより、電圧値の極小値が印加されるタイミングが異なる第1駆動電圧と第2駆動電圧を印加開始する際に、図28に示すような瞬間的な駆動電圧の急激な変化が抑制される。例えば、各駆動電圧の通常動作期間の極小値が印加されるタイミングで電圧印加を開始できるように第1開始時間と第2開始時間を異ならせることにより、急激に電圧値を変化させることなく、各駆動電圧の電圧印加を開始することができる。
これにより、急激な変化による高調波成分の増加が抑制され、反射面14の可動速度の不均一性の原因の一つである高調波成分による光偏向器13の共振の励起が抑制される。よって、図18に示す可動の揺れを、図17に示す理想的な可動に近づけることができる。すなわち、反射面の可動速度の均一性を向上することができる。このような均一性の向上により、例えば、図19(b)に示す投影画像の輝度ムラおよび歪みを抑制し、図19(a)に示す投影画像を表示することができる。
上記実施形態では、図20に示すように、遷移期間の駆動電圧の波形と、通常動作期間の駆動電圧の波形を同一としているが、異ならせてもよい。すなわち、遷移期間から通常動作期間に移行する所定の時刻前と、その所定の時刻以降で、駆動電圧の波形を異ならせてもよい。以下に、駆動装置11の制御の変形例について説明する。
[変形例1]
上記実施形態の変形例1について、図22を参照して説明する。変形例1は、駆動電圧の波形以外は、上記実施形態と同様である。図22は、変形例1の第1駆動電圧と第2駆動電圧の一例である。第1駆動電圧の波形、第2駆動電圧の波形ともに遷移期間から通常動作期間に移行する時刻の前後で、駆動電圧の波形が異なっている。
図22では、駆動装置11は、周期T21からT24にかけて、第1駆動電圧および第2駆動電圧のシンメトリが徐々に変化し、所定時刻以降である周期T25以降は、第1駆動電圧および第2駆動電圧のシンメトリは変化しないように制御する。また、T21から徐々にT25の波形に近づけるように制御する。このとき、第2駆動電圧においては、一周期に対する立ち上がり時間の比率が徐々に大きくなるように制御している。すなわち、第2駆動電圧のシンメトリが徐々に小さくなるように制御し、第2駆動電圧の立ち上がりにおける電圧の変化を徐々に上げるように制御している。これは、次の理由による。
電圧印加直後は素子によっては電圧値が安定しない場合がある。例えば、共振周波数が周波数低減領域に含まれるようにシンメトリを調整して電圧を与える設定にしていたとしても、急激に電圧変化を変化させた場合、電圧変化に素子の感度が追随できないと、シンメトリ調整の効果や予期せぬ高調波成分の発生が生じる。そこで、上記のように、印加開始直後は、所定時刻以降の波形に比べて、立ち上がりにおける電圧の変化が緩やかになるように駆動電圧のシンメトリを設定し、素子が順応するのに合わせるように、徐々に電圧の変化率(立ち上がり時間の傾き)を大きくしている。
これにより、印加開始直後の電圧の変化が緩やかになるため、高調波成分が共振を励起することを抑制し、反射面14の可動速度の均一性を向上できる。
このとき、全ての周期において、共振周波数が周波数低減領域に含まれるように駆動電圧のシンメトリを調整するのが好ましい。例えば、図22においては、駆動装置11は、周期T21では、共振周波数が3番目のヌル周波数近傍の周波数低減領域に含まれるようにシンメトリを調整する。また、周期T23では、共振周波数が2番目のヌル周波数近傍の周波数低減領域に含まれるようにシンメトリを調整する。さらに、周期T25以降では、共振周波数が1番目のヌル周波数近傍の周波数低減領域に含まれるようにシンメトリを調整する。
このように、全ての周期において、共振周波数が周波数低減領域に含まれることで、高調波成分と共振周波数の重なりを低減することができる。
また、図22に示すように、駆動装置11は、第1駆動電圧および第2駆動電圧の波形について、周期T21、T22、T23と、段階的に周期T25以降の周波数に形が近づくように変化するように制御している。この段階的な変化により、急激な変化をより抑制することができる。
さらに、駆動装置11は、通常動作期間の印加電圧極小値がゼロよりも大きいとき、駆動電圧の印加開始直後の周期において、光偏向器13の共振周波数が上述の周波数低減領域から外れない範囲で駆動電圧のシンメトリを変化させてもよい。これにより、通常動作期間の印加電圧極小値分の急激な電圧の変化を生じさせる必要がなくなり、異常振動を抑制することができる。例えば、印加電圧極小値をΔE、立ち上がり時間をTrとした場合に、ΔE/Trだけ傾きが大きくなるようにシンメトリを調整する。
以上より、変形例1では、駆動装置11は、所定時刻前と所定時刻以降で駆動電圧の波形を変化させることで、駆動電圧の急激な変化をより抑制して異常振動を抑制し、反射面の可動速度の均一性を向上することができる。また、遷移期間において駆動電圧の波形を段階的に通常動作期間の駆動電圧の波形に形が近づくように制御することで、より駆動電圧の急激な変化を抑制して異常振動を抑制し、反射面の可動速度の均一性を向上することができる。
また、次に説明する変形例2のように、駆動装置11は、立ち上がりの電圧変化が急である第2駆動電圧のみを、所定時刻前と所定時刻以降で駆動電圧の波形が異なるように制御してもよい。
[変形例2]
変形例2について、図23を参照して説明する。変形例2は、駆動電圧の波形以外は、上記実施形態と同様である。図23は、変形例2の第1駆動電圧と第2駆動電圧の一例である。
図23に示すように、変形例2では、駆動装置11は、駆動電圧の立ち上がりの変化が比較的急である第2駆動電圧のみ所定時刻前と所定時刻以降で駆動電圧のシンメトリが変化するように制御し、第1駆動電圧は、所定時刻前と所定時刻以降で駆動電圧のシンメトリは変化しないように制御している。このように、片方の駆動電圧の波形のみを徐々に変化するように制御することで、駆動電圧の制御の複雑化を抑制することができる。
言い換えると、駆動装置11は、第1駆動電圧と第2駆動電圧のうち、一周期における立ち上がり時間の比率の小さい方の駆動電圧に対して、所定時刻以降の駆動電圧の一周期に対する立ち上がり時間の比率よりも、所定時刻前の駆動電圧の一周期に対する立ち上がり時間の比率が大きくなるように制御する。
図23では、駆動装置11は、第1駆動電圧について、所定時刻の一周期前に電圧印加を開始しているが、所定時刻前であれば、電圧印加を開始するタイミングは任意に設定できる。このとき、第1開始時間と第2開始時間の時間差ΔTは、「任意の整数m×周期T+第2駆動電圧の立ち上がり時間」とするのが好ましい。これにより、第1駆動電圧と第2駆動電圧の周期を変更することなく、第1駆動電圧の波形の極小電圧値と第2駆動電圧の波形の極小電圧値が一致するタイミングで出力を開始するため、停止期間(0V)からの差がなくなる、または最も小さくなり、電圧の急激な変化が抑制されるため、異常振動を抑制することができる。
以上より、変形例2では、駆動装置11は、一周期に対する立ち上がり時間の比率が小さい方の駆動電圧に対して、遷移期間から通常動作期間に移行する所定時刻以降の駆動電圧の一周期に対する立ち上がり時間の比率よりも、所定時刻前の駆動電圧の一周期に対する立ち上がり時間の比率が大きくなるように制御する。これにより、制御を遷移期間における駆動電圧の段階的な制御が片方の駆動電圧の波形のみにすることにより、制御の複雑化を抑制することができる。このとき、光偏向器の共振周波数が周波数低減領域に含まれるように、駆動電圧のシンメトリを調整してもよい。
[変形例3]
次に、変形例3について図24を参照して説明する。変形例3は、駆動電圧の波形以外は、上記実施形態と同様である。図24は、変形例3の第1駆動電圧と第2駆動電圧の一例である。
変形例3では、駆動装置11は、遷移期間と通常動作期間で周期Tが異なるように制御する。例えば、図24に示すように、遷移期間から通常動作期間に移行する所定時刻前の駆動電圧の波形の周期(例えば、周期T41)を、所定時刻以降の駆動電圧の波形の周期(例えば、T45)よりも長くする。これにより、周期Tが長くなることによって電圧の急激な変化が抑制されるため、異常振動を抑制することができる。
また、図24に示すように、駆動装置11は、第1駆動電圧および第2駆動電圧を、周期T41、周期T42、周期T43の周期と段階的に短くなるように変化させ、徐々に周期T45以降の波形に形が近づくように制御してもよい。この段階的な変化により、周期が急激に変化することによる電圧値の急激な変化を抑制し、異常振動を抑制することができる。
このとき、第1駆動電圧と第2駆動電圧のうち、一周期における立ち上がり時間の比率の小さい方の駆動電圧に対してのみ、周期を所定時刻前後で変化させてもよい。これにより、遷移期間における制御を片方のみにすることで、制御の複雑化を抑制できる。
以上より、変形例3では、所定時刻前の駆動電圧の一周期と、所定時刻以降の駆動電圧の一周期とが異なるように制御する。さらに、所定時刻前の駆動電圧の一周期を所定時刻以降の駆動電圧の一周期よりも長くすることで、駆動電圧の急激な変化を抑制することができる。これにより、異常振動が抑制され、反射面の可動速度の均一性を向上することができる。
[変形例4]
次に、変形例4について図25を参照して説明する。変形例4は、駆動電圧の波形以外は、上記実施形態と同様である。図25は、変形例4の第1駆動電圧の波形と第2駆動電圧の波形の一例である。
変形例4では、駆動装置11は、遷移期間と通常動作期間で印加電圧極大値が異なるように制御する。例えば、図25に示すように、遷移期間から通常動作期間に移行する所定時刻前の駆動電圧の波形の印加電圧極大値(例えば、周期T51における印加電圧極大値)を、所定時刻以降の駆動電圧の波形の印加電圧極大値(例えば、周期T55における印加電圧極大値)より小さくする。
これにより、印加開始直後の駆動電圧に光偏向器13の共振周波数と重なり合う高調波成分が含まれている場合に、駆動電圧が小さいので共振を大きく励起することがなくなる。よって、高調波成分による共振の励起を抑制し、反射面14の可動速度の均一性を向上できる。
また、図25に示すように、駆動装置11は、第1駆動電圧および第2駆動電圧は、周期T51、周期T52、周期T53と、印加電圧極大値を段階的に大きくなるように変化させ、徐々に周期T55以降の波形に形が近づくように制御してもよい。この段階的な変化により、周期が急激に変化することによる電圧値の急激な変化を抑制し、異常振動を抑制することができる。
以上より、変形例4では、駆動装置11は、所定時刻前の駆動電圧の波形が前記所定時刻以降の駆動電圧の波形よりも最大電圧値が小さくなるように制御することにより、高調波成分による光偏向器の共振の励起を抑制することができる。これにより、異常振動が抑制され、反射面14の可動速度の均一性を向上することができる。
以上、本発明の実施形態およびその変形例について説明したが、上述した実施形態およびその変形例は本発明の一適用例を示したものである。本発明は、上述した実施形態およびその変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で様々な変形や変更を加えて具体化することができる。
例えば、上記実施形態およびその変形例では、駆動装置11は圧電部に常に正の電圧値を有する波形の駆動電圧を印加しているが、圧電部に駆動電圧が印加されて圧電部の変形が生じる構成であれば、これに限られない。例として、駆動装置11は、圧電部に常に負の電圧値を有する波形の駆動電圧を印加してもよいし、正の電圧値と負の電圧値を交互に印加してもよい。
また、上記実施形態およびその変形例では、駆動装置11は、駆動電圧の波形の形を周期ごとに段階的に変化させる場合、急激な電圧の変化を生じさせない範囲で最終的に通常動作期間の波形の形に近づけばよい。例えば、急激な電圧の変化による異常振動を生じさせない範囲であれば、変化させる途中に、同一の波形や、一つ前の周期の波形の形よりも動作期間の波形の形に似ていない波形の駆動電圧を印加してもよい。
上記実施形態およびその変形例では、光偏向器13は図12に示すように、トーションバー111a、111bから+X方向に向かって第1圧電駆動部112a、112bが延びる片持ちタイプの光偏向器を用いているが、電圧印加された圧電部により反射面14を可動させる構成であれば、これに限られない。
例えば、図26に示すように、トーションバー211a、211bから+X方向に向かって延びる第一圧電駆動部212a、212bおよび−X方向に向かって延びる第一圧電駆動部212c、212dを有する両持ちタイプの光偏向器を用いてもよい。また、1軸方向のみに反射面を可動させる場合は、図27に示すように、可動部220に反射面14を設ける構成としてもよい。このとき、反射面14は可動部220全面に設けてもよい。
10…光走査システム、11…駆動装置、12…光源装置、13…光偏向器、14…反射面、15…被走査面、30…制御部(制御手段の一例)、31…駆動信号出力部(印加手段の一例)、101…ミラー部、102…ミラー基体、110a、100b…第1駆動部a、b、111a、b…トーションバーa,b、112a、112b…第1圧電駆動部、120…第1支持部、130a、130b…第2駆動部、131a〜131f…第2圧電駆動部a、132a〜132f…第2圧電駆動部b、140…第2支持部、150…電極接続部、161…シリコン支持層、162…酸化シリコン層、163…シリコン活性層、201…下部電極、202…圧電部、203…上部電極、400…自動車、500…ヘッドアップディスプレイ装置(画像投影装置)、600…光書込装置、650…レーザプリンタ(画像形成装置)、700…レーザレーダ装置(物体認識装置)
特開2016− 80978号公報

Claims (14)

  1. 隣り合う第1圧電部と第2圧電部がそれぞれ電圧印加されて生じる変形により、反射面を可動させる光偏向器の駆動装置であって、
    前記第1圧電部に所定の波形の第1駆動電圧であって第1立ち上がり時間と第1立ち下がり時間を含む波形の前記第1駆動電圧を印加する第1印加手段と、
    前記第2圧電部に前記第1駆動電圧の波形とは異なる第2駆動電圧であって第2立ち上がり時間と第2立ち下がり時間を含む波形の前記第2駆動電圧を印加する第2印加手段と、
    前記第1印加手段と前記第2印加手段の駆動を制御する制御手段と、
    を備え、
    前記制御手段は、前記第1印加手段が前記第1駆動電圧の印加を開始する第1開始時間と、前記第2印加手段が前記第2駆動電圧の印加を開始する第2開始時間とが異なるように制御し、前記第1印加手段または前記第2印加手段に対して、所定時刻前の駆動電圧の一周期に対する立ち上がり時間の比率と、前記所定時刻以降の駆動電圧の一周期に対する立ち上がり時間の比率とが異なるように制御することで、前記第1印加手段または前記第2印加手段に対して、所定時刻前の駆動電圧の波形と該所定時刻以降の駆動電圧の波形とが異なるように制御し、前記第1印加手段または前記第2印加手段に対して、前記光偏向器が有する共振周波数が駆動電圧の高調波成分が低減する周波数低減領域の少なくとも1つに含まれるように、駆動電圧の一周期に対する前記第1立ち上がり時間または前記第2立ち下がり時間の比率を制御する駆動装置。
  2. 請求項に記載の駆動装置であって、
    前記制御手段は、前記第1開始時間と前記第2開始時間とは前記第1立ち上がり時間分異なるように前記第2印加手段の駆動を制御する、または前記第1開始時間と前記第2開始時間とは前記第2立ち上がり時間分異なるように前記第1印加手段の駆動を制御する駆動装置。
  3. 請求項1または2に記載の駆動装置であって、
    前記制御手段は、前記第1印加手段または前記第2印加手段に対して、前記所定時刻前の駆動電圧の波形が該所定時刻以降の駆動電圧の波形に段階的に近づくように、該所定時刻前の駆動電圧の波形を段階的に変化させるように制御する駆動装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の駆動装置であって、
    前記制御手段は、前記第1印加手段および前記第2印加手段のうち、一周期に対する立ち上がり時間の比率が小さい波形の駆動電圧を印加する印加手段に対して、前記所定時刻以降の駆動電圧の一周期に対する立ち上がり時間の比率よりも、前記所定時刻前の駆動電圧の一周期に対する立ち上がり時間の比率が大きくなるように制御する駆動装置。
  5. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の駆動装置であって、
    前記制御手段は、前記第1印加手段または前記第2印加手段に対して、前記所定時刻前の駆動電圧の一周期と、前記所定時刻以降の駆動電圧の一周期とが異なるように制御する駆動装置。
  6. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の駆動装置であって、
    前記制御手段は、前記第1印加手段または前記第2印加手段に対して、前記所定時刻前の駆動電圧の波形が前記所定時刻以降の駆動電圧の波形よりも最大電圧値が小さくなるように制御する駆動装置。
  7. 請求項乃至のいずれか一項に記載の駆動装置であって、
    前記所定時刻は、印加される駆動電圧の波形が一定となる時刻である駆動装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の駆動装置であって、
    前記制御手段は、前記第1印加手段または前記第2印加手段に対して、前記所定時刻前の駆動電圧の波形のシンメトリが、前記所定時刻以降の駆動電圧の波形のシンメトリと異なるように制御する駆動装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の駆動装置であって、
    前記制御手段は、前記第1印加手段または前記第2印加手段に対して、前記第1開始時間または前記第2開始時間から前記所定時刻までに、前記第1駆動電圧の波形または前記第2駆動電圧の波形を段階的に変化させ、さらに各段階において前記共振周波数が異なる前記周波数低減領域に含まれるように制御する駆動装置。
  10. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の駆動装置と、
    前記反射面を有するミラー部と、
    前記圧電部を有し、前記圧電部が変形することにより前記ミラー部を一軸周りに可動させる圧電駆動部と、
    を備える光偏向システム。
  11. 請求項10に記載の光偏向システムと、
    前記光偏向システムの前記反射面に向けて光を照射する光源部と、
    を備える光走査システム。
  12. 画像情報に基づいて変調された光により被走査面を走査して画像を投影する画像投影装置であって、
    請求項11に記載の光走査システムと、
    前記光走査システムから出射された光を前記被走査面に向けて投射する投射光学系と、
    を備える画像投影装置。
  13. 被走査方向を光走査し、被走査方向に存在する物体からの反射光により物体を認識する物体認識装置であって、
    請求項11に記載の光走査システムと、
    前記物体からの反射光を受光する受光部と、
    前記光源部と前記受光部の情報に基づいて物体を認識する物体認識部と、
    を備える物体認識装置。
  14. 隣り合う第1圧電部と第2圧電部がそれぞれ電圧印加されて生じる変形により、反射面を可動させる光偏向器の駆動装置の駆動方法であって、
    前記第1圧電部および前記第2圧電部への電圧印加を制御する制御工程と、
    前記制御工程にしたがって前記第1圧電部に第1駆動電圧であって第1立ち上がり時間と第1立ち下がり時間を含む波形の前記第1駆動電圧を印加し、前記第2圧電部に第2駆動電圧を印加する印加工程と、
    を有し、
    前記制御工程は、前記印加工程において、前記第1駆動電圧の印加を開始する第1開始時間と、記第2駆動電圧であって第2立ち上がり時間と第2立ち下がり時間を含む波形の前記第2駆動電圧の印加を開始する第2開始時間とが異なるように制御し、前記第1印加手段または前記第2印加手段に対して、所定時刻前の駆動電圧の一周期に対する立ち上がり時間の比率と、前記所定時刻以降の駆動電圧の一周期に対する立ち上がり時間の比率とが異なるように制御することで、前記第1印加手段または前記第2印加手段に対して、所定時刻前の駆動電圧の波形と該所定時刻以降の駆動電圧の波形とが異なるように制御し、前記第1印加手段または前記第2印加手段に対して、前記光偏向器が有する共振周波数が駆動電圧の高調波成分が低減する周波数低減領域の少なくとも1つに含まれるように、駆動電圧の一周期に対する前記第1立ち上がり時間または前記第2立ち下がり時間の比率を制御する駆動方法。
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