JP6749230B2 - 炭化珪素の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭化珪素の製造方法に関する。
炭化珪素単結晶は、その高硬度性、高熱伝導性、高温耐熱性から、成形砥石、セラミックス部品等の材料として使用されている。また、炭化珪素は、シリコンと比較すると、バンドギャップは約3倍、絶縁破壊電界強度は約10倍という物性を有するので、シリコンに代わるパワー半導体用基盤の材料として注目されている。
パワー半導体用基盤の材料として使用される炭化珪素単結晶は、ドーパントとなるアルミニウム、チタンなどの金属元素の含有量が低いことが望まれる。炭化珪素単結晶の製造方法として、原料である炭化珪素粉末を2000℃以上の高温条件下において昇華させ、炭化珪素を単結晶成長させる昇華再結晶法がよく知られており、工業的に広く使用されている。そのため、これら金属元素の含有量が低い炭化珪素粉末を昇華再結晶法における原料として用いることが好ましい。
従来から、一般的に、昇華再結晶法における原料としての炭化珪素粉末は、珪酸質原料及び炭素質原料からなる混合原料を、アチソン炉を用いて焼成して得た炭化珪素の塊状物を粉砕することにより製造している。そして、このようにして製造した炭化珪素粉末を、濃硫酸と濃硝酸とを混合した混酸を用いて洗浄することによって、アルミニウム、チタンなどの金属元素の含有量を低減させている。しかし、混酸の人体に対する危険性は極めて高いので、特殊な装置を用いる必要があった。
そこで、アチソン炉を用いた炭化珪素の製造過程において、不純物を低減させる方法が提案されている。例えば、特許文献1には、珪酸質原料及び炭素質原料からなる混合原料の混合モル比(C/SiO)を2.5〜4、且つ混合原料の不純物の含有率を120ppm以下にすることにより、炭化珪素の不純物の含有率を500ppmにすることが開示されている。
また、特許文献2には、珪酸質原料、炭素質原料及びシリコン質原料からなる混合原料の混合モル比(C/Si)を1.5以上3.0未満、且つシリコン原料中のシリコンの含有率を好ましくは99.9質量%以上とすることにより、炭化珪素の不純物の含有率を低減することが開示されている。
再公表2013−027790号公報 特開2015−86101号公報
しかしながら、上記特許文献1,2に開示された技術では、アルミニウム、鉄などの金属不純物は低減できるが、チタンを十分に低減させることができない。
本発明は、不純物であるチタンの含有量の抑制を図ることが可能な炭化珪素の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の炭化珪素の製造方法は、珪素を含む珪酸質原料及び炭素を含む炭素質原料からなり、かさ密度が0.4g/cm以上1.4g/cm以下である混合原料と発熱体とをアチソン炉の炉本体内に充填する工程と、前記発熱体を加熱する工程とを含み、炭化珪素の塊状物を製造する方法であって、 前記発熱体を加熱する工程において、前記炉本体の空間に存するガスを排気機構により前記アチソン炉外に排気することにより前記空間の圧力を前記アチソン炉外の雰囲気の圧力と比べて0Pa以上100Pa以下に低くする
発熱体を加熱する工程において、炉本体の空間に存するガスには不純物が含まれている。加熱が終了し冷却されると、生成される炭化珪素の表面にガスに含まれる不純物が析出する、あるいは炭化珪素粒子の内部に存在する空隙に不純物が析出する。
本発明によれば、発熱体を加熱する工程において、炉本体の空間に存するガスをアチソン炉外に排気するので、不純物もアチソン炉外に排気され、生成される炭化珪素の表面や粒子の内部に析出する不純物を抑制することが可能となる。
なお、発熱体を加熱する工程の全期間に亘って、炉本体の空間に存するガスをアチソン炉外に排気しなくてもよく、その一部期間、好ましくは加熱終了前の所定の期間、例えば数十分から数時間だけ、ガスを排気してもよい。
本発明において、前記炉本体の空間に存するガスを排気することにより、前記空間の圧力を前記アチソン炉外の雰囲気の圧力と比べて0Pa以上100Pa以下低くする。
これは、炉本体の空間の圧力がアチソン炉外の雰囲気の圧力と比べて高いと、不純物を含んだガスが排気されないため、生成される炭化珪素の純度が低下するからである。一方、炉本体の空間の圧力がアチソン炉外の雰囲気の圧力と比べて100Paを超えて低いと、アチソン炉の内部に大量の外気が吸引され、炉本体内の温度が低下し、不純物ガスの析出が早まり不純物量が増加する、又は炭化珪素を生成するための一酸化珪素ガスがアチソン炉の外部に排気され過ぎ、炭化珪素の生成量が低下するからである。
また、本発明において、前記混合原料のかさ密度は0.4g/cm以上1.4g/cm以下である。
これは、混合原料のかさ密度が0.4g/cm未満であると混合原料中の空間が大きすぎて熱が伝わりにくくなり、炭化珪素の生成に寄与する一酸化珪素ガスの発生が減少し、炭化珪素の生成量が減少する。一方、混合原料のかさ密度が1.4g/cmを超えると、ガスの抜け道が形成されずに混合原料中の不純物がガスに含まれる割合が減少し、生成される炭化珪素に不純物が残存するからである。
また、本発明において、前記混合原料に、前記混合原料に含まれるアルミニウム、鉄、チタン、クロム及びマンガンの総量に対してモル比で2以上50以下の塩化物を添加することが好ましい。
これは、前記モル比が2未満であると、不純物を除去する効果が十分に発揮されない。一方、前記モル比が50を超えると、生成される炭化珪素に塩素が残存し、好ましくないからである。
本発明の実施形態に係るアチソン炉の横断面図。 アチソン炉の縦断面図。
以下、本発明の実施形態に係る炭化珪素の製造方法について説明する。本製造方法は、珪素を含む珪酸質原料及び炭素を含む炭素質原料からなる混合原料を、図1及び図2に示すアチソン炉10を用いて焼成させることにより、炭素珪素を得るものである。
珪酸質原料は、例えば、天然珪砂、天然硅石粉、人造珪石粉、シリカフューム、非晶質シリカ、シリコン粉である。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。反応性の観点から、珪酸質原料として非晶質シリカを用いることが好ましい。
珪酸質原料の酸化珪素純度は、水分を除いて、99.9%以上であることが好ましい。
珪酸質原料の粒度は、平均粒子径が好ましくは600μm以下、より好ましくは100μm以下、特に好ましくは50μm以下の粒度分布となるものであることが好ましい。平均粒子径が600μmを超えると反応性が著しく悪くなって不純物を含有する一酸化珪素(SiO)ガスの発生量が減少し、炭化珪素の純度を高めることができなくなるからである。
炭素質原料は、例えば、石油コークス、石炭ピッチ、カーボンブラック、各種有機樹脂である。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
炭素質原料の灰分は、0.5%以下であることが、炭化珪素の純度を高める点から好ましい。
炭素質原料の粒度は、一次粒子の平均粒径が好ましくは150nm以下、より好ましくは75nm以下の粒度分布となるようなものであることが好ましい。一次粒径の平均粒径が150nmを超えると、反応性が悪くなるからである。
そして、炭素質原料の二次粒子の平均粒径は、好ましくは1250μm以下、より好ましくは500μm以下であることが好ましい。二次粒子の平均粒径が1250μmを超えると珪酸質原料との均質混合が悪くなり、反応性に悪影響を及ぼすからである。
珪酸質原料と炭素質原料を混合して混合原料Aとする。二酸化珪素に対する炭素の混合モル比(C/SiO)は2.5以上4.0以下であることが好ましい。この混合モル比は、炭化珪素の組成に影響を与える。混合モル比が2.5未満、又は4.0を超えると、生成される炭化珪素に未反応の珪酸質原料又は炭素質原料が多く残存するので、好ましくない。ここで、混合モル比の範囲は、より好ましくは2.8以上3.6以下、特に好ましくは3.0以上3.3以下である。
混合原料Aに塩化物を添加してもよい。塩化物の添加量は、混合原料Aの不純物(アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、クロム(Cr)及びマンガン(Mn))の総量に対して、モル比で2以上50以下であることが好ましい。2未満であると、不純物を除去する効果が十分発揮されない。一方、50を超えると、生成される炭化珪素中に塩素が残存し、好ましくない。
塩化物は、例えば、第2族元素、すなわち、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)の何れかの塩化物、塩化ナトリウム又は塩化カリウム、あるいはこれらの混合物である。塩化物は、純粋な塩化物であっても、無水物又は水和物であってもよい。塩化物は、不純物が少ない高純度であることが好ましく、例えば純度95%以上であることが好ましい。
混合原料Aのかさ密度は、0.4g/cm以上1.4g/cm以下であることが好ましい。混合原料Aのかさ密度が0.4g/cm未満であると、混合原料A中の空間が大きくなり過ぎ、熱が伝わりにくくなり、炭化珪素の生成に寄与する一酸化珪素ガスの発生が減少し、炭化珪素の生成量が減少する。一方、混合原料Aのかさ密度が1.4g/cmを超えると、ガスの抜け道が形成されず、混合原料A中の不純物が一酸化珪素ガスと共に排気される割合が減少し、生成される炭化珪素に不純物が残存するからである。
上述した混合原料Aは、図1及び図2を示したアチソン炉(電気抵抗炉)10を用いて焼成される。以下、アチソン炉10について説明する。
アチソン炉10は、全体として上方が開放された箱状の炉本体11と、図1の炉本体11の左右方向(図2の前後方向)の端部にそれぞれ配置された電極12と、炉本体11の上部を覆うフード(覆体)13と、炉本体11内のガスをアチソン炉10の外部に排気するための排気機構14とを備えている。
炉本体11は、底壁11a、底壁11aの前後端部にそれぞれ形成された前後壁11b、並びに底壁11aの左右方向端部に形成され前後壁11bの間に形成された側壁11cからなる。炉本体11は、ここでは、縦断面が矩形状であり全体とし上面が開放された直方体形状であるが、縦断面が台形状、又は全体として舟形形状などであってもよい。
炉本体11は、ここでは、耐火温度が1400℃程度の直方体形状の耐火煉瓦15を積み重ねることによって構成されている。なお、炉本体11は、底壁11aを一枚又は複数枚の板状体から構成するなど、その構成は限定されない。
電極12は、炉本体11の側壁11cにそれぞれ固定され、その一端が炉本体11の内側に露出している。電極12の材質は、電気を通すことができれば特に限定されず、例えば、黒鉛粉、カーボンロッドである。
フード13は、例えば金属製であり、炉本体11の上部空間を全体に亘って覆っている。フード13には、開閉可能な扉13aが設けられており、扉13aを閉鎖することにより炉本体11の上部空間を密閉することができ、扉13aを開放することにより炉本体11の上部空間をアチソン炉10の外部雰囲気と連通することができるように構成されている。扉13aを開放すれば、炉本体11の上部空間とアチソン炉10の外部雰囲気とは連通され同じ圧力となる。
排気機構14は、炉本体11の上部空間に存するガスをアチソン炉10の外部の雰囲気に排気可能に構成されている。例えば、排気機構14は、フード13に形成された開口13bと一端が接続された排気通路16と、排気通路16内のガスを吸引するブロア、ファンなどの吸引装置17と、排気通路16の開閉度を調整可能なダンパ18と、排気通路16の他端に接続され、通過するガス内の粉塵を捕集する粉塵捕集装置19とを備えている。
このように構成された排気機構14によれば、吸引装置17による排気通路16内のガスを吸引して排気通路16内の圧力を負圧とすることにより、排気通路16を介して炉本体11の上部空間の圧力が低下し、この上部空間に存するガスが粉塵捕集装置19で粉塵が捕集されたうえで、アチソン炉10の外部雰囲気に排出される。そして、炉本体11の上部空間の圧力はダンパ18による排気通路16の開度に応じて定まる。
なお、排気機構14の構成は上述した構成に限定されない、例えば、吸引装置17の代わりに、又は吸引装置17と共に、図示しない送風装置を排気通路16に接続してもよい。また、ダンパ18を備えず、吸引装置17の吸引力を制御することによって、炉本体11の上部空間の圧力を調整してもよい。
次に、アチソン炉10を用いた炭化珪素の製造方法について説明する。
まず、炉本体11の上下方向半分程度、すなわち電極12が位置する高さ程度にまで、混合原料Aを充填する。
そして、電極12間を接続するように、黒鉛などの炭素質粉末を密実に充填し、発熱体Bを形成する。発熱体Bの形態は、粉状でも棒状でもよい。また、発熱体Bが棒状の場合、その形状も特に限定されず、例えば円柱状でも角柱状でもよい。
発熱体Bの不純物の含有率は、混合原料Aに含まれる不純物の含有率よりも小さいことが好ましい。具体的には、発熱体Bの不純物の含有率は好ましくは120ppm以下、より好ましくは70ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下、特に好ましくは25ppm以下である。発熱体Bの不純物の含有率を、混合原料Aに含まれる不純物の含有率よりも小さくすることによって、より高純度の炭化珪素を生成することができる。
さらに、この発熱体B及び露出した混合原料Aの上の炉本体11内に混合原料Aを充填する。
その後、電極12間を通電して発熱体Bを通電発熱させ、発熱体Bが1600℃〜3000℃、より好ましくは1600℃〜2500℃となるように加熱する。これにより、発熱体Bの周囲で順次直接還元反応が起こり、炭化珪素の塊状物が生成され、発熱体Bを中心として略同心円状に成長する。
加熱時、扉13aを開放して、炉本体11の上部空間とアチソン炉10の外部雰囲気とを連通していてもよい。また、扉13aを閉鎖して、炉本体11の上部空間を密閉した状態とし、この上部空間の圧力がアチソン炉10の外部の雰囲気と比較して0Pa以下100Pa以上低くなるように、ダンパ18を制御する。
なお、扉13aを閉鎖していても、排気機構14により炉本体11の上部空間に存するガスを排気すると、耐火煉瓦15間の隙間を介してアチソン炉10の炉外から当該空間に外部雰囲気のガス(空気)が流入する。これにより、吸引装置17で炉本体11の上部空間のガスを吸引することにより、炉本体11内全体のガスが吸引されることになる。
炉本体11内の空間の圧力のほうが外部雰囲気の圧力より高いと、不純物を含んだガスが排気されないため、生成される炭化珪素の純度が低下する。一方、炉本体11内の空間の圧力が外部雰囲気の圧力に比べて100Paを超えて低いと、炉本体11内に大量の外気が吸引され、炉本体11内の温度が低下し、不純物ガスの析出が早まり不純物量が増加する、又は炭化珪素を生成するための一酸化珪素ガスが炉本体10の外部に排気され過ぎ、炭化珪素の生成量が低下する。
以上にように生成された炭化珪素の塊状物を回収して、用途に応じた方法で粉砕する。粉砕方法は、一般的な粉砕機を用いて粉砕すればよい。粉砕機は、例えば、ジェットミル、ボールミル、磨砕機、ジョークラッシャー、ロールミル、ピンミルである。粉砕コスト及び生産性の観点からはボールミルを用いることが好ましい。
粉砕されて得られた炭化珪素粉末は、粉砕の際に混入した不純物を除去するため、酸洗浄することが好ましい。使用する酸は、フッ酸、塩酸、硫酸、硝酸などを使用することができる。コスト、取り扱いしやすさの観点から塩酸を使用することが望ましい。
炭化珪素粉末は、酸洗浄後、酸を除去するため、水で洗浄し、乾燥する。水として、例えば、水道水、イオン交換水、蒸留水を用いることができる。ただし、高純度の炭化珪素粉末が必要である場合は、イオン交換水又は蒸留水で洗浄することが望ましい。
以下、本発明の実施例及び比較例を説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されない。
各実施例及び比較例において、不純物の含有率は「JIS R 1616(2007) ファインセラミックス用炭化けい素微粉末の化学分析方法」に規定された加圧酸分析法によるICP分析により測定した。より具体的には、Al,Fe,Cr,Mnの各不純物についてはICP−AES分析によって、TiについてはICP−MS分析によって測定した。
(実施例1)
珪酸質原料として、太平洋セメント株式会社試製の非晶質シリカを用意した。この非晶質シリカは、不純物として、Alを0.5ppm、Feを1.0ppm、Tiを1.0ppm、Crを1.0ppm、Mnを1.0ppm、それぞれ含有していた。
炭素質原料として、東海カーボン株式会社のアモルファスカーボン粉末(商品名:シースト600)を用意した。このカーボン粉末は、不純物として、灰分を0.3%、Alを43ppm、Feを34ppm、Tiを2.3ppm、Crを2.0ppm、Mnを1.1ppm、それぞれ含有していた。
そして、上記非晶質シリカと上記アモルファスカーボン粉末カーボンとをC/SiOのモル比が3となるように混合して混合原料Aとした。混合原料Aには塩化物を添加しなかった。
この混合原料Aのうち100gを容積500mlのメスシリンダーに入れ、振動機を用いて2分間振動を与え、測定者がメスシリンダーのメモリを読み取ることにより、混合原料Aの体積を測定した。そして、測定した体積を重量100gで除してかさ密度を求めた。
混合原料Aと発熱体B用黒鉛粉とを炉本体11に充填した。発熱体B用黒鉛粉として、太平洋セメント株式会社試製のものを用いた。発熱体B用黒鉛粉は、不純物として、Alを3.5ppm、Feを5.1ppm、Tiを2.5ppm、Crを1.0ppm、Mnを1.0ppm、それぞれ含有していた。
そして、扉13aを開放にした状態で、排気機構14による排気を行いながら、2500℃で24時間焼成して、炭化珪素の塊状物を得た。
そして、得られた炭化珪素の塊状物をトップグラインダーを用いて粒径が2mm以下となるように粉砕し、この粉砕物を35重量%の塩酸に24時間浸漬した。浸漬後、酸を除去するため、イオン交換水で洗浄を行い、大型乾燥機を用いて150℃で乾燥して炭化珪素粉末を得た。得られた炭化珪素粉末における不純物の含有率を測定したところ、Tiの含有率は0.15ppmと小さかった。
(実施例2)
実施例1と同じ混合原料A及び発熱体B用黒鉛粉を、実施例1と同じように炉本体11に充填し、扉13aを閉鎖した状態で、排気機構14による排気を行いながら、2500℃で24時間焼成した。
電極12への通電終了2時間前に、炉本体11の上部空間の圧力がアチソン炉10の外部雰囲気の圧力に比べて10Pa低くなるように、排気機構14による排気量を調節した。通電終了後、炉本体11が冷却するまで、炉本体11の上部空間の圧力がアチソン炉10の外部雰囲気の圧力に比べて10Pa低くなる状態を維持するように排気を続行し、炭化珪素の塊状物を得た。
そして、得られた炭化珪素の塊状物を、実施例1と同様に、粉砕、酸浸漬、洗浄及び乾燥を行い、炭化珪素粉末を得た。得られた炭化珪素粉末における不純物の含有率を測定したところ、Tiの含有率は0.21ppmと小さかった。
(実施例3)
炉本体11の上部空間の圧力がアチソン炉10の外部雰囲気の圧力に比べて10Paではなく90Pa低くなるように排気機構14の排気量を調整したことを除き、実施例2と同様にして、炭化珪素粉末を得た。
得られた炭化珪素粉末における不純物の含有率を測定したところ、Tiの含有率は0.28ppmと小さかった。なお、全ての実施例及び比較例において、作業者が混合原料A及び発熱体B用黒鉛粉を炉本体11に手作業で充填している。
(実施例4)
実施例1と同じ混合原料Aに、この混合原料A中の不純物(Al,Fe,Ti,Cr及びMn)のモル数の3倍となるモル数の塩化ナトリウム(NaCl)を添加したものを原料とした。塩化ナトリウムとしては、関東化学株式会社製の特級のもの(分子量58.44)を用いた。混合原料Aに塩化ナトリウムを添加したもののかさ密度を実施例1と同様にして測定した。
塩化物を混合原料Aに添加したことを除いては実施例1と同様にして、炭化珪素粉末を得た。得られた炭化珪素粉末における不純物の含有率を測定したところ、Tiの含有率は0.10ppmと小さく、実施例1におけるTiの含有率と比較しても小さかった。
(実施例5)
実施例1と同じ混合原料Aに、この混合原料A中の不純物(Al,Fe,Ti,Cr及びMn)のモル数の3倍となるモル数の塩化カリウム(KCl)を添加したものを原料とした。塩化カリウムとしては、関東化学株式会社製の特級のもの(分子量74.55)を用いた。混合原料Aに塩化カリウムを添加したもののかさ密度を実施例1と同様にして測定した。
塩化物を混合原料Aに添加したことを除いては実施例1と同様にして、炭化珪素粉末を得た。得られた炭化珪素粉末における不純物の含有率を測定したところ、Tiの含有率は0.11ppmと小さく、実施例2におけるTiの含有率と比較しても小さかった。
(比較例1)
実施例1と同じ混合原料A及び発熱体B用黒鉛粉を、実施例1と同じように炉本体11料に充填し、2500℃で24時間焼成し、炭化珪素の塊状物を得た。なお、焼成中は、実施例1と異なり、排気機構14による排気を行わなわなかった。
そして、得られた炭化珪素の塊状物を、実施例1と同様に、粉砕、酸浸漬、洗浄及び乾燥を行い、炭化珪素粉末を得た。得られた炭化珪素における不純物の含有率を測定したところ、Tiの含有率は0.45ppmと実施例1と比較して大きかった。また、Al、Fe、Crの含有率も実施例1と比較して大きかった。
(比較例2)
炉本体11の上部空間の圧力がアチソン炉10の外部雰囲気の圧力に比べて10Paではなく110Paとなるように排気機構14の排気量を調整したことを除き、実施例2と同様にして、炭化珪素粉末を得た。
得られた炭化珪素粉末における不純物の含有率を測定したところ、Tiの含有率は0.40ppmと実施例2と比較して大きかった。また、Al、Fe、Crの含有率も実施例2と比較して大きかった。
(比較例3)
珪酸質原料として、実施例1と同じ非晶質シリカを用意し、この非晶質シリカを造粒機を用いて直径4mm程度に造粒した。そして、この造粒した珪酸質原料と実施例1と同じ炭素質原料とをC/SiOのモル比が3となるように混合して混合原料Aとした。この混合原料Aのかさ密度を実施例1と同様にして求めた。かさ密度は0.35g/cmであった。混合原料Aには塩化物を添加しなかった。
実施例1と同じように炉本体11に上記混合原料A及び実施例1と同じ発熱体B用黒鉛粉を充填して、実施例1と同様にして焼成して塊状物を得た。しかし、得られた塊状物は、XRDを用いて分析した結果、シリカとカーボンの塊状物であり、炭化珪素ではなかった。
(比較例4)
実施例1と同じ混合原料A及び発熱体B用黒鉛粉を、実施例1と同じように炉本体11に充填した。充填の際、振動バイブレーターを用いて原料に振動を与え、さらに上からプレートを用いて加圧をした。
なお、この混合原料Aのうち100gを容積500mlのメスシリンダーに入れ、振動機を用いて2分間振動を与え、さらに上からプレートを用いて同様の圧力が加圧した。そして、この状態で、測定者がメスシリンダーのメモリを読み取ることにより、混合原料Aの体積を測定し、測定した体積を重量100gで除してかさ密度を求めたところ1.54g/cmであった。混合原料Aには塩化物を添加しなかった。
その後、実施例1と同様に、扉13aを開放にした状態で、排気機構14による排気を行いながら、2500℃で24時間焼成して、炭化珪素の塊状物を得た。
そして、得られた炭化珪素の塊状物を、実施例1と同様に、粉砕、酸浸漬、洗浄及び乾燥を行い、炭化珪素粉末を得た。
得られた炭化珪素粉末における不純物の含有率を測定したところ、Tiの含有率は0.52ppmと実施例1と比較して大きかった。また、Al、Fe、Crの含有率も実施例1と比較して大きかった。
表1に結果をまとめた。
10…アチソン炉、 11…炉本体、 11a…底壁、 11b…前後壁、 11c…側壁、 12…電極、 13…フード、 13a…扉、 13b…開口、 14…排気機構、 15…耐火煉瓦、 16…排気通路、 17…吸引装置、 18…ダンパ、 19…粉塵捕集装置、 A…混合原料、 B…発熱体。

Claims (2)

  1. 珪素を含む珪酸質原料及び炭素を含む炭素質原料からなり、かさ密度が0.4g/cm以上1.4g/cm以下である混合原料と発熱体とをアチソン炉の炉本体内に充填する工程と、
    前記発熱体を加熱する工程とを含み、炭化珪素の塊状物を製造する方法であって、
    前記発熱体を加熱する工程において、前記炉本体の空間に存するガスを排気機構により前記アチソン炉外に排気することにより前記空間の圧力を前記アチソン炉外の雰囲気の圧力と比べて0Pa以上100Pa以下に低くすることを特徴とする炭化珪素の製造方法。
  2. 前記混合原料に、前記混合原料に含まれるアルミニウム、鉄、チタン、クロム及びマンガンの総量に対してモル比で2以上50以下の塩化物を添加することを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素の製造方法。
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