JP6747638B2 - 無塩乃至減塩パン類の製造方法 - Google Patents

無塩乃至減塩パン類の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6747638B2
JP6747638B2 JP2016104863A JP2016104863A JP6747638B2 JP 6747638 B2 JP6747638 B2 JP 6747638B2 JP 2016104863 A JP2016104863 A JP 2016104863A JP 2016104863 A JP2016104863 A JP 2016104863A JP 6747638 B2 JP6747638 B2 JP 6747638B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bread
salt
breads
texture
yeast
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016104863A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017209058A (ja
Inventor
和香子 都築
和香子 都築
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Agriculture and Food Research Organization
Original Assignee
National Agriculture and Food Research Organization
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Agriculture and Food Research Organization filed Critical National Agriculture and Food Research Organization
Priority to JP2016104863A priority Critical patent/JP6747638B2/ja
Publication of JP2017209058A publication Critical patent/JP2017209058A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6747638B2 publication Critical patent/JP6747638B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Bakery Products And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Description

本発明は、無塩乃至減塩パン類の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、無塩乃至減塩パン類を製造する方法と、無塩乃至減塩パン類のテクスチャーを改善する方法と、パン類を無塩乃至減塩化する方法と、に関する。
減塩が、高血圧症などの生活習慣病、胃がん、骨粗しょう症等の疾患の予防に効果があることは良く知られている。
しかしながら、日本人の成人1日の食塩の平均摂取量は、2012年時点で、男性で11.3g、女性で9.6gと、WHOや厚生労働省の摂取目標基準より依然として多く、過剰摂取であり、健康維持のためには、多くの日本人が食塩摂取量を控える必要があるとされている。
ちなみに、2015年の厚生労働省の食事摂取基準の食塩の摂取目標値は、男性8.0g/日未満、女性7.0g/日未満である。WHOでは、世界中の人の食塩の摂取目標を5g/日未満としている(2014年)。また、米国では、心血管疾患の予防のためのガイドラインは、塩分の最大摂取量を、1日3.8〜6.0gとしている。
ところで市販されている通常の食パンの食塩濃度は小麦質量の2%程度である。
食パン1斤分の材料としては、例えば、強力粉250g、有塩バター10g(食塩含量0.16g)、砂糖17g、スキムミルク6g、食塩5g、水180g、ドライイースト2.8gが用いられる。
このため、食塩は、1斤あたり、5.16g程度用いられていることになる。
従って、6枚切りの食パンを1枚食べると、食塩摂取量は約0.86g程度となり、食パンを2枚食べると、パンだけで1.7g以上の食塩を摂取することになり、上記厚生労働省の1日の摂取目標値(男性8.0g/日未満、女性7.0g/日未満)の20%以上(男性で約21%、女性で約24%)を占めることになる。
このため、パン類の食塩含量の低減化が強く要望されている。
また、腎臓疾患患者の食塩の摂取量は、健常人より厳しく制限されるため、腎臓疾患患者は、少しでも美味しく食べられる減塩パンや無塩パンを必要としている。
しかしながら、パン類の食塩濃度を減らすと、味やテクスチャーが著しく低下するため、市販品の入手は著しく困難であり、特に腎臓疾患患者が安心して食べられる無塩パンの調達は困難なことが多い。
このため、腎臓疾患を持つ人は、パンを食べる機会や食べる量を減らすことを余儀なくされていた。
なお、ここで「テクスチャー」とは、食品の咀嚼や嚥下の過程で、口腔内の触覚により知覚される「食感」を総称するものであって、歯応え、口あたり、舌ざわりといった概念を含む、食品の組織や構造に由来した力学的性質に対する感覚的評価を含む概念である。
パン類製造過程における食塩の添加効果は、主として次の4つある。
(1)パン類の味を調える
(2)パン類の保存性の向上
(3)パン類生地の引き締め
(4)発酵の調節
パン類に対する食塩の作用のうち「(3)パン類生地の引き締め、」と「(4)発酵の調節」は、パン類製品の品質に大きな影響を与えるテクスチャーに関連するものである。
一般に、食塩濃度を減らしたパン類は、テクスチャーが悪くなり、口の中でネチャネチャする傾向がある。
市販ホームベーカリーの取扱説明書には、「塩を入れないと歯応えに欠けたパンになります。塩には酵素活性を抑える働きがあります。塩がないと酵素が働き、グルテンを切るためパンがうまくできません」という記載も見られる。
この点に関連して、非特許文献1には、食塩は、パン生地の捏ね段階のグルテンネットワーク形成時に「生地を引き締める」効果があると記載されている。
また、非特許文献2には、食塩を添加しないパン生地は、生地の密度が高くなり、安定性が悪くなると記載されている。
近年の画像解析研究より、食塩の添加でグルテン構造がより繊維状になったり、βシート構造が増加したりすることがわかっている。これは、塩素イオン(Cl)の遮蔽効果、或いは、Na+やCl-の静電的効果と考えられている(非特許文献3参照)。
また、食塩による「発酵の調節」は、食塩の浸透圧でイースト(パン酵母)の活性を抑制し、結果的にパンの発酵を抑制、調節することである。
これは、食塩によってイーストの活性が抑制されることで、パン生地発酵中のイーストのタンパク質分解酵素(プロテアーゼ等)活性が抑制されることである。発酵中のパン生地のタンパク質分解酵素活性が強いと、グルテンネットワークが破壊され、イーストが発生するガスを保持できず、パンの内層膜が厚くなり、歯ごたえが悪く、テクスチャーが劣るパンになる(通常の減塩パンや無塩パンの状態)。
逆に、発酵段階でタンパク質分解酵素活性が弱く、グルテンネットワークが強固な場合は、焼成などの加熱調理後の食感が硬くねとつき、口の中に残留感のある口溶けの悪いものとなる。
パンを製造する際に、小麦質量の2%程度の食塩をパン生地に添加すると、イーストのタンパク質分解酵素活性が適度に制御され、発酵中にグルテンネットワークが適度に分解されて品質のよいパンになる。
このように食塩含量は、パン類製品のテクスチャー・品質に大きな影響を与えるため、その食塩含量を減らすことは、極めて難しいものであった。
食塩量の低減の取り組みに関し、塩化カリウムを用いて、食塩の代替を検討した報告がなされている(非特許文献4参照)。
しかしながら、塩化カリウムには、金属臭と苦味が感じられるという欠点がある。
このため、塩化カリウムの使用は、せいぜい小麦質量の0.25〜0.5%程度までが限度であり、少なくとも残りの1.75〜1.5%は食塩を使用せざるを得ず、さらなる改善が望まれていた。
Pain, 2, 16, 1955 Cereal Chem., 44, 675-680, 1967 Food Biophysics, 7, 190-199, 2012、J. Cereal Science, 60, 229-237, 2014、J. Cereal Science, 60, 229-237, 2014 日本食品科学工学会誌、第43巻、第5号、第610〜616頁、1996年5月
本発明は、上記従来の問題点を解消し、パン類製品のテクスチャー・品質に大きな影響を与えることなく、「無塩パン類」(即ち、食塩含量が0%のパン類)、乃至、食塩含量が小麦質量の1%未満と、これまでの2%より大きく食塩濃度を下げた「減塩パン類」を製造する方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、上記のような無塩乃至減塩パン類について、そのテクスチャーを改善する方法を提供することを目的とするものである。
さらに、本発明は、パン類製品のテクスチャー・品質に大きな影響を与えることなく、パン類を上記のように無塩乃至減塩化する方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、食塩以外の食品又は食品成分で、パン類のテクスチャーを改善することができれば、より食しやすい無塩パン類や減塩パン類を創出することができるのではないかと考え、食塩濃度を下げた減塩パン類や、食塩を全く添加しない無塩パン類を作る際に、パン類の歯応えなどのテクスチャーを向上させる技術について鋭意検討を重ねた。
その結果、驚くべきことに、パン類を製造する際に、食塩の代わりに、pH2.9〜6.2の範囲に調整した水を用いることにより、パン類の歯ごたえなどのテクスチャー・品質をほとんど変えることなく、無塩乃至減塩化することができることを見出し、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
なお、前記した従来技術の他に、レドックス試薬や乳酸菌などを用いて、無塩パンや減塩パンのテクスチャーを改善する方法が提案されているが、いずれもパン製造時の発酵段階のタンパク質分解酵素活性を促進させ、グルテンネットワークの分解を促進させる技術である。
これに対して、本発明は、食塩の働きの代わりとなる技術を提供しようとするものであって、食塩と同様の働きをする手段を見出した結果、なされたものである。
即ち、食塩による発酵の調節は、食塩の浸透圧でイースト(製パン用酵母)の活性を抑制し、結果的にパンの発酵を抑制、調節することである。これは、食塩によって、イーストの活性が抑制されることで、パン生地発酵中のイーストのタンパク質分解酵素活性が抑制されることである。
発酵中のパン生地のタンパク質分解酵素活性が強すぎると、グルテンネットワークが破壊され、イーストが発生するガスを保持することができず、パンの内層膜が厚くなり、歯応えが悪く、テクスチャーが劣るパンとなってしまう。
逆に、発酵段階でタンパク質分解酵素活性が弱すぎて、グルテンネットワークが強固な場合には、焼成などの加熱調理後の食感が硬くねとつき、口の中に残留感のある口溶けの悪いものとなる。
そこで、小麦質量の2%程度の食塩をパン生地に添加すると、イーストのタンパク質分解酵素活性が適度に制御され(抑制され)、発酵中のグルテンネットワークの分解が適切に制御され(抑制され)、テクスチャー・品質のよいパンとなるのである。
上記のように、小麦質量の2%程度の食塩をパン生地に添加すると、食塩による静電結合がグルテンネットワークの安定性に寄与するばかりでなく、食塩によって、パン生地のイーストのタンパク質分解酵素活性が適度に制御され(抑制され)、発酵中のグルテンネットワークの分解が適切に制御され(抑制され)、テクスチャー・品質のよいパンとなる。
しかしながら、食塩量が少なかったり、或いは食塩を用いない場合には、パン生地調製段階で、グルテンネットワーク形成時に食塩による静電結合ができないためにパン生地が不安定になってしまうのである。
本発明は、食塩濃度を下げることでパン生地が不安定になるにもかかわらず、生地のpHを下げることによって、発酵段階では、2%(通常濃度)の食塩より強く、イーストのタンパク質分解酵素活性が抑制され、グルテンネットワークの過剰な破壊を抑制し、テクスチャー・品質のよいパンを製造する技術を提供するものであって、このような技術は、これまで知られていない。
本発明は、以下の(1)〜(2)に関するものである。
(1);無塩乃至減塩パン類のテクスチャーを改善するにあたり、pH3.00〜5.81に調整した水、小麦質量の2%以下の食塩及びイーストを含むパン類生地を用いることを特徴とする、無塩乃至減塩パン類のテクスチャーの改善方法に関するものである。

(2);食塩が、小麦質量の1%以下である、前記(1)に記載の方法に関するものである。
本発明の無塩乃至減塩パン類の製造方法によれば、パン類製品のテクスチャー・品質に大きな影響を与えることなく、食塩濃度が小麦質量の2%以下、好ましくは2%未満、より好ましくは1%以下である、「減塩パン類」、乃至、食塩濃度が小麦質量の0%である、「無塩パン類」を製造する方法が提供される。
また、本発明の無塩乃至減塩パン類のテクスチャーの改善方法によれば、上記のような「減塩パン類」、乃至、「無塩パン類」について、そのテクスチャーを改善する方法が提供される。
さらに、本発明のパン類の無塩乃至減塩化方法によれば、パン類製品のテクスチャー・品質に大きな影響を与えることなく、パン類を、食塩濃度が小麦質量の2%以下、好ましくは2%未満、より好ましくは1%以下、さらに最も好ましくは0%と、無塩乃至減塩化する方法が提供される。
一般に、パン類の食塩濃度を低減化すると、食味が低下するだけでなく、イーストのタンパク質分解酵素活性を制御することができなくなり、歯応え等テクスチャーの悪いパン類となってしまうが、本発明によれば、食塩濃度を低減化したにもかかわらず、通常の食塩濃度のパンと同等の歯応えがあり、テクスチャーのよいパン類が得られる。
従って、本発明によれば、美味しさを維持しながら、無塩乃至減塩化されたパン類が得られることから、塩分の摂り過ぎに起因する高血圧症などの生活習慣病;胃がん;骨粗しょう症;等の疾患の予防に大きく寄与することができるものと期待される。また、塩分制限の必要がある腎臓疾患患者などが安心して食べられるパンを提供できるものと期待される。
実施例1における、本発明により製造したパンの破断強度試験の結果を示すグラフである。 実施例1における、食塩濃度2%にて製造したパンの破断強度試験の結果を示すグラフである。 実施例1における、食塩濃度1%にて製造したパンの破断強度試験の結果を示すグラフである。 実施例1における、食塩濃度0%にて製造したパンの破断強度試験の結果を示すグラフである。 実施例2における、本発明により製造したパンのテクスチャー試験の結果を示すグラフである。 実施例2における、食塩濃度2%にて製造したパンのテクスチャー試験の結果を示すグラフである。 実施例2における、食塩濃度1%にて製造したパンのテクスチャー試験の結果を示すグラフである。 実施例2における、食塩濃度0%にて製造したパンのテクスチャー試験の結果を示すグラフである。 実施例2における、テクスチャー試験の凝集性を評価した結果を示すグラフである。 実施例3における、クリープ試験の結果(E0値:初期弾性率)を示すグラフである。 実施例3における、クリープ試験の結果(η1値:遅延粘性率)を示すグラフである。 実施例4及び実施例5における、クリープ試験の結果(E0値:初期弾性率)を示すグラフである。 実施例4及び実施例5における、クリープ試験の結果(η1値:遅延粘性率)を示すグラフである。 実施例4及び実施例5における、テクスチャー試験の凝集性を評価した結果を示すグラフである。 実施例6における、テクスチャー試験の凝集性を評価した結果を示すグラフである。 実施例6における、クリープ試験の結果(E0値:初期弾性率)を示すグラフである。 実施例6における、クリープ試験の結果(η1値:遅延粘性率)を示すグラフである。
本発明は、第1に、以下の(A)〜(C)に示す工程を有する無塩乃至減塩パン類の製造方法であって、pH2.9〜6.2に調整した水を用いることにより、こねた生地が不安定になるにもかかわらず、イーストのタンパク質分解活性を弱めて無塩乃至減塩化する、無塩乃至減塩パン類の製造方法に関するものである。
(A):pH2.9〜6.2に調整した水、小麦質量の2%以下の食塩およびイーストを含むパン類生地を製造する、パン類生地製造工程。
(B):前記(A)工程で得られたパン類生地を発酵させる、発酵工程。
(C):前記(B)工程終了後のパン類生地を焼成する、焼成工程。
即ち、本発明の第1は、上記の(A)〜(C)に示す工程を有する無塩乃至減塩パン類の製造方法である。
ここでパン類とは、基本的には、消費者庁によるパン類品質表示基準に定める「パン類」に沿ったものであって、「食パン」、「菓子パン」、「その他のパン」が挙げられる。
「食パン」は、パン類品質表示基準に定める「食パン」に準ずるパンで、パン生地を食パン型に入れて焼いたものであって、いわゆる角型食パン、山型食パンがあり、中にレーズンなどを包みこんだものなども含まれる。
「菓子パン」は、パン類品質表示基準に定める「菓子パン」に準ずるパンで、基本的には、「食パン」以外のパン類を指し、例えば、あんパン、ジャムパン、メロンパン、クロワッサン、デニッシュ類、パイ類などが挙げられる。
「その他のパン」は、パン類品質表示基準に定める「その他のパン」に準ずるパン、並びにいわゆる惣菜パン、調理パンを指し、例えば、フランスパン、ロールパン、ライ麦パン、コッペパン、サンドイッチなどが挙げられる。
本発明では、これらのパン類の中でも特に、「食パン」について好適に適用される。
本発明の無塩乃至減塩パン類の製造方法における最初の工程である(A)工程は、pH2.9〜6.2に調整した水、小麦質量の2%以下の食塩およびイーストを含むパン類生地を製造する、パン類生地製造工程である。
この(A)工程では、pH2.9〜6.2に調整した水を用いると共に、小麦質量の2%以下の食塩を用いることが必要不可欠であって、いずれか一方を欠いたとしても、本発明の目的を達成することができない。
(A)工程において、pH2.9〜6.2に調整した水を用いない場合には、小麦質量の2%以下の食塩を用いて減塩化させると、焼成直後は歯応えがなく、翌日には、パサパサした硬いパン類となってしまうため、実質的に減塩化することができない。
勿論、小麦質量の2%以下の食塩を用いない場合には、そもそも無塩乃至減塩パン類を得ることはできない。
また、pH2.9〜6.2に調整した水を用いたとしても、小麦質量の2%以下の食塩を用いない場合には、膨らみのない又は膨らみの少ない小ぶりなパン類となってしまい、好ましくない。
pH2.9〜6.2に調整した水を用いると共に、小麦質量の2%以下の食塩を用いることにより、通常のパン類に似た大きさ(膨らみ)とテクスチャーを持つパン類が得られる。
なお、pHを調整した水としては、pH2.9〜6.2の範囲の酸性に調整した水が用いられる。好ましくはpH2.90〜6.11の範囲に、より好ましくはpH3.00〜5.93の範囲に、さらに好ましくは、pH3.00〜5.81の範囲に調整した水が用いられる。
但し、pHは、食塩の濃度の高低に依存して、pH2.9〜6.2の範囲で適宜調整する。即ち、食塩含量が少なく食塩濃度が低い場合には、前記範囲内でpHをより低い方(pH2.9に近くなる方)へ設定する。この反対に、食塩含量がより多く食塩濃度がより高い場合には、前記範囲内でpHをより高い方(pH6.2に近くなる方)へ設定する。
ここでpHが2.9未満の水であると、イーストの生育(ガス発酵能やタンパク質分解酵素活性能)に悪影響を与え、食塩量が少ない場合でも、膨らみのない又は膨らみの少ない小ぶりなパン類となってしまい、好ましくない。
一方、pHが6.2を超えた水であると、食塩量を減らした場合に、歯応えのないパンとなってしまうため、好ましくない。
本発明では、pH2.9〜6.2に調整した水とするために、水に、クエン酸、L−アスコルビン酸、酢酸などの有機酸や、これら有機酸を含んでいる果汁類(レモン果汁、ゆず果汁、かぼす果汁、オレンジ果汁など)、醸造酢、ワインなどの他に、グルコノラクトンなどのpH調整用剤を材料として添加する。但し、グルコノデルタラクトンは、多量に用いると、パン類を食べたときの後味に酸味が出てくるので、使用には注意を要する。また、果汁でなくとも、果汁をパウダー化したもの(例えば、レモンパウダーなど)を用いることもできる。
なお、上記有機酸などの材料は、pH調整用のためだけに添加されているわけではないが、少なくとも水のpHを下げる働きがあるものであることから、便宜上、本明細書では、以下、これらを総称して「pH調整用材料」と称することがある。
これまで、パン類生地の捏ね段階で、生地が酸性(例えばpH4やpH5)になると、不安定な生地になるとされていた。
しかしながら、このようにしてpH2.9〜6.2の範囲に調整した水を用いて、パン類生地製造時におけるpHを下げることにより、捏ね段階で、仮にパン類生地が不安定なものになったとしても、発酵段階で、イーストのタンパク質分解酵素がグルテンネットワークに作用する活性が抑制され、過剰にグルテンネットワークが破壊されることを阻止することができることが分かったものである。
従って、本発明により得られる無塩乃至減塩パン類は、通常のパンと比較しても、パンとしてのテクスチャー・品質が悪くならない。
ここで食塩濃度とpHが、グルテンネットワークに与える影響について説明すると、次のとおりである。
通常のパンのように、小麦質量の2%程度の食塩をパン生地に添加すると、捏ね段階では、食塩(NaやCl)が関与するタンパク分子内の結合ができる。次に、発酵段階では、食塩がイーストのタンパク質分解活性(プロテアーゼ活性)を抑制し、タンパク質分子内の共有結合が切れにくくなり、グルテンネットワークが適度に切断された状態になる。発酵工程である程度グルテンネットワークが切断されることが、次の焼成工程の「窯のび」には重要である。その結果、焼成後は、膨らみがあり、かつ、歯応えのある美味しいパンが得られる。
次に、この状態で、例えば食塩濃度を0%としてしまうと、捏ね段階では、食塩が関与するタンパク分子内の結合ができなくなり不安定な生地になる。次に、発酵段階では、食塩でイーストのタンパク質分解活性(プロテアーゼ活性)を抑制することができなくなり、不安定なグルテンネットワークは、更に切断が進む。その結果、焼成後は内層の厚い歯応えのないパンとなってしまう。
これに対して、本発明のように、例えば食塩濃度を0%とするが、pHを2.9〜6.2に調整した水を使った場合には、捏ね段階では、食塩が関与するタンパク分子内の結合ができず、不安定な生地になる。しかし、発酵段階では、食塩でイーストのタンパク質分解活性(プロテアーゼ活性)を抑制することはできないものの、pHを低くしたことにより、イーストのタンパク質分解活性(プロテアーゼ活性)が適度に抑制され、タンパク質分子内の共有結合が切れにくく、不安定なグルテンネットワークの更なる切断は進みにくくなる。その結果、焼成後は、通常のパンと同等の膨らみ(大きさ)があり、かつ、歯応えのある美味しいパンが得られるのである。
なお、pHを2.9〜6.2に調整した水を使ったにもかかわらず、例えば食塩濃度を2%とした場合には、捏ね段階では、食塩が関与するタンパク分子内の結合ができる。次に、発酵段階では、食塩がイーストのタンパク質分解活性(プロテアーゼ活性)を抑制すると共に、pHを低くしたことにより、イーストのタンパク質分解活性(プロテアーゼ活性)も抑制されることとなり、結局、膨らみの小さいパンとなってしまう。
なお、必要に応じて、前記の如きpH調整用材料を、粉末化したり液体化したりし、このように粉末化したり液体化したりした「pH調整用材料」をそれぞれ単独で容器に詰めたり、さらには、小麦粉やイーストなどと組合せて容器に詰めたりして、キット化し、無塩乃至減塩パン類の製造用キットとすることもできる。
次に、食塩を用いるが、小麦質量の2%以下の食塩を用い、好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下の食塩を用い、最も好ましくは0%と、食塩を用いないものであり、減塩乃至無塩化(無塩乃至減塩化された)パン類が得られることになる。
本発明の(A)工程(パン類生地製造工程)では、上記のようなpH2.9〜6.2に調整した水、小麦質量の2%以下の食塩を用いて、pH2.9〜6.2に調整した水、小麦質量の2%以下の食塩およびイーストを含むパン生地を製造する。
本発明の(A)工程(パン類生地製造工程)では、イーストを用いている。
膨らませたパン類を製造する場合、イーストを用いて発酵させるものと、種を用いて発酵させるものと、発酵させずに膨張剤を用いるものと、があるが、本発明は、このうちのイーストを用いて発酵させる場合に適用される。
イーストとしては、勿論、製パン用イースト、つまり製パン用酵母が用いられる。
イーストとしては、ドライイーストでも、生イーストであっても、いずれも用いることができる。必要に応じて、両者のいずれか又は両方を用いればよい。
また、イーストにイーストフードが含まれていても、本技術を使うパン製造には問題がない。
イーストの働きは、勿論、パン生地発酵中に二酸化炭素を出して、グルテン膜を膨らませることにあるが、パン生地発酵中には、イーストは、そのタンパク質分解酵素で、パン生地のグルテンネットワークを切断している。発酵段階で、パン生地のグルテンネットワークが適度に切断されることが、焼成時のパンの「窯のび」に必要なことであるが、しかし、発酵段階で、イーストのタンパク質分解活性が強すぎで、グルテンネットワークが切れすぎると、焼成後は、内層の厚い歯応えの悪いパンになる。
このようなイーストのガス発生能とグルテン膜切断能との両活性のバランスをとりながら、パンを焼いていることになる。
食塩は、そのようなイーストの働きを抑制する作用を有している。
食塩は、その浸透圧でイースト(パン酵母)の活性を抑制し、結果的にパンの発酵を抑制、調節する(発酵の抑制、調節)作用を有している。
これは、食塩によってイーストの活性が抑制されることで、パン生地発酵中のイーストの二酸化炭素発生活性とタンパク質分解酵素(プロテアーゼ等)活性が抑制されることである。
パンを製造する際に、2%程度の食塩をパン生地に添加すると、イーストのタンパク質分解酵素活性が適度に制御され、発酵中にグルテンネットワークが適度に分解されて品質のよいパンになるのである。
本発明においては、驚くべきことに、pH2.9〜6.2に調整した水を用いることにより、小麦質量の2%程度の食塩を用いずに減塩乃至無塩化した場合において、イーストのタンパク質分解酵素活性を抑制し、グルテン膜切断力を抑制することが分かった。
本発明においては、食塩を添加しないことで、パン生地が不安定にはなるものの、pHを下げることで、発酵段階で、タンパク質分解酵素活性がかなり強烈に抑制され、不安定なパン生地でも、相応のグルテンネットワークが残ったままになっており、このため食塩を添加したパンと同程度のテクスチャーが得られるのである。
本発明におけるパン類生地としては、上記のように、pH2.9〜6.2に調整した水、食塩およびイーストを含み、パン生地という以上、パン類用小麦粉を含むものである。なお、食塩については、最も好ましくは無塩であるので、食塩は含まれないことになる。
即ち、本発明におけるパン類生地は、基本的には、pH2.9〜6.2に調整した水、食塩、イースト、パン類用小麦粉とからなり、さらに、必要に応じて、味や風味付けなどのために、砂糖などの糖類、ショートニング、油脂類、卵、牛乳、脱脂粉乳、大豆レシチンなどを用いることもできる。
ここでパン類用小麦粉としては、主にグルテンが11.5質量%以上の強力粉が用いられるが、必要に応じて、この強力粉と共に、或いは、強力粉に代えて、中力粉(グルテンが10質量%以上11.5質量%未満)や薄力粉(グルテンが10質量%未満)を用いることもできる。さらには、必要に応じて、米粉なども、小麦粉と併せて用いることができる。
糖類としては、砂糖、ハチミツなどの他、トレハロース、ソルビトール、キシリトールなどが挙げられ、これらの1種を単独で、或いは、2種以上を組合せて用いることができる。糖類としては、特に砂糖(上白糖やグラニュー糖や黒砂糖など)が最も好ましい。
油脂類としては、食用のものであれば特に限定されず、食用動植物油を用いることができる。
具体的には、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、パーム油、オリーブオイルなどの食用植物油や、バター、牛脂、豚脂などの食用動物油や、ショートニングなどの加工油脂が挙げられ、バター等の固体油脂がより好ましい。
本発明は、上記の如き材料を用い、(A)工程(パン類生地製造工程)、(B)工程(発酵工程)、(C)工程(焼成工程)を経て、パン類を製造するものであるが、これらの工程を自動化して行うことのできる「ホームベーカリー」によってパン類を製造することもできる。
本発明の最初の(A)工程(パン類生地製造工程)では、上記の如き材料を所定量計量しボウルなどに入れ、混ぜ合わせ、捏ねて、パン類生地を製造する。捏ねることにより、小麦粉に含まれるタンパク質が水分を吸収し、網目状のグルテンネットワークを形成する。
捏ねる時間は、パン類生地が耳たぶくらいの柔らかさになるまで行えばよく、特に限定されないが、通常は、10〜15分間程度である。
次に、本発明では、(B)工程として、前記(A)工程で得られたパン類生地を発酵させる、発酵工程を行う。
ここで発酵工程には、下記に述べるような、一次から三次にわたるような発酵工程があるが、1回のみ発酵を行ってもよい。
この発酵工程は、一般に行われている条件にて行うことができる。発酵は、30〜35℃程度の温度下に行うことが好ましい。
通常は、上記のようにして得られたパン類生地について、丸め等の処理を行った後、一旦、これを寝かせるフロアタイムと呼ばれる一次発酵工程を行い、次いで、一次発酵工程により膨らんだ生地を押えて炭酸ガスを抜き、必要に応じて分割、丸めを行い、これを休ませるベンチタイムと呼ばれる二次発酵工程を行い、さらに成形、型詰めして、これを寝かせるホイロと呼ばれる三次発酵工程が行われるが、必要に応じて、いずれかの発酵工程を省略することもできる。
さらに、本発明では、(C)工程として、前記(B)工程(発酵工程)終了後のパン類生地を焼成する、焼成工程を行う。
焼成は、通常行われている焼成条件で行えばよく、特に限定されない。
一般には、180〜250℃程度の温度で、10〜50分間程度焼成する。
焼成手段も、通常行われている焼成手段で行えばよく、例えば、赤外線による加熱、遠赤外線による加熱、過熱蒸気や常圧蒸気による加熱などが挙げられる。
なお、上記工程を「ホームベーカリー」によって行う場合の一例を挙げると、次の通りである。
初めに、上記の如き材料を所定量計量し、「ホームベーカリー」に入れると、練り(18分間程度)、イースト添加、寝かし(60分間程度)、練り(9分間程度)、発酵(120分間程度)、焼成(33分間程度)が全自動で行われる。
このようにして、目的とするパン類を製造することができる。
以上の構成による本発明の第1によれば、パン類製品のテクスチャー・品質に大きな影響を与えることなく、無塩パン類(即ち、食塩含量が0%のパン類)、乃至、食塩含量が1%未満と、これまでの2%より大きく食塩濃度を下げた減塩パン類を製造する方法が提供される。
また、本発明は、第2に、無塩乃至減塩パン類のテクスチャーを改善するにあたり、pH2.9〜6.2に調整した水、小麦質量の2%以下の食塩及びイーストを含むパン類生地を用いることを特徴とする、無塩乃至減塩パン類のテクスチャーの改善方法を提供するものでもある。
本発明の第2は、前記した本発明の第1とは、無塩乃至減塩パン類の製造方法(本発明の第1)か、無塩乃至減塩パン類のテクスチャーの改善方法(本発明の第2)か、という点で異なるものの、pH2.9〜6.2に調整した水、小麦質量の2%以下の食塩及びイーストを含むパン類生地を用いることを特徴とする点では同様である。
従って、これらについての説明は、前記した本発明の第1における説明がそのまま参照される。
本発明の第2の無塩乃至減塩パン類のテクスチャーの改善方法によれば、上記のような無塩パン類、乃至、食塩含量が1%未満と、これまでの2%より大きく食塩濃度を下げた減塩パン類について、そのテクスチャーを改善する方法が提供される。
ここでテクスチャーとは、前記したように、食品の咀嚼や嚥下の過程で、口腔内の触覚により知覚される「食感」を総称するものであって、歯応え、口あたり、舌ざわりといった概念を含む、食品の組織や構造に由来した力学的性質に対する感覚的評価を含む概念である。

このテクスチャーは、感覚的評価であり、人間の感覚で評価されるものであるが、パン類の硬さや凝集性などを測ることによって、ある程度評価できるので、以下の実施例では、テクスチャーに関して、動的粘弾性測定装置(レオメーター)を用いて、パン類の硬さや凝集性などを測定し、評価している。
本発明によれば、食塩含量を小麦質量の0%〜1%未満と大きく下げたにもかかわらず、通常の食塩含量(2%程度)を有するパン類と同等レベルのテクスチャーを示し、やわらかく、ふんわり、ふわふわした弾力性のある品質良好な無塩乃至減塩パン類が得られる。
特に、本発明により得られるパンは、焼成してから、2時間後はもとより、24時間後であっても、そのときのパンのテクスチャーが、通常の食塩2%を使用したパンと同等レベルのテクスチャーを保持し、やわらかく、ふんわり、ふわふわした弾力性のある品質良好な無塩乃至減塩パン類となっている。
さらに、本発明は、第3に、パン類を無塩乃至減塩化するにあたり、pH2.9〜6.2に調整した水、小麦質量の2%以下の食塩およびイーストを含むパン類生地を用いることを特徴とする、パン類の無塩乃至減塩化方法を提供するものである。
本発明の第3は、パン類を無塩乃至減塩化するにあたり、pH2.9〜6.2に調整した水、小麦質量の2%以下の食塩およびイーストを含むパン類生地を用いることを特徴とするものであって、基本的には、本発明の第1に記載したと同様のことを行うものである。
従って、本発明の第3についての説明は、前記した本発明の第1における説明がそのまま参照される。
本発明のパン類の無塩乃至減塩化方法によれば、パン類製品のテクスチャー・品質に大きな影響を与えることなく、パン類を、食塩含量が0%乃至1%未満と、無塩乃至減塩化する方法が提供される。
以下に実施例等を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
作成例1(かぼす果汁を用いた、pH4.3のpH調整水の作成)
水180mlに、かぼす果汁0.6ml(600μl)を添加してpHを4.3に調整した水(「かぼす果汁を用いたpH調整水」と称することがある)を作成した。
作成例2(かぼす果汁を用いた、pH5.4のpH調整水の作成)
水180mlに、かぼす果汁0.3ml(300μl)を添加してpHを5.4に調整した水(「かぼす果汁を用いたpH調整水」と称することがある)を作成した。
作成例3(ゆず果汁を用いた、pH4.2のpH調整水の作成)
水180mlに、ゆず果汁0.6ml(600μl)を添加してpHを4.2に調整した水(「ゆず果汁を用いたpH調整水」と称することがある)を作成した。
作成例4(ゆず果汁を用いた、pH5.1のpH調整水の作成)
水180mlに、ゆず果汁0.3ml(300μl)を添加してpHを5.1に調整した水(「ゆず果汁を用いたpH調整水」と称することがある)を作成した。
作成例5(レモン果汁を用いた、pH3.8のpH調整水の作成)
水180mlに、レモン果汁0.1ml(100μl)を添加してpHを3.8に調整した水(「レモン果汁を用いたpH調整水」と称することがある)を作成した。
作成例6(オレンジ果汁を用いた、pH3.8のpH調整水の作成)
水25mlに、オレンジ果汁155mlを添加してpHを3.8に調整した水(「オレンジ果汁を用いたpH調整水」と称することがある)を作成した。
作成例7(クエン酸を用いた、pH4.3のpH調整水の作成)
水180mlに、クエン酸0.03g(30mg)を添加してpHを4.3に調整した水(「クエン酸を用いたpH調整水」と称することがある)を作成した。
作成例8(酢酸を用いた、pH4.3のpH調整水の作成)
水180mlに、酢酸0.04ml(40μl)を添加してpHを4.3に調整した水(「酢酸を用いたpH調整水」と称することがある)を作成した。
作成例9(グルコノデルタラクトンを用いた、pH3.1のpH調整水の作成)
水180mlに、グルコノデルタラクトン0.05g(50mg)を添加してpHを3.1に調整した水(「グルコノデルタラクトンを用いたpH調整水」と称することがある)を作成した。
作成例10(赤ワインを用いた、pH4.3のpH調整水の作成)
水175mlに、赤ワイン5mlを添加してpHを4.3に調整した水(「赤ワインを用いたpH調整水」と称することがある)を作成した。
製造例1(かぼす果汁を用いた無塩パンの製造)
ホームベーカリー(パナソニック社製ホームベーカリー、SD−BH106)を用い、次のようにして食パンの製造を行った。
即ち、作成例1で得られた、かぼす果汁0.6ml(600μl)を用いたpH調整水(pH4.3のもの)、強力粉250g、バター10g、砂糖17g、スキムミルク6g、ドライイースト(スーパーカメリヤ、日清フーズ(株)製)2.8gをホームベーカリーに投入し、後は全自動により、(A)工程(パン類生地製造工程)、(B)工程(発酵工程)、(C)工程(焼成工程)を経て、パンを製造した。
具体的には、ホームベーカリーに投入すると、練り(18分間)、イースト添加、寝かし(60分間)、練り(9分間)、発酵(120分間)、焼成(33分間)が自動的に行われ、食パンが製造された。
製造例2(かぼす果汁を用いた無塩パンの製造)
製造例1において、作成例2で得られた、かぼす果汁0.3ml(300μl)を用いたpH調整水(pH5.4のもの)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして行い、食パンを製造した。
製造例3(ゆず果汁を用いた無塩パンの製造)
製造例1において、作成例3で得られた、ゆず果汁を用いたpH調整水(pH4.2のもの)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして行い、食パンを製造した。
製造例4(ゆず果汁を用いた無塩パンの製造)
製造例1において、作成例4で得られた、ゆず果汁を用いたpH調整水(pH5.1のもの)を用い、かつ、食塩1%を用いたこと以外は、製造例1と同様にして行い、食パンを製造した。
製造例5(レモン果汁を用いた無塩パンの製造)
製造例1において、作成例5で得られた、レモン果汁を用いたpH調整水(pH3.8のもの)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして行い、食パンを製造した。
製造例6(オレンジ果汁を用いた無塩パンの製造)
製造例1において、作成例6で得られた、オレンジ果汁を用いたpH調整水(pH3.8のもの)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして行い、食パンを製造した。
製造例7(クエン酸を用いた無塩パンの製造)
製造例1において、作成例7で得られた、クエン酸を用いたpH調整水(pH4.3のもの)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして行い、食パンを製造した。
製造例8(酢酸を用いた無塩パンの製造)
製造例1において、作成例8で得られた、酢酸を用いたpH調整水(pH4.3のもの)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして行い、食パンを製造した。
製造例9(グルコノデルタラクトンを用いた無塩パンの製造)
製造例1において、作成例9で得られた、グルコノデルタラクトンを用いたpH調整水(pH3.1のもの)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして行い、食パンを製造した。
製造例10(赤ワインを用いた無塩パンの製造)
製造例1において、作成例10で得られた、赤ワインを用いたpH調整水(pH4.3のもの)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして行い、食パンを製造した。
実施例1(破断強度試験)
(1)製造例2で得られたかぼす果汁を用いた無塩パンについて、破断強度試験を行って、パンの物性を測定した。
なお、物性測定は、焼成2時間後と24時間後にそれぞれ行った。このとき、パンは焼成2時間後までは、そのまま放置して温度を下げ、その後は、パンをラップでくるみ、ビニール袋で保存した。保存は、20−26℃の範囲内で行った。
(2)破断強度試験の内容と結果
焼成2時間後と24時間後に、それぞれ動的粘弾性測定装置(RE-3305、山電社製)を用いて、破断強度試験を行った。結果を図1に示す。破断強度試験は、破壊に対する抵抗力を測定するもので、パンを一定の速度で変形させる(歪率(%))ときに必要な力(荷重(gf))を測定して、パンのクラムの硬さを調べることができる。例えば、歪率が25%や80%にするために、必要な荷重が大きいほど、破断強度が大きく、パンは硬いということになる。
なお、比較のために、製造例1において、pHを2.9〜6.2の範囲に調整した水を用いることなく、水(pH7.6)180mlを用いて、食塩濃度2%、食塩濃度1%、食塩濃度0%にて同様に製造したパンについて、それぞれ破断強度試験を行った。結果を、それぞれ図2、図3、図4に示す。
図2、図3、図4の比較からは、パンの食塩濃度が、2%から、1%、0%と下がるにつれて、特に焼成の24時間後の破断強度が上昇していることが分かる。
これに対して、図1からは、食塩濃度が0%であっても、かぼす果汁を用いることにより、焼成の24時間後でも破断強度は大きくならず、食塩濃度が2%のときと同レベルとなっていることが分かる。
実施例2(テクスチャー試験)
(1)製造例2で得られたかぼす果汁を用いた無塩パンについて、テクスチャー試験を行って、パンの物性を測定した。
なお、物性測定は、焼成2時間後と24時間後にそれぞれ行った。このとき、パンは焼成2時間後までは、そのまま放置して温度を下げ、その後は、パンをラップでくるみ、ビニール袋で保存した。保存は、20−26℃の範囲内で行った。

(2)テクスチャー試験の内容と結果
焼成2時間後と24時間後に、動的粘弾性測定装置(RE-3305、山電社製)を用いて、テクスチャー試験を行った。結果を図5に示す。
なお、比較のために、製造例2において、pHを2.9〜6.2の範囲に調整した水を用いることなく、水(pH7.6)180mlを用いて、食塩濃度2%、食塩濃度1%、食塩濃度0%にて同様に製造したパンについて、それぞれテクスチャー試験を行った。結果を、それぞれ図6、図7、図8に示す。

(3)テクスチャー試験の凝集性評価
3-1)凝集性は、テクスチャーに関与する食品の力学的特性のひとつである。パンに負荷を加えると変形したり損傷したりするが、負荷を連続で2回加え、1回目と2回目の負荷面積エネルギー比率を調べて、凝集性を評価した。結果を図9に示す。
即ち、製造例1で得られたかぼす果汁を用いた無塩パン;製造例3で得られたゆず果汁を用いた無塩パン;製造例4で得られたゆず果汁を用いた無塩パン;製造例5で得られたレモン果汁を用いた無塩パン;製造例6で得られたオレンジ果汁を用いた無塩パン;製造例7で得られたクエン酸を用いた無塩パン;製造例8で得られた酢酸を用いた無塩パン;製造例9で得られたグルコノデルタラクトンを用いた無塩パン;製造例10で得られた赤ワインを用いた無塩パン;について、それぞれ凝集性を評価し、図9に示した。
なお、比較のために、製造例2において、pHを2.9〜6.2の範囲に調整した水を用いることなく、水(pH7.6)180mlを用いて、食塩濃度2%、食塩濃度1%、食塩濃度0%にて同様に製造したパンについても、凝集性を評価し、図9に示した。
なお、図9において、各例の左側のデータが、焼成2時間後のデータであり、各例の右側のデータが、焼成24時間後のデータである。

3-2)図5〜9によれば、食塩濃度が2%のときと比べて、パンの食塩濃度が、2%から、1%、0%と下がるにつれて、凝集性が減少していることが分かる。
これに対して、食塩濃度が0%であっても、pHを2.9〜6.2の範囲に調整した水を用いることにより、テクスチャー試験のプロファイルや凝集性が、食塩濃度が2%のときと同レベルとなっていることが分かる。
実施例3(クリープ試験)
(1)クリープ試験の内容
製造例1、3、4、5、7、8、9、10でそれぞれ得られたパンについて、焼成2時間後と24時間後に、動的粘弾性測定装置(RE-3305、山電社製)を用いて、クリープ試験を行った。
なお、物性測定は、焼成2時間後と24時間後にそれぞれ行った。このとき、パンは焼成2時間後までは、そのまま放置して温度を下げ、その後は、パンをラップでくるみ、ビニール袋で保存した。保存は、20−26℃の範囲内で行った。
クリープ試験では、一定荷重に対する食品の変形量を測定するが、クリープ試験におけるE0値(初期弾性率)を図10に、η1値(遅延粘性率)を図11に、それぞれ示す。
なお、図10、図11において、各例の左側のデータが、焼成2時間後のデータであり、各例の右側のデータが、焼成24時間後のデータである。
即ち、製造例1で得られたかぼす果汁を用いた無塩パン;製造例3で得られたゆず果汁を用いた無塩パン;製造例4で得られたゆず果汁を用いた無塩パン;製造例5で得られたレモン果汁を用いた無塩パン;製造例7で得られたクエン酸を用いた無塩パン;製造例8で得られた酢酸を用いた無塩パン;製造例9で得られたグルコノデルタラクトンを用いた無塩パン;製造例10で得られた赤ワインを用いた無塩パン;について、それぞれクリープ試験を行い、そのときのE0値(初期弾性率)を図10に、η1値(遅延粘性率)を図11に示した。
また、比較のために、pHを2.9〜6.2の範囲に調整した水を用いることなく、食塩濃度2%、食塩濃度1%、食塩濃度0%にて製造したパンについて、それぞれクリープ試験を行い、そのときのE0値(初期弾性率)を図10に、η1値(遅延粘性率)を図11に示した。
ここで、E0値(初期弾性率)、η1値(遅延粘性率)が、大きくなると、パンのクラムの食感として硬くなることを示している。
(2)クリープ試験の結果
図10、図11によれば、パンの食塩濃度が、2%から、1%、0%と下がるにつれて、焼成24時間後のE0値(初期弾性率)、η1値(遅延粘性率)が大きくなっており、パンのクラムの食感として硬くなっていることが分かる。
これに対して、パンの食塩濃度が0%であっても、pHを2.9〜6.2の範囲に調整した水を用いることにより、食塩濃度が低くても、焼成24時間後のE0値(初期弾性率)、η1値(遅延粘性率)が、食塩濃度が2%のときと同レベルとなっていることが分かる。
実施例4(生イーストAの使用)
(1)食パンの製造
製造例1(かぼす果汁を用いた無塩パンの製造)において、ドライイースト(日清フーズ(株)製)2.8gの代わりに、生イーストA(オリエンタル酵母工業(株)製)5.6gを用いたこと以外は、製造例1と同様にして食パンを製造した。
(2)クリープ試験
上記(1)で得られた、生イーストAを使用して製造した食パンについて、実施例3と同様にして、クリープ試験を行った。
「食塩0% かぼす0.6ml(600μl)」として、E0値(初期弾性率)を図12に、η1値(遅延粘性率)を図13に、それぞれ示す。
なお、図12、図13において、各例の左側のデータが、焼成2時間後のデータであり、各例の右側のデータが、焼成24時間後のデータである。
また、比較のために、生イーストAを使用し、かつ、pHを2.9〜6.2の範囲に調整した水を用いることなく、食塩濃度0%にて製造したパンについて、クリープ試験を行った。E0値(初期弾性率)を図12に、η1値(遅延粘性率)を図13に、それぞれ示す。
さらに、参考のために、実施例3でクリープ試験を行った、ドライイーストを使用し、かつ、pHを2.9〜6.2の範囲に調整した水を用いることなく、食塩濃度2%、食塩濃度1%、食塩濃度0%にて製造したパンについて、それぞれクリープ試験を行った。E0値(初期弾性率)を図12に、η1値(遅延粘性率)を図13に、それぞれ示す。従って、このグラフは、図10、図11におけるものと、それぞれ同じものである。
図12、図13によれば、生イーストAを使用した場合にも、焼成24時間後のE0値(初期弾性率)、η1値(遅延粘性率)が、焼成後24時間経っても、食塩濃度が2%のときと同レベル乃至それ以下となっていることが分かる。
(3)テクスチャー試験の凝集性評価
3-1)上記(1)で得られた食パンについて、実施例2と同様にしてテクスチャー試験を行い、凝集性を評価した。結果を図14に示す。
また、比較のために、pHを2.9〜6.2の範囲に調整した水を用いることなく、食塩濃度0%にて製造したパンについても、同様に凝集性を評価し、図14に示した。
さらに参考のために、ドライイーストを使用し、かつ、pHを2.9〜6.2の範囲に調整した水を用いることなく、食塩濃度2%、食塩濃度1%、食塩濃度0%にて製造したパンについても、凝集性を評価し、図14に示した。従って、この図14に示すグラフは、図9におけるものと、それぞれ同じものである。
なお、図14において、各例の左側のデータが、焼成2時間後のデータであり、各例の右側のデータが、焼成24時間後のデータである。
3-2)図14によれば、ドライイーストの代わりに、生イーストAを使用した場合にも、pHを2.9〜6.2の範囲に調整した水を用いることにより、食塩濃度が0%であっても、テクスチャー試験による凝集性が、食塩濃度が2%のときと同レベルとなっていることが分かる。
実施例5(生イーストBの使用)
(1)食パンの製造
製造例1において、ドライイースト 日清フーズ(株)製)2.8gの代わりに、生イーストB(日本甜菜精糖(株)製)5.6gを用いたこと以外は、製造例1と同様にして食パンを製造した。
(2)クリープ試験
上記(1)で得られた、生イーストBを使用して製造した食パンについて、実施例3と同様にして、クリープ試験を行った。
「食塩0% かぼす0.6ml(600μl)」として、E0値(初期弾性率)を図12に、η1値(遅延粘性率)を図13に、それぞれ示す。
なお、図12、図13において、各例の左側のデータが、焼成2時間後のデータであり、各例の右側のデータが、焼成24時間後のデータである。
また、比較のために、生イーストBを使用し、かつ、pHを2.9〜6.2の範囲に調整した水を用いることなく、食塩濃度0%にて製造したパンについて、クリープ試験を行った。E0値(初期弾性率)を図12に、η1値(遅延粘性率)を図13に、それぞれ示す。
さらに、参考のために、実施例3でクリープ試験を行った、ドライイーストを使用し、かつ、pHを2.9〜6.2の範囲に調整した水を用いることなく、食塩濃度2%、食塩濃度1%、食塩濃度0%にて製造したパンについて、それぞれクリープ試験を行った。E0値(初期弾性率)を図12に、η1値(遅延粘性率)を図13に、それぞれ示す。従って、このグラフは、図10、図11におけるものと、それぞれ同じものである。
図12、図13によれば、生イーストBを使用した場合にも、焼成後24時間経過したときのE0値(初期弾性率)、η1値(遅延粘性率)が、食塩濃度が2%のときと同レベル乃至それ以下となっていて、パンが硬くなっていないことを示唆している。
(3)テクスチャー試験の凝集性評価
3-1)上記(1)で得られた食パンについて、実施例2と同様にしてテクスチャー試験を行い、凝集性を評価した。結果を図14に示す。
また、比較のために、pHを2.9〜6.2の範囲に調整した水を用いることなく、食塩濃度0%にて製造したパンについても、同様に凝集性を評価し、図14に示した。
さらに、比較のために、ドライイーストを使用し、かつ、pHを2.9〜6.2の範囲に調整した水を用いることなく、食塩濃度2%、食塩濃度1%、食塩濃度0%にて製造したパンについても、凝集性を評価し、図14に示した。
なお、図14において、各例の左側のデータが、焼成2時間後のデータであり、各例の右側のデータが、焼成24時間後のデータである。
3-2)図14によれば、ドライイーストの代わりに、生イーストBを使用した場合にも、pHを2.9〜6.2の範囲に調整した水を用いることにより、食塩濃度が0%であっても、焼成24時間後のテクスチャー試験による凝集性が、食塩濃度が2%のときと同レベルとなっていることが分かる。
実施例6(各種pH値を有するpH調整水を用いた食パンの凝集性評価)
(1)各種pH調整水の作成
水180mlに、下記の表1に示す材料を所定量添加して、表1のNO.1からNO.6に示す、各種pH値(pH3.00〜6.11の範囲)を有するpH調整水を作成した。
(2)食パンの製造
上記(1)で得られた、各種pH調整水(pH3.00〜6.11の範囲)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして行い、食パンを製造した。

(3)テクスチャー試験の凝集性評価
上記(2)で製造された食パンについて、実施例2と同様にして、テクスチャー試験を行い、凝集性を評価した。結果を図15に示す。
なお、比較のために、各種pH調整水を用いることなく、水(pH7.6)180mlを用いて、食塩濃度2%、食塩濃度1%、食塩濃度0%にて同様に製造したパンについても、凝集性を評価し、図15に示した。なお、図15において、各例の左側のデータが、焼成2時間後のデータであり、各例の右側のデータが、焼成24時間後のデータである。
(4)テクスチャー試験の凝集性評価の結果
図15によれば、食塩濃度が2%のときと比べて、パンの食塩濃度が、2%から、1%、0%と下がるにつれて、特に、焼成24時間後のテクスチャー試験による凝集性が減少していることが分かる。
これに対して、各種pH調整水(pH3.00〜6.11の範囲)を用いることにより、食塩濃度が0%であっても、焼成24時間後の凝集性が、食塩濃度が2%のときと同等レベルとなっていることが分かる。
実施例7(各種pH値を有するpH調整水を用いた食パンのクリープ試験)
(1)各種pH値を有するpH調整水を用いた食パンの製造
実施例6の(1)で作成した各種pH値を有するpH調整水(pH3.00〜6.11の範囲)を用いたこと以外は、製造例1と同様にして行い、食パンを製造した。
(2)上記(1)で得られた、各種pH値を有するpH調整水(pH3.00〜6.11の範囲)を用いた食パンについて、実施例3と同様にして、クリープ試験を行った。
結果を図16と図17に示す。なお、図16、図17において、各例の左側のデータが、焼成2時間後のデータであり、各例の右側のデータが、焼成24時間後のデータである。
なお、比較のために、各種pH調整水を用いることなく、水(pH7.6)180mlを用いて、食塩濃度2%、食塩濃度1%、食塩濃度0%にて同様に製造したパンについても、それぞれクリープ試験を行った。E0値(初期弾性率)を図16に、η1値(遅延粘性率)を図17に、それぞれ示す。
前記したように、E0値(初期弾性率)、η1値(遅延粘性率)が、大きくなると、パンのクラムの食感として硬くなることを示している。
(3)クリープ試験の結果
図16、図17によれば、パンの食塩濃度が、2%から、1%、0%と下がるにつれて、特に、焼成24時間後のE0値(初期弾性率)、η1値(遅延粘性率)が大きくなっており、パンのクラムの食感として硬くなっていることが分かる。
これに対して、各種pH調整水(pH3.00〜6.11の範囲)を用いることにより、食塩濃度が0%であっても、焼成24時間後のE0値(初期弾性率)、η1値(遅延粘性率)が、食塩濃度が2%のときと同レベルとなっていることが分かる。
本発明は、製パン業界において広く利用することができるものと期待される。
本発明は、より食べやすい減塩パン類や無塩パン類を製造する技術を提供するものであり、各種疾病予防のために、減塩目的で利用することができる。
また、粉末化したり液体化したりしたpH調整用材料を単独で容器に詰めたり、さらには、小麦粉やイーストなどと組合せて容器に詰めたキットとすれば、所定量の水に溶解し、pHを2.9〜6.2の範囲とすることが簡単にでき、ホームベーカリーで、簡単に減塩パン類や無塩パン類をつくることができる。
本発明の技術は、パンの発酵段階でのイーストのタンパク質分解酵素の活性制御に基づくものであり、食塩以外についても、雑穀パン等で、パンの膨らみに影響を与える場合の製パン工程に、広く活用できるものと考えられる。

Claims (2)

  1. 無塩乃至減塩パン類のテクスチャーを改善するにあたり、pH3.00〜5.81に調整した水、小麦質量の2%以下の食塩及びイーストを含むパン類生地を用いることを特徴とする、無塩乃至減塩パン類のテクスチャーの改善方法。
  2. 食塩が、小麦質量の1%以下である、請求項1に記載の方法。
JP2016104863A 2016-05-26 2016-05-26 無塩乃至減塩パン類の製造方法 Active JP6747638B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016104863A JP6747638B2 (ja) 2016-05-26 2016-05-26 無塩乃至減塩パン類の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016104863A JP6747638B2 (ja) 2016-05-26 2016-05-26 無塩乃至減塩パン類の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017209058A JP2017209058A (ja) 2017-11-30
JP6747638B2 true JP6747638B2 (ja) 2020-08-26

Family

ID=60474194

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016104863A Active JP6747638B2 (ja) 2016-05-26 2016-05-26 無塩乃至減塩パン類の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6747638B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7395838B2 (ja) * 2019-03-29 2023-12-12 味の素株式会社 無塩パンまたは減塩パンの製造方法および製造用添加剤、ならびに無塩パンまたは減塩パンの製造時におけるパン生地の付着の抑制方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017209058A (ja) 2017-11-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6555484B2 (ja) パンその他穀物粉膨化食品の凝集性改善剤
JP6803658B2 (ja) 食品用組成物
JP6427365B2 (ja) ベーカリー食品用原料、ベーカリー食品の製造方法及びベーカリー食品
JP7099819B2 (ja) ベーカリー食品用ミックス
JPWO2014103833A1 (ja) 水溶性エンドウ多糖類からなる小麦主体食品の物性改良剤
JP4707694B2 (ja) 小麦生胚芽粉末を含む焼き菓子用穀粉及びこれを使用した焼き菓子
JP2021078364A (ja) 全粒粉パン及びその製造方法
JP2016158608A (ja) ベーカリー食品用組成物
JP6435447B1 (ja) 低糖質パン様食品及びその製造方法
JP6747638B2 (ja) 無塩乃至減塩パン類の製造方法
De Wit et al. Physico-chemical and sensory evaluation of cactus pear (Opuntia ficus-indica L. Mill and Opuntia robusta Wendl) cladode flour in different baked products
JP6430117B2 (ja) 米粉ベースのパン類の製造方法
JP6813408B2 (ja) 小麦ふすまを用いたパン類の製造方法
KR101963498B1 (ko) 파스타치오와 고구마 및 치즈 찐빵의 제조방법
US20070054025A1 (en) Novel dough methods for preparing the same and baking products thereof
JP6489373B2 (ja) 醗酵組成物その製造方法およびそれを用いる食品
JP4683659B2 (ja) 小麦粉及びこれを使用したパン類
JP2007244235A (ja) パン類の製造方法
JP6862295B2 (ja) 惣菜パン類の製造方法
JP2003038089A (ja) ベーカリー製品の製造方法
JP5290140B2 (ja) パン類の製造方法
JP6680667B2 (ja) 小麦ふすま素材およびこれを用いたパン類の製造方法
JP2009017808A (ja) 製パン用小麦粉組成物及び製パン用穀粉組成物並びにこれらを使用したパン
WO1994028743A1 (en) FOOD PRODUCTS CONTAINING β-GLUCAN ENRICHED FIBER
JP7261521B1 (ja) パン、パン用ミックス粉およびパンの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190121

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20190121

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191025

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191112

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20191224

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200714

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200721

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6747638

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250