JPWO2014103833A1 - 水溶性エンドウ多糖類からなる小麦主体食品の物性改良剤 - Google Patents

水溶性エンドウ多糖類からなる小麦主体食品の物性改良剤 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明では、パン類,小麦粉焼成菓子,麺類等の小麦主体食品において、種々の物性の改良にかかる物性改良剤を得ることを課題とした。【解決手段】水溶性エンドウ多糖類を用いることでパン類,小麦粉焼成菓子,麺類等の小麦主体食品において、物性改良効果を得ることができる。パン類,小麦粉焼成菓子においては、澱粉の老化に伴う食感の変化を抑えるとともに、生地の展延性の改善により作業性を向上し、更に、焼成後の体積を増大させ、且つ歯切れ,口溶け感が良好な食感が得られる。また、麺類においては、蒸煮した麺類を室温乃至冷蔵保存した際の老化を抑えることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、小麦粉ドウについて、焼成,油ちょう,蒸煮等加熱を行って調製する小麦主体食品について、その物性改良に用いる水溶性エンドウ多糖類に関する。特にパン類においては、保存時の食感と食味の向上機能、生地の展延性向上機能、焼成後の体積増加機能、並びに歯切れおよび口溶け感の向上機能を有し、小麦粉焼成菓子においては、保存時の食感と食味の向上機能、生地の展延性向上機能、並びに歯切れおよび口溶け感の向上機能を有し、麺類においてはその老化を抑える機能を有することを特徴とする。
小麦粉を主成分とする小麦主体食品は、小麦粉ドウについて、焼成,油ちょう,蒸煮等加熱を行って調製する食品であり、食パン,コッペパン,菓子パン,デニッシュ,ロールパン,蒸しパン,中華まんなどのパン類、クッキー,スポンジケーキ,パイ,マフィン,パンケーキ等の小麦粉焼成菓子、更には、うどん,素麺,中華麺,パスタ等の麺類として広く食されている。
上述した様な小麦主体食品は、澱粉質の老化により食感が変化しやすい。パンなど焼成してなる食品においては、弾力性が著しく損なわれ、硬くてパサつき感が強く、しっとり感に乏しい食感に変わるため、品質が著しく損なわれる。麺類、特に調理済み麺の場合、弾力が乏しく、腰が弱く、のど越しの悪い麺質に変わるため、品質が著しく損なわれる。
澱粉の老化を抑制する手法としては、澱粉を構成するアミロースの離水と再結晶化を抑止するため、保水性の高い低分子の糖類、例えば、トレハロース,マルトース等の少糖類や、ソルビトール,マルチトールなどの糖アルコール(ポリオール)類、ショ糖脂肪酸エステル,ポリグリセリン脂肪酸エステル,レシチン等の乳化剤を配合することが有効とされている(特許文献1)。しかしながら、少糖類や糖アルコール類は、パンに不自然な甘味を与える上、澱粉の老化を完全に抑えるためには、小麦粉に対して数%の過剰量の配合が必要であり、生地そのものがべた付くため、著しく加工性,作業性が悪化する。また乳化剤は、微量の使用でも生地の物性を大きく変えてしまうため、機械による連続生産での麺類及びパン類の製造に支障をきたすことが多い上、乳化剤由来の風味が最終商品に残ってしまい、小麦粉の特有の風味が損なわれる。
更に、近年、天然素材を嗜好する市場ニーズが高まり、乳化剤に代わる天然の機能性素材の要望が高まっている。これら添加物による老化抑制に加え、餅類で広く利用されるアミラーゼもパン類及び麺類の澱粉の老化抑制には有効な手段である(特許文献2)。アミラーゼは、少糖類,糖アルコール,或いは乳化剤とは異なり、最終製品の風味に悪影響を与えないメリットがある反面、酵素の使用量や酵素活性を有効に引き出す為に反応温度が最適化されている必要があり、簡便性が高いとは言えない。さらに、過剰の酵素を添加することで澱粉が糖化され、生地の物性が加工に不適切なものになる可能性が高い上、最終製品の品質を安定化することが難しいというデメリットも生じやすい。
近年、蒸煮して製造した小麦主体食品、例えば蒸しパン,中華まん等のパン類について、澱粉質の老化を抑止し、良好な食感を長期間にわたり維持する方法として、製造後直ちに凍結する方法が採られている。こうした食品は食す直前に再焼成或いは電子レンジ等の加熱調理機器で再加熱される場合があるが、再加熱による水分の蒸発により、生地は非常に引きが強く,硬く,歯切れの悪い食感になるばかりか、冷めるに従って急激に澱粉の老化が進み、収縮して表面にしわができてしまい、商品としての価値を著しく損なう。この点を改善する一例として、中華まんのあんに寒天ゼリーを混入した電子レンジ用冷凍中華まんが提案されている(特許文献3)。また、あんに食物繊維の粉末を練り込んだ電子レンジに対応した冷凍中華まんが提案されている(特許文献4)。しかしながら、これらの方法は、電子レンジ加熱により中華まんの生地の保水性改善の効果は弱く、加熱直後の生地のソフト感は改善されるものの、冷めるにしたがって硬く、引きが強くなる物性の改善は考慮されていないのが現状である。
また、パン類の生地物性としてパンにおいては、デニッシュ生地の展延性が優れ、展延後の生地もどりが少なく、均一な層状構造を作成するために、各種のグリセリン脂肪酸エステルからなる乳化剤を配合する技術が報告されている(特許文献5)。乳化剤は、デニッシュにサクサク感等の食感改良の効果は確認できるものの、焼成後の体積の増大については何ら触れられていない上に、油脂の10%程度と大量の乳化剤の添加が必要であり、小麦主体食品が持つ特有の風味は損なわれてしまう。
水溶性大豆多糖類は、小麦粉製品に使用した場合に、澱粉の老化を抑え、ソフトな食感を与えると報告されている(特許文献6及び7)。また、乳酸発酵した豆乳と併用することで、ソフトな食感を長期間保持するベーカリー製品が報告されている(特許文献8)。更に、レンジアップして食す中華まんなどの蒸しパン生地において、水溶性大豆多糖類が持つ強い保水効果により、レンジアップしても硬くなり難く、ソフトな食感を与えることが報告されている(特許文献9)。
水溶性大豆多糖類は、小麦主体食品に利用することで澱粉の老化を抑えるものの、その効果はトレハロース等の少糖類に及ばず、豆乳を併用することで大豆特有の風味が残るため、パンの種類によっては小麦の好ましい風味が損なわれるものであった。また、蒸しパンにおけるレンジアップ後の食感はソフト感を感じるものの、品温の低下に伴って硬くなり、長時間にわたりソフトな食感を保持するには至っていない。大豆に由来するために、アレルゲン性を有し、使用機会が制限される問題もあった。
特開平7−79689号公報 特開2003−199482号公報 特願平4−287669号公報 特願平3−22941号公報 特開2003−92986号公報 特開平5−7449号公報 特許第3190066号公報 特許第4582859号公報 特許第3267914号公報
本発明では、パン類,小麦粉焼成菓子,麺類等の小麦主体食品において、種々の物性の改良にかかる物性改良剤を得ることを目的とした。パン類,小麦粉焼成菓子においては、澱粉の老化に伴う食感の変化を抑えるとともに、生地の展延性の改善により作業性を向上し、更に、焼成後の体積を増大させ、且つ歯切れ,口溶け感が良好な食感を与える物性改良剤を得ることを、また、麺類においては、蒸煮した麺を室温乃至冷蔵保存した際の老化を抑える機能を有する物性改良剤を得ることを課題とした。
本発明者が鋭意研究を行った結果、水溶性エンドウ多糖類を用いることでパン類や小麦粉焼成菓子において澱粉の老化に伴う食感の変化を抑え、生地の展延性を改善し、更に、焼成後の体積が増大し、且つ歯切れ,口溶け感が良好な食感を与えることを見出した。更に、当該水溶性エンドウ多糖類を麺類に用いることにより、生地物性の向上、蒸煮した麺を室温乃至冷蔵保存した際の老化を抑えることを見出した。すなわち、本発明は、
(1)水溶性エンドウ多糖類含有する、小麦主体食品用の物性改良剤。
(2)水溶性エンドウ多糖類が、エンドウ種子の種皮を除去した子実部に由来するものである、(1)に記載の物性改良剤。
(3)エンドウが黄色エンドウ種子由来である、(1)または(2)に記載の物性改良剤。
(4)保存時の澱粉老化抑制機能、生地の展延性向上機能、焼成後の体積増加機能、並びに歯切れおよび口溶け感の向上機能の、何れかの機能を有することを特徴とする、(1)記載の物性改良剤。
(5)小麦粉に対して0.01重量%以上5重量%以下を配合する、(1)記載の物性改良剤。
(6)小麦主体食品がパン類である、(1)記載の物性改良剤。
(7)(6)の物性改良剤を小麦粉に対して0.01重量%以上5重量%以下を配合した、パン類。
(8)パン類が、そのパン生地を冷凍したものである、(7)記載のパン類。
(9)ホイロ後に冷凍された、(8)に記載のパン類。
(10)小麦主体食品が小麦粉焼成菓子である、(1)記載の物性改良剤。
(11)(10)の物性改良剤を小麦粉に対して0.01重量%以上5重量%以下を配合した、小麦粉焼成菓子。
(12)小麦主体食品が麺類である、(1)記載の物性改良剤。
(13)蒸煮した麺類を室温乃至冷蔵保存した際の澱粉老化抑制機能を有する、(12)記載の物性改良剤
(14)(12)の物性改良剤を小麦粉に対して0.01重量%以上5重量%以下を配合した、麺類。
に関するものである。
本発明によれば、焼成後の体積が増大し、歯切れが良く,口溶け感(口の中での崩壊性)が良好な、パン類,小麦粉焼成菓子を調製することができる。さらに、生地の展延性の向上に伴い、組織構造が均一な生地を容易に調製できることから作業効率が向上し、澱粉の老化防止機能により冷蔵,冷凍保存中における品質の劣化が抑制できる。また、麺類においては、蒸煮した後、室温乃至冷蔵保存した際の澱粉の老化を抑えることで、ツルミ感と弾力を持った麺を調製することが出来る。
(小麦主体食品)
本発明の小麦主体食品とは、小麦粉ドウについて、焼成,油ちょう,蒸煮等加熱を行って調製する食品であり、後述するパン類,小麦粉焼成菓子,麺類が例示できる。
(パン類)
本発明のパン類とは、以下に説明する食パン,コッペパン,菓子パン,デニッシュ,ロールパン,調理パン,蒸しパン,中華まん等をいう。また、バゲット,ベーグル,チャパタ,ピタ,ピザクラスト,ライブレッド等もパン類として本発明の対象となる。
(食パン及びコッペパン)
本発明の食パンとは、日本においては広く主食用として食されるパンのことで、三斤の食パン型に入れて焼成したパンを意味する。強力粉,薄力粉,粉乳,砂糖,食塩,イースト,水等をバターまたはマーガリン等とともにミキシングして生地が形成される。この生地を丸めてベンチをとり、モルダーでロール成型し3から4個を食パン型に詰め、ホイロの過程をとり焼成されたものが食パンとして例示できる。?蓋をして焼いた角食パンと蓋をしないで焼いた山型食パン(イギリスパンなど)があり、また当該食パンと同じ原料を用いて生地を調製し、ドッグ状に成型した後、焼成されたものがコッペパンである。
(菓子パン)
本発明の菓子パンとは、強力粉,薄力粉,粉乳、砂糖,食塩,イースト,水等と、バターまたはマーガリン等からなるパン生地を用い、任意の形状に成型した後、表面にチョコレートチップなどの甘い菓子を付けたり、餡,ジャム,クリームなどの具を入れて焼成した、主食よりむしろ菓子としての要素が強いパンを意味する。
(デニッシュ)
本発明のデニッシュとは、食パンや菓子パンとは作製方法が異なる。マーガリンやバター等の練込用油脂組成物等を使用して作製した小麦粉の生地に、ロールイン油脂を折り込んで作製されたものである。具体的には、強力粉,薄力粉,砂糖,食塩,イースト,水等を、練込用油脂組成物とともにミキシングして、生地を形成する。この生地をリタードし、その上にロールイン油脂を乗せて折りたたみ、更に展延、折りたたみを繰り返して、幾多の層が形成されたもの、またはその後に成型したものがデニッシュ生地として、その後にホイロの過程をとり焼成されたものがデニッシュとして例示できる。また、デニッシュ生地をホイロの前または後で凍結し、長期保存および流通を可能としたものが冷凍デニッシュ生地である。生地の上にフィリングをトッピングした欧風の菓子パンや、クロワッサンもデニッシュの一形態である。
(ロールパン)
本発明のロールパンとは、強力粉,薄力粉,粉乳,砂糖,食塩,イースト,水等と、バターまたはマーガリン等からなるパン生地を用い、生地を巻いて仕上げたパンであり、型に入れずに焼成したパンとして例示できる。ロールパン生地をホイロの前或は後で凍結し、長期保存および流通を可能としたものが冷凍ロールパン生地である。
(調理パン)
本発明の調理パンとは、上記食パン,コッペパン,デニッシュ,ロールパンなどのパンに焼きそば、ソーセージなどの調理済みの加工食品を載せたり、カットしたパンに挟んだものを意味する。食パンを用いたサンドウィッチも調理パンの一種である。また、カレーなどのペースト状のフィリングをパン生地で包み、高温の油で揚げたカレーパンやカレードーナツも調理パンの一種である。
(蒸しパン)
本発明の蒸しパンとは、生地を焼く代わりに蒸して完成したパンを意味する。具体的には小麦粉,卵,乳,砂糖,塩,ベーキングパウダー,水等と、マーガリンまたはバター等を混ぜ合わせ、饅頭型、三角型、四角型に流し入れて蒸し器で30分ほど蒸し上げて仕上げたものが例示できる。チーズ素材を生地に入れて作ったチーズ蒸しパンも蒸しパンの一種である。
(中華まん)
本発明の中華まんとは、小麦粉,水,砂糖,イーストなどを混ぜて捏ね上げ発酵させた柔らかい皮で、豚肉,タマネギ,タケノコ,シイタケなどをみじん切りにして煮た具を包み、蒸し上げたまんじゅうが例示できる。具はこし餡,ピザソース,ドライカレーなど様々なものが存在する。
(小麦粉焼成菓子)
本発明の小麦粉焼成菓子とは、ビスケット類,スポンジケーキ,マフィン,パンケーキ等の、小麦粉ドウを焼成して得た菓子である。
(ビスケット類)
本発明においてビスケット類とは、小麦粉,澱粉,砂糖などの糖質と油脂、必要により、乳,卵,食塩,ベーキングパウダーなどを原料とし、これら原料を混合、成型、焼成したものが例示できる。特に日本においてはビスケットの内の、砂糖など糖質と油分の合計が配合の40重量%を超えたもの、並びにナッツ,チョコレートチップ,乾燥果物などを表面に載せたり、混ぜ込んだものをクッキーと呼ぶことがある。生地の硬さの異なる複数の生地を包摂することで、ソフトな食感を出すソフトクッキーもこの一種である。
(スポンジケーキ)
本発明においてスポンジケーキとは、小麦粉,砂糖,卵,油脂、必要により気泡性の改良目的で乳化油脂および/または乳化剤を原料として焼成された焼き菓子が例示できる。卵,乳化油脂および乳化剤をミキシングすることによって形成された気泡が焼成の熱によって膨張し、混在する卵白とグルテンの加熱変成と糊化した澱粉による骨格形成により空気を含んだまま凝固することで独特の弾力のある生地を形成する。工業生産においては、焼成したスポンジケーキを凍結した状態で長期保存する必要があり、凍結・チルド流通に耐性のある凍結スポンジケーキもスポンジケーキの一種に分類される。
(パイ)
本発明のパイとは、マーガリンやバター等の練込用油脂組成物等を使用して作製した小麦粉の生地に、ロールイン油脂を折り込んで作製されたものである。具体的には、強力粉,薄力粉,砂糖,食塩,水等を、練込用油脂組成物とともにミキシングして、生地を形成する。この生地をリタードし、その上にロールイン油脂を乗せて折りたたみ、更に展延、折りたたみを繰り返して、幾多の層が形成されたもの、またはその後に成型したものがパイ生地として、その後に焼成されたものがパイとして例示できる。
本発明の麺類とは、うどん,素麺,中華麺,パスタ等をいう。
(うどん及び素麺)
本発明においてうどん及び素麺とは、小麦粉と塩を主原料に、必要により澱粉や食用油を添加して、良く練り上げた生地を展延し、引き延ばすか裁断することで線状の加工したものが例示できる。乾麺,半生麺,生麺など様々な形態で流通している。乾麺は、JAS規格により長径1.7mm以上に成形したものを「うどん」、長径1.3mm以下に成形したものを「素麺」、その間の長径をもつものを「細うどん」或は「ひやむぎ」と呼ばれている。
(中華麺)
本発明において中華麺とは、小麦粉、鹹水、水を主原料に作成されるやや黄色味を帯び、特有の風味を持った弾力のある麺であって、小麦粉に鹹水と水を混ぜた後、強い力で捏ね上げて玉状の生地を作り、適宜寝かせ工程を採った後、うち粉を使用しながら麺棒で伸ばし、包丁などで細く切ったものが例示できる。麺の断面形状は、生地を伸ばし、切り出したままの角麺、切り出した後丸く形を整えた丸麺、幅広く切り出した成型した平打ち麺などがある。
(パスタ)
本発明におけるパスタとは、イタリア料理の主食であり、デュラムセモリナ粉、塩、卵、水を主原料に、混合捏ね上げて生地を作り、棒状、板状、団子状の成型したものが例示できる。成型したものをそそまま食す生パスタと、乾燥したものを茹でて食す乾燥パスタが存在する。また、形状から大別するとスパゲティ、スパゲッティーニ、フェデリーニ、カペリーニなどのロングパスタと、マカロニ、ペンネ、リガトーニ、コンキリエなどのショートパスタに分かれる。
(水溶性エンドウ多糖類)
本発明の水溶性エンドウ多糖類とは、エンドウ種子から抽出される水溶性の多糖類を指し、好ましくはエンドウ種子の子実部から抽出されたものであり、更に好ましくは黄色エンドウの種子から抽出されたものである。その製造方法は、例えば国際出願PCT/JP2012/065907号明細書にも記載される下記の製造例で得ることができる。
(抽出)
工業的にはエンドウ種子に含まれる蛋白質画分並びに澱粉画分を除去した繊維画分を原料として水抽出するのが好ましい。水は熱水にして抽出することもできる。抽出時のpHはpH3未満の酸性条件下では多糖類の加水分解が促進され、pH12よりアルカリ側では多糖類の脱離分解が促進されるため、pH3からpH12が好ましく、pH4からpH10が特に好ましい。原料に5〜20倍量の水を加水したのち、酸或いはアルカリを添加してpH3からpH12の範囲に調整後、60℃以上150℃以下、好ましくは80℃以上130℃以下の温度で水溶性エンドウ多糖類を抽出する。抽出温度が低くなるにつれ6多糖類の抽出効率が低下傾向となる。また抽出温度が高すぎると抽出の過程で多糖類が加水分解してしまい、所望の機能が低下する場合がある。抽出時間は概ね0.5〜3時間であるが、原料の状態や温度等により、任意に調整することができる。
(精製)
抽出した水溶性エンドウ多糖類は、不溶性繊維分を遠心分離機等により分離した後、そのまま乾燥することもできるが、より機能を発揮させるために蛋白質の除去,脱塩,色素成分除去等の精製を行なうことが望ましい。適宜精製処理を施した水溶性エンドウ多糖類は、必要により任意の殺菌処理を施し、水溶液として用いても良いし、さらに凍結乾燥,噴霧乾燥,エタノール沈殿物の熱風乾燥などの方法にて乾燥物を得ることもできる。
(除澱粉)
本発明の水溶性エンドウ多糖類の原料であるエンドウ種子の繊維画分に澱粉が残存する場合、そのままの状態でも水溶性エンドウ多糖類を得ることは可能であるが、澱粉を除去することが好ましい。澱粉は、アミラーゼによる分解等の方法により除去することができる。アミラーゼは澱粉を加水分解する酵素の総称であり、β-アミラーゼ,α-アミラーゼ,グルコアミラーゼ,プルラナーゼが例示される。
(分子量)
本発明の水溶性エンドウ多糖類は、構成成分として分子量1万以上の高分子成分を含むが、以下の条件でのゲル濾過で分析される、分子量1万以上と認められる画分をもって、高分子成分と定義する。平均絶対分子量(MM)は10万から100万が好ましく、20から80万がより好ましい。
ゲル濾過は、HPLC(TSK-gel G-5000PWXL: 東ソー φ7.8mm×300mm)を用い、平均絶対分子量(MM)は、カラム通液後にトルエンでキャリブレーションしたマルチアングルレーザーライトスキャッタリング(MALLS)により求める。分析条件は、溶離液:50mM酢酸ナトリウム水溶液(pH5.0),流速:1.0mL/min, RI検出器及びMALLS検出器にて行う。
(構成糖)
本発明の水溶性エンドウ多糖類は、構成糖として酸性糖であるガラクツロン酸が含まれるものである。また主要な中性糖としてアラビノースとガラクトースが含まれるものである。その他の中性糖としてグルコース,ラムノース,キシロースおよびフコースが含まれていても良い。酸性糖であるガラクツロン酸の糖組成は3〜40重量%であることが好ましい。また中性糖の糖組成は60〜97重量%であることが好ましい。また中性糖としてアラビノースの糖組成が20〜50重量%であるのが好ましく、ガラクトースの糖組成は10〜30重量%であるのが好ましい。 尚、水溶性エンドウ多糖類の全糖含量はフェノール硫酸法を用いた比色定量法にて、ガラクツロン酸含量はBlumenkrantz法を用いた比色定量法にて測定する。中性糖の組成は、硫酸分解した後、電気化学検出器を用いたイオンクロマトグラフィー法(HPLC-PAD法)を用いて測定する。
(他の多糖類素材との併用)
本発明の水溶性エンドウ多糖類は、水溶液として粘度を与えない特性を持ち、ペクチン等の増粘安定剤に比べて焼成前の生地の粘度が低くなる場合がある。水溶性エンドウ多糖類の配合量を高めることで、生地の物性を最適化することも可能だが、必要に応じてガム剤,増粘剤,蛋白質、或いはその加水分解物を配合することで、生地の物性を調整することが可能である。併用できる物質としては、例えば、加工澱粉、各種セルロース,寒天,カラギーナン,ファーゼラン,グアーガム,ローカストビーンガム,フェノグリークガム,コンニャクマンナン,タマリンド種子多糖類,タラガム,アラビアガム,トラガントガム,カラヤガム,ペクチン,キサンタンガム,プルラン,ジェランガムなどの多糖類、ゼラチン,コラーゲン等の蛋白質が例示できる。
(他の機能剤との併用)
本発明で使用する水溶性エンドウ多糖類は、多糖類素材以外の機能剤、例えば、アスコルビン酸,臭素酸カリウム,アゾジカルボンアミドなどの酸化還元剤,糖質,乳化剤,酵素等と併用しても何ら差し支えはない。糖質としては、ショ糖,トレハロース,澱粉加水分解物,ソルビトール,還元澱粉加水分解物などの糖質及び糖アルコール類、乳化剤としては、レシチン,脂肪酸モノグリセリド,グリセリン脂肪酸エステル,ショ糖脂肪酸エステル等の低分子界面活性剤、酵素としては、β-アミラーゼ,α-アミラーゼ,グルコアミラーゼ,プルラナーゼなどの澱粉分解酵素や、キシラナーゼ,グルカナーゼなどのヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、或はセルラーゼ、プロテアーゼ,ペプチダーゼなどの蛋白質分解酵素、アスコルビン酸としては、L-アスコルビン酸,デヒドロアスコルビン酸、またはその塩類等が例示できる。添加の方法は、水溶性エンドウ多糖類の場合と同様に他の原料と均一に混ざる添加方法が好ましく、一般的には他の粉体原料と一緒に混合して添加される。
本発明において水溶性エンドウ多糖類と併用される機能剤の添加量は、用いる機能剤により異なるが、アスコルビン酸の場合を例示すれば、小麦粉重量に対して好ましくは0.1ppm以上であり、更に好ましくは1ppm以上1,000ppm以下である。0.1ppm未満では、目的とされる効果が得にくい場合がある。1,000ppmを超える量を添加してもそれほど効果は変わらないことに加えて、機能剤そのものの影響が強く出すぎることにより小麦主体食品の生地の引きが強くなるなど、暴れて作業性が悪くなる場合がある。また、焼成後の見栄えが悪くなる可能性がある。
本発明で使用する水溶性エンドウ多糖類は、粉状,粒状,液状など様々な形態をとることができる。水溶性エンドウ多糖類としては、他の原料と一緒に粉体混合して添加しても良く、また予め水溶液を調製してから添加しても構わない。ミキシング過程においてこれらが他の原料と均一に混ざる添加方法であればどのような方法を選択しても差し支えはない。また、マーガリン等の水相側に予め溶解させたような形態で使用しても、食用油、バターやマーガリンにそのまま粉体を混練しても何ら構わない。
(小麦主体食品の物性改良剤)
本発明の水溶性エンドウ多糖類は、小麦粉ドウについて、焼成,油ちょう,蒸煮等加熱を行って調製する小麦食品すなわち、パン類,小麦粉焼成菓子,麺類について、澱粉の老化に伴う食感の変化を抑え、生地の展延性を改善し、更に、焼成後の体積が増大し、且つ歯切れ,口溶け感が良好な食感を与える。
特に、冷蔵保存時においてその老化防止効果を明確に確認することが出来る上、デニッシュ,ロールパン,調理パン,蒸しパン,中華まんなどを電子レンジで再加熱して食す場合においても、ソフトな食感に復元できるだけではなく、冷めても組織が再硬化し難い効果を有する。更に、当該水溶性エンドウ多糖類を麺類に用いることにより、生地物性を向上し、蒸煮した麺類を室温乃至冷蔵保存した際の老化を抑える。
水溶性エンドウ多糖類の添加量としては、小麦粉重量に対して0.01重量%以上5重量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.1重量%以上3重量%以下である。水溶性エンドウ多糖類の添加量が0.01重量%未満では目的とされる効果が得にくい場合があり、また5重量%より多いとドウ生地が緩んでベちゃつき、作業性が悪くなる場合がある。
(澱粉の老化防止)
本発明の水溶性エンドウ多糖類は、澱粉の老化・硬化を抑制、乃至遅延する機能を有する。本発明が機能する対象の澱粉は、小麦主体食品の小麦粉自身が含有する澱粉に留まらず、添加する大麦粉,米粉,コーングリッツ,マッシュポテト等が含有する澱粉、更には馬鈴薯,甘藷,キャッサバ,タピオカ,片栗,葛,ワラビなどの根菜類、エンドウ,小豆などの豆類、小麦,米,そば,コーンなどの穀類から単離した澱粉が例示できる。
水溶性エンドウ多糖類をこれら澱粉を含む食品に粉体もしくは、水に溶解して混合することにより、加熱により糊化した澱粉が冷却後の保存過程で生じる状態の変化、すなわち老化を抑制、乃至遅延し、作り立ての良好な食感(粘性、弾力、流動性など)を有した食品の状態で維持する効果を有する。
本効果は、パン類,焼成菓子について認められるが、特に食パン,コッペパン等に於いて顕著に認められる。また麺類に於いても、茹で上げ或は蒸し上げた、蒸煮後の麺類について、室温乃至冷蔵保存した際に、麺が老化により弾力が失われ、切れ易くボソ付いた食感となる現象を効果的に抑制できる。
(生地展延性改善)
本発明は、小麦粉に加水し調製されたドウ、中でもパン類や焼成菓子の生地について、その物性改良効果が認められる。特に生地の成形の工程において、捏ね上げ、折りたたみ、シーターで延ばす際に、生地の展延性が良好となり、また縮みも抑えることが可能となる。好ましい対象としてデニッシュ,クロワッサン,パイ、並びにシーターを使用するビスケット生地等が例示できる。
(焼成後体積の増大)
本発明は、小麦粉に加水し調製されたドウを焼成して得られる小麦粉膨化食品について、その焼成後の体積増大に強く影響することが出来る。これらの効果はパン類、特にデニッシュ類、並びに焼成菓子、特にスポンジ等で顕著である。
(凍結)
上記の体積増大にかかる本発明は、更に、発酵プロセスを経るパンにおいては、生地を凍結することで、より顕著に表れる。すなわち、生地を凍結し流通する際に、本発明の水溶性エンドウ多糖類を配合することで、解凍焼成後のパンの体積、及び食感向上の効果が著しく現れる。この際、凍結品について、解凍と凍結を繰り返しても、体積の維持効果が高く、流通時の温度変化による組織構造の物理変化を抑制する効果が顕著に確認できる。また、本発明は、調製した生地をホイロ後に冷凍することで、より顕著に効果を示すことができる。
(歯切れ,口溶け感)
本発明は、小麦粉に加水し調製されたドウを焼成して得られる小麦粉膨化食品について、その焼成後の食感に、歯切れと口どけ感の良い、独自の食感を付与することができる。具体的には、パン類および焼成菓子であり、中でもクロワッサン等の積層のパン、またはビスケット等で効果が顕著である。クロワッサンにおいては、表面部のカリッとした食感を長時間維持しつつ、内部はネチャつきやパサつきのないサクサクした食感を付与し、クッキーにおいては、ボソつきの少ないクリスピーな食感を与えると同時に、口の中で崩れやすい独特の食感を与える。適切な使用量は老化防止効果の使用量に準じる。
以下に実施例を記載することで本発明を説明するが、本発明の技術思想がこれらの例示によって限定されるものではない。尚、例中の部及び%は特に断らない限り重量基準を意味する。
(水溶性エンドウ多糖類の製造例)
エンドウの種子50kgを脱皮した後、5倍量の水を加えて24時間浸漬した。ホモミキサー(5,000rpm,30分間)にて種子を砕き、蛋白質と澱粉を抽出した。遠心濾過機を用いて1,500×g,20分間で水に分散している蛋白質や澱粉などの成分を除去し、繊維質を回収した。更に、繊維質に5倍量の水を加えてホモミキサー(3,000rpm,30分間)で攪拌し、遠心濾過(1,500×g,20分間)により繊維質を回収した。この操作を2回繰り返し、凍結乾燥して10kgのエンドウ繊維を得た。エンドウ繊維80部を920部の水に分散し、塩酸を用いてpH5に調整した後、120℃にて90分間加熱して水溶性エンドウ多糖類を抽出した。エンドウ繊維100部に対して0.2部に相当するアミラーゼ(Fungamyl ノボザイム製)を抽出液に添加し、澱粉を分解した後、不溶性繊維を遠心分離(5,000rpm,30分間)にて除去して上清を回収した。この上清に60重量%になるようにエタノールを加えて水溶性エンドウ多糖類を沈殿させ、90重量%の含水エタノールで精製し、得られた沈殿を風乾して水溶性エンドウ多糖類Aを得た。以下の実施例において使用する水溶性エンドウ多糖類は、特に記載がない限り水溶性エンドウ多糖類Aを、水溶性大豆多糖類はソヤファイブ S-DN(不二製油製)を意味する。
(水溶性エンドウ多糖類の分析値)
上述した方法により、水溶性エンドウ多糖類の糖組成及び絶対分子量を分析した。水溶性エンドウ多糖類は、ペクチンと同じく酸性糖であるガラクツロン酸を構成糖として含んであり、中性糖としてアラビノースとガラクトースを主な構成糖として含んでいた。平均絶対分子量は80万と高分子の多糖類であった。
(表1)糖組成と平均絶対分子量
Figure 2014103833
(食パンへの使用)
5kgのスケールにて表2の配合により、ストレート法にて食パンを作成した(実施例1)。強力粉100部,生イースト2.5部,上白糖5部,食塩2部,脱脂粉乳3部,ショートニング6部,水溶性エンドウ多糖類1部を添加し、最後に水55部を加えて、低速3分、ついで中速6〜8分でミキシングを行い、油脂を添加後、さらに低速3分、中速4分、低速2分でミキシングを行い、28℃に捏ね上げた。フロアタイム50分の後、温度28℃,湿度70%で発酵を行い、生地を220gに分割した。ベンチタイム20分の後、食パン金型に入れて温度38℃,湿度85%で50分間ホイロをとり、オーブンで温度230℃,38分間焼成した。水溶性エンドウ多糖類は、予め小麦粉(強力粉)に粉体混合して用いた。一方、水溶性エンドウ多糖類の代わりに、水溶性大豆多糖類(ソヤファイブ-S-DN:不二製油株式会社製)、或はコハク酸モノグリセリド製剤(ポエムB-30:理研ビタミン株式会社製)を用いる以外は全く同じ方法にて食パンを作成した。水溶性大豆多糖類を加えたものを比較例1、 コハク酸モノグリ製剤を加えたものを比較例2、機能性素材を加えないものを比較例3とした。小麦粉としては強力粉「イーグル」(日本製粉株式会社製)を、イーストとしては生イースト「オリエンタルイースト」(オリエンタル酵母工業株式会社製)を、油脂としてはシヨートニング「パンパスピュアレ」(不二製油株式会社製)を用いた。?
調製時の生地の評価、並びに焼成したパンの品質について評価した結果を以下の表2に纏めた。焼成した食パンは、室温(10〜20℃)で一晩静置後、3D-Laser-Scanner(ASTEX社)により容積を測定した。官能評価は、パネラー10名により外観30点,内相70点法で評価した平均点で判定した。ぱさつき感抑制は澱粉の老化による品質の劣化抑制を意味し、室温(10〜20℃)で7日間保存した後評価した。
尚、評価項目と評価は下記を意味する。
調製時の生地のべたつき:無し;−,あり;+,非常にあり;++
調製時の生地の軟化:無し;−,あり;+、非常にあり;++
調製時の生地の引き:無し;−,強い;+、非常に強い;++
焼成パンの体積:不良;×,やや不良;△,良好;○,非常に良好;◎
焼成パンのぱさつき感抑制:不良;×,やや不良;△,良好;○,非常に良好;◎
焼成パン風味:不良;×,やや不良;△,良好;○,非常に良好;◎
総合評価:不良;×,やや不良;△,良好;○,非常に良好;◎
(表2)食パンの配合及び調製法および評価結果
Figure 2014103833
数値はベーカーズ%(全小麦粉を100とした重量を記載)
水溶性エンドウ多糖類を配合して得た食パンは、比較例1及び2の物性改良素材に比べて生地の物性が改善され、作業性が良好となった。また、焼成後の食パンは、水溶性エンドウ多糖類を添加することで体積が増加するだけではなく、長期保存での澱粉の老化が抑制されてぱさつき感が低減され、小麦と発酵食品特有の良好な風味は邪魔しなかった。
(コッペパン)
5kgのスケールにて表3の配合によりコッペパンを作成した。強力粉100部,上白糖12部,食塩1.2部,脱脂粉乳2.5部,イースト4部,水60部に、水溶性エンドウ多糖類を1部加え、低速4分,中速4分,中高速2分でミキシングを行い、ショートニング(パンパスLB:不二製油株式会社製)5部を添加後、さらに低速4分,中速3分,中高速1分でミキシングを行い、27℃に捏ね上げた。温度27℃,湿度75%で60分間発酵を行い、生地を75gに分割した。ドッグ状に成型して天板に生地を並べ、ベンチタイム15分の後、温度38℃,湿度75%でホイロをとり、オーブンで上火220℃、下火190℃で12分間焼成してコッペパンを得た(実施例4)。強力粉に対する水溶性エンドウ多糖類の配合量を0部,0.005部,0.01部,5部,10部にする以外は全く同様の方法にてコッペパンを作成した(順に比較例4,実施例2,実施例3,実施例5,実施例6)。
調製時の生地の評価並びに焼成したパンの品質について評価した結果を以下の表3に纏めた。焼成した食パンは、室温(10〜20℃)で一晩静置後、3D-Laser-Scanner(ASTEX社)により容積を測定した。官能評価は、パネラー10名により外観30点、内相70点法で評価した平均点で判定した。ぱさつき感抑制は澱粉の老化による品質の劣化抑制を意味し、室温(10〜20℃)で7日間保存した後評価した。尚、評価項目と評価は下記を意味する。
調製時の生地のべたつき:無し;−,あり;+、非常にあり;++
調製時の生地の軟化:無し;−,あり;+,非常にあり;++
調製時の生地の引き:無し;−,強い;+,非常に強い;++
焼成パンの体積:不良;×,やや不良;△,良好;○,非常に良好;◎
焼成パンのぱさつき感抑制:不良;×,やや不良;△,良好;○、非常に良好;◎
口溶けと崩壊性:不良;×,やや不良;△,良好;○,非常に良好;◎
焼成パン風味:不良;×,やや不良;△,良好;○,非常に良好;◎
総合評価:不良;×,やや不良;△,良好;○,非常に良好;◎
(表3)コッペパンの配合及び調製法および評価結果
Figure 2014103833
実施例3〜5のように水溶性エンドウ多糖類を強力粉(小麦粉)に対して0.01重量%から5重量%配合することで、生地を調製する時のべたつき,軟化,引きが効果的に抑えられた。また、焼成したコッペパンは、体積が増え、ソフトで口溶けの良い食感が得られる。また、室温で7日間保存した後も、澱粉の老化によるぱさつき感が抑えられ、良好な食感を維持していた。
(デニッシュ1:ホイロ後冷凍クロワッサン)
表4に示す配合によりホイロ後冷凍生地によるクロワッサンを調製した。すなわち、強力粉90部,薄力粉10部,砂糖8部,卵10部,イースト6部,練り込み用マーガリン(パリオールエース:不二製油株式会社製)5部,食塩1.8部に、L-アスコルビン酸0.02部,水溶性エンドウ多糖類0.01乃至8部を添加し、最後に水45部を加えて、低速5分、ついで中速6分でミキシングを行い、18℃に捏ね上げた。-20℃で90分間リタードをとった後、ロールイン油脂(アートピアGS:不二製油株式会社製)を生地に織り込んだ。はじめ3層の織り込みを2回行った後、-6℃で45分間リタードをとって生地を休ませた。再度3層に織り込みを行い、-6℃で60分間リタードをとった後、50gに分割しクロワッサンに成型した。成型後、35℃,湿度80%の条件下でホイロをとり、ショックフリーザーにて急速冷凍して生地を調製した。-20℃で一晩冷凍保存後、オーブン(上火180℃,下火180℃)で24分間焼成した。30分間室温下で冷ました後、3D-Laser-Scanner(ASTEX社)で体積測定および10名のパネラーにて官能評価を行った(実施例7〜12)。一方、水溶性エンドウ多糖類の代わりに、機能性素材を添加しないか、水溶性大豆多糖類を添加する以外は全く同様の方法にてクロワッサンを作成した(比較例5〜11)。
調製直後並びに、室温(10〜20℃)で5日間保存した後の食感の評価は以下のように行った。
◎:非常にサクサクとして歯切れ良く、また口溶けも良い。
○:サクサクと歯切れ良く、また口溶けも良い。
△:少し歯切れが良い。
×:歯切れ悪い
(表4−1)ホイロ後冷凍クロワッサンの配合および評価結果
Figure 2014103833
(表4−2)
Figure 2014103833
結果を表4に示す。実施例7〜12が示すように、水溶性エンドウ多糖類は単独でも十分だが、アスコルビン酸を併用することによりホイロ後冷凍クロワッサンの生地物性を改良することに加え、焼成後のクロワッサンの体積の増加とサクサクとした歯切れの良い食感を与えた。この効果は、水溶性エンドウ多糖類を小麦粉に対して0.01重量%〜5重量%添加することにより効果を発揮した。一方、水溶性大豆多糖類(比較例5〜11)は同様の生地物性の改良機能と焼成後のクロワッサンの体積増加並びに食感向上機能を示すが、水溶性エンドウ多糖類に比べると機能を発現する最低添加量が0.1重量%以上と多く、水溶性エンドウ多糖類の機能が上回ることが示唆された。また、焼成後に室温で保存した際の澱粉の老化による食感の悪化は、水溶性エンドウ多糖類を小麦粉に対して0.1重量%〜5重量%配合することにより顕著に認められ、この効果も水溶性大豆多糖類に勝るものであった。
(デニッシュ2:ホイロ後冷凍クロワッサンの冷凍-解凍サイクルテスト)
実施例9(水溶性エンドウ多糖類配合区)、比較例7(水溶性大豆多糖類配合区)、並びに比較例11(無添加区)のホイロ度冷凍クロワッサンを用いて、冷凍解凍サイクルテストを実施した。すなわち、15個のホイロ後冷凍クロワッサン生地を、ランダムに5個ずつ3つのグループに分け、急速冷凍と解凍のサイクル(-40℃,60分間および21℃,湿度75%,30分間)をそれぞれ1,3,5回強制的に繰り返した後にオーブンで焼成した。30分間室温下で冷ました後、3D-Laser-Scanner(ASTEX社)で体積測定を行った。体積測定結果を以下の表5に示す。
(表5)ホイロ後冷凍クロワッサンの冷凍-解凍サイクルテスト
Figure 2014103833
機能性素材を添加していない比較例11は冷凍と解凍を繰り返す度にパン生地がダメージを受ける為、顕著な比容積の減少が見られた。また、水溶性大豆多糖類を添加した比較例7も比容積の減少が見られた。水溶性エンドウ多糖類を添加した実施例9は、水溶性大豆多糖類を添加した比較例7や、無添加の比較例11ほどには比容積の減少が認められず、水溶性エンドウ多糖類添加区がサイクルテスト耐性に最も優れることが示された。
(デニッシュ3:スクラッチ製法による非凍結クロワッサン)
表6に示す配合によりスクラッチ製法(非凍結生地)によるクロワッサンを調製した。すなわち、強力粉90部,薄力粉10部,砂糖8部,イースト4部,練込用マーガリン(パリオールエース:不二製油株式会社製)5部、食塩1.6部に、L-アスコルビン酸0.005部,水溶性エンドウ多糖類0.05乃至8部を添加し、最後に水50部を加えて、低速5分、ついで中速5分でミキシングを行い、26℃に捏ね上げた。室温で60分間フロアタイムをとった後に、29℃,湿度70%で一次発酵させた。-6℃で120分間リタードをとった後、ロールイン油脂(アートピアGS、不二製油株式会社製)を生地に織り込んだ。3つ折りを2回、再度-6℃で60分間リタードをとり、さらに3つ折りを1回行い、最終生地厚3mmまで展延して50gに分割しデニッシュを成型した。成型後、32℃,湿度80%条件下でホイロをとり、オーブン(上230℃,下200℃)で16分間焼成した。30分間室温下で冷ました後、3D-Laser-Scanner(ASTEX社)で体積測定および官能評価を行った(実施例13〜17)。一方、水溶性エンドウ多糖類の代わりに、機能性素材を添加しないか、水溶性大豆多糖類を添加する以外は全く同様の方法にてクロワッサンを作成した(比較例12〜17)。調製直後の食感、並びにまた、生地の伸展性評価は以下のように行った。
(食感の評価)
◎:非常にサクサクとして歯切れ良く、また口溶けも良い。
○:サクサクと歯切れ良く、また口溶けも良い。
△:少し歯切れが良い。
×:歯切れ悪い
(生地の伸展性評価
5:薄く良く伸び、伸びた後の縮みも少ない
4:よく伸びるが、伸びた後やや縮む
3:基準評価
2:あまり伸びない
1:硬くて伸びが悪い
(表6−1)スクラッチ製法による非凍結クロワッサンの配合および評価結果
Figure 2014103833
(表6−2)
Figure 2014103833
結果を表6に示す。実施例13〜17が示すように、水溶性エンドウ多糖類は非凍結クロワッサンにおいて生地の展延性が良好な上、焼成後のクロワッサンの体積の増加と、口溶けが良くサクサクとした歯切れの良い食感を与えた。この効果は、水溶性エンドウ多糖類を小麦粉に対して0.05重量%〜8重量%添加することにより十分な効果を発揮した。一方、水溶性大豆多糖類は同様の生地の展延性と焼成後のクロワッサンの体積増加並びに食感向上機能を示すが、水溶性エンドウ多糖類に比べると十分な機能を発現するに必要な添加量が0.1重量%以上と多く、水溶性エンドウ多糖類の機能が上回ることが示唆された。
(クッキー)
水溶性エンドウ多糖類(実施例18,19)及び水溶性大豆多糖類(比較例18,19)を用い、以下の表7に示す配合にてクッキーを調製した。先ず、無塩バター及び上白糖を混合して3分間撹拌し、これに卵黄及び香料を加え、次いで薄力粉,ベーキングパウダー,水溶性エンドウ多糖類もしくは水溶性エンドウ多糖類を混合して篩を通したものを加え、更に混合撹拌した後、冷蔵庫で1時間寝かせ、型抜きして180℃で焼成しクッキーを得た。評価は10名のパネラーにより、風味,食感(サクサク感),口溶け(口中崩壊性)の各項目について5段階で評価し平均点を算出した。結果を以下の表7に纏めた。尚、数値の高い方が良好であることを意味する。
(表7)クッキーの配合および評価結果
Figure 2014103833
評価結果より、水溶性エンドウ多糖類を配合することにより、風味に悪影響を与えること無く、サクサクして口溶けの良い食感が付与された。この効果は、同様の機能を有する水溶性大豆多糖類に勝るものであった。
(スポンジケーキ)
表8に示す配合にてスポンジケーキを試作し、食感及び保存における変化を調べた。乳化油脂は不二製油株式会社製(商品名:パーミングH)を使用した。全卵と砂糖を混合して、これに順次、乳化油脂,水,薄力粉,ベーキングパウダーを加え、さらに水溶性エンドウ多糖類を薄力粉100部に対して1部(実施例20)または、水溶性大豆多糖類を薄力粉100部に対して1部(比較例20)を加えて混合し、最後に比重を0.4に合わせた後、生地を170℃で20分間焼成した。焼成し冷却した直後の結果、及び20℃で7日間保存した結果を表8に示した。なお、結果はパネラー20人により5段階で評価し平均点を算出した。数値の高い方が良好であることを意味する。また、各スポンジケーキは密閉容器中20℃で7日間保存した。硬さ(g/cm2)は、試料を3分の2まで圧縮したときの応力を、レオメーター(不動工業株式会社製)を用い、直径40mmのプランジャーを使用し、テーブル上昇速度50mm/分にて測定した。実施例20において水溶性エンドウ多糖類を添加しない以外は全く同様にしてスポンジケーキを調製した(比較例21)。
(表8)スポンジケーキの配合および評価結果
Figure 2014103833
水溶性エンドウ多糖類を薄力粉100部に対し1部添加した場合、風味も良く、組織の肌理が良くなり、澱粉の老化に伴う組織と食感の硬化が抑えられる為、保存後の変化も少なかった。水溶性大豆多糖類も同様の機能を有するが、7日間保存した場合のスポンジケーキは水溶性エンドウ多糖類よりも硬く、食感保持効果は水溶性エンドウ多糖類が勝ることが示された。一方、水溶性エンドウ多糖類乃至水溶性大豆多糖類を添加しなかった場合は、保存による硬化が抑えられず、著しく品質は損なわれた。
(中華まん)
表9に示す配合にてオールインミックス法で中華まんを調製した。原料を混合し、低速5分,中速1分でミキシングし、捏上温度26℃にて調製した。水溶性エンドウ多糖類は強力小麦粉と薄力小麦粉の全量100部に対して1部になるように配合した。ミキシングした生地を28℃,湿度65%にて20分間発酵し、60gずつに分割した後ベンチタイム10分静置し、中華具材30gを包餡して中華まんに成形した。温度35℃,湿度60%でホイロした後、蒸し器中で103℃,12分間蒸して中華まんを得た(実施例21)。一方、水溶性エンドウ多糖類の代わりに水溶性大豆多糖類を配合する以外は全く同様の方法にて中華まんを得た(比較例22)。更に、水溶性エンドウ多糖類を添加しない以外は全く同様にして中華まんを得た(比較例23)。以上の方法にて調製した中華まんを-20℃の冷凍にて10日間保存後、電子レンジ(500W,4分30秒)にて加温し、加温後10分経過した後の状態と食感を評価した。評価結果を以下の表9に纏めた。評価方法は以下の通り5段階(5:極めて良好、4:良好、3:普通、2:あまり良くない、1:明らかに良くない)で評価し平均点を算出した。尚、数値の高い方が良好であることを意味する。
(表9)中華まんの配合および評価結果
Figure 2014103833
以上の結果から、中華まんに水溶性エンドウ多糖類を添加することで、電子レンジで加熱した後の外観及び食感、すなわち、歯切れと引きが改善され、更に、経時的な澱粉の硬化を抑えることで、食感の悪化も抑制された。この効果は、無添加と比較した場合、水溶性大豆多糖類の添加でも効果が認められるが、官能評価の結果より、水溶性エンドウ多糖類が最も効果に優れていた。
(LLうどん)
強力粉100部に対して水20部、食塩4部及び水溶性エンドウ多糖類を添加して練り込み、常法によりうどんを製造した。うどんはゆがいた状態で定法に従い酸処理(pH4.5)し、90℃,40分間の殺菌後に冷却してうどんを得た(実施例22)。一方、水溶性エンドウ多糖類の代わりに水溶性大豆多糖類を用いる以外は全く同様の方法にてLLうどんを得た(比較例24)。また、水溶性エンドウ多糖類を添加すること無く全く同様の方法にてLLうどんを得た(比較例25)。
LLうどんは、食する前に熱いつゆを注ぎ、比較例25をコントロールとして12名にて、ほぐれ性・ツルミ感・弾力・コシを評価基準(5:極めて良好,4:良好,3:普通,2:あまり良くない,1:明らかに良くない)に基づいて評価し、各評価項目について平均をとった(表10)。?比較例25のほぐれ性・ツルミ感・弾力・コシの評価基準をそれぞれ3点として残りの実施例及び比較例を評価した。尚、数値が高い程、良好であることを意味する。
(表10)うどんの評価結果
Figure 2014103833
以上の結果から、LLうどんに水溶性エンドウ多糖類を添加することで、ほぐれ性、ツルミ感、弾力並びにコシが向上し、良好な食感を持つうどんが得られた。この効果は、水溶性大豆多糖類の添加でも得られるが、同一配合量では水溶性エンドウ多糖類の効果に劣るものであった。

Claims (14)

  1. 水溶性エンドウ多糖類含有する、小麦主体食品用の物性改良剤。
  2. 水溶性エンドウ多糖類が、エンドウ種子の種皮を除去した子実部に由来するものである、請求項1に記載の物性改良剤。
  3. エンドウが黄色エンドウ種子由来である、請求項1または2に記載の物性改良剤。
  4. 保存時の澱粉老化抑制機能、生地の展延性向上機能、焼成後の体積増加機能、並びに歯切れおよび口溶け感の向上機能の、何れかの機能を有することを特徴とする、請求項1記載の物性改良剤。
  5. 小麦粉に対して0.01重量%以上5重量%以下を配合する、請求項1記載の物性改良剤。
  6. 小麦主体食品がパン類、小麦粉焼成菓子及び麺類から選ばれる、請求項1記載の物性改良剤。
  7. 請求項6記載の物性改良剤を小麦粉に対して0.01重量%以上5重量%以下を配合した、小麦主体食品。
  8. 小麦主体食品がパン類であって、そのパン生地を冷凍したものである、請求項6記載のパン類。
  9. ホイロ後に冷凍された、請求項8に記載のパン類。
  10. 小麦主体食品が麺類であって、蒸煮した麺類を室温乃至冷蔵保存した際の澱粉老化抑制機能を有する、請求項6記載の物性改良剤。
  11. さらに、アスコルビン酸を含有する、請求項1記載の小麦主体食品用の物性改良剤。
  12. 小麦主体食品がパン類、小麦粉焼成菓子及び麺類から選ばれる、請求項11記載の物性改良剤。
  13. 請求項12記載の物性改良剤の添加量が、小麦粉に対して水溶性エンドウ多糖類を0.01重量%以上5重量%以下、アスコルビン酸を0.1ppm以上である、小麦主体食品。
  14. 請求項12記載の物性改良剤の添加量が、小麦粉に対してアスコルビン酸を1ppm以上1000ppm以下である、請求項13記載の小麦主体食品。
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