JP6701469B1 - スクロール圧縮機及びこれを用いた空気調和機 - Google Patents

スクロール圧縮機及びこれを用いた空気調和機 Download PDF

Info

Publication number
JP6701469B1
JP6701469B1 JP2020512074A JP2020512074A JP6701469B1 JP 6701469 B1 JP6701469 B1 JP 6701469B1 JP 2020512074 A JP2020512074 A JP 2020512074A JP 2020512074 A JP2020512074 A JP 2020512074A JP 6701469 B1 JP6701469 B1 JP 6701469B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
scroll
end plate
circumferential groove
orbiting scroll
scroll compressor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020512074A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2021001923A1 (ja
Inventor
近野 雅嗣
雅嗣 近野
和行 松永
和行 松永
亮 黒野
亮 黒野
拓也 小永井
拓也 小永井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Johnson Controls Air Conditioning Inc
Original Assignee
Hitachi Johnson Controls Air Conditioning Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Johnson Controls Air Conditioning Inc filed Critical Hitachi Johnson Controls Air Conditioning Inc
Application granted granted Critical
Publication of JP6701469B1 publication Critical patent/JP6701469B1/ja
Publication of JPWO2021001923A1 publication Critical patent/JPWO2021001923A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04C18/00Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids
    • F04C18/02Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids of arcuate-engagement type, i.e. with circular translatory movement of co-operating members, each member having the same number of teeth or tooth-equivalents

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Rotary Pumps (AREA)
  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)

Abstract

スクロール圧縮機は、固定スクロールと、固定スクロールと噛み合わされて吸込室または圧縮室を形成する旋回スクロールと、旋回スクロールの背面中心側に設けられ、吐出圧力に近い圧力を有する第1の空間と、前記第1の空間の外周側に設けられ中間圧力を有する第2の空間とを備える。また、固定スクロールにおける鏡板面または旋回スクロールにおける摺動面となる鏡板面の少なくとも何れかに形成されて周方向に延びる周方向溝と、旋回スクロールの鏡板に設けられ、前記第1の空間内の潤滑油を前記周方向溝に供給するための通路を備え、前記周方向溝は、旋回スクロールに作用する荷重が最大となるクランク角の近傍において、旋回スクロールの鏡板が固定スクロールの鏡板面に最も強く当たる位置に設けられ、且つ前記周方向溝の周方向における長さは、前記最も強く当たる位置を含む略±90度の範囲内としている。

Description

本発明は、スクロール圧縮機及びこれを用いた空気調和機に関する。
空気調和機等に使用されているスクロール圧縮機は、台板に渦巻状のラップを立設した固定スクロールと、鏡板に渦巻状のラップを立設した旋回スクロールを備え、両スクロールのラップを互いに内側にして噛み合わせている。また、旋回スクロールを旋回運動させることにより、両ラップ間に形成される複数の圧縮室の容積を順次縮小させることにより、作動ガスを圧縮するように構成されている。
この圧縮作用により、固定スクロールと旋回スクロールを互いに引き離そうとする軸方向力が発生する。両スクロールが引き離されてしまうと、ラップの歯先と歯底との間に隙間が生じ、圧縮室の密閉性が悪化して圧縮機の効率が低下する。
スクロール圧縮機においては、両スクロールが引き離されてしまわないように、旋回スクロールの鏡板の背面中央側に、ほぼ吐出圧力となる第1空間(高圧室)を設け、更に前記第1空間の外周側の鏡板背面には、吐出圧力と吸込圧力の間の圧力(中間圧力)となる第2空間(背圧室)を形成し、これら第1、第2の空間の圧力により、旋回スクロールを固定スクロールに押付ける押付力を発生させている。
しかし、この押付力により、固定スクロールの台板と旋回スクロールの鏡板との摺動面(鏡板面)には摺動摩擦が生じ、押付力が過大となった場合には、前記摺動面に焼付き現象が生じるなど、圧縮機の信頼性が損なわれる。
そこで、従来のスクロール圧縮機においては、固定スクロールと旋回スクロールとの摺動面(鏡板面)に潤滑油を供給する構成として、前記摺動面の潤滑状態を向上させる工夫がなされている。
例えば、特開2008−2422号公報(特許文献1)に記載されているスクロール圧縮機では、旋回スクロールまたは固定スクロールの鏡板面に溝を設け、旋回スクロールの鏡板内には第1の空間(高圧室)と連通する通路を設け、前記溝と前記通路を連通させることにより、第1の空間内の高圧の潤滑油を摺動面(鏡板面)に供給するようにしている。これにより、固定スクロールと旋回スクロールの摺動面に潤滑油供給を行い、前記摺動面の潤滑状態を向上させるように構成している。
また、特開2016−17484号公報(特許文献2)に記載されているスクロール圧縮機では、旋回スクロールと摺動する固定スクロールの摺動面(鏡板面)に油溝を周方向に延びるように形成している。また、前記油溝に潤滑油を供給するための複数の油導入路と給油ポイントが固定スクロールに設けられ、ケーシング内部の高圧空間からの潤滑油を前記給油ポイントに供給するように構成している。
特開2008−2422号公報 特開2016−17484号公報
上記特許文献1のものには、高圧の潤滑油を導入する前記溝の位置や前記溝の長さについて記載されていない。このため、前記溝が短い場合、摺動面(鏡板面)の潤滑状態を向上する効果が低下し、圧縮機の信頼性が低下する。一方、前記溝が長すぎると、溝から吸込室への潤滑油の漏出量が多くなり、潤滑油が冷媒ガスを加熱することによる加熱損失が増大する。また、押下げ力が増大するため、旋回スクロールが離脱し易くなるという課題もある。
上記特許文献2のものは、複数の給油ポイントを有する油溝とし、溝の長さを半周を超える円環状やC字形状の油溝としており、溝が長い形状であるため、溝から吸込室への潤滑油の漏出量が多くなり、潤滑油が冷媒ガスを加熱して加熱損失が増大する。また、押下げ力が増大するため、旋回スクロールが離脱し易くなる課題もある。
本発明の目的は、加熱損失の増大を抑制しつつ、固定スクロールと旋回スクロールの摺動面の潤滑性を向上して、高効率で信頼性の高いスクロール圧縮機及びこれを用いた空気調和機を得ることにある。
上記目的を達成するため、本発明は、台板に渦巻状のラップを立設した固定スクロールと、鏡板に渦巻状のラップを立設し前記固定スクロールと噛み合わされて旋回運動をすることにより吸込室または圧縮室を形成する旋回スクロールと、前記旋回スクロールの背面中心側に設けられ、吐出圧力に近い圧力を有する第1の空間と、前記旋回スクロールの背面であって前記第1の空間の外周側に設けられ、吐出圧力と吸込圧力の間の圧力である中間圧力を有する第2の空間とを備えるスクロール圧縮機において、前記固定スクロールにおける摺動面となる鏡板面、または前記旋回スクロールにおける摺動面となる鏡板面の少なくとも何れか一方に形成されて周方向に延びる周方向溝と、前記旋回スクロールの鏡板に設けられ、前記第1の空間内の潤滑油を前記周方向溝に供給するための通路を備え、前記周方向溝は、前記旋回スクロールに作用する荷重が最大となるクランク角の近傍において、旋回スクロールの鏡板が固定スクロールの鏡板面に最も強く当たる位置に設けられ、且つ前記周方向溝の周方向における長さは、前記最も強く当たる位置を含む略±90度の範囲内に、その周方向溝の両端が配置される長さであることを特徴とする。
本発明の他の特徴は、スクロール圧縮機、四方弁、室外側熱交換器、膨張弁、室内側熱交換器を冷媒配管で順次接続して冷凍サイクルを構成している空気調和機において、前記スクロール圧縮機は上述したスクロール圧縮機を採用していることにある。
本発明によれば、加熱損失の増大を抑制しつつ、固定スクロールと旋回スクロールの摺動面の潤滑性を向上して、高効率で信頼性の高いスクロール圧縮機及びこれを用いた空気調和機を得ることができる。
本発明のスクロール圧縮機の実施例1を示す縦断面図。 図1に示す固定スクロールの底面図で、旋回スクロールのラップも断面で示す図。 従来のスクロール圧縮機における旋回スクロール鏡板面での圧力分布を説明する図。 本発明の実施例1における旋回スクロール鏡板面での圧力分布を説明する図。 スクロール圧縮機における1回転中のクランク角に対する荷重の変化を説明する線図。 スクロール圧縮機におけるクランク角と圧縮室内圧力の変化との関係を説明する線図。 本発明のスクロール圧縮機の実施例2を示す図で、図2に相当する図。 本発明のスクロール圧縮機の実施例3を示す図で、図2に相当する図。 本発明のスクロール圧縮機の実施例4を説明する旋回スクロールの平面図。 本発明のスクロール圧縮機の実施例5を説明する固定スクロールの底面図。 本発明のスクロール圧縮機の実施例6を説明する旋回スクロールの縦断面図。 本発明のスクロール圧縮機の実施例7を説明する旋回スクロールの平面図。 本発明のスクロール圧縮機の実施例8を説明する固定スクロールの底面図。 本発明のスクロール圧縮機を用いた空気調和機の一例を説明する冷凍サイクル構成図。
以下、本発明のスクロール圧縮機及びこれを用いた空気調和機の具体的実施例を、図面を用いて説明する。なお、各図において、同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示している。
本発明のスクロール圧縮機の実施例1を図1〜図6を用いて説明する。
まず、本実施例が適用されるスクロール圧縮機の全体構成を、図1及び図2を用いて説明する。図1は本実施例1のスクロール圧縮機を示す縦断面図、図2は図1に示す固定スクロールの底面図で、旋回スクロールのラップも断面で示す図である。
スクロール圧縮機1は、密閉容器(ケース)9内に、圧縮機構部2及びモータ部16などを収容して構成されている。
前記圧縮機構部2は、フレーム17と、フレーム17に固定された固定スクロール7と、前記フレーム17と固定スクロール7との間に配置され、前記固定スクロール7と噛み合わされて圧縮室13を形成する旋回スクロール8を備えている。
前記固定スクロール7は、円板状の台板7a、台板7aに渦巻状に立設されたラップ7b、前記台板7aの外周側に位置し、前記ラップ7bの先端面とほぼ同じ高さの鏡板面7eを有して前記ラップ7bを囲むように筒状に設けられた支持部7dを備えている。前記ラップ7bが立設された台板7aの表面は、ラップ7bの間にあるため、歯底7cと呼ばれる。固定スクロール7の支持部7dの鏡板面7eは、旋回スクロール8の鏡板8aと接する摺動面となっている。
また、固定スクロール7は、前記支持部7dをボルト等により前記フレーム17に固定しており、固定スクロール7と一体に結合された前記フレーム17は溶接等の固定手段により前記密閉容器9に固定されている。
前記旋回スクロール8は、固定スクロール7に対向して配置され、固定スクロール7のラップ7bと旋回スクロール8のラップ8bとが噛み合わされて、フレーム17内に旋回可能に設けられている。この旋回スクロール8は、円板状の鏡板8a、この鏡板8aの表面である歯底8cから立設された渦巻状のラップ8b、及び前記鏡板8aの背面中央に設けられたボス部(旋回ボス部)8dを有する。また、鏡板8aの外周部の、固定スクロール7と接する表面が、旋回スクロール8の鏡板面8eとなっている。
前記旋回スクロール8のラップ8bの先端部(ラップ歯先)は、前記固定スクロール7の歯底7cと微小すき間をもって相対するように構成されている。同様に、固定スクロール7のラップ7bの先端部(ラップ歯先)も、前記旋回スクロール8の歯底8cと微小すき間をもって相対するように構成されている。
前記モータ部16は、回転子16aと固定子16bにより構成され、前記回転子16aにはクランクシャフト(回転軸)10が一体に固定されている。
このクランクシャフト10を介して前記旋回スクロール8をモータ部16で駆動し、旋回スクロール8を旋回運動させることにより、前記圧縮室13の容積を次第に減少させる圧縮動作を行う。
この圧縮動作に伴い、冷凍サイクルを流れる冷媒等の作動流体が吸込ポート14から吸込室20(図2参照)へ吸込まれ、吸込まれた作動流体は圧縮室13での圧縮行程を経て吐出ポート15から密閉容器9内の吐出空間54に吐出される。前記吐出空間54に吐出された作動流体は、前記固定スクロール7の外周と前記フレーム17の外周に形成された通路(図示せず)を通って、モータ室52に流れ、その後吐出パイプ6から密閉容器9外に吐出されるように構成されている。
前記クランクシャフト10は、前記フレーム17に設けられている主軸受5に回転自在に支持され、このクランクシャフト10の中心軸線と固定スクロール7の中心軸線Oとは同軸となるように構成されている。また、前記クランクシャフト10の先端部(上端部)には偏心したクランク部10aが設けられており、このクランク部10aは、前記旋回スクロール8の旋回ボス部8dに設けられた旋回軸受11に挿入されている。これにより前記旋回スクロール8は、クランクシャフト10が回転すると、前記クランク部10aの偏心運動により旋回運動するように構成されている。
前記旋回スクロール8の中心軸線Oは、前記固定スクロール7の中心軸線に対して所定距離だけ偏心した状態となっている。また、旋回スクロール8のラップ8bは、固定スクロール7のラップ7bに対し、周方向に所定角度(一般には180度)だけずらして重ね合わせられている。また、前記旋回スクロール8と前記フレーム17との間には、旋回スクロール8を固定スクロール7に対して自転しないように拘束しながら相対的に旋回運動させるためのオルダムリング12が設けられている。
図2により、前記固定スクロール7と旋回スクロール8との噛み合い状態を説明する。この図2において、旋回スクロール8のラップ8bが断面図で示されており、また旋回スクロール8の鏡板8aの外周に相当する部分が二点鎖線の想像線で図示されている。この図2に示すように、固定スクロール7のラップ7bと旋回スクロール8のラップ8bとの間には、三日月状の複数の圧縮室13(旋回内線側圧縮室13a、旋回外線側圧縮室13b)が形成され、旋回スクロール8を旋回運動させると、各圧縮室13は中央部に移動するに従い連続的に容積が縮小していく。
20は吸込室で、流体を吸入している途中の空間である。この吸込室20は、旋回スクロール8の旋回運動の位相が進んで、流体の閉じ込みを完了した時点から圧縮室13となる。
前記吸込ポート14は、図1、図2に示すように、固定スクロール7に設けられ、この吸込ポート14は、前記吸込室20と連通するように、固定スクロール7の台板7aの外周側に形成されている。
前記吐出ポート15は、前記固定スクロール7の台板7aの渦巻中心付近に設けられており、最内周側の圧縮室13の圧縮が進むと、やがて前記吐出ポート15に連通するように構成されている。
図1に示すモータ部16によりクランクシャフト10が回転されると、旋回スクロール8は、固定スクロール7の中心軸線を中心に、所定距離の旋回半径で旋回運動する。これにより、前記吸込ポート14から作動ガス(例えば、冷凍サイクルを循環する冷媒ガス)が吸込まれ、前述した各圧縮室13内で順次圧縮されて、圧縮された作動ガス(以下、圧縮ガスともいう)は吐出ポート15から吐出空間54に吐出される。その後、前記圧縮ガスは、モータ室52に流入し、ここから吐出パイプ6を介してスクロール圧縮機1の外部の冷凍サイクル等に供給される。
次に、図1に示すスクロール圧縮機(以下、単に圧縮機ともいう)1における潤滑油の流れについて説明する。圧縮機構部2及びモータ部16等を収容している密閉容器9の底部には、潤滑油(冷凍機油)を溜める油溜り53が設けられている。クランクシャフト10の下端には、容積型または遠心式の給油ポンプ21が設けられており、前記クランクシャフト10の回転と共に、給油ポンプ21も回転し、前記密閉容器9底部の油溜り53に溜められている潤滑油を吸入して、前記クランクシャフト10内に軸方向に形成されている給油穴(貫通穴)3に供給する。
油溜り53の潤滑油は、給油ポンプケース22に設けた潤滑油吸込口25から吸入され、前記給油ポンプ21の吐出口28から吐出される。吐出された潤滑油は、前記給油穴3を通って、クランクシャフト10の上端へ送られる。
この時、前記給油穴3を流れる潤滑油の一部は、前記クランクシャフト10に設けられている横穴24を介して副軸受23に送られ、副軸受23を潤滑後、密閉容器9底部の前記油溜り53に戻される。前記給油穴3を流れるその他の大部分の潤滑油は、前記クランクシャフト10のクランク部10a上端の旋回ボス部8dの内側空間に達し、前記クランク部10aの外周面に設けた油溝57を通って旋回軸受11を潤滑する。この潤滑油は、その後、前記旋回軸受11の下部に設けた前記主軸受5を潤滑した後、排油穴26a及び排油パイプ26bで構成される油戻し通路を通って密閉容器9底部の油溜り53に戻される。
前記旋回ボス部8dの内側空間(クランク部10a上端部の空間、旋回軸受11とクランクシャフト10との隙間や油溝57で形成される空間)と、前記旋回ボス部8dの外周側に位置する空間(旋回ボス部8d、鏡板8a背面、シール部材32及びフレーム17で形成される空間)と、前記主軸受5を収める空間(フレーム17、クランクシャフト10及びフレームシール56で形成される空間)を合わせて第1の空間33と呼ぶことにする。この第1の空間33は吐出圧力に近い圧力を有する空間である。
前記主軸受5及び前記旋回軸受11の潤滑のために前記第1の空間33に流入した潤滑油の大部分は、前記排油穴26a及び前記排油パイプ26bの油戻し通路を通って、密閉容器9底部の油溜り53に戻る。また、前記潤滑油の一部は、前記シール部材32の上端面と前記鏡板8aの背面との間に設けられた油漏出手段を介して、前記第1の空間33よりも外周側に設けられ、吐出圧力と吸込圧力との間の圧力(中間圧力。以下背圧ともいう)となる背圧室(第2の空間)18に流入する。この背圧室18に流入した潤滑油は、前記オルダムリング12の潤滑、前記固定スクロール7と旋回スクロール8の鏡板面7e、8e間の摺動部の潤滑、ラップ7b、8b間の隙間のシール(密閉)等に供される。従って、前記潤滑やシールに必要な潤滑油量が前記背圧室18に流入するように前記油漏出手段は構成されている。
前記シール部材32は、前記フレーム17の、前記鏡板8aの背面と対向する面に設けられた円環溝31に、波状バネ(図示せず)と共に設けられている。このシール部材32は、吐出圧力となっている前記第1の空間33と、吸込圧力と吐出圧力の中間圧力となっている前記背圧室(第2の空間)18とを仕切っている。
前記油漏出手段は、例えば、前記鏡板8aの背面に設けられた一つまたは複数のスリット状の浅溝58と、前記シール部材32とにより構成されている。前記浅溝58は、前記旋回スクロール8の旋回運動により、前記シール部材32を跨ぐように配置されることにより、前記第1の空間33と前記背圧室18を間歇的に連通するように構成されている。このように構成することにより、前記第1の空間33と前記背圧室18との圧力差により、前記第1の空間33から前記背圧室18へ、微小すき間である前記浅溝58を介して、潤滑油を流入させることができる。
また、前記浅溝58の代わりに、前記鏡板8aの背面に、一つまたは複数の油ポケット(油溜めとなる穴で、例えば円形の溝)を設け、この油ポケットが、旋回スクロール8の旋回運動に伴って前記シール部材32を跨いだ円運動を行うように構成しても良い。このように構成すると、前記油ポケットは、前記第1の空間33と前記背圧室18との間を移動し、前記第1の空間33の潤滑油を油ポケットに溜めて、前記背圧室18に間歇的に移送することができ、第1の空間33内の潤滑油を背圧室18に供給できる。
前記背圧室18に入った潤滑油は、オルダムリング12の摺動部を潤滑しつつ、その一部は、前記固定スクロール7と旋回スクロール8の鏡板面7e、8e間の微小すき間を潤滑しながら通過し、吸込室20または圧縮室13に流入する。その他の潤滑油は、背圧室の圧力(背圧)が高くなった際に、背圧室18と圧縮室13とを連通する背圧孔35を通って圧縮室13へ流入する。この背圧孔35は、背圧室18内の圧力を調整するための孔である。
吸込室20や圧縮室13に流入した潤滑油は、前記固定スクロール7のラップ7bと旋回スクロール8のラップ8bとの間のすき間のシールや潤滑に利用された後、前記吐出ポート15から吐出空間54に吐出される。この吐出された油の一部は、冷媒ガスと共に前記吐出パイプ6から冷凍サイクルへ吐出され、残りは密閉容器9内で冷媒ガスと分離されて密閉容器9底部の油溜り53に貯留される。
上述したように、前記第1の空間33、前記背圧室18及び前記油漏出手段を設けることにより、各軸受部に必要な給油量と、背圧室18への給油量を独立に制御することができるので、高効率なスクロール圧縮機を得ることができる。
次に、前記背圧室18の機能について説明する。スクロール圧縮機1では、その圧縮作用により、固定スクロール7と旋回スクロール8を互いに引離そうとする軸方向の力(引き離し力)が発生する。この軸方向の力により、前記両スクロールが引き離される、いわゆる旋回スクロール8の離脱現象が発生すると、圧縮室13の密閉性が悪化し、圧縮機効率を低下させる。
そこで、旋回スクロール8の鏡板8aの背面側に、吐出圧力と吸込圧力の間の圧力となる背圧室18を設け、この背圧室18の圧力(中間圧力)と、前記第1の空間33の吐出圧力とにより、前記引き離し力を打ち消すと共に、旋回スクロール8を固定スクロール7に押付けるようにしている。
このとき、押付力が大きすぎると、旋回スクロール8の鏡板面8eと固定スクロール7の鏡板面7eとの摺動損失が増大し、圧縮機効率が低下すると共に、鏡板面7e、8eに摩耗やかじり、または焼付き等の不具合が発生するなど、圧縮機の信頼性が低下する。つまり、前記押付力には最適な値が存在し、小さすぎると圧縮室の密閉性が悪化して熱流体損失が増大し、大きすぎると摺動損失が増大する。従って、押付力を最適な値に維持することが、圧縮機の高性能化、高信頼性化において重要である。
以上がスクロール圧縮機1の基本的な構造である。ここで、例えば前記旋回軸受11の信頼性を向上したい等の理由により旋回軸受11の径を大きくする場合がある。このような場合には、その外側に配置されている前記シール部材32の径も大きくなり、吐出圧力に近い圧力を有する前記第1の空間33が大きくなる。そのため、旋回スクロール8の鏡板8aの背面に作用する吐出圧力の領域も広くなり、前記押付力が増加する。この押付力の増加が過大になると、鏡板面7eと鏡板面8eとの摺動損失が増大するとともに、摩耗やかじり、または焼付き等の不具合が発生して圧縮機の信頼性を低下させる。特に、スクロール圧縮機1が高圧力比で運転される高圧力比条件においては、前記押付力が過大となって鏡板面にかじりや焼付き等が発生し、圧縮機の信頼性が低下し易い。
そこで、本実施例では、固定スクロール7における摺動面となる鏡板面7e、または旋回スクロール8における摺動面となる鏡板面8eの少なくとも何れか一方に周方向に延びる周方向溝を形成し、前記旋回スクロール8の鏡板8aには前記第1の空間33内の潤滑油を前記周方向溝に供給するための通路を設ける構成としている。また、前記周方向溝は、前記旋回スクロールに作用する荷重が最大となるクランク角の近傍において、旋回スクロールの鏡板が固定スクロールの鏡板面に最も強く当たる位置に設ける構成としている。
このように構成することにより、固定スクロール7の鏡板面7eと旋回スクロール8の鏡板面8eとの摺動面に吐出圧力を作用させることができるので、旋回スクロール8を固定スクロール7から引き離す方向の力、即ち押下げ力を付与することができる。従って、押付力が過大となることを回避することが可能となる。
また、本実施例では、前記周方向溝の周方向における長さを、前記最も強く当たる位置から+70〜+100度の範囲内に、前記周方向溝の一端が配置され、前記周方向溝の他端は前記最も強く当たる位置から−70〜−100度の範囲内に配置される構成としている。従って、前記周方向溝から吸込室20への潤滑油の漏出量を低減して、潤滑油が冷媒ガスを加熱する加熱損失も低減できる。更に、前記押下げ力が過大になりすぎることも防止しつつ、旋回スクロール8の鏡板8aが固定スクロール7の鏡板面7eに最も強く当たる位置での押下げ力を確保することができる。
なお、前記周方向溝の周方向における長さは上述した範囲に限られるものではなく、前記周方向溝の一端を、前記最も強く当たる位置から+20〜+100度の範囲内に、他端を前記最も強く当たる位置から−20〜−100度の範囲内に配置すれば良い。例えば、前記周方向溝の一端を、前記最も強く当たる位置から+20〜+40度の範囲内に、他端を前記最も強く当たる位置から−20〜−40度の範囲内に配置する構成としても良い。
以下、本発明のスクロール圧縮機の具体的実施例を、図面を用いて説明する。本実施例1では、図1、図2に示すように、固定スクロール7に周方向溝36が設けられている。また、図1に示すように、旋回スクロール8の鏡板8aには、一端が第1の空間33に連通している通路37が設けられている。この通路37は、前記第1の空間33内の潤滑油(以下、油ともいう)を前記周方向溝36に供給するためのものである。
前記通路37からの潤滑油を受け入れるために、前記周方向溝36の一端部またはその一部には、図2に示すように、円形の溝部36aが形成されている。前記円形の溝部36aは、前記通路37の溝部36aに開口する端部が旋回運動する全範囲で、前記通路37の端部と連通するように、旋回半径以上の半径の大きさの円で形成されている。図2中に一点鎖線で示した円45は、旋回スクロール8が旋回運動した際に、前記通路37が固定スクロール7に対して動く軌跡を表している。
なお、前記周方向溝36のうち溝部36aを除く部分は、溝部36aの径よりも狭い幅に形成され、且つ前記溝部36aの径よりも周方向に長く形成されている。また、前記溝部36aは円形には限られず、前記通路37の端部が旋回運動する全範囲で前記溝部36aと連通するように形成されていれば良く、楕円形や矩形など他の形状にしても良い。
前記通路37が前記円形の溝部36aと連通することにより、第1の空間33内の潤滑油が円形の溝部36aの空間に供給され、この円形の溝部36aから前記周方向溝36に油が供給される。周方向溝36に高圧の油が供給されることにより、周方向溝36内の圧力は、第1の空間33内の圧力と同様、吐出圧力に近い圧力となる。
ここで、従来のスクロール圧縮機における旋回スクロール8の鏡板面上での圧力分布を図3により説明し、本実施例のスクロール圧縮機における旋回スクロール8の鏡板面上での圧力分布を図4により説明する。
従来のスクロール圧縮機における旋回スクロール8の鏡板面での圧力分布は、図3に示すように、背圧室18に面する側(鏡板の外周側)の圧力は背圧となり、吸込室20または圧縮室13(図2参照)に面する側(鏡板の内周側で、ラップ8bのある側)の圧力は、吸込圧力または圧縮室内圧力となっている。
これに対し、本実施例のスクロール圧縮機1では、前述した周方向溝36を設けているので、前記周方向溝36内に吐出圧力の油が導入される。このため、図4中の右側に示す旋回スクロール鏡板面での圧力分布に示すように、周方向溝36を設けている側では吐出圧力の油が導入されることにより、図4中に斜線で示した領域38の分だけ旋回スクロール8を下方へ押下げる力が増大する。従って、旋回スクロール8の鏡板が固定スクロールの鏡板面に最も強く当たる位置での押付力の増加を抑制することができる。
また、周方向溝36内に流入した潤滑油は、固定スクロール7の鏡板面7eと旋回スクロール8の鏡板面8eとの間の微小すき間を潤滑しながら通過し、背圧室18、吸込室20または圧縮室13へ流れるため、鏡板面7e、8eでの潤滑状態が良くなり信頼性を向上できる。
次に、旋回スクロール8に作用する、軸方向と直交する方向の力、及びその力の1回転中の変化について、図3〜図6を用いて説明する。
スクロール圧縮機1の運転中の旋回スクロール8には、圧縮作用により、軸方向の力だけでなく接線方向及び半径方向の力も生じている。旋回スクロールのある位相での、これら軸方向と直交する方向の力の合力は、図3、図4中のFgで示される。また、Fgの反力である、旋回スクロール8を旋回運動させる力Frが旋回軸受11に作用している。
ここで、Fg及びFrは互いに逆向きで、かつその作用点が軸方向に離れているため、旋回スクロール8には、矢印Mで示すように、モーメントが発生する。このモーメントMが、旋回スクロール8を傾けようとする、いわゆる転覆モーメントである。この転覆モーメントにより、旋回スクロール8の鏡板面8eは、固定スクロール7の鏡板面7eに局部的に強く押付けられることになる。その強く押付けられる位置は、モーメントMが図3、図4に示すように作用する場合、鏡板の右側となる。
なお、旋回スクロール8の旋回運動に伴って、Fg及びFrの向きと大きさが変化するため、転覆モーメントの方向と大きさも変化することになる。これがいわゆる旋回スクロールの揺動運動の原因となる。また、旋回スクロール8の鏡板面8eが局部的に強く押付けられる位置及びその大きさも1回転中に変化することになる。
図5はスクロール圧縮機における1回転中のクランク角に対する荷重Fgの変化を説明する線図であり、図6はスクロール圧縮機におけるクランク角と圧縮室内圧力の変化との関係を説明する線図である。
図5中の曲線46は、一回転中の荷重Fgの変化の一例を示しており、この図5の例では、クランク角で概略180度となる位置47でFgは最大となっている。なお、図5は一例であり、荷重Fgが最大となるクランク角の位置47は、一般的にスクロールラップの巻き数や吐出開始角度などによって決定されるものである。
例えば、図6は、スクロールラップの巻き数と吐出開始角度が決まっているある特定のスクロール圧縮機における、クランク角と、旋回内線側圧縮室13aの圧力50a及び旋回外線側圧縮室13bの圧力50bとの関係を示している。なお、図6に示す例では、旋回内線側圧縮室13aと旋回外線側圧縮室13bの巻き数が異なる、いわゆる非対称ラップでの例を示しており、また、あらゆる運転条件の中で荷重Fgの最大値が最も大きくなる、高圧力比の運転条件での例を示している。更に、旋回外線側圧縮室13bが吸込を完了した時点をクランク角0度としている。
なお、クランク角は本来0度から360度までであるが、スクロール圧縮機の場合、一般的に、一つの圧縮室が吸込を完了してから吐出を開始するまでに1回転以上するように構成されている。また、非対称ラップの場合、旋回内線側圧縮室13aは、旋回外線側圧縮室13bが吸込を完了してからクランク角が略180度進んだ位置で吸込を完了して圧縮を開始する。このため、図6の横軸のクランク角は、便宜上0度から720度までとしている。
図6に示す通り、クランク角が変化すると、各圧縮室内の圧力も変化する。スクロール圧縮機1は、図2に示すように、複数の圧縮室13を有し、それぞれの圧縮室13の圧力が図6のように変化していく。また、これら各圧縮室13内の圧力が、旋回スクロール8のラップ8bに作用することとなる。これらの合力が前記荷重Fg(ガス荷重)であり、このFgは、図5中の曲線46のように変化している。
この図5に示す例では、旋回内線側圧縮室13aが吐出を開始するクランク角180度(図6では、360度+180度=540度の位置が吐出を開始するクランク角180度の位置に相当)においてFgが最大となり、これに伴い転覆モーメントも最大となる。
旋回スクロールに作用する荷重が最大となる前記クランク角において、旋回スクロールの鏡板が固定スクロールの鏡板面に最も強く当たる位置を、図2〜図4により説明する。図2はクランク角が180度の状態を示す図で、図3、図4はクランク角180度のときの縦断面図を示しており、旋回スクロールに作用する荷重が最大となっている状態の図である。図3、図4に示すFg及びFrの力の方向により発生するモーメントMからわかる通り、旋回スクロール8の鏡板が固定スクロール7の鏡板面に最も強く当たる位置は、鏡板面における右側の位置である。
この位置は、図2に点線44で示す範囲にほぼ相当する。つまり、この位置に前記周方向溝36を設けることにより、圧縮機の1回転中に、旋回スクロール8の鏡板8aが固定スクロール7の鏡板面7eに最も強く押付けられる位置に、ほぼ吐出圧力の高圧の潤滑油を供給することができる。従って、鏡板面7e、8eに摩耗やかじり、または焼付き等の不具合が発生するのを防止でき、圧縮機の信頼性を向上することができる。
前記周方向溝36を設ける位置は以上説明した通りである。
次に、前記周方向溝36の好ましい形状について説明する。周方向溝の形状、即ち周方向の長さが、例えば、円環状やC字形状などのように半周を超える場合、押下げ力が過大となり、旋回スクロール8が固定スクロール7から引き離されてしまう離脱現象が生じるおそれがある。また、前記周方向溝36に供給された油が吸込室20や圧縮室13へ漏れる量も多くなる。即ち、油が漏れる流路面積は周方向溝36の長さと、鏡板面7e、8e間の微小すき間の長さとの積で表されるため、周方向溝が長くなるほど、過大な量の潤滑油が吸込室20や圧縮室13へ流入し、冷媒ガスを加熱して加熱損失が増大する。
そこで本実施例では、前記周方向溝36を略円弧の一部で構成し、図5に示す荷重Fgが最大となるときに、旋回スクロール8の鏡板8aが最も強く押付けられる位置を含め略±90度の範囲内(図2中のθ1の範囲内)にその両端が収まる形状とする。これにより、押付力が強く潤滑が最も必要な場所に効果的に給油できるように周方向溝36を配置することができ、周方向溝36の長さをより短くすることができる。従って、離脱現象や加熱損失の発生を抑制しつつ、押付力の増加を抑制して、鏡板面7e、8eに摩耗やかじり、または焼付き等の不具合が発生するのを防止し、圧縮機の信頼性を向上することが可能となる。
なお、図5に示す区間48は、荷重Fgが最大となるクランク角の位置47を含む略±90度の範囲を示しており、この区間48で、荷重Fgの値が平均値より顕著に大きくなる範囲をカバーできる。従って、この区間48に相当する鏡板面7eまたは8eの位置に前記周方向溝36を設ける。即ち、旋回スクロール8の鏡板8aが固定スクロール7の鏡板面7eに強く押付けられる領域の鏡板面7eまたは8eの位置に、前記周方向溝36を設ける。これにより、押付力が平均値より顕著に大きくなる鏡板面の領域に潤滑油を供給することが可能となる。
このように、上述した本実施例によれば、旋回スクロール8の鏡板8aが固定スクロール7の鏡板面7eに強く押付けられる領域の鏡板面の位置に周方向溝36を設けているので、押付力が平均値より顕著に大きくなる鏡板面の領域に潤滑油を供給することが可能となる。従って、押付力が強く潤滑が最も必要な場所に効果的に給油できるので、周方向溝36の長さをより短くすることができ、離脱現象や加熱損失の発生を抑制しつつ、押付力の増加を抑制して、鏡板面に摩耗、かじり、焼付き等が発生するのを防止し、圧縮機の信頼性を向上することができる。
本発明のスクロール圧縮機の実施例2を、図5を引用しつつ図7を用いて説明する。図7は本実施例2のスクロール圧縮機を示す図で、図2に相当する図である。なお、図7において、図1〜図6と同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示し、実施例1と同様の部分については説明を省略し、実施例1と異なる部分を中心に説明する。
高圧力比の運転条件でのスクロール圧縮機の特性として、図5中の曲線46は、荷重Fgが最大となるクランク角の位置47に対して、その左側46a(旋回スクロール8の回転が遅れる方向であるクランク角の小さい側で、以下遅角側ともいう)より右側46b(旋回スクロール8の回転が進む方向であるクランク角の大きい側で、以下進角側ともいう)の方が、傾斜が一般的に緩い。これは、圧縮室13の容積減少による圧縮だけでは不足圧縮となる高圧力比の運転条件では、吐出開始直後に吐出圧力空間(吐出空間54)から冷媒ガスが逆流して、圧縮室内の圧力が急激に吐出圧力まで上昇し、その後クランク角が進むにつれて、吐出圧力まで上昇した冷媒ガスを徐々に吐出空間54に排出するためである。
そこで、本実施例2においては、図5、図7に示すように、前記周方向溝36を、区間48aに相当する部分より区間48bに相当する部分の方が長くなるように形成したものである。具体的には、旋回スクロール8に作用する荷重Fgが最大となるクランク角の位置47(図5参照)に対応して押付力が平均値より顕著に大きくなる鏡板面の位置(旋回スクロールの鏡板が固定スクロールの鏡板面に最も強く当たる位置)47A(図7参照)に対し、図7に示すように、旋回スクロール8の回転が遅れる方向であるクランク角の小さい側(遅角側)θ1aよりも、旋回スクロール8の回転が進む方向であるクランク角の大きい側(進角側)θ1bの方が長くなるように、前記周方向溝36を形成しているものである。
このように構成することにより、荷重Fgの値が平均値より顕著に大きくなる範囲、即ち、周方向溝36の長さを同一とした場合、押付力が平均値より顕著に大きくなる鏡板面の領域により確実に潤滑油を供給することができる効果が得られる。このように本実施例2によれば、周方向溝36に供給する潤滑油による加熱損失をより抑制しつつ荷重Fgの値が平均値より顕著に大きくなる範囲をより広くカバーすることができる。
他の構成は上述した実施例1と同様である。
本発明のスクロール圧縮機の実施例3を、図5を引用しつつ図8を用いて説明する。図8は本実施例3のスクロール圧縮機を示す図で、図2に相当する図である。なお、図8において、図1〜図6と同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示し、実施例1と同様の部分については説明を省略し、実施例1と異なる部分を中心に説明する。
図2に示す実施例1では、固定スクロール7の鏡板面7eに周方向溝36を設けると共に、その一端部に円形の溝部36aを設けている。また、旋回スクロール8には、第1の空間33内の潤滑油を前記周方向溝36に供給するための通路37を設け、この通路37の端部を前記円形の溝部36aに連通させている。前記通路37の端部は旋回スクロール8の旋回運動と共にその旋回半径で旋回運動をする。このため、前記円形の溝部36aは前記通路37の端部が旋回運動する全範囲で連通するように前記旋回半径以上の半径の大きさの円で構成されている。また、前記周方向溝36のうち溝部36aを除く部分は、溝部36aの径よりも狭い幅に形成されている。
これに対し、本実施例3では、旋回スクロール8に設けられた通路37が前記周方向溝36に連通する区間を、荷重Fgが最大となるクランク角を含めた、略±90度の範囲内のみになるように構成したものである。この連通する区間は、図5に示す区間48に相当する。即ち、上記実施例1のものでは、前記周方向溝36に潤滑油を前記通路37から常時供給するように構成しているが、本実施例3では、前記荷重Fgの値が平均値より顕著に大きくなるタイミングでのみ間歇的に潤滑油を周方向溝36に供給するようにしたものである。
これを実現する具体的構成を図8により説明する。周方向溝36の一端部には、旋回運動をする前記通路37が荷重Fgの値が平均値より顕著に大きくなるタイミングでのみ間歇的に連通するように円弧状の溝部39が形成されている。この円弧状の溝部39は、旋回スクロール8が旋回運動した際に、荷重Fgが最大となるクランク角を含む略±90度の範囲内でのみ前記通路37の端部と連通するように構成されている。円弧状の前記溝部39は、好ましくは、その溝中心が旋回スクロール8の旋回半径と同じ半径を持つ円弧になるように形成すると良いが、前記通路37の端部が、Fgが最大となるクランク角を含む略±90度の範囲内でのみ前記溝部39に連通するように、前記溝部39を形成すれば良く、溝部39の形状は円弧状の溝部に限られるものではなく、円形や矩形等の形状としても良い。
ここで、図8中の一点鎖線で示した円45は、旋回スクロール8が旋回運動した際の、前記通路37の軌跡を表している。この軌跡のうち、略±90度の範囲内であるθ2の範囲でのみ、前記通路37は前記溝部39を介して前記周方向溝36に連通する。
前記通路37が常時前記周方向溝36に連通している場合、常に押下げ力が作用するのに対し、本実施例3によれば、1回転中で旋回スクロール8の鏡板8aが固定スクロール7の鏡板面7eに最も強く押付けられるタイミングでのみ、その最も強く押付けられる位置に潤滑油を供給できる。従って、潤滑油を、必要なタイミングで必要な場所にのみ、効率よく供給することが可能となるので、離脱現象の発生や加熱損失をより抑えることができると共に、旋回スクロールの揺動運動を抑制することも可能となる。
なお、本実施例3では、前記周方向溝36のうち円弧状の溝部39を除く部分は、旋回スクロール8の旋回半径よりも小さい幅になるように形成されている。
本発明のスクロール圧縮機の実施例4を、図9を用いて説明する。図9は本実施例4を説明する旋回スクロールの平面図である。なお、図9において、図1〜図6と同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示し、実施例1と同様の部分については説明を省略し、実施例1と異なる部分を中心に説明する。
本実施例4においても、固定スクロール7の鏡板面に周方向溝36とその一端部側に円形の溝部36aを形成し、第1の空間33(図1参照)内の潤滑油を前記周方向溝36に供給する通路37を旋回スクロール8の鏡板8aに設けている点では、実施例1と同様である。
更に、本実施例4では、図9に示すように、前記周方向溝36に供給された潤滑油を、図2に示す吸込室20または圧縮室13へ漏出する手段としてのスリット(油漏出手段)40を、旋回スクロール8の鏡板面8eに設けているものである。このスリット40が前記周方向溝36と、吸込室20または圧縮室13を常時または間歇的に連通するように構成されている。
常時連通させる場合には、旋回スクロール8が旋回運動をしても、スリット40が常に周方向溝36と吸込室20または圧縮室13とを連通するように、前記スリット40の位置と長さを決めれば良い。また、間歇的に連通させる場合には、旋回スクロール8の旋回運動に伴い、前記スリット40の一部が前記周方向溝36に間歇的に連通するか、または前記スリット40の一部が吸込室20または圧縮室13に間歇的に連通するように、前記スリット40の位置と長さを決めれば良い。
なお、本実施例では、前記スリット40を一つだけ設けているが、複数設けるようにしても良い。また、油漏出手段として、前記スリット40の代わりに、一つ以上の油ポケットを旋回スクロールの鏡板面8eに設け、この油ポケット(油漏出手段)が前記周方向溝36と、吸込室20または圧縮室13との間を移動して、前記周方向溝36内に供給された潤滑油を、吸込室20または圧縮室13に間歇的に移送するように構成しても良い。
他の構成は上述した実施例1と同様である。
本実施例4の構成とすることにより、周方向溝36に供給された油を、前記スリット40や前記油ポケットを介して、スムーズに吸込室20や圧縮室13に流出させることができる。従って、周方向溝36に供給された油が、周方向溝36で滞留するのを抑制し、鏡板面7e、8eの摺動による発熱で高温に加熱される前に、前記吸込室20や圧縮室13に流出させることができる効果が得られる。また、前記通路37から新たな潤滑油を前記周方向溝36にスムーズに供給することも可能となる。なお、前記周方向溝36に供給された油の一部は前記鏡板面7e、8e間の微小すき間を潤滑した後、前記吸込室20や圧縮室13に流出する。
本実施例においては、前記スリット40の深さや、前記油ポケットの容積や個数により、潤滑油の流れる量を制御できるので、加熱損失の増大を抑制しつつ、鏡板面7e,8eの良好な潤滑状態を確保できるだけの油量を周方向溝36に供給することも可能となる。
本発明のスクロール圧縮機の実施例5を、図10を用いて説明する。図10は本実施例5を説明する固定スクロールの底面図である。なお、図10において、図1〜図6と同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示し、実施例1と同様の部分については説明を省略し、実施例1と異なる部分を中心に説明する。
本実施例5も上記実施例4と同様に、周方向溝36に供給された潤滑油を、吸込室20または圧縮室13へ漏出させる油漏出手段を設けたものである。上記実施例4においては、旋回スクロール8の鏡板面8eに油漏出手段としてのスリット40を設ける例を説明したが、本実施例5では、固定スクロール7の鏡板面7eに、前記周方向溝36に供給された潤滑油を吸込室20または圧縮室13へ漏出させる油漏出手段としてのスリット41を設けたものである。
即ち、図10に示すように、本実施例においても、固定スクロール7の鏡板面7eには、周方向溝36と、この周方向溝36の一端部側に円形の溝部36aが設けられている。更に本実施例においては、前記周方向溝36における前記溝部36aとは反対側に連通するスリット41を固定スクロール7の鏡板面7eに設けている。前記スリット41は吸込室20または圧縮室13にも連通するように構成されている。
他の構成は上述した実施例1と同様である。なお、前記スリット41は1つに限られず、周方向溝36に沿って複数設けても良い。
本実施例5のように、油漏出手段としてのスリット41を固定スクロール7の鏡板面7eに設けるように構成しても、周方向溝36に供給された油をスムーズに吸込室20または圧縮室13へ漏出させることができるので、上述した実施例4と同様の効果を得ることができる。
本発明のスクロール圧縮機の実施例6を、図11を用いて説明する。図11は本実施例6を説明する旋回スクロールの縦断面図である。なお、図11において、図1〜図6と同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示し、実施例1と同様の部分については説明を省略し、実施例1と異なる部分を中心に説明する。
本実施例6のスクロール圧縮機においても、図1に示す実施例1と同様に、第1の空間33内の潤滑油を周方向溝36に供給するための通路37を、旋回スクロール8の鏡板8aに備えている。本実施例6においては、実施例1の構成に加え、更に図11に示すように、前記通路37の一部の通路断面積が小さくなるように絞り部材42を設けているものである。
前記通路37に絞り部材42を設けることにより、第1の空間33から通路37に導かれた潤滑油が、前記絞り部材42によって通路断面積が小さい部分を通過する際に、圧力損失が発生して圧力が低下する。このため、周方向溝36に供給された潤滑油の圧力は、吐出圧力である第1の空間33の圧力よりも低い圧力となる。
前記周方向溝36に第1の空間33内の吐出圧力の潤滑油を、通路37を介して直接供給すると旋回スクロール8を押下げる力が過大となってしまうような場合に、本実施例6を適用すると良い。即ち、前記通路37に絞り部材42を設けることにより、周方向溝36に供給される潤滑油の圧力を吐出圧力より低く抑えることができるため、旋回スクロール8を押下げる力が過大となることを回避でき、旋回スクロール8を適正な押付力で固定スクロールに押し付けることが可能となる。
他の構成は上述した実施例1と同様である。
本発明のスクロール圧縮機の実施例7を、図12を用いて説明する。図12は本実施例7を説明する旋回スクロールの平面図である。なお、図12において、図1〜図6と同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示し、実施例1と同様の部分については説明を省略し、実施例1と異なる部分を中心に説明する。
上述した実施例1においては、固定スクロール7の鏡板面に周方向溝36を設け、旋回スクロール8の鏡板8aに設けた通路37を介して、第1の空間33内の潤滑油を前記周方向溝36に供給するようにしている。
これに対し、本実施例7では、前記周方向溝36を、固定スクロール7の鏡板面7eではなく、旋回スクロール8の鏡板面8eに形成しているものである。また、旋回スクロール8に設けられている前記周方向溝36に、第1の空間33内の潤滑油を導くための通路37については、実施例1と同様に旋回スクロール8の鏡板8aに設けられている。なお、前記通路37の第1の空間33側は、旋回ボス部8dの内側に開口している点では実施例1と同様であるが、前記通路37の周方向溝36側は該周方向溝36に直接連通している。
本実施例のように、旋回スクロール8の鏡板面8eに周方向溝36を形成すると、周方向溝36は旋回スクロール8の旋回運動とともに移動するため、潤滑油を鏡板面7e、8eのより広い範囲に拡散させることができ、潤滑状態をより良好なものとすることができる。
他の構成は上述した実施例1と同様である。
本発明のスクロール圧縮機の実施例8を、図13を用いて説明する。図13は本実施例8を説明する固定スクロールの底面図である。なお、図13において、図1〜図6と同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示し、実施例1と同様の部分については説明を省略し、実施例1と異なる部分を中心に説明する。
本実施例8においては、周方向溝36が設けられている固定スクロール7の鏡板面7eにおける前記周方向溝36を設けている範囲以外の領域(図13中のθ1c以外の範囲の鏡板面7e)に、背圧室(第2の空間)18と連通する少なくとも一つの背圧溝43を設けているものである。前記背圧溝43は、図13に示すように、周方向溝36が設けられている前記θ1cで示す領域以外の領域に周方向に延びるように形成されている。前記背圧室18は吐出圧力と吸込圧力との間の圧力(中間圧力)となっており、この背圧室18の潤滑油を固定スクロール7の鏡板面7eに導くことができる。なお、前記背圧溝43は1本に限られるものではなく、複数本設けるようにしても良い。
本実施例の構成とすることにより、旋回スクロール8の鏡板8aが固定スクロール7の鏡板面7eに最も強く当たる位置に対しては前記周方向溝36により、適正な押下げ力を与えると共に、周方向溝36が設けられている鏡板面付近の潤滑を行うことができる。また、前記背圧溝43を設けているので、前記周方向溝36が設けられている部分以外の鏡板面の領域にも背圧室18内の潤滑油を供給でき、鏡板面全体の潤滑状態を良好に保つことが可能となる。
他の構成は上述した実施例1と同様である。
本発明の実施例9を、図14を用いて説明する。図14は本発明のスクロール圧縮機を用いた空気調和機の一例を説明する冷凍サイクル構成図である。
図14において、1はスクロール圧縮機、60は四方弁、61は室外側熱交換器(冷房運転時は凝縮器、暖房運転時は蒸発器となる)、62は電子膨張弁などで構成された膨張弁、63は室内側熱交換器(冷房運転時は蒸発器、暖房運転時は凝縮器となる)であり、これらの機器は冷媒配管64により順次接続されて、空気調和機の冷凍サイクルが構成されている。
前記スクロール圧縮機1は、上述した実施例1〜8の何れかに記載されたスクロール圧縮機が使用されている。図14に示すような空気調和機に、高効率で高信頼性の本発明の各実施例記載のスクロール圧縮機を組み合わせることにより、空気調和機の運転効率を向上できる。従って、空気調和機の通年エネルギー消費効率を大幅に向上でき、年間を通じた消費電力量が小さく且つ信頼性の高い空気調和機を得ることができる。
以上説明したように、本発明の各実施例によれば、旋回スクロール8の鏡板8aが固定スクロール7の鏡板面7eに強く押付けられる領域の鏡板面の位置に周方向溝36を設けているので、押付力が顕著に大きくなる鏡板面の領域に潤滑油を供給することが可能となる。従って、押付力が強く潤滑が最も必要な場所に効果的に給油できるので、周方向溝36の長さをより短くすることができ、離脱現象や加熱損失の発生を抑制しつつ、押付力の増加を抑制して、高効率で信頼性の高いスクロール圧縮機を得ることができる。また、このスクロール圧縮機を空気調和機に適用することにより、高効率で信頼性の高い空気調和機を得ることができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
更に、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1:スクロール圧縮機、2:圧縮機構部、3:給油穴(貫通穴)、5:主軸受、6:吐出パイプ、7:固定スクロール、7a:台板、7b:ラップ、7c:歯底、7d:支持部、7e:鏡板面、8:旋回スクロール、8a:鏡板、8b:ラップ、8c:歯底、8d:ボス部(旋回ボス部)、8e:鏡板面、9:密閉容器(ケース)、10:クランクシャフト(回転軸)、10a:クランク部、11:旋回軸受、12:オルダムリング、13:圧縮室、13a:旋回内線側圧縮室、13b:旋回外線側圧縮室、14:吸込ポート、15:吐出ポート、16:モータ部、16a:回転子、16b:固定子、17:フレーム、18:背圧室(第2の空間)、20:吸込室、21:給油ポンプ、22:給油ポンプケース、23:副軸受、24:横穴、25:潤滑油吸込口、26a:排油穴、26b:排油パイプ、28:吐出口、31:円環溝、32:シール部材、33:第1の空間、35:背圧孔、36:周方向溝、36a:溝部、37:通路、38:領域、39:溝部、40、41:スリット(油漏出手段)、42:絞り部材、43:背圧溝、45:円、46:曲線、47:荷重Fgが最大となるクランク角の位置、47A:押付力が平均値より顕著に大きくなる鏡板面の位置、48:区間、50a:内線側圧縮室の圧力、50b:外線側圧縮室の圧力、52:モータ室、53:油溜り、54:吐出空間、56:フレームシール、57:油溝、58:浅溝、60:四方弁、61:室外側熱交換器、62:膨張弁、63:室内側熱交換器、64:冷媒配管。

Claims (12)

  1. 台板に渦巻状のラップを立設した固定スクロールと、鏡板に渦巻状のラップを立設し前記固定スクロールと噛み合わされて旋回運動をすることにより吸込室または圧縮室を形成する旋回スクロールと、前記旋回スクロールの背面中心側に設けられ、吐出圧力に近い圧力を有する第1の空間と、前記旋回スクロールの背面であって前記第1の空間の外周側に設けられ、吐出圧力と吸込圧力の間の圧力である中間圧力を有する第2の空間とを備えるスクロール圧縮機において、
    前記固定スクロールにおける摺動面となる鏡板面、または前記旋回スクロールにおける摺動面となる鏡板面の少なくとも何れか一方に形成されて周方向に延びる周方向溝と、
    前記旋回スクロールの鏡板に設けられ、前記第1の空間内の潤滑油を前記周方向溝に供給するための通路を備え、
    前記周方向溝は、前記旋回スクロールに作用する荷重が最大となるクランク角の近傍において、旋回スクロールの鏡板が固定スクロールの鏡板面に最も強く当たる位置に設けられ、且つ
    前記周方向溝の周方向における長さは、前記最も強く当たる位置を含む略±90度の範囲内に、その周方向溝の両端が配置される長さであり、更に
    前記周方向溝が設けられている鏡板面における前記周方向溝を設けている範囲以外の領域に、前記第2の空間と連通する少なくとも一つの背圧溝が設けられていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 請求項1に記載のスクロール圧縮機において、
    前記周方向溝は固定スクロールの鏡板面に設けられ、
    前記固定スクロールの鏡板面には、前記周方向溝と前記通路に連通する溝部が設けられていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  3. 請求項2に記載のスクロール圧縮機において、
    前記周方向溝と前記通路に連通する前記溝部は円形の溝部であり、
    前記通路における前記溝部に開口する端部が旋回運動する全範囲で前記円形の溝部が前記通路の端部と連通する形状であることを特徴とするスクロール圧縮機。
  4. 請求項2に記載のスクロール圧縮機において、
    前記周方向溝と前記通路に連通する前記溝部は、前記通路とは間欠的に連通するように構成され、前記溝部が前記通路と連通する角度は、前記荷重が最大となるクランク角を含む略±90度以内となるように構成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  5. 請求項4に記載のスクロール圧縮機において、
    前記周方向溝と前記通路に連通する前記溝部は円弧状の溝部であり、
    前記円弧状の溝部は、旋回スクロールが旋回運動した際に、荷重が最大となるクランク角を含む略±90度の範囲内でのみ前記通路の端部と連通するように構成されていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  6. 請求項1に記載のスクロール圧縮機において、
    前記周方向溝は旋回スクロールの鏡板面に設けられ、
    前記旋回スクロールの鏡板に設けられている前記通路は前記周方向溝に直接連通していることを特徴とするスクロール圧縮機。
  7. 請求項1に記載のスクロール圧縮機において、
    前記旋回スクロールに作用する荷重が最大となるクランク角の位置に対応して旋回スクロールの鏡板が固定スクロールの鏡板面に最も強く当たる位置に対し、旋回スクロールの回転が遅れる方向であるクランク角の小さい側よりも、旋回スクロールの回転が進む方向であるクランク角の大きい側の方が長くなるように、前記周方向溝を形成していることを特徴とするスクロール圧縮機。
  8. 請求項1に記載のスクロール圧縮機において、
    前記周方向溝に供給された潤滑油を、吸込室または圧縮室へ漏出させる油漏出手段を旋回スクロールの鏡板面または固定スクロールの鏡板面に設けていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  9. 請求項8に記載のスクロール圧縮機において、
    前記油漏出手段は、前記旋回スクロールの鏡板面に設けられたスリットまたは油ポケットであることを特徴とするスクロール圧縮機。
  10. 請求項8に記載のスクロール圧縮機において、
    前記油漏出手段は、前記周方向溝に連通するように前記固定スクロールの鏡板面に設けられたスリットであることを特徴とするスクロール圧縮機。
  11. 請求項1に記載のスクロール圧縮機において、
    前記周方向溝に潤滑油を供給するために旋回スクロールの鏡板に設けている前記通路に、前記第1の空間から導かれた潤滑油の圧力を低下させて前記周方向溝に供給するための絞り部材を設けていることを特徴とするスクロール圧縮機。
  12. スクロール圧縮機、四方弁、室外側熱交換器、膨張弁、室内側熱交換器を冷媒配管で順次接続して冷凍サイクルを構成している空気調和機において、
    前記スクロール圧縮機は請求項1〜11の何れか一項に記載のスクロール圧縮機を採用していることを特徴とする空気調和機。
JP2020512074A 2019-07-02 2019-07-02 スクロール圧縮機及びこれを用いた空気調和機 Active JP6701469B1 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2019/026291 WO2021001923A1 (ja) 2019-07-02 2019-07-02 スクロール圧縮機及びこれを用いた空気調和機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6701469B1 true JP6701469B1 (ja) 2020-05-27
JPWO2021001923A1 JPWO2021001923A1 (ja) 2021-09-13

Family

ID=70776056

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020512074A Active JP6701469B1 (ja) 2019-07-02 2019-07-02 スクロール圧縮機及びこれを用いた空気調和機

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP6701469B1 (ja)
CN (1) CN114026328B (ja)
WO (1) WO2021001923A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7213382B1 (ja) 2022-05-24 2023-01-26 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社 スクロール圧縮機及び冷凍サイクル装置
JP7253655B1 (ja) 2022-05-24 2023-04-06 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社 スクロール圧縮機及び冷凍サイクル装置

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009013882A (ja) * 2007-07-05 2009-01-22 Hitachi Appliances Inc スクロール圧縮機
JP2010065635A (ja) * 2008-09-12 2010-03-25 Hitachi Appliances Inc スクロール圧縮機
US20100092321A1 (en) * 2008-10-15 2010-04-15 Cheol-Hwan Kim Scroll compressor and refrigerating machine having the same
WO2012060062A1 (ja) * 2010-11-01 2012-05-10 ダイキン工業株式会社 スクロール型圧縮機
JP2012102708A (ja) * 2010-11-12 2012-05-31 Daikin Industries Ltd スクロール型圧縮機

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4512479B2 (ja) * 2004-11-30 2010-07-28 日立アプライアンス株式会社 スクロール圧縮機
JP5208528B2 (ja) * 2008-01-28 2013-06-12 日立アプライアンス株式会社 密閉形スクロール圧縮機

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009013882A (ja) * 2007-07-05 2009-01-22 Hitachi Appliances Inc スクロール圧縮機
JP2010065635A (ja) * 2008-09-12 2010-03-25 Hitachi Appliances Inc スクロール圧縮機
US20100092321A1 (en) * 2008-10-15 2010-04-15 Cheol-Hwan Kim Scroll compressor and refrigerating machine having the same
WO2012060062A1 (ja) * 2010-11-01 2012-05-10 ダイキン工業株式会社 スクロール型圧縮機
JP2012102708A (ja) * 2010-11-12 2012-05-31 Daikin Industries Ltd スクロール型圧縮機

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7213382B1 (ja) 2022-05-24 2023-01-26 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社 スクロール圧縮機及び冷凍サイクル装置
JP7253655B1 (ja) 2022-05-24 2023-04-06 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社 スクロール圧縮機及び冷凍サイクル装置
JP2023172721A (ja) * 2022-05-24 2023-12-06 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社 スクロール圧縮機及び冷凍サイクル装置
JP2023172727A (ja) * 2022-05-24 2023-12-06 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社 スクロール圧縮機及び冷凍サイクル装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2021001923A1 (ja) 2021-09-13
CN114026328A (zh) 2022-02-08
WO2021001923A1 (ja) 2021-01-07
CN114026328B (zh) 2023-11-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6302813B2 (ja) スクロール圧縮機及びこれを用いた冷凍サイクル装置
KR101480464B1 (ko) 스크롤 압축기 및 이를 적용한 냉동기기
RU2592153C1 (ru) Спиральный компрессор
US10830236B2 (en) Compressor including bearing and unloader assembly
KR20000006363A (ko) 스크롤콤프레사의베어링윤활시스템
KR20100096791A (ko) 스크롤 압축기 및 이를 적용한 냉동기기
JP2011027076A (ja) スクロール圧縮機
JP6701469B1 (ja) スクロール圧縮機及びこれを用いた空気調和機
AU2005202228A1 (en) Motor compressor lubrication
KR20190129372A (ko) 개선된 랩 구조를 구비한 압축기
KR101553953B1 (ko) 스크롤 압축기 및 이를 적용한 냉동기기
JP3924817B2 (ja) 容積形流体機械
EP3594502B1 (en) Scroll compressor
JP6554926B2 (ja) スクロール圧縮機
JP6057535B2 (ja) 冷媒圧縮機
JP2012184709A (ja) スクロール圧縮機
JP5506839B2 (ja) スクロール圧縮機及び空気調和装置
JP3924834B2 (ja) 容積型流体機械
JP2017172346A (ja) スクロール圧縮機、及び、空気調和機
JP6143862B2 (ja) スクロール圧縮機及びこれを用いた空気調和機
JP2023038681A (ja) スクロール圧縮機及びこれを用いた冷凍サイクル装置
JPS5929791A (ja) スクロ−ル圧縮機
JP7486085B2 (ja) スクロール圧縮機及び機器
JP2012052494A (ja) 密閉型圧縮機
KR101587165B1 (ko) 스크롤 압축기 및 이를 적용한 냉동기기

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200227

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200227

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20200227

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20200318

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200407

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200501

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6701469

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150