JP6057535B2 - 冷媒圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、たとえば蒸気圧縮式冷凍サイクルを用いた冷凍・空調装置に好適な冷媒圧縮機に関するものである。
従来からよく知られているスクロールタイプの冷媒圧縮機は、圧縮要素部である固定スクロールと揺動スクロールとが組み合わされて相対的に容積が変化する圧縮室が形成されるようになっている。そして、このような冷媒圧縮機には、揺動スクロールが揺動運動をする際に生じる自転を抑制するためにオルダムリングが用いられている(たとえば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載されている冷媒圧縮機は、オルダムリングのキー部が摺動するフレームのキー溝を設け、このキー溝にオルダムリングのキー部の摺動する方向にバネを設け、そのバネの弾性力によってオルダムリングの往復運動による慣性力を低減していた。また、特許文献1には、バネを使用しない構造として、オルダムリングのキー部が入るフレームの穴とオルダムリングのキー部によって形成される空間内の流体を、圧縮作用による流体の弾性力によってオルダムリングの慣性力を低減する構成の冷媒圧縮機が開示されている。
特開平3−64685号公報(第2図、第3図等)
特許文献1に記載の冷媒圧縮機は、揺動スクロールが回転する時にオルダムリングが往復運動することになり、慣性力が働く。オルダムリングの往復運動の最大振幅時に慣性力は最大になり、この大きな慣性力によって揺動スクロールにあるキー溝とオルダムリングのキー部との間の面圧は増大し、キー溝およびキー部の摩耗が進行してしまう。また、オルダムリングの重心がキー部ではなくリング部にあるため、オルダムリングの慣性力とそれを受けるオルダムリングのキー部でモーメントが発生し、オルダムリングを転覆させることになる。これにより、揺動スクロールにあるキー溝とオルダムリングのキー部が傾斜して接触し、片摩耗を発生してしまう。
このような事態を解決するため、特許文献1に記載の冷媒圧縮機では、フレームのキー溝に設けたバネの弾性力によってオルダムリングの往復運動による慣性力を低減しようとしている。しかしながら、バネの固有振動数によっては、オルダムリングの慣性力の減衰効果はなくなることになるため、揺動スクロールの運転回転数を可変可能なインバータ駆動方式を採用する冷媒圧縮機には適用することが困難であった。また、バネを圧縮するための動力が余分に必要になるため、冷媒圧縮機の必要動力が増え、性能が悪化する要因にもなってしまう。
さらに、特許文献1には、バネを使用せずにオルダムリングの往復運動による慣性力を低減しようとする構造の冷媒圧縮機が開示されている。しかしながら、フレームのキー溝内は、キー溝とオルダムリングのキー部の摺動性を良くするため冷凍機油と呼ばれる潤滑油で満たされていることが多く、潤滑油の弾性力を利用することになってしまう。潤滑油を圧縮する動力は、非常に大きく、これもまた、冷媒圧縮機の必要動力を増やすことになり、冷媒圧縮機の性能低下につながっていた。
また近年、地球温暖化対策への取り組みの強化が進み、冷凍サイクルに使用する冷媒として地球温暖化係数(GWP)の低い冷媒への移行が検討されている。ただし、従来の冷媒使用時と同等以上の高効率と低GWPを両立するためには、各冷媒に応じた対応が必要になる。現在、家庭用や業務用空調機に使用されているR410A冷媒に代替する冷媒として検討されているのが、HFO1234yfなどのフロン系低GWP冷媒や、プロパンなどの炭化水素系自然冷媒である。
これらの冷媒で従来と同等以上の冷凍能力や暖房能力、あるいは効率を得るためには、冷媒の循環量を大きくする必要があり、冷媒圧縮機は、運転回転数を増速したり、ストロークボリュームを大きくしたりするなどの対応が必要になる。冷媒の循環量を大きくする目安としては、R410Aに対して、HFO1234yfなどのフロン系低GWP冷媒では、おおよそ2〜2.5倍、プロパンなどの炭化水素系自然冷媒ではおおよそ1.5〜2倍である。
冷媒圧縮機の運転回転数を増速する場合や、ストロークボリュームを大きくする場合、オルダムリングの慣性力は従来と比較して大きくなる。そして、この大きくなった慣性力を受けるオルダムリングのキー部でモーメントはさらに大きくなり、揺動スクロールにあるキー溝とオルダムリングのキー部の傾斜は増大してしまう。この傾斜によって、揺動スクロールのキー溝とオルダムリングのキー部は拗れ、オルダムリングが破損してしまう可能性があった。
また、オルダムリングは、慣性力を小さくするためにアルミニウム合金などの軽量の素材を使用することが望ましいが、アルミニウム合金は剛性強度が小さく、変形し易い。そのため、変形が生じると、渦巻の組み合わさる角度位相がずれ、圧縮室を形成する際に漏れ隙間を生じてしまう。このため、変形に対する対策としてリング形状を大きくする必要があり、オルダムリングの摺動スペースの確保が困難となる場合、剛性強度が大きな鉄系の金属を使用しなければならず、慣性力を小さくできなくなるなどの設計的制約が発生してしまう。
本発明は、以上のような課題のうち少なくとも一つを解決するためになされたもので、オルダムリングの転覆を抑制することができ、揺動スクロールにあるキー溝とオルダムリングのキー部とを大きな面で摺動可能にした冷媒圧縮機を提供することを目的としている。
本発明に係る冷媒圧縮機は、鏡板の一方の面にラップ部を立設した固定スクロールと、鏡板の一方の面にラップ部を立設し、このラップ部が前記固定スクロールの前記ラップ部と噛み合わされるように配置される揺動スクロールと、前記揺動スクロールの背面側に配置されて前記揺動スクロールの自転運動を阻止するオルダムリングと、前記オルダムリングのキー部を摺動可能に収納するオルダムキー溝が対向位置に2箇所形成され、前記揺動スクロールを揺動可能に支持するフレームと、前記オルダムキー溝のうちの少なくとも一方の上方であって、少なくとも前記キー部が前記オルダムキー溝内で往復運動して径方向外側への移動距離が最大となったとき、前記キー部の上面とオーバーラップする位置に設けられた天井部と、を備え、前記天井部は、前記オルダムキー溝の最外端壁と空間を隔てて設置されているものである。
また、本発明に係る冷媒圧縮機は、鏡板の一方の面にラップ部を立設した固定スクロールと、鏡板の一方の面にラップ部を立設し、このラップ部が前記固定スクロールの前記ラップ部と噛み合わされるように配置される揺動スクロールと、前記揺動スクロールの背面側に配置されて前記揺動スクロールの自転運動を阻止するオルダムリングと、前記オルダムリングのキー部を摺動可能に収納するオルダムキー溝が対向位置に2箇所形成され、前記揺動スクロールを揺動可能に支持するフレームと、前記オルダムキー溝のうちの少なくとも一方の上方であって、少なくとも前記キー部が前記オルダムキー溝内で往復運動して径方向外側への移動距離が最大となったとき、前記キー部の上面とオーバーラップする位置に設けられた天井部と、を備え、前記天井部を、前記オルダムキー溝の最外端壁と接触させて設置し、前記オルダムキー溝の最外端壁から前記フレーム内の前記揺動スクロールが揺動する揺動運動空間に連通する給油経路を設け、前記給油経路中に前記揺動運動空間から前記オルダムキー溝への流れを阻止する向きに逆止弁を設けたものである。
本発明に係る冷媒圧縮機によれば、天井部を設けたことにより、オルダムリングの慣性力が大きくなっても、オルダムリングのキー部の上面を押さえることで矯正することができる。これにより、揺動スクロールにあるキー溝とオルダムリングのキー部の摺動状態がなるべく大きな面で摺動でき、揺動スクロールにあるキー溝とオルダムリングのキー部の摩耗の減少が可能となる。
本発明の実施の形態1に係る冷媒圧縮機の断面構成例を示す縦断面図である。 本発明の実施の形態1に係る冷媒圧縮機の揺動スクロール、オルダムリング、及び、フレームの構成を拡大して示す概略斜視図である。 本発明の実施の形態1に係る冷媒圧縮機のオルダムリングの往復運動に対する天井部の作用を説明するための概略断面図である。 本発明の実施の形態2に係る冷媒圧縮機のオルダムリングの往復運動に対する天井部の作用を説明するための概略断面図である。 本発明の実施の形態3に係る冷媒圧縮機のオルダムリングの往復運動に対する天井部の作用を説明するための概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る冷媒圧縮機Aの断面構成例を示す縦断面図である。図1に基づいて、冷媒圧縮機Aの概略構成について説明する。この冷媒圧縮機Aは、スクロールタイプの圧縮機であり、たとえば冷蔵庫や冷凍庫、自動販売機、空気調和装置、冷凍装置、給湯器等の各種産業機械に用いられる冷凍サイクルの構成要素の一つとなるものである。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
[冷媒圧縮機Aの概略構成]
冷媒圧縮機Aは、冷凍サイクルを循環する冷媒を吸入し、圧縮して高温高圧の状態として吐出させるものである。この冷媒圧縮機Aは、密閉容器中(センターシェル)17、密閉容器下(ロアシェル)18、密閉容器上(アッパーシェル)19により構成される密閉容器20内に固定スクロール1と固定スクロール1に対して揺動する揺動スクロール2を組み合わせた圧縮要素部50を備えている。また、冷媒圧縮機Aは、密閉容器20内に電動回転機械等からなる駆動要素部60を備えている。
密閉容器20は、密閉容器中17の上部に密閉容器上19、密閉容器中17の上部に密閉容器下18が設けられて構成されている。密閉容器下18は、潤滑油を貯留する油溜め16となっている。また、密閉容器中17には、冷媒回路と接続され、冷媒回路からの冷媒ガスを取り込むための吸入接続管21が接続されている。密閉容器上19には、冷媒回路と接続され、冷媒回路に冷媒ガス吐き出すための吐出接続管22が接続されている。なお、密閉容器中17内部は低圧室に、密閉容器上19内部は高圧室になっている。
固定スクロール1は、鏡板1bと、鏡板1bの一方の面に立設された渦巻状突起であるラップ部1aと、で構成されている。また、揺動スクロール2は、鏡板2bと、鏡板2bの一方の面に立設され、ラップ部1aと噛み合わせられるように立設された渦巻状突起であるラップ部2aと、で構成されている。なお、鏡板2bの他方の面(ラップ部2aの形成面とは反対側の面(背面))は、揺動スクロールスラスト軸受部(図2に示すスラスト軸受部2d)として作用する。
揺動スクロール2は、圧縮機運転中に生じるスラスト軸受荷重がスラストプレート4を介してフレーム3で支持されるようになっている。また、揺動スクロール2の揺動スクロールスラスト軸受部には、スラストプレート4が設置されている。スラストプレート4は、リング状に形成されており、中心部に揺動スクロール2のボス部2eが位置するようになっている。スラストプレート4は、揺動スクロール2を軸方向に支承するスラスト軸受となるものである。ボス部2eは、主軸8を回転方向に支承する揺動軸受となるものである。
揺動スクロール2及び固定スクロール1は、ラップ部2aとラップ部1aとを互いに組み合わせ、密閉容器20内に装着されている。揺動スクロール2及び固定スクロール1が組み合わされた状態では、ラップ部1aとラップ部2aの巻方向が互いに逆となる。ラップ部2aとラップ部1aとの間には、相対的に容積が変化する圧縮室25が形成される。なお、固定スクロール1及び揺動スクロール2には、ラップ部1a及びラップ部2aの先端面からの冷媒漏れを低減するため、ラップ部1a及びラップ部2aの先端面(上端面、下端面)にシール(図示せず)が配設されている。
固定スクロール1は、フレーム3に図示省略のボルト等によって固定されている。固定スクロール1の鏡板1bの中央部には、圧縮され、高圧となった冷媒ガスを吐出する吐出ポート1cが形成されている。そして、圧縮され、高圧となった冷媒ガスは、固定スクロール1の上部に設けられている高圧室に排出されるようになっている。高圧室に排出された冷媒ガスは、吐出接続管22を介して冷凍サイクルに吐出されることになる。なお、吐出ポート1cには、高圧室から吐出ポート1c側への冷媒の逆流を防止する吐出弁24が設けられている。
揺動スクロール2は、自転運動を阻止するためのオルダムリング5により、固定スクロール1に対して自転運動することなく揺動運動を行うようになっている。また、揺動スクロール2のラップ部2a形成面とは反対側の面の略中心部には、中空円筒形状のボス部2eが形成されている。このボス部2eには、主軸8の上端に設けられた偏心スライダ軸8aが挿入される。なお、揺動スクロール2の具体的な構成については、図2で詳細に説明する。
オルダムリング5は、オルダム爪(図2に示すキー部5a)が揺動スクロール2の揺動スクロールスラスト軸受部に形成されたオルダムキー溝(図2に示すオルダムキー溝2c)に、オルダム爪(図2に示すキー部5b)がフレーム3に形成されたオルダムキー溝(図2に示すオルダムキー溝3c)に、それぞれ摺動可能に収納されて設置されている。なお、オルダムリング5の具体的な構成については、図2で詳細に説明する。
フレーム3は、揺動スクロール2及び固定スクロール1を支持するものであり、密閉容器20内(密閉容器中17の上部の内面)に固着されるようになっている。たとえば、フレーム3は、焼きばめや溶接等によって外周面が密閉容器20の内周面に固着されている。また、フレーム3の中心開口部には、駆動要素部60(特に主軸8)の回転を支持するための主軸受(図2に示す主軸受3a)が設けられている。なお、フレーム3の具体的な構成については、図2で詳細に説明する。
駆動要素部60は、主軸8に固定された電動機ロータ6、電動機ステータ7、及び回転軸である主軸8等で構成されている。電動機ロータ6は、主軸8に焼き嵌め固定され、電動機ステータ7への通電が開始することにより回転駆動し、主軸8を回転させるようになっている。電動機ロータ6は、密閉容器中17の中間部の内面に焼き嵌め固定された電動機ステータ7とともに主軸8に固定されているバランサ11の下部に配置されている。なお、電動機ステータ7には、密閉容器中17に設けられた電源端子を介して電力が供給されるようになっている。
主軸8は、電動機ロータ6の回転に伴って回転し、揺動スクロール2を旋回させるようになっている。また、主軸8の上端側外周には、揺動スクロール2を公転運動させるために揺動スクロール2を支承するスライダ9が設置されている。そして、主軸8の上端側は、スライダ9が主軸8に対して偏心するように設置されたスライダ装着軸である偏心スライダ軸8aとなっている。
主軸8の上部(偏心スライダ軸8a近傍)は、フレーム3の中央部に設けられた主軸受によって回転自在に支持されている。主軸受には、主軸8を円滑に回転運動させるためのスリーブ10が設けられている。スリーブ10は、主軸受内の摺動面を平行にするという機能を果たす。一方、主軸8の下部は、ボールベアリング14によって回転自在に支持されている。このボールベアリング14は、その外輪が密閉容器20の下部に設けられたサブフレーム13の中央部に形成された軸受収納部に圧入固定されている。
また、サブフレーム13には、容積型のオイルポンプ15が設けられている。このオイルポンプ15に回転力を伝達するポンプ軸8bが主軸8と一体成形されている。主軸8の中央には、ポンプ軸8b下端から主軸8の上端までを軸方向に貫通する油穴8cが設けられている。油穴8cは、下端側でオイルポンプ15と連通している。オイルポンプ15で吸引された潤滑油は、油穴8cを介して各摺動部に送られることになる。
また、主軸8の上部には、揺動スクロール2が偏心スライダ軸8aに装着されて揺動することにより生じる主軸8の回転中心に対してアンバランスを相殺するため、バランサ11が設けられている。電動機ロータ6の下部には、揺動スクロール2が偏心スライダ軸8aに装着されて揺動することにより生じる主軸8の回転中心に対してアンバランスを相殺するため、バランサ12が設けられている。バランサ11は主軸8の上部に焼き嵌めによって固定され、バランサ12は電動機ロータ6の下部に電動機ロータ6と一体的に固定される。
[揺動スクロール2、オルダムリング5、フレーム3の詳細な構成]
図2は、揺動スクロール2、オルダムリング5、及び、フレーム3の構成を拡大して示す概略斜視図である。図2に基づいて、揺動スクロール2、オルダムリング5、及び、フレーム3について詳しく説明する。
図2に示すように、揺動スクロール2は、鏡板2bと、ラップ部2aと、で構成されている。また、鏡板2bのラップ部2aを形成した側と反対側の面は、スラスト軸受部2dとして作用する。スラスト軸受部2dには、オルダムリング5のキー部5aが摺動可能に収納されるオルダムキー溝2cが形成されている。さらに、鏡板2bのスラスト軸受部2d側の面の中央部には、中空円筒形状のボス部2eが突出するように形成されている。このボス部2eに、偏心スライダ軸8aとスライダ9が挿入されるようになっている。
揺動スクロール2のオルダムキー溝2cは、揺動スクロール2と同材料の鋳鉄などの鉄系金属、あるいはAl−Si系の合金属で形成されている。また、揺動スクロール2は、固定スクロール1に対して揺動運動をさせる必要があるため、固定スクロール1と締結されるフレーム3にオルダムキー溝3cを設けることにより、揺動スクロール2に揺動運動を与えることができる。
図2に示すように、オルダムリング5は、円環状に構成されているリング部5cと、リング部5cの上面に設けられている2つのキー部5aと、リング部5cの下面に設けられている2つのキー部5bと、で構成されている。2つのキー部5aは、リング部5cの中心を挟んで対向する位置に設けられている。同様に、2つのキー部5bも、リング部5cの中心を挟んで対向する位置に設けられている。キー部5aは、揺動スクロール2に形成されているオルダムキー溝2cに収納される。また、キー部5bは、フレーム3に形成されているオルダムキー溝3cに収納される。
オルダムリング5のキー部5a、5bは、オルダムリング5と同材料の焼結などの鉄系金属、あるいはアルミ系の合金属の高剛性で、且つ、軽量な材料で形成されている。また、摺動性の向上を目的として、オルダムリング5のキー部5a、5bのみ、あるいは、オルダムリング5のキー部5a、5bを含むオルダムリング5の表面をDLC(ダイヤモンドライクカーボン)、DLC−Si(シリコン含有ダイヤモンドライクカーボン)、CrN(窒化クロム)、TiN(窒化チタン)、TiCN(炭窒化チタン)、TiAlN(窒化チタンアルミ)、WCC(タングステンカーバイド)、VC(バナジウムカーバイド)などのいずれかのコーティング、あるいは、リン酸マンガン皮膜、二硫化モリブデン皮膜、硬質アルマイト処理などのいずれかの皮膜処理を施してもよい。
図2に示すように、フレーム3は、その中心を上下に貫通するように開口部(以下、中心開口部3eと称する)が形成されている。この中心開口部3eの内壁には、主軸受3aが設けられている。中心開口部3eには、主軸8の上端側が挿入され、挿入部分が主軸受3aによって軸支されるようになっている。
また、中心開口部3eの上方には、中心開口部3eと連通し、揺動スクロール2のボス部2eが旋回可能に収納されるボス部収納部3fが形成されている。ボス部収納部3fの上方には、中心開口部3e及びボス部収納部3fと連通し、オルダムリング5のリング部5cが摺動可能に収納されるオルダムリング収納部3gが形成されている。オルダムリング収納部3gの上方には、中心開口部3e、ボス部収納部3f及びオルダムリング収納部3gと連通し、揺動スクロール2が揺動可能に収納される揺動スクロール収納部3hが形成されている。
そして、中心開口部3e、ボス部収納部3f、オルダムリング収納部3g、揺動スクロール収納部3hの順に径が大きくなっている。つまり、フレーム3は、その内部断面構造が階段状に構成されている。なお、中心開口部3e、ボス部収納部3f、オルダムリング収納部3g、揺動スクロール収納部3hの径は、冷媒圧縮機Aの大きさや揺動スクロール2の大きさ等に応じて決定されるようになっている。
揺動スクロール収納部3hの底面の一部には、冷媒を圧縮要素部50に取り込むための吸入ポート3bが開口形成されている。ボス部収納部3fには、その壁面の一部を径方向外側に向かって切り欠いたオルダムキー溝3cが形成されている。オルダムキー溝3cは、オルダムリング5のキー部5bに対応した位置、つまり主軸8を中心として対向した位置に形成され、キー部5bを摺動可能に収納する。オルダムキー溝3cは、フレーム3の内外を連通するように形成されている。そのため、オルダムキー溝3cの形成位置におけるオルダムリング収納部3gの壁面の一部、揺動スクロール収納部3hの底面の一部が切り欠かれている。オルダムキー溝3cは、フレーム3と同材料の鋳鉄などの鉄系金属で形成されている。また、オルダムリング収納部3gの底面は、オルダム摺動面3dとして作用する。
さらに、オルダムキー溝3cのリング部5cよりも外周側に突出した上方には、オルダムリング5の転覆を抑制する天井部23が設けられている。天井部23は、フレーム3に設置された状態において、揺動スクロール収納部3hの底面の一部を構成するとともに、オルダムリング収納部3gの壁面の一部を構成する。つまり、天井部23は、オルダムキー溝3cのリング部5cよりも外周側に突出した上方に橋渡しをするように設けられる。また、天井部23は、オルダムリング5の慣性力が最も大きくなるオルダムリング5の往復運動の移動量の両終端付近に設置されている。天井部23は、ボルトなどの締結部材23bを用いることにより強固に取り付けられる。
なお、オルダムリング5のリング部5cは、フレーム3のオルダム摺動面3dの面上に、オルダムキー溝3cに沿った往復運動が可能になるように配置される。また、オルダムリング5の往復運動の移動距離は、渦巻(ラップ部1a、ラップ部2a)の形状によって決定する。そのため、冷媒圧縮機Aでは、渦巻の形状に応じて、すなわちオルダムリング5の往復運動の移動距離に応じて、天井部23のみを交換することで対応できるようになっている。キー部5bの上面と天井部23の下面との隙間は、キー部5bが摺動可能なように、キー部5bとオルダムキー溝3cとの隙間と同程度となっている。
天井部23は、鋳鉄や焼結などの鉄系金属あるいはアルミ系の合金属の摺動性の良い材料で形成されている。また、摺動性をさらに向上することを目的として、天井部23の下面のみ、あるいは天井部23の下面を含む天井部23の表面をDLC、DLC−Si、CrN、TiN、TiCN、TiAlN、WCC、VCなどのいずれかのコーティング、あるいは、リン酸マンガン皮膜、二硫化モリブデン皮膜、硬質アルマイト処理などのいずれかの皮膜処理を施してもよい。
[天井部23の作用]
図3は、オルダムリング5の往復運動に対する天井部23の作用を説明するための概略断面図である。図3に基づいて、オルダムリング5の往復運動とともに、オルダムリング5の往復運動に対する天井部23の作用について詳しく説明する。図3(a)がオルダムリング5がフレーム3のオルダムキー溝3cに沿って往復運動(図中では左右の運動)して移動距離が最大となった時(最も左に移動した時)の状態を、図3(b)がオルダムリング5が紙面右側に移動し始めたときの状態を、それぞれ示している。
図3(a)のとき、オルダムリング5には慣性力が紙面左方向に働くが、キー部5aが揺動スクロール2のオルダムキー溝2cで規制されているため、オルダムリング5は時計回転の向きに転覆を生じる。これに対し、冷媒圧縮機Aでは、天井部23の下面をオルダムリング5のキー部5bの上面と摺動可能に、且つ、天井部23の下面でオルダムリング5のキー部5bの上面をオルダムリング5の転覆を規制する位置に天井部23を設置することで、オルダムリング5の転覆を抑制している。
また、図3に示すように、天井部23は、フレーム3のオルダムキー溝3cの上方の全てを覆うことなく、フレーム3のオルダムキー溝3cの最外端壁と、その対向する外周面との間に空間(図3に示す空間部70)を隔てて設置されている。そのため、図3(a)に示す状態のとき、フレーム3のオルダムキー溝3cが潤滑油で満たされていたとしても、潤滑油を空間部70から流出できる(図3(a)に示す点線矢印)。一方、図3(b)に示す状態のとき、フレーム3のオルダムキー溝3cが真空状態になっても、潤滑油を、空間部70から流入できる(図3(b)に示す点線矢印)。
[冷媒圧縮機Aの動作]
冷媒圧縮機Aの動作について説明する。
電動機ステータ7に電源が供給されると、電動機ステータ7が発生する回転磁界からの回転力を受けて電動機ロータ6が回転する。電動機ロータ6の回転により、主軸8が回転駆動される。なお、電源には50Hzや60Hzの一般商用電源が使用されるが、冷媒圧縮機Aでは、冷媒循環量を可変するため、駆動回転数を600rpm〜15000rpmの範囲で駆動できるようにインバータ電源も使用されている。
主軸8が回転駆動すると、偏心スライダ軸8aがスライダ9を介して揺動軸受内で回転し、揺動スクロール2へ伝えられる。このとき、オルダムリング5のキー部5aを収納する揺動スクロール2のオルダムキー溝2cと、オルダムリング5のキー部5bを収納するフレーム3のオルダムキー溝3cと、の内部で往復運動するオルダムリング5により、揺動スクロール2は自転を抑制され、揺動運動を行う。
上述したように、フレーム3、及び、サブフレーム13は、密閉容器中17内に固定される。フレーム3、サブフレーム13の固定時の精度ばらつきや、部品個々の精度ばらつきにより、主軸受3aとボールベアリング14との軸心ずれが生じる。また、主軸8のたわみも加わり、主軸受3aと主軸8、ボールベアリング14と主軸8は必ずしも平行にはならない。ここで、冷媒圧縮機Aでは、主軸受3a内の摺動面を平行にするために、主軸8と主軸受3aの間にスリーブ10を収容している。よって、主軸受3aとボールベアリング14の軸心ずれが生じた場合、主軸8は主軸受3aに対し傾斜するが、第二ピポッド部(図示せず)がスリーブ10の内周面に接触し、傾きを第二ピポッド部が吸収することによりスリーブ10の外周は、常時平行に主軸受3aと摺動することが可能となる。
揺動スクロール2が揺動運動すると揺動スクロール2には遠心力が発生し、主軸8の偏心スライダ軸8aは、スライダ9内のスライド面(図示せず)がスライド可能範囲内でスライドする。揺動スクロール2の遠心力の荷重および冷媒を圧縮するために発生する半径方向の荷重は、主軸8の偏心スライダ軸8aに加わり、偏心スライダ軸8aがたわむことで、偏心スライダ軸8aの外周面が、ボス部2eの内壁面に対して必ずしも平行にはならなくなる。
ここで、冷媒圧縮機Aでは、揺動軸受内の摺動面を平行にするために、主軸8の偏心スライダ軸8aと揺動軸受との間にスライダ9を収容している。よって、偏心スライダ軸8aがたわむことで、偏心スライダ軸8aは揺動軸受に対し傾斜するが、第一ピポッド部(図示せず)がスライダ9のスライダ面に接触し、傾きを第一ピポッド部が吸収することにより、スライダ9の外周は、常時平行に揺動軸受と摺動することが可能となる。
冷媒圧縮機Aに使用可能な冷媒には、オゾン層破壊係数がゼロであるHFC冷媒、フロン系低GWP冷媒と呼ばれているHFO1234yfやHFO1234ze、HFO1243zfなどの組成中に炭素の二重結合を有するハロゲン化炭化水素、自然冷媒であるプロパンやプロピレンなどの炭化水素系自然冷媒、若しくは、それらを適宜混合させた混合冷媒等がある。
揺動スクロール2が揺動運転すると、冷媒回路中の冷媒が、吸入接続管21から密閉容器20に吸入され、フレーム3の吸入ポート3bから揺動スクロール2のラップ部2aと固定スクロール1のラップ部1aにより形成される圧縮室25に入る。圧縮室25は、揺動スクロール2の揺動運動により揺動スクロール2の中心へ移動する。それにより、圧縮室25内の冷媒は、さらに体積が縮小されることにより圧縮される。このとき、圧縮された冷媒により固定スクロール1と揺動スクロール2とは軸方向に離れようとする荷重が働くが、揺動スクロール2のスラスト軸受部2dとスラストプレート4により構成された軸受にて荷重を支えている。
圧縮室25で圧縮された冷媒は、固定スクロール1の吐出ポート1cを通り、吐出弁24を押し開けて密閉容器20内の高圧部を通り、吐出接続管22を介して密閉容器20から吐出される。この冷媒は、外部の冷媒回路を循環した後、冷媒圧縮機Aに再度吸入されることになる。
次に、潤滑油の流れについて説明する。
密閉容器20の油溜め16に貯留されている潤滑油は、主軸8の回転によりポンプ軸8bでオイルポンプ15が駆動されることで、主軸8の油穴8c内を汲み上げられ、各摺動部に供給され、各摺動部を潤滑する。
各摺動部とは、揺動スクロール2のスラスト軸受部2dとスラストプレート4の摺動部や、揺動スクロール2のラップ部2aと固定スクロール1のラップ部1a、固定スクロール1のラップ部1aの先端面に配設されたシールと揺動スクロール2の鏡板2bのラップ部2a側の歯底面、揺動スクロール2のラップ部2aの先端面に配設されたシールと固定スクロール1の鏡板のラップ部1a側の歯底面等である。
また、潤滑油が供給される摺動部としては、他に、揺動スクロール2のオルダムキー溝2cとオルダムリング5のキー部5aや、フレーム3のオルダムキー溝3cとオルダムリング5のキー部5b、揺動スクロール2の揺動軸受(ボス部2e)とスライダ9の外周、主軸8の回転中心に対して偏心して揺動軸を駆動するスライダ9を装着する偏心スライダ軸8aの第一ピポッド部とスライダ9のスライド面、主軸受3aと主軸8の回転を支承するスリーブ10の外周、スリーブ10の内側と主軸8の第二ピポッド部などがある。
なお、これらの摺動部は、高温になるため、密閉容器20内に吸入された比較的温度の低い冷媒と同雰囲気になっており、この冷媒によって冷却されている。また、この密閉容器20内に吸入された比較的温度の低い冷媒は、電動機ロータ6や電動機ステータ7を冷却する効果もあり、冷媒回路から冷媒を取り込む吸入接続管21は、フレーム3と電動機ステータ7のそれぞれの近傍に接続されるように構成するとよい。
オルダムリング5が摺動するフレーム3のオルダム摺動面3dの面上は、潤滑油で満たされており、オルダムリング5のリング部5cとフレーム3のオルダム摺動面3dの潤滑に利用される。この潤滑油は、そのほか、揺動スクロール2のスラスト軸受部2dとスラストプレート4の摺動部を潤滑する。そして、揺動スクロール2の鏡板2bのラップ部2a側に漏れた潤滑油は、フレーム3の吸入ポート3bよりフレーム3内に取り込まれた冷媒と一緒に圧縮室25に取り込まれ、揺動スクロール2のラップ部2aと固定スクロール1のラップ部1aや、固定スクロール1のラップ部1aの先端面に配設されたシールと揺動スクロール2のラップ部2a側の歯底面や、揺動スクロール2のラップ部2aの先端面に配設されたシールと固定スクロール1のラップ部1a側の歯底面の潤滑に利用される。
その後、潤滑油は、冷媒ガスと一緒に固定スクロール1の吐出ポート1cを通り、吐出弁24を押し開けて、密閉容器20内の高圧部を通り、吐出接続管22を介して密閉容器20から吐出され、冷凍空調機器の冷媒配管内を巡って、圧縮機の吸入接続管21より戻ってくる。
[冷媒圧縮機Aの奏する効果]
以上のように、冷媒圧縮機Aによれば、オルダムキー溝3cの上方にオルダムリング5の転覆を抑制可能な天井部23を設けることで、オルダムリング5の慣性力が大きくなっても天井部23がキー部5bの上面を押さえることで矯正することができ、オルダムリング5の転覆を抑制することができる。そのため、揺動スクロール2のオルダムキー溝2cとオルダムリング5のキー部5aの摺動状態がなるべく大きな面で摺動できることになり、揺動スクロール2のオルダムキー溝2cとオルダムリング5のキー部5aの摩耗を減少でき、また、オルダムリング5の破損を回避できる信頼性の高い冷媒圧縮機を得ることができる。
また、冷媒圧縮機Aは、冷媒の循環量を大きくする必要がある、HFO1234yfなどのフロン系低GWP冷媒や、プロパンなどの炭化水素系自然冷媒などの地球温暖化係数(GWP)の低い冷媒への移行においても、運転回転数を増速する場合や、ストロークボリュームを大きくするなどの場合においても対応を容易に図ることができる。
さらに、冷媒圧縮機Aによれば、従来、オルダムリング5に慣性力が大きくなるために使用できなかった高剛性の鉄系の金属を使用してもオルダムリング5の転覆を抑制できるため、圧縮室25を形成するラップ部(ラップ部1a、ラップ部2a)の組み合わさる角度位相を精度良く保つことが可能になり、更に高性能なものとなる。
またさらに、天井部23は、オルダムリング5の慣性力が最も大きくなるオルダムリング5の往復運動の移動量の両終端付近に配設しているため、フレーム3のオルダムキー溝3c内が潤滑油で満たされていても、天井部23の奥側に形成されている空間部70から潤滑油を流出できる。したがって、冷媒圧縮機Aによれば、潤滑油を圧縮する動力は発生せず、冷媒圧縮機Aの必要動力を増やすことなく、高性能な状態を維持できる。
具体的に説明すると、図3(a)には、オルダムリング5の移動距離が最大となったときの状態を表しているが、このとき、フレーム3のオルダムキー溝3cが潤滑油で満たされていたとしても、天井部23とフレーム3のオルダムキー溝3cの最外端壁との間には空間部70が形成されているので、潤滑油をその空間部70から流出できる。そのため、潤滑油を圧縮する動力は発生せず、冷媒圧縮機Aの必要動力を増やすことなく高性能を維持できる。
また、図3(b)には、オルダムリング5が紙面右側に移動し始めたときの状態を表しているが、フレーム3のオルダムキー溝3cが真空状態になってとしても、天井部23とフレーム3のオルダムキー溝3cの最外端壁との間には空間部70が形成されているので、潤滑油をその空間部70から流入できる。そのため、冷媒圧縮機Aでは、真空状態になることによる動力は発生しない。
上記の効果は、大きな冷媒循環量が必要になる、オゾン層破壊係数がゼロであるHFC冷媒だけでなく、フロン系低GWP冷媒と呼ばれているHFO1234yfやHFO1234ze、HFO1243zfなどの組成中に炭素の二重結合を有するハロゲン化炭化水素、自然冷媒であるプロパンやプロピレンなどの炭化水素系自然冷媒、若しくは、それらを適宜混合させた混合冷媒を使用する場合に、効果はより大きくなる。このような冷媒を使用する場合、オゾン層破壊係数がゼロであるHFC冷媒として主に使用されているフロン系冷媒のR410Aと同等の性能を得るためには、冷媒圧縮機Aは運転回転数を増速するか、または、ストロークボリュームを大きくするなどの対応が必要になる。
そうすると、前述のようにオルダムリング5の転覆を大きくしてしまうが、天井部23によりオルダムリング5の転覆を抑制することで、地球温暖化係数の小さい冷媒を使用しても冷媒圧縮機Aを高効率のまま、構成することが可能となる。つまり、運転回転数を大きくする場合、慣性力は運転回転数に比例して大きくなり、ストロークボリュームを大きくする場合、オルダムリング5の往復運動の距離が増え慣性力は大きくなるばかりでなく、オルダムリング5のキー部5a、5bに加わる荷重も増大するため、オルダムリング5の転覆を抑制する構造は、より効果を発揮する。
実施の形態2.
図4は、本発明の実施の形態2に係る冷媒圧縮機のオルダムリング5の往復運動に対する天井部23の作用を説明するための概略断面図である。図4に基づいて、実施の形態2に係る冷媒圧縮機のオルダムリング5の往復運動とともに、オルダムリング5の往復運動に対する天井部23の作用について詳しく説明する。なお、実施の形態2では実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。
実施の形態1では、天井部23を一対のフレーム3のオルダムキー溝3cの両方に取り付ける構造について説明したが、実施の形態2では、天井部23をフレーム3のオルダムキー溝3cのどちらか一方に取り付ける構造について説明する。なお、図4では、天井部23が取り付けられている方の断面を示している。図4(a)がオルダムリング5がフレーム3のオルダムキー溝3cに沿って往復運動(図中では左右の運動)して移動距離が最大となった時(最も左に移動した時)の状態を、図4(b)がオルダムリング5が反対側に移動距離が最大となった時(最も右に移動した時)の状態を、それぞれ示している。
天井部23は、図4(a)に示す状態のとき、オルダムリング5のリング部5cと接触しないぎりぎりの位置となるように配置位置が決定されている。また、天井部23は、図4(b)に示す状態のとき、オルダムリング5のキー部5bの上面とオーバーラップするように配置位置が決定されている。つまり、図4(b)に示すように、オルダムリング5が最も右側に移動した状態で、オルダムリング5のキー部5bの上面が天井部23の下面とオーバーラップするように、天井部23およびオルダムリング5のキー部5bの大きさおよび位置関係が調整されている。なお、天井部23およびオルダムリング5のキー部5bの大きさおよび位置関係以外については実施の形態1と同様である。
[実施の形態2に係る冷媒圧縮機の奏する効果]
以上のように、実施の形態2に係る冷媒圧縮機によれば、オルダムリング5の移動距離が最大となるいずれの時においても、オルダムリング5のキー部5bの上面が天井部23の下面とオーバーラップするように構成されている。これにより、天井部23を、フレーム3のオルダムキー溝3cのどちらか一方のみに取り付けるだけで実施の形態1と同様の効果を奏することになる。
具体的には、天井部23は、フレーム3のオルダムキー溝3cのどちらか一方のみに取り付けるだけでよく、オルダムリング5の慣性力が大きくなってもオルダムリング5の転覆を抑制することができる。また、天井部23をフレーム3のオルダムキー溝3cのどちらか一方のみに取り付けるだけでよいので、揺動スクロール2にあるオルダムキー溝2cとオルダムリング5のキー部5aの摩耗を減少することができ、また、オルダムリング5の破損を回避できる信頼性の高い冷媒圧縮機を得ることができる。これにより、部品点数が少なくでき、生産時間も短縮できることからコストダウンすることが可能となる。
実施の形態3.
図5は、本発明の実施の形態3に係る冷媒圧縮機のオルダムリング5の往復運動に対する天井部23の作用を説明するための概略断面図である。図5に基づいて、実施の形態3に係る冷媒圧縮機のオルダムリング5の往復運動とともに、オルダムリング5の往復運動に対する天井部23の作用について詳しく説明する。なお、実施の形態3では実施の形態1、2との相違点を中心に説明し、実施の形態1、2と同一部分には、同一符号を付して説明を省略するものとする。
実施の形態1、2では、天井部23を一対のフレーム3のオルダムキー溝3cの両方もしくはどちらか一方に取り付ける構造について説明したが、実施の形態3では、天井部23とフレーム3のオルダムキー溝3cで構成される空間をシリンダとして、オルダムリング5のキー部5bをピストンとして利用する構造について説明する。つまり、実施の形態では、天井部23が、フレーム3のオルダムキー溝3cの最外端壁と接触するように設置されている。なお、図5では、天井部23のいずれか一方の断面を示している。図5(a)がオルダムリング5がフレーム3のオルダムキー溝3cに沿って往復運動(図中では左右の運動)して移動距離が最大となった時(最も左に移動した時)の状態を、図5(b)がオルダムリング5が紙面右側に移動し始めたときの状態を、それぞれ示している。
実施の形態3では、油抜き穴23aが形成された天井部23が、フレーム3のオルダムキー溝3cの上方全てを蓋するように覆うようになっている。そして、フレーム3のオルダムキー溝3cの最外端壁には、オルダムキー溝3cとフレーム3内の揺動スクロール2が揺動運動を行う揺動運動空間(揺動スクロール収納部3h)とを連通する給油経路26が形成されている。また、給油経路26中のオルダムキー溝3cと揺動運動空間との間には、揺動運動空間からフレームのオルダムキー溝3cへの潤滑油の流れを阻止する向きに逆止弁27が備えられている。さらに、スラストプレート4には給油経路26と連通する給油穴4aが設けられ、給油経路26と揺動運動空間とが塞がれてしまうことを回避している。
通常、フレーム3のオルダムキー溝3cは、潤滑油で満たされているため、天井部23とフレーム3のオルダムキー溝3cで構成された空間はシリンダの働きをする。そうすると、図5(a)に示すように、オルダムリング5のキー部5bはピストンの働きをし、オルダムリング5のキー部5bによって、天井部23とフレーム3のオルダムキー溝3cで構成された空間に溜まっていた潤滑油は、給油経路26に流入し、逆止弁27を押し開けて、揺動運動空間へ噴出されることになる。一方、図5(b)の状態のとき、揺動運動空間からの冷媒ガスの逆流を防ぐために逆止弁27が閉じる。
[実施の形態3に係る冷媒圧縮機の奏する効果]
以上のように、実施の形態3に係る冷媒圧縮機によれば、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、天井部23とオルダムキー溝3cでシリンダとして機能する空間を形成しているので、揺動運動空間へさらに潤滑油を給油することができる。よって、より多くの潤滑油が冷媒と一緒に圧縮室25に取り込まれるようになり、固定スクロール1、揺動スクロール2による摺動部の摺動特性は向上し、摺動損失を低減できることはもちろんのこと、信頼性についても向上させることが可能になる。
また、天井部23には油抜き穴23aが形成されているので、ピストンとなるオルダムリング5のキー部5bがオルダムキー溝3cに沿って往復運動する移動距離が大きくなる場合でも給油経路26から揺動運動空間へ噴出する潤滑油の量を容易に調整することができる。この給油方式によれば、一回転当り、すなわちオルダムリング5の一往復当りの給油量を確実に設定することができる。そのため、従来、揺動スクロール2のスラスト軸受部2dとスラストプレート4の摺動部を潤滑した後の漏れた油で潤滑させていたことに対して、固定スクロール1、揺動スクロール2による摺動部の摺動特性の安定化を図ることができる。
なお、実施の形態3では、逆止弁27に球状の弁を使用している場合を例に図示しているが、これに限定するものではなく、板ばね等を用いた構成としてもよい。また、実施の形態3は、実施の形態1、2のいずれにおいても、天井部23がフレーム3のオルダムキー溝3cの最外端壁と接触するように設置されていれば適用することができる。
1 固定スクロール、1a ラップ部、1b 鏡板、1c 吐出ポート、2 揺動スクロール、2a ラップ部、2b 鏡板、2c オルダムキー溝、2d スラスト軸受部、2e ボス部、3 フレーム、3a 主軸受、3b 吸入ポート、3c オルダムキー溝、3d オルダム摺動面、3e 中心開口部、3f ボス部収納部、3g オルダムリング収納部、3h 揺動スクロール収納部、4 スラストプレート、4a 給油穴、5 オルダムリング、5a キー部、5b キー部、5c リング部、6 電動機ロータ、7 電動機ステータ、8 主軸、8a 偏心スライダ軸、8b ポンプ軸、8c 油穴、9 スライダ、10 スリーブ、11 バランサ、12 バランサ、13 サブフレーム、14 ボールベアリング、15 オイルポンプ、16 油溜め、17 密閉容器中、18 密閉容器下、19 密閉容器上、20 密閉容器、21 吸入接続管、22 吐出接続管、23 天井部、23a 油抜き穴、23b 締結部材、24 吐出弁、25 圧縮室、26 給油経路、27 逆止弁、50 圧縮要素部、60 駆動要素部、70 空間部、A 冷媒圧縮機。

Claims (7)

  1. 鏡板の一方の面にラップ部を立設した固定スクロールと、
    鏡板の一方の面にラップ部を立設し、このラップ部が前記固定スクロールの前記ラップ部と噛み合わされるように配置される揺動スクロールと、
    前記揺動スクロールの背面側に配置されて前記揺動スクロールの自転運動を阻止するオルダムリングと、
    前記オルダムリングのキー部を摺動可能に収納するオルダムキー溝が対向位置に2箇所形成され、前記揺動スクロールを揺動可能に支持するフレームと、
    前記オルダムキー溝のうちの少なくとも一方の上方であって、少なくとも前記キー部が前記オルダムキー溝内で往復運動して径方向外側への移動距離が最大となったとき、前記キー部の上面とオーバーラップする位置に設けられた天井部と、
    を備え、
    前記天井部は、
    前記オルダムキー溝の最外端壁と空間を隔てて設置されている
    ことを特徴とする冷媒圧縮機。
  2. 鏡板の一方の面にラップ部を立設した固定スクロールと、
    鏡板の一方の面にラップ部を立設し、このラップ部が前記固定スクロールの前記ラップ部と噛み合わされるように配置される揺動スクロールと、
    前記揺動スクロールの背面側に配置されて前記揺動スクロールの自転運動を阻止するオルダムリングと、
    前記オルダムリングのキー部を摺動可能に収納するオルダムキー溝が対向位置に2箇所形成され、前記揺動スクロールを揺動可能に支持するフレームと、
    前記オルダムキー溝のうちの少なくとも一方の上方であって、少なくとも前記キー部が前記オルダムキー溝内で往復運動して径方向外側への移動距離が最大となったとき、前記キー部の上面とオーバーラップする位置に設けられた天井部と、
    を備え、
    前記天井部を、前記オルダムキー溝の最外端壁と接触させて設置し、
    前記オルダムキー溝の最外端壁から前記フレーム内の前記揺動スクロールが揺動する揺動運動空間に連通する給油経路を設け、
    前記給油経路中に前記揺動運動空間から前記オルダムキー溝への流れを阻止する向きに逆止弁を設けた
    ことを特徴とする冷媒圧縮機。
  3. 前記天井部は、
    前記オルダムキー溝のそれぞれに設けられている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷媒圧縮機。
  4. 前記天井部は、
    前記キー部が前記オルダムキー溝内で往復運動している間、その下面が前記キー部の上面とオーバーラップするようになっている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の冷媒圧縮機。
  5. 前記天井部には、
    前記オルダムキー溝からの給油量を調整する油抜き穴が設けられている
    ことを特徴とする請求項2に記載の冷媒圧縮機。
  6. 前記フレームに、前記揺動スクロールのスラスト軸受荷重を支持するスラストプレートを設け、
    前記スラストプレートには、
    前記給油経路と前記揺動運動空間とを連通させる給油穴が形成されている
    ことを特徴とする請求項2又は5に記載の冷媒圧縮機。
  7. 組成中に炭素の二重結合を有するハロゲン化炭化水素冷媒、炭化水素冷媒、又は、それらを混合させた冷媒を圧縮する
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の冷媒圧縮機。
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