JP6677109B2 - 波長校正方法及びその波長校正方法を用いた分光光度計 - Google Patents
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Description
θs=θ’+Δθ ・・・(1)
ここで、mは使用する回折光の次数であり、dは回折格子の格子溝間隔(nm)であり、Kは分光器偏角(回折格子の入射光と出射光との成す角)の1/2(rad)である。つまり、dやKが製造及び組立時の誤差等によってばらついた場合、取り出される光の波長λ’は(2d・cosK/m)の変化に伴って、下記式(3)のように一次的に変化する。
λ’=a・λ+b ・・・(3)
よって、組立て誤差に関する係数となるdとKとは、輝線スペクトルの実測波長λxに基づいて実験的に求められている。
また、基準波長Λx±4nmとなる広めの波長範囲を測定するため、例えば第一の基準波長Λ1±4nmの範囲に、第二の基準波長Λ2に対応する第二の実測波長λ2のピークが存在していても、第一の基準波長Λ1に対応するピークとして誤検出することがあった。
また、「Δλa」は、オペレータ等によって決められる任意の波長であり、組立て誤差による波長ずれを考慮したものであって、例えば4nm等となる。一方、「Δλb」とは、オペレータ等によって決められる任意の波長であり、組立て誤差以外の小さな誤差による波長ずれを考慮したものであって「Δλa」より小さく、例えば2nm等となる。
また、本発明の波長校正方法は、減速機構としてハーモニックドライブ(登録商標)を用いている装置において、第二係数決定ステップでは、組立て誤差に関する係数d、Kを精度良く再決定するのみでなく、下記式(4)で示されるハーモニックドライブの周期性誤差に関する係数A、B、θa、θb、θc(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)を決定するようにしても良い。ハーモニックドライブの周期性誤差は、組立て誤差よりも充分に小さいため、「Δλa」よりも小さい「Δλb」を設定することができる。この場合も同様に、校正にかかる時間を短縮したり、近隣のピークの誤検出を防いだりする効果がある。
Δθ=A・sin(C1・θ+θa)+B・sin(C2・θ+θb)+θc ・・・(4)
ここで、C1とC2とは、ハーモニックドライブ機構(ハーモニックギア)の構造により理論的に決まる係数であり、例えば減速比が1/100であるハーモニックドライブギアの場合には、C1とC2とはそれぞれ200と100となる。また、A、B、θa、θb、θcは、減速機構毎(つまり分光器毎又は分光光度計毎)に相違する装置固有の係数であり、いずれも基準波長(輝線スペクトル)の実測波長λxに基づいて、つまり実験的に決まる係数(周期性誤差に関する係数)となる。
すなわち、本発明の波長校正方法において、前記分光器は、モータと、当該モータの回転を減速するハーモニックドライブ機構による減速手段と、当該減速手段で減速された回転駆動力により駆動される波長分散素子とを備えるものであり、前記補正式は、組立て誤差に関する係数及びハーモニックドライブの周期性誤差に関する係数を含むものであり、前記第二係数決定ステップは、(X−N)個の基準波長について実測波長λxと基準波長Λxとの波長ずれΔλxを算出して、前記第一係数決定ステップで算出された波長ずれΔλxも用いて、組立て誤差に関する係数を前記第一係数決定ステップで粗く決定した組立て誤差に関する係数よりも精度良く再決定するととともに、ハーモニックドライブの周期性誤差に関する係数を決定するようにしても良い。
そして、本発明の分光光度計は、モータによる回転駆動力により駆動される波長分散素子を備え、光源、又は、光源および波長校正用フィルタを用いて少なくともX個の既知の基準波長Λxを有する光が出射可能とされる分光器と、試料が配置される試料室と、前記試料から放出される光の波長及び強度を検出する光検出器と、設定された目的波長λsと記憶部に記憶された補正式および補正係数とに基づいて目的波長λsに対応する前記波長分散素子の角度θsを算出して当該角度θsを得るように前記モータを駆動させる制御部を備えた分光光度計であって、前記補正式は組立誤差に関する係数を含むものであり、前記制御部は、組立誤差に関する係数の校正を行う波長校正部を含み、前記波長校正部は、前記分光器により出射されるX個の既知の基準波長ΛxのうちのN個の基準波長について基準波長Λx±Δλaの範囲の波長を測定することにより、N個の実測波長λxを得る第一測定処理を行い、N個の基準波長について、決定された実測波長λxと基準波長Λxとの波長ずれΔλxを算出して、組立て誤差に関する係数を粗く決定する第一係数決定処理を行い、(X−N)個の基準波長について組立て誤差に関する係数に基づいて2Δλaより狭い範囲となる波長範囲2Δλbの波長を測定することにより、(X−N)個の実測波長λxを得る第二測定処理を行い、(X−N)個の基準波長について実測波長λxと基準波長Λxとの波長ずれΔλxを算出して、前記第一係数決定処理で算出された波長ずれΔλxも用いて、組立て誤差に関する係数を前記第一係数決定処理で決定した組立て誤差に関する係数よりも精度良く再決定する第二係数決定処理を行い、前記再決定された組立誤差に関する係数を前記記憶部に記憶させるようにしている。
このような分光器10によれば、ハーモニックドライブ22により回折格子13を設定角度θsに回転させることによって、出口スリット11aを通して設定波長λsの光を出射することができるようになっている。
ここで、波長校正部51dが波長校正する波長校正方法(アルゴリズム)の一例について説明する。図2は、波長校正方法について説明するためのフローチャートである。
波長校正方法は、4(N)個の基準波長(輝線スペクトル)の実測波長λxを得る第一測定ステップAと、組立て誤差に関する係数d、Kを粗く決定する第一係数決定ステップBと、36(X−N)個の基準波長(輝線スペクトル)の組立て誤差粗補正基準波長Λx’を算出する組立て誤差粗補正基準波長算出ステップCと、36個の基準波長(輝線スペクトル)の実測波長λxを得る第二測定ステップDと、組立て誤差に関する係数d、Kを精度良く再決定するとともに、周期性誤差に関する係数A、B、θa、θb、θcを決定する第二係数決定ステップEとを含む。
まず、ステップS101の処理において、係数d、Kを粗く決定するための基準波長(輝線スペクトル)の個数を示すパラメータN=1とする。
次に、ステップS102の処理において、光源12の第Nの基準波長(輝線スペクトル)について、パルスモータ21を制御して回折格子13を回転させながら、光検出器30で検出信号を0.01nm間隔で取得していくことで、基準波長ΛN±Δλa(例えば4nm)の範囲のスペクトルを測定して、そのスペクトル中のピークから第Nの実測波長λNを得る。
次に、ステップS103の処理において、N=4であるか否かを判定する。N=4でないと判定したときには、ステップS104の処理において、N=N+1として、ステップS102の処理に戻る。つまり、4個の実測波長λNを、基準波長ΛN±Δλaの範囲を測定して得ることになる。なお、40(X)個の基準波長(輝線スペクトル)の内からどの4個の基準波長(輝線スペクトル)を選択するかについては、任意に指定できるようにしても良いし、予め設定しておいても良いが、近くに隣接するピークがないため弁別の必要がなく、できるだけ校正波長範囲の両端付近の波長となる基準波長(輝線スペクトル)を選択することが好ましい。
一方、N=4であると判定したときには、ステップS105の処理において、選択した4個の基準波長(輝線スペクトル)について、実測波長λxと基準波長Λxとの波長ずれΔλxを算出し、補正式(1)〜(3)を用いてΔθ=0とし、組立て誤差に関する係数d、Kを粗く決定して係数記憶領域54bに記憶させる。
次に、ステップS106の処理において、ステップS105で決定した係数d、Kに基づいて、組立て誤差の影響を粗く取り除いた36(X−N)個の基準波長(輝線スペクトル)の組立て誤差粗補正基準波長Λx’を算出する。
次に、ステップS107の処理において、組立て誤差に関する係数d、Kを精度良く再決定するための基準波長(輝線スペクトル)の個数を示すパラメータM=1とする。
次に、ステップS108の処理において、光源12の第Mの輝線スペクトルについて、パルスモータ21を制御して回折格子13を回転させながら、光検出器30で検出信号を0.01nm間隔で取得していくことで、組立て誤差粗補正基準波長ΛM’±Δλb(例えば2nm)の範囲のスペクトルを測定して、そのスペクトル中のピークから第Mの実測波長λMを得る。
次に、ステップS109の処理において、M=36であるか否かを判定する。M=36でないと判定したときには、ステップS110の処理において、M=M+1として、ステップS108の処理に戻る。つまり、36個の実測波長λMを、組立て誤差粗補正基準波長ΛM’±Δλbの範囲を測定して得ることになる。なお、第一測定ステップで選択された4個の基準波長(輝線スペクトル)は、第二測定ステップでは選択されないように設定されている。
一方、M=36であると判定したときには、ステップS111の処理において、36個の基準波長(輝線スペクトル)について、実測波長λxと基準波長Λxとの波長ずれΔλxを算出し、さらに(B)第一係数決定ステップで算出された4個の基準波長(輝線スペクトル)における波長ずれΔλxと、補正式(1)〜(3)とを用いてΔθ=0とし、組立て誤差に関する係数d、Kを精度良く再決定して係数記憶領域54bに記憶させる。
また、36個の基準波長(輝線スペクトル)における波長ずれΔλxと、(B)第一係数決定ステップで算出された4個の基準波長(輝線スペクトル)における波長ずれΔλxと、補正式(1)〜(4)と、再決定された係数d、Kとを用いて、周期性誤差に関する係数A、B、θa、θb、θcを決定して係数記憶領域54bに記憶させる。
そして、ステップS111の完了をもって本フローチャートを終了させる。
(1)上述した分光光度計1では波長校正部51dを備える構成としたが、波長校正部は、波長校正方法が実行された後は、取り除いたり削除されるようにしても良い。
(2)上述した分光光度計1では、波長校正部51dで、光源12の輝線スペクトルのみを基準波長として用いる構成としたが、波長校正用フィルタを備え、波長校正用フィルタの吸収ピークも基準波長として用いるようにしても良い。
12 光源
13 回折格子(波長分散素子)
21 パルスモータ
22 ハーモニックドライブ(減速手段)
Claims (3)
- モータによる回転駆動力により駆動される波長分散素子を備える分光器により取り出される光の波長λsを、補正式を用いて校正するための波長校正方法であって、
前記補正式は、組立て誤差に関する係数を含むものであり、
少なくともX個の既知の基準波長Λxを有する光を出射するための光源、又は、光源および波長校正用フィルタを用いて、X個の内のN個の基準波長について基準波長Λx±Δλaの範囲の波長を測定することにより、N個の実測波長λxを得る第一測定ステップと、
N個の基準波長について、決定された実測波長λxと基準波長Λxとの波長ずれΔλxを算出して、組立て誤差に関する係数を粗く決定する第一係数決定ステップと、
(X−N)個の基準波長について組立て誤差に関する係数に基づいて2Δλaより狭い範囲となる波長範囲2Δλbの波長を測定することにより、(X−N)個の実測波長λxを得る第二測定ステップと、
(X−N)個の基準波長について実測波長λxと基準波長Λxとの波長ずれΔλxを算出して、前記第一係数決定ステップで算出された波長ずれΔλxも用いて、組立て誤差に関する係数を前記第一係数決定ステップで粗く決定した組立て誤差に関する係数よりも精度良く再決定する第二係数決定ステップとを含むことを特徴とする波長校正方法。 - 前記分光器は、モータと、当該モータの回転を減速するハーモニックドライブ機構による減速手段と、当該減速手段で減速された回転駆動力により駆動される波長分散素子とを備えるものであり、
前記補正式は、組立て誤差に関する係数及びハーモニックドライブの周期性誤差に関する係数を含むものであり、
前記第二係数決定ステップは、(X−N)個の基準波長について実測波長λxと基準波長Λxとの波長ずれΔλxを算出して、前記第一係数決定ステップで算出された波長ずれΔλxも用いて、組立て誤差に関する係数を前記第一係数決定ステップで粗く決定した組立て誤差に関する係数よりも精度良く再決定するととともに、ハーモニックドライブの周期性誤差に関する係数を決定することを特徴とする請求項1に記載の波長校正方法。 - モータによる回転駆動力により駆動される波長分散素子を備え、光源、又は、光源および波長校正用フィルタを用いて少なくともX個の既知の基準波長Λxを有する光が出射可能とされる分光器と、
試料が配置される試料室と、
前記試料から放出される光の波長及び強度を検出する光検出器と、
設定された目的波長λsと記憶部に記憶された補正式および補正係数とに基づいて目的波長λsに対応する前記波長分散素子の角度θsを算出して当該角度θsを得るように前記モータを駆動させる制御部を備えた分光光度計であって、
前記補正式は組立誤差に関する係数を含むものであり、前記制御部は、組立誤差に関する係数の校正を行う波長校正部を含み、
前記波長校正部は、
前記分光器により出射されるX個の既知の基準波長ΛxのうちのN個の基準波長について基準波長Λx±Δλaの範囲の波長を測定することにより、N個の実測波長λxを得る第一測定処理を行い、
N個の基準波長について、決定された実測波長λxと基準波長Λxとの波長ずれΔλxを算出して、組立て誤差に関する係数を粗く決定する第一係数決定処理を行い、
(X−N)個の基準波長について組立て誤差に関する係数に基づいて2Δλaより狭い範囲となる波長範囲2Δλbの波長を測定することにより、(X−N)個の実測波長λxを得る第二測定処理を行い、
(X−N)個の基準波長について実測波長λxと基準波長Λxとの波長ずれΔλxを算出して、前記第一係数決定処理で算出された波長ずれΔλxも用いて、組立て誤差に関する係数を前記第一係数決定処理で決定した組立て誤差に関する係数よりも精度良く再決定する第二係数決定処理を行い、
前記再決定された組立誤差に関する係数を前記記憶部に記憶させることを特徴とする分光光度計。
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