JP6673706B2 - ポリプロピレン系樹脂発泡シート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
ポリプロピレン系樹脂発泡シートとしては、発泡中間層と該発泡中間層の両側に設けられた非発泡表面層とを備える多層発泡シートが知られている(特許文献1および特許文献2)。特許文献1に記載の多層発泡シートおいては、溶融状態での強度が高い成分として長鎖分岐を有するポリプロピレンを非発泡層の表面に設けることにより、発泡中間層において形成された気泡あるいは気泡破壊に起因する凹凸発生を防止する効果が発現される。そのため、高発泡倍率(軽量)でありながら表面平滑性の高い良好な外観を得ることができる。また、特許文献2に記載の多層発泡シートにおいては、表面層を、メルトテンション及びメルトフローレートが特定の条件を満たす直鎖状ポリプロピレン系樹脂を含む層として、発泡倍率を高くし且つ外観を良好にしている。
そこで、本発明は、発泡倍率が高く且つ表面外観に優れるポリプロピレン系樹脂発泡シートを提供することを目的とする。また、本発明は、空気の吹き付けによって金属ロールに密着させたにもかかわらず、発泡倍率が高く且つ表面外観に優れたポリプロピレン系樹脂発泡シートを容易に製造できるポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法を提供することを目的とする。
前記発泡中間層の厚さ(T1)と前記表面層の厚さ(T2)との比率(T1/T2)が3/1〜10/1であり、
前記発泡中間層を構成するポリプロピレン系樹脂は、下記式(1)で求められる溶融張力指数が1.2以上であり、前記表面層を構成するポリプロピレン系樹脂は、下記式(1)で求められる溶融張力指数が1.8以上であり、且つ、前記表面層を構成するポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数が、前記発泡中間層を構成するポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数以上である、ポリプロピレン系樹脂発泡シート。
log(溶融張力指数)=log(MT)+0.85log(MFR)−0.82(1)
MTは、長さ8.0mm且つ直径2.095mmの上面が平面の円筒状のオリフィスを取り付けた溶融張力測定装置を用い、測定温度200℃、樹脂押出速度15mm/分、引取速度6.5m/分の条件で測定したポリプロピレン系樹脂の溶融張力(g重)である。
MFRは、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートである。
[2]前記表面層に含まれるポリプロピレン系樹脂は、プロピレン重合体とエチレン・αオレフィン共重合体とを含有し、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したメルトフローレートが2〜15g/10分であり、キシレン可溶分の、135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度が6〜10dl/g、キシレン不溶分の質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率(Mw/Mn)が7以上、前記エチレン・αオレフィン共重合体の含有割合が20〜40質量%であり、
前記プロピレン重合体は、エチレン単位とαオレフィン単位の合計の含有割合が5.0質量%以下及びプロピレン単位の含有割合が95質量%以上であり、
前記エチレン・αオレフィン共重合体は、エチレン単位20〜40質量%及びαオレフィン単位60〜80質量%を含む、[1]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
[3]前記表面層に含まれるポリプロピレン系樹脂は、プロピレン重合体の存在下、エチレン単量体及びαオレフィン単量体を重合して得た重合混合物である、[2]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
[4]前記発泡中間層に含まれるポリプロピレン系樹脂は、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したメルトフローレートが2〜15g/10分、キシレン不溶分の質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率(Mw/Mn)が6以上である、[1]〜[3]のいずれか一に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
[5]前記発泡中間層に含まれるポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体、及び、エチレン単位とαオレフィン単位の少なくとも一方を5.0質量%以上含むプロピレンランダム共重合体の少なくとも一方である、[1]〜[4]のいずれか一に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
[6]前記発泡中間層におけるポリプロピレン系樹脂の含有割合が60質量%以上である、[1]〜[5]のいずれか一に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
[7]発泡倍率が1.30倍以上である、[1]〜[6]のいずれか一に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
前記ポリプロピレン系樹脂発泡シートの一方の面に空気を吹き付けることによって、前記ポリプロピレン系樹脂発泡シートの他方の面を金属ロールの周面に密着させることにより、前記ポリプロピレン系樹脂発泡シートを冷却する冷却工程とを有し、
前記発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂は、下記式(1)で求められる溶融張力指数が1.2以上であり、前記表面層用ポリプロピレン系樹脂は、下記式(1)で求められる溶融張力指数が1.8以上であり、且つ、前記表面層用ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数が、前記発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数以上である、ポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法。
log(溶融張力指数)=log(MT)+0.85log(MFR)−0.82(1)
MTは、長さ8.0mm且つ直径2.095mmの上面が平面の円筒状のオリフィスを取り付けた溶融張力測定装置を用い、測定温度200℃、樹脂押出速度15mm/分、引取速度6.5m/分の条件で測定したポリプロピレン系樹脂の溶融張力(g重)である。
MFRは、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートである。
[9]前記押出成形工程における発泡中間層形成の際に、発泡倍率1.30倍以上に発泡させる、[8]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法。
[10]前記表面層用ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン重合体とエチレン・αオレフィン共重合体とを含有し、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したメルトフローレートが2〜15g/10分であり、キシレン可溶分の、135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度が6〜10dl/g、キシレン不溶分の質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率(Mw/Mn)が7以上、前記エチレン・αオレフィン共重合体の含有割合が20〜40質量%であり、
前記プロピレン重合体は、エチレン単位とαオレフィン単位の合計の含有割合が5.0質量%以下及びプロピレン単位の含有割合が95質量%以上であり、
前記エチレン・αオレフィン共重合体は、エチレン単位20〜40質量%及びαオレフィン単位60〜80質量%を含む、[8]又は[9]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法。
[11]前記表面層用ポリプロピレン系樹脂を、プロピレン重合体の存在下、エチレン単量体及びαオレフィン単量体を重合して得る、[10]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法。
[12]前記発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂及び前記表面層用ポリプロピレン系樹脂の少なくとも一方を得るための重合の際に、(A)マグネシウム、チタン、ハロゲン、およびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒;(B)有機アルミニウム化合物;ならびに(C)ケイ素化合物から選択される外部電子供与体化合物を含む触媒を用いる、[8]〜[11]のいずれか一に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法によれば、空気の吹き付けによって金属ロールに密着させたにもかかわらず、発泡倍率が高く且つ表面外観に優れたポリプロピレン系樹脂発泡シートを容易に製造できる。
図1の実施形態に示すように、本実施形態の発泡シート10は、発泡中間層11と、該発泡中間層の両面に設けられた表面層12,13とからなる構成を含む。すなわち、本実施形態の発泡シートとして、2種3層あるいは3種3層の積層シートが挙げられる。
log(溶融張力指数)=log(MT)+0.85log(MFR)−0.82(1)
式(1)において、MTは、長さ8.0mm且つ直径2.095mmの上面が平面の円筒状のオリフィスを取り付けた溶融張力測定装置を用い、測定温度200℃、樹脂押出速度15mm/分、引取速度6.5m/分の条件で測定したポリプロピレン系樹脂の溶融張力(メルトテンション、単位はg重)である。具体的には、長さ8.0mm且つ直径2.095mmの上面が平面の円筒状のオリフィスを取り付けたキャピラリーレオメーターを用い、温度200℃でポリプロピレン系樹脂を溶融させる。その溶融させたポリプロピレン系樹脂を樹脂押出速度15mm/分でオリフィスより吐出させてストランドを形成する。そのストランドを、回転する引き取り手段を用いて、引き取り速度6.5m/分で引き取ると共に張力を測定する。
MFRは、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートである。
式(1)の技術的な意味を補足説明する。図2は、汎用的な線形ホモポリプロピレンにおいて、230℃で測定したMT(g重)のMFR依存性を示したものである。MTはMFRが低いと高くなり、log(MT)はlog(MFR)の増加に対してほぼ直線的に減少する。より溶融張力の高いポリプロピレンおいても、同じタイプであれば、ほぼ同様の直線関係が成り立ち、直線の傾きもほぼ一定((1)式の0.85に−の符号が付いたもの)になるので、直線のY切片の値(MFR=1(log(MFR)=0)での値)によりMFRに依存しない溶融張力の相対評価が可能である。更に式(1)においては、汎用的な線形ホモポリプロピレンにおいて溶融張力指数が1(log(溶融張力指数)=0)となるように、定数項を定めて規格化を行っている。
多層発泡シートの成形においては、カーテニングと呼ばれる現象が発生してシート表面が波打ったようになり、表面外観が悪化しやすい傾向にある。表面層用ポリプロピレン系樹脂が発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂よりも前記溶融張力指数が小さいと、カーテニングの防止効果が十分でなく、発泡シート10の表面外観が損なわれやすくなる。
表面層用ポリプロピレン系樹脂の前記溶融張力指数は1.8以上であり、2.0以上であることが好ましい。また、発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂の前記溶融張力指数は1.2以上である。表面層用ポリプロピレン系樹脂及び発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数が前記下限値未満であると、発泡シート10の表面外観が損なわれることや発泡倍率が上がらないことがある。
実用性の点から、表面層用ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数及び発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数は共に10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。表面層用ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数が大きすぎると、中間層での発泡に悪影響を及ぼし、良好な発泡シートが得られないことがある。
2つの表面層12,13は同じ厚さである必要はない。しかし、発泡シート10の製造のしやすさの点から、一方の表面層12の厚さに対して他方の表面層13の厚さが0.8〜1.2倍の範囲内であることが好ましい。
一方、発泡シート10の製造のしやすさの点から、発泡シート10の発泡倍率は5倍以下であることが好ましく、3倍以下であることがより好ましい。
発泡シート10の発泡倍率は、以下の方法により求められる。
すなわち、JIS K7112に従って発泡シート10の密度D1を測定する。発泡シート10が発泡していないときの樹脂の密度D0に対する前記密度D1の比(D1/D0)を求め、その値を発泡倍率とする。
なお、発泡シート10は、非発泡の表面層12,13を含むが、上記発泡倍率は、非発泡の表面層を含めて求めた値である。表面層や発泡中間層以外の層を含む場合は、それを含めて求めた値である。
発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、エチレン単位とαオレフィン単位の少なくとも一方を5.0質量%以下含むプロピレンランダム共重合体、ブロックポリプロピレン(プロピレン重合体の存在下、エチレン単量体及びαオレフィン単量体を重合して得た重合混合物)のいずれであってもよい。これらポリプロピレン系樹脂のなかでも、剛性と耐熱性が高くなることから、プロピレン単独重合体、又は、エチレン単位とαオレフィン単位の少なくとも一方を5.0質量%以下含むプロピレンランダム共重合体が好ましく、プロピレン単独重合体がより好ましい。前記αオレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセン等が挙げられる。
また、発泡中間層11には、ポリプロピレン系樹脂以外に他のポリオレフィン系樹脂が含まれてもよい。他のポリオレフィン系樹脂としては、例えば、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン・αオレフィン共重合体、高密度ポリエチレン、分岐状ポリプロピレン等が挙げられる。これら他のポリオレフィン系樹脂のなかでも、発泡性が高くなることから、分岐状低密度ポリエチレンが好ましい。
発泡中間層11におけるポリプロピレン系樹脂の含有割合は、発泡シート10の耐熱性が高くなることから、60質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましい。発泡中間層11の樹脂成分はポリプロピレン系樹脂のみからなってもよい。
発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂のMFRが前記下限値以上であれば、発泡シート10を製造する際の押出成形性が高くなり、前記上限値以下であれば、発泡倍率を高くしやすい。
発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂の前記Mw/Mnが前記下限値以上であれば、発泡シート10の発泡倍率を高くできる。
表面層用ポリプロピレン系樹脂は、発泡性及び表面外観をより良くする点では、プロピレン重合体とゴム成分を主体としたエチレン・αオレフィン共重合体とを含有するものが好ましい。さらに、プロピレン重合体とエチレン・αオレフィン共重合体とを含有するポリプロピレン系樹脂は、ブロックポリプロピレン(プロピレン重合体の存在下、エチレン単量体及びαオレフィン単量体を重合して得た重合混合物)がより好ましい。なお、前記重合混合物は、別々に得たプロピレン重合体とエチレン・αオレフィン共重合体と機械混合した混合物(機械混合物)とは、異なる物性を示す。これは、前記重合混合物と前記機械混合物とは、プロピレン重合体中のエチレン・αオレフィン共重合体の分散状態が異なっているためと推測されるが、エチレン・αオレフィン共重合体の分子レベルでの分散状態を分析する現実的手段は現状知られていない。
プロピレン重合体の存在下でエチレン・αオレフィン共重合体を生成させることにより、生産性が高くなる上に、プロピレン重合体中のエチレン・αオレフィン共重合体の分散性が高くなるため、剛性と耐衝撃性のバランス等が向上する。
また、多段重合は上記の方法に限らず、プロピレン重合体を複数の重合反応器にて重合してもよいし、エチレン・αオレフィン共重合体を複数の重合反応器にて重合してもよい。
また、ポリプロピレン系樹脂を得る方法として、単量体濃度や重合条件の勾配を有する重合器を用いて行う方法が挙げられる。このような重合器では、例えば、少なくとも2つの重合領域が接合されたものを使用し、気相重合で単量体を重合することができる。
具体的には、触媒の存在下、上昇管からなる重合領域にて単量体を供給して重合し、上昇管に接続された下降管にて単量体を供給して重合し、上昇管と下降管とを循環しながら、ポリマー生成物を回収する。この方法では、上昇管中に存在する気体混合物が下降管に入るのを全面的または部分的に防止する手段を備える。また、上昇管中に存在する気体混合物とは異なる組成を有する気体および/または液体混合物を下降管中に導入する。
この重合方法は、例えば、特表2002−520426号公報に記載された方法を適用することができる。
重合の際には、水素を添加することによって、得られる重合体の分子量を調節することができる。水素添加量が多くなる程、分子量が小さくなる。
より具体的なチタン化合物としては、TiCl4、TiBr4、TiI4などのテトラハロゲン化チタン;Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC2H5)Cl3、Ti(On−C4H9)Cl3、Ti(OC2H5)Br3、Ti(O−isoC4H9)Br3などのトリハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCH3)2Cl2、Ti(OC2H5)2Cl2、Ti(On−C4H9)2Cl2、Ti(OC2H5)2Br2などのジハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCH3)3Cl、Ti(OC2H5)3Cl、Ti(On−C4H9)3Cl、Ti(OC2H5)3Brなどのモノハロゲン化トリアルコキシチタン;Ti(OCH3)4、Ti(OC2H5)4、Ti(On−C4H9)4などのテトラアルコキシチタンなどが挙げられる。これらチタン化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記チタン化合物の中で好ましいものはハロゲン含有チタン化合物、とくにテトラハロゲン化チタンであり、特に好ましいものは、四塩化チタン(TiCl4)である。
これらのマグネシウム化合物は、例えば有機アルミニウム等との錯化合物の形で用いることもでき、また、液状状態であっても固体状態であってもよい。
さらに好適なマグネシウム化合物として、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウム;メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウム等のアルコキシマグネシウムハライド;フエノキシ塩化マグネシウム、メチルフエノキシ塩化マグネシウム等のアリロキシマグネシウムハライド;エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n−オクトキシマグネシウム、2−エチルヘキソキシマグネシウム等のアルコキシマグネシウム;フエノキシマグネシウム、ジメチルフエノキシマグネシウム等のアリロキシマグネシウム;ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム等のマグネシウムのカルボン酸塩などが挙げられる。
これらマグネシウム化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ジエチルスクシネート、ジブチルスクシネート、ジエチルメチルスクシネート、ジエチルジイソプロピルスクシネート、ジアリルエチルスクシネート、α−メチルグルタル酸ジイソブチル、マロン酸ジブチルメチル、マロン酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチル、イソプロピルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチル、フェニルマロン酸ジエチル、ジエチルマロン酸ジエチル、アリルマロン酸ジエチル、ジイソブチルマロン酸ジエチル、ジノルマルブチルマロン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸ジブチル、ブチルマレイン酸ジブチル、ブチルマレイン酸ジエチル、β−メチルグルタル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ−2−エチルヘキシル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル、シトラコン酸ジオクチル、シトラコン酸ジメチルなどの脂肪族ポリカルボン酸エステル。
1,2−シクロヘキサンカルボン酸ジエチル、1,2−シクロヘキサンカルボン酸ジイソブチル、テトラヒドロフタル酸ジエチル、ナジツク酸ジエチルのような脂環族ポリカルボン酸エステル。
3,4−フランジカルボン酸などの異節環ポリカルボン酸エステル。
コハク酸、コハク酸の1位または2位にアルキル基等の置換基を持つ置換コハク酸もジカルボン酸に含まれる。ジカルボン酸ジエステルの中でコハク酸、置換コハク酸、フタル酸、マレイン酸、置換マロン酸のジエステルがより好ましく、コハク酸エステル(スクシネート)系の電子供与体化合物を好適に用いることができる。
好適なスクシネート系化合物は、下記化学式(I)で表されるスクシネート構造を有する化合物である。
スクシネート系化合物を電子供与体として含む触媒を用いて重合して得た重合混合物を用いると、キシレン不溶分のMw/Mnを容易に下記範囲にでき、表面外観を容易に良くすることができる。キシレン不溶分のMw/Mnが大きいことは、ポリプロピレン系樹脂を構成するプロピレン重合体とエチレン・αオレフィン共重合体の分子量分布が広いことを意味する。分子量分布が広いと、それぞれの成分の溶融張力指数が向上する他、両成分間の分散性が向上する結果、ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数がさらに向上すると考えられる。
R3〜R6は、互いに同一か又は異なり、水素、或いは、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の線状又は分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基である。同じ炭素原子に結合しているR3とR4、R5とR6は互いに結合して環構造を形成してもよい。異なる炭素原子に結合しているR3〜R6のいずれか2つ以上は互いに結合して環構造を形成してもよい。
好適な単置換スクシネート化合物の具体例としては、ジエチル−sec−ブチルスクシネート、ジエチルテキシルスクシネート、ジエチルシクロプロピルスクシネート、ジエチルノルボニルスクシネート、ジエチルペリヒドロスクシネート、ジエチルトリメチルシリルスクシネート、ジエチルメトキシスクシネート、ジエチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジエチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジエチルフェニルスクシネート、ジエチルシクロヘキシルスクシネート、ジエチルベンジルスクシネート、ジエチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル−t−ブチルスクシネート、ジエチルイソブチルスクシネート、ジエチルイソプロピルスクシネート、ジエチルネオペンチルスクシネート、ジエチルイソペンチルスクシネート、ジエチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチルフルオレニルスクシネート、1−(エトキシカルボジイソブチルフェニル)スクシネート、ジイソブチル−sec−ブチルスクシネート、ジイソブチルテキシルスクシネート、ジイソブチルシクロプロピルスクシネート、ジイソブチルノルボニルスクシネート、ジイソブチルペリヒドロスクシネート、ジイソブチルトリメチルシリルスクシネート、ジイソブチルメトキシスクシネート、ジイソブチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジイソブチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジイソブチルシクロヘキシルスクシネート、ジイソブチルベンジルスクシネート、ジイソブチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル−t−ブチルスクシネート、ジイソブチルイソブチルスクシネート、ジイソブチルイソプロピルスクシネート、ジイソブチルネオペンチルスクシネート、ジイソブチルイソペンチルスクシネート、ジイソブチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチルフルオレニルスクシネート、ジネオペンチル−sec−ブチルスクシネート、ジネオペンチルテキシルスクシネート、ジネオペンチルシクロプロピルスクシネート、ジネオペンチルノルボニルスクシネート、ジネオペンチルペリヒドロスクシネート、ジネオペンチルトリメチルシリルスクシネート、ジネオペンチルメトキシスクシネート、ジネオペンチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジネオペンチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジネオペンチルフェニルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチルベンジルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチルイソブチルスクシネート、ジネオペンチルイソプロピルスクシネート、ジネオペンチルネオペンチルスクシネート、ジネオペンチルイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチルフルオレニルスクシネートが挙げられる。
これら化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
好適な二置換スクシネート化合物の具体例としては、ジエチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジエチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−シクロペンチル−2−n−プロピルスクシネート、ジエチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジエチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジイソブチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロペンチル−2−n−プロピルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−フェニル−2−n−プロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジネオペンチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロペンチル−2−n−プロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネートが挙げられる。
これら化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
この化合物の具体例としては、ジエチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジエチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジエチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジエチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジエチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジエチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジエチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジエチル−2,2,3,3−テトラメチルスクシネート、ジエチル−2,2,3,3−テトラエチルスクシネート、ジエチル−2,2,3,3−テトラプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジイソブチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチルー2,3−n−プロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジイソブチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル−2−n−プロピル−3−(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル−2,2,3,3−テトラメチルスクシネート、ジイソブチル−2,2,3,3−テトラエチルスクシネート、ジイソブチル−2,2,3,3−テトラプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジネオペンチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル−2−n−プロピル−3−(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシル−3―シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2,3,3−テトラエチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2,3,3−テトラプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネートが挙げられる。
これら化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このような化合物として、特表2002−542347号公報に記載されている化合物、例えば、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチル)−2,6−ジメチルシクロヘキサン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチル)−2,5−ジメチルシクロペンタン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチルメチル)−2−メチルシクロヘキサン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシ(シクロヘキシル)アセチル)シクロヘキサンが挙げられる。また、国際公開第2009/069483号、国際公開第2009/057747号に開示されている3,6−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジイソブチル等の環状スクシネート化合物も好適に用いることができる。
固体触媒成分(A)を構成するハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素またはこれらの混合物が挙げられ、特に塩素が好ましい。
上記有機アルミニウム化合物(B)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
好ましい有機ケイ素化合物として、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、t−アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo−トリルジメトキシシラン、ビスm−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2−ノルボルナントリメトキシシラン、2−ノルボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフエノキシシラン、メチルトリアリルオキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサンなどが挙げられる。
これらの中でも、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、p−トリルメチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、2−ノネボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ケイ酸エチルが好ましい。
上記外部電子供与体化合物(C)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
プロピレン重合体は、プロピレン単位が100質量%(エチレン単位とαオレフィン単位の含有割合が0質量%)であってもよい。
前記エチレン・αオレフィン共重合体におけるαオレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセン等が挙げられる。発泡性及び表面外観をより良くする点では、αオレフィンはプロピレンであることが好ましい。すなわち、エチレン・αオレフィン共重合体が、エチレン単位とプロピレン単位とから構成されるエチレン・プロピレン共重合体であることが好ましい。
表面層用ポリプロピレン系樹脂のMFRが前記下限値未満であっても前記上限値を超えても、発泡シート10の表面外観が損なわれることがある。
表面層用ポリプロピレン系樹脂の前記Mw/Mnが前記下限値以上であれば、発泡シート10の表面外観をより良好にできる。
表面層用ポリプロピレン系樹脂として、長鎖分岐を有するポリプロピレンを用いることもできる(特許文献1)。しかしながら、長鎖分岐を有するポリプロピレンは、直鎖状ポリプロピレンとの比較において、製造設備・プロセスがより複雑であり維持コストが嵩み高価にならざるを得ない。そのため、現実的には十分に普及しているとは言えず、生産拠点が限られ、結果としてシート成形に必要となる原料の調達面で制約を受けることから、最終的なシート製品として供給不安定のリスクを抱えることとなる。上記直鎖状ポリプロピレン系樹脂は、面外観に優れた発泡シートを提供するのみでなく、幅広い産業分野において、安価・大量に安定供給可能な原料である点で好ましい。
本実施形態の発泡シートの製造方法は、押出成形工程と冷却工程とを有する。
本実施形態における押出成形工程では、例えば、3台の押出機と3層積層可能なTダイとを備えた3層共押出成形機を用いることができる。具体的には、1台の押出機を用いて、発泡中間層形成用樹脂組成物を溶融させる。また、2台の押出機を用いて、表面層形成用樹脂組成物を溶融させる。Tダイを用いて、溶融させた発泡中間層形成用樹脂組成物をシート状にして発泡中間層を形成する共に、溶融させた表面層形成用樹脂組成物をシート状にして表面層を形成する。さらに、Tダイの内部で、発泡中間層の両面側に表面層を積層する。Tダイから吐出したシートは、発泡中間層の両面側に表面層が設けられた発泡シートとなる。
発泡中間層形成用樹脂組成物及び表面層形成用樹脂組成物を溶融させる際の温度は、160〜350℃であることが好ましく、170〜260℃であることがより好ましい。
発泡剤は、揮発型発泡剤であってもよいし、分解型発泡剤であってもよい。
揮発性発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、イソブタン、ネオペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロブタン、シクロペンタンなどの環式脂肪族炭化水素;メチルクロライド、メチレンクロライド、ジクロロフルオロメタン、クロロトリフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、ジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、モノクロロペンタフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、1,2−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられる。
分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどが挙げられる。
さらに他の発泡剤として、二酸化炭素、窒素、水なども使用できる。
上記の発泡剤は2種以上を混合して用いることもできる。
発泡剤の含有量は、発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、0.1〜6.0質量部であることが好ましく、0.5〜2.0質量部であることがより好ましい。発泡剤の含有量が前記範囲内であれば、気泡径が均一で且つ気泡が均一分散した発泡層を容易に形成できる。
表面層用ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数及び発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数を前記特定範囲にし、且つ、表面層用ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数を発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数よりも等しい若しくは大きくするためには、下記の表面層用ポリプロピレン系樹脂を含有させることが好ましい。
すなわち、好ましい表面層用ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン重合体とエチレン・αオレフィン共重合体とを含有し、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したメルトフローレートが2〜15g/10分であり、キシレン可溶分の、135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度が6〜10dl/g、キシレン不溶分の質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率(Mw/Mn)が7以上、前記エチレン・αオレフィン共重合体の含有割合が20〜40質量%であり、前記プロピレン重合体は、エチレン単位とαオレフィン単位の合計の含有割合が5.0質量%以下及びプロピレン単位の含有割合が95質量%以上であり、前記エチレン・αオレフィン共重合体は、エチレン単位20〜40質量%及びαオレフィン単位60〜80質量%を含むものである。
また、表面層用ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数及び発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数を前記特定範囲にし、且つ、表面層用ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数を発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数よりも等しい若しくは大きくするためには、下記の発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂を含有させることが好ましい。
すなわち、好ましい発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂は、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したメルトフローレートが2〜15g/10分、キシレン不溶分の質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率(Mw/Mn)が6以上のものである。
発泡シート10を冷却しやすくするために、金属ロールの温度は、50℃以下にすることが好ましい。
したがって、本実施形態の発泡シート10では、発泡倍率が高く且つ表面外観に優れる。特に、空気の吹き付けによって金属ロールに密着させても、発泡倍率が高く且つ表面外観に優れた発泡シート10を容易に製造できる。
例えば、本発明の発泡シートは、発泡中間層と表面層との間に他の層が設けられていてもよく、3種5層の積層シート、4種7層の積層シートであってもよい。他の層の一例としては、接着層が挙げられる。
各例における、エチレン・αオレフィン共重合体(エチレン・プロピレン共重合体)におけるエチレン単位の含有割合、ポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度、ポリプロピレン系樹脂のキシレン不溶分のMw/Mn、ポリプロピレン系樹脂のMFR、ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数は以下のように測定した。
エチレン・αオレフィン共重合体のエチレン単位の含有割合は、1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解した試料について、日本電子株式会社製JNM LA−400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、13C−NMR法で測定した。
2)ポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度:
ポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分は、以下の方法によって得た。
サンプル2.5gを、o−キシレン(溶媒)を250ml入れたフラスコに入れ、ホットプレートおよび還流装置を用いて、135℃で、窒素パージを行いながら、30分間撹拌し、ポリプロピレン系樹脂を完全溶解させた後、25℃で1時間、冷却した。これにより得られた溶液を、濾紙を用いて濾過した。濾過後の濾液を100ml採取し、アルミニウムカップ等に移し、窒素パージを行いながら、140℃で蒸発乾固を行い、室温で30分間静置して、キシレン可溶分を得た。
得られたキシレン可溶分を試料として用い、テトラヒドロナフタレン中、135℃において毛細管自動粘度測定装置(SS−780−H1、株式会社柴山科学器械製作所製)を用いて、極限粘度を測定した。
3)ポリプロピレン系樹脂のキシレン不溶分のMw/Mn:
ポリプロピレン系樹脂のキシレン不溶分の質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ポリマーラボラトリーズ株式会社製PL−GPC220)を用いて測定した。
キシレン不溶分の採取方法としては、上述したようにキシレン可溶分を濾過した際に濾紙上に残った残留物(キシレン不溶成分と溶媒の混合物)にアセトンを加えて濾過した後、濾過されなかった成分を、80℃設定の真空乾燥オーブンにて、蒸発乾固させ、キシレン不溶分を得た。
4)MFR:
ポリプロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210に準拠して、温度230℃、荷重:21.18Nの条件で測定した。
5)ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数
長さ8.0mm且つ直径2.095mmの上面が平面の円筒状のオリフィスを取り付けたキャピラリーレオメーター(株式会社東洋精機製作所製キャピログラフ1C)を用い、温度200℃でポリプロピレン系樹脂を溶融させた。その溶融させたポリプロピレン系樹脂を樹脂押出速度15mm/分でオリフィスより吐出させてストランドを形成した。そのストランドを、回転する引き取り手段を用い、引き取り速度6.5m/分で引き取ると共に張力(MT、単位はg重)を測定した。
そして、log(溶融張力指数)=log(MT)+0.85log(MFR)−0.82の式より、溶融張力指数を求めた。
なお、表中、重合触媒における「Suc」はスクシネート系触媒、「Ph」はフタレート系触媒である。
ポリプロピレン系樹脂の種類における「HECO」は、ブロックポリプロピレン(プロピレン重合体とゴム成分を主体とするエチレン・αオレフィン共重合体の重合混合物)であり、「HOMO」はプロピレン単独重合体である。
ポリプロピレン系樹脂中のエチレン・αオレフィン共重合体の種類における「C2C3」はエチレン・プロピレン共重合体である。
以下、各ポリプロピレン系樹脂の製造方法を示す。
[A1]
特開2011−500907号の実施例に記載の調製法に従い、固体触媒成分を調製した。具体的には以下の通りである:
窒素でパージした500mLの4つ口丸底フラスコ中に、250mLのTiCl4を0℃において導入した。撹拌しながら、10.0gの微細球状MgCl2・1.8C2H5OH(USP−4,399,054の実施例2に記載の方法にしたがって、しかしながら10000rpmに代えて3000rpmで運転して製造した)、および9.1ミリモルのジエチル−2,3−(ジイソプロピル)スクシネートを加えた。温度を100℃に上昇させ、120分間保持した。次に、撹拌を停止し、固体生成物を沈降させ、上澄み液を吸い出した。次に、以下の操作を2回繰り返した:250mLの新しいTiCl4を加え、混合物を120℃において60分間反応させ、上澄み液を吸い出した。固体を、60℃において無水ヘキサン(6×100mL)で6回洗浄した。
上記固体触媒と、トリエチルアルミニウム(TEAL)およびジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を、固体触媒に対するTEALの質量比が18であり、TEAL/DCPMSの質量比が10となるような量で、室温において5分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予備重合を行った。
得られた予備重合物を、1段目の重合反応器に導入してプロピレン単独重合体を得た後、得られた重合体を、未反応モノマー類をパージした後、2段目の重合反応器に導入して共重合体(エチレン・プロピレン共重合体)を重合させた。重合中は、温度と圧力を調整し、水素を分子量調整剤として用いた。重合温度と反応物の比率は、一段目の反応器では、重合温度、水素濃度が、それぞれ70℃、0.90モル%、二段目の反応器では、重合温度、水素濃度、C2/(C2+C3)が、それぞれ80℃、0.01モル%、0.25モル比であった。また、共重合体成分の量が30質量%となるように一段目と二段目の滞留時間分布を調整した。得られたポリプロピレン重合体に、酸化防止剤として、BASF社製B255を0.2質量%、中和剤として、淡南化学株式会社製カルシウムステアレートを0.05質量%配合し、ヘンシェルミキサーで1分間攪拌、混合した後、スクリュー直径50mmの単軸押出機(ナカタニ機械株式会社製NVC)で、シリンダ温度230℃で押出し、ストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでカットし、ペレット状のポリプロピレン樹脂組成物を得た。
MgCl2上にTiと内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを担持させた固体触媒を、欧州特許第728769号公報の実施例5に記載された方法により調製した。次いで、上記固体触媒と、有機アルミニウム化合物としてトリエチルアルミニウム(TEAL)と、外部電子供与体化合物としてジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を用い、固体触媒に対するTEALの重量比が20、TEAL/DCPMSの重量比が10となるような量で、12℃において24分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃にて5分間保持することによって予備重合を行った。得られた予備重合物を、二段の重合反応器を直列に備える重合装置の一段目の重合反応器に導入してプロピレン単独重合体を製造し、二段目の重合反応器でエチレン−プロピレン共重合体を製造した。重合中は、温度と圧力を調整し、水素を分子量調整剤として用いた。
重合温度と反応物の比率は、一段目の反応器では、重合温度、水素濃度が、それぞれ70℃、1.24モル%、二段目の反応器では、重合温度、水素濃度、C2/(C2+C3)が、それぞれ80℃、1.17モル%、0.25モル比であった。また、共重合体成分の量が30質量%となるように一段目と二段目の滞留時間分布を調整した。このポリプロピレン重合体を用いてA1と同様にしてペレット状のポリプロピレン樹脂組成物を得た。
一段目の反応器の水素濃度を0.32モル%、二段目の反応器の水素濃度、C2/(C2+C3)を、それぞれ3.31モル%、0.39モル比とし、共重合体成分の量が15.5質量%となるように一段目と二段目の滞留時間分布を調整した以外は、A2と同様にしてペレット状のポリプロピレン樹脂組成物を得た。
A1の製造に用いた予備重合物を、1段目の重合反応器に導入してプロピレン単独重合体を得た後、得られた重合体を2段目の重合反応器に導入して共重合体(エチレン・プロピレン共重合体)を重合させた。重合中は、温度と圧力を調整し、水素を分子量調整剤として用いた。重合温度と反応物の比率は、一段目の反応器では、重合温度、水素濃度が、それぞれ70℃、0.18モル%、二段目の反応器では、重合温度、水素濃度、C2/(C2+C3)が、それぞれ80℃、1.33モル%、0.20モル比であった。また、共重合体成分の量が29質量%となるように一段目と二段目の滞留時間分布を調整した。得られたポリプロピレン重合体を用いてA1と同様にしてペレット状のポリプロピレン樹脂組成物を得た。
[B1]
A1の製造に用いた予備重合物を重合反応器に導入した後、水素とプロピレンをフィードし、重合温度、水素濃度を、それぞれ75℃、0.25モル%とし、圧力を調整することよって、プロピレン単独重合体を製造した。得られたポリプロピレン重合体を用いてA1と同様にしてペレット状のポリプロピレン樹脂組成物を得た。
水素濃度を0.13モル%とした以外は、B1と同様にしてペレット状のポリプロピレン樹脂組成物を得た。
MgCl2上にTiと内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを担持させた固体触媒を、重合用の固体触媒を、欧州特許第674991号公報の実施例1に記載された方法により調製した。次いで、上記固体触媒と、トリエチルアルミニウム(TEAL)及びシクロヘキシルメチルジエトキシシラン(CHMMS)を、固体触媒に対するTEALの質量比が8、TEAL/CHMMSの質量比が6.5となるような量で、−5℃で5分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予備重合を行った。
得られた予備重合物を重合反応器に導入した後、水素とプロピレンをフィードし、重合温度、水素濃度を、それぞれ75℃、0.04モル%とし、圧力を調整することよって、プロピレン単独重合体を製造した。得られたポリプロピレン重合体を用いてA1と同様にしてペレット状のポリプロピレン樹脂組成物を得た。
スクリュー直径25mmの押出機を3台備え、3層積層可能なTダイが設けられた多層シート成形機(サーモ・プラスチック工業株式会社製)を用いて発泡シートを作製した。
より具体的には、1台の押出機を用いて、ポリプロピレン系樹脂B1からなる発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂と化学発泡剤組成物(三協化成株式会社製セルマイクMB3064)を含む発泡中間層形成用樹脂組成物を210℃で溶融させた。なお、化学発泡剤組成物の量は、発泡倍率1.5倍程度になるように、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して1〜3質量部の範囲内で調整した。
また、2台の押出機を用いて、ポリプロピレン系樹脂A1からなる表面層用ポリプロピレン系樹脂を210℃で溶融させた。
多層用Tダイを用いて発泡中間層を形成する共に表面層を形成し、発泡中間層の両面側に表面層を積層した後、Tダイから発泡シートを吐出させた。その際、表面層/発泡中間層/表面層の層厚の比率は1/5/1とした。
その発泡シートの一方の面に空気を吹き付けることによって、発泡シートの他方の面を金属ロールの周面に密着させることにより、発泡シートを冷却した。
発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂、表面層用ポリプロピレン系樹脂及び層厚比を表2,3に示すように変更した以外は実施例1と同様にして発泡シートを得た。
なお、表中、LDPEは、分岐状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製ノバテックLD400、JIS K7210に準拠し温度190℃、荷重:21.18Nの条件で測定したMFRが2.0g/10分)である。実施例3と実施例5ではB1とLDPEのドライブレンドがシート成形機の中間層の押出機中で溶融混練される。単層の比較例2ではA1とB1のドライブレンド(A1:B1=2:8の質量比率)がシート成形機の中間層の押出機中で溶融混練される。実施例6ではA1とB1のドライブレンド(A1:B1=6:4の質量比率)がシート成形機の表層の押出機中で溶融混練される。
各例の発泡シートについて、下記方法により、発泡倍率及び密度を測定し、表面外観及び耐熱性を評価した。測定結果及び評価結果を表2,3に示す。
アルファーミラージュ株式会社製電子比重計MD−200Sを用い、JIS K7112に従い、発泡シートの比重を測定し、この比重を密度D1とした。発泡シート10が発泡していないときの樹脂の密度D0に対する前記密度D1の比(D1/D0)を求め、その値を発泡倍率とした。
発泡シートの表面を目視観察し、以下の基準で評価した。
5:平滑である。
4:ほぼ平滑である。
3:筋状模様が見られる。
2:やや凹凸が目立つ。
1:凹凸が目立つ。
なお、各段階のシート表面の外観の例を図3に示す。
発泡シートを100℃の熱湯中に浸漬し、変形の程度を目視観察し、以下の基準で評価した。
2:変形しなかった。
1:変形した。
また、発泡中間層におけるLDPE含有割合が20質量%以下(すなわちポリプロピレン系樹脂の含有割合が80質量%以上)である実施例1〜4及び実施例6〜7の発泡シートは、耐熱性にも優れていた。
溶融張力指数が大きいポリプロピレン系樹脂と溶融張力指数が小さいポリプロピレン系樹脂とが混合された樹脂からなる比較例2の単層の発泡シートは、表面外観が悪かった。
表面層/発泡中間層/表面層の層厚比が1/15/1である比較例3の発泡シートは、表面外観が悪かった。
表面層用ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数が1.7である比較例4の発泡シートは、表面外観が悪かった。
表面層用ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数が1.4である比較例5の発泡シートは、表面外観が悪く、発泡倍率を上げることが困難であった。
表面層用ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数が発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数よりも小さい比較例6の発泡シートは、表面外観が悪かった。
発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数が1.0である比較例7の発泡シートは、表面外観が悪く、発泡倍率を上げることが困難であった。
発泡中間層及び表面層を構成するポリプロピレン系樹脂を全て同種とし、表面層用ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数が1.4である比較例8の発泡シートは、表面外観が悪かった。
11 発泡中間層
12,13 表面層
Claims (10)
- 発泡中間層と、該発泡中間層の両側に設けられた非発泡の表面層とを備え、前記発泡中間層及び前記表面層は共にポリプロピレン系樹脂を含み、
前記発泡中間層の厚さ(T1)と前記表面層の厚さ(T2)との比率(T1/T2)が3/1〜10/1であり、
前記発泡中間層を構成するポリプロピレン系樹脂は、下記式(1)で求められる溶融張力指数が1.2以上であり、前記表面層を構成するポリプロピレン系樹脂は、下記式(1)で求められる溶融張力指数が1.8以上であり、且つ、前記表面層を構成するポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数が、前記発泡中間層を構成するポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数以上であり、
前記表面層に含まれるポリプロピレン系樹脂は、プロピレン重合体とエチレン・αオレフィン共重合体とを含有し、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したメルトフローレートが2〜15g/10分であり、キシレン可溶分の、135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度が6〜10dl/g、キシレン不溶分の質量平均分子量M w と数平均分子量M n との比率(M w /M n )が7以上、前記エチレン・αオレフィン共重合体の含有割合が20〜40質量%であり、
前記プロピレン重合体は、エチレン単位とαオレフィン単位の合計の含有割合が5.0質量%以下及びプロピレン単位の含有割合が95質量%以上であり、
前記エチレン・αオレフィン共重合体は、エチレン単位20〜40質量%及びαオレフィン単位60〜80質量%を含む、ポリプロピレン系樹脂発泡シート。
log(溶融張力指数)=log(MT)+0.85log(MFR)−0.82(1)
MTは、長さ8.0mm且つ直径2.095mmの上面が平面の円筒状のオリフィスを取り付けた溶融張力測定装置を用い、測定温度200℃、樹脂押出速度15mm/分、引取速度6.5m/分の条件で測定したポリプロピレン系樹脂の溶融張力(g重)である。
MFRは、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートである。 - 前記表面層に含まれるポリプロピレン系樹脂は、プロピレン重合体の存在下、エチレン単量体及びαオレフィン単量体を重合して得た重合混合物である、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
- 前記発泡中間層に含まれるポリプロピレン系樹脂は、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したメルトフローレートが2〜15g/10分、キシレン不溶分の質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率(Mw/Mn)が6以上である、請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
- 前記発泡中間層に含まれるポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体、及び、エチレン単位とαオレフィン単位の少なくとも一方を5.0質量%以下含むプロピレンランダム共重合体の少なくとも一方である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
- 前記発泡中間層におけるポリプロピレン系樹脂の含有割合が60質量%以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
- 発泡倍率が1.30倍以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
- 発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂及び発泡剤を含有する発泡中間層形成用樹脂組成物をシート状に押出成形して発泡中間層を形成すると共に、表面層用ポリプロピレン系樹脂を含有する表面層形成用樹脂組成物をシート状に押出成形して表面層を形成し、前記発泡中間層の両面側に前記表面層を積層してポリプロピレン系樹脂発泡シートを作製する押出成形工程と、
前記ポリプロピレン系樹脂発泡シートの一方の面に空気を吹き付けることによって、前記ポリプロピレン系樹脂発泡シートの他方の面を金属ロールの周面に密着させることにより、前記ポリプロピレン系樹脂発泡シートを冷却する冷却工程とを有し、
前記発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂は、下記式(1)で求められる溶融張力指数が1.2以上であり、前記表面層用ポリプロピレン系樹脂は、下記式(1)で求められる溶融張力指数が1.8以上であり、且つ、前記表面層用ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数が、前記発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数以上であり、
前記表面層用ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン重合体とエチレン・αオレフィン共重合体とを含有し、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したメルトフローレートが2〜15g/10分であり、キシレン可溶分の、135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度が6〜10dl/g、キシレン不溶分の質量平均分子量M w と数平均分子量M n との比率(M w /M n )が7以上、前記エチレン・αオレフィン共重合体の含有割合が20〜40質量%であり、
前記プロピレン重合体は、エチレン単位とαオレフィン単位の合計の含有割合が5.0質量%以下及びプロピレン単位の含有割合が95質量%以上であり、
前記エチレン・αオレフィン共重合体は、エチレン単位20〜40質量%及びαオレフィン単位60〜80質量%を含む、ポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法。
log(溶融張力指数)=log(MT)+0.85log(MFR)−0.82(1)
MTは、長さ8.0mm且つ直径2.095mmの上面が平面の円筒状のオリフィスを取り付けた溶融張力測定装置を用い、測定温度200℃、樹脂押出速度15mm/分、引取速度6.5m/分の条件で測定したポリプロピレン系樹脂の溶融張力(g重)である。
MFRは、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートである。 - 前記押出成形工程における発泡中間層形成の際に、発泡倍率1.30倍以上に発泡させる、請求項7に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法。
- 前記表面層用ポリプロピレン系樹脂を、プロピレン重合体の存在下、エチレン単量体及びαオレフィン単量体を重合して得る、請求項7又は8に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法。
- 前記発泡中間層用ポリプロピレン系樹脂及び前記表面層用ポリプロピレン系樹脂の少なくとも一方を得るための重合の際に、
(A)マグネシウム、チタン、ハロゲン、およびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒;
(B)有機アルミニウム化合物;ならびに
(C)ケイ素化合物から選択される外部電子供与体化合物を含む触媒を用いる、請求項7〜9のいずれか一項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法。
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