JP6887349B2 - ポリプロピレン組成物 - Google Patents
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Description
[1]成分(A)として、0〜2重量%のエチレンを含有するプロピレン(共)重合体、
成分(B)として、エチレンと炭素数が8以上のα−オレフィンとの共重合体、および
成分(C)として、結晶核剤、を含み、
成分(A)のMFR(230℃、2.16kg)が0.3〜10g/10分であって、多分散指数が5〜10であり、
成分(B)の共重合体の密度が0.890〜0.915g/cm3であって、MFR(190℃、2.16kg)が0.5〜5g/10分であり、
成分(A):成分(B)の重量比が90〜99.5:0.5〜10であり、
成分(A)および成分(B)の合計100重量部に対して、0.015〜0.5重量部の成分(C)を含む、
ポリプロピレン組成物。
[2]前記成分(A)が、マグネシウム、チタン、ハロゲン、およびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒、ならびに有機アルミニウム化合物を含む触媒を用いて、対応するモノマーを重合して得たプロピレン(共)重合体である、[1]に記載の組成物。
[3]前記成分(B)におけるα−オレフィンの炭素数が8である、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]前記成分(A)中のエチレン含有量が0.3〜2重量%である、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]前記成分(A)のMFR(230℃、2.16kg)が2〜7g/10分である、[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物から製造したシートまたはフィルム。
本発明のポリプロピレン組成物は、以下の成分を含む。
成分(A):0〜2重量%のエチレンを含有するプロピレン(共)重合体、
成分(B):エチレンと炭素数が8以上のα−オレフィンとの共重合体、
成分(C):結晶核剤
成分(A)は0〜2重量%のエチレンを含有するプロピレン(共)重合体である。共重合体が0重量%のエチレンを含有するとはホモポリプロピレンであることを意味する。また共重合体が2重量%のエチレンを含有するとは共重合体におけるエチレン由来単位の量が2重量%であることを意味する。他の共重合体においても同様である。当該エチレンの量が上限を超えるとシート等としたときの剛性が低下する。また、当該エチレンの量が0.3〜2重量%であるとシート等としたときの透明性が向上するので好ましい。この観点から、当該エチレンの量は0.3〜1.5重量%であることがより好ましい。
成分(B)はエチレンと炭素数が8以上のα−オレフィンとの共重合体である。当該共重合体の密度は0.890〜0.915g/cm3である。密度はシート等としたときの透明性に大きく影響し、下限未満であっても上限を超えても、シート等の透明性が低下する。当該密度を達成するようにα−オレフィンの量は調整される。α−オレフィンは炭素数が8以上であれば限定されないが、産業上の入手容易性やコスト等、経済性の観点から炭素数は8または9であることが好ましく、1−オクテンであることがより好ましい。炭素数が8のα−オレフィンを用いる場合、共重合体におけるその量は15〜30重量%程度である。
結晶核剤は特に限定されず、当該分野で通常使用されるものを使用してよいが、ノニトール系核剤、ソルビトール系核剤、リン酸エステル系核剤、トリアミノベンゼン誘導体系核剤、カルボン酸金属塩系核剤、およびキシリトール系核剤等の有機系核剤から選択されることが好ましい。ノニトール系核剤として、例えば、1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトールが挙げられる。ソルビトール系核剤として、例えば、1,3:2,4−ビス−o−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトールが挙げられる。リン酸エステル系核剤として、例えば、リン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム塩、リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)アルミニウム塩、リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リチウム塩等の芳香族リン酸エステル系核剤が挙げられる。トリアミノベンゼン誘導体系核剤として、例えば、1,3,5−トリス(2,2−ジメチルプロパンアミド)ベンゼン等が挙げられる。カルボン酸金属塩系核剤としては、例えば、アジピン酸ナトリウム、アジピン酸カリウム、アジピン酸アルミニウム、セバシン酸ナトリウム、セバシン酸カリウム、セバシン酸アルミニウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸アルミニウム、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸アルミニウム、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸チタン、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸クロム、ヒドロキシ−ジ−t−ブチル安息香酸アルミニウムなどが挙げられる。キシリトール系核剤として、例えば、ビス−1,3:2,4−(5’,6’,7’,8’−テトラヒドロ−2−ナフトアルデヒドベンジリデン)1−アリルキシリトール、ビス−1,3:2,4−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)1−プロピルキシリトールが挙げられる。上記結晶核剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリプロピレン組成物における成分(A):成分(B)の重量比は「90〜99.5」:「0.5〜10」である。成分(A)の重量比が下限未満であるとシート等の剛性が低下し、上限を超えるとシート等の耐衝撃性が低下する。成分(B)の重量比が下限未満であるとシート等の耐衝撃性が低下し、上限を超えるとシート等の剛性が低下し、かつ経済性も低下する。この観点から、成分(B)の重量比は1〜10が好ましい。
本発明のポリプロピレン組成物には、酸化防止剤、塩素吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、内部滑剤、外部滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物、油展および他の有機および無機顔料などのオレフィン重合体に通常用いられる慣用の添加剤を添加してもよい。各添加剤の添加量は公知の量としてよい。また前述のとおり、本発明においてはオレフィン系ポリマーと結晶核剤からなるマスターバッチを使用して、結晶核剤を配合することができる。マスターバッチのマトリックスポリマーが(A)成分および(B)成分とは異なる場合、本発明のポリプロピレン組成物は当該マトリックスポリマーを含んでいてもよい。
1)成分(A)
前述のとおり、成分(A)は原料モノマーを、マグネシウム、チタン、ハロゲン、および内部電子供与体化合物としてスクシネート系化合物を含有する固体触媒、有機アルミニウム化合物、必要に応じて外部電子供与体化合物を含む触媒を用いて重合する工程を含む方法で製造されることが好ましい。
成分(i)は、公知の方法、例えばマグネシウム化合物とチタン化合物と電子供与体化合物を相互接触させることにより調製できる。
成分(ii)の有機アルミニウム化合物としては以下が挙げられる。
トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
トリイソプレニルアルミニウムのようなトリアルケニルアルミニウム:
ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウム。
成分(iii)の電子供与体化合物は、一般に「外部電子供与体化合物」と称される。このような化合物としては有機ケイ素化合物が好ましい。好ましい有機ケイ素化合物として以下が挙げられる。
トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、t−アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo−トリルジメトキシシラン、ビスm−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2−ノルボルナントリメトキシシラン、2−ノルボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフエノキシシラン、メチルトリアリルオキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサン、メチル(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロペンチル−t−ブトキシジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、t−ブチルプロピルジメトキシシラン、t−ブチル−t−ブトキシジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、ビス(デカヒドロイソキノリン−2−イル)ジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、ジシクロペンチル−ビス(エチルアミノ)シラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン。
上記のとおりに調製した触媒に原料モノマーを接触させて重合する。この際、まず前記触媒を用いて予重合を行うことが好ましい。予重合とは、その後の原料モノマーの本重合の足がかりとなるポリマー鎖を固体触媒成分に形成させる工程である。予重合は公知の方法で行うことができる。予重合は、通常は40℃以下、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下で行われる。次いで、予重合した触媒(予重合触媒)を重合反応系内に導入して、原料モノマーの本重合を行う。重合は、液相中、気相中または液−気相中で実施してよい。重合温度は常温〜150℃が好ましく、40℃〜100℃がより好ましい。重合圧力は、液相中で行われる場合には好ましくは3.3〜6.0MPaの範囲であり、気相中で行われる場合には好ましくは0.5〜3.0MPaの範囲である。連鎖移動剤(たとえば、水素またはZnEt2)などの当該分野で公知の慣用の分子量調節剤を用いてもよい。
成分(B)の製造方法は限定されない。成分(B)は、チーグラーナッタ触媒(「ZN触媒」ともいう)やメタロセン触媒等の公知の触媒を用いて公知の方法で製造してよい。
本発明のポリプロピレン組成物は、成分(A)〜(C)、必要に応じて他の成分を混合または溶融混練して製造できる。混合または混練の方法は限定されないが、押出機等の混練機を用いる方法が好ましい。混練する場合の条件は特に限定されないが、シリンダ温度を180〜250℃とすることが好ましい。このようにして得られたポリプロピレン組成物は、特定成分の分級や分散不良を防止する観点からペレット状であることが好ましい。
(1)シート等の製造方法
本発明のシート等は、上記ポリプロピレン組成物からなる層を少なくとも1層有する。当該シート等が、上記ポリプロピレン組成物以外の層を有する場合、その他の層は特に限定されないが、プロピレンの単独重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体、または、これらのいずれかの重合体を主成分とし、ポリプロピレン以外の樹脂を含有する組成物などが挙げられる。
本発明のシート等は透明性、剛性、耐衝撃性に優れるという特性を有する。本発明のシート等は、JIS K7136に従って測定したヘーズが3.0%以下であることが好ましい。また、本発明のシート等はJIS P8125に従って測定したテーバーこわさ(スティフネス)が1200MPa以上であることが好ましい。
以下のようにして製造したものを使用した。物性を表1に示す。
[製造例A1]
特開2011−500907号の実施例に記載の調製法に従い、固体触媒成分(1)を調製した。具体的には以下の通りである。
窒素でパージした500mLの4つ口丸底フラスコ中に、250mLのTiCl4を0℃において導入した。撹拌しながら、10.0gの微細球状MgCl2・1.8C2H5OH(米国特許4,399,054の実施例2に記載の方法にしたがって、しかしながら10000rpmに代えて3000rpmで運転して製造した)、および9.1mmolのジエチル−2,3−(ジイソプロピル)スクシネートを加えた。温度を100℃に上昇し、120分間保持した。次に、撹拌を停止し、固体生成物を沈降させ、上澄み液を吸い出した。次に、以下の操作を2回繰り返した:250mLの新しいTiCl4を加え、混合物を120℃において60分間反応させ、上澄み液を吸い出した。固体を、60℃において無水ヘキサン(6×100mL)で6回洗浄して、固体触媒(1)を得た。
上記で得られた固体触媒(1)と、トリエチルアルミニウム(TEAL)と、ジイソプロピルジメトキシシラン(DIPMS)とを、固体触媒(1)に対するTEALの重量比が11であり、TEAL/DIPMSの重量比が3となるような量で、12℃において24分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予重合を行ったものを予重合触媒(S)とした。
予重合触媒(S)を重合反応器に導入し、モノマーとしてプロピレンを供給するとともに、重合反応器内のエチレン濃度が0.118mol%、水素濃度が700molppmとなるように少量のエチレンおよび分子量調整剤としての水素を供給した。重合温度を70℃、重合圧力を3.0MPaに調整することによってプロピレン−エチレン共重合体を合成した。得られた重合体100重量部に対して、酸化防止剤(BASF社製B225)を0.2重量部および中和剤(カルシウムステアレート)を0.05重量部配合し、ヘンシェルミキサーで1分間撹拌して混合した。ナカタニ機械株式会社製NVCφ50mm単軸押出機を用いてシリンダ温度230℃で当該混合物を溶融混練し、押出したストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでカットし、ペレット状の重合体組成物を得た。重合体組成物のエチレン含有量は0.5重量%、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)は3.0g/10分、多分散指数(PI)は5.8であった。
重合反応器内のエチレン濃度を0.296mol%、水素濃度を770molppmとした以外は製造例A1と同様にして重合体組成物を得た。重合体組成物のエチレン含有量は1.3重量%、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)は3.0g/10分、多分散指数(PI)は5.8であった。
重合反応器内の水素濃度を1050molppmとした以外は製造例A1と同様にして重合体組成物を得た。重合体組成物のエチレン含有量は0.5重量%、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)は6.0g/10分、多分散指数(PI)は6.0であった。
欧州特許第674991号公報の実施例1に記載された方法により固体触媒成分(2)を調製した。当該固体触媒は、MgCl2上にTiと内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを上記の特許公報に記載された方法で担持させたものである。
上記で得られた固体触媒(2)と、TEALおよびシクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CHMMS)を、固体触媒に対するTEALの重量比が8であり、TEAL/CHMMSの重量比が32となるような量で、−5℃において5分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予重合を行ったものを予重合触媒(P1)とした。
予重合触媒(P1)を重合反応器に導入し、モノマーとしてプロピレンを供給するとともに、重合反応器内の水素濃度が410molppmとなるように分子量調整剤としての水素を供給した。重合温度を75℃、重合圧力を3.0MPaに調整することによってプロピレン重合体を合成した。得られたホモポリプロピレンを製造例A1と同様に溶融混練して重合体組成物を得た。重合体組成物のエチレン含有量は0重量%、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)は3.0g/10分、多分散指数(PI)は4.2であった。
製造例A4で用いた固体触媒(2)と、有機アルミニウム化合物としてトリエチルアルミニウム(TEAL)と、外部電子供与体化合物としてジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を用い、固体触媒に対するTEALの重量比が20、TEAL/DCPMSの重量比が10となるような量で、12℃において24分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃にて5分間保持することによって予重合を行ったものを予重合触媒(P2)とした。
予重合触媒(P2)を用い、連結された二つの反応器により二段重合法を行った。一段目の反応器に触媒、プロピレンおよび水素を、二段目の反応器にプロピレンおよび水素を供給して、プロピレン重合体を得た。一段目の水素濃度を180molppm、二段目の水素濃度を7890molppmとするとともに、一段目と二段目の比率が50:50になるように滞留時間を調整した。重合温度は80℃、重合圧力は4.4MPaとした。得られたホモポリプロピレンを製造例A1と同様に溶融混練して重合体組成物を得た。重合体のエチレン含有量は0重量%、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)は3.0g/10分、多分散指数(PI)は5.8であった。
以下を使用した。物性を表2に示す。
B1:ダウ・ケミカル社製 ENGAGE8480
B2:ダウ・ケミカル社製 AFFINITY PL1850G
B3:ダウ・ケミカル社製 ENGAGE8003
B4:ダウ・ケミカル社製 ENGAGE8402
B5:三井化学株式会社製 タフマーA−4090S
以下を使用した。
C1:ミリケン社製Millad NX8000J(ノニトール系核剤)
C2:ミリケン社製Millad 3988(ソルビトール系核剤)
C3:株式会社ADEKA製 アデカスタブNA71(リン酸エステル系核剤)
C4:BASF社製 IRGACLEAR XT386(トリアミノベンゼン誘導体系核剤)
ただし、結晶核剤成分の分級や分散不良を防止する観点から、以下のとおりに結晶核剤マスターバッチを調製して使用した。
C1マスターバッチ:以下のように製造したマスターバッチ用マトリックスポリマー80重量部、および20重量部のC1をヘンシェルミキサーで1分間撹拌して混合した。ナカタニ機械株式会社製NVCφ50mm単軸押出機を用いてシリンダ温度230℃で当該混合物を溶融混練し、押出したストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでカットし、ペレット状のC1マスターバッチ組成物を得た。
C2マスターバッチ:上記C1と同様に、80重量部のマスターバッチ用マトリックスポリマーと20重量部のC2を混合し、溶融混練してC2マスターバッチ組成物を得た。
C3マスターバッチ:上記C1、C2と同様に、80重量部のマスターバッチ用マトリックスポリマーと20重量部のC3を混合し、溶融混練してC3マスターバッチ組成物を得た。
C4マスターバッチ:98重量部のマスターバッチ用マトリックスポリマーと2重量部のC4を混合し、上記C1〜C3と同様に溶融混練してC4マスターバッチ組成物を得た。
製造例A5で用いた予重合触媒(P2)を重合反応器に導入し、モノマーとしてプロピレンを供給するとともに、重合反応器内の水素濃度が2420molppmとなるように分子量調整剤としての水素を供給した。重合温度を80℃、重合圧力を4.4MPaに調整することによってプロピレン重合体を合成した。得られたホモポリプロピレンを製造例A1と同様に溶融混練して重合体組成物を得た。重合体組成物(マスターバッチ用マトリックスポリマー)のエチレン含有量は0重量%、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)は7.5g/10分、多分散指数(PI)は4.5であった。
25mmφ3種3層フィルム・シート成形機(サーモ・プラスチック工業株式会社製)を用いて、成形温度230℃で成形し、厚み0.3mmのシート原反を得た。
[成分(A)中のエチレン含有量]
試料を1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解し、日本電子株式会社製JNM LA−400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、13C−NMR法で測定した。
JIS K7210−1に従い、成分(A)に対しては、温度230℃、荷重2.16kgの条件下で測定した。成分(B)に対しては、温度190℃、荷重2.16kgの条件下で測定した。
JIS K7112に規定される水中置換法に従い、比重計(新光電子株式会社製(ViBRA DMA−220)を用いて測定した。
[多分散指数(PI)]
190℃の温度において、PaarPhysical社製UDS200を用い、0.1rad/秒から100rad/秒に増加する振動数で運転することによって粘弾性特性を測定した。多分散指数の値は、以下の式を用いてクロスオーバー弾性率から求めた。
PI=105/Gc
式中、Gcは、G’(貯蔵弾性率)=G”(損失弾性率)となる場合の弾性率(単位:Pa)として定義されるクロスオーバー弾性率である。
シート原反を試験片として、JIS K7136に従い、ヘーズ測定装置(株式会社村上色彩技術研究所製HM−150型)によりヘーズを測定した。ヘーズの値が小さい程、透明性に優れる。
金枠に固定した150mm×270mmのシート原反を210℃に設定したオーブンに入れ、30秒加熱した後、素早く取り出して室温(23℃)になるまで放冷した。これを試験片として、JIS K7136に従い、ヘーズ測定装置(株式会社村上色彩技術研究所製HM−150型)によりヘーズを測定した。
シート原反を試験片として、JIS P8125に従い、室温23℃の下でテーバー社製スティフネステスター(TB−150)を用いてシート引き取り方向(MD)とその垂直方向(TD)のテーバーこわさ(スティフネス)を測定し、平均値を求めた。スティフネスの値が大きいほど、剛性に優れる。
シート原反から100mm四方の正方形の試験片を切り出し、株式会社東洋精機製作所製のフィルムインパクトテスター(型式3J.−30+100)を使用して面衝撃強度を測定した。条件は以下のとおりとした。
先端形状が1インチ径半球を使用
振り子エネルギー:3J
クランプ径:50mm
雰囲気温度:0℃
金枠に固定した150mm×270mmのシート原反を、210℃(ポリプロピレンの平衡融点である約186℃を超え、真空成形における予熱温度付近である温度)に設定した試験用オーブンに入れ、融解後、シートが張り戻った時刻t1から自重によりシート中央部が1.5cm垂れ下がるまでの時刻t2までの時間(t2−t1)によりドローダウン性を評価した。ドローダウンは製品肉厚の不均一を招く原因になる。ドローダウン時間(t2−t1)が長いほどドローダウンし難いので、二次加工性に優れる。
シート原反の表面に含まれるフィッシュアイ(未溶融物やゲル化物を核とする直径0.1mm以上の球形欠陥)の数を目視により観察して、以下の5段階の基準で評価した。
1:フィッシュアイが極めて多い
2:フィッシュアイが多い
3:フィッシュアイを確認できる
4:フィッシュアイが少ない
5:フィッシュアイが全く見られない
重合体A1:重合体B1を98:2(重量%)の比率とし、重合体A1と重合体B1の合計100重量部に対して結晶核剤C1が0.4重量部となるようにマスターバッチC1を2重量部配合してドライブレンドした。ドライブレンド物を、前述のフィルム・シート成形機に供給し、厚み0.3mmのシート原反を得て、評価した。
重合体A1の代わりに重合体A2およびA3をそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
重合体A1:重合体B1の配合比を92:8(重量%)に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
重合体B1の代わりに重合体B2を使用した以外は、実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
結晶核剤C1の代わりに、結晶核剤C2を使用した以外は、実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
結晶核剤C1を0.4重量部の配合とする代わりに、結晶核剤C3が0.25重量部となるようにC3マスターバッチを1.25重量部配合した以外は、実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
結晶核剤C1を0.4重量部の配合とする代わりに結晶核剤C4が0.02重量部となるようにC4マスターバッチを1重量部配合した以外は、実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
実施例1で用いた組成物(A1のMFR=3.0g/10分)が表層に、実施例3で用いた組成物(A3のMFR=6.0g/10分)が中間層となるように、これらを共押出にて層比1:5:1の2種3層で厚み0.3mmの未延伸シートを製造し、評価した。実用上、シート端材を再生材として用いる工程内リサイクルを考慮し、本実施例では中間層にMFRの高い材料を用いた。
重合体A1の代わりにエチレン成分を含まない重合体A5を用いた以外は実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
重合体A1の代わりに多分散指数が小さい重合体A4を用いた以外は実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
重合体A1:重合体B1の配合比を99.7:0.3(重量%)に変更した以外は、実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
重合体B1の代わりに密度が小さい重合体B3を用いた以外は実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
重合体B1の代わりにMFRが大きい重合体B4を用いた以外は実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
重合体B1を2重量%配合する代わりに、エチレンと炭素数が4のα−オレフィンとの共重合体である重合体B5を3重量%配合した以外は実施例1と同様にしてシート原反を得て、評価した。
結晶核剤C4の配合量が0.02重量部から0.01重量部となるように、C4マスターバッチの配合量を0.5重量部に変更して配合した以外は、実施例8と同様にしてシート原反を得て、評価した。
Claims (6)
- 成分(A)として、0〜2重量%のエチレンを含有するプロピレン(共)重合体、
成分(B)として、エチレンと炭素数が8以上のα−オレフィンとの共重合体、および
成分(C)として、結晶核剤、を含み、
成分(A)のMFR(230℃、2.16kg)が0.3〜10g/10分であって、多分散指数が5〜10であり、
成分(B)の共重合体の密度が0.890〜0.915g/cm3であって、MFR(190℃、2.16kg)が0.5〜5g/10分であり、
成分(A):成分(B)の重量比が90〜99.5:0.5〜10であり、
成分(A)および成分(B)の合計100重量部に対して、0.015〜0.5重量部の成分(C)を含む、
ポリプロピレン組成物。 - 前記成分(A)が、マグネシウム、チタン、ハロゲン、およびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒、ならびに有機アルミニウム化合物を含む触媒を用いて、対応するモノマーを重合して得たプロピレン(共)重合体である、請求項1に記載の組成物。
- 前記成分(B)におけるα−オレフィンの炭素数が8である、請求項1または2に記載の組成物。
- 前記成分(A)中のエチレン含有量が0.3〜2重量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
- 前記成分(A)のMFR(230℃、2.16kg)が2〜7g/10分である、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の組成物から製造したシートまたはフィルム。
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