JP6633942B2 - 中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物及び中空成形品 - Google Patents
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Description
ポリプロピレン製の容器は、例えば、ポリプロピレン系樹脂を中空成形することにより製造することができる(特許文献1,2)。
しかし、特許文献1,2に記載の中空成形用ポリプロピレン系樹脂は、耐衝撃性(特に低温の耐衝撃性)、剛性、透明性及び耐ドローダウン性のいずれかが低くなることがあった。
本発明は、耐衝撃性(特に低温耐衝撃性)、剛性、透明性及び耐ドローダウン性に優れた中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、耐衝撃性(特に低温耐衝撃性)、剛性、透明性及び製造時の耐ドローダウン性に優れた中空成形品を提供することを目的とする。
本態様の中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物においては、前記ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン共重合体の存在下、エチレン単量体及び1−ブテン単量体が重合した重合混合物であることが好ましい。
本態様の中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物においては、造核剤を、前記ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して0質量部超1.0質量部以下の範囲で含有することが好ましい。
本発明の一態様の中空成形品は、上記中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を含有する。
また、本発明の中空成形品は、耐衝撃性(特に低温耐衝撃性)、剛性、透明性及び製造時の耐ドローダウン性に優れている。
本発明の一態様の中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物(以下、「ポリプロピレン系樹脂組成物」と略す。)は、ポリプロピレン系樹脂を含有する。
該ポリプロピレン系樹脂組成物は、メルトフローレート(以下、「MFR」という。)が0.1〜5.0g/10分であり、0.5〜3.0g/10分であることが好ましい。ここで、MFRは、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定した値である。
ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRが前記下限値未満であると、成形時の流動性が低すぎて成形品が得られないことがある。ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRが前記上限値を超えると、耐衝撃性及び耐ドローダウン性が低くなることがある。
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン共重合体からなるマトリックスとゴム成分を主体としたエチレン・1−ブテン共重合体とを含有する。
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン共重合体とエチレン・1−ブテン共重合体とが重合時に混合された混合樹脂であってもよいし、別々に得られたプロピレン共重合体とエチレン・1−ブテン共重合体とが溶融混練によって混合された混合樹脂であってもよい。物性バランスに優れるものがより安価で得られることから、プロピレン共重合体とエチレン・1−ブテン共重合体とが重合時に混合された混合物(重合混合物)であることが好ましい。
重合によってプロピレン共重合体とエチレン・1−ブテン共重合体とが混合された重合混合物は、重合段階でプロピレン共重合体とエチレン・1−ブテン共重合体とがサブミクロンオーダーで混じり合う。そのため、重合によってプロピレン共重合体とエチレン・1−ブテン共重合体とが混合された重合混合物をベースとした組成物は、優れた物性バランスを示す。
一方、プロピレン共重合体とエチレン・1−ブテン共重合体とを溶融混練して得た単なる機械混合物で同様な優れた物性バランスを得る場合には、製造コストが高くなるという問題を含んでいる。
なお、前記重合混合物と機械混合物とは異なる物性を示すのは、プロピレン共重合体中のエチレン・1−ブテン共重合体の分散状態が異なっているためと推測されるが、エチレン・1−ブテン共重合体のプロピレン共重合体との界面の状態を含めた分子レベルでの分散状態を分析する現実的手段は現状知られていない。
プロピレン共重合体の存在下でエチレン・1−ブテン共重合体を生成させることにより、生産性が高くなる上に、プロピレン共重合体中のエチレン・1−ブテン共重合体の分散性が高くなるため、物性バランスが向上する。
また、多段重合は上記の方法に限らず、プロピレン共重合体を複数の重合反応器にて重合してもよいし、エチレン・1−ブテン共重合体を複数の重合反応器にて重合してもよい。また、ポリプロピレン系樹脂を得る方法として、モノマー濃度や重合条件の勾配を有する重合器を用いて行う方法が挙げられる。このような重合器では、例えば、少なくとも2つの重合領域が接合されたものを使用し、気相重合でモノマーを重合することができる。
具体的には、触媒の存在下、上昇管からなる重合領域にてモノマーを供給して重合し、上昇管に接続された下降管にてモノマーを供給して重合し、上昇管と下降管とを循環しながら、ポリマー生成物を回収する。この方法では、上昇管中に存在する気体混合物が下降管に入るのを全面的または部分的に防止する手段を備える。また、上昇管中に存在する気体混合物とは異なる組成を有する気体および/または液体混合物を下降管中に導入する。この重合方法は、例えば、特表2002−520426号公報に記載された方法を適用することができる。
また、重合の際には、公知のプロピレン重合用触媒が使用され、また、必要に応じて、分子量の調整のために、水素が添加されてもよい。
より具体的なチタン化合物としては、TiCl4、TiBr4、TiI4などのテトラハロゲン化チタン;Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC2H5)Cl3、Ti(On−C4H9)Cl3、Ti(OC2H5)Br3、Ti(O−isoC4H9)Br3などのトリハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCH3)2Cl2、Ti(OC2H5)2Cl2、Ti(On−C4H9)2Cl2、Ti(OC2H5)2Br2などのジハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCH3)3Cl、Ti(OC2H5)3Cl、Ti(On−C4H9)3Cl、Ti(OC2H5)3Brなどのモノハロゲン化トリアルコキシチタン;Ti(OCH3)4、Ti(OC2H5)4、Ti(On−C4H9)4などのテトラアルコキシチタンなどが挙げられる。これらチタン化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記チタン化合物の中で好ましいものはハロゲン含有チタン化合物、とくにテトラハロゲン化チタンであり、特に好ましいものは、四塩化チタン(TiCl4)である。
これらのマグネシウム化合物は、例えば有機アルミニウム等との錯化合物の形で用いることもでき、また、液状状態であっても固体状態であってもよい。
さらに好適なマグネシウム化合物として、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウム;メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウム等のアルコキシマグネシウムハライド;フエノキシ塩化マグネシウム、メチルフエノキシ塩化マグネシウム等のアリロキシマグネシウムハライド;エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n−オクトキシマグネシウム、2−エチルヘキソキシマグネシウム等のアルコキシマグネシウム;フエノキシマグネシウム、ジメチルフエノキシマグネシウム等のアリロキシマグネシウム;ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム等のマグネシウムのカルボン酸塩などが挙げられる。
これらマグネシウム化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ジエチルスクシネート、ジブチルスクシネート、ジエチルメチルスクシネート、ジエチルジイソプロピルスクシネート、ジアリルエチルスクシネート、α−メチルグルタル酸ジイソブチル、マロン酸ジブチルメチル、マロン酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチル、イソプロピルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチル、フェニルマロン酸ジエチル、ジエチルマロン酸ジエチル、アリルマロン酸ジエチル、ジイソブチルマロン酸ジエチル、ジノルマルブチルマロン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸ジブチル、ブチルマレイン酸ジブチル、ブチルマレイン酸ジエチル、β−メチルグルタル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ−2−エチルヘキシル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル、シトラコン酸ジオクチル、シトラコン酸ジメチルなどの脂肪族ポリカルボン酸エステル。
1,2−シクロヘキサンカルボン酸ジエチル、1,2−シクロヘキサンカルボン酸ジイソブチル、テトラヒドロフタル酸ジエチル、ナジツク酸ジエチルのような脂環族ポリカルボン酸エステル。
3,4−フランジカルボン酸などの異節環ポリカルボン酸エステル。
上記有機アルミニウム化合物(B)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
好ましい有機ケイ素化合物として、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、t−アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo−トリルジメトキシシラン、ビスm−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2−ノルボルナントリメトキシシラン、2−ノルボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフエノキシシラン、メチルトリアリルオキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサンなどが挙げられる。
これらの中でも、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、p−トリルメチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、2−ノネボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ケイ酸エチルが好ましい。
上記外部電子供与体化合物(C)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリプロピレン系樹脂における1−ブテン単位の含有割合は4.6〜10質量%であり、4.8〜8.8質量%であることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂におけるエチレン・1−ブテン単位の含有割合が前記下限値未満であると、該樹脂組成物から得られる成形品の耐衝撃性が低下する傾向にあり、前記上限値を超えると、重合によるポリプロピレン系樹脂の製造が困難になることがある。
プロピレン共重合体においては、エチレン単位の含有割合が1.0〜4.0質量%、プロピレン単位の含有割合が96.0〜99.0質量%であることが好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、造核剤を含有してもよい。造核剤は、ポリプロピレン結晶核の形成を促進させるものである。結晶核を形成することによって、剛性及び透明性をより向上させることができる。
造核剤の具体例としては、ノニトール系化合物、ソルビトール化合物、カルボン酸の金属塩、芳香族リン酸エステル系化合物、トリアミノベンゼン誘導体核剤などが挙げられる。剛性が高く臭気が少ない点では、芳香族リン酸エステル系化合物とトリアミノベンゼン誘導体核剤が好ましい。
ノニトール系化合物としては、例えば、1,2,3−トリデオキシ−4,6−5,7−ビス−o−[(4−プロピルフェニル)メチレン]ノニトールが挙げられる。
ソルビトール化合物としては、例えば、ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ−(メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−(エチルベンジリテン)ソルビトール、1,3,2,4−(メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−(エトキシベンジリデン)ソルビトールなどが挙げられる。
カルボン酸の金属塩としては、例えば、アジピン酸ナトリウム、アジピン酸カリウム、アジピン酸アルミニウム、セバシン酸ナトリウム、セバシン酸カリウム、セバシン酸アルミニウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸アルミニウム、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸アルミニウム、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸チタン、ジ−パラ−t−ブチル安息香酸クロム、ヒドロキシ−ジ−t−ブチル安息香酸アルミニウムなどが挙げられる。
芳香族リン酸エステル系造核剤としては、リン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム塩系造核剤、リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)アルミニウム塩系造核剤、リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リチウム塩系造核剤が挙げられる。
また、トリアミノベンゼン誘導体系造核剤として、例えば、1,3,5−トリス(2,2−ジメチルプロパンアミド)ベンゼン等が挙げられる。
上記造核剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
混合の方法としては特に制限はなく、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー等のミキサーを用いる方法が挙げられる。
混合した後、得られた混合物を溶融混練し、さらにペレット化してもよい。溶融混練装置としては、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル等を用いることができる。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、任意成分として、例えば、塩素吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、内部滑剤、外部滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、発泡剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物、油展および顔料(有機または無機)等のその他の添加剤が含まれてもよい。各添加剤の添加量は公知の量としてよい。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、耐ドローダウン性が高く、中空成形時において、溶融した樹脂組成物が自重によって下に垂れ落ちることを防ぐことができる。
本発明の中空成形品は、上記ポリプロピレン系樹脂組成物を含有するものである。
中空成形品の製造方法としては、例えば、押出機を用いてポリプロピレン系樹脂組成物を溶融混練し、押出成形して管状のパリソンを作製する工程と、そのパリソンを金型で挟むと共にパリソンの内部に空気を吹き込み、溶融した樹脂を金型内面に密着させて賦形して賦形物を得る工程と、その賦形物を冷却する工程とを有する方法が挙げられる。
中空成形品は、例えば、飲料、食品、医薬品、化粧品、洗剤等を充填するための容器として使用することができる。また、中空成形品は、蓋、コンテナ等にも使用することができる。
各例における、エチレン・1−ブテン共重合体における1−ブテン単位の含有割合、ポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度、ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRは以下のように測定した。
1)エチレン・1−ブテン共重合体の1−ブテン単位の含有割合:
エチレン・1−ブテン共重合体の1−ブテン単位の含有割合は、1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解した試料について、日本電子株式会社製JNM LA−400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、13C−NMR法で測定した。
2)ポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度:
ポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分は、以下の方法によって得た。
サンプル2.5gを、o−キシレン(溶媒)を250ml入れたフラスコに入れ、ホットプレートおよび還流装置を用いて、135℃で、窒素パージを行いながら、30分間撹拌し、ポリプロピレン系樹脂を完全溶解させた後、25℃で1時間、冷却した。これにより得られた溶液を、濾紙を用いて濾過した。濾過後の濾液を100ml採取し、アルミニウムカップ等に移し、窒素パージを行いながら、140℃で蒸発乾固を行い、室温で30分間静置して、キシレン可溶分を得た。
得られたキシレン可溶分を試料として用い、テトラヒドロナフタレン中、135℃において毛細管自動粘度測定装置(SS−780−H1、株式会社柴山科学器械製作所製)を用いて、極限粘度を測定した。
3)MFR:
ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRは、JIS K7210に準拠して、温度230℃、荷重:21.18Nの条件で測定した。
ポリプロピレン系樹脂100質量部と、アデカスタブNA−71(リン酸エステル系の造核剤、株式会社ADEKA製)0.25質量部、酸化防止剤(BASF社製B225、イルガノックス1010とイルガフォス168の1:1混合物)0.2質量部、中和剤(淡南化学工業株式会社製カルシウムステアレート)0.05質量部とを、ヘンシェルミキサーで1分間攪拌、混合して溶融混練用混合物を得た。
本例では、ポリプロピレン系樹脂として、フタレート系のチーグラー・ナッタ触媒を用い、1段目で、エチレンとプロピレンとを共重合してプロピレン共重合体を形成し、2段目で、該プロピレン共重合体存在下、エチレンと1−ブテンを共重合させてエチレン・1−ブテン共重合体を形成させて得た重合混合物を用いた。具体的に重合混合物は以下のようにして製造した。
MgCl2上にTiと内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを担持させた固体触媒を、欧州特許第728769号公報の実施例5に記載された方法により調製した。次いで、上記固体触媒と、有機アルミニウム化合物としてトリエチルアルミニウム(TEAL)と、外部電子供与体化合物としてジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を用い、固体触媒に対するTEALの重量比が20、TEAL/DCPMSの重量比が10となるような量で、12℃において24分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃にて5分間保持することによって予備重合を行った。得られた予備重合物を、2段の重合反応器を直列に備える重合装置の1段目の重合反応器に導入し、プロピレンの液相状態にてプロピレン共重合体を製造し、2段目の気相重合反応器でエチレン・ブテン−1共重合体を製造した。重合の際には、重合温度、重合圧力、触媒の添加量、1段目のエチレン供給量、2段目のエチレン供給量と1−ブテン供給量を調整し、分子量調整剤として水素を用いて、ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRとポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度が所定の量となるように、1段目と2段目の供給量を調整した。また、共重合体成分が所定の量となるように、1段目と2段目の滞留時間分布を調整した。
得られた重合混合物からなるポリプロピレン系樹脂は、プロピレン共重合体中のエチレン単位含有割合、ポリプロピレン系樹脂中のエチレン・1−ブテン共重合体含有割合、ポリプロピレン系樹脂中の1−ブテン単位含有割合、エチレン・1−ブテン共重合体中の1−ブテン単位含有割合、ポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度が表1に示すものである。
次いで、前記溶融混練用混合物を、スクリュー温度を230℃、スクリュー回転数90rpmに設定した単軸押出機(ナカタニ機械株式会社社製NVC−50)を用いて溶融混練し、ペレット化して、MFRが1.4g/10分のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
表1に示すような、プロピレン共重合体中のエチレン単位含有割合、ポリプロピレン系樹脂中のエチレン・1−ブテン共重合体含有割合、ポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度、ポリプロピレン系樹脂中の1−ブテン単位含有割合、エチレン・1−ブテン共重合体中の1−ブテン単位含有割合になるように重合条件を調整して、プロピレン共重合体とエチレン・1−ブテン共重合体との重合混合物を得た。
その重合混合物をポリプロピレン系樹脂として用いた以外は実施例1と同様にして、表1に示すMFRのポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
造核剤をポリプロピレン系樹脂に混合しなかった以外は実施例1と同様にして、表1に示すMFRのポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
実施例1と同じ予備重合物と重合装置を用い、1段目で、エチレンとプロピレンとを共重合してプロピレン共重合体を形成し、2段目で、該プロピレン共重合体存在下、エチレンとプロピレンを共重合させてエチレン・プロピレン共重合体を形成させて重合混合物を得た。重合の際は、2段目で1−ブテンの代わりにプロピレン供給量を調整した以外は、実施例1と同様に調整を行った。その重合混合物は、プロピレン共重合体中のエチレン単位含有割合、重合混合物中のエチレン・プロピレン共重合体含有割合、重合混合物のキシレン可溶分の極限粘度、エチレン・プロピレン共重合体中のプロピレン単位含有割合が表1に示すものである。
この重合混合物をポリプロピレン系樹脂として用いた以外は実施例1と同様にして、表1に示すMFRのポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
表2に示すような、プロピレン共重合体中のエチレン単位含有割合、重合混合物中のエチレン・1−ブテン共重合体含有割合、重合混合物のキシレン可溶分の極限粘度、重合混合物中の1−ブテン単位含有割合、エチレン・1−ブテン共重合体中の1−ブテン単位含有割合になるように重合条件を調整して、プロピレン共重合体とエチレン・1−ブテン共重合体との重合混合物を得た。
その重合混合物をポリプロピレン系樹脂として用いた以外は実施例1と同様にして、表2に示すMFRのポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
各例のポリプロピレン系樹脂組成物について、下記方法によりアイゾッド衝撃強度、曲げ弾性率、ヘイズを測定し、耐ドローダウン性を評価した。測定結果及び評価結果を表1,2に示す。
ポリプロピレン系樹脂組成物を、射出成形機(ファナック株式会社製FANUC ROBOSHOT S2000i 射出成形機)を用い、シリンダー温度255℃、金型温度40℃、平均射出速度200mm/秒、冷却時間20秒の条件で成形し、幅10.0mm、厚み4.0mm、長さ80mmの測定用試験片を得た。
その測定用試験片を用い、JIS K7110に準拠し、株式会社東洋精機製作所製デジタル衝撃試験機(DG−UB2)を用い、温度0℃でアイゾッド衝撃強度を測定した。アイゾッド衝撃強度の値が高い程、耐衝撃性に優れる。
JIS K7151に従い、ポリプロピレン系樹脂組成物を、射出成形機(ファナック株式会社製FANUC ROBOSHOT S2000i 射出成形機)を用い、シリンダー温度255℃、金型温度40℃、平均射出速度200mm/秒、冷却時間20秒の条件で成形し、幅10.0mm、厚み4.0mm、長さ80mmの測定用試験片を得た。
その測定用試験片を用い、JIS K7171に準拠し、島津製作所製全自動試験機(AG−X10kN)を用い、温度23℃、相対湿度50%、スパン間64mm、曲げ速度2.0mm/分の条件で曲げ弾性率を測定した。曲げ弾性率の値が高い程、剛性に優れる。
ポリプロピレン系樹脂組成物を、成形温度210℃、圧力10MPa、成形時間60秒の条件でプレス成形した後、冷却温度30℃、冷却時間60秒の条件で冷却して、縦5cm、横5cm、厚さ0.5mmのシート状の試験片を作製した。この試験片を用い、JIS K7136に従い、ヘイズ測定装置((株)村上色彩技術研究所製HM−150型)によりヘイズを測定した。ヘイズの値が小さい程、透明性に優れる。
中空成形機(株式会社日本製鋼所製、押出機のスクリュー直径50mm)を用い、成形温度230℃、スクリュー回転数15回転/分の条件でポリプロピレン系樹脂組成物を鉛直方向の下方に向けて押出成形して、管状のパリソンを作製した。作製されたパリソンを目視観察して耐ドローダウン性を評価した。成形後のパリソンの形状を維持したものを良好と評価し、自重により変形して成形後のパリソンの形状を維持できなかったものを不良と評価した。
エチレン・1−ブテン共重合体の代わりにエチレン・プロピレン共重合体を含む比較例1のポリプロピレン系樹脂組成物は、0℃のアイゾッド衝撃強度が小さかった。
プロピレン共重合体のエチレン単位が0.5質量%未満の比較例2のポリプロピレン系樹脂組成物は、0℃のアイゾッド衝撃強度が小さく、ヘイズが大きかった。
ポリプロピレン系樹脂中のエチレン・1−ブテン共重合体の含有割合が20質量%未満の比較例3のポリプロピレン系樹脂組成物は、0℃のアイゾッド衝撃強度が小さかった。
ポリプロピレン系樹脂中のエチレン・1−ブテン共重合体の含有割合が35質量%を超える比較例4のポリプロピレン系樹脂組成物は、曲げ弾性率が小さかった。
エチレン・1−ブテン共重合体中の1−ブテン単位の含有割合が15質量%未満の比較例5のポリプロピレン系樹脂組成物は、0℃のアイゾッド衝撃強度が小さかった。
ポリプロピレン系樹脂中のキシレン可溶分の極限粘度が2.0dl/gを超える比較例6のポリプロピレン系樹脂組成物は、ヘイズが大きかった。
MFRが5g/10分を超える比較例7のポリプロピレン系樹脂組成物は、0℃のアイゾッド衝撃強度が小さく、また、耐ドローダウン性が低かった。
Claims (4)
- プロピレン共重合体からなるマトリックスとエチレン・1−ブテン共重合体とを含むポリプロピレン系樹脂を含有し、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したメルトフローレートが0.1〜5.0g/10分であり、
前記ポリプロピレン系樹脂は、キシレン可溶分の、135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度が0.7〜2.0dl/g、前記エチレン・1−ブテン共重合体の含有割合が20〜35質量%、1−ブテン単位含有割合が4.6〜10質量%であり、
前記プロピレン共重合体は、エチレン単位0.5〜5.0質量%とプロピレン単位95.0〜99.5質量%とを含み、
前記エチレン・1−ブテン共重合体は、エチレン単位60〜85質量%と1−ブテン単位15〜40質量%とを含む、中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。 - 前記ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン共重合体の存在下、エチレン単量体及び1−ブテン単量体が重合した重合混合物である、請求項1に記載の中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 造核剤を、前記ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して0質量部超1.0質量部以下の範囲で含有する、請求項1又は2に記載の中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を含有する中空成形品。
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