JP6670261B2 - タンデム圧延ミル制御装置およびタンデム圧延ミル制御方法 - Google Patents

タンデム圧延ミル制御装置およびタンデム圧延ミル制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、タンデム圧延ミル制御装置およびタンデム圧延ミル制御方法に関する。
タンデム圧延では、各圧延スタンドの荷重を程良いバランスで被圧延材を圧延することが重要である。ここで、各圧延スタンドの荷重を全圧延スタンドの荷重の総和で割った値を各圧延スタンドの荷重比といい、入側圧延スタンドから最終段の出側圧延スタンドまでの各圧延スタンドの荷重比で構成されるパターンを荷重バランスという。
タンデム圧延では、この荷重バランスが良くないと様々な不都合が生じる。例えば、被圧延材が各圧延スタンドに噛み込まれるときの挙動が不安定になったり、圧延スタンド間および最終段の圧延スタンド出側で被圧延材の形状が乱れたり、圧延スタンド間の張力変動が異常に大きくなったりする。したがって、タンデム圧延を良好に行うためには、適切な荷重バランスの下で圧延を行うことが重要となる。
例えば、特許文献1や特許文献2には、適切な荷重バランスの下でタンデム圧延を行う技術の例が開示されている。特許文献1には、圧延に先立った演算(セットアップ制御)で、隣接した圧延スタンド間における圧延荷重のバランスに配慮したスケジュールを簡単な処理で実現する手法が示されている。具体的には、各圧延スタンドの圧延荷重予測モデルによる学習値のバラツキが荷重バランスを悪化させる問題に対して、隣接する圧延スタンド間での学習値を移動平均することにより、セットアップする荷重バランスを滑らかな荷重バランスにすることができる。
また、特許文献2には、圧延に先立った演算で各圧延機の圧延荷重バランスを評価し、特定の圧延スタンドの荷重が重いなどの適切でない荷重バランスが検出された場合には、これを自動修正して、理想荷重バランスのセットアップ値を得る手法が示されている。具体的には、まず、各圧延スタンドの圧延荷重の総和を計算し、その圧延荷重の総和に、予め鋼種や目標板厚や目標板幅で層別された理想荷重配分係数を乗じて各圧延スタンドの理想圧延荷重を算出する。そして、最終段の圧延スタンドの出側目標板厚を確保しつつ、前記理想圧延荷重となるように、最終段の圧延スタンドから上流圧延スタンドに向かって1圧延スタンドずつ入側板厚の修正計算を行い、その結果として理想荷重バランスを得る。
特開2016−74008号公報 特開平9−192715号公報
特許文献1や特許文献2に開示された技術によれば、被圧延材の圧延に先立ってセットアップされる各圧延スタンドの圧延荷重については、確かに良好な荷重バランスにすることができる。しかしながら、被圧延材が実際に圧延されているとき、そのセットアップされた荷重バランスが維持されるようにすることについては、必ずしも十分な配慮はなされていない。
実際、圧延中の被圧延材は、長手方向に温度や硬度が変化する。また、セットアップ制御の結果、想定以上の板厚偏差が発生することもある。このような場合、圧延中の各圧延スタンドでは、自動板厚制御(AGC:Automatic Gauge Control)が動作するため、圧延中の各圧延スタンドでの圧延荷重が変化する。すなわち、各圧延スタンド間の荷重バランスが変化することとなる。
例えば、最終段の圧延スタンドの出側で測定された実測板厚が目標板厚と異なる場合には、実測板厚を目標板厚と一致させるためにモニタAGCと呼ばれる板厚制御が行われる。このモニタAGCでは、圧下位置は、板厚偏差が厚いとき閉方向に制御され、板厚偏差が薄いとき開方向に制御される。モニタAGCでは、応答性への配慮から、操作量の多くは、通常後段圧延スタンド(とりわけ最終段の圧延スタンド)に配分される。このため、被圧延材の先端部で大きな板厚偏差があったときには、後段圧延スタンドの荷重のみが大きく変化し、前段圧延スタンドの荷重はほとんど変化しないので、全体の荷重バランスが損なわれることとなる。
加えて、熱間圧延では、タンデム圧延機に進入するときの被圧延材の粗材の温度は、徐々に低くなる。そのため、上流圧延スタンドで圧延される被圧延材(粗材)は、圧延中に次第に硬くなる。このとき、各圧延スタンドの出側板厚を一定に保つためにBISRA−AGCと呼ばれる板厚制御が働くため、上流圧延スタンドの荷重も次第に上昇する。一方、タンデム圧延機出側の被圧延材の温度は、圧延スタンド間で冷却水を適宜増減させることにより、ほぼ一定の温度に維持されている。そのため、下流圧延スタンドでの被圧延材の硬さは、ほとんど変化しないので、荷重が上昇することもない。この結果、セットアップされた荷重バランスが変化する。
以上のように、荷重バランスを考慮した荷重が各圧延スタンドにセットアップされていたとしても、その荷重バランスは、被圧延材の圧延中に様々な要因により変化する。特許文献1や特許文献2に開示された技術のように、従来技術では、被圧延材圧延中の荷重バランスの変化については、十分な考慮がなされていない。そのため、圧延中に乱れた荷重バランスの影響によって、圧延スタンド間および最終段の圧延スタンド出側の被圧延材の形状や板幅が乱れ、品質が低下したり、圧延の安定性が損なわれたりすることあった。
本発明の目的は、被圧延材を圧延中であっても予めセットアップされた良好な荷重バランスを維持することが可能なタンデム圧延ミル制御装置およびタンデム圧延ミル制御方法を提供することにある。
本発明に係るタンデム圧延ミル制御装置は、複数の圧延スタンドにより被圧延材を連続的に圧延するタンデム圧延ミルを制御するタンデム圧延ミル制御装置であって、前記被圧延材の圧延に先立って、前記複数の圧延スタンドそれぞれに対し、前記被圧延材の目標板厚を実現するための設定圧延荷重および設定圧下位置を設定するセットアップ制御部と、前記複数の圧延スタンドから選択された1つの圧延スタンドである第1の圧延スタンドについて、前記第1の圧延スタンドに設定された前記設定圧延荷重と、前記複数の圧延スタンドそれぞれに設定された前記設定圧延荷重とに基づき、前記第1の圧延スタンドについての設定荷重比を算出する設定荷重比算出部と、前記被圧延材の圧延中に、前記第1の圧延スタンドから得られる実績圧延荷重と、前記複数の圧延スタンドそれぞれから得られる実績圧延荷重とに基づき、前記第1の圧延スタンドについての実績荷重比を算出する実績荷重比算出部と、前記被圧延材の圧延中に、前記第1の圧延スタンドにおける前記実績荷重比の前記設定荷重比からの偏差が小さくなるように、前記第1の圧延スタンドの荷重比を単位量補正するのに必要な前記第1の圧延スタンドの上流に位置する第2の圧延スタンドの圧下位置補正量として算出される影響係数と前記第1の圧延スタンドにおける前記実績荷重比の前記設定荷重比からの偏差とに基づき算出した圧下位置補正量と、BISRA AGCに基づく圧下位置補正量と、ゲージメータAGCに基づく圧下位置補正量と、モニタAGCに基づく圧下位置補正量と、を加算して求めた前記第2の圧延スタンドの圧下位置補正量により、前記第2の圧延スタンドの圧下位置を制御する圧下位置制御部と、
を備えることを特徴とする。
本発明によれば、被圧延材を圧延中であっても予めセットアップされた良好な荷重バランスを維持することが可能なタンデム圧延ミル制御装置およびタンデム圧延ミル制御方法が提供される。
本発明の第1の実施形態に係るタンデム圧延ミル制御装置およびその制御対象の構成の例を示した図。 セットアップ制御部によって実行されるセットアップ制御処理の処理フローの例を示した図。 ドラフトスケジュール記憶部に記憶されるドラフトスケジュールテーブルの構成の例を示した図。 速度パターン記憶部に記憶される速度パターンテーブルの構成の例を示した図。 設定荷重比算出部によって実行される設定荷重比算出処理の処理フローの例を示した図。 影響係数算出部によって実行される影響係数算出処理の処理フローの例を示した図。 荷重バランス維持部によって実行される荷重バランス維持処理の処理フローの例を示した図。 圧下位置制御部によって実行される圧下位置制御処理の処理フローの例を示した図。 荷重バランス維持部における処理構成の例を模式的に示した図。 本発明の第2の実施形態に係るタンデム圧延ミル制御装置の構成の例を、荷重バランス維持部における処理構成を中心として示した図。 本発明の第2の実施形態に係る制御パラメータ記憶部に記憶される制御パラメータテーブルの構成の例を示した図。 本発明の第2の実施形態に係る制御パラメータ検索補助記憶部に記憶される制御パラメータ検索補助テーブルの構成の例を示した図。 本発明の第2の実施形態に係る制御パラメータ抽出部が実行する制御パラメータ抽出処理の処理フローの例を示した図。 本発明の第2の実施形態の変形例に係る制御パラメータ検索補助記憶部に記憶される制御パラメータ検索補助テーブルの構成の例を示した図。 本発明の第2の実施形態の変形例において制御パラメータ抽出部が実行する制御パラメータ抽出処理の処理フローの例を示した図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図面において、共通する構成要素には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
≪第1の実施形態≫
図1は、本発明の第1の実施形態に係るタンデム圧延ミル制御装置100およびその制御対象150の構成の例を示した図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るタンデム圧延ミル制御装置100は、制御対象150から種々の信号を受信し、それに応じて、種々の制御信号を制御対象150に出力する。
本実施形態では、制御対象150は、仕上げミル160を備えた熱間タンデム圧延ミルである。仕上げミル160は、複数の圧延スタンド161によって構成され、本実施形態では、7つの圧延スタンド161(F〜F)を連続配置した構成となっている。なお、この構成は、熱間タンデム圧延ミルの一般的な構成である。
図1において、被圧延材である鋼板163は、左から右に移動し、前の工程である粗圧延機で圧延された厚さ30〜40mm程度の粗材165を圧延して、薄厚の鋼板163を生産する。なお、粗材165は、粗バー、インカミングバー、トランスファーバーなどの名称で呼ばれることもある。
粗材165は、仕上げミル160の各圧延スタンド161で圧延されて、順次薄く加工され、最終段の圧延スタンド161(F)の出側では、厚さが1.6mm〜15mm程度の鋼板163として払い出される。なお、仕上げミル160において、粗材165および鋼板163を直接圧延するのは、各圧延スタンド161のワークロール162である。本明細書でロール速度とは、このワークロール162の周速を意味している。
また、本実施形態では、圧延される鋼板163の状態を把握するための検出器として、仕上げミル160の最終段の圧延スタンド161(F)の出側に鋼板163の板厚、板幅、温度などを測定するマルチゲージ164が設けられている。なお、ここでは図示を省略しているが、実際には、鋼板163の平坦度を計測する形状計、表面傷を検知する表面疵計、粗材165の先尾端形状のイメージを測定するクロッププロファイル計など、種々の検出器が適宜各所に設けられる。
<タンデム圧延ミル制御装置100の全体構成>
続いて、図1を参照しながら、タンデム圧延ミル制御装置100の構成について説明する。タンデム圧延ミル制御装置100は、セットアップ制御部101、設定荷重比算出部104、影響係数算出部105、圧下位置制御部106、圧延実績収集部107、速度制御部108などの処理機能ブロックを含んで構成される。また、タンデム圧延ミル制御装置100は、ドラフトスケジュール記憶部102、速度パターン記憶部103などの記憶機能ブロックを含んで構成される。
セットアップ制御部101は、鋼板163(粗材165)の圧延に先立って、各圧延スタンド161(F〜F)に出力すべき圧延荷重、圧下位置、ロール速度を計算し、それらを設定圧延荷重、設定圧下位置、設定ロール速度として設定する。すなわち、セットアップ制御部101は、上位コンピュータ50から送信される鋼板163の圧延仕様(鋼種、目標板厚、目標板幅など)を受信する。そして、その受信した圧延仕様に応じて、ドラフトスケジュール記憶部102および速度パターン記憶部103を参照し、目標板厚を実現するための各圧延スタンド161(F〜F)の圧延荷重、圧下位置、ロール速度を計算する。そして、その計算により得られた圧延荷重、圧下位置、ロール速度を、設定圧延荷重、設定圧下位置、設定ロール速度として設定(セットアップ)する。
圧延実績収集部107は、制御対象150から送信される圧延状態の実績値(マルチゲージ164の検出値など)や、タンデム圧延ミル制御装置100が実際に制御対象150に出力した制御指令の実績値などを収集する。圧下位置制御部106は、圧延実績収集部107で収集された各種の実績値に基づき、最終段の圧延スタンド161(F)の出側板厚が目標板厚となるようにセットアップ制御部101で設定された圧延スタンド161(F〜F)の設定圧下位置を補正する。また、速度制御部108は、圧延実績収集部107によって収集された各種の実績値に基づき、セットアップ制御部101によって設定された各圧延スタンド161(F〜F)の設定ロール速度を補正する。
ところで、圧下位置制御部106は、セットアップ制御部101により予めセットアップされた各圧延スタンド161の設定圧下位置を、鋼板163の圧延中にその圧延状況に応じて自動補正する自動板厚制御(以下、AGCという)機能をも有している。本実施形態では、AGC機能は、例えば、BISRA AGC111、ゲージメータAGC112、モニタAGC113により実現されるものとする。
なお、これらのAGC技術は、公知の技術であり、例えば、BISRA AGC111は、鋼板長手方向に沿って各圧延スタンド161の出側板厚のバラツキを抑制する。また、ゲージメータAGC112は、各圧延スタンド161の推定出側板厚を望ましい板厚に一致させるように、各圧延スタンド161の圧下位置を補正する。また、モニタAGC113は、マルチゲージ164で検出した鋼板163の実績板厚と目標板厚が一致するように、後段の圧延スタンド(主として最終段の圧延スタンド161(F))の圧下位置を補正する。
なお、AGCとしては、この他にも、スミス補償器を付加したゲージメータAGCなど種々の形態のAGCが知られている。圧下位置制御部106では、以上のようなAGCを適宜組み合わせて用いることもできる。
圧下位置制御部106は、鋼板163を圧延中に、各圧延スタンド161の荷重比を予めセットアップ制御部101によって設定された設定荷重比に維持するための荷重バランス維持部110を備えている。圧下位置制御部106は、セットアップ制御部101で設定された各圧延スタンド161の圧下位置に、BISRA AGC111、ゲージメータAGC112、モニタAGC113、荷重バランス維持部110のそれぞれの出力を加算する。そして、この加算により得られた圧下位置を、各圧延スタンド161への圧下位置の制御指令として仕上げミル160に出力する。
以上のような構成を有するタンデム圧延ミル制御装置100は、演算処理装置と記憶装置とを少なくとも備えた一般的なコンピュータにより実現することができる。その場合、タンデム圧延ミル制御装置100を構成する各部の機能は、コンピュータの演算装置が記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。ただし、ドラフトスケジュール記憶部102および速度パターン記憶部103は、記憶装置上に記憶された情報として構成される。また、記憶装置には、前記プログラムの実行に際して用いられる様々な情報が記憶される。
続いて、タンデム圧延ミル制御装置100を構成する各部の機能や動作について詳細に説明する。
<セットアップ制御部101>
前記したように、セットアップ制御部101は、鋼板163の圧延に先立って、上位コンピュータ50から送信される、次に圧延される鋼板163の圧延仕様(鋼種、目標板厚、目標板幅など)を受信する。そして、その受信した圧延仕様に応じて、各圧延スタンド161(F〜F)に対する設定圧延荷重、設定圧下位置、設定ロール速度などの制御指令を算出する。これらの設定圧延荷重、設定圧下位置、設定ロール速度などの制御指令は、適宜補正された上で、制御対象150の仕上げミル160に出力される。
ところで、鋼板163が仕上げミル160で圧延されるとき、鋼板163の先端部は、セットアップ制御部101から出力された制御指令にしたがって圧延される。したがって、圧延された鋼板163の先端部から所望の板厚(目標板厚)を得るためには、各圧延スタンド161(F〜F)における設定圧延荷重やワークロール162の設定圧下位置は、適切に決定されなければならない。また、鋼板163が下流の圧延スタンド161に噛み込まれるときの挙動を安定化するためには、各圧延スタンド161(F〜F)の設定ロール速度は、鋼板163のマスフロー(板厚と板速の積)に乱れのないバランスのとれたものでなければならない。なお、これら適切な設定圧下位置や設定ロール速度を計算する方法については、その計算式を含め後記する。
さらに、鋼板163の圧延中には、マルチゲージ164で検出した鋼板163の板厚などの実績値に基づいて、圧下位置制御部106および速度制御部108は、各圧延スタンド161(F〜F)へ出力する圧下位置およびロール速度をそれぞれ補正する。この補正の影響を受けて、各圧延スタンド161(F〜F)での圧延荷重が変化し、各圧延スタンド161(F〜F)相互の荷重バランスが崩れることがある。そこで、本実施形態では、荷重バランス維持部110は、このような補正が行われた後も、セットアップ制御部101により設定された各圧延スタンド161(F〜F)の設定圧延荷重に基づく荷重バランスを維持する制御を行う。
図2は、セットアップ制御部101によって実行されるセットアップ制御処理の処理フローの例を示した図である。図2に示すように、セットアップ制御部101は、まず、上位コンピュータ50から送信される次に圧延される鋼板163の圧延仕様(鋼種、目標板厚、目標板幅)を取得する(ステップS20)。次に、セットアップ制御部101は、ドラフトスケジュール記憶部102を参照して、この圧延仕様に応じたドラフトスケジュールを取得する(ステップS21)。ここで、ドラフトスケジュールとは、各圧延スタンド161において、粗材165または鋼板163をどの程度の割合で板厚を薄くするかを表した情報である。
図3は、ドラフトスケジュール記憶部102に記憶されるドラフトスケジュールテーブル102Tの構成の例を示した図である。図3のドラフトスケジュールテーブル102Tにおいて、「鋼種」、「目標板厚」、「目標板幅」の各項目欄の情報は、圧延される鋼板163の圧延仕様を層別する情報である。また、「F」〜「F」の項目欄の情報は、各圧延スタンド161(F〜F)で鋼板163が圧延される圧下率(パーセント)を圧延仕様の層別毎に示した情報である。なお、圧下率とは、入側板厚に対する入側と出側の板厚差の比率をいう。
例えば、鋼種がSS400で板厚が35mmの粗材165を、目標板厚が2.5mm、目標板幅が900mmの鋼板163に圧延する場合のドラフトスケジュールは、図3のドラフトスケジュールテーブル102Tでは、1行目のデータに該当する。すなわち、目標板厚が2.5mm、目標板幅が900mmの鋼板163は、鋼種がSS400、目標板厚が2.0〜3.0mm、目標板幅が1000mm以下の圧延仕様に該当する。
さらに、このドラフトスケジュールテーブル102Tの1行目のデータによれば、圧延スタンド161(F)では、板厚35mmの粗材165は、その板厚の40%に相当する14mmが圧延され、出側板厚21mmとなる。また、圧延スタンド161(F)では、入側板厚21mmの鋼板163は、その板厚の35%に相当する分の板厚が圧延され、出側板厚13.65mmとなる。
以下同様にして、圧延が行われる。そして、最終段の圧延スタンド161(F)からは、目標板厚2.5mmの鋼板163が払い出される。なお、以上のようにして得られた最終段の圧延スタンド161(F)の出側板厚に目標板厚2.5mmからの偏差が生じる場合には、その偏差に応じて他の圧延スタンド161(F〜F)の圧下率を適宜調整すればよい。
図2に戻り、セットアップ制御処理の説明を続ける。次に、セットアップ制御部101は、速度パターン記憶部103を参照して、上位コンピュータ50から送信された圧延仕様(鋼種、目標板厚、目標板幅)に対応する鋼板163の速度パターンを取得する(ステップS22)。
図4は、速度パターン記憶部103に記憶される速度パターンテーブル103Tの構成の例を示した図である。図4に示すように、速度パターンテーブル103Tの各行のデータは、圧延される鋼板163の圧延仕様(鋼種、目標板厚、目標板幅)に応じて予め設定された圧延速度(板速ともいう)またはその加速度を表した情報である。
ここで、初期速度は、鋼板163の先端部が最終段の圧延スタンド161(F)から払い出されるときの鋼板速度である。また、第1加速度は、鋼板速度が初期速度から次第に速度を上げていくときの加速度であり、第2加速度は、鋼板163が後段設備であるダウンコイラ(図示省略)に噛み込まれた後、定常速度に達するまでの加速度である。また、減速度は、鋼板163が安定的に各圧延スタンド161(F〜F)を抜けるための、定常速度から終期速度まで減速するときの負の加速度である。また、終期速度は、鋼板163の尾端部が最終段の圧延スタンド161(F)から払い出されるときの鋼板速度である。
図4によれば、圧延対象の鋼板163の鋼種がSS400、板厚1.2〜1.4mm、板幅が1000mm以下である場合には、初期速度は650mpm、定常速度は1100mpm、終期速度700mpmとなる。そして、第1加速度として2mpm/s、第2加速度として12mpm/s、減速度として6mpm/sが設定される。
再度、図2に戻り、セットアップ制御処理の説明を続ける。セットアップ制御部101は、各圧延スタンド161(F〜F)における鋼板163の圧延温度を推定する(ステップS23)。すなわち、セットアップ制御部101は、制御対象150の各所に設置されている温度計(図示省略)から得られる温度に加え、鋼板163からの熱輻射、加工発熱、ワークロール162を介して奪われるロール接触伝熱などを考慮して圧延時の鋼板163の温度を推定する。
なお、この場合の温度推定の方法は、熱力学の各種文献で多数紹介されている。とくに圧延時の温度変化については、例えば「板圧延の理論と実際(日本鉄鋼協会)」の第6章(圧延における温度変化)で詳しく述べられている。
次に、セットアップ制御部101は、各圧延スタンド161で圧延される鋼板163の硬さに相当する値である変形抵抗を計算する(ステップS24)。変形抵抗の求め方についても、種々の文献に示されており、例えば、前記の「板圧延の理論と実際(日本鉄鋼協会)」の第7章(変形抵抗)に詳しく説明されている。
変形抵抗kfの代表的な計算式としては、例えば、圧延時の鋼板温度Tを用いて計算する次の式(1)がある(「板圧延の理論と実際」の7.54式を参照)。

kf=Kε(dε/dt)exp(A/T) (1)
ここで、ε:ひずみ
(dε/dt):ひずみ速度
K,n,m,A:鋼種によりに決まる定数
次に、セットアップ制御部101は、各圧延スタンド161(F〜F)のロール速度Vrを計算する(ステップS25)。ステップS22で取得した速度パターンのデータは、最終段の圧延スタンド161(F)の出側板速(圧延速度)であるから、この出側板速を用いて各圧延スタンド161(F〜F)のロール速度Vrを、次の手順1および手順2により計算する。
(手順1)セットアップ制御部101は、次の式(2)を用いて各圧延スタンド161(F〜F)の出側板速Vs(i=1〜7)を計算する。

Vs=Vs×h/h (2)
ここで、Vs:圧延スタンド(F)の出側板速
:圧延スタンド(F)の出側板厚
:圧延スタンド(F)(最終段圧延スタンド)の出側板厚
(手順2)セットアップ制御部101は、各圧延スタンド161(F〜F)の出側板速Vsと先進率fとを用いて、次の式(3)に従い、各圧延スタンド161(F〜F)のロール速度Vr(i=1〜7)を算出する。

Vr=Vs/f (3)
ここで、Vr:圧延スタンド(F)のロール速度
:圧延スタンド(F)の先進率
ここで、先進率fとは、ワークロール162の周速とワークロール162により圧延される鋼板163の出側板速Vsとの比に対応した値であり、例えば式(4)のような関数で表されることが知られている。なお、その詳細は、「板圧延の理論と実際」(日本鉄鋼協会編)などに示されている。

f=F(H,h,R’,Kp,tb,tf) (4)
ここで,H:入側板厚
h:出側板厚
R’:偏平ロール径,
Kp:変形抵抗
tb:入側張力
tf:出側張力
(パラメータの記号H,h,R’,Kp,tb,tfの意味は、式(5)以下の式でも同じ。また、式(4)、式(5)、式(6)では、圧延スタンド(F)を識別する記号iを省略。)
したがって、セットアップ制御部101は、圧延スタンド161毎に先進率fを計算した上で各圧延スタンド161のロール速度Vrを求めることとなる。
次に、セットアップ制御部101は、各圧延スタンド161(F〜F)の設定圧延荷重Pset_iを計算する(ステップS26)。圧延荷重Pの計算式の詳細は、「板圧延の理論と実際」(日本鉄鋼協会編)などに示されており、例えば、次の式(5)のように表される。

P=G(w,Kp,Qp,tf,tb,R’,H,h,μ) (5)
ここで、w:板幅
Kp:変形抵抗
Qp:圧下力関数
μ:摩擦係数
最後に、セットアップ制御部101は、各圧延スタンド161(F〜F)のワークロール162の圧下位置(ロールギャップ)Sを計算し、これを設定圧下位置Sset_iとする(ステップS27)。なお、圧下位置Sは、基本的には、次の式(6)を用いて計算することができる。ただし、実際には、計算の精度を上げるため、ロールのたわみを制御するベンダー圧を始めとした種々の補正項が付加されることが多いが、ここでは省略している。

S=h−P/K (6)
ここで、S:圧下位置
P:圧延荷重
K:ミルばね定数
セットアップ制御部101は、以上のようにして算出した各圧延スタンド161(F〜F)のワークロール162の設定圧下位置Sset_iおよびロール速度Vrを、次に圧延される鋼板163に対する制御指令として出力する。
<設定荷重比算出部104>
図5は、設定荷重比算出部104によって実行される設定荷重比算出処理の処理フローの例を示した図である。図5に示すように、設定荷重比算出部104は、各圧延スタンド161(F〜F)についての設定圧延荷重Pset_iの総和Ptotal_setを、次の式(7)により算出する(ステップS51)。

total_set=Pset_1+Pset_2+Pset_3+Pset_4+Pset_5+Pset_6+Pset_7 (7)
ここで、Pset_i:圧延スタンド(F)の設定圧延荷重
続いて、設定荷重比算出部104は、次の式(8)により圧延スタンド161(F)の設定荷重比Prset_iを算出する(ステップS52)。

Prset_i=Pset_i/Ptotal_set (8)
次に、設定荷重比算出部104は、圧延スタンド(F〜F)の全てについて設定荷重比Prset_iの計算が終了したか否かを判定し(ステップS53)、終了していない場合には(ステップS53でNo)、ステップS52の処理を再度実行する。また、圧延スタンド(F〜F)の全てについて設定荷重比Prset_iの計算が終了した場合には(ステップS53でYes)、当該設定荷重比算出処理を終了する。
以上のようにして算出された設定荷重比Prset_iは、セットアップ制御部101で設定された各圧延スタンド(F〜F)の適切な設定圧延荷重に基づき算出されたものである。したがって、設定荷重比Prset_iは、各圧延スタンド(F〜F)間の好ましい荷重バランスを表した情報といえる。
<影響係数算出部105>
図6は、影響係数算出部105によって実行される影響係数算出処理の処理フローの例を示した図である。図6に示すように、設定荷重比算出部104は、次に示す式(9)により圧延スタンド161(F)の影響係数φcoef_iを算出する(ステップS61)。

φcoef_i=(∂S/∂P)(∂P/∂h)(∂Hi+1/∂Pi+1) (9)
ここで、S:圧延スタンド(F)の圧下位置
:圧延スタンド(F)の圧延荷重
:圧延スタンド(F)の入側板厚
:圧延スタンド(F)の出側板厚(ただし、Hi+1=h
なお、影響係数φcoef_iとは、圧延スタンド161(F)の下流の圧延スタンド161(Fi+1)の荷重比を単位量補正するための圧延スタンド161(F)の圧下位置補正量ということができる。したがって、影響係数φcoef_iは、圧延スタンド(F〜F)については、計算することができるが、最終段の圧延スタンド(F)については、定義されない。
また、式(9)における(∂S/∂P)は、式(6)をPで偏微分することにより計算することができる。同様に、(∂P/∂h)および(∂Hi+1/∂Pi+1)は、式(5)をhで偏微分することにより計算することができる。
次に、設定荷重比算出部104は、圧延スタンド(F〜F)の全てについて影響係数φcoef_iの計算が終了したか否かを判定し(ステップS62)、終了していない場合には(ステップS62でNo)、ステップS61の処理を再度実行する。また、圧延スタンド(F〜F)の全てについて影響係数φcoef_iの計算が終了した場合には(ステップS62でYes)、当該影響係数算出処理を終了する。
<圧下位置制御部106>
以上、ここまでに示したセットアップ制御部101、設定荷重比算出部104、影響係数算出部105の処理は、鋼板163が仕上げミル160で圧延されるのに先立って実行される。そして、圧下位置制御部106は、鋼板163の先端部が各圧延スタンド161に噛み込まれていく際には、セットアップ制御部101から出力される設定圧下位置に従いワークロール162の圧下位置を制御する。同様に、速度制御部108は、鋼板163の先端部が各圧延スタンド161に噛み込まれていく際には、セットアップ制御部101から出力される設定ロール速度に従いワークロール162のロール速度を制御する。
一方、鋼板163の圧延が開始され、圧延実績収集部107による圧延実績の取得が開始されると、荷重バランス維持部110および3つのAGC111〜113により各圧延スタンド161の圧下位置の補正が行われる。そこで、圧下位置制御部106は、この圧下位置を補正する処理を一定の周期で(例えば、1秒間隔で)実行し、その都度、セットアップ制御部101で得られた設定圧下位置を補正する。そして、その補正して得られた圧下位置を仕上げミル160に出力する。
以下では、圧下位置制御部106の処理のうち、まず、荷重バランス維持部110の処理について説明した後、圧下位置制御部106全体の処理について説明する。
図7は、荷重バランス維持部110によって実行される荷重バランス維持処理の処理フローの例を示した図である。なお、荷重バランス維持処理では、下流に他の圧延スタンド161が存在する圧延スタンド161(F〜F)についてのみ、設定圧下位置の補正を行う。したがって、図7の処理は、i=1〜6について実行される。
図7に示すように、荷重バランス維持部110は、まず、設定荷重比算出部104で計算された、当該圧延スタンド161(F)の下流の圧延スタンド161(Fi+1)の設定荷重比Prset_i+1を取得する(ステップS71)。次に、荷重バランス維持部110は、影響係数算出部105で計算された当該圧延スタンド161(F)の影響係数φcoef_iを取得する(ステップS72)。
次に、荷重バランス維持部110は、圧延実績収集部107を介して、各圧延スタンド161(F〜F)のそれぞれの実績圧延荷重Pract_i(i=1〜7)を取得する(ステップS73)。そして、次の式(10)に従い、当該圧延スタンド161(F)の下流の圧延スタンド161(Fi+1)の実績荷重比Pract_i+1を算出する(ステップS74)。

Pract_i+1=Pact_i+1/Ptotal_act (10)
ここで、Ptotal_act=Pact_1+Pact_2+Pact_3+Pact_4+Pact_5+Pact_6+Pact_7
act_i+1:下流の圧延スタンド(Fi+1)の実績圧延荷重
次に、荷重バランス維持部110は、次の式(11)に従い、当該圧延スタンド161(F)の下流の圧延スタンド161(Fi+1)の荷重バランスを維持するための当該圧延スタンド161(F)の圧下位置補正量Dr_iを算出する(ステップS75)。

r_i=φcoef_i・ΔPri+1・Kp・(1+1/(T・s)) (11)
ここで、ΔPri+1=Pract_i+1−Prset_i+1
Kp:比例ゲイン
:積分時間
s:ラプラス演算子
式(11)において、ΔPri+1は、下流の圧延スタンド161(Fi+1)における実績荷重比Pract_i+1の設定荷重比Prset_i+1からの偏差である。そこで、荷重バランス維持部110は、この偏差ΔPri+1を小さくする方向に、圧延スタンド161(F)の設定圧下位置Sset_iを補正する。
なお、式(11)は、比例積分制御を想定した場合の例であり、この場合、荷重バランス維持部110は、圧延スタンド161(F)毎に比例ゲインKpと積分時間Tsとを用いて比例積分制御を行うこととなる。また、圧下位置補正量Dr_iを算出する際には、比例のみあるいは積分のみの制御を想定してもよい。また、補正量応答の一律性を考慮する場合には、圧延スタンド161間における鋼板163の速度、圧延スタンド161間の距離、圧延実績値のサンプリング周期などを含んだ計算式に従い、圧下位置補正量Dr_iを算出することもできる。
次に、荷重バランス維持部110は、圧延スタンド(F〜F)の全てについて圧下位置補正量Dr_iの計算が終了したか否かを判定し(ステップS76)、終了していない場合には(ステップS76でNo)、ステップS71以下の処理を再度実行する。また、圧延スタンド(F〜F)の全てについて圧下位置補正量Dr_iの計算が終了した場合には(ステップS76でYes)、当該荷重バランス維持処理を終了する。
図8は、圧下位置制御部106によって実行される圧下位置制御処理の処理フローの例を示した図である。この圧下位置制御処理は、一定の周期(例えば1秒周期)で起動されて実行される。
圧下位置制御部106は、まず、鋼板163の圧延に先立ちセットアップ制御部101により計算された各圧延スタンド(F)の設定圧下位置Sset_iを取得する(ステップS81)。
次に、圧下位置制御部106は、鋼板163の圧延開始を判定し(ステップS82)、圧延が開始されていない場合には(ステップS82でNo)、ステップS82の圧延開始の判定処理を繰り返し実行する。一方、鋼板163の圧延が開始された場合には(ステップS82でYes)、圧下位置制御部106は、各圧延スタンド161(F〜F)に対してBISRA AGCの計算を行い、これにより生じる圧下位置補正量Dbsr_iを算出する(ステップS83)。
なお、BISRA AGCは、鋼板163の長手方向の硬度ムラや厚み偏差を補償し、均一な厚みを得るためのAGC機能である。このBISRA AGCに基づく圧下位置補正量Dbsr_iの計算式は、各種の文献に示されているが、例えば、次の式(12)がある。

bsr_i=A1_i・(Pact_i−Plock_i) (12)
ここで、Plock_i:鋼板163の先端でロックオンしたときの実績荷重
1_i:比例係数
次に、圧下位置制御部106は、各圧延スタンド161(F〜F)に対してゲージメータAGCの計算を行い、これにより生じる圧下位置補正量Dgmt_iを算出する(ステップS84)。ゲージメータAGCは、ゲージメータ式で推定される各圧延スタンド161(F〜F)の望ましい出側板厚からの偏差を低減するためのAGC機能である。このゲージメータAGCに基づく圧下位置補正量Dgmt_iの計算式は、各種の文献に示されているが、例えば、次の式(13)がある。

gmt_i=A2_i・(htarget_i−hest_i) (13)
ここで、hest_i=Sact_i+Pact_i/K+ΔD
target_i:圧延スタンド(F)の望ましい出側板厚
est_i:圧延スタンド(F)の推定出側板厚
act_i:圧延スタンド(F)の実績圧下位置
ΔD:補正係数
:圧延スタンド(F)のバネ係数
2_i:係数
次に、圧下位置制御部106は、各圧延スタンド161(F〜F)に対してモニタAGCの計算を行い、これにより生じる圧下位置補正量Dmnt_iを算出する(ステップS85)。モニタAGCは、マルチゲージ164で検出された圧延スタンド161(F)の出側板厚の目標板厚からの偏差を低減するためのAGC機能である。このモニタAGCに基づく圧下位置補正量Dmnt_iの計算式は、各種の文献に示されているが、例えば、次の式(14)がある。

mnt_i=A3_i・(htarget_7−hact_7) (14)
ここで、htarget_7:圧延スタンド(F)の望ましい出側板厚(目標板厚)
act_7:圧延スタンド(F)の実績出側板厚,
3_i:係数
次に、圧下位置制御部106は、荷重バランス維持部110による荷重バランス維持処理(図7参照)で算出された荷重バランスを維持するための圧下位置補正量Dr_iを取得する(ステップS86)。そして、ステップS81で求めた設定圧下位置Sset_iに、ステップS83〜S86で求めた各圧下位置補正量Dbsr_i,Dgmt_i,Dmnt_i,Dr_iを加算し、その加算により得られた圧下位置Sを、仕上げミル160の各圧延スタンド161に出力する(ステップS87)。
次に、圧下位置制御部106は、鋼板163の圧延が終了したかを判定し(ステップS88)、鋼板163の圧延が終了していない場合には(ステップS88でNo)、ステップS83〜S87の処理を繰り返し実行する。一方、鋼板163の圧延が終了した場合には(ステップS88でYes)、当該圧下位置制御処理を終了する。
図9は、荷重バランス維持部110における処理構成の例を模式的に示した図である。すなわち、図9には、下流スタンド902(Fi+1)の実績荷重比Pract_i+1が設定荷重比Prset_i+1に近い値となるように上流スタンド901(F)の圧下位置Sを制御するような荷重バランス維持部110の処理構成が示されている。
図9に示すように、荷重バランス維持部110は、圧下位置制御部106の内部に設けられている。また、荷重バランス維持部110の内部には、実績荷重比算出部904および圧下位置補正量算出部906が設けられている。ここで、実績荷重比算出部904は、圧延実績収集部107を介して取得された各圧延スタンド161(F〜F)の実績圧延荷重Pact_iを用いて、各圧延スタンド161(F〜F)の実績荷重比Pract_iを算出する。さらに、圧下位置補正量算出部906は、上流スタンド901(F)における影響係数φcoef_iと、下流スタンド902(Fi+1)における実績荷重比Pract_i+1の設定荷重比Prset_i+1からの偏差ΔPri+1と、に基づき上流スタンド901(F)の圧下位置補正量Dr_iを算出する。
すなわち、こうして得られた圧下位置補正量Dr_iは、下流スタンド902(Fi+1)における実績荷重比Pract_i+1の設定荷重比Prset_i+1からの偏差ΔPri+1を解消するための圧下位置の補正量ということができる。換言すれば、上流スタンド901(F)における圧下位置補正量Dr_iは、下流スタンド902(Fi+1)における実績荷重比Pract_i+1を、設定荷重比Prset_i+1から変動しないように維持するための圧下位置の補正量ということができる。
また、圧下位置補正量算出部906からの出力910は、BISRA AGC111、ゲージメータAGC112、モニタAGC113(図示省略:図1参照)からの出力に加算された上で、セットアップ制御部101により設定された圧下位置を補正する。そして、その補正された圧下位置が上流スタンド901(F)に出力される。
なお、最終段の圧延スタンド161(F)については図9でいう下流スタンド902(Fi+1)に相当するものが存在しないので、荷重バランス維持部110は設けられない。この場合には、圧下位置補正量算出部906からの出力910、すなわち、圧下位置補正量Dr_7は、ゼロとみなされる。
以上のように、本発明の第1の実施形態によれば、鋼板163の圧延中に、下流スタンド902(Fi+1)の実績荷重比Pract_i+1が予め適切に設定された設定荷重比Prset_i+1と同じになるように、上流スタンド901(F)の圧下位置Sが制御される。すなわち、実績荷重比Pract_iを設定荷重比Prset_i+1に近付けるような制御が行われる。したがって、本発明に係る実施形態では、鋼板163の圧延中であっても、予めセットアップされた適切な荷重バランスを維持することができるようになる。その結果、圧延操業の安定性が向上するので、製造される鋼板163における形状、板幅、板厚の乱れを防止することができ、鋼板163の製品としての品質が向上する。
≪第2の実施形態≫
図10は、本発明の第2の実施形態に係るタンデム圧延ミル制御装置100aの構成の例を、荷重バランス維持部110における処理構成を中心として示した図である。第2の実施形態に係るタンデム圧延ミル制御装置100aは、制御パラメータ抽出部1001、制御パラメータ記憶部1002および制御パラメータ検索補助記憶部1003が追加された点でのみ、第1の実施形態に係るタンデム圧延ミル制御装置100と相違する。
制御パラメータ抽出部1001は、圧下位置補正量算出部906で用いられる制御パラメータである比例ゲインKpと積分時間Tについて、次回圧延する鋼板163に適した値を求める。そして、その求めた比例ゲインKpと積分時間Tの値を、鋼板163の圧延に先立って圧下位置補正量算出部906に出力する。この制御パラメータを求めるに当たって、制御パラメータ抽出部1001は、制御パラメータ記憶部1002および制御パラメータ検索補助記憶部1003を参照するが、その詳細については後記する。
図11は、本発明の第2の実施形態に係る制御パラメータ記憶部1002に記憶される制御パラメータテーブル1002Tの構成の例を示した図である。図11に示すように、制御パラメータテーブル1002Tには、各圧延スタンド161(F〜F)に対する荷重バランス維持部110で用いられる制御パラメータの値が圧延仕様番号に対応付けられて記憶される。ここで、制御パラメータとは、式(11)に含まれる比例ゲインKpおよび積分時間Tをいう。
なお、圧延スタンド161(F)については、下流の圧延スタンド161が存在しないので、荷重バランス維持部110は設けられない。したがって、制御パラメータテーブル1002Tには、圧延スタンド161(F)に対して設定される制御パラメータは存在しない。
図11の制御パラメータテーブル1002Tの例では、圧延仕様番号が「1〜4」の場合には、i=1〜6の圧延スタンド161(F)のそれぞれに比例ゲインKpおよび積分時間Tの値が記憶されている。これは、圧延スタンド161(F〜F)の全てで荷重バランス維持のための圧下位置補正処理が行われることを意味する。
一方、圧延仕様番号が「5」の場合には、比例ゲインKpおよび積分時間Tの値は、圧延スタンド161(F)については記憶されているが、圧延スタンド161(F〜F)については記憶されていない(図中の記号「−」はブランクを表す)。これは、荷重バランス維持のための圧下位置補正処理が、圧延スタンド161(F)でのみ行われ、圧延スタンド161(F〜F)では行われないことを意味する。なお、圧下位置補正処理が行われない場合には、圧下位置補正量算出部906からの出力910をゼロとすればよい。
一般に、荷重比が最も変動し易く、鋼板163の品質に最も大きな影響を及ぼす圧延スタンド161は、最終段の圧延スタンド161(F)である。例えば、圧延仕様番号が「5」の例では、最終段の圧延スタンド161(F)における実績荷重比Pract_7のみを、セットアップ制御部101で設定された設定荷重比Prset_7に維持するようにする。そして、圧延スタンド161(F)のみで荷重バランス維持のための圧下位置補正を行う。なお、この場合には、圧延スタンド161(F〜F)では、圧下位置の補正量が小さくなるので、その分、圧下位置の変動が抑制され、圧延操業が安定化される効果も期待することができる。
また、圧延仕様番号が「6」の場合、制御パラメータテーブル1002Tには、2つの圧延スタンド161(F,F)についてのみ、比例ゲインKpおよび積分時間Tの値が記憶されている。この場合には、圧延スタンド161(F〜F)では、荷重バランス維持のための圧下位置補正処理は行われない。以下、同様に、下流の3つ以上の圧延スタンド161について、適宜、荷重バランス維持のための圧下位置補正処理を行うようにすることもできる。
以上のように本実施形態では、制御パラメータテーブル1002Tを導入したことにより、隣接した2つの圧延スタンド161(F,Fi+1)間での荷重バランス維持制御を、制御パラメータの組み合わせ方の変更により容易に様々な形態に変更することができる。しかも、その変更は、全ての圧延スタンド161(F〜F)での荷重バランス維持制御にも適用でき、また、特定の圧延スタンド161(F,Fi+1)間だけでの荷重バランス維持制御にも適用できる。
図12は、本発明の第2の実施形態に係る制御パラメータ検索補助記憶部1003に記憶される制御パラメータ検索補助テーブル1003Tの構成の例を示した図である。図12に示すように、制御パラメータ検索補助テーブル1003Tは、圧延される鋼板163が鋼種、板厚、板幅で層別され、各層別の鋼板163に対して圧延仕様番号が対応付けられて構成される。
例えば、圧延される鋼板163の鋼種が「SS400」、目標板厚が「2.5mm」、目標板幅が「900mm」の場合、この鋼板163は、鋼種が「SS400」、目標板厚が「2.0〜3.0mm」、目標板幅が「〜1000mm」の層別に該当する。したがって、この場合の鋼板163の圧延仕様番号は、「3」となる。
図13は、本発明の第2の実施形態に係る制御パラメータ抽出部1001が実行する制御パラメータ算出処理の処理フローの例を示した図である。図13に示すように、制御パラメータ抽出部1001は、まず、セットアップ制御部101を介して上位コンピュータ50から送信される情報である、次に圧延される鋼板163の鋼種、目標板厚、目標板幅を取得する(ステップS131)。次に、制御パラメータ抽出部1001は、図12の制御パラメータ検索補助テーブル1003Tを参照して、前記の鋼板163の鋼種、目標板厚、目標板幅に対応付けられた圧延仕様番号を抽出する(ステップS132)。
次に、制御パラメータ抽出部1001は、図11の制御パラメータテーブル1002Tを参照して、前記抽出した圧延仕様番号に対応付けられた制御パラメータを抽出する(ステップS133)。このとき、圧延スタンド161(F〜F)のそれぞれに対応する制御パラメータ(比例ゲインKp〜Kpおよび積分時間T〜T)が抽出される。そこで、制御パラメータ抽出部1001は、その抽出した制御パラメータを、それぞれ対応する圧延スタンド161(F〜F)の圧下位置補正量算出部906に出力する(ステップS134)。
なお、図11、図12の制御パラメータテーブル1002Tおよび制御パラメータ検索補助テーブル1003Tによって関連付けられる、圧延される鋼板163の圧延仕様と制御パラメータとの間には、以下のような関連を想定することができる。例えば、目標板厚が厚い場合には、圧延速度が遅いので、比例ゲインKpを小さくし、積分時間Tを大きく設定する。また、鋼板163の鋼種が硬い材料の場合には、先端部で荷重の予測が外れることに配慮し、圧延が不安定にならないように圧延スタンド161(F)の比例ゲインを小さく設定する。
また、本実施形態では、鋼板163の全長にわたって同じ制御パラメータの組合せで荷重バランスを制御するものとしたが、鋼板163の先端部や尾端部を圧延するときと、それ以外の部分を圧延するときとで、異なる制御パラメータの組合せで制御してもよい。例えば、鋼板163の先端部では、圧延の安定性に配慮して比例ゲインKpを小さく設定するが、それ以外の部分では応答性に配慮して比例ゲインKpをやや大きい値に設定してもよい。あるいは、このような設定を鋼板163が薄板の場合に限定し、鋼板163の先端部でも圧延が不安定になりにくい厚板の場合には、先端部とそれ以外の部分とで同じ比例ゲインKpと同じ積分時間Tを設定してもよい。
また、鋼板163の先端部では、下流の圧延スタンド161(F,F)に限定して荷重バランスの制御を行い、先端部の圧延が終わると、全ての圧延スタンド161(F〜F)を対象に、荷重バランスの制御を行うようにしてもよい。
また、荷重バランス維持部110を、鋼板163の全長にわたって働かせてもよいし、鋼板163の先端部を一定長あるいは一定時間圧延した後に動作を始めたり、鋼板163を圧延し終わる一定長あるいは一定時間前に動作を終了させたりしてもよい。また、これらの制御が各圧延スタンド161(F〜F)のそれぞれで異なったものであってもよい。例えば、圧延スタンド161(F〜F)では、荷重バランス維持部110を鋼板163の全長にわたって動作させ、圧延スタンド161(F)では、鋼板163の先端部除いた部分で動作させるようにしてもよい。本実施形態では、以上のような制御を、鋼板163の長手方向で、適宜、圧延仕様番号を切り替えることで容易に実現できる。
また、本実施形態は、制御パラメータ抽出部1001が圧下位置補正量算出部906に含まれる比例ゲインKpおよび積分時間Tの両方を設定するものであるが、その一方だけを設定するものであってもよい。あるいは、制御パラメータ抽出部1001が微分時間など他の制御パラメータをさらに設定するものであってもよい。
なお、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、圧延中であっても、予めセットアップされた荷重バランスを維持することが可能となる。さらに、制御パラメータ抽出部1001や制御パラメータ記憶部1002などを設けたことから、荷重バランス維持部110における制御の融通性や多様性を向上させることができる。
≪第2の実施形態の変形例≫
図14は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る制御パラメータ検索補助記憶部1003に記憶される制御パラメータ検索補助テーブル1003Taの構成の例を示した図である。なお、本変形例では、制御パラメータテーブル1002Tの構成は、図11に示した構成と同じである。
制御パラメータ検索補助テーブル1003Taは、圧延を終えた鋼板163と次に圧延される鋼板163との鋼種差、目標板厚差、目標板幅差により層別された各層別に対し、圧延仕様番号が対応付けられて構成される。図14によれば、例えば、圧延を終えた鋼板163と次に圧延される鋼板163との鋼種差が「異鋼種」、目標板厚差および目標板幅差がともに「0」である場合には、圧延仕様番号として「3」が対応付けられる。また、鋼種差が「異鋼種」、板厚差が「7%」、板幅差が「12%」である場合には、圧延仕様番号として「4」が対応付けられる。
図15は、本発明の第2の実施形態の変形例において制御パラメータ抽出部1001が実行する制御パラメータ算出処理の処理フローの例を示した図である。図15に示すように、制御パラメータ抽出部1001は、まず、セットアップ制御部101を介して上位コンピュータ50から送信される、圧延を終えた鋼板163と次に圧延される鋼板163との鋼種差、目標板厚差、目標板幅差を取得する(ステップS151)。次に、制御パラメータ抽出部1001は、図14の制御パラメータ検索補助テーブル1003Taを参照して、前記の鋼種差、目標板厚差、目標板幅差に対応付けられた圧延仕様番号を抽出する(ステップS152)。
次に、制御パラメータ抽出部1001は、図11の制御パラメータテーブル1002Tを参照して、前記抽出した圧延仕様番号に対応付けられた制御パラメータを抽出する(ステップS153)。このとき、圧延スタンド161(F〜F)のそれぞれに対応する制御パラメータ(比例ゲインKp〜Kpおよび積分時間T〜T)が抽出される。そこで、制御パラメータ抽出部1001は、その抽出した制御パラメータを、それぞれ対応する圧延スタンド161(F〜F)の圧下位置補正量算出部906に出力する(ステップS154)。
なお、圧延を終えた鋼板163と次に圧延される鋼板163との鋼種差、板厚差、板幅差と、制御パラメータとの間には、以下のような関連を想定することができる。例えば、鋼種差が異鋼種の場合には、鋼板163の先端部の板厚偏差が大きくなるので、これを解消するためにモニタAGC113による圧延スタンド161(F)の圧下位置補正でその圧下位置が動く頻度が大きくなる。そこで、このような場合には、鋼板163の先端部を安定して通板させるために、比例ゲインKpとして小さい値を、積分時間Tとして大きい値を設定するのが好ましい。加えて、板厚差が大きい場合には、鋼板163の先端部の板厚偏差がさらに大きくなる可能性があるので、比例ゲインKpをさらに小さく、積分時間Tをさらに大きく設定するのが好ましい。
また、本実施形態の変形例では、鋼種の違いを「同鋼種」か「異鋼種」かにより層別したが、さらに、鋼種の違いを「強度差」など用いて、より精細に層別してもよい。
なお、この第2の実施形態の変形例でも、前記の第2の実施形態と同様の効果を得ることでできることには変わりがない。
本発明は、以上に説明した実施形態および変形例に限定されるものではなく、さらに、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態および変形例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態や変形例の構成の一部を、他の実施形態や変形例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態や変形例の構成に他の実施形態や変形例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態や変形例の構成の一部について、他の実施形態や変形例に含まれる構成を追加・削除・置換することも可能である。
50 上位コンピュータ
100,100a タンデム圧延ミル制御装置
101 セットアップ制御部
102 ドラフトスケジュール記憶部
102T ドラフトスケジュールテーブル
103 速度パターン記憶部
103T 速度パターンテーブル
104 設定荷重比算出部
105 影響係数算出部
106 圧下位置制御部
107 圧延実績収集部
108 速度制御部
110 荷重バランス維持部
111 BISRA AGC
112 ゲージメータAGC
113 モニタAGC
150 制御対象
160 仕上げミル
161 圧延スタンド
162 ワークロール
163 鋼板(被圧延材)
164 マルチゲージ
165 粗材(被圧延材)
901 上流スタンド(第2の圧延スタンド)
902 下流スタンド(第1の圧延スタンド)
904 実績荷重比算出部
906 圧下位置補正量算出部
910 圧下位置補正量算出部の出力
1001 制御パラメータ抽出部
1002 制御パラメータ記憶部
1003 制御パラメータ検索補助記憶部
1002T 制御パラメータテーブル
1003T,1003Ta 制御パラメータ検索補助テーブル
set_i 圧延スタンド(F)の設定圧延荷重
act_i 圧延スタンド(F)の実績圧延荷重
Prset_i 圧延スタンド(F)の設定荷重比
Pract_i 圧延スタンド(F)の実績荷重比
ΔPr 圧延スタンド(F)の実績荷重比の設定荷重比からの偏差
圧延スタンド(F)の圧下位置
set_i 圧延スタンド(F)の設定圧下位置
act_i 圧延スタンド(F)の実績圧下位置
φcoef_i 圧延スタンド(F)の影響係数
r_i 下流の圧延スタンド(Fi+1)の荷重バランスを維持するための上流の圧延
スタンド(F)の圧下位置補正量
bsr_i 圧延スタンド(F)のBISRA AGCに基づく圧下位置補正量
gmt_i 圧延スタンド(F)のゲージメータAGCに基づく圧下位置補正量
mnt_i 圧延スタンド(F)のモニタAGCに基づく圧下位置補正量

Claims (10)

  1. 複数の圧延スタンドにより被圧延材を連続的に圧延するタンデム圧延ミルを制御するタンデム圧延ミル制御装置であって、
    前記被圧延材の圧延に先立って、前記複数の圧延スタンドそれぞれに対し、前記被圧延材の目標板厚を実現するための設定圧延荷重および設定圧下位置を設定するセットアップ制御部と、
    前記複数の圧延スタンドから選択された1つの圧延スタンドである第1の圧延スタンドについて、前記第1の圧延スタンドに設定された前記設定圧延荷重と、前記複数の圧延スタンドそれぞれに設定された前記設定圧延荷重とに基づき、前記第1の圧延スタンドについての設定荷重比を算出する設定荷重比算出部と、
    前記被圧延材の圧延中に、前記第1の圧延スタンドから得られる実績圧延荷重と、前記複数の圧延スタンドそれぞれから得られる実績圧延荷重とに基づき、前記第1の圧延スタンドについての実績荷重比を算出する実績荷重比算出部と、
    前記被圧延材の圧延中に、前記第1の圧延スタンドにおける前記実績荷重比の前記設定荷重比からの偏差が小さくなるように、前記第1の圧延スタンドの荷重比を単位量補正するのに必要な前記第1の圧延スタンドの上流に位置する第2の圧延スタンドの圧下位置補正量として算出される影響係数と前記第1の圧延スタンドにおける前記実績荷重比の前記設定荷重比からの偏差とに基づき算出した圧下位置補正量と、BISRA AGCに基づく圧下位置補正量と、ゲージメータAGCに基づく圧下位置補正量と、モニタAGCに基づく圧下位置補正量と、を加算して求めた前記第2の圧延スタンドの圧下位置補正量により、前記第2の圧延スタンドの圧下位置を制御する圧下位置制御部と、
    を備えること
    を特徴とするタンデム圧延ミル制御装置。
  2. 前記第1の圧延スタンドは、
    前記複数の圧延スタンドのうち、最上流に位置する初段の圧延スタンドを含まない圧延スタンドから、順次選択された圧延スダンドであること
    を特徴とする請求項1に記載のタンデム圧延ミル制御装置。
  3. 前記第2の圧延スタンドは、
    前記第1の圧延スタンドの上流に隣接する圧延スタンドであること
    を特徴とする請求項2に記載のタンデム圧延ミル制御装置。
  4. 前記設定荷重比算出部は、
    前記複数の圧延スタンドそれぞれに設定された設定圧延荷重を、前記複数の圧延スタンドそれぞれに設定された設定圧延荷重の総和で除した値を、前記複数の圧延スタンドそれぞれの設定荷重比として計算し、
    前記実績荷重比算出部は、
    前記複数の圧延スタンドそれぞれで得られた実績圧延荷重を、前記複数の圧延スタンドそれぞれで得られた実績圧延荷重の総和で除した値を、前記複数の圧延スタンドそれぞれの実績荷重比として計算すること
    を特徴とする請求項1に記載のタンデム圧延ミル制御装置。
  5. 前記被圧延材の圧延仕様毎に、比例積分制御により板厚制御する圧延スタンドにおいて圧下位置補正量の計算で用いられる比例ゲインと積分時間の制御パラメータを記憶した制御パラメータ記憶部と、
    前記被圧延材の圧延に先立って、前記制御パラメータ記憶部から前記被圧延材の圧延仕
    様に応じた制御パラメータを抽出し、前記抽出した制御パラメータを出力する制御パラメータ抽出部と、
    をさらに備えること
    を特徴とする請求項に記載のタンデム圧延ミル制御装置。
  6. 前記制御パラメータ記憶部には、前記被圧延材の圧延仕様毎に、前記複数の圧延スタンドのうち最終段の圧延スタンドを除くそれぞれの圧延スタンドについて、その圧延スタンドの圧下位置補正量を計算するか否かを指示する情報が記憶されており、
    記指示する情報が計算を指示する情報であった場合に限って、前記圧延スタンドの圧下位置補正量を計算すること
    を特徴とする請求項に記載のタンデム圧延ミル制御装置。
  7. 複数の圧延スタンドにより被圧延材を連続的に圧延するタンデム圧延ミルを制御するコンピュータが、
    前記被圧延材の圧延に先立って、前記複数の圧延スタンドそれぞれに対し、前記被圧延材の目標板厚を実現するための設定圧延荷重および設定圧下位置を設定する第1のステップと、
    前記複数の圧延スタンドから選択された1つの圧延スタンドである第1の圧延スタンドについて、前記第1の圧延スタンドに設定された前記設定圧延荷重と、前記複数の圧延スタンドそれぞれに設定された前記設定圧延荷重とに基づき、前記第1の圧延スタンドについての設定荷重比を算出する第2のステップと、
    前記被圧延材の圧延中に、前記第1の圧延スタンドから得られる実績圧延荷重と、前記複数の圧延スタンドそれぞれから得られる実績圧延荷重とに基づき、前記第1の圧延スタンドについての実績荷重比を算出する第3のステップと、
    前記被圧延材の圧延中に、
    前記第1の圧延スタンドにおける前記実績荷重比の前記設定荷重比からの偏差が小さくなるように、前記第1の圧延スタンドの荷重比を単位量補正するのに必要な前記第1の圧延スタンドの上流に位置する第2の圧延スタンドの圧下位置補正量として算出される影響係数と前記第1の圧延スタンドにおける前記実績荷重比の前記設定荷重比からの偏差とに基づき圧下位置補正量を算出し、BISRA AGCに基づく圧下位置補正量を算出し、ゲージメータAGCに基づく圧下位置補正量を算出し、モニタAGCに基づく圧下位置補正量を算出し、4つの前記圧下位置補正量を加算して求めた前記第2の圧延スタンドの圧下位置補正量により、前記第2の圧延スタンドの圧下位置を制御する第4のステップと、
    を実行すること
    を特徴とするタンデム圧延ミル制御方法。
  8. 前記第1の圧延スタンドは、
    前記複数の圧延スタンドのうち、最上流に位置する初段の圧延スタンドを含まない圧延スタンドから、順次選択された圧延スタンドであること
    を特徴とする請求項に記載のタンデム圧延ミル制御方法。
  9. 前記第2の圧延スタンドは、
    前記第1の圧延スタンドの上流に隣接する圧延スタンドであること
    を特徴とする請求項に記載のタンデム圧延ミル制御方法。
  10. 前記コンピュータは、
    前記第2のステップでは、
    前記複数の圧延スタンドそれぞれに設定された設定圧延荷重を、前記複数の圧延スタンドそれぞれに設定された設定圧延荷重の総和で除した値を、前記複数の圧延スタンドそれぞれの設定荷重比として計算し、
    前記第3のステップでは、
    前記複数の圧延スタンドそれぞれで得られた実績圧延荷重を、前記複数の圧延スタンドそれぞれで得られた実績圧延荷重の総和で除した値を、前記複数の圧延スタンドそれぞれの実績荷重比として計算すること
    を特徴とする請求項に記載のタンデム圧延ミル制御方法。
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