JP6631990B2 - 流動状油脂組成物 - Google Patents
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Description
また、本発明のさらなる目的は、ソフトで、口溶けが良好でありながら、耐熱性も良好なクリーム状食品、さらには魚肉に混合またはピックルする際に、魚肉とのなじみがよく、液状油の染み出しやドリップの発生が抑制され、風味が良好な魚肉加工食品を提供することにある。
即ち、本発明は、下記の(1)〜(3)の全てを満たすエステル交換油脂を油相中に、該油相中の全油脂量基準で50〜100質量%含有し、且つ、該油相のSFCが、10℃で5〜20%であり、20℃で1〜10%であって、該油相を80〜100質量%(組成物基準)含有することを特徴とする流動状油脂組成物、さらには、該流動状油脂組成物を含有することを特徴とするクリーム状食品及び魚肉加工食品を提供するものである。
(1)液状油と極度硬化油をエステル交換したエステル交換油脂である。
(2)SFC(固体脂含量)が、0℃で5〜25%、20℃で1〜5%、40℃で0〜2%である。
(3)30℃において流動状である。
先ず、本発明で使用されるエステル交換油脂について述べる。
本発明の流動状油脂組成物に用いられるエステル交換油脂は、上記(1)〜(3)の通り、液状油と極度硬化油をエステル交換し、SFC(固体脂含量)を特定の値とし、30℃における物性を特定の性状としたエステル交換油脂である。
本発明では、30℃における流動性の高いエステル交換油脂を得ることが容易であり、得られる油脂組成物の口溶けを良好なものとすることが可能な点から、上記液状油として、大豆油、菜種油(キャノーラ油)、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ハイオレイックサフラワー油、ひまわり油、ハイオレイックひまわり油等の常温で液状の油脂のうちの1種又は2種以上を使用することが好ましい。
また、上記極度硬化油として、上記のようにして得られた極度硬化油を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
SFCが0℃で5%未満又は20℃で1%未満であると、本発明の流動状油脂組成物に耐熱保形性を付与することができなくなる。一方、SFCが0℃で25%を超える、及び/又は20℃で5%を超えると、油性感が強くなり、更に、SFCが40℃で2%を超えると、口溶けが大幅に悪化してしまう。
30℃において流動状でない場合、流動状油脂組成物への使用に適さなくなってしまうことに加え、更には、口溶けも悪くなるおそれがある。
また、上記極度硬化油脂は、上記極度硬化油脂を更に分別した硬部油、あるいは1種又は2種以上の極度硬化油脂をエステル交換したものであってもよく、また、極度硬化油脂と、飽和脂肪酸や、飽和脂肪酸を主体とする部分グリセリド等とをエステル交換したものであってもよい。本発明では、これら全てを極度硬化油脂として扱う。
(1)「牛脂、豚脂、乳脂等の奇数酸を多く含む動物油脂や、ハイエルシン菜種油、魚油等の長鎖脂肪酸を多く含有する油脂」を原料油脂とした極度硬化油脂。
(2)「構成脂肪酸の平均鎖長が異なる2種又は3種以上の油脂からなる油脂配合物を、化学的あるいは酵素的にエステル交換して、構成脂肪酸の鎖長をばらつかせた油脂配合物」を原料油脂とした極度硬化油脂。
(3)「1種又は2種以上の油脂に、該油脂と構成脂肪酸の平均鎖長が異なる飽和脂肪酸又は該飽和脂肪酸を主体とする部分グリセリドを添加してなる油脂配合物を、化学的あるいは酵素的にエステル交換して、構成脂肪酸の鎖長をばらつかせた油脂」を原料油脂とした極度硬化油脂。
(4)構成脂肪酸の平均鎖長が異なる2種以上の極度硬化油脂をエステル交換した油脂。
(5)「1種又は2種以上の極度硬化油脂に、該極度硬化油脂と構成脂肪酸の平均鎖長が異なる飽和脂肪酸又は該飽和脂肪酸を主体とする部分グリセリドを添加してなる油脂配合物」を、化学的あるいは酵素的にエステル交換して、構成脂肪酸の鎖長をばらつかせた油脂。
ただし、本発明の流動状油脂組成物では、上記その他の油脂として、上記の常温で液体である油脂を使用すると、特に20℃を超える環境において固液分離しやすくなるため、これについては使用しないことが好ましい。
本発明の流動状油脂組成物に用いられる上記エステル交換油脂、及び、上記極度硬化油脂は、トランス脂肪酸を実質的に含有しないため、その他の油脂に部分水素添加油脂を使用しないことにより、トランス脂肪酸を含まずとも適切なコンステンシーを有する、バタークリームや可塑性油脂組成物とすることができる。
ここで、油相のSFCが、10℃で5%未満及び/又は20℃で1%未満であると、流動性が高すぎて、飲食品に練り込まれにくい流動状油脂組成物となってしまい、特にクリーム状食品に使用した場合には、耐熱性に乏しいものとなってしまう。また、経時的あるいは温度変動等によって液状成分が分離しやすく、その場合には流動状油脂組成物としての機能を失してしまう。
また、油相のSFCが、10℃で20%超及び/又は20℃で10%超であると、経時的にあるいは温度変動等によって固化しやすく、その場合には流動状を呈さなくなってしまう。
油相含量が80質量%未満、すなわち水相成分が20質量%以上であると、温度変動等によって固化してしまい、その場合には流動状を呈さなくなってしまう。
10〜30℃のいずれかの温度において粘度が20,000mPa・s未満であると、経日的に固液分離を起こしやすい。また、そのような油脂組成物を使用して得られたクリーム状食品も固液分離を起こしやすく、さらに耐熱性に乏しいものとなってしまうおそれがある。
一方、10〜30℃のいずれかの温度において粘度が200,000mPa・sを超えると、流動性に乏しくなる。また、そのような油脂組成物を使用して得られたクリーム状食品は、ソフト性に乏しいものとなってしまう。
(1)液状油と極度硬化油をエステル交換したエステル交換油脂である。
(2)SFC(固体脂含量)が、0℃で5〜25%、20℃で1〜5%、40℃で0〜2%である。
(3)30℃において流動状である。
本発明の流動状油脂組成物は、固液分離を起こすことがなく、広い温度域で良好な流動性を有するものであり、スプレッド用をはじめ、ソフトな食感を有するバタースポンジケーキ等に用いる練込用や、あるいは大量生産のために機械化されたラインでパンを製造する際に用いる製パン練込用、あるいは、ディップクリーム、シュガークリーム、バタークリーム、焼き残りクリーム等のクリーム状食品練込用等に、さらには脂肪分の少ない食肉や魚肉の赤身部分との混合あるいはピックル用等に、特に好適に使用することができる。
本発明のクリーム状食品は、本発明の流動状油脂組成物を含有してなるものであり、ソフトで、口溶けがよく、適度のチキソトロピー性を有しながら、耐熱性も良好であるという特徴を有する。
本発明のクリーム状食品における本発明の流動状油脂組成物の使用量は、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%である。
つまり、本発明の流動状油脂組成物を使用し、各種糖類、脱脂粉乳や全粉乳等の乳製品、食塩等の塩味剤、β−カロチン等の着色料、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、卵及び各種卵加工品、着香料、調味料、乾燥果実、粉末果汁、粉末コーヒー、ナッツペースト、香辛料、ココアマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類等の食品素材や食品添加物を加え、常法に従って加工することにより、本発明のクリーム状食品を得ることができる。
本発明の魚肉加工食品は、本発明の流動状油脂組成物を含有してなるものであり、脂肪分の少ないたん白な風味の魚肉を使用していながら風味と食感が改善され、油脂の染み出しやドリップの発生が抑制され、品質価値が向上しているものである。
本発明の魚肉加工食品における本発明の流動状油脂組成物の使用量は、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは10〜30質量%である。
なお、本発明の魚肉加工食品用油脂組成物は、魚肉以外にも、牛、豚、鶏、馬、羊、鹿、猪等の畜肉に対して同様に使用することももちろん可能である。
尚、下記実施例等において、脂肪酸含量は、特に断りのない限り、構成脂肪酸組成における脂肪酸含量を示す。
〔製造例1〕エステル交換油脂Aの製造
菜種油(キャノーラ油)80質量部に、極度硬化油として、パーム油の極度硬化油と、ハイエルシンナタネ油の極度硬化油とを50:50の質量比で混合した混合油脂(炭素数16の飽和脂肪酸含量が24質量%、且つ炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が30質量%)20質量部を添加し、溶解した油脂配合物に、ナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、SFC(固体脂含量)が0℃で15%、20℃で3%、40℃で0%であり30℃において流動状であるエステル交換油脂Aを得た。
菜種油(キャノーラ油)80質量部に、パーム油の極度硬化油(炭素数16の飽和脂肪酸含量が44質量%、且つ炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が0質量%)20質量部を添加し、溶解した油脂配合物に、ナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、SFC(固体脂含量)が0℃で13%、20℃で2%、40℃で0%であり30℃において流動状であるエステル交換油脂Bを得た。
菜種油(キャノーラ油)80質量部に、ハイエルシンナタネ油の極度硬化油(炭素数16の飽和脂肪酸含量が3質量%、且つ炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が59質量%)20質量部を添加し、溶解した油脂配合物に、ナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、SFC(固体脂含量)が0℃で17%、20℃で4%、40℃で0%であり30℃において流動状であるエステル交換油脂Cを得た
菜種油(キャノーラ油)88質量部に、ハイエルシンナタネ油の極度硬化油とを50:50の質量比で混合した混合油脂(炭素数16の飽和脂肪酸含量が24質量%、且つ炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が30質量%)12質量部を添加し、溶解した油脂配合物に、ナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、SFC(固体脂含量)が0℃で7%、20℃で2%、40℃で0%であり30℃において流動状であるエステル交換油脂Dを得た
ヨウ素価65のパーム分別軟部油にナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、SFC(固体脂含量)が0℃で32%、20℃で16%、40℃で2%であり30℃において固体であり流動状を示さず融点が33℃であるエステル交換油脂Eを得た。
菜種油(キャノーラ油)70質量部に、ハイエルシンナタネ油の極度硬化油(炭素数16の飽和脂肪酸含量が3質量%、且つ炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が59質量%)30質量部を添加し、溶解した油脂配合物に、ナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、SFC(固体脂含量)が0℃で34%、20℃で12%、40℃で2%であり30℃において固体であり流動状を示さず融点が39℃であるエステル交換油脂Fを得た。
菜種油(キャノーラ油)96質量部に、極度硬化油として、パーム油の極度硬化油と、ハイエルシンナタネ油の極度硬化油とを50:50の質量比で混合した混合油脂(炭素数16の飽和脂肪酸含量が24質量%、且つ炭素数20以上の飽和脂肪酸含量が30質量%)4質量部を添加し、溶解した油脂配合物に、ナトリウムメチラートを触媒として非選択的エステル交換反応を行った後、脱色(白土3%、85℃、9.3×102Pa以下の減圧下)、脱臭(250℃、60分間、水蒸気吹き込み量5%、4.0×102Pa以下の減圧下)を行ない、SFC(固体脂含量)が0℃で3%、20℃で0%、40℃で0%であり30℃において流動状であるエステル交換油脂Gを得た。
〔実施例1〕
エステル交換油A97質量部及びハイエルシンナタネ油の極度硬化油3質量部からなる油相を、70℃まで加温して完全に溶解し混合した後、−30℃/分の冷却速度で急冷可塑化し、ショートニングタイプの流動状油脂組成物Aを作成した。得られた流動状油脂組成物Aの油相のSFCは10℃で8%、20℃で6%であり、トランス脂肪酸含量は2質量%未満であり、実質的にトランス脂肪酸を含有していなかった。
得られた流動状油脂組成物Aは、ビスコメーター(TOKIMEC社製、6号ローター使用)で粘度を測定したところ、10℃から30℃の全ての温度において、粘度が20,000mPa・s〜200,000mPa・sであり、良好な流動性を呈していた。
また、得られた流動状油脂組成物Aを直径90mmのシャーレに50g投入し、20℃に12時間と40℃に12時間との温度サイクルで放置テストを行った。1週間放置後に固液分離の状況を観察したところ、液状成分の染みだしは全く見られず、またザラの発生も見られなかった。
エステル交換油脂Aをエステル交換油脂Bに変更した以外は、実施例1の配合・製法と同様にして、流動状油脂組成物Bを得た。得られた流動状油脂組成物Bの油相のSFCは10℃で7%、20℃で4%であり、トランス脂肪酸含量は2質量%未満であり、実質的にトランス脂肪酸を含有していなかった。
得られた流動状油脂組成物Bは、ビスコメーター(TOKIMEC社製、6号ローター使用)で粘度を測定したところ、10℃から30℃の全ての温度において、粘度が20,000mPa・s〜200,000mPa・sであり、良好な流動性を呈していた。
また、得られた流動状油脂組成物Bを直径90mmのシャーレに50g投入し、20℃に12時間と40℃に12時間との温度サイクルで放置テストを行った。1週間放置後に固液分離の状況を観察したところ、液状成分の染みだしは全く見られず、またザラの発生も見られなかった。
エステル交換油脂Aをエステル交換油脂Cに変更した以外は、実施例1の配合・製法と同様にして、流動状油脂組成物Cを得た。得られた流動状油脂組成物Cの油相のSFCは10℃で9%、20℃で4%であり、トランス脂肪酸含量は2質量%未満であり、実質的にトランス脂肪酸を含有していなかった。
得られた流動状油脂組成物Cは、ビスコメーター(TOKIMEC社製、6号ローター使用)で粘度を測定したところ、10℃から30℃の全ての温度において、粘度が20,000mPa・s〜200,000mPa・sであり、良好な流動性を呈していた。
また、得られた流動状油脂組成物Cを直径90mmのシャーレに50g投入し、20℃に12時間と40℃に12時間との温度サイクルで放置テストを行った。1週間放置後に固液分離の状況を観察したところ、液状成分の染みだしは全く見られず、またザラの発生も見られなかった。
エステル交換油脂Aをエステル交換油脂Dに変更した以外は、実施例1の配合・製法と同様にして、流動状油脂組成物Dを得た。得られた流動状油脂組成物Dの油相のSFCは10℃で5%、20℃で5%であり、トランス脂肪酸含量は2質量%未満であり、実質的にトランス脂肪酸を含有していなかった。
得られた流動状油脂組成物Dは、ビスコメーター(TOKIMEC社製、6号ローター使用)で粘度を測定したところ、10℃から30℃の全ての温度において、粘度が20,000mPa・s〜200,000mPa・sであり、良好な流動性を呈していた。
また、得られた流動状油脂組成物Dを直径90mmのシャーレに50g投入し、20℃に12時間と40℃に12時間との温度サイクルで放置テストを行った。1週間放置後に固液分離の状況を観察したところ、液状成分の染みだしは全く見られず、またザラの発生も見られなかった。
エステル交換油A97質量部を100質量部に変更し、更に極度硬化油を無添加とした以外は、実施例1の配合・製法と同様にして、流動状油脂組成物Eを得た。得られた流動状油脂組成物Eの油相のSFCは10℃で5%、20℃で3%であり、トランス脂肪酸含量は2質量%未満であり、実質的にトランス脂肪酸を含有していなかった。
得られた流動状油脂組成物Eは、ビスコメーター(TOKIMEC社製、6号ローター使用)で粘度を測定したところ、10℃から30℃の全ての温度において、粘度が20,000mPa・s〜200,000mPa・sであり、良好な流動性を呈していた。
また、得られた流動状油脂組成物Eを直径90mmのシャーレに50g投入し、20℃に12時間と40℃に12時間との温度サイクルで放置テストを行った。1週間放置後に固液分離の状況を観察したところ、液状成分の染みだしは全く見られず、またザラの発生も見られなかった。
エステル交換油A97質量部を94質量部に変更し、更に極度硬化油を3質量部から6質量部に変更した以外は、実施例1の配合・製法と同様にして、流動状油脂組成物Fを得た。得られた流動状油脂組成物Fの油相のSFCは10℃で11%、20℃で9%であり、トランス脂肪酸含量は2質量%未満であり、実質的にトランス脂肪酸を含有していなかった。
得られた流動状油脂組成物Fは、ビスコメーター(TOKIMEC社製、6号ローター使用)で粘度を測定したところ、10℃においてやや硬いものの、10℃から30℃の全ての温度において、粘度が20,000mPa・s〜200,000mPa・sであり、良好な流動性を呈していた。
また、得られた流動状油脂組成物Fを直径90mmのシャーレに50g投入し、20℃に12時間と40℃に12時間との温度サイクルで放置テストを行った。1週間放置後に固液分離の状況を観察したところ、液状成分の染みだしは全く見られず、またザラの発生も見られなかった。
エステル交換油A97質量部を、72質量部に変更し、更にナタネ液状油を25質量部添加した以外は、実施例1の配合・製法と同様にして、流動状油脂組成物Gを得た。得られた流動状油脂組成物Gの油相のSFCは10℃で7%、20℃で5%であり、トランス脂肪酸含量は2質量%未満であり、実質的にトランス脂肪酸を含有していなかった。
得られた流動状油脂組成物Gは、ビスコメーター(TOKIMEC社製、6号ローター使用)で粘度を測定したところ、10℃から30℃の全ての温度において、粘度が20,000mPa・s〜200,000mPa・sであり、良好な流動性を呈していた。
また、得られた流動状油脂組成物Gを直径90mmのシャーレに50g投入し、20℃に12時間と40℃に12時間との温度サイクルで放置テストを行った。1週間放置後に固液分離の状況を観察したところ、液状成分の染みだしはほとんど見られず、またザラの発生も見られなかった。
エステル交換油脂A97質量部を、エステル交換油脂E50質量部及びナタネ液状油47質量部に変更した以外は、実施例1の配合・製法と同様にして、流動状油脂組成物Hを得た。得られた流動状油脂組成物Hの油相のSFCは10℃で14%、20℃で11%であり、トランス脂肪酸含量は2質量%未満であり、実質的にトランス脂肪酸を含有していなかった。
得られた流動状油脂組成物Hは、ビスコメーター(TOKIMEC社製、6号ローター使用)で粘度を測定したところ、10℃から30℃の全ての温度において、粘度が20,000mPa・s〜200,000mPa・sであり、良好な流動性を呈していた。
また、得られた流動状油脂組成物Hを直径90mmのシャーレに50g投入し、15℃に12時間と35℃に12時間との温度サイクルで放置テストを行った。1週間放置後に固液分離の状況を観察したところ、液状成分の染みだしが見られた。
エステル交換油脂A97質量部を、エステル交換油脂F50質量部及びナタネ液状油47質量部に変更した以外は、実施例1の配合・製法と同様にして、流動状油脂組成物Iを得た。得られた流動状油脂組成物Iの油相のSFCは10℃で13%、20℃で9%であり、トランス脂肪酸含量は2質量%未満であり、実質的にトランス脂肪酸を含有していなかった。
得られた流動状油脂組成物Iは、ビスコメーター(TOKIMEC社製、6号ローター使用)で粘度を測定したところ、粘度は10℃において400,000mPa・s、30℃において200,000mPa・sであり、10℃における流動性が極めて悪かった。
また、得られた流動状油脂組成物Iを直径90mmのシャーレに50g投入し、15℃に12時間と35℃に12時間との温度サイクルで放置テストを行った。1週間放置後に固液分離の状況を観察したところ、液状成分の染みだしが見られた。
エステル交換油脂Aをエステル交換油脂Gに変更した以外は、実施例1の配合・製法と同様にして、流動状油脂組成物Jを得た。得られた流動状油脂組成物Jの油相のSFCは10℃で4%、20℃で3%であり、トランス脂肪酸含量は2質量%未満であり、実質的にトランス脂肪酸を含有していなかった。
得られた流動状油脂組成物Jは、ビスコメーター(TOKIMEC社製、6号ローター使用)で粘度を測定したところ、10℃から30℃の全ての温度において、粘度が20,000mPa・s〜200,000mPa・sであり、良好な流動性を呈していた。しかし、該流動状油脂組成物Jを、35℃に調温後、50mlビーカーに30g投入し、これを30℃の恒温槽に保管し、1週間後に固液分離の状況を観察したところ、液状成分の染みだしが極めて多く見られた。
また、得られた流動状油脂組成物Jを直径90mmのシャーレに50g投入し、15℃に12時間と35℃に12時間との温度サイクルで放置テストを行った。1週間放置後に固液分離の状況を観察したところ、液状成分の染みだしが極めて多く見られた。
エステル交換油脂Aをナタネ液状油に変更した以外は、実施例1の配合・製法と同様にして、流動状油脂組成物Kを得た。得られた流動状油脂組成物Kの油相のSFCは10℃で3%、20℃で3%であり、トランス脂肪酸含量は2質量%未満であり、実質的にトランス脂肪酸を含有していなかった。
得られた流動状油脂組成物Kは、ビスコメーター(TOKIMEC社製、6号ローター使用)で粘度を測定したところ、10℃から30℃の全ての温度において、粘度が20,000mPa・s〜200,000mPa・sであり、良好な流動性を呈していた。
また、得られた流動状油脂組成物Iを直径90mmのシャーレに50g投入し、15℃に12時間と35℃に12時間との温度サイクルで放置テストを行った。1週間放置後に固液分離の状況を観察したところ、液状成分の染みだしが極めて多く見られた。
得られた流動状油脂組成物A〜Kを使用して、下記の配合・製法に従い実施例8〜14及び比較例5〜8のシュガークリームを製造し、下記の評価基準に従って評価を行った。その結果を表1に記載した。
〔シュガークリームの配合・製法〕
流動状油脂組成物45質量部に、チーズパウダー20質量部、脱脂粉乳15質量部、コーンスターチ10質量部及び砂糖10質量部を混合して、シュガークリームを製造した。
実施例8〜14及び比較例5〜8で得られたシュガークリームについて、口溶け、固液分離性及び耐熱保型性に関する評価を実施した。
口溶けは、25℃の品温に1晩調温したサンプルを用い、下記評価基準に従って4段階で評価した。
固液分離性は、35℃に調温したサンプルを50mlビーカーに30g投入し、これを30℃の恒温槽に保管し、1週間後に固液分離の状況を観察し、下記評価基準に従って4段階で評価した。
耐熱保型性は、サンプルを一旦25℃に調温し、これを絞り袋に入れ、菊型口金でシャーレに花型に絞り、蓋をし、これを5℃で60分調温後、20℃、25℃、30℃及び35℃の各恒温槽に一晩おき、ダレの状況を観察し、下記評価基準に従って4段階で評価した。
これらの結果を表1に示す。
◎ 大変良好
○ 良好
△ やや劣る
× 不良
(固液分離性評価基準)
◎ 液状成分の染みだしは全く見られなかった。
○ 若干の液状成分の染みだしが見られた。
△ かなりの液状成分の染みだしが見られ、またザラの発生も若干見られた。
× 液状成分の染みだし及びザラの発生がかなり見られた。
(耐熱保型性評価)
◎ ダレもなく、保型性は全く問題なし。
○ ややダレが見られるものの、形状は保っていた。
△ かなりのダレが見られ、保型性もやや悪い。
× ダレが激しく、保型性も悪い。
得られた流動状油脂組成物A〜Kを使用して、下記の配合・製法に従い実施例15〜21及び比較例9〜12のネギトロ様食品を製造し、下記の評価基準に従って評価を行った。その結果を表2に記載した。
流動状油脂組成物15質量部に、ミンチ状の鮪赤身85質量部を混合し、ネギトロ様食品を製造した。
〔ネギトロ様食品の評価〕
実施例15〜21及び比較例9〜12で得られたネギトロ様食品について、下記の評価基準により、食感評価、風味評価及び物性評価を行い、結果を表2に記載した。
◎: 魚肉と油脂のなじみが大変良好で極めて良好な食感である。
○ :魚肉と油脂のなじみがよく、良好な食感である。
△:油脂がやや硬く若干の違和感のある食感である。
× :油脂が硬すぎ、違和感が強く不良な食感である。
×× :油脂が軟らかく、違和感が強く不良な食感である。
(風味の評価基準)
◎ 大変良好
○ 良好
△ やや劣る
× 不良
(物性の評価基準1)
◎ 液状油の染みだしは全く見られなかった。
○ 液状油の染みだしがわずかに見られた。
△ 若干の液状油の染みだしが見られた。
× かなりの液状油の染みだしが見られた。
(物性の評価基準2)
◎ ドリップの発生は全く見られなかった。
○ 若干のドリップが見られた。
△ ドリップがやや多く見られた。
× ドリップが多量に見られた。
Claims (5)
- 下記の(1)〜(3)の全てを満たすエステル交換油脂を油相中に、該油相中の全油脂量基準で50〜99質量%及び極度硬化油脂を油相基準で1〜5質量%含有し、且つ、該油相のSFCが、10℃で5〜20%であり、20℃で1〜10%であって、該油相を80〜100質量%(組成物基準)含有することを特徴とする、流動状油脂組成物。
(1)液状油と極度硬化油を、該液状油と該極度硬化油との合計量中の該極度硬化油の割合が12〜20質量%となるように配合してエステル交換したエステル交換油脂であって、該液状油が大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ハイオレイックサフラワー油、ひまわり油及びハイオレイックひまわり油からなる群から選択される1種又は2種以上であり、該極度硬化油がパーム油の極度硬化油及び/又はハイエルシンナタネ油の極度硬化油である。
(2)SFC(固体脂含量)が、0℃で5〜25%、20℃で1〜5%、40℃で0〜2%である。
(3)30℃において流動状である。 - 10〜30℃の全ての温度において、粘度が20,000〜200,000mPa・sであることを特徴とする請求項1に記載の流動状油脂組成物。
- トランス脂肪酸が、油脂組成物の使用油脂の全構成脂肪酸中10質量%未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の流動状油脂組成物。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載の流動状油脂組成物を含有することを特徴とするクリーム状食品。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載の流動状油脂組成物を含有することを特徴とする魚肉加工食品。
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