JP6554187B2 - 円筒状印刷版、円筒状印刷版原版、円筒状印刷版原版の製造方法、及び、円筒状印刷版の製造方法 - Google Patents

円筒状印刷版、円筒状印刷版原版、円筒状印刷版原版の製造方法、及び、円筒状印刷版の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、円筒状印刷版、円筒状印刷版原版、円筒状印刷版原版の製造方法、及び、円筒状印刷版の製造方法に関する。
フレキソ印刷やレタープレス印刷分野においては、画像様にレリーフ形成した凸版印刷版が用いられている。ここで使用される印刷版の製版方式としては、例えば、支持体上に感光性組成物からなるレリーフ形成層を有する印刷版原版を、原画フィルムを介して紫外光により露光し、画像部分を選択的に硬化させて、未硬化部を現像液により除去する方法、レリーフ形成層上に画像マスクを形成可能なレーザー感応式のマスク層要素を設けたレリーフ印刷版原版を用い、画像データに基づいたレーザー照射によりマスク層を除去した後(画像マスク形成)、画像マスクを介して紫外光で露光し、未硬化部を現像する方法(LAM方式)が提案されている。更に、近年、現像工程を必要としない製版方法として、レーザーによる直接描画でレリーフを形成できる層を有する印刷版原版を用い製版する、いわゆる「直彫りCTP方式(DLE方式)」が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
一方、印刷版の形態としては、印刷機の版胴に直接、印刷版を貼り込んだり、または、版胴に装着可能な筒の上に印刷版を貼り込み、筒ごと版胴に挿入する方法に対応するため、シート状の印刷版が提供されてきた。しかしながら、近年、シート状の印刷版の張り込みで生じるつなぎ目による印刷品質劣化や、エンドレス画像の印刷への適合性の観点から、つなぎ目のない円筒状印刷版が提供されるようになってきた。これは版胴に装着可能な円筒状支持体上にレリーフ形成可能な樹脂層を塗設した円筒状印刷版原版を製造し、その後画像様にレリーフ形成することで得ることができる。
このようなつなぎ目のない円筒状印刷版原版から形成される円筒状印刷版おいて、シート状の印刷版に対してレリーフ形成層の膜厚が厚く画像部に圧力が十分に加わらないため、ベタ画像部の濃度(以下、「ベタ濃度」という)がシート状印刷版と比べ劣ることが分かっている。一方、ベタ濃度を向上させるため印刷時の押込み量を上げることにより画像部に圧力を加えると、網点が大きく変形し、最小点の再現濃度が高くなり、網点品質が低下してしまうという問題がある。したがって、円筒状印刷版の印刷品質はシート状印刷版と比べて劣るという本質的な問題を抱えている。そのため、特許文献3には、少なくともコアスリーブ層、クッション層、剛性層、および、つなぎ目のない印刷レリーフ層を積層することにより、ベタ図柄と網点図柄のバランスを改良することが記載されている。
また、特許文献4には、印刷版の表面に改質層を形成させることにより、印刷版表面のインキ濡れを向上することが記載されている。
しかしながら、印刷時にベタ画像部に十分な圧力が加わらないため、満足するベタ濃度を得られず、また、凹凸ある印刷媒体に印刷する際、印刷媒体上の凹凸に追従した版の追従性(印刷媒体追従性)が不十分なため、印刷物にカスレが生じる問題を解消できていなかった。
特開2006−2061号公報 特開2009−78467号公報 特開2003−25749号公報 特開2004−255812号公報
本発明の課題は、優れたベタ濃度と網点品質が高い印刷が可能であり、さらに印刷媒体追従性、耐刷性に優れる円筒状印刷版、円筒状印刷版原版、円筒状印刷版原版の製造方法、及び、円筒状印刷版の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意研究した結果、印刷面側から第1硬質層、軟質層および第2硬質層をこの順で有するレリーフ層を有し、第1硬質層の硬度K1が10MPa以上20MPa未満であり、軟質層の硬度K2に対する第1硬質層の硬度K1の比K1/K2が2.7以上であり、軟質層の硬度K2に対する第2硬質層の硬度K3の比K3/K2が1.2以上であり、第1硬質層の厚みが0.05mm以上0.3mm以下であり、軟質層の厚みが0.3mm以上2.0mm以下であることにより、ベタ濃度が高く、かつ網点品質が高い印刷が可能であり、さらに印刷媒体追従性、耐刷性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の構成の円筒状印刷版、円筒状印刷版原版、円筒状印刷版原版の製造方法、及び、円筒状印刷版の製造方法を提供する。
(1) 印刷面側から第1硬質層、軟質層および第2硬質層をこの順で有するレリーフ層を有し、
第1硬質層の硬度K1が10MPa以上20MPa未満であり、
軟質層の硬度K2に対する第1硬質層の硬度K1の比K1/K2が2.7以上であり、
軟質層の硬度K2に対する第2硬質層の硬度K3の比K3/K2が1.2以上であり、
第1硬質層の厚みが0.05mm以上0.3mm以下であり、
軟質層の厚みが0.3mm以上2.0mm以下である円筒状印刷版。
(2) 軟質層の硬度K2が5MPa未満である、(1)に記載の円筒状印刷版。
(3) 第2硬質層の硬度K3が5MPa以上10MPa未満である、(1)又は(2)に記載の円筒状印刷版。
(4) 第2硬質層の厚みが2.0mm以上である、(1)から(3)のいずれか1項に記載の円筒状印刷版。
(5) 第1硬質層が、結晶性ポリマーを含有する(1)から(4)のいずれか1項に記載の円筒状印刷版。
(6) 結晶性ポリマーが、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、及び、ポリオレフィレン系熱可塑性エラストマーから選択される少なくとも1種である(5)に記載の円筒状印刷版。
(7) 印刷面側から第1硬質層、軟質層および第2硬質層をこの順で有するレリーフ形成層を有し、
第1硬質層の硬度K1が10MPa以上20MPa未満であり、
軟質層の硬度K2に対する第1硬質層の硬度K1の比K1/K2が2.7以上であり、
軟質層の硬度K2に対する第2硬質層の硬度K3の比K3/K2が1.2以上であり、
第1硬質層の厚みが0.05mm以上0.3mm以下であり、
軟質層の厚みが0.3mm以上2.0mm以下である円筒状印刷版原版。
(8) 軟質層の硬度K2が5MPa未満である、(7)に記載の円筒状印刷版原版。
(9) 第2硬質層の硬度K3が5MPa以上10MPa未満である、(7)又は(8)に記載の円筒状印刷版原版。
(10) 第2硬質層の厚みが2.0mm以上である、(7)から(9)のいずれか1項に記載の円筒状印刷版原版。
(11) 第1硬質層が、結晶性ポリマーを含有する(7)から(10)のいずれか1項に記載の円筒状印刷版原版。
(12) 結晶性ポリマーが、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、及び、ポリオレフィレン系熱可塑性エラストマーから選択される少なくとも1種である(11)に記載の円筒状印刷版原版。
(13) 円筒状支持体の周面に、円筒状支持体側から第2硬質層となる第3未硬化層、軟質層となる第2未硬化層、および、第1硬質層となる第1未硬化層の順に有する未硬化レリーフ形成層を形成する未硬化層形成工程と、
形成した第1未硬化層、第2未硬化層および第3未硬化層を硬化させて第1硬質層、軟質層および第2硬質層を有するレリーフ形成層を形成する硬化工程とを有し、
硬化後の第1硬質層の硬度K1が10MPa以上20MPa未満であり、
硬化後の軟質層の硬度K2に対する第1硬質層の硬度K1の比K1/K2が2.7以上であり、
硬化後の軟質層の硬度K2に対する第2硬質層の硬度K3の比K3/K2が1.2以上であり、
硬化後の第1硬質層の厚みが0.05mm以上0.3mm以下であり、
硬化後の軟質層の厚みが0.3mm以上2.0mm以下である、円筒状印刷版原版の製造方法。
(14) (13)に記載の円筒状印刷版原版の製造方法で製造された円筒状印刷版原版のレリーフ形成層に対してレーザー彫刻を施し、レリーフ層を形成する彫刻工程を有する、円筒状印刷版の製造方法。
本発明によれば、優れたベタ濃度と網点品質が高い印刷が可能であり、さらに印刷媒体追従性、耐刷性に優れる円筒状印刷版、円筒状印刷版原版、円筒状印刷版原版の製造方法、及び、円筒状印刷版の製造方法を提供することができる。
円筒状印刷版原版の断面図である。 円筒状印刷版のレリーフ層の断面図である。 円筒状印刷版の各層の硬度測定方法を説明するための概略斜視図である。 円筒状印刷版原版を作製するためのカレンダーロールを概念的に示す図である。 本発明に係る円筒状印刷版を用いる印刷装置の要部を概念的に示す図である。
以下、本発明の円筒状印刷版、円筒状印刷版原版、円筒状印刷版原版の製造方法、及び、円筒状印刷版の製造方法について、添付の図面に示される好適実施態様を基に、詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
[円筒状印刷版および円筒状印刷版原版]
本発明に係る円筒状印刷版は、
印刷面側から第1硬質層、軟質層および第2硬質層をこの順で有するレリーフ層を有し、
第1硬質層の硬度K1が10MPa以上20MPa未満であり、
軟質層の硬度K2に対する第1硬質層の硬度K1の比K1/K2が2.7以上であり、
軟質層の硬度K2に対する第2硬質層の硬度K3の比K3/K2が1.2以上であり、
第1硬質層の厚みが0.05mm以上0.3mm以下であり、
軟質層の厚みが0.3mm以上2.0mm以下である円筒状印刷版である。
また、本発明に係る円筒状印刷版原版は、
印刷面側から第1硬質層、軟質層および第2硬質層をこの順で有するレリーフ形成層を有し、
第1硬質層の硬度K1が10MPa以上20MPa未満であり、
軟質層の硬度K2に対する第1硬質層の硬度K1の比K1/K2が2.7以上であり、
軟質層の硬度K2に対する第2硬質層の硬度K3の比K3/K2が1.2以上であり、
第1硬質層の厚みが0.05mm以上0.3mm以下であり、
軟質層の厚みが0.3mm以上2.0mm以下である円筒状印刷版原版である。
以下に、本発明に係る円筒状印刷版および円筒状印刷版原版の構成を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
なお、本発明において、「レリーフ形成層」とは、レーザー彫刻等によりレリーフ形成が可能な層のことをいい、レリーフ形成された後の層を「レリーフ層」という。すなわち、本発明に係る円筒状印刷版原版および円筒状印刷版は、レーザー彫刻等によりレリーフ形成が可能なレリーフ形成層を有するか、レリーフ形成された後のレリーフ層を有するかが異なるのみで基本的に同じ構成を有する。
図1は、本発明に係る円筒状印刷版原版の一例を模式的に示す断面図であり、図2は本発明に係る円筒状印刷版の一部を拡大して示す概略断面図である。図2は、図1に示す円筒状印刷版原版のレリーフ形成層にレリーフを形成して作製した円筒状印刷版の部分拡大断面図であるといえる。
図1に示すように、本発明に係る円筒状印刷版原版の一例である円筒状印刷版原版01は、円筒状支持体07と、円筒状支持体07の周面に配置されるレリーフ形成層02を有する。レリーフ形成層02は、円筒状支持体07側から第2硬質層05、軟質層04、および、第1硬質層03がこの順に積層された構成を有する。すなわち、第1硬質層03側が表面側(印刷面側)となる。
図2に示すように、本発明に係る円筒状印刷版の一例である円筒状印刷版08は、円筒状支持体07と、円筒状支持体07の周面に配置されるレリーフ層11を有する。レリーフ層11は、円筒状支持体07側から第2硬質層05、軟質層04、および、第1硬質層03がこの順に積層された構成を有する。このレリーフ層11には、第1硬質層03側の表面から彫刻が施されており画像部09と、非画像部10とが形成されている。すなわち、第1硬質層03側の表面が印刷面となる。
画像部09は、印刷時にインキを着けてこのインキを被印刷物に転写する、すなわち、印刷時に画像を形成する領域である。また、非画像部10は、印刷時にインキを着けない、すなわち、画像を形成しない領域である。
また、画像部09は、インキを全面的に転写することで、塗りつぶすように印刷するベタ画像部12、および/または、多数の凸状の網点からなり、網点の大きさや密度を変化させることで、被印刷体上に印刷される画像の濃淡(グラデーション)を表現する網点部13からなる。
網点部13を構成する網点は、通常、所定のスクリーン線数、例えば、100〜300lpi(line per inch)程度で形成される。
ここで、本発明においては、図1に示すように、レリーフ形成層は円筒状印刷版原版の印刷面から順に第1硬質層、軟質層、第2硬質層により構成されている。同様に、図2に示すように、レリーフ層は円筒状印刷版の印刷面から順に第1硬質層、軟質層、第2硬質層により構成されている。
さらに、本発明においては、第1硬質層の硬度K1は10MPa以上20MPa未満であって、軟質層の硬度K2に対する第1硬質層の硬度K1の比K1/K2は2.7以上であって、軟質層の硬度K2に対する第2硬質層の硬度K3の比K3/K2は、1.2以上である。
さらに、本発明においては、第1硬質層の厚みが0.05mm以上0.3mm以下であって、軟質層の厚みが0.3mm以上2.0mm以下である。
前述のとおり、従来の円筒状印刷版において、ベタ図柄と網点図柄の印刷品質のバランスを改良するために、印刷レリーフ層とクッション層の間に剛性層を配置することで、凸レリーフが印刷時に受ける圧縮のストレスをクッション層に分散することが考えられている。
しかしながら、凸レリーフが印刷時に受ける圧縮のストレスをクッション層に分散する場合において、印刷時にベタ画像部に十分な圧力が加わらず高い濃度が得られないことが分かった。
これに対して、本発明の円筒状印刷版および円筒状印刷版原版においては、レリーフ層およびレリーフ形成層が、第1硬質層、軟質層および第2硬質層をこの順で有し、第1硬質層の硬度および厚み、軟質層の硬度と第1硬質層および第2硬質層の硬度との比率、および、軟質層の厚みを所定の範囲とする。
レリーフ層(レリーフ形成層)の最表面を所定以上の硬さを有する第1硬質層とし、第1硬質層の硬度K1および厚みを上記範囲とすることで、ベタ画像部に高い圧力を加えることが可能となり、高いベタ濃度を得ることができる。また、網点部において変形を抑えることが可能となり、上記硬度範囲において、耐刷性を損なうことなく高い網点品質を得ること(ハイライト濃度を抑えること)ができる。また、第1硬質層の下層を、第1硬質層よりも柔らかい軟質層とし、軟質層の下層を軟質層よりも硬い第2硬質層として、第1硬質層および第2硬質層の硬度に対する軟質層の硬度K2の比率、ならびに、軟質層の厚みを上記範囲とすることで、印刷媒体に対する円筒状印刷版の高い追従性を得ることができる。
ここで、高いベタ濃度を得られる点、高い網点品質を得られる点、耐刷性等から、第1硬質層の硬度K1は12MPa以上18MPa未満であるのが好ましく、14MPa以上16MPa未満であるのがより好ましい。
また、軟質層の硬度K2は5MPa未満であるのが好ましく、3MPa以下であるのがより好ましい。軟質層の硬度K2を上記範囲とすることにより、印刷媒体に対する円筒状印刷版の追従性をより向上することができる。
また、第2硬質層の硬度K3は5MPa以上10MPa未満であるのが好ましく、6MPa以上8MPa以下であるのがより好ましい。第2硬質層の硬度K3が上記範囲よりも小さい場合、ベタ画像部に加わる圧力が低下し、ベタ濃度が低下してしまう。また、上記範囲よりも大きい場合、軟質層の変形が抑制され、印刷媒体に対する追従性が損なわれてしまう。
なお、各層の硬度は、FischerScope HM2000Xyp(株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)により、図3に示すようにして測定することができる。
作製した円筒状印刷版のレリーフ層11を約3cm角に切り出し、レリーフ層11の断面が上を向くようにスライドガラス25上に接着剤26で固定し、第1硬質層03、軟質層04、及び、第2硬質層05について、それぞれ上部から測定検出器27を押込み、10μm押込んだ際のマルテンス硬度を各層の硬度とした。
また、第1硬質層の厚みは0.05mm以上0.3mm以下であり、0.1mm以上0.15mm以下であるのが好ましい。上記範囲よりも薄い場合、網点部の変形抑制効果が不十分となり、網点品質が損なわれるおそれがある。また、上記範囲よりも厚い場合、印刷媒体への追従性が損なわれるおそれがある。
また、軟質層の厚みは0.3mm以上2.0mm以下であり、1.0mm以上0.15mm以下であるのが好ましい。上記範囲よりも薄い場合、印刷媒体への追従性が損なわれるおそれがある。上記範囲よりも厚い場合、ベタ画像部に加わる圧力が低下し、ベタ濃度が低下してしまうおそれがある。
また、第2硬質層の厚みは2.0mm以上であるのが好ましい。上記範囲よりも薄い場合、ベタ画像部に加わる圧力が低下し、ベタ濃度が低下してしまうおそれがある。
なお、各層の厚みは、断面をデジタルマイクロスコープKH−7700(株式会社ハイロックス製)により撮影し、計測することができる。
また、第1硬質層はレリーフ層の形成しやすさや硬度の観点から結晶性ポリマーであることが好ましい。結晶性ポリマーとしては、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、及び、ポリオレフィレン系熱可塑性エラストマーから選択されるポリマーがより好ましい。具体的な材料については後述する。
また、円筒状印刷版および円筒状印刷版原版は、レリーフ層またはレリーフ形成層の下側(彫刻される面とは反対側の面)にクッション層、剛性層等を有してもよい。言い換えると、レリーフ層(レリーフ形成層)は、第2硬質層の下側に1以上の層を有してもよい。
また、図1および図2に示す例では、第1硬質層、軟質層および第2硬質層はそれぞれ一つの層からなる構成としたが、これに限定はされず、第1硬質層、軟質層および第2硬質層の少なくとも一つが2つ以上の層(以下、「単位層」という)からなる構成としてもよい。第1硬質層、軟質層および第2硬質層のいずれかが2つ以上の単位層からなる場合には、該当する層を構成する単位層の硬度をそれぞれ測定し、各単位層の厚みに基づいて加重平均した値を該当する層の硬度とみなす。また、該当する層を構成する単位層の合計厚みを該当する層の厚みとする。
円筒状支持体は、レリーフ層(レリーフ形成層)を円筒の形状にして支持すると共に、円筒状印刷版を印刷装置に取り付けるための部材である。
円筒状支持体は、レリーフ層(レリーフ形成層)を支持でき、印刷装置に取り付けることができるならば、使用される材料及び構造は特に限定されない。円筒状支持体の形状は、レリーフ層(レリーフ形成層)を円筒状に支持できれば、中空の円筒状であっても円柱状であってもよい。円筒状支持体としては、金属製、ゴム製又はプラスチック製のシリンダー、及び、金属製、プラスチック製又は繊維強化プラスチック製のスリーブ等の中空の円筒状の支持体等を挙げることができ、重量や取り扱いの観点から、中空の円筒状の支持体であることが好ましい。
また、印刷装置のシリンダーを円筒状支持体として用いてもよいし、印刷装置のシリンダーに装着されるスリーフを円筒状支持体としてもよい。
金属製シリンダー又は金属製スリーブを構成する材料としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、及び、これらを含む合金等の材料を挙げることができる。
プラスチック製シリンダー又はプラスチック製スリーブを構成する材料としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンチオエーテル、ポリスルホン及びエポキシ樹脂等の材料を挙げることができる。
繊維強化プラスチック製スリーブを構成する繊維材料としては、ポリエステル繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維、セルロース繊維、ガラス繊維、金属繊維、セラミックス繊維及び炭素繊維等の材料を挙げることができる。
ゴム製シリンダーを構成する材料としては、エチレン−プロピレン−ジエン(EPDM)ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエン(SB)ゴム及びウレタンゴム等の材料を挙げることができる。
円筒状支持体の直径は、レリーフ層(レリーフ形成層)の厚み、印刷装置の仕様等に応じて適宜設定すればよい。
円筒状支持体が中空の円筒状支持体(スリーブ)の場合、中空の円筒状支持体の厚さは、0.2mm以上2mm以下であることが好ましく、0.3mm以上1.5mm以下であることがより好ましく、0.4mm以上1mm以下であることがさらに好ましい。中空の円筒状支持体の厚さが上記範囲内にあれば、印刷装置のシリンダーへの装着が容易であり、折れたり割れたりせずに、充分に機械的強度を確保することができる。
[円筒状印刷版原版の製造方法]
次に、本発明に係る円筒状印刷版原版の製造方法について説明する。尚、この印刷原版の製造方式は、本態様に限定されるものではない。
本発明の円筒状印刷版原版の製造方法は、
円筒状支持体の周面に、円筒状支持体側から第2硬質層となる第3未硬化層、軟質層となる第2未硬化層、および、第1硬質層となる第1未硬化層の順に有する未硬化レリーフ形成層を形成する未硬化層形成工程と、
形成した第1未硬化層、第2未硬化層および第3未硬化層を硬化させて第1硬質層、軟質層および第2硬質層を有するレリーフ形成層を形成する硬化工程とを有し、
樹脂シートを硬化した後の第1硬質層の硬度K1が10MPa以上20MPa未満であり、
軟質層の硬度K2に対する第1硬質層の硬度K1の比K1/K2が2.7以上であり、
軟質層の硬度K2に対する第2硬質層の硬度K3の比K3/K2が1.2以上であり、
第1硬質層の厚みが0.05mm以上0.3mm以下であり、
軟質層の厚みが0.3mm以上2.0mm以下である、円筒状印刷版原版の製造方法である。
次に、各工程について詳細に説明する。
〔未硬化層形成工程〕
未硬化層形成工程とは、円筒状支持体の周面に第1硬質層となる第1未硬化層、軟質層となる第2未硬化層、および、第2硬質層となる第3未硬化層を有する未硬化レリーフ形成層を形成する工程である。
未硬化レリーフ形成層は、円筒状支持体側から第3未硬化層、第2未硬化層、第1未硬化層の順に積層されて構成されている。
第1硬質層、軟質層、および、第2硬質層となる樹脂組成物の材料は、各層の硬度を上述した範囲とすることができれば、公知のフレキソ印刷用の樹脂版又はゴム版と同様の材料を用いることができる。
一般に、フレキソ印刷用の樹脂版又はゴム版は、材料となるポリマー、重合開始剤、光熱変換剤および溶剤等を調製した樹脂組成物をシート状に形成した後に、熱及び/又は光の作用により硬化させて作製される。
具体的には、一例として、未硬化レリーフ形成層は、以下のようにして形成できる。
まず、第1硬質層となる第1樹脂組成物、軟質層となる第2樹脂組成物、および、第2硬質層となる第3樹脂組成物をそれぞれ調製する。
次に、必要に応じて、これら樹脂組成物から溶剤を除去した後に、仮支持体上に第3樹脂組成物を溶融押し出しして第2硬質層となる第3未硬化層を形成する。次に、第3未硬化層の上に、第2樹脂組成物を溶融押し出しして軟質層となる第2未硬化層を形成する。次に、第2未硬化層の上に、第1樹脂組成物を溶融押し出しして第1硬質層となる第1未硬化層を形成して、3つの未硬化層を有する樹脂シートを形成することができる。
なお、上述の例では、仮支持体側から第2硬質層となる層、軟質層となる層、第1硬質層となる層の順に形成したが、仮支持体側から第1硬質層となる層、軟質層となる層、第2硬質層となる層の順に形成してもよい。
次に、上記のようにして得られた3つの未硬化層を有するシート状の樹脂シートを仮支持体から剥離して、円筒状支持体の周面に巻きつけて、未硬化レリーフ形成層を形成する。その際、樹脂シートは、第3未硬化層側を円筒状支持体側に向けて載置される。
ここで、上述の例では、未硬化層ごとに溶融押し出しして各未硬化層を形成する構成としたが、これに限定はされず、仮支持体上に多層押出成型して、3つの未硬化層を同時に形成してもよい。
また、上述の例では、樹脂組成物を溶融押し出しする方法で各未硬化層(樹脂シート)を形成したが、これに限定はされない。
例えば、調製した樹脂組成物を仮支持体(あるいは未硬化層)上に流延し、これをオーブンなどの中で加熱乾燥して溶剤を除去して未硬化層を形成することを繰り返して各未硬化層を形成して、3つの未硬化層を有する樹脂シートを形成してもよい。
あるいは、図4に示すようなカレンダーロールを用い、各未硬化層ごとに、樹脂組成物をシート状に成型して、シート状に成型した各未硬化層を積層して3つの未硬化層を有する樹脂シートを形成してもよい。
図4中、カレンダーロール14は第1ロール15a〜第4ロール15dを有しており、これらのロールの間隔、ロールの温度、及び、ロールの回転速度が設定可能となっている。このロールの間に樹脂組成物の混練物16をセットし、圧延成形することにより、シート状の未硬化層17を得ることができる。
また、上述の例では、各未硬化層が積層された樹脂シートを形成した後に、樹脂シートを円筒状支持体の周面に巻きつけて、未硬化レリーフ形成層を形成する構成としたが、これに限定はされない。
例えば、第1未硬化層、第2未硬化層、および、第3未硬化層をそれぞれ形成する。次に、第3未硬化層を円筒状支持体の周面に巻きつける。次に、第3未硬化層上に第2未硬化層を巻きつける。さらに、第2未硬化層上に第1未硬化層を巻きつける。これにより、円筒状支持体の周面に未硬化レリーフ形成層を形成してもよい。
なお、樹脂シート(未硬化層)と円筒状支持体とは、粘着剤層又は接着剤層を介して接着されていてもよい。その際、粘着剤層又は接着剤層を積層した樹脂シート(未硬化層)を円筒状支持体の周面に巻き付けてもよい。逆に、円筒状支持体の周面に粘着剤層又は接着剤層を設けて、この上に樹脂シート(未硬化層)を巻き付けてもよい。
円筒状支持体の周面は、円筒状支持体と樹脂シートとの間の接着を促進させるために物理的及び/又は化学的処理を行ってもよい。物理的処理方法としては、サンドブラスト法、粒子を含有した液体を噴射するウエットブラスト法、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、及び、紫外線又は真空紫外線照射法等を挙げることができる。化学的処理方法としては、強酸・強アルカリ処理法、酸化剤処理法、及び、カップリング剤処理法等を挙げることができる。
また、上述の例では、未硬化層あるいは樹脂シートを一旦、仮支持体上などに形成した後に、円筒状支持体の周面に巻きつけて未硬化レリーフ形成層を形成する構成としたが、これに限定はされず、円筒状支持体の周面上に直接、押出成型等により未硬化層を形成してもよい。その際、多重押出成型により、複数の未硬化層を同時に形成してもよい。
〔硬化工程〕
硬化工程は、未硬化レリーフ形成層(第1未硬化層、第2未硬化層および第3未硬化層)を硬化する工程である。未硬化レリーフ形成層を硬化することで第1硬質層、軟質層および第2硬質層を有するレリーフ形成層が形成される。
ここで、硬化させる方法としては、光および/または熱により未硬化レリーフ形成層を硬化させる方法であれば特に限定されず、従来の円筒状印刷版原版の製造方法で用いられる硬化方法を適宜利用することができる。
未硬化レリーフ形成層の各未硬化層が光重合開始剤を含有する場合には、光重合開始剤のトリガーとなる光(以下、「活性光線」という。)を未硬化レリーフ形成層に照射することで、未硬化レリーフ形成層を硬化することができる。
活性光線の照射は、未硬化レリーフ形成層全面に行うのが一般的である。
活性光線としては、例えば、可視光、紫外光、電子線などが挙げられるが、紫外光が最も一般的である。未硬化レリーフ形成層の円筒状支持体側を裏面とすれば、表面に光を照射するだけでもよいが、円筒状支持体が活性光線を透過する透明な部材であれば、更に裏面からも光を照射することが好ましい。表面からの照射は、保護フィルムが存在する場合、これを設けたまま行ってもよいし、保護フィルムを剥離した後に行ってもよい。酸素の存在下では重合阻害が生じる恐れがあるので、未硬化レリーフ形成層に塩化ビニルシートを被せて真空引きした上で、活性光線の照射を行ってもよい。
また、光硬化の場合、未硬化レリーフ形成層は、円筒状支持体に巻き付けた後、硬化を行う前に重ね合わせた端部を熱溶着させるのが好ましい。
未硬化レリーフ形成層の各未硬化層が熱重合開始剤を含有する場合、未硬化レリーフ形成層を加熱することにより硬化することができる。
熱による硬化を行うための加熱手段としては、未硬化レリーフ形成層を熱風オーブンや遠赤外オーブン内で所定時間加熱する方法や、加熱したロールに所定時間接する方法が挙げられる。更に、加硫缶のように温度と圧力を加えながら硬化する方法が、膜厚精度の観点から好ましい。
未硬化レリーフ形成層の硬化方法としては、未硬化レリーフ形成層を表面から内部まで均一に硬化可能という観点で、熱による硬化の方が好ましい。
未硬化レリーフ形成層を熱により硬化することにより、第1にレーザー彫刻後形成されるレリーフがシャープになり、第2にレーザー彫刻の際に発生する彫刻カスの粘着性が抑制されるという利点がある。
また、未硬化レリーフ形成層が、光重合開始剤を含有する未硬化層と、熱重合開始剤を含有する未硬化層とを有する場合には、光硬化と熱硬化とをそれぞれ行なえばよい。
上記のように硬化しレリーフ形成層を形成した後、膜厚精度を付与するために、レリーフ形成層の表面研磨を行うのが好ましい。
表面研磨に用いる研磨体としては、特に制限するものでないが、例えば研磨紙、研磨フィルム、研磨ホイールを用いることができる。
研磨紙、研磨フィルムの表面上の研磨剤の材質としては、金属、セラミックス、炭素化合物等を挙げることができる。金属微粒子の例としては、クロム、チタン、ニッケル、鉄等を挙げることができる。また、セラミックスとしては、アルミナ、シリカ、窒化珪素、窒化ホウ素、ジルコニア、珪酸ジルコニウム、炭化珪素などが挙げられる。炭素化合物としては、ダイヤモンド、グラファイト等を挙げることができる。
更に、研磨ホイールの材質としては、特に制限されるものではないが、鉄、アルミナ、セラミックス、炭素化合物、砥石、木、ブラシ、フェルト、コルクなどを挙げることができる。
ここで、前述のとおり、レリーフ形成層と円筒状支持体との間に、クッション層を有してもよい。
また、このクッション層を円筒状支持体の外周に貼り付ける場合に、円筒状支持体側又はクッション層側に、粘着剤層又は接着剤層を介してもよい。
以上のようにして、本発明の円筒状印刷版原版が作製される。
ここで、前述のとおり、円筒状印刷版原版の「レリーフ形成層」は、レーザー彫刻する前の層であり、レリーフ形成層をレーザー彫刻して非画像部に対応する領域を除去し、画像部および非画像部を有するレリーフ層を形成するものである。そのため、本発明の円筒状印刷版原版のレリーフ形成層の表面は、レーザー彫刻後、上述の円筒状印刷版の画像部の表面となる。
[円筒状印刷版の製造方法]
次に、本発明の円筒状印刷版の製造方法について、詳細に説明する。
本発明の円筒状印刷版の製造方法としては、上記円筒状印刷版原版の製造方法により作製した円筒状印刷版原版を、画像様にレーザー彫刻することにより非画像部となる部分のレリーフ形成層を除去し凸状の画像部を形成することで、画像部と非画像部とを有するレリーフ層を形成することが挙げられる。ただし、この方法に限定されるものではない。
このような彫刻工程の一例として、具体的には、まず、作製する印刷版の原画像データを取得し、この原画像データを、レーザー彫刻を行うためのデータに変換するため、RIP(Raster Image Processor)処理を行う。
さらに、RIP処理した画像データに、マスク処理等を行って、出力画像データを生成し、生成した出力画像データを用いてレーザー彫刻を行い、円筒状印刷版を作製する。
なお、レーザー彫刻の方法については、基本的に、従来の円筒状印刷版の製造方法で用いられるレーザー彫刻の方法と同様である。
レーザー彫刻の方法としては、例えば、円筒状印刷版原版に向けて露光ヘッドから、上記出力画像データに応じたレーザー光を射出し、露光ヘッドを主走査方向と直交する副走査方向に所定ピッチで走査させることで、印刷版原版の表面に2次元画像を高速で彫刻(記録)する方法、等が利用可能である。
レーザー彫刻において利用されるレーザーの種類については特に限定はないが、赤外線レーザーが好ましく用いられる。赤外線レーザーが照射されると、レリーフ形成層中の分子が分子振動し、熱が発生する。赤外線レーザーとして炭酸ガスレーザーやYAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザーのような高出力のレーザーを用いると、レーザー照射部分に大量の熱が発生し、レリーフ形成層中の分子は分子切断又はイオン化されて選択的な除去、すなわち、彫刻がなされる。レーザー彫刻の利点は、彫刻深さを任意に設定できるため、構造を3次元的に制御することができる点である。例えば、微細な網点を印刷する部分は、浅く又はショルダーをつけて彫刻することで、印圧でレリーフが転倒しないようにすることができ、細かい抜き文字を印刷する溝の部分は深く彫刻することで、溝にインキが埋まりにくくなり、抜き文字つぶれを抑制することが可能となる。
中でも、光熱変換剤の吸収波長に対応した赤外線レーザーで彫刻する場合には、より高感度でレリーフ形成層の選択的な除去が可能となり、シャープな画像を有するレリーフ層が得られる。
赤外線レーザーとしては、生産性、コスト等の面から、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)又は半導体レーザーが好ましく、ファイバー付き半導体赤外線レーザー(FC−LD)が特に好ましい。一般に、半導体レーザーは、CO2レーザーに比べレーザー発振が高効率且つ安価で小型化が可能である。また、小型であるためアレイ化が容易である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。
半導体レーザーとしては、波長が700〜1,300nmのものが好ましく、800〜1,200nmのものがより好ましく、860〜1,200nmのものが更に好ましく、900〜1,100nmのものが特に好ましい。
また、ファイバー付き半導体レーザーは、更に光ファイバーを取り付けることで効率よくレーザー光を出力できるため、レーザー彫刻には有効である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。例えば、ビームプロファイルはトップハット形状とすることができ、安定に版面にエネルギーを与えることができる。半導体レーザーの詳細は、「レーザーハンドブック第2版」レーザー学会編、「実用レーザー技術」電子通信学会編著等に記載されている。
また、特開2009−172658号公報及び特開2009−214334号公報に詳細に記載されるファイバー付き半導体レーザーを備えた製版装置は、本発明の円筒状印刷版の製造方法に好適に使用することができる。
なお、本発明において、円筒状印刷版の製造方法は、上述のレーザー彫刻(DLE(Direct Laser Engraving)方式)に限定はされず、レーザーで印刷版原版の表面に画像を書き込み現像するLAMS(Laser Ablation Masking System)方式等の種々の公知の製造方法が利用可能である。
また、円筒状印刷版の製造方法は、彫刻工程に次いで、更に、必要に応じて下記リンス工程、乾燥工程、及び/又は、後架橋工程を含んでもよい。
リンス工程:彫刻後のレリーフ層表面を、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスする工程。
乾燥工程:彫刻されたレリーフ層を乾燥する工程。
後架橋工程:彫刻後のレリーフ層にエネルギーを付与し、レリーフ層を更に硬化する工程。
彫刻工程を経た後、彫刻表面に彫刻カスが付着しているため、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスして、彫刻カスを洗い流すリンス工程を追加してもよい。リンスの手段として、水道水で水洗する方法、高圧水をスプレー噴射する方法、感光性樹脂凸版の現像機として公知のバッチ式又は搬送式のブラシ式洗い出し機で、彫刻表面を主に水の存在下でブラシ擦りする方法などが挙げられ、彫刻カスのヌメリがとれない場合は、石鹸や界面活性剤を添加したリンス液を用いてもよい。
彫刻表面をリンスするリンス工程を行った場合、彫刻されたレリーフ層を乾燥してリンス液を揮発させる乾燥工程を追加することが好ましい。
更に、必要に応じて彫刻されたレリーフ層を更に硬化させる後架橋工程を追加してもよい。追加の硬化工程である後架橋工程を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
リンス工程に用いられるリンス液のpHは、9以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、11以上であることが更に好ましい。また、リンス液のpHは14以下であることが好ましく、13.5以下であることがより好ましく、13.1以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、取り扱いが容易である。リンス液を上記のpH範囲とするために、適宜、酸及び/又は塩基を用いてpHを調整すればよく、使用する酸及び塩基は特に限定されない。
また、リンス液は、主成分として水を含有することが好ましい。また、リンス液は、水以外の溶媒として、アルコール類、アセトン、テトラヒドロフラン等などの水混和性溶媒を含有していてもよい。
リンス液は、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、彫刻カスの除去性、及び、円筒状印刷版への影響を少なくする観点から、カルボキシベタイン化合物、スルホベタイン化合物、ホスホベタイン化合物、アミンオキシド化合物、又は、ホスフィンオキシド化合物等のベタイン化合物(両性界面活性剤)が好ましく挙げられる。なお、本発明において、アミンオキシド化合物のN=O、及び、ホスフィンオキシド化合物のP=Oの構造はそれぞれ、N+−O-、P+−O-と見なすものとする。
また、界面活性剤としては、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等も挙げられる。更に、フッ素系、シリコーン系のノニオン界面活性剤も同様に使用することができる。
界面活性剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の使用量は特に限定する必要はないが、リンス液の全質量に対し、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがより好ましい。
次に、本発明の円筒状印刷版原版の第1硬質層、軟質層、および、第2硬質層となる樹脂組成物に必要な材料について説明する。
円筒状印刷版原版の第1硬質層、軟質層、および、第2硬質層となる樹脂組成物として、以下の材料が好ましい。
なお、第1硬質層、軟質層、および、第2硬質層それぞれを好ましい硬度をするために、異なる材料を用いてもよいし、重合開始剤の種類および添加量等で硬度を調整してもよいし、硬化時の光の照射量、あるいは、温度および加熱時間等で硬度を調整してもよい。
<樹脂組成物>
樹脂組成物としては、少なくともジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有するポリマーを含有する硬化性樹脂組成物が好ましい。
本発明に用いられる樹脂組成物は、例えば、ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有するポリマー、重合性化合物、香料、可塑剤等を適当な溶剤に溶解又は分散させ、次いで、架橋剤、重合開始剤、架橋促進剤などを溶解させることによって製造できる。樹脂シート(未硬化層)の形成の容易さ、得られる印刷版原版の厚み精度、及び、樹脂シート(未硬化層)の取扱いの観点から、溶剤成分の少なくとも一部は、好ましくは、ほとんど全部を、印刷版原版を製造する段階で除去する必要があるので、溶剤としては、適度の揮発性を有する有機溶剤が好ましい。
(ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有するポリマー)
本発明に用いられる樹脂組成物は、ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有するポリマー(以下、「特定ポリマー」という。)を必須成分として含有するのが好ましい。
特定ポリマーの重量平均分子量は、0.5万〜160万が好ましく、1万〜100万であることがより好ましく、1.5万〜60万であることが更に好ましい。重量平均分子量が0.5万以上であると、単体樹脂としての形態保持性に優れ、160万以下であると、溶媒に溶解しやすく樹脂組成物を調製するのに好都合である。
本発明において、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ法(GPC)法にて測定され、標準ポリスチレンで換算して求められる。具体的には、例えば、GPCは、HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)を用い、カラムとして、TSKgeL SuperHZM−H、TSKgeL SuperHZ4000、TSKgeL SuperHZ2000(東ソー株式会社製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。また、条件としては、試料濃度を0.35質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μL、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて行う。また、検量線は、東ソー株式会社製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
特定ポリマーは、非共役ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有する特定ポリマーであってもよいが、共役ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有する特定ポリマーであることが好ましい。
(共役ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有する特定ポリマー)
共役ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有する特定ポリマー特定ポリマーとしては、共役ジエン系炭化水素を重合して得られる重合体、共役ジエン系炭化水素と他の不飽和化合物、好ましくはモノオレフィン系不飽和化合物とを重合させて得られる共重合体等が好ましく挙げられる。また、上記の重合体及び共重合体は、修飾されていてもよく、例えば、末端に(メタ)アクリロイル基などの反応性基を導入してもよく、また、内部オレフィンの一部が水素添加されていてもよい。なお、以下の説明において、内部オレフィンの一部が水素添加されたポリブタジエンを「部分水素化ポリブタジエン」、同様に内部オレフィンの一部が水素添加されたポリイソプレンを「部分水素化ポリイソプレン」という。更に共重合体は、ランダム重合体でも、ブロック共重合体でも、グラフト重合体でもよく、特に限定されない。
上記の共役ジエン系炭化水素としては、具体的には、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。これらの化合物は単独又は2種類以上組み合わせて用いられる。
上記のモノオレフィン系不飽和化合物としては、具体的には、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、イソブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
上記の共役ジエン系炭化水素を重合させて得られる重合体又は共役ジエン系炭化水素とモノオレフィン系不飽和化合物とを重合させて得られる共重合体としては、特に限定されず、具体的にはブタジエン重合体、イソプレン重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、アクリル酸エステル−イソプレン共重合体、メタクリル酸エステルと上記共役ジエンの共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、イソブテン−イソプレン共重合体(ブチルゴム)等が挙げられる。
これらの重合体は、乳化重合させてもよいし、また、溶液重合させてもよい。
本発明において、特定ポリマーは、末端にエチレン性不飽和基を有していてもよく、下記式(A−1)で表される部分構造を有していてもよい。
(式(A−1)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、AはO又はNHを表し、*は他の構造との結合位置を表す。)
すなわち、特定ポリマーは、分子内に(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリルアミド基を有していてもよく、式(A−1)中のAがOで表される(メタ)アクリロイルオキシ基を有することがより好ましい。なお、(メタ)アクルアミド基とは、アクリルアミド基またはメタクリルアミド基を意味する。
特定ポリマーは、式(A−1)で表される部分構造を主鎖末端又は側鎖のいずれに有してもよいが、主鎖末端に有することが好ましい。
耐刷性の観点から、特定ポリマーは、式(A−1)で表される部分構造を分子内に2個以上有することが好ましい。
式(A−1)で表される部分構造を有する特定ポリマーとしては、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、部分水素化ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、ポリイソプレンジ(メタ)アクリレート、部分水素化ポリイソプレンジ(メタ)アクリレートなど、水酸基含有ポリオレフィンの水酸基にエチレン性不飽和基含有化合物を反応させて得られたポリオレフィン(メタ)アクリレート(例えば、BAC−45(大阪有機化学工業株式会社製)、TEA−1000、TE−2000、EMA−3000(日本曹達株式会社製))が例示される。
また、ポリオレフィンを変性してエチレン性不飽和結合を導入した変性ポリオレフィン(例えば、メタクリレート導入ポリイソプレン(クラプレンUC−203、UC−102(株式会社クラレ製))も好ましく例示される。
(ブタジエン及び/又はイソプレンに由来する単量体単位を有するポリマー)
本発明において、特定ポリマーは、ブタジエン及び/又はイソプレンに由来する単量体単位を有するポリマーであることが好ましい。
具体的には、ポリブタジエン(ブタジエンゴム)、部分水素化ポリブタジエン、末端変性ポリブタジエン、ポリイソプレン(イソプレンゴム)、部分水素化ポリイソプレン、末端変性ポリイソプレン、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン トリブロック共重合体)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン トリブロック共重合体)、イソプレン/ブタジエン共重合体等が挙げられる。
なお、末端変性とは、主鎖又は側鎖末端がアミド基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、(メタ)アクリロイル基、グリシジル基等で変性されていていることを意味する。
これらの中でも、ポリブタジエン、部分水素化ポリブタジエン、水酸基末端ポリブタジエン、グリシジルエーテル変性ポリブタジエン、ポリイソプレン、部分水素化ポリイソプレン、末端変性ポリイソプレン、水酸基末端ポリイソプレン、グリシジルエーテル変性ポリイソプレン、SBS、SISが好ましい。
ブタジエン、イソプレン又はそれらの水素添加物に由来する単量体単位の割合が、合計して30mol%以上であることが好ましく、50mol%以上であることがより好ましく、80mol%以上であることが更に好ましい。
イソプレンは、触媒や反応条件により、1,2−、3,4−又は1,4−付加により重合することが知られているが、本発明においては上記のいずれの付加により重合されたポリイソプレンでもよい。これらの中でも所望の弾性を得る観点から、主成分としてcis−1,4−ポリイソプレンを含有することが好ましい。なお、特定ポリマーがポリイソプレンである場合、cis−1,4−ポリイソプレンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
また、ポリイソプレンとしては、天然ゴムを使用してもよく、また、上市されているポリイソプレンを使用することもでき、例えば、NIPOL IRシリーズ(日本ゼオン株式会社製)が例示される。
ブタジエンは、触媒や反応条件により1,2−又は1,4−付加により重合することが知られているが、本発明では上記のいずれの付加により重合されたポリブタジエンでもよい。これらの中でも、所望の弾性を得る観点から、1,4−ポリブタジエンが主成分であることがより好ましい。
なお、特定ポリマーがポリブタジエンである場合、1,4−ポリブタジエンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
なお、cis体とtrans体の含有量は特に制限はないが、ゴム弾性を発現させる観点から、cis体が好ましく、cis−1,4−ポリブタジエンの含有量が50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
ポリブタジエンとしては、上市されている製品を使用してもよく、例えば、NIPOL BRシリーズ(日本ゼオン株式会社製)、UBEPOL BRシリーズ(宇部興産株式会社製)等が例示される。
(非共役ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有する特定ポリマー)
特定ポリマーは、非共役ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有する特定ポリマーであってもよい。
特定ポリマーとしては、非共役ジエン系炭化水素と他の不飽和化合物、好ましくはαオレフィン系不飽和化合物とを重合させて得られる共重合体等が好ましく挙げられる。共重合体は、ランダム重合体でも、ブロック共重合体でも、グラフト重合体でもよく、特に限定されない。
上記の非共役ジエン系炭化水素としては、具体的には、例えば、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等が挙げられ、ジシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネンが好ましく、エチリデンノルボルネンがより好ましい。これらの化合物は単独又は2種類以上組み合わせて用いられる。
上記のモノオレフィン系不飽和化合物としては、具体的には、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン等の炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられ、エチレン及びプロピレンが好ましく、エチレンとプロピレンを組み合わせて用いることがより好ましい。これらの化合物は単独又は2種類以上組み合わせて用いられる。
上記の共役ジエン系炭化水素を重合させて得られる重合体又は共役ジエン系炭化水素とα−オレフィン系不飽和化合物とを重合させて得られる共重合体としては、特に限定されないが、エチレン−αオレフィン−ジエン共重合体であることが好ましく、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)がより好ましい。
上記の中でも、特定ポリマーとしては、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、又は、エチレン−プロピレン−ジエンゴムであることが好ましく、ブタジエンゴムであることがより好ましい。
また、特定ポリマーは、主鎖が主としてイソプレン又はブタジエンを単量体単位とするポリマーであることが好ましく、一部が水素添加されて飽和結合に変換されていてもよい。また、ポリマーの主鎖中又は末端が、アミド、カルボキシ基、ヒドロキシ基、(メタ)アクリロイル基等で変性されていてもよく、エポキシ化されていてもよい。
これらの中でも、特定ポリマーとしては、溶剤への溶解性や、取り扱いの観点から、ポリブタジエン、ポリイソプレン、イソプレン/ブタジエン共重合体が好ましく例示され、ポリブタジエン及びポリイソプレンがより好ましく、ポリブタジエンが更に好ましい。
特定ポリマーは20℃以下のガラス転移温度(Tg)を有することが、柔軟性とゴム弾性発現の観点から好ましい。
なお、特定ポリマーのガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いてJIS K7121−1987に従って測定する。
なお、特定ポリマーが2以上のガラス転移温度を有する場合、少なくとも1つが20℃以下であることが好ましく、全てのガラス転移温度が20℃以下であることがより好ましい。
本発明において、特定ポリマーはSP値が14.0〜18.0MPa1/2であることが好ましく、15.0〜17.5MPa1/2であることがより好ましく、16.0〜17.5MPa1/2であることが更に好ましい。
SP値は、分子の凝集エネルギー密度の平方根であり、分子間の凝集する力の大小を表し、極性の尺度となる。
SP値が上記範囲であると、ウレタン系接着剤との適度な接着性が得られるため好ましい。
上記SP値は、日本接着学会誌29(3)1993,204−211に記載の沖津法に基づき計算される。
特定ポリマーはエラストマー又はプラストマーであることが好ましい。特定ポリマーがエラストマー又はプラストマーであると、これから得られる樹脂シート(未硬化層)を円筒状に成形する際に、良好な厚み精度や寸法精度を達成することができる。また、円筒状印刷版に必要な弾性を付与することができるので好ましい。
本発明において「プラストマー」とは、高分子学会編「新版高分子辞典」(日本国、朝倉書店、1988年発行)に記載されているように、加熱により容易に流動変形し、かつ冷却により変形された形状に固化できるという性質を有する高分子体を意味する。プラストマーは、エラストマー(外力を加えたときに、その外力に応じて瞬時に変形し、かつ外力を除いたときには、短時間に元の形状を回復する性質を有するもの)に対する言葉であり、エラストマーのような弾性変形を示さず、容易に塑性変形するものである。
本発明において、プラストマーは、元の大きさを100%としたときに、室温(20℃)において小さな外力で200%まで変形させることができ、上記外力を除いても、130%以下に戻らないものを意味する。小さな外力とは、具体的には、引張強度が1〜100MPaである外力をいう。より詳細には、JIS K 6262−1997の引張永久ひずみ試験に基づき、JIS K 6251−1993に規定するダンベル状4号形の試験片を用いた場合に、20℃における引張試験で上記試験片を引張前の標線間距離の2倍に破断せずに伸ばすことが可能であり、かつ、引張前の標線間距離の2倍に伸ばしたところで60分間保持した後、引張外力を除いて5分後に引張永久ひずみが30%以上であるポリマーを意味する。なお、本発明では、試験片をJIS K6251−1993に規定するダンベル状4号形にすること、保持時間を60分、及び、試験室の温度を20℃とすること以外は、全てJIS K 6262−1997の引張永久ひずみ試験方法に準拠した。
なお、上記の測定ができないポリマーの場合、すなわち、引張試験において、引張外力を加えなくとも変形して元の形状に戻らないポリマーや、上記測定時の小さな外力を与えて破断するポリマーはプラストマーに上記当する。
更に、本発明において、プラストマーは、ポリマーのガラス転移温度(Tg)が20℃未満である。Tgを2つ以上有するポリマーの場合は、全てのTgが20℃未満である。なお、ポリマーのTgは、示差走査熱量測定(DSC)法により測定することができる。
本発明において、「エラストマー」とは、上記の引張試験において、標線間距離の2倍に伸ばすことが可能であり、かつ、引張外力を除いて5分後に引張永久ひずみが30%未満であるポリマーを意味する。
本発明の特定ポリマーの20℃における粘度は、好ましくは10Pa・s〜10kPa・sであり、より好ましくは50Pa・s〜5kPa・sである。粘度がこの範囲内の場合には、シート状に成形しやすく、プロセスも簡便である。本発明において、特定ポリマーがプラストマーであることにより、樹脂組成物をシート状に成形する際に、良好な厚み精度や寸法精度を達成することができる。
本発明において、特定ポリマーは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる樹脂組成物における特定ポリマーの総含有量は、樹脂組成物の固形分全質量に対し、5〜90質量%が好ましく、15〜85質量%がより好ましく、30〜80質量%が更に好ましい。
また、本発明に用いられる樹脂組成物における特定ポリマーの総含有量は、樹脂組成物の固形分全質量に対し、5〜90質量%が好ましく、15〜85質量%がより好ましく、30〜80質量%が更に好ましい。特定ポリマーの含有量を5質量%以上とすることで、得られた樹脂組成物からなる樹脂シートを印刷版として使用するに足る耐刷性が得られ、また、90質量%以下とすることで、他成分が不足することがなく、印刷版とした際においても印刷版として使用するに足る柔軟性を得ることができる。
なお、「固形分全質量」とは樹脂組成物から溶剤等の揮発性成分を除いた全質量を意味する。
本発明において、レリーフ形成層の第1硬質層となる樹脂組成物は、レリーフ形成層の形成しやすさや硬度の観点から結晶性ポリマーであることが好ましい。結晶性ポリマーは、加熱時の流動性が高くなるため、レベリング効果が高く膜厚精度の高い円筒状印刷版原版、及び、円筒状印刷版が得られる。加熱時の流動性はMI(メルトインデックス:ASTM D1238)あるいは、MFR(メルトフローレート:JIS K7210)の指標で表すことができる。
ここで、結晶性ポリマーとは、分子構造の中に長い鎖状の分子が規則的に並んだ結晶性領域と、規則的に並んでいない非結晶性領域が混在したポリマーを意味し、その結晶性領域の割合である結晶化度が25度で1体積%以上有するポリマーのことを指す。
ここで結晶化度とは、示差走査熱量計により窒素雰囲気下、25℃から200℃までの範囲で昇温速度20℃/minにて温度を変化させながら、結晶融解による吸熱ピーク(ΔH(J/g))を求める。測定されたΔHに基づき、以下の式により到達結晶化度(%)を算出する。
結晶化度(%)={ΔH/a}×100
上式中、「a」は公知の文献で示されている、結晶性領域の成分が100%結晶化した場合の結晶融解熱量(例えば、ポリ乳酸の場合94J/g、ポリエチレン(HDPE)293(J/g))を意味する。
上記の結晶性ポリマーとしては、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが挙げられ、具体的には、例えば、SB(ポリスチレン−ポリブタジエン)、SBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)、ACM(アクリル酸エステルゴム)、ACS(アクリロニトリル塩素化ポリエチレンスチレン共重合体)、非晶性ポリアルファオレフィン、アタクチックポリプロピレン、アクリロニトリルスチレン共重合体、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチルビニルエーテル、ポリアクリル酸、ポリプロピレン、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリオクテニレン、トランス−ポリイソプレン,ポリビニルブチラール、エチレン−オクテンコポリマー等のエチレン−α−オレフィンコポリマー、プロピレン−α−オレフィンコポリマー、1,3−ペンタジエン重合体などが挙げられる。
これらのうち、SBS、SIS、SEBS、ポリプロピレン、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリオクテニレン、トランス−ポリイソプレン,エチレン−オクテンコポリマー等のエチレン−α−オレフィンコポリマー、プロピレン−α−オレフィンコポリマーが好ましく、その中でも、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エチレン−α−オレフィンコポリマー、プロピレン−α−オレフィンコポリマー、ポリオクテニレンが特に好ましい。
本発明に用いられる樹脂組成物は、重合開始剤、光熱変換剤、溶剤、及び、その他の成分を含有することが好ましい。以下、これらの成分について詳述する。
(重合開始剤)
本発明において樹脂組成物は、重合開始剤を含有する樹脂組成物を用いて形成されることが好ましい。重合開始剤を含有することにより、特定ポリマー、及び、後述する重合性化合物が含有するエチレン性不飽和結合同士の架橋が促進される。
重合開始剤としては、当業者間で公知のものを制限なく使用することができ、光重合開始剤及び熱重合開始剤のいずれも使用することができるが、簡便な装置で架橋が形成できることから、熱重合開始剤が好ましい。以下、好ましい重合開始剤であるラジカル重合開始剤について詳述するが、本発明はこれらの記述により制限を受けるものではない。
本発明において、好ましい重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(l)アゾ系化合物等が挙げられる。以下に、上記(a)〜(l)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明においては、彫刻感度と、レリーフエッジ形状を良好とするといった観点から、(c)有機過酸化物及び(l)アゾ系化合物がより好ましく、(c)有機過酸化物が特に好ましい。
上記(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、及び(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物としては、特開2008−63554号公報の段落0074〜0118に挙げられている化合物を好ましく用いることができる。
また、(c)有機過酸化物及び(l)アゾ系化合物としては、以下に示す化合物が好ましい。
(c)有機過酸化物
本発明に用いることができる熱重合開始剤として好ましい(c)有機過酸化物としては、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−3−メチルベンゾエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシアセテートなどの過酸化エステル系や、α,α’−ジ(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートなどの過酸化エステル系が好ましい。これらの中でも、相溶性に優れる観点から、t−ブチルパーオキシベンゾエートが特に好ましい。
(l)アゾ系化合物
本発明に用いることができる重合開始剤として好ましい(l)アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロピオニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を挙げることができる。
なお、本発明においては、上記(c)有機過酸化物が本発明における重合開始剤として、レリーフ形成層の硬化性及び彫刻感度向上の観点で特に好ましい。
彫刻感度の観点からは、この(c)有機過酸化物と、後述する光熱変換剤とを組み合わせた態様が特に好ましい。
これは、有機過酸化物を用いて未硬化レリーフ形成層(未硬化層)を熱硬化により硬化させる際、ラジカル発生に関与しない未反応の有機過酸化物が残存するが、残存した有機過酸化物は、自己反応性の添加剤として働き、レーザー彫刻時に発熱的に分解する。その結果、照射されたレーザーエネルギーに発熱分が加算されるので彫刻感度が高くなったと推定される。
なお、光熱変換剤の説明において詳述するが、この効果は、光熱変換剤としてカーボンブラックを用いる場合に著しい。これは、カーボンブラックから発生した熱が(c)有機過酸化物にも伝達される結果、カーボンブラックだけでなく有機過酸化物からも発熱するため、特定ポリマー等の分解に使用されるべき熱エネルギーの発生が相乗的に生じるためと考えている。
本発明において、重合開始剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる樹脂組成物中の重合開始剤の含有量は、固形分全質量に対して、0.01〜30質量%であることが好ましく、0.1〜20質量%であることがより好ましく、1〜15%であることが更に好ましい。
本発明に用いられる樹脂組成物中の重合開始剤の含有量は、固形分全質量に対して、0.01〜30質量%であることが好ましく、0.1〜20質量%であることがより好ましく、1〜15%であることが更に好ましい。含有量が上記範囲内であると、硬化性に優れ、レーザー彫刻した際のレリーフエッジ形状が良好であり、更に、リンス性に優れるので好ましい。
(光熱変換剤)
本発明に用いられる樹脂組成物は、更に、光熱変換剤を含有することが好ましい。すなわち、本発明における光熱変換剤は、レーザーの光を吸収し発熱することにより、レーザー彫刻時の硬化物の熱分解を促進すると考えられる。このため、彫刻に用いるレーザー波長の光を吸収する光熱変換剤を選択することが好ましい。
本発明の円筒状印刷版原版のレリーフ形成層を、700〜1,300nmの赤外線を発するレーザー(YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー、面発光レーザー等)を光源とするレーザー彫刻で彫刻する場合、光熱変換剤としては、700〜1,300nmに極大吸収波長を有する化合物を用いることが好ましい。
本発明における光熱変換剤としては、種々の染料又は顔料が用いられる。
光熱変換剤のうち、染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、700〜1,300nmに極大吸収波長を有するものが挙げられ、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、ジインモニウム化合物、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が好ましく挙げられる。本発明において好ましく用いられる染料としては、ヘプタメチンシアニン色素等のシアニン系色素、ペンタメチンオキソノール色素等のオキソノール系色素、フタロシアニン系色素及び特開2008−63554号公報の段落0124〜0137に記載の染料を挙げることができる。
本発明において使用される光熱変換剤のうち、顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。また、顔料としては、特開2009−178869号公報の段落0122〜0125に記載の顔料が例示できる。
これらの顔料のうち、好ましいものはカーボンブラックである。
カーボンブラックは、組成物中における分散性などが安定である限り、ASTMによる分類のほか、用途(例えば、カラー用、ゴム用、乾電池用など)の如何に拘らずいずれも使用可能である。カーボンブラックには、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラックなどが含まれる。なお、カーボンブラックなどの黒色着色剤は、分散を容易にするため、必要に応じて分散剤を用い、予めニトロセルロースやバインダーなどに分散させたカラーチップやカラーペーストとして使用することができ、このようなチップやペーストは市販品として容易に入手できる。また、カーボンブラックとしては、特開2009−178869号公報の段落0130〜0134に記載されたものが例示できる。
本発明に用いられる樹脂組成物における光熱変換剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物における光熱変換剤の含有量は、その分子固有の分子吸光係数の大きさにより大きく異なるが、固形分全質量の0.01〜30質量%の範囲が好ましく、0.05〜20質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。
樹脂組成物中における光熱変換剤の含有量は、その分子固有の分子吸光係数の大きさにより大きく異なるが、固形分全質量の0.01〜30質量%の範囲が好ましく、0.05〜20質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。
(溶剤)
本発明に用いられる樹脂組成物は、溶剤を含有してもよい。
溶剤としては、有機溶剤を用いることが好ましい。
非プロトン性有機溶剤の好ましい具体例は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
プロトン性有機溶剤の好ましい具体例は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオールが挙げられる。
これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが特に好ましく例示できる。
(その他の添加剤)
本発明に用いられる樹脂組成物には、公知の各種添加剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜配合することができる。例えば、架橋剤、架橋促進剤、可塑剤、充填剤、ワックス、プロセス油、金属酸化物、オゾン分解防止剤、老化防止剤、重合禁止剤、着色剤等が挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(重合性化合物)
本発明に用いられる樹脂シート(未硬化層)は、架橋構造形成を促進するため、重合性化合物を含有する樹脂組成物を用いて形成することもできる。重合性化合物を含有することにより、架橋構造形成が促進され、得られる印刷版の耐刷性に優れる。
また、上述のエチレン性不飽和基を有する特定ポリマーは、重合性化合物には含まれない物とする。
更に、重合性化合物は、分子量3,000未満の化合物であることが好ましく、分子量1,000未満の化合物であることがより好ましい。
重合性化合物は、ラジカル重合性化合物であることが好ましく、また、エチレン性不飽和化合物であることが好ましい。
本発明に用いられる重合性化合物は、多官能エチレン性不飽和化合物であることが好ましい。上記態様であると、得られる印刷版の耐刷性により優れる。
多官能エチレン性不飽和化合物としては、末端エチレン性不飽和基を2〜20個有する化合物が好ましい。このような化合物群は当産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に制限無く用いることができる。
多官能エチレン性不飽和化合物におけるエチレン不飽和基が由来する化合物の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル類、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシ基や、アミノ基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナト基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能又は多官能のアルコール類、アミン類との付加反応物、ハロゲン基や、トシルオキシ基、等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、ビニル化合物、アリル化合物、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
重合性化合物に含まれるエチレン性不飽和基は、反応性の観点でアクリレート、メタクリレート、ビニル化合物、アリル化合物の各残基が好ましい。また、耐刷性の観点から、多官能エチレン性不飽和化合物は、エチレン性不飽和基を3個以上有することがより好ましい。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、1,8−オクタンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等が挙げられる。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,8−オクタンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。中でも、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートが特に好ましい。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラクロトネート等が挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号各公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号各公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
上記エステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスメタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアナト基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(i)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R’)OH (i)
(ただし、R及びR’は、それぞれ、H又はCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号各公報に記載される、分子内にアミノ構造を有する付加重合性化合物類を用いることによって、短時間でレリーフ形成層を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号各公報記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
ビニル化合物としては、ブタンジオール−1,4−ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、エチレングリコールジエチレンビニルエーテル、エチレングリコールジプロピレンビニルエーテル、トリメチロールプロパントリエチレンビニルエーテル、トリメチロールプロパンジエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールジエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラエチレンビニルエーテル、1,1,1−トリス〔4−(2−ビニロキシエトキシ)フェニル〕エタン、ビスフェノールAジビニロキシエチルエーテル、アジピン酸ジビニル等が挙げられる。
本発明に用いられる樹脂組成物は、重合性化合物を1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明に用いられる樹脂組成物中における重合性化合物の含有量は、樹脂組成物の固形分全質量に対し、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が更に好ましい。
本発明に用いられる樹脂組成物中における重合性化合物の含有量は、樹脂組成物の固形分全質量に対し、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が更に好ましい。上記範囲である樹脂組成物からなるレリーフ形成層であると、レーザー彫刻時に発生する彫刻カスのリンス性により優れ、得られる印刷版の耐刷性により優れる。
(各成分の配合量)
本発明に用いられる樹脂組成物の固形分全質量に対し、樹脂組成物中における特定ポリマーの総含有量は、5〜90質量%が好ましく、重合開始剤の含有量は、0.01〜30質量%であることが好ましく、光熱変換剤の含有量は、0.01〜30質量%の範囲が好ましく、重合性化合物の含有量は、0〜30質量%が好ましい。
また、本発明に用いられる樹脂組成物の固形分全質量に対し、樹脂組成物中における特定ポリマーの総含有量は、5〜90質量%が好ましく、重合開始剤の含有量は、0.01〜30質量%であることが好ましく、光熱変換剤の含有量は、0.01〜30質量%の範囲が好ましく、重合性化合物の含有量は、0〜30質量%が好ましい。
[フレキソ印刷装置]
次に、本発明に係る円筒状印刷版を用いるフレキソ印刷装置(以下、単に、『印刷装置』という)の構成について詳細に説明する。印刷装置は、上記円筒状印刷版を用いる以外は、基本的に、従来の印刷装置と同様の構成を有する。
図5は、本発明に係る円筒状印刷版を用いる印刷装置の要部を概念的に示す図である。
図5に示すように、印刷装置18は、上記円筒状印刷版08、回転軸19、搬送ローラ(圧胴)20、アニロックスローラ21、ドクターチャンバ22、および、循環タンク23を有する。
回転軸19は、回転可能な円柱状の部材であり、円筒状印刷版08の円筒状支持体07内に挿通して、円筒状印刷版08を回転可能に固定する。また、回転軸19は、円筒状印刷版08の表面(レリーフ層11の表面)が、搬送ローラ20に巻き掛けられた被印刷体24に接触する位置に配置されている。
搬送ローラ20は、被印刷体24を所定の搬送経路で搬送する搬送部(図示せず)を構成するローラであり、その周面が、円筒状印刷版08の周面と対面して配置されて、被印刷体24を円筒状印刷版08に接触させるものである。
また、回転軸19はその回転方向が、被印刷体24の搬送方向と一致するように配置されている。
アニロックスローラ21、ドクターチャンバ22、および、循環タンク23は、円筒状印刷版08にインキを供給するためのものである。循環タンク23はインキを貯留しており、循環タンク23内のインキが、ポンプ(図示せず)によってドクターチャンバ22に供給される。ドクターチャンバ22は、アニロックスローラ21の表面に密接して設けられ、内部にインキが保持されている。アニロックスローラ21は、円筒状印刷版08の周面に当接して同調回転し、ドクターチャンバ22内のインキを円筒状印刷版08に塗布(供給)する。
このように構成された印刷装置18は、被印刷体24を所定の搬送経路で搬送しつつ、回転軸19に固定された円筒状印刷版を回転させて、インキを被印刷体24に転写して印刷を行う。すなわち、円筒状印刷版を載置するドラムの回転方向が印刷方向となる。
本発明の円筒状印刷版を用いる印刷装置で用いられる被印刷体の種類には、特に限定はなく、紙、フィルム、段ボール等の、通常の印刷装置で用いられる、種々の公知の被印刷体を用いることができる。
また、本発明の円筒状印刷版を用いる印刷装置で用いられるインキの種類にも、特に限定はなく、水性インキ、UVインキ、油性インキ、EBインキ等の、通常の印刷装置で用いられる、種々の公知のインキを用いることができる。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例におけるポリマーの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、特に断りのない限りにおいて、GPC法で測定した値を表示している。
また、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示すものとする。
[実施例1]
[円筒状印刷版原版の作製]
<樹脂組成物の調製>
(レリーフ形成層の第1硬質層となる樹脂組成物Aの調製)
MS式小型加圧ニーダー(株式会社モリヤマ製)を用いて、結晶性ポリマーとして、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンRB820(JSR株式会社製)を100質量部と、カーボンブラックとして、カーボンブラック#45L(平均粒子径24nm、比表面積125m2/g、三菱化学株式会社製)を12質量部とを、80℃にて、前ブレード35rpm、後ブレード35rpmで10分間混練した後、60℃まで冷却し、熱重合開始剤として、パークミルD−40(有機過酸化物、ジクミルパーオキサイド(40質量%)、日油株式会社製)を1.5質量部、添加して、60℃にて前ブレード20rpm、後ブレード20rpmで更に10分間混練し、レリーフ形成層の第1硬質層となる樹脂組成物Aを調製した。
(レリーフ形成層の軟質層となる樹脂組成物Bの調製)
MS式小型加圧ニーダーを用いて、ポリマーとして、JSR EP24(エチレン・プロロピレンゴム、数平均分子量50万以上、JSR株式会社製)を100質量部と、カーボンブラック#45Lを12質量部とを、80℃にて、前ブレード35rpm、後ブレード35rpmで10分間混練した後、60℃まで冷却しパークミルD−40を2質量部、添加して、60℃にて前ブレード20rpm、後ブレード20rpmで更に10分間混練し、レリーフ形成層の軟質層となる樹脂組成物Bを調製した。
(レリーフ形成層の第2硬質層となる樹脂組成物Cの調製)
MS式小型加圧ニーダーを用いて、ポリマーとして、BR150L(固体ポリブタジエン、数平均分子量47万、宇部興産株式会社製、以下「BR」と表す)を100質量部と、カーボンブラック#45Lを12質量部とを、80℃にて、前ブレード35rpm、後ブレード35rpmで10分間混練した後、60℃まで冷却し、パークミルD−40を14質量部、添加して、60℃にて前ブレード20rpm、後ブレード20rpmで更に10分間混練し、レリーフ形成層の第2硬質層となる樹脂組成物Cを調製した。
<未硬化レリーフ形成層の形成>
(未硬化層Aの作製)
上記で得た樹脂組成物Aを、カレンダーロール(日本ロール製造株式会社製逆L型4本)でシート状に成形した。ウォームアップロールを50℃として樹脂組成物Aを10分間予備混練し、ロールに巻き付いたものを途中でカットしてシート状に引き出し、一旦ロール状に巻き取った。その後、混練物をカレンダーロールの第1ロールと第2ロールの間にセットし、圧延成形した。カレンダーロールの各ロールの温度は、第1ロール温度を50℃、第2ロール温度を60℃、第3ロール温度を70℃、第4ロール温度を80℃とした。ロール間隔は、第1ロールと第2ロール間隔を1.0mm、第2ロールと第3ロール間隔を0.4mm、第3ロールと第4ロール間隔を0.2mmとした。搬送速度は1m/分とした。
第4ロールを通過後、シートを幅20cm、カットし未硬化層Aを得た。
(未硬化層Bの作製)
上記で得た樹脂組成物Bを、カレンダーロールでシート状に成形した。ウォームアップロールを50℃として樹脂組成物Bを10分間予備混練し、ロールに巻き付いたものを途中でカットしてシート状に引き出し、一旦ロール状に巻き取った。その後、混練物をカレンダーロールの第1ロールと第2ロールの間にセットし、圧延成形した。カレンダーロールの各ロールの温度は、第1ロール温度を50℃、第2ロール温度を60℃、第3ロール温度を70℃、第4ロール温度を80℃とした。ロール間隔は、第1ロールと第2ロール間隔を2.0mm、第2ロールと第3ロール間隔を1.5mm、第3ロールと第4ロール間隔を1.2mmとした。搬送速度は1m/分とした。
第4ロールを通過後、シートを幅20cm、カットし未硬化層Bを得た。
(未硬化層Cの作製)
上記で得た樹脂組成物Cを、カレンダーロールでシート状に成形した。ウォームアップロールを50℃として樹脂組成物Cを10分間予備混練し、ロールに巻き付いたものを途中でカットしてシート状に引き出し、一旦ロール状に巻き取った。その後、混練物をカレンダーロールの第1ロールと第2ロールの間にセットし、圧延成形した。カレンダーロールの各ロールの温度は、第1ロール温度を50℃、第2ロール温度を60℃、第3ロール温度を70℃、第4ロール温度を80℃とした。ロール間隔は、第1ロールと第2ロール間隔を6.0mm、第2ロールと第3ロール間隔を5.0mm、第3ロールと第4ロール間隔を4.2mmとした。搬送速度は1m/分とした。
第4ロールを通過後、シートを幅20cm、カットし未硬化層Cを得た。
上記で得た未硬化層A、B、Cを外形108mmの円筒状支持体の周面上に円筒状支持体側から未硬化層C、B、Aの順となるように載置して未硬化レリーフ形成層を形成した。
<硬化工程>
加硫缶を用いて未硬化レリーフ形成層を180℃、0.2MPaで10分間加熱し、レリーフ形成層を形成した。その後、グラインダーにてレリーフ形成層の表面研磨を行い、厚みばらつきがレンジで30μmのシームレス状の円筒状印刷版原版を得た。
[円筒状印刷版の作製]
上記で得た円筒状印刷版原版に対し、レーザー彫刻機(Hell Gravure Systems社製 1300S)で彫刻し、その後、洗浄剤(The Procter & Gamble Company社製 ジョイW除菌の2%水溶液)を版上に垂らし、豚毛ブラシで擦り、流水にて水洗することで彫刻カスを除去し、円筒状印刷版を得た。
<円筒状印刷版の硬度と膜厚の測定>
得られた円筒状印刷版の第1硬質層、軟質層、及び、第2硬質層の硬度を、FischerScope HM2000Xyp(株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)により、計測した。
具体的には、作製した円筒状印刷版のレリーフ層を表面に対して垂直に切断して約3cm角に切り出し、レリーフ層の断面が上を向くようにスライドガラス上に接着剤で固定した。第1硬質層、軟質層、及び、第2硬質層について、それぞれ上部から測定検出器を押込み、10μm押込んだ際のマルテンス硬度を各層の硬度として求めた。
また、円筒状印刷版の断面をデジタルマイクロスコープKH−7700(株式会社ハイロックス製)により撮影し、第1硬質層、軟質層、及び、第2硬質層それぞれの厚みを計測した。
各層の厚み、および硬度は、表1に示した。
[実施例2]
レリーフ層の第1硬質層となる樹脂組成物の調製におけるパークミルD−40添加量を1.8質量部に変更し、樹脂組成物Dとした以外は、実施例1と同様な方法にて円筒状印刷版を作製し、第1硬質層の硬度K1が19MPaである円筒状印刷版を得た。
[実施例3]
レリーフ層の第1硬質層となる樹脂組成物の調製におけるパークミルD−40添加量を1.0質量部に変更し、樹脂組成物Eとした以外は、実施例1と同様な方法にて円筒状印刷版を作製し、第1硬質層の硬度K1が10MPaである円筒状印刷版を得た。
[実施例4]
レリーフ層の軟質層となる樹脂組成物の調製におけるパークミルD−40添加量を6質量部に変更し、樹脂組成物Fとした以外は、実施例1と同様な方法にて円筒状印刷版を作製し、軟質層の硬度K2が4MPaである円筒状印刷版を得た。
[実施例5]
レリーフ層の第2硬質層となる樹脂組成物の調製におけるパークミルD−40添加量を10質量部に変更し、樹脂組成物Gとした以外は、実施例1と同様な方法にて円筒状印刷版を作製し、第2硬質層の硬度K3が5MPaである円筒状印刷版を得た。
[実施例6]
レリーフ層の第2硬質層となる樹脂組成物の調製におけるパークミルD−40添加量を15質量部に変更し、樹脂組成物Hとした以外は、実施例1と同様な方法にて円筒状印刷版を作製し、第2硬質層の硬度K3が9MPaである円筒状印刷版を得た。
[実施例7]
レリーフ層の第2硬質層の下層に第四層を有する構成とした以外は、実施例1と同様にして円筒状印刷版を作製した。
レリーフ層の第四層となる樹脂組成物Iとして、MS式小型加圧ニーダーを用いて、ポリマーとして、BR150Lを100質量部と、カーボンブラック#45Lを12質量部とを、80℃にて、前ブレード35rpm、後ブレード35rpmで10分間混練した後、60℃まで冷却し、パークミルD−40を16質量部、添加して、60℃にて前ブレード20rpm、後ブレード20rpmで更に10分間混練し、レリーフ層の第四層となる樹脂組成物Iを調製した。
実施例1と同様のカレンダーロールを用いて未硬化層Iを作製し、未硬化層A、B、C、Iを円筒状支持体上に、円筒状支持体側から未硬化層I、C、B、Aの順となるように載置して未硬化レリーフ形成層を形成した。
その後、実施例1と同様に未硬化レリーフ形成層を硬化してレリーフ層を形成し円筒状印刷版原版を作製した。
さらに、実施例1と同様にレリーフ形成層にレーザー彫刻を行い、円筒状印刷版を作製した。
[実施例8]
レリーフ層の第1硬質層となる樹脂組成物の調製におけるポリマーをBR150L、添加量100質量部、パークミルD−40添加量を20質量部に変更し、樹脂組成物Jとした以外は、実施例1と同様な方法にて円筒状印刷版を作製し、第1硬質層が結晶性ポリマーでない円筒状印刷版を得た。
[実施例9]
レリーフ層の第1硬質層となる樹脂組成物の調製におけるパークミルD−40添加量を1.2質量部に変更し、樹脂組成物Kとし、レリーフ層の軟質層となる樹脂組成物の調製におけるパークミルD−40添加量を6質量部に変更し、樹脂組成物Lとした以外は、実施例1と同様な方法にて円筒状印刷版を作製し、硬度比(K1/K2)が2.75である円筒状印刷版を得た。
[実施例10]
レリーフ層の軟質層となる樹脂組成物の調製におけるパークミルD−40添加量を6質量部に変更し、樹脂組成物Lとし、レリーフ層の第2硬質層となる樹脂組成物の調製におけるパークミルD−40添加量を10質量部に変更し、樹脂組成物Mとした以外は、実施例1と同様な方法にて円筒状印刷版を作製し、硬度比(K3/K2)が1.25である円筒状印刷版を得た。
[実施例11〜15]
レリーフ層の各層の厚みを、カレンダーロールの第1から第4ロールの各ロール間隔を調整することによって変更する以外は、実施例1と同様な方法にて円筒状印刷版を作製した。
[比較例1]
レリーフ層の第1硬質層の厚みをカレンダーロールの第1から第4ロールの各ロール間隔を調整することによって変更し、円筒状支持体上に第1硬質層のみからなるレリーフ層を以外は、実施例1と同様な方法にて円筒状印刷版を作製し、レリーフ層が一層からなる円筒状印刷版を得た。
[比較例2]
樹脂シートA、Bを、円筒状支持体上に、円筒状支持体側から樹脂シートB、Aの順となるように載置し、硬化する以外は、実施例1と同様な方法にて円筒状印刷版を作製し、レリーフ層が二層からなる円筒状印刷版を得た。
[比較例3]
樹脂シートB、Cを、円筒状支持体上に、円筒状支持体側から樹脂シートC、Bの順となるように載置し、硬化する以外は、実施例1と同様な方法にて円筒状印刷版を作製し、レリーフ層が二層からなる円筒状印刷版を得た。
[比較例4]
レリーフ層の第1硬質層となる樹脂組成物の調製におけるパークミルD−40添加量を2.0質量部に変更し、樹脂組成物Nとした以外は、実施例1と同様な方法にて円筒状印刷版を作製し、第1硬質層の硬度K1が20MPaである円筒状印刷版を得た。
[比較例5]
レリーフ層の第1硬質層となる樹脂組成物の調製におけるパークミルD−40添加量を0.8質量部に変更し、樹脂組成物Oとした以外は、実施例1と同様な方法にて円筒状印刷版を作製し、第1硬質層の硬度K1が9MPaである円筒状印刷版を得た。
[比較例6]
レリーフ層の第1硬質層となる樹脂組成物の調製におけるパークミルD−40添加量を1.0質量部に変更し、樹脂組成物Eとし、レリーフ層の軟質層となる樹脂組成物の調製におけるパークミルD−40添加量を8質量部に変更し、樹脂組成物Pとした以外は、実施例1と同様な方法にて円筒状印刷版を作製し、軟質層の硬度K2が5MPaである円筒状印刷版を得た。
[比較例7]
レリーフ層の第1硬質層となる樹脂組成物の調製におけるパークミルD−40添加量を1.0質量部に変更し、樹脂組成物Eとし、レリーフ層の軟質層となる樹脂組成物の調製におけるパークミルD−40添加量を6質量部に変更し、樹脂組成物Fとし、レリーフ層の第2硬質層となる樹脂組成物の調製におけるパークミルD−40添加量を17質量部に変更し、樹脂組成物Qとした以外は、実施例1と同様な方法にて円筒状印刷版を作製し、第2硬質層の硬度K3が11MPaである円筒状印刷版を得た。
[比較例8]
レリーフ層の軟質層となる樹脂組成物の調製におけるパークミルD−40添加量を6質量部に変更し、樹脂組成物Lとし、レリーフ層の第2硬質層となる樹脂組成物の調製におけるパークミルD−40添加量を8質量部に変更し、樹脂組成物Rとした以外は、実施例1と同様な方法にて円筒状印刷版を作製し、第2硬質層の硬度K3が4MPaである円筒状印刷版を得た。
[比較例9〜12]
レリーフ層の各層の厚みを、カレンダーロールの第1から第4ロールの各ロール間隔を調整することによって変更する以外は、実施例1と同様な方法にて円筒状印刷版を作製した。各層の厚みは表1に記載する。
実施例1〜15、比較例1〜12について、レリーフ層の各層の硬度及び厚みを表1に示す。
〔評価〕
得られた円筒状印刷版を用いて印刷を行い、ベタ濃度評価、網点品質評価として2%網点濃度評価、印刷媒体追従性評価としてベタ画像部のカスレ評価、耐刷性評価として2%網点の連続印刷評価、および、膜厚精度評価として表面粗さ評価を実施した。
(印刷工程)
得られた円筒状印刷版を、CIドラム型フレキソ印刷機(MRAFLEX AM&C、ウインドミュラー&ヘルシャー社製)にセットした。印刷インキとしては、水性インキ(ハイドリックFCG、739藍、(大日精化工業株式会社製))を用いた。被印刷体の紙として、オーロラコート(日本製紙株式会社製、厚み100μm、Rz:2.7〜3.0μm)を用いた。キスタッチ(画像全面が着肉し始める印圧)を0(基準印圧)とし、そこから、40μm押し込んだ条件で、印刷速度150m/minで印刷を行った。
<ベタ濃度と網点品質の評価>
印刷して得られた印刷物のベタ画像部、2%網点部の反射濃度(シアン)を反射濃度計(グレタグマクベス社製、RD−19I)にて測定した。
ベタ濃度は反射濃度の値が大きいほど品質が良い。表2中の評価結果「3点」は反射濃度が1.60以上であって、評価結果「2点」は1.50以上1.60未満であることを示し、許容される範囲である。また、表2中の評価結果「1点」は、反射濃度が1.50未満であることを示し、許容されない。
2%濃度は反射濃度0.025からの濃度差が小さいほど品質が良い。表2中の評価結果「3点」は濃度差が0.005未満であって、評価結果「2点」は0.005以上0.010未満であることを示し、許容される範囲である。また、表2中の評価結果「1点」は、濃度差が0.010以上であることを示し、許容されない。
<印刷媒体追従性評価>
印刷媒体追従性評価として、印刷して得られた印刷物のベタ画像部のカスレ具合を目視評価により3段階評価した。評価結果「3点」はカスレがほとんど発生していないものであり、評価結果「2点」は発生しているが許容されるものであり、評価結果「1点」は許容されない。
<耐刷性評価>
印刷時の押し込み量を160μmに変更し、連続印刷し2%網点を印刷物にて確認した。印刷されない網点が生じたところを刷了とし、刷了までに印刷した紙の長さ(メートル)を耐刷性の指標とした。印刷した紙の長さが長いほど耐刷性に優れる。表2中の評価結果「3点」は印刷した紙の長さが3000m以上であり、評価結果「2点」は2000m以上であり、許容される範囲である。また、表2中の評価結果「1点」は印刷した紙の長さが2000m未満であり、許容されない。
<膜厚精度の評価>
円筒状印刷版の膜厚精度の評価として、円筒状印刷版原版の面内二十箇所で膜厚を測定し、平均粗さRzを求めた。平均粗さRzが小さい程、膜厚精度に優れる。
表2中の評価結果「3点」はRzが20μm未満であって、評価結果「2点」は20μ以上30μm未満であることを示しており、許容される範囲である。
実施例1〜15、比較例1〜12の評価結果を表2に示す。
表2に示す結果から、本発明の実施例1〜15は、比較例1〜12に対して、網点品質(2%濃度差)、ベタ濃度、印刷媒体追従性(カスレ)、及び、耐刷性が良好であることがわかる。
また、実施例8と実施例8以外の実施例との対比から、第1硬質層の樹脂組成物が結晶性ポリマーであるRB820を含有するほうが、膜厚精度が優れることがわかる。
また、実施例1と実施例2、及び、実施例3との対比から、第1硬質層の硬度(K1)が13MPa以上18MPa以下であるほうが、耐刷性、網点品質が優れることがわかる。
また、実施例1と実施例4との対比から、軟質層の硬度(K2)は3MPa以下であるほうが、印刷媒体追従性が優れることがわかる。
また、実施例1と実施例5、及び、実施例6との対比から、第2硬質層の硬度(K3)は6MPa以上8MPa以下であるほうが、ベタ濃度、印刷媒体追従性が優れることがわかる。
また、実施例1と実施例11、及び、実施例12との対比から、第1硬質層の厚みは0.1mm以上0.15mm以下であるほうが、印刷媒体追従性、網点品質が優れることがわかる。
また、実施例1と実施例13、及び、実施例14との対比から、軟質層の厚みは1.0mm以上1.5mm以下であるほうが、ベタ濃度、印刷媒体追従性が優れることがわかる。
また、実施例1と実施例15との対比から、第2硬質層の厚みは3.0mm以上であるほうが、ベタ濃度が優れることがわかる。
以上の結果から本発明の効果は明らかである。
01:円筒状印刷版原版
02:レリーフ形成層
03:第1硬質層
04:軟質層
05:第2硬質層
07:円筒状支持体
08:円筒状印刷版
09:画像部
10:非画像部
11:レリーフ層
12:ベタ画像部
13:網点部
14:カレンダーロール
15a:第1ロール
15b:第2ロール
15c:第3ロール
15d:第4ロール
16:混練物
17:未硬化層
18:フレキソ印刷装置
19:回転軸
20:搬送ローラ
21:アニロックスローラ
22:ドクターチャンバ
23:循環タンク
24:被印刷体
25:スライドガラス
26:接着剤
27:測定検出器

Claims (14)

  1. 印刷面側から第1硬質層、軟質層および第2硬質層をこの順で有するレリーフ層を有し、
    前記第1硬質層の硬度K1が10MPa以上20MPa未満であり、
    前記軟質層の硬度K2に対する前記第1硬質層の硬度K1の比K1/K2が2.7以上であり、
    前記軟質層の硬度K2に対する前記第2硬質層の硬度K3の比K3/K2が1.2以上であり、
    前記第1硬質層の厚みが0.05mm以上0.3mm以下であり、
    前記軟質層の厚みが0.3mm以上2.0mm以下である円筒状印刷版。
  2. 前記軟質層の硬度K2が5MPa未満である、請求項1に記載の円筒状印刷版。
  3. 前記第2硬質層の硬度K3が5MPa以上10MPa未満である、請求項1又は2に記載の円筒状印刷版。
  4. 前記第2硬質層の厚みが2.0mm以上である、請求項1から3のいずれか1項に記載の円筒状印刷版。
  5. 前記第1硬質層が、結晶性ポリマーを含有する請求項1から4のいずれか1項に記載の円筒状印刷版。
  6. 前記結晶性ポリマーが、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、及び、ポリオレフィレン系熱可塑性エラストマーから選択される少なくとも1種である請求項5に記載の円筒状印刷版。
  7. 印刷面側から第1硬質層、軟質層および第2硬質層をこの順で有するレリーフ形成層を有し、
    前記第1硬質層の硬度K1が10MPa以上20MPa未満であり、
    前記軟質層の硬度K2に対する前記第1硬質層の硬度K1の比K1/K2が2.7以上であり、
    前記軟質層の硬度K2に対する前記第2硬質層の硬度K3の比K3/K2が1.2以上であり、
    前記第1硬質層の厚みが0.05mm以上0.3mm以下であり、
    前記軟質層の厚みが0.3mm以上2.0mm以下である円筒状印刷版原版。
  8. 前記軟質層の硬度K2が5MPa未満である、請求項7に記載の円筒状印刷版原版。
  9. 前記第2硬質層の硬度K3が5MPa以上10MPa未満である、請求項7又は8に記載の円筒状印刷版原版。
  10. 前記第2硬質層の厚みが2.0mm以上である、請求項7から9のいずれか1項に記載の円筒状印刷版原版。
  11. 前記第1硬質層が、結晶性ポリマーを含有する請求項7から10のいずれか1項に記載の円筒状印刷版原版。
  12. 前記結晶性ポリマーが、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、及び、ポリオレフィレン系熱可塑性エラストマーから選択される少なくとも1種である請求項11に記載の円筒状印刷版原版。
  13. 円筒状支持体の周面に、前記円筒状支持体側から第2硬質層となる第3未硬化層、軟質層となる第2未硬化層、および、第1硬質層となる第1未硬化層の順に有する未硬化レリーフ形成層を形成する未硬化層形成工程と、
    形成した前記第1未硬化層、前記第2未硬化層および前記第3未硬化層を硬化させて第1硬質層、軟質層および第2硬質層を有するレリーフ形成層を形成する硬化工程とを有し、
    硬化後の前記第1硬質層の硬度K1が10MPa以上20MPa未満であり、
    硬化後の前記軟質層の硬度K2に対する前記第1硬質層の硬度K1の比K1/K2が2.7以上であり、
    硬化後の前記軟質層の硬度K2に対する前記第2硬質層の硬度K3の比K3/K2が1.2以上であり、
    硬化後の前記第1硬質層の厚みが0.05mm以上0.3mm以下であり、
    硬化後の前記軟質層の厚みが0.3mm以上2.0mm以下である、円筒状印刷版原版の製造方法。
  14. 請求項13に記載の円筒状印刷版原版の製造方法で製造された円筒状印刷版原版のレリーフ形成層に対してレーザー彫刻を施し、レリーフ層を形成する彫刻工程を有する、円筒状印刷版の製造方法。
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