JP2016221921A - フレキソ印刷版、フレキソ印刷版原版、および、これらの製造方法 - Google Patents

フレキソ印刷版、フレキソ印刷版原版、および、これらの製造方法 Download PDF

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征人 白川
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Abstract

【課題】ベタ部におけるインキの転写性が高く、インキ濃度が高くかつ均一性の高い印刷が可能なフレキソ印刷版、フレキソ印刷版原版、フレキソ印刷版の製造方法、および、フレキソ印刷版原版の製造方法を提供する。【解決手段】画像部は、表面に形成された複数のピラーを有し、ピラーの形状が、円柱形状、円錐台形状、楕円柱形状または楕円錐台形状のいずれかであり、ピラーの先端側の底面の最大幅Dの平均値Daが、1μm以上50μm以下であり、ピラーの高さHの平均値Haが1μm以上20μm以下であり、隣接するピラー間の間隔Xの平均値Xaが1μm以上100μm以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、フレキソ印刷版、フレキソ印刷版原版、フレキソ印刷版の製造方法、および、フレキソ印刷版原版の製造方法に関する。
樹脂製やゴム製の柔軟なレリーフ形成層を有するフレキソ印刷版は、印刷用の凸部(画像部)が比較的柔らかく、種々の形状に追従可能なことから、様々な材質の被印刷体や厚みのある被印刷体等への印刷に利用されている。
フレキソ印刷版の画像部は、インキを全面的に転写することで、塗りつぶすように印刷するベタ部、および/または、多数の凸状の小点からなり、小点の大きさや密度を変化させることで、被印刷体上に印刷される画像の濃淡(グラデーション)を表現する網点部を有して構成されており、フレキソ印刷版を円筒状のドラムの周面に載置してローラを回転させつつ、被印刷体に接触させることによって、印刷版の凸部(画像部)の表面から、被印刷体に直接、インキを転写して被印刷体上に画像を形成する。
このようなフレキソ印刷版において、印圧等の印刷条件によっては、ベタ部で十分な量のインキを被印刷体に転写することができず、印刷ムラが生じるという問題があった。そのため、印刷版の表面粗さを粗くして、印刷版上に保持されるインキ量を増加させて、ベタ部でのインキ転写性を向上することが考えられている(特許文献1)。
さらに、インキ転写性を向上するために、特許文献2では、直径30μm以上の広さの中間調部、および、ベタ部に、格子状のマスクを用いて、碁盤目状に溝を規則的に形成して、複数の凸部を有する構成とすることが記載されている。
特開2003−043672号公報 特表2012−511175号公報
しかしながら、本発明者らの検討によれば、格子状のマスクを用いて、碁盤目状に溝を形成し、複数の凸部を有する構成としても、ベタ部におけるインキの転写性を十分に向上できず、インキ濃度が低くなることがわかった。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、ベタ部におけるインキの転写性が高く、インキ濃度が高くかつ均一性の高い印刷が可能なフレキソ印刷版、フレキソ印刷版原版、フレキソ印刷版の製造方法、および、フレキソ印刷版原版の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意研究した結果、画像部は、その表面に形成された凸状のピラーを複数有し、ピラーの形状が、円柱形状、円錐台形状、楕円柱形状または楕円錐台形状のいずれかであり、ピラーの先端面の最大幅Dの平均値Daが、1μm以上50μm以下であり、ピラーの高さHの平均値Haが1μm以上20μm以下であり、隣接するピラー間の間隔Xの平均値Xaが1μm以上100μm以下であることによって、ベタ部におけるインキの転写性が高く、インキ濃度が高くかつ均一性の高い印刷が可能となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の構成のフレキソ印刷版、フレキソ印刷版原版、フレキソ印刷版の製造方法、および、フレキソ印刷版原版の製造方法を提供する。
(1) 画像部と、非画像部とを備えるレリーフ層を有するフレキソ印刷版であって、
画像部は、凸状のピラーを複数有し、
ピラーの形状が、円柱形状、円錐台形状、楕円柱形状および楕円錐台形状からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
ピラーの先端面の最大幅Dの平均値Daが、1μm以上50μm以下であり、
ピラーの高さHの平均値Haが1μm以上20μm以下であり、
隣接するピラー間の間隔Xの平均値Xaが1μm以上100μm以下であるフレキソ印刷版。
(2) 隣接するピラー間の間隔Xの標準偏差σxが、間隔Xの平均値Xaの1/3以下である(1)に記載のフレキソ印刷版。
(3) ピラーの高さHの標準偏差σhが、高さHの平均値Haよりも小さい(1)または(2)に記載のフレキソ印刷版。
(4) レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版であって、
レリーフ形成層は、凸状のピラーを複数有し、
ピラーの形状が、円柱形状、円錐台形状、楕円柱形状または楕円錐台形状のいずれかであり、
ピラーの先端面の最大幅Dの平均値Daが、1μm以上50μm以下であり、
ピラーの高さHの平均値Haが1μm以上20μm以下であり、
隣接するピラー間の間隔Xの平均値Xaが1μm以上100μm以下であるフレキソ印刷版原版。
(5) 隣接するピラー間の間隔Xの標準偏差σxが、間隔Xの平均値Xaの1/3以下である(4)に記載のフレキソ印刷版原版。
(6) ピラーの高さHの標準偏差σhが、高さHの平均値Haよりも小さい(4)または(5)に記載のフレキソ印刷版原版。
(7) 表面に凸状のピラーを複数形成されてなるレリーフ形成層を有する、(4)〜(6)のいずれかに記載のフレキソ印刷版原版を製造する、フレキソ印刷版原版の製造方法であって、
レリーフ形成層となる樹脂組成物からなる硬化前の未硬化層を形成する未硬化層形成工程と、
複数の凹部を形成されてなるピラー転写用型材を、未硬化層の一方の面に押圧して、ピラーとなる部位を成型する成型工程と、
成型工程の後に、未硬化層を、光または熱により硬化させることにより、表面にピラーを有するレリーフ形成層を形成する硬化工程と、を有するフレキソ印刷版原版の製造方法。
(8) 硬化工程は、ピラー転写用型材を未硬化層に押圧した状態で、光または熱により未硬化層を硬化させる(7)に記載のフレキソ印刷版原版の製造方法。
(9) 樹脂組成物が、エチレン性不飽和結合を有するポリマーと、光熱変換剤と、架橋剤とを含有する(7)または(8)に記載のフレキソ印刷版原版の製造方法。
(10) 画像部の表面に凸状のピラーを複数形成されてなるレリーフ層を有する、(1)〜(3)のいずれかに記載のフレキソ印刷版を製造する、フレキソ印刷版の製造方法であって、
(7)〜(9)のいずれかに記載のフレキソ印刷版原版の製造方法により作製したフレキソ印刷版原版のレリーフ形成層に、レーザー光を照射して、レリーフ形成層を彫刻してレリーフ層を形成するフレキソ印刷版の製造方法。
(11) 画像部の表面に凸状のピラーを複数形成されてなるレリーフ層を有する、(1)〜(3)のいずれかに記載のフレキソ印刷版を製造する、フレキソ印刷版の製造方法であって、
レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を準備する原版準備工程と、
レリーフ形成層にレーザー光を照射して、レリーフ形成層を彫刻して画像部および非画像部を形成する彫刻工程と、を有し、
彫刻工程において、画像部の表面にレーザー彫刻によって複数のピラーを形成するフレキソ印刷版の製造方法。
本発明によれば、ベタ部におけるインキの転写性が高く、インキ濃度が高くかつ均一性の高い印刷が可能なフレキソ印刷版、フレキソ印刷版原版、フレキソ印刷版の製造方法、および、フレキソ印刷版原版の製造方法を提供することができる。
本発明に係るフレキソ印刷版の一例を示す概略上面図である。 図2(A)は、図1に示すフレキソ印刷版の画像部の一部を拡大して示す概略斜視図であり、図2(B)は、図2(A)の概略上面図であり、図2(C)は、図2(B)の1つのピラーのC−C線断面図である。 ピラーの形状の他の一例を示す概略断面図である。 本発明におけるピラーの高さの定義を説明するための概略上面図である。 ピラーの配列の他の一例を示す概略上面図である。 フレキソ印刷版原版を作製するためのカレンダーロールを概念的に示す図である。 成型工程を説明するための概略斜視図である。 本発明に係るフレキソ印刷版を用いるフレキソ印刷装置の要部を概念的に示す図である。 図9(A)は、実施例1のフレキソ印刷版を用いて印刷した被印刷体の表面拡大写真であり、図9(B)は、比較例1のフレキソ印刷版を用いて印刷した被印刷体の表面拡大写真である。
以下、本発明のフレキソ印刷版、フレキソ印刷版原版、フレキソ印刷版の製造方法、および、フレキソ印刷版原版の製造方法について、添付の図面に示される好適実施態様を基に、詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[フレキソ印刷版]
本発明に係るフレキソ印刷版(以下、単に、『印刷版』ともいう)は、画像部と、非画像部とを備えるレリーフ層を有するフレキソ印刷版であって、画像部は、凸状のピラーを複数有し、ピラーの形状が、円柱形状、円錐台形状、楕円柱形状または楕円錐台形状のいずれかであり、ピラーの先端面の最大幅Dの平均値Daが、1μm以上50μm以下であり、ピラーの高さHの平均値Haが1μm以上20μm以下であり、隣接するピラー間の間隔Xの平均値Xaが1μm以上100μm以下であるフレキソ印刷版である。
以下に、本発明に係るフレキソ印刷版の構成を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係るフレキソ印刷版の一例を模式的に示す上面図であり、図2(A)は、図1に示すフレキソ印刷版の画像部の一部を拡大して示す概略斜視図であり、図2(B)は、図2(A)の概略上面図であり、図2(C)は、図2(B)の1つのピラーのC−C線断面図である。
図1に示すように、本発明に係るフレキソ印刷版の一例である印刷版1は、画像部3と、非画像部4とが形成されたレリーフ層2を有する。
画像部3は、印刷時にインキを着けてこのインキを被印刷物に転写する、すなわち、印刷時に画像を形成する領域である。また、非画像部4は、印刷時にインキを着けない、すなわち、画像を形成しない領域である。
また、画像部3は、インキを全面的に転写することで、塗りつぶすように印刷するベタ部、および/または、多数の凸状の小点からなり、小点の大きさや密度を変化させることで、被印刷体上に印刷される画像の濃淡(グラデーション)を表現する網点部からなる。
網点部を構成する小点は、通常、所定のスクリーン線数(精細度)、例えば、100〜175lpi(line per inch)程度のスクリーン線数で形成される。
なお、本発明において「レリーフ層」とは、レーザーにより彫刻された層をいい、レーザー彫刻する前の層を「レリーフ形成層」という。すなわち、後述するフレキソ印刷版原版の「レリーフ形成層」をレーザー彫刻した後の層が「レリーフ層」である。
レリーフ層(レリーフ形成層)の形成材料については後に詳述する。
ここで、図2(A)に示すように、画像部3の表面には、微小な凸状のピラー5が多数、形成されている。
図2(A)〜図2(C)に示す例では、ピラー5の形状は円柱形状であるが、これに限定はされず、図3に示すように、円錐台形状であってもよく、あるいは、楕円柱形状や楕円錐台形状であってもよい。
ピラー5の形状は、ハイブリッドレーザーマイクロスコープOPTELICS(登録商標) HYBRID(レーザーテック株式会社製)等の3次元形状の測定装置を用いて3次元データを測定することで確認することができる。
この複数のピラー5の先端側の底面(以下、「先端面」という)の最大幅Dの平均値Daは、1μm以上50μm以下であり、1μm以上30μm以下が好ましく、3μm以上10μm以下がより好ましい。
ここで、ピラー5の形状が円柱形状あるいは円錐台形状の場合には、先端面の円形状の直径が最大幅Dであり、ピラー5の形状が楕円柱形状あるいは楕円錐台形状の場合には、先端面の楕円形状の長径が最大幅Dである。
また、ピラー5の最大幅Dの平均値Daは、上述のハイブリッドレーザーマイクロスコープOPTELICS(登録商標) HYBRID(レーザーテック株式会社製)等の3次元形状の測定装置を用いて測定した3次元データから、任意のピラー5を10個選択し、各ピラー5の先端面の最大幅Dを計測して、その平均値を算出することで求めることができる。
また、複数のピラー5の高さHの平均値Haは、1μm以上20μm以下であり、3μm以上15μm以下が好ましく、5μm以上12μm以下がより好ましい。
ここで、本発明において、ピラーの高さHは、図4に示すように、任意のピラー5aから、このピラー5aに最も近接するピラー5bまでの距離を半径とする領域(図4中破線で示す)内の最大高度差とした。すなわち、破線で示す領域の底部6の最も低い位置からピラー5の先端面までの高さをピラーの高さHとした。
また、ピラー5の高さHの平均値Haは、上述のハイブリッドレーザーマイクロスコープOPTELICS(登録商標) HYBRID(レーザーテック株式会社製)等の3次元形状の測定装置を用いて測定した3次元データから、任意のピラー5を10個選択し、各ピラー5の高さHを計測して、その平均値を算出することで求めることができる。
また、隣接するピラー5間の間隔Xの平均値Xaは、1μm以上100μm以下であり、3μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上15μm以下がより好ましい。
ここで、本発明において、隣接するピラー間の間隔Xは、各ピラーの先端面の円または楕円の重心間の距離とした。
また、隣接するピラー5間の間隔Xの平均値Xaは、上述のハイブリッドレーザーマイクロスコープOPTELICS(登録商標) HYBRID(レーザーテック株式会社製)等の3次元形状の測定装置を用いて測定した3次元データから、任意の10組の隣接するピラー5を選択し、各組のピラー間の間隔Xを計測して、その平均値を算出することで求めることができる。
ここで、本発明において、隣接するピラーとは、得られたデータを、画像解析ソフト等で、先端面と底部6とで2値化した後、Voronoi処理を施して、ピラー間に境界線を引いて、隣接する領域に対応するピラー同士を隣接するピラーとする。
ここで、Voronoi処理とは、平面上にいくつかの点が配置されている場合に、その平面内を、どの点に最も近いかによって複数の領域に分割するものであり、領域を分割する線が境界線となる。すなわち、この境界線は、2つの最も近い点から等距離の点の集合からなる線である。また、領域は、各点に対応して形成される。
なお、本発明においては、2つのピラーの重心の最も近い位置同士から等距離の線を、境界線とする。
前述のとおり、従来のフレキソ印刷版において、ベタ部でのインキ転写性を向上するために、格子状のマスクを用いて、碁盤目状に溝を形成し、複数の凸部を有する構成とすることが考えられている。
しかしながら、格子状のマスクを用いて溝を形成し、複数の凸部を形成する場合には、凸部の先端面の形状が矩形になってしまう。本発明者らの検討によれば、凸部の先端面の形状が矩形の場合、すなわち、凸部が角柱の場合には、印刷の際に、凸部周辺でのインキの流れが乱されてしまうため、転写されたベタ部でのインキの濃度が不均一になってしまうという問題があることがわかった。
また、マスクを用いて光硬化により凹凸形状を付与する方式では、光照射の際に、底部に向かって光が拡がるため、これにより形成される凸部の形状は、高さ方向に平行な断面形状で見た際に、側面が緩やかに傾斜した台形状となり、隣接する凸部同士が底部側で連結される。そのため、印刷版上に保持されるインキ量が少なくなり、印刷の際に、被印刷体に転写可能なインキの量を増加させることができないため、ベタ部でのインキ転写性の向上が十分ではなかった。
また、マスクを用いて光硬化により凹凸形状を付与する方式では、凸部の高さを制御することができず、ベタ部でのインキ転写性向上のための適切な設計を行うことができなかった。
これに対して、本発明においては、画像部の表面にピラーを複数有し、このピラーの形状が、円柱形状、円錐台形状、楕円柱形状または楕円錐台形状のいずれかであり、ピラーの先端面の最大幅Dの平均値Daが、1μm以上50μm以下であり、ピラーの高さHの平均値Haが1μm以上20μm以下であり、隣接するピラー間の間隔Xの平均値Xaが1μm以上100μm以下である。
このような形状のピラーを複数有することで、印刷の際に、ピラー周辺でのインキの流れが乱されず、転写されたベタ部でのインキの濃度を均一にすることができる。
また、ピラーの先端面の最大幅D、高さH、および、間隔Xを上記範囲とすることで、隣接するピラー同士が連結されず、互いに独立したピラー形状が得られる。そのため、印刷版上に保持できるインキ量が多くなり、印刷の際に、被印刷体に転写可能なインキの量を増加させることができ、ベタ部でのインキ転写性を向上でき、インキ濃度が高くかつ均一性の高い印刷が可能となる。
ここで、隣接するピラー間の間隔Xの標準偏差σxは、間隔Xの平均値Xaの1/3以下であるのが好ましい。すなわち、間隔Xのバラつきが小さく、複数のピラーが均一に配置されるのが好ましい。
複数のピラーが均一に配置されることで、転写されたベタ部でのインキの濃度をより均一にすることができ、また、インキ転写性をより向上できる。また、安定した印刷を行うことができ、濃度の変動を小さくすることができる。
また、ピラーの高さHの標準偏差σhが、高さHの平均値Haよりも小さいのが好ましい。すなわち、ピラーの高さHのバラつきが小さく、複数のピラーの高さが一様であるのが好ましい。
複数のピラーの高さが一様であることで、転写されたベタ部でのインキの濃度をより均一にすることができ、また、インキ転写性をより向上できる。また、安定した印刷を行うことができ、濃度の変動を小さくすることができる。
また、画像部3(レリーフ層2)の主面に垂直な方向から見た際の、画像部3の面積に対する、複数のピラー5の先端面の合計面積の比率(以下、「ピラーの面積率」という)は、10%以上50%以下が好ましく、15%以上25%以下とするのがより好ましい。
ピラーの面積率を上記範囲とすることで、印刷版上に保持できるインキ量がより多くなり、印刷の際に、被印刷体に転写可能なインキの量を増加させることができ、ベタ部でのインキ転写性をより向上できる。
また、ピラーの先端面の重心を通り、ピラーの高さ方向に平行な断面における、ピラーの先端面と側面とのなす角θ1(図3参照、以下「ショルダー角」という)は、70°以上90°以下であるのが好ましく、80°以上90°以下であるのがより好ましい。
ピラーのショルダー角を上記範囲とすることで、隣接するピラー同士が連結されず、互いに独立したピラー形状が得られる。そのため、印刷版上に保持できるインキ量が多くなり、印刷の際に、被印刷体に転写可能なインキの量を増加させることができ、ベタ部でのインキ転写性を向上できる。
また、ピラーの先端面の面積をSとすると、L=H/{2×(S/π)1/2}で表されるアスペクト比L、すなわち、先端面の円相当直径と高さHとの比が、0.07以上3.3以下であるのが好ましく、0.5以上3.3以下であるのがより好ましい。
ピラーのアスペクト比Lをこの範囲とすることで、ピラーの強度を維持しつつ、印刷版上に保持できるインキ量がより多くなり、印刷の際に、被印刷体に転写可能なインキの量を増加させることができ、ベタ部でのインキ転写性をより向上できる。
また、ピラーの形状が、楕円柱形状または楕円錐台形状の場合、すなわち、ピラーの先端面が楕円形状の場合には、楕円の長径と短径との比は、1より大きく2以下が好ましく、1より大きく1.5以下がより好ましい。
楕円の長径と短径との比をこの範囲とすることで、印刷の際に、ピラー周辺でのインキの流れが乱されず、転写されたベタ部でのインキの濃度をより均一にすることができ好ましい。
また、図2(B)に示す例では、複数のピラー5を、所定のX方向、および、このX方向に垂直なY方向それぞれで、等間隔に配列する構成としたが、これに限定はされない。
例えば、図5に示す千鳥配置のように、所定のパターンの規則的な配列としてもよく、あるいは、ランダム配置としてもよい。
[フレキソ印刷版原版]
本発明に係るフレキソ印刷版原版(以下、『印刷版原版』ともいう)は、レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版であって、レリーフ形成層は、その表面に形成された凸状のピラーを複数有し、ピラーの形状が、円柱形状、円錐台形状、楕円柱形状または楕円錐台形状のいずれかであり、ピラーの先端側の底面の最大幅Dの平均値Daが、1μm以上50μm以下であり、ピラーの高さHの平均値Haが1μm以上20μm以下であり、隣接するピラー間の間隔Xの平均値Xaが1μm以上100μm以下であるフレキソ印刷版原版である。
本発明のフレキソ印刷版原版は、レリーフ形成層の表面に複数のピラーを有する以外は、公知のフレキソ印刷版原版と同様である。また、印刷版原版は、シート状であっても円筒状であってもよい。
ここで、前述のとおり、レリーフ形成層は、レーザー彫刻する前の層であり、レリーフ形成層をレーザー彫刻して非画像部に対応する領域を除去し、画像部および非画像部を有するレリーフ層を形成するものである。そのため、本発明の印刷版原版のレリーフ形成層の表面は、レーザー彫刻後、上述のフレキソ印刷版の画像部の表面となる。
すなわち、本発明の印刷版原版のレリーフ形成層はその表面に、上述のフレキソ印刷版の画像部に形成されたピラーと同様のピラーを複数有する。したがって、本発明の印刷版原版のレリーフ形成層の表面に形成されるピラーについては説明を省略する。
なお、フレキソ印刷版原版は、レリーフ形成層の裏面側(彫刻される面とは反対側の面)に支持体を有してもよい。
[フレキソ印刷版原版の製造方法]
次に、上記フレキソ印刷版原版の製造方法について、詳細に説明する。
本発明に係るフレキソ印刷版原版の製造方法は、表面に凸状のピラーを複数形成されてなるレリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を製造する、フレキソ印刷版原版の製造方法であって、レリーフ形成層となる樹脂組成物からなる硬化前の未硬化層を形成する未硬化層形成工程と、複数の凹部を形成されてなるピラー転写用型材を、未硬化層の一方の面に押圧して、ピラーとなる部位を成型する成型工程と、成型工程の後に、未硬化層を、光または熱により硬化させることにより、表面にピラーを有するレリーフ形成層を形成する硬化工程と、を有するフレキソ印刷版原版の製造方法である。
〔未硬化層形成工程〕
未硬化層形成工程は、レリーフ形成層となる樹脂組成物からなる硬化前の未硬化層を形成する工程である。
ここで、本発明のフレキソ印刷版原版のレリーフ形成層の材料は、公知のフレキソ印刷用の樹脂版又はゴム版と同様の材料であれば特に限定はない。一般に、フレキソ印刷用の樹脂版又はゴム版は、材料となるポリマー、重合開始剤、光熱変換剤および溶剤等を調製した樹脂組成物をシート状に形成した後に、熱及び/又は光の作用により硬化させて作製される。
したがって、本発明の未硬化層形成工程は、基本的に、従来と同様の方法で、調製した樹脂組成物をシート状に形成すればよい。樹脂組成物をシート状に形成した、硬化前のものが未硬化層である。
具体的には、未硬化層の形成方法としては、樹脂組成物を調製し、必要に応じて、この樹脂組成物から溶剤を除去した後に、支持体上に溶融押し出しする方法、又は、樹脂組成物を調製し、樹脂組成物を支持体上に流延し、これをオーブンなどの中で加熱乾燥して溶剤を除去する方法、図6に示すようなカレンダーロールを用い、樹脂組成物をシート状に成型する方法が好ましく例示できる。
図6中、カレンダーロール60は第1ロール62a〜第4ロール62dを有しおり、これらのロールの間隔、ロールの温度、及び、ロールの回転速度が設定可能となっている。
このロールの間に樹脂組成物の混練物70をセットし、圧延成形することにより、シート状の未硬化層71を得ることができる。
未硬化層の形成に支持体を使用する場合、印刷シリンダー上に取り付けることができる物であれば、支持体に使用する素材は特に限定されないが、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PAN(ポリアクリロニトリル))やポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など)が挙げられる。支持体としては、PETフィルムやスチール基板が好ましく用いられる。
〔成型工程〕
成型工程は、複数の凹部を形成されてなるピラー転写用型材を、未硬化層の一方の面に押圧して、ピラーとなる部位を成型する工程である。
図7に示すように、成型工程では、上記未硬化層形成工程で作製した未硬化層20の一方の面に、複数の凹部(以下、「ホール」ともいう)24を有するピラー転写用型材22を押圧して、圧縮成型により、ホール24の形状を未硬化層20に転写して、未硬化層20にピラーとなる部位を成型する。
すなわち、ピラー転写用型材22のホール24の形状は、本発明のフレキソ印刷版原版のレリーフ形成層の表面に形成されるピラーに対応した形状を有する。
したがって、ピラー転写用型材22のホール24の形状は、円柱形状、円錐台形状、楕円柱形状または楕円錐台形状のいずれかであるのが好ましく、ホール24の底面の最大幅の平均値は1μm以上50μm以下であるのが好ましく、ホール24の深さの平均値は1μm以上20μm以下であるのが好ましく、隣接するホール24間の間隔Xの平均値Xaが1μm以上100μm以下であるのが好ましい。
また、ピラー転写用型材22のホール24は貫通していても、貫通していなくても良い。
ピラー転写用型材22の形成材料には特に限定はないが、表面の平滑性、ホールの加工のしやすさ、強度等の観点から、金属、セラミックス、シリコンウエハー、高分子フィルムおよび繊維布からなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
また、複数のホールを有するピラー転写用型材の作製方法にも特に限定はないが、例えば、フォトリソグラフィーによって作製された市販のナノインプリント用型材を用いることができる。
また、ピラー転写用型材22の未硬化層20への押圧力や温度等の圧縮成型の条件にも特に限定はなく、未硬化層20の形成材料、成型するピラー形状、求められる寸法精度等に応じて適宜設定すればよい。
〔硬化工程〕
硬化工程は、成型工程によりピラーとなる部位が成型された未硬化層を、光または熱により硬化させて、表面にピラーを有するレリーフ形成層を作製する工程である。
光または熱により未硬化層を硬化させる方法には特に限定はなく、従来のフレキソ印刷版原版の製造方法で用いられる硬化方法が適宜利用可能である。
未硬化層が光重合開始剤を含有する場合には、光を照射することにより硬化することができる。
光の照射は、未硬化層の全面に行うことが好ましい。
光としては、可視光、紫外光又は電子線が挙げられるが、紫外光が最も好ましい。未硬化層を支持体上に形成した場合には、未硬化層側(表面)から光を照射するだけでもよいが、支持体が光を透過する透明なフィルムならば、更に支持体側(裏面)からも光を照射することが好ましい。表面からの照射は、保護フィルムが存在する場合、これを設けたまま行ってもよいし、保護フィルムを剥離した後に行ってもよい。酸素の存在下において架橋反応が阻害される恐れがある場合は、未硬化層に塩化ビニルシートを被せて真空引きした上で、光の照射を行ってもよい。
未硬化層が熱重合開始剤を含有する場合には(上記の光重合開始剤が熱重合開始剤にもなり得る。)、未硬化層を加熱することにより硬化することができる(熱により架橋する工程)。熱による架橋を行うための加熱手段としては、未硬化層を熱風オーブンや遠赤外オーブン内で所定時間加熱する方法や、加熱したロールに所定時間接する方法が挙げられる。
未硬化層の硬化方法としては、未硬化層を表面から内部まで均一に硬化(架橋)可能という観点で、熱による架橋の方が好ましい。
未硬化層を架橋することにより、第1にレーザー彫刻後形成されるレリーフがシャープになり、第2にレーザー彫刻の際に発生する彫刻カスの粘着性が抑制されるという利点がある。
また、硬化工程は、成型工程の後、ピラー転写用型材を未硬化層から剥離して行ってもよいが、ピラーの寸法精度等の観点から、ピラー転写用型材を未硬化層に押圧した状態で行うのが好ましい。
[フレキソ印刷版の製造方法]
次に、本発明のフレキソ印刷版の製造方法について、詳細に説明する。
本発明のフレキソ印刷版の製造方法の第1態様は、上記フレキソ印刷版原版の製造方法により作製したフレキソ印刷版原版のレリーフ形成層を、レーザー彫刻により彫刻する第1彫刻工程を実施することで、非画像部となる部分のレリーフ形成層を除去して、凸状の画像部を形成して、画像部と非画像部とを有するレリーフ層を形成するものである。
上述のとおり、上記フレキソ印刷版原版は、レリーフ形成層の表面に、所定の形状のピラーを複数有するので、このフレキソ印刷版原版をレーザー彫刻して作製したフレキソ印刷版は、画像部の表面に上記ピラーを複数有するフレキソ印刷版とすることができる。
〔第1彫刻工程〕
このような第1彫刻工程の一例として、具体的には、まず、作製する印刷版の原画像データを取得し、この原画像データを、レーザー彫刻を行うためのデータに変換するため、RIP(Raster Image Processor)処理を行う。
さらに、RIP処理した画像データに、マスク処理等を行って、出力画像データを生成し、生成した出力画像データを用いてレーザー彫刻を行い、フレキソ印刷版を作製する。
なお、レーザー彫刻の方法については、基本的に、従来のフレキソ印刷版の製造方法で用いられるレーザー彫刻の方法と同様である。
レーザー彫刻の方法としては、例えば、円筒形を有するドラムの外周面にシート状のレーザー彫刻用印刷版原版を巻き付けてドラムを回転させて、印刷版原版に向けて露光ヘッドから、上記出力画像データに応じたレーザー光を射出し、露光ヘッドを主走査方向と直交する副走査方向に所定ピッチで走査させることで、印刷版原版の表面に2次元画像を高速で彫刻(記録)する方法、等が利用可能である。
レーザー彫刻において利用されるレーザーの種類については特に限定はないが、赤外線レーザーが好ましく用いられる。赤外線レーザーが照射されると、硬化層中の分子が分子振動し、熱が発生する。赤外線レーザーとして炭酸ガスレーザーやYAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザーのような高出力のレーザーを用いると、レーザー照射部分に大量の熱が発生し、硬化層中の分子は分子切断又はイオン化されて選択的な除去、すなわち、彫刻がなされる。レーザー彫刻の利点は、彫刻深さを任意に設定できるため、構造を3次元的に制御することができる点である。例えば、微細な網点を印刷する部分は、浅く又はショルダーをつけて彫刻することで、印圧でレリーフが転倒しないようにすることができ、細かい抜き文字を印刷する溝の部分は深く彫刻することで、溝にインキが埋まりにくくなり、抜き文字つぶれを抑制することが可能となる。
中でも、光熱変換剤の吸収波長に対応した赤外線レーザーで彫刻する場合には、より高感度で硬化層の選択的な除去が可能となり、シャープな画像を有するレリーフ層が得られる。
赤外線レーザーとしては、生産性、コスト等の面から、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)又は半導体レーザーが好ましく、ファイバー付き半導体赤外線レーザー(FC−LD)が特に好ましい。一般に、半導体レーザーは、CO2レーザーに比べレーザー発振が高効率且つ安価で小型化が可能である。また、小型であるためアレイ化が容易である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。
半導体レーザーとしては、波長が700〜1,300nmのものが好ましく、800〜1,200nmのものがより好ましく、860〜1,200nmのものが更に好ましく、900〜1,100nmのものが特に好ましい。
また、ファイバー付き半導体レーザーは、更に光ファイバーを取り付けることで効率よくレーザー光を出力できるため、レーザー彫刻には有効である。更に、ファイバーの処理によりビーム形状を制御できる。例えば、ビームプロファイルはトップハット形状とすることができ、安定に版面にエネルギーを与えることができる。半導体レーザーの詳細は、「レーザーハンドブック第2版」レーザー学会編、「実用レーザー技術」電子通信学会編著等に記載されている。
また、特開2009−172658号公報及び特開2009−214334号公報に詳細に記載されるファイバー付き半導体レーザーを備えた製版装置は、本発明のフレキソ印刷版の製造方法に好適に使用することができる。
なお、本発明において、フレキソ印刷版の製造方法は、上述のレーザー彫刻(DLE(Direct Laser Engraving)方式)に限定はされず、レーザーで印刷版原版の表面に画像を書き込み現像するLAMS(Laser Ablation Masking System)方式等の種々の公知の製造方法が利用可能である。
また、フレキソ印刷版の製造方法は、彫刻工程に次いで、更に、必要に応じて下記リンス工程、乾燥工程、及び/又は、後架橋工程を含んでもよい。
リンス工程:彫刻後のレリーフ層表面を、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスする工程。
乾燥工程:彫刻されたレリーフ層を乾燥する工程。
後架橋工程:彫刻後のレリーフ層にエネルギーを付与し、レリーフ層を更に架橋する工程。
彫刻工程を経た後、彫刻表面に彫刻カスが付着しているため、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスして、彫刻カスを洗い流すリンス工程を追加してもよい。リンスの手段として、水道水で水洗する方法、高圧水をスプレー噴射する方法、感光性樹脂凸版の現像機として公知のバッチ式又は搬送式のブラシ式洗い出し機で、彫刻表面を主に水の存在下でブラシ擦りする方法などが挙げられ、彫刻カスのヌメリがとれない場合は、石鹸や界面活性剤を添加したリンス液を用いてもよい。
彫刻表面をリンスするリンス工程を行った場合、彫刻された記録層を乾燥してリンス液を揮発させる乾燥工程を追加することが好ましい。
更に、必要に応じて彫刻された記録層を更に架橋させる後架橋工程を追加してもよい。
追加の架橋工程である後架橋工程を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
リンス工程に用いられるリンス液のpHは、9以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、11以上であることが更に好ましい。また、リンス液のpHは14以下であることが好ましく、13.5以下であることがより好ましく、13.1以下であることが更に好ましい。上記範囲であると、取り扱いが容易である。リンス液を上記のpH範囲とするために、適宜、酸及び/又は塩基を用いてpHを調整すればよく、使用する酸及び塩基は特に限定されない。
また、リンス液は、主成分として水を含有することが好ましい。また、リンス液は、水以外の溶媒として、アルコール類、アセトン、テトラヒドロフラン等などの水混和性溶媒を含有していてもよい。
リンス液は、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、彫刻カスの除去性、及び、フレキソ印刷版への影響を少なくする観点から、カルボキシベタイン化合物、スルホベタイン化合物、ホスホベタイン化合物、アミンオキシド化合物、又は、ホスフィンオキシド化合物等のベタイン化合物(両性界面活性剤)が好ましく挙げられる。なお、本発明において、アミンオキシド化合物のN=O、及び、ホスフィンオキシド化合物のP=Oの構造はそれぞれ、N+−O-、P+−O-と見なすものとする。
また、界面活性剤としては、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等も挙げられる。更に、フッ素系、シリコーン系のノニオン界面活性剤も同様に使用することができる。
界面活性剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の使用量は特に限定する必要はないが、リンス液の全質量に対し、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜10質量%であることがより好ましい。
作製したフレキソ印刷版が有するレリーフ層(硬化層)の厚さは、耐磨耗性やインキ転移性のような種々の印刷適性を満たす観点からは、0.05mm以上10mm以下が好ましく、0.05mm以上7mm以下がより好ましく、0.05mm以上3mm以下が特に好ましい。
また、作製したフレキソ印刷版が有するレリーフ層のショアA硬度は、50以上90以下であることが好ましい。レリーフ層のショアA硬度が50以上であると、彫刻により形成された微細な網点が凸版印刷機の強い印圧を受けても倒れてつぶれることがなく、正常な印刷ができる。また、レリーフ層のショアA硬度が90以下であると、印圧がキスタッチのフレキソ印刷でもベタ部での印刷かすれを防止することができる。
なお、本明細書におけるショアA硬度は、測定対象の表面に圧子(押針又はインデンタと呼ばれる)を押し込み変形させ、その変形量(押込み深さ)を測定して、数値化するデュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)により測定した値である。
ここで、第1態様のフレキソ印刷版の製造方法では、表面に複数のピラーを有するフレキソ印刷版原版にレーザー彫刻を行うことで、画像部の表面にピラーを複数形成されてなるレリーフ層を有するフレキソ印刷版を作製したが、本発明はこれに限定はされない。
次に、本発明のフレキソ印刷版の他の製造方法について、詳細に説明する。
本発明のフレキソ印刷版の製造方法の第2態様は、画像部の表面に凸状のピラーを複数形成されてなるレリーフ層を有するフレキソ印刷版を製造する、フレキソ印刷版の製造方法であって、レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を準備する原版準備工程と、レリーフ形成層にレーザー光を照射して、レリーフ形成層を彫刻して画像部および非画像部を形成する第2彫刻工程と、を有し、第2彫刻工程において、画像部の表面にレーザー彫刻によって複数のピラーを形成するフレキソ印刷版の製造方法である。
〔原版準備工程〕
原版準備工程は、レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を準備する工程である。
第2態様で用いられるフレキソ印刷版原版は、従来公知のフレキソ印刷版原版と同様のものであればよい。
このようなフレキソ印刷版原版は、例えば、上述の未硬化層形成工程の後に、成型工程を行わずに、硬化工程を行うことで、平坦な表面を有するレリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を得ることができる。
〔第2彫刻工程〕
第2彫刻工程は、レリーフ形成層にレーザー光を照射して、レリーフ形成層を彫刻して画像部および非画像部を形成すると共に、画像部の表面にレーザー彫刻によって複数のピラーを形成する工程である。
このような第2彫刻工程の一例として、具体的には、まず、作製する印刷版の原画像データを取得し、この原画像データを、レーザー彫刻を行うためのデータに変換するため、RIP(Raster Image Processor)処理を行う。
一方で、原画像データから、各画像部を抽出する。
抽出した各画像部に、それぞれ所定の形状のピラーが所定のパターンで配列されたテンプレートを重ねてマスクを生成する。
さらに、RIP処理した画像データに、生成したマスクを掛け合せて、出力画像データを生成する。
このようにして、原画像データの画像部のうち、画像部に複数のピラーを配列するパターンを付加した出力画像データを生成して、この出力画像データを用いてレーザー彫刻を行い、フレキソ印刷版を作製する。
なお、第2彫刻工程におけるレーザー彫刻の方法や利用されるレーザーの種類等については、上述の第1彫刻工程の場合と同様である。
また、上述の第1彫刻工程の場合と同様に、第2彫刻工程の後に、必要に応じてリンス工程、乾燥工程、及び/又は、後架橋工程を行ってもよい。
次に、本発明のフレキソ印刷版原版のレリーフ形成層の形成材料(レリーフ層の形成材料)、および、レリーフ形成層となる樹脂組成物の形成材料について説明する。
フレキソ印刷版原版は、レリーフ形成層(硬化層)として、以下の樹脂シートを有するのが好ましい。
<樹脂シート>
樹脂シートとしては、ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有するポリマーを少なくとも含有する樹脂組成物(以下、「樹脂シート形成用樹脂組成物」ともいう。)をシート状にした後に、熱及び/又は光の作用により硬化させたシートであることが好ましく、後述する樹脂シート形成用樹脂組成物により形成されることがより好ましい。
また、上記樹脂シートは、レーザー彫刻可能であることが好ましい。
本発明に用いられる樹脂シート形成用樹脂組成物は、例えば、ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有するポリマー、重合性化合物、香料、可塑剤等を適当な溶剤に溶解又は分散させ、次いで、架橋剤、重合開始剤、架橋促進剤などを溶解させることによって製造できる。樹脂シートの形成の容易さ、得られる印刷版原版の厚み精度、及び、樹脂シートの取扱いの観点から、溶剤成分の少なくとも一部は、好ましくは、ほとんど全部を、印刷版原版を製造する段階で除去する必要があるので、溶剤としては、適度の揮発性を有する有機溶剤が好ましい。
次に、樹脂シート、及び、樹脂シート形成用樹脂組成物が含む成分について説明する。
(ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有するポリマー)
本発明に用いられる樹脂シートは、ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有するポリマー(以下、「特定ポリマー」ともいう。)を必須成分として含有するのが好ましい。
特定ポリマーの重量平均分子量は、0.5万〜160万が好ましく、1万〜100万であることがより好ましく、1.5万〜60万であることが更に好ましい。重量平均分子量が0.5万以上であると、単体樹脂としての形態保持性に優れ、160万以下であると、溶媒に溶解しやすく樹脂組成物を調製するのに好都合である。
本発明において、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ法(GPC)法にて測定され、標準ポリスチレンで換算して求められる。具体的には、例えば、GPCは、HLC−8220GPC(東ソー株式会社製)を用い、カラムとして、TSKgeL SuperHZM−H、TSKgeL SuperHZ4000、TSKgeL SuperHZ2000(東ソー株式会社製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。また、条件としては、試料濃度を0.35質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μL、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて行う。また、検量線は、東ソー株式会社製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
特定ポリマーは、非共役ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有する特定ポリマーであってもよいが、共役ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有する特定ポリマーであることが好ましい。
(共役ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有する特定ポリマー)
共役ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有する特定ポリマー特定ポリマーとしては、共役ジエン系炭化水素を重合して得られる重合体、共役ジエン系炭化水素と他の不飽和化合物、好ましくはモノオレフィン系不飽和化合物とを重合させて得られる共重合体等が好ましく挙げられる。また、上記の重合体及び共重合体は、修飾されていてもよく、例えば、末端に(メタ)アクリロイル基などの反応性基を導入してもよく、また、内部オレフィンの一部が水素添加されていてもよい。なお、以下の説明において、内部オレフィンの一部が水素添加されたポリブタジエンを「部分水素化ポリブタジエン」、同様に内部オレフィンの一部が水素添加されたポリイソプレンを「部分水素化ポリイソプレン」ともいう。更に共重合体は、ランダム重合体でも、ブロック共重合体でも、グラフト重合体でもよく、特に限定されない。
上記の共役ジエン系炭化水素としては、具体的には、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。これらの化合物は単独又は2種類以上組み合わせて用いられる。
上記のモノオレフィン系不飽和化合物としては、具体的には、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、イソブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
上記の共役ジエン系炭化水素を重合させて得られる重合体又は共役ジエン系炭化水素とモノオレフィン系不飽和化合物とを重合させて得られる共重合体としては、特に限定されず、具体的にはブタジエン重合体、イソプレン重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、アクリル酸エステル−イソプレン共重合体、メタクリル酸エステルと上記共役ジエンの共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、イソブテン−イソプレン共重合体(ブチルゴム)等が挙げられる。
これらの重合体は、乳化重合させてもよいし、また、溶液重合させてもよい。
本発明において、特定ポリマーは、末端にエチレン性不飽和基を有していてもよく、下記式(A−1)で表される部分構造を有していてもよい。

(式(A−1)中、R1は水素原子又はメチル基を表し、AはO又はNHを表し、*は他の構造との結合位置を表す。)
すなわち、特定ポリマーは、分子内に(メタ)アクリロイルオキシ基又は(メタ)アクリルアミド基を有していてもよく、式(A−1)中のAがOで表される(メタ)アクリロイルオキシ基を有することがより好ましい。なお、(メタ)アクルアミド基とは、アクリルアミド基またはメタクリルアミド基を意味する。
特定ポリマーは、式(A−1)で表される部分構造を主鎖末端又は側鎖のいずれに有してもよいが、主鎖末端に有することが好ましい。
耐刷性の観点から、特定ポリマーは、式(A−1)で表される部分構造を分子内に2個以上有することが好ましい。
式(A−1)で表される部分構造を有する特定ポリマーとしては、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、部分水素化ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、ポリイソプレンジ(メタ)アクリレート、部分水素化ポリイソプレンジ(メタ)アクリレートなど、水酸基含有ポリオレフィンの水酸基にエチレン性不飽和基含有化合物を反応させて得られたポリオレフィン(メタ)アクリレート(例えば、BAC−45(大阪有機化学工業株式会社製)、TEA−1000、TE−2000、EMA−3000(日本曹達株式会社製))が例示される。
また、ポリオレフィンを変性してエチレン性不飽和結合を導入した変性ポリオレフィン(例えば、メタクリレート導入ポリイソプレン(クラプレンUC−203、UC−102(株式会社クラレ製))も好ましく例示される。
(ブタジエン及び/又はイソプレンに由来する単量体単位を有するポリマー)
本発明において、特定ポリマーは、ブタジエン及び/又はイソプレンに由来する単量体単位を有するポリマーであることが好ましい。
具体的には、ポリブタジエン(ブタジエンゴム)、部分水素化ポリブタジエン、末端変性ポリブタジエン、ポリイソプレン(イソプレンゴム)、部分水素化ポリイソプレン、末端変性ポリイソプレン、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレン トリブロック共重合体)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレン トリブロック共重合体)、イソプレン/ブタジエン共重合体等が挙げられる。
なお、末端変性とは、主鎖又は側鎖末端がアミド基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、(メタ)アクリロイル基、グリシジル基等で変性されていていることを意味する。
これらの中でも、ポリブタジエン、部分水素化ポリブタジエン、水酸基末端ポリブタジエン、グリシジルエーテル変性ポリブタジエン、ポリイソプレン、部分水素化ポリイソプレン、末端変性ポリイソプレン、水酸基末端ポリイソプレン、グリシジルエーテル変性ポリイソプレン、SBS、SISが好ましい。
ブタジエン、イソプレン又はそれらの水素添加物に由来する単量体単位の割合が、合計して30mol%以上であることが好ましく、50mol%以上であることがより好ましく、80mol%以上であることが更に好ましい。
イソプレンは、触媒や反応条件により、1,2−、3,4−又は1,4−付加により重合することが知られているが、本発明においては上記のいずれの付加により重合されたポリイソプレンでもよい。これらの中でも所望の弾性を得る観点から、主成分としてcis−1,4−ポリイソプレンを含有することが好ましい。なお、特定ポリマーがポリイソプレンである場合、cis−1,4−ポリイソプレンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
また、ポリイソプレンとしては、天然ゴムを使用してもよく、また、上市されているポリイソプレンを使用することもでき、例えば、NIPOL IRシリーズ(日本ゼオン株式会社製)が例示される。
ブタジエンは、触媒や反応条件により1,2−又は1,4−付加により重合することが知られているが、本発明では上記のいずれの付加により重合されたポリブタジエンでもよい。これらの中でも、所望の弾性を得る観点から、1,4−ポリブタジエンが主成分であることがより好ましい。
なお、特定ポリマーがポリブタジエンである場合、1,4−ポリブタジエンの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
なお、cis体とtrans体の含有量は特に制限はないが、ゴム弾性を発現させる観点から、cis体が好ましく、cis−1,4−ポリブタジエンの含有量が50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
ポリブタジエンとしては、上市されている製品を使用してもよく、例えば、NIPOL BRシリーズ(日本ゼオン株式会社製)、UBEPOL BRシリーズ(宇部興産株式会社製)等が例示される。
(非共役ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有する特定ポリマー)
特定ポリマーは、非共役ジエン系炭化水素に由来する単量体単位を有する特定ポリマーであってもよい。
特定ポリマーとしては、非共役ジエン系炭化水素と他の不飽和化合物、好ましくはαオレフィン系不飽和化合物とを重合させて得られる共重合体等が好ましく挙げられる。共重合体は、ランダム重合体でも、ブロック共重合体でも、グラフト重合体でもよく、特に限定されない。
上記の非共役ジエン系炭化水素としては、具体的には、例えば、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン等が挙げられ、ジシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネンが好ましく、エチリデンノルボルネンがより好ましい。これらの化合物は単独又は2種類以上組み合わせて用いられる。
上記のモノオレフィン系不飽和化合物としては、具体的には、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン等の炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられ、エチレン及びプロピレンが好ましく、エチレンとプロピレンを組み合わせて用いることがより好ましい。これらの化合物は単独又は2種類以上組み合わせて用いられる。
上記の共役ジエン系炭化水素を重合させて得られる重合体又は共役ジエン系炭化水素とα−オレフィン系不飽和化合物とを重合させて得られる共重合体としては、特に限定されないが、エチレン−αオレフィン−ジエン共重合体であることが好ましく、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)がより好ましい。
上記の中でも、特定ポリマーとしては、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、又は、エチレン−プロピレン−ジエンゴムであることが好ましく、ブタジエンゴムであることがより好ましい。
また、特定ポリマーは、主鎖が主としてイソプレン又はブタジエンを単量体単位とするポリマーであることが好ましく、一部が水素添加されて飽和結合に変換されていてもよい。また、ポリマーの主鎖中又は末端が、アミド、カルボキシ基、ヒドロキシ基、(メタ)アクリロイル基等で変性されていてもよく、エポキシ化されていてもよい。
これらの中でも、特定ポリマーとしては、溶剤への溶解性や、取り扱いの観点から、ポリブタジエン、ポリイソプレン、イソプレン/ブタジエン共重合体が好ましく例示され、ポリブタジエン及びポリイソプレンがより好ましく、ポリブタジエンが更に好ましい。
特定ポリマーは20℃以下のガラス転移温度(Tg)を有することが、柔軟性とゴム弾性発現の観点から好ましい。
なお、特定ポリマーのガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いてJIS K7121−1987に従って測定する。
なお、特定ポリマーが2以上のガラス転移温度を有する場合、少なくとも1つが20℃以下であることが好ましく、全てのガラス転移温度が20℃以下であることがより好ましい。
本発明において、特定ポリマーはSP値が14.0〜18.0MPa1/2であることが好ましく、15.0〜17.5MPa1/2であることがより好ましく、16.0〜17.5MPa1/2であることが更に好ましい。
SP値は、分子の凝集エネルギー密度の平方根であり、分子間の凝集する力の大小を表し、極性の尺度となる。
SP値が上記範囲であると、ウレタン系接着剤との適度な接着性が得られるため好ましい。
上記SP値は、日本接着学会誌29(3)1993,204−211に記載の沖津法に基づき計算される。
特定ポリマーはエラストマー又はプラストマーであることが好ましい。特定ポリマーがエラストマー又はプラストマーであると、これから得られるフレキソ印刷版原版をシート状、若しくは円筒状に成形する際に、良好な厚み精度や寸法精度を達成することができる。また、フレキソ印刷版に必要な弾性を付与することができるので好ましい。
本発明において「プラストマー」とは、高分子学会編「新版高分子辞典」(日本国、朝倉書店、1988年発行)に記載されているように、加熱により容易に流動変形し、かつ冷却により変形された形状に固化できるという性質を有する高分子体を意味する。プラストマーは、エラストマー(外力を加えたときに、その外力に応じて瞬時に変形し、かつ外力を除いたときには、短時間に元の形状を回復する性質を有するもの)に対する言葉であり、エラストマーのような弾性変形を示さず、容易に塑性変形するものである。
本発明において、プラストマーは、元の大きさを100%としたときに、室温(20℃)において小さな外力で200%まで変形させることができ、上記外力を除いても、130%以下に戻らないものを意味する。小さな外力とは、具体的には、引張強度が1〜100MPaである外力をいう。より詳細には、JIS K 6262−1997の引張永久ひずみ試験に基づき、JIS K 6251−1993に規定するダンベル状4号形の試験片を用いた場合に、20℃における引張試験で上記試験片を引張前の標線間距離の2倍に破断せずに伸ばすことが可能であり、かつ、引張前の標線間距離の2倍に伸ばしたところで60分間保持した後、引張外力を除いて5分後に引張永久ひずみが30%以上であるポリマーを意味する。なお、本発明では、試験片をJIS K6251−1993に規定するダンベル状4号形にすること、保持時間を60分、及び、試験室の温度を20℃とすること以外は、全てJIS K 6262−1997の引張永久ひずみ試験方法に準拠した。
なお、上記の測定ができないポリマーの場合、すなわち、引張試験において、引張外力を加えなくとも変形して元の形状に戻らないポリマーや、上記測定時の小さな外力を与えて破断するポリマーはプラストマーに上記当する。
更に、本発明において、プラストマーは、ポリマーのガラス転移温度(Tg)が20℃未満である。Tgを2つ以上有するポリマーの場合は、全てのTgが20℃未満である。
なお、ポリマーのTgは、示差走査熱量測定(DSC)法により測定することができる。
本発明において、エラストマーとは、上記の引張試験において、標線間距離の2倍に伸ばすことが可能であり、かつ、引張外力を除いて5分後に引張永久ひずみが30%未満であるポリマーを意味する。
本発明の特定ポリマーの20℃における粘度は、好ましくは10Pa・s〜10kPa・sであり、より好ましくは50Pa・s〜5kPa・sである。粘度がこの範囲内の場合には、シート状に樹脂組成物を成形しやすく、プロセスも簡便である。本発明において、特定ポリマーがプラストマーであることにより、樹脂シート形成用樹脂組成物をシート状に成形する際に、良好な厚み精度や寸法精度を達成することができる。
本発明において、特定ポリマーは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる樹脂シートにおける特定ポリマーの総含有量は、樹脂シートの固形分全質量に対し、5〜90質量%が好ましく、15〜85質量%がより好ましく、30〜80質量%が更に好ましい。
また、本発明に用いられる樹脂シート形成用樹脂組成物における特定ポリマーの総含有量は、樹脂組成物の固形分全質量に対し、5〜90質量%が好ましく、15〜85質量%がより好ましく、30〜80質量%が更に好ましい。特定ポリマーの含有量を5質量%以上とすることで、得られた樹脂シートを印刷版として使用するに足る耐刷性が得られ、また、90質量%以下とすることで、他成分が不足することがなく、印刷版とした際においても印刷版として使用するに足る柔軟性を得ることができる。
なお、「固形分全質量」とは、樹脂シート又は樹脂シート形成用樹脂組成物から溶剤等の揮発性成分を除いた全質量を意味する。
本発明に用いられる樹脂シート、及び、樹脂シート形成用樹脂組成物は、重合開始剤、光熱変換剤、溶剤、及び、その他の成分を含有することが好ましい。以下、これらの成分について詳述する。
(重合開始剤)
本発明において樹脂組成物は、重合開始剤を含有する樹脂シート形成用樹脂組成物を用いて形成されることが好ましい。重合開始剤を含有することにより、特定ポリマー、及び、後述する重合性化合物が含有するエチレン性不飽和結合同士の架橋が促進される。
重合開始剤としては、当業者間で公知のものを制限なく使用することができ、光重合開始剤及び熱重合開始剤のいずれも使用することができるが、簡便な装置で架橋が形成できることから、熱重合開始剤が好ましい。以下、好ましい重合開始剤であるラジカル重合開始剤について詳述するが、本発明はこれらの記述により制限を受けるものではない。
本発明において、好ましい重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(l)アゾ系化合物等が挙げられる。以下に、上記(a)〜(l)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明においては、彫刻感度と、樹脂シートに適用した際にはレリーフエッジ形状を良好とするといった観点から、(c)有機過酸化物及び(l)アゾ系化合物がより好ましく、(c)有機過酸化物が特に好ましい。
上記(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、及び(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物としては、特開2008−63554号公報の段落0074〜0118に挙げられている化合物を好ましく用いることができる。
また、(c)有機過酸化物及び(l)アゾ系化合物としては、以下に示す化合物が好ましい。
(c)有機過酸化物
本発明に用いることができる熱重合開始剤として好ましい(c)有機過酸化物としては、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−3−メチルベンゾエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシアセテートなどの過酸化エステル系や、α,α’−ジ(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートなどの過酸化エステル系が好ましい。これらの中でも、ジクミルパーオキサイドおよびt−ブチルパーオキシベンゾエートが特に好ましい。
(l)アゾ系化合物
本発明に用いることができる重合開始剤として好ましい(l)アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロピオニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を挙げることができる。
なお、本発明においては、上記(c)有機過酸化物が本発明における重合開始剤として、樹脂シートの架橋性及び彫刻感度向上の観点で特に好ましい。
彫刻感度の観点からは、この(c)有機過酸化物と、後述する光熱変換剤とを組み合わせた態様が特に好ましい。
これは、有機過酸化物を用いて樹脂シートを熱架橋により硬化させる際、ラジカル発生に関与しない未反応の有機過酸化物が残存するが、残存した有機過酸化物は、自己反応性の添加剤として働き、レーザー彫刻時に発熱的に分解する。その結果、照射されたレーザーエネルギーに発熱分が加算されるので彫刻感度が高くなったと推定される。
なお、光熱変換剤の説明において詳述するが、この効果は、光熱変換剤としてカーボンブラックを用いる場合に著しい。これは、カーボンブラックから発生した熱が(c)有機過酸化物にも伝達される結果、カーボンブラックだけでなく有機過酸化物からも発熱するため、特定ポリマー等の分解に使用されるべき熱エネルギーの発生が相乗的に生じるためと考えている。
本発明において、重合開始剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる樹脂シート中の重合開始剤の含有量は、固形分全質量に対して、0.01〜30質量%であることが好ましく、0.1〜20質量%であることがより好ましく、1〜15%であることが更に好ましい。
本発明に用いられる樹脂シート形成用樹脂組成物中の重合開始剤の含有量は、固形分全質量に対して、0.01〜30質量%であることが好ましく、0.1〜20質量%であることがより好ましく、1〜15%であることが更に好ましい。含有量が上記範囲内であると、硬化性(架橋性)に優れ、レーザー彫刻した際のレリーフエッジ形状が良好であり、更に、リンス性に優れるので好ましい。
(光熱変換剤)
本発明に用いられる樹脂シート及び樹脂シート形成用樹脂組成物は、更に、光熱変換剤を含有することが好ましい。すなわち、本発明における光熱変換剤は、レーザーの光を吸収し発熱することにより、レーザー彫刻時の硬化物の熱分解を促進すると考えられる。このため、彫刻に用いるレーザー波長の光を吸収する光熱変換剤を選択することが好ましい。
本発明に用いられる樹脂シートを、700〜1,300nmの赤外線を発するレーザー(YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー、面発光レーザー等)を光源とするレーザー彫刻に用いる場合、光熱変換剤としては、700〜1,300nmに極大吸収波長を有する化合物を用いることが好ましい。
本発明における光熱変換剤としては、種々の染料又は顔料が用いられる。
光熱変換剤のうち、染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、700〜1,300nmに極大吸収波長を有するものが挙げられ、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、ジインモニウム化合物、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が好ましく挙げられる。本発明において好ましく用いられる染料としては、ヘプタメチンシアニン色素等のシアニン系色素、ペンタメチンオキソノール色素等のオキソノール系色素、フタロシアニン系色素及び特開2008−63554号公報の段落0124〜0137に記載の染料を挙げることができる。
本発明において使用される光熱変換剤のうち、顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。また、顔料としては、特開2009−178869号公報の段落0122〜0125に記載の顔料が例示できる。
これらの顔料のうち、好ましいものはカーボンブラックである。
カーボンブラックは、組成物中における分散性などが安定である限り、ASTMによる分類のほか、用途(例えば、カラー用、ゴム用、乾電池用など)の如何に拘らずいずれも使用可能である。カーボンブラックには、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラックなどが含まれる。なお、カーボンブラックなどの黒色着色剤は、分散を容易にするため、必要に応じて分散剤を用い、予めニトロセルロースやバインダーなどに分散させたカラーチップやカラーペーストとして使用することができ、このようなチップやペーストは市販品として容易に入手できる。また、カーボンブラックとしては、特開2009−178869号公報の段落0130〜0134に記載されたものが例示できる。
本発明に用いられる樹脂シート及び樹脂シート形成用樹脂組成物における光熱変換剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂シート中における光熱変換剤の含有量は、その分子固有の分子吸光係数の大きさにより大きく異なるが、固形分全質量の0.01〜30質量%の範囲が好ましく、0.05〜20質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。
樹脂シート形成用樹脂組成物中における光熱変換剤の含有量は、その分子固有の分子吸光係数の大きさにより大きく異なるが、固形分全質量の0.01〜30質量%の範囲が好ましく、0.05〜20質量%がより好ましく、0.1〜10質量%が特に好ましい。
(溶剤)
本発明に用いられる樹脂シート形成用樹脂組成物は、溶剤を含有してもよい。
溶剤としては、有機溶剤を用いることが好ましい。
非プロトン性有機溶剤の好ましい具体例は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドが挙げられる。
プロトン性有機溶剤の好ましい具体例は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオールが挙げられる。
これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが特に好ましく例示できる。
(その他の添加剤)
本発明に用いられる樹脂シート及び樹脂シート形成用樹脂組成物には、公知の各種添加剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜配合することができる。例えば、架橋剤、架橋促進剤、可塑剤、充填剤、ワックス、プロセス油、金属酸化物、オゾン分解防止剤、老化防止剤、重合禁止剤、着色剤等が挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(重合性化合物)
本発明に用いられる樹脂シートは、架橋構造形成を促進するため、重合性化合物を含有する樹脂シート形成用樹脂組成物を用いて形成することもできる。重合性化合物を含有することにより、架橋構造形成が促進され、得られる印刷版の耐刷性に優れる。
また、上述のエチレン性不飽和基を有する特定ポリマーは、重合性化合物には含まれない物とする。
更に、重合性化合物は、分子量3,000未満の化合物であることが好ましく、分子量1,000未満の化合物であることがより好ましい。
重合性化合物は、ラジカル重合性化合物であることが好ましく、また、エチレン性不飽和化合物であることが好ましい。
本発明に用いられる重合性化合物は、多官能エチレン性不飽和化合物であることが好ましい。上記態様であると、得られる印刷版の耐刷性により優れる。
多官能エチレン性不飽和化合物としては、末端エチレン性不飽和基を2〜20個有する化合物が好ましい。このような化合物群は当産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に制限無く用いることができる。
多官能エチレン性不飽和化合物におけるエチレン不飽和基が由来する化合物の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル類、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシ基や、アミノ基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナト基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能又は多官能のアルコール類、アミン類との付加反応物、ハロゲン基や、トシルオキシ基、等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、ビニル化合物、アリル化合物、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
重合性化合物に含まれるエチレン性不飽和基は、反応性の観点でアクリレート、メタクリレート、ビニル化合物、アリル化合物の各残基が好ましい。また、耐刷性の観点から、多官能エチレン性不飽和化合物は、エチレン性不飽和基を3個以上有することがより好ましい。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、1,8−オクタンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等が挙げられる。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,8−オクタンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。中でも、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレートが特に好ましい。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラクロトネート等が挙げられる。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が挙げられる。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号各公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号各公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
上記エステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスメタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアナト基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(i)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R’)OH (i)
(ただし、R及びR’は、それぞれ、H又はCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号各公報に記載される、分子内にアミノ構造を有する付加重合性化合物類を用いることによって、短時間で硬化組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号各公報記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に、日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
ビニル化合物としては、ブタンジオール−1,4−ジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、エチレングリコールジエチレンビニルエーテル、エチレングリコールジプロピレンビニルエーテル、トリメチロールプロパントリエチレンビニルエーテル、トリメチロールプロパンジエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールジエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラエチレンビニルエーテル、1,1,1−トリス〔4−(2−ビニロキシエトキシ)フェニル〕エタン、ビスフェノールAジビニロキシエチルエーテル、アジピン酸ジビニル等が挙げられる。
本発明に用いられる樹脂シート、及び、その形成に用いられる樹脂組成物は、重合性化合物を1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明に用いられる樹脂シート中における重合性化合物の含有量は、樹脂組成物の固形分全質量に対し、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が更に好ましい。
本発明に用いられる樹脂シート形成用樹脂組成物中における重合性化合物の含有量は、樹脂組成物の固形分全質量に対し、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が更に好ましい。上記範囲であると、レーザー彫刻時に発生する彫刻カスのリンス性により優れ、得られる印刷版の耐刷性により優れる。
(各成分の配合量)
本発明に用いられる樹脂シートの固形分全質量に対し、樹脂シート中における特定ポリマーの総含有量は、5〜90質量%が好ましく、重合開始剤の含有量は、0.01〜30質量%であることが好ましく、光熱変換剤の含有量は、0.01〜30質量%の範囲が好ましく、重合性化合物の含有量は、0〜30質量%が好ましい。
また、本発明に用いられる樹脂シート形成用樹脂組成物の固形分全質量に対し、樹脂シート形成用樹脂組成物中における特定ポリマーの総含有量は、5〜90質量%が好ましく、重合開始剤の含有量は、0.01〜30質量%であることが好ましく、光熱変換剤の含有量は、0.01〜30質量%の範囲が好ましく、重合性化合物の含有量は、0〜30質量%が好ましい。
[フレキソ印刷装置]
次に、本発明に係るフレキソ印刷版を用いるフレキソ印刷装置(以下、単に、『印刷装置』ともいう)の構成について詳細に説明する。フレキソ印刷装置は、上記フレキソ印刷版を用いる以外は、基本的に、従来のフレキソ印刷装置と同様の構成を有する。
図8は、本発明に係るフレキソ印刷版を用いるフレキソ印刷装置の要部を概念的に示す図である。
図8に示すように、フレキソ印刷装置30は、上記フレキソ印刷版1、ドラム(版胴)31、搬送ローラ(圧胴)32、アニロックスローラ33、ドクターチャンバ34、および、循環タンク35を有する。
ドラム31は、円筒状であり、フレキソ印刷版1を周面に載置して、回転しつつ、フレキソ印刷版1を被印刷体zに接触させるものである。
搬送ローラ32は、被印刷体zを所定の搬送経路で搬送する搬送部(図示せず)を構成するローラであり、その周面が、ドラム31の周面と対面して配置されて、被印刷体zをフレキソ印刷版1に接触させるものである。
ドラム31はその回転方向が、被印刷体zの搬送方向と一致するように配置されている。
アニロックスローラ33、ドクターチャンバ34、および、循環タンク35は、フレキソ印刷版1にインキを供給するためのものである。循環タンク35はインキを貯留しており、循環タンク35内のインキが、ポンプ(図示せず)によってドクターチャンバ34に供給される。ドクターチャンバ34は、アニロックスローラ33の表面に密接して設けられ、内部にインキが保持されている。アニロックスローラ33は、ドラム31の周面に当接して同調回転し、ドクターチャンバ34内のインキを印刷版1に塗布(供給)する。
このように構成されたフレキソ印刷装置30は、被印刷体zを所定の搬送経路で搬送しつつ、ドラム31に載置されたフレキソ印刷版1を回転させて、インキを被印刷体zに転写して印刷を行う。すなわち、フレキソ印刷版を載置するドラムの回転方向が印刷方向となる。
本発明のフレキソ印刷版を用いるフレキソ印刷装置で用いられる被印刷体の種類には、特に限定はなく、紙、フィルム、段ボール等の、通常のフレキソ印刷装置で用いられる、種々の公知の被印刷体を用いることができる。
また、本発明のフレキソ印刷版を用いるフレキソ印刷装置で用いられるインキの種類にも、特に限定はなく、水性インキ、UVインキ、油性インキ、EBインキ等の、通常のフレキソ印刷装置で用いられる、種々の公知のインキを用いることができる。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例におけるポリマーの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、特に断りのない限りにおいて、GPC法で測定した値を表示している。
また、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示すものとする。
[実施例1]
<樹脂組成物の調製>
MS式小型加圧ニーダー(株式会社モリヤマ製)を用いて、ポリマーとして、BR150L(固体ポリブタジエン、数平均分子量47万、宇部興産株式会社製、以下「BR」と表す)を80質量部と、カーボンブラックとして、カーボンブラック#45L(平均粒子径24nm、比表面積125m2/g、三菱化学株式会社製)を12質量部とを、80℃にて、前ブレード35rpm、後ブレード35rpmで10分間混練した後、60℃まで冷却し、熱重合開始剤として、パークミルD−40(有機過酸化物、ジクミルパーオキサイド(40質量%)、日油株式会社製)を8質量部、添加して、60℃にて前ブレード20rpm、後ブレード20rpmで更に10分間混練し、樹脂組成物を調製した。
<未硬化層の作製>
上記で得た樹脂組成物を、カレンダーロール(日本ロール製造株式会社製逆L型4本)でシート状に成形した。ウォームアップロールを50℃として上記樹脂組成物を10分間予備混練し、ロールに巻き付いたものを途中でカットしてシート状に引き出し、一旦ロール状に巻き取った。その後、混練物をカレンダーロールの第1ロールと第2ロールの間にセットし、圧延成形した。カレンダーロールの各ロールの温度は、第1ロール温度を50℃、第2ロール温度を60℃、第3ロール温度を70℃、第4ロール温度を80℃とした。ロール間隔は、第1ロールと第2ロール間隔を1.0mm、第2ロールと第3ロール間隔を0.9mm、第3ロールと第4ロール間隔を0.8mmとした。搬送速度は1m/分とした。
第4ロールを通過後、シートを幅20cm、長さ20cmにカットし未硬化層を得た。
<フレキソ印刷版原版の作製>
上記で得た未硬化層をPET基板上に載置し、以下に示す多数のホールを有するピラー転写用型材を、ホールが形成された面を未硬化層に対面させて、未硬化層の上に配置して、160℃で15分間、熱プレスし、熱硬化させて、表面に複数のピラーを有するフレキソ印刷版原版を得た。
なお、熱プレスの際に、PET基板とピラー転写用型材との間にスペーサを配置して、厚みが900μmとなるようにした。
ピラー転写用型材としては、DTM−1−3(株式会社協同インターナショナル製)を用いた。このピラー転写用型材は、シリコンウエハーからなり、4mm×4mmのサイズの中に直径5μm、深さ10μmの円柱状のホールが、間隔10μmで、図7に示すように規則的に形成されたものである。
<印刷版原版のピラー形状の測定>
得られたフレキソ印刷版原版が有するピラー形状を、ハイブリッドレーザーマイクロスコープOPTELICS(登録商標) HYBRID(レーザーテック株式会社製)を用いて測定し、基準面積の領域の3次元データを得た。ここで、基準面積は約0.09mm2(89319.534μm2)とした。
ピラーの先端側底面の円または楕円の最大幅Dの平均値Daは、得られた3次元データから任意のピラーを10個選択し、各々の頂部の円または楕円の最大幅Dを計測することにより求めた。
ピラーの高さHの平均値Ha、および、標準偏差σhは、得られた3次元データから任意のピラーを10個選択し、各々の高さを計測することにより求めた。ここで、高さHは、任意のピラーから四方に最も近接するピラーまでの範囲内における最大高度差を測定して求めた(図4参照)。
ピラー間の間隔Xの平均値Xa、および、標準偏差σxは、得られた3次元データから、任意の10組の隣接するピラーを選択し、各々の重心間の間隔Xを計測することにより求めた。
<フレキソ印刷版の作製>
上記で得たフレキソ印刷版原版に対し、上記で形成されたピラーを有する印刷版の中央部がベタ部となり、それ以外の領域が非画像部となるように、レーザー彫刻機(Hell Gravure Systems社製 1300S)で彫刻し、その後、洗浄剤(The Procter & Gamble Company社製 ジョイW除菌の2%水溶液)を版上に垂らし、豚毛ブラシで擦り、流水にて水洗することで彫刻カスを除去し、フレキソ印刷版を得た。
[実施例2〜26、比較例2、4〜10]
樹脂組成物のポリマー成分の材料、ピラー転写用型材、および、形成されるピラーの形状、最大幅D、高さH、間隔X(すなわち、ピラー転写用型材のホール形状等)をそれぞれ、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてフレキソ印刷版を作製した。
なお、表1中、ピラー転写用型材の項目において、シリコンウエハー1〜28の記載は、それぞれホール形状が異なるピラー転写用型材であることを示す。
なお、表1のポリマー成分の項目において、EPDMとは、ポリマー成分として、BRに代えて、JSR EP24(エチレン・プロピレンゴム、数平均分子量50万以上、JSR株式会社製)を用いたことを表し、SBSとは、Kraton D−1102(スチレンーブタジエンースチレン共重合体、数平均分子量1万、Kraton社製)を用いたことを表す。
また、実施例4の、形状を円錐台形状としたピラーのショルダー角は70°とした。また、実施例16の、形状を楕円錐台形状としたピラーのショルダー角は70°とした。
[実施例27]
実施例1と同様にして作製した未硬化層をPET基板上に載置し、160℃で15分間、熱プレスし、熱硬化させて、表面にピラーのないフレキソ印刷版原版を得た。
製造したフレキソ印刷版原版をレーザー彫刻機(Hell Gravure Systems社製 1300S)で彫刻し、フレキソ印刷版を作製した。その際、ベタ部に、表1に示す形状(最大幅D、高さH、間隔X)のピラーを彫刻し、その後、洗浄剤(The Procter & Gamble Company社製 ジョイW除菌の2%水溶液)を版上に垂らし、豚毛ブラシで擦り、流水にて水洗することで彫刻カスを除去して、ベタ部にピラーを形成した。
[比較例1]
ピラー転写用型材に代えて、平坦な板状の部材を用いて、未硬化層を熱プレスして熱硬化させて表面が平坦なフレキソ印刷版原版を作製した以外は、実施例1と同様にしてフレキソ印刷版を作製した。
[比較例3]
比較例1と同様にして得られたフレキソ印刷版原版に対して、半導体レーザー彫刻機として、最大出力8.0Wのファイバー付き半導体レーザー(FC−LD)SDL−6390(JDSU社製、波長915nm)を装備したレーザー記録装置を用いて、レーザー出力:7.5W、ヘッド速度:409mm/秒、解像度:2,400DPIの条件で、深さ7μm、直径20μmの凹部を、ピッチ30μmで凹部を多数、彫刻した後、炭酸水素ナトリウムを1質量%含有する水溶液を用いてリンス洗浄し、フレキソ印刷版を作製した。
〔評価〕
得られたフレキソ印刷版を用いて印刷を行い、ベタ部におけるベタ濃度、および、濃度変動について評価を行った。
(印刷工程)
得られたフレキソ印刷版を、フレキソ印刷装置(ITM−4型、株式会社伊予機械製作所製)にセットした。印刷インクとしては、水性インキ(ハイドリックFCG、739藍、(大日精化工業株式会社製))を用いた。被印刷体のOPPフィルムとして、FOS−AQ(フタムラ化学株式会社製、厚さ50μm)を用いた。
キスタッチ(画像全面が着肉し始める印圧)を0(基準印圧)とし、そこから、40μm押し込んだ条件で、印刷速度150m/minで印刷を行った。
<ベタ濃度の評価>
印刷して得られた印刷物のベタ部の反射濃度を反射濃度計(グレタグマクベス社製、RD−19I)にて測定した。
反射濃度の値が大きいほど、ベタ部のインキの転写性が良いことを示している。
<濃度変動の評価>
押し込み量を160μmに変更し、2000m以上連続印刷した。
印刷距離100mの位置におけるベタ部の反射濃度と、印刷距離2000mの位置におけるベタ部の反射濃度とを反射濃度計で測定し、これらの濃度差を、濃度変動として算出した。
濃度変動の値が小さいほど、安定した印刷が可能であり良いことを示している。
評価結果を表1に示す。
なお、表1中、長径/短径の項目は、先端面の形状が楕円の場合の長径と短径との比である。すなわち、ピラーの形状が円柱の場合は、先端面は円形であるので、長径/短径は1である。
また、図9(A)に、実施例1のフレキソ印刷版を用いて印刷した被印刷体の表面拡大写真を示し、図9(B)に、比較例1のフレキソ印刷版を用いて印刷した被印刷体の表面拡大写真を示す。

表1に示す結果から、本発明の実施例1〜27は、比較例1〜10に対して、ベタ濃度が高く、インキの転写性が良好であることがわかる。
また、図9(B)に示すように、比較例1の印刷版で印刷したものは、ベタ部のインキの転写が不均一であり、濃度が低いことがわかる。これに対して、図9(A)に示すように、実施例1の印刷版で印刷したものは、ベタ部のインキの転写が均一で、濃度が高いことがわかる。
また、実施例1、実施例9および実施例25の対比から、高さHの標準偏差σhが、小さほど、濃度変動が小さく好ましいことがわかる。
また、実施例1、実施例12および実施例26の対比から、ピラーの間隔Xの標準偏差σxが小さいほど、濃度変動が小さく好ましいことがわかる。
以上の結果から本発明の効果は明らかである。
1 フレキソ印刷版
2 レリーフ層
3 画像部
4 非画像部
5 ピラー
6 底部
20 未硬化層
22 ピラー転写用型材
24 ホール
30 フレキソ印刷装置
31 ドラム
32 搬送ローラ
33 アニロックスローラ
34 ドクターチャンバ
35 循環タンク
60 カレンダーロール
62a〜62d 第1ロール〜第4ロール
70 混錬物
71 未硬化層
z 被印刷体

Claims (11)

  1. 画像部と、非画像部とを備えるレリーフ層を有するフレキソ印刷版であって、
    前記画像部は、凸状のピラーを複数有し、
    前記ピラーの形状が、円柱形状、円錐台形状、楕円柱形状および楕円錐台形状からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
    前記ピラーの先端面の最大幅Dの平均値Daが、1μm以上50μm以下であり、
    前記ピラーの高さHの平均値Haが1μm以上20μm以下であり、
    隣接する前記ピラー間の間隔Xの平均値Xaが1μm以上100μm以下であることを特徴とするフレキソ印刷版。
  2. 隣接する前記ピラー間の間隔Xの標準偏差σxが、間隔Xの平均値Xaの1/3以下である請求項1に記載のフレキソ印刷版。
  3. 前記ピラーの高さHの標準偏差σhが、高さHの平均値Haよりも小さい請求項1または2に記載のフレキソ印刷版。
  4. レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版であって、
    前記レリーフ形成層は、凸状のピラーを複数有し、
    前記ピラーの形状が、円柱形状、円錐台形状、楕円柱形状または楕円錐台形状のいずれかであり、
    前記ピラーの先端面の最大幅Dの平均値Daが、1μm以上50μm以下であり、
    前記ピラーの高さHの平均値Haが1μm以上20μm以下であり、
    隣接する前記ピラー間の間隔Xの平均値Xaが1μm以上100μm以下であることを特徴とするフレキソ印刷版原版。
  5. 隣接する前記ピラー間の間隔Xの標準偏差σxが、間隔Xの平均値Xaの1/3以下である請求項4に記載のフレキソ印刷版原版。
  6. 前記ピラーの高さHの標準偏差σhが、高さHの平均値Haよりも小さい請求項4または5に記載のフレキソ印刷版原版。
  7. 表面に凸状のピラーを複数形成されてなるレリーフ形成層を有する、請求項4〜6のいずれか1項に記載のフレキソ印刷版原版を製造する、フレキソ印刷版原版の製造方法であって、
    前記レリーフ形成層となる樹脂組成物からなる硬化前の未硬化層を形成する未硬化層形成工程と、
    複数の凹部を形成されてなるピラー転写用型材を、前記未硬化層の一方の面に押圧して、前記ピラーとなる部位を成型する成型工程と、
    前記成型工程の後に、前記未硬化層を、光または熱により硬化させることにより、表面に前記ピラーを有する前記レリーフ形成層を形成する硬化工程と、を有するフレキソ印刷版原版の製造方法。
  8. 前記硬化工程は、前記ピラー転写用型材を前記未硬化層に押圧した状態で、光または熱により前記未硬化層を硬化させる請求項7に記載のフレキソ印刷版原版の製造方法。
  9. 前記樹脂組成物が、エチレン性不飽和結合を有するポリマーと、光熱変換剤と、架橋剤とを含有する請求項7または8に記載のフレキソ印刷版原版の製造方法。
  10. 画像部の表面に凸状のピラーを複数形成されてなるレリーフ層を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフレキソ印刷版を製造する、フレキソ印刷版の製造方法であって、
    請求項7〜9のいずれか1項に記載のフレキソ印刷版原版の製造方法により作製したフレキソ印刷版原版のレリーフ形成層に、レーザー光を照射して、レリーフ形成層を彫刻して前記レリーフ層を形成するフレキソ印刷版の製造方法。
  11. 画像部の表面に凸状のピラーを複数形成されてなるレリーフ層を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフレキソ印刷版を製造する、フレキソ印刷版の製造方法であって、
    レリーフ形成層を有するフレキソ印刷版原版を準備する原版準備工程と、
    前記レリーフ形成層にレーザー光を照射して、前記レリーフ形成層を彫刻して前記画像部および非画像部を形成する彫刻工程と、を有し、
    前記彫刻工程において、前記画像部の表面にレーザー彫刻によって複数の前記ピラーを形成するフレキソ印刷版の製造方法。
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