JP6506007B2 - 食品用の非付着性フィルム、該非付着性フィルムの製造方法、食品用の非付着性フィルムへの食品の付着を防止または軽減する方法および食品用包装容器 - Google Patents

食品用の非付着性フィルム、該非付着性フィルムの製造方法、食品用の非付着性フィルムへの食品の付着を防止または軽減する方法および食品用包装容器 Download PDF

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Description

本発明は、水分や糖分を含む食品に使用する非付着層を有する食品用の非付着性フィルムに関する。
従来、プリン、カラメル、カステラ、ケーキ、スイートポテト、だんご、餡、納豆などの水分や糖分を含む食品を包装する包装容器において、当該包装容器にこれらの食品を封入した場合、包装容器の内部にこれらの食品が付着してしまうという問題がある。
このような包装容器の内部に非付着性を付与するために、プラスチックシートにエンボス加工を施したり、不織布のように表面に多数の毛管をもつフィルムを使用して、食品との接触面積を減らして、付着を低減するものや、離型油やシリコーン樹脂などをコーティングするなどして、付着しにくくするものなどが考案されている。
特許文献1においては、エンボスフィルムを使用し、さらに含気状態にすることで、被包装物の型崩れ、身離れ、剥れ発生をより抑制できる食品包装体が開示されているが、エンボス加工が必須で、さらに含気状態にするためにガス置換封入または酸素吸収剤を一緒に封入する必要がある。特許文献2においては、フィルムにプラズマ化学蒸着法によって珪素酸化物を主とする連続層を離形層とする離形フィルムが開示されているが、フィルムへの蒸着処理が必須で、別の工程になってしまう。特許文献3においては、菓子とその包装材との付着を防止するための製菓用離型油が開示されているが、グミキャンディー等のゼラチン菓子やキャンディー等には適した方法であるものの、水分や糖分を含むものに対しては剥離性が十分ではない。特許文献4においては、球状シリコンを添加した樹脂層を最内層とする内容物撥水性・離型性を有する包装材が開示されているが、最内層は、球状シリコンをポリエチレン樹脂に混合し、共押出しフィルムとしたものであり、該層の厚みは40〜60μmとかなり厚いものとなってしまう。特許文献5においては、プラスチックフィルムにシリコン系微粉末を含有したシリコン樹脂を塗工した離型フィルムが開示されているが、シリコン系微粉末同士が凝集して、均一な分散性が得られず、表面へのシリコンの露出が不安定になったり、有機溶剤が大量に用いられることや、離型剤を硬化させる際基材が高温に晒されるため、ピンホールが発生するなどといった問題が起こる。
特開2007−308191号公報 特開平8−164969号公報 特開平7−39304号公報 特開平8−337267号公報 特公平6−2393号公報
本発明は、非付着性を付与するためのエンボス加工や蒸着処理などの工程が不要で、非付着層が薄くても、非付着性が必要な物品に対し十分な非付着性を有し、低コストで容易に製造できる食品用の非付着性フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、基材層の少なくとも片面にアンカーコート層と非付着層が、この順に積層された食品用の非付着性フィルムとすることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)基材層の少なくとも片面にアンカーコート層と非付着層が、この順に積層された包装容器に内包される封入用の食品用の非付着性フィルムの製造方法において、
前記アンカーコート層は、5℃以上、50℃以下のガラス転移点(Tg)を有するアクリル系樹脂またはポリエステル系樹脂のなかから選ばれる1種アクリル樹脂ビーズとを含むアンカーコート剤を塗工して形成される層であり、
前記非付着層は、疎水化処理された無機粒子とアルコールおよび/または水とを含む塗工液を塗工して形成される層であり、
前記基材層が、紙、アルミニウム箔、およびプラスチックフィルムまたはシートのなかから選ばれる少なくとも1つであり、
前記包装容器が、プラスチック容器、プラスチック袋、金属容器、紙容器、紙袋、およびガラス容器のなかから選ばれる少なくとも1つであり、
アンカーコート層を形成する工程と、
非付着層を形成する工程とが、この順に形成する工程であり
かつ、前記アンカーコート層を形成する前記工程が、多色グラビア印刷機の1ユニットを用いたグラビア印刷による塗布工程で、
前記非付着層を形成する前記工程が、前記多色グラビア印刷機の別の1ユニットを用いたグラビア印刷による塗布工程であることを特徴とする包装容器に内包される封入用の食品用の非付着性フィルムの製造方法、
(2)前記疎水化処理された無機粒子が、シリカ、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、またはそれらの混合物を疎水化処理したものから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする(1)記載の包装容器に内包される封入用の食品用の非付着性フィルムの製造方法、
である。
本発明によれば、非付着性を付与するためのエンボス加工や蒸着処理などの工程が不要で、非付着層が薄くても、非付着性が必要な物品に対し十分な非付着性を有し、低コストで容易に製造できる、基材層の少なくとも片面にアンカーコート層と非付着層が、この順に積層された食品用の非付着性フィルム、該非付着性フィルムの製造方法、食品が食品用の非付着性フィルムに付着することを防止または軽減する方法および非付着性フィルムを内包する食品用包装容器が提供される。
本発明の非付着性フィルムについてその一例を示す概略断面図である。 本発明の非付着性フィルムについてその一例を示す概略断面図である。 本発明の非付着性フィルムについてその一例を示す概略断面図である。 本発明の非付着性フィルムについてその一例を示す概略断面図である。 本発明の非付着性フィルムについてその一例を示す概略断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更、実施の形態が可能である。
本発明の食品用の非付着性フィルム(以下、単に「非付着性フィルム」ともいう。)は、基材層の少なくとも片面にアンカーコート層と非付着層が、この順に積層された食品用の非付着性フィルムであって、前記アンカーコート層が、凹凸付与剤を含有する層であり、前記非付着層が、疎水化処理された無機粒子を含有する層であることが好ましい。
前記アンカーコート層と前記非付着層は、公知の印刷または塗布、噴霧、浸漬などの方法により前記基材層に塗布して、アンカーコート層または非付着層とする。塗布する方法としてはシルクスクリーン印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、ローラーコーター法、刷毛塗り法、スプレー法、ナイフジェットコーター法などが挙げられる。なかでも、品質および生産性の高さからグラビア印刷法、フレキソ印刷法またはシルクスクリーン印刷法が好ましく用いられ、特に多色グラビア印刷機を用いたグラビア印刷法であることが好ましい。より具体的には、後述する積層方法により積層した基材層を作成してから、グラビア印刷法により、アンカーコート層と非付着層をこの順に形成してもよいが、ベースとなる基材層の一方面に、グラビア印刷法により、アンカーコート層と非付着層を形成してから、これとは異なる他方面に後述する積層方法により別の基材層を形成してもよい。また、前記アンカーコート層と前記非付着層は、基材層の両面に設けてもよい。
前記アンカーコート層と前記非付着層の形成は、多色グラビア印刷機の1ユニット以上を用いたグラビア印刷法によって行われることが好ましい。このことにより、アンカーコート層と非付着層を多層とすることができるため、基材層と非付着層の接着性や非付着性のコントロールが容易に行なうことができる。
非付着層の接着性とは、非付着層を有する面と食品の一部の面あるいは全面が、くっつきやすいかどうかを意味する。また、非付着性のコントロールとは、非付着層を有する面と食品の一部の面あるいは全面のくっつきにくさを制御できることを意味する。本明細書中において、非付着層は非付着層を有する面と解釈することを意味する。
前記疎水化処理された無機粒子は、シリカ、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、またはそれらの混合物を疎水化処理したものから選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。なかでも、疎水化処理したシリカ、タルク(以下、単にそれぞれ「処理シリカ」、「処理タルク」ともいう。)がより好ましい。非付着層は、疎水化処理された無機粒子を含む塗工適性を有する塗工液により形成することが好ましい。
無機粒子の疎水化処理としては、無機粒子に疎水性基を導入できれば、特に限定されないが、撥水性、コスト、安全性からシランカップリング処理やシリコーン処理、シラザン処理が好適である。シランカップリング処理には公知のシランカップリング剤が用いられ、シリカ、タルクなどの無機フィラーへの処理は乾式法または湿式法による処理が好ましい。一般にシランカップリング剤は、1つの分子中に有機官能基とアルコキシ基の2つの異なる官能基を持つシラン化合物であり、アミノプロピルメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン系カップリング剤、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、グリシジルブチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシシラン系カップリング剤、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプトシラン系カップリング剤、メチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、イミダゾールシラン、トリアジンシランなどのシラン系カップリング剤などが用いられる。例えば、乾式法は、無機粒子を撹拌機によって高速撹拌させ、そこにシラン化合物の原液を均一に分散させて処理する方法が知られ、湿式法は、シランの希薄溶液に無機粒子を浸漬させて処理する方法が知られている。シリコーン処理には、常温で液状のシリコーン油が用いられる。シリコーン油は、ポリシロキサン構造を持ったものであれば特に限定されないが、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどがより好ましい。タルクに対して、シリコーン油を1〜5重量%使用して処理を行うことが好ましい。シラザン処理には、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ヘキサフェニルジシラザン、ジメチルアミノトリメチルシラン、トリシラザン、シクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザンなどのオルガノシラザン化合物が好ましく用いられ、ヘキサメチルジシラザンがより好ましく用いられる。例えば、シリカやタルクなどの無機粒子を流動させた状態でヘキサメチルジシラザンを噴霧させる方法や、アルコール、トルエンなどの有機溶媒中にシリカやタルクなどを加え、さらにヘキサメチルジシラザンと水とを加えた後、水と有機溶媒とをエバポレーターで蒸発乾燥させる方法などにより作製することができる。より詳しくは、無機粒子をヘンシェルミキサーに入れ、窒素雰囲気下にて攪拌しながら水およびHMDSを噴霧し、加熱した後に冷却し、ボールミルで解砕することにより、HMDS処理無機粒子を作製することができる。
シリカ(二酸化ケイ素)は、天産品、合成品あるいは結晶性、非晶質性とその種類は多いが、その中で合成非晶質シリカが好ましい。合成非晶質シリカには、湿式法シリカと乾式法シリカに大別されるが、シランカップリング処理やシリコーン処理(シロキサン処理)、シラザン処理あるいはこれらの複合処理などの疎水性処理がなされていれば、いずれでもよい。市販品としては、SIPERNATシリーズ(EVONIK社製)、AEROSILシリーズ(日本アエロジル(株)製)、WACKER HDKシリーズ(旭化成ワッカーシリコーン(株)製)、レオロシール((株)トクヤマ製)などが挙げられる。
タルクは水酸化マグネシウムとケイ酸塩からなる鉱物で、粘土鉱物の一種である。タルク自体は、未処理でもある程度の疎水性はあるが、本発明の課題とする撥水性および非付着性には十分でなく、疎水化処理をする必要がある。疎水化処理は、一般的なものでよく、シリカ処理、シリコーン処理(シロキサン処理)、シラザン処理、樹脂処理、脂肪酸処理、シランカップリング処理、チタネート処理、あるいはこれらの複合処理などが施されていれば、いずれでもよい。処理量は、タルクに対して、0.01〜50重量%であることが好ましく、0.05〜30重量%であることがより好ましい。0.01重量%より少ないと、疎水性が十分でなく、50重量%より多いと、タルクの処理に寄与しないばかりか、それが不純物となり、撥水性を阻害する。例えば、処理タルクは、シリコーン油のメチレンクロライド10%溶液を、タルクに対して、シリコーン油が1〜5重量%になるように噴霧し、100℃で2時間焼成処理することで得られる。
前記疎水化処理された無機粒子の平均粒子径は、50μm以下であることが好ましく、0.001〜50μmの範囲内であることがより好ましく、0.003〜30μmの範囲内であることがさらに好ましい。0.001μm以下のものを含むと、撥水性が発現しにくく、50μmより大きいと、耐摩擦性が劣る。ここでいう平均粒子径は、レーザ法(MICROTRAC 9320×100 Honeywell社製)による測定値である。
処理シリカの場合は、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
処理タルクの場合は、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
さらに前記疎水化処理された無機粒子を含有する塗工液を塗工して形成される非付着層の膜厚は、0.01〜50μmとすることが好ましく、0.01〜30μmであることがより好ましい。膜厚が0.01μmより小さいものは、撥水性が発現しにくく、50μmより大きいものは、グラビア印刷方式で作製することが困難である。
前記塗工液は、疎水化処理された無機粒子とアルコールおよび/または水が含まれることが好ましい。特に、撥水性の観点から、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロパノールなどが好ましい。これらを一種類または二種類以上組み合わせて使用してもよい。
前記塗工液は、必要に応じて、添加剤を使用することができる。例えば、粘度調整剤、分散剤、ブロッキング防止剤、ワックス、充填剤などが挙げられる。粘度調整剤としては、シリカなどの無機化合物、ポリアミドなどの樹脂系増粘剤、分散剤としては、高分子樹脂分散剤、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性などの界面活性剤、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂などの樹脂ビーズまたはこれらの混合物などが挙げられる。ブロッキング防止剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、マイカ、モンモリロナイト、スメクタイト、ゼオライト、カオリナイトなどの無機顔料が挙げられる。ワックスとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、マイクロクリスタリン、カルナバ、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。充填剤としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、シリカ、マイカ、モンモリロナイト、スメクタイト、ゼオライト、カオリナイトなどの無機顔料、ポリエチレン、ポリプロピレン、マイクロクリスタリン、カルナバ、ポリテトラフルオロエチレンなどのワックス類、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂などの樹脂ビーズまたはそれらの混合物などが挙げられる。充填剤の平均粒子径は0.01〜50μmの範囲内であることが好ましい。
添加剤の添加量は、撥水性を阻害しない範囲で使用でき、疎水化処理された無機粒子に対して、添加剤の総量として、80重量%以下が好ましく、70重量%以下がさらに好ましい。添加剤が疎水化処理された無機粒子に対して80重量%より多いと、撥水性が低下する。
前記塗工液は、塗工液中の疎水化処理された無機粒子の量が、0.1〜50重量%であることが好ましく、1〜40重量%であることがより好ましく、3〜30重量%であることがさらに好ましい。0.1重量%より少ないと、塗工液を塗工した非付着層の撥水性が発現しにくく、50%重量より多いと、塗工液としての流動性が劣り、グラビア印刷方式による塗工に適さない。
前記塗工液を塗工して形成される非付着層は、前記塗工液の塗工量(UC)が、固形分で0.02g/m≦UC≦1.5g/mであることが好ましく、0.1g/m≦UC≦1.0g/mであることがより好ましい。0.02g/mより少ないと、撥水性が発現しにくく、1.5g/mより多いと、非付着層の耐摩擦性が劣る。
前記アンカーコート層は、凹凸付与剤を含む塗工適性を有するアンカーコート剤により形成することが好ましい。
凹凸付与剤を含むアンカーコート層とすることにより、凹凸状の層が設けられ、基材層と非付着層の密着性の向上に寄与するだけでなく、設けられた凹凸状の層上に、さらに非付着層が積層されることにより、非付着性に大きな効果がある。
前記凹凸付与剤は、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、酸化亜鉛、シリカ、マイカ、モンモリロナイト、スメクタイト、ゼオライト、カオリナイトなどの無機顔料、ポリエチレン、ポリプロピレン、マイクロクリスタリン、カルナバ、ポリテトラフルオロエチレンなどのワックス類、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂などの樹脂類、またはこれらの混合物から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
さらに、前記凹凸付与剤が、粉状またはビーズ状であることが好ましい。特に好ましいのは、樹脂ビーズであるが、アンカーコート剤として混合可能で、流動性が保たれれば、いずれでもよい。
前記凹凸付与剤の平均粒子径は、0.1μmより大きいものであることが好ましく、0.3〜50μmの範囲内であることがより好ましく、0.8〜30μmの範囲内であることがさらに好ましい。0.1μm以下のものを含むと、撥水性が発現しにくく、50μmより大きいと、塗工適性が劣る。
前記アンカーコート剤は、さらに樹脂を含むことが好ましい。該樹脂と凹凸付与剤の含有量は、樹脂/凹凸付与剤の重量比で、10/90〜99.9/0.1が好ましい。樹脂が10より少ないと、基材層への密着性に劣り、凹凸付与剤が0.1より少ないと、撥水性が発現しにくい。
前記樹脂と凹凸付与剤を含むアンカーコート剤を塗工して形成されるアンカーコート層は、その断面において凹凸状になる。凹凸状になることで、良好な撥水性、非付着性が得られる。
前記樹脂としては、良好な接着性が得られるものであればよく、例えば、セラック類、ロジン類、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、硝化綿、酢酸セルロース、セルロースアセチルプロピオネート、セルロースアセチルブチレート、塩化ゴム、環化ゴム、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリアミド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ケトン樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化エチレンビニルアセテート樹脂、エチレンビニルアセテート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン−ビニルアルコール樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、カゼイン、アルキッド樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられ、これらは一種類または二種類以上組み合わせて使用してもよい。これらの樹脂を溶剤に溶解したタイプ、水系に溶解したタイプ、あるいはアクリル系エマルジョン、ウレタン系エマルジョン、ポリビニルアルコール樹脂、エチレン−ビニルアルコール系エマルジョン、ポリプロピレン系エマルジョンなど水中に分散させたエマルジョンタイプなどの性状が挙げられる。
前記アンカーコート剤は、さらに溶剤を含むことが好ましく、前記樹脂を該溶剤中に溶解または分散させるものである。
前記溶剤は、グラビア印刷で通常使用される有機溶剤型または水性型を用いることができる。例えば、有機溶剤および/または水が挙げられる。前記有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ノルマルプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチルなどのエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤およびこれらのエステル化物が挙げられ、エステル化物としては主にアセテート化したものが選ばれ、例えばエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどが挙げられる。アンカーコート剤に用いられる樹脂を溶解できれば、いずれでもよい。
前記アンカーコート剤は、必要に応じて、硬化剤を添加することもできる。例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルジイソシアネートおよびこれらのトリメチロールプロパン三量体、イソシアヌレート体、ビュレット体、アロファネート体などの変性体などのポリイソシアネート系硬化剤が挙げられ、これらを一種類または二種類以上組み合わせて使用できる。
本発明の非付着性フィルムは、非付着性フィルムの非付着層と食品とが接するように、包装容器の中に封入された際に、前記食品に対して、前記非付着層が非付着性を示すものである。ここで、非付着性フィルムの非付着層と食品とが接するとは、非付着性フィルムの非付着層を有する面と食品の一部の面あるいは全面が接することを意味する。
さらに、グラビア印刷によって非付着層が形成される場合、100%網点面積率では、非付着性が十分過ぎる場合や、食品への非付着性の要求度によって、その面積率を下げたり、版深度を調節したり、希釈率を調整することによって、非付着性フィルムと食品との付着性が容易にコントロールできる。さらに、網点面積率や版深度の調節に加え、文字(例えば、メーカー名、ブランド名、商品名、記号など)や文様(例えば、マーク、標章、デザインした図柄など)などを「抜き」にして形成する(非付着層がない部分を形成する)ことにより、「抜き」の部分が食品に付着し、適度な付着性を保つとともに、文字や文様などが際立つといった効果もある。
前記食品は、餃子、しゅうまい、中華饅頭、スイートポテト、だんご、餡、プリン、カラメル、カステラ、ショートケーキ、チーズケーキ、ホットケーキ、ロールケーキ、マドレーヌ、バームクーヘン、フィナンシェ、マフィン、ワッフル、モンブラン、シュークリーム、ドーナツ、チョコレート、キャラメル、水飴、クリーム、ジャム、バター、マーガリン、アイスクリーム、ヨーグルト、ゼリー、はちみつ、黒蜜、キャンディ、グミ、ゼラチン、タルト、パイ、餅、草餅、おはぎ、大福、ぜんざい、あんみつ、みつ豆、羊羹、ういろう、ちまき、饅頭、どら焼き、納豆、麺、パン、蒸しパン、サンドイッチ、ピザ、チーズ、クリームチーズ、米飯品、寿司、牛丼、豚丼、鶏丼、カツ丼、中華丼、茶碗蒸し、味噌、たこ焼き、お好み焼き、焼肉、やき鳥、照り焼き、蒲焼、煮魚、角煮、煮鶏、スパゲティ、オムレツ、オムライス、卵焼き、スクランブルエッグ、煮卵、温泉卵、グラタン、ドリア、リゾット、カレー、シチュー、ミートソース、ハンバーグ、ミートボール、ウインナーソーセージ、フランクフルト、ハム、ベーコン、ワンタン、春巻、麻婆豆腐、エビチリ、酢豚、八宝菜、回鍋肉、かに玉、あんかけヤキソバ、キムチ、チヂミ、ポテトサラダ、たまごサラダ、マカロニサラダ、春雨サラダ、マヨネーズ、醤油、ソース、ケチャップ、マスタード、ラー油、みそ漬け、粕漬け、わさび漬け、ぬか漬け、べったら漬け、佃煮、塩辛、明太子、海苔、海草、海藻、ラーメンなどの液状タレ、つゆ、スープなどの水分や糖分を含むものから選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
前記包装容器は、プラスチック容器、プラスチック袋、金属容器、紙容器、紙袋、ガラス容器から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。なかでも、食品包装用途に使用されるものであればいずれでも良く、その形状も特に制限はない。プラスチック袋などの軟包装がさらに好ましい。
本発明の基材層としては、紙、アルミニウム箔、プラスチックフィルムまたはシートから選ばれた少なくとも1つであることが好ましい。基材層は、熱可塑性樹脂などをドライラミネート、ノンソルベントラミネートや押出ラミネートなどによる方法、接着剤などを介して貼り合せる方法などにより積層したものであってもよく、また、これらを適宜組み合わせたものであってもよい。基材層の厚さは、印刷適性、巻き取り適性などに支障のない範囲内であれば、特に制限はないが、5〜300μmが好ましく、6〜250μmがより好ましい。
前記紙は、印刷に適していればよく、出版印刷用紙、包装印刷用紙、板紙印刷用紙などが挙げられる。出版印刷用紙としては、上質紙やグラビア紙などの非塗工紙、アート紙やコート紙、微塗工紙などの塗工紙が挙げられる。包装印刷用紙としては、純白ロール紙や晒クラフト紙などが挙げられる。また、板紙印刷用紙としては、塗工または非塗工の白ボール、塗工または非塗工のマニラボール、ポリエチレンを押し出したポリエチレンコート紙などが挙げられる。さらには、ポリエチレン系やポリプロピレン系などの合成紙であってもよい。
前記プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテートなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、エチレン−ビニルアルコール、ポリビニルアルコールなどのアルコール系フィルム、ポリアミドフィルムまたはバリア層を中間に配したバリア性ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、防湿セロハン、PETフィルムまたはポリアミドフィルムにアルミナやシリカなどの蒸着層を設けた透明蒸着ポリエステルフィルムまたは透明蒸着ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリウレタン樹脂、イソシアネート樹脂などをコートした各種コーティングフィルムなどが挙げられる。これらは延伸していても、未延伸のどちらでもよく、一種類または二種類以上を積層していてもよい。機械的強度や寸法安定性などを考慮して、適切なものが選択できる。また、密着性を向上させるため、コロナ処理、低温プラズマ処理、フレーム処理、溶剤処理、コート処理などを施すか、あらかじめ施されたものが選択できる。
前記ドライラミネートやノンソルベントラミネートなどに使用できるプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテートなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、エチレン−ビニルアルコール、ポリビニルアルコールなどのアルコール系フィルム、ポリアミドフィルムまたはバリア層を中間に配したバリア性ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、防湿セロハン、PETフィルムまたはポリアミドフィルムにアルミナやシリカなどの蒸着層を設けた透明蒸着ポリエステルフィルムまたは透明蒸着ポリアミドフィルム、PETフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムなどにアルミニウムを蒸着させたアルミニウム蒸着フィルム、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸樹脂などをコートした各種コーティングフィルムなどが挙げられる。これらは延伸、未延伸のどちらでも良く、一種類または二種類以上を積層していてもよい。機械的強度や寸法安定性などを考慮して、適切なものが選択できる。また、プラスチックフィルム以外にも紙や加工紙、アルミニウム箔なども使用できる。
前記押出ラミネートに使用できる樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、リニア低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンやポリプロピレンをマレイン酸やフマル酸などで変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂などの熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は一種類または二種類以上を積層していてもよい。
基材層に、印刷インキ層(以下、単に「印刷インキ」ともいう)を1色以上塗工することもでき、非付着層の反対面や基材層と非付着層の間に印刷インキ層を設けることもできる。基材層に印刷インキ層を塗工することにより、例えば、会社名、ロゴ、キャラクター、製品名、内容物、成分表示、応募方法やキャンペーンの告知、食べ方や使用方法、年月日、原産地、当たりくじなどの情報を付与することができる。
また、熱可塑性樹脂層とアンカーコート層の間も、無地である必要はなく、該熱可塑性樹脂層にも印刷インキ層を1色以上塗工することができる。
前記印刷インキ層としては、通常のグラビアインキが使用でき、基材層に応じて、適宜選択できる。印刷適性や汎用性の観点から、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、硝化綿、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂などのグラビアインキが好ましく、これらの樹脂が一種類または二種類以上組み合わせたグラビアインキであってもよい。また、2色以上のグラビアインキを使用する場合は、同じ樹脂系のインキである必要はなく、別の樹脂系のインキも適宜使用できる。
市販品としては、LG−NT、TPH、VESTA、LRC−NT、KCNT、SYNA−S、LAMREK(以上、いずれも東京インキ(株)製)などを用いることができる。
前記非付着層の塗工液、印刷インキ、アンカーコート剤といった各組成物は、顔料、樹脂、疎水処理された無機粒子、凹凸付与剤、各種添加剤などを溶剤中に均一に溶解または分散することにより公知の方法で製造できる。溶解または分散は、ディゾルバー、ロールミル、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、ペイントシェーカー、アジテータ、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、パールミル、超音波ホモジナイザー、湿式ジェットミル、ニーダー、ホモミキサーなどの各種撹拌機または分散機を使用できる。これらの装置は一種類または二種類以上組み合せて使用してもよい。各組成物中に気泡や粗大粒子が含まれる場合、印刷適性や印刷物品質を低下させるため、公知のろ過機や遠心分離機などを用いて、取り除くことが好ましい。
前記各組成物の粘度は、印刷に支障のない範囲であれば、特に制限はない。各組成物の製造適性、取扱いなどを考慮すれば、25℃において10〜1,000mPa・sであることが好ましい。
前記粘度は、ブルックフィールド型粘度計などの市販の粘度計を用いて測定することができる。
前記各組成物は、そのまま塗工することもできるが、塗工条件、塗工効果に応じ、ザーンカップ#3((株)離合社製)にて、希釈溶剤で希釈することにより所望の粘度に調整して使用できる。この場合の粘度は、25℃において10〜40秒であることが好ましい。
前記希釈溶剤は、前記各組成物の粘度を調整して使用できるものであれば、いずれでもよく、有機溶剤、水などが挙げられ、市販のものも使用できる。市販品としては、TA52(アルコール系溶剤)、PU515(ノントルエン系溶剤)、SL9155(ノントルエン系溶剤)(以上、いずれも東京インキ(株)製)などが挙げられる。
本発明の非付着層を積層した食品用の非付着性フィルムの製造方法は、基材層の少なくとも片面にアンカーコート層と非付着層が、この順に積層され、凹凸付与剤を含有するアンカーコート剤を塗工して前記アンカーコート層を形成する工程と、疎水化処理された無機粒子を含有する塗工液を塗工して前記非付着層を形成する工程とを含むことが好ましい。
前記アンカーコート層と前記非付着層を形成する工程は、公知の印刷または塗布、噴霧、浸漬などの工程が好ましく、特に塗布工程がより好ましい。塗布工程としてはシルクスクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、ローラーコーター、刷毛塗り、スプレー、ナイフジェットコーターなどの工程が挙げられる。なかでも、品質および生産性の高さからグラビア印刷、フレキソ印刷またはシルクスクリーン印刷による塗布工程が好ましく用いられ、特に多色グラビア印刷機を用いたグラビア印刷による塗布工程であることが好ましい。これらの形成工程により前記基材層に塗布して、アンカーコート層および非付着層をこの順に積層し非付着性フィルムとする。より具体的には、前述した積層方法により積層した基材層を作成する工程の後に、グラビア印刷により、アンカーコート層と非付着層をこの順に形成する工程とし、非付着性フィルムを製造してもよいが、ベースとなる基材層の一方面に、グラビア印刷により、アンカーコート層と非付着層を形成する工程の後に、これとは異なる他方面に前述した積層方法により別の基材層をさらに積層する工程により、非付着性フィルムを製造してもよい。また、基材層の両面に非付着層が形成できるような工程によって、非付着性フィルムを製造してもよい。
これらの工程により、アンカーコート層と非付着層を多層に形成することができるため、基材層と非付着層の接着性や非付着性のコントロールが容易に行なうことができる。すなわち、従来のエンボス加工やプラズマ化学蒸着法などを用いた非付着性フィルムは、非付着層の作製が別々の工程となり、非効率であることに対して、本発明の非付着性フィルムは、多色グラビア印刷機を用いたグラビア印刷による形成工程となるため、インラインで、連続して基材層に印刷インキ層、アンカーコート層、非付着層を形成でき、一連の流れのなか(1パス)で非付着性フィルムを低コストで容易に作製することができる。もちろん、グラビア印刷機の仕様や印刷環境、設備などの制約でインラインで、連続して形成できない場合もあるが、この場合オフライン(アウトライン)での形成も可能である。また、アンカーコート層は非付着層を設ける部分にのみ塗布することが好ましい。
本発明は、さらに食品を包装容器の中に封入した際に、前記食品が食品用の非付着性フィルムに付着することを防止または軽減する方法を提供できる。すなわち、前記食品用の非付着性フィルムを断裁する工程と、該断裁した非付着性フィルムの非付着層を前記食品に接するように載置する工程と、前記非付着層が接するように載置された非付着性フィルムと前記食品とを包装容器に収容する工程と、包装容器の開口部を封止する工程とを、含むことが好ましい。さらに、食品のうち付着性のある部分に、非付着性フィルムの非付着層が接するように載置することがより好ましい。このことによって、該食品のうち特に付着性の強い部分であっても、本発明の非付着性フィルムの非付着層には該食品の付着を防止または軽減できる。
また、食品を包装容器の中に封入した際に、食品のうち包装容器に付着してはいけない部分に、非付着性フィルムの非付着層が接するように載置することが好ましい。このことによって、包装容器に付着してはいけない部分と包装容器とが、直接接することがないように封入できるため、例えば需要者が包装容器を開封し、載置された非付着性フィルムとともに食品を包装容器から取り出し、非付着性フィルムを剥がした際に、非付着性フィルムへの食品の付着が防止または軽減できることから、見た目のよさやフィルムに残渣が残らず、その商品価値を下げることがないという効果もある。
非付着性フィルムは、食品の種類、形態や大きさ、封入する包装容器などによって、基材を選択し、目的にあった大きさや寸法に切断、分断、型抜きなどの断裁をすることができる。また、非付着層を食品に接するように載置する方法としては、断裁した非付着性フィルムを、食品の付着性のある部分に人の手を介して載置してもよいが、自動装置などの機械を用いてもよい。非付着性フィルムの載置位置は、包装容器に食品が付着してはいけない部分であることが好ましく、食品の下面(敷きものとして)、上面あるいは側面(周設してもよい)のいずれであってもよい。包装容器への収容も、人の手を介して収容してもよいが、自動装置などの機械を用いてもよい。これらは、食品の種類、形態や大きさ、数量、収容する包装容器、設備、環境などによって、適宜選択すればよい。さらに、包装容器の開口部の封止は、ヒートシール、折りたたみ、粘着剤などでの貼り付けあるいは接着、針などの綴り部材を使用したあるいはそれらを使用しない綴じ、別の包装体との嵌合などの方法により行えばよい。
本発明は、さらに非付着性フィルムを内包する食品用包装容器とすることが好ましい。
前記食品用包装容器の形態としては、二方シール、三方シール、四方シール、ピローシール、スタンディングパウチ、封筒貼り、ガゼット、溶断シール、チューブ、キャラメル包装、オーバーホールド、フィンシール、まんじゅう包装、ひねり、ロケット、テトラパック、ゲーブルトップ、ブリック、シボリなど食品用途に用いられる周知の形態のいずれでもよい。
非付着性フィルムを内包する、とは、前述した通り食品に非付着性フィルムが接するように載置し、非付着性フィルムとともに食品を包装容器内に収容することも含むが、必ずしも食品と接している必要はなく、非付着性フィルムの非付着層と食品とが接しない程度の間隙を設けるようにして、包装容器内に収容することも含む。このことによって、包装容器の搬送、運搬、輸送、振動、傾斜、横転、転置などで食品の一部の面あるいは全面が物理的に内包する非付着性フィルムの非付着層と接したとしても、該食品の付着を防止または軽減できるという効果がある。
また、非付着性フィルムの一部に、非付着層を設けないなどにより、ヒートシール部を設け、ヒートシール適性を付与することもできる。
本発明の食品用非付着性フィルムについて、その例を挙げて説明するが、これらに限定されるものではない。
図1は、非付着性フィルム1の非付着層を食品3の上部に接するように載置し、プラスチック袋2内に収容し、封止した例である。
図2は、非付着性フィルム1の非付着層を食品3の上部に接するように載置し、包装容器2内に収容し、非付着性フィルム1をプラスチック袋2とともに封止した例である。
図3は、非付着性フィルム1の非付着層を食品3の上部に接するように載置し、さらに食品3とともにトレイ4上に配置し、プラスチック袋2内に収容し、封止した例である。
図4は、非付着性フィルム1の非付着層を食品3の下部から側面全体に接するように載置し、さらに食品3とともにトレイ4上に配置し、プラスチック袋2内に収容し、封止した例である。この場合、トレイ4はなくてもよい。
図5は、非付着性フィルム1の非付着層を食品3および食品31の上部に接するように載置し、プラスチック容器5内に収容し、さらに上部から蓋6をプラスチック容器5に嵌合し、封止した例である。この場合、食品は2種類であるが、これに限定することはない。また、非付着性フィルム1も2枚としたが、1枚を数種類の食品全体の上部に接するように載置することでもよい。
以下に実施例および比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の部は重量部を、%は重量%を表す。
基材層1
厚さ20μmのOPPフィルム(略称:OPP)にLG−NTインキ(ウレタン系、東京インキ(株)製)で、印刷を施し、印刷面をドライラミネート法により、ウレタン系接着剤(略称:DL)を用いて、厚さ20μmのOPPフィルムを貼り合わせてから、40℃で3日間エージングをして、「OPP/LG−NTインキ/DL/OPP」の構成の基材層1を作製した。
基材層2
厚さ20μmのOPPフィルムにLG−NTインキ(ウレタン系、東京インキ(株)製)で、印刷を施し、40℃で3日間エージングをして、「OPP/LG−NTインキ」の構成の基材層2を作製した。
[非付着層塗布液の作製]
非付着層塗布液1(製造例1)
エタノール90部に、疎水化処理した乾式法シリカ(平均粒子径0.2μm、WACKER HDK H18、旭化成ワッカーシリコーン(株)製)10部を撹拌しながら、添加して、非付着層塗布液1を作製した。
非付着層塗布液2(製造例2)
エタノール90部に、疎水化処理した湿式法シリカ(平均粒子径6.2μm、SIPERNAT D10、EVONIK社製)10部を撹拌しながら、添加して、非付着層塗布液2を作製した。
非付着層塗布液3(製造例3)
エタノール90部に、疎水化処理したタルク1)10部を撹拌しながら、添加して、非付着層塗布液3を作製した。
1):タルクに対し、3重量%となるようにシリコーン油(KF−96−50cs、信越化学工業(株)製)のメチレンクロライド10%溶液を噴霧し、100℃で2時間焼成処理し、表面被覆処理したタルク(平均粒子径6μm)
非付着層塗布液4(製造例4)
エタノール90部に、疎水化処理したタルク8部、疎水化処理していない湿式法シリカ(平均粒子径6.2μm、SIPERNAT 383DS、EVONIK社製)2部を撹拌しながら、添加して、非付着層塗布液4を作製した。
非付着層塗布液5(製造例5)
エタノール90部に、疎水化処理していない湿式法シリカ(平均粒子径6.2μm、SIPERNAT 383DS、EVONIK社製)10部を撹拌しながら、添加して、非付着層塗布液5を作製した。
非付着層塗布液6(製造例6)
エタノール90部に、疎水化処理していないタルク(平均粒子径7〜11μm、JA−46R、浅田製粉(株)製)10部を撹拌しながら、添加して、非付着層塗布液6を作製した。
[アンカーコート剤の作製]
アンカーコート剤1(製造例7)
ポリエステル樹脂系溶液(固形分30%、Tg5℃)50部に、アクリル樹脂ビーズ(平均粒子径10μm)を10部添加し、撹拌しながら、酢酸n−プロピルを40部添加して、アンカーコート剤1を作製した。
アンカーコート剤2(製造例8)
アクリル樹脂系溶液(固形分30%、Tg50℃)60部に、アクリル樹脂ビーズ(平均粒子径10μm)を10部添加し、撹拌しながら、酢酸エチル10部、メチルエチルケトン10部、酢酸n−プロピル10部を添加して、アンカーコート剤2を作製した。
アンカーコート剤3(製造例9)
ポリエステル樹脂系溶液(固形分30%、Tg20℃)40部に、アクリル樹脂ビーズ(平均粒子径8μm)を5部添加し、撹拌しながら、酢酸n−プロピル25部、メチルエチルケトン30部を添加して、アンカーコート剤3を作製した。
アンカーコート剤4(製造例10)
ポリエステル樹脂系溶液(固形分30%、Tg20℃)40部に、アクリル樹脂ビーズ(平均粒子径0.8μm)を5部添加し、撹拌しながら、酢酸n−プロピル25部、メチルエチルケトン30部を添加して、アンカーコート剤4を作製した。
アンカーコート剤5(製造例11)
アクリル樹脂系溶液(固形分30%、Tg50℃)60部に、撹拌しながら、酢酸エチル20部、メチルエチルケトン10部、酢酸n−プロピル10部を添加して、アンカーコート剤5を作製した。
(実施例1)
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ16μmのPETフィルム(略称:PET)に、第一ユニットで、製造例7で得られたアンカーコート剤1(略称:AC1)、第二ユニットで、製造例1で得られた非付着層塗布液1(略称:非付着層1)を印刷して、巻き取り、非付着性フィルム1を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、0.9g/m、0.2g/mであった。これによって、非付着性フィルム1は、「PET/AC1/非付着層1」の構成のフィルムとなった。
(実施例2)
非付着層塗布液1を製造例2で得られた非付着層塗布液2(略称:非付着層2)に変更した以外は実施例1と同じ条件にて、非付着性フィルム2を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液2はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、1.0g/m、0.1g/mであった。これによって、非付着性フィルム2は、「PET/AC1/非付着層2」の構成のフィルムとなった。
(実施例3)
アンカーコート剤1を製造例8で得られたアンカーコート剤2(略称:AC2)に変更した以外は実施例1と同じ条件にて、非付着性フィルム3を作製した。このとき、アンカーコート剤2はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、1.1g/m、0.2g/mであった。これによって、非付着性フィルム3は、「PET/AC2/非付着層1」の構成のフィルムとなった。
(実施例4)
アンカーコート剤1を製造例9で得られたアンカーコート剤3(略称:AC3)に変更した以外は実施例1と同じ条件にて、非付着性フィルム4を作製した。このとき、アンカーコート剤3はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、1.1g/m、0.2g/mであった。これによって、非付着性フィルム4は、「PET/AC3/非付着層1」の構成のフィルムとなった。
(実施例5)
アンカーコート剤1を製造例10で得られたアンカーコート剤4(略称:AC4)に変更した以外は実施例1と同じ条件にて、非付着性フィルム5を作製した。このとき、アンカーコート剤4はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、1.1g/m、0.2g/mであった。これによって、非付着性フィルム5は、「PET/AC4/非付着層1」の構成のフィルムとなった。
(実施例6)
反転機付き7色機グラビア印刷機を用いて、厚さ40μmのOPPフィルムに、第一ユニットで、アンカーコート剤1、第二ユニットで、非付着層塗布液1、反転して、第三ユニットで、アンカーコート剤1、第四ユニットで、非付着層塗布液1を印刷して、巻き取り、非付着性フィルム6を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、塗工量は、非付着層1の面それぞれが0.9g/mずつ、AC1の面それぞれが0.2g/mずつであった。これによって、非付着性フィルム6は、「非付着層1/AC1/OPP/AC1/非付着層1」の構成のフィルムとなった。
(実施例7)
非付着層塗布液1を製造例3で得られた非付着層塗布液3(略称:非付着層3)に変更した以外は実施例1と同じ条件にて、非付着性フィルム7を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液3はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、1.0g/m、0.2g/mであった。これによって、非付着性フィルム7は、「PET/AC1/非付着層3」の構成のフィルムとなった。
(実施例8)
非付着層塗布液1を製造例4で得られた非付着層塗布液4(略称:非付着層4)に変更した以外は実施例1と同じ条件にて、非付着性フィルム8を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液4はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、0.9g/m、0.2g/mであった。これによって、非付着性フィルム8は、「PET/AC1/非付着層4」の構成のフィルムとなった。
(実施例9)
反転機付き7色機グラビア印刷機を用いて、厚さ40μmのOPPフィルムに、第一ユニットで、アンカーコート剤1、第二ユニットで、非付着層塗布液1、反転して、第三〜第五ユニットで、VESTAインキ(ポリアミド系、東京インキ(株)製)を印刷して、巻き取り、非付着性フィルム9を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、0.9g/m、0.3g/mであった。これによって、非付着性フィルム9は、「VESTAインキ/OPP/AC1/非付着層1」の構成のフィルムとなった。
(実施例10)
5色機グラビア印刷機を用いて、基材層1に、第一ユニットで、アンカーコート剤1、第二ユニットで、非付着層塗布液1を印刷して、巻き取り、非付着性フィルム10を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、0.9g/m、0.1g/mであった。これによって、非付着性フィルム10は、「OPP/LG−NTインキ/DL/OPP/AC1/非付着層1」の構成のフィルムとなった。
(実施例11)
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ40μmのOPPフィルムに、第一ユニットで、LG−NTインキ(ウレタン系、東京インキ(株)製)、第二ユニットで、アンカーコート剤1、第三ユニットで、非付着層塗布液1を印刷して、巻き取り、非付着性フィルム11を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、0.9g/m、0.1g/mであった。これによって、非付着性フィルム11は、「OPP/LG−NTインキ/AC1/非付着層1」の構成のフィルムとなった。
(実施例12)
5色機グラビア印刷機を用いて、基材層1に、第一ユニットで、アンカーコート剤1、第二〜第三ユニットで、非付着層塗布液1を印刷して、巻き取り、非付着性フィルム12を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、0.9g/m、0.4g/mであった。これによって、非付着性フィルム12は、「OPP/LG−NTインキ/DL/OPP/AC1/非付着層1」の構成のフィルムとなった。
(実施例13)
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ20μmのOPPフィルムに、第一ユニットで、アンカーコート剤1、第二ユニットで、非付着層塗布液1を印刷して、巻き取り、基材層2の印刷面と非付着層1の反対面とを、ドライラミネート法により、ウレタン系接着剤(略称:DL)を用いて、貼り合わせて、非付着性フィルム13を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、0.8g/m、0.2g/mであった。これによって、非付着性フィルム13は、「OPP/LG−NTインキ/DL/OPP/AC1/非付着層1」の構成のフィルムとなった。
(比較例1)
非付着層塗布液1を製造例5で得られた非付着層塗布液5(略称:非付着層5)に変更した以外は実施例1と同じ条件にて、非付着性フィルム14を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液5はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、1.0g/m、0.1g/mであった。これによって、非付着性フィルム14は、「PET/AC1/非付着層5」の構成のフィルムとなった。
(比較例2)
非付着層塗布液1を製造例6で得られた非付着層塗布液6(略称:非付着層6)に変更した以外は実施例1と同じ条件にて、非付着性フィルム15を作製した。このとき、アンカーコート剤1はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液6はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、1.1g/m、0.2g/mであった。これによって、非付着性フィルム15は、「PET/AC1/非付着層6」の構成のフィルムとなった。
(比較例3)
アンカーコート剤1を製造例11で得られたアンカーコート剤5(略称:AC5)に変更した以外は実施例1と同じ条件にて、非付着性フィルム16を作製した。このとき、アンカーコート剤5はSL9155(ノントルエン系溶剤、東京インキ(株)製)、非付着層塗布液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ塗工量は、1.1g/m、0.1g/mであった。これによって、非付着性フィルム16は、「PET/AC5/非付着層1」の構成のフィルムとなった。
(比較例4)
アンカーコート剤を使用しない以外は実施例1と同じ条件にて、非付着性フィルム17を作製した。このとき、非付着層塗布液1はTA52(アルコール系溶剤、東京インキ(株)製)にて、希釈し、塗工量は、0.1g/mであった。これによって、非付着性フィルム17は、「PET/非付着層1」の構成のフィルムとなった。
(比較例5)
厚さ20μmのOPPフィルムにシリコーン樹脂(KF−96H−30マンcs、信越化学工業(株)製、略称:シリコーン)を塗布し、40℃で3日間エージングをして、非付着性フィルム18を作製した。このとき、シリコーン樹脂の膜厚は、0.3μmであった。これによって、非付着性フィルム18は、「OPP/シリコーン」の構成のフィルムとなった。
実施例1〜13および比較例1〜5の非付着性フィルムについて撥水性、非付着性を評価し、表1に示した。
<撥水性>
非付着性フィルムの非付着層について、接触角を測定した。測定には、ポータブル接触角計PCA−1(協和界面科学(株)製)を用いた。測定値が大きいほど撥水性が高く、優れる。
◎:130°以上、○:130°未満110°以上、△:110°未満90°以上、×:90°未満の4段階で評価した。
<非付着性>
水平状態に配置したつぶあん(商品名:串だんご(つぶあん)、山崎製パン(株)製)上に、非付着性フィルムの非付着層を乗せ、フィルムの上から100gの荷重を10秒間かけた後、非付着性フィルムの片側をゆっくりと持ち上げて、剥がした際に、つぶあんとフィルムの接触面におけるつぶあんの付着具合を目視にて観察した。付着が少ないほど、非付着性が優れる。
◎:まったく付着しない、○:やや付着する、△:かなり付着する、×:ほとんど付着する、の4段階で評価した。
<総合評価>
前記撥水性、非付着性のうち、評価結果がすべて「◎」のものは総合評価として「◎」、評価結果が「◎」か「○」であるものは総合評価として「○」、1つでも「△」があるものは総合評価として「△」、1つでも「×」があるものは総合評価として「×」とした。
Figure 0006506007
表1によると、実施例1〜13の非付着性フィルムは、比較例1〜5の非付着性フィルムと比べ、撥水性、非付着性が優れることが明確である。疎水化処理をしていないシリカまたはタルクを使用した非付着性フィルムの例である比較例1または2は、非付着性が劣る。また、凹凸付与剤を含まないアンカーコート剤を使用した例である比較例3は、非付着性が劣る。アンカーコート剤を使用しない例である比較例4は、フィルムにつぶあんのほとんどが付着してしまい、非付着層の効果が発現しない。従来例であるシリコーン樹脂を塗布した例である比較例5は、非付着性に効果はない。
本発明の非付着性を有する食品用の非付着性フィルムによれば、十分な非付着性を有し、しかも低コストで容易に製造できるため、食品が付着しない非付着性フィルムとして有効に利用することができる。また、食品や用途、形態によっては、非付着性の要求度が異なる場合もあり、このような場合グラビア版の網点面積率を下げたり、版深度を調節することによって、非付着性フィルムと食品との付着性が容易にコントロールできる。また基材層に印刷インキ層を設けることによって、キャンペーンや、食品の食用方法など、顧客向け情報の表示に利用することができる。
また、グラビア印刷方式にて塗工できることから、食品用途に限らず、日用品用途、医薬品用途および産業資材用途などの各種撥水用フィルム、シール、ラベル、シートなどさらにそれを利用した包装袋に広く適用できる。
1 非付着性フィルム
2 プラスチック袋
3、31 食品
4 トレイ
5 プラスチック容器
6 蓋

Claims (2)

  1. 基材層の少なくとも片面にアンカーコート層と非付着層が、この順に積層された包装容器に内包される封入用の食品用の非付着性フィルムの製造方法において、
    前記アンカーコート層は、5℃以上、50℃以下のガラス転移点(Tg)を有するアクリル系樹脂またはポリエステル系樹脂のなかから選ばれる1種アクリル樹脂ビーズとを含むアンカーコート剤を塗工して形成される層であり、
    前記非付着層は、疎水化処理された無機粒子とアルコールおよび/または水とを含む塗工液を塗工して形成される層であり、
    前記基材層が、紙、アルミニウム箔、プラスチックフィルムまたはシートから選ばれた少なくとも1つであり、
    前記包装容器が、プラスチック容器、プラスチック袋、金属容器、紙容器、紙袋、およびガラス容器のなかから選ばれる少なくとも1つであり、
    アンカーコート層を形成する工程と、
    非付着層を形成する工程とが、この順に形成する工程であり
    かつ、前記アンカーコート層を形成する前記工程が、多色グラビア印刷機の1ユニットを用いたグラビア印刷による塗布工程で、
    前記非付着層を形成する前記工程が、前記多色グラビア印刷機の別の1ユニットを用いたグラビア印刷による塗布工程であることを特徴とする包装容器に内包される封入用の食品用の非付着性フィルムの製造方法。
  2. 前記疎水化処理された無機粒子が、シリカ、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、またはそれらの混合物を疎水化処理したものから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1記載の包装容器に内包される封入用の食品用の非付着性フィルムの製造方法。
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