JP4090727B2 - レトルト食品包装用積層体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レトルト食品包装用積層体に関するものである。
更に詳しくは、プロピレン樹脂を主体とした、外観、開口性、及び、内容物の取り出し易さを改良したヒートシール性フィルムと基材フィルムとからなる積層体であって、レトルト食品包装用袋を製造するのに有用なレトルト食品包装用積層体に関するものである。
【0002】
【従来技術】
加工食品は、缶詰、瓶詰、冷凍食品、レトルト食品などがあり、近年、需要が急増してきている。その中でも、レトルト食品は、一般家庭、レストラン等で広く使用されてきている。
日本農林規格では、「レトルト食品とは、プラスチックフィルムもしくは金属箔、またはこれらを多層にあわせたものを袋状、その他の形に成形した容器(機密性、及び、遮光性を有するものに限る)に調理した食品を詰め、熱溶融により密閉し、加圧加熱殺菌したものをいう」と定義されている。
【0003】
従来、プロピレン樹脂を主体としたヒートシール性フィルムと基材フィルムとからなる積層体を用いたフィルムは、レトルト食品包装用袋(以下「レトルトパウチ」ともいう。)を作る材料として広く知られている。
また、レトルト食品包装用袋に用いられる積層フィルムは、一般的に150μm以下の薄膜であるため、剛性がなく、一般的に滑りが悪いものである。
このため、滑り性を向上する手段として、従来、積層加工を行う際に、表面に遊離した澱粉の微粉末を散布するダスティング(噴霧)工程を施し、フィルムの表面で滑り性を与えることが行われている。
前記のダスティング工程で用いる澱粉の微粉末は、粒径5〜10μm位の澱粉粒子を用いるのが一般的である。加工直後の積層体の表面ばかりでなく、積層加工を行う際に、積層体が、機械と接触する際に潤滑剤の機能をもつものである。
したがって、積層体の巻き込み時のしわ発生、断裁位置不良、走行不良、折込不良など、滑り不良に起因する問題を解決できる非常に有効なものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、内容物に油脂成分を多く含む食品では、特に100〜135度で加熱されるレトルト処理において、食品に接する層の無延伸ポリプロピレンフィルム(以下「CCP」という。)が、油脂成分を不均一に吸収し、膨潤することにより、レトルト後のレトルトパウチの表面に微細な凸凹、いわゆる柚子肌を発生し、外観を悪くするといった問題を生じることがある。
従来、柚子肌現象を防止する技術として、プロピレン樹脂の密度を上げ、結晶化度を上げることにより、油分の吸収を阻害しようとする技術として特開昭54−120085号公報があるが、柚子肌現象を防止する効果が充分でない上、ヒートシール性フィルムの耐寒衝撃性を損ね、落袋強度が劣るという問題点がある。
また、ポリプロピレンフィルムが油分を均一に吸収する手段として、吸油性の高いエチレン成分を意図的に練り込む技術として、特開2000−256532号公報があるが、柚子肌に対する抑制効果が認められたものの、レトルト殺菌後のヒートシール強度が極端に低下するという問題点がある。
【0005】
しかしながら、フィルムを積層する工程において使用するダスティング剤は、粒子中への微生物の混入による衛生上の問題がある。
また、前記のダスティング剤は、製袋機や充填機において、フィルムが摩擦接触する部分において、しごき落とされて、機械周辺に堆積する。そして、前記のダスティング剤の堆積物が、塊となって、レトルト食品包装用袋に混入することもあるため、衛生上問題がある。
【0006】
また、レトルト食品包装用袋は、消費者が内容物の摂取、使用時などの際、特にカレー等の粘性の内容物が、袋内にくっついたままで、取り出しにくいという問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意研究の結果、ダスティング剤を使用することなしに、食品に接する層にフッ素系樹脂の微粉末を含むことを特徴とするレトルト食品包装用積層体が、優れた外観、開口性、及び、内容物の取り出し易さを見いだすに至った。
本発明は、少なくともプロピレン樹脂を主成分とする樹脂組成物によるヒートシール性フィルムと基材フィルムとからなる積層体を、前記のヒートシール性フィルムが内側となるように袋状に形成した食品包装用袋において、前記のプロピレン樹脂を主成分とする樹脂組成物は、ラミネート側の層(A)と食品に接する層(B)の少なくとも2層の構成からなり、食品に接する層(B)には、フッ素系樹脂の微粉末を含むことを特徴とするレトルト食品包装用積層体に係るものを提供できる。
上記において、前記のフッ素系樹脂としては、四フッ素化樹脂および/または少なくとも側鎖あるいは主鎖末端のいずれかに三フッ素化炭素構造を有する化合物からなることを特徴とするレトルト食品包装用積層体も提供できる。
また、前記の食品に接する層(B)としては、フッ素系樹脂の微粉末を、プロピレン樹脂100重量部に対し、0.1〜10重量部の割合で含む樹脂からなることを特徴とするレトルト食品包装用積層体も提供できる。
また、前記のヒートシール性フィルムとしては、ラミネート側の層(A)と食品に接する層(B)の少なくとも2層を共押出しによる多層フィルムからなることを特徴とするレトルト食品包装用積層体も提供できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0009】
図1は、本発明のレトルト食品包装用積層体の一例を示す断面図である。レトルト食品包装用積層体10は、印刷を施した基材フィルム1と、プロピレン−エチレンブロック共重合体樹脂を主成分とするポリプロピレンフィルムの未延伸フィルムからなるヒートシール性フィルム3とを、接着層2を介して積層したものである。そして、前記ヒートシール性フィルム3は、ラミネート側の層31と、フッ素系樹脂の微粉末33を含有する食品に接する層32とを積層した積層フィルムによって構成されている。
【0010】
図2は、本発明の別態様のレトルト食品包装用積層体の一例を示す断面図である。積層体10は、印刷を施した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(基材フィルム1)に、接着剤2を用いて、二軸延伸ナイロンフィルム41(機能性フィルム)とを積層した。更に、図1で用いたヒートシール性フィルム3と、二軸延伸ナイロンフィルム41とを、接着剤2を介して積層した積層フィルムによって構成されている。
【0011】
図3は、本発明の更に別態様のレトルト食品包装用積層体の一例を示す断面図である。積層体10は、印刷を施した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(基材フィルム1)に、接着剤2を用いて、アルミニウム箔42(機能性フィルム)とを積層した。更に、図1で用いたヒートシール性フィルム3と、アルミニウム箔42とを、接着剤2を介して積層した積層フィルムによって構成されている。
【0012】
図4は、本発明のなおまた別態様のレトルト食品包装用積層体の一例を示す断面図である。積層体10は、印刷を施した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(基材フィルム1)と、二軸延伸ナイロンフィルム41、及び、アルミニウム箔からなる機能性フィルム4とを順に接着剤2を介して積層した。更に、図1で用いたヒートシール性フィルム3と、機能性フィルム4とを、接着剤2を介して積層した積層フィルムによって構成されている。
【0013】
本発明において、本発明に係るレトルト食品包装用積層体を構成する基材フィルム1は、ヒートシール時の熱に耐える耐熱性、及び、包装後外部からの物理的衝撃から包装用フィルム及び内容物を保護するために必要な耐衝撃性、場合によってはバリア性を兼ね備えており、この基材フィルム1の材料としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下「PETフィルム」という。)、ポリブチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム(以下「PPフィルム」ともいう。)、6ナイロンフィルム、6,6ナイロンフィルム等のポリアミドフィルムを好適に用いることができる。一般的には、2軸延伸加工を施すことにより、耐熱性、耐衝撃性をさらに向上させたものが用いられる。基材フィルム1の厚さは特に限定されないが、5〜20μmのものが通常使用される。また、必要に応じてこれらの基材フィルム1に金属、または金属酸化物を蒸着して使用してもよい。必要に応じて基材フィルム1の表面および、または、裏面に印刷を施してもよい。
【0014】
本発明に係るレトルト食品包装用積層体を構成するヒートシール性フィルム3としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、高密度ポリエチレン等の無延伸ポリプロピレンフィルム(以下「CCP」ともいう。)が挙げられる。
これらの中で、プロピレン−エチレンブロック共重合体(以下「BPP」ともいう。)は、レトルト処理の120〜135℃の耐熱性を有し、ヒートシール温度が適度に低いため、プロピレン−エチレンブロック共重合体であるCCPを好適に用いることができる。
前記のCCPとしては、耐油性に優れた、結晶性の高いプロピレン−エチレンブロック共重合体を好適に用いることができる。
また、前記のCCPとしては、必要に応じ、プロピレン−エチレンブロック共重合体に、エチレン−ブテン−1共重合体等のゴム成分を添加した樹脂組成物から製膜したフィルムを用いることもできる。
【0015】
本発明に係るレトルト食品包装用積層体を構成するヒートシール性フィルム3は、本発明の好ましい態様において、ラミネート側の層31と食品に接する層32の2層構成とすることが必要であり、全層厚50〜100μmのものがよく、かつ、食品に接する層32の層厚みは2μm以上であることが好ましく、より好ましくは2〜10μmがよい。ただし、ヒートシール性フィルム3の全層に、フッ素系樹脂の粉末を含有すると、ラミネート強度が不充分になる。また、必要以上の層膜厚にすることは、フッ素系樹脂を余分に使用するため、経済的に劣る。
【0016】
前記の食品に接する層32に着油防止性、および、非粘着性を持たせる目的で、四フッ素化樹脂および/または少なくとも側鎖あるいは主鎖末端のいずれかに三フッ素化炭素構造を有する化合物を含有した微粉末を練り込んだポリプロピレン樹脂の組成物から製膜したフィルムを用いることが必要である。
上記フッ素化樹脂からなる微粉末は、フッ素系樹脂のオリゴマー微粉末、あるいは、アンチブロッキング剤の表面をフッ素系樹脂で液状コーティング後、乾燥して形成する組成物からなる微粉末でもよい。
【0017】
前記の食品に接する層32に練り込む微粉末に含有するフッ素系樹脂は、着油防止性、非粘着性、耐熱性に優れている。
本発明で使用されるフッ素系樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン(以下「PTFE」ともいう)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)等のものが市販されており、好適に用いることができる。中でも、代表的なフッ素化樹脂であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が、特に着油防止性、非粘着性、耐熱性に優れており、特に好適に用いることができる。
【0018】
前記の食品に接する層32に練り込むフッ素系樹脂からなる微粉末の粒径は、1〜15μm、好ましくは2〜4μmの粉末である。
前記のフッ素系樹脂からなる微粉末は、ポリプロピレン100重量部に対し、0.1〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部含有させるとよい。
含有量が0.1重量部未満では柚子肌適性が不充分であり、10重量部を超えるとヒートシール強度が不充分になり、また、経済的にも劣る。
【0019】
前記の食品に接する層32に添加するアンチブロッキング剤は、シリカ系、タルク系、ゼオライト系、ケイソウ土などの無機物からなる微粒子や、シリコ−ン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂などの有機物からなる微粒子である。
アンチブロッキング剤は、フィルムに添加することで、フィルム表面に凹凸形状を形成して接触面積を小さくし、フィルムの密着(ブロッキング)を防ぐ作用を持つ。
【0020】
また、前記の食品に接する層32に、前記のアンチブロッキング剤を練り込むだけでなく、脂肪酸アミド系のスリップ剤を用いることもできる。スリップ剤は、フィルムの表面に薄膜液状に析出して滑りの作用を持たせることもできる。
【0021】
本発明に係るレトルト食品包装用積層体においては、必要に応じ、他の機能性フィルム4を積層することができる。例えば、酸素バリアー層および衝撃吸収樹脂層の何れか一方または両方を設けることができる。また、これらの層を数層設けることもできる。酸素バリアー層としては、厚さ5〜9μmのアルミニウム箔を用いるのが一般的であるが、塩化ビニリデン樹脂のコーティング、アルミニウム、酸化アルミナ、酸化珪素等の無機物に蒸着を施したフィルムを用いることもできる。衝撃吸収樹脂層としては、ナイロンフィルムが好適に用いられる。ナイロンフィルムは、1軸延伸、2軸延伸または無延伸の何れのものであっても好適に用いることができる。衝撃吸収樹脂層の厚さは特に限定されないが、通常5〜40μm、好ましくは10〜30μmの範囲である。
【0022】
次に、本発明のヒートシール性フィルム3の製造方法について説明する。
【0023】
本発明のヒートシール性フィルム3を得るためには、CCPとフッ素系樹脂の微粉末を含有するCCPからなり、樹脂2種類を、例えば、共押出しによるフィルム成形法にて製造してもよく、フィルムラミネーション成形法にて製造してもよい。共押出しによるフィルム成形法としては、さらに具体的には、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等が挙げられ、フィルムラミネーション成形法としては、更に具体的にはドライラミネーション法が挙げられる。
【0024】
これらの成形法のうちでは、共押出によるフィルム成形法が好ましい。この共押出成形法では、フィルムラミネーション法のように、加工時に使用される接着剤中の溶剤を乾燥させる必要がなく、溶媒乾燥工程が不要であり、フィルムラミネーションと比較して生産性に優れる。
【0025】
レトルト食品包装用積層体10の各層を形成する樹脂には、本発明の目的の達成を阻害しない範囲で、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤のような公知の添加剤を随時添加することができる。各々のフィルムを貼合する接着剤は、ウレタン系接着剤が好適に使用されるが、公知のもので衛生的に支障のないものであればそれ以外の使用も可能である。
【0026】
次に、本発明において、レトルト食品包装用積層体10を使用して製袋ないし製函する方法について説明すると、例えば、包装用容器がプラスチックフィルム等からなる軟包装袋の場合、上記のような方法で製造したレトルト食品包装用積層体を使用し、ヒ−トシ−ル性フィルムの食品に接する層の面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね合わせ、更にその周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を設けて袋体を構成することができる。而して、その製袋方法としては、上記のレトルト食品包装用積層体を、ヒ−トシ−ル性フィルムの食品に接する層の面を対向させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、本発明にかかる種々の形態の包装用容器を製造することができる。その他、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)等も製造することが可能であり、更に、本発明においては、上記のレトルト食品包装用積層体を使用してチュ−ブ容器等も製造することができる。
【0027】
上記において、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。なお、本発明においては、上記のような包装用容器には、例えば、ワンピ−スタイプ、ツウ−ピ−スタイプ、その他等の注出口、あるいは開閉用ジッパ−等を任意に取り付けることができる。
【0028】
本発明において、上記のようにして製造したレトルト食品包装用袋は、極めて広範にわたる食品を密封、及び、殺菌することができる。
上記のレトルト食品包装用袋に充填し、密封するのに特に適する食品の例としては、カレー、シチューなどのレトルト食品、味噌等の調味料、こんにゃく、ちくわ、蒲鉾等の練り製品、ハム、ソーセージ等の燻製製品、ミートボール、ハンバーグ等の調理済み食品、水産加工製品、漬物、佃煮、嗜好品等の液状ないし粘体状の飲食品である。
【0029】
本発明において、上記のようにして製造したレトルト食品包装用袋に、食品を充填包装した包装体を、例えば、レトルト釜に入れ、温度200℃、圧力2kg/cm2 で30分間レトルト処理して、過酷な殺菌処理を行っても、袋表面に微細な凹凸を発生することなく、外観に優れ、衛生的で、開口性にも優れ、食品を取り出しやすい包装製品を得ることができるものである。
【0030】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明を説明する。
【0031】
(実施例1)表1のポリプロピレン系樹脂と、粒径2μmのポリテトラフルオロエチレンワックスを、表1に示す割合で添加し、押出機(口径150mmΦ、75mmΦ)を用い、Tダイにおける温度250℃にて、表1におけるラミネート側の層(A)の樹脂を150mmΦ、食品に接する層(B)の樹脂を75mmΦで、表1の層比になるようTダイより溶融共押し出しを行なって、ヒートシール性フィルム3である厚さ70μmのCPPを得た。
【0032】
厚み12μmの二軸延伸PETフィルム(基材フィルム1)にウレタン系印刷インキ4色(墨、紅、藍、黄)を用いてグラビア印刷を施し、印刷した絵柄層側に、2液硬化型ウレタン系の接着剤2を塗布量が3.5g/m2になるよう塗布し、厚み7μmのアルミニウム箔(機能フィルム4)を順に、ドライラミネーションした。
更に、上記で得られた厚み70μmのCPPフィルム(ヒートシール性フィルム3)をドライラミネーションで積層し、PETフィルム/グラビア印刷層/接着剤層/アルミニウム箔/接着剤層/ヒートシール性フィルムからなる積層体10を得た。なお、この工程において、通常工程で行うダスティング剤による処理を施さなかった。
【0033】
本発明の実施例での樹脂の種類を示す。
アルミニウム箔:JIS 1N30(日本製箔(株)製)
PETフィルム:商品名「ルミラー P60 」(東レ(株)製)
ウレタン接着剤:商品名「A515/A50」(三井武田ケミカル(株)製)
【0034】
(比較例1) 厚み12μmの二軸延伸PETフィルム(基材フィルム1)にウレタン系印刷インキ4色(墨、紅、藍、黄)を用いてグラビア印刷を施し、印刷した絵柄層側に、2液硬化型ウレタン系の接着剤2を塗布量が3.5g/m2になるよう塗布し、厚み7μmのアルミニウム箔(機能フィルム4)を順に、ドライラミネーションした。更に、表1のエチレン−プロピレンブロック共重合体からなる、厚み70μmのCPPフィルム(ヒートシール性フィルム3)をドライラミネーションで積層し、PETフィルム/グラビア印刷層/接着剤層/アルミニウム箔/接着剤層/ヒートシール性フィルムからなる積層体10を得た。
なお、この工程において、通常工程で行うダスティング剤による処理を施さなかった。また、ポリプロピレン樹脂を製造する工程において、ポリテトラフルオロエチレンワックスは、添加しなかった。
【0035】
(比較例2) 表1のポリプロピレン樹脂と、粒径2μmのポリテトラフルオロエチレンワックスを、表1に示す割合で添加し、実施例1と同様、ヒートシール性フィルムである厚さ70μmのCPPを得た。
【0036】
厚み12μmの二軸延伸PETフィルム(基材フィルム1)にウレタン系印刷インキ4色(墨、紅、藍、黄)を用いてグラビア印刷を施し、印刷した絵柄層側に、2液硬化型ウレタン系の接着剤2を3.5g/m2になるよう塗布し、厚み7μmのアルミニウム箔(機能フィルム4)を順に、ドライラミネーションした。
更に、上記で得られた厚み70μmのCPPフィルム(ヒートシール性フィルム3)をドライラミネーションで積層し、PETフィルム/グラビア印刷層/接着剤層/アルミニウム箔/接着剤層/ヒートシール性フィルムからなる積層体10を得た。なお、この工程において、通常工程で行うダスティング剤による処理を施さなかった。
【0037】
【表1】
Figure 0004090727
【0038】
(実験1:柚子肌適性試験)
実施例1および比較例1〜2で得られた積層体10を、130mm×170mmの大きさに2枚切り取り、CPPを相対向するように配置し、縦2辺、横1辺を10mm幅で熱圧着(条件200℃、2kg/cm2、0.5秒)し、食品包装用積層袋を得た。次いで、カレー150gを充填し、120℃で、30分のレトルト殺菌を実施した。
【0039】
レトルト殺菌を実施し、冷却後、積層体10の表面における柚子肌の発生状態を目視で、以下の基準を設け、良好、不良の2段階で評価した。結果を表2に示す。
良好・・・柚子肌の発生が全く観察されず、表面状態が良好
不良・・・柚子肌の発生が全面に観察され、表面状態が不良
【0040】
(実験2:内容物取り出しやすさ)
実施例1および比較例1〜2で得られた積層体10を、130mm×170mmの大きさに2枚切り取り、CPPを相対向するように配置し、縦2辺、横1辺を10mm幅で熱圧着(条件200℃、2kg/cm2、0.5秒)し、シール部にノッチを入れ、食品包装用袋を得た。ここで、ノッチとはカットの切り口である。次いで、カレー150gを充填し、開口辺を熱圧着(条件200℃、2kg/cm2、0.5秒)し、120℃で、30分のレトルト殺菌を実施した。
【0041】
レトルト殺菌を実施した後、ノッチ部の両端を両手で持ち、前後に引っ張りながら引き裂き、カット面を下にして食品包装用袋から内容物を取り出した。食品包装用袋からの内容物の取り出し易さを、以下の基準を設け、良好、不良の2段階で評価した。結果を表2に示す。
良好・・・内容物が、食品包装用袋の内面に付着していない(残留物なし)
不良・・・内容物が、食品包装用袋の内面に付着している(残留物あり)
【0042】
(実験3:ヒートシール強度試験)
実施例1および比較例1〜2で得られた積層体を、130mm×170mmの大きさに2枚切り取り、CPPを相対向するように配置し、縦2辺、横1辺を10mm幅で熱圧着(条件200℃、2kg/cm2、0.5秒)して食品包装様積層袋を得た。次いで、カレー150gを充填し、120℃で、30分のレトルト殺菌を実施した。
【0043】
レトルト殺菌を実施した後、MD方向、および、TD方向のヒートシール強度をそれぞれ測定した。ここで、MD方向とは、プロピレン−エチレンブロック共重合体を主成分とする樹脂組成物を押出し成形する時のフィルムの送り方向である。TD方向は、MD方向と直角の方向である。MD方向のヒートシール強度は、レトルト食品包装用袋の縦辺のヒートシール部を含んだ試験片を幅15mmで切出し、これをMD方向と平行に、引張ることによって測定される。また、TD方向のヒートシール強度は、横辺のヒートシール部を含んだ試験片を幅15mmで切り出し、これをTD方向と平行に引張ることによって測定される。したがって、長さ10mm、幅15mmのシール部を、長さ方向に沿って引っ張った時のシール強度が測定される。
【0044】
ヒートシール強度は、引張試験機(オリエンテック社製)を用いて、300mm/分の引張速度で測定した。結果を表2に示す。なお、表2中には、15mm当たりのヒートシール強度(単位:g/15mm)を記載した。
【0045】
(実験4:開口性試験)
実施例1および比較例1〜2で得られた積層体10を、130mm×170mmの大きさに2枚切り取り、CPPを相対向するように配置し、縦2辺、横1辺を10mm幅で熱圧着(条件200℃、2kg/cm2、0.5秒)し、レトルト食品包装用袋を得た。
【0046】
開口性は、レトルト食品包装用袋の開口部を指で開き、下記基準に従い、良好、不良の2段階で評価した。結果を表2に示す。
良好…指で容易に開く
不良…フィルム表面にベタツキを生じ、ブロッキングが発生している
【0047】
(実験5:落袋試験)実施例1および比較例1〜2で得られた積層体を、130mm×170mmの大きさに2枚切り取り、CPPを相対向するように配置し、縦2辺、横1辺を10mm幅で熱圧着(条件200℃、2kg/cm2、0.5秒)してレトルト食品包装用袋を得た。次いで、カレー150gを充填し、120℃、30分でレトルト殺菌を実施した。
【0048】
レトルト殺菌を実施した後、3℃にて一週間冷蔵保存した。冷蔵保存後のサンプルを130mmの面が下になるようにして、コンクリートの床上150cmの高さから、連続で10回の垂直落下を行った後、破袋の有無を確認した。結果を表2に示す。なお、表2中には、破袋数/n(n:落袋試験に用いた袋の数)を記載した。
【0049】
(実験結果)
【表2】
Figure 0004090727
【0050】
表2に示した実験1〜5の結果から明らかなように、本発明のレトルト食品包装用積層体から得られた袋は、耐熱性、耐寒衝撃性を保持しつつ、従来品に比して、レトルトパウチの表面に微細な凹凸の発生もなく、外観に優れ、また、開口性、食品衛生性、簡便性(内容物取り出し易さ)にも優れており、産業上寄与すること大である。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のレトルト食品包装用積層体によれば、本発明のヒートシール性フィルムに、上述したようなフッ素化炭素構造を有する化合物の微粉末を練り込んだ樹脂組成物を製膜したヒートシール性フィルムを使用することにより、食品に接する層の表面の着油性が防止される。
このため、加熱殺菌の際発生する、表面の微細な凹凸による外観不良、いわゆる柚子肌を防止した積層体を提供することができる。
【0052】
また、本発明のヒートシール性フィルムの製膜工程において、ダスティング工程を施さないため、衛生的なレトルト食品包装用積層体を提供することができる。
【0053】
また、本発明のレトルト食品包装用積層体の食品に接する層が、離形性能に非常に優れているため、フィルム開口性に優れたレトルト食品包装用袋を提供することができる。
【0054】
本発明のレトルト食品包装用積層体の食品に接する層が、非粘着性であるため、消費者が、上記のような内容物を袋から取り出す際、内容物をスムーズに取り出すことができるレトルト食品包装用袋を提供できる。
【0055】
以上説明したように、本発明のヒートシール性フィルムを基材フィルムに積層して使用することにより、寒冷地での保存・流通においても問題なく、耐柚子肌性、開口性、食品衛生性に非常に優れ、しかも、消費者が内容物を取り出しやすいレトルト食品包装用袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレトルト食品包装用積層体の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の別態様のレトルト食品包装用積層体の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の更に別態様のレトルト食品包装用積層体の一例を示す断面図である。
【図4】本発明のなおまた別態様のレトルト食品包装用積層体の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基材フィルム
11 印刷層
2 接着剤層
3 ヒートシール性フィルム
31 ラミネート側の層
32 食品に接する層
33 フッ素系樹脂の微粒子
4 機能性フィルム
41 二軸延伸ナイロンフィルム
42 アルミニウム箔
10 レトルト食品包装用積層体

Claims (3)

  1. 少なくともプロピレン樹脂を主成分とする樹脂組成物によるヒートシール性フィルムと基材フィルムとからなる積層体を、前記のヒートシール性フィルムが内側となるように袋状に形成した食品包装用袋において、前記のプロピレン樹脂を主成分とする樹脂組成物は、ラミネート側の層(A)と食品に接する層(B)の少なくとも2層の構成からなり、食品に接する層(B)にフッ素系樹脂の微粉末を含み、かつ、前記の食品に接する層(B)が、フッ素系樹脂の微粉末を、プロピレン樹脂100重量部に対し、0.1〜10重量部の割合で含む樹脂からなることを特徴とするレトルト食品包装用積層体。
  2. 前記のフッ素系樹脂が、四フッ素化樹脂および/または少なくとも側鎖あるいは主鎖末端のいずれかに三フッ素化炭素構造を有する化合物からなることを特徴とする請求項1記載のレトルト食品包装用積層体。
  3. 前記のヒートシール性フィルムが、ラミネート側の層(A)と食品に接する層(B)の少なくとも2層の共押出しによる多層フィルムからなることを特徴とする請求項1または2記載のレトルト食品包装用積層体。
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