JP6497175B2 - 刃先回転式切削工具及び工具本体 - Google Patents
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Description
刃先回転式切削工具は、工具本体と、切削インサートと、を有している。切削インサートは、円板状をなし、インサート軸線回りに延びる円形状の切れ刃を有している。工具本体は、切削インサートがインサート軸線回りに回転可能(回転自在)に装着されるインサート取付座を有している。
これにより、切れ刃の所定部分のみが連続的に切削に供されることを抑制して、該切れ刃の部分的な切れ味の低下や刃先欠損等を防止している。
特許文献1では、切削インサートにタービンを連結しているため、構造が複雑であり、また構成部品が大きくなるため、工具を小型化することが難しい。
また、タービンに対してクーラントを噴出しているので、切削インサートを冷却する効果は得られにくい。また、切れ刃に対してクーラントを安定供給することが難しい。
すなわち本発明は、円板状をなし、インサート軸線回りに延びる円形状の切れ刃を有する切削インサートと、前記切削インサートが前記インサート軸線回りに回転可能に装着されるインサート取付座を有する工具本体と、を備えた刃先回転式切削工具であって、前記工具本体には、前記切削インサートの外周面に向けて開口する貫通孔が形成され、前記切削インサートを前記インサート軸線方向から見て、前記貫通孔の開口部の中心軸が、前記切削インサートの外周面に交差し、かつ、前記インサート軸線上を通らないように配置されることを特徴とする。
また本発明は、円板状をなし、インサート軸線回りに延びる円形状の切れ刃を有する切削インサートと、前記切削インサートが前記インサート軸線回りに回転可能に装着されるインサート取付座を有する工具本体と、を備えた刃先回転式切削工具であって、前記工具本体には、前記切削インサートの外周面に向けて開口する貫通孔が形成され、前記切削インサートの表面及び裏面のうち表面と、前記外周面との交差稜線に、前記切れ刃が形成され、前記貫通孔の開口部の中心軸が、該開口部から前記切削インサートに向かうに従い漸次前記インサート軸線方向の裏面から表面側へ向けて延びていることを特徴とする。
また本発明は、円板状をなし、インサート軸線回りに延びる円形状の切れ刃を有する切削インサートと、前記切削インサートが前記インサート軸線回りに回転可能に装着されるインサート取付座を有する工具本体と、を備えた刃先回転式切削工具であって、前記工具本体には、前記切削インサートの外周面に向けて開口する貫通孔が形成され、前記工具本体は、工具軸線回りに回転させられ、前記切削インサートを前記インサート軸線方向から見て、このインサート軸線に対して、前記貫通孔の開口部が、前記工具軸線に直交する工具径方向の内側に配置されることを特徴とする。
また本発明は、円板状をなし、インサート軸線回りに延びる円形状の切れ刃を有する切削インサートと、前記切削インサートが前記インサート軸線回りに回転可能に装着されるインサート取付座を有する工具本体と、を備えた刃先回転式切削工具であって、前記工具本体には、前記切削インサートの外周面に向けて開口する貫通孔が形成され、前記工具本体は、工具軸線回りに回転させられ、前記切削インサートを前記インサート軸線方向から見て、このインサート軸線に対して、前記貫通孔の開口部が、前記工具軸線に直交する工具径方向の外側に配置されることを特徴とする。
また、本発明の工具本体は、上述した刃先回転式切削工具に用いられることを特徴としている。
本発明の刃先回転式切削工具及びその工具本体によれば、工具本体に形成された貫通孔が、該工具本体のインサート取付座に装着される切削インサートの外周面に向けて、開口している。
このため、工具本体の貫通孔の内部に、例えば液体やガス等の流体を流通させて、貫通孔の開口部から切削インサートの外周面に向けて噴出させることができる。なお、この流体としては、クーラント(油性又は水溶性の切削液剤)を用いることが好ましいが、それ以外の流体であってもよい。
また、このように切削インサートの従動回転をアシストすることによって、該切削インサートの回転数を安定的に高めることができる。これにより、切削加工の加工速度を高めることが可能になり、加工能率が向上する。
詳しくは、切削インサートの外周面は、切削加工時においては逃げ面として機能する。このため、本発明によれば、クーラントを逃げ面から切れ刃へ向けて供給することができる。つまり、切削加工時においては、切れ刃に切削されて生じた切屑が、切削インサートのすくい面上を流れていくため、すくい面から切れ刃へ向けたクーラントの供給については、切屑により妨げられやすくなるが、逃げ面から切れ刃へ向けたクーラントの供給については、切屑により妨げられることはない。
従って、切れ刃にクーラントを安定して供給することが可能になる。またこれにより、切れ刃の刃先欠損、溶着、摩耗等を顕著に抑制でき、工具寿命を延長できるとともに、切削加工の精度を安定的に高品位に維持することができる。
つまり、貫通孔から噴出させられる流体の噴出方向が、該貫通孔の開口部と、切削インサートのインサート軸線とを結ぶ仮想直線上に一致しないようにされているので、切削インサートの外周面に流体が衝突したときに、この切削インサートに対して、インサート軸線回りのインサート周方向のうち、必ず所定方向に向けて回転力が付与されるようになっている。
従って、この回転力によって、切削インサートの従動回転を安定してアシストすることが可能になる。
従って、上述した本発明の作用効果が、より顕著なものとなりやすい。
すなわち、例えば、切れ刃の工具先端側の端部(の刃先接線)におけるラジアルレーキ角(径方向すくい角、外周すくい角)が、正(ポジティブ)角に設定されたときには、ラジアルレーキ角が負(ネガティブ)角に設定された場合とは、切削インサートの従動回転の向き(インサート軸線回りの回転方向)が、逆回転となる場合がある。このような場合に、上記構成を用いることによって、切削インサートの従動回転を簡単な構造により確実にアシストすることができる。
また、本発明の刃先回転式切削工具において、前記貫通孔の開口部の中心軸が、前記インサート軸線に垂直な仮想平面に沿って延びていることとしてもよい。
この場合、貫通孔の開口部から噴出した流体が切削インサートの外周面に衝突させられて生じるインサート軸線回りの回転力が、最も大きくなりやすく、よって切削インサートの従動回転をアシストする効果が、より格別顕著なものとなる。
また、本発明の刃先回転式切削工具において、前記切削インサートを前記インサート軸線方向から見て、前記切れ刃のうち前記工具軸線方向の工具先端側の端部と、前記インサート軸線上と、を結ぶ仮想直線を第1の仮想直線とし、前記貫通孔の開口部の中心軸と前記切削インサートの外周面の交差点と、前記インサート軸線上と、を結ぶ仮想直線を第2の仮想直線として、前記第1の仮想直線と前記第2の仮想直線との間に形成される中心角θが、0〜150°であることが好ましい。
この場合、貫通孔の開口部から噴出した流体が、切削インサートの外周面のうち、インサート軸線よりも工具径方向の内側に位置する領域を流れて(回り込んで)、切れ刃の工具先端側の端部近傍にまで到達しやすくなる。つまり、切削加工時には、切り込み量の大小に係わらず、切れ刃の工具先端側の端部が切削に供されることとなるが、上記構成によれば、この端部近傍に安定して流体を送り込むことができる。
具体的には、上記中心角θが150°以下であるので、貫通孔の開口部から噴出した流体を、切削インサートの外周面においてインサート軸線よりも工具径方向の内側に位置する領域に確実に流しつつ、切れ刃の工具先端側の端部まで送り込むことができる。
なお、上記中心角θが0°のとき、切削インサートをインサート軸線方向から見たインサート正面視において、貫通孔の開口部の中心軸(の延長線)と、切削インサートの外周面との交差点が、切れ刃の工具先端側の端部に一致させられることになる。つまり、切れ刃の工具先端側の端部に対して、流体を直接的に供給できる。
このような構成とするには、例えば、貫通孔の開口部の中心軸を、工具軸線に直交する工具径方向に沿って延ばして、切れ刃の工具先端側の端部上を通せばよい。
以下、本発明の第1実施形態に係る刃先回転式ミーリング工具(刃先回転式切削工具)1について、図1〜図4を参照して説明する。
図1〜図4に示されるように、本実施形態の刃先回転式ミーリング工具1は、鋼材等で形成された工具本体2と、超硬合金等の硬質材料で形成された切削インサート3と、を備えており、工具軸線O回りに回転させられる工具本体2の先端外周部に形成されたインサート取付座4に、円板状をなす切削インサート3がそのインサート軸線C回りに回転可能(回転自在)とされて、着脱可能に装着される。
切削インサート3は、インサート軸線C回りに延びる円形状の切れ刃5を有する、所謂丸駒インサートである。インサート取付座4に取り付けられた切削インサート3は、その切れ刃5が、工具本体2の先端側及び径方向外側に突出して配置される。
この刃先回転式ミーリング工具1は、切削インサート3が被削材に切り込んで加工する際に切れ刃5が受ける力(切削力又は切削抵抗であり、刃先力又はエッジフォースの成分を含む)によって、インサート取付座4に対して該切削インサート3がインサート軸線C回りに従動(受動)的に回転する、ロータリーミーリング工具である。
本明細書においては、工具本体2の工具軸線O方向のうち、シャンク部からインサート取付座4へ向かう方向を工具先端側(図3及び図4における下側)といい、インサート取付座4からシャンク部へ向かう方向を工具基端側(図3及び図4における上側)という。
また、工具軸線Oに直交する方向を工具径方向といい、工具径方向のうち、工具軸線Oに接近する向きを工具径方向の内側といい、工具軸線Oから離間する向きを工具径方向の外側という。
また、工具軸線O回りに周回する方向を工具周方向といい、工具周方向のうち、切削時に工作機械の主軸等により工具本体2が回転させられる向きを工具回転方向Tといい、これとは反対の回転方向を、工具回転方向Tとは反対側(反工具回転方向)という。
また、インサート軸線Cに直交する方向をインサート径方向といい、インサート径方向のうち、インサート軸線Cに接近する向きをインサート径方向の内側といい、インサート軸線Cから離間する向きをインサート径方向の外側という。
また、インサート軸線C回りに周回する方向をインサート周方向という。
図1〜図4において、工具本体2は、円柱状又は円盤状をなしており、その中心軸である工具軸線O回りに、工作機械の主軸等により回転させられる。本実施形態の例では、工具本体2は円柱状をなしており、該工具本体2の先端部(刃部)に比べて、該先端部以外の部位(シャンク部)が大径に形成されている。
これらチップポケット6において、工具回転方向Tを向く壁面には、切削インサート3が着脱可能に装着されるインサート取付座4がそれぞれ設けられている。また、チップポケット6には、インサート取付座4に装着された切削インサート3に向けて、貫通孔8が開口している。
インサート取付座4は、チップポケット6の工具回転方向Tを向く壁面に形成された取付面4aと、取付面4aに開口する支持軸装着孔(不図示)と、取付面4a上に設けられる円板状のシート部材4bと、支持軸装着孔に装着されるとともに、切削インサート3の取付孔(不図示)及びシート部材4bの孔(不図示)に挿通され、切削インサート3をインサート軸線C回りに回転可能に支持する支持軸4cと、を備えている。
図4に示される工具本体2の側面視(インサート取付座4の側面視)で、取付面4aは、工具先端側へ向かうに従い漸次工具回転方向Tとは反対側へ向けて傾斜している。
また、図2に示される工具本体2の正面視で、取付面4aは、工具径方向外側へ向かうに従い漸次工具回転方向Tとは反対側へ向けて傾斜している。
本実施形態の例では、シート部材4bが複数設けられており、これらのシート部材4b同士がインサート軸線C方向に重ねられて、取付面4aと切削インサート3との間に介装されている。なお、これらのシート部材4bのうち、少なくとも切削インサート3の裏面10に当接させられるシート部材4bは、該切削インサート3及び取付面4aに対して、インサート軸線C回りに回転可能であることが好ましい。
切削インサート3は、インサート軸線Cに交差する(インサート軸線Cに略直交する)表面9及び裏面10と、これら表面9及び裏面10の周縁同士を接続する外周面11と、表面9と外周面11との交差稜線に形成される切れ刃5と、を有している。
なお、本明細書でいう「インサート軸線Cに交差する表面9及び裏面10」とは、インサート軸線Cが直接的に表面9及び裏面10に交差している構成に限らず、本実施形態のように、インサート軸線Cが表面9及び裏面10に開口する取付孔内に位置しつつも、該インサート軸線Cがこれら表面9及び裏面10の中心(仮想中心)を貫いている構成を含んでいる。
また、切削インサート3には、インサート軸線C上を延びて表面9及び裏面10に開口する取付孔(不図示)が形成されている。
工具本体2に形成される貫通孔8は、該工具本体2の内部を工具軸線O方向に沿うように延びて形成されているとともに、該工具本体2を貫通している。貫通孔8は、その基端部が、工具本体2のシャンク部に装着される工作機械の主軸等を通して不図示の流体供給手段に接続し、その先端部が、チップポケット6に開口する。
つまり、本実施形態の工具本体2には、切削インサート3の外周面11に向けて開口する貫通孔8が形成されている。
なお、本実施形態においては、上記流体はクーラント(油性又は水溶性の切削液剤)であり、上記流体供給手段はクーラント供給手段である。
また、このインサート正面視で、インサート軸線Cに対して、貫通孔8の開口部8cが、工具径方向の内側に配置されている。
以上説明した本実施形態の刃先回転式ミーリング工具1では、切削加工時において、切削インサート3が切れ刃5で被削材に切り込み、この際に被削材から受ける力によって、切削インサート3はインサート取付座4に対してインサート軸線C回りに従動回転させられる。
本実施形態の刃先回転式ミーリング工具1及びその工具本体2によれば、工具本体2に形成された貫通孔8が、該工具本体2のインサート取付座4に装着される切削インサート3の外周面11に向けて、開口している。
このため、工具本体2の貫通孔8の内部に、例えば液体やガス等の流体を流通させて、貫通孔8の開口部8cから切削インサート3の外周面11に向けて噴出させることができる。なお、この流体としては、本実施形態のようにクーラントを用いることが好ましいが、それ以外の流体であってもよい。
また、このように切削インサート3の従動回転をアシストすることによって、該切削インサート3の回転数を安定的に高めることができる。これにより、切削加工の加工速度を高めることが可能になり、加工能率が向上する。
詳しくは、切削インサート3の外周面11は、切削加工時においては逃げ面として機能する。このため、本実施形態によれば、クーラントを逃げ面から切れ刃5へ向けて供給することができる。つまり、切削加工時においては、切れ刃5に切削されて生じた切屑が、切削インサート3のすくい面上を流れていくため、すくい面から切れ刃5へ向けたクーラントの供給については、切屑により妨げられやすくなるが、逃げ面から切れ刃5へ向けたクーラントの供給については、切屑により妨げられることはない。
従って、切れ刃5にクーラントを安定して供給することが可能になる。またこれにより、切れ刃5の刃先欠損、溶着、摩耗等を顕著に抑制でき、工具寿命を延長できるとともに、切削加工の精度を安定的に高品位に維持することができる。
つまり、貫通孔8から噴出させられる流体の噴出方向が、該貫通孔8の開口部8cと、切削インサート3のインサート軸線Cとを結ぶ仮想直線上に一致しないようにされているので、切削インサート3の外周面11に流体が衝突したときに、この切削インサート3に対して、インサート軸線C回りのインサート周方向のうち、必ず所定方向に向けて回転力が付与されるようになっている。なお、本実施形態において前記所定方向は、図3の切削インサート3上に白抜き矢印で示される向きである。
従って、この回転力によって、切削インサート3の従動回転を安定してアシストすることが可能になる。
すなわちこの場合、貫通孔8の開口部8cから切削インサート3の外周面11へ向けて噴出させられた流体が、該外周面11に衝突した後、そのまま切れ刃5へ向けて流れやすくなる。従って、切れ刃5近傍を冷却する効果や、切れ刃5にクーラントを安定供給できるという効果が、より格別顕著なものとなる。
従って、上述した本実施形態の作用効果が、より顕著なものとなる。
すなわちこの場合、貫通孔8の開口部8cから噴出した流体が、切削インサート3の外周面11のうち、インサート軸線Cよりも工具径方向の内側に位置する領域を流れて(回り込んで)、切れ刃5の工具先端側の端部5a近傍にまで到達しやすくなる。つまり、切削加工時には、切り込み量の大小に係わらず、切れ刃5の工具先端側の端部5aが切削に供されることとなるが、上記構成によれば、この端部5a近傍に安定して流体を送り込むことができる。
このような構成とするには、特に図示していないが例えば、貫通孔8の開口部8cの中心軸Lを、工具軸線Oに直交する工具径方向に沿って延ばして、切れ刃5の工具先端側の端部5a上を通せばよい。
従って、貫通孔8の開口部8cから噴出させられた流体が、さらにこの溝部8d上を流れながら切削インサート3の外周面11に強制的に接触させられて、切削インサート3の従動回転を効果的にアシストでき、冷却効果をより高めることができる。
つまり、溝部8dを形成するという簡単な構造によって、上述した本実施形態の効果をさらに格別顕著なものとすることができる。
そして、このように工具本体2の先端部に1つのインサート取付座4が設けられ、該インサート取付座4に、1つの切削インサート3がインサート軸線C回りに回転可能とされて装着された刃先回転式切削工具を、刃先回転式ターニング工具1として、被削材のターニング加工(旋削加工)に用いることが可能である。なお、この場合、刃先回転式ターニング工具1の工具本体2は、工具軸線Oに垂直な断面が例えば四角形状等とされた、多角形柱状に形成されることが好ましい。
つまり本発明は、刃先回転式ミーリング工具1のみならず、刃先回転式ターニング工具1を含めた刃先回転式切削工具において、適用可能である。
次に、本発明の第2実施形態に係る刃先回転式ミーリング工具30について、図9〜図12を参照して説明する。
なお、前述の実施形態と同じ構成要素については詳細な説明を省略し、主として異なる点についてのみ、下記に説明する。
図9〜図12に示されるように、本実施形態の刃先回転式ミーリング工具30は、前述の実施形態で説明した刃先回転式ミーリング工具1とは、貫通孔8の開口部8c(枝孔8b)が異なっている。
本実施形態の刃先回転式ミーリング工具30においても、前述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
これにより、切削インサート3を安定して従動回転させることができ、切削インサート3の冷却効果を高めることができ、切れ刃5にクーラントを安定供給することができる、という本発明による作用効果が、より格別顕著なものとなる。
そして、このように工具本体2の先端部に1つのインサート取付座4が設けられ、該インサート取付座4に、1つの切削インサート3がインサート軸線C回りに回転可能とされて装着された刃先回転式切削工具を、刃先回転式ターニング工具30として、被削材のターニング加工(旋削加工)に用いることが可能である。なお、この場合、刃先回転式ターニング工具30の工具本体2は、工具軸線Oに垂直な断面が例えば四角形状等とされた、多角形柱状に形成されることが好ましい。
つまり本発明は、刃先回転式ミーリング工具30のみならず、刃先回転式ターニング工具30を含めた刃先回転式切削工具において、適用可能である。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
すなわち、特に図示していないが、貫通孔8の開口部8cの中心軸Lが、インサート軸線Cに垂直な仮想平面に沿って(仮想平面上を)延びていることとしてもよい。この場合、貫通孔8の開口部8cから噴出した流体が切削インサート3の外周面11に衝突させられて生じるインサート軸線C回りの回転力が、最も大きくなりやすく、よって切削インサート3の従動回転をアシストする効果が、より格別顕著なものとなる。
すなわち、工具本体2が工具軸線O回りに回転させられる刃先回転式ミーリング工具1、30において、切削インサート3をインサート軸線C方向から見て、このインサート軸線Cに対して、貫通孔8の開口部8cが、工具径方向の外側に配置されることとしてもよい。
すなわち、例えば、切れ刃5の工具先端側の端部5a(の刃先接線)におけるラジアルレーキ角(径方向すくい角、外周すくい角)が、正(ポジティブ)角に設定されたときには、図2等に示されるようにラジアルレーキ角が負(ネガティブ)角に設定された場合とは、切削インサート3の従動回転の向き(インサート軸線C回りの回転方向)が、逆回転となる場合がある。このような場合に、上記構成を用いることによって、切削インサート3の従動回転を簡単な構造により確実にアシストすることができる。
すなわち、インサート正面視において、貫通孔8の開口部8cの中心軸Lが、工具軸線Oに対して平行に延びていることとしてもよい。
すなわち、切削インサート3は、その外周面11が、切れ刃5からインサート軸線C方向の表面9から裏面10側へ向かうに従い漸次拡径するように形成された、上記とは異なる形状のネガティブインサートであってもよい。或いは、切削インサート3は、その外周面11が、切れ刃5からインサート軸線C方向の表面9から裏面10側へ向かうに従い漸次縮径するように形成された、ポジティブインサートであってもよい。
2 工具本体
3 切削インサート
4 インサート取付座
5 切れ刃
5a 切れ刃の工具先端側の端部
8 貫通孔
8c 開口部
9 表面
10 裏面
11 外周面
C インサート軸線
CP 交差点
L 貫通孔の開口部の中心軸
O 工具軸線
VL1 第1の仮想直線
VL2 第2の仮想直線
θ 中心角
Claims (10)
- 円板状をなし、インサート軸線回りに延びる円形状の切れ刃を有する切削インサートと、
前記切削インサートが前記インサート軸線回りに回転可能に装着されるインサート取付座を有する工具本体と、を備えた刃先回転式切削工具であって、
前記工具本体には、前記切削インサートの外周面に向けて開口する貫通孔が形成され、
前記切削インサートを前記インサート軸線方向から見て、前記貫通孔の開口部の中心軸が、前記切削インサートの外周面に交差し、かつ、前記インサート軸線上を通らないように配置されることを特徴とする刃先回転式切削工具。 - 円板状をなし、インサート軸線回りに延びる円形状の切れ刃を有する切削インサートと、
前記切削インサートが前記インサート軸線回りに回転可能に装着されるインサート取付座を有する工具本体と、を備えた刃先回転式切削工具であって、
前記工具本体には、前記切削インサートの外周面に向けて開口する貫通孔が形成され、
前記切削インサートの表面及び裏面のうち表面と、前記外周面との交差稜線に、前記切れ刃が形成され、
前記貫通孔の開口部の中心軸が、該開口部から前記切削インサートに向かうに従い漸次前記インサート軸線方向の裏面から表面側へ向けて延びていることを特徴とする刃先回転式切削工具。 - 請求項1に記載の刃先回転式切削工具であって、
前記貫通孔の開口部の中心軸が、前記インサート軸線に垂直な仮想平面に沿って延びていることを特徴とする刃先回転式切削工具。 - 円板状をなし、インサート軸線回りに延びる円形状の切れ刃を有する切削インサートと、
前記切削インサートが前記インサート軸線回りに回転可能に装着されるインサート取付座を有する工具本体と、を備えた刃先回転式切削工具であって、
前記工具本体には、前記切削インサートの外周面に向けて開口する貫通孔が形成され、
前記工具本体は、工具軸線回りに回転させられ、
前記切削インサートを前記インサート軸線方向から見て、このインサート軸線に対して、前記貫通孔の開口部が、前記工具軸線に直交する工具径方向の内側に配置されることを特徴とする刃先回転式切削工具。 - 請求項4に記載の刃先回転式切削工具であって、
前記切削インサートを前記インサート軸線方向から見て、
前記切れ刃のうち前記工具軸線方向の工具先端側の端部と、前記インサート軸線上と、を結ぶ仮想直線を第1の仮想直線とし、
前記貫通孔の開口部の中心軸と前記切削インサートの外周面の交差点と、前記インサート軸線上と、を結ぶ仮想直線を第2の仮想直線として、
前記第1の仮想直線と前記第2の仮想直線との間に形成される中心角θが、0〜150°であることを特徴とする刃先回転式切削工具。 - 円板状をなし、インサート軸線回りに延びる円形状の切れ刃を有する切削インサートと、
前記切削インサートが前記インサート軸線回りに回転可能に装着されるインサート取付座を有する工具本体と、を備えた刃先回転式切削工具であって、
前記工具本体には、前記切削インサートの外周面に向けて開口する貫通孔が形成され、
前記工具本体は、工具軸線回りに回転させられ、
前記切削インサートを前記インサート軸線方向から見て、このインサート軸線に対して、前記貫通孔の開口部が、前記工具軸線に直交する工具径方向の外側に配置されることを特徴とする刃先回転式切削工具。 - 請求項4〜6のいずれか一項に記載の刃先回転式切削工具であって、
前記切削インサートを前記インサート軸線方向から見て、
前記貫通孔の開口部の中心軸が、前記工具軸線方向の工具先端側へ向かうに従い漸次前記工具径方向の内側へ向けて延びていることを特徴とする刃先回転式切削工具。 - 請求項4〜6のいずれか一項に記載の刃先回転式切削工具であって、
前記切削インサートを前記インサート軸線方向から見て、
前記貫通孔の開口部の中心軸が、前記工具軸線方向の工具先端側へ向かうに従い漸次前記工具径方向の外側へ向けて延びていることを特徴とする刃先回転式切削工具。 - 請求項4〜6のいずれか一項に記載の刃先回転式切削工具であって、
前記切削インサートを前記インサート軸線方向から見て、
前記貫通孔の開口部の中心軸が、前記工具軸線に対して平行に延びていることを特徴とする刃先回転式切削工具。 - 請求項1〜9のいずれか一項に記載の刃先回転式切削工具に用いられることを特徴とする工具本体。
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