以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動支払機及び紙幣出金機の構成]
図1に外観を示すように、現金自動支払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、利用者(すなわち金融機関の顧客)との間で出金処理等の現金に関する取引を行うようになっている。
筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の取り出しやタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。顧客応対部3は、顧客との間で例えば現金やカード等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされており、カード入出口4、筐体出金口5、操作表示部6、テンキー7、及びレシート発行口8が設けられている。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。筐体出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞されるようになっており、開放された状態において、顧客へ出金する紙幣が排出される。
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
以下では、現金自動支払機1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した顧客から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
筐体2内には、現金自動支払機1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、出金処理等の種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
紙幣出金機10は、図2(A)に右側面図を示すように、大きく分けて下側の収納ユニット12及び上側の束搬送ユニット13により構成されており、さらに全体を制御する制御部14が組み込まれている。
制御部14は、主制御部9(図1)と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、出金処理等の処理を行う。また制御部14は、内部にRAM、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
[1−1−1.収納ユニットの構成]
図3に示すように、収納ユニット12は、直方体状の収納筐体20内に、紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。この収納筐体20内には、4個の紙幣収納庫21(21A、21B、21C及び21D)、搬送部23、鑑別部24、切替部25、集積部26及びリジェクト収納庫27が設けられている。
紙幣収納庫21(21A、21B、21C及び21D)は、収納筐体20の前側における上下方向の中央から下側にかけて、互いに積み重なるように取り付けられている。各紙幣収納庫21は、上下方向に短く前後方向に長い扁平な直方体状に形成されており、その内部に、紙面を前後方向に向けて前後方向に沿って並べた状態、いわゆる横集積の状態で、紙幣を収納する。また紙幣収納庫21の後側下部、すなわち束搬送ユニット13から遠い箇所には、収納されている紙幣を1枚ずつに分離して繰り出す繰出部22が設けられている。
各紙幣収納庫21は、収納筐体20に対し前方向へ引き抜かれることにより、当該収納筐体20から取り外すことができ、また当該収納筐体20に対し位置を合わせて後方向へ押し込まれることにより、当該収納筐体20に装着することができる。すなわち各紙幣収納庫21は、収納筐体20の前面から着脱可能に構成されている。また各紙幣収納庫21は、それぞれに収納される紙幣の金種が予め定められている。
搬送部23は、図示しないローラやベルト、或いはこれらを駆動するモータ等により、紙幣を搬送する経路である搬送路を構成している。この搬送路は、図中に実線で示すように、各紙幣収納庫21の繰出部22と接続され、各紙幣収納庫21の後側を上下方向に沿って進行し、さらに最も上方に位置する紙幣収納庫21Aの上側における前後方向の中央付近まで到達するように配設されている。搬送部23は、各紙幣収納庫21の繰出部22から繰り出された紙幣を概ね上方向へ進行させる。
鑑別部24は、搬送部23における紙幣収納庫21Aの後側部分に、搬送部23の搬送路に沿って、すなわち束搬送ユニット13へ近づく方向に沿って、設けられている。すなわち鑑別部24は、束搬送ユニット13からの距離が紙幣収納庫21Aとほぼ同等となる箇所に設置されている。
この鑑別部24は、内部に厚みセンサやイメージセンサといった複数種類のセンサが組み込まれており、各センサから得られた情報を基に、搬送される紙幣の金種や走行状態等を鑑別し、その鑑別結果を制御部14へ供給する。制御部14は、得られた鑑別結果を基に、各紙幣の搬送先を決定する。具体的に制御部14は、出金すべき正常な紙幣の搬送先を集積部26に、出金すべきで無い異常な紙幣(以下これをリジェクト紙幣と呼ぶ)の搬送先をリジェクト収納庫27に、それぞれ決定する。
切替部25は、紙幣収納庫21Aの上側における前後方向のほぼ中央に配置されており、制御部14の制御に基づき、紙幣に当接して進行方向を変化させるブレード(図中三角形で示す)の傾斜角度を変更することにより、紙幣の進行方向を切り替える。また切替部25は、搬送部23により、下側の鑑別部24、後側の集積部26及び前側のリジェクト収納庫27とそれぞれ接続されている。この切替部25は、下方から搬送されてきた紙幣それぞれの進行方向を、制御部14において決定された搬送先に応じて切り替える。具体的に切替部25は、正常な紙幣を後側の集積部26へ進行させ、異常な紙幣(すなわちリジェクト紙幣)を前側のリジェクト収納庫27へ進行させるように、紙幣の搬送経路を切り替える。
集積部26は、収納筐体20内における最も上側の後側に位置しており、内部に紙幣を集積するための空間である集積空間26Sを形成している。この集積部26は、集積空間26S内に、上面に紙幣を集積するためのステージ26Tを有している。ステージ26Tは、上下方向に薄い板状に形成されており、前後方向の長さ及び左右方向の長さが、紙幣における短辺及び長辺の長さよりもそれぞれ長くなっている。
また集積部26における前側上寄りには、切替部25から搬送されてきた紙幣を集積空間26S内へ放出する放出部26Rが設けられている。このため集積部26は、切替部25から搬送され放出部26Rにより集積空間26S内へ放出された紙幣を、ステージ26T上に集積させることができる。このときステージ26T上に集積された紙幣は、束状に積み重ねられている。このため以下では、このように積み重ねられた紙幣を紙幣束とも呼ぶ。
さらにステージ26Tは、図示しないステージ移動機構により、上下方向へ移動することができる。また集積部26の上面、すなわち束搬送ユニット13と対向する面には、上下方向に貫通する集積孔26Hが穿設されている。集積孔26Hにおける前後方向の長さL1は、ステージ26Tにおける前後方向の長さよりも僅かに長くなっている。この集積孔26Hは、収納筐体20の上面も貫通しており、集積空間26Sと収納筐体20よりも上側の空間とを連通させている。このため集積部26は、ステージ26Tに紙幣を集積した状態で当該ステージ26Tを上方へ移動させることにより、当該ステージ26T及び集積した束状の紙幣(紙幣束)を収納筐体20の上面よりも上側まで持ち上げることができる。
リジェクト収納庫27は、収納筐体20内における最も上側の前側に位置しており、内部の空間が仕切板27Pにより後下側の第1収納空間27S1と前上側の第2収納空間27S2とに区切られている。この仕切板27Pは、その板面が水平方向及び鉛直方向に対し傾斜されている。またリジェクト収納庫27における後側上寄り、すなわち第1収納空間27S1と連通する箇所には、切替部25から搬送されてきた紙幣を第1収納空間27S1内へ放出する放出部27Rが設けられている。このためリジェクト収納庫27は、切替部25から搬送され放出部27Rにより第1収納空間27S1内へ放出された紙幣(すなわちリジェクト紙幣)を収納することができる。
またリジェクト収納庫27の上面、すなわち束搬送ユニット13と対向する面には、上下方向に貫通する取込孔27Hが穿設されている。取込孔27Hにおける前後方向の長さL4は、集積部26の集積孔26Hにおける前後方向の長さL1とほぼ同等となっている。さらに取込孔27Hは、収納筐体20の上面も貫通しており、第2収納空間27S2と収納筐体20よりも上側の空間とを連通させている。このためリジェクト収納庫27は、上方から紙幣が落下してきた場合、この紙幣を第2収納空間27S2内に収納することができる。
さらにリジェクト収納庫27は、紙幣収納庫21と同様、収納筐体20に対し前方向へ引き抜かれることにより、当該収納筐体20から取り外すことができ、また当該収納筐体20に対し位置を合わせて後方向へ押し込まれることにより、当該収納筐体20に装着することができる。
ここで、収納ユニット12の収納筐体20における前後方向の中心に位置する仮想的な筐体中心線C1を想定すると、筐体中心線C1から集積孔26Hまでの距離L2は、筐体中心線C1から取込孔27Hまでの距離L3とほぼ同等となっている。すなわち収納ユニット12は、集積孔26H及び取込孔27Hの大きさを表す前後方向の長さL1及びL4をほぼ同等とし、筐体中心線C1からの距離を表す長さL2及びL3もほぼ同等としていることから、集積孔26H及び取込孔27Hをほぼ前後対称に形成している。
また、集積孔26Hの後端部分を集積孔端部26HEとし、取込孔27Hの前端部分を取込孔端部27HEとして、さらに該集積孔端部26HE及び該取込孔端部27HEにより挟まれる範囲を孔範囲20Eと定義する。これに加えて、孔範囲20Eにおける前後方向の中心を表す仮想的な線を孔中心線C2とする。そうすると孔中心線C2は、筐体中心線C1と一致し、この孔範囲20Eの中心、すなわち長さL1〜L4に相当する各部分を連結した範囲の中心に位置することになる。
また以下では、説明の都合により、収納ユニット12における紙幣収納庫21及びリジェクト収納庫27を着脱できる面を着脱面12Pと呼び、搬送部23が組み込まれた面を搬送面12Qと呼ぶ。因みに図3は、収納ユニット12の着脱面12Pを前側に向け、搬送面12Qを後側に向けた状態を示している。
[1−1−2.束搬送ユニットの構成]
束搬送ユニット13は、全体として、上下方向に短く前後方向に長い、扁平な直方体状に形成されており、その前後方向の長さが収納ユニット12よりも長くなっている。束搬送ユニット13は、直方体状の束搬送筐体30内に、紙幣束を搬送する束搬送部13Cを構成している。
束搬送部13Cは、上ベルト31、挟持搬送ガイド32、下ベルト34及び押出部35といった複数の機構の組み合わせにより構成され、束搬送筐体30内の前端近傍と後端近傍とを結ぶ束搬送路13Yに沿って紙幣束Wを搬送するようになっている。
上ベルト31は、束搬送筐体30内における上側部分、すなわち束搬送路13Yの上側に設けられている。上ベルト31は、束搬送筐体30内の後端近傍及び前端近傍にそれぞれ配置されたローラの周囲に掛け回されており、このローラが回転されることにより、その下面を前後方向に沿って走行させる。説明の都合上、以下では、上ベルト31における下面部分の走行方向を、当該上ベルト31の走行方向と見なす。
また束搬送筐体30における下面のうち前後方向の中央付近から後側に渡る広い範囲には、大きな孔でなる大孔部30Hが穿設されている。大孔部30Hにおける前後方向の長さは、収納ユニット12における長さL1、L2、L3及びL4を加算した長さに相当する。
挟持搬送ガイド32は、束搬送筐体30内における上ベルト31よりも下側部分のうち、大孔部30Hの範囲内に設けられている。挟持搬送ガイド32は、上下方向に薄い扁平な直方体状ないし板状に形成されており、その上面を上ベルト31の下面と対向ないし当接させている。この挟持搬送ガイド32における前後方向の長さは、収納ユニット12における長さL2、L3及びL4を加算した長さ、若しくは長さL1、L2及びL3を加算した長さに相当する。換言すれば、挟持搬送ガイド32における前後方向の長さは、大孔部30Hにおける前後方向の長さよりも、長さL1又はL4だけ短くなっている。
また挟持搬送ガイド32は、図示しない移動機構により、大孔部30Hの範囲内で前後方向へ移動することができる。例えば挟持搬送ガイド32は、前側に移動した場合、大孔部30Hのうち中央付近及び前側を閉塞し、後側の長さL1に相当する範囲を開放した状態とする。以下、このとき後側に開放された部分を後通過孔30HRと呼ぶ。また挟持搬送ガイド32は、後側に移動した場合、大孔部30Hのうち中央付近及び後側を閉塞し、前側の長さL4に相当する範囲を開放した状態とする。以下、このとき前側に開放された部分を前通過孔30HFと呼ぶ。すなわち挟持搬送ガイド32における前後方向の長さは、大孔部30Hにおける前後方向の長さよりも、前通過孔30HFの長さ又は後通過孔30HRの長さだけ短くなっている。
下ベルト34は、束搬送筐体30内における上ベルト31よりも下側部分のうち、大孔部30Hよりも前側に設けられている。下ベルト34は、上ベルト31を前後方向に切り詰めたような構成となっており、その上面を上ベルト31の下面と対向ないし当接させ、前後方向に走行させる。説明の都合上、以下では、下ベルト34における上面部分の走行方向を、当該下ベルト34の走行方向と見なす。
また挟持搬送ガイド32が前方へ移動された状態(図3)において、大孔部30Hのうち閉塞されずに開放された後通過孔30HRは、集積部26のステージ26Tが上方へ移動された場合、当該ステージ26Tにより閉塞される。このとき束搬送ユニット13内には、上ベルト31と、ステージ26T、挟持搬送ガイド32及び下ベルト34とにより上下方向から挟まれた束搬送路13Yが形成される。
押出部35は、その一部を上ベルト31の下面よりも下方に突出させており、図示しない移動機構により、前後方向に沿って、すなわち束搬送路13Yに沿って移動する。また押出部35は、図示しない変位機構により、上下方向へ変位することもできる。すなわち押出部35は、図3に示したように、上ベルト31の下面よりも下方へその一部を降ろすことの他、後述するように、上ベルト31の下面よりも上方へ変位することもできる。
因みに押出部35は、左右方向に関し離散的な数カ所のみ上ベルト31の下面よりも下方へ突出させている。また挟持搬送ガイド32及び下ベルト34、並びに収納ユニット12における集積部26のステージ26Tには、この押出部35に応じて前後方向に沿った隙間や溝等が形成されており、押出部35と干渉しないようになっている。このため押出部35は、束搬送路13Y内に紙幣束がある場合、これを前後方向へ押して進行させることができる。また押出部35は、束搬送路13Yの前端近傍に退避機構(図示せず)が組み込まれている。このため押出部35は、移動機構により移動されて前端近傍に到達すると、退避機構により回動して束搬送路13Yの上方に退避し、紙幣束Wと干渉しない状態となる。
束搬送筐体30の前端には、束搬送路13Y内を前方へ搬送されてきた紙幣束を利用者に引き渡す出金口36が形成されている。この出金口36の近傍には、紙幣束Wを検知するためのセンサ37が設けられている。センサ37は、所定の検知光を発光する発光素子及びこの検知光を受光する受光素子の組み合わせにより構成されており、当該検知光の光路を束搬送路13Yと交差させている。このセンサ37は、検知光の受光結果を制御部14に通知する。制御部14は、この受光結果を基に、出金口36に紙幣束Wがあるか否かを判断することができる。因みに出金口36は、現金自動支払機1(図1)の筐体2内に実装された場合に、筐体出金口5の後側(すなわち内側)に位置することになる。
[1−1−3.紙幣出金機の組立]
ところで紙幣出金機10は、その製造時に、下側の収納ユニット12に上側の束搬送ユニット13を取り付けることにより組み立てられる。このうち束搬送ユニット13は、出金口36を利用者に向けるため、紙幣出金機10における方向が定められている。一方、収納ユニット12は、孔範囲20E内で集積孔26H及び取込孔27Hをほぼ前後対称に形成しているため、束搬送ユニット13に対する取付方向を2通りに切り替えることができる。
すなわち紙幣出金機10は、例えば図3に示したように、収納ユニット12の着脱面12Pを前側に向けると共に搬送面12Qを後側に向け、取込孔27Hを前通過孔30HFに合わせると共に集積孔26Hを後通過孔30HRに合わせた状態で、束搬送ユニット13に取り付ける。これにより紙幣出金機10は、図2(A)に示したように、紙幣収納庫21及びリジェクト収納庫27を前側から着脱し得る状態に組み立てられる。以下、このように着脱面12Pが前側に配置された紙幣出金機10を前面機10Fとも呼ぶ。
この前面機10Fでは、図4(A)に模式的な上面図を示すように、挟持搬送ガイド32が大孔部30Hの範囲内で前方へ移動した場合、取込孔27Hを閉塞する一方、当該挟持搬送ガイド32の後側に後通過孔30HRを形成して集積孔26Hを開放する。以下、このときの挟持搬送ガイド32の位置を集積開放位置とも呼ぶ。
また前面機10Fでは、図4(A)と対応する図4(B)に示すように、挟持搬送ガイド32が大孔部30Hの範囲内で後方へ移動した場合、集積孔26Hを閉塞する一方、当該挟持搬送ガイド32の前側に前通過孔30HFを形成して取込孔27Hを開放する。以下、このときの挟持搬送ガイド32の位置を取込開放位置とも呼ぶ。
また紙幣出金機10は、図3に示した場合と前後反対に、収納ユニット12の着脱面12Pを後側に向けると共に搬送面12Qを前側に向け、取込孔27Hを後通過孔30HRに合わせると共に集積孔26Hを前通過孔30HFに合わせた状態で、束搬送ユニット13に取り付ける。これにより紙幣出金機10は、図2(B)に示すように、紙幣収納庫21及びリジェクト収納庫27を後側から着脱し得る状態に組み立てられる。以下、このように着脱面12Pが後側に配置された紙幣出金機10を後面機10Rとも呼ぶ。
因みに後面機10Rでは、図3(B)に示したように、挟持搬送ガイド32を前方へ移動させて集積孔26Hを閉塞し、その前側に前通過孔30HFを形成して取込孔27Hを開放する位置を、取込開放位置と呼ぶ。また後面機10Rでは、これと反対に、挟持搬送ガイド32を後方へ移動させて取込孔27Hを閉塞し、その後側に後通過孔30HRを形成して集積孔26Hを開放する位置を、集積開放位置と呼ぶ。
このように紙幣出金機10は、束搬送ユニット13に対する収納ユニット12の取付方向を反転させ、集積孔26H及び取込孔27Hと前通過孔30HF及び後通過孔30HRとの組み合わせを切り替えることにより、前面機10F及び後面機10Rの2通りに組み立てることができる。このため挟持搬送ガイド32は、前面機10F及び後面機10Rの何れとして組み立てられた場合においても、収納ユニット12と束搬送ユニット13との接続箇所に配置されることになる。
因みに現金自動支払機1(図1)では、前面機10Fが組み込まれる場合には、筐体2における前面部分が開閉可能な扉として構成され、この扉が開放された状態で、紙幣収納庫21及びリジェクト収納庫27が前側から着脱される。また現金自動支払機1では、後面機10Rが組み込まれる場合には、筐体2における後面部分が開閉可能な扉として構成され、この扉が開放された状態で、紙幣収納庫21及びリジェクト収納庫27が後側から着脱される。
また収納ユニット12では、前面機10F及び後面機10Rの何れにおいても、紙幣収納庫21の上側において、束搬送ユニット13に取り付けられた場合に束搬送路13Yに沿う方向である前後方向に概ね沿うように、集積部26、切替部25及びリジェクト収納庫27が並んで配置されている。
[1−2.紙幣出金機の動作]
次に、紙幣出金機10における出金に関する動作について、前面機10F及び後面機10Rそれぞれについて説明する。この紙幣出金機10は、組立時等に、前面機10F又は後面機10Rの何れであるかに応じて、それぞれの構成に適した制御プログラムが制御部14の記憶部等に記憶されている。
紙幣出金機10は、操作表示部6(図1)を介して利用者から出金の指示及び出金額を受け付けると、制御部14を主制御部9と連携させながら、制御プログラム等を読み出して実行することにより、その構成に応じた処理を開始する。
[1−2−1.前面機の動作]
まず、前面機10Fについて説明する。前面機10Fの制御部14は、図5(A)に示すように、まずステージ26Tを下方へ移動させると共に、挟持搬送ガイド32を後方の取込開放位置へ移動させることにより集積部26の集積孔26H及び後通過孔30HRを閉塞する。また制御部14は、押出部35を最も後側に移動させる。
この状態で制御部14は、紙幣収納庫21から出金額に応じた金種及び枚数の紙幣を繰出部22により順次繰り出させ、搬送部23により上方へ搬送し、鑑別部24により鑑別させる。このとき制御部14は、鑑別部24から得られる鑑別結果を基に、鑑別された紙幣が出金可能であるか否かに応じて、その搬送先を集積部26又はリジェクト収納庫27に決定する。
続いて制御部14は、鑑別部24により鑑別された紙幣を、搬送部23により前方及び上方へ搬送して切替部25に到達させる。切替部25は、制御部14の制御に基づき、紙幣それぞれについて決定された搬送先に応じて進行方向を切り替え、集積部26又はリジェクト収納庫27へ進行させる。
集積部26は、搬送されてきた紙幣を放出部26Rにより集積空間26S内へ放出し、ステージ26T上に集積させる。このとき集積部26は、集積孔26Hの上方が挟持搬送ガイド32により閉塞されているため、放出部26Rから放出された紙幣が上方へ舞い上がることを防止し、ステージ26T上に安定的に集積させることができる。またリジェクト収納庫27は、搬送されてきた紙幣を放出部27Rにより第1収納空間27S1内へ放出して収納させる。
制御部14は、搬送先を集積部26とした紙幣、すなわち集積部26に集積した紙幣の金種及び枚数を逐次集計しており、集計した金額が出金額に到達した段階で、紙幣収納庫21からの紙幣の繰出を中止する。この結果、集積部26のステージ26T上には、出金額の紙幣が束状に集積された紙幣束Wが載置される。
次に制御部14は、図5(B)に示すように、挟持搬送ガイド32を前方の集積開放位置へ移動させることにより集積部26の集積孔26H及び後通過孔30HRを開放すると共に取込孔27H及び前通過孔30HFを閉塞してから、集積部26のステージ26Tを上方へ移動させることにより、紙幣束Wを持ち上げさせる。これにより集積部26は、集積孔26H及び後通過孔30HRを介して、紙幣束Wを収納ユニット12内から束搬送ユニット13内へ引き渡すことができる。このとき制御部14は、ステージ26Tの上面を挟持搬送ガイド32の上面と同等の高さに揃えて、当該ステージ26Tにより束搬送路13Yの一部を構成させると共に、当該ステージ26T上の紙幣束Wを当該束搬送路13Y内に位置させる。
さらに制御部14は、束搬送部13Cにより紙幣束Wを前方へ搬送させる。具体的に制御部14は、上ベルト31を前方へ走行させると共に押出部35を前方へ移動させることにより、紙幣束Wを束搬送路13Yに沿って前方へ進行させていく。このとき制御部14は、紙幣束Wが下ベルト34の上面に当接する位置に到達すると、上ベルト31及び当該下ベルト34により当該紙幣束Wを上下から挟持し、両ベルトの走行により前方へ搬送させる。
やがて制御部14は、図5(C)に示すように、センサ37からの通知を基に紙幣束Wが出金口36に到達したことを検知すると、上ベルト31及び下ベルト34の走行を停止させる。因みに制御部14は、このときステージ26Tを下方へ移動させて、出金動作を終了する。また制御部14は、押出部35を束搬送路13Yの前端近傍へ到達させることにより、退避機構(図示せず)によって束搬送路13Yの上方に退避させる。
これにより前面機10Fは、出金口36から紙幣束Wの一部を露出させ、且つ上ベルト31及び下ベルト34により当該紙幣束Wの後端近傍を挟持した状態として、利用者にこの紙幣束Wを取り出させることができる。
ここで制御部14は、センサ37からの通知を基に、出金口36から紙幣束Wが取り出されたか否かを監視している。そこで所定の待機時間(例えば30秒間)が経過しても紙幣束Wが取り出されなかった場合、すなわち紙幣束Wの取り忘れが発生した場合、制御部14は、この紙幣束Wを取り込む取込動作を開始する。以下、このように利用者が取り忘れた紙幣を取り忘れ紙幣とも呼ぶ。
具体的に制御部14は、図6(A)に示すように、まず挟持搬送ガイド32を後方の取込開放位置へ移動させることにより、前通過孔30HF及び取込孔27Hを開放させると共に集積孔26H及び後通過孔30HRを閉塞させる。続いて制御部14は、束搬送部13Cにより紙幣束Wを後方へ搬送させる。すなわち制御部14は、押出部35を上方へ退避させた状態のまま上ベルト31及び下ベルト34を後方へ走行させることにより、紙幣束Wを束搬送路13Y内に取り込み、当該束搬送路13Yに沿って後方へ進行させていく。このとき制御部14は、図示しないセンサにより紙幣束Wが押出部35よりも後方に到達したことを検知すると、束搬送路13Yの上方に退避していた押出部35を紙幣束Wの前側で当該束搬送路13Y内へ復帰させてから、さらに後方へ移動させることにより、紙幣束Wの後方への搬送を補助する。
やがて制御部14は、図6(B)に示すように、紙幣束Wが前通過孔30HF及び取込孔27Hに到達すると、この紙幣束Wを束搬送路13Yから落下させ、当該前通過孔30HF及び取込孔27Hを介して、リジェクト収納庫27の第2収納空間27S2内に収納させて取込動作を終了する。かくして前面機10Fは、利用者が出金口36から取り忘れた紙幣束Wを取り込んでリジェクト収納庫27に収納することができる。
[1−2−2.後面機の動作]
次に、後面機10Rについて説明する。後面機10Rの制御部14は、図5(A)と対応する図7(A)に示すように、まずステージ26Tを下方へ移動させると共に、挟持搬送ガイド32を前方の取込開放位置へ移動させることにより集積部26の集積孔26H及び前通過孔30HFを閉塞すると共に取込孔27H及び後通過孔30HRを開放する。また制御部14は、押出部35をステージ26Tよりも僅かに後側となる位置に移動させる。この状態で制御部14は、前面機10Fの場合と同様、出金額に応じた紙幣を集積部26へ搬送し、ステージ26T上に集積して紙幣束Wとする。
次に制御部14は、図7(B)に示すように、挟持搬送ガイド32を後方の集積開放位置へ移動させることにより集積部26の集積孔26H及び前通過孔30HFを開放すると共に取込孔27H及び後通過孔30HRを閉塞してから、集積部26のステージ26Tを上方へ移動させることにより、紙幣束Wを持ち上げさせる。これにより集積部26は、集積孔26H及び前通過孔30HFを介して、紙幣束Wを収納ユニット12内から束搬送ユニット13内へ引き渡すことができる。このとき制御部14は、ステージ26Tの上面を下ベルト34の上面と同等の高さに揃えて、当該ステージ26Tにより束搬送路13Yの一部を構成させると共に、当該ステージ26T上の紙幣束Wを当該束搬送路13Y内に位置させる。
さらに制御部14は、やはり前面機10Fと同様、束搬送部13Cにより紙幣束Wを前方へ搬送させる。具体的に制御部14は、上ベルト31及び下ベルト34を前方へ走行させると共に押出部35を前方へ移動させることにより、紙幣束Wを束搬送路13Yに沿って前方へ進行させ、図7(C)に示すように、紙幣束Wを出金口36に到達させる。因みに制御部14は、このときステージ26Tを下方へ移動させて出金動作を終了する。
これにより後面機10Rは、前面機10Fと同様、出金口36から紙幣束Wの一部を露出させ、且つ上ベルト31及び下ベルト34により当該紙幣束Wの後端近傍を挟持した状態として、利用者にこの紙幣束Wを取り出させることができる。
ここで制御部14は、出金口36から紙幣束Wが取り出されなかった場合、前面機10Fの場合と同様、この紙幣束Wを取り込む取込動作を開始する。具体的に制御部14は、図6(A)と対応する図8(A)に示すように、まず挟持搬送ガイド32を前方の取込開放位置へ移動させることにより、前通過孔30HF及び集積孔26Hを閉塞させると共に後通過孔30HR及び取込孔27Hを開放させる。また制御部14は、前面機10Fの場合と同様、束搬送部13Cにより紙幣束Wを後方へ搬送させる。すなわち制御部14は、押出部35を一時的に上方へ変位させ、上ベルト31及び下ベルト34を後方へ走行させると共に、押出部35を下方へ変位させ後方へ移動させる。これにより制御部14は、紙幣束Wを束搬送路13Y内に取り込み、当該束搬送路13Yに沿って後方へ進行させていく。
やがて制御部14は、図8(B)に示すように、紙幣束Wが後通過孔30HR及び取込孔27Hに到達すると、この紙幣束Wを束搬送路13Yから落下させ、リジェクト収納庫27の第2収納空間27S2内に収納させて取込動作を終了する。かくして後面機10Rは、利用者が出金口36から取り忘れた紙幣束Wを取り込んでリジェクト収納庫27に収納することができる。
このように、後面機10Rにおける出金動作及び取込動作は、前面機10Fの場合と対比すると、収納ユニット12において紙幣束Wを生成するまでの動作が概ね同様であり、束搬送ユニット13において紙幣束Wを搬送する動作が一部相違している。これを換言すると、制御部14は、前面機10Fの場合と後面機10Rの場合との間で、挟持搬送ガイド32の移動及び押出部35の移動に関する制御を変更することになる。
[1−3.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態による紙幣出金機10は、上側の束搬送ユニット13に下側の収納ユニット12を取り付ける構成とした。
紙幣出金機10では、収納ユニット12の上部に設けた孔範囲20Eと束搬送ユニット13の下面に形成した大孔部30Hとの大きさ、すなわち前後方向の長さをほぼ揃えた。また紙幣出金機10は、収納ユニット12において孔範囲20E内で集積孔26H及び取込孔27Hをほぼ前後対称に形成し、さらに束搬送ユニット13において挟持搬送ガイド32の移動に応じて形成される前通過孔30HF及び後通過孔30HRの位置及び大きさを、集積孔26H及び取込孔27Hとそれぞれ対応させた(図3)。
これを他の観点から見れば、特許文献1に記載されている従来の紙幣出金機では、取忘紙幣収納部16(図1)の前側にのみ紙幣束の搬送路が形成されていた。これに対し紙幣出金機10では、リジェクト収納庫27の上方を束搬送路13Yが通過する構成とした。
このため紙幣出金機10は、収納ユニット12の着脱面12Pを前側又は後側に向け、集積孔26H及び取込孔27Hを前通過孔30HF及び後通過孔30HRの何れかにそれぞれ合わせて束搬送ユニット13に取り付けることにより、前面機10F及び後面機10Rの2通りに組み立てることができる(図2)。
前面機10F(図2(A))は、出金口36を前側に位置させ、収納ユニット12の前面である着脱面12Pから紙幣収納庫21及びリジェクト収納庫27をそれぞれ着脱することができ、且つ収納ユニット12と束搬送ユニット13との間で紙幣束Wを受け渡しながら、出金動作及び取込動作を行うことができる(図5及び図6)。また後面機10R(図2(B))は、出金口36を前側に位置させ、収納ユニット12の後面である着脱面12Pから紙幣収納庫21及びリジェクト収納庫27をそれぞれ着脱することができ、且つ収納ユニット12と束搬送ユニット13との間で紙幣束Wを受け渡しながら、出金動作及び取込動作を行うことができる(図7及び図8)。すなわち紙幣出金機10では、特許文献1に記載されている従来の紙幣出金機では構造的に不可能であった、紙幣束の搬送路よりも下側の紙幣カセットや搬送路等の部分を前後方向に反転させた場合にも動作させることを、可能とした。
これにより紙幣出金機10は、特許文献1に記載されている従来の紙幣出金機と異なり、設置場所等に応じて前面機10F又は後面機10Rの何れとしても組み立てることができ、出金動作及び取込動作を行うことができる。すなわち紙幣出金機10は、前面機10F及び後面機10Rのどちらとしても動作し得るため、設置場所の制約を排除できる。また紙幣出金機10は、前面機と後面機とを別個に設計する場合と比較して、部品やモジュールの共通化を図り、その製造や管理に要する費用を大幅に低廉化することができる。
また束搬送ユニット13は、集積孔26H及び取込孔27Hを包含する大きさの大孔部30Hを形成し、その一部を挟持搬送ガイド32によって閉塞することにより、残った部分を前通過孔30HF又は後通過孔30HRとした。このため束搬送ユニット13は、挟持搬送ガイド32を前後方向へ移動させるといった単純な動作により、当該挟持搬送ガイド32を集積開放位置又は取込開放位置へ移動させて前通過孔30HF及び後通過孔30HRの一方を開放でき、同時に他方を閉塞できる。
さらに紙幣出金機10は、束搬送ユニット13の束搬送部13Cにおいて、押出部35により紙幣束Wを前後方向へ押し、束搬送路13Yに沿って前後方向へ移動させるようにした。このため紙幣出金機10では、挟持搬送ガイド32及びステージ26Tに下ベルト34のようなベルト機構を組み込むことなく紙幣を搬送できるので、その構成を大幅に簡略化できる。
特に紙幣出金機10では、挟持搬送ガイド32を前後方向へ移動させ、またステージ26Tを上下方向へ移動させる必要がある。このため、この挟持搬送ガイド32及びステージ26Tにベルト機構を組み込む場合、その重量が大きくなるため、移動させるための大きな力や各部の補強等が必要となり、構成の複雑化やコストの上昇を招くおそれがあった。しかしながら紙幣出金機10では、押出部35を単純に前後方向へ移動させれば良いため、このような問題の発生を回避することができる。
そのうえ紙幣出金機10は、束搬送ユニット13の束搬送部13Cにおいて、挟持搬送ガイド32の前方にベルト機構でなる下ベルト34を設けた。これにより紙幣出金機10は、当該下ベルト34に代えて挟持搬送ガイド32のような板状の部材を設ける場合と比較して、紙幣束Wを取り込む場合に、安定して取り込むことができる。これを換言すれば、紙幣出金機10は、出金口36の近傍にのみベルト機構でなる下ベルト34を設け、それ以外の箇所に位置する挟持搬送ガイド32及びステージ26Tを単なる板状部材としたことにより、紙幣束Wの取込動作における精度や安定性を高めると同時に、構成をできるだけ簡素化して費用の低廉化を図ることができる。
ところで紙幣出金機10では、その構成上、鑑別部24により紙幣を鑑別してから、制御部14においてその鑑別結果に応じて搬送先を決定し、さらに切替部25において進行方向の切替動作が完了するまでに、どうしてもある程度の時間が必要となる。このため紙幣出金機10では、仮に鑑別部24から切替部25までの搬送距離が短い場合、当該切替部25における切替動作の完了を待つために、紙幣の搬送速度を低下させる必要が生じ、その結果として出金動作の完了に要する時間が長くなるおそれがあった。
この点において紙幣出金機10は、収納ユニット12において切替部25を前後方向のほぼ中央に配置することにより、鑑別部24から当該切替部25までの搬送経路をある程度長く形成することができる。このため紙幣出金機10では、鑑別部24から切替部25に紙幣を搬送する間に、当該切替部25における進行方向の切替動作を完了できるので、紙幣の搬送速度を不必要に低下させる必要が無く、出金動作を短時間で完了できる。
また紙幣出金機10では、切替部25を集積部26及びリジェクト収納庫27の間に配置したことにより、鑑別部24から切替部25を介して集積部26に到達するまでの搬送経路長と、鑑別部24から切替部25を介してリジェクト収納庫27に到達するまでの搬送経路長とを、同等に揃えることもできる。これにより紙幣出金機10では、切替部25以降の搬送経路を可能な限り短く抑えることができ、構成を簡素化することができる。
また紙幣出金機10は、収納ユニット12において紙幣収納庫21の後側下部に繰出部22を設けたことにより、搬送部23により紙幣を上方へ搬送し始める位置を比較的下方に位置させることができる。これにより紙幣出金機10は、鑑別部24を最上位の紙幣収納庫21Aと同等の高さに配置することができるので、紙幣出金機10全体の高さを抑えることができ、また鑑別部24から切替部25までの搬送経路を十分に長くすることもできる。
以上の構成によれば、第1の実施の形態による紙幣出金機10は、収納ユニット12において集積孔26H及び取込孔27Hをほぼ前後対称に形成し、また束搬送ユニット13の前通過孔30HF及び後通過孔30HRをこれらと対応する位置に形成した。このため紙幣出金機10は、収納ユニット12の着脱面12Pを前側又は後側に向け、集積孔26H及び取込孔27Hを前通過孔30HF及び後通過孔30HRの何れかにそれぞれ合わせて束搬送ユニット13に取り付けることにより、前面機10F及び後面機10Rの2通りに組み立てることができる。これにより紙幣出金機10は、設置場所の制約を排除でき、また部品やモジュールの共通化を図ることにより製造や管理に要する費用を大幅に低廉化できる。
[2.第2の実施の形態]
図2(A)と対応する図9(A)に示すように、第2の実施の形態による紙幣出金機110は、大きく分けて後側の本体ユニット112及び前側の束搬送前ユニット113により構成されており、さらに全体を制御する制御部114が組み込まれている。制御部114は、制御部14と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、出金処理等の処理を行う。また制御部14は、内蔵する記憶部に種々の情報を記憶させる。
本体ユニット112は、第1の実施の形態における収納ユニット12と、束搬送ユニット13のうち後側約2/3の範囲に相当する部分とを組み合わせたような構成となっている。
図3と対応する図10に示すように、本体ユニット112のうち下側部分、すなわち収納ユニット12に相当する部分は、収納ユニット117となっている。収納ユニット117は、収納ユニット12と同様の収納筐体20、紙幣収納庫21(21A、21B、21C及び21D)、搬送部23、鑑別部24、切替部25及びリジェクト収納庫27に加えて、集積部26に代わる集積部126が設けられている。この集積部126は、ステージ126Tに下ベルト34等と同様のベルト機構が組み込まれている。
また本体ユニット112のうち上側部分、すなわち束搬送ユニット13のうち後側約2/3の範囲に相当する部分は、束搬送後ユニット118となっている。束搬送後ユニット118は、束搬送筐体30の後側部分に相当する束搬送後筐体130の内部に、束搬送部118Cが組み込まれている。この束搬送部118Cは、束搬送部13Cの後側部分と比較して、上ベルト31及び挟持搬送ガイド32とそれぞれ対応する上後ベルト131及び可動搬送ベルト132が設けられる一方、押出部35が省略されている。
束搬送後筐体130は、第1の実施の形態における束搬送筐体30のうち後側約2/3の範囲に相当しており、その下面におけるほぼ全範囲に、第1の実施の形態と同様の大孔部30Hが形成されている。上後ベルト131は、第1の実施の形態における上ベルト31のうち前側のローラを束搬送後筐体130の前端付近まで後退させ、ベルトの周長を短縮させたような構成となっている。
可動搬送ベルト132は、挟持搬送ガイド32と同様に、前後方向の長さが長さL1、L2及びL3を加算した長さに相当しており、図示しない移動機構により大孔部30Hの範囲内で前後方向へ移動し得る。さらに可動搬送ベルト132は、ベルト機構が組み込まれており、上面を前後方向に走行させることができる。
かかる構成により束搬送後ユニット118内には、束搬送部118Cにより、上後ベルト131の下面に沿うように、紙幣束Wを前後方向へ搬送する束搬送路118Yが形成されている。また束搬送後筐体130の前端及び後端、すなわち束搬送路118Yの前端及び後端には、紙幣束Wを受け渡す受渡口130P及び130Qがそれぞれ形成されている。
この本体ユニット112は、第1の実施の形態と異なり、収納ユニット117に対する束搬送後ユニット118の取付方向が固定されている。また説明の都合上、本体ユニット112における紙幣収納庫21を着脱できる面を着脱面112Pと呼び、搬送部23が組み込まれた面を搬送面112Qと呼ぶ。すなわち束搬送後ユニット118は、受渡口130Pを着脱面112Pに向け、受渡口130Qを搬送面112Qに向けた状態で、収納ユニット117に取り付けられる。
一方、束搬送前ユニット113は、第1の実施の形態における束搬送ユニット13のうち前側約1/3の範囲に相当する。この束搬送前ユニット113は、束搬送筐体30の前側部分に相当する束搬送前筐体140の内部に、束搬送部113Cが組み込まれている。この束搬送部113Cは、束搬送部13C前側部分と比較して、下ベルト34の他、上ベルト31に代わる上前ベルト141が設けられている。束搬送前筐体140は、第1の実施の形態における束搬送筐体30のうち前側約1/3の範囲に相当しており、前端に出金口36を有すると共に、その近傍にセンサ37が設けられている。
上前ベルト141は、第1の実施の形態における上ベルト31のうち前側の約1/3の範囲に相当しており、当該上ベルト31と同様、前後に配置されたローラの周囲に掛け回されたベルトを周回させることにより、その下面を前後方向に走行させる。
かかる構成により束搬送前ユニット113内には、束搬送部113Cにより、上前ベルト141の下面に沿うように、紙幣束Wを前後方向へ搬送する束搬送路113Yが形成されている。また束搬送前筐体140の後端、すなわち束搬送路113Yの後端には、紙幣束Wを受け渡す受渡口140Mが形成されている。
さらに紙幣出金機110は、束搬送前ユニット113を本体ユニット112の着脱面112P及び搬送面112Qの何れにも取り付け得るようになっている。例えば紙幣出金機110は、本体ユニット112の着脱面112Pを前側に向けると共に搬送面112Qを後側に向け、受渡口140Mを受渡口130Pと対向させた状態で、束搬送前ユニット113を取り付ける。これにより紙幣出金機10は、図9(A)に示したように、紙幣収納庫21を前側から着脱し得る状態に組み立てられる。以下、このように着脱面112Pが前側に配置された紙幣出金機110を前面機110Fとも呼ぶ。
また紙幣出金機110は、本体ユニット112の着脱面112Pを後側に向けると共に搬送面112Qを前側に向け、受渡口140Mを受渡口130Qと対向させた状態で、束搬送前ユニット113を取り付ける。これにより紙幣出金機10は、図9(B)に示すように、紙幣収納庫21を後側から着脱し得る状態に組み立てられる。以下、このように着脱面112Pが後側に配置された紙幣出金機110を後面機110Rとも呼ぶ。
このように紙幣出金機110は、束搬送前ユニット113に対する本体ユニット112の取付方向を反転させ、受渡口140Mを受渡口130P又は受渡口130Qと対向させることにより、前面機110F及び後面機110Rの2通りに組み立てることができる。
束搬送後ユニット118及び束搬送前ユニット113は、上後ベルト131、上前ベルト141、ステージ126Tに組み込まれたベルト、可動搬送ベルト132及び下ベルト34をそれぞれ前方向又は後方向へ走行させることにより、束搬送路118Y及び113Yに沿って紙幣束Wを搬送する。これにより紙幣出金機110は、第1の実施の形態による紙幣出金機10と同様、前面機110F及び後面機110Rの何れにおいても、出金動作及び取込動作を行うことができる。
これを換言すれば、束搬送後ユニット118は、受渡口140Mとの間で紙幣束Wを受け渡し得る受渡口130P及び受渡口130Qを前後対称に配置し、且つ上後ベルト131、可動搬送ベルト132及びステージ126Tにより紙幣束Wを前後方向に沿って搬送し得るようにした。また束搬送後ユニット118は、出金すべき紙幣束Wをステージ126Tにより束搬送路118Yへ移動させ、取り込んだ紙幣束Wをリジェクト収納庫27へ落下させて収納させる。このため紙幣出金機110は、束搬送前ユニット113を本体ユニット112の着脱面112P側及び搬送面112Q側の何れに取り付けた場合にも、束搬送前ユニット113と束搬送後ユニット118との間で紙幣束Wを受け渡しながら、出金動作及び取込動作を正しく行うことができる。
また紙幣出金機110は、第1の実施の形態による紙幣出金機10と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第2の実施の形態による紙幣出金機110は、束搬送後ユニット118において束搬送路118Yに沿って紙幣束Wを前後に搬送させるようにし、前後両端に設けた受渡口130P及び受渡口130Qの双方を、束搬送前ユニット113の受渡口140Mとの間で紙幣束Wを受け渡し得るようにした。このため紙幣出金機110は、本体ユニット112の着脱面112Pを前側又は後側に向け、受渡口130P及び受渡口130Qの何れかを受渡口140Mと対向させて束搬送前ユニット113に取り付けることにより、前面機110F及び後面機110Rの2通りに組み立てることができる。これにより紙幣出金機110は、設置場所の制約を排除でき、また部品やモジュールの共通化を図ることにより製造や管理に要する費用を大幅に低廉化できる。
[3.第3の実施の形態]
[3−1.本体ユニット及び束搬送ユニットの構成]
図2及び図9と対応する図11に示すように、第3の実施の形態による紙幣出金機210は、大きく分けて下側の収納ユニット212及び上側の束搬送ユニット213(213F、213R)により構成されており、さらに全体を制御する制御部214が組み込まれている。制御部214は、制御部14と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、出金処理等の処理を行う。また制御部214は、内蔵する記憶部に種々の情報を記憶させる。
図3と対応する図12に示すように、収納ユニット212は、第1の実施の形態による収納ユニット12と概ね同様に構成されているものの、一部において構成が相違している。具体的に収納ユニット212は、収納ユニット12の収納筐体20、搬送部23、集積部26及びリジェクト収納庫27に代えて、収納筐体220、搬送部223、集積部226及びリジェクト収納庫227が設けられ、さらに挟持搬送ガイド232が設けられている。
集積部226は、第1の実施の形態による集積部26よりも前後長がやや短い。一方、リジェクト収納庫227は、第1の実施の形態によるリジェクト収納庫27よりも前後長がやや長い。このため収納ユニット212では、収納筐体220における前後方向の中心を表す筐体中心線C1よりも後側、すなわち搬送面212Q側に偏った位置に、切替部25が配置されている。
これに伴い、搬送部223は、紙幣収納庫21よりも上側に位置する部分の形状、すなわち紙幣の搬送経路が、第1の実施の形態による搬送部23と一部相違している。すなわち搬送部223は、鑑別部24を通過して切替部25へ向かう部分において、傾斜した部分が形成されており、この傾斜角度をほぼ保つように、当該切替部25からリジェクト収納庫227へ向かう部分も一部傾斜している。また搬送部223のうち集積部226へ向かう部分は、一度上方へ走行し、途中から後方へ湾曲されている。
集積部226は、第1の実施の形態と同様、その上面に、上下方向に貫通する集積孔226Hが穿設されている。集積孔226Hにおける前後方向の長さは、第1の実施の形態と同様、長さL1となっている。また集積部226には、第1の実施の形態と同様の放出部26R、第1の実施の形態におけるステージ26Tと対応するステージ226Tの他、集積籠226Cが設けられている。
集積籠226Cは、上面が開放された箱状に形成されており、その内部の集積空間226S内にステージ226Tを収容し、当該ステージ226Tの上面に紙幣を集積させるようになっている。この集積籠226Cは、図示しない回動機構により回動され、図12に示したようにステージ226Tを傾斜させた傾斜姿勢や、後述するようにステージ226Tをほぼ水平とする水平姿勢に遷移することができる。この傾斜姿勢において、水平方向に対するステージ226Tの傾斜角度は、放出部26Rにより集積空間226Sへ放出される紙幣の放出角度よりも大きく(すなわち鉛直に近く)なっている。ステージ226Tは、図示しない移動機構により、集積籠226Cに対し上下方向へ移動することができる。
リジェクト収納庫227は、その上面における後寄り、すなわち切替部25や集積部226に近い箇所に、上下方向に貫通する取込孔227Hが穿設されている。取込孔227Hにおける前後方向の長さは、第1の実施の形態における取込孔27Hと同様、長さL4となっており、集積孔226Hにおける長さL1とも同等となっている。
リジェクト収納庫227の内部には、複数の仕切板227Pによって空間が区切られることにより、第1収納空間227S1及び第2収納空間227S2が形成されている。第1収納空間227S1は、リジェクト収納庫227内における後側、すなわち切替部25に近い側であって、取込孔227Hのほぼ真下に設けられており、放出部27Rに隣接している。
このためリジェクト収納庫227は、第1の実施の形態における第1収納空間27S1と同様、切替部25から搬送され放出部27Rにより第1収納空間227S1内へ放出された紙幣(すなわちリジェクト紙幣)を、当該第1収納空間227S1に収納することができる。
第2収納空間227S2は、リジェクト収納庫227内における前側、すなわち着脱面12Pに近い側に設けられており、上方斜め後側の取込孔227Hと連通している。また取込孔227Hの下側であって第1収納空間227S1の上側には、傾斜面227Lが形成されている。傾斜面227Lは、後側、すなわち切替部25や集積部226に近い側が高く、前側、すなわち着脱面212Pに近い側が低くなっている。
このためリジェクト収納庫227は、取込孔227Hの上方から紙幣束Wが投入された場合、この紙幣束Wを傾斜面227Lに沿って前方へ案内し、第1の実施の形態における第2収納空間27S2と同様、第2収納空間227S2内に収納することができる。
ここで、第1の実施の形態と同様、集積孔226Hの後端部分を集積孔端部226HEとし、取込孔227Hの前端部分を取込孔端部227HEとして、さらに該集積孔端部226HE及び該取込孔端部227HEにより挟まれる範囲を孔範囲220Eと定義する。そうすると、収納ユニット212では、孔範囲220Eの中心を表す孔中心線C2が、収納筐体220における前後方向の中心を表す筐体中心線C1よりも、搬送面212Q側に偏った位置となる。これを換言すれば、孔範囲220Eは、収納筐体220に対し、前後非対称となる位置に設けられている。
挟持搬送ガイド232は、第1の実施の形態において束搬送ユニット13に設けられていた挟持搬送ガイド32に相当するものであり、上下方向に薄く前後方向に長い板状に形成されている。挟持搬送ガイド232における前後方向の長さは、第1の実施の形態と同様、長さL2、L3及びL4を加算した長さ、若しくは長さL1、L2及びL3を加算した長さに相当し、孔範囲220Eから集積孔226H又は取込孔227Hの何れか一方を除いた長さに相当する。
この挟持搬送ガイド232は、第1の実施の形態と同様、図示しない移動機構により、孔範囲220Eの範囲内で前後方向へ移動することができる。すなわち挟持搬送ガイド232は、図12に示したように後側の取込開放位置へ移動した場合、取込孔227Hを開放すると共に集積孔226Hを閉塞し、これと反対に前側の集積開放位置へ移動した場合、集積孔226Hを開放すると共に取込孔227Hを閉塞する。また挟持搬送ガイド232は、後述するように、束搬送部213Cの一部を構成する。
ところで第3の実施の形態では、前面用束搬送ユニット213F及び後面用束搬送ユニット213Rといった2種類の束搬送ユニット213を用意し、この何れかを収納ユニット212と組み合わせることにより、前面機210F又は後面機210Rを構成するようになっている。以下では、前面用束搬送ユニット213Fを例に説明する。
前面用束搬送ユニット213Fは、第1の実施の形態による束搬送ユニット213と比較して、束搬送部13Cに代わる束搬送部213Cを構成し、束搬送筐体30及び下ベルト34に代わる束搬送筐体230F及び下ベルト234を有し、挟持搬送ガイド32が省略されている点において相違するものの、他の点においては同様に構成されている。
束搬送部213Cは、上ベルト31、下ベルト234及び押出部35に加えて、収納ユニット212の挟持搬送ガイド232により、束搬送筐体230F内に束搬送路213Yを形成している。
束搬送筐体230Fは、第1の実施の形態による束搬送筐体30と比較して、大孔部30Hに代わる大孔部230Hを有する点において相違するものの、他の点においては同様に構成されている。大孔部230Hは、着脱面212Pを前方に向けた収納ユニット212(図12)における孔範囲220Eと対応するように、その位置及び大きさが調整されている。下ベルト234は、第1の実施の形態による下ベルト34を後方へ延長した構成となっており、その後端が大孔部230Hの前端近傍に到達している。
因みに後面用束搬送ユニット213R(図11(B))は、この前面用束搬送ユニット213Fと比較して、大孔部230Hが前寄りに形成され、また下ベルト234ではなく第1の実施の形態と同様の下ベルト34が用いられる点において相違している。
[3−2.紙幣出金機の動作]
次に、紙幣出金機210における出金に関する動作について、前面機210Fの場合を例に説明する。因みに後面機210Rの場合、その動作は第1の実施の形態と同様である。
紙幣出金機210の制御部214は、図13(A)に示すように、集積部226において集積籠226C及びステージ226Tを傾斜姿勢とする。また制御部214は、第1の実施の形態と同様、挟持搬送ガイド232を後方の取込開放位置へ移動させることにより取込孔227Hを開放すると共に集積孔226Hを閉塞し、押出部35を最も後側に移動させる。また制御部214は、図5(A)に示した場合と同様に、紙幣収納庫21から繰出部22により繰り出された紙幣を、搬送部223により鑑別部24及び切替部25を経て集積部226又はリジェクト収納庫227へ搬送させる。
集積部226は、搬送されてきた紙幣を放出部26Rにより集積空間226S内へ放出させ、集積籠226C内のステージ226T上に順次集積させる。このとき紙幣は、重力の作用により、ステージ226T上で集積籠226C等の前側面に当接した状態で揃えられる。またリジェクト収納庫227は、搬送されてきた紙幣を放出部27Rにより第1収納空間227S1内へ放出して収納させる。
やがてステージ226T上に出金額に相当する紙幣が集積されると、制御部214は、図13(B)に示すように、挟持搬送ガイド232を前方の集積開放位置へ移動させてから、集積籠226Cを水平姿勢に遷移させることによりステージ226Tの上面をほぼ水平とする。これにより集積部226では、ステージ226T上に紙幣束Wが載置された状態となる。続いて制御部214は、図13(C)に示すように、ステージ226Tを上昇させることにより、集積孔226Hを介して紙幣束Wを前面用束搬送ユニット213F内へ引き渡し、且つ当該紙幣束Wを束搬送路213Y上に位置させる。このときステージ226Tは、束搬送路213Yの一部を形成することになる。
その後、制御部214は、第1の実施の形態と同様、束搬送部213Cにより紙幣束Wを前方へ搬送する。具体的に制御部214は、上ベルト31を前方へ走行させると共に押出部35を前方へ移動させることにより、紙幣束Wを束搬送路213Yに沿って前方へ進行させる。このとき制御部214は、紙幣束Wが下ベルト234の上面に当接する位置に到達すると、上ベルト31及び当該下ベルト234により当該紙幣束Wを上下から挟持し、両ベルトの走行により前方へ搬送させる。
やがて制御部214は、図13(D)示すように、当該紙幣束Wが出金口36に到達すると、上ベルト31及び下ベルト234の走行を停止させ、出金動作を終了して利用者に取り出させる。また制御部214は、押出部35を束搬送路213Yの前端近傍へ到達させることにより、退避機構(図示せず)によって束搬送路213Yの上方に退避させる。
ここで制御部214は、出金口36から紙幣束Wが取り出されなかった場合、第1の実施の形態とは異なる手順により、この紙幣束Wを取り込む取込動作を行う。具体的に制御部214は、まず束搬送部213Cにより紙幣束Wを後方へ搬送する。すなわち制御部214は、図13(E)に示すように、押出部35を上方へ退避させた状態のまま上ベルト31及び下ベルト234を後方へ走行させることにより、紙幣束Wを束搬送路213Y内に取り込み、当該束搬送路213Yに沿って後方へ進行させていく。
このとき制御部214は、図示しないセンサにより紙幣束Wが押出部35よりも後方に到達したことを検知すると、図14(A)に示すように、束搬送路13Yの上方に退避していた紙幣束Wの前側で当該束搬送路13Y内へ復帰させてから、さらに後方へ移動させることにより、紙幣束Wの後方への搬送を補助する。
続いて制御部214は、紙幣束Wが下ベルト234の後端に到達した後も押出部35によって当該紙幣束Wを後方へ押し続け、図14(B)に示すように、当該紙幣束Wをステージ226T上に載置させた段階で当該押出部35を停止させる。すなわち制御部214は、紙幣束Wをリジェクト収納庫227の取込孔227Hよりも後側へ移動させる。
次に制御部214は、図14(C)に示すように、紙幣束Wが載置された状態のステージ226Tを下降させることにより当該紙幣束Wを束搬送路213Yから一時的に離脱させる。続いて制御部214は、図14(D)及び(E)に示すように、押出部35を当該紙幣束Wに当接させること無く束搬送路213Yの後端近傍まで移動させた後、ステージ226Tを上昇させて紙幣束Wを再び束搬送路213Y内へ戻す。この結果、押出部35は、束搬送路213Yにおいて、紙幣束Wの後側に位置することになる。すなわち制御部214は、ステージ226Tによる紙幣束Wの上下方向への移動を利用することにより、押出部35を紙幣束Wの前側から後側へ移動させることができる。
その次に制御部214は、束搬送部213Cにより紙幣束Wを前方へ搬送する。具体的に制御部214は、図15(A)、(B)及び(C)に示すように、押出部35を前方へ移動させることにより、紙幣束Wを挟持搬送ガイド32の上面であって、且つ取込孔227Hよりも後側まで搬送してから、ステージ226Tを下降させ、さらに押出部35を停止させたまま挟持搬送ガイド232を後方の取込開放位置へ移動させる。これにより制御部214は、取込孔227Hを開放させ、且つ当該取込孔227Hの後側に紙幣束Wを位置させ、その後側に押出部35を当接させることができる。
最後に制御部214は、図15(D)に示すように、押出部35を前方へ移動させることにより紙幣束Wを取込孔227Hへ落下させ、傾斜面227Lに沿って前方へ摺動させていき、やがて第2収納空間227S2内へ到達させる。かくして制御部214は、利用者が取り忘れた紙幣束Wを、傾斜面227Lに沿って摺動させながら、第2収納空間227S2内へ案内して収納させることができる。
[3−3.動作及び効果]
以上の構成において、第3の実施の形態による紙幣出金機210は、収納ユニット212において孔範囲220Eの内側で挟持搬送ガイド232を前後方向へ移動させることにより、集積孔226H及び取込孔227Hの何れか一方を開放させるようにした。また紙幣出金機210は、前面機210F用の前面用束搬送ユニット213Fと、後面機210R用の後面用束搬送ユニット213Rとを、主に大孔部230Hの位置に関し、互いに異なる構成とした。
このため紙幣出金機210の収納ユニット212は、束搬送ユニット213に対する取付方向を切り替えるだけで、前面機210F及び後面機210Rの何れにも組み込むことができる。これにより紙幣出金機210は、特許文献1に記載されている従来の紙幣出金機の場合と比較して、前面機210F及び後面機210Rの間において、極めて高い割合で部品を共通化することができる。
また紙幣出金機210は、特に前面機210Fにおいて、利用者が取り忘れた紙幣束Wを取り込む場合に、紙幣束Wを取込孔227Hの後側、すなわち傾斜面227Lの高い側に移動させてから落下させるようにした。これにより紙幣出金機210は、束状に集積された紙幣束Wを落下中に大きく崩すこと無く、束状にまとまった状態をできるだけ維持したまま、第2収納空間227S2に到達させて収納することができる。
さらに収納ユニット212は、収納筐体220における前後の中心を表す筐体中心線C1よりも搬送面212Q側に切替部25を位置させた。これにより収納ユニット212は、搬送部223により鑑別部24を通過した紙幣を集積部226まで搬送する場合の搬送経路の長さを、第1の実施の形態による収納ユニット12(図3)の場合よりも短縮できる。一般に、紙幣出金機210では、鑑別部24においてリジェクト紙幣が発生する頻度が極めて低く、殆どの紙幣が正常な紙幣として集積部226へ搬送される。このため収納ユニット212では、多くの紙幣が搬送される集積部226への搬送経路を短縮することに伴い、搬送中に紙幣が詰まり等の障害を引き起こす可能性を低減させることができる。
これと共に収納ユニット212の搬送部223は、鑑別部24からリジェクト収納庫227へ至る紙幣の搬送経路において、切替部25を通過する際にその進行方向を殆ど変化させること無く、また搬送経路が湾曲されている箇所においてもその角度を鈍角としている。このため収納ユニット212は、搬送部223によりリジェクト紙幣を鑑別部24からリジェクト収納庫227へ搬送する場合に、その進行方向を比較的小さな角度範囲で変化させれば良く、搬送中の紙幣に加える負荷を比較的小さく抑えて、安定的に搬送することができる。
また集積部226では、傾斜姿勢において、ステージ226Tの水平方向に対する傾斜角度を比較的大きく、特に放出部26Rから集積空間226S内へ放出される紙幣の放出角度よりも大きくした(図12)。これにより集積部226では、放出部26Rから放出された紙幣に重力を作用させ、各紙幣の前端側を集積籠226C等の側面に当接させて、ステージ226T上で整然と揃えることができる。
さらに紙幣出金機210は、その他の点においても、前面用束搬送ユニット213F及び後面用束搬送ユニット213Rの構成を互いに相違させる点を除いて、第1の実施の形態による紙幣出金機10と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第3の実施の形態による紙幣出金機210は、収納ユニット212において孔中心線C2を中心として孔範囲220E内で集積孔226H及び取込孔227Hをほぼ前後対称に形成した。このため紙幣出金機210は、収納ユニット212の着脱面212Pを前側又は後側に向けて、前面用束搬送ユニット213F又は後面用束搬送ユニット213Rに対し、孔範囲220Eを大孔部230Hに合わせて取り付けることにより、前面機210F及び後面機210Rの2通りに組み立てることができる。これにより紙幣出金機210は、設置場所の制約を排除でき、また部品やモジュールの共通化を図ることにより製造や管理に要する費用を大幅に低廉化できる。
[4.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、挟持搬送ガイド32を板状部材により構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば第2の実施の形態による可動搬送ベルト132のように、ベルトを走行させ得るベルト機構等、紙幣束Wを搬送するための種々の機構を組み込んでも良い。集積部26のステージ26Tについても同様である。特に挟持搬送ガイド32及びステージ26Tの双方にベルト機構を組み込む場合、押出部35を省略することができる。またこれと反対に、第2の実施の形態において、可動搬送ベルト132及びステージ126Tを、それぞれ第1の実施の形態と同様の板状部材としても良い。この場合、第1の実施の形態と同様の押出部35を設けることにより、束搬送路118Yに沿って紙幣束Wを搬送することができる。
また上述した第1の実施の形態においては、挟持搬送ガイド32を束搬送ユニット13側に設ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば第3の実施の形態と同様に、収納ユニット12側に設けても良い。第2の実施の形態についても同様である。また、これと反対に、第3の実施の形態において、挟持搬送ガイド232を束搬送ユニット213側に設けても良い。
また上述した第1の実施の形態においては、挟持搬送ガイド32における前後方向の長さを長さL1、L2及びL3を加算した長さとし、これを大孔部30Hの範囲内で前後方向へ移動させることにより、前通過孔30HF及び後通過孔30HRを排他的に形成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば挟持搬送ガイド32を長さL2及びL3を加算した長さとして固定し、前通過孔30HF及び後通過孔30HRそれぞれに開閉可能なシャッタを設けても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、集積孔26H及び取込孔27Hにおける前後方向の長さL1及びL4を互いに同等とする場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば取込孔27Hにおける前後方向の長さL4を、集積孔26Hにおける前後方向の長さL1よりも長くしても良い。すなわち、集積孔26H及び取込孔27Hにおける前後方向の長さL1及びL4を互いに相違させても良い。要は、前面機10F又は後面機10Rの何れにおいても、挟持搬送ガイド32を集積部26側の取込開放位置へ移動させたときに集積孔26Hを閉塞すると共に取込孔27Hを開放させ、且つ当該挟持搬送ガイド32をリジェクト収納庫27側の集積開放位置へ移動させたときに取込孔27Hを閉塞すると共に集積孔26Hを開放させることができれば良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、挟持搬送ガイド32を1枚の板状ないし直方体状の部材として構成し、当該挟持搬送ガイド32を前後方向へ移動させることにより、集積孔26H及び取込孔27Hの何れか一方を閉塞すると共に他方を開放する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、挟持搬送ガイド32を2枚以上の板状ないし直方体状の部材により構成しても良い。例えば、挟持搬送ガイド32に代えて、当該挟持搬送ガイド32を前後に2分割してなる集積挟持搬送ガイド及び取込挟持搬送ガイドを設けても良い。この場合、集積挟持搬送ガイドによる集積孔26Hの開閉と取込挟持搬送ガイドによる取込孔27Hの開閉とを、互いに独立して行うことができ、例えば集積孔26H及び取込孔27Hを同時に閉塞することも可能となる。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、束搬送ユニット13の下側に、前後方向の長さL1〜L4を加算した長さに相当する大孔部30Hを形成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば長さL1である後通過孔30HRに相当する孔と、長さL4である前通過孔30HFに相当する孔とを、それぞれ独立に形成しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、ステージ26T上に紙幣を集積する場合に、挟持搬送ガイド32により集積孔26Hを閉塞させて紙幣が束搬送路13Y内へ舞い上がることを防止するようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば挟持搬送ガイド32により集積孔26Hを開放させたままステージ26T上に紙幣を集積させても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、リジェクト収納庫27内の空間を仕切板27Pによって第1収納空間27S1及び第2収納空間27S2に区切ることにより、リジェクト紙幣と取り忘れ紙幣とを区別して収納する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば仕切板27Pを省略して1個の空間内にリジェクト紙幣と取り忘れ紙幣とを混在させるようにしても良い。また、例えばリジェクト収納庫27が上下方向に薄く形成され、束搬送路13Yと当該リジェクト収納庫27の底面との高低差が比較的小さい場合などに、仕切板27Pを傾斜させること無く、紙幣束Wを案内せずに直接落下させても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第3の実施の形態においては、束搬送部213Cの退避機構(図示せず)により、押出部35を出金口36の近傍においてのみ、束搬送路213Yから退避させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば当該退避機構により、任意の箇所において押出部35を束搬送路213Yから退避させ、また当該束搬送路213Y内へ復帰させ得るようにしても良い。束搬送部213Cは、特に紙幣束Wが利用者に取り忘れられた場合に、紙幣束Wを取込孔227Hの後側まで退避させた段階で、押出部35を束搬送路213Yから退避させた状態で当該紙幣束Wの後側へ移動させることにより、ステージ226Tの移動を利用した図14(B)〜(E)の手順を省略できる。第1及び第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、切替部25により紙幣の進行方向を後側又は前側に切り替えることにより、当該紙幣を集積部26又はリジェクト収納庫27へ進行させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図16(A)に示す紙幣出金機310のように、切替部325により紙幣の進行方向を上側又は前側に切り替えるようにしても良い。要は、紙幣の進行方向を異なる2方向へ切り替えることにより、紙幣を集積部26又はリジェクト収納庫27に振り分けることができれば良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、鑑別部24を最上位の紙幣収納庫21Aと同等の高さであって、搬送部23における紙幣の搬送路を上下方向に沿わせた部分に設ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図16(B)に示す紙幣出金機410のように、鑑別部424における少なくとも一部を紙幣収納庫21Aの上側に配置しても良い。また、図16(C)に示す紙幣出金機510のように、鑑別部524のほぼ全部分を最上位の紙幣収納庫521Aの上側に配置しても良い。この場合、紙幣収納庫521Aの後側上部に繰出部522を配置しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第2の実施の形態においては、本体ユニット112において、可動搬送ベルト132を設けると共にステージ126Tにベルトを組み込み、且つ押出部35を省略して、紙幣束Wを上下から各ベルトにより挟持し、このベルトの走行により紙幣束Wを前後方向へ搬送する場合について述べた(図10)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図17に示す紙幣出金機610のように、収納ユニット612において、第1の実施の形態と同様の挟持搬送ガイド32及びステージ26Tを設け、さらに押出部35を設けることにより、第1の実施の形態と同様に、押出部35により紙幣束Wを前後方向へ搬送するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、束搬送部13Cにおいて、束搬送路13Yの上側に、束搬送筐体30の前端近傍と後端近傍とを結ぶ上ベルト31を設ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図18に示す紙幣出金機710のように、束搬送ユニット713の束搬送部713Cにおいて、束搬送路713Yの上側に、第2の実施の形態における上後ベルト131及び上前ベルト141(図10)とそれぞれ同様に構成された上後ベルト731及び上前ベルト741を設けても良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、収納ユニット117において、第1の実施の形態における収納ユニット12と同様に集積孔26H及び取込孔27Hをほぼ前後対称に形成し、且つ束搬送後ユニット118におけるほぼ前後対称となる位置に前通過孔30HF及び後通過孔30HRをそれぞれ形成する場合について述べた。しかしながら、第2の実施の形態では収納ユニット117に対する束搬送後ユニット118の取付方向が固定されていることから、これらを前後非対称に形成しても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、紙幣を出金する紙幣出金機10に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば種々の金券や証券、或いは各種チケットなど、紙葉状の媒体を収納しておき、これを利用者に引き渡す種々の装置に適用しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した第3の実施の形態においては、前記リジェクト収納庫に、前記切替部側が前記束搬送路に近接するよう傾斜された傾斜面を設け、前記束搬送部は、前記リジェクト収納庫が前記引渡口側に位置するように前記収納ユニット及び前記束搬送ユニットが組み合わされた場合において、当該引渡口から前記媒体束を取り込み、前記搬送ガイドを前記集積開放位置に移動させた状態で当該媒体束を前記取込孔よりも前記搬送方向と反対の反対方向側へ搬送し、前記搬送ガイドを前記取込開放位置に移動させてから、前記媒体束を前記取込孔から落下させ、前記傾斜面を摺動させて前記リジェクト収納庫内に収納させるようにした。
これにより紙幣出金機210では、紙幣束Wを出金口36から取込孔227Hの反対側へ一度搬送することにより、束搬送路213Yから落下された紙幣束Wを、まずリジェクト収納庫227における傾斜面227Lの上端近傍に当接させ、続いて当該紙幣束Wの姿勢を殆ど変化させること無く摺動させながら、第2収納空間227S2へ案内することができる。
さらに上述した第3の実施の形態においては、前記束搬送部に、前記媒体束を前記束搬送路に沿って押し出し、少なくとも前記引渡口の近傍において前記束搬送路から退避する押出部をさらに設け、前記束搬送部は、前記引渡口から取り込まれた前記媒体束を前記押出部により前記取込孔よりも前記反対方向側へ搬送し、当該押出部を当該媒体束の前記搬送方向側から前記反対方向側へ移動させた後、当該押出部により当該媒体束を前記取込孔から落下させるようにした。
これにより紙幣出金機210では、比較的簡易に構成され、任意の箇所では紙幣束Wを押し出す方向を切り替えることができない押出部35を用いた場合にも、紙幣束Wを出金口36から取込孔227Hの反対側へ搬送し、且つ出金口36及び取込孔227Hの方向へ押し出すことができる。
さらに上述した第3の実施の形態においては、前記集積部に、前記媒体を載置するステージを設け、当該ステージを前記搬送方向と交差する方向へ移動させることにより、前記束搬送ユニット内において当該ステージにより前記束搬送路の一部分を形成させ、前記束搬送部が、前記押出部を前記媒体束の前記搬送方向側から前記反対方向側へ移動させる場合、前記ステージにより前記束搬送路の一部分を形成した状態で、前記押出部により前記媒体束を前記反対方向へ搬送して当該ステージ上に載置させ、当該ステージを前記束搬送路から遠ざけた状態で前記押出部を前記ステージ上の前記媒体束よりも前記反対方向側まで移動させてから、当該ステージを再び前記束搬送路の一部分を形成する位置へ移動させるようにした。
これにより紙幣出金機210では、紙幣束Wを束搬送路213Yの内外へ移動させ得るステージ226Tを有効に利用しながら、押出部35による紙幣束Wを押し出す方向を切り替えることができる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、収納ユニットとしての収納ユニット12と、束搬送ユニットとしての束搬送ユニット13とによって媒体引渡装置としての紙幣出金機10を構成し、束搬送ユニットを、束搬送部としての束搬送部13Cと、引渡口としての出金口36とにより構成し、収納ユニットを、媒体収納庫としての紙幣収納庫21と、鑑別部としての鑑別部24と、集積部としての集積部26と、リジェクト収納庫としてのリジェクト収納庫27と、切替部としての切替部25とにより構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる収納ユニットと、束搬送ユニットとによって媒体引渡装置を構成し、束搬送ユニットを、束搬送部と、引渡口とにより構成し、収納ユニットを、媒体収納庫と、鑑別部と、集積部と、リジェクト収納庫と、切替部とにより構成しても良い。