JP6464882B2 - インホイール型サスペンション装置 - Google Patents

インホイール型サスペンション装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6464882B2
JP6464882B2 JP2015068649A JP2015068649A JP6464882B2 JP 6464882 B2 JP6464882 B2 JP 6464882B2 JP 2015068649 A JP2015068649 A JP 2015068649A JP 2015068649 A JP2015068649 A JP 2015068649A JP 6464882 B2 JP6464882 B2 JP 6464882B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sliding
sliding shaft
wheel
shaft
wheel type
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015068649A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016049966A (ja
Inventor
佐野 真希
真希 佐野
玉正 忠嗣
忠嗣 玉正
敏彦 岡野
敏彦 岡野
咲子 鐸木
咲子 鐸木
豊 又吉
豊 又吉
横手 正継
正継 横手
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2015068649A priority Critical patent/JP6464882B2/ja
Publication of JP2016049966A publication Critical patent/JP2016049966A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6464882B2 publication Critical patent/JP6464882B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Vehicle Body Suspensions (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)

Description

本発明は、サスペンション構成要素の少なくとも一部がタイヤを装着するホイール内に配置されたインホイール型サスペンション装置に関する発明である。
従来、2本の摺動軸が設けられた摺動部材を、ブッシュを介して車体に取り付けた摺動機構を備えたインホイール型サスペンション装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−161195号公報
しかしながら、従来装置は、2本の摺動軸の同時のずれ変化に対しては対応できるが、それぞれの動作で発生するずれについては吸収しきれない。このため、それぞれの動作で発生するずれにより、摺動抵抗が増加し、正常に上下ストロークするのが困難になる、という問題がある。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、サスペンション上下運動に伴って摺動するとき、摺動抵抗の増加を抑えた摺動動作を維持するインホイール型サスペンション装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、一端が車輪支持部材に連結され、他端が車体に弾性支持されるサスペンション部材を備え、サスペンション構成要素の少なくとも一部がタイヤを装着するホイール内に配置されている。
このインホイール型サスペンション装置において、サスペンション部材の車輪支持部を、車輪支持部材に設けられた摺動機構に有する少なくとも1本以上の摺動軸に対し上下動可能に連結する。これとともに、車輪支持部材とサスペンション部材の間に少なくとも弾性要素と減衰要素のいずれか一方を配置する。
サスペンション部材の車輪支持部と摺動軸の連結部に、摺動軸と接する滑り軸受け部と、摺動軸のずれ変位を吸収する変位吸収機構と、を有する。
よって、サスペンション部材の車輪支持部と摺動軸の連結部に有する変位吸収機構により、摺動軸のずれ変位が吸収される。
すなわち、摺動軸の傾きや複数の摺動軸の軸間距離の変化等のようなミスアライメントがあったとき、変位吸収機構が摺動軸のずれ変位を吸収し、サスペンション部材の車輪支持部と摺動軸の連結部における摺動抵抗の増加が抑えられる。
この結果、サスペンション上下運動に伴って摺動するとき、摺動抵抗の増加を抑えた摺動動作を維持することができる。
実施例1のインホイール型サスペンション装置が適用された左後輪を車両内側の斜め前方から視た全体斜視図である。 実施例1のインホイール型サスペンション装置のサスペンション構成要素を示す斜視図である。 実施例1のインホイール型サスペンション装置においてサスペンション部材と副摺動軸の連結部構成を示す断面図である。 実施例1のインホイール型サスペンション装置において主摺動軸と副摺動軸の取り付けとタイヤとの位置関係を簡略に示す車両後方図である。 実施例2のインホイール型サスペンション装置においてサスペンション部材と副摺動軸の連結部構成を示す断面図である。 実施例2のインホイール型サスペンション装置において変形例(a),(b),(c)によるサスペンション部材と副摺動軸の連結部構成を示す断面図である。 実施例2のインホイール型サスペンション装置において路面入力があったときタイヤに近い位置の主摺動軸の変形を示す主摺動軸変形作用説明図である。 実施例2のインホイール型サスペンション装置において路面入力があったときタイヤから離れた位置の副摺動軸の変形を示す副摺動軸変形作用説明図である。 実施例3のインホイール型サスペンション装置においてサスペンション部材と副摺動軸の連結部の構成(スライドガイド構造)を示す断面図である。 実施例3のインホイール型サスペンション装置においてサスペンション部材と副摺動軸の連結部構成(スライドガイド構造)を示す斜視図である。 実施例3のインホイール型サスペンション装置において主摺動軸と副摺動軸の軸間距離を保ちながらの上下ストローク作用を示す作用説明図である。 実施例4のインホイール型サスペンション装置においてサスペンション部材と副摺動軸の連結部構成(スライド径差構造)を示す斜視図である。 実施例4のインホイール型サスペンション装置においてサスペンション部材と副摺動軸の連結部構成(スライド径差構造)を示す分解斜視図である。 実施例5のインホイール型サスペンション装置においてサスペンション部材と副摺動軸の連結部構成(弾性体ブッシュ+スライドガイド構造)を示す断面図である。 実施例6のインホイール型サスペンション装置のサスペンション構成要素を示す模式図である。 実施例6のインホイール型サスペンション装置においてサスペンション部材と摺動機構との連結部構成(相対回転構造)を示す断面図である。 インホイール型サスペンション装置において、接地荷重が入力したときの摺動機構の変形状態を示す摺動機構変形作用説明図である。 インホイール型サスペンション装置において、タイヤ横力が入力したときの摺動機構の変形状態を示す摺動機構変形作用説明図である。 インホイール型サスペンション装置において、制動力が入力したときの摺動機構の変形状態を示す摺動機構変形作用説明図である。 インホイール型サスペンション装置において、前後力が入力したときの摺動機構の変形状態を示す摺動機構変形作用説明図である。 インホイール型サスペンション装置において、軸傾斜ずれが生じたときの摺動機構を示す変形状態説明図である。 インホイール型サスペンション装置において、軸間距離ずれが生じたときの摺動機構を示す変形状態説明図である。 インホイール型サスペンション装置において、軸傾斜ずれによる摺動抵抗の増加メカニズムを示す説明図である。 インホイール型サスペンション装置において、軸間距離ずれによる摺動抵抗の増加メカニズムを示す説明図である。 実施例6のインホイール型サスペンション装置において、軸傾斜ずれが生じたときの副摺動軸における状態変化を示す説明図である。 タイヤ横力作用時における、摺動軸の位置とタイヤのステア方向との関係を示す説明図である。 実施例7のインホイール型サスペンション装置においてサスペンション部材と副摺動軸の連結部構成(相対回転構造+スライドガイド構造)を示す断面図である。
以下、本発明のインホイール型サスペンション装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1〜実施例7に基づいて説明する。
(実施例1)
まず、構成を説明する。
実施例1におけるインホイール型サスペンション装置IWS1の構成を、「全体構成」、「サスペンション部材と摺動軸の連結部構成」に分けて説明する。
[全体構成]
図1は実施例1のインホイール型サスペンション装置IWS1が適用された左後輪(従動輪)を車両内側の斜め前方から視た斜視図を示し、図2はサスペンション構成要素を示す。以下、図1及び図2に基づき、全体構成を説明する。なお、図1は、向かって右が車両進行方向となる。
前記インホイール型サスペンション装置IWS1は、図1に示すように、車輪支持部材1と、サスペンション部材2と、摺動機構3と、タイヤ4と、弾性要素5と、弾性ブッシュ6と、ホイールセンタ7と、車体取付け部材8と、ホイール9と、減衰要素10と、を備えている。
ここで、単にサスペンション装置ではなく、「インホイール型サスペンション装置」という理由は、上記サスペンション構成要素の少なくとも一部がタイヤ4を装着するホイール9内に配置された構成であることによる。
前記車輪支持部材1は、タイヤ4を装着するホイール9の内側空間に固定されたナックルプレートにより構成される。この車輪支持部材1には、図2に示すように、摺動機構3を構成する平行配置の主摺動軸3aと副摺動軸3bの上端部と下端部が固定される。
前記サスペンション部材2は、一端が車輪支持部材1に連結され、他端が車体に弾性支持される懸架構成要素である。このサスペンション部材2は、図2に示すように、前側車体支持ブラケット2aと、後側車体支持ブラケット2bと、主摺動軸受けパイプ2cと、弾性要素支持ブラケット2dと、副摺動軸受けパイプ2eと、を一体に有する。そして、主摺動軸受けパイプ2cは、サスペンション部材2の車輪支持部であり、車輪支持部材1に設けられた摺動機構3の主摺動軸3aに対し摺動可能に連結される。弾性要素支持ブラケット2dに設けられた副摺動軸受けパイプ2eは、サスペンション部材2の車輪支持部であり、車輪支持部材1に設けられた摺動機構3の副摺動軸3bに対し摺動可能に連結される。つまり、サスペンション部材2は、全体として一体に動作し、かつ、運動自由度として主摺動軸3a及び副摺動軸3bに沿った上下運動に規制される。
前記摺動機構3は、図2に示すように、車輪支持部材1に上端部と下端部が固定され、互いに平行配置の主摺動軸3a(大径)と副摺動軸3b(小径)により構成される。この副摺動軸3bと弾性要素支持ブラケット2dの間には、コイルスプリングにより構成された弾性要素5が介装され、サスペンション部材2の上下方向摺動動作に対してバネ付勢力を付与している。
前記弾性ブッシュ6は、図2に示すように、サスペンション部材2を車体に支持する車体支持部に有し、第1弾性ブッシュ6aと第2弾性ブッシュ6bと第3弾性ブッシュ6cにより構成される円筒ブッシュである。第1弾性ブッシュ6aは、前側車体支持ブラケット2aのホイールセンタ7より上方位置に有する。第2弾性ブッシュ6bは、後側車体支持ブラケット2bのホイールセンタ7より下方位置に有する。第3弾性ブッシュ6cは、前側車体支持ブラケット2aのホイールセンタ7より下方位置に有する。
前記車体取付け部材8は、図1に示すように、サスペンション部材2の各弾性ブッシュ6a,6b,6cと、減衰要素10の上端部と、を車体に対し弾性支持により取り付けるための車体側プレート部材である。
前記減衰要素10は、図1及び図2に示すように、下端部が車輪支持部材1に取り付けられ、上端部が車体取付け部材8に取り付けられていて、いわゆるショックアブソーバにより構成される。つまり、タイヤ4が上下ストロークするとき、車体に伝達される力を減衰させる要素である。
[サスペンション部材と摺動軸の連結部構成]
図3は実施例1のインホイール型サスペンション装置IWS1においてサスペンション部材と副摺動軸の連結部構成を示し、図4は主摺動軸と副摺動軸の取り付けとタイヤとの位置関係を簡略に示す。以下、図3及び図4に基づき、実施例1のサスペンション部材と摺動軸の連結部構成を説明する。
実施例1では、摺動軸として、2本の主摺動軸3aと副摺動軸3bを有し、図4に示すように、主摺動軸3aはタイヤ4から近い位置に設定され、副摺動軸3bは、主摺動軸3aよりも入力が小さくなるタイヤ4から遠い位置に設定される。つまり、路面入力があるとき、タイヤ4を介しての入力は、副摺動軸3bより主摺動軸3aが大きくなるというように、主摺動軸3aと副摺動軸3bの入力は異なる。このため、入力差に応じて、主摺動軸3aの軸径を、副摺動軸3bの軸径よりも大きな径としている。実施例1では、サスペンション部材2の副摺動軸受けパイプ2e(車輪支持部)と副摺動軸3bの連結部に、変位吸収機構を備えている。なお、サスペンション部材2の主摺動軸受けパイプ2c(車輪支持部)と主摺動軸3aの連結部には、主摺動軸受けパイプ2cと主摺動軸3aの間に滑りブッシュ11のみが介装されている。
前記副摺動軸受けパイプ2eと副摺動軸3bの連結部には、図3に示すように、滑りブッシュ11(滑り軸受け部)と、弾性体ブッシュ12(変位吸収機構)と、を有する。ここで、副摺動軸受けパイプ2eは、サスペンション部材2の弾性要素支持ブラケット2dに固定された金属素材による円筒パイプである。
前記滑りブッシュ11は、副摺動軸3bの軸表面と接する滑り軸受け部であり、滑りを促進させる樹脂材による円筒ブッシュにより構成される。なお、主摺動軸3aの軸表面と接する位置にもこの滑りブッシュ11が設けられている。
前記弾性体ブッシュ12は、副摺動軸受けパイプ2eと滑りブッシュ11との間に介装され、副摺動軸3bのずれ変位を吸収する。この弾性体ブッシュ12は、高い弾性変形性を持つゴム等を素材とする。
すなわち、図3に示すように、サスペンション部材2と副摺動軸3bの連結部構成を、副摺動軸3bの軸中心CLから順に、滑りブッシュ11→弾性体ブッシュ12→副摺動軸受けパイプ2eを同軸配置で設けた構成としている。
次に、作用を説明する。
まず、実施例1の作用を説明するにあたり、本発明の背景技術と課題を説明する。
近年、エネルギー資源の効率的活用の観点から電気自動車に対する期待が高まっている。しかし、電気自動車は、航続距離がユーザーの期待に対して短く、満充電での航続距離を延長することが必要となっている。そして、航続距離を延長するためには、限られたスペースにできるだけ多くのバッテリを搭載することが一つの解決手段として有望視されており、サスペンション装置の省スペース化が重要な技術課題となっている。
そして、この「サスペンション装置の省スペース化」といった技術領域では、サスペンションリンクのないインホイール型サスペンション装置が知られている。
このインホイール型サスペンション装置は、車輪を支持する車輪支持部材と、この車輪支持部材に連結されると共に車体に取り付けられるサスペンション部材と、を備え、サスペンション部材の少なくとも一部が、前記車輪のホイール内に配置されている。
さらに、このようなインホイール型サスペンション装置として、車輪を上下ストロークさせるため、摺動機構を介してサスペンション部材の車輪支持部を車輪支持部材に設けられた摺動軸に上下動可能に連結すると共に、車輪支持部材とサスペンション部材との間に弾性要素及び/又は減衰要素とを備えたものが考えられる。
ここで、サスペンションリンクを用いたサスペンション装置の場合、サスペンションリンクの長さを短くすると、サスペンション部材の占有スペースは削減できるものの、車輪の上下ストロークにともなう姿勢変化(ステア変化やキャンバー変化)などが大きくなってしまう。つまり、車輪の姿勢変化を小さくするためには長いサスペンションリンクが必要となるため、サスペンション装置の占有スペースを削減することができなかった。
一方、車輪支持部材とサスペンション部材の間に摺動機構を配置したインホイール型サスペンション装置では、車輪の上下ストロークは、摺動軸に沿った方向に限定されるため、車輪の姿勢変化を小さくすることができる。
しかしながら、車両の快適性、特に車両振動の観点では、路面不整による衝撃力を車体に伝えないことが必要である。そのためには、サスペンション部材の車輪支持部と摺動軸との間の相対的な上下ストロークを滑らかにして路面入力を吸収することが必要である。また、旋回中の車体安定性確保のためには、車体がロールする際、内輪タイヤの浮きを防止してしっかりと接地させておくことも必要である。そのためには、特に内輪リバウンド(伸び側)方向に滑らかにストロークさせることも重要である。
そして、これらの要求を満足させるためには、サスペンション部材の車輪支持部と摺動軸とが相対的に上下ストロークする際の摺動抵抗(フリクション)を低減させておく必要がある。
一方、実施例1では、車輪支持部と摺動軸とを相対的に上下ストロークさせるために二本の摺動軸を用いる摺動機構を採用している。つまり、この場合では、サスペンション部材が車輪支持部を二つ有しており、これらが各々二本の摺動軸に沿って上下動する。このため、この二本の摺動軸の平行度を保つことが重要となる。
然るに、サスペンション部品の加工精度や組み付け精度により、その平行度を保つことは容易ではない。また、接地荷重、タイヤ横力、制動力等が作用した場合には、車輪支持部にこじられるような外力が作用するため、それぞれの摺動軸にこじりモーメントが作用して二軸間の距離が変化する、或いは、摺動軸が曲げ変形して二軸間の傾斜角度にずれが生じる、といったことが発生する。
そして、このような車輪支持部に作用したこじりにより、上下ストローク時の摺動抵抗(フリクション)が増大する問題が発生する。なお、本発明では、上記二軸間距離の変化や傾斜角度変化をミスアライメントと呼ぶ。
次に、実施例1のインホイール型サスペンション装置IWS1における作用を、「摺動軸のミスアライメント吸収作用」、「他の特徴作用」に分けて説明する。
[摺動軸のミスアライメント吸収作用]
例えば、特開2007−161195号公報に記載されるように、2本の摺動軸が設けられた摺動部材を、ブッシュを介して車体に取り付けた摺動機構を備えたインホイール型サスペンション装置を比較例とする。
インホイール型サスペンション装置は、摺動機構により上下ストロークするが、路面入力の大きさや方向により、複数摺動軸には初期状態の平行の関係性や摺動軸の間隔についてずれが発生する。これに対し、比較例では、2本の摺動軸が同時にずれ変化した場合には対応することができるが、それぞれの動作で発生するずれについては吸収しきれず、摺動抵抗が増加し、正常にストロークするのが困難になる。
これに対し、実施例1では、サスペンション部材2の車輪支持部と副摺動軸3bの連結部に、副摺動軸3bと接する滑りブッシュ11と、副摺動軸3bのずれ変位を吸収する弾性体ブッシュ12と、を有する構成とした。
すなわち、摺動機構3に主摺動軸3aと副摺動軸3bを有する場合、上下ストローク作動の際、副摺動軸3bの傾き変化や主摺動軸3aからの軸間距離の変化等のようにミスアライメントがある。このミスアライメントは、部品を組み立てたときの寸法関係や位置関係が設計値からずれる製品ばらつきによっても生じる。このようなミスアライメントがあったとき、弾性体ブッシュ12の弾性変形により、副摺動軸3bのずれ変位(=ミスアライメント)が吸収され、サスペンション部材2の車輪支持部と副摺動軸3bの連結部における摺動抵抗の増加が抑えられる。
このように、摺動作動時における軸傾きのばらつきや軸間距離の変化を、弾性体ブッシュ12による弾性変形にて許容できる。このため、常用走行中のサスペンション上下運動の際、2本の摺動軸3a,3bに対するサスペンション部材2の正常な摺動動作を可能にする。この結果、主摺動軸3aと副摺動軸3bを持つインホイール型サスペンション装置IWS1において、サスペンション上下運動に伴って摺動するとき、摺動抵抗の増加を抑えた摺動動作を維持することができる。
[他の特徴作用]
実施例1では、摺動軸として、入力が異なる2本の主摺動軸3aと副摺動軸3bを有する。そして、2本の摺動軸3a,3bのうち、入力が小さい方の副摺動軸3bに変位吸収機構としての弾性体ブッシュ12を設ける構成とした。
このように、入力が小さい方の副摺動軸3bにおいて変位吸収機能を実現させることで、摺動動作を支配するのは入力の大きい主摺動軸3aであり、軸の傾きや変形に対しては入力が小さい副摺動軸3bが追従する構造となる。そうすることにより、サスペンション装置として必要以上に剛性の低下を招くことなく、両摺動軸3a,3b間の傾きや軸間距離の変化を吸収することができる。
その結果、常用走行中、突起乗り越し等での路面からの入力が発生した場合のサスペンション上下運動に伴う摺動軸方向の作動を維持し、正常な摺動動作を可能にする。
実施例1では、副摺動軸3bを、主摺動軸3aよりも入力が小さくなるタイヤ4から遠い位置に設定する構成とした。
このように、摺動軸として、主摺動軸3aと副摺動軸3bを有する場合、主摺動軸3aに対して副摺動軸3bの位置を規定することは、摺動動作を支配するのは入力の大きい主摺動軸3aであることを特定することになる。このため、主摺動軸3aが摺動動作を支配する軸であると特定されることで、タイヤ4の上下ストローク等の挙動を安定させることができる。
その結果、常用走行中、突起乗り越し等での路面からの入力が発生した場合のサスペンション上下運動に伴う摺動軸方向の作動を維持し、正常な摺動動作を可能にする。
実施例1では、変位吸収機構を、サスペンション部材2の車輪支持部と、副摺動軸3bと接する滑りブッシュ11との間に介装された弾性体ブッシュ12とする構成とした。
このように、変位吸収機構として、弾性変形する弾性体ブッシュ12を使用することにより、常用走行中のサスペンション上下運動に伴い、ミスアライメント等による軽微な副摺動軸3bの傾きや主摺動軸3aとの軸間距離の変化を吸収することができる。その結果、常用走行中のサスペンション上下運動に伴う摺動方向の作動を維持する効果があり、正常な摺動動作を可能にする。
実施例1では、サスペンション部材2の車輪支持部が副摺動軸受けパイプ2eであり、副摺動軸3bと接する滑り軸受け部が滑りブッシュ11である。そして、サスペンション部材2と副摺動軸3bの連結部に、副摺動軸3bの軸中心CLから順に、滑りブッシュ11→弾性体ブッシュ12→副摺動軸受けパイプ2eを同軸配置で設ける構成とした。
このように、副摺動軸3bの軸表面との滑りを促進させる滑りブッシュ11と、その周囲にゴム等弾性体の材料より構成される弾性体ブッシュ12を設ける二層構造としている。このため、常用走行中のサスペンション上下運動に伴って軽微な軸傾きや軸間距離の変化がある際、ずれ変位を吸収しながら、副摺動軸3bとの摩擦力を軽減することができる。つまり、弾性体ブッシュ12が軽微な軸傾きや軸間距離の変化を吸収する機能を果たし、この吸収機能による片当たりでの接触圧力増加に伴う摩擦力の増加に対して、滑りブッシュ11が摩擦力を軽減する機能を果たす。
その結果、常用走行中のサスペンション上下運動に伴う摺動軸方向の作動を維持する効果があり、正常な摺動動作を可能にする。
次に、効果を説明する。
実施例1のインホイール型サスペンション装置IWS1にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 一端が車輪支持部材1に連結され、他端が車体に弾性支持されるサスペンション部材2を備え、サスペンション構成要素の少なくとも一部がタイヤ4を装着するホイール9内に配置されたインホイール型サスペンション装置IWS1において、
サスペンション部材2の車輪支持部を、車輪支持部材1に設けられた摺動機構3に有する少なくとも1本以上の摺動軸3a,3bに対し上下動可能に連結するとともに、車輪支持部材1とサスペンション部材2の間に少なくとも弾性要素5と減衰要素のいずれか一方を配置し、
サスペンション部材2の車輪支持部と摺動軸(副摺動軸3b)の連結部に、摺動軸(副摺動軸3b)と接する滑り軸受け部(滑りブッシュ11)と、摺動軸(副摺動軸3b)のずれ変位を吸収する変位吸収機構(弾性体ブッシュ12)と、を有する(図3)。
このため、サスペンション部材2と摺動軸(副摺動軸3b)の連結部に変位吸収機構(弾性体ブッシュ12)を有することで、サスペンション上下運動に伴って摺動するとき、摺動抵抗の増加を抑えた摺動動作を維持することができる。
(2) 摺動軸として、入力が異なる2本以上の摺動軸(主摺動軸3a、副摺動軸3b)を有し、
2本以上の摺動軸(主摺動軸3a、副摺動軸3b)のうち、少なくとも入力が小さい方の摺動軸(副摺動軸3b)に変位吸収機構(弾性体ブッシュ12)を設けた(図4)。
このため、(1)の効果に加え、サスペンション装置として必要以上に剛性の低下を招くことなく、2本以上の摺動軸(主摺動軸3a、副摺動軸3b)間の傾き差異や軸間距離のずれ変化を吸収することができる。
(3) 摺動軸として、主摺動軸3aと副摺動軸3bを有し、
副摺動軸3bは、主摺動軸3aよりもタイヤ4から遠い位置に設定した(図4)。
このため、(1)〜(4)の効果に加え、摺動動作を支配する軸を主摺動軸3aに特定することで、常用走行中、突起乗り越し等での路面からの入力が発生した場合のサスペンション上下運動に伴う安定した摺動動作を維持することができる。
(4) 変位吸収機構は、サスペンション部材2の車輪支持部(副摺動軸受けパイプ2e)と、摺動軸(副摺動軸3b)と接する滑り軸受け部(滑りブッシュ11)との間に介装された弾性体ブッシュ12である(図3)。
このため、(1)〜(3)の効果に加え、常用走行中のサスペンション上下運動に伴う軽微な軸傾きのずれや軸間距離のずれ変化を、弾性体ブッシュ12による弾性変形により吸収することができる。
(5) サスペンション部材2の車輪支持部が摺動軸受けパイプ(副摺動軸受けパイプ2e)であり、副摺動軸3bと接する滑り軸受け部が滑りブッシュ11であり、
サスペンション部材2と摺動軸(副摺動軸3b)の連結部に、摺動軸(副摺動軸3b)の軸中心CLから順に、滑りブッシュ11→弾性体ブッシュ12→摺動軸受けパイプ(副摺動軸受けパイプ2e)を同軸配置で設けた(図3)。
このため、(4)の効果に加え、常用走行中のサスペンション上下運動に伴うずれ変位を吸収しながら、摺動軸3a,3bとの摩擦力を軽減することができる。
(実施例2)
実施例2は、実施例1の変位吸収機構に、路面入力による軸変形を許容する軸変形許容構造を加えた例である。
まず、構成を説明する。
図5は実施例2のインホイール型サスペンション装置IWS2においてサスペンション部材と副摺動軸の連結部構成を示し、図6は変形例(a),(b),(c)によるサスペンション部材と副摺動軸の連結部構成を示す。以下、図5及び図6に基づき、実施例2のサスペンション部材と摺動軸の連結部構成を説明する。
実施例2は、弾性体ブッシュ12を変位吸収機構とするサスペンション部材2と副摺動軸3bの連結部のうち、上下位置の連結境界部分に、路面入力による摺動軸の軸変形を許容する軸変形許容構造を有する。この軸変形許容構造を有する構成を、実施例2の共通構成とする。
図5に示す例は、軸変形許容構造を、硬いゴム素材による硬質ゴムブッシュ12aの上下部分に柔らかいゴム素材による軟質ゴムブッシュ12bを設けて弾性体ブッシュ12とすることで構成した。
図6(a)に示す例は、軸変形許容構造を、滑りブッシュ11の上下部分に、連結境界に近づくほど副摺動軸3bから離間する傾斜面形状による面取り部13を設けることで構成した。
図6(b)に示す例は、軸変形許容構造を、滑りブッシュ11の上下部分に、連結境界に近づくほど副摺動軸3bから離間する円弧面形状による面取り部13’を設けることで構成した。
図6(c)に示す例は、軸変形許容構造を、滑りブッシュ11と弾性体ブッシュ12と副摺動軸受けパイプ2eの上下部分を、連結境界に近づくほど副摺動軸3bから離間する拡開形状とし、拡開部分に面取り部13を設けることで構成した。なお、全体構成については、実施例1の図1及び図2と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
実施例2の作用を説明するにあたり、摺動連結部の境界部分に、路面入力による摺動軸3a,3bの軸変形が生じるメカニズムを、図7及び図8に基づき説明する。
タイヤ4に近い位置の主摺動軸3aの場合には、図7に示すように、突起乗り越し等での路面からの入力のうち、車幅方向成分(図7の矢印)によって車輪支持部材1(ナックル)の下側が破線位置から実線位置へと変形する。このため、主摺動軸3aの下端部にせん断力Fが作用し、主摺動軸受けパイプ2cで拘束された部分との下側境界にモーメントMが作用する。
タイヤ4から離れた位置の副摺動軸3bの場合には、図8に示すように、突起乗り越し等での路面からの入力のうち、上下方向成分(図8の矢印)によって車輪支持部材1(ナックル)の上側と下側が変形する。このため、副摺動軸3bの副摺動軸受けパイプ2eで拘束された部分との上側境界と下側境界にモーメントMが作用する。
このように、タイヤ4からの位置によって摺動軸の軸変形は変化するものの、摺動軸受けパイプ2c,2eの境界部分にモーメントが作用することには変わりない。そのような入力に対して、上下位置の連結境界部分に、路面入力による副摺動軸3bの軸変形を許容する軸変形許容構造を設けると、軸変形を許容しつつ、取付け剛性の必要以上の低下を招くことがない。
図5に示す例では、硬いゴム素材による硬質ゴムブッシュ12aの上下部分に柔らかいゴム素材による軟質ゴムブッシュ12bを設ける構成とした。
このように、両端を相対的に柔らかいゴムとし、中央部に相対的に硬いゴムを配置することで、サスペンション上下ストロークによって、副摺動軸3bが正常に摺動し、サスペンションの上下ストロークを妨げることがない。
図6(a)に示す例では、滑りブッシュ11の上下部分に、面取り部13を設け、図6(b)に示す例では、軸変形許容構造を、滑りブッシュ11の上下部分に、形状が異なる面取り部13’を設ける構成とした。
したがって、サスペンション上下ストロークによって、副摺動軸3bが正常に摺動し、サスペンションの上下ストロークを妨げることがない、という上記効果を期待することができる。
図6(c)に示す例では、滑りブッシュ11と弾性体ブッシュ12と副摺動軸受けパイプ2eの上下部分を拡開形状とし、拡開形状部分に面取り部13を設ける構成とした。
このように、拡開形状とするとともに面取り部13を設けることで、軸変形量がより大きい場合もこれに対応して許容することができる。
次に、効果を説明する。
実施例2のインホイール型サスペンション装置IWS2にあっては、下記の効果を得ることができる。
(6) サスペンション部材2と摺動軸(副摺動軸3b)の連結部のうち、上下位置の連結境界部分に、路面入力による摺動軸(副摺動軸3b)の軸変形を許容する軸変形許容構造を有する(図5,6)。
このため、(1)〜(5)の効果に加え、タイヤ4から離れた位置の副摺動軸3bが、路面入力により軸変形したとき、軸変形を許容しつつ、取付け剛性の低下を抑えることができる。
(7) 軸変形許容構造は、硬いゴム素材による硬質ゴムブッシュ12aの上下部分に柔らかいゴム素材による軟質ゴムブッシュ12bを設けて弾性体ブッシュ12とすることで構成した(図5)。
このため、(6)の効果に加え、弾性体ブッシュ12のうち一部のゴム素材を変更するだけで、路面入力により軸変形があったときにサスペンションの上下ストロークを確保することができる。
(8) 軸変形許容構造は、滑りブッシュ11の上下部分に、連結境界に近づくほど摺動軸(副摺動軸3b)から離間する面取り部13を設けることで構成した(図6(a)及び図6(b))。
このため、(6)の効果に加え、滑りブッシュ11に面取り部13を設けるだけで、路面入力により軸変形があったときにサスペンションの上下ストロークを確保することができる。
(9) 軸変形許容構造は、滑りブッシュ11と弾性体ブッシュ12と摺動軸受けパイプ(副摺動軸受けパイプ2e)の上下部分を、連結境界に近づくほど摺動軸(副摺動軸3b)から離間する拡開形状とし、拡開形状部分に面取り部13を設けることで構成した(図6(c))。
このため、(6)の効果に加え、拡開形状とするとともに面取り部13を設けることで、路面入力により軸変形があったとき、軸変形量がより大きい場合もこれを許容することができる。
(実施例3)
実施例3は、変位吸収機構として、摺動軸のずれ変位方向へのスライド動作を許容するスライドガイド構造を設けた例である。
まず、構成を説明する。
図9は実施例3のインホイール型サスペンション装置IWS3においてサスペンション部材と副摺動軸の連結部の構成(スライドガイド構造)を示し、図10はスライドガイド構造を示す斜視図である。以下、図9及び図10に基づき、実施例3のサスペンション部材と摺動軸の連結部構成を説明する。
実施例3は、変位吸収機構として、サスペンション部材2の車輪支持部と副摺動軸3bとの間に介装され、副摺動軸3bに対しておよそ直角方向に作動するスライド構造を用いた例である。なお、実施例4及び実施例5も変位吸収機構としてスライド構造を有する。
実施例3では、スライド構造を、図9及び図10に示すように、スライドプレート14とスライドガイド15を用い、副摺動軸3bのずれ変位の吸収方向を規定したスライドガイド構造としている。ここで、スライドプレート14は、副摺動軸受けパイプ2eに固定された方形板である。スライドガイド15は、弾性要素支持ブラケット2dにボルト16により固定される押えブラケット17により取り付けられた一対のガイド板であり、スライドプレート14を対向するスライドガイド15の凹部に沿ってスライド可能とする。
なお、副摺動軸3bのスライド方向(図10の矢印B方向)は、条件や要求に応じて自由に決めることができるが、実施例3では、ほぼ車幅方向に一致させた方向としている。
次に、作用を説明する。
実施例3では、変位吸収機構を、サスペンション部材2の車輪支持部と副摺動軸3bとの間に介装され、副摺動軸3bに対しておよそ直角方向に作動するスライド構造とする構成とした。
突起乗り越し等での路面からの入力が発生した場合、2本の摺動軸3a,3bの軸傾きの方向が異なるし、軸間距離が変化する。これに対し、副摺動軸3bのスライド動作によりこれを吸収しながら、サスペンション上下運動に伴う摺動軸3a,3bの摺動作動を滑らかに行うことができる。
その結果、突起乗り越し等での路面からの入力が発生した場合のサスペンション上下運動に伴う摺動軸方向の作動を維持する効果があり、正常な動作を可能にする。
実施例3では、スライド構造として、スライドプレート14とスライドガイド15を用い、副摺動軸3bのずれ変位の吸収方向を規定したスライドガイド構造とした。
このようにスライド方向について規定する構造であることにより、突起乗り越し等での路面からの入力が発生した場合、図11に示すように、可動するスライド方向(B方向)と拘束するスライド阻止方向(C方向)を分離できる。すなわち、必要とされる条件で両摺動軸3a,3b間の傾き差異や軸間距離の変化等がある場合は、可動するスライド方向で吸収し、そうでない場合は、スライド阻止方向で剛性を確保することができる。
その結果、突起乗り越し等での路面からの入力が発生した場合のサスペンション上下運動に伴う摺動軸方向の作動を維持する効果があり、正常な動作を可能にする。
次に、効果を説明する。
実施例3のインホイール型サスペンション装置IWS3にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(10) 変位吸収機構は、サスペンション部材2の車輪支持部と摺動軸(副摺動軸3b)との間に介装され、摺動軸(副摺動軸3b)に対しておよそ直角方向に作動するスライド構造である(図9)。
このため、(1)〜(3)の効果に加え、摺動軸(副摺動軸3b)のずれ変位に対しスライド動作によりこれを吸収することで、サスペンション上下運動に伴う摺動軸3a,3bの摺動作動を滑らかに行うことができる。
(11) 摺動軸として、主摺動軸3aと副摺動軸3bを有し、
スライド構造を、スライドプレート14とスライドガイド15を用い、副摺動軸3bのずれ変位の吸収方向を規定したスライドガイド構造とした(図10)。
このため、(10)の効果に加え、路面入力があったとき、大きなずれ変位吸収が可能であるとともに、可動するスライド方向と、拘束するスライド阻止方向と、を分離できることで、ずれ変位吸収と剛性確保の両立を図ることができる。
(実施例4)
実施例4は、変位吸収機構として、摺動軸のずれ変位方向へのスライド動作を許容するスライド径差構造を設けた例である。
図12及び図13は実施例4のインホイール型サスペンション装置IWS4においてサスペンション部材と副摺動軸の連結部の構成(スライド径差構造)を示す。以下、図9及び図10に基づき、実施例3のサスペンション部材と摺動軸の連結部構成を説明する。
実施例4では、副摺動軸3bに対しておよそ直角方向に作動するスライド構造を、図12及び図13に示すように、長円ブラケット18と真円ブラケット19を用い、副摺動軸3bのずれ変位の吸収方向を規定したスライド径差構造としている。ここで、長円ブラケット18は、副摺動軸受けパイプ2eの上面に固定される。真円ブラケット19は、副摺動軸3bに固定され、長円ブラケット18の長円穴部に装着され、上から押えブラケット20が取り付けられる。押えブラケット20は、ボルト21により長円ブラケット18の外周に固定される。このとき、真円ブラケット19の直径と長円ブラケット18の短径を同じR1とし、真円ブラケット19の直径と長円ブラケット18の長径との間に径差δを持たせた構造としている。これにより、副摺動軸3bは、組立て中立位置から長径方向にそれぞれ径差δだけスライドをすることが可能である。なお、副摺動軸3bのスライド方向(図12の矢印D方向)は、条件や要求に応じて自由に決めることができるが、実施例4では、ほぼ車両前後方向に一致させた方向としている。
次に、作用を説明する。
実施例4では、スライド構造を、長円ブラケット18と真円ブラケット19を用い、副摺動軸3bのずれ変位の吸収方向を規定したスライド径差構造による構成としている。
このようにスライド方向について規定する構造であることにより、突起乗り越し等での路面からの入力が発生した場合、図12に示すように、可動するスライド方向(D方向)と拘束するスライド阻止方向(E方向)を分離できる。すなわち、必要とされる条件で両摺動軸3a,3b間の傾き差異や軸間距離の変化等がある場合は、可動するスライド方向で吸収し、そうでない場合は、スライド阻止方向で剛性を確保することができる。
加えて、スライド径差構造を、副摺動軸受けパイプ2eと別体にすることなく成立させることにより、コンパクトなスペースで、摺動軸傾き、摺動軸間傾き差異、摺動軸間距離の変化等を吸収することができる。
その結果、突起乗り越し等での路面からの入力が発生した場合のサスペンション上下運動に伴う摺動軸方向の作動を維持する効果があり、正常な動作を可能にする。
次に、効果を説明する。
実施例4のインホイール型サスペンション装置IWS4にあっては、下記の効果を得ることができる。
(12) 摺動軸として、主摺動軸3aと副摺動軸3bを有し、
スライド構造を、長円ブラケット18と真円ブラケット19を用い、径差δによる可動範囲で許容する副摺動軸3bのスライド方向をずれ変位吸収方向に規定したスライド径差構造とした(図12)。
このため、(10)の効果に加え、路面入力があったとき、コンパクトに構成することが可能であるとともに、可動するスライド方向と、拘束するスライド阻止方向と、を分離できることで、ずれ変位吸収と剛性確保の両立を図ることができる。
(実施例5)
実施例5は、変位吸収機構として、弾性体ブッシュとスライド構造の併用機構を用いた例である。
図14は実施例5のインホイール型サスペンション装置IWS5においてサスペンション部材と副摺動軸の連結部構成(弾性体ブッシュ+スライドガイド構造)を示す。以下、図14に基づき、実施例5のサスペンション部材と摺動軸の連結部構成を説明する。
実施例5は、変位吸収機構として、サスペンション部材2と副摺動軸3bの連結部に有する弾性体ブッシュ12(図3)とスライド構造(図9)を併せ持つ構造を用いた例である。
前記弾性体ブッシュ12は、図14に示すように、サスペンション部材2の副摺動軸受けパイプ2eと、副摺動軸3bと接する滑りブッシュ11との間に介装され、副摺動軸3bのずれ変位の吸収方向を規定することなく、全周方向とした構造としている。ずれ変位の吸収量は、弾性体ブッシュ12の弾性変形範囲としている。
前記スライド構造は、図14に示すように、スライドプレート14とスライドガイド15’を用い、副摺動軸3bのずれ変位の吸収方向を規定したスライドガイド構造としている。ここで、スライドガイド15’は、弾性要素支持ブラケット2dに固定された固定ブラケット15aと、固定ブラケット15aに対しスライド直交方向に連結ピン15bを介してスライド可能に取り付けられた可動ブラケット15bcと、を有して構成されている。ずれ変位の吸収量は、設定されたスライド量範囲としている。
次に、作用を説明する。
実施例5では、変位吸収機構として、サスペンション部材2と副摺動軸3bの連結部に有する弾性体ブッシュ12とスライド構造(スライドガイド構造)を併せ持つ構造を用いた構成としている。
このように、2種類の変位吸収構造を併用する構造としたことにより、突起乗り越し等での路面からの入力が進行方向から斜めにずれて発生した場合、2本の摺動軸3a,3bの軸傾きや軸間距離の変化の増加が見込まれる。しかし、弾性体ブッシュ12の弾性変形によるずれ変位の吸収作用と、スライド構造(スライドガイド構造)のスライド動作によるずれ変位の吸収作用と、によって、ずれ変位量が大きくても充分にこれを吸収することができる。
その結果、突起乗り越し等での進行方向から斜めにずれた路面入力に対して、サスペンション上下運動に伴う摺動軸方向の作動を維持する効果があり、正常な動作を可能にする。
次に、効果を説明する。
実施例5のインホイール型サスペンション装置IWS5にあっては、下記の効果を得ることができる。
(13) 変位吸収機構は、サスペンション部材2と摺動軸(副摺動軸3b)の連結部に有する弾性体ブッシュ12とスライド構造を併せ持つ構造である(図14)。
このため、(1)〜(3)の効果に加え、吸収したいずれ方向が斜め方向を含むとき、或いは、特定方向のずれ変位量が大きいとき、弾性変形とスライド動作によるずれ変位吸収作用によって、充分にこれを吸収することができる。
(実施例6)
実施例6は、変位吸収機構として、摺動軸の傾斜方向への傾き動作を許容する相対回転構造を設けた例である。
まず、構成を説明する。
図15は、実施例6のインホイール型サスペンション装置のサスペンション構成要素を模式的に示し、図16は、実施例6のインホイール型サスペンション装置IWS6においてサスペンション部材と摺動機構との連結部構成(相対回転構造)を示す。以下、図15及び図16に基づき、実施例6のサスペンション部材と摺動軸の連結部構成を説明する。
実施例6は、変位吸収機構として、サスペンション部材2の副摺動軸受けパイプ2e(車輪支持部)と副摺動軸3bとの間に介装され、副摺動軸受けパイプ2eに対して副摺動軸3bの傾斜方向への回転動作を許容する相対回転構造30を用いた例である。なお、実施例7も変位吸収機構として相対回転構造を有する。
まず、実施例6における変位吸収機構の配置位置について説明する。この実施例6では、摺動軸としての主摺動軸3aと副摺動軸3bを、ホイールセンタ7を挟んで車体前方位置と車体後方位置に配置している。つまり、主摺動軸3aをホイールセンタ7よりも車体後方位置に配置し、副摺動軸3bをホイールセンタ7よりも車体前方位置に配置する。
そして、図15に示すように、ホイールセンタ7よりも車体前方位置に配置した摺動軸である副摺動軸3bに、変位吸収機構である相対回転構造30を設けている。
また、図16に示すように、サスペンション部材2の主摺動軸受けパイプ2c(車輪支持部)と主摺動軸3aの連結部には、滑りブッシュ11のみが介装されて連結している。
すなわち、この実施例6において、主摺動軸3aは、サスペンション部材2との連結部に変位吸収機構を有さず、また、ホイールセンタ7よりも車体後方位置に配置された第1摺動軸である。また、副摺動軸3bは、サスペンション部材2との間に変位吸収機構を有し、また、ホイールセンタ7よりも車体前方位置に配置した第2摺動軸である。
そして、この実施例6では、図16に示すように、変位吸収機構である相対回転構造30を、主摺動軸3aに連結した主摺動軸受けパイプ2cの上端2αと下端2βとの間の高さ領域Hに配置している。
すなわち、副摺動軸受けパイプ2eは、弾性要素支持ブラケット2dに固定されているが、この弾性要素支持ブラケット2dは、弾性要素5によって弾性支持されている。そのため、この弾性要素5が自然長の状態のとき、副摺動軸受けパイプ2eが主摺動軸受けパイプ2cの上端2αと下端2βとの間の位置に配置されるように、弾性要素5の長さが調整される。
そして、前記相対回転構造30は、図16に示すように、ボール部31とボール支持部32を備えており、いわゆるスフィリカル軸受け(自己調心型軸受け)である。
ここで、ボール部31は、滑りブッシュ11の外側に嵌着した円筒部31aと、円筒部31aの外周面から半球状に膨出した球面部31bと、を有する。ボール支持部32は、副摺動軸受けパイプ2eの内側に嵌着した支持部本体32aと、支持部本体の内側に形成された球内面32bと、有する。そして、ボール部31の球面部31bがボール支持部32の球内面32bに対して球面接触することで、副摺動軸3bは副摺動軸受けパイプ2eに対し、360°方向に傾斜可能となっている。
次に、作用を説明する。
まず、実施例6の作用を説明するにあたり、タイヤ4からの入力と摺動軸3a,3bの変形形態について図17〜図20を用いて説明する。
図17は、接地荷重がタイヤ4に作用した場合の摺動軸3a,3bの変形形態を示した図である。タイヤ4が接地したときに生じる接地荷重反力のうち、上下方向成分(図17の矢印)によって、車輪支持部材1(ナックル)は、下側が車幅方向外側に傾くように破線位置から実線位置へと変形する。このため、主摺動軸3aと副摺動軸3bには、それぞれ上端部を車幅方向内側に入り込ませ、下端部を車幅方向外側に張り出させる曲げモーメントM1,曲げモーメントM2が作用する。
一方、サスペンション部材2は、車体取付け部材8に支持されており、接地荷重反力の影響を受けることはない。そのため、各摺動軸3a,3bは、サスペンション部材2の主摺動軸受けパイプ2c又は副摺動軸受けパイプ2eによって変位が規制されて「S字」に曲げられた状態になる。
図18は、旋回時のタイヤ横力がタイヤ4に作用した場合の摺動軸3a,3bの変形形態を示した図である。タイヤ横力による車幅方向成分(図18の矢印)によって、車輪支持部材1(ナックル)は、下側が車幅方向内側に傾くように破線位置から実線位置へと変形する。このため、主摺動軸3aと副摺動軸3bには、それぞれ上端部を車幅方向外側に張り出させ、下端部を車幅方向内側に入り込ませる曲げモーメントM3,曲げモーメントM4が作用する。
一方、サスペンション部材2はタイヤ横力の影響を受けることはない。このため、各摺動軸3a,3bは、サスペンション部材2の主摺動軸受けパイプ2c又は副摺動軸受けパイプ2eによって変位が規制されて「S字」に曲げられた状態になる。
図19は、制動力が作用した場合の摺動軸3a,3bの変形形態を示した図である。制動力が作用すると、タイヤ4の接地点には進行方向逆向きに向かう力(図19の矢印)が作用する。この進行方向逆向き成分によって、車輪支持部材1(ナックル)は、上側が進行方向に傾くように破線位置から実線位置へと変形する。このため、主摺動軸3aと副摺動軸3bには、それぞれ上端部を進行方向側に変形させ、下端部を進行方向逆側に変形させる曲げモーメントM5,曲げモーメントM6が作用する。
一方、サスペンション部材2は制動力の影響を受けることはない。このため、各摺動軸3a,3bは、サスペンション部材2の主摺動軸受けパイプ2c又は副摺動軸受けパイプ2eによって変位が規制されて「S字」に曲げられた状態になる。
図20は、ホイールセンタ7に前後力が作用した場合の摺動軸3a,3bの変形形態を示した図である。これは、例えば車両が後退する際、縁石に乗り上げたような場合である。ホイールセンタ7へ前後力(図20の矢印)が作用すると、この前後力によって、車輪支持部材1(ナックル)は、全体が進行方向側に移動するように破線位置から実線位置へと変形する。一方、サスペンション部材2は前後力の影響を受けることはない。このため、主摺動軸3aには、主摺動軸受けパイプ2cで拘束された部分との上側境界と下側境界に軸線を横切る方向のせん断力M11,M12が作用し、上下端部が進行方向側に「くの字」に曲げられる。また、副摺動軸3bには、副摺動軸受けパイプ2eで拘束された部分の上側境界と下側境界に軸線を横切る方向のせん断力M21,M22が作用し、上下端部が進行方向側に「くの字」に曲げられる。
次に、摺動軸3a,3bの変形とサスペンションの摺動抵抗(フリクション)の増大との関係を図21A〜図23を用いて説明する。
図21Aには、摺動軸の上下端部が互いに反対方向に変位して「S字」に曲げられた状態、つまり図17、図18、図19に示す状態を拡大して模式的に示す。このような変形は軸傾斜角度にずれ(軸傾斜ずれ)を生じる要因となっている。
一方、図21Bには、摺動軸の上下端部が同じ方向に変位して「くの字」に曲げられた状態、つまり図20に示す状態を拡大して模式的に示す。このような変形は他方の摺動軸(主摺動軸)との軸間距離にずれ(軸間距離ずれ)を生じる要因となっている。
そして、摺動軸と軸受けとの間に滑りブッシュのみを介装した場合において、摺動軸にその軸線をこじる方向にモーメント(こじりモーメント)が作用し、摺動軸の傾斜ずれが生じると、図22に示すように、摺動軸は軸受け端部に近い部分(図中A部及びB部)が滑りブッシュに押し付けられる。そして、摺動軸と軸受けとの隙間(ギャップ)にばらつき(ギャップA>ギャップB)が生じ、ギャップが少ない部分(図中C部)では、面圧が高くなる。この状態で摺動軸が滑りブッシュに対して上下ストロークすると、面圧の高い部位(A部及びB部)の摩擦抵抗が増大して、サスペンションとしての摺動抵抗(フリクション)が増大してしまう。
また、摺動軸と軸受けとの間に滑りブッシュのみを介装した場合において、摺動軸に軸線を横切る方向にせん断力が作用し、軸間距離ずれが生じると、図23に示すように、摺動軸は周面の一部(図中D部)が滑りブッシュに押し付けられる。そして、摺動軸と軸受けとの隙間(ギャップ)にばらつき(ギャップC>ギャップD)が生じ、ギャップが少ない部部(図中E部)では、面圧が高くなる。この状態で摺動軸が滑りブッシュに対して上下ストロークすると、面圧の高い部位(D部)の摩擦抵抗が増大して、サスペンションとしての摺動抵抗(フリクション)が増大してしまう。
本発明は、このような状態での摺動抵抗(フリクション)の増大を防止することを目的としたものであるが、特に実施例6では、図22に示すような摺動軸の軸傾斜ずれが生じたときの摺動抵抗の解消を狙いとしている。
すなわち、実施例6では、ボール部31とボール支持部32を備えた相対回転構造30を変位吸収機構として、副摺動軸受けパイプ2eと、副摺動軸3bと接する滑りブッシュ11との間に介装した。
この構成により、接地荷重、タイヤ横力、制動力等によって発生するこじりモーメントによって副摺動軸3bが傾き、主摺動軸3aに対して軸傾斜角度がずれた場合、図24に示すように、ボール部31がボール支持部32に対して回転する。このため、副摺動軸3bが滑りブッシュ11に片当たりすることがなくなり、副摺動軸3bの周囲の面圧が部分的に高くなることを回避できる。この結果、摩擦抵抗の増大を防止し、サスペンションとしての摺動抵抗(フリクション)が増大を抑えることができる。
また、インホイール型サスペンションでは、十分なホイールストロークを確保するための方策も重要である。特に、摺動機構(主摺動軸3a,副摺動軸3b)をホイール9の内側空間に収納する場合には、各摺動軸3a,3bの軸長さを十分に確保することに加え、サスペンション部材2の上下ストロークを確保するため各摺動軸受けパイプ2c,2eの長さを短くすることが必要である。一方では、各摺動軸受けパイプ2c,2eの長さは、各摺動軸3a,3bに作用するこじりモーメントを受け持つことができるように、できるだけ長くすることも要求される。
つまり、サスペンション装置には、接地反力やタイヤ横力が作用してもタイヤ4の姿勢が大きく変化しないように一定の剛性を確保した上で、ショックを吸収する構成が必要である。
これに対し、この実施例6では、摺動軸として、サスペンション部材2との連結部に変位吸収機構(相対回転構造30)を有さない主摺動軸3aと、サスペンション部材2との連結部に変位吸収機構(相対回転構造30)を有する副摺動軸3bと、を備えている。
これにより、車体に対する剛性を主摺動軸3aで確保し、軸傾斜ずれ(ミスアライメント)を副摺動軸3bで対策することができる。なお、主摺動軸3a及び副摺動軸3bのいずれにも変位吸収機構を設けた場合では、車輪支持部材1とサスペンション部材2との剛性が低下しすぎてしまう。
また、2本の摺動軸のうちの一方に変位吸収機構を設けた場合において、変位吸収機構を有していない主摺動軸3aで確保されている上下ストローク量は、バウンドストロークが主摺動軸受けパイプ2cの下端2βと車輪支持部材1の下端面(下側軸端)との距離で決まり、リバウンドストロークが主摺動軸受けパイプ2cの上端2αと車輪支持部材1の上端面(上側軸端)との距離で決まる(図15参照)。
そこで、この実施例6において、サスペンション部材2との連結部に変位吸収機構を有さない主摺動軸3aに連結した主摺動軸受けパイプ2cの上端2αと下端2βとの間の高さ領域Hに相対回転構造30を配置したことで、サスペンション部材2が上下ストロークした際に、相対回転構造30が主摺動軸受けパイプ2cよりも先に車輪支持部材1と干渉することはない。
そのため、主摺動軸3aで確保されている上下ストローク量を維持することができ、サスペンション部材2の十分なストロークを確保することができる。
さらに、図25に示すように、旋回中にタイヤ横力が作用したときのタイヤのステア方向は、摺動軸の位置との関係が深いことが分かっている。
すなわち、車両が旋回する際、タイヤ横力の着力位置Xは、ホイールセンタ7の直下の位置Yよりも進行方向後方にある。また、タイヤ横力は、摺動軸Zのまわりにモーメントを生じさせ、これによりタイヤ4がステアする。
このとき、摺動軸Zがホイールセンタ7よりも車両前方位置(進行方向側)に配置されると、タイヤ4は旋回外側に向かうトーアウト方向にステアされ、タイヤ横力が減少してしまう。これに対し、摺動軸Zがホイールセンタ7よりも車両後方位置(後退方向側)に配置すれば、タイヤ4は旋回内側に向かうトーイン方向にステアされるか、又はほとんどステアしない。
これに対し、実施例6では、摺動軸としてホイールセンタ7よりも車両後方位置に配置された主摺動軸3aと、ホイールセンタ7よりも車両前方位置に配置された副摺動軸3bと、を備え、この副摺動軸3bに変位吸収機構としての相対回転構造30を設けている。
これにより、2本の摺動軸がホイールセンタ7を挟んで前後の位置に配置されることになり、車両の旋回中にタイヤ横力が発生したときに、大きなステア変化が生じることを防止できる。しかも、サスペンション部材2による支持剛性が高い主摺動軸3aが、ホイールセンタ7よりも車両後方位置に配置されているため、発生するステア変化はトーイン方向にすることができる。
さらに、相対回転構造30により、副摺動軸3bにこじりモーメントが作用しても、摺動抵抗(フリクション)の増大を抑制することが可能となり、タイヤ4のスムーズな上下ストロークを実現することができる。
次に、効果を説明する。
実施例6のインホイール型サスペンション装置IWS6にあっては、下記の効果を得ることができる。
(14) 変位吸収機構は、サスペンション部材2の車輪支持部(副摺動軸受けパイプ2e)と、摺動軸(副摺動軸3b)と接する滑り軸受け部(滑りブッシュ11)との間に介装された相対回転構造30である(図16)。
このため、(1)〜(3)の効果に加え、軸傾斜角度がずれた場合に、副摺動軸3bの周囲の面圧が部分的に高くなることを回避し、摩擦抵抗の増大を防止してサスペンションとしての摺動抵抗(フリクション)が増大を抑えることができる。
(15) 摺動軸として、サスペンション部材2との連結部に変位吸収機構(相対回転構造30)を有さない第1摺動軸(主摺動軸3a)と、サスペンション部材2との連結部に変位吸収機構(相対回転構造30)を有する第2摺動軸(副摺動軸3b)と、を備え、
変位吸収機構(相対回転構造30)を、第1摺動軸(主摺動軸3a)に連結したサスペンション部材2の車輪支持部(主摺動軸受けパイプ2c)の上端2αと下端2βとの間の高さ領域Hに配置した(図16)。
このため、(1)〜(14)の効果に加え、サスペンションとしての摺動抵抗(フリクション)が増大を抑えつつ、サスペンションストロークを確保することができる。
(16) 摺動軸として、ホイールセンタ7よりも車体後方位置に配置した第1摺動軸(主摺動軸3a)と、ホイールセンタ7よりも車体前方位置に配置した第2摺動軸(副摺動軸3b)と、を備え、
変位吸収機構(相対回転構造30)を、サスペンション部材2と第2摺動軸(副摺動軸3b)との連結部に設けた(図15)。
このため、(1)〜(15)の効果に加え、旋回中にタイヤ横力が発生したときのステア変化を抑制しつつ、サスペンションとしての摺動抵抗(フリクション)が増大を抑えることができる。
(実施例7)
実施例7は、変位吸収機構として、相対回転構造とスライド構造の併用機構を用いた例である。
図26は、実施例7のインホイール型サスペンション装置IWS7においてサスペンション部材と副摺動軸の連結部構造(相対回転構造+スライドガイド構造)を示す。以下、図26に基づき、実施例7のサスペンション部材と摺動軸の連結部構成を説明する。
実施例7は、変位吸収機構として、サスペンション部材2と副摺動軸3bの連結部に有する相対回転構造(図16)とスライド構造(図9)を併せ持つ構造を用いた例である。
前記相対回転構造30は、図26に示すように、サスペンション部材2の副摺動軸受けパイプ2eと副摺動軸3bと接する滑りブッシュ11との間に介装され、副摺動軸3bの傾斜変位の吸収方向を規定することなく、全周方向とした構造としている。傾斜変位の吸収量は、ボール部31の回転可能範囲としている。
前記スライド構造は、図26に示すように、スライドプレート14と、スライドガイド15とを用い、副摺動軸3bのずれ変位の吸収方向を規定したスライドガイド構造としている。ずれ変位の吸収量は、設定されたスライドプレート14のスライド量範囲としている。
次に、作用を説明する。
実施例7では、変位吸収機構として、サスペンション部材2と副摺動軸3bの連結部に有する相対回転構造30とスライド構造(スライドガイド構造)を併せ持つ構造を用いた構成としている。
このように、2種類の変位吸収機構を併用する構造としたことにより、突起乗り越し等での路面からの入力が進行方向から斜めにずれて発生した場合、2本の摺動軸3a,3bの軸傾きや軸間距離の変化の増加が見込まれる。しかし、相対回転構造30の回転動作による傾斜変位の吸収作用と、スライド構造(スライドガイド構造)のスライド動作によるずれ変位の吸収作用と、によって、ずれ変位量が大きくても十分にこれを吸収することができる。
その結果、突起乗り越し等での進行方向から斜めにずれた路面入力に対して、サスペンション上下運動に伴う摺動軸方向の作動を維持する効果があり、正常な動作を可能にする。
次に、効果を説明する。
実施例7のインホイール型サスペンション装置IWS7にあっては、下記の効果を得ることができる。
(17) 変位吸収機構は、サスペンション部材2と摺動軸(副摺動軸3b)の連結部に有する相対回転構造30とスライド構造を併せ持つ構造である(図26)。
このため、(1)〜(3)の効果に加え、吸収したい摺動軸のずれ方向が斜め方向を含むとき、或いは、特定のずれ変位量が大きいとき、回転動作とスライド動作によるずれ変位吸収作用によって、充分にこれを吸収することができる。
以上、本発明のインホイール型サスペンション装置を実施例1〜実施例7に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1〜7では、摺動軸として、主摺動軸3aと副摺動軸3bを用いる例を示した。しかし、摺動軸としては、1本の摺動軸を用いるものであっても良いし、また、3本以上の摺動軸を用いるものであっても良い。
実施例1〜7では、主摺動軸3aと副摺動軸3bのうち、副摺動軸3bにずれ変位を吸収する変位吸収機構を適用した例を示した。しかし、主摺動軸と副摺動軸の両方にずれ変位を吸収する変位吸収機構を適用しても良い。この場合、主摺動軸によるずれ変位吸収量と副摺動軸によるずれ変位吸収量を異ならせるようにしても良い。
実施例1〜7では、副摺動軸3bと弾性要素支持ブラケット2dの間に、コイルスプリングにより構成された弾性要素5を介装し、サスペンション部材2の上下方向摺動動作に対してバネ付勢力を付与する例を示した。しかし、副摺動軸と副摺動リンクの間には、弾性要素(バネ)とともに減衰要素(ダンパー)を配置する例としても良い。また、弾性要素に代えて減衰要素を配置する例としても良い。
実施例1〜7では、本発明のインホイール型サスペンション装置を後輪(従動輪)に適用する例を示した。しかし、本発明のインホイール型サスペンション装置は、駆動輪に対しても適用することができる。要するに、サスペンション構成要素の少なくとも一部がタイヤを装着するホイール内に配置されたインホイール型サスペンション装置であれば適用できる。
IWS1〜IWS7 インホイール型サスペンション装置
1 車輪支持部材
2 サスペンション部材
2a 前側車体支持ブラケット
2b 後側車体支持ブラケット
2c 主摺動軸受けパイプ(摺動軸受けパイプ)
2d 弾性要素支持ブラケット
2e 副摺動軸受けパイプ(摺動軸受けパイプ)
3 摺動機構
3a 主摺動軸(摺動軸)
3b 副摺動軸(摺動軸)
4 タイヤ
5 弾性要素
6 弾性ブッシュ
7 ホイールセンタ
8 車体取付け部材
9 ホイール
10 減衰要素
11 滑りブッシュ(摺動軸と接する滑り軸受け部)
12 弾性体ブッシュ(変位吸収機構)
12a 硬質ゴムブッシュ
12b 軟質ゴムブッシュ(軸変形許容構造)
13,13’ 面取り部(軸変形許容構造)
14 スライドプレート(変位吸収機構)
15 スライドガイド(変位吸収機構)
18 長円ブラケット(変位吸収機構)
19 真円ブラケット(変位吸収機構)
30 相対回転構造(変位吸収機構)

Claims (15)

  1. 一端が車輪支持部材に連結され、他端が車体に弾性支持されるサスペンション部材を備え、サスペンション構成要素の少なくとも一部がタイヤを装着するホイール内に配置されたインホイール型サスペンション装置において、
    前記サスペンション部材の車輪支持部を、前記車輪支持部材に設けられた摺動機構に有する複数の摺動軸に対し上下動可能に連結するとともに、前記車輪支持部材と前記サスペンション部材の間に少なくとも弾性要素と減衰要素のいずれか一方を配置し、
    前記複数の摺動軸として、路面からの入力が大きい主摺動軸と、前記主摺動軸よりも路面からの入力が小さい副摺動軸と、を少なくとも有し、
    前記サスペンション部材の車輪支持部と前記摺動軸の連結部に、前記摺動軸と接する滑り軸受け部と、前記摺動軸のずれ変位を吸収する変位吸収機構と、を有し、
    前記副摺動軸は、前記主摺動軸よりもタイヤから遠い位置に設定した
    ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。
  2. 請求項1に記載されたインホイール型サスペンション装置において、
    前記変位吸収機構は、前記車輪支持部と、前記滑り軸受け部との間に介装された弾性体ブッシュである
    ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。
  3. 請求項2に記載されたインホイール型サスペンション装置において、
    記車輪支持部が摺動軸受けパイプであり、前記滑り軸受け部が滑りブッシュであり、
    前記サスペンション部材と前記摺動軸の連結部に、前記摺動軸の軸中心から順に、前記滑りブッシュ→前記弾性体ブッシュ→前記摺動軸受けパイプを同軸配置で設けた
    ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。
  4. 請求項1から請求項3までの何れか一項に記載されたインホイール型サスペンション装置において、
    前記サスペンション部材と前記摺動軸の連結部のうち、上下位置の連結境界部分に、路面入力による前記摺動軸の軸変形を許容する軸変形許容構造を有する
    ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。
  5. 請求項4に記載されたインホイール型サスペンション装置において、
    前記変位吸収機構は、弾性体ブッシュであり、
    前記軸変形許容構造は、硬いゴム素材による硬質ゴムブッシュの上下部分に柔らかいゴム素材による軟質ゴムブッシュを設けて前記弾性体ブッシュとすることで構成した
    ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。
  6. 請求項4に記載されたインホイール型サスペンション装置において、
    前記滑り軸受け部は、滑りブッシュであり、
    前記軸変形許容構造は、前記滑りブッシュの上下部分に、連結境界に近づくほど前記摺動軸から離間する面取り部を設けることで構成した
    ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。
  7. 請求項4に記載されたインホイール型サスペンション装置において、
    前記変位吸収機構は弾性体ブッシュであり、前記車輪支持部は摺動軸受けパイプであり、前記滑り軸受け部は滑りブッシュであり、
    前記軸変形許容構造は、前記滑りブッシュと前記弾性体ブッシュと前記摺動軸受けパイプの上下部分を、連結境界に近づくほど前記摺動軸から離間する拡開形状にし、拡開形状部分に面取り部を設けることで構成した
    ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。
  8. 請求項1に記載されたインホイール型サスペンション装置において、
    前記変位吸収機構は、前記車輪支持部と前記摺動軸との間に介装され、前記摺動軸に対しておよそ直角方向に作動するスライド構造である
    ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。
  9. 請求項8に記載されたインホイール型サスペンション装置において、
    前記スライド構造を、スライドプレートとスライドガイドを用い、前記副摺動軸のスライド方向をずれ変位の吸収方向に規定したスライドガイド構造とした
    ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。
  10. 請求項8に記載されたインホイール型サスペンション装置において、
    前記スライド構造を、長円ブラケットと真円ブラケットを用い、径差による可動範囲で許容する前記副摺動軸のスライド方向をずれ変位の吸収方向に規定したスライド径差構造とした
    ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。
  11. 請求項1に記載されたインホイール型サスペンション装置において、
    前記変位吸収機構は、前記サスペンション部材と前記摺動軸の連結部に有する弾性体ブッシュとスライド構造を併せ持つ構造である
    ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。
  12. 請求項1に記載されたインホイール型サスペンション装置において、
    前記変位吸収機構は、前記車輪支持部と、前記滑り軸受け部との間に介装された相対回転構造である
    ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。
  13. 請求項1に記載されたインホイール型サスペンション装置において、
    前記変位吸収機構は、前記サスペンション部材と前記摺動軸の連結部に有する相対回転構造とスライド構造を併せ持つ構造である
    ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。
  14. 請求項1から請求項13までの何れか一項に記載されたインホイール型サスペンション装置において、
    前記複数の摺動軸として、前記サスペンション部材との連結部に前記変位吸収機構を有さない摺動軸と、前記サスペンション部材との連結部に前記変位吸収機構を有する摺動軸と、を備え、
    前記変位吸収機構を、前記摺動軸に連結した車輪支持部の上端と下端との間の高さ領域に配置した
    ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。
  15. 請求項1から請求項14までの何れか一項に記載されたインホイール型サスペンション装置において、
    前記複数の摺動軸として、ホイールセンタよりも車体後方位置に配置した摺動軸と、前記ホイールセンタよりも車体前方位置に配置した摺動軸と、を備え、
    前記変位吸収機構を、前記サスペンション部材と前記摺動軸との連結部に設けた
    ことを特徴とするインホイール型サスペンション装置。


JP2015068649A 2014-08-29 2015-03-30 インホイール型サスペンション装置 Active JP6464882B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015068649A JP6464882B2 (ja) 2014-08-29 2015-03-30 インホイール型サスペンション装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014176514 2014-08-29
JP2014176514 2014-08-29
JP2015068649A JP6464882B2 (ja) 2014-08-29 2015-03-30 インホイール型サスペンション装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016049966A JP2016049966A (ja) 2016-04-11
JP6464882B2 true JP6464882B2 (ja) 2019-02-06

Family

ID=55657783

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015068649A Active JP6464882B2 (ja) 2014-08-29 2015-03-30 インホイール型サスペンション装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6464882B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4258514B2 (ja) * 2005-10-27 2009-04-30 トヨタ自動車株式会社 インホイールサスペンション
GB2437072A (en) * 2006-04-12 2007-10-17 Matthew Keeffe Pivotless suspension

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016049966A (ja) 2016-04-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101294070B1 (ko) 능동 제어 현가장치
WO2016029605A1 (zh) 一种集成转向和驱动功能的直线平移式前悬架***
WO2018092587A1 (ja) 車両用懸架装置
JP2015168393A (ja) ストラット式サスペンション装置
KR20230086031A (ko) 독립 코너모듈
JP6507864B2 (ja) インホイール型サスペンション装置
US11118623B2 (en) Rack bush for vehicle steering apparatus
JP6464882B2 (ja) インホイール型サスペンション装置
JP2006088962A (ja) ストラット式サスペンション
KR20210112595A (ko) Ctba 부시 및 ctba 현가 시스템
JP2007118672A (ja) 前輪用サスペンション装置
JP2020090129A (ja) ストラット式サスペンション装置
JP2009030690A (ja) ショックアブソーバ及び車両用サスペンション装置
JP2016011042A (ja) 車両用懸架装置
KR20140064004A (ko) 스텝 링크의 볼조인트 구조
KR20220083318A (ko) 스테빌라이저 바 부시
JP5790865B2 (ja) 車両懸架装置
JP5126373B2 (ja) スタビライザ装置
US11820449B2 (en) Independent corner module
US20230311636A1 (en) Suspension apparatus for vehicle
KR102557764B1 (ko) 내구성이 증대되고 안전성이 확보된 스티어링 샤프트용 댐퍼
JP2009047185A (ja) ストラット式フロントサスペンション装置
JP6497343B2 (ja) 車両のサスペンション構造
JP4743235B2 (ja) ストラット式サスペンション
JP4701947B2 (ja) 操舵輪用ストラット式サスペンション

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180918

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180920

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181114

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20181114

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181211

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181224

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6464882

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151