JP6459450B2 - エンジン制御装置 - Google Patents
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Description
例えば、前記偏差が正の範囲では、1速よりも2速における前記燃圧の低下量を大きく
することが好ましい。また、前記偏差が負の範囲では、1速よりも2速における前記燃圧
の上昇量を大きくすることが好ましい。つまり、前記減速比が小さいほど前記燃圧の補正
量を増加させることが好ましい。
なお、前記計測値は、前記筒内圧に相関するパラメータの実測値に基づいて取得される値であることが好ましい。例えば、前記筒内圧に相関するパラメータの実測値をそのまま前記計測値として使用してもよいし、前記実測値に基づく前記筒内圧の推定値を前記計測値として使用してもよい。
つまり、前記計測値が前記目標値よりも大きければ前記燃圧を減少補正し、前記計測値が前記目標値よりも小さければ前記燃圧を増加補正することが好ましい。このとき、前記偏差の絶対値が大きいほど、前記燃圧の補正量を増加させることが好ましい。
前記筒内圧センサは、前記筒内圧を直接的に検出するセンサであってもよいし、シリンダ内壁やウォータージャケットの側壁における内部応力を検出することで前記筒内圧を間接的に検出するセンサであってもよい。
ここで、前記筒内圧センサで計測された燃焼圧の値のことを「実測値」と呼び、前記インマニ圧センサで計測された吸気圧に基づいて推定された値のことを「推定値」と呼ぶ。前記算出部は、前記実測値及び前記推定値の何れか一方を前記目標値から減じて前記偏差を算出してもよいし、前記実測値と前記推定値との平均値を前記目標値から減じて前記偏差を算出してもよい。つまり、前記実測値及び前記推定値は、併用可能である。
(6)前記制御部が、運転者の運転操作に基づき、車両を急加速させる急加速要求を検出したことを条件として、前記燃圧の制御を実施することが好ましい。例えば、アクセル開度の時間変化率が所定変化率以上であることを、前記条件としてもよい。
本実施形態のエンジン制御装置1は、図1に示すデュアルループEGRシステムを具備したエンジン10の電子制御装置である。図1中には、エンジン10に設けられる複数のシリンダのうちの一つを例示する。このエンジン10は、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。シリンダの頂面には、吸気ポート,排気ポートが設けられ、それぞれのポート開口には吸気弁,排気弁が設けられる。また、筒内の上部には、筒内噴射弁11がその先端を燃焼室側に突出させた状態で設けられる。筒内噴射弁11は、各々の筒内に燃料を噴射する直噴インジェクターであり、各々の筒内噴射弁11は共用の蓄圧室であるコモンレール27に接続される。また、コモンレール27には燃料ポンプ28が接続され、高圧の燃料が蓄えられる。コモンレール27内の燃料圧力(燃圧,レール圧F)は、燃料ポンプ28の出力に応じて変化する。
上記のエンジン10を搭載する車両には、エンジン制御装置1(Engine Electronic Control Unit,制御装置)が設けられる。エンジン制御装置1は、エンジン10に関する点火系,燃料系,吸排気系及び動弁系といった広汎なシステムを総合的に制御する電子制御装置であり、エンジン10の各シリンダーに供給される吸入空気量や燃料噴射量,燃料噴射時期,EGR量等を制御するものである。エンジン制御装置1は、車載ネットワーク網を介して、他の電子制御装置(例えば、変速機ECU,エアコンECU,ブレーキECU,車体制御ECU,ボディECU等)や各種センサ31〜38に接続される。
算出部2は、レール圧制御で用いられる偏差ΔPを算出するものである。この算出部2には、実筒内圧取得部3,目標筒内圧算出部4,偏差算出部5が設けられる。
実筒内圧取得部3は、実際の筒内圧の計測値PMEAを取得する。ここでいう計測値PMEAには、筒内圧の「実測値」及び「推定値」の両方が含まれ、またこれらに基づいて算出される「演算値」も含まれる。すなわち、筒内圧センサ37で実測された実筒内圧PCYLだけでなく、エンジン10の燃焼状態に影響を与えるパラメータについての実測値に基づいて推定された筒内圧の推定値も、計測値PMEAの一つとなりうる。
制御部6は、レール圧制御を実施するものである。この制御部6には、条件判定部7及びレール圧制御部8が設けられる。
条件判定部7は、レール圧制御を実施するための開始条件及び終了条件を判定する。開始条件は、例えば以下の条件1が成立することである。条件1は、車両を急加速させる急加速要求の有無を判定するものであり、例えばアクセル開度APSの時間変化率が正の所定値以上である場合に、急加速要求があるものと判断される。なお、条件2〜4は付加条件であり、全ての条件1〜4が成立した場合にレール圧制御を開始することとしてもよい。
条件1:車両を急加速させる急加速要求を検出した
条件2:アクセル開度APSが所定開度以上である
条件3:低負荷運転状態からの加速操作がなされた
条件4:車速Vが所定車速V0以上での走行中である
=レール圧制御の終了条件=
条件5:制御開始からの経過時間が所定時間以上である
条件6:インマニ圧PIM(計測値)が目標インマニ圧PTGT(目標値)に達した
条件7:車速Vが所定車速V0未満である
条件8:ΔPがほぼゼロである
レール圧制御部8には、例えばエンジン10の回転負荷マップが予め設定され、この回転負荷マップに基づいて基準レール圧FRAILが算出される。回転負荷マップには、少なくともエンジン回転数Neとエンジン負荷Ecと基準レール圧FRAILとの関係が規定され、好ましくはエンジン冷却水温を含む四者の関係が規定される。回転負荷マップ上に規定される基準レール圧FRAILの値は、エンジン10の定常運転状態における標準的な基準レール圧FRAILに相当する。
図3は、レール圧制御の手順を例示するフローチャートであり、エンジン制御装置1内において所定の演算周期で繰り返し実行される。
ステップA1では、エンジン制御装置1に各種情報が入力される。ここでは例えば、アクセル開度APS,車速V,エンジン回転数Ne,シフトレバーの操作位置SP,実筒内圧PCYL等の情報が取得される。
ステップA4では、実筒内圧取得部3で筒内圧の計測値PMEAが取得される。筒内圧の推定値を用いる場合には、インマニ圧センサ32で検出されたインマニ圧PIMに基づいて計測値PMEAが推定される。また、筒内圧の実測値を用いる場合には、筒内圧センサ37で検出された実筒内圧PCYLがそのまま計測値PMEAとされる。
続くステップA8では、エンジン10の運転状態に基づいて基準レール圧FRAILが算出され、これに係数Kを乗じたものが指示レール圧FCOMとして算出されて、実際のレール圧Fが指示レール圧FCOMに近づくように、燃料ポンプ28の出力等が制御される。
なお、ステップA9では、レール圧制御の開始条件が不成立又は終了条件が成立しているため、係数Kの値がK=1に設定されて通常の制御が実施される。つまりこの場合、基準レール圧FRAILがそのまま指示レール圧FCOMとされ、実際のレール圧Fが指示レール圧FCOMに近づくように、燃料ポンプ28の出力等が制御される。
図4(A)に示すように、エンジン10の低負荷低回転状態(アイドリング運転状態)において、時刻t0〜t1間に急加速操作がなされると、アクセル開度APSの増加に伴ってエンジン負荷Ecが増大する。また、筒内圧の目標値PTGTは、アクセル開度APSが増加するのに対応するように時刻t0から増大する。これに対して、実際の筒内圧は、吸気輸送遅れや過給遅れの影響を受けるため、図4(B)に示すように、その計測値PMEAは目標値PTGTの増大変化に対してやや遅れて、目標値PTGTよりも低い値を取りながら追従するように変動する。
(1)上記のエンジン制御装置1では、筒内圧の目標値PTGTと計測値PMEAとの偏差ΔPが大きいほど、エンジン10のレール圧Fが低められる。このように、筒内圧の目標値PTGTに対して実際の計測値PMEAが低い場合にレール圧Fを低下させることで、燃料噴霧の貫徹力を減少させることができる。したがって、吸気輸送遅れや過給遅れに伴う筒内圧の上昇遅れに合わせて、燃料噴霧の広がりやすさを適正化することができ、筒内の燃焼状態を改善することができる。
また、筒内圧の目標値PTGTに対して実際の計測値PMEAが高い場合にはレール圧Fを上昇させることで、燃料噴霧の貫徹力を強めることができる。したがって、吸気輸送遅れや過給遅れに伴う筒内圧の下降遅れにも合わせて、燃料噴霧の広がりやすさを適正化することができ、筒内の燃焼状態を改善することができる。
このように、偏差ΔPの絶対値が大きいほど補正量を増加させることで、実際の計測値PMEAを早期に目標値PTGTまで近づけ、あるいは一致させることができる。したがって、例えば筒内圧が急激に変化する急加速時や急減速時における筒内の燃焼状態を改善することができる。
一方、減速比が大きい状態では、アクセル操作に対してエンジン負荷Ecよりもエンジン回転数Neの方が上昇しやすく、燃料噴射量が増加しにくい。このように、燃料噴射量が増加しにくい運転状態では、レール圧Fの補正量を減少させることで、通常時(エンジン10の定常運転状態における標準的な運転状態)に近い液滴粒子の分散性を得ることができ、過渡状態における筒内の燃焼状態を安定させることができる。
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
2 算出部
3 実筒内圧取得部
4 目標筒内圧算出部
5 偏差算出部
6 制御部
7 条件判定部
8 レール圧制御部
10 エンジン
11 筒内噴射弁
27 コモンレール
28 燃料ポンプ
32 インマニ圧センサ
35 シフトポジションセンサ
37 筒内圧センサ
SP 操作位置
FRAIL 基準レール圧
K 係数
PCYL 実筒内圧
PTGT 目標値
PMEA 計測値
ΔP 偏差
Claims (6)
- エンジンの運転状態に基づいて設定される筒内圧の目標値から前記筒内圧の計測値を減じた偏差を算出する算出部と、
前記算出部で算出された前記偏差が大きいほど、前記エンジンの燃圧を低める制御部とを備え、
前記制御部は、前記エンジンに接続される変速機の減速比が小さいほど前記燃圧を大きく変化させる
ことを特徴とする、エンジン制御装置。 - 前記制御部は、前記偏差が正の範囲で絶対値が大きいほど前記燃圧を低下させ、前記偏差が負の範囲で絶対値が大きいほど前記燃圧を上昇させる
ことを特徴とする、請求項1記載のエンジン制御装置。 - 前記算出部が、筒内圧センサで計測された燃焼圧を前記計測値とする
ことを特徴とする、請求項1又は2記載のエンジン制御装置。 - 前記算出部が、インマニ圧センサで計測された吸気圧に基づいて前記計測値を推定する
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のエンジン制御装置。 - 前記算出部が、前記エンジンの着火時刻における前記偏差を算出する
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のエンジン制御装置。 - 前記制御部が、運転者の運転操作に基づき、車両を急加速させる急加速要求を検出したことを条件として、前記燃圧の制御を実施する
ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載のエンジン制御装置。
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