JP6447335B2 - A/d変換回路 - Google Patents

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Description

本発明は、遅延ユニットがリング状に接続されてなるパルス周回回路を用いたA/D変換回路に関する。
従来、パルス周回回路を備えた時間A/D(TAD)と称される方式のA/D変換回路が提案されている(例えば、特許文献1参照)。パルス周回回路は、入力パルス信号を電源電圧に応じた遅延時間だけ遅延させて出力する遅延ユニットをリング状に接続して構成されている。このA/D変換回路は、遅延ユニットの電源電圧としてA/D変換されるべきアナログ入力電圧を印加し、パルス周回回路におけるパルス信号の周回数をカウントし、そのカウント値に基づいてA/D変換データを得るようになっている。TAD方式のA/D変換回路は、ゲートなどのデジタル回路要素により構成でき、回路構成が比較的簡単で、低コストを実現できるなどの多くの利点を持っている。
しかし、TAD方式のA/D変換回路は、A/D変換データの直線性が良好ではない(非直線性がある)。これは、パルス周回回路の伝達特性(電源電圧と単位時間当たりの周回数との関係)が、線形ではなく2次関数で近似可能な特性になっているためである。そこで、特許文献1記載の構成では、2系統のパルス周回回路を組み合わせることで上記非直線性を完全に相殺し、A/D変換データの直線性を確保している。
特開2012−095264号公報
上述したようにしてA/D変換データの直線性が良好に維持されたA/D変換回路と、非直線性を有するセンサ素子とを組み合わせ、デジタル信号を出力するセンサ製品を構成しようとすると、次のような問題が生じる。すなわち、この場合、A/D変換回路から出力されるA/D変換データには、センサ素子が有する非直線性が、そのまま現れることになる。従って、このA/D変換データに含まれる非直線性をデジタル演算などにより補正して直線化する必要が生じる。その結果、上記補正演算に要する時間だけ応答時間が長くなってしまい、センサ装置としての応答性を速くすることが難しくなる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、デジタル演算を行うことなくアナログ入力電圧の非直線性を補正することができるA/D変換回路を提供することにある。
請求項1または2に記載した手段は、アナログ入力電圧Vinと基準電圧Vrefとの差分に応じたA/D変換データを出力するA/D変換回路である。A/D変換回路は、第1パルス周回回路、第2パルス周回回路、周回数差計測部、変換制御回路および信号比率変更回路を備えている。第1および第2パルス周回回路は、入力信号を電源電圧に応じて定まる遅延時間だけ遅延させて出力する複数の遅延ユニットがリング状に接続されて構成され、これら遅延ユニットにパルス信号を周回させる。周回数差計測部は、第1パルス周回回路におけるパルス信号の周回数と第2パルス周回回路におけるパルス信号の周回数をカウントし、その差分値を出力する。
請求項1に記載した変換制御回路は、A/D変換を終了するタイミングを決定する変換データ出力処理信号を出力し、その時の周回数差計測部が出力する差分値をアナログ入力電圧に対するA/D変換データとして出力する。信号比率変更回路は、アナログ入力電圧から基準電圧を減算した電圧を差分電圧とし、その差分電圧に第1比例係数を乗じた第1差分電圧と基準電圧を加算した電圧を第1出力端子から出力するとともに、差分電圧に第1比例係数と同符号の第2比例係数を乗じた第2差分電圧を基準電圧から減算した電圧を第2出力端子から出力する。第1パルス周回回路の遅延ユニットは、信号比率変更回路の第1出力端子とグランド線とから電源電圧の供給を受ける。第2パルス周回回路の遅延ユニットは、信号比率変更回路の第2出力端子とグランド線とから電源電圧の供給を受ける。また第1比例係数及び前記第2比例係数の少なくとも一方は可変できるように構成されている。
請求項2に記載した変換制御回路は、A/D変換を終了するタイミングを決定する変換データ出力処理信号を出力し、その時の周回数差計測部が出力する差分値をアナログ入力電圧に対するA/D変換データとして出力する。信号比率変更回路は、アナログ入力電圧から基準電圧を減算した電圧を差分電圧とし、その差分電圧に第1比例係数を乗じた第1差分電圧と基準電圧を加算した電圧を第1出力端子から出力するとともに、差分電圧に第1比例係数と同符号で且つ値が異なる第2比例係数を乗じた第2差分電圧を基準電圧から減算した電圧を第2出力端子から出力する。第1パルス周回回路の遅延ユニットは、信号比率変更回路の第1出力端子とグランド線とから電源電圧の供給を受ける。第2パルス周回回路の遅延ユニットは、信号比率変更回路の第2出力端子とグランド線とから電源電圧の供給を受ける。
このような手段の構成は、信号比率変更回路を除く部分については、前述した従来技術の構成と同様に構成されている。従って、本手段の構成によれば、従来技術の構成と概ね同等の効果、つまりTADの非直線性を相殺するといった効果を得ることができる。請求項2記載によれば、信号比率変更回路を設けたことにより、第1および第2パルス周回回路の各遅延ユニットへの印加電圧は、互いに増減の極性が反転し、且つ、絶対値が異なっている。そのため、本手段の構成では、TADの非直線性について、その一部だけが相殺されるようになっている。
また請求項1または2記載の発明によれば、第1および第2パルス周回回路の各遅延ユニットへの印加電圧の絶対値のバランスは、信号比率変更回路における2つの比例係数、つまり第1比例係数および第2比例係数によって任意に設定することができる。つまり、本手段は、任意にTADの非直線性を可変することができる構成となっている。
このような構成によれば、アナログ入力電圧を出力するセンサ等が非直線性を有する場合、TADの非直線性を、そのセンサの非直線性と正負が反転した値に設定すれば、センサが有する非直線性を相殺することができる。従って、本手段によれば、アナログ入力電圧を出力するセンサ等が非直線性を有する場合でも、A/D変換データに含まれる非直線性を補正するためのデジタル演算が不要となり、その結果、センサ装置としての応答性を速くすることができる。
上記構成によれば、第1差分電圧の絶対値を第2差分電圧の絶対値より小さく設定すると、つまり第1比例係数を第2比例係数より小さい値に設定すると、下に凸となる非直線性を実現することができる。従って、請求項3に記載した手段のように、アナログ入力電圧が、第1出力端子の電圧が基準電圧より高い範囲で上に凸となる非線形の特性を有するセンサから出力されるものである場合、第1差分電圧の絶対値を第2差分電圧の絶対値より小さく設定することで、センサが有する非直線性をうまく相殺することができる。
また、上記構成によれば、第1差分電圧の絶対値を第2差分電圧の絶対値より大きく設定すると、つまり第1比例係数を第2比例係数より大きい値に設定すると、上に凸となる非直線性を実現することができる。従って、請求項4に記載した手段のように、アナログ入力電圧が、第1出力端子の電圧が基準電圧より高い範囲で下に凸となる非線形の特性を有するセンサから出力されるものである場合、第1差分電圧の絶対値を第2差分電圧の絶対値より大きく設定することで、センサが有する非直線性をうまく相殺することができる。
請求項5に記載した手段のように、差分電圧に第1比例係数を乗じた第1差分電圧と基準電圧を加算する第1増幅回路を構成し、差分電圧に第2比例係数を乗じた第2差分電圧を基準電圧から減算する第2増幅回路を構成すると、第1比例係数および第2比例係数を容易に変更できる。
請求項6に記載した手段のように、第3差分電圧と第4差分電圧の比率を第1比例係数と第2比例係数の比率と同一となる条件を満たす電圧を第1出力端子及び第2出力端子からそれぞれ出力する全差動増幅回路を構成することで回路構成面積を極力抑制できる。
請求項7に記載した手段では、信号比率変更回路は、第1比例係数と、第2比例係数とを調整する信号比率調整手段を備えている。このような構成によれば、A/D変換回路とセンサ素子とを組み合わせてセンサ製品が構成される場合、そのセンサ素子の非直線性がばらついても、それに対応して非直線性を相殺することが可能となる。また、この場合、センサ素子と組み合わせた後にも非直線性を可変することができる。そのため、組み合わせられるセンサ素子の非直線性に関する特性が不明な場合、あるいは、様々な種類のセンサ素子と組み合わせられる可能性がある場合でも、組み合わせられたセンサ素子が持つ非直線性を確実に相殺することができる。
請求項8に記載した手段では、変換データ出力処理信号の出力時における第1および第2パルス周回回路内でのパルス位置をそれぞれ検出する第1および第2周回位置検出回路を備えている。変換制御回路は、変換データ出力処理信号の出力時において、第1パルス周回回路内でのパルス位置と第2パルス周回回路内でのパルス位置との差分を所定ビット数に対応させてA/D変換データの下位データとし、周回数差計測部が出力する差分値と下位データからの繰り上がり(正の値)、あるいは繰り下がり(負の値)分の和をA/D変換データの上位データとする。これにより、A/D変換データの分解能を高めることができる。
請求項9に記載した手段では、周回数差計測部は、第1および第2パルス周回回路において互いに同位置に配された遅延ユニットからパルス信号が出力される毎にそれぞれカウントアップおよびカウントダウンするように構成されている。このように周回数差計測部にアップダウンカウンタを用いることにより、周回数の差分値を得られる。
請求項10に記載した手段では、周回数差計測部として、それぞれ第1種類のアップダウンカウンタまたは第2種類のアップダウンカウンタを採用することができる。第1種類のアップダウンカウンタは、カウント停止端子とカウントアップ入力端子とカウントダウン入力端子とを備え、カウントアップ入力端子とカウントダウン入力端子のいずれにパルス信号が入力されたかに応じてカウントアップまたはカウントダウンを行い、カウント停止端子に変換データ出力処理信号が入力されたことに応じてカウント動作を停止するように構成されている。
第2種類のアップダウンカウンタは、カウントアップ値とカウントダウン値を得るために、汎用カウンタと、変換データ出力処理信号が入力されたことに応じて、そのカウント値を保持するラッチを2対備え、2つのラッチに保持されているカウント値の差分を出力するように構成されている。第1種類のアップダウンカウンタを採用すると演算回路は不要となる。第2種類のアップダウンカウンタを採用すると汎用カウンタを利用可能となる。
請求項11に記載した手段では、第1種類のアップダウンカウンタは、入力したパルス信号に応じてカウント信号とカウントアップ/カウントダウンを指示するモード信号を生成する入力部と、カウント信号をモード信号に従ってカウントアップまたはカウントダウンするカウンタ部とを備えている。
入力部は、重なり検出部とカウント信号出力部とを備えている。重なり検出部は、カウントアップ入力端子とカウントダウン入力端子にパルス信号が同時に入力された重なり状態の有無を監視し、重なり状態の発生を検出すると重なり検出信号を出力し、重なった当該2つのパルス信号がともに終了した時点から、さらに少なくともカウント信号出力部が有する入出力間の遅延時間分の時間が経過した後に重なり検出信号の出力を停止する。
カウント信号出力部は、重なり検出部から重なり検出信号が入力されていない時には、カウントアップ入力端子またはカウントダウン入力端子に入力されたパルス信号が終了したことに応じてカウンタ部にカウント信号を出力し、重なり検出信号が入力されている時には、カウンタ部へのカウント信号を出力しない。
通常、カウンタ動作は最下位ビットから変化して順次上位ビットへ繰り上がり情報、あるいは繰り下がり情報が伝播する。すなわち、カウント動作中はカウンタ内で伝播遅延を生じている。本請求項のアップダウンカウンタの使い方のように、カウントアップ信号とカウントダウン信号が非同期で交互に入ってくると、前回のカウント動作が終わらないまま次のカウント動作に入ってしまい、誤動作の原因となり得る。そこで、上記のような重なり検出部とカウント信号出力部の連携動作が必要となる。
第1および第2パルス周回回路から出力されるパルス信号が重なった場合、アップダウンカウンタにおける周回数の差分値は結果的に変化しない。本手段の構成を備えることにより、重なり状態を検出した時にカウンタ部へのカウント信号を停止するので、実際にカウントアップとカウントダウンをすることなくカウント値を変化させずに保持でき、誤ったカウントの発生を防止できる。
第1の実施形態を示すA/D変換回路の全体構成図 A/D変換回路の具体的な一構成例を示す図 デジタル可変抵抗器の構成図 アナログマルチプレクサの構成図 アップダウンカウンタの構成図 アップダウンカウンタのタイミングチャート パルス周回回路への印加電圧および単位時間当たりの周回数の関係を示す図 A/D変換回路における非直線性の定義を説明するための図 入力電圧および非直線性の関係を示す図 増幅率の比率および非直線性の関係を示す図 センサにおける非直線性の定義を説明するための図 第2の実施形態においてA/D変換回路の具体的な一構成例を示す図 ピエゾ抵抗効果を利用した圧力センサの一構成例を示す図 磁気抵抗素子を用いた電流センサの一構成例を示す図 第3の実施形態においてA/D変換回路の具体的な一構成例を示す図 第4の実施形態においてA/D変換回路の具体的な一構成例を示す図 第5の実施形態においてA/D変換回路の具体的な一構成例を示す図 第6の実施形態においてA/D変換回路の具体的な一構成例を示す図 第7の実施形態においてA/D変換回路の具体的な一構成例を示す図 第8の実施形態においてA/D変換回路の具体的な一構成例を示す図 全差動増幅回路の構成例を示す図 図21の第1差動対回路部の構成例を示す図 図21のアナログスイッチの回路構成例を示す図 図21のバイアス生成回路の構成例を示す図
以下、本発明の複数の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜図11を参照して説明する。
図1は、本時間A/D(TAD)方式のA/D変換回路の概略的な構成を示している。図1に示すA/D変換回路1は、例えば自動車の電子制御ユニット(ECU)に搭載されたマイクロコンピュータやECUとのデジタル通信機能を有するセンサ製品などの半導体集積回路装置内にMOS製造プロセスにより形成される。A/D変換回路1は、センサ等から出力されたアナログ信号を入力し、そのアナログ入力電圧Vin(被変換電圧)を基準電圧Vrefとの差分に応じたデジタル値に変換し、それをA/D変換データDTとして出力する。
A/D変換回路1は、信号比率変更回路2、周回数差計測部3、変換制御回路4、第1周回位置検出回路5、第2周回位置検出回路6、第1パルス周回回路31、第2パルス周回回路32などを備えている。信号比率変更回路2は、アナログ入力電圧Vinおよび基準電圧Vrefを入力する。信号比率変更回路2は、基準電圧Vrefに第1差分電圧を加算した電圧を出力する第1出力端子と、基準電圧Vrefから第2差分電圧を減算した電圧を出力する第2出力端子を備えている。信号比率変更回路2の第1および第2出力端子は、それぞれ電源線7および8に接続されている。
第1差分電圧は、アナログ入力電圧Vinから基準電圧Vrefを減算した差分電圧ΔVに比例した電圧(=A1・ΔV)である。第2差分電圧は、第1差分電圧と同符号で、且つ、差分電圧ΔVに比例し、且つ、第1差分電圧とは絶対値が異なる電圧(=A2・ΔV)である。つまり、本実施形態では、差分電圧ΔVおよび第1差分電圧の比例係数A1(第1比例係数)と、差分電圧ΔVおよび第2差分電圧の比例係数A2(第2比例係数)とは、互いに異なる値となっている(A1≠A2)。
なお、比例係数A1およびA2は、1以上(増幅)でもよいし、1未満(減衰)でもよい。比例係数A1およびA2を1以上(増幅)にする場合、増幅回路などを用いて信号比率変更回路2を構成すればよい。また、比例係数A1およびA2を1未満(減衰)にする場合、抵抗による分圧回路などを用いて信号比率変更回路2を構成すればよい。
第1および第2パルス周回回路31、32は、入力信号を電源電圧に応じて定まる遅延時間だけ遅延させて出力する複数の遅延ユニットがリング状に接続されて構成され、これら遅延ユニットにパルス信号を周回させる構成となっている。第1パルス周回回路31の遅延ユニットは、電源線7およびグランド線9から電源電圧の供給を受けるように構成されている。第2パルス周回回路32の遅延ユニットは、電源線8およびグランド線9から電源電圧の供給を受けるように構成されている。
周回数差計測部3は、第1パルス周回回路31におけるパルス信号の周回数と、第2パルス周回回路32におけるパルス信号の周回数とをカウントし、その差分値を出力する。このとき、周回数差計測部3は、第1パルス遅延回路31の遅延ユニットおよび第2パルス遅延回路32の遅延ユニットは互いに同位置に配された遅延ユニット(例えば最終段のNx)からパルス信号が出力される毎にカウントアップおよびカウントダウンする。
変換制御回路4には、外部から与えられるスタートパルスSPおよびリセットパルスRPが入力されている。変換制御回路4は、これらのパルスなどに基づいて、A/D変換を開始するタイミングおよび終了するタイミングの決定、A/D変換データDTの出力などを実行する。第1周回位置検出回路5は、A/D変換を終了するタイミングにおける第1パルス周回回路31内でのパルス位置を検出する。第2周回位置検出回路6は、A/D変換を終了するタイミングにおける第2パルス周回回路32内でのパルス位置を検出する。
このような機能を有するA/D変換回路1の具体的な構成としては、例えば図2に示すような構成を採用することができる。図2に示すように、信号比率変更回路2は、全差動増幅回路11〜14および可変抵抗器15〜18を備えている。全差動増幅回路11、13は第1増幅回路に相当し、全差動増幅回路12、14は第2増幅回路に相当する。全差動増幅回路11〜14は、非反転出力電圧と反転出力電圧の平均値(差動出力の中心電圧)が一定値となるように動作するコモンモードフィードバック回路を備えている。この場合、上記平均値は、Vref端子に入力される電圧に設定されるようになっており、全差動増幅回路11〜14の各Vref端子には基準電圧Vrefが入力されている。そのため、全差動増幅回路11〜14の差動出力の中心電圧は、基準電圧Vrefに等しくなる。
全差動増幅回路11の非反転入力端子には、アナログ入力電圧Vinが与えられている。全差動増幅回路11の反転入力端子は、可変抵抗器15の共通端子cに接続されている。全差動増幅回路11の非反転出力端子は、電源線7に接続されるとともに、可変抵抗器15の端子bに接続されている。全差動増幅回路11の反転出力端子は、無接続の状態となっている。可変抵抗器15の端子aには、基準電圧Vrefが与えられている。
全差動増幅回路12の非反転入力端子には、アナログ入力電圧Vinが与えられている。全差動増幅回路12の反転入力端子は、可変抵抗器16の共通端子cに接続されている。全差動増幅回路12の反転出力端子は、電源線8に接続されている。全差動増幅回路12の非反転出力端子は、可変抵抗器16の端子bに接続されている。可変抵抗器16の端子aには、基準電圧Vrefが与えられている。
全差動増幅回路13の非反転入力端子には、設定電圧Vsetが与えられている。全差動増幅回路13の反転入力端子は、可変抵抗器17の共通端子cに接続されている。全差動増幅回路13の非反転出力端子は、電源線19に接続されるとともに、可変抵抗器17の端子bに接続されている。全差動増幅回路13の反転出力端子は、無接続の状態となっている。可変抵抗器17の端子aには、基準電圧Vrefが与えられている。
全差動増幅回路14の非反転入力端子には、設定電圧Vsetが与えられている。全差動増幅回路14の反転入力端子は、可変抵抗器18の共通端子cに接続されている。全差動増幅回路14の反転出力端子は、電源線20に接続されている。全差動増幅回路14の非反転出力端子は、可変抵抗器18の端子bに接続されている。可変抵抗器18の端子aには、基準電圧Vrefが与えられている。
可変抵抗器15〜18は、端子a−b間の抵抗は一定のまま、端子a−c間の抵抗と端子b−c間の抵抗の比率を可変できる構成となっている。可変抵抗器15、17の抵抗の比率は、同一になっており、連動して変化する。また、可変抵抗器16、18の抵抗の比率は、同一になっており、連動して変化する。
このような構成により、全差動増幅回路11は、非反転出力端子から下記(1)式に示す電圧を出力する。ただし、A1は、可変抵抗器15の端子a−c間の抵抗値R1および端子b−c間の抵抗値R2により定まる増幅率である。また、ΔVは、アナログ入力電圧Vinから基準電圧Vrefを減算した差分電圧である。
全差動増幅回路11の出力電圧=Vref+A1・ΔV …(1)
また、全差動増幅回路12は、反転出力端子から下記(2)式に示す電圧を出力する。ただし、A2は、可変抵抗器16の端子a−c間の抵抗値R3および端子b−c間の抵抗値R4により定まる増幅率である。
全差動増幅回路12の出力電圧=Vref−A2・ΔV …(2)
従って、全差動増幅回路11の非反転出力端子は、信号比率変更回路2の第1出力端子に相当し、全差動増幅回路12の反転出力端子は、信号比率変更回路2の第2出力端子に相当する。なお、全差動増幅回路13、14の出力電圧も、上記(1)、(2)式により表すことができる。ただし、この場合、ΔVは、設定電圧Vsetから基準電圧Vrefを減算した差分電圧となる。
可変抵抗器15〜18としては、例えば図3に示すようなデジタル可変抵抗器(デジタルポテンショメータ)を用いることができる。図3に示すデジタル可変抵抗器は、複数の抵抗21と、外部から入力されるデジタル信号(調整データ)によって複数の抵抗21の接続形態を設定するアナログマルチプレクサ22とを備えている。
アナログマルチプレクサ22は、例えば図4に示すように、複数のアナログスイッチ、インバータ(NOT回路)が組み合わされ、これらにセレクタ23から信号が入力される回路形態になっている。なお、アナログスイッチは、Pチャネル型MOSトランジスタおよびNチャネル型MOSトランジスタを並列接続した構成である。
なお、本実施形態では、全差動増幅回路11の増幅率A1は、差分電圧ΔVおよび第1差分電圧の比例係数(第1比例係数)に相当し、全差動増幅回路12の増幅率A2は、差分電圧ΔVおよび第2差分電圧の比例係数(第2比例係数)に相当する。そして、可変抵抗器15、16は、これらの比例係数を調整する信号比率調整手段に相当する。
さて、図2に示すように、A/D変換回路1は、前述した第1および第2パルス周回回路31、32に加え、第3パルス周回路33および第4パルス周回回路34を備えている。つまり、A/D変換回路1は、4つのパルス周回回路を備えている。パルス周回回路31〜34は、入力信号を電源電圧に応じて定まる遅延時間だけ遅延させて出力する複数且つ同数の反転回路Na、Nb、…、Nx(遅延ユニット)がリング状に接続されて構成されている。
反転回路Na〜Nxのうち反転回路NaはNANDゲートから構成され、反転回路Nb〜Nxはインバータから構成されている。パルス周回回路31〜34が有する反転回路Nb〜Nxは互いに熱的に結合した状態に形成されている。NANDゲートの非リング側入力端子にHレベルのスタートパルスSPが入力されている期間、電源電圧に応じて定まる速度で反転回路Na〜Nxにパルス信号が周回する。
4つのパルス周回回路31〜34は、第1パルス周回回路31と第2パルス周回回路32が対になって動作し、第3パルス周回回路33と第4パルス周回回路34が対になって動作する。第1パルス周回回路31の反転回路Na〜Nxは、電源線7およびグランド線9から電源電圧の供給を受ける。第2パルス周回回路32の反転回路Na〜Nxは、電源線8およびグランド線9から電源電圧の供給を受ける。
第3パルス周回回路33の反転回路Na〜Nxは、電源線19およびグランド線9から電源電圧の供給を受ける。第4パルス周回回路34の反転回路Na〜Nxは、電源線20およびグランド線9から電源電圧の供給を受ける。なお、この場合、基準電圧Vrefは、A/D変換回路1に与えられる電圧Vcc(例えば5V)の中間電位、例えば1/2の電圧(Vcc/2)となっている。
各電源線7、8、19、20およびグランド線9の間には、反転回路Na〜Nxの反転時の瞬間的な貫通電流による電圧低下防止のため、それぞれバイパスコンデンサCpが設けられている。
A/D変換回路1のうちパルス周回回路31〜34を除く回路部分は、電圧Vccの供給を受けて動作する。電圧Vccとパルス周回回路31〜34の各電源電圧とは異なるため、パルス周回回路31〜34への信号の入出力にはレベルシフト回路が必要となる。パルス周回回路31〜34の反転回路(NANDゲート)Naの前には入力レベルシフト回路35が設けられている。パルス周回回路31〜34の反転回路Nxの後には出力レベルシフト回路36が設けられている。
第1パルス周回回路31および第2パルス周回回路32には、それぞれ後述する変換データ出力処理信号Saの出力時におけるパルス周回回路内でのパルス位置を検出するための第1周回位置検出回路5および第2周回位置検出回路6が設けられている。第1周回位置検出回路5は、ラッチ&エンコーダ37および出力レベルシフト回路38から構成されている。第2周回位置検出回路6は、ラッチ&エンコーダ39および出力レベルシフト回路40から構成されている。
ラッチ&エンコーダ37は、第1パルス周回回路31の反転回路Na〜Nxの出力信号を、出力レベルシフト回路38を介して並列に入力する。ラッチ&エンコーダ37は、これらの出力信号に基づいて第1パルス周回回路31内でのパルス信号の周回位置を検出(エンコード)する。すなわち、ラッチ&エンコーダ37のラッチ指令端子にHレベルの変換データ出力処理信号Saが入力されると、パルス周回回路31を構成する反転回路Na〜Nxの位置データをラッチし、それらの数に応じたビット幅(例えば4ビット)で出力する。ラッチ&エンコーダ39も同様に構成されている。減算器41は、ラッチ&エンコーダ37が出力する位置データからラッチ&エンコーダ39が出力する位置データを減算し、変換データ出力処理信号Saが入力された時の減算値を例えばA/D変換データの下位4ビットの下位データとする。変換制御回路4は、変換データ出力処理信号の出力時において、第1パルス周回回路31の内部でのパルス位置と第2パルス周回回路32の内部でのパルス位置との差分を所定ビット数に対応させてA/D変換データの下位データとする。加算器57は、第1カウンタ42の出力値を上位ビットの上位データとし、下位4ビットを「0000」とした値に減算器41の出力値を加算し、A/D変換データを生成する。
なお、以下の説明では、4つのパルス周回回路31〜34を容易に区別するため、第1パルス周回回路31、ラッチ&エンコーダ37およびレベルシフト回路35、36、38からなる回路を「系統A」と称し、第2パルス周回回路32、ラッチ&エンコーダ39およびレベルシフト回路35、36、40からなる回路を「系統B」と称し、第3パルス周回回路33およびレベルシフト回路35、36からなる回路を「系統C」と称し、第4パルス周回回路34およびレベルシフト回路35、36からなる回路を「系統D」と称する場合がある。
第1カウンタ42は、第1パルス周回回路31におけるパルス信号の周回数と第2パルス周回回路32におけるパルス信号の周回数をカウントしその差分値(例えば8ビット)を出力する第1種類のアップダウンカウンタであり、図1における周回数差計測部3に相当する。カウントアップ入力端子(UP)には、第1パルス周回回路31の反転回路Nxの出力信号が出力レベルシフト回路36を介して入力され、カウントダウン入力端子(DOWN)には、第2パルス周回回路32の反転回路Nxの出力信号が出力レベルシフト回路36を介して入力される。
プリセット端子とストップ解除端子にはA/D変換回路1に対するHレベルのリセットパルスRPが入力され、ストップ端子にはHレベルの変換データ出力処理信号Saが入力される。プリセット端子にリセットパルスRPが与えられると、第1カウンタ42のプリセットデータは全ビット0(Lレベル)に設定され、変換データ出力処理信号Saが入力された時点の第1カウンタ42の出力値を、例えばA/D変換データの上位8ビットとする。
第2カウンタ43は、第3パルス周回回路33におけるパルス信号の周回数と第4パルス周回回路34におけるパルス信号の周回数をカウントしその差分値(例えば8ビット)を出力する第1種類のアップダウンカウンタである。カウントアップ入力端子(UP)には、第3パルス周回回路33の反転回路Nxの出力信号が出力レベルシフト回路36を介して入力され、カウントダウン入力端子(DOWN)には、第4パルス周回回路34の反転回路Nxの出力信号が出力レベルシフト回路36を介して入力される。
プリセット端子とストップ解除端子にはA/D変換回路1に対するHレベルのリセットパルスRPが入力され、ストップ端子にはHレベルの変換データ出力処理信号Saが入力される。プリセット端子にリセットパルスRPが与えられると、プリセットデータとしてROMに設定された値(規定値Yの2の補数、あるいは規定値Y)がセットされる。
第2カウンタ43の後段には、第2カウンタ43の出力値の全ビットが0になったことを判定するコンパレータ44(判定回路)が設けられている。コンパレータ44が、刻々と変化する第2カウンタ43の出力値が確定した後に比較できるように、第2カウンタ43はコンパレータ44にカウント値が確定したことを通知する。
第2カウンタ43は、カウント値が確定すると、コンパレータ44に対しHレベルの確定完了信号(すなわち比較開始信号)を出力し、コンパレータ44からHレベルの比較完了信号(すなわち確定解除信号)が入力されると、確定完了信号をLレベルに戻す。なお、第2カウンタ43の出力値の変化が速く、コンパレータ44で判定漏れが発生する虞がある場合には、第2カウンタ43の出力値の下位ビット側を判定に使わないことも考えられる。
図5は第2カウンタ43の回路構成を示し、図6はタイミングチャートを表している。ここでは表示の都合上4ビットの構成を示すが、実際にはさらに多くのビット数が用いられる。
第2カウンタ43は、カウントアップ入力端子(UP)、カウントダウン入力端子(DOWN)、カウントを停止させるストップ端子(STOP;カウント停止端子)、カウントの停止を解除するストップ解除端子(STOP解除)、プリセット端子(PRESET)、プリセットデータ端子、確定完了信号端子および確定解除信号端子を備えている。第1カウンタ42も第2カウンタ43と同様の構成を備えているが、プリセットデータには全ビットLレベルが与えられ、プリセット端子はリセット端子として用いられる。
第2カウンタ43は、入力したパルス信号に応じてカウント信号とカウントアップ/カウントダウンを指示するモード信号を生成する入力部45と、カウント信号をモード信号に従ってカウントアップまたはカウントダウンするカウンタ部46と、カウント値をコンパレータ44に出力するインターフェイス部47とから構成されている。カウンタ部46には、Hレベルのプリセット信号を与えることによりプリセットデータをセットすることができる。
入力部45は、パルス生成部48、重なり検出部49、カウント信号出力部50、モード設定部51、カウント停止制御部56等から構成されている。パルス生成部48は、偶数個のインバータ48a、48cとExORゲート48b、48dとから構成されている。カウントアップ入力端子、カウントダウン入力端子にパルス信号SB、SAが入力されると、そのアップエッジおよびダウンエッジに同期してそれぞれ幅狭のHレベルのパルス信号SB′、SA′を生成する。
重なり検出部49は、カウントアップ信号であるパルス信号SB′とカウントダウン信号であるパルス信号SA′が同時に入力された重なり状態の有無を監視し、重なり状態が発生したことを検出するとカウント信号出力部50に対しLレベルの重なり検出信号を出力する。重なった当該2つのパルス信号がともに終了した時点から、少なくともカウント信号出力部50が有する入出力間の遅延時間分の時間が経過した後に重なり検出信号の出力を停止する(Hレベルに戻す)。
続いて、重なり検出部49の動作をさらに詳細に説明する。まず、RSフリップフロップ49b、49f、49jには、カウント開始時のためのリセット端子が有り、ストップ解除信号(リセットパルスRP)でリセットする。
ANDゲート49aは、ExORゲート48b、48dの出力が同時にHレベルになったこと、すなわちパルス信号SB′、SA′が重なったことを検出する。パルス信号SB′、SA′が重なると、RSフリップフロップ49bは、Q出力をLレベルからHレベルに変化させ、重なり検出信号であるQ/出力をHレベルからLレベルに変化させることで、重なり状態の発生を記憶する。なお、ここでは、Q出力の反転信号のことをQの後に「/」を付して表している。この重なり状態の記憶は、ANDゲート49aの出力がLレベルに戻った後も維持される。その後、RSフリップフロップ49bは、パルス信号SB′、SA′がともに一旦Lレベルに戻ったことを条件として、記憶した重なり状態をリセットする。
ANDゲート49c、インバータ49dおよびNORゲート49eは、重なり状態検出時にパルス信号SB′がLレベルに変化したことに応じて、RSフリップフロップ49fのQ出力をHレベルにセットさせる。同様に、ANDゲート49g、インバータ49hおよびNORゲート49iは、重なり状態検出時にパルス信号SA′がLレベルに変化したことに応じて、RSフリップフロップ49jのQ出力をHレベルにセットさせる。
ここでは、インバータ49dとNORゲート49eやインバータ49hとNORゲート49iのように、奇数個のインバータとNORゲートを組み合わせることで、ダウンエッジ検出回路が形成されている。後述するインバータ50jとNORゲート50kの組み合わせやインバータ50lとNORゲート50mの組み合わせも同様である。
ANDゲート49kは、RSフリップフロップ49f、49jのQ出力がともにHレベルになるとHレベルのリセット要求信号を出力する。このリセット要求信号は、偶数個のインバータ49l、49mとANDゲート49nによる立ち上がり遅延回路と、奇数個のインバータ49oとANDゲート49pとによるアップエッジ検出回路を介して、RSフリップフロップ49b、49f、49jをリセットする。遅延回路の遅延時間は、カウント信号出力部50が有する入出力間の遅延時間以上とされている。RSフリップフロップ49bがリセットされると、重なり検出信号であるQ/出力がLレベルからHレベルに戻る。なお、上記検出回路の検出パルス幅および遅延回路の遅延時間は、インバータの数により調整することができる。
カウント信号出力部50は、重なり検出信号がHレベルの時、カウントアップ入力端子またはカウントダウン入力端子にパルス信号が入力されたことに応じてカウント停止制御部56を介してカウンタ部46にカウント信号を出力し、重なり検出信号がLレベルの時、カウンタ部46へのカウント信号の出力を停止する。
インバータ50jとNORゲート50kは、パルス信号SB′のダウンエッジに同期してHレベルのカウント信号を出力し、インバータ50lとNORゲート50mは、パルス信号SA′のダウンエッジに同期してHレベルのカウント信号を出力する。これらのカウント信号はORゲート50iとANDゲート50nを介して出力される。ANDゲート50nは、重なり検出信号がHレベルの時にORゲート50iからのカウント信号を通過させる。
モード設定部51は、カウントアップ入力端子とカウントダウン入力端子の何れにパルス信号が入力されたかに応じてカウントアップまたはカウントダウンのモードに切り替える。カウントアップ入力端子にパルス信号が入力されると、そのアップエッジとダウンエッジに同期してHレベルのパルス信号SB′が生じるため、インバータ51bとANDゲート51cを介してRSフリップフロップ51aがセットされ、カウントアップモードに移行する。一方、カウントダウン入力端子にパルス信号が入力されると、そのアップエッジとダウンエッジに同期してHレベルのパルス信号SA′が生じるため、インバータ51dとANDゲート51eを介してRSフリップフロップ51aがリセットされ、カウントダウンモードに移行する。
カウント停止制御部56は、ストップ端子に変換データ出力処理信号Saが入力されたことに応じてカウント動作を停止し、ストップ解除端子にリセットパルスRP(ストップ解除信号)が入力されたことに応じてカウント動作を再開する。すなわち、変換データ出力処理信号Saが入力されると、RSフリップフロップ56aがセットされ、奇数個のインバータ56bを介してANDゲート56cが遮断状態となる。解除信号が入力されると、RSフリップフロップ56aがリセットされ、ANDゲート56cが通過状態となる。
カウンタ部46は、ビット数分のTフリップフロップ46aと、ANDゲート46b、46cとORゲート46dからなるリップルキャリー回路とを備えた非同期カウンタである。Tフリップフロップ46aのプリセット端子にHレベルのプリセット信号を入力すると、プリセットデータがセットされる。RSフリップフロップ46eは、カウント信号のダウンエッジに同期してセットされる。偶数個のインバータ46fは、リップルキャリーとカウント動作に要する時間よりも長い遅延時間を有している。インバータ46fの出力信号は上述した確定完了信号であり、RSフリップフロップ46eのリセット端子に入る信号は確定解除信号である。
図6に示すタイミングチャートは、上から順にカウントアップのパルス信号SB、SB′、カウントダウンのパルス信号SA、SA′、RSフリップフロップ49bのセット端子入力信号、RSフリップフロップ49bのリセット端子入力信号(遅延後のリセット要求信号)、RSフリップフロップ49bのQ出力信号(重なり検出信号の反転信号)、ANDゲート56cの出力信号(カウント信号)、最下位ビットのTフリップフロップ46aの出力、最上位ビットのTフリップフロップ46aの出力、確定解除信号(比較完了信号)を表している。
パルス信号SB、SAのアップエッジおよびダウンエッジに同期してそれぞれパルス信号SB′、SA′が生成される。時刻t1ではパルス信号SB′とSA′に重なりが生じていないため、重なり検出信号(RSフリップフロップ49bの反転信号)はHレベルであって、パルス信号SB′のダウンエッジに対しカウント信号出力部50のゲート遅延時間Tdの後、幅狭のHレベルからのダウンエッジであるカウント信号を出力する。
時刻t2においてパルス信号SB′、SA′に重なりが生じると、ANDゲート49aの遅延を経た後、RSフリップフロップ49bがセットされ、重なり状態の発生が記憶される。時刻t3においてパルス信号SB′が立ち下がると、RSフリップフロップ49fのQ出力がHレベルにセットされる(重なり状態記憶後のパルス信号SB′立ち下がり検出)。
時刻t4においてパルス信号SA′が立ち下がると、RSフリップフロップ49jのQ出力がHレベルにセットされる(重なり状態記憶後のパルス信号A′立ち下がり検出)。この時点でアップパルス信号SB′とダウンパルス信号SA′がともに立ち下がった状態になったのでリセット要求信号が発生し、RSフリップフロップ49b、49f、49jがリセットされ、重なり状態が解除される(時刻t5)。
重なり時に誤ってカウント信号(ANDゲート56cの出力信号)を生成させないため、パルス信号SB′、SA′がともに終了した時点から重なり状態が解除されるまで(重なり検出信号がHレベルとなるまで)の遅延時間は、少なくとも図中に示す時間Td(カウント信号出力部50が有する入出力間の遅延時間分の時間)よりも大きく設定されている。
本実施形態では、第2カウンタ43のカウント値が1増減するごとに、コンパレータ44で全ビットが0か否かを比較できる構成となっている。そのためには、カウント値が1増減する間にコンパレータ44によるデジタル比較動作が完了すればよい。実際には、第2カウンタ43によるカウント動作およびコンパレータ44によるデジタル比較動作の一連の動作を律速するのは、第2カウンタ43の動作時間(主としてカウンタ部46の伝搬時間)である。
図6に示すパルス生成時間は、カウントアップのパルス信号SB、カウントダウンのパルス信号SAが入力された時点からパルス信号SB′、SA′が立ち下がるまでの時間である。第2カウンタ43は、パルス信号SB′、SA′の立ち下がり時点でカウント信号を生成しカウントするので、パルス生成時間は、前回入力されたパルス信号SB、SAのカウント動作中に次のカウント信号を生成するまでの待ち時間に相当する。そのため、パルス生成時間は、カウンタ43の動作時間より長く設定する必要がある。その結果、コンパレータ44のデジタル比較動作時間<カウンタ動作時間<パルス生成時間の関係が必要となる。
一方、パルス周回回路33、34の出力は、1周ごとに1(Hレベル)と0(Lレベル)を繰り返すのに対して、第2カウンタ43は立ち上がり、立ち下りともにカウント信号を生成するので、パルス生成時間<パルス周回回路の1周最小時間とする必要がある。以上から、コンパレータ44のデジタル比較動作時間<カウンタ動作時間<パルス生成時間<パルス周回回路の1周最小時間の関係が必要となる。
さて、図2においてコンパレータ44から全ビット0を示すHレベルの比較結果信号が出力されると、RSフリップフロップ52はセットされ、そのQ出力からHレベルの変換データ出力処理信号Saが出力される。変換データ出力処理信号Saは、カウンタ42、43のストップ端子、ラッチ&エンコーダ37、39のラッチ指令端子に与えられるとともに、インバータ53からなる遅延要素を介して変換終了信号となる。また、RSフリップフロップ52のQ/出力は、ANDゲート54に入力されている。スタートパルスSPは、ANDゲート54を介してレベルシフト回路35に与えられているが、変換終了した時点でRSフリップフロップ52のQ/出力がLレベルになることに同期してANDゲート54の出力もLレベルになるため、パルス信号の周回が停止する。再度、A/D変換する場合は、一旦スタートパルスSPをLレベルにした後、RSフリップフロップ52を、リセットパルスRPの入力によってリセットした後、再開すればよい。
以上説明した構成のうち、減算器41、加算器57、コンパレータ44、RSフリップフロップ52およびANDゲート54は、変換制御回路4を構成する。変換制御回路4は、第1〜第4パルス周回回路31〜34に対し同時にパルス周回動作を開始させる。第2カウンタ43が出力する差分値が予め決められた規定値Yに達すると、変換データ出力処理信号Saを出力し、その時の第1カウンタ42およびラッチ&エンコーダ37、39が出力する差分値をアナログ入力電圧Vinに対するA/D変換データとして出力する。
さて、特開2012−095264号公報に開示された構成(以下、従来技術の構成とも呼ぶ)では、4系統のパルス周回回路のうち、系統Aおよび系統Bの組み合わせによりTADの非直線性を相殺し、同様に系統Cおよび系統Dの組み合わせによりTADの非直線性を相殺している。また、従来技術の構成では、系統Aおよび系統Bの温度特性を系統Cおよび系統Dの温度特性によって相殺する構成となっている。そして、この場合、系統Aおよび系統Bの各遅延ユニットへの印加電圧は、互いに増減の極性が反転し、且つ、絶対値が等しくなっている。これにより、TADの非直線性が完全に相殺されるようになっている。
一方、本実施形態のA/D変換回路1は、信号比率変更回路2を除く部分については、従来技術の構成と同様に構成されている。従って、本実施形態のA/D変換回路1によれば、従来技術の構成と概ね同様の効果、つまりTADの非直線性および温度特性を相殺するといった効果を得ることができる。ただし、本実施形態のA/D変換回路1では、信号比率変更回路2を設けたことにより、系統Aおよび系統Bの各遅延ユニットへの印加電圧は、互いに増減の極性が反転し、且つ、絶対値が等しくなっていない(異なっている)。そのため、本実施形態のA/D変換回路1では、TADの非直線性については、その一部だけが相殺される(補正される)ようになっている。
以下、本実施形態における非直線性補正の考え方について説明する。
図7は、4系統のパルス周回回路31〜34への印加電圧および単位時間当たりの周回数の関係を概念的に表した図である。A/D変換回路1の構成によれば、系統Aのパルス周回回路31に印加される電源電圧をxとし、系統Bのパルス周回回路32に印加される電源電圧をx′とすると、基準電圧xrefに対し常に(3)式と(4)式が成り立つ。
x=xref+Δx …(3)
x′=xref−r・Δx …(4)
すなわち、系統Aのパルス周回回路31の印加電圧が「Δx」だけ増加したとき、系統Bのパルス周回回路32の印加電圧が「r・Δx」だけ減少し、系統A、Bのパルス周回回路31、32の印加電圧が等しくなったときの電圧がxrefとなる。ここで、rは、全差動増幅回路11、12の増幅率A1、A2の比率であり、下記(5)式で表される。
r=増幅率A2÷増幅率A1 …(5)
また、図7に示す系統A〜Dのパルス周回回路の特性は、任意の基準電圧xrefを中心にして(6)式、(7)式に示す2次関数で近似できる(僅かに2次成分を有している)。ただし、y、y′は、それぞれ系統A、Bのパルス周回回路31、32に電源電圧x、x′を印加したときの単位時間当たりの周回数である。また、係数AはΔxに対する2次係数であり、係数BはΔxに対する1次係数である。
y=A・(Δx)+B・(Δx)+yref …(6)
y′=A・(−r・Δx)+B・(−r・Δx)+yref …(7)
上記(6)式および(7)式により、次の(8)式が成り立つ。
y−y′=(1−r)・A・(Δx)+(1+r)・B・(Δx) …(8)
上記(8)式によれば、単位時間当たりの周回数差「y−y′」は、yrefと無関係であることが分かる。また、「r=1」、つまり「増幅率A1=増幅率A2」であれば、電圧変化Δxに対する非直線性成分である2次成分((8)式の右辺第1項)は「0」となり、従来技術の構成と同様に、良好な直線性が得られる。そして、「r≠1」、つまり「増幅率A1≠増幅率A2」とすれば、非直線性が得られることが分かる。
ここでは、A/D変換回路1の「非直線性」を、図8をもとに下記(9)式のように定義する。すなわち、A/D変換回路1の入力電圧範囲におけるA/D変換データ(デジタル値)の変化幅をYmaxとし、入力電圧に対してA/D変換データが直線的に変化する場合における直線(図8において破線で示す)に対する誤差の最大値をΔYmaxとしている。
非直線性[%]=(ΔYmax/Ymax)×100 …(9)
続いて、本実施形態による非直線性補正の試算結果およびセンサ非直線性補正への利用方法を説明する。
図9は、所定の半導体プロセスでのデータをもとに、A/D変換回路1における系統A、Cへの印加電圧の増幅率A1、系統B、Dへの印加電圧の増幅率A2を連動して変化させた際における増幅率の比率rおよび非直線性誤差(試算結果)を示している。図9において、(a)は比率r=0.1(A1=10、A2=1)、(b)は比率r=1(A1=10、A2=10)、(c)は比率r=10(A1=1、A2=10)の場合を示す。なお、ここでは、基準電圧Vref=2.4Vとし、入力電圧範囲を2.4V±0.03V(2.37〜2.43V)とし、このときの出力範囲に対する誤差を示している。
図9に示すように、本実施形態のA/D変換回路1では、増幅率の比率rを変化させることで、上に凸となる非直線性(a)および下に凸となる非直線性(c)のいずれについても実現することができる。具体的には、増幅率A1を増幅率A2よりも大きく設定すると(r<1)、上に凸となる非直線性を実現することができ、増幅率A1を増幅率A2よりも小さく設定すると(r>1)、下に凸となる非直線性を実現することができる。なお、図9(b)に示すように、r=1のときは、フラットな特性となっているが、これは従来技術の構成と同様の特性に相当する。
図10は、図9における入力電圧範囲での誤差(非直線性)の最大値(入力電圧範囲の中心値=2.4V)および増幅率の比率rの関係を示している。図10に示すように、比率rが0.1(1:10)から10(10:1)の範囲において、非直線性が約±0.8%程度の範囲を変化することが分かる。なお、この場合、非直線性の最大値は、1系統のパルス周回回路が元々持っている非直線性によって制限される。また、入力電圧範囲は、増幅率の比率r=1(図9(b))において特性がフラットになるような範囲に選定する必要がある。そのため、ここでは、増幅率A1、A2は「10」以下に設定されている。
このような構成によれば、A/D変換回路1によるA/D変換の対象となるアナログ入力電圧Vinを出力するセンサ等が非直線性(非線形の特性)を有する場合、A/D変換回路1における非直線性を、そのセンサの非直線性と正負を反転した値に設定すれば、センサが有する非直線性を完全に相殺することが可能となる。
なお、センサの「非直線性」は下記(10)式のように定義する。ただし、図11に示すように、センサが検出する物理量(例えば圧力)の範囲におけるセンサ出力信号(出力電圧)の変化幅をVmaxとし、物理量に対して出力電圧が直線的に変化する場合における直線(図11において破線で示す)に対する誤差の最大値をΔVmaxとしている。
非直線性[%]=(ΔVmax/Vmax)×100 …(10)
例えば、センサの非直線性が「+0.4%」であれば、A/D変換回路1の非直線性を「−0.4%」に設定すれば、センサの非直線性を完全に相殺することができる。なお、A/D変換回路1の非直線性を「−0.4%」に設定する場合、増幅率の比率rを「1.75」程度(増幅率A1≒5.7、増幅率A2=10)とすればよい。
続いて、具体的なA/D変換のシーケンスを説明する。初めにリセットパルスRPを与えて、図2に示す第1カウンタ42とRSフリップフロップ52をリセットする。同時に、第2カウンタ43に規定値Yをプリセットする。使用する設定電圧Vsetが基準電圧Vrefよりも高い場合には、第2カウンタ43のカウント値が増加するので、第2カウンタ43に規定値Yの2の補数をプリセットする。逆に設定電圧Vsetが基準電圧Vrefよりも低い場合には、第2カウンタ43のカウント値が減少するので、第2カウンタ43に規定値Yをプリセットする。
なお、以下の説明において第2カウンタ43が規定値Yをカウントすると言うときは、作用上明らかに不適な場合を除き、規定値Yの2の補数をプリセットする場合と規定値Yをプリセットする場合の両者を含むものとする。
その後、少なくともA/D変換期間中Hレベルを保持するスタートパルスSPを与える。上記リセットによりRSフリップフロップ52のQ/出力はHレベルとなっているので、スタートパルスSPの入力により、系統A〜Dのパルス周回回路31〜34が同時にパルス周回動作を開始する。系統A、Bにおいて、第1カウンタ42は、系統Aのパルス周回回路31のパルスが1周するごとにカウントアップし、系統Bのパルス周回回路32のパルスが1周するごとにカウントダウンする。
一方、系統C、Dにおいて、第2カウンタ43は、系統Cのパルス周回回路33のパルスが1周するごとにカウントアップし、系統Dのパルス周回回路34のパルスが1周するごとにカウントダウンする。第2カウンタ43は、内部のインターフェイス部47(図5参照)にカウント値が確定すると、コンパレータ44に対し確定完了信号を出力する。コンパレータ44は、第2カウンタ43の出力値が全ビット0であるか否かを判定し、判定が終了すると第2カウンタ43に比較完了信号(確定解除信号)を出力する。第2カウンタ43が初期のプリセット状態から規定値Yだけ計数して全ビット0になると、RSフリップフロップ52がセットされ、Hレベルの変換データ出力処理信号Saを出力する。この変換データ出力処理信号Saは、外部回路に対する変換終了信号となる。
変換データ出力処理信号SaがHレベルになると、ANDゲート54が閉じられ、パルス周回回路31〜34はパルス周回動作を停止する。同時に、系統A、Bの第1カウンタ42が停止し、第1パルス周回回路31におけるパルス信号の周回数から第2パルス周回回路32におけるパルス信号の周回数を減じた差分値を8ビット幅で出力する。ラッチ&エンコーダ37、39は、それぞれパルス周回回路31、32内でのパルス信号の位置を示す位置データをラッチし出力する。減算器41は、ラッチ&エンコーダ37が出力する位置データからラッチ&エンコーダ39が出力する位置データを減算し、それを4ビット幅で出力する。この減算で繰り上がり(正の値)あるいは繰り下がり(負の値)が生じる場合には、加算器57により上位8ビットの上位データに繰り入れる。これら上位8ビットの上位データと下位4ビットの下位データの合計12ビットのデータがA/D変換データDTとなる。
以上説明したように、本実施形態のA/D変換回路1は、基準電圧に互いに極性の反転した差分電圧が加算された電源電圧が遅延ユニットに印加される系統A、Bの第1、第2パルス周回回路31、32と、同様に基準電圧に互いに極性の反転した差分電圧が加算された電源電圧が遅延ユニットに印加される系統C、Dの第3、第4パルス周回回路33、34と、第1、第2パルス周回回路31、32の周回数差をカウントする第1カウンタ42と、第3、第4パルス周回回路33、34の周回数差をカウントする第2カウンタ43とを備えている。
この構成で、パルス周回回路31〜34にスタートパルスSPを一斉に付与した後、第2カウンタ43が規定値Yをカウントした時点での第1カウンタ42のカウント値(パルス周回数の差分値)とラッチ&エンコーダ37、39のパルス位置の差分値とを上位ビットと下位ビットとしたデータが、基準電圧Vrefから見たアナログ入力電圧VinのA/D変換データとなる。
従って、本実施形態のA/D変換回路1によれば、従来技術の構成と概ね同様の効果、つまりTADの非直線性および温度特性を相殺するといった効果を得ることができる。ただし、A/D変換回路1では、信号比率変更回路2を設けたことにより、系統Aおよび系統Bの各遅延ユニットへの印加電圧は、その絶対値が互いに異なっている。そのため、A/D変換回路1では、TADの非直線性について、その一部だけが相殺されるようになっている。そして、系統A、Bへの印加電圧の絶対値のバランスは、全差動増幅回路11、12の増幅率A1、A2の比率rによって任意に設定することができる。つまり、A/D変換回路1は、任意に非直線性を可変することができる構成となっている。
このような構成によれば、被変換電圧(アナログ入力電圧Vin)を出力するセンサ等が非直線性を有する場合、A/D変換回路1における非直線性を、そのセンサの非直線性と正負が反転した値に設定すれば、センサが有する非直線性を相殺することができる。従って、本実施形態によれば、被変換電圧を出力するセンサ等が非直線性を有する場合でも、A/D変換データに含まれる非直線性を補正するためのデジタル演算が不要となり、その結果、センサ装置としての応答性を速くすることができる。
また、A/D変換回路1では、調整データよって可変抵抗器15〜18の抵抗比率、つまり増幅率A1、A2を可変できるようになっている。このような構成によれば、A/D変換回路1とセンサ素子とを組み合わせてセンサ製品が構成される場合、そのセンサの非直線性がばらついても、それに対応して非直線性を相殺することが可能となる。例えば、次のような手順で増幅率A1、A2(の比率r)の調整を行うことが考えられる。
すなわち、A/D変換回路1が搭載されるセンサ製品のセンサ素子が持つ非直線性にばらつきがある場合、各製品ごとに非直線性を測定し、その非直線性を相殺し得る可変抵抗器15〜18の抵抗比率、つまり増幅率A1、A2を決定する。そして、これに対応する特性補正データをセンサ製品内のメモリ(例えばEEPROMなど)に書き込む。なお、このような補正データの書き込みは、通常、センサ製品を工場から出荷する前に実施する。
また、このような構成のA/D変換回路1は、センサ素子と組み合わせた後にも非直線性を可変することができる。そのため、組み合わせられるセンサ素子の非直線性に関する特性が不明な場合、あるいは、様々な種類のセンサ素子と組み合わせられる可能性がある場合であっても、組み合わせられたセンサ素子が持つ非直線性を確実に相殺(補正)することができる。
系統A、Bにラッチ&エンコーダ37、39を備え、第1、第2パルス周回回路31、32を周回する1周に満たないパルス信号の移動量を位置データとして検出し、A/D変換データの下位ビットとして用いた。これにより、パルス周回回路31、32を構成する反転回路の数に応じて一層高い分解能が得られる。なお、ラッチ&エンコーダ37、39は、必要に応じて設ければよい。
本実施形態のA/D変換回路1は、4系統のパルス周回回路31〜34の特性が揃っていることを利用して温度特性を相殺しているので、半導体集積回路装置の素子レイアウトについて下記の点に配慮した設計を行うことが望ましい。
(1)4系統のパルス周回回路31〜34を同一の半導体チップ上に互いに近接して配置する。この配置によれば、反転回路Na〜Nxの温度が等しくなり、温度特性が相殺される。
(2)4系統のパルス周回回路31〜34を同一形状・同一寸法に配置する。この配置によれば反転回路Na〜Nxの特性が等しくなり、温度特性が良好に相殺される。
(3)4系統のパルス周回回路31〜34を同一方向に配置する。この配置によれば、半導体プロセスでの出来栄えが同じになり、温度特性が良好に相殺される。
(4)4系統のパルス周回回路31〜34のサイズをできるだけ大きくする。これにより、半導体プロセスでの寸法ばらつきが相対的に小さくなり、温度特性が良好に相殺される。
(5)第1、第2カウンタ42、43、コンパレータ44などの周辺回路も、同一チップ上でパルス周回回路31〜34の近くに配置する。この配置によれば、配線に伴う寄生容量を低減でき、信号遅延に基づく誤動作を回避することができる。
本実施形態の構成では、信号比率変更回路2は全差動増幅回路11〜14及び可変抵抗器15〜18を用いて構成されている。このため、全差動増幅回路11、13の増幅率A1と全差動増幅回路12、14の増幅率A2を個別に設定でき、これらの増幅率の比A2/A1=比率rを任意に設定できる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図12〜図14を参照して説明する。
図12に示す本実施形態のA/D変換回路61は、第1の実施形態のA/D変換回路1に対し、被変換電圧が差動形式である点などが異なる。すなわち、A/D変換回路61は、差動形式のアナログ入力電圧Vin+、Vin−(被変換電圧)を基準電圧Vrefとの差分に応じたデジタル値に変換し、それをA/D変換データDTとして出力する。なお、この場合、ラッチ&エンコーダ37、39は設けられていない(設けてもよい)。
A/D変換回路61が備える信号比率変更回路62は、図2に示した信号比率変更回路2に対し、次の点が異なる。すなわち、アナログ入力電圧Vin+は全差動増幅回路11の非反転入力端子に与えられ、アナログ入力電圧Vin−は全差動増幅回路12の非反転入力端子に与えられている。全差動増幅回路12の反転出力端子は、無接続の状態となっている。全差動増幅回路12の非反転出力端子は、可変抵抗器16の端子bに接続されるとともに、電源線8に接続されている。
このような構成のA/D変換回路61は、ピエゾ抵抗効果を利用した圧力センサ(特開平10−160602号公報など参照)と組み合わせることができる。図13は、このような圧力センサの一構成例を示している。図13に示す圧力センサ63(センサに相当)では、半導体の拡散抵抗64a〜64dによりホイートストンブリッジが構成されている。端子P61は電源端子であり、端子P62は電圧Vpの出力端子であり、端子P63はVmの出力端子である。
図13において、矢印は抵抗の増減を表し、圧力上昇時に抵抗が増える場合は上向きの矢印で示し、減る場合には下向きの矢印で示している。従って、圧力上昇に伴い、端子P62の電圧Vpが上昇するとともに端子P63の電圧Vmが低下する。圧力センサ63の出力電圧は、電圧Vpおよび電圧Vmの差(=Vp−Vm)となる。このような圧力センサ63とA/D変換回路61を組み合わせる場合、電圧Vpがアナログ入力電圧Vin+となり、電圧Vmがアナログ入力電圧Vin−となる。
このような構成の圧力センサは、通常、0%〜+0.4%程度の非直線性、つまり上に凸となる非直線性を持つ製品が多い。なお、ここで言う非直線性は、前述した(10)式により定義されたものである。従って、A/D変換回路61とピエゾ抵抗効果を利用した圧力センサとを組み合わせる場合、A/D変換回路61の非直線性が下に凸となるように、増幅率の比率rを設定すればよい。
また、上記構成のA/D変換回路61は、磁気抵抗素子を用いた電流センサ、磁気センサ(特開2008−122083号公報、特開2011−242270号公報など参照)などと組み合わせることができる。図14は、このような電流センサの一構成例を示している。図14に示す電流センサ65(センサに相当)では、磁気センシング素子としての磁気抵抗素子(MRE)66、67によりホイートストンブリッジが構成されている。磁気抵抗素子66、67は、いずれも磁気抵抗Ra〜Rdを直列接続したハーフブリッジ回路を備えた構成である。このような電流センサ65とA/D変換回路61を組み合わせる場合、各ハーフブリッジ回路の中点66c、67cの電圧Va、Vbがアナログ入力電圧Vin+、Vin−となる。
このような磁気抵抗素子を用いた電流センサの場合、センサ出力がサイン波状になっているため、非直線性がある。具体的には、サイン波の0°〜15°相当で使用する場合、センサの非直線性は+0.44%程度(上に凸)となる。従って、この場合、A/D変換回路61の非直線性が下に凸となるように、増幅率の比率rを設定すればよい。また、サイン波の−15°〜0°相当で使用する場合、センサの非直線性は−0.44%程度(下に凸)となる。従って、この場合、A/D変換回路61の非直線性が上に凸となるように、増幅率の比率rを設定すればよい。
なお、このような電流センサとA/D変換回路61を組み合わせる場合、電流極性を判定して、非直線性の切り替え(上に凸および下に凸の切り替え)を行うことも可能である。また、A/D変換回路61は、MRE(Magneto Resistive Effect)よりも抵抗変化が大きい磁気センシング素子であるGMR素子(Giant Magneto Resistive effect)を用いたセンサと組み合わせることも可能である。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について図15を参照して説明する。
図15に示すように、本実施形態のA/D変換回路71が有する信号比率変更回路72は、第1の実施形態の信号比率変更回路2に対し、図2に示した可変抵抗器15〜18に代えて抵抗R71〜R78を備えている点が異なる。抵抗R71、R72および全差動増幅回路11は、次のような形態で接続されている。すなわち、抵抗R71の一方の端子には、基準電圧Vrefが与えられている。抵抗R71の他方の端子は、全差動増幅回路11の反転入力端子に接続されるとともに、抵抗R72を介して全差動増幅回路11の非反転出力端子に接続されている。抵抗R73、R74および全差動増幅回路12、抵抗R75、R76および全差動増幅回路13、抵抗R77、R78および全差動増幅回路14も、抵抗R71、R72および全差動増幅回路11と同様の形態で接続されている。
この場合、抵抗R71、R75は同一の抵抗値R1であり、抵抗R72、R76は同一の抵抗値R2であり、抵抗R73、R77は同一の抵抗値R3であり、抵抗R74、R78は同一の抵抗値R4である。従って、全差動増幅回路11、13の増幅率A1は、抵抗値R1、R2により定まる固定値であり、全差動増幅回路12、14の増幅率A2は、抵抗値R3、R4により定まる固定値である。
このように、本実施形態のA/D変換回路71では、増幅率A1、A2の比率r、つまり非直線性は固定となっている。このような構成によっても、組み合わせられるセンサ素子の非直線性に関する特性がある程度分かっており、大きく変化することが無い(非直線性に大きなばらつきが無い)場合であれば、そのセンサ素子の特性に合わせてA/D変換回路71の非直線性を設定しておくことで、センサ素子の非直線性をうまく相殺することが可能となる。しかも、抵抗R71〜R78を用いるA/D変換回路71は、可変抵抗器15〜18を用いるA/D変換回路1に比べ、構成の簡素化、製造コストの低減などのメリットがある。
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態について図16を参照して説明する。
図16に示すように、本実施形態のA/D変換回路81は、第1の実施形態のA/D変換回路1に対し、周回数差計測部3の具体的な構成が異なっている。A/D変換回路81は、図2に示した系統A、Bの第1カウンタ42に替えて、第1、第2パルス周回回路31、32のそれぞれに対するカウンタ84、85を備えており、カウントアップ値とカウントダウン値を得るために設けられる。ラッチ86はカウンタ84のカウンタ値を保持し、ラッチ87はカウンタ85のカウンタ値を保持するように設けられ、これによりカウンタ84、85とラッチ86、87は2対備えられている。対をなすカウンタ84、85は、ラッチ86、87および減算器88を伴い、例えば8ビットの第2種類のアップダウンカウンタ89をなしている。リセットパルスRPが入力されるとカウント値を0にリセットし、第1パルス周回回路31と第2パルス周回回路32の出力信号によりそれぞれカウントアップする。
カウンタ84、85の出力値は、Hレベルの変換データ出力処理信号Saによってラッチ86、87に保持される。ラッチ86、87に保持された周回数データが上位8ビットとなり、ラッチ&エンコーダ37、39から出力される位置データが下位4ビットとなる。減算器88は、系統Aの周回数・位置データから系統Bの周回数・位置データを減算して12ビットのA/D変換データDTを得る。ラッチ&エンコーダ37、39は、必要に応じて設ければよい。
図16に示すA/D変換回路81の系統C、Dは、図2に示した構成と同一である。ただし、図16において、第2カウンタ43とコンパレータ44との間の確定完了信号(比較開始信号)と確定解除信号(比較完了信号)は省略されている。
本実施形態によれば、汎用のアップカウンタ84、85を利用することができる。系統A、Bに汎用のアップカウンタ84、85を採用したA/D変換回路81においては、減算器88による減算を変換終了時に1回だけ行えばよい。そのため、A/D変換回路81は、次のA/D変換を開始した後に減算処理をすることもできるので、汎用のアップカウンタ84、85を利用しながら高精度のA/D変換データを得ることができる。
(第5の実施形態)
以下、本発明の第5の実施形態について図17を参照して説明する。
図17に示す本実施形態のA/D変換回路91は、第1の実施形態のA/D変換回路1に対し、図2に示した信号比率変更回路2に代えて信号比率変更回路92を備えている点などが異なる。なお、この場合、ラッチ&エンコーダ37、39は設けられていない(設けてもよい)。
信号比率変更回路92は、OPアンプ93〜96および可変抵抗器97〜100を備えている。OPアンプ93の非反転入力端子には、基準電圧Vrefが与えられている。OPアンプ93の反転入力端子は、可変抵抗器97の共通端子cに接続されている。OPアンプ93の出力端子は、電源線8に接続されるとともに、可変抵抗器97の端子bに接続されている。可変抵抗器97の端子aには、アナログ入力電圧Vinが与えられている。
OPアンプ94の非反転入力端子には、アナログ入力電圧Vinが与えられている。OPアンプ94の反転入力端子は、可変抵抗器98の共通端子cに接続されている。OPアンプ94の出力端子は、電源線7に接続されるとともに、可変抵抗器98の端子bに接続されている。可変抵抗器98の端子aには、基準電圧Vrefが与えられている。
OPアンプ95の非反転入力端子には、基準電圧Vrefが与えられている。OPアンプ95の反転入力端子は、可変抵抗器99の共通端子cに接続されている。OPアンプ95の出力端子は、電源線20に接続されるとともに、可変抵抗器99の端子bに接続されている。可変抵抗器99の端子aには、設定電圧Vsetが与えられている。
OPアンプ96の非反転入力端子には、設定電圧Vsetが与えられている。OPアンプ96の反転入力端子は、可変抵抗器100の共通端子cに接続されている。OPアンプ96の出力端子は、電源線19に接続されるとともに、可変抵抗器100の端子bに接続されている。可変抵抗器100の端子aには、基準電圧Vrefが与えられている。
可変抵抗器97〜100は、可変抵抗器15〜18と同様、端子a−b間の抵抗は一定のまま、端子a−c間の抵抗と端子b−c間の抵抗の比率を可変できる構成となっている。可変抵抗器97、99の抵抗の比率は、同一になっており、連動して変化する。また、可変抵抗器98、100の抵抗の比率は、同一になっており、連動して変化する。
上記構成によれば、OPアンプ93は、反転増幅回路として動作する。この場合における増幅率A2は、下記(11)式により表すことができる。ただし、可変抵抗器97の端子a−c間の抵抗値をR1とし、端子b−c間の抵抗値をR2とする。
A2=R2/R1 …(11)
そして、OPアンプ93の出力電圧は、下記(12)式により表すことができる。ただし、ΔVは、アナログ入力電圧Vinから基準電圧Vrefを減算した差分電圧である。
OPアンプ93の出力電圧=Vref−A2・ΔV …(12)
また、OPアンプ94は、非反転増幅回路として動作する。この場合における増幅率A1は、下記(13)式により表すことができる。ただし、可変抵抗器98の端子a−c間の抵抗値をR3とし、端子b−c間の抵抗値をR4とする。
A1=1+(R4/R3) …(13)
そして、OPアンプ94の出力電圧は、下記(14)式により表すことができる。
OPアンプ94の出力電圧=Vref+A1・ΔV …(14)
従って、OPアンプ93の出力端子は、信号比率変更回路92の第2出力端子に相当し、OPアンプ94の出力端子は、信号比率変更回路92の第1出力端子に相当する。なお、OPアンプ95、96の出力電圧も、上記(12)、(14)式により表すことが出来る。ただし、この場合、ΔVは、設定電圧Vsetから基準電圧Vrefを減算した差分電圧となる。また、本実施形態では、可変抵抗器97、98が信号比率調整手段に相当する。
このように、通常のOPアンプ93〜96を用いて信号比率変更回路92を構成した本実施形態によっても、系統A、Bの各遅延ユニットへの印加電圧は、その絶対値が互いに異なる。そして、系統A、Bへの印加電圧の絶対値のバランスは、OPアンプ93、94の増幅率A2、A1の比率rによって任意に設定することができる。つまり、A/D変換回路91は、第1の実施形態のA/D変換回路1と同様、任意に非直線性を可変することができる構成となっている。従って、本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
(第6の実施形態)
以下、本発明の第6の実施形態について図18を参照して説明する。
図18に示す本実施形態のA/D変換回路111は、第5の実施形態のA/D変換回路91に対し、被変換電圧が差動形式である点などが異なる。すなわち、A/D変換回路111は、差動形式のアナログ入力電圧Vin+、Vin−(被変換電圧)を基準電圧Vrefとの差分に応じたデジタル値に変換し、それをA/D変換データDTとして出力する。なお、この場合、ラッチ&エンコーダ37、39は設けられていない(設けてもよい)。
A/D変換回路111が備える信号比率変更回路112は、信号比率変更回路92に対し、次の点が異なる。すなわち、アナログ入力電圧Vin+はOPアンプ94の非反転入力端子に与えられ、アナログ入力電圧Vin−はOPアンプ93の非反転入力端子に与えられている。また、可変抵抗器97、98の端子aには、いずれも基準電圧Vrefが与えられている。このような構成によれば、OPアンプ93、94は、いずれも非反転増幅回路として動作する。なお、OPアンプ93は非反転増幅回路として動作するため、その増幅率A2は、下記(15)式のようになる。
A2=1+(R2/R1) …(15)
このような構成のA/D変換回路111についても、第2の実施形態のA/D変換回路61と同様、ピエゾ抵抗効果を利用した圧力センサ、磁気抵抗素子を用いた電流センサ、磁気センサなどと組み合わせることができる。
(第7の実施形態)
以下、本発明の第7の実施形態について図19を参照して説明する。
図19に示すように、本実施形態のA/D変換回路121が有する信号比率変更回路122は、第5の実施形態の信号比率変更回路92に対し、可変抵抗器97〜100に代えて抵抗R121〜R128を備えている点が異なる。抵抗R121、R122およびOPアンプ93は、次のような形態で接続されている。すなわち、抵抗R121の一方の端子には、アナログ入力電圧Vinが与えられている。抵抗R121の他方の端子は、OPアンプ93の反転入力端子に接続されるとともに、抵抗R122を介してOPアンプ93の出力端子に接続されている。
抵抗R123、124およびOPアンプ94は、次のような形態で接続されている。すなわち、抵抗R123の一方の端子には、基準電圧Vrefが与えられている。抵抗R123の他方の端子は、OPアンプ94の反転入力端子に接続されるとともに、抵抗R124を介してOPアンプ94の出力端子に接続されている。
抵抗R125、R126およびOPアンプ95は、次のような形態で接続されている。すなわち、抵抗R125の一方の端子には、設定電圧Vsetが与えられている。抵抗R125の他方の端子は、OPアンプ95の反転入力端子に接続されているとともに、抵抗R126を介してOPアンプ95の出力端子に接続されている。抵抗R127、R128およびOPアンプ96は、抵抗R123、R124およびOPアンプ94と同様の形態で接続されている。
この場合、抵抗R121、R125は同一の抵抗値R1であり、抵抗R122、R126は同一の抵抗値R2であり、抵抗R123、R127は同一の抵抗値R3であり、抵抗R124、R128は同一の抵抗値R4である。従って、OPアンプ93、95の増幅率A2は、抵抗値R1、R2により定まる固定値であり、OPアンプ94、96の増幅率A1は、抵抗値R3、R4により定まる固定値である。
このように、本実施形態のA/D変換回路121は、第3の実施形態のA/D変換回路71と同様、増幅率A1、A2の比率r、つまり非直線性が固定となっている。従って、本実施形態によっても、第3の実施形態と同様の作用および効果が得られることになる。
(第8の実施形態)
以下、本発明の第8の実施形態について図20〜図23を参照して説明する。図20に示すA/D変換回路131は、第2の実施形態のA/D変換回路61に対し、全差動増幅回路11、12に代えて全差動増幅回路11aを備え、全差動増幅回路13、14に代えて全差動増幅回路13aを備えるところが主に異なるところである。第2の実施形態では差動入力としたが、本実施形態ではシングルエンド入力としている。また、ラッチ&エンコーダ37及び39は設けられていない(設けてもよい)。
図20に示すA/D変換回路131は、上述した或いは後述する何れかのA/D変換回路の構成に加え、1回のA/D変換期間のうちの前半の期間と後半の期間とを区別する1/2周期信号Sh(切替信号)を生成し出力する。この1/2周期信号Shは、図21の全差動増幅回路内のアナログスイッチを切替えるために設けられる信号である。
A/D変換回路131は、センサ等から出力されたアナログ信号電圧Vsを入力し、そのアナログ信号電圧Vsをアナログ入力電圧Vinとして、アナログ入力電圧Vin(被変換電圧)と基準電圧Vrefとの差分に応じたデジタル値に変換し、それをA/D変換データDTとして出力する。
図20に示すように、信号比率変更回路132は、全差動増幅回路11a、13aおよび可変抵抗器15a、17aを備える。全差動増幅回路11aの非反転入力端子には、アナログ入力電圧Vinが与えられている。全差動増幅回路11aの反転入力端子は、可変抵抗器15aの共通端子cに接続されている。全差動増幅回路11aの非反転出力端子は、電源線7に接続されるとともに、可変抵抗器15aの端子bに接続されている。全差動増幅回路11aの反転出力端子は、電源線8に接続されている。可変抵抗器15aの端子aには、基準電圧Vrefが与えられている。
全差動増幅回路13aの非反転入力端子には、設定電圧Vsetが与えられる。全差動増幅回路13aの反転入力端子は、可変抵抗器17aの共通端子cに接続されている。全差動増幅回路13aの非反転出力端子は、電源線19に接続されるとともに、可変抵抗器17aの端子bに接続されている。全差動増幅回路13aの反転出力端子は、電源線20に接続されている。可変抵抗器17aの端子aには、基準電圧Vrefが与えられている。可変抵抗器15a、17aは、端子a−b間の抵抗は一定のまま、端子a−c間の抵抗と端子b−c間の抵抗の比率を可変できる構成となっている。可変抵抗器15a、17aの抵抗の比率は、同一になっており、連動して変化する。可変抵抗器15a、17aの抵抗の比率を連動させて可変することは、全差動増幅回路11aおよび全差動増幅回路13aの増幅率を連動させて可変することに相当する。可変抵抗器15a、17aとしては、例えば図3に示すようなデジタル可変抵抗器(デジタルポテンショメータ)を用いて複数の抵抗21と図4に示すアナログマルチプレクサ22とにより構成できる。
図21は全差動増幅回路11a、13aの構成を示している。この全差動増幅回路11a、13aは、それぞれ、第1切替回路197、第1差動対回路部198、第2切替回路199、第1出力回路部200a、200bおよびコモンモードフィードバック回路201を備えている。
切替回路197、199を構成する切替スイッチ197a、197b、199a、199bは、図23に示すようにアナログスイッチ202a〜202dから構成されており、1/2周期信号Shと当該信号Shをインバータ203で反転した信号に応じて、端子Cと端子Aとの間および端子Cと端子Bとの間の何れか一方を導通させる。第1切替回路197は、全差動増幅回路11a又は13aの反転入力端子、非反転入力端子と第1差動対回路部198の反転入力端子、非反転入力端子との間の2本の接続線を互いに入れ替える。第2切替回路199は、第1差動対回路部198の非反転出力端子、反転出力端子と第1出力回路部200a、200bの入力端子との間の2本の接続線を互いに入れ替える。
第1差動対回路部198は、図22に示すようにフォールデッドカスコード接続の形態を有し、トランジスタ204〜215から構成されている。トランジスタ204、205は差動対を構成し、そのソースとVcc電源線との間には定電流回路として動作するトランジスタ206、207がカスコード接続されている。Vcc電源線とグランド線との間には、それぞれ対をなすトランジスタ208と209、トランジスタ210と211、トランジスタ212と213およびトランジスタ214と215が直列に接続されている。トランジスタ208と210およびトランジスタ209と211は、それぞれカスコード接続されており、差動対に対する能動負荷216を構成している。
トランジスタ214、215は、差動対の出力電流を折り返して上記能動負荷216に入力させるための定電流回路217を構成しており、その共通ゲート線にはコモンモードフィードバック信号CMFBが入力されている。また、能動負荷216と定電流回路217との間に接続されたトランジスタ212、213は、トランジスタ204、205におけるミラー効果の発生を抑制するために設けられるものである。これらトランジスタ212、213のソース(すなわちトランジスタ214、215のドレイン)は、それぞれトランジスタ204、205のドレインに接続されている。トランジスタ210、211の各ドレインが第1差動対回路部198の出力端となる。
図21に示すコモンモードフィードバック回路201は、コモンモード電圧検出部219、第2差動対回路部220、第2出力回路部221、第4切替回路222および第5切替回路223を備えている。切替回路222、223を構成する切替スイッチ222a、222b、223a、223bは、図23に示す構成を備えている。
コモンモード電圧検出部219は、第1出力回路部200a、200bの出力ノード間に接続される可変抵抗器219により構成されており、第1出力回路部200a、200bの出力電圧Vo+、Vo-を入力し、これらの中間電圧であるコモンモード電圧Vcomを検出する。可変抵抗器219の端子aには、第1出力回路部200aの出力電圧Vo+が与えられている。可変抵抗器219の端子bには、第1出力回路部200bの出力電圧Vo-が与えられている。
全差動増幅回路11a、13aの可変抵抗器219は、端子a−b間の抵抗は一定のまま、端子a−c間の抵抗と端子b−c間の抵抗の比率を可変できる構成となっている。可変抵抗器219としては、例えば図3に示すようなデジタル可変抵抗器(デジタルポテンショメータ)を用いて複数の抵抗21と図4に示すアナログマルチプレクサ22とにより構成できる。
全差動増幅回路11a、13aの可変抵抗器219の抵抗の端子間の比率は、同一になっており、連動して変化する。また全差動増幅回路11a、13aは、端子a−c間の抵抗値をR13、端子c−b間の抵抗値をR14としたとき、この比率(R13/R14)を1にすることなく、すなわちR13≠R14に設定されている。このときコモンモード電圧Vcomは(16)式に示すように表すことができる。
Vcom = Vo- + R14/(R13+R14)
× (Vo+ − Vo-) …(16)
第2差動対回路部220は、第1差動対回路部198と同様にフォールデッドカスコード接続の形態を有し、トランジスタ224〜235から構成されている。トランジスタ224、225は差動対を構成し、トランジスタ226、227は定電流回路を構成している。トランジスタ232と234およびトランジスタ233と235は、差動対に対する能動負荷236を構成している。トランジスタ228、229は定電流回路237を構成している。
第2出力回路部221は、Vcc電源線とグランド線との間に直列接続されたトランジスタ238〜241から構成されている。第2差動対回路部220の2つの出力端は、切替スイッチ223bを介してトランジスタ241のゲートに接続されるとともに、切替スイッチ223bと位相補償用のコンデンサ242を介してトランジスタ239、240のドレインに接続されている。切替スイッチ223bにより選択された第2差動対回路部220の出力電圧が上記コモンモードフィードバック信号CMFBとなる。
第4切替回路222は、基準電圧Vrefとコモンモード電圧Vcomの第2差動対回路部220への入力線を互いに入れ替える。第5切替回路223のうち切替スイッチ223bは、第2差動対回路部220の出力端の一方を選択して第2出力回路部221に接続する。これとともに、切替スイッチ223aは、切替スイッチ223bに選択されない出力端を選択してトランジスタ234、235のゲートに接続する。なお、全差動増幅回路で用いる4つのバイアス電圧1〜4は、図24に示すようにトランジスタ243〜246および抵抗247からなるバイアス電圧生成回路248により生成されている。
上記構成の作用について説明する。本実施形態の回路はオフセットを補償すると共に全差動増幅回路11a、13aのそれぞれの2出力端子(非反転出力端子、反転出力端子)を有効活用するところに特徴を備える。全差動増幅回路11a、13aは、コモンモード電圧Vcom(すなわち出力電圧Vo+、Vo-の分圧電圧)が、基準電圧Vrefに等しくなるように負帰還であるコモンモードフィードバックをかけている。この場合、1/2周期信号ShがHレベルのときは、図23に示すアナログスイッチ202a、202bがオン、アナログスイッチ202c、202dがオフとなり、1/2周期信号ShがLレベルのときはこの逆となる。つまり、1/2周期信号Shのレベルが反転すると、各切替回路197、199、222、223の端子間の接続形態が逆になるため、オフセット電圧ΔVの向き(正負)が逆になる。A/D変換回路131は、A/D変換期間におけるアナログ入力電圧Vinの平均値と設定電圧Vsetの平均値に対するA/D変換データを得ているため、切替回路197、199、222、223によりオフセット電圧の向きを反転させることで、オペアンプのオフセット電圧がキャンセルされた高精度のA/D変換データを得ることができる。
また図21に示すようにコモンモード電圧Vcomが基準電圧Vrefに一致するように動作することでVref=Vcomとなる。全差動増幅回路11a、13aの第1出力端子(+)の出力電圧をVo+とし、全差動増幅回路11a、13aの第2出力端子(−)の出力電圧をVo-とし、これらの出力電圧Vo+、Vo-と基準電圧Vrefとの差分電圧をそれぞれ第3差分電圧ΔVo+、第4差分電圧ΔVo-、として下式(17)〜(18)のように定義する。これらの関係性と(16)式を考慮して連立方程式を解くことで(19)式に示すように表すことができる。
Vo+ = Vref + ΔVo+ …(17)
Vo- = Vref − ΔVo- …(18)
( ΔVo- / ΔVo+ ) = (R14/R13) …(19)
上記(17)式の第3差分電圧ΔVo+は、例えば第1の実施形態で説明した第1差分電圧に相当し、(18)式の第4差分電圧ΔVo-は第2差分電圧に相当する。このため、第1の実施形態では次式が成り立つ。
( ΔVo- / ΔVo+ ) = (A2・ΔV)/(A1・ΔV)
= (A2/A1) = r …(20)
よって、(19)式は(20)式の、(A2/A1)を(R14/R13)と置き換えたものであることがわかる。また、(20)式の(A2/A1)は(5)式の増幅率の比率rと等価である。このことから、下記(21)式が成り立ち、図9および図10の関係を適用できる。
(R14/R13) = r …(21)
すなわち、本実施形態は例えば第1の実施形態と同様の作用効果を得られる。この結果、信号比率変更回路132は、系統A及び系統Bに電圧出力する回路を、全差動増幅回路11a及び抵抗15aにより構成することができ、系統C及び系統Dに電圧出力する回路も同様に全差動増幅回路13a及び抵抗17aにより構成できる。
本実施形態の構成では、第1実施形態と同様の効果を奏すると共に、全差動増幅回路11a、13aのそれぞれの2出力端子(非反転出力端子、反転出力端子)を有効活用することができ、回路構成面積を極力縮小化できる。
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、次のような変形または拡張が可能である。
上記各実施形態において、各種の信号比率変更回路の構成を例示したが、これらに限定されるものではなく、第1差分電圧および第2差分電圧の絶対値の比率を「1」以外にできる構成であれば、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
上述したパルス周回回路(リングディレイライン)は、確実に発振させる観点からNANDゲートとインバータを奇数個連ねることで構成したが、確実な発振動作を実現した偶数個のインバータ(特開2010−148005号公報などに記載されたもの)などで構成してもよい。偶数化によりパルス周回位置とエンコードされたデータが一対一に対応するので、下位ビットにおける直線性が改善される。また、パルス周回位置の検出などをインバータの全出力からとしたが、一つ置きなどに間引いてもよい。
図5にアップダウンカウンタおよび重なり検出部の例を示したが、図5の回路構成に限るものではない。また、図5の構成では、パルス生成部48が設けられているが、設けなくともよい。パルス生成部48を設けない場合、図6におけるパルス信号SB′をパルス信号SBに、パルス信号SA′をパルス信号SAに置き換えたことに相当する。すなわち、パルス信号SB′およびパルス信号SA′の周期が2倍になったことに相当するため、A/D変換時間に余裕がある場合には、このような構成を採用可能である。
各実施形態で遅延時間を生成するのにインバータを各所に使っているが、その連続個数は、奇数個か、偶数個かに留意すれば、必要な遅延時間に応じて変更ができる。また、遅延時間を生成する遅延要素として、インバータ以外のキャパシタや、チップ内配線あるいは素子の寄生容量を利用してもよい。
本願の実施形態では、図1などに示す第1カウンタ42のような第1種類のアップダウンカウンタのプリセット値として全ビット0にすることで、基準電圧VrefにおけるA/D変換値を全ビット0とした。これに対し、任意の値をプリセットすればA/D変換値に加算することができる。センサなどへの適用ではオフセット補正に利用できる。
ラッチ&エンコーダ37、39(第1および第2周回位置検出回路5、6)を具備した各実施形態においても、ラッチ&エンコーダ37、39は省略可能である。
第4の実施形態を除く各実施形態においても、第4の実施形態に示すように、第1カウンタ42に替えてカウンタ84、85を備えた構成としてもよい。
コンパレータ44は第2カウンタ43の出力値が全ビット0に達したことを検出したが、全ビット1に達したことを検出してもよい。この場合、第2カウンタ43に上位プリセット値として全ビット1の値と規定値Yとの差をプリセットし、第2カウンタ43が出力する差分値が全ビット1に達した時に変換データ出力処理信号Saを出力する構成とする。
バイパスコンデンサCpは、必要に応じて設ければよい。
第3および第4パルス周回回路33、34、第2カウンタ43などを主体とする温度特性を相殺する(温度補償する)ための構成は、必ずしも設けなくともよい。また、温度補償を行うための各種の工夫についても同様である。その場合、変換制御回路4は、任意のタイミングで変換データ出力処理信号Saを出力する構成とすればよい。
センサ製品への適用で、圧力センサ、電流センサおよび磁気センサを取り上げたが、温度センサなどのその他のセンサに用いることができることは言うまでもない。
また、センサではなく、マイクロプロセッサ(マイクロコントローラ)、DSP(Digital Signal Processor)などのデジタル信号処理装置の周辺回路として搭載することも可能である。
図面中、1、61、71、81、91、111、121、131はA/D変換回路、2、62、72、92、112、122、132は信号比率変更回路、3は周回数差計測部、4は変換制御回路、15、16、97、98、15a、219は可変抵抗器(信号比率調整手段)、5は第1周回位置検出回路、6は第2周回位置検出回路、31は第1パルス周回回路、32は第2パルス周回回路、42は第1カウンタ(第1種類のアップダウンカウンタ)、45は入力部、46はカウンタ部、49は重なり検出部、50はカウント信号出力部、63は圧力センサ(センサ)、65は電流センサ(センサ)、84、85はカウンタ、86、87はラッチ、89は第2種類のアップダウンカウンタを示す。

Claims (13)

  1. アナログ入力電圧と基準電圧との差分に応じたA/D変換データを出力するA/D変換回路(1、61、71、81、91、111、121、131)であって、
    入力信号を電源電圧に応じて定まる遅延時間だけ遅延させて出力する複数の遅延ユニットがリング状に接続されて構成され、これら遅延ユニットにパルス信号を周回させる第1パルス周回回路(31)および第2パルス周回回路(32)と、
    前記第1パルス周回回路におけるパルス信号の周回数と前記第2パルス周回回路におけるパルス信号の周回数をカウントしその差分値を出力する周回数差計測部(3)と、
    A/D変換を終了するタイミングを決定する変換データ出力処理信号を出力し、その時の前記周回数差計測部が出力する差分値を前記アナログ入力電圧に対するA/D変換データとして出力する変換制御回路(4)と、
    前記アナログ入力電圧から前記基準電圧を減算した電圧を差分電圧とし、前記差分電圧に第1比例係数を乗じた第1差分電圧と前記基準電圧を加算した電圧を第1出力端子から出力するとともに、前記差分電圧に前記第1比例係数と同符号の第2比例係数を乗じた前記第2差分電圧を前記基準電圧から減算した電圧を第2出力端子から出力する信号比率変更回路(2、62、72、92、112、122、132)と、
    を備え、
    前記第1比例係数及び前記第2比例係数の少なくとも一方は可変できるように構成され、
    前記第1パルス周回回路の遅延ユニットは、前記信号比率変更回路の前記第1出力端子とグランド線とから電源電圧の供給を受け、
    前記第2パルス周回回路の遅延ユニットは、前記信号比率変更回路の前記第2出力端子とグランド線とから電源電圧の供給を受けるように構成されていることを特徴とするA/D変換回路。
  2. アナログ入力電圧と基準電圧との差分に応じたA/D変換データを出力するA/D変換回路(1、61、71、81、91、111、121、131)であって、
    入力信号を電源電圧に応じて定まる遅延時間だけ遅延させて出力する複数の遅延ユニットがリング状に接続されて構成され、これら遅延ユニットにパルス信号を周回させる第1パルス周回回路(31)および第2パルス周回回路(32)と、
    前記第1パルス周回回路におけるパルス信号の周回数と前記第2パルス周回回路におけるパルス信号の周回数をカウントしその差分値を出力する周回数差計測部(3)と、
    A/D変換を終了するタイミングを決定する変換データ出力処理信号を出力し、その時の前記周回数差計測部が出力する差分値を前記アナログ入力電圧に対するA/D変換データとして出力する変換制御回路(4)と、
    前記アナログ入力電圧から前記基準電圧を減算した電圧を差分電圧とし、前記差分電圧に第1比例係数を乗じた第1差分電圧と前記基準電圧を加算した電圧を第1出力端子から出力するとともに、前記差分電圧に前記第1比例係数と同符号で且つ値が異なる第2比例係数を乗じた前記第2差分電圧を前記基準電圧から減算した電圧を第2出力端子から出力する信号比率変更回路(2、62、72、92、112、122、132)と、
    を備え、
    前記第1パルス周回回路の遅延ユニットは、前記信号比率変更回路の前記第1出力端子とグランド線とから電源電圧の供給を受け、
    前記第2パルス周回回路の遅延ユニットは、前記信号比率変更回路の前記第2出力端子とグランド線とから電源電圧の供給を受けるように構成されていることを特徴とするA/D変換回路。
  3. 前記アナログ入力電圧は、前記第1出力端子の電圧が前記基準電圧より高い範囲で上に凸となる非線形の特性を有するセンサ(63、65)から出力されるものであり、
    前記第1差分電圧の絶対値は、前記第2差分電圧の絶対値より小さく設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のA/D変換回路。
  4. 前記アナログ入力電圧は、前記第1出力端子の電圧が前記基準電圧より高い範囲で下に凸となる非線形の特性を有するセンサ(65)から出力されるものであり、
    前記第1差分電圧の絶対値は、前記第2差分電圧の絶対値より大きく設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のA/D変換回路。
  5. 前記信号比率変更回路(2、62、72、92、112、122)は、
    前記第1出力端子を備え、前記差分電圧に第1比例係数を乗じた第1差分電圧と前記基準電圧を加算した電圧を前記第1出力端子から出力する第1増幅回路(11、94)と、
    前記第2出力端子を備え、前記差分電圧に前記第1比例係数と同符号の第2比例係数を乗じた前記第2差分電圧を前記基準電圧から減算した電圧を前記第2出力端子から出力する第2増幅回路(12、93)と、
    を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のA/D変換回路。
  6. 前記信号比率変更回路(132)は、
    前記第1出力端子及び前記第2出力端子を備え、前記第1出力端子の出力電圧と前記基準電圧との差分を第3差分電圧とし、前記第2出力端子の出力電圧と前記基準電圧との差分を第4差分電圧としたとき、前記第3差分電圧と前記第4差分電圧の比率を前記第1比例係数と前記第2比例係数の比率と同一となる条件を満たす電圧を前記第1出力端子及び前記第2出力端子からそれぞれ出力する全差動増幅回路(11a)を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のA/D変換回路。
  7. 前記信号比率変更回路(2、62、92、112、132)は、前記第1比例係数と、前記第2比例係数と、を調整する信号比率調整手段(15、16、97、98、15a、219)を備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のA/D変換回路。
  8. 前記変換データ出力処理信号の出力時における前記第1および第2パルス周回回路の内でのパルス位置をそれぞれ検出する第1および第2周回位置検出回路(5、6)を備え、
    前記変換制御回路は、前記変換データ出力処理信号の出力時において、前記第1パルス周回回路の内でのパルス位置と前記第2パルス周回回路の内でのパルス位置との差分を所定ビット数に対応させてA/D変換データの下位データとし、前記周回数差計測部が出力する差分値と前記下位データからの繰り上がり(正の値)、あるいは繰り下がり(負の値)分の和をA/D変換データの上位データとすることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のA/D変換回路。
  9. 前記周回数差計測部は、前記第1および第2パルス周回回路において互いに同位置に配された遅延ユニットからパルス信号が出力される毎にそれぞれカウントアップおよびカウントダウンするように構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のA/D変換回路。
  10. 前記周回数差計測部は、カウント停止端子とカウントアップ入力端子とカウントダウン入力端子とを備え、カウントアップ入力端子とカウントダウン入力端子のいずれにパルス信号が入力されたかに応じてカウントアップまたはカウントダウンを行い、カウント停止端子に前記変換データ出力処理信号が入力されたことに応じてカウント動作を停止する第1種類のアップダウンカウンタ(42)、および、カウントアップ値とカウントダウン値を得るためのカウンタ(84、85)とそのカウント値を前記変換データ出力処理信号が入力されたことに応じて保持するラッチ(86、87)を2対備え、前記2つのラッチに保持されているカウント値の差分を出力する第2種類のアップダウンカウンタ(89)のいずれかの種類の構成を備えていることを特徴とする請求項に記載のA/D変換回路。
  11. 前記第1種類のアップダウンカウンタは、入力したパルス信号に応じてカウント信号とカウントアップ/カウントダウンを指示するモード信号を生成する入力部(45)と、前記カウント信号を前記モード信号に従ってカウントアップまたはカウントダウンするカウンタ部(46)とを備え、
    前記入力部は、重なり検出部(49)とカウント信号出力部(50)とを備え、
    前記重なり検出部は、前記カウントアップ入力端子と前記カウントダウン入力端子にパルス信号が同時に入力された重なり状態の有無を監視し、重なり状態の発生を検出すると重なり検出信号を出力し、重なった当該2つのパルス信号がともに終了した時点から、さらに少なくとも前記カウント信号出力部が有する入出力間の遅延時間分の時間が経過した後に前記重なり検出信号の出力を停止するように構成され、
    前記カウント信号出力部は、前記重なり検出部から前記重なり検出信号が入力されていない時、前記カウントアップ入力端子または前記カウントダウン入力端子に入力されたパルス信号が終了したことに応じて前記カウンタ部にカウント信号を出力し、前記重なり検出信号が入力されている時、前記カウンタ部へのカウント信号を出力しないように構成されていることを特徴とする請求項10に記載のA/D変換回路。
  12. 前記アナログ入力電圧は、ピエゾ抵抗効果を利用した圧力センサ(63)から出力されるものであることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のA/D変換回路。
  13. 前記アナログ入力電圧は、磁気センシング素子としてMREまたはGMRを用いたセンサ(65)から出力されるものであることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のA/D変換回路。
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