JP6442818B2 - シリコンウェーハおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はシリコンウェーハおよびその製造方法に関する。また、本発明は、このシリコンウェーハを用いたエピタキシャルウェーハおよびその製造方法に関する。また、本発明は、このシリコンウェーハを用いた貼り合わせウェーハおよびその製造方法に関する。
半導体デバイスの特性を劣化させる要因として、金属汚染が挙げられる。半導体ウェーハへの金属の混入は、主に半導体ウェーハの製造工程およびデバイス製造工程において生じる。例えば、半導体ウェーハとしてのエピタキシャルウェーハは、シリコンウェーハ上にエピタキシャル層を形成することで得られる。ここで、エピタキシャル層は基板となるシリコンウェーハの単結晶と連続した単結晶層であり、基板とは異なる不純物濃度の層を作ることができる。このエピタキシャル層をデバイス領域とすることで、エピタキシャルウェーハはメモリー系素子、ロジック系素子、撮像素子などの幅広い用途に使用されている。
エピタキシャルウェーハの製造工程における金属汚染としては、エピタキシャル成長炉の構成材からの重金属パーティクルによるものが考えられる。あるいは、エピタキシャル成長時の炉内ガスとして塩素系ガスを用いるために、その配管材料が金属腐食して発生する重金属パーティクルにより、金属汚染が生ずることも考えられる。例えば、銅やニッケルといった重金属がウェーハ中に混入した場合、ポーズタイム不良、リテンション不良、接合リーク不良、及び酸化膜の絶縁破壊といったデバイス特性に著しい悪影響をもたらす。
また、高集積CMOS素子や高耐圧素子、さらにはイメージセンサ分野においては、SOI(Silicon on Insulator)構造を有するSOIウェーハが半導体ウェーハとして注目されている。このSOIウェーハは、支持基板上に、酸化シリコン(SiO)等の絶縁膜およびデバイス活性層として使用される単結晶シリコン層が順次形成された構造を有するものである。通常のシリコンウェーハを基板として用いた場合に比べて、素子と基板との間に発生していた寄生容量が低減されるため、SOIウェーハはデバイスの高速化、高耐圧化、低消費電力化等を実現することができる。
このSOIウェーハは、例えば貼り合わせ法により得られる。この貼り合わせ法は、支持基板用ウェーハおよび活性層用ウェーハの少なくとも一方に酸化膜(SiO)などの絶縁膜を形成し、次いで、これらのウェーハを、絶縁膜を介して貼り合わせた後、1200℃程度の高温にて熱処理を施すことによりSOIウェーハを製造する方法である(以下、貼り合わせ法により製造されたSOIウェーハを「貼り合わせウェーハ」と称する)。
こうして得られる貼り合わせウェーハは、電気的特性の観点や、均質なシリコン層を形成できる等のメリットを有する一方で、金属汚染が半導体デバイスの特性を劣化させる要因となる。
貼り合わせウェーハの製造工程における金属汚染としては、貼り合わせ後の熱処理における熱処理装置の構成材からの重金属パーティクルによるものや、貼り合わせウェーハの厚みを薄膜化するための研削・研磨時による金属汚染などが考えられる。
また、半導体ウェーハの製造工程における金属汚染以外にも、例えば撮像素子や高集積CMOS素子などのデバイス製造工程においては、イオン注入、拡散および酸化熱処理などの各処理中で、半導体ウェーハの重金属汚染が懸念される。
そのため、シリコンウェーハ、エピタキシャルウェーハおよび貼り合わせウェーハに、金属を捕獲するためのゲッタリングシンクを形成して、デバイス形成面への金属汚染を回避することが一般的である。
ゲッタリングシンクを形成する方法としては、半導体ウェーハの内部に結晶欠陥である酸素析出物(シリコン酸化物析出物の通称であり、BMD:Bulk Micro Defectともいう。)や転位を形成するイントリンシックゲッタリング(IG)法が知られる。また、半導体ウェーハの裏面にゲッタリングシンクを形成するエクストリンシックゲッタリング(EG)法も一般的である。
ここで、重金属のゲッタリング法の一手法として、半導体ウェーハ中に炭素イオン注入することにより、ゲッタリングサイトを形成する技術がある。特許文献1には、シリコンウェーハの一面から炭素イオンを注入して、炭素イオン注入領域を形成した後、この表面にシリコンエピタキシャル層を形成し、シリコンエピタキシャルウェーハとする製造方法が記載されている。この技術では、炭素イオン注入領域がゲッタリングサイトとして機能し、そのドーズ量は5×1013〜5×1015atoms/cmが好適とされる。
特開平6−338507号公報
特許文献1に記載されるように、従来のシリコンウェーハへの炭素イオン注入では、好適なドーズ量として5×1013〜5×1015atoms/cmが好適とされる。しかしながら、今後、より高品質なシリコンウェーハが求められることが見込まれ、より強力なゲッタリング能力を有するシリコンウェーハが求められている。
そこで、より強力なゲッタリング能力を有するシリコンウェーハを得るために、本発明者が炭素イオン注入をするにあたり、炭素イオンのドーズ量を5.0×1014atoms/cm以上としたところ、注入後のシリコンウェーハは十分なゲッタリング能力を有することが確認された。以下、本明細書において、シリコンウェーハの表面のうち、イオン注入する側の面をシリコンウェーハの「おもて面」と称し、その反対側の面をシリコンウェーハの「裏面」と称する。
このシリコンウェーハを用いて、シリコンウェーハのおもて面にエピタキシャル層を形成し、エピタキシャルウェーハを作製すると、このエピタキシャルウェーハは十分なゲッタリング能力を維持することが確認された。また、このシリコンウェーハを活性層用ウェーハとし、この活性層用ウェーハと、絶縁膜を有する支持基板用ウェーハとを、絶縁膜を介して貼り合わせて貼り合わせウェーハを作製すると、この貼り合わせウェーハも十分なゲッタリング能力を維持することが確認された。なお、上記貼り合わせウェーハにおいて、炭素イオンが注入される側のおもて面は、絶縁膜側に位置する。
ところが、こうして得られたエピタキシャルウェーハおよび貼り合わせウェーハには、炭素が過剰に注入された結果、炭素注入領域には酸素ドナーが過剰に発生してしまうことが明らかとなった。この結果、エピタキシャルウェーハにおいては、エピタキシャル層と下地基板であるシリコンウェーハとの界面近傍で、エピタキシャル層およびシリコンウェーハのそれぞれの抵抗率に比べて、抵抗率が著しく低くなる領域が生じてしまうことが判明した(実施例において詳細を後述する図10(B),(C)を参照)。このような領域は、低濃度で炭素イオンを注入した場合や、炭素イオンを注入せずに、単にシリコンウェーハにエピタキシャル層を形成したエピタキシャルウェーハには存在せず(実施例において詳細を後述する図10(C)を参照)、従来は問題とならなかった。また、貼り合わせウェーハにおいては、活性層用ウェーハと絶縁膜との界面近傍で、活性層用ウェーハおよび絶縁膜の抵抗率に比べて、抵抗率が著しく低くなる領域が生じてしまうことが判明した。以下、本明細書において、このように、界面近傍において抵抗率が著しく低くなる領域(単に「抵抗変動領域」という。)が生ずることを「抵抗変動」と称する。
そこで本発明は、高いゲッタリング能力を有するシリコンウェーハであって、かつ、このシリコンウェーハを用いてエピタキシャルウェーハまたは貼り合わせウェーハを作製した際に、高いゲッタリング能力を維持しつつ、抵抗変動を生じさせないシリコンウェーハを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に鑑み、シリコンウェーハに高濃度のイオン注入をしても、高いゲッタリング能力を維持しつつ、エピタキシャルウェーハおよび貼り合わせウェーハに抵抗変動を生じさせないシリコンウェーハを得る方法を鋭意検討した。その結果、従来用いられる原子半径が大きな炭素イオンの注入に替えて、原子半径の小さなヘリウムイオンを注入することに本発明者は着目した。ヘリウムイオン注入であれば、高濃度にイオン注入しても、ゲッタリングサイトとなるヘリウム注入領域には酸素が捕獲されないため、酸素ドナーが発生することはないことを本発明者は見出したのである。シリコンウェーハにヘリウムイオンを注入して、このシリコンウェーハにエピタキシャル層を形成してエピタキシャルウェーハを作製すると、高いゲッタリング能力を維持しつつ、抵抗変動が生じないエピタキシャルウェーハが得られることを本発明者は見出した。また、このシリコンウェーハを活性層用ウェーハとする貼り合わせウェーハを作製しても、やはり高いゲッタリング能力を維持しつつ、抵抗変動が生じない貼り合わせウェーハが得られることを本発明者は見出した。
すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
本発明によるシリコンウェーハの製造方法は、シリコンウェーハのおもて面からヘリウムイオンを5.0×1014〜3.0×1016atoms/cmのドーズ量で注入して、前記ヘリウムイオンが固溶してなるゲッタリング層を形成することを特徴とする。
また、本発明によるシリコンウェーハの製造方法において、前記シリコンウェーハの深さ方向における前記ヘリウムの濃度プロファイルのピークが、前記おもて面から1.0μm未満の範囲内に位置するように、前記ヘリウムイオンを注入することが好ましい。
また、本発明によるエピタキシャルウェーハの製造方法は、上記方法により得られたシリコンウェーハの前記おもて面にエピタキシャル層を形成することを特徴とする。
また、本発明による貼り合わせウェーハの製造方法は、上記方法により得られたシリコンウェーハの前記おもて面を、絶縁膜を介して支持基板用ウェーハと貼り合わせることを特徴とする。
この場合、前記貼り合わせに先立ち、前記絶縁膜を、前記支持基板用ウェーハに形成することが好ましい。
さらに、本発明によるシリコンウェーハは、シリコンウェーハのおもて面側に形成された、該シリコンウェーハ中にヘリウムが固溶してなるゲッタリング層を有するシリコンウェーハであって、
前記シリコンウェーハの深さ方向における前記ヘリウムの濃度プロファイルのピーク濃度が、1.0×1019〜1.0×1021atoms/cmであることを特徴とする。
また、本発明によるシリコンウェーハは、前記シリコンウェーハのおもて面からの深さが1.0μm以下の範囲内に、前記ヘリウムの濃度プロファイルのピークが位置することが好ましい。
また、本発明によるエピタキシャルウェーハは、上記シリコンウェーハの前記おもて面上に、エピタキシャル層を形成してなるエピタキシャルウェーハであって、
前記エピタキシャル層を形成した後に、前記ヘリウムの濃度プロファイルのピーク濃度が2.0×1017atoms/cm以下であり、かつ前記ゲッタリング層内に金属不純物を捕獲する結晶欠陥を有することを特徴とする。
また、本発明による貼り合わせウェーハは、上記シリコンウェーハの前記おもて面を、絶縁膜を介して支持基板用ウェーハと貼り合わせてなる貼り合わせウェーハであって、
前記貼り合わせ後に、前記ヘリウムの濃度プロファイルのピーク濃度が2.0×1017atoms/cm以下であり、かつ前記ゲッタリング層内に金属不純物を捕獲する結晶欠陥を有することを特徴とする。
本発明によれば、シリコンウェーハにヘリウムイオンを注入するので、高いゲッタリング能力を有するシリコンウェーハであって、このシリコンウェーハを用いてエピタキシャルウェーハまたは貼り合わせウェーハを作製しても、高いゲッタリング能力を維持しつつ、抵抗変動を生じさせないシリコンウェーハを製造することができる。
本発明の第1実施形態に従うシリコンウェーハの製造方法を説明する摸式断面図である。 本発明の一実施形態において用いるプラズマイオン照射装置の模式図である。 本発明の第2実施形態に従うエピタキシャルウェーハの製造方法を説明する摸式断面図である。 本発明の第3実施形態に従う貼り合わせウェーハの製造方法を説明する摸式断面図である。 実施例1におけるシリコンウェーハの深さ方向における濃度プロファイルを示すグラフであり、(A)は発明例1−1のグラフであり、(B)は比較例1−1のグラフである。 実施例2におけるエピタキシャルウェーハのゲッタリング能力を評価したグラフであり、(A)は発明例2−1のグラフであり、(B)は比較例2−1のグラフである。 エピタキシャルウェーハのエピタキシャル層表面の光学顕微鏡写真であり、(A)は発明例2−1の顕微鏡写真であり、(B)は比較例2−1の顕微鏡写真であり、(C)は従来例の顕微鏡写真である。 発明例2−1にかかるエピタキシャルウェーハの結晶欠陥を、DLTS法により評価したグラフである。 エピタキシャルウェーハの表面欠陥を示すLPDマップである。 エピタキシャルウェーハの深さ方向における抵抗率分布を示すグラフであり、(A)は発明例2−1のグラフであり、(B)は比較例2−1のグラフであり、(C)は従来例のグラフである。
以下、図面を参照して本発明を具体的に説明する。なお、図1〜図4では説明の便宜上、実際の厚さ割合とは異なり、ウェーハ厚および層厚を誇張して示す。また、同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、説明を省略する。
(第1実施形態:シリコンウェーハの製造方法)
まず、図1を用いて、本発明の第1実施形態に従うシリコンウェーハの製造方法を詳細に説明する。本発明の第1実施形態に従うシリコンウェーハの製造方法は、シリコンウェーハ10のおもて面10Aからヘリウムイオン20を5.0×1014〜3.0×1016atoms/cmのドーズ量で注入して、ヘリウムイオン20が固溶してなるゲッタリング層11を形成することを特徴とする。図1(C)は、この製造方法の結果得られたシリコンウェーハ100の模式断面図である。
まず、図1(A)に示すように、シリコンウェーハ10を用意する。シリコンウェーハ10としては、シリコン単結晶からなる単結晶シリコンウェーハを用いる。単結晶シリコンウェーハは、チョクラルスキー法(CZ法)や浮遊帯域溶融法(FZ法)により育成された単結晶シリコンインゴットをワイヤーソー等でスライスしたものを使用することができる。また、任意の不純物ドーパント元素を添加して、n型またはp型としてもよい。
次に、図1(B)に示すように、シリコンウェーハ10のおもて面10Aからヘリウムイオン20を5.0×1014〜3.0×1016atoms/cmのドーズ量で注入する。この範囲のドーズ量でヘリウムイオン20を注入したことにより、図1(C)に示すように、シリコンウェーハ10にはヘリウムイオン20が固溶してなるゲッタリング層11が形成され、ゲッタリング層11を有するシリコンウェーハ100を作製することができる。また、この範囲のドーズ量でヘリウムイオン20の注入を行うことにより、シリコンウェーハ100の厚み方向におけるヘリウムの濃度プロファイルのピーク濃度を、1.0×1019〜1.0×1021atoms/cmとすることができる。
ここで、ヘリウムイオン20のドーズ量を5.0×1014〜3.0×1016atoms/cmとするのは、以下の理由による。すなわち、ドーズ量が5.0×1014atoms/cm以上であれば、シリコンウェーハ100は十分に高いゲッタリング能力を有する。一方、ドーズ量が3.0×1016atoms/cm以下であれば、シリコンウェーハのおもて面10Aの結晶性の乱れを抑制することができる。また、シリコンウェーハ100の反り量が過大となることを防ぐこともできる。また、ヘリウムイオンのドーズ量が3.0×1016atoms/cm以下であれば、このシリコンウェーハ100を用いて、後述のエピタキシャルウェーハおよび貼り合わせウェーハを作製することができる。なお、より高いゲッタリング能力を得るために、ドーズ量を1.0×1015〜3.0×1016atoms/cmとすることが好ましく、5.0×1015〜3.0×1016atoms/cmとすることがさらに好ましい。なお、ドーズ量が5.0×1016atoms/cmを超えると、シリコンウェーハ内に微小気泡層(脆化領域)が形成され、その後のエピタキシャル層の製造過程あるいは貼り合わせウェーハの製造過程において施される熱処理によって、微小気泡層を劈開面としてシリコンウェーハの表層部が剥離してしまい、エピタキシャルウェーハや貼り合わせウェーハの製品そのものの製造ができなくなる。
こうして得られたシリコンウェーハ100は、ゲッタリング層11をおもて面10A側の表層部に有するため、高いゲッタリング能力を有することができる。また、以下の第2実施形態において詳細を後述するが、このシリコンウェーハ100は、エピタキシャルウェーハにおける下地基板用のシリコンウェーハとして好適である。また、以下の第3実施形態において詳細を後述するが、このシリコンウェーハ100は貼り合わせウェーハにおける活性層用ウェーハとしても好適である。このシリコンウェーハ100を用いて作製したエピタキシャルウェーハおよび貼り合わせウェーハは、高いゲッタリング能力を維持しつつ、抵抗変動を生じることがない。
ここで、シリコンウェーハ10へのヘリウムイオン20の注入にあたり、任意のイオン注入法を用いることができる。例えば、従来公知のイオン注入装置を用いたモノマーイオン注入法により、ヘリウムイオン20をシリコンウェーハ10に注入することができる。この場合、ヘリウムイオンの加速電圧を10〜300keV/atom程度としてイオン注入すれば、ヘリウムイオンの加速電圧に依存してゲッタリング層11のおもて面10Aからの深さ位置が定まる。
なお、「モノマーイオン」とは、下記の「クラスターイオン」とは異なり、単独の原子または分子がイオン化したイオンのことを指す。「クラスターイオン」とは、原子または分子が複数集合して塊となったクラスターに正電荷または負電荷を与え、イオン化したものを意味する。クラスターは、複数(通常2〜2000個程度)の原子または分子が互いに結合した塊状の集団である。
本実施形態において、ゲッタリング層11のおもて面10Aからの深さ位置は、デバイス形成面への重金属汚染を防ぐことができる深さ位置として、適宜定めることができる。ゲッタリング層11のおもて面10Aからの深さ位置の指標として、シリコンウェーハ100の深さ方向におけるヘリウムの濃度プロファイルのピーク位置を用いることとする。シリコンウェーハ100のおもて面10Aからの深さが、例えば3μm以下の範囲内に、ヘリウムの濃度プロファイルのピークが位置するように、イオンヘリウムイオン20の加速電圧を上記範囲内で適宜設定すればよい。
しかしながら、シリコンウェーハ10のおもて面10Aからの深さが1.0μm未満の範囲内に、ヘリウムの濃度プロファイルのピークが位置するように、ヘリウムイオン20を注入することがより好ましい。おもて面10A側がデバイス形成領域となる場合、おもて面10Aにより近い位置にゲッタリング層11を形成することで、金属不純物をゲッタリングする能力が高まるためである。おもて面10Aからの深さが、0.5μm未満の範囲内であれば、上記効果がより得られ、0.3μm未満の範囲内であれば、さらに上記効果が得られる。
なお、この第1実施形態において、ゲッタリング層11は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)でシリコンウェーハの深さ方向におけるヘリウムの濃度プロファイルを測定した際に、ヘリウムがバックグラウンドよりも多く検出される範囲として特定される。
ヘリウムイオン注入は、クラスターイオン注入法により行ってもよい。既述のとおり、クラスターイオンとは、複数の原子または分子が互いに結合した塊状の集団である。クラスターイオン注入であれば、モノマーイオン注入に比べてシリコンウェーハ10のおもて面10A側の表層部のうち、よりおもて面10Aに近い側にゲッタリング層11を形成することができる。また、ヘリウムをより局所的にかつ高濃度に注入することもできる。クラスターイオン注入による場合、1原子または1分子あたりのエネルギーを小さくして打ち込むことができるため、加速電圧は0.1〜100KeV/Cluster程度であり、シリコンウェーハ10のおもて面10Aからの深さが1.0μm以下の範囲内に、ゲッタリング層11におけるヘリウムの深さ方向の濃度プロファイルのピークが位置するようにヘリウムイオン20を注入可能である。さらに、クラスターイオンを低エネルギーで照射するため、シリコンウェーハ100のおもて面10Aの結晶性の乱れを抑制することもできる。
ヘリウムのクラスターイオンを注入する場合、例えば以下の文献に記載されるような公知の方法でクラスターイオンを生成することができる。ガスクラスタービームの生成法として、(1)特開平9−41138号公報、(2)特開平4−354865号公報、イオンビームの生成法として、(1)荷電粒子ビーム工学:石川順三:ISBN978−4−339−00734−3:コロナ社、(2)電子・イオンビーム工学:電気学会:ISBN4−88686−217−9:オーム社、(3)クラスターイオンビーム基礎と応用:ISBN4−526−05765−7:日刊工業新聞社。また、一般的に、正電荷のクラスターイオンの発生にはニールセン型イオン源あるいはカウフマン型イオン源が用いられ、負電荷のクラスターイオンの発生には体積生成法を用いた大電流負イオン源が用いられる。
また、本発明に従う一実施形態として、プラズマイオン注入法によりヘリウムイオン20を注入してもよい。プラズマイオン注入法は、例えば図2に示すプラズマイオン注入装置50を用いて行うことができる。このプラズマイオン注入装置50は、例えばプラズマチャンバ51と、ガス導入口52と、真空ポンプ53と、パルス電圧印加手段54と、ウェーハ固定台55とを備えている。プラズマイオン注入装置50により、ヘリウムを含むガスのプラズマを生成するとともに、生成したプラズマに含まれるヘリウムイオンを、ウェーハ固定台55に設置したシリコンウェーハ10に注入することができる。
なお、ヘリウムを含むガスのプラズマの生成は、具体的には以下のように行うことができる。まず、真空ポンプ53によりプラズマチャンバ51内を減圧して真空とし、次いで、ヘリウムガスをガス導入口52からチャンバ51内に導入して、パルス電圧印加手段54によりウェーハ固定台55(シリコンウェーハ10)にパルス的に負電圧を印加することにより、ヘリウムを含むプラズマを生成することができる。パルス電圧の周波数は、10Hz〜10kHz程度、パルス電圧のパルス幅は1μsec〜1000μsec程度で適宜定めればよい。ガス導入後のプラズマチャンバ51内の真空度は、プラズマ状態を維持するために1.0×10−1Pa以下とすればよい。こうして生成されたヘリウムイオンは、モノマーイオンと、クラスターイオンとの混合物となる。
プラズマイオン注入法によってヘリウムイオン20をシリコンウェーハ10に注入すると、既述のモノマーイオン注入法およびクラスターイオン注入法によるイオン注入に比べて、ゲッタリング層11の深さ位置を、よりおもて面10A側にすることができる。ゲッタリング層11の深さ位置は、印加するパルス電圧の大きさに依存し、20V〜20kV程度の範囲で適宜定めればよい。シリコンウェーハ10のおもて面10Aからの深さが0.1μm未満の範囲内にヘリウムの濃度プロファイルのピークが位置するようにヘリウムイオン20を注入してもよい。なお、プラズマイオン注入法による場合、パルス電圧によっては、ヘリウムの最大濃度が出現する位置がシリコンウェーハ10のおもて面10A側の最表面となる場合がある。そのような場合には、厳密な意味での「ピーク」とは異なるが、本明細書においては、シリコンウェーハ10の最表面をヘリウム濃度のピーク位置とする。この場合、注入深さは0であるが、既述のとおり、ヘリウムがバックグラウンドよりも多く検出される範囲がゲッタリング層11である。
(第2実施形態:エピタキシャルウェーハの製造方法)
次に、図3を用いて、本発明の第2実施形態に従うエピタキシャルウェーハ200の製造方法を説明する。エピタキシャルウェーハ200の製造方法は、第1実施形態により得られるシリコンウェーハ100のおもて面10Aにエピタキシャル層12を形成することを特徴とする。
まず、図3(A)に示すように、第1実施形態において既述した方法により、シリコンウェーハ100を作製する。このシリコンウェーハ100は、既述のゲッタリング層11を有する。
続いて、図3(B)に示すように、シリコンウェーハ100のおもて面10Aにエピタキシャル層12を形成すると、エピタキシャルウェーハ200が得られる。シリコンウェーハ100のおもて面10A上に形成するエピタキシャル層12としては、シリコンエピタキシャル層が挙げられ、一般的な条件により形成することができる。例えば、水素をキャリアガスとして、ジクロロシラン、トリクロロシランなどのソースガスをチャンバー内に導入し、使用するソースガスによっても成長温度は異なるが、概ね1000〜1200℃温度範囲の温度でCVD法によりシリコンウェーハ100上にエピタキシャル成長させることができる。エピタキシャル層12の厚さは、1〜15μm程度とすることができ、4〜8μm程度とすることがより好ましい。
ここで、例えば5.0×1014atoms/cm以上の高濃度のドーズ量で炭素イオン注入してゲッタリング層を形成したシリコンウェーハに、エピタキシャル層を形成してエピタキシャルウェーハを作製すると、このエピタキシャルウェーハはゲッタリング能力を有するものの、既述の抵抗変動が生じてしまう(例えば、後述する図10(B)を参照)。これに対して、本発明の第2実施形態に従い、ヘリウムイオン注入により形成されたゲッタリング層11を有するシリコンウェーハ100にエピタキシャル層12を形成したエピタキシャルウェーハ200は、シリコンウェーハ100の高いゲッタリング能力を維持しつつ、抵抗変動を生じることがない(例えば、後述する図10(A)を参照)ことを本発明者は見出したのである。
ヘリウムイオンが固溶してなるゲッタリング層11を有するシリコンウェーハ100にエピタキシャル層12を形成してエピタキシャルウェーハ200を作製した場合に、エピタキシャルウェーハ200に抵抗変動が生じない理由を、本発明者は以下のように考えている。
5.0×1014〜3.0×1016atoms/cmのドーズ量でヘリウムイオンをシリコンウェーハ10に注入した後であって、エピタキシャル層12を形成する前のシリコンウェーハ100に対して、SIMSによりヘリウム濃度を測定すると、以下のことが判明した。すなわち、シリコンウェーハ100にはシリコンウェーハの深さ方向におけるヘリウムの濃度プロファイルを測定した際に、ヘリウムがバックグラウンドよりも多く検出される範囲が存在し、その領域がゲッタリング層11となる(例えば、後述する図5(A))。ここで、本明細書において、ヘリウムの濃度プロファイルにおいて、2.0×1017atoms/cmを、SIMSによるヘリウムの検出限界とする。
一方、このシリコンウェーハ100にエピタキシャル層12を形成してエピタキシャルウェーハ200を作製した後に、このエピタキシャルウェーハ200に対してSIMSによりヘリウム濃度を測定すると、以下のことが判明した。すなわち、シリコンウェーハ100におけるゲッタリング層11の領域内で、ヘリウムがバックグラウンドよりも多く検出される範囲が存在しなかったのである。しかしながら、このエピタキシャルウェーハ200は、ゲッタリング能力を有することが確認された(実施例2において詳細を後述する)。本発明者がさらに検討した結果、このエピタキシャルウェーハをDLTS法により分析すると、以下のことが判明した。すなわち、DLTS法を用いた分析によると、エピタキシャルウェーハ200のゲッタリング層12には、空孔と酸素に起因した欠陥(V−O)と推定される結晶欠陥が発生していることが確認された(実施例において詳細を後述する図8を参照)。この結果から、エピタキシャルウェーハ200においては、ヘリウムイオン注入領域であるゲッタリング層11に空孔が高密度で存在し、この空孔がゲッタリングシンクとして機能するものと考えられる。エピタキシャル層形成時に、ヘリウムイオン注入領域において、ヘリウムが珪素(Si)との結合を解離して外方拡散した結果、空孔が残存したものと考えられる。このため、エピタキシャルウェーハ200は、高いゲッタリング能力を有することができる。さらに、炭素イオン注入と異なり、ヘリウムイオン注入であれば、ゲッタリング層となるヘリウム注入領域における酸素ドナーの発生が抑制され、酸素ドナーを起因とした抵抗変動は殆ど起こらない。これは、シリコンウェーハ100内に注入したヘリウムがエピタキシャル層形成時に外方拡散して、注入領域に酸素が存在し難い状況になっているものと推測される。
本発明は理論に縛られるものではないが、本発明の第2実施形態によると、高いゲッタリング能力を有し、かつ、抵抗変動を生じることがないエピタキシャルウェーハ200を得られるという、顕著な効果を奏する。
なお、本実施形態においては、シリコンウェーハ10へのヘリウムイオン20の注入は、モノマーイオン注入法またはクラスターイオン注入法によることが好ましい。ヘリウムの濃度ピーク位置は、近接ゲッタリングの観点では最表面になるべく近いことが好ましい。しかしながら、エピタキシャル層12の形成を容易にする観点では、ヘリウムのピーク位置を最表面よりも深層側(0.1μm〜1μm程度)にすることが好ましいからである。
なお、既述のとおり、この第2実施形態において、エピタキシャル層12形成後のエピタキシャルウェーハ200のゲッタリング層11におけるヘリウム濃度は、SIMS測定による検出限界以下となる。そこで、本実施形態においては、エピタキシャルウェーハ200におけるゲッタリング層11を、次の(1)かつ(2)を満たすものとして特定する。
(1)SIMSによるヘリウム濃度は検出限界以下(ヘリウム濃度が2.0×1017atoms/cm以下)である。
(2)エピタキシャル層12を形成する前のゲッタリング層11が位置していた部分に、金属不純物を捕獲する結晶欠陥が存在する。
(第3実施形態:貼り合わせウェーハの製造方法)
次に、図4を用いて、本発明の第3実施形態に従う貼り合わせウェーハ300の製造方法を説明する。貼り合わせウェーハ300の製造方法は、第1実施形態により得られるシリコンウェーハ100のおもて面10Aを、絶縁膜31を介して支持基板用ウェーハ30と貼り合わせることを特徴とする。
まず、図4(A)に示すように、第1実施形態において既述した方法により、シリコンウェーハ100を作製する。このシリコンウェーハ100は、既述のゲッタリング層11を有する。なお、後述するように、このシリコンウェーハ100は、貼り合わせウェーハ300において活性層となり、SOIウェーハのデバイス領域として用いられる。
また、上記シリコンウェーハ100とは別途、図4(B)に示すように、支持基板用ウェーハ30を用意する。支持基板用ウェーハ30は、貼り合わせウェーハ300の支持基板として利用されるウェーハであり、この支持基板用ウェーハ30としては、任意のウェーハを用いることができる
次に、図4(C)に示すように、例えば酸化雰囲気での熱処理などにより、絶縁膜31を支持基板用ウェーハ30に形成する。支持基板用ウェーハ30の両面に絶縁膜31を形成してもよいし、貼り合わせる側の面のみでもよい。図4(C)は、支持基板用ウェーハ30の両面に絶縁膜31を形成した場合の図である。
続いて、図4(D)に示すように、シリコンウェーハ100のおもて面10Aを、絶縁膜31を介して支持基板用ウェーハ30と貼り合わせることで、貼り合わせウェーハ300が得られる。この貼り合わせは、任意のウェーハ貼り合わせ装置を用いて行うことができる。この貼り合わせウェーハ300において、シリコンウェーハ100が活性層(SOI層)となる。より具体的には、シリコンウェーハ100の裏面10Bがデバイス領域として用いられる。
この貼り合わせウェーハ300は、第2実施形態におけるエピタキシャルウェーハ200と同様に、高いゲッタリング能力を有し、かつ、抵抗変動を生じることがない貼り合わせウェーハである。
ここで、上記実施形態においては、図4(C)に示すように、絶縁膜31を、支持基板用ウェーハ30に形成した。シリコンウェーハ100に絶縁膜を形成する場合と比較して、シリコンウェーハ100のゲッタリング層11への加熱機会および加熱時間を抑制できるために、貼り合わせウェーハ300のゲッタリング能力を維持しやすいからである。このような絶縁膜31としては、例えばシリコン酸化膜(SiO)とすることができ、通常用いられる熱酸化膜作製装置を用いて作製することができる。絶縁膜31の厚みは、シリコンウェーハ100を貼り合わせウェーハにおけるSOIとして用いることが可能な範囲で適宜設定することができる。限定を意図するものではないが、シリコンウェーハ100と、支持基板用ウェーハ30との間の絶縁膜の厚みを、例えば0.1〜10μmとすることができ、10〜30μmとすることもできる。
しかしながら、絶縁膜31を、シリコンウェーハ100のおもて面10Aに形成してもよい。この場合、ゲッタリング層11を形成する前に絶縁膜31を形成してもよいし、ゲッタリング層11を形成した後に絶縁膜31を形成してもよい。ただし、シリコンウェーハ100のゲッタリング層11への加熱機会および加熱時間を抑制する観点では、ゲッタリング層11を形成する前に絶縁膜31を形成する方が好ましい。
また、図4(D)における、シリコンウェーハ100と、支持基板用ウェーハ30との貼り合わせの後に、この貼り合わせを強化するために、熱処理を施して、シリコンウェーハ100と、支持基板用ウェーハ30との間の貼り合わせ面の接合を強化してもよい。なお、この貼り合わせ強化熱処理は、例えば、酸化性ガスまたは不活性ガス雰囲気中において、800℃以上1200℃以下、10分以上6時間以下の条件下を行うことができる。
なお、図4(E)に示すように、活性層(SOI)領域となるシリコンウェーハ100の厚さを、薄膜化処理を施すことにより薄膜化してもよい。これにより、所望の厚さの活性層(SOI)を有する貼り合わせウェーハ300′を得ることができる。この薄膜化工程は、例えば、周知の平面研削および鏡面研磨法を好適に用いることができる。また、薄膜化処理を周知のスマートカット法など、他の薄膜化技術を用いて行ってもよい。さらに、支持基板用ウェーハ30を薄膜化してもよく、この薄膜化の際に、貼り合わせ面以外の面の絶縁膜を研削・研磨してもよい。
第2実施形態と同様に、この第3実施形態において、貼り合わせウェーハ300のゲッタリング層11におけるヘリウム濃度は、SIMS測定による検出限界以下となる。そこで、本実施形態においては、貼り合わせウェーハ300におけるゲッタリング層11を、次の(1)かつ(2)を満たすものとして特定する。
(1)SIMSによるヘリウム濃度は検出限界以下(ヘリウム濃度が2.0×1017atoms/cm以下)である。
(2)貼り合わせ前にゲッタリング層11が位置していた部分に、金属不純物を捕獲する結晶欠陥が存在する。
次に、上記第1,第2および第3実施形態に従う製造方法により得られるシリコンウェーハ100,エピタキシャルウェーハ200および貼り合わせウェーハ300についてそれぞれ説明する。
(シリコンウェーハ)
図1(C)に示すように、本発明に従うシリコンウェーハ100は、シリコンウェーハ10のおもて面10A側に形成された、シリコンウェーハ10中にヘリウムが固溶してなるゲッタリング層11を有するシリコンウェーハ100であって、シリコンウェーハの深さ方向におけるヘリウムの濃度プロファイルのピーク濃度が、1.0×1019〜1.0×1021atoms/cmであることを特徴とする。
すなわち、既述の本発明の第1実施形態に従うシリコンウェーハの製造方法により、シリコンウェーハ100は高いゲッタリング能力を有することができる。また、このシリコンウェーハ100は、エピタキシャルウェーハにおける下地基板用のシリコンウェーハとして好適である。また、このシリコンウェーハ100は、貼り合わせウェーハにおける活性層用ウェーハとしても好適である。このシリコンウェーハ100を用いて作製したエピタキシャルウェーハおよび貼り合わせウェーハは、高いゲッタリング能力を維持しつつ、抵抗変動を生じることがないためである。
なお、より高いゲッタリング能力を得るために、ヘリウムの濃度プロファイルのピーク濃度を1.0×1019〜1.0×1021atoms/cmとすることが好ましく、1.0×1020〜1.0×1021atoms/cmとすることがさらに好ましい。
また、より高いゲッタリング能力を得るには、シリコンウェーハ10の表面近傍にゲッタリング層11を形成することが望ましく、シリコンウェーハ10のおもて面10Aからの深さが1.0μm未満の範囲内に、ヘリウムの濃度プロファイルのピークが位置することが好ましい。
(エピタキシャルウェーハ)
本発明に従うエピタキシャルウェーハ200を図3(B)に示す。このエピタキシャルウェーハ200は、既述のシリコンウェーハ100のおもて面10A上に、エピタキシャル層12を形成してなるエピタキシャルウェーハであって、エピタキシャル層12を形成した後に、シリコンウェーハ100の深さ方向におけるヘリウムの濃度プロファイルのピーク濃度が2.0×1017atoms/cm以下であり、かつゲッタリング層11内に金属不純物を捕獲する結晶欠陥を有することを特徴とする。
このエピタキシャルウェーハ200は、高いゲッタリング能力を有し、かつ、抵抗変動を生じることがないという顕著な特徴を有する。
また、ヘリウムの濃度プロファイルのピークをシリコンウェーハのおもて面10Aからの深さが1.0μm以下の範囲内に位置させることにより、Coなど拡散速度が比較的遅い金属不純物までを十分にゲッタリングすることができ、好ましい。
(貼り合わせウェーハ)
本発明に従う貼り合わせウェーハ300を図4(D)に示す。この貼り合わせウェーハ300は、既述のシリコンウェーハ100のおもて面10Aを、絶縁膜31を介して支持基板用ウェーハ30と貼り合わせてなる貼り合わせウェーハであって、前記貼り合わせ後に、シリコンウェーハの深さ方向におけるヘリウムの濃度プロファイルのピーク濃度が2.0×1017atoms/cm以下であり、かつゲッタリング層11内に金属不純物を捕獲する結晶欠陥を有することを特徴とする。
この貼り合わせウェーハ300は、高いゲッタリング能力を有し、かつ、抵抗変動を生じることがないという顕著な特徴を有する。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(シリコンウェーハ;発明例1−1)
CZ単結晶から得たn型シリコンウェーハ(直径:300mm、厚み:775μm、ドーパント種類:リン、抵抗率:15Ω・cm、酸素濃度:1.2×1018atoms/cm)を用意した。次いで、大電流型イオン注入装置を用いて、ドーズ量:5.0×1015atoms/cm、加速電圧:20keV/atomでヘリウムのモノマーイオンをシリコンウェーハの表面に注入し、シリコンウェーハを作製した。
(比較例1−1)
ヘリウムイオン注入に替えて、加速電圧:60keV/atomで炭素イオン注入した以外は、発明例1−1と同様にしてシリコンウェーハを作製した。
(評価1−1:SIMS測定)
発明例1−1および比較例1−1のシリコンウェーハについてSIMS測定を行い、ヘリウムおよび炭素の濃度プロファイルをそれぞれ得た。結果を図5(A),(B)にそれぞれ示す。なお、横軸の深さはシリコンウェーハのおもて面(イオン注入した側の面)を0としている。図5(A),(B)から、発明例1−1および比較例1−1では、約0.2μmの深さ位置に注入イオンのピーク濃度が発生していることがわかる。
(評価1−2:ゲッタリング能力評価)
発明例1−1および比較例1−1のシリコンウェーハ表面を、Ni汚染液(1.0×1013/cm)で、スピンコート汚染法を用いて故意に汚染し、次いで、窒素雰囲気中において900℃で30分間の熱処理を施した。
その後、シリコンウェーハ中のNiの濃度をSIMSにより測定して、各シリコンウェーハのゲッタリング性能を評価したところ、発明例1−1および比較例1−1のシリコンウェーハはともに、1.0×1017atoms/cm以上のNiのピーク濃度が観察され、十分なゲッタリング能力を有することが確認された。
(エピタキシャルウェーハ;発明例2−1)
上記実施例1の発明例1−1と同じ方法で、エピタキシャルウェーハの下地基板としてシリコンウェーハを作製した。続いて、このシリコンウェーハをエピタキシャル成長装置(アプライドマテリアルズ社製)内に搬送し、装置内で1120℃の温度で30秒の水素ベーク処理を施した後、水素をキャリアガス、トリクロロシランをソースガス、フォスフィンをドーパントガスとし、1000〜1150℃の成長温度で、CVD法によりシリコンウェーハ上にシリコンのエピタキシャル層(目標厚み:8μm、ドーパント種類:リン、目標抵抗率:65Ω・cm)をエピタキシャル成長させ、本発明に従うエピタキシャルウェーハを作製した。
(比較例2−1)
ヘリウムイオン注入に替えて、加速電圧:60keV/atomでシリコンウェーハに炭素イオンを注入した以外は、発明例2−1と同様にしてエピタキシャルウェーハを作製した。
(従来例)
シリコンウェーハに対してヘリウムイオンを注入しなかった以外は、発明例2−1と同様にしてエピタキシャルウェーハを作製した。すなわち、従来例のエピタキシャルウェーハには、イオン注入領域が形成されていない。
(評価2−1:SIMS測定によるゲッタリング能力評価)
発明例2−1および比較例2−1のエピタキシャルウェーハのエピタキシャル層の表面を、Ni汚染液(1.0×1013atoms/cm)を用いてスピンコート汚染法により故意に汚染し、次いで、窒素雰囲気中において900℃で30分間の熱処理を施した。その後、エピタキシャルウェーハ中のNiの濃度をSIMSにより測定して、各エピタキシャルウェーハのゲッタリング性能を評価した。結果を図6(A),(B)にそれぞれ示す。なお、横軸の深さは、エピタキシャル層表面を0としている。
(評価2−2:光学顕微鏡によるゲッタリング能力評価)
上記評価2−1で行ったNiの故意汚染を、発明例2−1,比較例2−1および従来例で作製したエピタキシャルウェーハに対して行い、ライト液へ3分間浸した後、故意汚染後のエピタキシャル層表面を光学顕微鏡で観察し、エピタキシャル層表面で観察されるピット(ニッケルシリサイド起因の表面ピット:Niピット)の発生の有無を調査した。結果を図7(A)〜(C)にそれぞれ示す。
(評価2−3:SIMS測定による下地基板の評価)
発明例2−1および比較例2−1のエピタキシャルウェーハについてSIMS測定を行い、下地基板のヘリウム濃度および炭素濃度のプロファイルをそれぞれ測定した。
発明例2−1においては、シリコン基板のヘリウム濃度は検出限界(2×1017atoms/cm)以下であり、ヘリウムイオン注入領域においてヘリウム濃度を測定することができなかった。一方、比較例2−1においては、シリコン基板に炭素イオンを注入した領域において、炭素濃度のピークの存在が確認され、炭素のピーク濃度は3.0×1020atoms/cmであった。
(評価2−4:DLTS法によるゲッタリング層評価)
発明例2−1で作製したエピタキシャルウェーハに対してDLTS測定(Deep Level Transient Spectroscopy、深準位過渡分光法)を行った。測定条件としては、逆電圧を4V、パルス電圧を8Vとして、エピタキシャル層とシリコンウェーハのおもて面との界面からシリコン基板側の深さ方向約0〜1μmの領域を測定した。結果を図8に示す。なお、DLTS測定とは、ショットキー接合またはpn接合に逆方向電圧を印加して接合部の空乏層を広げ、印加電圧を変化させた際の静電容量(キャパシタンス)変化を測定する方法である。静電容量変化の温度依存性に基づき、深い準位(トラップ)を測定することができ、その結果、結晶欠陥を測定することができる。
(評価2−5:表面欠陥評価)
発明例2−1,比較例2−1および従来例で作製したエピタキシャルウェーハについて、ウェーハ表面検査装置(ケーエルテンコール社製、SP−1)を用いて、エピタキシャル層表面で観察されるサイズ0.16μm以上の表面欠陥(LPD:Light Point Defect)を評価した。検出したLPDマップを図9に示す。
(評価2−6:抵抗率の評価)
発明例2−1,比較例2−1および従来例で作製したエピタキシャルウェーハの、深さ方向における抵抗率の分布を抵抗率測定装置(型番:SSM2000、日本エス・エス・エム株式会社製)を用いて、広がり抵抗法(SR法;Spreading Resistance Analysis)により測定した。結果を図10(A)〜(C)にそれぞれ示す。なお、図10の横軸の深さはエピタキシャル層表面を0としている。
(評価結果)
まず、評価2−1による図6(A),(B)から、発明例2−1のエピタキシャルウェーハも、比較例2−1のエピタキシャルウェーハも、エピタキシャル層形成後において、下地基板のシリコンウェーハ内に高濃度のNiのピーク濃度が観察され、Niに対する十分なゲッタリング能力を維持していることがわかる。また、評価2−2による図7(A),(B)からもわかるように、発明例2−1と比較例2−1とではNiピットが観察されず、どちらも十分なゲッタリング能力を有することがわかる。一方、図7(C)からわかるように、従来例では多数のNiピットが観察され、ゲッタリング能力が低いことがわかる。
評価2−3に既述のとおり、発明例2−1のエピタキシャルウェーハには、ゲッタリングシンクとしてのヘリウム注入領域は、検出限界2.0×1017atoms/cmのSIMS測定においては観測されなかった。一方で、評価2−4による図8から、発明例2−1には、空孔および酸素による欠陥(V−O)が発生する準位に相当する位置で濃度ピークが観察され(90Kで検出)、欠陥(V−O)と推定できる結晶欠陥のみが観察された。この結果から、発明例2−1のエピタキシャルウェーハにおいては、下地基板へのヘリウムイオン注入領域に空孔が高密度で存在し、この空孔がゲッタリングシンクとして機能したと考えられる。エピタキシャル層形成前にはヘリウムの固溶領域(ヘリウムイオン注入領域)が存在し、エピタキシャル層形成後にはヘリウムを検出することはできないものの、空孔および酸素による欠陥が存在する。このことを考えると、エピタキシャル層形成時に、ヘリウムイオン注入領域において、ヘリウムが珪素(Si)との結合を解離して外方拡散した結果、空孔が残存したものと考えられる。
また、評価2−5による図9から、比較例2−1および従来例と比較しても、ヘリウムイオンを注入した発明例2−1のエピタキシャルウェーハのエピタキシャル層表面の表面欠陥(LPD)は、比較例2−1および従来例と同程度であった。すなわち、ヘリウムイオン注入によるエピタキシャル層への表面欠陥の影響は認められなかった。
さらに、評価2−6による図10(A),(C)から明らかなように、発明例2−1および従来例における深さ方向における抵抗率分布は、同様の分布を示した。エピタキシャル層とシリコン基板との界面近傍領域における抵抗率は、シリコン基板の抵抗率からエピタキシャル層の目標抵抗率に向けて徐々に増加していった。このように、発明例2−1および従来例では、エピタキシャル層とシリコン基板との界面近傍において抵抗率が著しく低くなる領域(抵抗変動領域)は存在しなかった。すなわち、発明例2−1および従来例では抵抗変動は生じなかった。一方、図10(B)から明らかなように、高濃度の炭素イオンを注入した比較例2−1には、エピタキシャル層とシリコン基板との界面近傍領域において、抵抗率が0に急峻に近づく領域が生じていた。かかる領域は、シリコン基板の抵抗率:15Ω・cmおよびエピタキシャル層の目標抵抗率:65Ω・cmから、著しく乖離する領域であり、抵抗変動領域である。これらの結果から、発明例2−1および従来例のエピタキシャルウェーハには抵抗変動は生じなかったが、比較例2−1のエピタキシャルウェーハには抵抗変動は生じていたことがわかる。
以上のことから、発明例2−1のエピタキシャルウェーハは、炭素イオン注入した比較例2−1と同程度のゲッタリング能力を有することがわかった。これに加えて、5.0×1015atoms/cmと、高濃度のドーズ量で炭素イオンを注入した比較例2−1では抵抗変動の発生は不可避であったにも関わらず、ヘリウムイオンを注入した発明例2−1のエピタキシャルウェーハでは抵抗変動が生じないことがわかった。すなわち、発明例2−1のエピタキシャルウェーハは、高いゲッタリング能力を有しつつ、抵抗変動を生じることがなかった。
(エピタキシャルウェーハ)
さらに、注入イオン種およびドーズ量の変化による影響を確認するために、シリコンウェーハへのイオン注入条件を表1に記載の条件とした以外は、実施例2における発明例2−1と同じ条件で、発明例2−2,2−3および比較例2−2〜2−6にかかるエピタキシャルウェーハを作製した。発明例2−1および比較例2−1で作製したエピタキシャルウェーハと併せて表1に示す。
(評価3−1:SIMS測定によるゲッタリング能力評価)
評価2−1と同様にして、さらに発明例2−2,2−3および比較例2−2〜2−4にかかるエピタキシャルウェーハの、1×1013atoms/cmのNi故意汚染に対するゲッタリング能力を評価した。結果を表1に示す。なお、代表例として、既述の図6(A),(B)を示す。発明例2−2,2−3および比較例2−2〜2−4については、Niの濃度プロファイルのピーク濃度を以下のようにそれぞれ分類して、評価基準とした。
◎:1.0×1017atoms/cm以上
○:1.0×1016atoms/cm以上〜1.0×1017atoms/cm未満
×:1.0×1016atoms/cm未満
ここで、Niを1×1011atoms/cm捕獲した場合、Niのピーク濃度が1.0×1016atoms/cm以上となり、エピタキシャルウェーハは十分なゲッタリング能力を有していたと言える。
(評価3−2:表面欠陥評価)
評価2−5と同様にして、発明例2−2,2−3および比較例2−2〜2−4にかかるエピタキシャルウェーハの表面欠陥(LPD)を評価したところ、いずれのエピタキシャルウェーハも5個以下であり、イオン注入に起因したLPD数の増加は見られなかった。
(評価3−3:抵抗率の評価)
評価2−6と同様にして、広がり抵抗法により、さらに発明例2−2,2−3および比較例2−2〜2−4にかかるエピタキシャルウェーハの深さ方向における抵抗率分布を評価した。結果を表1に示す。なお、代表例として、既述の図10(A),(B)を示す。発明例2−2,2−3および比較例2−2〜2−4については、エピタキシャル層と、下地基板のシリコンウェーハとの界面における抵抗率が、エピタキシャル層の目標抵抗率:65Ω・cmから変動した比率(すなわち、抵抗変動率)を以下のようにそれぞれ分類して、評価基準とした。
◎:70%以下
○:70%超〜80%以下
×:80%超
なお、本実施例においては、80%以下の抵抗変動率であれば、抵抗変動は生じていないと判断できる。
なお、比較例2−5および比較例2−6では、エピタキシャル層形成中にウェーハが注入層領域でウェーハの剥離を生じてしまい、エピタキシャルウェーハを作製することができなかった。そのため、上記評価3−1〜3−3における評価は”−”(評価不能)の記号を用いて表1に記載している。
(評価結果)
表1からわかるように、本発明条件を満足する実施例2−1〜2−3にかかるエピタキシャルウェーハはいずれも、高いゲッタリング能力を有し、かつ、抵抗変動が生じなかった。一方、本発明条件を少なくとも1つ以上満足しない比較例2−1〜2−4にかかるエピタキシャルウェーハは、高いゲッタリング能力と、抵抗変動が生じないこととを両立することができなかった。また、比較例2−5,2−6のイオン注入条件では、注入層領域でウェーハの剥離を生じてしまい、エピタキシャルウェーハを作製することができなかった。
(エピタキシャルウェーハ)
さらに、注入深さおよびドーズ量の変化による影響を確認するために、シリコンウェーハへのヘリウムイオン注入条件を表2に記載の条件とした以外は、実施例2における発明例2−1と同じ条件で、発明例2−4および2−5にかかるエピタキシャルウェーハを作製した。なお、注入深さは、エピタキシャル層形成前の、ヘリウム濃度のピーク位置(シリコンウェーハのおもて面を0とする)である。発明例2−1,2−2で作製したエピタキシャルウェーハと併せて表2に示す。
(評価3:SIMS測定によるゲッタリング能力評価)
評価2−1と同様にして、発明例2−4および2−5にかかるエピタキシャルウェーハのNiに対するゲッタリング能力を評価した。評価基準は、評価2−1と同じであり、結果を表2に示す。
さらに、Ni以外の金属元素のゲッタリング効果を確認するため、Co汚染液を用いて、発明例2−1,2−2,2−4および2−5にかかるエピタキシャルウェーハのエピタキシャル層の表面が、1.0×1012atoms/cmの濃度となるようにスピンコート汚染法により故意に汚染し、次いで、窒素雰囲気中において1000℃で30分間の熱処理を施した。その後、エピタキシャルウェーハ中のCoの濃度をSIMSにより測定して、各エピタキシャルウェーハのCoに対するゲッタリング性能を評価した。また、Co汚染液とは別に、Fe汚染液を用いて、発明例2−1,2−2,2−4および2−5にかかるエピタキシャルウェーハのエピタキシャル層の表面が、1.0×1012atoms/cmの濃度となるようにスピンコート汚染法により故意に汚染し、同様に熱処理を施した後、エピタキシャルウェーハ中のFeの濃度をSIMSにより測定して、各エピタキシャルウェーハのFeに対するゲッタリング性能を評価した。結果を表2に示す。なお、SIMS測定により得られたCoおよびFeの濃度プロファイルのピーク濃度を以下のようにそれぞれ分類して、評価基準とした。
◎:1.0×1017atoms/cm以上
○:1.0×1016atoms/cm以上〜1.0×1017atoms/cm未満
×:1.0×1016atoms/cm未満
さらに、表2中、ゲッタリング能力の総合的な評価を、下記のとおりに評価した。結果を表2に示す。
◎:Ni,Fe,Coの全てをゲッタリングすることができる。
○:拡散速度の速いNiをゲッタリングすることができる。
×:Ni,Fe,Coのいずれもゲッタリングすることができない。
ここで、「ゲッタリングできる」とは、Ni,Fe,Coのそれぞれの金属に対する評価水準が◎または○であることを意味し、「ゲッタリングできない」とは、評価水準が×であることを意味する。
(評価結果)
表2から、ヘリウムイオンを1.0μm未満、例えば0.2μmの深さ位置に注入することで、エピタキシャルウェーハは、Fe,Coなどの重金属に対しても十分なゲッタリング能力を有することができることがわかった。
(貼り合わせウェーハ;発明例3−1)
活性層用ウェーハとして、CZ法により得られた単結晶シリコンインゴットから採取されたn型のシリコンウェーハ(直径:200mm、厚さ:725μm、酸素濃度:3.0×1017atoms/cm、ドーパント種類:リン、目標抵抗率:65Ω・cm、ドーパント濃度:6.6×1013atoms/cm)を用意した。また、支持基板用ウェーハとして、CZ法により得られた単結晶シリコンインゴットから採取されたp型のシリコンウェーハ(直径:200mm、厚さ:725μm、酸素濃度:1.2×1018atoms/cm、ドーパント種類:ボロン、目標抵抗率:1.5Ω・cm、ドーパント濃度:1.0×1016atoms/cm)を用意した。
次いで、実施例1と同じイオン注入装置を用いて、ドーズ量:5.0×1015atoms/cm、加速電圧:20keV/atomでヘリウムのモノマーイオンをシリコンウェーハの表面に注入した。熱酸化膜作製装置に支持基板用ウェーハを導入して、水素及び酸素混合ガス雰囲気下で1050℃にて酸化膜形成処理を行い、支持基板用ウェーハに厚さ2.5μmのシリコン酸化膜を形成した。
以上の処理が施された活性層用ウェーハと支持基板用ウェーハとを張り合わせるにあたり、活性層用ウェーハのヘリウムイオンを注入した側の面(おもて面)を支持基板用ウェーハの酸化膜側に貼り合わせた。次いで、貼り合わせたウェーハを、酸素ガス雰囲気下とした縦型熱処理装置内に搬送し、装置内を800℃まで昇温して2時間保持した後、1000℃まで昇温して1時間保持して、貼り合わせを強化する熱処理を施して1枚の貼り合わせウェーハとした。
その後、貼り合わせウェーハにおける活性層用ウェーハ表面側(ヘリウムイオン注入した反対側の面)から研削処理を施して活性層用ウェーハの厚みを薄膜化した後、その表面を鏡面研磨して、厚み6μmの活性層を有する貼り合わせウェーハを作製した。
(発明例3−2〜3−3および比較例3−1〜3−7)
さらに、注入イオン種およびドーズ量の変化による影響を確認するために、活性層用ウェーハへのイオン注入条件を表3に記載の条件とした以外は、発明例3−1と同じ条件で、発明例3−2〜3−3および比較例3−1〜3−7にかかる貼り合わせウェーハを作製した。発明例3−1と併せて、表3に示す。
(評価5−1:抵抗率の評価)
評価2−6と同様にして、広がり抵抗法により、発明例3−1〜3−3および比較例3−1〜3−4にかかる貼り合わせウェーハの深さ方向における抵抗率分布を評価した。結果を表3に示す。活性層と、シリコン酸化膜(BOX層)との界面における抵抗率が、活性層用ウェーハの目標抵抗率:65Ω・cmから変動した比率(すなわち、抵抗変動率)を以下のようにそれぞれ分類して、評価基準とした。
◎:5%以下
○:5%超〜10%以下
×:10%超
なお、本実施例においては、10%以下の抵抗変動率であれば、抵抗変動は生じていないと判断できる。
(評価5−2:SIMS測定によるゲッタリング能力評価)
評価2−1と同様にして、発明例3−1〜3−3および比較例3−1〜3−4にかかる貼り合わせウェーハのNiに対するゲッタリング能力を評価した。なお、評価2−1におけるエピタキシャル層表面へのNi故意汚染に替えて、貼り合わせウェーハの活性層表面へNi故意汚染を行っている。結果を表3に示す。評価基準は、評価2−1と同じである。
なお、比較例3−5〜3−7では、活性層用ウェーハと支持基板用ウェーハとを貼り合わせる際に行った接合強化熱処理時に、活性層用ウェーハ内の注入領域においてウェーハが剥離してしまい、貼り合わせウェーハを作製することができなかった。そのため、上記評価5−1,5−2における評価は”−”(評価不能)の記号を用いて表3に記載している。
(評価結果)
表3からわかるように、本発明条件を満足する実施例3−1〜3−3にかかる貼り合わせウェーハはいずれも、高いゲッタリング能力を有し、かつ、抵抗変動が生じなかった。一方、本発明条件を少なくとも1つ以上満足しない比較例3−1〜3−4にかかる貼り合わせウェーハは、高いゲッタリング能力と、抵抗変動が生じないこととを両立することができなかった。また、比較例3−5〜3−7のイオン注入条件では、貼り合わせウェーハを作製することができなかった。
本発明によれば、シリコンウェーハにヘリウムイオンを注入するので、高いゲッタリング能力を有するシリコンウェーハであって、このシリコンウェーハを用いてエピタキシャルウェーハまたは貼り合わせウェーハを作製しても、高いゲッタリング能力を維持しつつ、抵抗変動を生じさせないシリコンウェーハを製造することができる。
10 シリコンウェーハ
10A シリコンウェーハのおもて面
10B シリコンウェーハの裏面
11 ゲッタリング層
12 エピタキシャル層
20 ヘリウムイオン
30 支持基板用ウェーハ
31 絶縁膜(シリコン酸化膜)
50 プラズマイオン注入装置
51 プラズマチャンバ
52 ガス導入口
53 真空ポンプ
54 パルス電圧印加手段
55 ウェーハ固定台
100 シリコンウェーハ
200 エピタキシャルウェーハ
300 貼り合わせウェーハ

Claims (5)

  1. シリコンウェーハのおもて面上に、エピタキシャル層を形成してなるエピタキシャルウェーハであって、
    前記シリコンウェーハの前記おもて面側の表層部にゲッタリング層を有し、該ゲッタリング層におけるヘリウムの濃度プロファイルのピーク濃度が2.0×1017atoms/cm以下であり、かつ前記ゲッタリング層内に金属不純物を捕獲する結晶欠陥を有し、該結晶欠陥は空孔からなり、
    前記結晶欠陥は前記シリコンウェーハのおもて面からの深さ1.0μm未満の範囲内に位置し、前記ゲッタリング層において、空孔および酸素による欠陥が発生する準位で、DLTS法により濃度ピークが観察されることを特徴とするエピタキシャルウェーハ。
  2. シリコンウェーハのおもて面を、絶縁膜を介して支持基板用ウェーハと貼り合わせてなる貼り合わせウェーハであって、
    前記シリコンウェーハの前記おもて面側の表層部にゲッタリング層を有し、該ゲッタリング層におけるヘリウムの濃度プロファイルのピーク濃度が2.0×1017atoms/cm以下であり、かつ前記ゲッタリング層内に金属不純物を捕獲する結晶欠陥を有し、該結晶欠陥は空孔からなり、
    前記結晶欠陥は前記シリコンウェーハのおもて面からの深さ1.0μm未満の範囲内に位置し、前記ゲッタリング層において、空孔および酸素による欠陥が発生する準位で、DLTS法により濃度ピークが観察されることを特徴とする貼り合わせウェーハ。
  3. 請求項1に記載のエピタキシャルウェーハの製造方法であって、
    シリコンウェーハのおもて面からヘリウムイオンを5.0×10 14 〜3.0×10 16 atoms/cm のドーズ量で注入して、前記ヘリウムイオンが固溶してなるゲッタリング層を形成する工程と、
    前記シリコンウェーハの前記おもて面にエピタキシャル層を形成する工程と、を有し、
    前記ゲッタリング層を形成する工程において、前記シリコンウェーハの深さ方向における前記ヘリウムの濃度プロファイルのピークが、前記おもて面から1.0μm未満の範囲内に位置するよう前記ヘリウムイオンの注入を行うことを特徴とするエピタキシャルウェーハの製造方法。
  4. 請求項2に記載の貼り合わせウェーハの製造方法であって、
    シリコンウェーハのおもて面からヘリウムイオンを5.0×10 14 〜3.0×10 16 atoms/cm のドーズ量で注入して、前記ヘリウムイオンが固溶してなるゲッタリング層を形成する工程と、
    前記シリコンウェーハの前記おもて面を、絶縁膜を介して支持基板用ウェーハと貼り合わせる工程と、を有し、
    前記ゲッタリング層を形成する工程において、前記シリコンウェーハの深さ方向における前記ヘリウムの濃度プロファイルのピークが、前記おもて面から1.0μm未満の範囲内に位置するよう前記ヘリウムイオンの注入を行うことを特徴とする貼り合わせウェーハの製造方法。
  5. 前記貼り合わせる工程に先立ち、前記絶縁膜を、前記支持基板用ウェーハに形成する請求項4に記載の貼り合わせウェーハの製造方法。
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