JP6390565B2 - 電子写真画像形成装置 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段によって解決される。
少なくとも、前記有機感光体の表面に滑剤を供給する手段と、前記有機感光体の表面に残存したトナーをクリーニングブレードで除去する手段とを備え、
下記条件(1)〜(3)を満たし、かつ、
前記保護層が、下記一般式(1)で表される構造を有するラジカル捕捉剤を含有することを特徴とする電子写真画像形成装置。
すことを特徴とする電子写真画像形成装置。
(1)前記有機感光体の前記保護層が、重合性化合物を硬化した硬化樹脂中に少なくとも金属酸化物微粒子を含有する。
(2)前記有機感光体の表面のユニバーサル硬さが、220〜280N/mm2の範囲内である。
(3)前記クリーニングブレードの前記有機感光体との当接部分のJIS−A硬度が、70〜78°の範囲内である。
5.前記有機感光体の前記保護層が、前記重合性化合物100質量部に対して、前記一般式(1)で表される構造を有するラジカル捕捉剤を13〜19質量部の範囲内で含有することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の電子写真画像形成装置。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明は、感光体表面の保護層が適度なユニバーサル硬さを有し、適度な膜強度(耐摩耗性)を有している。また、この保護層を有する感光体と、保護層の硬さに応じた適度な硬度のクリーニングブレードとが組み合わせされて、画像形成装置が構成されている。これにより、感光体表面をリフレッシュする際に、保護層が適度な減耗量となり、像流れ、雨だれ及びトナーのすり抜けの発生を抑え、クリーニング性能を長期間維持できるものと考えられる。
また、感光体表面の保護層のユニバーサル硬さ(HU)を大きくしすぎると、クリーニングブレードによって、保護層表面に堆積した放電生成物や紙粉、及び、保護層の最表面が酸化され親水化した劣化層、がそれぞれ除去できなくなり、像流れが発生してしまう。本発明に係る感光体は、感光体表面のユニバーサル硬さを280N/mm2以下として、ユニバーサル硬さ(HU)を大きくしすぎないことで、像流れの発生を抑えることができたと考えられる。
本発明の実施態様としては、前記有機感光体の前記保護層が、前記重合性化合物100質量部に対して、前記一般式(1)で表される構造を有するラジカル捕捉剤を13〜19質量部の範囲内で含有することが好ましい。
なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
本発明の電子写真形成装置1は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び保護層を順次積層した有機感光体2aを用いた電子写真画像形成装置1であって、少なくとも、有機感光体2aの表面に滑剤を供給する手段と、有機感光体2aの表面に残存したトナーをクリーニングブレード51で除去する手段とを備え、かつ、下記条件(1)〜(3)を満たすことを特徴とする。
(1)有機感光体2aの前記保護層が、重合性化合物を硬化した硬化樹脂中に少なくとも金属酸化物微粒子を含有する。
(2)有機感光体2aの表面のユニバーサル硬さが、220〜280N/mm2の範囲内である。
(3)クリーニングブレード51の有機感光体2aとの当接部分のJIS−A硬度が、70〜78°の範囲内である。
図1に示すように、画像形成装置1は、書込みユニット21、転写ローラー23、定着装置24及び給紙トレイ25を備えている。
書込みユニット21は、ドラム形状の感光体2aと、感光体2aの回転方向に沿って配置された帯電部2b、露光部2c、現像部2d及びクリーニング装置2eを備えている。
次に、現像部2dによりトナーを感光体2a上に供給する。感光体2aは、トナーの供給により現像された画像を担持する。
次に、画像が転写された用紙Pを定着装置24により加熱及び加圧して画像を用紙Pに定着させる。用紙Pの両面に画像を形成する場合、用紙Pを搬送経路26に搬送して用紙面を反転させた後、転写ローラー23の位置へ再度用紙Pを給紙する。
図2に示すようにクリーニング装置2eは、感光体2aの表面に当接して感光体2a上の残留トナーを除去するクリーニングブレード51を備えている。
感光体2a表面のユニバーサル硬さ(HU)が、220〜280N/mm2の範囲内にある。また、クリーニングブレード51は、感光体2aとの当接部分のJIS−A硬度が70〜78°の範囲内にある。
ポリウレタンを用いたクリーニングブレード51は、例えば脱水処理を行ったポリオールとイソシアネート化合物を混合し、100〜120℃の温度範囲で30〜90分間反応させて得られるプレポリマーに架橋剤を加えて、金型に注入し硬化させることにより製造することができる。
クリーニングブレード51の基材としてポリウレタンを使用する場合、クリーニングブレード51の感光体2aとの当接部分をイソシアネート化合物に一定時間含浸し、クリーニングブレード51本体が含有するポリウレタンをイソシアネート化合物と反応させることにより、その反応部分を硬化層52として形成することができる。
滑剤供給部2fは、加圧部材43により付勢された固形滑剤41をブラシローラー42により掻き出して、感光体2aの表面に滑剤粒子を供給する。
滑剤の数平均一次粒径としては、例えば1〜20μmであることが好ましい。また、滑剤は、トナーの帯電性に影響を与えないよう、トナーに対して0.01〜0.3質量%の割合で添加されることが好ましい。
本発明に係る有機感光体は、導電性支持体31上に、少なくとも、電荷発生層33a及び電荷輸送層33bよりなる有機感光層33と、保護層34とが順次積層された層構成を有するものであり(図3参照)、保護層34が、少なくとも重合性化合物の硬化重合体と金属酸化物粒子を含有し、有機感光体表面(保護層34)のユニバーサル硬さが、220〜280N/mm2の範囲内である。
具体的には、フィッシャースコープH100において、対面角度が136°に規定されている四角錐のダイヤモンド製の圧子に荷重F(N)を段階的に加えて(最大荷重2mN)、圧子をサンプルに押し込んだときの押し込み深さh(mm)及び荷重Fから、下記式によりユニバーサル硬さ(HU)を計算する。
HU(N/mm2)=F/(26.45×h2)
本発明に係る感光体を構成する保護層は、感光体を外力から保護する観点から感光体の最表面に設けられており、感光体の表面として、上述のように、ユニバーサル硬さが、220〜280N/mm2の範囲内である。
保護層の層厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜6μmである。
保護層を構成する硬化樹脂成分は、紫外線や電子線などの活性線の照射により、重合性化合物を重合させ、硬化されることにより得られるものである。重合性化合物としては、重合性官能基を2個以上有するモノマー(多官能重合性化合物)を用い、重合性官能基を1個有するモノマー(単官能重合性化合物)を併用することもできる。具体的には、重合性化合物としては、例えば、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N−ビニルピロリドン系モノマーなどが挙げられる。
金属酸化物微粒子は、保護層の強度の向上や抵抗調整による画質安定性に寄与するものである。
金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、1〜300nmであることが好ましく、より好ましくは3〜100nmであり、さらに好ましくは5〜40nmである。
反応性有機基含有表面修飾剤としては、金属酸化物微粒子の表面に存在するヒドロキシ基などと反応するものが好ましく、このような反応性有機基含有表面修飾剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。
以下、反応性有機基含有表面修飾剤の具体例を以下に示す。
S−2:CH2=CHSi(OCH3)3
S−3:CH2=CHSiCl3
S−4:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
S−5:CH2=CHCOO(CH2)2Si(OCH3)3
S−6:CH2=CHCOO(CH2)2Si(OC2H5)(OCH3)2
S−7:CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3
S−8:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)Cl2
S−9:CH2=CHCOO(CH2)2SiCl3
S−10:CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)Cl2
S−11:CH2=CHCOO(CH2)3SiCl3
S−12:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
S−13:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(OCH3)3
S−14:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2
S−15:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3
S−16:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)Cl2
S−17:CH2=C(CH3)COO(CH2)2SiCl3
S−18:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)Cl2
S−19:CH2=C(CH3)COO(CH2)3SiCl3
S−20:CH2=CHSi(C2H5)(OCH3)2
S−21:CH2=C(CH3)Si(OCH3)3
S−22:CH2=C(CH3)Si(OC2H5)3
S−23:CH2=CHSi(OCH3)3
S−24:CH2=C(CH3)Si(CH3)(OCH3)2
S−25:CH2=CHSi(CH3)Cl2
S−26:CH2=CHCOOSi(OCH3)3
S−27:CH2=CHCOOSi(OC2H5)3
S−28:CH2=C(CH3)COOSi(OCH3)3
S−29:CH2=C(CH3)COOSi(OC2H5)3
S−30:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OC2H5)3
S−31:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)2(OCH3)
S−32:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OCOCH3)2
S−33:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(ONHCH3)2
S−34:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OC6H5)2
S−35:CH2=CHCOO(CH2)2Si(C10H21)(OCH3)2
S−36:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH2C6H5)(OCH3)2
反応性有機基含有表面修飾剤の使用量は、未処理金属酸化物微粒子100質量部に対して0.1〜200質量部であることが好ましく、より好ましくは7〜70質量部である。
上記の重合性化合物は、下記一般式(1)で表される特定のラジカル捕捉剤の存在下において重合されることが好ましい。この特定のラジカル捕捉剤は、架橋結合の封止剤として機能する。すなわち、特定のラジカル捕捉剤は、その添加割合等によって架橋密度(硬化膜の膜強度)を調整することができる。したがって、硬化樹脂成分が、特定のラジカル捕捉剤の存在下において重合性化合物を重合させて得られるものであることにより、保護層が適度な膜強度(耐摩耗性)を有するものとなり、ブレードなどのクリーニング手段によって感光体表面が適度に減耗されるものとなる。そのため、感光体表面に放電生成物などが付着しても、感光体表面が減耗されてリフレッシュされるので、像流れを防止することができる。
保護層には、さらに他の成分が含有されていてもよく、例えば、電荷輸送物質、酸化防止剤及び滑剤粒子を含有させることができる。
滑剤粒子としては、フッ素原子含有樹脂粒子を加えることができる。フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択することが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
以下、保護層以外の感光体の構成を記載する。
本発明の感光体を構成する導電性支持体は、導電性を有するものであればよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレスなどの金属をドラム又はシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又はバインダー樹脂とともに塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙などが挙げられる。
本発明の感光体においては、導電性支持体と有機感光層の間にバリアー機能と接着機能を有する中間層を設けることもできる。種々の故障防止などを考慮すると、中間層を設けるのが好ましい。
このような金属酸化物粒子の数一次平均粒径は、0.3μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以下である。
本発明の感光体を構成する有機感光層における電荷発生層は、電荷発生物質及びバインダー樹脂(以下、「電荷発生層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
本発明の感光体を構成する有機感光層における電荷輸送層は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂(以下、「電荷輸送層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
本発明の感光体の製造方法は、具体的には、下記工程を有する。
工程(1):導電性支持体の外周面に中間層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより、中間層を形成する工程。
工程(2):導電性支持体上に形成された中間層の外周面に電荷発生層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷発生層を形成する工程。
工程(3):中間層上に形成された電荷発生層の外周面に電荷輸送層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷輸送層を形成する工程。
工程(4):電荷発生層上に形成された電荷輸送層の外周面に、保護層形成用の塗布液を塗布し、重合し、硬化させることにより保護層を形成する工程。
中間層は、溶媒中に中間層用バインダー樹脂を溶解させて塗布液(以下、「中間層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、必要に応じて導電性粒子や金属酸化物粒子を分散させた後、当該塗布液を導電性支持体上に一定の層厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
中間層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、層厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷発生層は、溶媒中に電荷発生層用バインダー樹脂を溶解させた溶液中に、電荷発生物質を分散して塗布液(以下、「電荷発生層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を中間層上に一定の層厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷発生層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、層厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷輸送層は、溶媒中に電荷輸送層用バインダー樹脂及び電荷輸送物質を溶解させた塗布液(以下、「電荷輸送層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を電荷発生層上に一定の層厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、層厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
保護層は、重合性化合物、金属酸化物微粒子、重合開始剤及び必要に応じて特定のラジカル捕捉剤、電荷輸送物質等の他の成分を公知の溶媒に添加して塗布液(以下、「保護層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、この保護層形成用塗布液を工程(3)により形成された電荷輸送層の外周面に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を乾燥し、紫外線や電子線などの活性線を照射することによって塗膜中の重合性化合物成分を重合させ、硬化されることにより保護層を形成することができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm2、好ましくは5〜100mJ/cm2である。
ランプの電力は、好ましくは0.1〜5kWであり、特に好ましくは、0.5〜3kWである。
また、以下に、実施例で使用する化合物の構造式を示す。
(導電性支持体の準備)
直径100mmの円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、表面を細かく粗面にした導電性支持体〔1〕を用意した。
下記組成の分散液を同じ混合溶媒にて二倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュ5μmフィルター使用)し、中間層形成用塗布液〔1〕を調製した。
バインダー樹脂:ポリアミド樹脂「CM8000」(東レ社製) 1部
金属酸化物粒子:酸化チタン「SMT500SAS」(テイカ社製) 3部
溶媒 :メタノール 10部
分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行った。中間層形成用塗布液〔1〕を用いて導電性支持体〔1〕上に、浸漬コーティング法で塗布し、乾燥層厚2μmの中間層〔1〕を形成した。
電荷発生物質:下記電荷発生物質(CG−1) 20部
バインダー樹脂:ポリビニルブチラール樹脂「#6000−C」
(電気化学工業社製) 10部
溶媒 :酢酸t−ブチル 700部
溶媒 :4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300部
を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層形成用塗布液〔1〕を調製した。この電荷発生層形成用塗布液〔1〕を中間層〔1〕上に浸漬コーティング法で塗布し、乾燥層厚0.3μmの電荷発生層〔1〕を形成した。
(1)無定形チタニルフタロシアニンの合成
1,3−ジイミノイソインドリン;29.2質量部をo−ジクロロベンゼン200質量部に分散し、チタニウムテトラ−n−ブトキシド;20.4質量部を加えて窒素雰囲気下に150〜160℃で5時間加熱した。放冷後、析出した結晶を濾過し、クロロホルムで洗浄、2%塩酸水溶液で洗浄、水洗メタノール洗浄して、乾燥後、26.2質量部(収率91%)の粗チタニルフタロシアニンを得た。
次いで、粗チタニルフタロシアニンを5℃以下において濃硫酸250質量部中で1時間撹拌して溶解し、これを20℃の水5000質量部に注いだ。析出した結晶をろ過し、充分に水洗してウエットペースト品225質量部を得た。
このウエットペースト品を冷凍庫にて凍結し、再度解凍した後、ろ過、乾燥して無定形チタニルフタロシアニン24.8質量部(収率86%)を得た。
上記無定形チタニルフタロシアニン10.0質量部と(2R,3R)−2,3−ブタンジオール0.94質量部(0.6当量比)(当量比はチタニルフタロシアニンに対する当量比、以後同じ)をオルトジクロロベンゼン(ODB)200質量部中に混合し60〜70℃で6.0時間加熱撹拌した。一夜放置後、該反応液にメタノールを加えて生じた結晶を濾過し、濾過後の結晶をメタノールで洗って((2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する電荷発生物質)CG−1:10.3質量部を得た。
電荷発生物質(CG−1)のX線回折スペクトルでは、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークがある。マススペクトルにおいて576と648にピークがあり、IRスペクトルでは970cm−1付近のTi=O、630cm−1付近にO−Ti−Oの両吸収が現れる。また熱分析(TG)では390〜410℃に約7%の質量減少があることから、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの1:1付加体と非付加体(付加していない)チタニルフタロシアニンの混合物と推定される。得られた電荷発生物質(CG−1)のBET比表面積を流動式比表面積自動測定装置(マイクロメトリックス・フローソープ型:島津製作所)で測定したところ、31.2m2/gであった。
電荷輸送物質:上記化合物A225部、バインダー樹脂:ポリカーボネート樹脂「Z300」(三菱ガス化学社製)300部、酸化防止剤:「Irganox1010」(BASFジャパン社製)6部、溶媒:THF(テトラヒドロフラン)1600部、溶媒:トルエン400部、シリコーンオイル「KF−50」(信越化学工業社製)1部を混合し、溶解して電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を調製した。
この電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を電荷発生層〔1〕の上に円形スライドホッパー塗布装置を用いて塗布し、乾燥層厚20μmの電荷輸送層〔1〕を形成した。
下記の金属酸化物微粒子:酸化スズ微粒子〔1〕125部、重合性化合物:上記例示化合物(M1)100部、重合開始剤:上記例示化合物(P1)7部、ラジカル捕捉剤:「スミライザーGS(上記一般式(1)においてR1がtert−ペンチル基、R2がtert−ペンチル基)」(住友化学社製)7部、溶媒:2−ブタノール200部、溶媒:テトラヒドロフラン50部を混合撹拌し、十分に溶解・分散し、保護層形成用塗布液〔1〕を調製した。この保護層形成用塗布液〔1〕を電荷輸送層〔1〕上に円形スライドホッパー塗布装置を用いて塗布して塗膜を形成し、メタルハライドランプを用いて紫外線を1分間照射して、乾燥層厚4.0μmの保護層を形成した。このとき、保護層のユニバーサル硬さは280N/mm2であった。
未処理金属酸化物微粒子として下記酸化スズ〔1〕を用い、表面修飾剤として上記例示化合物(S−15)を用い、以下に示すように表面修飾を行い、酸化スズ微粒子〔1〕を作製した。
まず、酸化スズ〔1〕として、CIKナノテック社製の酸化スズ(数平均一次粒子径:20nm、体積抵抗率:1.05×105(Ω・cm))を準備した。
次に、酸化スズ〔1〕100部、表面修飾剤(例示化合物(S−15):CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3)30部、トルエン/イソプロピルアルコール=1/1(質量比)の混合溶媒300部の混合液を、ジルコニアビーズとともにサンドミルに入れ約40℃で、回転速度1500rpmで撹拌することにより表面修飾を行った。さらに、上記処理混合物を取り出し、ヘンシェルミキサーに投入して回転速度1500rpmで15分間撹拌した後、120℃で3時間乾燥することによって表面修飾を終了し、表面修飾済み酸化スズ微粒子〔1〕を作製した。
有機感光体〔1〕の製造における保護層の形成において、用いた重合性化合物(M1)、重合開始剤(P1)、ラジカル捕捉剤(スミライザーGS)、酸化スズ微粒子〔1〕及び電荷輸送物質(CTM−1)の添加量を表1に従って変更した以外は同様にして、有機感光体〔2〕〜〔9〕を製造した。
また、有機感光体〔2〕〜〔9〕の表面のユニバーサル硬さを、有機感光体〔1〕と同様にしてそれぞれ測定した。測定結果は、下記表1に示す。
公知の遠心成形機の成形金型ドラム(内径:700mm、奥行き:500mm、常温での振れ精度:0.06mm、成形時の回転数:800rpm、粗面状態:Ra=0.30)を40℃に加熱し、シリコーンゴム材料として、付加反応により硬化する付加硬化型シリコーンゴム組成物「TSE3032(A)」(主剤、GE東芝シリコーン社製)と「TSE3032(B)」(硬化剤)との混合液(配合質量比10:1)を、上記成形金型ドラム内に流し込み、120分間加熱硬化させ、シリコーンゴム層〔1〕を形成した。
ブレード材料「ポリウレタン」(硬度68°)を140℃に予熱した遠心成形機の金型内のシリコーンゴム層〔1〕上に注入し、30分間硬化させた。上記硬化反応後、弾性ゴム部材のシート体のみ金型から取り出すことにより、厚さ2.00mmの円柱状のシート体を得た。これを幅14mm、長さ364mmの短冊状にカットすることにより、ブレード部材〔1〕を得た。
さらに、得られたブレード部材〔1〕をメッキ鋼からなる支持部材に、ポリウレタン系ホットメルト接着剤を用いて接着してクリーニングブレード〔1〕を作製した。ブレード部材〔1〕の部分が本発明でいう硬化層であり、感光体と当接する部分である。
クリーニングブレード〔1〕の製造例において、ブレード材料として、硬度70°の「ポリウレタン」を用いた以外は同様にしてクリーニングブレード〔2〕を作製した。
クリーニングブレード〔1〕の製造例において、ブレード材料として、硬度74°の「ポリウレタン」を用いた以外は同様にしてクリーニングブレード〔3〕を作製した。
クリーニングブレード〔1〕の製造例において、ブレード材料として、硬度78°の「ポリウレタン」を用いた以外は同様にしてクリーニングブレード〔4〕を作製した。
クリーニングブレード〔1〕の製造例において、ブレード材料として、硬度80°の「ポリウレタン」を用いた以外は同様にしてクリーニングブレード〔5〕を作製した。
画像形成装置bizhub PRO 1250(コニカミノルタ社製)に、製造した感光体〔1〕〜〔9〕、及び、クリーニングブレード〔1〕〜〔5〕を、下記表3に示す組み合わせで搭載し、画像形成装置〔1〕〜〔12〕とした。
この画像形成装置〔1〕〜〔12〕において、20℃、50%RHで、印字率5%のA4画像を中性紙に50万枚印刷出力した後に、各感光体の画像評価(雨だれ、像流れ、すり抜け)を、以下のように行った。
なお、画像形成に用いたトナーには、微粉状の滑剤であるステアリン酸亜鉛「ZnSt−S」(日油社製、平均一次粒径10μm)が外部添加されており、現像部での現像工程において形成される現像電界の作用により、当該滑材を感光体の表面に供給した。
また、クリーニングブレードが、感光体の表面に対して12°の範囲内の角度で傾斜し、かつ20N/mの範囲内の線圧で当接するように配置した。
10℃、15%RH環境下にて、幅40mmの帯チャート画像(帯部:100[%]ベタ)を1000枚出力して、1000枚目の画像において、感光体1周分に相当する幅40mm、長さ314mmの帯部に発生した雨だれのサイズと個数を目視により観察し、以下の評価基準により評価した。
◎:雨だれが未発生(合格)
○:1mm未満の雨だれが1個以上5個以下発生、かつ1mm以上の雨だれが未発生(合格)
×:1mm未満の雨だれが6個以上発生、又は1mm以上の雨だれが1個以上発生(不合格)
30℃、80%RH環境下にて、印字率5%のA4画像を中性紙に1000枚印刷出力した後、直ぐに画像形成装置の主電源を切り、主電源を切った12時間後に主電源を入れた。そして印刷可能状態になった後、直ちにA3サイズの中性紙全面にハーフトーン画像(マクベス濃度計で相対反射濃度0.4)と、全面6dot格子画像とを印字した。印字画像の状態を目視により観察し、以下の評価基準により評価した。
◎:ハーフトーン画像及び格子画像共に画像流れ発生なし(合格)
○:ハーフトーン画像のみに感光体長軸方向の薄い帯状濃度低下が認められる(合格)
×:画像流れによる格子画像の欠損若しくは線幅の細りが発生している(不合格)
10℃、15%RH環境下にて、A3サイズの中性紙全面にハーフトーン画像(カバレッジ:80[%])を100枚出力して、白地部の状態を目視により観察し、以下の評価基準により評価した。
○:トナーのすり抜けなし(合格)
×:トナーのすり抜けあり(不合格)
21 書込みユニット
2a 感光体
2d 現像部
2e クリーニング装置
2f 滑剤供給部
34 保護層
51 クリーニングブレード
52 硬化層
Claims (5)
- 導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び保護層を順次積層した有機感光体を用いた電子写真画像形成装置であって、
少なくとも、前記有機感光体の表面に滑剤を供給する手段と、前記有機感光体の表面に残存したトナーをクリーニングブレードで除去する手段とを備え、
下記条件(1)〜(3)を満たし、かつ、
前記保護層が、下記一般式(1)で表される構造を有するラジカル捕捉剤を含有することを特徴とする電子写真画像形成装置。
(1)前記有機感光体の前記保護層が、重合性化合物を硬化した硬化樹脂中に少なくとも金属酸化物微粒子を含有する。
(2)前記有機感光体の表面のユニバーサル硬さが、220〜280N/mm2の範囲内である。
(3)前記クリーニングブレードの前記有機感光体との当接部分のJIS−A硬度が、70〜78°の範囲内である。
- 前記クリーニングブレードが、前記有機感光体に対して、当接角が5〜20°の範囲内であり、かつ、線圧が13〜24N/mの範囲内で当接していることを特徴とする請求項1に記載の電子写真画像形成装置。
- 前記滑剤として、ステアリン酸亜鉛を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真画像形成装置。
- 前記滑剤を供給する手段が、前記トナーに対して外部添加された微粉状の前記滑剤を、トナー像を形成する手段において形成される現像電界の作用により、前記有機感光体に供給する手段であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電子写真画像形成装置。
- 前記有機感光体の前記保護層が、前記重合性化合物100質量部に対して、前記一般式(1)で表される構造を有するラジカル捕捉剤を13〜19質量部の範囲内で含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電子写真画像形成装置。
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