以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施の形態に係る製造方法により製造される感光体413の層構成の一例を模式的に示す図である。図1に示されるように、感光体413は、導電性支持体1と、導電性支持体1上に配置された中間層2と、中間層2上に配置された感光層3と、感光層3上に配置された表面層4とを有する。感光層3は、電荷発生層5および電荷輸送層6を有する。
中間層2は、バリア機能と接着機能とを有する層である。
感光層3は、後述する画像形成装置において、露光により所期の画像の静電潜像をその表面に形成するための層である。前述のとおり、本実施の形態では、感光層3は、電荷発生物質を含有する電荷発生層5と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層6との積層物である。なお、感光層3は、電荷輸送物質と電荷発生物質とを含有する単層であってもよい。
表面層4は、感光層3上に配置されるとともに感光体413の表面を構成する。表面層4は、感光層3を保護するための層である。
感光体413は、表面層4の製造工程以外は、電子写真感光体の公知の製造方法で製造することができる。たとえば、感光体413は、1)導電性支持体1を準備する第1工程と、2)導電性支持体1上に中間層2を配置する第2工程と、3)中間層2上に感光層3を配置する第3工程と、4)感光層3上に表面層4を配置する第4工程とをこの順で行うことで製造されうる。
第3工程は、3−1)中間層2上に電荷発生層5を配置する第3−1工程と、3−2)電荷発生層5上に電荷輸送層6を配置する第3−2工程とを含む。
第4工程は、4−1)感光層3上に重合性モノマーを含有する表面層形成用の塗布液(以下、「第4塗布液」ともいう)を塗布する第4−1工程と、4−2)第4塗布液の膜に赤外光を照射する第4−2工程と、4−3)上記膜の赤外光を照射された部分に重合性モノマーを重合させるための活性光線を照射する第4−3工程と、を含む。
以下、感光体413の製造方法の各工程について説明する。
1)第1工程
第1工程では、導電性支持体1を準備する。導電性支持体1は、後述する感光層3を支持し、かつ導電性を有する部材である。導電性支持体1の種類の例には、金属製のドラム、金属製のシート、金属箔がラミネートされたプラスチックフィルム、導電性物質が蒸着されたプラスチックフィルム、ならびに導電性物質を含む塗料を塗布された金属部材やプラスチックフィルム、紙などが含まれる。金属の種類は、導電性を有していれば特に限定されない。金属の種類の例には、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛およびステンレス鋼が含まれる。また、導電性物質の例には、金属、酸化インジウムおよび酸化スズが含まれる。本実施の形態では、導電性支持体1は、アルミニウム製のドラムである。
2)第2工程
第2工程では、準備した導電性支持体1上に中間層2を形成する。具体的には、まず、中間層形成用の塗布液(以下、「第1塗布液」ともいう)を調製する。次いで、当該第1塗布液を導電性支持体1上に塗布して、第1塗布液の液膜を形成する。最後に、当該液膜を乾燥させることにより中間層2を形成することができる。
たとえば、第1塗布液は、バインダー樹脂を公知の溶媒に溶解させることで調製されうる。
第2工程において使用されるバインダー樹脂の例には、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリウレタンおよびゼラチンが含まれる。
第2工程において使用される溶媒の例には、エタノールやn−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノールなどが含まれる。
中間層2の電気抵抗を調整する観点から、第1塗布液は、導電性粒子や金属酸化物粒子などの無機粒子が含まれていてもよい。無機粒子の種類の例には、アルミナや酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマスなどの金属酸化物粒子;スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズおよび酸化ジルコニウムなどの超微粒子が含まれる。これらの無機粒子の種類は、1種であってもよいし、それ以上であってもよい。
また、金属酸化物粒子を2種以上組み合わせて使用する場合においては、当該金属酸化物粒子が固溶体状態であってもよいし、融着状態であってもよい。金属酸化物粒子の数平均一次粒子径は、0.3μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。金属酸化物粒子の数平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡「JEM−7500F」(日本電子株式会社製)により加速電圧80kVにて、撮影された10000倍の拡大写真から、スキャナーによりランダムに取り込まれた100個の金属酸化物粒子(凝集粒子を除く)の写真画像を自動画像処理解析装置「LUZEX AP」(ソフトウエアバージョン Ver.1.32、株式会社ニレコ製)で処理、解析することにより算出される。
無機粒子の添加量は、バインダー樹脂100質量部に対して20〜400質量部であることが好ましく、50〜200質量部であることがより好ましい。
第1塗布液における無機微粒子の分散手段は、公知の分散装置から適宜選択されうる。無機微粒子の分散手段の例には、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダーおよびホモミキサーなどの分散機が含まれる。
第1塗布液の塗布方法は、第1塗布液の組成に応じて公知の塗布方法から適宜選択されうる。第1塗布液の塗布方法の例には、浸漬塗布法およびスプレーコーティング法が含まれる。
第1塗布液の液膜の乾燥方法は、溶媒の種類や中間層2の所望の厚みなどに応じて適宜選択されうる。第1塗布液の液膜の乾燥方法の例には、自然乾燥および熱乾燥が含まれる。
中間層2の厚さは、例えば、0.1〜15μmであり、より好ましくは0.3〜10μmである。
3)第3工程
第3工程では、中間層2上に感光層3を形成する。
3−1)第3−1工程
第3−1工程では、中間層2上に電荷発生層5を形成する。具体的には、まず、電荷発生層形成用の塗布液(以下、「第2塗布液」)を調製する。次いで、当該第2塗布液を中間層2上に塗布して、第2塗布液の液膜を形成する。最後に、当該液膜を乾燥させることにより電荷発生層5を形成することができる。
第2塗布液は、例えば、電荷発生物質を、公知の溶媒に溶解させたバインダー樹脂中に添加し、分散させることで調製されうる。
第3−1工程において使用されるバインダー樹脂の例には、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、これらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)、およびポリ−ビニルカルバゾール樹脂、が含まれる。
電荷発生物質の例には、スーダンレッドやダイアンブルーなどのアゾ原料;ピレンキノンやアントアントロンなどのキノン顔料;キノシアニン顔料;ペリレン顔料;インジゴやチオインジゴなどのインジゴ顔料;およびフタロシアニン顔料、が含まれる。
電荷発生物質の添加量は、バインダー樹脂100質量部に対して1〜600質量部であることが好ましく、50〜500質量部であることがより好ましい。
電荷発生物質の分散手段は、公知の分散装置から適宜選択されうる。電荷発生物質の分散手段の例には、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダーおよびホモミキサーなどの分散機が含まれる。
第3−1工程において使用される溶媒の例には、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジンおよびジエチルアミンが含まれる。
第2塗布液の塗布方法は、第2塗布液の組成に応じて公知の塗布方法から適宜選択されうる。第2塗布液の塗布方法の例には、浸漬塗布法およびスプレーコーティング法が含まれる。
第2塗布液の液膜の乾燥方法は、溶媒の種類や電荷発生層の所望の厚みなどに応じて適宜選択されうる。第2塗布液の液膜の乾燥方法の例には、自然乾燥および熱乾燥が含まれる。
電荷発生層5の厚さは、例えば、0.01〜5μmであり、より好ましくは0.05〜3μmである。
3−2)第3−2工程
第3−2工程では、電荷発生層5上に電荷輸送層6を形成する。具体的には、まず、電荷輸送層用の塗布液(以下、「第3塗布液」ともいう)を調製する。次いで、当該第3塗布液を電荷発生層上に塗布して、第3塗布液の液膜を形成する。最後に、当該液膜を乾燥させることにより電荷輸送層6を形成することができる。
第3塗布液は、例えば、電荷発生物質を、公知の溶媒に溶解させたバインダー樹脂中に添加し、分散させることで調製されうる。
第3−2工程において使用されるバインダー樹脂の例には、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、およびスチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、が含まれる。
電荷輸送物質の例には、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、およびポリ−9−ビニルアントラセンが含まれる。
電荷輸送物質の例には、下記式CTM1〜CTM10およびRCTMで示される化合物が含まれる。
電荷輸送物質の添加量は、バインダー樹脂100質量部に対して10〜500質量部であることが好ましく、20〜100質量部であることがより好ましい。
第3−2工程において使用される溶媒の例には、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジンおよびジエチルアミンが含まれる。
第3塗布液の塗布方法は、第3塗布液の組成に応じて公知の塗布方法から適宜選択されうる。第3塗布液の塗布方法の例には、浸漬塗布法およびスプレーコーティング法が含まれる。
第3塗布液の液膜の乾燥方法は、溶媒の種類や電荷輸送層6の所望の厚みなどに応じて適宜選択されうる。第3塗布液の液膜の乾燥方法の例には、自然乾燥および熱乾燥が含まれる。
電荷輸送層6の厚さは、例えば、5〜40μmであり、より好ましくは10〜30μmである。
4)第4工程
第4工程では、感光層3上に表面層4を形成する。
4−1)第4−1工程
第4−1工程では、感光層3上に重合性モノマーを含有する表面層形成用の塗布液(第4塗布液)を塗布する。具体的には、まず、第4塗布液を調製する。次いで、当該第4塗布液を感光層3上に塗布して、第4塗布液の液膜を形成する。最後に、当該液膜を乾燥させることにより第4塗布液の膜を形成することができる。
第4塗布液は、例えば、表面層4を構成する硬化樹脂の前駆体である重合性モノマーと、光重合開始剤とを、公知の溶媒に添加することで調製されうる。第4塗布液は、必要に応じて、金属酸化物粒子や滑剤粒子、酸化防止剤、硬化樹脂以外の樹脂などの他の成分をさらに含有していてもよい。
重合性モノマーの例には、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、およびN−ビニルピロリドン系モノマーが含まれる。これらの重合性モノマーの種類は、1種であってもよいし、それ以上であってもよい。
重合性モノマーは、少ない光量または短い時間での重合が可能であることから、アクリロイル基(CH2=CHCO−)またはメタクリロイル基(CH2=C(CH3)CO−)の反応性基を有する化合物であることが好ましい。また、重合性モノマーは、これらの反応基を2個以上有するアクリル系モノマーであることが好ましい。さらに、重合性モノマーのオリゴマーであることが好ましい。
重合性モノマーは、アクリロイル基またはメタクリロイル基を2つ以上有する化合物よりなることがより好ましく、アクリロイル基またはメタクリロイル基を3つ以上有する化合物よりなることが特に好ましい。また、重合性モノマーは、2種以上を組み合わせて使用することができるが、アクリロイル基またはメタクリロイル基を3つ以上有する化合物を50質量%以上使用することが好ましい。
アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する重合性モノマーの例には、下記式M1〜M15で示される化合物が含まれる。下記式中、Rはアクリロイル基を示し、R’はメタクリロイル基を示す。
光重合開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(「イルガキュア369」:BASFジャパン株式会社製、イルガキュアはBASF社製の登録商標)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどのアセトフェノン系またはケタール系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼンなどのベンゾフェノン系光重合開始剤;2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、および2,4−ジクロロチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤が含まれる。
光重合開始剤の他の例には、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(「イルガキュア819」:BASFジャパン株式会社製)、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、およびイミダゾール系化合物が含まれる。
また、光重合促進効果を有する光重合促進剤を単独または上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。光重合促進剤の例には、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、および4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノンが含まれる。
光重合開始剤の添加量は、重合性モノマー100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部であることがより好ましい。
より高い耐久性を表面層4に付与する観点から、第4塗布液は、金属酸化物粒子を含むことが好ましい。金属酸化物粒子の材料の例には、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化スズ、銅アルミニウム酸化物、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、二酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン、および酸化バナジウムが含まれる。なかでも、金属粒子の材料は、酸化スズ(SnO2)または銅アルミニウム酸化物(CuAlO2)であることが好ましい。
金属酸化物粒子の数平均一次粒子径は、0.01〜0.2μmの範囲内であることが好ましく、0.02〜0.1μmの範囲内であることがより好ましい。金属酸化物粒子の数平均一次粒子径は、前述した中間層2に含まれる金属酸化物粒子の数平均一次粒子径と同様の方法により算出される。
金属酸化物粒子の分散手段は、公知の分散装置から適宜に選択されうる。金属酸化物粒子の分散手段の例には、超音波分散機や、ボールミル、サンドグラインダーおよびホモミキサーなどの分散機が含まれる。
金属酸化物粒子の含有量は、重合性モノマー100質量部に対して20〜400質量部であることが好ましく、50〜300質量部であることがより好ましい。金属酸化物粒子の含有量が少なすぎる場合、形成される表面層の電気抵抗が低くなり、残留電位の上昇やカブリの発生を防止することができないおそれがある。一方、金属酸化物粒子の含有量が多すぎる場合、形成される表面層に良好な成膜性が得られず、帯電性能の低下やピンホールの発生を防止することができないおそれがある。
また、分散性をより高くする観点から、金属酸化物粒子は表面処理されていてもよい。とくに、金属酸化物粒子と反応性基を有する表面処理剤(以下、「表面処理剤」ともいう)によって表面処理された酸化スズ(SnO2)粒子または銅アルミニウム酸化物(CuAlO2)粒子であることが好ましい。金属酸化物粒子の表面処理方法は、金属の種類や表面処理剤の種類などに応じて公知の方法から適宜選択されうる。表面処理方法の例には、湿式処理法または乾式処理法を採用することができる。
たとえば、表面処理された金属酸化物粒子は、湿式メディア分散型装置を用いて処理することができる。具体的には、金属酸化物粒子および表面処理剤を含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式粉砕する。最後に、溶媒を除去して粉体化することにより表面処理された金属酸化物粒子を得ることができる。
表面処理剤は、例えば、金属酸化物粒子の表面に存在する水酸基との反応性を有する化合物である。表面処理剤は、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するものが好ましい。また、表面処理剤の例には、下記(S−1)〜(S−36)に示される化合物が含まれる。
S−1:CH2=CHSi(CH3)(OCH3)2
S−2:CH2=CHSi(OCH3)3
S−3:CH2=CHSiCl3
S−4:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
S−5:CH2=CHCOO(CH2)2Si(OCH3)3
S−6:CH2=CHCOO(CH2)2Si(OC2H5)(OCH3)2
S−7:CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3
S−8:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)Cl2
S−9:CH2=CHCOO(CH2)2SiCl3
S−10:CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)Cl2
S−11:CH2=CHCOO(CH2)3SiCl3
S−12:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
S−13:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(OCH3)3
S−14:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2
S−15:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3
S−16:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)Cl2
S−17:CH2=C(CH3)COO(CH2)2SiCl3
S−18:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)Cl2
S−19:CH2=C(CH3)COO(CH2)3SiCl3
S−20:CH2=CHSi(C2H5)(OCH3)2
S−21:CH2=C(CH3)Si(OCH3)3
S−22:CH2=C(CH3)Si(OC2H5)3
S−23:CH2=CHSi(OCH3)3
S−24:CH2=C(CH3)Si(CH3)(OCH3)2
S−25:CH2=CHSi(CH3)Cl2
S−26:CH2=CHCOOSi(OCH3)3
S−27:CH2=CHCOOSi(OC2H5)3
S−28:CH2=C(CH3)COOSi(OCH3)3
S−29:CH2=C(CH3)COOSi(OC2H5)3
S−30:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OC2H5)3
S−31:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)2(OCH3)
S−32:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OCOCH3)2
S−33:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(ONHCH3)2
S−34:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OC6H5)2
S−35:CH2=CHCOO(CH2)2Si(C10H21)(OCH3)2
S−36:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH2C6H5)(OCH3)2
湿式メディア分散型装置は、その容器内に粉砕媒体(メディア)としてボールやビーズなどが充填され、さらに回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクが高速回転される。これにより、湿式メディア分散型装置では、金属酸化物の凝集粒子の粉砕および分散が行われる。
上記の表面処理方法においては、表面処理剤の添加量は、金属酸化物粒子100質量部に対して0.1〜100質量部、溶媒の添加量は、金属酸化物粒子100質量部に対して50〜5000質量部であることが好ましい。
湿式メディア分散型装置は、金属酸化物粒子に表面処理を行う際に当該金属酸化物粒子を十分に分散させ、かつ表面処理できるものであれば特に限定されず、例えば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式を採用することができる。湿式メディア分散型装置の例には、サンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、およびダイナミックミルが含まれる。
上記湿式メディア分散型装置で使用されるビーズの例には、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料とした粉砕媒体が含まれる。特にジルコニアやジルコンなどのビーズが好ましい。また、ビーズの大きさは、通常、直径1〜2mm程度とされる。
また、湿式メディア分散型装置に用いられる撹拌ディスクや容器内壁には、例えば、ステンレス鋼製、ナイロン製、セラミック製の素材が用いられるが、特にジルコニアまたはシリコンカーバイドなどのセラミック製のものが好ましい。
以上の手順により、アクリロイル基またはメタクリロイル基と反応可能な反応性基を有する金属酸化物粒子を得ることができる。金属酸化物粒子が表面処理剤によって表面処理されることにより、重合性モノマーとの結合が強固になり、形成される表面層4の耐久性をより高くすることもできる。
滑剤粒子の例には、フッ素原子を含有する樹脂粒子が含まれる。フッ素原子を含有する樹脂粒子の材料の例には、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、およびこれらの共重合体の粒子が含まれる。滑剤粒子は、これらの中から1種あるいはそれ以上を適宜選択するのが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂粒子およびフッ化ビニリデン樹脂粒子が好ましい。
滑剤粒子の数平均一次粒子径は、0.01〜1μmであることが好ましく、0.05〜0.5μmであることがより好ましい。
滑剤粒子の数平均一次粒子径は、前述した金属酸化物粒子の数平均一次粒子径と同様の方法により算出する。
滑剤粒子を構成する樹脂の分子量は適宜選択することができ、特に制限されるものではない。
滑剤粒子の含有量は、第4塗布液において0.1〜20質量%であることが好ましく、0.2〜10質量%であることがより好ましい。
硬化樹脂以外の樹脂の例には、公知の樹脂を使用すればよい。公知の樹脂の例には、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。
第4−1工程において使用される溶媒の例には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジンおよびジエチルアミンが含まれる。
第4塗布液の液粘度は、2〜50mP・sであることが好ましく、3〜25mP・sであることがより好ましい。第4塗布液の液粘度が小さすぎる場合には、塗布ムラが発生し、所望の厚みを有し、かつ均一な厚みの表面層を形成することができないおそれがある。一方、第4塗布液の液粘度が大きすぎる場合には、当該第4塗布液に良好な流動性が得られず、塗布面において液切れを引き起こし、均一な液膜を形成することができないおそれがある。第4塗布液の液粘度は、「E型粘度計 VISCONIC ELD型」(東京計器株式会社製)を用いて測定されうる。
第4塗布液の塗布方法は、第4塗布液の組成に応じて公知の塗布方法から適宜選択されうる。第4塗布液の塗布方法の例には、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法およびスライドホッパー法含まれる。
第4塗布液の液膜の乾燥方法は、溶媒の種類や表面層4の所望の厚みなどに応じて適宜選択されうる。第4塗布液の液膜の乾燥方法の例には、自然乾燥および熱乾燥が含まれる。
以上の工程により、感光層3上に第4塗布液の膜を形成することができる。以下、第4塗布液の膜が形成された感光層3を「ワーク」という。
4−2)第4−2工程
第4−2工程では、ワークの感光層3上に形成された第4塗布液の膜に赤外光を照射する。
本実施の形態に係る感光体の製造方法は、赤外光を照射する工程を含むことを一つの特徴とする。本発明者らは、第4塗布液の膜に赤外光を照射した後に、後述の活性光線を照射することで、活性光線の照射前に赤外光を照射していないときと比較して、画像形成の繰り返しによる帯電性の低下を顕著に抑制できることを見出した(実施例参照)。帯電性の低下が抑制される原理は不明であるが、赤外光を照射されたことで、上記膜中の重合性モノマーが分子振動し、配列化されることによって、重合反応が促進されたためと推察される。これにより、表面層4における未反応基の量が減少し、画像を形成するための帯電工程において生成される放電生成物と、未反応基との結合が抑制されるためと考えられる。
赤外光の照射エネルギーや照射時間などの照射条件は、使用される光源の種類や光源の出力、重合性モノマーの種類などに応じて適宜設定されうる。第4塗布液の膜への赤外光の照射は十分に行われる必要があるが、過剰に赤外光を照射すると、重合性モノマーが赤外光の照射により生じる熱によってダメージを受けるおそれがあり、また上記膜が乾燥、固化することがある。一方、赤外光の照射が不十分であると、所期の効果が得られないことがある。このような観点から、赤外光の照射エネルギーは、0.1〜5J/cm2であることが好ましく、0.5〜3J/cm2であることがより好ましい。また、赤外光の照射時間は、0.1〜60秒であることが好ましく、1〜10秒であることがより好ましい。さらに、赤外光を照射するタイミングは、後述の活性光線を照射する0.1秒〜5分前であることが好ましい。
赤外光の光源の種類の例には、赤外線ハロゲンランプ、カーボンランプおよびコルチェランプが含まれる。赤外光の光源の出力は、0.1〜10kWであることが好ましく、3〜7kWであることがより好ましい。赤外光の波長は、750〜3500nmであることが好ましく、1500〜2500nm(近赤外光)であることがより好ましい。赤外光の波長は、光源から照射された光をロングパスフィルター、ショートパスフィルターまたはバンドパスフィルターを使用して調整されうる。
赤外光の照射方法は、特に限定されない。たとえば、特開2013−125121号公報に記載されている光照射装置を使用して、導電性支持体1の全周方向からワークに赤外光を照射すればよい。当該光照射装置は、円柱状のワークの周囲を取り囲むように赤外光を出射する光出射窓が形成されている。これにより、導電性支持体1の全周方向から同時に、ワークに赤外光を照射することができる。ワークの表面積が光照射装置の被照射領域よりも大きい場合には、導電性支持体1の軸方向にワークを搬送させつつ、光照射装置により赤外光を照射することで、第4塗布液の膜全体に赤外光を照射することができる。このとき、ワークを搬送する速度は、赤外光の光源の出力や、ワークおよび光源間の距離などに応じて、所望の照射エネルギーで赤外光を照射できるように調整される。たとえば、ワークの搬送速度は、1〜30mm/secである。より均一にワークに赤外光を照射する観点から、ワークを導電性支持体1の軸を中心軸として回転させてもよい。
4−3)第4−3工程
第4−3工程では、重合性モノマーを重合させるための活性光線を照射する。活性光線のワークへの照射は、重合性モノマーの重合によって表面層を形成する公知の条件で行うことが可能である。
活性光線の照射エネルギーや照射時間などは、使用される光源の種類や光源の出力、表面層4を形成するための重合性モノマーの種類などに応じて適宜設定されうる。活性光線の照射エネルギーは、5〜500mJ/cm2であることが好ましく、5〜10mJ/cm2であることがより好ましい。また、照射時間は、0.1秒〜10分であることが好ましく、0.1秒〜5分であることがより好ましい。活性光線の光源の種類の例には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノン、紫外線LEDが含まれる。活性光線の光源の出力は、0.1〜5kWであることが好ましく、0.5〜3kWであることがより好ましい。活性光線の波長は、250〜400nm(紫外光)であることが好ましい。
活性光線の照射方法は、第4塗布液の膜のうち、赤外光が照射された部分に活性光線を照射させることができれば特に限定されない。たとえば、活性光線は、上記の光照射装置を使用し、赤外光が照射されつつ搬送されているワークに向けて、赤外光を照射された部分から順次照射されてもよいし、膜全体への赤外光の照射が終わった後に膜全体へ照射されてもよい。また、赤外光を照射された部分から、活性光線を順次照射する場合には、赤外光が照射される部分と、活性光線が照射される部分とが一部重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。これにより、重合性モノマーを重合させ、表面層4を形成することができる。
第4工程で形成される表面層4の厚さは、例えば、2〜15μmであり、より好ましくは4〜8μmである。
以上の手順により、感光体413を製造することができる。感光体413の製造方法では、表面層4の硬化前において、第4塗布液の膜に赤外光を照射する。これにより、画像形成を繰り返し行ったとしても、感光体の帯電性の低下を抑制することができる。
なお、上記実施の形態では、中間層2を有する感光体413について説明したが、感光体は、中間層2を有していなくてもよい。この場合、導電性支持体1上に感光層3が配置される。
感光体413は、電子写真方式の画像形成装置における有機感光体として使用される。たとえば、画像形成装置は、感光体413と、感光体413の表面を帯電させるための帯電装置と、帯電した感光体413の表面に光を照射して静電潜像を形成するための露光装置と、静電潜像が形成された感光体413にトナーを供給してトナー像を形成するための現像装置と、感光体413の表面の上記トナー像を記録媒体に転写するための転写装置と、トナー像が記録媒体に転写した後の感光体413の表面に残留するトナーを除去するためのクリーニング装置と、を有する。
また、感光体413は、静電潜像が形成された感光体413の表面にトナーを供給して静電潜像に応じたトナー像を感光体413の表面に形成し、トナー像を感光体413の表面から記録媒体に転写し、感光体413の表面に残留するトナーをクリーニング装置で除去する画像形成方法に適用される。当該画像形成方法は、例えば、上記の画像形成装置によって行われる。
図2は、感光体413を有する画像形成装置100の構成の一例を模式的に示す図である。図2に示す画像形成装置100は、画像読取部110、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50および定着装置60を有する。
画像形成部40は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナーによる画像を形成する画像形成ユニット41Y、41M、41Cおよび41Kを有する。これらは、収容されるトナー以外はいずれも同じ構成を有するので、以後、色を表す記号を省略することがある。画像形成部40は、さらに、中間転写ユニット42および二次転写ユニット43を有する。これらは、転写装置に相当する。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、前述の感光体413、帯電装置414、およびドラムクリーニング装置415を有する。帯電装置414は、例えばコロナ帯電器である。帯電装置414は、帯電ローラーや帯電ブラシ、帯電ブレードなどの接触帯電部材を感光体413に接触させて帯電させる接触帯電装置であってもよい。露光装置411は、例えば、光源としての半導体レーザーと、形成すべき画像に応じたレーザー光を感光体413に向けて照射する光偏向装置(ポリゴンモーター)とを含む。
現像装置412は、二成分現像方式の現像装置である。現像装置412は、例えば、二成分現像剤を収容する現像容器と、当該現像容器の開口部に回転自在に配置されている現像ローラー(磁性ローラー)と、二成分現像剤が連通可能に現像容器内を仕切る隔壁と、現像容器における開口部側の二成分現像剤を現像ローラーに向けて搬送するための搬送ローラーと、現像容器内の二成分現像剤を撹拌するための撹拌ローラーと、を有する。上記現像容器には、例えば、後述の二成分現像剤が収容されている。
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421と、中間転写ベルト421を感光体413に圧接させる一次転写ローラー422と、バックアップローラー423Aを含む複数の支持ローラー423と、ベルトクリーニング装置426とを有する。中間転写ベルト421は、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも一つの駆動ローラーが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
二次転写ユニット43は、および二次転写ローラー431Aを含む複数の支持ローラー431と、無端状の二次転写ベルト432とを有する。二次転写ベルト432は、二次転写ローラー431Aおよび支持ローラー431によってループ状に張架される。
定着装置60は、例えば、定着ローラー62と、定着ローラー62の外周面を覆い、用紙S上のトナー画像を構成するトナーを加熱、融解するための無端状の発熱ベルト63と、用紙Sを定着ローラー62および発熱ベルト63に向けて押圧する加圧ローラー64と、を有する。用紙Sは、記録媒体に相当する。
画像形成装置100は、さらに、画像読取部110、画像処理部30および用紙搬送部50を有する。画像読取部110は、給紙装置111およびスキャナー112を有する。
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、および搬送経路部53を有する。給紙部51を構成する三つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズなどに基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)があらかじめ設定された種類ごとに収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53aなどの複数の搬送ローラー対を有する。
上記二成分現像剤には、本実施の形態の効果が得られる範囲において、例えば公知の二成分現像剤の中から適宜に選ぶことが可能である。上記二成分現像剤は、トナー粒子とキャリア粒子とを有する。これらの混合比は、例えば、二成分現像剤におけるトナー粒子の濃度で5〜10質量%である。
上記キャリア粒子は、磁性体により構成される。当該キャリア粒子の例には、当該磁性体からなる芯材粒子と、その表面を被覆する被覆材の層とを有する被覆型キャリア粒子、および樹脂中に磁性体の微粉末が分散されてなる樹脂分散型のキャリア粒子が含まれる。上記キャリア粒子は、感光体413へのキャリア粒子の付着を抑制する観点から、上記被覆型キャリア粒子であることが好ましい。
上記トナー粒子は、トナー母体粒子と外添剤とを有する。トナー母体粒子は、例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤および帯電制御剤を含有している。外添剤は、例えばシリカ粒子である。上記外添剤の添加量は、例えば、トナー粒子全体に対して0.1〜10.0質量%であり、より好ましくは1.0〜3.0質量%である。
上記トナー母体粒子は、結着樹脂および着色剤を含有する。当該結着樹脂は、トナー母体粒子を構成するとともに、着色剤を分散して包含する。上記結着樹脂の種類は、一種でもよいし、それ以上でもよい。
上記着色剤の種類は、一種であってもよいし、それ以上であってもよい。当該着色剤には、カラートナーの着色剤に用いられる公知の無機着色剤または有機着色剤が用いられる。当該着色剤の例には、カーボンブラック、磁性体、顔料および染料が含まれる。
上記トナー母体粒子は、本実施形態の効果を奏する範囲において、上記結着樹脂および上記着色剤以外の他の成分をさらに含有していてもよい。当該他の成分は、一種でもそれ以上でもよく、当該他の成分には、カラートナーに用いられることが知られている公知の成分が用いられる。当該他の成分の例には、離型剤および帯電制御剤が含まれる。
上記トナー母体粒子は、例えば、水系媒体中に分散された結着樹脂の粒子と、着色剤の粒子とを凝集、融合させてトナー母体粒子を製造する乳化会合凝集法により、製造することができる。当該乳化会合凝集法によるトナー母体粒子の製造方法は、例えば、水系媒体中に結着樹脂粒子が分散されてなる結着樹脂粒子分散液を調製する工程と、上記着色剤を上記水系媒体中に分散させるとともに上記結着樹脂粒子を凝集させてトナー母体粒子となる樹脂粒子を調製する工程と、を含む。トナー母体粒子は、例えば、上記水系媒体の冷却およびろ過により当該水系媒体から取り出され、洗浄され、そして乾燥される。
上記トナー粒子は、例えば、上記トナー母体粒子と上記外添剤とを、ヘンシェルミキサーなどの公知の混合装置を用いて混合することにより得られる。上記二成分現像剤は、例えば、上記トナー粒子と上記キャリア粒子とを、V型混合機などの公知の混合装置を用いて混合することによって得られる。
次いで、画像形成装置100の使用方法(画像形成方法)について説明する。
まず、スキャナー112は、コンタクトガラス上の原稿Dを光学的に走査して読み取る。原稿Dからの反射光がCCDセンサー112aにより読み取られ、入力画像データとなる。入力画像データは、画像処理部30において所定の画像処理が施され、露光装置411に送られる。
感光体413は、一定の周速度で回転する。帯電装置414は、感光体413の表面を一様に負極性に帯電させる。前述のとおり、本実施の形態に係る製造方法により製造された感光体413では、活性光線の照射前に赤外光の照射を行わずに製造された感光体と比較して、帯電時における放電生成物と反応しうる官能基の数が少ない。このため、画像の形成を繰り返し行ったとしても、帯電性が低下しにくい。
露光装置411では、ポリゴンモータのポリゴンミラーが高速で回転し、各色成分の入力画像データに対応するレーザー光が、感光体413の軸方向に沿って展開し、当該軸方向に沿って感光体413の外周面に照射される。こうして感光体413の表面には、静電潜像が形成される。
現像装置412では、上記現像容器内の二成分現像剤の撹拌、搬送によってトナー粒子が帯電し、二成分現像剤は上記現像ローラーに搬送され、当該現像ローラーの表面で磁性ブラシを形成する。帯電したトナー粒子は、磁性ブラシから外れて、感光体413における静電潜像の部分に静電的に付着する。こうして、感光体413の表面の静電潜像が可視化され、感光体413の表面に、静電潜像に応じたトナー画像が形成される。なお、「トナー画像」とは、トナーが画像状に集合した状態を言う。
前述のとおり、本実施の形態に係る製造方法により製造された感光体413は、画像形成の繰り返しによる帯電性の低下を抑制することができる。このため、画像の形成を繰り返し行っても、現像過程において適切にトナー粒子を感光体413に付着させることができる。したがって、形成された画像における濃度低下や欠陥の発生などを抑制することができる。
感光体413の表面のトナー画像は、中間転写ユニット42によって中間転写ベルト421に転写される。転写後に感光体413の表面に残存する転写残トナーは、感光体413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレードを有するドラムクリーニング装置415によって除去される。
一次転写ローラー422によって中間転写ベルト421が感光体413に圧接されることにより、感光体413と中間転写ベルト421とによって、一次転写ニップが感光体413ごとに形成される。当該一次転写ニップにおいて、各色のトナー画像が中間転写ベルト421に順次重なって転写される。
一方、二次転写ローラー431Aは、中間転写ベルト421および二次転写ベルト432を介して、バックアップローラー423Aに圧接される。これにより、中間転写ベルト421と二次転写ベルト432とによって、二次転写ニップが形成される。当該二次転写ニップを用紙Sが通過する。用紙Sは、用紙搬送部50によって二次転写ニップへ搬送される。用紙Sの傾きの補正および搬送のタイミングの調整は、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により行われる。
上記二次転写ニップに用紙Sが搬送されると、二次転写ローラー431Aへ転写バイアスが印加される。この転写バイアスの印加によって、中間転写ベルト421に担持されているトナー画像が用紙Sに転写される。トナー画像が転写された用紙Sは、二次転写ベルト432によって、定着装置60に向けて搬送される。
定着装置60は、発熱ベルト63と加圧ローラー64とによって、定着ニップを形成し、搬送されてきた用紙Sを当該定着ニップ部で加熱、加圧する。こうしてトナー画像が用紙Sに定着する。トナー像が定着された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
なお、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残存する転写残トナーは、中間転写ベルト421の表面に摺接されるベルトクリーニングブレードを有するベルトクリーニング装置426によって除去される。
以上の説明から明らかなように、本実施の形態に係る製造方法は、導電性支持体と、前記導電性支持体上に配置された感光層と、前記感光層上に配置された表面層とを有する電子写真感光体の製造方法であって、前記表面層を形成するための、重合性モノマーを含有する塗布液を前記感光層上に塗布して、前記感光層上に前記塗布液の膜を形成する工程と、前記膜に赤外光を照射する工程と、前記膜の赤外光を照射された部分に活性光線を照射して前記重合性モノマーを重合させる工程と、を含む。したがって、当該製造方法により製造された感光体は、画像形成の繰り返しによる帯電性の低下を抑制することができる。よって、この感光体を有する画像形成装置は、帯電性の低下に起因する画像の欠陥を抑制することができ、長期に亘って高品質な画像を形成することができる。
また、前記膜の全面に赤外光を照射した後に、前記膜の全面に活性光線を照射することは、赤外光と活性光線が同時に照射される部分を生じることがなく、分子振動を活性化した状態で重合反応を開始できるため、膜全面の重合反応の反応性を高める観点から、より一層効果的である。
また、赤外光が近赤外光であることは、分子振動をより活性化させる観点から、より一層効果的である。
また、上記重合性モノマーがアクリロイル基またはメタクリロイル基を有することは、重合性モノマーを少ない光量または短い時間で重合させる観点、およびより高い耐久性を表面層に付与する観点からより一層効果的である。
また、第4塗布液が金属酸化物粒子を含むことは、より高い耐久性を表面層に付与する観点から、より一層効果的である。
さらに、活性光線が紫外光であることは、高エネルギーで光重合開始剤を活性化させる観点から、より一層効果的である。
1.感光体の作製
(感光体1の作製)
(1)導電性支持体の準備
ドラム状のアルミニウム支持体(外径φ30mm、長さ360mm)の表面を切削加工し、表面粗さRzが1.5μmの導電性支持体を用意した。
(2)中間層の形成
次いで、下記の成分を下記の量で分散し、第1塗布液を調製した。このとき、分散機としてはサンドミルを用い、バッチ式で10時間の分散を行った。
ポリアミド樹脂 1質量部
酸化チタン 1.1質量部
エタノール 20質量部
ポリアミド樹脂(バインダー樹脂)としては、X1010(ダイセルデグサ株式会社製)を使用し、酸化チタン(金属酸化物粒子)としては、SMT500SAS(テイカ株式会社製)を使用した。酸化チタンの数平均一次粒子径は0.035μmである。
調製した第1塗布液を準備した導電性支持体の外周面に、浸漬塗布法で塗布し、オーブン内において110℃で20分間乾燥させた。これにより、導電性支持体の表面に膜厚2μmの中間層を形成した。
(3)電荷発生層の形成
次いで、下記の成分を下記の量で混合、分散して第2塗布液を調製した。このとき、分散機としてはサンドミルを用い、10時間の分散を行った。
チタニルフタロシアニン顔料 20質量部
ポリビニルブチラール樹脂 10質量部
酢酸t−ブチル 700質量部
4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300質量部
チタニルフタロシアニン顔料(電荷発生物質)は、Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有する。また、ポリビニルブチラール樹脂(バインダー樹脂)としては、#6000−C(電気化学工業株式会社製)を用いた。
調製した第2塗布液を中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、オーブンにおいて室温で10分間乾燥させた。これにより、中間層の表面に膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
(4)電荷輸送層の形成
次いで、下記成分を下記の量で混合、溶解して第3塗布液を調製した。
電荷輸送物質 150質量部
ポリカーボネート樹脂 300質量部
テトラヒドロフラン/トルエン=1/9体積% 2000質量部
酸化防止剤 6質量部
シリコーンオイル 1質量部
電荷輸送物質としては、下記式(RCTM)に示される(4,4’−ジメチル−4”−(β−フェニルスチリル)トリフェニルアミン)を使用した。ポリカーボネート(バインダー樹脂)としては、Z300(三菱ガス化学株式会社製)を使用した。酸化防止剤としては、Irganox1010(BASF社製;「Irganox」は同社の登録商標)を使用した。シリコーンオイルとしては、KF−54(信越化学工業株式会社製)を使用した。
調製した第3塗布液を電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、オーブンにおいて120℃で70分間乾燥させた。これにより、電荷発生層の表面に膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
(5)表面層の形成
次いで、遮光下において、重合性モノマー、金属酸化物粒子および溶媒を下記の量で混合した。このとき、分散機としてはサンドミルを用い、10時間の分散を行った。次いで、遮光下において、重合開始剤を下記の量でさらに混合し、撹拌し、溶解させることで第4塗布液を調製した。
重合性モノマー 100質量部
重合開始剤 10質量部
金属酸化物粒子 100質量部
sec−ブタノール 400質量部
メチルイソプロピルケトン 100質量部
重合性モノマーとしては、下記式(M4)に示される化合物を用いた。重合開始剤としては、イルガキュア819(Irg819;BASFジャパン株式会社製)を用いた。
金属酸化物粒子としては、数平均一次粒子径20nmの上記式(S−15)示される化合物で表面処理された酸化スズ粒子を用いた。表面処理された酸化スズ粒子は、以下の方法により得た。下記の成分を下記の分量で混合し、ジルコニアビーズとともにサンドミルに入れ約40℃で、回転速度1500rpmで撹拌した。さらに、上記処理混合物を取り出し、ヘンシェルミキサーに投入して回転速度1500rpmで15分間撹拌した後、120℃で3時間乾燥した。
酸化スズ 100質量部
表面処理剤 30質量部
トルエン 150質量部
イソプロピルアルコール 150質量部
上記の表面処理により、酸化スズ粒子の表面は、上記式(S−15)で示される表面処理剤により被覆されていることを、蛍光X線分析装置「XRF−1700(株式会社島津製作所製)」にてSiのピークを検出することにより確認した。なお、酸化スズは、CIKナノテック株式会社製の酸化スズ(数平均一次粒子径:20nm、体積抵抗率:1.05×105Ω・cm)を使用した。
調製した第4塗布液を電荷輸送層の表面に浸漬塗布法で塗布し、室温で20分間自然乾燥させることで、ワークを作製した。
次いで、ワークを軸方向に搬送しつつ、赤外光および紫外光をこの順に照射することにより表面層を形成した。これにより、赤外光は、紫外光を照射する前にワーク表面に照射される。赤外光および紫外光の照射条件を以下に示す。なお、赤外光および紫外光の波長範囲は、ロングパスフィルターおよびショートパスフィルターを使用して調整した。
ワークと光照射装置の光出射窓との距離:100mm
ワークの搬送速度:20mm/秒
赤外光の光源、出力:ハロゲンランプ、5kW
赤外光の波長:2500〜5000nm
赤外光の照射時間:5秒
ワーク表面における赤外光の照射エネルギー:4J/cm2
紫外光の光源、出力:キセノンランプ、4kW
紫外光の波長:250〜400nm
紫外光の照射時間:2秒
ワーク表面における紫外光の照射エネルギー:3J/cm2
赤外光の照射と、紫外光の照射との間隔:30秒
(感光体2の作製)
表面層に金属酸化物粒子ではなく電荷輸送物質を混合し、かつ赤外光の波長領域を1000〜2500nmに変更したこと以外は、感光体1と同様にして感光体2を作製した。
電荷輸送物質としては、上記式(RCTM)に示される(4,4’−ジメチル−4”−(β−フェニルスチリル)トリフェニルアミン)を使用した。第4塗布液の調製時には、重合性モノマー100質量部に対して20質量部の電荷輸送物質をさらに混合した。
(感光体3の作製)
重合開始剤としてイルガキュア184(Irg184;BASFジャパン株式会社製)を使用したこと以外は、感光体1と同様にして感光体3を作製した。
(感光体4の作製)
重合性モノマーとして下記式(M1)に示される化合物を使用し、かつ赤外光の波長領域を1000〜2500nmに変更したこと以外は、感光体1と同様にして感光体4を作製した。
(感光体5の作製)
重合性モノマーとして上記式(M1)に示される化合物を使用し、表面層に金属酸化物微粒子を含有し、かつ電荷輸送物質として下記式(CTM−10)に示される化合物を使用したこと以外は、感光体2と同様にして感光体5を作製した。第4塗布液の調製時には、100質量部の金属酸化物微粒子をさらに混合した。金属酸化物粒子としては、感光体1の作製時に使用したものと同様の酸化スズ粒子を用いた。
(感光体6の作製)
金属酸化物粒子として上記式(S−15)示される化合物で表面処理されたCuAlO2粒子を使用したこと以外は、感光体4と同様にして感光体6を作製した。
金属酸化物粒子としては、数平均一次粒子径20nmの上記式(S−15)示される化合物で表面処理された銅アルミニウム酸化物(CuAlO2)粒子を用いた。表面処理された銅アルミニウム酸化物粒子は、以下の方法により得られた。下記の成分を下記の分量で混合し、直径0.5mmのアルミナビーズとともにサンドミルに入れ約30℃で、6時間混合した。その後、メチルエチルケトンとアルミナビーズを濾過し、60℃で乾燥した。
銅アルミニウム酸化物 100質量部
表面処理剤 10質量部
メチルエチルケトン 1000質量部
上記の表面処理により、銅アルミニウム酸化物粒子の表面は、上記化学式(S−15)で示される表面処理剤により被覆されていることを、蛍光X線分析装置「XRF−1700(株式会社島津製作所製)」にてSiのピークを検出することにより確認した。なお、銅アルミニウム酸化物の数平均一次粒子径は20nmであり、体積抵抗率は1×107Ω・cm)である。
(感光体7の作製)
赤外光を照射しなかったこと以外は、感光体1と同様にして感光体7を作製した。
(感光体8の作製)
紫外光を照射する前に、自然乾燥および赤外光の照射の代わりに熱乾燥をしたこと以外は、感光体1と同様にして感光体7を作製した。熱乾燥は、オーブンにおいて120℃で20分間行った。
(感光体9の作製)
赤外光の波長領域を1000〜2500nmに変更し、赤外光の照射と紫外線の照射とを同時に行ったこと以外は、感光体1と同様にして感光体9を作製した。
(感光体10の作製)
赤外光の波長領域を1000〜2500nmに変更し、紫外線を照射した後に赤外光を照射したこと以外は、感光体1と同様にして感光体10を作製した。
各感光体について、区分、感光体No.、重合性モノマーの種類および反応基、重合開始剤の種類、金属酸化物粒子の種類、電荷輸送物質の種類、赤外光の照射タイミング、赤外光の波長範囲、ならびに熱乾燥のタイミングを表1に示す。
2.感光体の評価
各感光体について、繰り返し帯電性の評価を行った。具体的には、各感光体を画像形成装置「Bizuhub C554(コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社製)」の改造機に搭載し、高温高湿環境下(温度30℃、湿度80%)で帯電および露光を3万回繰り返し行った。このとき、繰り返し帯電性の評価は、帯電時のグリッド電圧(Vg)は700V、露光量は0.4μJ/cm2、帯電と露光の間隔を0.4秒にそれぞれ調整し、繰り返し前(初期)および3万回の繰り返し後における、感光体の未露光部分の表面電位(VH)と、露光部分の表面電位(VL)とを測定し、繰り返し帯電性の評価を行う前と、行った後の差(|ΔVH|、|ΔVL|)をそれぞれ求めた。そして、以下の基準により、各感光体を評価した。感光体について、|ΔVH|は30未満であれば、実用上問題なく、|ΔVL|は40V未満であれば実用上問題ない。
(|ΔVH|の評価基準)
◎:15V未満
○:15V以上かつ30V未満
△:30V以上かつ40V未満
×:40V以上
(|ΔVL|の評価基準)
◎:20V未満
○:20V以上かつ40V未満
△:40V以上かつ60V未満
×:60V以上
なお、画像形成装置の改造機とは、上記画像形成装置から現像機構、転写機構、クリーニング機構および除電機構を取り外し、繰り返し帯電性の評価を行えるようにした装置をいう。
各感光体について、区分、感光体No.、繰り返し帯電性の評価結果を表2に示す。
表2に示されるように、比較例1〜4に係る感光体7〜10については、繰り返し帯電性の低下を十分に抑制することができなかった。比較例1に係る感光体7については、表面層を形成するときに、赤外光を照射していないためであると考えられる。また、比較例2に係る感光体8については、表面層を形成するときに、紫外光の照射前に加熱を行ったが、赤外光を照射していないためであると考えられる。また、比較例3に係る感光体9については、表面層を形成するときに、赤外光と紫外光を同時に行ったためであると考えられる。さらに、比較例4に係る感光体10については、表面層を形成するときに、紫外光を照射した後に赤外光を照射したためであると考えられる。
これに対して、実施例1〜4に係る感光体2、4〜6については、繰り返し帯電性の低下を十分に抑制できることがわかる。
実施例1〜4と比較例1〜4との比較から、表面層を形成するときに、紫外光を照射する前に赤外光の照射を行うことで、繰り返し帯電性の低下が抑制される感光体を製造できることがわかった。また、実施例1〜4と比較例2との比較から、繰り返し帯電性の向上は、赤外光を照射することで発生する熱に因るものではないことがわかる。