JP2018077300A - 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法及び電子写真用カートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法及び電子写真用カートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、電子写真感光体の耐摩耗性を確保し、初期の減耗速度を低下して、初期と耐久後とにおける減耗速度の均一化を達成することができ、また、クリーニングブレード減耗を低減して、耐刷が進んだ際のクリーニング性低下を抑制でき、電子写真用カートリッジを長寿命化することができる電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法及び電子写真用カートリッジを提供することである。【解決手段】本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、中間層、感光層及び表面保護層の順に積層された電子写真感光体であって、前記表面保護層が、少なくともフッ素化重合開始剤と、重合性官能基を有するモノマーと、を含有する組成物を硬化した層であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法及び電子写真用カートリッジに関し、特に、電子写真感光体の耐摩耗性を確保し、初期の減耗速度を低下して、初期と耐久後とにおける減耗速度の均一化を達成することができ、また、クリーニングブレード減耗を低減して、耐刷におけるクリーニング性低下を抑制することができる電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法及び電子写真用カートリッジに関する。
感光体には高い耐久性と解像度とが求められている。感光体寿命の決定要素の一つは減耗であり、長寿命化の阻害要因となっている。この解決手段として、感光体の表面保護層を硬化させることなどにより強度を高めることが有効である。しかし、表面を光や熱で硬化させた表面保護層は動摩擦係数が大きくなり、残留トナーを除去する手段であるクリーニングブレードとの摺擦によるトルクやストレスが大きく、感光体の減耗が促進したり、クリーニングブレードが減耗したりする問題があった。これらにより耐久時のクリーニング不良を引き起こし、カートリッジを交換することを余儀なくされていた。
さらに、光硬化した表面保護層は、表面近傍と内部とを使用する際に減耗速度が異なり、表面近傍では内部に比較して減耗速度が大きい。これは、初期と耐久後とで減耗速度が異なることとなり、クリーニング性に影響を与え、特に耐久後ではクリーニング不良が発生しやすくなっていた。
これらの解決手段として、感光体に固体潤滑剤を内在させる技術や、モノマーにフッ素原子を含有させたものを硬化させる技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
しかしながら、固体潤滑剤を内在させることによる対応は、固体潤滑剤を感光体内に均一分散させることが難しく、感光体表面を層厚偏差なく均一な状態が得られないことが多い。このため、感光体を均一な表面状態に塗布することが難しく塗布ムラを発生し、良好な画像が得られないことがあった。さらには、感光体の電位的な損失が生じ、特に耐久を通じての高画質化に対する要求に応えるには不十分であった。
また、フッ素原子を含有させたモノマーを硬化させることによる対応では、フッ素含有モノマーの反応性が劣り、硬化反応を阻害する方向に動くことで膜の硬度が十分に得られない。このため、減耗が大きく、特に近接帯電や接触帯電では、C−C結合やC−F結合の切断により減耗進行が生じてしまう。
特開2011−128546号公報 特開2003−66641号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、電子写真感光体の耐摩耗性を確保し、初期の減耗速度を低下して、初期と耐久後とにおける減耗速度の均一化を達成することができ、また、クリーニングブレード減耗を低減して、耐刷が進んだ際のクリーニング性低下を抑制でき、電子写真用カートリッジを長寿命化することができる電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法及び電子写真用カートリッジを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、表面保護層に、少なくともフッ素化重合開始剤と、重合性官能基を有するモノマーと、を含有する組成物を硬化した層とすることによって、電子写真感光体の耐摩耗性を確保し、初期の減耗速度を低下して、初期と耐久後とにおける減耗速度の均一化を達成することができ、また、クリーニングブレード減耗を低減して、耐刷が進んだ際のクリーニング性低下を抑制でき、電子写真用カートリッジを長寿命化することができることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.導電性支持体上に、中間層、感光層及び表面保護層の順に積層された電子写真感光体であって、
前記表面保護層が、少なくともフッ素化重合開始剤と、重合性官能基を有するモノマーと、を含有する組成物を硬化した層であることを特徴とする電子写真感光体。
2.前記組成物が、さらに反応性に改質した金属酸化物粒子を含有することを特徴とする第1項に記載の電子写真感光体。
3.前記フッ素化重合開始剤が、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の電子写真感光体。
Figure 2018077300
[一般式(1)において、
Zは、無置換あるいは置換されたフェニル基、無置換のナフチル基、フルオロアルキル基、又は、Ra−Y−、Ra−Y−(CH)r−、Ra−(CH)r−Y、Ra−Y−(CH)s−O−、Ra−Y−(CH)s−S−及びRa−Y−(CH)s−NR−からなる群より選択される置換基、−CY、アルキル基、置換アルキル基、置換フルオロアルキル基、アリール基、置換アリール基、又は置換アルケニル基を表す。
Xは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又は、Ra−Y−、Ra−Y−(CH)r−、Ra−(CH)r−Y、Ra−Y−(CH)s−O−、Ra−Y−(CH)s−S−、及び、Ra−Y−(CH)s−NR−からなる群より選択される置換基、−CY、アルキル基、置換アルキル基、置換フルオロアルキル基、アリール基、置換アリール基、又は、置換アルケニル基を表す。
ここで、Raは、直鎖状又は分岐鎖状の末端鎖:Z1CF(−O−C)p−(CF)q−(ここで、Z1は、水素原子又はフッ素原子を表し、p及びqのうち一方は、0〜20の整数を表し、他方は1〜20の整数を表す。)を表す。
rは、1〜10の整数を表す。sは、2〜10の整数を表す。
Yは、互いに独立して、−O−、−S−、−O−C(=O)−、及び、−O−Si(R−(CH)rからなる群より選択される二価の置換基を表す。Rは、炭素数1〜12のアルキル基又はフェニル基を表す。
4.第1項から第3項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法であって、
少なくともフッ素化重合開始剤と、重合性官能基を有するモノマーと、を含有する組成物を硬化した前記表面保護層を形成する工程を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
5.少なくとも、電子写真感光体、近接帯電手段、及びクリーニング手段を有する電子写真用カートリッジであって、
前記電子写真感光体が、第1項から第3項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真用カートリッジ。
6.前記クリーニング手段で用いられるクリーニングブレードにおける前記電子写真感光体との当接部のJIS−A硬度が、70〜80°の範囲内であることを特徴とする第5項に記載の電子写真用カートリッジ。
7.前記近接帯電手段で用いられる帯電部材が、前記電子写真感光体と接触することを特徴とする第5項又は第6項に記載の電子写真用カートリッジ。
本発明の上記手段により、電子写真感光体の耐摩耗性を確保し、初期の減耗速度を低下して、初期と耐久後とにおける減耗速度の均一化を達成することができ、また、クリーニングブレード減耗を低減して、耐刷が進んだ際のクリーニング性低下を抑制でき、電子写真用カートリッジを長寿命化することができる電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法及び電子写真用カートリッジを提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明では、フッ素化重合開始剤及び重合性官能基を有するモノマーを硬化して得られる樹脂を用いることで、電子写真感光体の耐摩耗性とクリーニングブレードの耐摩耗性とを両立させることが可能となった。
帯電プロセス付近で形成される放電生成物によって、電子写真感光体の表面の表面自由エネルギーなどの活性度が変化する。そのために、トナーやトナー外添剤、紙粉、場合によって中間転写体のバインダー樹脂などの電子写真感光体の付近に存在する物質が表面に付着しやすくなり、電子写真感光体の表面とクリーニングブレードとの間の摩擦力が変化すると考えられる。この回転トルクの上昇により、電子写真感光体がスムーズに回転しなくなり、電子写真感光体表面、クリーニングブレードのどちらかが、又は両方が減耗する。
一方、電子写真感光体の表面保護層を光や熱などで硬化するためにラジカル重合反応を使用すると、表面近傍では反応の進行を酸素が阻害するため、層内部と比較して表面の反応率が上がりにくい。このため、表面近傍を使用する初期段階においては、減耗速度が大きくなりがちであった。
これらに対し、電子写真感光体においてC−F結合を有する化合物を使用することで摩擦を低くでき、減耗に有利であることは既知のことであった。フッ素原子はその高い電気陰性度と、ハロゲン元素の中での最も小さい原子半径から、C−F結合の極性は大きいが、結合距離が短いために分極率が低くなり、分子間力が弱くなる。このため、表面自由エネルギーは小さくなることによると考えられている。
一方で、表面保護層内にF原子を有する化合物を導入する際には、電子写真感光体の表面保護層を設置する際の塗布均一性や、硬化する際の層内の均一分散性を高める必要があった。従来技術で適用の多いポリテトラフルオロエチレン(略称:PTFE)に代表されるフッ素樹脂粒子においては、塗布均一性を確保することが難しく、低表面自由エネルギーとすることは可能であっても、電子写真感光体として画像均一性を得ることが十分できていない。特に、重合性官能基を有するモノマーと、反応性に改質した金属酸化物微粒子を有する系では、この傾向が顕著である。一方で、モノマー構造にフッ素を含有させた場合には、反応を阻害してしまう。重合性官能基を有するモノマーの系において、硬化反応を阻害せず、フッ素を均一に膜中に分散させつつ、なおかつ、表面近傍の酸素阻害を受けずに初期の減耗速度を低下させるには、鋭意検討の結果、発明者らは重合開始剤をフッ素化し、反応に供することであることを見出した。
この理由については定かではないが、C−F結合を有する重合開始剤は、その分子サイズから塗布液中に均一に分散でき、塗布均一性は良好である。重合開始剤が、光を吸収し反応すると開裂し、C−F結合を有する部位の一部は表面保護層の界面付近まで移動する。これにより、膜表面近傍のC−F結合量が内部に比較して増えることで、初期の減耗速度を低下させることができる。一方で、硬化反応は十分に進行するため、耐久を通じて減耗速度は低下させることができ、クリーニングブレードに与えるストレスも軽減でき好適である。
本発明の電子写真感光体の一例としての概略構成を示す断面図 本発明の電子写真感光体が備えられる画像形成装置の一例としての概略構成を示す模式図
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、中間層、感光層及び表面保護層の順に積層された電子写真感光体であって、前記表面保護層が、少なくともフッ素化重合開始剤と、重合性官能基を有するモノマーと、を含有する組成物を硬化した層であることを特徴とする。この特徴は、各請求項に係る発明に共通又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記組成物が、さらに反応性に改質した金属酸化物粒子を含有することが、耐摩耗性を向上させることができる点で好ましい。
前記フッ素化重合開始剤が、上記一般式(1)で表される構造を有することが、重合反応の反応率を高める点や、酸素による硬化阻害を受けづらい点、モノマーとの相溶性の点で好ましい。
本発明の電子写真感光体の製造方法は、導電性支持体上に、中間層、感光層及び表面保護層の順に積層された電子写真感光体の製造方法であって、少なくともフッ素化重合開始剤と、重合性官能基を有するモノマーと、を含有する組成物を硬化した前記表面保護層を形成する工程を有することを特徴とする。これにより、電子写真感光体の耐摩耗性を確保し、初期の減耗速度を低下して、初期と耐久後とにおける減耗速度の均一化を達成することができる。また、クリーニングブレード減耗を低減して、耐刷が進んだ際のクリーニング性低下を抑制でき、電子写真用カートリッジを長寿命化することができる。
本発明の電子写真感光体は、少なくとも近接帯電手段及びクリーニング手段を有する電子写真用カートリッジに好適に適用できる。
本発明の電子写真用カートリッジは、前記クリーニング手段で用いられるクリーニングブレードにおける前記電子写真感光体との当接部のJIS−A硬度が、70〜80°の範囲内であることが、クリーニングブレードの減耗を防止でき、また、クリーニングブレードのチッピング(ブレード稜線の欠け)の発生を防止することができる点で好ましい。
前記近接帯電手段で用いられる帯電部材が、前記電子写真感光体と接触することが、感光体の帯電均一性の点で好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[電子写真感光体]
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、中間層、感光層及び表面保護層の順に積層された電子写真感光体であって、前記表面保護層が、少なくともフッ素化重合開始剤と、重合性官能基を有するモノマーと、を含有する組成物を硬化した層であることを特徴とする。
感光層は、光を吸収して電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能の両方を有し、感光層の層構成としては、電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する単層構造であってもよく、また、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層との積層構造であってもよい。また、必要に応じて導電性支持体と感光層の間に中間層を設けてもよい。感光層は、その層構成を特に制限するものではなく、表面保護層を含めた具体的な層構成として、例えば以下に示すものがある。
(1)導電性支持体上に、電荷発生層と電荷輸送層とからなる感光層及び表面保護層が順次積層された層構成
(2)導電性支持体上に、電荷輸送物質と電荷発生物質とが含有された単層の感光層及び表面保護層が順次積層された層構成
(3)導電性支持体上に、中間層、電荷発生層と電荷輸送層とからなる感光層及び表面保護層が順次積層された層構成
(4)導電性支持体上に、中間層、電荷輸送物質と電荷発生物質とが含有された単層の感光層及び表面保護層が順次積層された層構成
本発明の電子写真感光体は、上記(1)〜(4)のいずれの層構成のものでもよく、これらの中でも、上記(3)の層構成のものが特に好ましい。
図1は、本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す断面図である。
図1に示すとおり、本発明の電子写真感光体10は、導電性支持体1上に、中間層2、感光層3、及び表面保護層4が順次積層されて構成されている。
感光層3は、電荷発生層3a及び電荷輸送層3bから構成されている。
表面保護層4には、金属酸化物粒子PSが含有されている。
なお、本発明の電子写真感光体は、有機感光体であり、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能が有機化合物によって発現される電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能とを高分子錯体で構成した感光体などを含むものとする。
<表面保護層>
本発明に係る表面保護層は、少なくともフッ素化重合開始剤と、重合性官能基を有するモノマー(バインダー樹脂)と、を含有する組成物を硬化した層であることを特徴とする。また、本発明に係る表面保護層は、反応性に改質した金属酸化物粒子を含有してもよい。また、必要に応じて、電荷輸送物質、滑剤粒子や各種の酸化防止剤などを含有してもよい。表面保護層を構成する材料について順次説明する。
《フッ素化重合開始剤》
本発明に係るフッ素化重合開始剤は、下記一般式(1)で表される構造を有することが好ましい。
Figure 2018077300
一般式(1)において、Zは、無置換あるいは置換されたフェニル基、無置換のナフチル基、フルオロアルキル基、又は、Ra−Y−、Ra−Y−(CH)r−、Ra−(CH)r−Y、Ra−Y−(CH)s−O−、Ra−Y−(CH)s−S−及びRa−Y−(CH)s−NR−からなる群より選択される置換基、−CY、アルキル基、置換アルキル基、置換フルオロアルキル基、アリール基、置換アリール基、又は置換アルケニル基を表す。
Xは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又は、Ra−Y−、Ra−Y−(CH)r−、Ra−(CH)r−Y、Ra−Y−(CH)s−O−、Ra−Y−(CH)s−S−、及び、Ra−Y−(CH)s−NR−からなる群より選択される置換基、−CY、アルキル基、置換アルキル基、置換フルオロアルキル基、アリール基、置換アリール基、又は、置換アルケニル基を表す。
ここで、Raは、直鎖状又は分岐鎖状の末端鎖:Z1CF(−O−C)p−(CF)q−(ここで、Z1は、水素原子又はフッ素原子を表し、p及びqのうち一方は、0〜20の整数を表し、他方は1〜20の整数を表す。)を表す。
rは、1〜10の整数を表す。sは、2〜10の整数を表す。
Yは、互いに独立して、−O−、−S−、−O−C(=O)−、及び、−O−Si(R−(CH)rからなる群より選択される二価の置換基を表す。Rは、炭素数1〜12のアルキル基又はフェニル基を表す。
上記一般式(1)で表される構造を有するフッ素化重合開始剤の例示化合物を以下に示す。
Figure 2018077300
また、重合開始剤としては、光重合開始剤であってもよいし、熱重合開始剤のいずれも使用することができる。
重合開始剤の添加割合は、重合性化合物100質量部に対して0.1〜20質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量部の範囲内である。
《重合性官能基を有するモノマー》
重合性官能基を有するモノマー(以下、重合性化合物ともいう)は、紫外線や電子線等の活性線照射により重合(硬化)して、ポリスチレンや、ポリアクリレート等、一般に感光体のバインダー樹脂として用いられる樹脂となるモノマーが好適である。
本発明の表面保護層を構成する重合性化合物としては、高い耐久性を維持する観点から、架橋性の重合性化合物が好ましい。
架橋性の重合性化合物としては、具体的には、2個以上のラジカル重合性官能基を有する重合性化合物(以下、「多官能ラジカル重合性化合物」ともいう。)が挙げられる。
架橋性の重合性化合物としては、多官能ラジカル重合性化合物とともに、ラジカル重合性官能基を1個有する化合物(以下、「単官能ラジカル重合性化合物」ともいう。)を併用することもできる。単官能ラジカル重合性化合物を用いる場合においては、その割合は、バインダー樹脂を形成するためのモノマー全量に対して20質量%以下が好ましい。
ラジカル重合性官能基としては、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。
多官能ラジカル重合性化合物としては、少ない光量又は短い時間での硬化が可能であることから、ラジカル重合性官能基としてアクリロイル基(CH=CHCO−)又はメタクリロイル基(CH=CCHCO−)を2個以上有するアクリル系モノマー又はこれらのオリゴマーであることが特に好ましい。したがって、樹脂としてはアクリル系モノマー又はそのオリゴマーにより形成されるアクリル系樹脂が好ましい。
本発明においては、多官能ラジカル重合性化合物は単独で用いても、混合して用いてもよい。また、これらの多官能ラジカル重合性化合物は、モノマーを用いてもよいが、オリゴマー化して用いてもよい。
以下、多官能ラジカル重合性化合物の具体例を示す。
Figure 2018077300
Figure 2018077300
ただし、上記の例示化合物M1〜M14を示す化学式において、Rはアクリロイル基(CH=CHCO−)であり、R′はメタクリロイル基(CH=CCHCO−)である。
《金属酸化物粒子》
本発明の表面保護層には、金属酸化物粒子が含有されていることが好ましい。
本発明に係る金属酸化物粒子は、遷移金属も含めた金属酸化物粒子が好ましい。例えば、シリカ(二酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン及び酸化バナジウム等の金属酸化物粒子が例示されるが、中でも、酸化スズ微粒子、酸化チタン微粒子、酸化亜鉛微粒子又はアルミナ微粒子のいずれかであることが、表面保護層の耐摩耗性を向上できるため好ましい。
上記金属酸化物粒子は、公知の方法、例えば気相法、塩素法、硫酸法、プラズマ法及び電解法等の一般的な製造法で作製されたものが好ましい。
上記金属酸化物粒子の個数平均一次粒径は、1〜300nmの範囲が好ましい。特に好ましくは3〜100nmの範囲である。
(金属酸化物粒子の粒径の測定法)
上記金属酸化物粒子の粒径(個数平均一次粒径)は、走査型電子顕微鏡(日本電子製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)を自動画像処理解析装置「ルーゼックス AP(LUZEX(登録商標)AP)」((株)ニレコ製)ソフトウエアVer.1.32を使用して、2値化処理し、それぞれ水平方向フェレ径を算出、その平均値を個数平均一次粒径として算出する。ここで水平方向フェレ径とは、金属酸化物粒子の画像を2値化処理したときの外接長方形の、x軸に平行な辺の長さをいう。
(表面修飾)
本発明において、金属酸化物粒子は、反応性に改質されていることが好ましく、すなわち、分散性の観点から反応性有機基を有する表面修飾剤で表面修飾されたものであることが好ましい。
表面修飾剤としては、表面修飾前の金属酸化物粒子の表面に存在するヒドロキシ基などと反応する表面修飾剤を用いてもよく、このような表面修飾剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。
また、本発明においては、表面保護層の硬度をさらに高める目的で、反応性有機基を有する表面修飾剤を用いることが好ましく、反応性有機基がラジカル重合性反応基であるものを用いることがより好ましい。ラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤を用いることにより、表面保護層用バインダー樹脂が重合性化合物由来の硬化樹脂である場合に、当該重合性化合物とも反応するために強固な保護膜を形成することができる。
ラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤としては、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するシランカップリング剤を用いることが好ましく、このようなラジカル重合性反応基を有する表面修飾剤としては、下記に記すような公知の化合物が例示される。
S−1:CH=CHSi(CH)(OCH
S−2:CH=CHSi(OCH
S−3:CH=CHSiCl
S−4:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−5:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−6:CH=CHCOO(CHSi(OC)(OCH
S−7:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−8:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−9:CH=CHCOO(CHSiCl
S−10:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−11:CH=CHCOO(CHSiCl
S−12:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−13:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−14:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−15:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−16:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−17:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−18:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−19:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−20:CH=CHSi(C)(OCH
S−21:CH=C(CH)Si(OCH
S−22:CH=C(CH)Si(OC
S−23:CH=CHSi(OCH
S−24:CH=C(CH)Si(CH)(OCH
S−25:CH=CHSi(CH)Cl
S−26:CH=CHCOOSi(OCH
S−27:CH=CHCOOSi(OC
S−28:CH=C(CH)COOSi(OCH
S−29:CH=C(CH)COOSi(OC
S−30:CH=C(CH)COO(CHSi(OC
S−31:CH=CHCOO(CHSi(CH(OCH
S−32:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCOCH
S−33:CH=CHCOO(CHSi(CH)(ONHCH
S−34:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OC
S−35:CH=CHCOO(CHSi(C1021)(OCH
S−36:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
表面修飾剤としては、上記S−1〜S−36以外にも、ラジカル重合反応を行うことができる反応性有機基を有するシラン化合物を用いることができる。これらの表面修飾剤は、単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
また、表面修飾剤の使用量は、特に制限されないが、修飾前の金属酸化物粒子100質量部に対して、0.1〜100質量部の範囲内であることが好ましい。
(金属酸化物粒子の表面修飾方法)
金属酸化物粒子の表面修飾は、具体的には、修飾前の金属酸化物粒子と表面修飾剤とを含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式粉砕することにより、金属酸化物粒子を微細化すると同時に粒子の表面修飾を進行させ、その後、溶媒を除去して粉体化することによって行うことができる。
スラリーは、修飾前の金属酸化物粒子100質量部に対し、表面修飾剤0.1〜200質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは7〜70質量部の範囲内である。
また、スラリーの湿式粉砕に用いる装置としては、湿式メディア分散型装置が挙げられる。
湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、さらに回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、金属酸化物粒子の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する工程を有する装置であり、その構成としては、金属酸化物粒子に表面修飾を行う際に金属酸化物粒子を十分に分散させ、かつ表面修飾できる形式であれば問題なく、例えば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式のものを用いることができる。具体的には、サンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミルなどを使用することができる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズなどの粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、剪断、ズリ応力などによって微粉砕及び分散が行われる。
湿式メディア分散型装置で用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールを用いることができるが、特にジルコニア製やジルコン製のものを用いることが好ましい。また、ビーズの大きさとしては、通常、直径1〜2mm程度のものを使用するが、本発明では0.1〜1.0mm程度のものを用いることが好ましい。
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものを使用することができるが、本発明では特にジルコニア又はシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁であることが好ましい。
《電荷輸送物質》
表面保護層に含有される電荷輸送物質としては、公知の種々の電荷輸送物質を用いることができるが、表面保護層を形成するときの硬化処理に紫外線を用いる場合は、波長450nm以下の短波長領域の光の吸収がない又は小さい電荷輸送物質を用いることが好ましい。
波長450nm以下の短波長領域の光の吸収がない又は小さい電荷輸送物質としては、下記一般式(2)で表される化合物を用いることができる。
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上記一般式(2)中、R、R、R及びRは、各々独立して、水素原子、炭素数1〜7のアルキル基又は炭素数1〜7のアルコキシ基を表す。
k、l、及びnは1〜5の整数、mは1〜4の整数を表す。k、l、m、nが2以上である場合は、複数の基は互いに同一のものであっても、異なるものであってもよい。
上記一般式(2)で表される電荷輸送物質としては、例えば以下の化合物(CTM−1〜CTM−22)を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2018077300
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《その他の添加剤》
本発明に係る表面保護層には、例えば、各種の酸化防止剤や、フッ素原子含有樹脂粒子などの各種の滑剤粒子を加えることもできる。
フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体の中から1種又は2種以上を適宜選択することが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
以下、表面保護層以外の感光体の構成につき、上記(1)の層構成、すなわち、導電性支持体上に、電荷発生層と電荷輸送層とからなる感光層及び表面保護層が順次積層された層構成である場合について説明する。
〈導電性支持体〉
本発明の電子写真感光体を構成する導電性支持体は、導電性を有するものであればよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛又はステンレスなどの金属をドラム又はシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又はバインダー樹脂とともに塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム又は紙などが挙げられる。
〈中間層〉
本発明の電子写真感光体においては、導電性支持体と感光層との間にバリアー機能と接着機能を有する中間層を設けることもできる。種々の故障防止などを考慮すると、中間層を設けることが好ましい。
このような中間層は、例えば、バインダー樹脂(以下、「中間層用バインダー樹脂」ともいう。)及び必要に応じて導電性粒子や金属酸化物粒子が含有されてなるものである。
中間層用バインダー樹脂としては、例えば、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンなどが挙げられる。これらの中でも、アルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。
中間層には、抵抗調整の目的で各種の導電性粒子や金属酸化物粒子を含有させることができる。例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマスなどの各種金属酸化物粒子を用いることができる。スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ又は酸化ジルコニウムなどの超微粒子を用いることができる。
このような金属酸化物粒子の数平均一次粒径は、0.3μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以下である。
これら金属酸化物粒子は、1種単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合した場合には、固溶体又は融着の形をとってもよい。
導電性粒子又は金属酸化物粒子の含有割合は、中間層用バインダー樹脂100質量部に対して20〜400質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50〜350質量部の範囲内である。
中間層の厚さは、0.1〜15μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.3〜10μmの範囲内である。
〈電荷発生層〉
本発明に係る感光層における電荷発生層は、電荷発生物質及びバインダー樹脂(以下、「電荷発生層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
電荷発生物質としては、例えば、スーダンレッド、ダイアンブルーなどのアゾ原料、ピレンキノン、アントアントロンなどのキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ又はチオインジゴなどのインジゴ顔料、ピランスロン、ジフタロイルピレンなどの多環キノン顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、多環キノン顔料、チタニルフタロシアニン顔料が好ましい。
これらの電荷発生物質は、1種単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。
電荷発生層用バインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、又はこれらの樹脂のうち二つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)、ポリ−ビニルカルバゾール樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有割合は、電荷発生層用バインダー樹脂100質量部に対して1〜600質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50〜500質量部の範囲内である。
電荷発生層の厚さは、電荷発生物質の特性、電荷発生層用バインダー樹脂の特性、含有割合などにより異なるが、0.01〜5μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.05〜3μmの範囲内である。
〈電荷輸送層〉
本発明に係る感光層における電荷輸送層は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂(以下、「電荷輸送層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
電荷輸送層の電荷輸送物質としては、電荷を輸送する物質として、例えば、トリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物などが挙げられる。
電荷輸送層用バインダー樹脂は、公知の樹脂を用いることができ、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂などが挙げられるが、ポリカーボネート樹脂が好ましい。さらにはBPA(ビスフェノールA)型、BPZ(ビスフェノールZ)型、ジメチルBPA型、BPA−ジメチルBPA共重合体型のポリカーボネート樹脂などが耐クラック、耐磨耗性、帯電特性の点で好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有割合は、電荷輸送層用バインダー樹脂100質量部に対して10〜500質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは20〜250質量部の範囲内である。
電荷輸送層の厚さは、電荷輸送物質の特性、電荷輸送層用バインダー樹脂の特性及び含有割合などによって異なるが、5〜40μmの範囲内であることが好ましく、よりに好ましくは10〜30μmの範囲内である。
電荷輸送層中には、酸化防止剤、電子導電剤、安定剤、シリコーンオイルなどを添加してもよい。酸化防止剤については特開2000−305291号公報、電子導電剤は特開昭50−137543号公報、同58−76483号公報などに開示されているものが好ましい。
[電子写真感光体の製造方法]
本発明の電子写真感光体の製造方法は、導電性支持体上に、中間層、感光層及び表面保護層の順に積層された電子写真感光体の製造方法であって、少なくともフッ素化重合開始剤と、重合性官能基を有するモノマーと、を含有する組成物を硬化した前記表面保護層を形成する工程を有することを特徴とする。
本発明の電子写真感光体の製造方法としては、例えば、下記工程を経ることにより製造することができる。
工程(1):導電性支持体の外周面に中間層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより、中間層を形成する工程
工程(2):導電性支持体上に形成された中間層の外周面に電荷発生層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷発生層を形成する工程
工程(3):中間層上に形成された電荷発生層の外周面に電荷輸送層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷輸送層を形成する工程
工程(4):電荷発生層上に形成された電荷輸送層の外周面に、表面保護層形成用の塗布液を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を硬化処理することにより、表面保護層を形成する工程
以下、各工程について説明する。
(工程(1):中間層の形成)
中間層は、溶媒中に中間層用バインダー樹脂を溶解させて塗布液(以下、「中間層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、必要に応じて導電性粒子や金属酸化物粒子を分散させた後、当該塗布液を導電性支持体上に一定の層厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
中間層形成用塗布液中に導電性粒子や金属酸化物粒子を分散する手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサーなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
中間層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、層厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
中間層の形成工程において使用する溶媒としては、導電性粒子や金属酸化物粒子を良好に分散し、中間層用バインダー樹脂を溶解するものであればよい。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノールなどの炭素数1〜4のアルコール類が、バインダー樹脂の溶解性と塗布性能とに優れていることから好ましい。また、保存性、粒子の分散性を向上するために、上記溶媒と併用でき、好ましい効果を得られる助溶媒としては、ベンジルアルコール、トルエン、ジクロロメタン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
中間層形成用塗布液中の中間層用バインダー樹脂の濃度は、中間層の厚さや生産速度に合わせて適宜選択される。
(工程(2):電荷発生層の形成)
電荷発生層は、溶媒中に電荷発生層用バインダー樹脂を溶解させた溶液中に、電荷発生物質を分散して塗布液(以下、「電荷発生層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を中間層上に一定の層厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷発生層形成用塗布液中に電荷発生物質を分散する手段としては、例えば、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサーなどが使用できるが、これらに限定されるものではない。
電荷発生層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、層厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷発生層の形成に用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸t−ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(工程(3):電荷輸送層の形成)
電荷輸送層は、溶媒中に電荷輸送層用バインダー樹脂及び電荷輸送物質を溶解させた塗布液(以下、「電荷輸送層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を電荷発生層上に一定の層厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、層厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷輸送層の形成に用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(工程(4):表面保護層の形成)
本発明の表面保護層は、少なくともフッ素化重合開始剤と、重合性官能基を有するモノマー(重合性化合物)とを含有する組成物を硬化して形成する。
具体的には、例えば、ラジカル重合性化合物、フッ素化重合開始剤、必要に応じて金属酸化物粒子、電荷輸送剤及び他の成分を公知の溶媒に添加して塗布液(以下、「表面保護層形成用塗布液」ともいう。)を調製する。そして、この表面保護層形成用塗布液を工程(3)により形成された電荷輸送層の外周面に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を乾燥し、紫外線や電子線などの活性線を照射することによって塗膜中のラジカル重合性化合物を硬化処理することにより表面保護層を形成することができる。
表面保護層の硬化処理においては、塗膜中のラジカル重合性化合物に活性線を照射してラジカルを発生させて重合反応し、かつ、分子間及び分子内で架橋反応による架橋結合を形成して硬化させることにより、当該ラジカル重合性化合物が架橋型硬化性樹脂として形成されることが好ましい。
また、表面保護層の硬化処理においては、塗膜を加熱することによって塗膜中のバインダー樹脂を形成するための成分を硬化させることにより、当該成分を熱硬化性樹脂として形成することもできる。
表面保護層形成用塗布液においては、金属酸化物粒子は、バインダー樹脂(ラジカル重合性化合物)を形成するための全モノマー100体積部に対して5〜60体積部の範囲内で含有されることが好ましく、より好ましくは10〜60体積部の範囲内である。
また、電荷輸送剤は、バインダー樹脂(ラジカル重合性化合物)を形成するための全モノマー100体積部に対して5〜75体積部の範囲内で含有されることが好ましく、より好ましくは5〜50体積部の範囲内である。
表面保護層形成用塗布液中に金属酸化物粒子及び電荷輸送剤を分散する手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサーなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
表面保護層の形成に用いられる溶媒としては、バインダー樹脂(ラジカル重合性化合物)を形成するためのモノマー、金属酸化物粒子、電荷輸送剤等を溶解又は分散させることができればいずれのものも使用でき、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面保護層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられる。
塗膜は、乾燥しないで硬化処理を行ってもよいが、自然乾燥又は熱乾燥を行った後、硬化処理を行うことが好ましい。
乾燥の条件は、溶媒の種類、層厚などによって適宜選択できる。乾燥温度は、好ましくは室温(25℃)〜180℃の範囲内であり、特に好ましくは80〜140℃の範囲内である。乾燥時間は、好ましくは1〜200分間であり、特に好ましくは5〜100分間である。
重合性化合物に照射する活性線としては、紫外線や電子線がより好ましく、紫外線が使用しやすく特に好ましい。
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノンなどを用いることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cmの範囲内、好ましくは5〜100mJ/cmの範囲内である。
ランプの電力は、好ましくは0.1〜5kWの範囲内であり、特に好ましくは、0.5〜3kWの範囲内である。
電子線源としては、電子線照射装置に格別の制限はなく、一般にはこのような電子線照射用の電子線加速機として、比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式のものが有効に用いられる。
電子線照射の際の加速電圧は、100〜300kVの範囲内であることが好ましい。
吸収線量は、0.5〜10Mradの範囲内であることが好ましい。
必要な活性線の照射量を得るための照射時間としては、0.1秒間〜10分間が好ましく、作業効率の観点から0.1秒間〜5分間がより好ましい。
表面保護層の形成の工程においては、活性線を照射する前後、及び活性線を照射中に乾燥を行うことができ、乾燥を行うタイミングはこれらを組み合わせて適宜選択できる。
[画像形成装置]
本発明に用いられる電子写真画像形成装置は、本発明の感光体を使用した画像形成装置であって、少なくとも、感光体の表面を帯電させる帯電手段と、感光体の表面に静電潜像を形成する露光手段、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を転写材に転写する転写手段と、を有する。さらに、転写材に転写されたトナー像を定着させる定着手段と、感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段とを備えてなるものが挙げられる。
図2は、本発明の電子写真感光体が備えられる画像形成装置の一例における構成を示す説明用断面図である。
この画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙手段21と、定着手段24とからなる。画像形成装置100の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、ドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写手段としての一次転写ローラー5Y、クリーニング手段6Yを有する。
マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、ドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラー5M、クリーニング手段6Mを有する。
シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、ドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラー5C、クリーニング手段6Cを有する。
黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、ドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラー5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
画像形成装置100は、感光体1Y、1M、1C及び1Bkの少なくとも一つとして、上記した本発明の電子写真感光体を用いる。
4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Bkは、感光体1Y、1M、1C及び1Bkを中心に、帯電手段2Y、2M、2C及び2Bkと、露光手段3Y、3M、3C及び3Bkと、回転する現像手段4Y、4M、4C及び4Bk、並びに感光体1Y、1M、1C及び1Bkをクリーニングするクリーニング手段6Y、6M、6C及び6Bkより構成されている。
画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Bkは、感光体1Y、1M、1C及び1Bkにそれぞれ形成するトナー画像の色が異なるだけで、同じ構成であり、以下画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体1Yの周囲に、帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y及びクリーニング手段6Yを配置し、感光体1Y上にイエロー(Y)のトナー画像を形成するものである。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y及びクリーニング手段6Yを一体化するように設けている。
帯電手段2Yは、感光体1Yに対して一様な電位を与える手段であり、公知の手段を用いることができる。具体的には、画像形成装置の小型化を図ることも容易であるなどの理由から、近年注目されている近接帯電方式の帯電手段が好ましい。
近接帯電方式とは、感光体の表面近傍の微小な空隙で発生する近接放電を利用した帯電方式を指す。近接帯電方式には、具体的には、接触帯電ローラー方式、非接触帯電ローラー方式、ブラシ帯電方式などが含まれる。これらの中では、感光体と当接する接触帯電ローラーが用いられることが好ましい。この接触帯電ローラーは遮蔽部材の機能を兼ねることができるため、新たな部材として遮蔽部材を使用しなくても良いことから好ましい。さらに、近接帯電方式の帯電手段はオゾンや窒素酸化物の発生量を大幅に少なくすることができるため、画像流れの抑制にも効果を見込めることから好ましい。
露光手段3Yは、帯電手段2Yによって一様な電位を与えられた感光体1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段3Yとしては、感光体1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子とから構成されるもの、又は、レーザー光学系などが用いられる。
現像手段4Yは、例えばマグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ、及び当該現像スリーブと感光体との間に直流及び/又は交流バイアス電圧を印加する電圧印加装置よりなるものである。
定着手段24は、例えば、内部に加熱源を備えた加熱ローラーと、この加熱ローラーに定着ニップ部が形成されるよう圧接された状態で設けられた加圧ローラーとにより構成されてなる熱ローラー定着方式のものが挙げられる。
クリーニング手段6Yは、クリーニングブレードと、このクリーニングブレードより上流側に設けられたブラシローラーとにより構成される。
画像形成装置100としては、感光体と、現像手段、クリーニング手段などの構成要素をプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)として一体に結合して構成し、この画像形成ユニットを装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。また、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段の少なくとも一つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)を形成し、装置本体に着脱自在の単一画像形成ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としてもよい。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラーにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Bkより形成された各色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラー5Y、5M、5C及び5Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材(定着された最終画像を担持する画像支持体:例えば普通紙、透明シートなど)Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D、及びレジストローラー23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラー5bに搬送され、転写材P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された転写材Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラー25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。ここで、中間転写体や転写材などの感光体上に形成されたトナー画像の転写支持体を総称して転写媒体という。
一方、二次転写手段としての二次転写ローラー5bにより転写材Pにカラー画像を転写した後、転写材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6bにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、一次転写ローラー5Bkは常時、感光体1Bkに当接している。他の一次転写ローラー5Y、5M及び5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M及び1Cに当接する。
二次転写ローラー5bは、ここを転写材Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に当接する。
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C及び10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とからなる。
画像形成部10Y、10M、10C及び10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C及び1Bkの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラー71、72、73及び74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、一次転写ローラー5Y、5M、5C及び5Bk、並びにクリーニング手段6bとからなる。
なお、図2に示す画像形成装置100では、カラーのレーザープリンターを示したが、モノクロのレーザープリンターやコピーにも同様に適用可能である。また、露光光源もレーザー以外の光源、例えばLED光源を用いてもよい。
以上のような画像形成装置において使用されるトナーとしては、特に限定されないが、真球を100とする形状係数SFが140未満のトナーが好ましい。この形状係数SFが140未満であれば、良好な転写性等が得られ、得られる画像の画質が向上する。トナーを構成するトナー粒子は、高画質化を企図する観点からすれば、その体積平均粒径が2〜8μmの範囲内であることが好ましい。
トナー粒子は、通常、結着樹脂及び着色剤が含有され、所望により離型剤が含有される。この結着樹脂、着色剤及び離型剤はいずれも、従来トナーに用いられている材料を用いることができ、特に制限されない。
上記のトナー粒子を製造する方法としては、特に制約されないが、例えば、通常の粉砕法や、分散媒中で作製する湿式溶融球形化法や、懸濁重合、分散重合、乳化重合凝集法等の既知の重合法などが挙げられる。
また、上記トナー粒子に、外添剤として、平均粒径10〜300nm程度のシリカ、チタニア等の無機微粒子、0.2〜3μm程度の研磨材を適宜量外添することができる。また、上記トナー粒子と、平均粒径25〜45μmの範囲内のフェライトビーズ等からなるキャリアを混合して2成分現像剤として用いることができる。
[電子写真用カートリッジ]
本発明の電子写真用カートリッジは、少なくとも、本発明の電子写真感光体、近接帯電手段、及びクリーニング手段を有することを特徴とする。
すなわち、本発明の電子写真用カートリッジは、本発明の電子写真感光体と、上述の電子写真画像形成装置の近接帯電手段及びクリーニング手段を一体として構成し、この電子写真用カートリッジを電子写真画像形成装置本体に対して出し入れ可能(着脱自在)に構成することが好ましい。
また、本発明の電子写真用カートリッジは、本発明の電子写真感光体と、上述の近接帯電手段及びクリーニング手段の他、露光手段、現像手段、転写手段、分離手段の少なくとも一つを感光体とともに一体として構成し、電子写真画像形成装置本体に着脱自在の画像形成ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
また、前記クリーニング手段で用いられるクリーニングブレードにおける感光体との当接部のJIS−A硬度が、70〜80°の範囲内であることが好ましい。
クリーニングブレードのJIS−A硬度は、JIS K6253に規定される硬さ試験法に準拠して、タイプAデュロメータを用いて温度25℃で測定される値をいう。
クリーニングブレードの材料としては、例えば、ポリウレタン、シリコンゴム、フッ素ゴム、クロロピレンゴム、ブタジエンゴム等を用いることができる。中でも、回転する感光体に当接できる適度な強度と柔軟性が得られる点で、ポリウレタンが好ましい。
ポリウレタンを用いたクリーニングブレードは、例えば脱水処理を行ったポリオールとイソシアネート化合物を混合し、100〜120℃の温度範囲で30〜90分間反応させて得られるプレポリマーに架橋剤を加えて、金型に注入し硬化させることにより製造することができる。
JIS−A硬度が上記範囲内にあるクリーニングブレードは、材料の選択、架橋度の調整等により得ることができる。例えば、ポリウレタンを使用する場合、ポリオールとイソシアネート化合物の濃度、反応時間等を変えて大きな架橋度に調整することにより、JIS−A硬度を上記範囲内に調整することができる。
ポリオールとしては、例えばポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオール等を使用でき、イソシアネート化合物としてはジフェニルメタンジイソシアネート等を使用できる。また、架橋剤としては、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、これらの混合物等を使用できる。
クリーニングブレードは、残留トナーの掻き取り力を高め、より高いクリーニング性能を得る観点から、感光体の表面に対する傾斜角度θが5〜20°の範囲内にあり、かつ13〜30N/mの範囲内の線圧で当接していることが好ましい。
クリーニングブレードのサイズは、適宜選択することができるが、一般的には幅5〜30mm、厚さ2〜3mm、長さ200〜500mmの範囲内とすることができる。
本発明では、電子写真感光体の摩擦係数やクリーニングブレードのトルクが小さくなる方向になるため、クリーニングブレードの条件を適切に設定を行わないと、クリーニングブレードにおける電子写真感光体との当接部が回転方向に引き込まれやすく、クリーニングブレード減耗が進みやすい傾向となる。そのため、クリーニングブレードにおける感光体との当接部のJIS−A硬度を70〜80°の範囲内とした。硬度が70°以上と高ければ、引き込まれによるクリーニングブレード減耗を防止できるが、硬度が80°より大きくなり高すぎると、トルクが上がりブレードのチッピング(ブレード稜線の欠け)が発生しやすくなる。
近接帯電方式とは、感光体の表面近傍の微小な空隙で発生する近接放電を利用した帯電方式を指す。近接帯電方式には、具体的には、接触帯電ローラー方式、非接触帯電ローラー方式、ブラシ帯電方式などが含まれる。これらの中では、感光体と当接する接触帯電ローラーが用いられることが好ましい。この接触帯電ローラーは遮蔽部材の機能を兼ねることができるため、新たな部材として遮蔽部材を使用しなくても良いことから好ましい。
さらに、前記近接帯電手段で用いられる帯電部材(帯電ローラー)が、感光体と接触することが、感光体の均一帯電性の点で好ましい。
なお、帯電ローラーは、感光体の表面に接触する接触式以外であってもよく、例えば、感光体との間に例えば30〜100μm程度の間隔を空けても良い。
本発明に係る電子写真画像形成装置は電子写真複写機、レーザープリンター、LEDプリンター及び液晶シャッター式プリンター等の電子写真画像形成装置一般に適応するが、さらに、電子写真技術を応用したディスプレイ、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用することができる。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
[感光体〔1〕の作製]
直径30mmのアルミニウム製の円筒体の表面を切削加工し、表面を細かく粗面にした導電性支持体〔1〕を用意した。
<中間層の形成>
下記組成の分散液を下記溶媒と同じ溶媒にて二倍に希釈し、一夜静置後に濾過(フィルター;日本ポール社製リジメッシュ5μmフィルター使用)し、中間層形成用塗布液〔1〕を調製した。
バインダー樹脂:ポリアミド樹脂「CM8000」(東レ社製) 1質量部
金属酸化物粒子:酸化チタン「SMT500SAS」(テイカ社製) 3質量部
溶媒:メタノール 10質量部
分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行った。
中間層形成用塗布液〔1〕を用いて導電性支持体〔1〕上に、浸漬コーティング法で塗布し、乾燥層厚2μmの中間層〔1〕を形成した。
<電荷発生層の形成>
電荷発生物質:下記顔料(CG−1)20質量部、バインダー樹脂:ポリビニルブチラール樹脂「#6000−C」(デンカ社製)10質量部、溶媒:酢酸t−ブチル700質量部、溶媒:4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン300質量部を混合し、サンドミルを用いて10時間分散し、電荷発生層形成用塗布液〔1〕を調製した。この電荷発生層形成用塗布液〔1〕を中間層〔1〕上に浸漬コーティング法で塗布し、乾燥層厚0.3μmの電荷発生層〔1〕を形成した。
(顔料(CG−1)の合成)
(1)無定形チタニルフタロシアニンの合成
1,3−ジイミノイソインドリン;29.2質量部をo−ジクロロベンゼン200質量部に分散し、チタニウムテトラ−n−ブトキシド;20.4質量部を加えて窒素雰囲気下に150〜160℃で5時間加熱した。放冷後、析出した結晶を濾過し、クロロホルムで洗浄、2%塩酸水溶液で洗浄、水洗メタノール洗浄して、乾燥後、26.2質量部(収率91%)の粗チタニルフタロシアニンを得た。
次いで、粗チタニルフタロシアニンを5℃以下において濃硫酸250質量部中で1時間撹拌して溶解し、これを20℃の水5000質量部に注いだ。析出した結晶をろ過し、充分に水洗してウエットペースト品225質量部を得た。
このウエットペースト品を冷凍庫にて凍結し、再度解凍した後、ろ過、乾燥して無定形チタニルフタロシアニン24.8質量部(収率86%)を得た。
(2)(2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニン(CG−1)の合成
上記無定形チタニルフタロシアニン10.0質量部と(2R,3R)−2,3−ブタンジオール0.94質量部(0.6当量比)(当量比はチタニルフタロシアニンに対する当量比、以後同じ)をオルトジクロロベンゼン(ODB)200質量部中に混合し60〜70℃で6.0時間加熱撹拌した。一夜放置後、該反応液にメタノールを加えて生じた結晶を濾過し、濾過後の結晶をメタノールで洗って((2R,3R)−2,3−ブタンジオール付加体チタニルフタロシアニンを含有する顔料)CG−1:10.3質量部を得た。顔料(CG−1)のX線回折スペクトルでは、8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークがある。マススペクトルにおいて576と648にピークがあり、IRスペクトルでは970cm−1付近のTi=O、630cm−1付近にO−Ti−Oの両吸収が現れる。また熱分析(TG)では390〜410℃に約7%の質量減少があることから、チタニルフタロシアニンと(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの1:1付加体と非付加体(付加していない)チタニルフタロシアニンの混合物と推定される。
得られた顔料(CG−1)のBET比表面積を流動式比表面積自動測定装置(マイクロメトリックス・フローソープ型:島津製作所)で測定したところ、31.2m/gであった。
<電荷輸送層の形成>
電荷輸送物質:下記化合物X225質量部、バインダー樹脂:ポリカーボネート樹脂「Z300」(三菱ガス化学社製)300質量部、酸化防止剤:「Irganox1010」(BASFジャパン社製)6質量部、溶媒:THF(テトラヒドロフラン)1600質量部、溶媒:トルエン400質量部、シリコーンオイル「KF−50」(信越化学社製)1質量部を混合し、溶解して電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を調製した。
この電荷輸送層形成用塗布液〔1〕を電荷発生層〔1〕の上に浸漬塗布装置を用いて塗布し、乾燥層厚20μmの電荷輸送層〔1〕を形成した。
Figure 2018077300
<表面保護層の形成>
(フッ素化重合開始剤の合成)
パイレックス(登録商標)チューブ内でIrgacure819(BASFジャパン社製、71.1mg、0.5mmol)を塩化メチレン(関東化学社製、12.5mL)に溶解させ、そこにさらにC17OCHCHOI(ダイキン社製、0.22mL、1.0mmol)、チオ硫酸ナトリウム(関東化学社製、0.3716g、2.5mmol)及び水(2.5mL)を加え、冷却水を流して反応系の温度を一定に保ちながら、450W高圧水銀ランプを用いて紫外線を24時間照射した。紫外線照射後に水層を除去し、反応溶液を塩化メチレンで抽出した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を濃縮し、カラムクロマトグラフィーを用いて分離・精製することにより、例示化合物(1)で表される化合物を白色の固体として得た(0.2140g、収率55%)。
500mLのナスフラスコに、テトラヒドロフラン200mL、トリメチルアミン0.9mL(10mmol)、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8-heptadecafluoro-8-methoxyoctane 4.5g(10mmol)(Suzhou Health Chemicals Co., Ltd.製)を溶解させ、窒素雰囲気下、加熱還流にて6時間撹拌したのち、ロータリーエバポレータにて濃縮乾固し3.5gの化合物Aを得た。
200mLのナスフラスコに、化合物A3.5g(6.8mmol)、2−フェノキシエチルブロミド510mg(2.5mmol)(東京化成工業株式製)、アセトニトリル100mLを加えて溶液とし、そこへテトラフルオロホウ酸銀410mg(2.5mmol)、アセトニトリル10mLの溶液を滴下し、窒素雰囲気下、45℃にて8時間撹拌した。反応液をセライト濾過した後、ロータリーエバポレータにて濃縮乾固し、残渣にジクロロメタンを加え再度セライト濾過、ロータリーエバポレータにより濃縮乾固、ヘプタンを展開液としたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し1.1gの化合物Bを得た。化合物Bの構造はNMRにて確認した。
100mLのナスフラスコに、化合物B1g(1.8mmol)、三塩化リン0.8g(5.4mmol)、塩化ビスマス57mg(0.18mmol)を混合し、窒素雰囲気下、激しく撹拌しながら3時間加熱還流したのち、さらに塩化ビスマス57mg(0.18mmol)を添加し6時間加熱還流した。反応液に石油エーテル50mL、水20mLを加え、分液ロートにて石油エーテル層を分離した後にロータリーエバポレータにて濃縮乾固し1.1gの化合物Cを得た。
300mLの3口フラスコに、トルエン50mLに金属ナトリウム140mg(6mmol)を加え激しく撹拌しながら100℃とした後に化合物C1g(1.5mmol)のトルエン50mLの溶液を滴下し100℃にて16時間撹拌した。
次いで、30分かけてtert−ブタノール230μL(3mmol)を滴下し100℃にて2時間撹拌した後に、温度を35℃とし化合物D500μL(3mmol)のトルエン20ml溶液を滴下し、35℃にて1時間撹拌した。
次いで、30%過酸化水素水500μL(4.5mmol)を液温が45℃を超えないように滴下し、45℃にて4時間撹拌した。反応液に5%炭酸水素ナトリウム1.6mLを加え45℃にて10分撹拌した後に分液ロートにて有機層を分離し、さらに水洗2回を行った後に、ロータリーエバポレータにて濃縮乾固し、ヘキサンより再結晶を行い530mgの例示化合物(1)を得た。例示化合物(1)は、NMRにて構造確認を行った。
Figure 2018077300
(表面処理を施したSnOの作製)
酸化スズ(CIKナノテック社製、数平均一次粒径:21nm、体積抵抗率:1.05×10(Ω・cm))100質量部、表面修飾剤として上記例示化合物(S−15)30質量部、トルエン/イソプロピルアルコール=1/1(質量比)の混合溶媒300質量部の混合液を、ジルコニアビーズとともにサンドミルに入れ、約40℃で、回転速度1500rpmで撹拌した。さらに、上記処理混合物を取り出し、ヘンシェルミキサーに投入して回転速度1500rpmで15分間撹拌した後、120℃で3時間乾燥することによって、ラジカル重合性官能基を有する化合物による酸化スズの表面処理を終了し、表面処理済み酸化スズを得た。これを金属酸化物粒子〔1〕とする。上記のラジカル重合性官能基を有する化合物による表面処理により、酸化スズの粒子表面は上記例示化合物(S−15)により被覆されていた。
(表面保護層の形成)
重合性化合物(DPHA 日本化薬社製)100質量部、表面処理を施したSnO(上記金属酸化物粒子〔1〕)15質量部、溶媒:2−ブタノール400質量部、溶媒:THF(テトラヒドロフラン)40質量部を遮光下で混合し、分散機としてサンドミルを用いて5時間分散した後、フッ素変性した光重合開始剤(フッ素化重合開始剤:例示化合物(1))10質量部を加え、遮光下で撹拌して溶解させ、表面保護層形成用塗布液〔1〕を調製した。この表面保護層形成用塗布液〔1〕を電荷輸送層〔1〕上に円形スライドホッパー塗布装置を用いて塗布して塗膜を形成し、メタルハライドランプを用いて紫外線を1分間照射して、乾燥層厚3.5μmの表面保護層〔1〕を形成し、感光体〔1〕を作製した。
[感光体〔2〕〜〔16〕の作製]
上記感光体〔1〕の作製において、重合性化合物の種類及びその配合量、金属酸化物粒子の種類及びその粒径と配合量、重合開始剤の種類及びその配合量、表面保護層、電荷発生層及び電荷輸送層の層厚を、下記表1に示すとおりに変更した以外は、感光体〔1〕の作製と同様にして感光体〔2〕〜〔16〕を作製した。
なお、表1に記載の重合性化合物、金属酸化物粒子は以下のとおりである。
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製)
SR350:トリメチロールプロパントリメタクリレート(サートマー社製)
M450:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(東亞合成社製)
Al:数平均一次粒径:31nm、圧粉抵抗:5.8×10Ω(CIKナノテック社製)
Irgacure819:BASFジャパン社製
Irgacure184:BASFジャパン社製
[評価]
<評価用画像形成装置の準備>
画像形成装置(コニカミノルタ株式会社製の製品名「bizhub C554」)の電子写真感光体として、上記で作製した感光体を搭載し、画像形成ユニットの帯電方式を接触帯電方式に変更した。このようにして得られた画像形成装置を用いて以下に示す評価を行った。なお、使用したクリーニングブレードの材質はポリウレタンであり、硬度は下記表1に示すとおりである。
<感光体減耗及びクリーニングブレード減耗>
印字率5%相当の文字チャートを10万枚印字した後に、感光体の表面保護層の層厚を測定し、表面保護層の減耗量を算出した。層厚の測定は渦電流式膜厚測定機「フィッシャースコープMMS PC」(フィッシャー・インストルメンツ社製)用いた。評価基準を以下のとおりとし、A1又はB1を合格とした。結果を表2に示す。
(評価基準)
A1:表面保護層の減耗量が0.5μm以下
B1:表面保護層の減耗量が0.5μmより大きく、1.0μm以下
C1:表面保護層の減耗量が1.0μmより大きく2.0μm以下
D1:表面保護層の減耗量が2.0μmより大きい
また、クリーニングブレードの減耗量は、レーザー顕微鏡「VK-X250」(キーエンス社製)を用いた。クリーニングブレードの3か所測定における平均減耗量を求め、評価基準を以下のとおりとし、A2又はB2を合格とした。結果を表2に示す。
(評価基準)
A2:平均減耗量が5μm以下
B2:平均減耗量が5μmより大きく、10μm以下
C2:平均減耗量が10μmより大きく、15μm以下
D2:平均減耗量が15μmより大きい
<耐刷に起因するハーフトーン画像ムラの目視評価>
評価用画像形成装置を用いてA3用紙10万枚に対して印字率が5%相当である文字チャートの印刷を連続して行った。その後、A3用紙に対してチャートの印刷を行って、ハーフトーン画像の画質を下記の評価基準に従って評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
A3:ハーフトーン画像の品質の劣化がほとんど確認されなかった
B3:ハーフトーン画像の品質の劣化が若干、確認された
C3:ハーフトーン画像の品質の劣化が著しかった
D3:品質の劣化が著しく使用に耐えない
<ハーフトーン粒状性>
高温高湿(温度30℃、相対湿度(relative humidity)85%)の環境下で、評価用画像形成装置を用いてA3用紙2000枚に対して印字率が5%相当である文字チャートの印刷を連続して行った。その後、A3用紙1枚に対してハーフトーン画像(参照用ハーフトーン画像)を印刷した。
評価用画像形成装置の電源を切り、8時間放置した後、その評価用画像形成装置の電源を再び入れた。A3用紙20枚に対してハーフトーン画像の印刷を連続して行った。印刷されたハーフトーン画像を目視にて観察し、下記の評価基準に従って評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
A4:ハーフトーン画像の粒状性が参照用ハーフトーン画像の粒状性と同等であった
B4:軽微な劣化が認められた
C4:著しく劣化があった
D4:劣化が激しく使用に耐えない
<耐刷に起因するハーフトーンの局所濃度変動>
評価用画像形成装置を用いてA3用紙10万枚に対して印字率が5%相当である文字チャートの印刷を連続して行った後、A3用紙1枚に対してハーフトーン画像の印刷を行った。評価用画像形成装置に搭載されている電子写真感光体の表面を目視にて観察した。また、印刷されたハーフトーン画像における画像欠陥の有無を調べた。さらには、電子写真感光体の表面の状態とハーフトーン画像における画像欠陥の有無との相関性を調べ、下記の評価基準に従って評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
A5:電子写真感光体の表面にはスジの発生及びフィルミング(例えば、静電潜像現像剤の残存又は外添剤の残存)の発生が確認されず、また、印刷されたハーフトーン画像には画像欠陥の発生が確認されなかった
B5:電子写真感光体の表面にはスジの発生及び上記フィルミングの発生が確認されたが、それに相関する画像欠陥の発生がハーフトーン画像に確認されなかった
C5:電子写真感光体の表面にはスジの発生及び上記フィルミングの発生が確認され、それに相関する画像欠陥の発生がハーフトーン画像に確認された
D5:程度が劣悪であった
電子写真感光体の表面にスジの発生及び上記フィルミングの発生が確認されなければ、電子写真感光体の表面保護層の硬度が高いと言える。
Figure 2018077300
Figure 2018077300
表2に示す結果より、本発明の電子写真感光体を用いた場合、感光体の減耗及びクリーニングブレードの減耗の点、耐刷に起因するハーフトーン画像ムラの目視及び粒状性の点(初期と耐久後とにおける減耗速度の均一化の点)、耐刷に起因するハーフトーン画像の局所濃度変動の点(耐刷によるクリーニング性低下抑制の点)で、比較例の電子写真感光体を用いた場合に比べて、良好であった。
1 導電性支持体
2 中間層
3 感光層
3a 電荷発生層
3b 電荷輸送層
4 表面保護層
PS 金属酸化物粒子
10 電子写真感光体
100 画像形成装置
1Y、1M、1C、1Bk 感光体
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
5Y、5M、5C、5Bk 一次転写ローラー
5b 二次転写ローラー
6Y、6M、6C、6Bk、6b クリーニング手段

Claims (7)

  1. 導電性支持体上に、中間層、感光層及び表面保護層の順に積層された電子写真感光体であって、
    前記表面保護層が、少なくともフッ素化重合開始剤と、重合性官能基を有するモノマーと、を含有する組成物を硬化した層であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記組成物が、さらに反応性に改質した金属酸化物粒子を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記フッ素化重合開始剤が、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
    Figure 2018077300
    [一般式(1)において、
    Zは、無置換あるいは置換されたフェニル基、無置換のナフチル基、フルオロアルキル基、又は、Ra−Y−、Ra−Y−(CH)r−、Ra−(CH)r−Y、Ra−Y−(CH)s−O−、Ra−Y−(CH)s−S−及びRa−Y−(CH)s−NR−からなる群より選択される置換基、−CY、アルキル基、置換アルキル基、置換フルオロアルキル基、アリール基、置換アリール基、又は置換アルケニル基を表す。
    Xは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又は、Ra−Y−、Ra−Y−(CH)r−、Ra−(CH)r−Y、Ra−Y−(CH)s−O−、Ra−Y−(CH)s−S−、及び、Ra−Y−(CH)s−NR−からなる群より選択される置換基、−CY、アルキル基、置換アルキル基、置換フルオロアルキル基、アリール基、置換アリール基、又は、置換アルケニル基を表す。
    ここで、Raは、直鎖状又は分岐鎖状の末端鎖:Z1CF(−O−C)p−(CF)q−(ここで、Z1は、水素原子又はフッ素原子を表し、p及びqのうち一方は、0〜20の整数を表し、他方は1〜20の整数を表す。)を表す。
    rは、1〜10の整数を表す。sは、2〜10の整数を表す。
    Yは、互いに独立して、−O−、−S−、−O−C(=O)−、及び、−O−Si(R−(CH)rからなる群より選択される二価の置換基を表す。Rは、炭素数1〜12のアルキル基又はフェニル基を表す。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を製造する電子写真感光体の製造方法であって、
    少なくともフッ素化重合開始剤と、重合性官能基を有するモノマーと、を含有する組成物を硬化した前記表面保護層を形成する工程を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  5. 少なくとも、電子写真感光体、近接帯電手段、及びクリーニング手段を有する電子写真用カートリッジであって、
    前記電子写真感光体が、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真用カートリッジ。
  6. 前記クリーニング手段で用いられるクリーニングブレードにおける前記電子写真感光体との当接部のJIS−A硬度が、70〜80°の範囲内であることを特徴とする請求項5に記載の電子写真用カートリッジ。
  7. 前記近接帯電手段で用いられる帯電部材が、前記電子写真感光体と接触することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の電子写真用カートリッジ。
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